説明

ポックスウイルス感染の治療のための化合物、組成物および方法

本出願は、オルソポックスウイルス感染のようなポックスウイルス感染の治療のための抗ウイルス性化合物との併用療法のための方法および組成物を提供する。ある実施形態において、シドフォビル、環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグを、少なくとも第2の抗ポックスウイルス剤と組み合わせてまたは交互に、治療を必要としている宿主に投与することを含む、ポックスウイルス感染を治療する方法が提供される。第2の抗ポックスウイルス剤は、例えば、ペグ化インターフェロンのような生物製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年4月8日に出願された米国仮出願第60/669,730の優先権を主張し、その開示内容を本明細書に参照して組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、オルソポックスウイルス感染のようなポックスウイルス感染を、併用療法を用いて治療するための方法および組成物である。
【背景技術】
【0003】
易損性集団へのポックスウイルス感染の意図的な拡大または意図しない拡大の脅威により、そのような感染に対する安全で迅速に対応できる治療を見つけようとする努力が増大している。現在、一部の医療従事者および他の一次当事者にワクチン接種が提案されつつある。以前に報告された天然痘ワクチン関連副作用により、現在の集団における危険因子の未知の普及と共に、天然痘ワクチン接種合併症を有する患者の評価および治療における臨床家用のガイダンスの調製が促された。このガイダンスによれば、湿疹および他の剥離性皮膚疾患を有する人、遺伝的または後天性免疫不全の人、または妊娠女性にはワクチンが薦められない(Keith et al.,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,2004年5月,p.1869−1871)。また、疾病管理センター(Centers for Disease Control)も、予防策として、この時点において心臓病の人はワクチン接種されないことを薦めている健康勧告を発行した。
【0004】
シドフォビル(CDV)および環式CDV(cCDV)はポックスウイルスの有効な阻害剤であると示されているが、経口的に与えられた場合は不活性である。シドフォビルの合成が、1992年8月25日に発行された米国特許第5,142,051に記載されている。CDVおよびcCDVのヘキサデシルオキシプロピル(HDP)およびオクタデシルオキシエチル(ODE)誘導体(HDP−CDV、HDP−cCDV、ODE−CDVおよびODE−cCDV)のような脂質プロドラッグを用いて、親化合物を超える高められた活性が観察された。CDVおよびcCDVの脂質プロドラッグの合成が、例えば、2004年4月26日に発行された米国特許第6,716,825に記載されている。ヒトおよびネズミサイトメガロウイルスに対する、シドフォビルのアルコキシアルキルおよびアルキルエステルの抗ウイルス活性が、Wan et al.,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,49:656−662(2005)に記載されている。
【0005】
疾患の重症性故に、ポックスウイルス大発生の場合、またはワクチンの使用において起こり得る合併症の場合、新しい治療法が必要とされている。ポックスウイルス感染を効果的に治療するための組成物および方法が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、ポックスウイルスを治療するための新しい方法および組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと、以下に記載するような一つまたは複数のさらなる抗ポックスウイルス剤との組み合わせを投与することを含む、ポックスウイルス感染を治療するための方法を提供する。
【0008】
一つの実施形態において、シドフォビル、環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと、一つまたは複数の他の抗ポックスウイルス剤とを含む医薬的に許容される組成物が提供される。この組成物は、ポックスウイルスに感染した宿主の治療または予防のために有効な量で、それを必要としている宿主に投与することができる。
【0009】
シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと、一つまたは複数のさらなる抗ポックスウイルス剤とを、治療を必要としている宿主に、任意選択的に医薬的に許容されるキャリアと組み合わせて、ポックスウイルスに感染した宿主の治療または予防のために有効な量で、一緒にまたは順次、投与することができる。この化合物および組成物は、限定はされないが経口、非経口、局所、静脈内、吸入、経皮または口腔内投与を含む任意の適当な投与手段により投与される。
【0010】
一つの実施形態において、シドフォビルまたは環式シドフォビルは、任意選択的に、限定はされないがアルキルグリセロール、アルキルプロパンジオール、1−S−アルキルチオグリセロール、アルコキシアルカノールまたはアルキルエタンジオールに共有結合しているものを含むプロドラッグ形で、または、組成物中に任意選択的に存在する塩の形で存在する。プロドラッグは、天然痘感染のようなポックスウイルス感染の治療または予防のために有効な量で投与することができる。
【0011】
すなわち、一つの実施形態において、CDVまたはcCDVまたはそのプロドラッグ、および少なくとも一つの他の抗ポックスウイルス剤を含む組成物が提供され、この組成物は、天然痘感染のようなポックスウイルス感染の治療に有効な量で投与することができる。一つの実施形態において、シドフォビルプロドラッグは、シドフォビルのアルコキシアルカノールエステルのようなシドフォビルのアルコキシアルキルエステルである。例えば、シドフォビルプロドラッグは下記構造を有することがある。
【化1】

【0012】
例えば、本明細書に記載の組成物は、大疱瘡(variola major)および小痘瘡(variola minor)、ワクシニア、天然痘、牛痘、ラクダ痘、マウス痘、ウサギ痘およびサル痘のようなオルソポックスウイルスに感染した宿主の予防または治療のための方法において用いることができる。
【0013】
シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと組み合わせて投与することができる有用な抗ポックスウイルス剤としては、IMP脱水素酵素阻害剤、SAH加水分解酵素阻害剤、チミジル酸合成酵素阻害剤、ヌクレオシド類似体、非環式ヌクレオシドホスホネート、ポリアニオン性物質、免疫賦活剤およびチオセミカルバゾンが挙げられる。
【0014】
もう一つの実施形態において、一つまたは複数のさらなる抗ポックスウイルス剤は、リバリビリン、5−ヨード−2’−デオキシウリジン、アデニンアラビノシド、トリフルオロチミジン、あるいは、イミキモド(アルダラ:Aldara)またはレシキモド(R−848、S−28463)のようなイミダゾキノリナミンから選択される。他の薬剤として、5−フルオロ−dUrd、5−ブロモ−dUrdおよび(E)−5−(2−ブロモビニル)−dUrdまたはヌクレオシド類似体、例えば、3’−C−メチルシチジンおよび3’−C−メチルアデノシン、8−ヘプチニル−2’−デオキシアデノシン、8−アルキル−2’−デオキシアデノシン、8−アルケニル−2’−デオキシアデノシン、8−アルキニル−2’−デオキシアデノシン;または、非環式ヌクレオシドホスホネート、例えば、アデフォビルが挙げられる。
【0015】
一つまたは複数のさらなる抗ポックスウイルス剤は、インターフェロン(または、4−ヨード−アンチピリンのようなインターフェロン誘導物質)、ペグ化インターフェロン、インターフェロンα、β、γ、δ、εまたはτ、インターフェロンα2a、インターフェロンアルファコン−1、天然インターフェロン、アルブフェロン、インターフェロンβ−1a、ωインターフェロン、インターフェロンαおよびインターフェロンγ−1bのような生物製剤であってもよい。
【0016】
もう一つの実施形態において、シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のようなコロニー刺激因子のような免疫調節剤;インターロイキン−1α、インターロイキン−1β、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−8、インターロイキン−10、インターロイキン−12のようなインターロイキン;マクロファージ炎症性タンパク質−1α、マクロファージ炎症性タンパク質−1βのようなマクロファージ炎症性タンパク質;およびエリスロポエチンを含む生物製剤と組み合わせてまたは交互に投与することができる。
【0017】
一つの実施形態において、さらなる抗ポックスウイルス剤は、ワクシニア免疫グロブリン(VIG)またはメチサゾン(マルボラン:Marboran)のような、ワクシニアワクチン合併症を治療するために用いることができる化合物である。他のさらなる抗ポックスウイルス剤としては、サイトカインおよび免疫賦活性配列(ISS)が挙げられる。ISSは、異なる免疫系機能を支配する有効な免疫調節特性を有する異なるヌクレオチド配列を有する短いDNA様分子である。
【0018】
種々の生物学的利用能向上剤を、本明細書に記載の活性剤の生物学的利用能を高めるのに有効な量で投与するまたは薬学的組成物中に存在してよい。
【0019】
一つの実施形態において、生物学的利用能エンハンサーは、シトクロムP450酵素の一つのような、薬剤の生体内変換に関わる酵素の阻害剤または基質である。一つの実施形態において、エンハンサーは、例えばケトコナゾールまたはトロレアンドマイシンであるイミダゾール抗真菌剤のような抗真菌剤;エリスロマイシンのようなマクロライド;ニフェジピンのようなカルシウムチャンネルブロッカー;またはゲストデンのようなステロイドである。任意選択的に、この化合物は、グレープフルーツで見られるナリンゲニンのようなシトクロムP450 3A(CYP3A)の阻害剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、有効量のシドフォビル、環式シドフォビル、または医薬的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグを、一つまたは複数の抗ポックスウイルス剤と組み合わせてまたは交互に投与することを含む、天然痘感染のようなポックスウイルス感染を治療するための方法を提供する。さらなる抗ポックスウイルス剤は、例えば、低分子化合物または、免疫調節性ポリペプチドまたは核酸のような生物製剤である。
【0021】
<シドフォビル化合物>
シドフォビル、環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグを含む種々のシドフォビル化合物を、本明細書に開示の方法および組成物において用いることができる。シドフォビルまたは環式シドフォビルは、任意選択的に、シドフォビルまたは環式シドフォビルのホスホネートが脂質基に共有結合しているプロドラッグの形であってもよい。脂質基としては、例えば、アルキルグリセロール、アルキルプロパンジオール、1−S−アルキルチオグリセロール、アルコキシアルカノールまたはアルキルエタンジオールが挙げられる。
【0022】
一つの実施形態において、シドフォビルプロドラッグ化合物は下記構造を有する。
【化2】

