説明

ポインティングデバイス

【課題】ポインティングデバイスの誤作動を低減する。
【解決手段】ポインティングデバイス1の位置指示駆動体60は、その下方に、アース用の電極および電圧印加用の電極に接触する導電材料から成る導電部と、導電材料から成り、その駆動時に電位測定用の電極に接触可能である下方突出形状の球面部63と、を有する導電性弾性体62を備え、その球面部63が電位測定用の電極の上方になるように印刷回路基板70上に配置され、位置指示駆動体60の上方にその頭部を覆うように配置され、印刷回路基板70の平面と平行な面内をスライドさせて操作すると、位置指示駆動体60を駆動できるスライド部材30と、位置指示駆動体60の外側にあって、球面部63が電位測定用の電極に接触後、位置指示駆動体60への押圧方向の力を受けて、球面部63から印刷回路基板70への押圧を制限する押圧制限部材40,50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面上の任意の方向を指示可能なポインティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ポインティングデバイスは、パーソナルコンピュータ、携帯通信端末、ゲーム装置等の入力手段として広く利用されている。特に、スティック状の操作手段を少なくともX−Y平面上において自在に駆動するタイプのポインティングデバイスは、ディスプレイ上に表示される対象物を自在に動かすのに非常に便利な操作手段として知られている。かかるポインティングデバイスには多種多様な構造のものがあり、導電性弾性体の略球面部を印刷回路基板上の電極面に接触させて、そのX軸方向およびY軸方向の接触位置に基づき指示位置の(X,Y)座標を検出するタイプのポインティングデバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。以下、このタイプのポインティングデバイスの位置検出機構について、図面を用いて説明する。
【0003】
図16は、導電性弾性体を操作手段に利用したポインティングデバイスの簡易断面図である。図17は、図16に示すポインティングデバイスの最下層に配置される印刷回路基板(Printed Circuit Board: PCB)の平面図である。
【0004】
このポインティングデバイス200は、略円環形状のクランプリング201の中央に設けられた貫通穴202にラバーセンサー210を固定し、クランプリング201をPCB220上に固定した形態を有する。クランプリング201の底面には、2本の略円柱状の突出部203,204が設けられている。また、PCB220には、突出部203,204をそれぞれ挿入可能な穴221,222が形成されている。突出部203,204を穴221,222に挿入することにより、クランプリング201とPCB220とが固定される。クランプリング201の貫通穴202の下方周縁には、ラバーセンサー210の外周部を固定して貫通穴202から上方に抜けないようにする固定部205が設けられている。ラバーセンサー210は、絶縁性樹脂で構成される操作部211と、その操作部211の下方に固定される導電性弾性体212とから構成される。導電性弾性体212は、操作部211より大きな径を有する柔軟性に富む成形体である。導電性弾性体212は、操作部211の直下に、PCB220側にゆるやかに突出する球面部213を有し、その球面部213から径方向外側に上下方向にS字変形するドーム214を有する。そのドーム214の径方向外側の底部には、外周底面215が形成され、その外周底面215の外側先端には、固定部205に嵌合する嵌合部216が形成されている。
【0005】
PCB220の上面には、図17に示すように、穴221,222を避ける位置に、複数の電極が形成されている。当該複数の電極は、円形電極224と、その外側に90度間隔で1個ずつ配置される合計4個の矩形電極225,226,227,228とから構成される。これらの電極224,225,226,227,228は互いに非接触の状態で配置される。4個の矩形電極225,226,227,228は、VCCとGND(アース)の切り換えができる電極であり、円形電極224を挟んで対向する2つの電極の内の一方がVCCを印加した場合に他方はアースされている状態となっている。円形電極224は、そこに接触した球面部213の位置を検出できるように、電位を検出する装置(不図示)に接続されている。ラバーセンサー210は、4個の矩形電極225,226,227,228にラバーセンサー210の外周底面215が接触するように、PCB220上に配置される。ラバーセンサー210を操作しないときには、導電性弾性体212の球面部213は円形電極224とは接触していない。操作部211を下方に押し込み、当該操作部211をPCB220上の面内を自在に動かすと、球面部213は、円形電極224に接触する。円形電極224への球面部213の接触領域は、操作部211の駆動方向とその押し込みの程度により変化する。
【0006】
例えば、図17に示すように、球面部213が円形電極224と領域Aの部分で接触したとする。その場合、矩形電極227、円形電極224および矩形電極225を結ぶX軸上において、矩形電極227に印加されるVCCと矩形電極225のアース間では領域Aの左端X1の位置で短絡する。同様に、矩形電極225に印加されるVCCと矩形電極227のアース間では領域Aの右端X2の位置で短絡する。短絡した位置の電位は、矩形電極227または矩形電極225から当該短絡した位置までの距離に比例する。よって、これらX1,X2の位置は、それぞれの短絡した位置の電位を検出することによって決定できる。次に、X1およびX2の中間点である点Oを求め、点Oをポインティングデバイス200のX軸上の指示位置(X座標)とする。同様に、矩形電極226、円形電極224および矩形電極228を結ぶY軸上でも同様の検出を行うことで、Y軸上の指示位置(Y座標)が決定され、先に求めたX座標とY座標からX−Y平面上の指示位置である(X,Y)座標が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開公報WO99/17180
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の従来技術には、次のような問題がある。図18に示すように、ラバーセンサー210の操作部211を図中の左側に倒す場合、矢印Aのように軽く左側に倒したとき(211a)よりも矢印Bのように大きく左側に倒したとき(211b)の方が、本来、より左側の位置を指示する必要がある。しかし、実際には、これに反して、矢印Bのように大きく左側に倒したときの方が中央に近い位置を指示するという誤作動が生じる場合がある。この現象を図19に基づいて詳述する。先に図17に基づいて説明したように、ポインティングデバイス200の指示位置は、導電性弾性体212の球面部213が円形電極224に接触する領域によって決定される。図18の矢印Aで示すように操作部211を左側に倒した際には、球面部213は円形電極224と図19に示す領域Aにて接触する。操作部211を左側に倒した際には、球面部213は下方にも力を受けて円形電極224上で縦長の楕円形状に変形しやすい。領域Aの左端位置P(x1,0)および右端位置Q(x2,0)は、それぞれ矩形電極227および矩形電極225にVCCを印加したときの各電位から決定できる。したがって、矢印Aで示すように軽く操作部211を左側に倒した際には、PとQの中間位置R((x1+x2/2,0))がX軸上の指示位置になる。
【0009】
