説明

ポックスウイルスおよびポックスウイルス組成物の製造方法

本発明は、ポックスウイルス、更に詳細には細胞外エンベロープウイルスを含んでなる組成物および医薬組成物に関する。本発明は、ポックスウイルスの産生方法およびそれにより得られたポックスウイルスにも関する。更に本発明は薬剤を製造するための該ポックスウイルスおよび該組成物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、ポックスウイルス、更に詳細には細胞外エンベロープウイルスを含んでなる組成物および医薬組成物に関する。本発明は、ポックスウイルスの産生方法およびそれにより得られたポックスウイルスにも関する。更に、本発明は、薬剤を製造するための前記ポックスウイルスおよび前記組成物の使用にも関する。
【0002】
新たな脅威(トリインフルエンザ、西ナイルウイルス、炭疽菌など)並びに遺伝子療法の発展により、予防または治療目的でのポックスウイルスの産生および精製の必要性が増してきている。これは、哺乳類ウイルスアンカラ(Mammalian Virus Ankara(MVA))の場合に顕著である。このポックスウイルスは当初は、天然痘に対する免疫欠損患者に予防接種する目的で用いられたが、現在は遺伝子療法の目的でのベクターとしても用いられている。例えば、MVAは、患者を腫瘍発現Mudから予防接種するためのMUC 1遺伝子のベクターとして用いられている(Scholl et al., 2003, J Biomed Biotechnol., 2003, 3, 194-201)。遺伝子コードHPV抗原を有するMVAは、卵巣癌の治療処置のためのベクターとしても用いられる。
【0003】
ポックスウイルスは、形態が異常であり、DNAゲノムが大きく且つ複製の細胞質部位を特徴とする複雑なエンベロープウイルスの群である。コペンハーゲンワクシニアウイルス(VV)株(Goebel et al., 1990, Virol. 179, 247-266および517-563; Johnson et al., 1993, Virol. 196, 381-401)および修飾ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)株 (Antoine et al., 1998, Virol. 244, 365-396)などポックスウイルス科の幾つかの菌株のゲノムのゲノムマッピングおよび配列解析がなされている。VVは、約200のタンパク質であって、その中の約100がウイルス集合体に関与しているものをコードする約192kbの二本鎖DNAゲノムを有する。MVAは、ニワトリ胚繊維芽細胞でのワクシニアウイルスのアンカラ株の500を上回る連続継代によって生成した高度に弱毒化したワクシニアウイルス株である(Mayr et al., 1975, Infection 3, 6-16)。MVAウイルスは、コレクシオ・ナシオナル・ドゥ・キュルテュール・ドゥ・ミクロオルガニスム(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM))に寄託番号N602 I−721で寄託された。MVAゲノムの完全配列の決定およびコペンハーゲンVVゲノムとの比較によりウイルスゲノムで起こった変化を正確に同定し、断片化ORF(オープン・リーディング・フレーム)へ誘導する7個の欠失(I-VII)および多数の突然変異を定義することができる(Antoine et al., 1998, Virology 244, 365-396)。
【0004】
エンベロープウイルスの細胞内摂取の天然経路は、ウイルス表面に露出したウイルスポリペプチドの細胞受容体への結合およびウイルスゲノムを感染細胞の細胞質へ放出するウイルスと細胞膜との融合機構を含む一連の工程を含む。
【0005】
しかしながら、ポックスウイルスの特別な場合には、正確なデリバリー経路解析は細胞内成熟ウイルス(IMV)と細胞外エンベロープウイルス(EEV)と呼ばれる2つの形態学的に異なる形態の感染性ウイルスの存在によって複雑化している。IMV形態は、特に、ウイルスコア周囲の単脂質エンベロープを特徴としており、主として感染細胞の細胞質に局在しているが、感染細胞のリーシスの後に細胞外に放出される可能性がある。IMV脂質エンベロープの表面に露出している天然ポリペプチドの多くは同定されており、例えば、それぞれA27L遺伝子(Rodriguez et al., 1985, J. Virol. 56, 482-488; Rodriguez et Estaban, 1987, J. Virol. 61, 3550-3554)およびA17L遺伝子によってコードされるp14kDaおよびp21kDaタンパク質、並びにL1R、A14L、D8L、A9L(Yeh et al., 2000, J. Virol. 74, 9701-9711)、E10R(Senkevich et al., 2000, Virol. 5, 244-252)およびH3L遺伝子によってコードされるタンパク質である。IMVと比較して、EEV形態はトランス−ゴルジ体網状構造嚢から得られる追加の外脂質膜エンベロープ(二重脂質層)を有する。それは、感染細胞の外側に放出されるウイルス形態に相当する。EEV表面膜エンベロープは、例えば、コードされたB5R、A34Rおよび血球凝集素(HA)遺伝子生成物のようなIMV表面にはない約10個のタンパク質を示す。上記IMVおよびEEV形態の共存は、ワクシニア株のほとんど(例えば、コペンハーゲンおよびMVA株)並びにトリポックスウイルスのような他のポックスウイルス(Boulanger et al., 2000, J. Gen. Virol. 81 , 675-687)について報告されている。
【0006】
IMVは環境中で極めて安定であるので、宿主−宿主伝達に優れた役割を果たしている(Hooper et al. Virology, 2003, 306, 181-185)。これに関して、IMV粒子は遺伝子療法の目的に好ましいベクターとなっている。この理由で、利用可能なポックスウイルス精製方法はパッケージング細胞(すなわちIMV)を処理するだけであるが、培地に落ちたEEV粒子は廃棄される。IMV表面よりもその表面により多くの種類のポリペプチドが存在するので、標的感染特異性を有する組換えEEVの使用が既に提案されている(米国特許第20050208074号明細書; Galmiche et al. J. Gen. Virol., 1997, 78, 3019-3027)。しかしながら、この特定の使用についても、IMV粒子が特に好ましい(米国特許第20050208074号明細書,第4頁段落29)。
【発明の概要】
【0007】
本発明者は、標的感染特異性を持たないEEVが、驚くべきことに、IMVと比較して一層大きな治療および/または予防効力を有することを見出した。
【0008】
これに関して、本発明は、ポックスウイルス、好ましくは組換えポックスウイルスであって、標的感染特異性を持たないEEVであることを特徴とするポックスウイルスに関する。本発明は、組成物、好ましくは標的感染特異性を持たない組換えEEVを含んでなる医薬組成物にも関する。
【発明の具体的説明】
【0009】
本出願明細書全体中で用いられる単数形の用語は、特に断らない限り、引用した成分または工程を「少なくとも1つの」、「少なくとも第一の」、「1以上の」または「複数の」を意味する。例えば、「細胞」という用語は、その混合物などの複数の細胞を包含する。
【0010】
本明細書で用いられる「および/または」という用語は、「および」、「または」、および「上記用語によって結合される要素の総てのまたは任意の他の組合せ」の意味を包含する。
【0011】
本明細書で用いられる「約」または「およそ」という用語は、所定の値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、更に好ましくは5%以内であることを意味する。
【0012】
