説明

ポリアクロレインの製造方法

(a)塩基の存在下でアクロレインを重合させて、アクロレインのポリマーを形成すること;(b)必要に応じて水を添加し、モノアルコールおよびポリオールから選ばれるアルコールにアクロレインのポリマーを溶解し、アクロレインのポリマーのアルコール溶液を形成すること;(c)アクロレインのポリマーのアルコール溶液を加熱すること;および(d)塩基とアクロレインのポリマーを混合すること;を含む可溶性の微生物学的に活性および安定なアクロレインポリマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
従来技術
本発明は、ポリアクロレインの製造方法、さらに詳しくは、抗菌組成物に使用するためのポリアクロレインの製造方法に関する。
【0002】
背景技術
抗菌適用におけるポリアクロレインの使用は、U.S.特許5,290,894、オーストラリア出願11686/95およびその対応欧州特許EP 667358、我々の国際特許出願公開公報WO 96/38186 (PCT/AU96/00328)に記載されており、最近、我々は、我々の国際特許出願公報WO 01/60874 (PCT/AU00/00107)においてアクロレインポリマーの活性を改善する方法を報告している。
抗菌剤として使用するためのポリアクロレインの最も安定な組成物の多くは、空気中でポリマーを加熱することによって形成される。実際、オーストラリア出願No 11686/85 (Werleらは、Degussaに譲渡した)は、本明細書に記載の本発明方法を用いて強い空気流および最終空気温度>60℃、好ましくは75℃にて乾燥したこのような調製品のみが、アルカリ可溶性であることを教示する。
我々の国際公開公報WO 01/60874は、空気中で固体ポリマーを酸化し、アルカリを添加したアルコール溶液中で酸化されたポリマーを加熱するアクロレインポリマーの抗菌活性を改善する方法を記載する。空気中での酸化によって形成されたカルボン酸基の存在が、ポリアクロレイン組成物の溶解性を改善すると考えられる。我々は、今や、この空気酸化ステップを必要条件とせずに、溶解性、抗菌活性および安定性の高いポリアクロレインポリマを形成しうることを見出した。
【0003】
概要
したがって、本発明は、(a)塩基の存在下でアクロレインを重合させて、アクロレインのポリマーを形成すること;(b)必要に応じて水を添加し、モノアルコールおよびポリオールから選ばれるアルコールにアクロレインのポリマーを溶解し、アクロレインのポリマーのアルコール溶液を形成すること;(c)アクロレインのポリマーのアルコール溶液を加熱すること;および(d)塩基とアクロレインのポリマーを混合すること;を含む可溶性の微生物学的に活性および安定なポリアクロレインの製造方法を提供する。
アクロレインのポリマーのアルコール溶液の加熱後に、水性塩基をアクロレインのポリマーのアルコール溶液と混合するのが好ましい。
処置後に塩基を添加すると、長期保存中その殺菌活性が維持される溶液が提供されるので、加熱前とは対照的に加熱後の塩基の添加が好ましい。
水性塩基の添加によってアルカリ性にした時に、10分の1に希釈された場合に沈澱しないために十分な時間アクロレインのポリマーのアルコール溶液を加熱するのが好ましい。
【0004】
詳細な記載
従来技術における教示とは異なって、本発明は、固体を酸化するための空気流中での固体ポリマーの粉砕または加熱を必要とせずに形成されるアクロレインポリマーの安定な溶液を提供する。このことは、これらの高活性殺生物剤の製造に必要な費用および時間を潜在的に減少させる。
水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下でのアクロレインの重合によってアクロレインポリマーが形成される。US特許5290894の実施例の幾つかに記載されているように、ラジカル開始剤の存在下での重合もまた、アクロレインポリマーを製造するのに用いることができるが、このようなポリマーは、本発明の方法において一般的に用いられない。
必要に応じて水を加えて、組成物をアルコールに溶解する。ポリマーの溶解は、別個のステップとして起こるか、または加熱工程の一部として生じる。一般に、溶解は、25〜65℃にてポリマーのPEG溶液を加熱すると15分以内に起こる。
【0005】
アルコール溶液中のアクロレインのポリマーの加熱の後に加熱された溶液と水性塩基を混合するのが好ましい。アルコール中での加熱のステップは、水性塩基との混合の後に、水性溶液中におけるアクロレインポリマーの安定性を達成するのに重要である。加熱温度および時間は、ポリマー、使用したアルコールの種類および要求される安定性の程度および範囲に応じて変わる。一般に、我々は、アクロレインのポリマーが十分な時間加熱されるならば、アルカリ溶液を提供するために水性塩基と混合される場合にポリマーが沈澱しないという良好な結果が得られることを見出している。水でさらに10分の1(体積)に希釈される場合に、ポリマーが沈澱しないのが好ましい。このタイプの試験を考慮して、当業者は過度の実験を行うことなく適切な加熱条件を決定することができるだろう。
加熱ステップに続いて、好ましくは水性塩基組成物の形態で、塩基を組成物と混合する。
【0006】
本発明の方法で用いるポリアクロレインを、アルカリ溶液中で行われるアクロレインモノマーの重合によって形成し、アクロレインポリマーを沈澱として回収することができる。コモノマー、特に水溶性または潜在的水溶性コモノマーをステップ(a)で用いることができることは、当業者には明白である。典型的に、コモノマーを用いる場合、総モノマー組成物の10重量%未満を構成する。アクロレインポリマーがホモポリマーであるのが好ましい。
沈澱を溶解して、ポリ(2−プロペナール,2−プロペン酸)を形成することができる(空気または酸素中で加熱することによって固体を酸化することなくアルコールに溶解するのが好ましい)。一般に、アクロレインポリマーを重合反応物から単離し、pH7以下の溶液とともにアルコール中で加熱するのが好ましい。本発明の好ましい態様において形成された沈澱は、さらなる工程を行うことなくアルコールに溶解することができる。
【0007】
本発明の方法では、アクロレインホモポリマーをアルコールに溶解する。この方法は、一般に、ポリアクロレインを40から90℃にてアルコール中で加熱することを含む。好ましいアルコールは、ポリアルキレングリコールであり、200〜20,000の分子量を有するのが好ましい。分子量が200〜10,000であるのがより好ましく、200〜2,000であるのが最も好ましい。アクロレインポリマーをアルコール中で加熱してアセタール誘導体を形成する。典型的には、アルコール溶液をアルコールとともに50〜90℃、より好ましくは60〜90℃の温度にて15分間〜5時間加熱する。
