説明

ポジションセンサ

【課題】回転操作及びプッシュ操作によって任意のポジションを指示可能で、また、安定して任意のポジションを検出するポジションセンサを提供する。
【解決手段】回転プッシュスイッチ1は、支持部4の先端にカウンター磁石5を有し、カウンター磁石5から発生する磁界を検出するMRセンサ6を備えている。MRセンサ6は、フルブリッジ回路を有する第1〜第4のMRセンサ部61〜64を備えており、十字の各頂点にそれぞれ配置されている。MRセンサ6は、対向する第1及び第3のMRセンサ部61、63によってプッシュ操作を検出し、対向する第2及び第4のMRセンサ部62、64によって回転操作を検出し、判断部8は、それぞれの出力電圧V1〜V8に基づいて指示されたポジションを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作及びプッシュ操作によって指示された任意のポジションを検出するポジションセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、シフトレバーの変位に連動して変位するマグネット板と、対面して配置された板状の磁性体である一対の磁性板を有する第1のヨーク及び第2のヨークと、マグネット板の磁石から生じる磁束密度の変化を計測するための磁気検出素子とを備えた位置センサが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このマグネット板は、非磁性体である非磁性部分と、磁性体である磁石体とが、周方向に交互に配置された略扇状の板状部材からなっている。また、第1及び第2のヨークは、所定の間隙である第1及び第2の隙間を設けた状態で一対の磁性板を保持する第1及び第2のブリッジ部を備えている。
【0004】
この位置センサによると、シフトレバーの変位によってマグネット板が変位し、第1又は第2のヨークに収容される磁石体の数に応じて磁気検出素子で検出される磁束密度が段階的に変化するので、検出された磁束密度に基づいたシフトレバーのシフトポジションを検出することが可能になる。
【特許文献1】特開2007−40722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の位置センサによると、磁気検出素子で検出される磁束密度の変化の幅が小さく、外部磁場の影響によって誤作動する可能性があった。
【0006】
従って本発明の目的は、回転操作及びプッシュ操作によって任意のポジションを指示可能で、また、安定して任意のポジションを検出することができるポジションセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、回転軸を中心に回転操作、及び前記回転軸の平行方向にプッシュ操作が可能に設置され、前記回転操作に基づく任意の回転ポジション、及び前記プッシュ操作に基づく前記回転軸方向の任意の位置ポジションを指示する操作部と、前記操作部に設けられ、前記回転軸に対して垂直方向に磁化されたカウンター磁石と、基板を有し、2つのハーフブリッジ回路を有する第1〜第4のMRセンサ部を十字の各頂点にくるよう前記基板上に配置し、前記回転操作及び前記プッシュ操作に基づいた前記カウンター磁石の磁界の方向の変化を前記ハーフブリッジ回路毎に第1〜第8の出力電圧として出力する磁気センサと、前記磁気センサから出力された前記第1〜第8の出力電圧に基づいて前記操作部の操作によって指示された前記任意の回転ポジション及び前記任意の位置ポジションを検出する検出部と、を備えることを特徴とするポジションセンサを提供する。
【0008】
上記した構成によれば、回転操作及びプッシュ操作によって任意のポジションを指示可能で、また、安定して任意のポジションを検出することができる。
【発明の効果】
【0009】
このような構成によれば、回転操作及びプッシュ操作によって任意のポジションを指示可能で、また、安定して任意のポジションを検出するポジションセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明のポジションセンサの実施の形態を図面を参考にして詳細に説明していく。
【0011】
[実施の形態]
(回転プッシュスイッチ1の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る回転プッシュスイッチの概略構成図であり、図2は、本発明の実施の形態に係るMRセンサの概略図である。本発明におけるポジションセンサを図示しない車両に搭載された回転プッシュスイッチ1として用いた場合について説明する。図2は、回転軸を基板上に投影した座標軸をx軸とし、x軸に垂直な座標軸をy軸とする。座標原点は、第1〜第4のMRセンサ部61〜64の重心と一致するものとする。また、図2は、回転操作される前の状態を表している。
【0012】