式中、RはH;任意選択的に置換されてもよいアルキル、例えば、C1〜C30アルキル;アルケニル、例えば、C2〜C30アルケニル;またはアルキニル、例えば、C2〜C30アルキニル;アシル;モノホスフェートまたはジホスフェート;アルキルグリセロール、アルキルプロパンジオール、1−S−アルキルチオグリセロール、アルコキシアルカノールまたはアルキルエタンジオールである。一つの実施形態において、Rはアルコキシアルカノールである。例えば、Rは−(CH2m−O−(CH2n−CH3(式中、例えば、mは1〜5およびnは1〜25;または、mは2〜4およびnは10〜25である)である。
【0023】
もう一つの実施形態において、シドフォビルプロドラッグ化合物は下記構造を有する。
【化3】

【0024】
一つの実施形態において、環式シドフォビルのプロドラッグが提供される。
【0025】
もう一つの実施形態において、プロドラッグ化合物は下記式を有する。
【化4】

式中、RはH;任意選択的に置換されてもよいアルキル、例えば、C1〜C30アルキル;アルケニル、例えば、C2〜C30アルケニル;アルキニル、例えば、C2〜C30アルキニル;アシル;モノホスフェートまたはジホスフェート;アルキルグリセロール、アルキルプロパンジオール、1−S−アルキルチオグリセロール、アルコキシアルカノールまたはアルキルエタンジオールである。一つの実施形態において、Rはアルコキシアルカノールである。例えば、Rは−(CH2m−O−(CH2n−CH3(式中、例えば、mは1〜5およびnは1〜25;または、mは2〜4およびnは10〜25である)である。
【0026】
もう一つの実施形態において、シドフォビルまたは環式シドフォビルプロドラッグ化合物は1−O−オクタデシルプロパンジオール−3−シドフォビル、1−O−オクタデシルエタンジオール−2−シドフォビル、1−O−ヘキサデシルプロパンジオール−3−環式シドフォビル、1−O−オクタデシルプロパンジオール−3−環式シドフォビルまたは1−O−オクタデシルエタンジオール−2−環式シドフォビルである。
【0027】
一つの実施形態において、シドフォビルまたは環式シドフォビルプロドラッグ化合物は、ヘキサデシルオキシプロピルシドフォビル、オクタデシルオキシエチルシドフォビル、オレイルオキシプロピルシドフォビル、オクチルオキシプロピルシドフォビル、ドデシルオキシプロピルシドフォビル、オレイルオキシエチルシドフォビル、1−O−オクタデシル−2−O−ベンジル−グリセリルシドフォビル、テトラデシルオキシプロピルシドフォビル、エイコシルシドフォビル、ドコシルシドフォビル、ヘキサデシルシドフォビル、ヘキサデシルオキシプロピル環式シドフォビル、オクタデシルオキシエチル環式シドフォビル、オレイルオキシプロピル環式シドフォビル、オクチルオキシプロピル環式シドフォビル、ドデシルオキシプロピル環式シドフォビル、オレイルオキシエチル環式シドフォビル、l−O−オクタデシル−2−O−ベンジル−グリセリル環式シドフォビル、テトラデシルオキシプロピル環式シドフォビル、エイコシル環式シドフォビル、ドコシル環式シドフォビルまたはヘキサデシル環式シドフォビルである。
【0028】
シドフォビルおよび環式シドフォビル化合物の種々の脂質誘導体を、本明細書に提供された方法および組成物において用いることができる。一つの実施形態において、シドフォビルおよび環式シドフォビルプロドラッグは、以下の構造の一つを有する。
【化5】

式中、W1、W2およびW3は各々独立して−O−、−S−、−SO−、−SO2、−O(C=O)−、−(C=O)O−、−NH(C=O)−、−(C=O)NH−または−NH−;および、一つの実施形態において、各々独立してO、Sまたは−O(C=O)−であり;
nは0または1;mは0または1;pは0または1であり;
1は、任意選択的に置換されてもよいアルキル、アルケニルまたはアルキニル、例えば、C130アルキル、C230アルケニルまたはアルキニル;または、一つの実施形態において、R1は、任意選択的に、C830アルキル、アルケニルまたはアルキニル、またはR1はC824アルキル、アルケニルまたはアルキニル(例えば、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23またはC24アルキル、アルケニルまたはアルキニル)であり;
2およびR3は、各々独立して、任意選択的に置換されてもよいC125アルキル、C225アルケニルまたはアルキニル;または、一つの実施形態において、任意選択的に、R2およびR3は各々独立してC15アルキル、C25アルケニルまたはアルキニル(例えば、C1、C2またはC3アルキル、アルケニルまたはアルキニル;例えば、メチル、エチルまたはプロピル);または、もう一つの実施形態においてCF3;または、もう一つの実施形態においてアリール、例えばベンジルであり;
Dは、例えばホスホネート基の酸素に結合しているシドフォビルまたは環式シドフォビルである。
【0029】
式V−Xで示される一つの下位実施形態において、
1、W2およびW3は各々独立して−O−、−S−または−O(CO)−であり;
nは0または1;mは0または1;pは0または1であり;
1は、任意選択的に置換されてもよいC18-24アルキルまたはアルケニル(例えば、C18、C19、C20、C21、C22、C23またはC24アルキル)であり;
2およびR3は、各々独立して、任意選択的に置換されてもよいC15アルキルまたはC25アルケニル、ベンジルまたはCF3である;またはC1、C2またはC3アルキル、例えば、メチルまたはエチルであり;
Dは、例えばホスホネート基の酸素を介して結合しているシドフォビルまたは環式シドフォビルである。
【0030】
もう一つの下位実施形態において、シドフォビルまたは環式シドフォビルプロドラッグは下記構造の一つを有する。
【化6A】

