説明

ポリ−4−ヒドロキシブチレート粒子を使用した塞栓形成

塞栓形成用のポリ−4−ヒドロキシブチレートもしくはそのコポリマーの生体適合性粒子を産生する方法が開発された。現在入手可能な塞栓形成粒子とは違って、これらの粒子は吸収性であり、そして分解し、その結果、塞栓形成後に異物がいつまでも残らない。ポリ−4−ヒドロキシブチレートおよび/もしくはそのコポリマーを含む吸収性粒子は、予防的もしくは治療的な塞栓形成に適した注入可能な懸濁液に処方され、ここで、この塞栓形成は、このポリ−4−ヒドロキシブチレートおよび/もしくはそのコポリマーの粒子を産出するためにこの注入可能な懸濁液を、ヒトもしくは動物に投与するプロセスを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、David Martin、Donald CrabtreeおよびSimon Williamsによって2005年1月28日に出願された表題「Embolization Using Poly−4−Hydroxybutyrate Particles」の米国特許出願番号60/648,052に優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、塞栓形成におけるポリ−4−ヒドロキシブチレートおよびそのコポリマーの使用、塞栓形成においてこれらの物質を使用する方法、およびこのような物質を産生するためのプロセスに関連している。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
塞栓形成(治療的な血管閉塞)は、種々の病理学的状態(例えば、腫瘍、血管奇形および出血性のプロセスが挙げられる)をインサイチュで処置もしくは予防するために使用される。これらは、種々の血管もしくは臓器において、それらが健康であっても疾患があっても実行され得る。これらの方法では、粒状の閉塞剤(塞栓)がカテーテルを使用して画像管理の下で循環系内に置かれる。Boschettiの特許文献1は、塞栓形成の以下の利益を報告している。腫瘍の場合、血管閉塞は疼痛を抑制し得るか、塞栓形成に続く外科的介入の間の血液の損失を制限し得るか、もしくは腫瘍の壊死さえも引起し得て外科的介入の必要性を回避し得る。血管奇形の場合、血管閉塞は、「正常な」組織への血流を正常化させ得、手術を補助し、出血のリスクを制限する。出血性の事象もしくはプロセスでは、塞栓形成は血流の減少を生じ、これは動脈口(単数/複数)の瘢痕化を促進する。さらに、処置される病理学的状態に依存して、塞栓形成は一時的目的および恒久的目的で使用され得る。
【0004】
種々の固体物質(ポリビニルアルコールおよびポリアクリルアミドが挙げられる)が塞栓形成の手順において使用されてきた。いくつかの特許も、これらのいくつかの物質とイメージング剤および活性剤(例えば、細胞接着促進剤)との組み合わせを開示している。例えば、特許文献2は、細胞接着促進剤およびマーキング剤でコーティングされた親水性のアクリルコポリマーを含むミクロスフィアを開示しており、これは塞栓形成に有用である。特許文献3は、治療的な塞栓形成用の、細胞接着促進剤およびマーキング剤でコーティングされた親水性のアクリルコポリマーを含むミクロスフィアを含む、注入可能な溶液、および使用方法を開示している。
【0005】
塞栓形成で使用される粒子は、好ましくは一様な形状で、一定のサイズの範囲であるべきである。特に、塞栓形成において不規則な粒子が使用された際の重大な合併症が報告されている。例えば、肝動静脈の奇形症状のある2人の乳児が、ポリビニルアルコール粒子で塞栓形成した後死亡し、そしてこの乳児達の死には粒子サイズの不均一性がおそらくきわめて関連していることが報告されている(Boschettiの特許文献1を参照のこと)。
【0006】
ゆえに、一様な形状で、一定のサイズを有する塞栓形成用の粒子を開発する必要性が存在する。塞栓形成後に異物がいつまでも残らないように、直後に分解するような塞栓形成用の吸収性粒子を開発することも望ましい。
【特許文献1】米国特許第6,680,046号明細書
【特許文献2】米国特許第5,635,215号明細書
【特許文献3】米国特許第5,648,100号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゆえに、インビボで分解可能な塞栓形成用の組成物を提供することが、本発明の目的である。
【0008】
凝集せず、送達を補助するために他の成分と組み合わされ得、そして/あるいは薬物、および他の因子もしくは活性物質を取り入れ得るような塞栓形成の粒子を提供することが、本発明の別の目的である。
