説明

ポリアセタール樹脂組成物、およびその製造方法

【課題】特に溶融状態で長時間放置した後も、機械特性、特にクリープ特性の低下の少ないポリアセタール樹脂組成物の提供。
【解決手段】線状ポリアセタール0〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール100〜0.001重量%とから成るポリアセタール樹脂100重量部に対して(B)下記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩0.001〜10重量部を含んで成るポリアセタール樹脂組成物。
【化1】


(ただし、式中R1、R2は水素原子および炭素数10以下の有機基からなる群から選ばれた基を表し、同一であっても異なっていてもよく、またm、nはそれぞれ0から5までの整数を表し、かつm+nが0から5までの整数である。またXは水酸基、ホルミル基、アミノ基、エステル基、アルコキシル基からなる群から選ばれた基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアセタール樹脂組成物、およびその製造方法に関し、機械物性、特に溶融状態で長時間放置した後もクリープ特性に変化の少ないポリアセタール樹脂組成物、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール樹脂は、エンジニアリングプラスチックスとして電気機器、機械機構部品、自動車部品等に多用されているが、金属部品と異なりクリープ性が問題になることがしばしばあり、利用の大きな制限となっていた。
【0003】
ポリアセタール樹脂のクリープ性を改良する手段としては、下記に挙げる例が知られている。
【0004】
ポリアセタール樹脂の結晶化特性に着目し、トリオキサンとエチレオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキセパン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカンから選ばれた少なくとも1種の環状エーテル化合物及びグリシジルフェニルエーテル、スチレンオキシド、グリシジルナフチルエーテルから選ばれた少なくとも1種の化合物を共重合して得られるポリアセタール樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また上記の技術を核に各種の検討が加えられ、下記に挙げる種々の派生技術が生まれた。これらの技術により比較的高い剛性が達成され、クリープ特性も改善が見られた(例えば、特許文献2〜7参照)。
【0006】
しかしながら、これらの技術は共通して、溶融状態で長時間放置した場合などに大きく特性が変化するという共通する問題があった。この問題は、大型の成形品を射出成形する場合や、高い寸法精度で成形品を得る必要がある場合など成形サイクルが長くなる場合に特に大きな問題となる。
【0007】
またポリアセタール樹脂に水酸基を有することを特徴とするカルボン酸化合物を配合することによる改良技術としては、下記に挙げる例が知られている。
【0008】
ポリアセタール樹脂100重量部に対して、ガラス系無機充填材3〜200重量部と、水酸基を有することを特徴とするカルボン酸化合物0.001〜3重量部を含有せしめることで、ガラス系無機充填材配合のポリアセタール樹脂材料の機械的物性を一層向上させたポリアセタール樹脂組成物(例えば、特許文献8参照)。
【0009】
しかしながら上記特許文献8に記載の樹脂組成物は、水酸基を有することを特徴とするカルボン酸化合物を、ポリアセタール樹脂とガラス系無機充填材と共に溶融混練して組成物を調製することで、優れた機械的物性を持つ強化ポリアセタール樹脂組成物を得ることを目的とするものであり、同文献には溶融状態で長時間放置した後のクリープ特性に変化については何ら言及されていない。また水酸基を有することを特徴とするカルボン酸化合物として、水酸基を有することを特徴とするカルボン酸が開示されているのみであり、このような化合物をポリアセタール樹脂に添加しても溶融状態で長時間放置した後のクリープ特性は改良し得ない。
【特許文献1】特開平3−170526号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2000−38429号公報(第2頁、特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2000−95829号公報(第2頁、特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2000−95830号公報(第2頁、特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2001−2885号公報(第2頁、特許請求の範囲)
【特許文献6】特開2002−302589号公報(第2頁、特許請求の範囲)
【特許文献7】特開2002−275227号公報(第2頁、特許請求の範囲)
【特許文献8】特開2002−371168号公報(第2頁、特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の課題は、特に溶融状態で長時間放置した後も、機械特性、特にクリープ特性の低下の少ないポリアセタール樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、特定のポリアセタール樹脂を(B)下記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩と組み合わせることにより、溶融状態で長時間放置した後も、機械特性、特にクリープ特性の低下の少ないポリアセタール樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
【化1】

【0013】
(ただし、式中R1、R2は水素原子および炭素数10以下の有機基からなる群から選ばれた基を表し、同一であっても異なっていてもよく、またm、nはそれぞれ0から5までの整数を表し、かつm+nが0から5までの整数である。またXは水酸基、ホルミル基、アミノ基、エステル基、アルコキシル基からなる群から選ばれた基を表す。)