一方、図18の矢印Bで示すように、矢印Aで示した場合よりも大きく操作部211を左側に倒した際には、球面部213は円形電極224と図19に示す領域Bにて接触する。この場合、領域Bは、領域Aと同様に縦長の楕円形状であって、領域Aよりも大きな楕円形状になりやすい。球面部213が下方に向けて円形電極224上にて強く押しつぶされるためである。領域Bの左端位置S(x3,0)および右端位置T(x4,0)は、それぞれ矩形電極227および矩形電極225にVCCを印加したときの各電位から決定できる。したがって、矢印Bで示すように大きく操作部211を左側に倒した際には、SとTの中間位置U((x3+x4/2,0))がX軸上の指示位置になる。図19のRとUの両位置を比較すると、Uの方が右側にある。Uの位置の方がRの位置に比べて円形電極224上のより右側に存在するということは、操作部211を左側に大きく倒した方が中央に近い位置を指示したことを意味する。すなわち、本来は円形電極224上のより左側の位置を示すべきなのに、逆の現象になったことになる。以上は、X軸方向の問題であるが、Y軸方向についても同様のことが言える。加えて、操作部211を大きく倒すような操作を行うと、球面部213が円形電極224上の検知可能な領域をはみ出す場合も生じ得るため、指示位置の検出に誤作動が生じやすい。
【0010】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたもので、ポインティングデバイスの誤作動を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上述の誤作動が生じる原因を調べてきた結果、ラバーセンサーをその水平面内で駆動した際に、強く駆動したときの方がより鉛直方向への押し込みが大きいことが原因であることを突き止めた。鉛直方向への押し込みが大きいと、円形電極への接触領域が極めて大きく、かつ楕円形状になりやすい。このため、ラバーセンサーの操作方向およびその強さによって、ラバーセンサーの下面にある球面部が円形電極に押しつけられる力が変化し、球面部と円形電極との接触領域の面積および形状が変わる。その結果、検出位置が操作者の意思よりもその駆動方向にならないという不具合が生じる可能性が高くなる。したがって、本発明者は、ラバーセンサーをその水平面内で駆動する場合、操作方向によらず、ほぼ一定の接触領域を保持できるようにする必要があると考えた。具体的には、次のような手段を解決手段として採用した。
【0012】
本発明の一形態は、アース用の電極と、電圧印加用の電極と、アース用の電極と電圧印加用の電極との間の位置における電位を測定するための電位測定用の電極とを互いに非接触状態で配置する印刷回路基板上に配置され、その駆動の際に電位測定用の電極上への接触位置に基づいて指示位置を決定する位置指示駆動体を備えるポインティングデバイスであって、位置指示駆動体は、その下方に、アース用の電極および電圧印加用の電極に接触する導電材料から成る導電部と、導電材料から成り、その駆動時に電位測定用の電極に接触可能である下方突出形状の球面部と、を有する導電性弾性体を備え、その球面部が電位測定用の電極の上方になるように印刷回路基板上に配置され、位置指示駆動体の上方にその頭部を覆うように配置され、印刷回路基板の平面と平行な面内をスライドさせて操作すると、位置指示駆動体を駆動できるスライド部材と、位置指示駆動体の外側にあって、位置指示駆動体の球面部が電位測定用の電極に接触後、位置指示駆動体への押圧方向の力を受けて、球面部から印刷回路基板への押圧を制限する押圧制限部材とを備えることを特徴とするポインティングデバイスである。
【0013】
本発明の別の一形態は、位置指示駆動体が、それを駆動していない状態では、球面部が電位測定用の電極と非接触になるように、印刷回路基板上に配置され、球面部が電位測定用の電極に接触するまでの間、スライド部材から位置指示駆動体に押圧を与えることができるように、押圧制限部材とスライド部材との間に隙間を有するポインティングデバイスである。
【0014】
本発明の別の一形態は、電位測定用の電極がその中央に穴を有するリング形状の電極であるポインティングデバイスである。
【0015】
本発明の別の一形態は、電位測定用の電極の中央の穴に、その電位測定用の電極と非接触にて、校正用の電極を形成しているポインティングデバイスである。
【0016】
本発明の別の一形態は、校正用の電極がリング形状の電極であるポインティングデバイスである。
【0017】
本発明の別の一形態は、スライド部材における位置指示駆動体の頭部を覆う凹部の上面は、その中央部より上方に窪む外周凹部を有し、その外周凹部は、スライド部材をスライドした際に、位置指示駆動体の頭部の移動を阻害しないように形成されているポインティングデバイスである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ポインティングデバイスの誤作動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、第一の実施の形態に係るポインティングデバイスの分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すポインティングデバイスを組み立てた状態の斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すポインティングデバイスを組み立てた状態の側面図である。
【図4】図4は、図2に示すポインティングデバイスのA−A線断面図である。
【図5】図5は、図4に示すスライド部材を図4の左右にスライド動作した際の位置指示駆動体の操作部の動きを説明するための模式図である。
【図6】図6は、図5に示すスライド部材と位置指示駆動体の操作部の各好適な形状の例を示す図である。
【図7】図7は、図1のPCBの上面を示す図である。
【図8】図8は、図1に示す位置指示駆動体の斜視図(8A)、平面図(8B)および底面図(8C)である。
【図9】図9は、図7に示すPCB上の電極の領域に位置指示駆動体を配置した状態を示す平面図(9A)、(9A)に示す電極を拡大して示す平面図(9B)および(9B)に示す電極の変形例を示す平面図(9C)である。
【図10】図10は、PCB上の電位測定用の電極に位置指示駆動体の球面部が接触した際の指示位置を決定する方法を説明するための図である。
【図11】図11は、第一の実施の形態に係るポインティングデバイスの構成上の変形例を示す断面図である。
【図12】図12は、第二の実施の形態に係るポインティングデバイスの分解斜視図である。
【図13】図13は、図12に示すポインティングデバイスを、図2に示すポインティングデバイスのA−A線と同様の線で切断したときの断面図である。
【図14】図14は、第二の実施の形態に係るポインティングデバイスの構成上の変形例を示す断面図である。
【図15】図15は、図9(9B)および(9C)に示す電極とは異なる変形例を示す平面図である。
【図16】図16は、導電性弾性体を操作手段に利用した従来のポインティングデバイスの簡易断面図である。
【図17】図17は、図16に示す従来のポインティングデバイスの最下層に配置される印刷回路基板の平面図である。
【図18】図18は、図16に示す従来のポインティングデバイスにおいて、導電性弾性体を一方に倒す2種類の操作を行った状況を示す断面図である。
【図19】図19は、図18に示す2種類の操作時に、導電性弾性体の下面が印刷回路基板の電極に接触する各領域から指示位置の座標を求める方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明のポインティングデバイスの各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
1.第一の実施の形態