【0009】
ヒトもしくは動物の予防的もしくは治療的な塞栓形成の方法を提供することが、本発明のさらに別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
塞栓形成用のポリ−4−ヒドロキシブチレートもしくはそのコポリマーの生体適合性粒子を産生する方法が開発された。現在入手可能な塞栓形成粒子とは違って、これらの粒子は吸収性であり、そして分解し、その結果、塞栓形成後に異物がいつまでも残らない。この粒子は、他の成分(例えば、イメージング剤、造影剤もしくは染料、細胞接着因子、抗脈管形成剤、および/または薬物(溶出され得、例えば癌の処置のための化学塞栓形成において使用され得る)を含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
吸収性の、塞栓形成用の生体適合性粒子が開発された。
【0012】
(I. 定義)
本明細書中で通常使用される「生体適合性」は、物質もしくはデバイスに対する生物学的応答が、そのデバイスの意図されたインビボでの適用に対して適切であることを意味する。これらの物質のいかなる代謝物質もまた、生体適合性であるべきである。
【0013】
本明細書中で通常使用される「ポリ−4−ヒドロキシブチレート」は、4−ヒドロキシブチレート単位を含むホモポリマーを意味する。本明細書中では、これはP4HB、PHA4400もしくはTephaFLEXTMバイオマテリアル(Tepha,Inc.、Cambridge、MAより製造されている)と呼ばれ得る。
【0014】
本明細書中で通常使用される「ポリ−4−ヒドロキシブチレートのコポリマー」は、4−ヒドロキシブチレートを1つ以上の異なるヒドロキシ酸単位と一緒に含むあらゆるポリマーを意味する。
【0015】
本明細書中で通常使用される「吸収性」は、時間が経つにつれての物質の完全な分解を意味する。
【0016】
(II. 微粒子)
(ポリマー)
上記粒子は、吸収性ポリマー(例えば、ポリ−4−ヒドロキシブチレート)およびそのコポリマー(例えば、ポリ−4−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシブチレートおよびポリ−4−ヒドロキシブチレート−co−グリコール酸)から形成され得る。Cambridge,MAのTepha,Inc.は、トランスジェニック発酵法(transgenic fermentation)を使用してポリ−4−ヒドロキシブチレートおよびそのコポリマーを生産している。
【0017】
Tepha,Inc.(Cambridge、MA)は、TephFLEXTM(ポリ−4−ヒドロキシブチレート)として公知の吸収性の生体適合性のバイオマテリアル、および医療的使用のための関連したコポリマーを生産している。関連したコポリマーとしては、3−ヒドロキシブチレートもしくはグリコール酸で共重合された4−ヒドロキシブチレート(Huismanらの米国特許第6,316,262号、およびSkralyらの米国特許第6,323,010号)が挙げられ、典型的には30wt%までのP4HBの割合である。これらのポリマーの分子量を制御する方法は、Snellらの米国特許第5,811,272号中に開示されており、これらのポリマーを医療的使用のために精製する方法は、Williamsらの米国特許第6,245,537号に開示されいている。Williamsらの米国特許第6,548,569号、およびMartinらのWO99/32536は、これらのポリマーのインビボでの分解速度、およびこれらの組織工学骨格としての使用を開示している。これらのポリマーの他の適用は、Williams,S.F.,らのApplications of PHAs in Medicine and Pharmacy,in Biopolymers,Polyesters、///Vol. 4:91−127(2002)中で総説されている。
【0018】
ポリ−4−ヒドロキシブチレートは、ポリヒドロキシアルカノエートと呼ばれる物質の、より大きなクラスに属しており、これは通常トランスジェニック発酵によって生産される。ほとんどの適用において充分に高い分子量を有するこのポリマーは、化学的方法では容易に合成され得ない。これは、この物質的特性および熱性特性によって区別され、インビボで天然代謝物質に分解される(Martin&Williams、Biochem.Eng.J.16:97−105(2003)を参照のこと)。
【0019】