すなわち、本発明は、線状ポリアセタール0〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール100〜0.001重量%とから成るポリアセタール樹脂100重量部に対して(B)前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩0.001〜10重量部を添加してなるポリアセタール樹脂組成物である。
【0014】
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、線状ポリアセタールおよび/または分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールとから成るポリアセタールの溶融状態で(B)前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩、必要に応じて各種配合剤を添加し、混合、混練するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下に説明するとおり、特に溶融状態で長時間放置した後も、機械特性、特にクリープ特性の低下の少ないポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明で使用される線状ポリアセタールは、分岐を有せず、網状化していないオキシメチレン単位を主体とする重合体であって、ポリアセタール単独重合体および/または主としてオキシメチレン単位からなり、ポリマ主鎖中に少なくとも1種の炭素数2〜8のオキシアルキレン単位を含有する線状ポリアセタール共重合体が好ましく用いられる。線状ポリアセタールは、耐熱性と機械的強度および衝撃特性のバランスの観点から線状ポリアセタール共重合体であることが好ましい。
【0017】
ポリアセタール単独重合体とは、オキシメチレン単位からなり、重合体の両末端がエステルまたはエーテル基により封鎖された重合体を示す。例えば、ホルムアルデヒドを有機アミン、有機あるいは無機の錫化合物、金属水酸化物のような塩基性重合触媒を含有する有機溶媒中に導入して重合し、重合体を濾別したのち、無水酢酸中、酢酸ナトリウムの存在下で加熱して末端をアセチル化することにより、ポリアセタール単独重合体を調製することができる。
【0018】
線状ポリアセタール共重合体とは、オキシメチレンモノマー単位からなるポリマー鎖中にオキシアルキレンモノマー単位がランダムに挿入され、重合体の両末端がエステルまたはエーテル基により封鎖された重合体を示す。例えば、(a1)トリオキサン、あるいは、テトラオキサンのようなホルムアルデヒドの環状オリゴマーと(a2)エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−プロパンジオールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカン等の分子中に炭素数2以上のオキシアルキレン単位を有する環状エーテルとをシクロヘキサンやベンゼンのような有機溶媒中に溶解、あるいは、懸濁したのち、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテラートのようなルイス酸触媒を添加して重合し、不安定末端を分解除去することにより安定化(安定化工程)したポリアセタール共重合体である。あるいは、溶媒を全く使用せずにセルフクリーニング型撹拌機の中へトリオキサンと、共重合成分および触媒の予備混合物とを導入して塊状重合したポリアセタール共重合体が挙げられる。所望により、この重合体から洗浄によって重合触媒を除去、あるいは、失活剤によって重合触媒を失活させたのち、不安定末端を分解除去することにより安定化(安定化工程)して製造する。重合触媒の失活剤としては分子量400以上のヒンダードアミン系化合物が挙げられ、中でも後述する一般式(XI)で表されるヒンダードアミン系化合物が好ましく、特にビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。
【0019】
また、上記安定化工程においては、上記失活剤の他、所望により、分解助剤(脂肪酸(OH基を含んでいてもよい)金属塩(ただし一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩に相当する構造を有するものを除く)、金属水酸化物など)、後述するような酸化防止剤、ホルムアルデヒド捕捉剤などを添加して線状ポリアセタールを製造することもできる。
【0020】
本発明において触媒の失活に失活剤を用いる場合や、上記成分を添加して安定化工程を行う場合は、これらを含めた混合物を線状ポリアセタールという。
【0021】
線状ポリアセタール共重合体中のオキシアルキレンコモノマー単位の含有量は、オキシメチレンモノマー単位100モル当たり0.1〜10モル、好ましくは0.1〜7モル、さらに好ましくは0.1〜5モルの範囲で選ばれる。線状ポリアセタール共重合体の熱安定性および成形時の劣化による外観低下の抑制の観点からはオキシアルキレンコモノマー単位の含有量が上記下限以上であることが好ましく、成形体の結晶化度の改良の観点からはオキシアルキレンコモノマー単位の含有量が上記上限以下であることが好ましい。
【0022】
特に好ましい線状ポリアセタールは、特開昭62−257922号公報に記載の方法、例えばトリオキサンと環状エーテルまたは環状ホルマールとを、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテラートのようなルイス酸触媒の存在下、塊状重合させたのち、一般式(XI)で表わされるヒンダードアミン系化合物を添加して重合反応を停止させ、更に不安定末端を分解除去することで安定化した重合体である。
【0023】
【化2】

【0024】
(ただし、式中R4は水素原子または炭素数1〜30の1価の有機残基を表わす。R5〜R8はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表わし、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。pは1以上の整数を表わし、R9はp価の有機残基を表わす。)