本明細書で用いられる「含んでなる」という用語は、生成物、組成物および方法が引用した成分または工程を包含するが、他のものを除外するものではないことを意味するものと解釈される。「から本質的になる」が生成物、組成物および方法を定義するのに用いられる時には、任意の本質的重要性を有する他成分または工程を除外することを意味するものとする。従って、列記した成分から本質的になる組成物は、微量混入物および薬学上許容可能なキャリヤーを除外しない。「からなる」とは、他成分または工程の微量を上回る要素を除外することを意味するものとする。
【0013】
ポックスウイルスファミリーは、チョルドポックスウイルスおよびエントモポックスウイルス亜科のウイルスを含んでなる。これらの中で、本発明によるポックスウイルスは、好ましくはオルソポックスウイルス、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、モラスキポックスウイルス、ヤタポックスウイルスを含んでなる群から選択される。更に好ましい態様によれば、本発明のポックスウイルスはオルソポックスウイルスである。
【0014】
オルソポックスウイルスは、好ましくはワクシニアウイルスであり、更に好ましくは修飾ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)であり、特にMVA 575(ECACC V00120707)およびMVA−BN(ECACC V00083008)である。
【0015】
上記のように、IMV粒子は、単層脂質エンベロープによって取り囲まれたウイルスゲノムなどのウイルスコアを含んでなる。「EEV」という用語は、その表面に細胞並びにウイルスポリペプチドを露出している追加の二分子層脂質エンベロープによって取り囲まれたIMV粒子を表す。
【0016】
本明細書で用いられる「標的感染特異性」(targeted infection specificity)という用語は、制御された感染特異性であって、関連の非修飾ポックスウイルス粒子と比較してポックスウイルス粒子が遺伝子工学処理により標的細胞に対して新たなまたは増強された親和性を示すことを特徴とするものを表す。結果として、標的感染特異性を有するポックスウイルス粒子は、関連の非修飾ポックスウイルス粒子とは異なり上記標的細胞に感染する傾向を示し、これは標的感染特異性を有するポックスウイルス粒子が(表面でかかるアンチリガンド(anti-ligand)を示さない)非標的細胞よりも効率的にまたは速やかに(本発明のポックスウイルス粒子の表面に陳列されるリガンド部分によって認識されるアンチリガンドをその表面に陳列している)その標的細胞に感染するのに対して、標的感染特異性を持たない関連ポックスウイルス粒子は非標的細胞と比較して低いまたは同様の効率で上記標的細胞に感染することを意味する。
【0017】
「組換えウイルス」という用語は、ゲノムに挿入された外来配列を含んでなるウイルスを表す。本明細書で用いられる外来配列は、親ウイルスには天然に存在しない核酸を表す。
【0018】
一つの態様では、外来配列は、直接的または間接的に細胞傷害性機能を有する分子をコードする。「直接的または間接的に」細胞傷害性であるとは、外来配列によってコードされる分子自身が毒性を有することがあるか(例えば、リシン、腫瘍壊死因子、インターロイキン−2、インターフェロン−γ、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、シュドモナス外毒素A)、または代謝されて毒性生成物を形成することがあるか、または何か他のものに作用して毒性生成物を形成することがあることを意味する。リシンcDNAの配列はLamb et al.の文献に開示されており(Eur. J. Biochem., 1985, 148, 265-270)、上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0019】
本発明の好ましい態様では、外来配列は自殺遺伝子である。自殺遺伝子は、比較的非毒性プロドラッグを毒性薬剤に転換することができるタンパク質をコードする。例えば、酵素シトシンデアミナーゼは5−フルオロシトシン(5FC)を5−フルオロウラシル(5FU)に転換し(Mullen et al. (1922) PNAS 89, 33)、単純ヘルペス酵素チミジンキナーゼは細胞を抗ウイルス薬ガンシクロビール(GCV)またはアシクロビールによる治療に対して感受性にする(Moolten (1986) Cancer Res. 46, 5276; Ezzedine et al. (1991) New Biol 3, 608)。任意の生物、例えば、E. coliまたはSaccharomyces cerevisiaeのシトシンデアミナーゼを用いることができる。
【0020】
従って、本発明の更に好ましい態様では、遺伝子は、シトシンデアミナーゼ活性を有するタンパク質、更に一層好ましくは特許出願WO2005/007857およびWO99/54481号明細書に記載のタンパク質をコードする。
【0021】
プロドラッグ/酵素の組合せの他の例としては、Bagshawe et al.によって開示されたもの(WO88/07378号明細書)、すなわち、様々なアルキル化剤とシュドモナス種CPG2酵素、およびEpenetos & Rowlinson-Buszaによって開示されたもの(WO91/11201号明細書)、すなわち、シアン発生プロドラッグ(例えば、アミグダリン)と植物由来のβ−グルコシダーゼが挙げられる。
【0022】
本発明のこの態様に有用な酵素としては、リン酸含有プロドラッグを遊離薬剤に転換するのに有用なアルカリホスファターゼ、ペプチド含有プロドラッグを遊離薬剤に転換するのに有用なセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(カテプシンBおよびCなど)のようなプロテアーゼ、D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグを転換するのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ、グルコシル化プロドラッグを遊離薬剤に転換するのに有用なβ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼのような炭水化物開裂酵素、β−ラクタムで誘導体形成した薬剤を遊離薬剤に転換するのに有用なβ−ラクタマーゼ、アミン窒素においてそれぞれフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基で誘導体形成した薬剤を遊離薬剤に転換するのに有用なペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼのようなペニシリンアミダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、当該技術分野でアブザイムとしても知られている酵素活性を有する抗体を用いて、本発明のプロドラッグを遊離の活性薬剤に転換することもできる(Massey R. et al., Nature, 1987, 328, 457-458)。
【0023】
同様に、プロドラッグとしては、上記のプロドラッグ、例えば、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、場合によって置換したフェノキシアセタミド含有プロドラッグまたは必要に応じて置換したフェニルアセタミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグであって、転換することができるものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で用いるためのプロドラッグに誘導体形成することができる細胞傷害性薬剤としては、エトポシド、テニポシド、アドリアマイシン、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、シス−白金およびシス−白金類似体、ブレオマイシン、エスペラマイシン(例えば、米国特許第4,675,187号明細書参照)、5−フルオロウラシル、メルファランおよび他の関連ナイトロジェンマスタードが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