塞栓形成用の5〜100μmの直径のスフィアに形成される、別のポリヒドロキシアルカノエートであるポリ−3−ヒドロキシブチレートの使用が、報告されている(例えば、Kassab,A.ら、J Bioact.Compat.Polym.14:291−303(1999)を参照のこと)。しかしながら、塞栓形成におけるポリ−4−ヒドロキシブチレートの使用は報告されていない。特に、ポリ−3−ヒドロキシブチレートおよびポリ−4−ヒドロキシブチレートは物質の同じクラスに属しているにもかかわらず、これらのポリマーの特性および化学構造は実質的に異なる。ポリ−3−ヒドロキシブチレートは、3−ヒドロキシ酸から誘導される、170℃あたりの融点を有する堅くもろい物質であるが、一方、ポリ−4−ヒドロキシブチレートは、4−ヒドロキシ酸から誘導され、60℃あたりの融点を有する強く柔軟性があって伸長性がある物質である。これは非常に結晶性であるので、ポリ−3−ヒドロキシブチレートの分解プロフィールもポリ−4−ヒドロキシブチレートの分解プロフィールよりもはるかに長い(Williams,S.F.ら、Applications of PHAs in Medicine and Pharmacy,in Biopolymers,Polyesters、///Vol. 4:91−127(2002)を参照のこと)。
【0020】
一つの好ましい実施形態において、この粒子は、10μm〜2,000μmの範囲の直径を有し、乾燥粉末もしくは懸濁液の形態で提供される。この粒子は、より細かく規定されたサイズ範囲(例えば、0〜300μmの間の粒子サイズ、さらに好ましくは、0〜200μmの間の粒子サイズの分布)にさらにふるい分けられ得る。予防的および治療的投薬のサイズは、処置されるべき状態の性質、型、位置および重症度ならびに投与経路によって変わる。これはまた、患者の年齢、体重および応答によっても変わる。有効量の粒子は、数十〜数百の粒子の範囲内で変動し得るが、多くもなり得るし少なくもなり得る。当業者は、所定のサイズの範囲(例えば、300〜500μm、500〜700μmもしくは700〜900μmの範囲のサイズの粒子が特定の手順のために選択され得る)の粒子を送達することを選択し得る。
【0021】
それぞれの手順のために必要とされる正確なサイズ範囲は、当業者によって容易に決定され得る。
【0022】
別の好ましい実施形態において、この粒子は、インビボで2週間後には完全に分解し、さらに好ましくはインビボで4週間後、なおさらに好ましくはインビボで12週間後に分解する。一つの実施形態において、この粒子は約0.5重量%〜約20重量%のポリ−4−ヒドロキシブチレートおよび/もしくはそのコポリマーを含む。
【0023】
なお別の好ましい実施形態において、この粒子は懸濁化され得、使用前に凝集せず、そして適切な液体キャリアとともに注入可能な懸濁液として投与され得る。
【0024】
なおさらなる実施形態において、この粒子は1年より長い貯蔵寿命を有し、さらに好ましくは3年より長い。さらに、この粒子の懸濁液は、3ヶ月を超える貯蔵寿命を有し得、さらに好ましくは6ヶ月、なおさらに好ましくは1年を超える貯蔵寿命を有し得る。
【0025】
(治療剤、予防剤および診断剤)
なおさらに別の好ましい実施形態において、この粒子は、治療剤、予防剤、もしくは診断剤またはイメージング剤を含み得る。例としては、染料、イメージング剤、造影剤、細胞接着因子、抗脈管形成剤、および/または薬物が挙げられる。細胞接着促進剤としては、CMデキストラン、コラーゲン、DEAEデキストラン、ゼラチン、グルコサミノグリカン、フィブロネクチン、レクチン、ポリカチオン、および天然の生物学的もしくは合成の細胞接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。この粒子を直接視覚化可能にさせるために使用され得る染料の例としては、Cibacron BlueおよびProcion Red HE−3Bが挙げられるが、これらに限定されない。イメージング剤の例としては、磁気共鳴イメージング剤(例えば、エルビウム、ガドリニウム、および磁鉄鉱)が挙げられるが、これらに限定されない。使用され得る造影剤の例としては、バリウム塩もしくはヨウ素塩、ヨージパミド、およびアミノ−3−トリヨード−2,4,6−安息香酸が挙げられるが、これらに限定されない。組み込まれ得る抗脈管形成剤の非限定的な例は、Boschettiの米国特許第6,680,046号中に開示されている。このような成分は、粒子形成中、もしくは合成後に粒子内に取り込められ得る(例えば、移植もしくは吸収によって)。
【0026】
(II. 吸収性塞栓形成粒子の調製法)
好ましい実施形態において、実施例1〜7に示すように、水中油型エマルジョン技術によって、上記吸収性塞栓形成粒子は調製される。