回転プッシュスイッチ1は、円柱形を有し、回転軸上に設けられた支持部4を介して矢印A及びB方向に回転操作可能で、かつ、矢印C方向にプッシュ操作可能に設けられたノブ2と、矩形状を有してノブ2に設けられ、操作者が手で掴むことで、ノブ2に対して回転操作及びプッシュ操作を行うことができるハンドル3と、ノブ2の回転軸と中心軸を一致させてノブ2に対して垂直方向に伸び、先端に後述するカウンター磁石5が設けられた支持部4と、によって操作部を形成し、さらに、後述するカウンター磁石5と、仮想の十字の各頂点に後述する第1〜第4のMRセンサ部61〜64を配置されたMRセンサ6と、を備えて概略構成されている。また、回転プッシュスイッチ1から出力された後述する出力電圧は、検出部としての判断部8に送信され、判断部8は、受信した出力電圧に基づいてポジションを算出し、算出した結果を表す信号を車両のECU(Electoronic Control Unit)9に送信し、ECU9は、受信したポジションを示す信号に基づいて回転プッシュスイッチ1に関連付けられた電子機器等の制御を行う。なお、判断部8ではなく、ECU9が、送信された信号に基づいてポジションを算出する構成としても良く、これに限定されない。
【0013】
(カウンター磁石5の構成)
カウンター磁石5は、一例として、円柱形状を有し、円の中心が回転軸と一致するように設けられており、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石等の永久磁石で形成されている。また、カウンター磁石5は、S極51側がMRセンサ6に対向して配置されており、図2に示すように、後述する4つのMRセンサの重心から、0.5mmx軸のマイナス側にオフセットして設置されている。カウンター磁石5は、プッシュ操作によってx軸に平行に−0.5mmから0.5mmまで移動可能であるとする。なお、カウンター磁石5の形状は、これに限定されず、回転軸に対して垂直方向に磁化された縦に長い磁石を支持部4で支持する構成としても良く、また、N極50とS極51を入れ替えた構成としても良い。
【0014】
また、カウンター磁石5は、MRセンサ6の検出面(後述するMR素子が配置される面)に対して中心に向かう磁界を印加している。磁気ベクトル7は、MRセンサ6の検出面における磁界の磁力線の向きと大きさを可視化したものである。
【0015】
(MRセンサ6の構成)
図3は、本発明の実施の形態に係るMRセンサの等価回路図であり、図4は、本発明の第1の実施の形態に係るMR素子の概略図である。以下における角度θとは、各第1〜第4のMRセンサ部61〜64の各第1〜第4のMR素子60a〜60dの長さ方向からの角度を示すものとする。
【0016】
MRセンサ6は、NiFeパーマロイ、NiCo及びFeCo合金等の強磁性金属を主成分とした薄膜で作成された第1〜第4のMR素子60a〜60dを有する第1〜第4のMRセンサ部61〜64が、基板60上に、それぞれが向き合って形成されている。
【0017】
MR素子は、図4に示す第2のMR素子60bを例に取ると、折返し形状を備えた複数の感磁部6Aを有している。横軸をx軸、縦軸をy軸とし、磁気ベクトル7が、感磁部6Aに対して垂直(θ=0)に横切るとき、磁気抵抗値は最小となり、磁気ベクトル7が、感磁部6Aに対して平行(θ=90°)に横切るとき、磁気抵抗値は最大となる。第1及び第3〜第4のMR素子60a、60c、60dは、第2のMR素子60bと同じ構成及び機能を有しているので、説明は省略する。
【0018】
第1のMRセンサ部61は、図3に示すように、第1のMR素子60aと第2のMR素子60bとが直交し、また、カウンター磁石5のプッシュ操作方向(x軸に平行な方向)に対して第2のMR素子60bの長さ方向が平行になるように配置され、また、第1のMR素子60aと第2のMR素子60bとによってハーフブリッジ回路が形成されている。第1のMR素子60aと第2のMR素子60bの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて第1の出力電圧としての出力電圧V1として出力される。また、第1のMRセンサ部61は、第3のMR素子60cと第4のMR素子60dとが直交し、それぞれが、プッシュ操作方向(x軸に平行な方向)に対して45°になるように配置されている。第3のMR素子60cと第4のMR素子60dとによってハーフブリッジ回路が形成され、その中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて第2の出力電圧としての出力電圧V2として出力される。
【0019】
第2のMRセンサ部62は、図3に示すように、第1のMRセンサ部61と同じ方向に第1〜第4のMR素子60a〜60dが配置され、第1のMR素子60aと第2のMR素子60bの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて第3の出力電圧としての出力電圧V3として出力される。また、第3のMR素子60cと第4のMR素子60dの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて第4の出力電圧としての出力電圧V4として出力される。
【0020】