もう一つの態様では、外来遺伝子は標的RNAまたはDNAを開裂することができるリボチームをコードする。開裂される標的RNAまたはDNAは、細胞の機能に本質的なRNAまたはDNAであり且つその開裂により細胞死を生じ、または開裂されるRNAまたはDNAは望ましくないタンパク質、例えば、癌遺伝子産物をコードするRNAまたはDNAであり、且つこのRNAまたはDNAの開裂は細胞が癌になるのを予防することができる。
【0025】
更にもう一つの態様では、外来遺伝子はアンチセンスRNAをコードする。
【0026】
「アンチセンスRNA」とは、タンパク質コードするmRNA分子へハイブリダイズしてその分子からの発現を妨げ、またはプレ−mRNAまたはtRNAまたはrRNAのような細胞内の別のRNA分子にハイブリダイズし、または遺伝子にハイブリダイズしてそれからの発現を妨げるRNA分子を意味する。
【0027】
本発明のもう一つの態様では、外来配列は標的細胞の欠陥遺伝子の機能を入れ替える。ヒトを包含する哺乳類の数千の遺伝病であって、欠陥遺伝子によって引き起こされるものがある。このような遺伝病の例としては、嚢胞性繊維症であって、CFTR遺伝子に突然変異があることが知られているもの、デューシェーヌ筋ジストロフィーであって、ジストロフィン遺伝子に突然変異があることが知られているもの、鎌状赤血球症であって、HbA遺伝子に突然変異があることが知られているものが挙げられる。癌の多くの種類は欠陥遺伝子、特に癌原遺伝子、および突然変異を受けている癌抑制遺伝子によって引き起こされる。
【0028】
癌原遺伝子の例は、ras、src、bclなどであり、癌抑制遺伝子の例はp53およびRbである。
【0029】
本発明のもう一つの態様では、外来配列は腫瘍関連抗原(TAA)をコードする。TAAは、同一組織型の非腫瘍細胞よりも腫瘍細胞で一層高い頻度または密度で検出される分子を表す。TAAの例としては、CEA、MART−1、MAGE−1、MAGE−3、GP−100、MUC−1、MUC−2、点突然変異ras癌遺伝子、正常または点突然変異p53、過剰発現p53、CA−125、PSA、C−erb/B2、BRCA I、BRCA II、PSMA、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、NY−ESO−1、TAG72、KSA、HER−2/neu、bcr−abl、pax3−fkhr、ews−fli−1、残存およびLRPが挙げられるが、これらに限定されない。更に好ましい態様によれば、TAAはMUC1である。
【0030】
組換えポックスウイルスは2個以上の外来配列を含んでなることができ、それぞれの外来配列は2種類以上の分子をコードすることができる。例えば、それは、同一の組換えポックスウイルスにおいて、TAAをコードする外来配列をサイトカインをコードする外来配列と関連付けるのに用いることができる。
【0031】
もう一つの態様では、外来遺伝子は抗原をコードする。本明細書で用いられる「抗原」とは、抗体が結合することができるリガンドを表し、抗原はそれ自身は免疫原性である必要はない。
【0032】
好ましくは、抗原は、例えばHIV−1(gp 120またはgp 160など)、ネコ免疫不全ウイルスのいずれか、gDもしくはその誘導体またはHSV1またはHSV2由来のICP27のような前初期遺伝子のようなヒトまたは動物ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(gBまたはその誘導体など)、水痘帯状疱疹ウイルス(gpI、IIまたはIIIなど)、またはB型肝炎ウイルス、例えばB型肝炎表面抗原またはその誘導体、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス(特に、遺伝子型1b株ja由来の非構造タンパク質)およびE型肝炎ウイルスのような肝炎ウイルス、または呼吸器シンシチウムウイルス、ヒトパピローマウイルス(特に、HPV16株由来のE6およびE7タンパク質)またはインフルエンザウイルスなど他のウイルス病原体、またはサルモネラ、ネイセリア、ボレリア(例えば、OspAまたはOspBまたはそれらの誘導体)またはクラミジアまたはボルデテラ(例えば、P.69、PTおよびFHA)のような細菌病原体、またはプラスモジウムやトキソプラズマのような寄生虫に由来する。
【0033】
本発明の特に好ましい態様では、組換えポックスウイルスは、TG4010(Rochlitz et al. J Gene Med. 2003 Aug;5(8):690-9)とTG4001(Liu et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2004 Oct 5; 101 Suppl 2:14567-71)よりは同一タンパク質をコードする。本発明の別の特に好ましい態様では、本発明のポックスウイルスはTG4010またはTG4001の配列に対して90%を上回る相同性の配列を有する。
【0034】
有利には、組換えポックスウイルスは、外来配列の発現に必要な要素を更に含んでなる。発現に必要な要素は、ヌクレオチド配列のRNAへの転写およびmRNAのポリペプチドへの翻訳を行うことができる要素の組、特に本発明の組換えポックスウイルスが感染する細胞中で有効なプロモーター配列および/または調節配列、および必要に応じて上記ポリペプチドについて細胞の表面における排出または発現させるのに必要な配列からなっている。これらの要素は、誘導的または構成的であることがある。勿論のことであるが、プロモーターは、選択される組換えポックスウイルスおよび宿主細胞に適している。例えば、ワクシニアウイルスプロモーターp7.5K pH5R、pK1L、p28、p11または上記プロモーターの組合せを挙げることができる。文献には、これらのプロモーター配列に関する多量の情報が開示されている。
【0035】
必要な要素は、更に宿主細胞において外来配列の発現またはその維持を向上させる追加要素を包含することがある。特に、イントロン配列(WO94/29471号明細書)、分泌シグナル配列、核局在化配列、IRES型の翻訳の再開始のための内部部位、転写終結のためのポリA配列を挙げることができる。
【0036】
利用可能なポックスウイルスの産生方法は、細胞系(例えば、HelaS3)、胚を有する卵またはニワトリ胚繊維芽細胞でのウイルスの複製を含んでなっていた。ウイルスの複製の後、培地を廃棄し、細胞をリーシスし、細胞から放出されたポックスウイルスをスクロースクッション遠心分離によって精製する(Kotwal and Abraham;「ポックスウイルスの増殖。ワクシニアウイルスにおける精製および力価測定およびポックスウイルス学(Poxvirus growth, Purification and tittering in Vaccinia Virus and Poxvirology)」, 2004, 101-108, Humana Press Inc., Totowa; NJ; 米国)。これらの方法を用いると、精製組成物にはEEVは見られない。
【0037】
しかしながら、この利用可能なウイルス産生方法は満足なものではない。第一に、血清および酵素のような動物由来の化合物の使用を含んでなる。産生方法における動物由来の化合物の使用は、幾つかの欠点を持っている。例えば、これらの化合物の化学組成は、単一の製造業者からのものであってもロット間で変化することがある。これらの化合物は感染性因子(例えば、マイコプラズマおよびウイルス)によって汚染されることもあり、これらの汚染された補足物が細胞培地処方物で用いられるときには、培養細胞の健康をひどく害する可能性がある。更に、培地の血清補足を用いると、血清または抽出物タンパク質が非特異的に同時精製されるため、培地からの所望な物質の精製が複雑になり、コストが増加する可能性がある。最も重要なことには、未定義化合物の使用は、この方法によって得られる医薬組成物の医薬部局による認可を妨げることがある。