【0027】
代わりの実施形態において、実施例8で説明するように、ポリ−4−ヒドロキシブチレートのフィラメントを限定された長さに切断することによって、この吸収性塞栓形成粒子は調製される。
【0028】
別の代わりの実施形態において、水中のペレット化によりこのスフィアを直接押し出すことによって、または同様のプロセスによって、この吸収性塞栓形成粒子は調製され得る。
【0029】
この粒子を滅菌する好ましい方法は、エチレンオキシドガスへの曝露である。患者への注入の前に粒子を滅菌するために照射(ガンマ線もしくは電子線)もまた、使用され得る。
【0030】
(III. 吸収性塞栓形成粒子の投与法)
この塞栓形成粒子は、例えば、生理学的に受容可能な液体キャリア(例えば、生理食塩水、水溶液、もしくは糖を含む溶液)中に懸濁化され得る。特に、これらの液体キャリアはまた、細胞接着促進剤、マーキング剤、造影剤、イメージング剤、抗脈管形成剤、もしくは他の薬物も含み得る。この粒子は、使用される直前に懸濁化され得るか、もしくはすぐに使用されるように供給され得る。好ましくは、この懸濁液は滅菌である。
【0031】
塞栓形成は、有効な量の約10μm〜2,000μmの範囲の直径を有する粒子を含む注入可能な懸濁液を、ヒトもしくは動物に投与することによって達成される。予防的および治療的投薬のサイズは、処置されるべき状態の性質、型、位置および重症度ならびに投与経路によって変わる。これはまた、患者の年齢、体重および応答によっても変わる。有効量の粒子は、数十〜数百の粒子の範囲内で変動し得るが、多くもなり得るし少なくもなり得る。当業者は、所定のサイズの範囲(例えば、300〜500μm、500〜700μmもしくは700〜900μmの範囲のサイズの粒子が特定の手順のために選択され得る)の粒子を送達することを選択し得る。
【0032】
この粒子を投与するために、あらゆる適切な経路(例えば、非経口、皮下、もしくは筋内が挙げられる)が、これが患者に対して有効な用量を所望される標的もしくは位置に供給する限り、使用され得る。投与の好ましい経路は、カテーテルを通した静脈への投与である。
【0033】
塞栓形成によって予防もしくは処置され得る状態および疾患状態としては、充実性腫瘤、血管奇形および出血性の事象もしくはプロセスが挙げられるが、これらに限定されない。腫瘍に関しては、疼痛を抑制するため、塞栓形成に続く外科的介入の間に起こる血液の損失を制限するため、もしくは腫瘍の壊死を引き起こすため、および外科的介入の必要性を回避するか、もしくは最小限にするかのいずれかのために、塞栓形成法が使用され得る。血管奇形に関しては、「正常な」組織への血流を正常にするため、手術を補助するため、および出血のリスクを制限するために、塞栓形成法が使用され得る。出血性の事象もしくはプロセスに対しては、血流を減少させるため、および動脈口(単数/複数)の瘢痕化を促進するために、塞栓形成法が使用され得る。さらに、外科的介入の前に、血液が豊富な臓器(例えば、肝臓)内の血流を減少させるための術前処置として、塞栓形成法が使用され得る。塞栓形成法によって予防もしくは処置され得る特定の状態の例としては、子宮腫瘍もしくはフィブロイド;小腸の出血(例えば、ストレス潰瘍に関連したもの);外科的ドレーン;吻合術;結核性の潰瘍および非特定的な潰瘍;肝動静脈の奇形症状(AVM);原発性結腸直腸癌;肝細胞癌;肝臓転移;骨転移;黒色腫;頭部および頚部の癌;および頭蓋内髄膜腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0034】
(実施例1:水中油型エマルジョン技術によって希釈ポリマー溶液から調製されたポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)のミクロスフィア)
水中油型エマルジョン技術を使用して、P4HBのミクロスフィアを作製した。P4HB(8.4g、lot#DC04−76−1、GPCによるM494,000、Tepha,Inc.、Cambridge、MA)を塩化メチレン(304g、230ml)中に溶解して、3.7% wt/volの溶液を調製した。このポリマー溶液を、ポリビニルアルコール(89%加水分解された、M31,000〜50,000)の水溶液(0.5% wt/vol)を含む2Lのビーカーに、上部を素早く攪拌しながらゆっくり加えた。2インチの平たいパドルを使用して820RPMで攪拌を行なった。この攪拌を一晩続け、開口ビーカーからこの塩化メチレンをエバポレートさせた。この塩化メチレンのエバポレートが完了した後、攪拌を止め、このミクロスフィア粒子を静置した。この上清をデカントし、そしてこのミクロスフィアを再び懸濁し、DI水で3度洗浄した。