一般に、本発明の方法で用いるステップ(a)で形成されるポリアクロレインは、典型的には、ポリマー1kg当たりカルボキシル基1モル未満と酸含量が低く、最も好ましくは酸基0.5モル未満である。カルボキシル基含量が低いにもかかわらず、我々は、アルコール中でポリマーを加熱してアセタール基を形成し、アルカリを加える場合、水で希釈してもアルカリ溶液が沈澱を生じないことを見出しており、このことは、非酸化ポリマーにとって予期し得ないことであった。
【0008】
本発明の方法は、組成物に塩基を添加するステップを含む;塩基は、一般的に、加熱ステップに続いてアルコール溶液に加える。得られる溶液のpHは、7〜9.5であるのが好ましく、7.5〜8.5がより好ましい。ポリアクロレインのアルコール溶液に添加するのに好ましい塩基は、アルカリ金属炭酸塩、特に、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムである。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物も用いることができるが、好ましさの程度は劣る。典型的には、水性溶液としてアルカリを加える。上記ステップにおいて塩基を添加する前に、溶液を室温に冷却するのが好ましい。
アルコール中で加熱することを含むこのステップにおけるアクロレインのポリマーの濃度は、一般的に、0.5〜50重量%であり、より好ましくは0.5〜40重量%である。ポリアルキレングリコールの場合、ポリオールポリマー含量は、ポリオールポリマーの分子量に応じて変わる。低分子量のポリオールポリマーの場合、含量は50〜90重量%であるが、高分子量ポリオールポリマーの場合(たとえば、1500以上)、ポリオールポリマーの希釈組成物が好ましい(たとえば、2〜50 %)。
【0009】
本発明方法によって調製されたアクロレインポリマーは、さまざまな適用、特に、抗菌剤としての適用に有用である。好ましい適用として、防腐用組成物、殺菌用組成物および胃腸疾患の治療用組成物が挙げられる。本発明にしたがって形成された組成物は、一般に、良好な長期抗菌活性を有する。典型的には、上記製造方法によって提供されたアクロレインポリマーは、104-109 cfu/mLの大腸菌などのさまざまな細菌に対して、40℃にて20日間以上貯蔵後に、最小殺菌濃度150 ppm未満を提供する。
本発明方法によって製造された組成物は、胃腸疾患、特に胃腸微生物感染の治療または予防のための動物投与における使用に特に有用である。本発明方法によって製造された組成物は、飲用水、食物、または錠剤、シロップ剤などのその他の適当な手段を介して動物に投与することができる。
これから、本発明を以下の実施例を参照して説明する。当然のことながら、実施例は、本発明の説明のために提供されるものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0010】
水性溶液安定性試験
我々は、良好な長期溶液安定性および活性を提供するための加熱温度および時間を決定するのに有用な以下の試験(本明細書において、水性溶液安定性試験と称する)を見出した。
加熱されたアクロレインポリマーのアルコール溶液を冷却し、希(0.4% w/w)水性炭酸ナトリウムと混合してpHをアルカリ性にする。得られる組成物がポリマー沈澱の兆候を示さないならば、得られる組成物を水で希釈して、室温における沈澱について再度調査する10分の1希釈組成物を得る。ステップ(c)にしたがって、好ましくは60〜105℃にて、アルコール溶液中でアクロレインポリマーを十分な時間加熱した後、希釈組成物は透明である。
【0011】
実施例1−ポリアクロレインの製造
水(周囲温度、約20℃にて720 mL)およびアクロレイン(60g;新たに蒸留したもの+必要に応じてヒドロキノンを加えて0.25%w/wにする)をヒュームカップボード内でオープンビーカーに入れ、機械的に非常に激しく攪拌する。次いで、0.2 M水性水酸化ナトリウム(21.4 mL)を加え、pHを10.5−11.0にする。溶液はヒドロキノンアニオンに特有の黄色に素早く変わり、1分以内に色は消失し、透明な溶液は乳濁する。約1分後に、白い綿状のポリマーの沈澱が始まり、15−30分以内に完了する。沈澱を濾過し、水で洗浄する。
【0012】
実施例2
ポリアクロレイン(5.0 g)を熱PEG-200(64.0 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(20分間)。次いで、Na2CO3(水性)溶液(31 g、1.29% w/w)を加え、混合物を65℃にて10分間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水を加えてサンプルを100gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。組成物は、安定性に乏しく、急速に実際に劣化する。
【0013】
実施例3
次いで、実施例2からの溶液50.1 gを90℃にて2時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水を加えてサンプルを50gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0014】
実施例4
ポリアクロレイン(5.0 g)を熱PEG-200(64.0 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(5分間)。次いで、水(25.0 g)を加え、混合物を105℃にて2時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水(Na2CO3(0.40 g)を含む)を加えてサンプルを100gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0015】
実施例5
ポリアクロレイン(5.0 g)を熱PEG-200(64.0 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(10分間)。次いで、水(25.0 g)を加え、混合物を90℃にて2時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水(Na2CO3(0.40 g)を含む)を加えてサンプルを100gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0016】
実施例6