本発明で使用する分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールは特に制限はないが、下記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物を重合して得られるポリアセタールが好ましく用いられる。
【0025】
【化3】

【0026】
(ただし式中、R3は炭素数30以下の有機基からなる群から選ばれた基を表す。)
また、本発明で使用される前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物を重合して得られるポリアセタールとしては、(a1)トリオキサン、あるいは、テトラオキサンのようなホルムアルデヒドの環状オリゴマーに対し、(a3)エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカン、エピクロルヒドリンなどから選ばれた少なくとも一種の化合物及び(a4)前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物(ただしプロピレンオキシドは除く)を共重合してなるポリアセタール共重合体ならびに上記(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマーに対し、上記(a4)環状化合物を共重合してなるポリアセタール共重合体などが挙げられ、これらは一種以上で用いることができる。これらポリアセタール共重合体の製造方法としては、例えば、(1)上記(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、上記(a3)化合物及び、上記(a4)環状化合物、あるいは、(2)上記(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマーと(a4)環状化合物を三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートのようなルイス酸触媒を添加して重合し、不安定末端を分解除去して製造することができる。好ましくは溶媒を全く使用せずにセルフクリーニング型撹拌機を使用して塊状重合し、失活剤で触媒失活させたのち、不安定末端を分解することにより安定化(安定化工程)して製造する方法が挙げられる。重合触媒の失活剤としては分子量400以上のヒンダードアミン系化合物が挙げられ、中でも前記一般式(XI)で表されるヒンダードアミン系化合物が好ましく、特にビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。
【0027】
また、上記安定化工程においては、上記失活剤の他、所望により、分解助剤(脂肪酸(OH基を含んでいてもよい)金属塩(ただし一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩に相当する構造を有するものを除く)、金属水酸化物など)、後述するような酸化防止剤、ホルムアルデヒド捕捉剤などを添加して分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールを製造することもできる。
【0028】
本発明において触媒の失活に失活剤を用いる場合や、上記成分を添加して安定化工程を行う場合は、これらを含めた混合物を分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールという。
【0029】
また、前記の各化学式(II)〜(IX)中においてR3における炭素数30以下の有機基は下記の(XA)〜(XD)が好ましい。
【0030】
【化4】

【0031】
(ただし、式中、R’は炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、クミルフェニル基より選ばれる基であり、それぞれ、アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。R''は炭素数1〜20のアルキレン基、アルキリデン基、アリーレン基から選ばれる基を表す。X、Yはそれぞれ1〜10の自然数を表す。)
(XA)〜(XD)の中で、最も好ましいのは、R’が炭素数5〜10のアルキル基またはフェニル基のいずれかであり、R''が炭素数1〜6のアルキレン基、Xが1〜6の自然数、Yが1の場合である。
【0032】
前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物の中でとりわけ好ましいのは前記化学式(II)で表される環状化合物である。
【0033】
前記化学式(II)で表される環状化合物の具体例を以下に示す。
【0034】
【化5】

【0035】
上記の中で特に好ましい化合物を以下に示す。
【0036】
【化6】

【0037】
前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物の共重合量は(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマー100重量部に対して0.001 〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.01〜5重量部の範囲である。0.001重量部未満では樹脂組成物の結晶速度、機械的強度や成形性が低下する傾向にある。また、10重量部を越えると樹脂組成物の衝撃強度が低下する傾向があり、また、前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物を重合して得られるポリアセタールの収率が悪く、生産性が低下する傾向にある。
【0038】
上記共重合成分である(a3)化合物の共重合量は(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマー100重量部に対して0.01〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜7重量部である。0.01重量部未満では(a3)を共重合することによる熱安定化時のポリマ収率の向上効果が顕著でなく、20重量部を越えると、機械的強度の優れた樹脂組成物を得ることが困難である。