【0035】
以下の実施例において使用する物質および条件を表1に提供する。
【0036】
【表1】

(実施例2:水中油型エマルジョン技術によって濃縮ポリマー溶液から調製されたP4HBのミクロスフィア)
より濃縮したP4HBの溶液(300g、226ml塩化メチレン中38g)を使用し、より低い速度(430RPM)で攪拌を行ったこと以外は、実施例1のように水中油型エマルジョン技術を使用して、P4HBのミクロスフィアを作製し、より大きいP4HBのミクロスフィアを産出した。
【0037】
(実施例3:水中油型エマルジョン技術による、濃縮ポリマー溶液からのP4HBのミクロスフィア)
より濃縮したP4HBの溶液(306g、231ml塩化メチレン中23g)を使用し、より低い速度(600RPM)で攪拌を行ったこと以外は、実施例1のように水中油型エマルジョン技術を使用して、P4HBのミクロスフィアを作製し、より大きいP4HBのミクロスフィアを産出した。
【0038】
洗浄および乾燥の後、14.4gのミクロスフィアを収集した(収率63%)。粒子の大きさをふるいにかけて測り、大きさによって分けたデータを表2に示す。
【0039】
(実施例4:水中油型エマルジョン技術によって濃縮ポリマー溶液から調製されたP4HBのミクロスフィア)
より濃縮したP4HBの溶液(459g、346ml塩化メチレン中34.5g)を使用し、より低い速度(595RPM)で攪拌を行ったこと以外は、実施例1のように水中油型エマルジョン技術を使用して、P4HBのミクロスフィアを作製し、より大きいP4HBのミクロスフィアを産出した。さらに、より多量(2250ml)のPVA溶液(0.5%)を、より大きな4Lビーカー中で使用した。
【0040】
このミクロスフィアの洗浄および乾燥の後、125.9gのミクロスフィアを収集した(収率75%)。粒子の大きさをふるいにかけて測り、大きさによって分けたデータを表2に示す。
【0041】
(実施例5:水中油型エマルジョン技術によって濃縮ポリマー溶液から調製されたP4HBのミクロスフィア)
より濃縮したP4HBの溶液(306g、231ml塩化メチレン中23g)を使用し、より低い速度(592RPM)で攪拌を行ったこと以外は、実施例1のように水中油型エマルジョン技術を使用して、P4HBのミクロスフィアを作製し、より大きいP4HBのミクロスフィアを産出した。
【0042】
洗浄および乾燥の後、19.0gのミクロスフィアを収集した(収率83%)。粒子の大きさをふるいにかけて測り、大きさによって分けたデータを表2に示す。
【0043】
(実施例6:水中油型エマルジョン技術によって濃縮ポリマー溶液から調製されたP4HBのミクロスフィア)
より濃縮したP4HBの溶液(305g、230ml塩化メチレン中23.1g)を使用し、より低い速度(594RPM)で攪拌を行ったこと以外は、実施例1のように水中油型エマルジョン技術を使用して、P4HBのミクロスフィアを作製し、より大きいP4HBのミクロスフィアを産出した。
【0044】
洗浄および乾燥の後、19.94gのミクロスフィアを収集した(収率86%)。粒子の大きさをふるいにかけて測り、大きさによって分けたデータを表2に示す。
【0045】
(実施例7:水中油型エマルジョン技術によって濃縮ポリマー溶液から調製されたP4HBのミクロスフィア)
より濃縮したP4HBの溶液(305g、230ml塩化メチレン中23.1g)を使用し、より低い速度(700RPM)で攪拌を行ったこと以外は、実施例1のように水中油型エマルジョン技術を使用して、P4HBのミクロスフィアを作製し、より大きいP4HBのミクロスフィアを産出した。
【0046】
洗浄および乾燥の後、18.79gのミクロスフィアを収集した(収率81%)。粒子の大きさをふるいにかけて測り、大きさによって分けたデータを表2に示す。
【0047】
(実施例8:押し出されたP4HB繊維の切断の長さから調製されたP4HBのミクロスフィア)
直径275μmの溶融押し出されたP4HB繊維を、およそ250μmの長さに切断して、P4HBの小さい粒子を作った。これらの粒子は、市販されている造影剤(RenoCal 76、Bacco Diagnostics)よりも密度が低く、0.9%食塩水よりも密度が高いが、食塩水と造影剤の50:50混合物中では懸濁したままである。この粒子は造影剤および食塩水の溶液中で懸濁化され得、4Fカテーテルを通して送達され得る。