【0038】
本発明は、本発明によるポックスウイルス粒子の産生方法であって、
a) パッケージング細胞の培養物を調製し、
b) 前記細胞培養物を感染させ、
c) 前記感染細胞を適当な時間培養し、
d) 培養物上清および/またはパッケージング細胞から産生したポックスウイルス粒子を回収し、
e) 必要に応じて、回収したポックスウイルス粒子を精製する
工程を含んでなる、方法も提供する。
【0039】
本発明による方法は、好ましくは動物産物を含まない。
【0040】
本発明による方法は、野生型および/または弱毒ポックスウイルスの産生に用いることもできる。
【0041】
本明細書で用いられる「弱毒ポックスウイルス」(attenuated poxvirus)という用語は、目的とする被験者における病原性が実質的に減少するように修飾された任意のポックスウイルスを表す。好ましくは、ポックスウイルスは、臨床的検知から非病原性である、すなわち、ポックスウイルスに暴露された被験者が対照被験者と比較して統計的に有意な増加レベルの病状を示さない点まで弱毒化されている。本発明の好ましい態様によれば、弱毒ウイルスはMVAのような弱毒ワクシニアウイルスである。
【0042】
「感染」という用語は、ウイルス核酸の細胞への移行であって、ウイルス核酸が複製し、ウイルスタンパク質が合成され、または新たなウイルス粒子が集合したことを表す。
【0043】
本明細書で用いられる「パッケージング細胞」(packaging cell)という用語は、産生されるポックスウイルスに感染させることができる細胞を表す。パッケージング細胞は、一次細胞、組換え細胞および/または細胞系であることができる。例えば、組換えウイルスベクターを欠いている組換えウイルスの産生必要な要素を含む組換え細胞を用いることができる。
【0044】
本発明の一つの態様では、パッケージング細胞は不死のトリ細胞である。
【0045】
本発明の一つの態様では、パッケージング細胞は、DF1細胞(米国特許第5,879,924号明細書)であって、10日齢のイースト・ランシング系(ELL−0)の卵に由来する自然不死化ニワトリ細胞系である。
【0046】
不死化トリ細胞は、増殖因子とフィーダー層から段階的分割によって胚幹細胞から誘導することにより、未分化幹に特有の増殖特性および無限寿命を維持することができる。例えば、Ebxニワトリ細胞系(WO2005/007840号明細書)は、この方法によって得られている。
【0047】
好ましい態様によれば、アヒル胚永久細胞系を用いることもできる。例えば、DEC 99と呼ばれる細胞系(Ivanov et al. Experimental Pathology And Parasitology, 4/2000 Bulgarian Academy of Sciences)を140回にわたって継代培養し、トリに対して腫瘍原性ではない。DEC 99細胞系は、研究用に用いられている標準的細胞培養系であり、バイオテクノロジーの要求に対して応用することができる。更に好ましい態様によれば、パッケージング細胞は、特許出願EP06360001.9号明細書に開示されている方法によって得られる細胞系である。
【0048】
もう一つの好ましい態様によれば、本発明による方法に用いられるパッケージング細胞はニワトリ胚繊維芽細胞(CEF)である。ウイルスの産生についてのCEFの調製および使用は、当業者には周知である。
【0049】
CEFは、好ましくは無特定病原体(SPF)卵から抽出される。SPF卵は、例えばCharles River Laboratories (米国マサチューセッツ州ウィルミントン)から市販されている。上記卵は好ましくは9日齢を上回り、更に好ましくは10〜14日齢であり、更に一層好ましくは12日齢である。
【0050】
胚の抽出前に、卵を好ましくは消毒する。卵の消毒に用いられる多くの方法および生成物は、従来技術で利用可能である。ホルモール溶液(例えば、2%ホルモール、1分)でインキュベーションした後、70%エタノールでのすすぎ洗いが特に好ましい。
【0051】
次に、胚の細胞を分離して、精製する。本発明の好ましい態様によれば、細胞を酵素消化工程に賦し、細胞間マトリックスを破壊することができる。この目的には、細胞間マトリックスを消化することができる酵素の使用が特に有用である。このような酵素は、トリプシン、コラゲナーゼ、プロナーゼ、ジスパーゼ、ヒアルロニダーゼおよびノイラミニダーゼを含んでなる群から選択することができるが、これらに限定されない。この酵素は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。本発明の特に好ましい態様では、ジスパーゼとトリプシン(例えば、TrypLE、Gibco(商標)製)を組み合わせて用いる。当業者であれば、細胞を効率的に分離する酵素濃度、インキュベーション温度および時間を決定することができる。
【0052】
好ましい態様によれば、本発明による方法は動物産物(パッケージング細胞を除く)を含まない。これに関して、CEFの調製に用いられる(複数の)酵素は、好ましくは組換え体のものである。本明細書で用いられる「動物産物」とは、生物体における動物細胞でまたはによって産生された任意の化合物または化合物の集合を意味する。
【0053】
CEFの調製は、混入物を除去するための濾過工程(および/または遠心分離工程)を包含することができる。
【0054】
この一次CEF細胞は、直接または二次CEF細胞としてのもう一度細胞を継代した後に用いることができる。
【0055】
当業者であれば、特定のウイルスの産生に最も適当な細胞を選択することができる。好ましい態様によれば、本発明による方法はMVAの産生のためのCEFまたはEP06360001.9号明細書に記載の細胞の使用を含んでなる。
【0056】
本発明による方法で用いられるパッケージング細胞は、適当な細胞培地で培養される。本発明による方法では、2以上の培地を用いることが可能である。例えば、第一の培地をパッケージング細胞の調製の際に(すなわち、工程aで)用いることができ、第二の細胞培地を感染の目的で(すなわち、工程cおよび/または工程bで)用いることができる。
【0057】
好ましい態様によれば、本発明による細胞培地は動物産物を含まない。
【0058】
動物産物を含まない多くの培地が既に報告されており、それらの幾つかは市販されている。例えば、293 SFM II; 293-F細胞、SFM適応型; 293-H細胞、SFM適応型; 293フェクチン(fectin)(商品名)トランスフェクション試薬; CD 293 AGT(商品名); CD 293培地; FreeStyle(商品名) 293発現系; FreeStyle(商品名) 293培地; FreeStyle(商品名) 293-F細胞, SFM適応型; アデノウイルス発現培地(AEM) PER.C6(商標)細胞の増殖培地; CD 293 AGT(商品名); CD 293培地; COS- 7L細胞, SFM適応型; EPISERF(商品名)培地; OptiPro(商品名) SFM; VP-SFM; VP-SFM AGT(商品名)(いずれもinvitrogen社から発売)を、本発明による方法において細胞培地として用いることができる。
【0059】
パッケージング細胞がCEFであるときには、工程aについてVP−SFM(invitrogen社)および工程bおよびcについてイーグル基礎培地(invitrogen社)が特に好ましい。
【0060】