第3のMRセンサ部63は、図3に示すように、第1のMRセンサ部61の第1のMR素子60aと第2のMR素子60bとで形成されたハーフブリッジ回路を時計周りに90°回転させて配置されている。第3のMRセンサ部63の第2のMR素子60bと第1のMR素子60aの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて第5の出力電圧としての出力電圧V5として出力される。また、第3のMRセンサ部63の第3のMR素子60cと第4のMR素子60dは、第1〜第2のMRセンサ部61、62と同様の方向に配置されている。第3のMR素子60cと第4のMR素子60dの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて第6の出力電圧としての出力電圧V6として出力される。
【0021】
第4のMRセンサ部64は、図3に示すように、第3のMRセンサ部64の第1〜第4のMR素子60a〜60dと同じ方向に配置され、第4のMRセンサ部64の第2のMR素子60bと第1のMR素子60aの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて第7の出力電圧としての出力電圧V7として出力される。また、第4のMRセンサ部64の第3のMR素子60cと第4のMR素子60dの中点電位は、それぞれの磁気抵抗値の比に基づいて第8の出力電圧としての出力電圧V8として出力される。
【0022】
第1〜第4のMRセンサ部61〜64は、一例として、図3に示すように、印加電圧Vccが入力される入力端子65と、図示しない接地回路と接続されるアース端子66と、を共通して有している。
【0023】
また、回転操作によるポジションの検出には、第2及び第4のMRセンサ部62、64が用いられ、プッシュ操作によるポジションの検出には、第1及び第3のMRセンサ部61、63が用いられ、それぞれカウンター磁石5が印加する磁界の方向が相反する基板60上の位置に配置されている。
【0024】
なお、本実施の形態において、第1〜第4のMRセンサ部61〜64は、第1〜第4のMR素子60a〜60dを用いたフルブリッジ回路を有して構成されるが、フルブリッジ回路の代わりにハーフブリッジ回路を第1〜第4のMRセンサ部61〜64の位置に配置するようにしても良い。また、同じ構成を有するMRセンサを4つの位置に配置しても良い。
【0025】
(判断部8について)
判断部8は、対向する第1及び第3のMRセンサ部61、63から出力される出力電圧V1、V2、V5及びV6のうち、位相が90°異なる出力電圧V1、V5と、位相が等しい出力電圧V2、V6と、に基づいて角度変換を行い、また、対向する第2及び第4のMRセンサ部62、64から出力される第3、第4、第7及び第8の出力電圧V3、V4、V7及びV8のうち、位相が90°異なる出力電圧V3、V7と、位相が等しい出力電圧V4、V8と、に基づいて角度変換を行うことによって任意のポジションを判断する。
【0026】
具体的には、判断部8は、プッシュ操作を検出する第1及び第3のMRセンサ部61、63から出力される出力電圧V1、V2、V5及びV6に基づいて、一例として、X1(=V2―V6)、X2(=V1−V5)に角度変換を行う。判断部8は、X1及びX2に基づいて、一例として、[Arctan(X2/X1)]/2を算出し、磁気ベクトル7のy軸との角度に基づいてプッシュ操作におけるストロークを算出する。
【0027】
また、判断部8は、回転操作を検出する第2及び第4のMRセンサ部62、64から出力される出力電圧V3、V4、V7及びV8に基づいて、一例として、Y1(=V4−V8)、Y2(=V3−V7)に角度変換を行う。判断部8は、Y1及びY2に基づいて、一例として、[Arctan(Y2/Y1)]/2を算出し、回転操作における回転角度を算出する。磁気抵抗値は、磁気ベクトル7と感磁部6Aの角度θに依存するが、角度θが同じときの向きの正逆には依存しないので、角度変換した値を2で割っている。
【0028】
上記のように、第1〜第4のMRセンサ部61〜64の出力電圧を組み合わせて角度変換し、また、各ハーフブリッジ回路の設置角度、すなわち出力電圧の位相を変えて設置しているのは、設置位置のばらつきによる検出誤差、温度による磁気抵抗値の変化に起因する誤差、感度の差による誤差、を抑制するためである。判断部8によって角度変換された関数は、円を表す関数となり、それらの誤差は、円の半径の大小に相当しているので、角度に影響しない。よってMRセンサ6は、上記の構成を有することで、安定してポジションを検出することができる。
【0029】
回転プッシュスイッチ1は、回転操作による回転角度によって任意のポジションを割り当て、さらにプッシュ・プル操作によってオン・オフ等を割り当てて使用されても良いが、一例として、ある数値を連続的に変化させる用途に使用しても良い。
【0030】
(動作)
以下に、本発明の実施の形態に係る回転プッシュスイッチ1の動作について図1〜図4を参照し、図5〜図8に従って詳細に説明する。
【0031】
(回転操作による回転ポジションの検出動作)