【化6B】

1は、置換されてもよいC824アルキル、例えば、C1824アルキル(例えば、C18、C19、C20、C21、C22、C23またはC24アルキル)であり;
2およびR3は、独立して、C15アルキル、ベンジルまたはハロアルキルである;または、例えば、メチル、エチルまたはCF3であり;
Dは、例えばホスホネート基の酸素を介して結合しているシドフォビルまたは環式シドフォビルである。
【0031】
シドフォビルおよび環式シドフォビルの他のプロドラッグとしては、(エチルL−アラニニル)環式シドフォビル、2−(ブチロキシカルボニルフェニル)環式シドフォビル、(フェネチルL−アラニニル)環式シドフォビルおよび(ブチルL−アラニニル)環式シドフォビルが挙げられる。
【0032】
任意選択的に、二以上のシドフォビルおよび/または環式シドフォビルプロドラッグを組み合わせて用いることができる。
【0033】
<併用剤>
本明細書に提供されている方法および組成物において、種々の抗ポックスウイルス化合物を、シドフォビル、環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと共に用いてよい。第2の抗ポックスウイルス剤は、ヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体のような医薬化合物であり得る、または、もう一つの実施形態において、免疫調節性アミノ酸配列または核酸配列のような生物製剤であってもよい。
【0034】
用いることができる抗ポックスウイルス化合物としては、リバビリンのようなIMP脱水素酵素阻害剤;3’−C−メチルシチジンのようなヌクレオシド類似体;アデフォビルのような非環式ヌクレオシドホスホネート;8−メチルアデノシンのような2−,6−および8−アルキル化アデノシン類似体;およびN−メチルイサチン3−チオセミカルバゾンのようなチオセミカルバゾンが挙げられる。例えば、Bray et al.,Antiviral Research 58:101−114(2003)を参照されたい。
【0035】
他の抗オルソポックスウイルス剤としては、ポリアニオン性物質(例えば、ポリアクリル酸、デキストランスルフェート、ペントサンポリスルフェート、ポリビニルアルコールスルフェート、およびポリアクリル酸ビニルアルコールスルフェート)、N−ホスホノアセチル−L−アスパルテト、またはN1−イソニコチノイル−N2−3−メチル−4−クロロベンゾイルヒドラジンが挙げられる。
【0036】
さらなる実施形態において、さらなる抗オルソポックスウイルス剤は、例えば、ワクシニア免疫グロブリン、およびメチサゾン、リババリン、5−ヨード−2’−デオキシウリジン、アデニンアラビノシド、トリフルオロチミジン、ヌクレオシド類似体および、インターフェロンおよびインターフェロン誘導物質のような、天然痘ワクチン接種の病理的可能性を低減させるために用いられる化合物である(例えば、Bell et al.,Virology,325:425−431(2004)を参照されたい)。
【0037】
一つまたは複数のさらなる抗ポックスウイルス剤は、インターフェロン(または、4−ヨード−アンチピリンのようなインターフェロン誘導物質)、ペグ化インターフェロン、インターフェロンα、β、γ、δ、εまたはτ、インターフェロンα2a、インターフェロンアルファコン−1、天然インターフェロン、アルブフェロン、インターフェロンβ−1a、ωインターフェロン、インターフェロンαおよびインターフェロンγ−1bのような生物製剤であってもよい。具体例としては、PEG−INTRON(登録商標)(ペグインターフェロンα−2b)およびREBETOL(登録商標)(リバビリン,USP,Schering Corporation)、INTRON(登録商標)A(インターフェロンα−2b,組換え型,Schering Corporation)、PEGASYS(登録商標)(Roche製ペグ化インターフェロンα−2a)、INFERGEN(登録商標)(インターフェロンアルファコン−1)(InterMune製)、OMNIFERON(登録商標)(天然インターフェロン)(Viragen製)、ALBUFERON(登録商標)(Human Genome Sciences製)、REBIF(インターフェロンβ−1a)(Ares−Serono製)、ωインターフェロン(BioMedicine製)、オーラルインターフェロンα(Amarillo Biosciences製)、インターフェロンγ、インターフェロンτ、およびインターフェロンγ−1b(InterMune製)が挙げられる。
【0038】
もう一つの実施形態において、シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグは、例えば顆粒球マクロファージコロニー刺激因子であるコロニー刺激因子のような免疫調節剤;インターロイキン−1α、インターロイキン−1β、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、インターロイキン−7、インターロイキン−8、インターロイキン−10およびインターロイキン−12のようなインターロイキン;マクロファージ炎症性タンパク質−1α、マクロファージ炎症性タンパク質−1βのようなマクロファージ炎症性タンパク質;およびエリスロポエチンを含む生物製剤と組み合わせてまたは交互に投与することができる。
【0039】
他のさらなる抗ポックスウイルス剤としては、サイトカインおよび免疫賦活性配列(「ISS」)が挙げられる。ISSは、異なる免疫系機能を支配する有効な免疫調節特性を有する異なるヌクレオチド配列を有する短いDNA様分子である。用いることができるISSが、例えば、Coley Pharmaceutical Group et al.に2001年2月27日に発行された米国特許第6,194,388号、2001年3月27日に発行された米国特許第6,207,646号および2001年5月29日に発行された米国特許第6,239,116号に記載されており、その開示内容を本明細書に参照することによって組み込む。用いることができる他のISSが、Dynavax Technologies Corp等に2003年7月8日に発行された米国特許第6,589,940号、2003年5月13日に発行された米国特許第6,562,798号および2001年5月1日に発行された米国特許第6,225,292号に記載されており、その開示内容を本明細書に参照することによって組み込む。他の有用な配列が、WO96/02555;WO98/18810;WO98/40100;WO99/51259;WO00/06588;米国特許第6,218,371号;WO98/52581;WO01/22990;WO01/22972;並びにWO98/55495;WO97/28259;WO98/16247;WO00/21556;およびWO01/12223に記載されており、その開示内容を本明細書に参照することによって組み込む。
【0040】
もう一つの実施形態において、第2の抗オルソポックスウイルス剤は、アデノシン−N(1)−オキシドの類似体および、1−(3−メトキシベンジロキシ)アデノシンおよび1−(4−メトキシベンジロキシ)アデノシンのような1−(ベンジロキシ)アデノシンの類似体から選択することができる。
【0041】
もう一つの実施形態において、抗オルソポックスウイルス剤としては、5’−ノルアリステロマイシン、ネプラノシンAおよびC、炭素環式3−デアザ−アデノシン、9−(2’,3’−ジヒドロキシシクロペンテン−1−イル)アデニン、DHCaA、c3DHCeA、c3DHCaA6’−β−フルオロ−アリステロマイシン、5’−ノルアリステロマイシンおよび、そのエナンチオマーおよびエピマー、3−デアザ−5’−ノルアリステロマイシン、6’−C−メチルネプラノシン、6’−ホモネプラノシン、2−フルオロネプラノシン、6’−ヨードアセチレン性Ado、および3−デアザネプラノシンのようなSAH加水分解酵素阻害剤が挙げられる。
【0042】
一つの実施形態において、第2の抗ポックスウイルス剤は、下記化合物の一つまたは複数から選択される。
・8−メチルアデノシン;
・2−アミノ−7−[(l,3−ジヒドロキシ−2−プロポキシ)メチル]プリン(S2242);
・(S)−9−(3−ヒドロキシ−2−ホスホニルメトキシプロピル)−2,6−ジアミノプリン((S)−HPMPDAP);
・(S)−9−(3−ヒドロキシ−2−ホスホニルメトキシプロピル)アデニン(HPMPA);
・環式HPMPA;
・8−アザ−HPMPA;
・アデニンアラビノシド;
・アデフォビル(PMEA);
・アデフォビルジピボキシル;
・(S)−6−(3−ヒドロキシ−2−ホスホニルメトキシ−プロピル)オキシ−2,4−ジアミノピリミジン((S)−HPMPO−DAPy);
・[(ホスホニルメトキシ)エチル]−N6−(シクロプロピル)DAP(PME−N6−(シクロプロピル)DAP);
・PME−N6−(ジメチル)DAP;
・PME−N6−(トリフルオロエチル)DAP;
・PMEA−N6−(2−プロペニル)DAP;
・ビス(ブチルL−アラニニル)アデフォビル;
・ビス(ブチルL−アラニニル)PME−N6−(シクロプロピル)DAP;
・(イソプロピルL−アラニニル)フェニルPME−N6−(シクロプロピル)DAP;
・ノボビオシン;
・IMP脱水素酵素阻害剤(例えば、リバビリン、5−エチニル−l−β−D−リボフラノシルイミダゾール−4−カルボキサミド(EICAR)、FICAR、チアゾフリンおよびセレナゾール);
・OMP脱炭酸酵素阻害剤(例えば、ピラゾフリンおよび5’−デオキシピラゾフリン);
・CTP合成酵素阻害剤(例えば、シクロペンテニルシトシンおよびカルボジン);
・チミジル酸合成酵素阻害剤(例えば、5−置換2’−デオキシウリジン);
・リファンピン;および
・3’−フルオロ−3’−デオキシアデノシン。
【0043】
任意選択的に、本明細書に記載の抗オルソポックスウイルス剤は、本明細書に開示のプロドラッグ構造を含むプロドラッグの形であるが、これに限定されない。これらの化合物は、例えば、抗ウイルス性ホスホネートプロドラッグ化合物である。そのようなプロドラッグ構造の他の非限定的例が、例えば、米国特許第5,223,263号;米国特許第4,619,794号;日本国特許第61−152694号;米国特許第5,436,234号;米国特許第5,411,947号;米国特許第5,194,654号;米国特許第5,463,092号;米国特許第5,512,671号;米国特許第5,484,911号;米国特許第6,030,960号;米国特許第5,962,437号;米国特許第6,448,392号;米国特許第5,770,584号;米国特許第5,869,468号;米国特許第5,84,228号;米国公開番号2002/0082242;米国公開番号2004/0161398;米国公開番号2004/0259845;WO98/38202;米国特許第5,696,277号;米国特許第6,002,029号;米国特許第5,744,592号;米国特許第5,827,831号;米国特許第5,817,638号;および米国特許第6,252,060号に記載されており、その開示を本明細書に参照することによって組み込む。
【0044】
一つの実施形態において、さらなる抗ポックスウイルス剤は、Siga−246(またはST−246)、または4−トリフルオロメチル−N−(3,3a,4,4a,5,5a,6,6a−オクタヒドロ−l,3−ジオキソ−4,6−エテノシクロプロプ[f]イソインドール−2(lH)−イル)−ベンズアミドである。ST−246は、オルソポックスウイルス複製の有効かつ特異的な阻害剤である。これは、天然痘ウイルスとCDV−抵抗性牛痘ウイルス変異体の2種の菌株を含む、オルソポックスウイルスの多数の種に対して活性である(Yang et al.,2005 J.Virol.79:13139−13149)。抵抗性マッピング研究が、ST−246が、ワクシニアウイルスF13L遺伝子産物に相同性である主要エンベロープタンパク質をコードする牛痘ウイルスV061遺伝子を標的とすることを示している。このタンパク質は、ウイルス粒子の放出可能形を生成するためにゴルジ体通過性または初期のエンドソームコンパートメントに由来するウイルス修飾膜中に細胞内成熟ウイルス(IMV)粒子を包み込むことに関与する(Blasco,R.,and B.Moss.1991.J.Virol.65:5910−5920)。この構造を以下に示す。
【化7】