【0048】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ−4−ヒドロキシブチレートおよび/もしくはそのコポリマーの粒子を含む、ヒトもしくは動物における塞栓形成用の組成物であって、ここで、該粒子は10μmと2,000μmとの間の直径を有し、移植後に、移植の後少なくとも2週間の期間にわたって分解する、組成物。
【請求項2】
前記粒子が本質的に一様のスフィアである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粒子が約0.5重量%〜約20重量%のポリ−4−ヒドロキシブチレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記粒子が300〜500μm、500〜700μm、もしくは700〜900μmのサイズの分布を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子が0〜300μm、および好ましくは0〜200μmの粒子のサイズの分布を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記粒子が凝集しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
治療剤、診断剤、および予防剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記薬剤が、造影剤、染料、およびイメージング剤からなる群から選択される診断剤である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記薬剤が、細胞接着促進剤、抗脈管形成剤、および薬物からなる群から選択される治療剤である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
静脈内投与用の薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
投与の間に前記粒子が詰まらない、請求項11に記載の組成物。
【請求項12】
ヒトもしくは動物の予防的もしくは治療的塞栓形成の方法であって、該方法はこのような塞栓形成の必要なヒトもしくは動物に、請求項1〜11に記載の組成物のいずれかの注入可能な懸濁液を投与することを含む、方法。
【請求項13】
充実性腫瘤、血管奇形および出血性の事象もしくはプロセス(子宮腫瘍もしくはフィブロイド;小腸の出血(例えば、ストレス潰瘍に関連したもの);外科的ドレーン;吻合術;結核性の潰瘍および非特定的な潰瘍;肝動静脈の奇形症状(AVM);原発性結腸直腸癌;肝細胞癌;肝臓転移;骨転移;黒色腫;頭部および頚部の癌;および頭蓋内髄膜腫が挙げられる)からなる群から選択される障害を予防もしくは処置するための、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
疼痛を抑制するため、塞栓形成に続く外科的介入の間に起こる血液の損失を制限するため、腫瘍の壊死を引起すため、および外科的介入の必要性を回避するかもしくは最小限にするかのいずれかのために、腫瘍が処置される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
正常な組織への血流を正常にするため、手術を補助するため、および出血のリスクを制限するために、血管奇形が処置される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
血流を減少させるため、および動脈口の瘢痕化を促進するために、出血性の事象もしくはプロセスが処置される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
外科的介入の前に、血液が豊富な臓器(例えば、肝臓)内の血流を減少させるための術前処置として、塞栓形成法が使用される、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2008−528204(P2008−528204A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553308(P2007−553308)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/003128
【国際公開番号】WO2006/081517
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(501347936)テファ, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】