図5(a)は、本発明の実施の形態に係るカウンター磁石の上面図であり、図5(b)は、本発明の実施の形態に係るMRセンサの上面図であり、図6は、本発明の実施の形態に係るカウンター磁石の回転角度と角度変換された角度の関係を表した図である。操作者が、ハンドル3、ノブ2及び支持部4を介してカウンター磁石5を矢印A方向に45°回転操作した場合について説明する。図6は、横軸がカウンター磁石5の回転角度、縦軸は角度変換された角度を示しており、図中の「PUSH」とは、プッシュ操作を検出する第1及び第3のMRセンサ部61、63から出力される出力電圧に基づいたグラフを表しており、「回転」とは、回転操作を検出する第2及び第4のMRセンサ部62、64から出力される出力電圧に基づいたグラフを表している。このとき、図3における印加電圧Vccとして5VをMRセンサ6に印加し、カウンター磁石5の中心点が、x=−0.5mmの位置にあるとしてシミュレーションした結果に基づいて説明する。第1〜第4のMRセンサ部61〜64を横切る磁気ベクトル7は、x及びy軸から反時計回りを正として表す。
【0032】
回転操作されていない図2の状態のとき、MRセンサ6上におけるカウンター磁石5の磁界は、x軸上のx=−0.5mm付近が強いので、第1のMRセンサ部61には、y軸から約−40°に傾いた磁気ベクトル7が、第2のMRセンサ部62には、x軸に平行な磁気ベクトル7が、第3のMRセンサ部63には、y軸から約40°に傾いた磁気ベクトル7が、第4のMRセンサ部64には、x軸に平行な磁気ベクトル7が、横切っている。
【0033】
上記の状態から、カウンター磁石5が図5に示す矢印A方向に回転操作されると、MRセンサ6を横切る磁気ベクトル7は、図2における状態から図5(b)のように変化する。これは、カウンター磁石5が回転することによって、磁界の強い場所が、第3のMRセンサ部63側に移動するからである。
【0034】
このとき、第1及び第3のMRセンサ部61、63の磁気ベクトル7は、回転操作前後において方向は殆ど変化しないので、図6に示すように、出力電圧に大きな変化は無い。一方、第2及び第4のMRセンサ部62、64を横切る磁気ベクトル7の方向は、図5(b)に示すように、x軸に平行だった状態から大きく変化する。
【0035】
判断部8は、第2及び第4のMRセンサ部62、64から出力された出力電圧Y1及びY2に基づいて上記した角度変換を行う。
【0036】
回転プッシュスイッチ1は、図6に示すように、プッシュ操作の検出に用いる第1及び第3のMRセンサ部61、63から得られた結果と、回転操作の検出に用いる第2及び第4のMRセンサ部62、64から得られた結果から、クロストークが少ないので、カウンター磁石5の回転操作による回転ポジションを正確に検出することができる。
【0037】
判断部8は、得られた結果をECU9に送信し、ECU9は、送信された信号に基づいて所定の処理を行う。
【0038】
(プッシュ操作による位置ポジションの検出動作)
図7(a)は、本発明の実施の形態に係るプッシュ操作前のMRセンサの上面図であり、図7(b)は、本発明の実施の形態に係るプッシュ操作後のMRセンサの上面図であり、図8は、本発明の実施の形態に係るカウンター磁石の回転角度と角度変換された角度の関係を表した図である。カウンター磁石5の中心点が、プッシュ操作によってx=―0.5mmからx=+0.5mmに移動したとしてシミュレーションした結果に基づいて説明する。
【0039】
カウンター磁石5が、図1に示す矢印C方向にプッシュ操作されると、MRセンサ6を横切る磁気ベクトル7は、図7(a)の状態から図7(b)のように変化する。これは、カウンター磁石5がx軸に平行に移動することによって、磁界の強い場所が、第4のMRセンサ部64から第2のMRセンサ部62側に移動するからである。
【0040】
このとき、第2及び第4のMRセンサ部62、64には、x軸に平行な方向の磁気ベクトル7が横切る。この磁気ベクトル7は、プッシュ操作前後において方向は変化しないので、第2及び第4のMRセンサ部62、64が出力する出力電圧に大きな変化がなく、図8に示すように、ほぼ一定値となる。
【0041】
一方、第1及び第3のMRセンサ部61、63を横切る磁気ベクトル7の方向は、第1のMRセンサ部61においては、y軸から約−40°に傾いていた磁気ベクトル7が約40°に、第3のMRセンサ部63においては、y軸から約40°に傾いていた磁気ベクトル7が約−40°に、と大きく方向が変化する。
【0042】
判断部8は、第2及び第4のMRセンサ部62、64から出力された出力電圧X1(=V2−V6)、X2(=V1−V5)に基づいて上記した角度変換を行うので、カウンター磁石5のプッシュ操作による位置ポジションを検出することができる。
【0043】
回転プッシュスイッチ1は、図8に示すように、プッシュ操作の検出に用いる第1及び第3のMRセンサ部61、63から得られた結果と、回転操作の検出に用いる第2及び第4のMRセンサ部62、64から得られた結果から、クロストークが少ないので、カウンター磁石5のプッシュ操作によるポジションを正確に検出することができる。
【0044】
判断部8は、得られた結果をECU9に送信し、ECU9は、送信された信号に基づいて所定の処理を行う。