図1は、第一の実施の形態に係るポインティングデバイスの分解斜視図であり、左側の図は斜め上方から見た図であり、右側の図は斜め下方から見た図である。図2および図3は、それぞれ、図1に示すポインティングデバイスを組み立てた状態の斜視図および側面図である。図4は、図2に示すポインティングデバイスのA−A線断面図である。以後、図4のそれぞれ上方向、下方向、右方向、左方向に合わせて、上、下、右、左の各方向を定義する。
【0022】
第一の実施の形態に係るポインティングデバイス1は、図1に示すように、上から下に向かって順に、アクチュエータキャップ10、ハウジング20、スライド部材30、リング状シート40、クランプリング50、位置指示駆動体60、印刷回路基板(Printed Circuit Board: PCB)70を組み合わせた構成を有する。
【0023】
アクチュエータキャップ10は、樹脂製であって、薄い円板形状の操作板11の底面中央に、当該操作板11より十分に小径の筒部材12を接合した形態を有する。筒部材12の内部には、下方に開口部を有する凹部13が形成されている。図4に示すように、操作板11の天面はその中央が少し窪んだ形状を有し、当該天面の径方向外側から中心に向かって複数の同心円状の溝11a、11b、11cおよび11dが形成されている。指で操作する際に滑らずに指にフィットさせるためである。
【0024】
ハウジング20は、樹脂製であって、操作板11より大径の上下方向に薄型の略円筒形状を有し、その開口部を下に向けてPCB70と接合される部材である。ハウジング20の天面中央には、アクチュエータキャップ10の筒部材12より大径で、かつ操作板11より小径の貫通穴21が形成されている。貫通穴21は、ハウジング20の筒内部の空間22につながっている。当該空間22は、貫通穴21より大径の略円筒形状の空間であって、貫通穴21から空間22の開口部に至るまでの間に、途中で一段大径になるように形成されている。当該空間22には、スライド部材30、リング状シート40、クランプリング50および位置指示駆動体60が配置される。ハウジング20の開口側の周端面には、開口部の中心を円の中心とする円周上において90度間隔に1個ずつ、合計4個のねじ穴23が形成されている。そのねじ穴23が形成されている周端面は、それ以外の周端面よりもハウジング20の空間22の開口面の中心に向かって若干突出するように厚く形成されており、空間22の上方に向かって段差のある位置まで半割円柱形状の突出部24が形成されている。
【0025】
スライド部材30は、樹脂製であって、下方に開口する略ハット型の部材である。スライド部材30は、円筒部31の開口部側を下方にして、その開口部に円筒部31よりも大径の薄型のリング部32を接続し、さらにその下方にリング部32よりも十分に大径の薄型のリング部33を接続した形態を有する。円筒部31は、アクチュエータキャップ10の筒部材12の凹部13に挿入して嵌め込み可能な外径を有する。円筒部31と筒部材12とは、接着剤等により固着するのが好ましい。リング部32の外径は、その筒部材12の外径と略同一である。リング部33の外径はハウジング20の貫通穴21の径よりも大きく、リング部32の外径は貫通穴21の径よりも小さい。このため、ハウジング20の空間22内にスライド部材30を組み込んだ状態では、スライド部材30のリング部33がハウジング20の天面裏側に当接して、スライド部材30が貫通穴21の上方向に抜けない状態となる。また、スライド部材30の内部には、その下方の開口部から筒部材31の天面裏側にまで窪む凹部34が形成されている。凹部34の詳細な形状については後述する。スライド部材30は、位置指示駆動体60の上方にその頭部を覆うように配置され、PCB70の平面と平行な面内をスライドさせて操作することにより位置指示駆動体60を駆動できる部材である。
【0026】
リング状シート40は、好適には、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂から成る薄いリング形状のシートである。リング状シート40の中央には、円形の貫通穴41が形成されている。リング状シート40の外径は、ハウジング20内部の空間22の上部(すなわち、貫通穴21の直下)よりも小径であって、かつスライド部材30のリング部33よりも大径である。また、貫通穴41の径は、スライド部材30のリング部33よりも小径で、かつハウジング20の貫通穴21よりも小径である。リング状シート40をハウジング20の空間22内に組み込んだ状態では、スライド部材30がリング状シート40の貫通穴41から下方に抜けない状態となる。
【0027】
クランプリング50は、樹脂製であって、薄い略円環形状を有する。クランプリング50の中央には上下方向に貫通する貫通穴51が形成されている。その貫通穴51は、クランプリング50の下面に近い位置で一段大径になる段差を有する形状で形成されている。クランプリング50の下面における貫通穴51の外側には、下方に突出する2本の固定部材52a,52bが形成されている。クランプリング50は、リング部53と、そのリング部53より大径のリング部54を上下に貼り合わせた形態を有する。上方のリング部53の外径は、リング状シート40の外径より大きく、ハウジング20の空間22の上方の内径よりわずかに小さい。下方のリング部54の外径は、ハウジング20の空間22の下方の内径よりわずかに小さく、かつハウジング20の空間22の上方の内径より大きい。また、リング部54の外側面には、少し内側に窪んだ4個の半円形の凹部55が貫通穴51の中心を円の中心とする円周上において90度間隔になるように配置されている。凹部55は、ハウジング20の突出部24に嵌め込むことができる形状と位置に設けられている。このため、クランプリング50は、凹部55をハウジング20の突出部24に合わせてハウジング20の空間22内に入れると、リング部54が空間22内の段差に突き当たるまで挿入できる。クランプリング50のリング部53の天面には、リング状シート40を接着等により固着するのが好ましい。クランプリング50の貫通穴51の径は、リング状シート40の貫通穴41の径よりも小さい。貫通穴51の下方開口部から上述の段差の位置までには、その下方開口部の中心に向かって突出する半割円柱形状の突出部56が2個形成されている。2個の突出部56は、貫通穴51の下方開口部の中心を円の中心とする円周上において180度間隔で配置されている。
【0028】
位置指示駆動体60は、樹脂製の略円柱形状の操作部61と、操作部61の下方に接続される薄型の略ドーム形状の導電性弾性体62とを接続した略ハット形状を有する。導電性弾性体62は、導電性のフィラーと絶縁性のゴム状弾性体の材料とを混練して成る。導電性フィラーとしては、粒子状、繊維状、板状等の導電性材料を好適に使用でき、その材料にはカーボン、金属等の導電性材料を使用できる。その中でも、粒子状のカーボン(カーボンブラック)を好適に使用できる。ゴム状弾性体には、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、天然ゴム等の材料を好適に使用でき、その中でもシリコーンゴムを好適に使用できる。導電性材料は、導電性弾性体62中に5〜50重量%の範囲で含有されるのが好ましく、さらには15〜35重量%が好ましい。
【0029】