【0045】
もう一つの実施形態において、本明細書に提供された化合物は、一つまたは複数のさらなる有効成分の前にまたはその後で、投与される。一つの実施形態において、シドフォビル、環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグは順次、または一つまたは複数の抗ポックスウイルス剤と組み合わせて投与される。
【0046】
<エンハンサー>
任意選択的に、本明細書に提供された抗ポックスウイルス剤および組成物は、生物学的利用能向上剤と共に投与してよい。種々の生物学的利用能向上剤を、例えば脂質プロドラッグの脂質基の劣化を低減させることにより抗ポックスウイルス剤の生物学的利用能を向上させるのに有効な量で、投与してもよいし、または医薬組成物中に存在してもよい。
【0047】
「薬剤の生物学的利用能」は、経時的に全身で利用可能な薬剤の合計量を意味する。薬剤生物学的利用能は、腸内での薬剤生体内変換を阻害することにより、および/または、腸上皮を通過する薬剤の正味輸送を低下させる腸内での活動的輸送システムを阻害することにより、および/または、肝臓内での薬剤生体内変換を低下させることにより、増加させることができる。抗ウイルス薬の薬剤生物学的利用能を増加させる化合物は、ここで、バイオエンハンサーと呼ばれる。
【0048】
所定の化合物が、バイオエンハンサーに求められる阻害または結合特性を有するかどうかを決めるバイオアッセイを用いて、使用することができる化合物を確認することができる。
【0049】
一つの実施形態において、生物学的利用能エンハンサーは、シトクロムP450酵素の一つのような薬剤生体内変換に関わる酵素の阻害剤または基質である。一つの実施形態において、エンハンサーは、例えばケトコナゾールまたはトロレアンドマイシンであるイミダゾール抗真菌剤のような真菌剤;エリスロマイシンのようなマクロライド;ニフェジピンのようなカルシウムチャンネルブロッカー;またはゲストデンのようなステロイドである。任意選択的に、この化合物は、グレープフルーツで見られるナリンゲニンのようなシトクロムP450 3A(CYP3A)の阻害剤である。
【0050】
薬剤生体内変換に含まれる酵素または受容体の活性を呈する薬剤を使用してもよい。一つの実施形態において、活性を低下させ得る酵素はシトクロムP450酵素であり、特に、酵素のCYP3ファミリーである。
【0051】
特に、薬剤および環境化合物により、シトクロムP450酵素の活性を阻害する、またはシトクロムP450酵素を不活性化することができる。これは、同じシトクロムP450の基質間の競合的阻害、活性部位以外のシトクロムP450上の部位に結合する薬剤による阻害、および薬剤の代謝中に形成される反応性中間体によるシトクロムP450の自殺的不活性化を含む。例えば、阻害剤は、CYP3A薬剤生体内変換の競合的、非競合的、競合禁止的、混合または不可逆的阻害剤として作用することにより機能することができる。阻害剤は、共有結合によりまたはイオン性もしくは極性引力により保護される薬剤に結合することにより作用してもよい。
【0052】
CYP3Aの活性は、CYP3A基質からの反応生成物のCYP3Aで触媒した生成として定義される。CYP3A用の基質は、天然産基質または、表1に列挙するもののような他の化合物であり得る。さらに、表1に列挙するCYP3A阻害剤の一部が、表に示すような基質として確認された。阻害に供されるCYP3Aの触媒活性には、脱アルキル酵素、酸化酵素および加水分解酵素活性が含まれる。CYP3Aの異なる触媒活性に加えて、所定の範囲の分子量のCYP3Aの異なる形が存在する(例えば、Komori et al.,J.Biochem.1988,104:912−16に示されるように51kD〜54kD)。表1に列挙される化合物、特に阻害剤を、本明細書に記載の方法および組成物においてエンハンサーとして用いることができる。
【0053】
【表1】

【0054】
特定の実施形態において、エンハンサーは、パロキセチン、フルオキセチン、セルトレリン、フルボキサミン、ネファゾドン、ベンラファキシン、シメチジン、フルフェナジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、ジルチアゼム、メトロニダゾール、トロレアンドミアン、ジスルフィラム、セントジョーンズワートおよびオメプラゾールのようなCYA酵素の阻害剤である。
【0055】
エンハンサーとしては、例えば、抗ウイルス性タンパク質分解酵素阻害剤、例えば、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル;および抗真菌性剤、例えば、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾールおよびミコナゾールが挙げられる。
【0056】
他のエンハンサーとしては、マクロライド類、例えば、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ノルトリプチリン、リグノカインおよびアンリオダロンが挙げられる。
【0057】
他のエンハンサーとしては、17−エチニル置換されたステロイド、例えば、ゲストデン、エチニル−エストラジオール、メトキサレンおよびレボノルゲストロールが挙げられる。
【0058】
他のエンハンサーとしては、ケルセチンおよびナリンゲニンのようなフラボン類、およびエチニルエストラジオールおよびプレドニゾロンのような他の化合物が挙げられる。
【0059】
一つの実施形態において、生物学的利用能向上剤は、P−糖タンパク質(P−gp)媒介膜輸送の阻害剤である。
【0060】
もう一つの実施形態において、生物学的利用能向上剤はシクロスポリンAx、活性ブロッカーGF120918(エラクリダル)、LY335989(ゾスキダル)、バルスポダル(PSC833)、ビリコダル(VX710)またはR101933である。
【0061】
当分野で利用できる活性エンハンサー用のテストを用いて、適当な化合物を選択することができる。例えば、酵素阻害を測定することができる。一つの実施形態において、肝細胞または腸細胞の培養細胞、または肝臓または腸から新しく調製された細胞を用いて、化合物がCYP3A阻害剤として作用する性能を決めることができる。Watkins et al.,J.Clin.Invest.1985;80:1029−36の方法のような腸上皮細胞単離の種々の方法を用いることができる。Schmiedlin−Ren,P.et al.,Biochem.Pharmacol.1993;46:905−918に記載のような培養細胞を用いることもできる。細胞中のCYP3A代謝産物の生成は、CYP3A活性のミクロソームアッセイについて以下のセクションに記載のように、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて測定することができる。
【0062】
肝細胞または腸細胞からのミクロソームを、CYP3Aアッセイのために用いることもできる。ミクロソームは、Kronbach et al.,Clin.Pharmacol.Ther 1988;43:630−5に記載のような従来法を用いて、肝臓から調製することができる。あるいは、ミクロソームは、Watkins et al.,J.Clin.Invest.1987;80:1029−1037の方法を用いて、単離腸細胞から調製することができる。腸上皮細胞からのミクロソームを、Bonkovsky,H.L.et al.,Gastroenterology 1985;88:458−467に記載のようなカルシウム沈澱を利用して調製することもできる。ミクロソームを薬剤と共にインキュベーションし、代謝産物を時間の関数としてモニターすることができる。さらに、組織サンプル中のこれらの酵素の水準を、放射線免疫アッセイまたはウエスタンブロットを用いて測定することができる。単離されたミクロソームを用いて、CYP3A薬剤生体内変換の阻害を決めることができる。通常、薬剤はCYP3Aの基質である。阻害剤の添加は、CYP3Aが薬剤代謝を触媒する性能を低下させる。このアッセイにおいて確認される阻害剤は、CYP3A機能の阻害剤であり、基質触媒作用を低下させる。代謝産物の生成は、高圧液体クロマトグラフィーシステム(HPLC)を用いてモニターすることができ、保持時間に基づいて確認することができる。CYP3A活性は、Wrighton et al.,Mol.Pharmacol.1985;28:312−321およびNash,T.,Biochem.J.,1953;55:416−421に記載のように、ホルムアルデヒドの生成としてエリスロマイシン脱メチル化酵素活性を熱量により測定することによりアッセイすることもできる。
【0063】
<治療方法>
ポックスウイルス感染を治療、予防または改善する方法が提供される。これらの方法の実行において、有効量のシドフォビル、環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと一つまたは複数の他の抗オルソポックスウイルス剤とを、順次または組み合わせて投与する。化合物は、任意選択的な所望の方法において、例えば、経口、直腸内、経鼻、局所(口腔内および舌下を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、皮下、静脈内、皮内、眼球内、気管内、嚢内、腹腔内および硬膜外)投与により投与することができる。
【0064】
一つの実施形態において、CDV、cCDV、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグ、および一つまたは複数の他の抗ポックスウイルス剤を、大疱瘡および小痘瘡、ワクシニア、伝染性軟属腫、羊鷲口瘡(伝染性膿ほう)、天然痘、牛痘、ラクダ痘、マウス痘、ウサギ痘およびサル痘のようなオルソポックスウイルスから生じるウイルス感染の治療または予防に有効な量で投与する。
【0065】
そのようなオルソポックス感染を治療するための治療有効投与量は、約0.1ng/mlから約50−100μg/mlの抗ウイルス剤の血漿濃度を提供するはずである。もう一つの非限定的実施形態において、これら医薬組成物は、化合物約0.001mg〜約2000mg/日/kg体重の投与量を提供する。医薬投与単位形は、投与単位形当たり、一つの非限定的実施形態において、約0.01mg、0.1mgまたは1mg〜約500mg、1000mgまたは2000mg、および一つの実施形態において、約10mg〜約500mgの有効成分または必須成分の組み合わせを提供するように調製される。
【0066】
一部の実施形態において、CDV、cCDV、塩、エステルまたはプロドラッグ、および生物製剤を、異なる投与経路により投与する。すなわち、一つを経口投与し、一つを静脈内のような他の経路により投与してよい。一部の実施形態において、シドフォビル化合物を、適当な医薬キャリアに含ませて、例えば静脈内または非経口投与される生物製剤と組み合わせてまたは交互に、経口投与する。
【0067】
与えられる投与量は、薬剤の吸収率、不活性化および排泄率、並びに当業者に公知の他の因子に依存する。投与量は、緩和すべき症状の重症度によっても変化することに注目すべきである。特定の被験者について、組成物の投与を管理または監督している人の専門家としての判断および個々の必要性に従って、特定の投与方式およびスケジュールを経時的に調節すべきことを、さらに理解すべきである。
【0068】
<抗ウイルス性化合物の合成>
当分野で利用できる方法を用いて、抗ウイルス性化合物およびそのプロドラッグを合成することができる。米国特許第6,716,825号の開示内容を本明細書に参照することにより組み込み、そこに記載のように、本明細書に提供された抗ウイルス性化合物をスキームI〜IIに一般的に示されるように種々の方法により調製することができる。以下に記載の一般的なホスホネートエステル化法は、説明の目的のみで提供され、決して限定的であると見なすべきでない。実際、ホスホン酸のアルコールとの直接縮合のために幾つかの方法が開発された(例えば、R.C.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH,New York,1989年,966およびそこに引用されている参考文献を参照されたい)。実施例に記載の化合物および中間体の単離および精製は、要すれば、例えば濾過、抽出、結晶化、フラッシュカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、蒸留またはこれらの手順の組み合わせのような任意の適当な分離または精製手順により行うことができる。適当な分離および単離手順の具体的説明が、以下の実施例になされている。他の同等の分離および単離手順も、もちろん、用いることができる。
【0069】
スキームIは、シドフォビル、環式シドフォビルおよび他のホスホネートのアルキルグリセロールまたはアルキルプロパンジオール類似体の一般的合成を説明している。2,3−イソプロピリデングリセロール,1を、ジメチルホルムアミド中のNaHで処理し、続いてアルキルメタンスルホネートと反応させることによりアルキルエーテル,2を生成し、酢酸で処理することによりイソプロピリデン基を除去し、続いてピリジン中の塩化トリチルと反応させることにより中間体3を生成し、中間体3をハロゲン化アルキルでアルキル化して化合物4を得、80%酢酸水溶液でトリチル基を除去することによりO,O−ジアルキルグリセロール5を得、化合物5を臭素化し、続いて環式シドフォビルまたは他のホスホネート含有ヌクレオチドのナトリウム塩と反応させることにより所望のホスホネート付加物7を得、環式付加物を、水酸化ナトリウム水溶液と反応させることにより開環する。好ましいプロパンジオール種を、スキームI中の化合物5を1−O−アルキルプロパン−3−オールに置き換えることにより合成することができる。スキームIの反応(f)においてcCDVをそれらのヌクレオチドホスホネートに置き換えることによりテノフォビルおよびアデフォビル類似体を合成することができる。同様に、他のヌクレオチドホスホネートをこのようにして形成することができる。
【化8】