パッケージング細胞がCEFである特定の態様では、細胞培地を0.5〜1.5、好ましくは1.1〜1.3、更に好ましくは約1.2個の胚/リットル細胞培地で播種する。この態様では、CEFは好ましくは1−5日間、更に好ましくは1〜2日間、更に一層好ましくは2日間培養した後に感染させる。
【0061】
産生しようとするポックスウイルスがMVAである特定の態様では、ウイルスは、MOIが好ましくは0.001〜0.1で、更に好ましくは0.03〜0.07で、更に一層好ましくは約0.05で細胞培養容器に導入される。
【0062】
本発明の好ましい態様によれば、工程c中にパッケージング細胞は37℃より低く、好ましくは30℃〜36.5℃または約32℃〜約36℃、更に好ましくは33℃〜35℃、最も好ましくは34℃の温度で培養される。
【0063】
本発明の好ましい態様によれば、工程cは1〜6日間、更に好ましくは2〜4日間、最も好ましくは約72時間継続する。
【0064】
感染工程の後、パッケージング細胞を培養するのに用いた細胞培地を集める。上記細胞培地は、感染パッケージング細胞によって脱皮したEEV粒子を含んでなる。好ましい態様によれば、感染工程の後、細胞培地とパッケージング細胞を集める。細胞培地とパッケージング細胞は、別々にプールしまたは集めることができる。
【0065】
パッケージング細胞に含まれるポックスウイルスを回収するには、本発明による方法はパッケージング細胞膜を崩壊させる工程を含んでなることがある。この工程により、ポックスウイルスがパッケージング細胞から遊離する。パッケージング細胞膜の崩壊は、当業者に周知の様々な手法によって誘導することができる。これらの手法は、音波処理、凍結/融解、低張リーシス、およびマイクロ流動化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の好ましい態様によれば、パッケージング細胞膜は、高速ホモジナイザーを用いることによって破壊される。高速ホモジナイザーは、Silverson Machines lnc (米国イースト・ロングメドウ)またはIka-Labotechnik (ドイツ,スタウフェン)から市販されている。特に好ましい態様によれば、上記高速ホモジナイザーはSILVERSON L4Rである。
【0067】
パッケージング細胞と細胞培地をプールするときには、凍結/融解によりEEV粒子が破壊されるので、パッケージング細胞膜はこの手法によって破壊されない(Ichihashi Y. et al., 1996, virology, 217(2), 478-85)。
【0068】
好ましい態様によれば、工程d)は、細胞破片を回収する浄化工程をも含んでなる。本発明の更に好ましい態様によれば、上記浄化工程は深層濾過工程である。
【0069】
深層濾過としては、CUNO Incorporated APシリーズ深層フィルター(例えば、AP01)、CUNO Incorporated CPシリーズ深層フィルター(例えば、CP10、CP30、CP50、CP60、CP70、CP90)、CUNO Incorporated HPシリーズ深層フィルター(例えば、HP10、HP30、HP50、HP60、HP70、HP90)、CUNO Incorporated Calif.シリーズ深層フィルター(例えば、CA10、CA30、CA50、CA60、CA70、CA90)、CUNO Incorporated SPシリーズ深層フィルター(例えば、SP10、SP30、SP50、SP60、SP70、SP90)、CUNO DelipidおよびDelipid Plusフィルター、Millipore Corporation CEシリーズ深層フィルター(例えば、CE15、CE20、CE25、CE30、CE35、CE40、CE45、CE50、CE70、CE75)、Millipore Corporation DEシリーズ深層フィルター(例えば、DE25、DE30、DE35、DE40、DE45、DE50、DE55、DE560、DE65、DE70、DE75)、Millipore Corporation HCフィルター(例えば、A1HC、B1HC、COHC)、CUNO Polynet Filters (例えば、Polynet-PB)、Millipore ClarigardおよびPolygardフィルター、CUNO Life Assureフィルター、ManCel Associates深層フィルター(例えば、PR12 UP、PR12、PR5 UPが挙げられるが、これらに限定されない)およびPALLまたはSeitzSchenk Incorporatedフィルターのような1以上の市販製品の使用が挙げられるが、これらに限定されない。利用可能な深層濾過装置の浄化能を向上させるために、細孔径を減少させた2以上の装置を連結して用いることができる。この態様では、浄化を行う混合物が第一の深層濾過装置を通過させて最大の混入物をそこに保持させた後、第二の深層濾過装置を通過させる。本発明の更に一層好ましい態様によれば、細孔径8μmのSartopure(商品名)(Sartorius)を細孔径5μmのSartopure(商品名)に連結したものを深層濾過工程に用いる。
【0070】
好ましい態様によれば、本発明による方法は濃縮工程をも含んでなる。更に好ましくは、上記濃縮工程は、上記工程から得られた混合物に含まれるタンパク質を除去することができる。
【0071】
本発明の更に好ましい態様によれば、上記濃縮工程は精密濾過工程である。精密濾過は、大型分子を濃縮して精製する加圧膜法である。更に具体的には、溶液を未透過分中の大型分子(ウイルス)を通過させないように細孔径が選択されている半透膜を通過させ、小分子(例えば、タンパク質)を膜を透過させる。精密濾過により、抽出溶液の容積が減少する。
【0072】
本発明の好ましい態様によれば、精密濾過工程の後に透析濾過工程が続く。これらの二工程は、好都合なことに同一濾過膜で行うことができる。透析濾過は精密濾過の改良法であり、未透過分中の不純物の濃度を減少させる溶液による未透過分希釈を含む。未透過分の希釈により、更なる不純物を未透過分から線上除去することができる。透析濾過は、回分式、半連続式または連続式に行うことができることが理解されている。透析濾過工程は、好都合なことには、ウイルスを包含する緩衝液を交換するのに用いることができる。例えば、精製工程で用いた緩衝液を薬学上許容可能な緩衝液に交換するのに用いることができる。
【0073】
好ましくは、精密濾過および/または透析濾過工程で用いられる濾過膜は、細孔径が0.01〜0.15μmであり、更に好ましくは約0.1μmである。
【0074】
核酸は、ウイルスなどの細胞由来の粒子に付着することができる。これに関して、本発明による方法は、必要に応じて溶液に含まれる混入核酸を除去することからなる工程を含んでなる。このために、ヌクレアーゼを用いることができる。代表的なヌクレアーゼとしては、ベンゾナーゼまたは当該技術分野で一般に用いられている任意の他のDNアーゼまたはRNアーゼが挙げられ、それらの中では、ベンゾナーゼが特に好ましい。
【0075】
ベンゾナーゼは核酸を分解するが、タンパク質分解活性を持たない。ベンゾナーゼは、特定のヌクレオチド間の内部リン酸ジエステル結合を加水分解することによって核酸を分解する。完全に消化させると、溶液に含まれる総ての遊離核酸は長さが2−4塩基のオリゴヌクレオチドに還元される。
【0076】
ベンゾナーゼは、50〜400U/ml、好ましくは100〜300U/ml、更に好ましくは150〜250U/mlの最終濃度で用いることができる。ベンゾナーゼ処理は、1〜4時間、更に一層好ましくは1.5〜2.5時間継続することができる。
【0077】
しかしながら、上記のような深層濾過、精密濾過および透析濾過を用いるときには、ヌクレアーゼの使用、更に詳細にはベンゾナーゼは使用する必要がない。これに関連して、本発明はポックスウイルスの産生方法であって、ヌクレアーゼ、更に詳細にはベンゾナーゼを用いない方法にも関する。
【0078】