位置指示駆動体60の操作部61の外径はクランプリング50の貫通穴51の径より十分に小さく、操作部61と貫通穴51との間には、操作部61が貫通穴51の水平面内を自在に動くことができるような十分な隙間がある。導電性弾性体62は、下層部の径方向内側に向かって上下方向に波打つ有段差形状を有する。当該下層部の上下方向の厚さは、クランプリング50の貫通穴51の下方開口面から段差のある位置までの長さにほぼ等しい。導電性弾性体62の下方中心には、位置指示駆動体60の下方開口面よりわずかに上方の位置を最下面として下方にゆるやかに弧を描く球面部63を有する。導電性弾性体62の外径は、ハウジング50の貫通穴51の下方開口部の内径よりわずかに小さく、その貫通穴51の段差のある位置から上方の内径よりも大きい。導電性弾性体62の外側面には、少し内側に窪んだ4個の半円形の凹部64が球面部63の中心を円の中心とする円周上において90度間隔で配置されている。4個の凹部64は、それらの内で180度間隔にて対向して設けられる2個の凹部64がクランプリング50の2個の突出部56に嵌め込むことができるような形状と位置に設けられている。位置指示駆動体60をクランプリング50の下方から貫通穴51に向かって挿入すると、対向する2個の凹部64が対向する2個の突出部56に嵌り、導電性弾性体62がクランプリング50の貫通穴51内部の段差に突き当たる状態になる。この状態では、操作部61は、クランプリング50の貫通穴51とリング状シート40の貫通穴41を抜けて、スライド部材30の円筒部31の裏面に接し、あるいは当該裏面とわずかに隙間のある状態になる。また、位置指示駆動体60の下面は、クランプリング50の下面とほぼ面一の状態になる。位置指示駆動体のより詳細な構成は後述する。
【0030】
PCB70は、絶縁性の高い樹脂、あるいは当該樹脂とガラスの複合体等から構成される薄い略円板形状の回路基板である。PCB70の外径は、ハウジング20の外径より大きい。PCB70の上面の略中央領域には、後述する複数の電極が形成されている(図1〜4では不図示)。PCB70の外周に近い部分には、PCB70の略中央部分を中心とする円の円周上において90度間隔で1個ずつ配置される合計4個のねじ穴71が設けられている。ねじ穴71は、PCB70の厚さ方向に貫通する穴であり、ハウジング20のねじ穴23の位置に合うように形成されている。PCB70とハウジング20とは、4本のねじ80をPCB70の裏側からねじ穴71、ハウジング20のねじ穴23を経てねじ込むことにより結合することができる。また、PCB70には、電極のある領域より外側で、ねじ穴71より内側に、2個の貫通穴72a,72bが設けられている。貫通穴72a,72bは、それぞれにクランプリング50の固定部材52a,52bを嵌め込むことができる位置と形状で設けられている。PCB70の厚さは、固定部材52a,52bの長さに比べて薄い。このため、クランプリング50の下面にPCB70を固定した状態では、図3および図4に示すように、固定部材52a,52bは、PCB70の下にまで突出する。PCB70の外側面には、その内方に窪む合計6個の凹部73が形成されており、PCB70をねじで固定して回転できないようにすることができる。
【0031】
上記の構造のアクチュエータキャップ10、ハウジング20、スライド部材30、リング状シート40、クランプリング50、位置指示駆動体60およびPCB70を順に組み合わせた場合、クランプリング50の凹部55はハウジング20の突出部24に嵌り、位置指示駆動体60の凹部64はクランプリング50の突出部56に嵌り、クランプリング50の固定部材52a,52bはそれぞれPCB70の貫通穴72a,72bに挿入される。このため、アクチュエータキャップ10をPCB70に平行な面内で自在に操作したときに、ハウジング20、クランプリング50、位置指示駆動体60は、PCB70に対して回転せず、スライド部材30がアクチュエータキャップ10の動きに合わせて駆動される。スライド部材30が駆動されると、その裏側の凹部34に頭部を覆われる操作部61が駆動される。操作部61の下方に接続される導電性弾性体62は屈曲自在に変形できるので、操作部61の下方に位置する球面部63は、その駆動時に、後述する電位測定用の電極75(あるいは電位測定用の電極74,75)に接触しながら自在に動く。この状況については、後述する。
【0032】
次に、図4に基づいて、ポインティングデバイス1の内部構造についてさらに詳述する。
【0033】
図4に示すように、スライド部材30のリング部33の下面は、アクチュエータキャップ10を操作していない状態では、リング状シート40の上面との間に隙間t1(例えば、t1=0.2mm)を有する。また、その状態において、位置指示駆動体60の下方に位置する球面部63とPCB70(より正確には、PCB70の上面に形成される複数の電極面)との間には、隙間t2(例えば、t2=0.2mm)を有する。t1=t2が理想的であるが、t1=0.18mm、t2=0.15mmのように、t1>t2とすることもできる。逆に、t1<t2の場合には、アクチュエータキャップ10を下方に押し込んだ際に、球面部63がPCB70上の電極に接触するよりも前に、スライド部材30のリング部33の下面がリング状シート40の上面に接触するので、あまり好ましくない。ただし、リング状シート40あるいはクランプリング50が柔軟な材料であって、t1=0以後もなお、位置指示駆動体60をわずかに下方に押圧してt2=0にでき、かつ球面部63をPCB70上の電極に押し当てることができるようであるならば、t1<t2としても良い。
【0034】
スライド部材30のリング部32の外径は、ハウジング20の貫通穴21の上方開口部の径よりも十分に小さい。また、スライド部材30のリング部33の外径は、ハウジング20の空間22の上方の径よりも十分に小さい。さらに、位置指示駆動体60の操作部61の外径は、クランプリング50の貫通穴51の径よりも十分に小さい。このため、スライド部材30は、アクチュエータキャップ10の操作により、リング部32が貫通穴21の開口内側面に当たるか、あるいはリング部33が空間22の上方の内側面に当たるまで、PCB70の面と平行な面内を自在にスライド動作可能である。
【0035】
スライド部材30の内部の凹部34は、下方の開口面から上方に進むに従って狭くなるように形成されている。凹部34の上面は、その上面の中心の所定領域を下方に突出させた凸部35を有すると共に、その凸部35の外周を上方に向かってわずかに窪ませた形状の外周凹部36を有する。操作部61の天面略中央部は、凸部35に接触、もしくは極めて近接した状態にあるのが好ましい。また、操作部61の頭部の角部61aは、凹部34の側面に接触若しくは極めて近接した状態にあるのが好ましい。
【0036】
球面部63とPCB70の電極面との間には隙間t2が存在するため、操作者は、アクチュエータキャップ10を下方に押し込み、球面部63がPCB70上の電極に接触させた後、PCB70の面と平行な面内を自在に駆動することにより、所望の位置を指示することができる。このように、隙間t2を設けているのは、導電性弾性体62の一部である球面部63が常に電極に接触していることによる電力の消費を防止するためである。
【0037】
図5は、図4に示すスライド部材を左右にスライド動作した際の位置指示駆動体の操作部の動きを説明するための模式図である。
【0038】
スライド部材30を右側(矢印Aの方向)にスライドさせると、図5(5A)に示すように、スライド部材30の下方に開口する凹部34の側面により位置指示駆動体60の操作部61の頭部が矢印Bに示すように右側に倒される。その倒された頭部の角部61aの左側は、元の位置(点線で示す位置)から回動して、より上方の位置(実線で示す位置)に移動する。スライド部材30の凹部34の上面外周にある外周凹部36は、その角部61aの左側が上方に移動するのを阻害しないように形成されている。同様に、スライド部材30を左側(矢印Cの方向)にスライドさせると、図5(5B)に示すように、スライド部材30の凹部34の側面により位置指示駆動体60の操作部61の頭部が矢印Dに示すように左側に倒される。その倒された頭部の角部61aの右側は、元の位置(点線で示す位置)から回動して、より上方の位置(実線で示す位置)に移動する。外周凹部36は、その角部61aの右側が上方に移動するのを阻害しないように形成されている。上記の移動例は、スライド部材30を左右に動かした場合の例であるが、実際には、スライド部材30はPCB70の面と平行の面内を自在に動かすことができる。この際、操作部61の頭部の角部61aは、スライド部材30の凹部34の上面外周の任意の位置で上方に移動し得る。角部61aは、外周凹部36の存在により、スライド部材30の凹部34の上面および側面によって制約されずに上方移動できる。