スキームI
試薬:a)NaH,R1OSO2Me,DMF,b)80%酢酸水溶液,c)塩化トリチル,ピリジン;d)NaH,R2−−B4,DMF,3)CBr4;トリフェニルホスフィン,THF,f)環式シドフォビル(DCMC塩),DMF;g)0.5N NaOH
【0070】
スキームIIは、例として、1−O−ヘキサデシルオキシプロピル−アデフォビルを用いてヌクレオチドホスホネートを合成するための一般的方法を説明している。ヌクレオチドホスホネート(5mmol)を、無水ピリジン中に懸濁させ、アルコキシアルカノールまたはアルキルグリセロール誘導体(6mmol)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,10mmol)を加える。混合物を加熱還流し、薄層クロマトグラフィーによりモニターされるように縮合反応が完了するまで激しく攪拌する。次に、混合物を冷却し濾過する。濾液を減圧下に濃縮し、残渣をシリカゲル上に吸着し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(約9:1のジクロロメタン/メタノールで溶離)により精製して、対応するホスホネートモノエステルを生成する。
【化9】

スキームII
【0071】
<定義>
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、特記しない限り、例えばC1-100のまたは例えばC1-22の飽和した直鎖、分岐もしくは環式の1級、2級または3級炭化水素を含み、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、secブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、シクロオクチル、ドデシル、トリデシル、ペンタデシル、イコシル、ヘミコシルおよびデコシルを含む。アルキル基は、任意選択的に、当業者に公知のように、例えば、Greene et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,second edition 1991(本明細書に参照することにより組み込む)に教示のように、例えば、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルフェート、ホスホン酸、ホスフェートまたはホスホネート(非保護または必要により保護されている)により置換されていてもよい。
【0072】
所定範囲の炭素原子に言及したとき、これは独立かつ別々にその範囲の全ての構成要素を含む。非限定的例として、「C1〜C10アルキル」という用語は、独立して、群の各構成要素を含むと考えられ、例えば、C1〜C10アルキルは直鎖、分岐および、適当な場合には環式のC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9およびC10アルキル官能基を含む。
【0073】
本明細書で用いられる「保護される」という用語は、特記しない限り、さらなる反応を防止するためまたは他の目的で酸素、窒素またはリン原子のような原子に付加される基を含む。種々の酸素および窒素保護基が、有機合成の当業者に公知である。
【0074】
本明細書で用いられる「ハロ」という用語は、具体的に、クロロ、ブロモ、ヨードおよびフルオロを含む。
【0075】
「アルケニル」という用語は、少なくとも一つの二重結合を有する例えばC2-100またはC2-22の直鎖、分岐または環式炭化水素を含む。例えば、ビニル、アリルおよびメチル−ビニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は、任意選択的に、アルキル基について前述したものと同じ方法で置換することができる。
【0076】
「アルキニル」という用語は、少なくとも一つの三重結合を有する例えばC2-100またはC2-22の直鎖または分岐炭化水素を含む。アルキニル基は、任意選択的に、アルキル基について前述したものと同じ方法で置換することができる。
【0077】
「アルコキシ」という用語は、−O−アルキルの構造を有する部分を含む。
【0078】
「アシル」という用語は、式R’C(O)(式中、R’は直鎖、分岐または環式の置換または非置換アルキルまたはアリールである)で示される基を含む。
【0079】
本明細書で用いられる「アリール」は、6〜14個の範囲の炭素原子を有する芳香族基を含み、「置換アリール」は、前述した一つまたは複数の置換基をさらに有するアリール基に言及する。
【0080】
本明細書で用いられる「結合」または「原子価結合」という用語は、電子対からなる原子の間の結合を含む。
【0081】
本明細書で用いられる「宿主」という用語は、特記しない限り、治療を必要としている哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ、マウス等)、ヒト、または他の生命体を含む。宿主は、例えば、ヒトまたは、限定はされないが、マカクおよびヒヒ、並びにチンパンジー、ゴリラおよびオランウータンを含む霊長類;ヒツジ、ヤギ、シカおよびウシ、例えば、雌牛、去勢牛、雄牛(bull)、雄牛(ox)を含む反芻動物;豚(pig)を含むブタ類;およびニワトリ、シチメンチョウ、アヒルおよびガチョウを含む家禽類、を含む動物である。
【0082】
本明細書で用いられる「医薬的に許容される塩」という用語は、特記しない限り、深遠な医学的判断の範囲において不適切な毒性、刺激、アレルギー反応等を起こすことなく宿主の組織と接触して用いるのに適していると共に、合理的利益/危険比に相応し意図する用途に効果的である塩を含む。これらの塩は、組成物の一つまたは複数の化合物の最終的単離および精製中にin situ(インサイチュー)で調製することができる、または、遊離塩基を適当な有機酸と反応させることにより別々に調製することができる。医薬的に許容されない酸および塩基も、ここで、例えば、意図する化合物の合成および/または精製において用いられる。そのような塩の非限定的例は、(a)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等)と形成される酸付加塩、および酢酸、蓚酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸等のような有機酸と形成される塩;(b)亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、銅、ニッケル等のような金属のカチオンと形成される塩基付加塩;(c)(a)と(b)との組み合わせである。「医薬的に許容される塩」としてアミン塩も含まれる。
【0083】
本明細書で用いられる「医薬的に許容されるエステル」という用語は、特記しない限り、深遠な医学的判断の範囲において不適切な毒性、刺激、アレルギー反応等を起こすことなく宿主の組織と接触して用いるのに適していると共に、合理的利益/危険比に相応し意図する用途に効果的である一つまたは複数の化合物のエステルを含む。
【0084】
「医薬的に許容されるプロドラッグ」という用語は、宿主中で代謝、例えば、加水分解または酸化されて活性化合物を形成する化合物を含む。プロドラッグの典型的例として、活性化合物の官能性部分の上に生物学的に不安定な保護基を有する化合物が挙げられる。プロドラッグとして、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱加水分解、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化または脱リン酸化されて活性化合物を生成することができる化合物が挙げられる。
【0085】
本明細書で用いられる「エナンチオマーに富む」という用語は、一つのエナンチオマーが過剰に、好ましくは95%以上、より好ましくは100%を含む98%以上の程度に存在するエナンチオマーの混合物である化合物に言及する。
【0086】
「有効量」という用語は、本明細書に提供される疾患または障害の一つまたは複数の症状の予防、治療または改善に必要な量を含む。
【0087】
本明細書に開示の化合物はキラル中心を含み得ると理解すべきである。そのようなキラル中心は、(R)または(S)配置である、またはそれらの混合であってもよい。すなわち、本明細書に提供される化合物は、エナンチオマー的に純粋、エナンチオマーに富む、または立体異性もしくはジアステレオマー混合物であってもよい。化合物の開示は、ここで、好ましくは本明細書に記載された有用な特性を有するラセミ、光学活性、多形または立体異性形、あるいはそれらの混合を含むと解され、本明細書に記載の標準的テストを用いてまたは当分野において周知の他の類似のテストを用いてどのように光学活性形を調製するかおよびどのように活性を決めるかが、当分野において周知である。これらの化合物の光学異性体を得るために用いることができる方法の例には以下のものがある。
i)結晶の物理的分離:個々のエナンチオマーの肉眼で見える結晶を手作業で分離する技術。別々のエナンチオマーの結晶が存在する、すなわち、材料が集合体であり、結晶が視覚的に識別できる場合、この技術を用いることができる。
ii)同時結晶化:ラセミ体の溶液から個々のエナンチオマーを別々に結晶化する技術であり、後者が固体状態の集合体である場合にのみ可能である。
iii)酵素的分解:エナンチオマーと酵素との異なる反応速度故に、ラセミ体を部分的または完全に分離する技術。
iv)酵素的非対称合成:合成の少なくとも一つのステップが酵素反応を利用して、所望のエナンチオマーの、エナンチオマー的に純粋または富む合成前駆体を得る合成技術。
v)化学的非対称合成:キラル触媒またはキラル助剤を用いて達成することができる、生成物中に非対称(すなわち、キラリティー)を形成する条件下にアキラル前駆体から所望のエナンチオマーを合成する合成技術。
vi)ジアステレオマー分離:ラセミ化合物をエナンチオマー的純粋試薬(キラル助剤)と反応させて個々のエナンチオマーをジアステレオマーに転化する技術。得られるジアステレオマーを、次に、その時点ではより明らかである構造的相違故にクロマトグラフィーまたは結晶化により分離し、後にキラル助剤を除去して、所望のエナンチオマーを得る。
vii)一次または二次非対称変換:ラセミ体からのジアステレオマーが平衡して、所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの溶液が優勢になる、または所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの選択的結晶化が平衡を乱して、それにより、最終的に全ての材料が、所望のエナンチオマーから結晶性ジアステレオマーに転化する技術。次に、所望のエナンチオマーを、ジアステレオマーから放出する。
viii)動的分解:この技術は、動的条件下においてエナンチオマーとキラル、非ラセミ試薬または触媒との反応速度が不均一であるため、ラセミ体の部分的または完全な分解(または、部分的に分解された化合物のさらなる分解)が達成されるものである。