この工程では、上記方法によって得たポックスウイルスを十分に精製する。ウイルスが含まれている緩衝液を交換するのが望ましいことがある。例えば、精製工程で用いた緩衝液を薬学上許容可能な緩衝液に交換するのに用いることができる。緩衝液の交換に使用できる多くの方法は、当業者に知られている。それらの中では、接線濾過(tangential filtration)が特に好ましい。
【0079】
接線濾過は、濾過を行う懸濁液が濾過表面に平行な方向に高速で移動し、懸濁液乱流を生じて濾過ケーキ形成並びに頻繁なフィルターの目詰まりを防止するようになっている濾過法である。
【0080】
懸濁液は濾過表面に平行に高速で流れるが、溶質は圧力差により濾過表面孔中を通過し、連続的に除去される。濾過表面は、未透過分区画(すなわち、懸濁液濃縮区画)と透過分区画(懸濁粒子を含まない透明な濾過溶液)との圧力差に機械的に抗するようになっている。
【0081】
本発明の方法に含まれる様々な工程は、別々の作業場所においておよび/または様々な時間実行することができる。例えば、パッケージング細胞の感染およびポックスウイルスの精製は、別々の作業場所で行うことができる。なお、パッケージング細胞および/または細胞培地は必要なだけ(例えば、−80℃で)保管した後、精製することができる。
【0082】
本発明は、上記方法によって得た組成物および本発明のポックスウイルスを含んでなる組成物にも関する。
【0083】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物に含まれるポックスウイルスの1%をより多い、好ましくは5%より多い、更に一層好ましくは10%より多い、最も好ましくは少なくとも20%のEEVを含んでなる。
【0084】
好ましい態様によれば、本発明による組成物の力価は、少なくとも10、好ましくは少なくとも10、更に好ましくは少なくとも10、更に一層好ましくは少なくとも10pfu/mlである。
【0085】
もう一つの好ましい態様によれば、本発明による組成物の力価は、少なくとも10、好ましくは10、最も好ましくは少なくとも3x10pfu/μgタンパク質である。
【0086】
本発明は、本発明の方法によって得たポックスウイルスおよび/または本発明による組成物を含んでなる医薬組成物にも関する。本明細書で用いられる「医薬組成物」とは、薬学上許容可能なキャリヤーを含んでなる組成物を表す。
【0087】
このようなキャリヤーは、好ましくは等張性、低張性または弱高張性であり、イオン強度が比較的低く、例えば、スクロース溶液である。更に、このようなキャリヤーは、任意の溶媒、または非発熱性滅菌水のような水性または部分的に水性液体を含むことがある。医薬組成物のpHは、更に調整または緩衝して、イン・ビボでの使用要件に合うようにする。医薬組成物は、薬学上許容可能な希釈剤、アジュバントまたは賦形剤、並びに可溶化、安定および防腐剤を含むこともできる。注射用投与には、水性、非水性または等張性溶液が好ましい。これは、液状または使用時に適当な希釈剤で再構成することができる乾燥(粉末、凍結乾燥物など)形態で単一用量または複数回用量で提供することができる。
【0088】
本発明は、本発明の方法によって得たポックスウイルスおよび組成物にも関する。
【0089】
本発明は、ウイルス、組成物および/または医薬組成物を産生するための本発明による方法の使用にも関する。
【0090】
本発明は、医薬品の調製を目的とする本発明によるポックスウイルス、組成物および/または医薬組成物の使用にも関する。
【0091】
好ましい態様によれば、本発明による医薬品は癌の治療または予防治療を目的とする。
【0092】
考えられる用途としては、乳癌、子宮癌(特に、パピローマウイルスによって誘発されるもの)、前立腺癌、肺癌、膀胱癌、肝臓癌、結腸癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、喉頭癌、中枢神経系の癌(特に、グリオーマ)、および血液の癌(リンパ腫、白血病など)が挙げられる。
【0093】
本発明による組成物は、局所、非経口または消化経路による投与用に常法によって製造することができる。考えられる投与経路は、沢山ある。例えば、胃内、皮下、心臓内、筋肉内、静脈内、腹腔内、腫瘍内、鼻内、肺内、または気管内経路が挙げられる。後者の3つの態様については、エアゾールまたは点滴注入が有利である。投与は、単回用量としてまたは一定の時間間隔を置いた後1または数回反復して行うことができる。投与および投薬の適当な経路は、個体、治療を行う疾患、または導入を行う目的の(複数の)遺伝子など様々なパラメーターによって変化する。
【0094】
最初の可能性によれば、医薬品はイン・ビボで(例えば、静脈内注射によって接近可能な腫瘍にまたはその周辺部に、治療または予防ワクチン摂取の目的で皮下に)直接投与することができる。また、患者から細胞(骨髄幹細胞、末梢血リンパ球、筋肉細胞など)を集め、それらを従来技術の手法によってイン・ビトロでトランスフェクションまたは感染させ、それらを患者に再投与することからなるエクス・ビボ法を採用することも可能である。
【0095】
更に、適宜、本発明の範囲から離反することなく、本発明による医薬組成物または組成物に含まれる様々な成分を様々な経路によって同時または連続投与することも考えられる。
【0096】
本発明の有利な態様によれば、治療使用または治療方法を、外科手術(部分的または完全な腫瘍の除去)による、放射線療法または化学療法による患者の第二の治療法と組み合わせる。この特定の場合には、本発明による治療は、上記第二の治療の前に、と同時にまたはの後に適用される。好ましくは、この治療は、上記第二の治療の後に行われる。
【0097】
もう一つの好ましい態様によれば、本発明による医薬品は、感染性疾患、特にB型またはC型肝炎ウイルス、HIV、ヘルペス、レトロウイルスなどによって誘発されるウイルス起源の疾患の治療または予防治療用のものである。
【実施例】
【0098】
下記の実施例は、本発明の様々な主題を例示しようとするものであり、従って、特徴を制限するものではない。
【0099】
表1は、HPV 16 E6およびE7およびC−Ha−ras癌遺伝子を発現するTC1細胞を移植したC57BL/6マウスの生存率を示す。様々な群のマウスに、HPV抗原をコードするIMVおよびEEV、HPV抗原をコードするIMV、または抗原をコードしないIMVを含んでなる組成物を投与する。
【0100】
表2は、HPV 16 E6およびE7およびC−Ha−ras癌遺伝子を発現するTC1細胞を移植した後の腫瘍のないC57BL/6マウスの割合を示す。様々な群のマウスに、HPV抗原をコードするIMVおよびEEV、HPV抗原をコードするIMV、または抗原を発現しないIMVを含んでなる組成物を投与する。
【0101】
表3は、MUC1を発現するTC1細胞を移植したC57BL/6マウスの生存率を示す。様々な群のマウスに、MUC1 およびIL2をコードするIMVおよびEEV、MUC1およびIL2をコードするIMV、または抗原を発現しないIMVを含んでなる組成物を投与する。
【0102】
1. IMVおよびEEVを含んでなる組成物の調製
A. CEFの調製
66個のSPF卵を、2%ホルモール溶液中で60秒間インキュベーションする。70%エタノールで洗浄した後、卵を開いて胚を抽出し分析する。次に、得られた組織をジスパーゼ(Ul/ml)およびトリプル・セレクト(triple select)(Ul/ml)によって36.5℃で120分間消化する。
【0103】
混合物を濾過して、未消化組織を除き、CEFを遠心分離(2300rpm,15分間)によって集める。
【0104】
B. CEFの培養および感染
CEFをVP−SFM(invitrogen社)55l中で36.5℃にて2日間インキュベーションする。次に、細胞培地を廃棄し、ポックスウイルス(0.05 MOI)をイーグル基礎培地(invitrogen社)55 lに加える。次に、感染パッケージング細胞を、3日間インキュベーションする。
【0105】
C. ポックスウイルス精製