【0039】
図6は、図5に示すスライド部材と位置指示駆動体の操作部の各好適な形状の例を示す図である。
【0040】
スライド部材30の凹部34は、リング部33の下面からR1.00mmで下方に弧を描く面取り部分から、その凹部34の径方向内側に向かって斜め上方に傾斜する。その面取り部分の上下方向の長さは約0.33mmである。リング部33の水平な上面と凹部34の斜め上方に向かう傾斜面とのなす角度は、約48度である。凹部34の上面の略中央にある凸部35の最下面は、直径約0.4mmの円形の水平面である。また、その最下面から凹部34の開口面までの距離は、約0.8mmである。凹部34の上面の外周凹部36の最も深い部分から凹部34の開口面までの距離は、約1.08mmである。その外周凹部36の最も深い部分は、R0.25mmで上方に弧を描くようにエッジフリーに形成されており、その最も深い部分から凸部35に連接する弧状面は、R1.00mmで下方にゆるやかに弧を描くように形成される。一方、位置指示駆動体60の操作部61の頭部は、外径約2.80mm、頭部上面の角部61aは、R0.50mmで面取りされている。このような凹部34と操作部61の形状は、凹部34内における操作部61の動きをスムーズにするための好適な形状の一例であるが、凹部34および操作部61の各形状は、これに限定されるものではない。
【0041】
図7は、図1のPCBの上面を示す図である。
【0042】
PCB70の略中央には、中央に穴74aを有する小さなリング形状の電極74と、そのリング形状の電極74の外側にあってリング形状の電極74と同心円状に配置されるリング形状の電極(電位測定用の電極)75と、リング形状の電極75の外側にあって、リング形状の電極74の中心を円の中心とする円周上において90度間隔で1個ずつ配置される合計4個の矩形電極(アース用の電極と、電圧印加用の電極を兼ねる)76,77,78,79とが形成されている。これらの電極74,75,76,77,78,79は互いに非接触の状態で配置されている。矩形電極76,77,78,79は、位置指示駆動体60の導電性弾性体62の外周底面(後述)が接触できるような位置と大きさで形成されている。リング形状の電極74は、キャリブレーション用の電極であり、位置指示駆動体60の操作開始の際に指示位置を戻して、次の操作時の電位検出によって、あらためて指示位置を求めるためのものである。リング形状の電極74の中央に穴74aを設けているのは、位置指示駆動体60の組み付け時に球面部63が若干下がり、リング形状の電極74に常時接触するのを避け、電力消費を有効に防止する必要からである。また、リング形状の電極75は、位置指示駆動体60がPCB70に向かって押圧され、その後にPCB70の面内で動かされた際に、導電性弾性体62の球面部63が接触できるような位置と大きさで形成されている。
【0043】
図8は、図1に示す位置指示駆動体の斜視図(8A)、平面図(8B)および底面図(8C)である。
【0044】
図8に基づいて位置指示駆動体60の詳細な構造を説明する。位置指示駆動体60は、略円柱形状の操作部61の下部に、操作部61より大径の導電性弾性体62を接合した形態を有する。操作部61と導電性弾性体62との接合部の外周には、下方に窪む第一外周凹部62aが形成されている。第一外周凹部62aの径方向外側には、上方に弧を描くように突出する外周突出部65が形成されている。外周突出部65の径方向外側には、第一外周凹部62aよりも下方に窪む第二外周凹部66が形成されている。第二外周凹部66の径方向外側には、第二外周凹部66から少し上方に立ち上がり、そこから平面になる外周平面部67が形成されている。先に説明した4個の凹部64は、外周平面部67に形成されている。また、導電性弾性体62の裏側には、第二外周凹部66および外周平面部67の下方に相当する位置に、外周底面68が形成されている。外周底面68は、凹部64から導電性弾性体62の径方向内側に向かって延びる90度間隔で形成された凹路69によって、4個に分断して形成されている。
【0045】
図9は、図7に示すPCB上の電極の領域に位置指示駆動体を配置した状態を示す平面図(9A)、(9A)に示す電極を拡大して示す平面図(9B)および(9B)に示す電極の変形例を示す平面図(9C)である。
【0046】
図9(9A)では、位置指示駆動体60の底部領域を一点鎖線で示している。図9(9A)に示すように、位置指示駆動体60の外周底面68は4個の矩形電極76,77,78,79に接触するように配置される。すなわち、外周底面68は、アース用の電極および電圧印加用の電極を兼ねる矩形電極76,77,78,79に接触する、導電材料から成る導電部に相当する。リング形状の電極74,75は、位置指示駆動体60をPCB70の方向に押し込んでいない状態では、位置指示駆動体60の球面部63と接触していない。このとき、球面部63は、リング形状の電極74の中央の穴74a(PCB70の上面に相当する)にのみ接触していても良い。
【0047】
図9(9B)に示すように、図9(9A)に示すPCB70の上面に配置される矩形電極76,77,78,79は、リング形状の電極75を挟んで対向配置される2つの矩形電極78,76(または77,79)の一方にVCCが印加されている状態の時に、他方がアースされている。リング形状の電極74の中央には丸い小さな円形状の穴74a(PCB70の上面が露出している部分)がある。しかし、図9(9C)に示すように、穴74aのない円形の電極74bを用いることもできる。さらには、リング形状の電極74、円形の電極74bを形成せず、リング形状の電極75のみを電位測定用の電極とすることもできる。
【0048】
図10は、PCB上の電位測定用の電極に位置指示駆動体の球面部が接触した際の指示位置を決定する方法を説明するための図である。
【0049】
リング形状の電極75は、球面部63の接触により短絡した際のその短絡位置の電位を検出できるように、電位検出手段(不図示)に接続されている。位置指示駆動体60をPCB70に向けて押し込んでいない状態では、矩形電極76,77,78,79のみが導電性弾性体62に電気的に接続されている状態である。位置指示駆動体60をPCB70に向けて押し込むと、最初に、球面部63がリング形状の電極74と電気的に接続される。このときに、キャリブレーションが行われて初期状態に戻る。この状態から位置指示駆動体60をさらにPCB70に向けて押し込むと、球面部63がリング形状の電極75とも電気的に接続するようになる。ここで、例えば、矩形電極78にVCCが印加され、矩形電極78と対向する矩形電極76がアースされる。このとき、他の矩形電極77,79は、スイッチがオープン状態となる。次に、矩形電極79にVCCが印加され、矩形電極79と対向する矩形電極77がアースされる。このとき、他の矩形電極76,78は、スイッチがオープン状態となる。このように、VCCが印加される矩形電極、アースされる矩形電極、およびスイッチがオープン状態になる矩形電極が順番に切り換えられる。このような切り換えは、ある矩形電極から時計回り若しくは反時計回りに順に行うことができるが、一定の方向に順に切り換えず、例えば、矩形電極78、矩形電極76、矩形電極77、矩形電極79の順番のように切り換えることもできる。そして、各切り換え時の度に、VCCを印加した矩形電極から導電性弾性体62の球面部63を経て、リング形状の電極75へと電流が流れる。アクチュエータキャップ10をPCB70の面と平行の面内で動かすと、球面部63とリング形状の電極75との接触領域は種々変化する。図10では、アクチュエータキャップ10を単純に左方向に動かした際に、球面部63がリング形状の電極75に接触する領域を例示的に示している。図10中の領域Aはアクチュエータキャップ10を軽く左方向に動かした際の接触領域を、領域Bはアクチュエータキャップ10を大きく左方向に動かした際の接触領域を、それぞれ示す。