ポリアクロレイン(5.0 g)を熱PEG-200(64.1 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(5分間)。次いで、水(24.6 g)を加え、混合物を105℃にて4時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水(Na2CO3(0.40 g)を含む)を加えてサンプルを100gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0017】
実施例7
ポリアクロレイン(1.0 g)を熱PEG-200(12.8 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(5分間)。次いで、水(5.2 g)を加え、混合物を90℃にて0.5時間、次いで、105℃にて2時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水(Na2CO3(0.40 g)を含む)を加えてサンプルを200gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0018】
実施例8
ポリアクロレイン(5.0 g)を熱PEG-200(64.0 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(10分間)。次いで、水(20.0 g)を加え、混合物を90℃にて2時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水(Na2CO3(0.40 g)を含む)を加えてサンプルを100gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0019】
実施例9
ポリアクロレイン(5.0 g)を熱PEG-200(64.0 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(10分間)。次いで、水(20.0 g)を加え、混合物を90℃にて2時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水(Na2CO3(0.40 g)を含む)を加えてサンプルを100gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0020】
実施例10
ポリアクロレイン(1.25 g)を65℃にて熱PEG-2000(16.0g)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(5分間)。混合物を105℃にて2時間加熱した後、7.65gの水に溶解した0.1gのNa2CO3を加えて、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量30 gに希釈した3.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0021】
実施例11
ポリアクロレイン(1.00 g)を65℃にて熱PEG-200(12.81g)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(5分間)。混合物を105℃にて7時間加熱した後、室温に冷却する。室温になったら、6.14gの水に溶解した0.081gのNa2CO3を加えて、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0022】
実施例12
ポリアクロレイン5.003g)を65℃にて熱PEG-200(63.990g)に加え、30.641gの水に溶解した0.403gのNa2CO3を加える。溶液を65℃に維持した後、温度を90℃に上昇させ、2時間保持する。サンプルを40℃にて2週間貯蔵した後、大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験し、MKCが500ppmであることを決定する。
【0023】
実施例13
ポリアクロレイン(1.0 g)を熱PEG-200(12.8g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(5分間)。次いで、水(6.2g)を加え、混合物を90℃にて2時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水を加えてサンプルを20gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0024】
実施例14
ポリアクロレイン(5.0 g)を熱PEG-200(64.0 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(10分間)。次いで、混合物を冷却し、水(Na2CO3(0.04 g)を含む)を加えてサンプルを100gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した3.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0025】
実施例15
ポリアクロレイン(5.0 g)を熱PEG-200(64.1 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(10分間)。次いで、混合物を90℃にて2時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水(Na2CO3(0.20 g)を含む)を加えてサンプルを100gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0026】
実施例16
ポリアクロレイン(1.0 g)を熱PEG-200(12.8 g、65℃)に加え、混合物を固体が溶解するまで攪拌する(5分間)。次いで、水(5.2 g)を加え、混合物を90℃にて0.5時間、次いで105℃にて2時間加熱する。次いで、混合物を冷却し、水(Na2CO3(0.040 g)を含む)を加えてサンプルを20gにし、5% w/wポリアクロレイン溶液を得る。原溶液のpHをPANPEHA pHスティックで試験し、水で総量10 gに希釈した1.0 gのサンプルのpHを、pHプローブを用いて試験する。大腸菌に対する最小殺菌濃度(MKC)を試験する。
【0027】
第1表
【表1】

【0028】
第2表:実施例5についての安定性データ
【表2】

【0029】
実施例は、高温、約65℃で十分な時間アクロレインポリマーを加熱することにより、安定性が有意に増加することを示す。