【0045】
なお上記の結果より、回転操作とプッシュ操作を組み合わせることも可能である。また、同様に、一例として、カウンター磁石5の中心を座標原点に一致させ、プッシュ及びプル操作に基づく位置ポジションを検出するようにしても良く、これに限定されない。
【0046】
(効果)
上記した実施の形態によると、回転プッシュスイッチ1は、回転操作及びプッシュ操作に基づく回転ポジション及び位置ポジションをクロストークが少ない状態で検出することができるので、任意のポジションを安定して検出することができる。また、回転プッシュスイッチ1は、非接触でポジションの指示等を行うことができるので、耐久性が高い。
【0047】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転プッシュスイッチの概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るMRセンサの概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るMRセンサの等価回路図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るMR素子の概略図である。
【図5】(a)は、本発明の実施の形態に係るカウンター磁石の上面図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係るMRセンサの上面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るカウンター磁石の回転角度と角度変換された角度の関係を表した図である。
【図7】(a)は、本発明の実施の形態に係るプッシュ操作前のMRセンサの上面図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係るプッシュ操作後のMRセンサの上面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るカウンター磁石の回転角度と角度変換された角度の関係を表した図である。
【符号の説明】
【0049】
1…回転プッシュスイッチ、2…ノブ、3…ハンドル、4…支持部、5…カウンター磁石、6…MRセンサ、6A…感磁部、7…磁気ベクトル、8…判断部、9…ECU、50…N極、51…S極、60…基板、60a〜60d…第1〜第4のMR素子、61〜64…第1〜第4のMRセンサ部、65…入力端子、66…アース端子、V1〜V8…出力電圧、Vcc…印加電圧、θ…角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転操作、及び前記回転軸の平行方向にプッシュ操作が可能に設置され、前記回転操作に基づく任意の回転ポジション、及び前記プッシュ操作に基づく前記回転軸方向の任意の位置ポジションを指示する操作部と、
前記操作部に設けられ、前記回転軸に対して垂直方向に磁化されたカウンター磁石と、
基板を有し、2つのハーフブリッジ回路を有する第1〜第4のMRセンサ部を十字の各頂点にくるよう前記基板上に配置し、前記回転操作及び前記プッシュ操作に基づいた前記カウンター磁石の磁界の方向の変化を前記ハーフブリッジ回路毎に第1〜第8の出力電圧として出力する磁気センサと、
前記磁気センサから出力された前記第1〜第8の出力電圧に基づいて前記操作部の操作によって指示された前記任意の位置ポジション及び前記任意の回転ポジションを検出する検出部と、
を備えることを特徴とするポジションセンサ。
【請求項2】
前記磁気センサは、前記第1及び第3のMRセンサ部、及び前記第2及び第4のMRセンサ部が対向し、前記プッシュ操作に基づく前記磁界の方向の変化を前記第1及び第3のMRセンサ部、前記回転操作に基づく前記磁界の方向の変化を前記第2及び第4のMRセンサ部、によって検出することを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサ。
【請求項3】
前記検出部は、対向する前記第1及び第3のMRセンサ部から出力される第1、第2、第5及び第6の出力電圧のうち、位相が90°異なる前記第1及び第5の出力電圧と、位相が等しい前記第2及び第6の出力電圧と、に基づいて角度変換を行い、また、対向する前記第2及び第4のMRセンサ部から出力される第3、第4、第7及び第8の出力電圧のうち、位相が90°異なる前記第3及び第7の出力電圧と、位相が等しい前記第4及び第8の出力電圧と、に基づいて角度変換を行うことによって前記任意の位置ポジション及び前記任意の回転ポジションを検出することを特徴とする請求項1に記載のポジションセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−140785(P2009−140785A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316632(P2007−316632)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】