【0050】
矩形電極78と矩形電極76とを結ぶ方向をX軸方向とし、矩形電極78と矩形電極76との間の距離をL0、領域Aの矩形電極78に近い側のX軸上の点をP(x1,0)とし、矩形電極78と点Pとの間の距離をL1とする。同様に、領域Aの矩形電極76に近い側のX軸上の点をQ(x2,0)とし、矩形電極76と点Qとの間の距離をL2とする。矩形電極78からの電流は、点Pの位置でリング形状の電極75に短絡する。矩形電極76からの電流は、点Qの位置でリング形状の電極75に短絡する。電気抵抗は、電流が導電性弾性体62を通った距離に比例するため、L1の長さに比例して電気抵抗は大きくなり、リング形状の電極75の矩形電極78側端部で最小値をとり、リング形状の電極75の矩形電極76側端部で最大値をとる。したがって、点Pでの電位を検出することで点P(x1,0)の座標を求めることができる。同様に、点Qでの電位を検出することで点Q(x2,0)の座標を求めることができる。点P(x1,0)と点Q(x2,0)との間の中心点R((x1+x2)/2,0)を操作者が指示した位置のX座標と定義すると、領域Aがどのように変化しても、点P(x1,0)と点Q(x2,0)を求めることで指示位置を決定できる。これは、矩形電極77と矩形電極79とを結ぶ方向をY軸方向としたときにも同様の手法によりY軸上の座標を決定することができる。これによって、座標(X,Y)を指示位置の座標として決定できる。
【0051】
アクチュエータキャップ10を大きく左方向に動かした際には、球面部63は、領域Aよりも左側に位置する領域Bにてリング形状の電極75と接触する。領域Bは、領域Aとほぼ同様の真円でかつほぼ同一面積を有する。このため、領域Bの矩形電極78に近い側のX軸上の点をS(x3,0)とし、領域Bの矩形電極76に近い側のX軸上の点をT(x4,0)としたときの点Sと点Tとの間の中心点U((x3+x4)/2,0)は、領域Aの中心点R((x1+x2)/2,0)よりも左側になる。
【0052】
これは、アクチュエータキャップ10をどの方向に操作しても、位置指示駆動体60への押圧がほとんど変わらないためである。この実施の形態では、球面部63がリング形状の電極74およびリング形状の電極75に接触後、図4に示すスライド部材30がリング状シート40に当接し、それ以後の下方への押圧が制限される。すなわち、リング状シート40およびその下方のクランプリング50は、位置指示駆動体60の外側にあって、位置指示駆動体60の球面部63がリング形状の電極74およびリング形状の電極75に接触後、位置指示駆動体60への押圧方向の力を受けて、球面部63からPCB70への押圧を制限する押圧制限部材に相当する。この結果、位置指示駆動体60の球面部63がリング形状の電極75に接触する領域は、球面部63の可動範囲内においてどのような方向に動いても、ほぼ真円で、ほぼ同一面積となる。加えて、球面部63は、どのように動いても過度につぶれないので、領域A,Bは従来に比べて小さい。この結果、球面部63がリング形状の電極75の検知可能な領域からはみ出す危険性を低減することができ、指示位置の検知に誤作動が生じにくくなる。
【0053】
図11は、第一の実施の形態に係るポインティングデバイスの構成上の変形例を示す断面図である。
【0054】
図11に示すポインティングデバイス1aが図4に示すポインティングデバイス1と異なる点は、アクチュエータキャップ10を操作していない状態において、スライド部材30がリング状シート40に接しており、隙間t1が存在せず、かつ位置指示駆動体60の球面部63がPCB70の上面(正確には、リング形状の電極74とリング形状の電極75の両方)に接しており、隙間t2が存在していない点である。それ以外の構成は、前述のポインティングデバイス1と同じ構成である。
【0055】
ポインティングデバイス1aでは、アクチュエータキャップ10を操作していない状態で、すでに位置指示駆動体60の下方への押し込みがなされている状態である。このため、アクチュエータキャップ10の操作時にはさらなる押し込みが行われず、球面部63とリング形状の電極75への接触面積のより一層の同一性を確保しやすい。また、この場合、非操作時に、矩形電極76,77,78,79の内のVCCを印加している矩形電極とリング形状の電極74との間で電流が流れている。しかし、球面部63がリング形状の電極74の中央の穴74aに接触し、リング形状の電極74には非接触となるようなわずかな押し込みしかされないように構成することもできる。待機状態での消費電力を低減する観点では、球面部63がリング形状の電極74に非接触の状態になるように構成する方が有利である。さらに、省電力化を考慮しない場合には、図9(9C)に示すように、リング形状の電極74を穴74aのない円形の電極74bとしても良い。
【0056】
2.第二の実施の形態
図12は、第二の実施の形態に係るポインティングデバイスの分解斜視図である。図13は、図12に示すポインティングデバイスを、図2に示すポインティングデバイスのA−A線と同様の線で切断したときの断面図である。第一の実施の形態と同様、以後、図13のそれぞれ上方向、下方向、右方向、左方向に合わせて、上、下、右、左の各方向を定義する。
【0057】
第二の実施の形態に係るポインティングデバイス100は、上から下に向かって順に、アクチュエータキャップ110、ケース板120、スライド部材130、リング状シート140、ハウジング150、クランプリング160、位置指示駆動体170、印刷回路基板(Printed Circuit Board: PCB)180を組み合わせた構成を有する。
【0058】
アクチュエータキャップ110は、樹脂製であって、上方に緩やかに凸になる円板形状の操作板111の底面に、当該操作板111より十分に小径の円柱体112を接合した形態を有する。
【0059】
ケース板120は、樹脂製の平板である。ケース板120には、円柱体112の外径より十分に大きい径の貫通穴121が形成されている。また、後述のハウジング150と固定するための4個のねじ穴122が、その貫通穴121の外側に、その貫通穴121の中心を円の中心とする円周上において90度間隔で1個ずつ配置されている。
【0060】
スライド部材130は、樹脂製であって、円柱体112の外径よりわずかに大きな内径を有すると共にその上方に開口部を有する円筒部131と、当該円筒部131より十分に大径の円板132と、当該円板132の外径より小さくかつ上記円筒部131の外径より大きな外径を有すると共にその下方に開口部を有する円筒部133とを、それら131,132,133の各中心が一直線になるように上から下に向かって順に接合した形態を有する。円筒部131の外径は、ケース板120の貫通穴121の径よりも十分に小さい。図13に示すように、円筒部133の下方開口部から上方に向かって凹部134が形成されている。その凹部134は、第一の実施の形態に係るポインティングデバイス1の構成部材の一つであるスライド部材30の凹部34と類似の形状を有する。凹部134の上面には、その略中央において下方に突出する凸部135と、その凸部135を中心とする円の外周において上方に窪む外周凹部136とが形成されている。