パッケージング細胞と細胞培地を集める。次に、混合物を、Silverson(商品名)L4R高速ホモジナイザーを用いて15分間ホモジナイズする。得られた混合物を、次にSartopure 5μm (Sartorius)に連結したSartopure 8μm上で1 l/分の流速の深層濾過によって透明にする。
【0106】
混合物を、0.1μm Prostak Microfiltration Module (参照番号:PSVVAG021, Millipore)中で18倍に濃縮する。
【0107】
ポックスウイルス組成物を、同一モジュール上で所望な薬学上許容可能なキャリヤーについて更に透析濾過する。
【0108】
2. EEVとIMVを含んでなる組成物とIMVのみを含んでなる組成物との治療効率の比較
A. HPV抗原を発現する腫瘍を有するマウスの治療投与
それぞれのベクター構造の名称および簡単な説明
TG4001: HPVタンパク質、E6およびE7(プロモーターp7.5の制御下)およびIL2(プロモーターpH5Rの制御下)のコード配列を有するMVAベクター。IMVおよびEEV(上記の方法で調製)を含んでなるロットおよびIMVのみを含んでなるロットの2つのロットを試験した。
【0109】
N33: HPVタンパク質E6およびE7またはIL2をいずれも発現しないエンプティーベクターMVAをネガティブコントロールとして用いた。
【0110】
動物モデル
6−8週齢のC57BI/6雌マウスを、この研究に用いた。これらのマウスはCharles River(ルーアン,フランス)から入手した。
【0111】
仕様: 動物は、到着日には6週齢であった。実験の開始時には、それらは8週齢未満であった。
【0112】
環境: 動物は、1時間当たり最低11回換気を行う空気調節装置のある単一の特別の部屋に収容した。温度および相対湿度範囲は、それぞれ18℃−22℃および40−70%であった。照明を自動的に制御し、明の12時間および暗の12時間のサイクルとなるようにした。
【0113】
特定の病原体のない状態を、環境の定期的制御によってチェックする。
【0114】
食餌: 研究の間中、動物は滅菌食餌D04型(UAR,エピネイ・シュル・オルジュ, フランス)を自由に摂取した。水は、ボトルから自由に供給された。
【0115】
順化および健康処置: 総ての動物は、到着時に健康について臨床検査を行った。動物を1〜2週間特定の病原体のない(SPF)動物用施設で順化させた後実験を開始し、研究に適合することを確認した。
【0116】
腫瘍細胞特性および使用条件:
TC1系を、HPV−16 E6およびE7およびc−Ha−ras癌遺伝子で同時形質転換したC57BI/6マウスの一次肺上皮細胞から誘導した。これらの細胞は、グルタミン(2mM)、ウシ胎仔血清(10%)、非必須アミノ酸(0.1mM)、ピルビン酸Na(1mM)、β−メルカプトエタノール(36μM)、ハイグロマイシン(0.2mg/ml)およびG418(0.5mg/ml)を含むDMEMで増殖する。融解の後、細胞を2回増幅し、最後の継代は細胞の注入の2日前に行った。
【0117】
細胞注入
実験の第一日目に、TC1細胞をマウスの側腹部に2.0E+05個/マウスの用量で皮下注射した。
【0118】
ウイルス注入
細胞注入の7日後、5.0E+05 pfu/50μl/マウスの試験ロット(TG4001 IMV/EEVまたはIMVのみ)およびMVATGN33(エンプティーベクター)をマウスに注入した。20尾のマウスを、試験ロット当たりに用いた。
【0119】
ウイルスは、同じ側腹部に細胞注入点とは離れた部位に皮下注入し、7日間の間隔を置いて3回行った。
【0120】
モニタリングパラメーター:
腫瘍増殖を、カリパスを用いて細胞注入後90日間観察した。腫瘍の大きさが直径が25 mmを越えたときまたは腫瘍が小さめであってもマウスが痛みを示したとき、マウスをエタノールで屠殺した。
生き残っているマウスを、記録した。
【0121】
結果
HPV抗原をコードするMVAベクターを投与した総ての群は、エンプティーMVAベクターを投与した群より高い生存率を示した。EEVとIMVを含んでなる組成物を投与したマウスは、IMVのみを含んでなる組成物を投与したマウスより高い生存率を示した。更に、EEVとIMVを含んでなる組成物を投与したマウスの35%には注入の77日後に腫瘍は見られず、IMVのみを含んでなる組成物を投与したマウスでは10%に過ぎなかった。
【0122】
B. MUC1を発現する腫瘍を有するマウスの治療処置
それぞれのベクター構造の名称および簡単な説明
TG4010: MUC1タンパク質(プロモーターp7.5の制御下)およびIL2(プロモーターpH5Rの制御下)のコード配列を有するMVAベクター。IMVおよびEEVを含んでなるロットおよびIMVのみを含んでなるロットの2つのロットを試験した。
【0123】
MUC1またはIL2のいずれも発現しないエンプティーベクターMVATGN33を、ネガティブコントロールとして用いた。
【0124】
動物モデルおよび動物実験システム
種、血統および供給業者: 6〜8週齢のC57BI/6雌マウスを、この研究に用いた。これらのマウスはCharles River(フランス,ルーアン)から入手した。
【0125】
仕様: 動物は、到着日には6週齢であった。実験の開始時には、それらは8週齢未満であった。
【0126】
環境: 動物は、1時間当たり最低11回換気を行う空気調節装置のある単一の特別の部屋に収容した。温度および相対湿度範囲は、それぞれ18℃−22℃および40−70%であった。照明を自動的に制御し、明の12時間および暗の12時間のサイクルとなるようにした。
【0127】
動物を、43x27x15cmで床面積が1161cmのケージ当たり10尾の群で収容した。
【0128】
食餌: 研究の間中、動物は滅菌食餌RM型(SDS, Le Bord'Haut de Vigny, フランス)を自由に摂取した。
【0129】
水は、ボトルから自由に供給された。
【0130】
混入物は、研究に目的達成を妨げるレベルでは食餌または水に含まれていなかった。
【0131】
順化および健康処置: 総ての動物は、到着時に健康について臨床検査を行った。動物を1−2週間特定の病原体のない(SPF)動物用施設で順化させた後実験を開始し、研究に適合することを確認した。
【0132】
腫瘍細胞特性および使用条件:
RMA腫瘍系を、C57BI/6リンパ腫から誘導した。RMA−MUC1細胞は、MUC1遺伝子aを含む発現プラスミドでトランスフェクションした後に得た。これらの細胞を、グルタミン(2mM)、ウシ胎仔血清(10%)、非必須アミノ酸(0.1mM)、ピルビン酸Na(1mM)、β−メルカプトエタノール(36μM)およびハイグロマイシン(550μg/ml)を含むDMEMで増殖した。融解の後、細胞を2回増幅し、最後の継代は抗原投与の前日に行った。
【0133】
免疫
マウスを、TG4010ウイルスに対して1.0x10または3.0x10pfu/マウスおよびMVATGN33に対して3.0x10pfu/マウスで免疫した。
【0134】
試験ロット当たり20尾のマウスを用いた。
【0135】
ウイルス免疫は、側腹部皮下に行い、14日の間隔を置いて3回行った。
【0136】
腫瘍投与
最後の免疫の2週間後、マウスの同じ側腹部にウイルス注入点とは離れた部位に1.0 E+06 RMA−MUC1生存可能な細胞/50μl/マウスを皮下投与した。
【0137】
モニタリングパラメーター:
腫瘍増殖を、カリパスを用いて腫瘍投与後6週間観察した。腫瘍の大きさが直径が25 mmを越えたときまたは腫瘍が小さめであってもマウスが痛みを示したとき、マウスをエタノールで屠殺した。
【0138】
生き残っているマウスを、記録した。
【0139】
用量当たり、20尾のマウスを用いた。
【0140】
結果