【0039】
重合触媒の添加量は(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマー100重量部に対して0.001〜0.1重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.005〜0.05重量部の範囲である。
【0040】
塊状重合反応温度は60〜120℃の範囲が好ましく、特に60〜90℃の範囲が好ましい。重合後は前記一般式(XI)で表されるヒンダードアミンで触媒失活させた後、不安定末端を分解除去して製造することが好ましい。
【0041】
本発明においては、ポリアセタール樹脂(分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールまたは、線状ポリアセタールを併用する場合は、これと分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールの合計)100重量部に対して、カルボン酸の金属塩であって、かつ、ギ酸と反応してカルボン酸を形成し、そのカルボン酸が(i)縮重合する、および/または、(ii)自己縮合して環化する性質を有するカルボン酸の金属塩0.001〜10重量部を添加することにより、機械物性、特に溶融状態で長時間放置した後のクリープ特性の変化が顕著に改良されるものである。
【0042】
ポリアセタール樹脂の安定化のために、脂肪酸の金属塩等のカルボン酸の金属塩を添加すると、ポリアセタール樹脂中のギ酸が反応し、ギ酸金属塩を生成することにより、ギ酸による物性低下が抑制される。しかし、同時に副生するカルボン酸がポリアセタール樹脂の熱安定性を損なっている可能性があることが明らかとなった。そこでカルボン酸が副生するときに、そのカルボン酸に(i)縮重合および/または(ii)自己縮合して環化する性質を持たせることにより、カルボン酸がポリアセタール樹脂に作用し熱安定性を低下させることを防止することを解明した。これにより本発明のポリアセタール樹脂組成物は、機械物性、特に溶融状態で長時間放置した後のクリープ特性の変化がきわめて少ない優れた特徴を有するものである。
【0043】
このようなカルボン酸の金属塩としては、(B)成分として用いられる前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩が挙げられる。前記一般式(I)で表されるカルボン酸において、Xは、水酸基、ホルミル基、アミノ基、エステル基、アルコキシル基からなる群から選ばれた基であり、なかでも水酸基、アミノ基であることが好ましい。Xの具体例としては水酸基、ホルミル基、アミノ基、メチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基、ペンチルエステル基、ヘキシルエステル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられ、なかでも水酸基、アミノ基であることが好ましい。R1、R2は水素原子および炭素数10以下の有機基からなる群から選ばれた基であり、これらは同一であっても異なっていてもよく、具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アミノ基、カルボキシル基が挙げられ、なかでも水素原子、メチル基、アミノ基、カルボキシル基であることが好ましい。また、m、nはそれぞれ0から5までの整数を表すが、0から2までの整数であることが好ましい。さらにm+nは0から5までの整数であり、0から4までの整数であることが好ましい。このようにX、R1、R2を選択すること、およびm、nを上記範囲の数とすることにより、カルボン酸が、縮重合したり、自己縮合して環化したりする性質を発揮しやすくなり好ましい。
【0044】
以下、「前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩」を(B)カルボン酸の金属塩と記すことがある。
【0045】
前記一般式(I)で表されるカルボン酸としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の金属塩、脂環族ヒドロキシカルボン酸の金属塩、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩等が挙げられる。その中でも、特に脂肪族ヒドロキシカルボン酸の金属塩が好ましい。
【0046】
また、脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、更に具体的には、モノヒドロキシモノカルボン酸、モノヒドロキシジカルボン酸、モノヒドロキシトリカルボン酸、ジヒドロキシモノカルボン酸、ジヒドロキシジカルボン酸、ジヒドロキシトリカルボン酸、トリヒドロキシモノカルボン酸、トリヒドロキシジカルボン酸、トリヒドロキシトリカルボン酸等が挙げられる。具体的な化合物を以下に例示する。
【0047】
モノヒドロキシモノカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、α−ヒドロキシ−n−酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ−n−吉草酸、α−ヒドロキシイソ吉草酸、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸、α−ヒドロキシ−n−カプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、2−エチル−2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルペンタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルヘキサン酸、2−ヒドロキシ−2,4−ジメチルペンタン酸、ヒドロアクリル酸、β−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシイソ酪酸、β−ヒドロキシ−n−吉草酸、β−ヒドロキシイソ吉草酸、α−エチルヒドロアクリル酸、α−ヒドロキシアクリル酸、ビニルグリコール酸、プロペニルグリコール酸が挙げられる。