【0061】
リング状シート140は、好適には、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂から成る薄いリング形状のシートである。リング状シート140の中央には、円形の貫通穴141が形成されている。貫通穴141の径は、スライド部材130の円筒部133の外径より十分に大きく、かつ円板132の外径より小さい。
【0062】
ハウジング150は、樹脂製であって、略円環形状を有する。ハウジング150の上面側の中央には、下方に窪む円形の凹部151が形成され、その凹部151に連接して、凹部151より小径で上下方向に貫通する貫通穴152が形成される。凹部151の径は、リング状シート140の外径より大きい。リング状シート140は、凹部151の下面に単に配置されるが、その下面に接着剤等を介在させて凹部151の下面に接着されていても良い。貫通穴152の径は、リング状シート140の貫通穴141より少し小さく、かつスライド部材130の円筒部133より十分に大きい。ハウジング150の凹部151の外周側にある端面には、その凹部151の中心を円の中心とする円周上において90度間隔で1個ずつ配置される合計4個のねじ穴153が形成されている。4個のねじ穴153は、ハウジング150を上下方向に貫通して形成されている。また、図13に示すように、ハウジング150の下面側の中央には、上方に窪む凹部154が形成されている。凹部154の径は、貫通穴152の径よりも大きい。したがって、ハウジング150の中央には、上から下に向かって、凹部151、その凹部151より小径の貫通穴152、その貫通穴152より大径の凹部154が順に連接して形成されている。
【0063】
クランプリング160は、樹脂製であって、外径の比較的大きなリング部161の上に外径の比較的小さなリング部162を固定した形状を有する。リング部162の外径は、ハウジング150の貫通穴152の径よりもわずかに小さい。リング部161の外径は、ハウジング150の凹部154の径よりもわずかに小さい。クランプリング160は、上方のリング部162をハウジング150の貫通穴152に挿入し、下方のリング部161をハウジング150の凹部154に嵌め込んだ状態で、ハウジング150にセットすることができる。また、クランプリング160の中央には上下方向に貫通する貫通穴163が形成されている。図13に示すように、貫通穴163は、クランプリング160の下面に近い位置で小径になるように段差を有する形状である。クランプリング160の下面における貫通穴163の外側には、下方に突出する2本の円柱状の固定部材164が形成されている。
【0064】
位置指示駆動体170は、樹脂製の略円柱形状の操作部171と、操作部171の下方に接続される薄型の略ドーム形状の導電性弾性体172とを接続した略ハット形状を有する。また、導電性弾性体172の中心下方には、下方にゆるやかに弧を描く球面部173が形成されている。位置指示駆動体170は、第一の実施の形態に係るポインティングデバイス1の構成部材の一つである位置指示駆動体60と類似しており、操作部171が操作部61と比べて縦長である点を除いて共通の形態を有する。したがって、ここでは、位置指示駆動体170の詳細な構成は省略する。位置指示駆動体170の操作部171の外径は、クランプリング160の貫通穴163の上方側の径より十分に小さい。また、導電性弾性体172は、位置指示駆動体170をクランプリング160の下方から挿入してセットした状態では、導電性弾性体172の外周部がクランプリング160の下面に近い段差の部分で上方への移動および回転ができないように固定される。
【0065】
PCB180は、ハウジング150のねじ穴153およびケース板120のねじ穴122と合う位置に、4個のねじ穴181を有する。図13に示すように、ねじ190は、PCB180の下から、ねじ穴181、ねじ穴153、ねじ穴122の順にねじこまれている。また、PCB180には、クランプリング160の下面から下方に突出する2本の固定部材164を挿入可能な2個の貫通穴182が形成されている。ただし、PCB180の厚さが固定部材164の長さよりも厚くして、貫通穴182に代えて、PCB180の下方まで貫通しない凹部を形成するようにしても良い。また、PCB180には、第一の実施の形態に係るポインティングデバイス1の構成部材の一つであるPCB70上面に形成される複数の電極74,75,76,77,78,79と同じ電極が形成されている。
【0066】
上記の構造のアクチュエータキャップ110、ケース板120、スライド部材130、リング状シート140、ハウジング150、クランプリング160、位置指示駆動体170およびPCB180を順に組み合わせると、位置指示駆動体170の操作部171の頭部はスライド部材130の凹部134内に覆われ、スライド部材130の円板132の下面とリング状シート140の上面との間に隙間t1(例えば、t1=0.1mm)が形成され、位置指示駆動体170の球面部173とPCB180の上面(正確には、電極面)との間に隙間t2(例えば、t2=0.1mm)が形成される。アクチュエータキャップ110をPCB180の面に平行な面内で自在に操作したときに、ハウジング150、クランプリング160、位置指示駆動体170は、PCB180に対して回転せず、スライド部材130がアクチュエータキャップ110の動きに合わせて駆動される。スライド部材130が駆動されると、その裏側の凹部134に頭部を覆われる操作部171が駆動される。隙間t1および隙間t2が存在するため、球面部173がPCB180上のリング形状の電極74とリング形状の電極75の両方に接触するまでアクチュエータキャップ110を下方に押し込む必要がある。当該接触後には、スライド部材130の円板132がリング状シート140に接触して隙間t1が無くなるので、それ以降の下方への押圧ができなくなる。すなわち、リング状シート140およびその下方のハウジング150は、位置指示駆動体170の外側にあって、位置指示駆動体170の球面部173がリング形状の電極75に接触後、位置指示駆動体170への押圧方向の力を受けて、球面部173からPCB180への押圧を制限する押圧制限部材に相当する。また、操作部171の下方に接続される導電性弾性体172は屈曲自在に変形できるので、操作部171の下方に位置する球面部173は、PCB180の上面に形成される複数の電極の領域を自在に動く。第一の実施の形態と同様、t1=t2が理想的であるが、t1>t2であっても良く、t1<t2とすることも可能である。
【0067】
図14は、第二の実施の形態に係るポインティングデバイスの構成上の変形例を示す断面図である。
【0068】
図14に示すポインティングデバイス100aが図13に示すポインティングデバイス100と異なる点は、アクチュエータキャップ110を操作していない状態において、スライド部材130がリング状シート140に接していて隙間t1が存在せず、かつ位置指示駆動体170の球面部173がPCB180の上面(正確には、リング形状の電極74とリング形状の電極75の両方)に接していて隙間t2が存在していない点である。それ以外の構成は、前述のポインティングデバイス100と同じ構成である。
【0069】
ポインティングデバイス100aでは、アクチュエータキャップ110を操作していない状態で、すでに位置指示駆動体170の下方への押し込みがなされているので、先に述べたポインティングデバイス1aと同様、球面部173とリング形状の電極75への接触面積がより同一になる。また、非操作時において、矩形電極76,77,78,79とリング形状の電極74との間で電流が流れているが、球面部173がリング形状の電極74の中央の穴74aに接触し、リング形状の電極74には非接触となるようなわずかな押し込みしかされないように構成することもできる。このような構成にすれば、待機状態での消費電力を低減することができる。