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオ選択的合成:非キラル出発材料から所望のエナンチオマーが得られると共に、合成中に立体化学的完全性が損なわれないまたは最少限にしか損なわれない合成技術である。
x)キラル液体クロマトグラフィー:固定相との異なる相互作用故に、液体移動相中でラセミ体のエナンチオマーが分離される技術。固定相をキラル材料から作ることができる、または、移動相が、異なる相互作用を引き起こすさらなるキラル材料を含むことができる。
xi)キラルガスクロマトグラフィー:ラセミ体が蒸発され、エナンチオマーが、固定された非ラセミキラル吸着剤相を含むカラムを有する気体移動相中における異なる相互反応故に分離される技術。
xii)キラル溶媒を用いた抽出:一つのエナンチオマーの、特定のキラル溶媒中への選択的溶解故に、エナンチオマーが分離される技術。
xiii)キラル膜を通過する輸送:ラセミ体を薄膜障壁と接触して配する技術。障壁は典型的には2つの混和性流体を分け、一方はラセミ体を含み、濃度または圧力相違のような駆動力が、膜障壁を通過する選択的輸送を引き起こす。ラセミ体の一方のエナンチオマーのみを通過させる膜の非ラセミキラル性の結果として分離が起こる。
【0088】
<医薬組成物>
本明細書に提供された化合物および生物製剤の投与に適した医薬キャリアとしては、本明細書に記載されたものを含む特定の投与形式に適していると当業者により知られている任意のキャリアが挙げられる。化合物は、組成物中の単独の医薬的有効成分として調製、または、他の有効成分と組み合わせてもよい。
【0089】
本明細書に開示された化合物を含む組成物は、経口、直腸内、経鼻、局所(口腔内および舌下を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、皮下、静脈内、皮内、眼球内、気管内、嚢内、腹腔内および硬膜外)投与に適している。
【0090】
これらの組成物は、単位投与形で存在するのが都合良く、従来の医薬技術により調製してよい。そのような技術は、本明細書に提供された一つまたは複数の組成物、および一つまたは複数の医薬キャリアまたは賦形剤を組み合わせるステップを含む。
【0091】
化合物は、経口投与用に溶液、懸濁液、錠剤、分散性錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放性製剤またはエリキシル、非経口投与用に滅菌溶液または懸濁液、並びに、経皮パッチ製剤および乾燥粉末吸入剤に調製することができる。一つの実施形態において、上述の化合物は、当分野において周知の技術および手順を用いて医薬組成物に調製される(例えば、Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,Fourth Edition 1985,126)。
【0092】
この組成物中、有効濃度の一つまたは複数の化合物または医薬的に許容されるその誘導体を、一つまたは複数の適当な医薬キャリアと混合することができる。化合物を、調製前に、対応する塩、エステル、エノールエーテルまたはエステル、アセタール、ケタール、オルソエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物またはプロドラッグとして誘導してよい。組成物中の化合物の濃度は、投与時に、標的疾患または障害の一つまたは複数の症状を治療、予防または改善する量を送達するのに効果的なものである。一つの実施形態において、組成物は単回投与用に調製される。組成物の調製のために、化合物の一部を、治療症状が緩和、予防、または一つまたは複数の症状が改善されるような効果的な濃度で、選択されたキャリアに溶解、懸濁、分散または他の方法で混合する。
【0093】
経口投与に適した組成物は、限定はされないが各々が所定量の一つまたは複数の組成物を含む錠剤、カプレット、ピル、糖衣錠カプセル、またはカシェ剤のような個別の単位として;粉末または顆粒として;水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液として;または水中油液体エマルジョンまたは油中水エマルジョンとして、あるいはボーラス等として存在してよい。
【0094】
液体の医薬的に投与可能な組成物は、例えば、先に定義した活性化合物および任意の医薬アジュバントを、例えば水、塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノール等のようなキャリア中に溶解、分散または他の方法で混合して溶液または懸濁液を形成することにより調製することができる。要すれば、投与すべき医薬組成物は、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤、防腐剤、風味料等のような非毒性助剤物質、例えば、酢酸塩、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、酢酸トリエタノールアミンナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミンおよび他のそのような薬剤の少量を含んでもよい。そのような投与形を調製する方法は当業者に公知である、または明らかであり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,15th Edition,1975を参照されたい。
【0095】
口内の局所投与に適した本発明の組成物としては、例えば、風味基材、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に成分を有するロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアのような不活性基材中に本発明の一つまたは複数の組成物を有する香剤;および適当な液体キャリア中に投与される本発明の一つまたは複数の組成物を有するうがい薬が挙げられる。
【0096】
錠剤、ピル、カプセル、トローチ等は、一つまたは複数の以下の成分または同様の性質の化合物を含むことができる。バインダー;潤滑剤;希釈剤;流動促進剤;崩壊剤;着色剤;甘味料;風味料;湿潤剤;催吐被覆剤;およびフィルム被覆剤。バインダーとしては、例えば、微結晶性セルロース、トラガカントガム、グルコース溶液、アラビアゴム粘液、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリビニルピロリジン、ポビドン、クロスポビドン、スクロースおよび澱粉ペーストが挙げられる。潤滑剤としては、タルク、澱粉、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、リコポディウムおよびステアリン酸が挙げられる。希釈剤としては、例えば、ラクトース、スクロース、澱粉、カオリン、塩、マンニトールおよび燐酸二カルシウムが挙げられる。流動促進剤としては、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられるが、これに限定されない。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸ナトリウム澱粉、アルギン酸、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、ベントナイト、メチルセルロース、寒天およびカルボキシメチルセルロースが挙げられる。着色剤としては、例えば、認可された水溶性FDおよびC染料、その混合物;およびアルミナ水和物上に懸濁された水不溶性FDおよびC染料が挙げられる。甘味料としては、スクロース、ラクトース、マンニトールおよび、サッカリンのような人工甘味料、および任意の数の噴霧乾燥風味剤が挙げられる。風味料としては、果実のような植物から抽出された天然風味剤、および、限定はされないがペパーミントおよびサリチル酸メチルのような心地よい感覚を生じさせる化合物の合成ブレンドが挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウラルエーテルが挙げられる。催吐被覆剤としては、脂肪酸、脂肪、ワックス、シェラック、アンモニア処理したシェラック、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。フィルム被覆剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。
【0097】
皮膚への局所投与に適した組成物は、医薬的に許容されるキャリア中に投与された一つまたは複数の組成物を有する軟膏、クリーム、ゲルおよびペーストとして提供されてよい。
【0098】
直腸内投与用の組成物は、例えばココアバターまたはサリチル酸塩を含む適当な基材を含む坐剤として提供されてよい。
【0099】
経鼻投与に適した組成物としては、キャリアが固形物である場合、鼻から吸う方式で(すなわち、鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻腔を通して迅速に吸引することにより)投与される粒径が例えば20〜500μmである粗粉末が挙げられる。キャリアが液状物(例えば、鼻腔用スプレーまたは点鼻剤)である場合、一つまたは複数の組成物を水溶液または油溶液中で混合することができ、鼻腔内に吸引または噴霧する。
【0100】
膣内投与に適した組成物は、一つまたは複数の組成物および適当なキャリアを含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡または噴霧製剤として提供されてよい。
【0101】
非経口投与に適した組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図する被験者の血液と等張にする溶質を含んでよい水性および非水性滅菌注射溶液;および懸濁剤および増粘剤を含んでよい水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。組成物は、単位投与または多数回投与容器、例えば、密封アンプルおよびバイアル中に提供されてよく、また、使用直前になって初めて滅菌液体キャリア、例えば、注射用水を加えることを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥)条件下に貯蔵してよい。即時注射溶液および懸濁液を、既に上述した種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0102】
腸内または非経口投与に適した医薬用有機または無機固体または液体キャリア媒体を用いて、組成物をつくることができる。ゼラチン、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物および動物油脂、ガム、ポリアルキレングリコール、水、または他の公知のキャリアは、全て、キャリア媒体として適している。
【0103】