【0048】
モノヒドロキシジカルボン酸としては、ヒドロキシマロン酸、イソリンゴ酸、1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジカルボン酸、1−ヒドロキシブタン−1,1−ジカルボン酸、1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1,1−ジカルボン酸、2−ヒドロキシエタン−1,1−ジカルボン酸、2−ヒドロキシ−3−メチルプロパン−1,1−ジカルボン酸、1−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,1−ジカルボン酸、リンゴ酸、α−メチルリンゴ酸、α−ヒドロキシ−α’−メチルコハク酸、α−ヒドロキシ−α’,α’−ジメチルコハク酸、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルコハク酸、α−ヒドロキシ−α’−エチルコハク酸、α−ヒドロキシ−α’−メチル−α−エチルコハク酸、トリメチルリンゴ酸、α−ヒドロキシグルタル酸、β−ヒドロキシグルタル酸、β−ヒドロキシ−β−メチルグルタル酸、β−ヒドロキシ−α,α−ジメチルグルタル酸、α−ヒドロキシスベリン酸、α−ヒドロキシセバシン酸が挙げられる。
【0049】
モノヒドロキシトリカルボン酸としては、クエン酸、イソクエン酸が挙げられる。
【0050】
ジヒドロキシモノカルボン酸としては、グリセリン酸、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチルプロピオン酸、3,4−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−(1’−メチルエチル)ブタン酸が挙げられる。
【0051】
ジヒドロキシジカルボン酸としては、酒石酸、メチル酒石酸、ジメチル酒石酸、α,β−ジヒドロキシグルタル酸、α,γ−ジヒドロキシグルタル酸、α,γ−ジヒドロキシ−β−メチルグルタル酸、α,γ−ジヒドロキシ−β−エチル−β−メチルグルタル酸、α,γ−ジヒドロキシ−α,γ−ジメチルグルタル酸、α,δ−ジヒドロキシアジピン酸、β,γ−ジヒドロキシアジピン酸、2,5−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−2−メチルヘキサン二酸、ジヒドロキシフマル酸、ジヒドロキシマレイン酸が挙げられる。
【0052】
ジヒドロキシトリカルボン酸としては、1,2−ジヒドロキシエタン−1,2,2−トリカルボン酸、1,2−ジヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、1,3−ジヒドロキシプロパン−1,1,3−トリカルボン酸が挙げられる。
【0053】
トリヒドロキシモノカルボン酸としては、トリヒドロキシ酪酸、トリヒドロキシイソ酪酸、3,4,5−トリヒドロキシヘキサン酸が挙げられる。また、トリヒドロキシジカルボン酸としては、トリヒドロキシグルタル酸が挙げられる。
【0054】
前記一般式(I)で表されるカルボン酸は、特に好ましくはグリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、β−ヒドロキシイソ酪酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸であり、中でもリンゴ酸、クエン酸、酒石酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を用いることもできる。
【0055】
また、前記一般式(I)で表されるカルボン酸は、アミノ基を有するカルボン酸であることも好ましく、その中でもアミノ酢酸、2−アミノ−プロピオン酸、3−アミノプロピオン酸または2−アミノ−酪酸、グルタミン酸、L−アラニン、βーアラニンが好ましい。
【0056】
また本発明の樹脂組成物において(B)カルボン酸の金属塩を構成する金属としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、銀であることが好ましく、アルカリ金属としては、リチウム、ルビジウム、セシウム、カリウム、ナトリウムが挙げられる。アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、ベリリウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、その中でもカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムがより好ましい。
【0057】
本発明の樹脂組成物に使用する(B)カルボン酸の金属塩は、好ましくは脂肪族ヒドロキシカルボン酸の金属塩、脂環族ヒドロキシカルボン酸の金属塩、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩、およびアミノ基を有するカルボン酸の金属塩等が挙げられる。その中でも、特に脂肪族ヒドロキシカルボン酸の金属塩が好ましい。具体的には、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、グリコール酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、リンゴ酸カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸水素二カリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二水素カリウム、酒石酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウム、および酒石酸カリウムナトリウムを好適な例として挙げることができる。より好ましくは、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、グリコール酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、酒石酸カルシウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、および酒石酸水素カリウムであり、特に乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、酒石酸ナトリウムを使用すると、機械的物性の低下がなく、色調および熱安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂を得ることができる。