【0070】
以上、本発明のポインティングデバイスの好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々変形実施可能である。
【0071】
例えば、図15に示すように、PCB上に配置される複数の電極の内、電位測定用の電極を、リング形状の電極75(さらにその穴内部にリング形状の電極74がある場合も含む)とせずに、1つの円形電極75aとしても良い。かかる円形電極75aを採用した場合においても、球面部63(または球面部173)は、領域A、Bのようなほぼ円形の領域にて円形電極75aと接触可能である。また、図示しないが、アース用の電極、電圧印加用の電極を、矩形電極76,77,78,79とせずに、円形等の矩形以外の形状の電極とすることもできる。
【0072】
また、上述の各実施の形態では、アクチュエータキャップ10,110から下方への押圧は、球面部63,173がPCB70,180の上面に接触後、リング状シート40,140と、その下方のクランプリング50あるいはハウジング150に加わり、位置指示駆動体60,170に加わらないように制限されている。しかし、アクチュエータキャップ10とスライド部材30との間にハウジング20の天面をしっかりと挟み、あるいはアクチュエータキャップ110とスライド部材130の円板132との間にケース板120をしっかりと挟む構成を採用し、アクチュエータキャップ10,110から下方への押圧をハウジング20あるいはケース板120にて受けるようにすることもできる。このような構成にすると、リング状シート40,140と、その下方のクランプリング50あるいはハウジング150が上方からの力を受ける構成にしなくても、位置指示駆動体60,170にその押圧がかからない。
【0073】
リング形状の電極75はリング形状の1個の電極に限定されない。例えば、複数の電極をリングの形状になるように配置して、リング形状の電極75を形成しても良い。また、リング状シート40,140は、必須の構成ではなく、スライド部材30,130がPCB70,180の面と平行の面内を自在にスライドできる限り、その有無は問わない。さらに、PCB70,180は、ポインティングデバイス1,1a,100,100aにとって必須の構成ではなく、PCB70,180を取り付けていない状態でポインティングデバイス1,1a,100,100aを製造およびその後に流通させるようにしても良い。また、スライド部材30,130の凹部34,134に形成される外周凹部36,136は、必須の構成ではない。操作部61,171の頭部の形状に応じて、当該操作部61,171の動作を阻害しないような形状であれば、外周凹部36,136の有無あるいはその形状は問わない。さらに、少なくともクランプリング50あるいはハウジング150が押圧制限部材である場合には、アクチュエータキャップ10,110は必須の構成ではない。したがって、スライド部材30,130の上部をそのまま上方に延ばした形態とし、その先端を操作するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、電子機器の操作手段として利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 ポインティングデバイス
1a ポインティングデバイス
20 ハウジング(押圧制限部材の一部)
30 スライド部材
34 凹部
36 外周凹部
40 リング状シート(押圧制限部材の一部)
50 クランプリング(押圧制限部材の一部)
60 位置指示駆動体
62 導電性弾性体
63 球面部
68 外周底面(導電部)
70 印刷回路基板
74 リング形状の電極(校正用の電極)
74a 穴
74b 円形の電極(校正用の電極)
75 リング形状の電極(電位測定用の電極)
75a 円形電極(電位測定用の電極)
76,77,78,79 矩形電極(アース用の電極、電圧印加用の電極)
100 ポインティングデバイス
100a ポインティングデバイス
120 ケース板(押圧制限部材の一部)
130 スライド部材
134 凹部
136 外周凹部
140 リング状シート(押圧制限部材の一部)
150 ハウジング(押圧制限部材の一部)
170 位置指示駆動体
172 導電性弾性体
173 球面部
180 印刷回路基板
t1 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アース用の電極と、電圧印加用の電極と、上記アース用の電極と上記電圧印加用の電極との間の位置における電位を測定するための電位測定用の電極とを互いに非接触状態で配置する印刷回路基板上に配置され、その駆動の際に上記電位測定用の電極上への接触位置に基づいて指示位置を決定する位置指示駆動体を備えるポインティングデバイスであって、
上記位置指示駆動体は、その下方に、上記アース用の電極および上記電圧印加用の電極に接触する導電材料から成る導電部と、導電材料から成り、その駆動時に上記電位測定用の電極に接触可能である下方突出形状の球面部と、を有する導電性弾性体を備え、その球面部が上記電位測定用の電極の上方になるように上記印刷回路基板上に配置され、
上記位置指示駆動体の上方にその頭部を覆うように配置され、上記印刷回路基板の平面と平行な面内をスライドさせて操作すると、上記位置指示駆動体を駆動できるスライド部材と、
上記位置指示駆動体の外側にあって、上記位置指示駆動体の上記球面部が上記電位測定用の電極に接触後、上記位置指示駆動体への押圧方向の力を受けて、上記球面部から上記印刷回路基板への押圧を制限する押圧制限部材と、
を備えることを特徴とするポインティングデバイス。
【請求項2】
前記位置指示駆動体は、それを駆動していない状態では、前記球面部が前記電位測定用の電極と非接触になるように、前記印刷回路基板上に配置され、
前記球面部が前記電位測定用の電極に接触するまでの間、前記スライド部材から前記位置指示駆動体に押圧を与えることができるように、前記押圧制限部材と前記スライド部材との間に隙間を有することを特徴とする請求項1に記載のポインティングデバイス。
【請求項3】
前記電位測定用の電極は、その中央に穴を有するリング形状の電極であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポインティングデバイス。
【請求項4】
前記電位測定用の電極の中央の穴に、前記電位測定用の電極と非接触にて、校正用の電極を形成していることを特徴とする請求項3に記載のポインティングデバイス。
【請求項5】
前記校正用の電極は、リング形状の電極であることを特徴とする請求項4に記載のポインティングデバイス。
【請求項6】
前記スライド部材における前記位置指示駆動体の頭部を覆う凹部の上面は、その中央部より上方に窪む外周凹部を有し、
その外周凹部は、前記スライド部材をスライドした際に、前記位置指示駆動体の頭部の移動を阻害しないように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポインティングデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−59975(P2011−59975A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208852(P2009−208852)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】