組成物を、一つまたは複数の医薬的に許容されるキャリア媒体および/または賦形剤と組み合わせて、有効成分として用いることができる。本明細書で用いられる「医薬的に許容されるキャリア」としては、所望の特定の投与形に適した、任意のおよび全てのキャリア、溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘または乳化剤、防腐剤、固体バインダー、潤滑油、アジュバント、ビヒクル、送達系、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、風味料、甘味料等が挙げられる。
【0104】
さらに、組成物は、医薬的に許容される賦形剤、および任意選択的に、生分解性ポリマーのような徐放性マトリクスと組み合わせて、治療組成物を形成してよい。「医薬的に許容される賦形剤」としては、非毒性固体、半固体または液体充填剤、希釈剤、封入材または任意のタイプの調製助剤が挙げられる。
【0105】
しかしながら、組成物の合計日用量は、担当医により深遠な医学的判断の範囲において決められると解される。任意の特定の宿主に対する特異的治療有効投与量水準は、例えば、治療される疾患および疾患の重症度;用いられる特定の組成物の活性;用いられる特定の組成、患者の年齢、体重、全身的健康状態、性別および食事;投与時間;投与経路;用いられる特定の化合物の排泄率;治療の継続時間;用いられる特定の組成物と組み合わせてまたは同時に用いられる薬剤;および医薬分野において周知の同様の因子、を含む種々の因子に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するために必要なものより低い水準で組成物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を次第に増加させることは、充分に当分野の範囲内である。
【0106】
組成物は、好ましくは、投与の容易性および投与の均一性のために投与単位形で調製される。本明細書で用いられる「投与単位形」は、治療すべき宿主に適した組成物の物理的に個別の単位を意味する。各投与単位は、そのものとして、または選択された医薬キャリア媒体と組み合わされて、所望の治療効果を生じるように計算された量の組成物を含むべきである。
【0107】
単位投与製剤の例は、投与された成分の日用量または単位、日部分用量、またはその適当な部分を含むものである。投与量は、体重、年齢、表面積、代謝、組織分布、吸収速度および排泄率のような宿主因子に依存する。本明細書に記載の条件の全てに対する全身投与量は、単回日用量または分割日用量として0.01mg/kg〜2000mg/kg体重/日の範囲である。局所投与用の典型的投与量は、活性化合物0.001〜100重量%の範囲である。
【0108】
治療有効投与量水準は、前述のような多くの因子に依存する。さらに、比較的低い水準で組成物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を増加させることは充分に当分野の範囲内である。
【0109】
本明細書に開示の化合物を含む組成物は、酵素的または酸系加水分解によりあるいは溶解により分解されるポリマーが通常的である材料から作ることができる徐放性マトリクスと一緒に用いることができる。一旦、体内に挿入されると、マトリクスは、酵素および体液により作用を受ける。徐放性マトリクスは、例えば、リポソーム、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリラクチド・コグリコリド(乳酸とグリコール酸のコポリマー)、ポリ無水物、ポリ(オルソ)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、硫酸コンドロイチン、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖類、核酸、ポリアミノ酸、アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンおよびシリコーンのような生物適合性材料から選択される。好ましい生分解性マトリクスは、ポリラクチド、ポリグリコリドまたはポリラクチド・コグリコリド(乳酸とグリコール酸のコポリマー)のいずれか一つのマトリクスである。
【0110】
化合物は、リポソームの形で投与してもよい。当分野で公知のように、リポソームは、通常、リン脂質または他の脂質物質から誘導される。リポソームは、水性媒体中に分散された単−または多−薄板状水和液晶から形成される。リポソームを形成することができる任意の非毒性の生理学的に許容されると共に代謝可能な脂質を用いることができる。リポソームは、一つまたは複数の本発明の組成物に加えて、安定化剤、防腐剤、賦形剤等を含むことができる。脂質は、例えば、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)であり、天然物および合成物の両方を含む。リポソームを形成する方法は当分野で公知である。
【0111】
組成物は、吸引のような用途のためにエアロゾルとして調製してよい。気道への投与のためのこれらの製剤は、噴霧器用のエアロゾルまたは溶液の状態で、または吸入用の微小粉末として、単独で、またはラクトースのような不活性キャリアと組み合わせて存在し得る。そのような場合、製剤の粒子は、一つの実施形態において、直径が50μm未満であり、一つの実施形態において、10μm未満である。
【0112】
本明細書に開示の化合物を含む組成物は、前述の症状の治療のための他の組成物および/または手順と組み合わせて用いることができる。
【0113】
本発明は、以下の非限定的実施例によりさらに理解される。
【実施例1】
【0114】
(米国特許第6,716,825号に記載)
環式シドフォビルのヘキサデシルオキシプロピル、オクタデシルオキシプロピル、オクタデシルオキシエチルおよびヘキサデシルエステルの合成
N,N−DMF(25mL)中にシドフォビル(1.0g,3.17mmol)の攪拌下の懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシル−4−モルフォリンカルボキサミジン(DCMC,1.0g,3.5mmol)を加えた。混合物を一晩攪拌して、シドフォビルを溶解した。次に、この透明溶液を、付加漏斗に充てんし、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.64g,7.9mmol)の攪拌下の熱いピリジン溶液(25mL,60℃)にゆっくり加えた(30分間)。この反応混合物を100℃で16時間攪拌し、次に、室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、シリカゲル上に吸着させ、グラジエント溶離(CH2Cl2+MeOH)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。UV活性生成物を、最終的に、5:5:1 CH2Cl2/MeOH/H2Oで溶離した。溶媒を蒸発させて、白色固形物860mgを得た。1Hおよび31P NMRスペクトルは、これが、環式シドフォビルのDCMC塩であると示した(収率=44%)。
【0115】
無水DMF(35mL)中に環式シドフォビル(DCMC塩)(0.5g,0.8mmol)の溶液に、l−ブロモ−3−ヘキサデシルオキシプロパン(1.45g,4mmol)を加え、混合物を攪拌し、80℃で6時間加熱した。次に、溶液を真空で濃縮し、残渣をシリカゲル上に吸着し、グラジエント溶離(CH2Cl2+EtOH)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。アルキル化生成物を、90:10 CH2Cl2/EtOHで溶離した。純粋な生成物を含むフラクションを蒸発させて、HDP−環式シドフォビル260mgを得た(収率55%)。
【0116】
無水DMF(35mL)中に環式シドフォビル(DCMC塩)(1.0g,3.7mmol)の溶液に、l−ブロモ−3−オクタデシルオキシプロパン(2.82g,7.2mmol)を加え、混合物を攪拌し、85℃で5時間加熱した。次に、溶液を真空で濃縮し、残渣をシリカゲル上に吸着し、グラジエント溶離(CH2Cl2+MeOH)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。アルキル化生成物を、9:1 CH2Cl2/MeOHで溶離した。純粋な生成物を含むフラクションを蒸発させて、ODP−環式シドフォビル450mgを得た。
【0117】
無水DMF(35mL)中にcCDV(DCMC塩)(1.0g,3.7mmol)の溶液に、l−ブロモ−3−オクタデシルオキシエタン(3.0g,7.9mmol)を加え、混合物を攪拌し、80℃で4時間加熱した。次に、溶液を真空で濃縮し、残渣をシリカゲル上に吸着し、グラジエント溶離(CH2Cl2+MeOH)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。アルキル化生成物を、9:1 CH2Cl2/MeOHで溶離した。純粋な生成物を含むフラクションを蒸発させて、オクタデシルオキシエチル−cCDV320mgを得た。
【0118】
無水DMF(35mL)中に環式シドフォビル(DCMC塩)(0.5g,0.8mmol)の溶液に、l−ブロモ−ヘキサデカン(1.2g,4mmol)を加え、混合物を攪拌し、80℃で6時間加熱した。次に、溶液を真空で濃縮し、残渣をシリカゲル上に吸着し、グラジエント溶離(CH2Cl2+MeOH)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。アルキル化生成物を、9:1 CH2Cl2/MeOHで溶離した。純粋な生成物を含むフラクションを蒸発させて、ヘキサデシル−cCDV160mgを得た。
【実施例2】
【0119】
(米国特許第6,716,825号に記載)
シドフォビルのヘキサデシルオキシプロピル、オクタデシルオキシプロピル、オクタデシルオキシエチルおよびヘキサデシルエステルの合成
前記手順からのヘキサデシルオキシプロピル−環式CDVを、0.5MのNaOHに溶解し、室温で1.5時間攪拌した。次に、50%酢酸水溶液を滴下して、pHを約9に調節した。沈澱したHDP−CDVを濾過により単離し、水で濯ぎ、乾燥し、次に、再結晶(3:1 p−ジオキサン/水)してHDP−CDVを得た。
【0120】
同様に、オクタデシルオキシプロピル、オクタデシルオキシエチルおよびヘキサデシルcCDVエステルを、0.5MのNaOHを用いて加水分解し、精製して対応するシドフォビルジエステルを得た。
【実施例3】
【0121】
(米国特許第6,716,825号に記載)
インビトロでのポックスウイルス複製へのHDP−cCDVの効果
ワクシニアウイルスまたはウシ痘ウイルスに感染したヒト包皮線維芽細胞における抗ウイルス活性についてシドフォビル(CDV)、環式シドフォビル(cCDV)、および1−O−ヘキサデシルプロパンジオール−3−cCDV(HDP−cCDV)の活性を、細胞変性効果(CPE)の投与量依存的低下を測定することにより、試験した。ヒト包皮線維芽(HFF)細胞におけるCPE低下アッセイにおいて、予備的ワクシニアおよびウシ痘EC50値を決めた。このように得られたデータを表2に示す。
【0122】
【表2】