少なくとも7のpHを得るための水性塩基の添加もまた、安定性および/または活性においてさらなる有意な増加を提供することが、実施例7、14および16において実証される。
実施例8および12の比較により実証されるように、水性塩基をアルコール中での加熱の後に加えるのが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)塩基の存在下でアクロレインを重合させて、アクロレインのポリマーを形成すること;(b)必要に応じて水を添加し、モノアルコールおよびポリオールから選ばれるアルコールにアクロレインのポリマーを溶解し、アクロレインのポリマーのアルコール溶液を形成すること;(c)アクロレインのポリマーのアルコール溶液を加熱すること;および(d)塩基とアクロレインのポリマーを混合すること;を含む可溶性の微生物学的に活性および安定なアクロレインポリマーの製造する方法。
【請求項2】
アクロレインが、総モノマー組成物の10重量%未満のコモノマーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アクロレインポリマーが、ホモポリマーである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
pH7以下の溶液中でアクロレインのポリマーをアルコールと反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アルコールに溶解する前に、少なくとも60℃における空気中でのアクロレインポリマー固体の加熱によるアクロレインポリマーの酸化を行わない請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アクロレインポリマーを、塩基の存在下での重合のステップから固体として単離し、空気中での加熱による単離した固体の酸化という停止を行うことなく、アルコールに溶解する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アクロレインポリマーをアルコール中で40〜105℃の温度に加熱することによって、アクロレインポリマーを溶解する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アルコールが、ポリアルキレングリコールである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アルコール中でのアクロレインのポリマーの加熱を、本明細書に記載の安定性試験を行った場合に沈澱しないために十分な時間継続する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アクロレインポリマーを、アルコール中で50〜105℃の温度にて15分間〜5時間加熱する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(b)でアルコールに溶解したアクロレインポリマーが、ポリマー1kg当たりカルボキシル基1モル未満の酸含量である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
酸含量が、ポリマー1kg当たりカルボキシル基0.5モル未満である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
塩基を、アルコールの溶解の後に加える請求項1に記載の方法。
【請求項14】
得られる溶液のpHが、7〜9.5である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
得られる溶液のpHが、7.5〜8.5である請求項13に記載の方法。
【請求項16】
塩基が、アルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物およびその混合物から選ばれる化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
塩基が、炭酸ナトリウムおよび/または炭酸カリウムを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルコール中での加熱のステップに用いたアクロレインのポリマーのアルコール中の濃度が、0.5〜50重量%である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
濃度が、0.5〜40重量%請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アルコールが、ポリエチレングリコールであり、5〜90重量%の濃度で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項21】
アルコールが、分子量200〜20,000のポリエチレングリコールである請求項1に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1つに記載の方法にしたがって製造される組成物。
【請求項23】
請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法にしたがって製造されるアクロレインポリマーの抗微生物剤としての使用。
【請求項24】
アクロレインポリマーが、104-109 cfu/mLの大腸菌に対して、40℃にて20日間以上貯蔵後に、最小殺菌濃度150 ppm未満を提供する請求項23に記載の使用。
【請求項25】
胃腸微生物感染の治療または予防のための動物投与における請求項23に記載の使用。
【請求項26】
胃腸微生物感染の治療または予防における動物への経口投与のための医薬の製造における、請求項1に記載の方法にしたがって製造されるアクロレインポリマーの使用。
【請求項27】
組成物が、飲用水または食物を介する動物への投与用形態である請求項26に記載の使用。

【公表番号】特表2007−510051(P2007−510051A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538600(P2006−538600)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001537
【国際公開番号】WO2005/044874
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(501022262)ケメック・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】