MUC1抗原をコードするMVAベクターを投与した総ての群は、エンプティーMVAベクターを投与した群より低い腫瘍増殖と高い生存率を示した。EEVとIMVを含んでなる組成物を投与したマウスは、IMVのみを含んでなる組成物を投与したマウスより低い腫瘍増殖を示した。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】表1: HPV 16 E6およびE7およびC−Ha−ras癌遺伝子を発現するTC1細胞を移植したC57BL/6マウスの生存率を示す。様々な群のマウスに、HPV抗原をコードするIMVおよびEEV、HPV抗原をコードするIMV、または抗原をコードしないIMVを含んでなる組成物を投与する。
【図2】表2: HPV 16 E6およびE7およびC−Ha−ras癌遺伝子を発現するTC1細胞を移植した後の腫瘍のないC57BL/6マウスの割合を示す。様々な群のマウスに、HPV抗原をコードするIMVおよびEEV、HPV抗原をコードするIMV、または抗原を発現しないIMVを含んでなる組成物を投与する。
【図3】表3: MUC1を発現するTC1細胞を移植したC57BL/6マウスの生存率を示す。様々な群のマウスに、MUC1 およびIL2をコードするIMVおよびEEV、MUC1およびIL2をコードするIMV、または抗原を発現しないIMVを含んでなる組成物を投与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的感染特異性を持たないEEVであることを特徴とする、組換えポックスウイルス。
【請求項2】
ポックスウイルスが、オルソポックスウイルス、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、モラスキポックスウイルス、ヤタポックスウイルスを含んでなる群から選択される、請求項1に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項3】
ポックスウイルスがオルソポックスウイルスである、請求項2に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項4】
オルソポックスウイルスがワクシニアウイルスである、請求項3に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項5】
オルソポックスウイルスが修飾ワクシニアウイルス・アンカラ(Ankara)である、請求項3に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項6】
前記ポックスウイルスが直接または間接的細胞傷害性機能を有する分子をコードする外来配列を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項7】
外来配列が自殺遺伝子である、請求項6に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項8】
前記ポックスウイルスが腫瘍関連抗原(TAA)をコードする外来配列を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項9】
前記ポックスウイルスが抗原をコードする外来配列を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項10】
抗原がウイルスに由来する、請求項9に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項11】
前記ポックスウイルスが外来配列の発現に必要な要素を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組換えポックスウイルス。
【請求項12】
野生型、弱毒および/または標的感染特異性を持たない組換えポックスウイルスの産生方法であって、
a) パッケージング細胞の培養物を調製し、
b) 前記細胞培養物に感染させ、
c) 前記感染細胞を適当な時間培養し、
d) 培養物上清および/またはパッケージング細胞から産生したポックスウイルス粒子を回収する
工程を含んでなる、方法。
【請求項13】
動物生成物を含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
パッケージング細胞がCEFである、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
工程c)が2〜4日間続く、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程d)が高速ホモジナイザーの使用によるパッケージング細胞の崩壊を含んでなる、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程d)から得た混合物を浄化して細胞破片を除去する浄化工程をさらに含んでなる、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。.
【請求項18】
浄化工程が深層濾過工程である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
濃縮工程をさらに含んでなる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
濃縮工程が精密濾過工程である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
透析濾過工程をさらに含んでなる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ヌクレアーゼ、更に詳細にはベンゾナーゼを用いない、請求項12〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えポックスウイルス、または請求項12〜22のいずれか一項に記載の方法によって得た組換えポックスウイルスを含んでなる、組成物。
【請求項24】
組成物に含まれるポックスウイルスの1%より多く、好ましくは5%より多く、更に好ましくは10%より多く、最も好ましくは少なくとも20%がEEVである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
力価が、少なくとも10、好ましくは少なくとも10、更に好ましくは少なくとも10、更に一層好ましくは少なくとも10pfu/mlである、請求項23または24に記載の組成物。
【請求項26】
力価が、少なくとも10、好ましくは10、最も好ましくは少なくとも3x10pfu/μgタンパク質である、請求項23〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
薬剤を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えポックスウイルス、請求項23〜26のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項28】
癌の治療または予防処置のための、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
感染性疾患の治療または予防処置のための、請求項27に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−540806(P2009−540806A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515747(P2009−515747)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005302
【国際公開番号】WO2007/147528
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(599082883)トランジェーヌ、ソシエテ、アノニム (32)
【氏名又は名称原語表記】TRANSGENE S.A.
【Fターム(参考)】