【0123】
表2に示すように、HDP−cCDVは、ワクシニアウイルスに対して高度に活性であり、IC50値が0.11μMであるのに対して、cCDVおよびCDVについては、それぞれ、0.97および1.8μMであった。ウシ痘感染細胞において、HDP−cCDVは極めて効果的でありIC50<0.03μMであるのに対して、cCDVおよびCDVについては、それぞれ、0.72および2.1であった。
【0124】
ポックスウイルス抗ウイルス性細胞変性効果(CPE)アッセイ
各薬剤濃度において、ベロ細胞を含む3つのウェルを、オルソポックルウイルス1000pfu/ウェルで感染させ、他の3つのウェルは、毒性決定のために、未感染状態を維持した。ウイルス感染した未処理細胞が4+CPEを示した後、プレートを試験し染色した。ニュートラルレッドを媒体に加え、540nmでのニュートラルレッドの吸収によりCPEを評価した。50%阻害値(EC50)および細胞毒性濃度(CC50)を、用量反応のプロットから決めた。結果を表3に示す。
【0125】
【表3】

【実施例4】
【0126】
サルでの滴定研究
各々の4匹の動物の4つの処理群で、16匹のカニクイサル(Cynomolgus Macaques)を試験した。動物に、5×107 PFU IV、サル痘ウイルス、Zaire79菌株を接種した。動物に、図1においてそれぞれHD、LD、IDおよびプラセボとして示される、プラセボまたは異なる投与量レベル(TD:35、30、20、0mg/kg)を与えた。図1は、薬剤投与後の、異なるタイプの組織におけるサル痘滴定のウイルス負荷を示す。
【実施例5】
【0127】
代謝安定性評価
マウスにおける、HDP−シドフォビル(「CMX−001」)、HDP−シドフォビルから放出されたシドフォビル、およびHDP−シドフォビルの不活性代謝産物である代謝産物M−8の血清濃度を評価し、単回経口投与後の結果を図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】薬剤投与後の、異なるタイプの組織中での、サル痘ウイルス負荷量を示す。
【図2】マウスにおける、HDP−シドフォビル、HDP−シドフォビルから放出されるシドフォビル、およびHDP−シドフォビルの不活性代謝産物である代謝産物M−8の血清濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポックスウイルス感染を治療する方法であって、有効量のシドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグを、少なくとも第2の抗ポックスウイルス剤と組み合わせてまたは交互に、治療を必要としている宿主に投与することを含む方法。
【請求項2】
シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと、第2の抗ポックスウイルス剤とを、医薬的に許容されるキャリア中に含ませて投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと、第2の抗ポックスウイルス剤とを組み合わせて投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと、第2の抗ポックスウイルス剤とを交互に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグと、第2の抗ポックスウイルス剤とを経口または非経口投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
シドフォビルまたは環式シドフォビルがプロドラッグ形である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
プロドラッグがシドフォビルのアルコキシアルキルエステルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
シドフォビルプロドラッグが下記構造を有する、請求項6に記載の方法。
【化1】

【請求項9】
ウイルスが、任意選択的に、大疱瘡(variola major)および小痘瘡(variola minor)、ワクシニア、天然痘、牛痘、ラクダ痘、マウス痘、ウサギ痘およびサル痘から選択されるオルソポックスウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
宿主がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第2の抗ポックスウイルス剤が、IMP脱水素酵素阻害剤、SAH加水分解酵素阻害剤、チミジル酸合成酵素阻害剤、ヌクレオシド類似体、非環式ヌクレオシドホスホネート、ポリアニオン性物質およびチオセミカルバゾンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第2の抗ポックス剤が免疫賦活剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第2の抗ポックス剤がインターフェロンまたはインターフェロン誘導物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第2の抗ポックス剤がペグ化インターフェロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
第2の抗ポックス剤がワクシニア免疫グロブリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
宿主がヒトである、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
第2の抗ポックスウイルス剤が、IMP脱水素酵素阻害剤、SAH加水分解酵素阻害剤、チミジル酸合成酵素阻害剤、ヌクレオシド類似体、非環式ヌクレオシドホスホネート、ポリアニオン性物質およびチオセミカルバゾンからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
第2の抗ポックス剤が免疫賦活剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
第2の抗ポックス剤がインターフェロンまたはインターフェロン誘導物質である、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
第2の抗ポックス剤がペグ化インターフェロンである、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
第2の抗ポックス剤がワクシニア免疫グロブリンである、請求項8に記載の方法。
【請求項22】
シドフォビルプロドラッグが経口投与され、第2の抗ポックスウイルス剤が非経口投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項23】
ポックスウイルスの治療用の薬剤の製造における、少なくとも第2の抗ポックスウイルス剤と組み合わせた、有効量のシドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグの使用。
【請求項24】
シドフォビルまたは環式シドフォビル、またはその塩、エステルもしくはプロドラッグがシドフォビルのプロドラッグである、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
シドフォビルプロドラッグが下記構造を有する、請求項24に記載の使用。
【化2】

【請求項26】
第2の抗ポックスウイルス剤が、IMP脱水素酵素阻害剤、SAH加水分解酵素阻害剤、チミジル酸合成酵素阻害剤、ヌクレオシド類似体、非環式ヌクレオシドホスホネート、ポリアニオン性物質およびチオセミカルバゾンからなる群より選択される、請求項23に記載の使用。
【請求項27】
第2の抗ポックスウイルス剤が免疫賦活剤である、請求項23に記載の使用。
【請求項28】
第2の抗ポックスウイルス剤がインターフェロンまたはインターフェロン誘導物質である、請求項23に記載の使用。
【請求項29】
第2の抗ポックスウイルス剤がペグ化インターフェロンである、請求項23に記載の使用。
【請求項30】
第2の抗ポックスウイルス剤がワクシニア免疫グロブリンである、請求項23に記載の使用。
【請求項31】
第2の抗ポックスウイルス剤が、IMP脱水素酵素阻害剤、SAH加水分解酵素阻害剤、チミジル酸合成酵素阻害剤、ヌクレオシド類似体、非環式ヌクレオシドホスホネート、ポリアニオン性物質およびチオセミカルバゾンからなる群より選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項32】
第2の抗ポックスウイルス剤が免疫賦活剤である、請求項25に記載の使用。
【請求項33】
第2の抗ポックスウイルス剤がインターフェロンまたはインターフェロン誘導物質である、請求項25に記載の使用。
【請求項34】
第2の抗ポックスウイルス剤がペグ化インターフェロンである、請求項25に記載の使用。
【請求項35】
第2の抗ポックスウイルス剤がワクシニア免疫グロブリンである、請求項25に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−535862(P2008−535862A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505631(P2008−505631)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/013319
【国際公開番号】WO2006/110655
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507334738)キメリクス,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】