【0058】
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば線状ポリアセタールの安定化工程で(B)カルボン酸の金属塩を添加し、得られた線状ポリアセタールと分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールおよび必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、1軸または2軸押出機で、均一に溶融混練する方法、分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールの安定化工程で(B)カルボン酸の金属塩を添加し、得られた分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールと線状ポリアセタールおよび必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、1軸または2軸押出機で、均一に溶融混練する方法、線状ポリアセタールと分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール、(B)カルボン酸の金属塩および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、1軸または2軸押出機で、均一に溶融混練する方法が好ましく用いられる。
【0059】
線状ポリアセタール、分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール、(B)カルボン酸の金属塩の配合比は、線状ポリアセタール0〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール100〜0.001重量%とから成るポリアセタール樹脂100重量部に対して(B)カルボン酸の金属塩0.001〜10重量部である。このうち、線状ポリアセタールと分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールとの比は、好ましくは、線状ポリアセタール70〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール30〜0.001重量%、より好ましくは、線状ポリアセタール90〜99.95重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール10〜0.05重量%、最も好ましくは、線状ポリアセタール99〜99.95重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール1〜0.05重量%である。なお、上記各ポリアセタールの重量%は、ポリアセタール樹脂(上記線状ポリアセタールと分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールの合計)を100重量%としたときの重量%である。また、線状ポリアセタールと分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールとを上記の割合で合わせたポリアセタール樹脂100重量部に対して、(B)カルボン酸の金属塩は0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.03〜1重量部である。(B)カルボン酸の金属塩の配合量が0.001重量部未満ではクリープ特性の改善が不十分であり、また10重量部を超える場合には、溶融状態で長時間放置した後のクリープ特性に変化が大きくなり好ましくない。
【0060】
本発明の組成物にさらに用途に応じて適当な添加剤を配合することにより、一層優れたポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。具体的には、酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物、耐候(光)安定剤、及び離型(潤滑)剤、補強剤、導電材、顔料等の添加剤の一種以上をポリアセタール樹脂100重量部に対して0〜5重量部程度の範囲で含有してもよい。
【0061】
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。具体的には、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N、N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等がある。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらの酸化防止剤は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部配合することが好ましい。
【0062】
ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物の例としては、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12等のポリアミド樹脂、およびこれらの共重合物、例えば、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等が挙げられる。またアクリルアミドおよびその誘導体、アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体やアミノ置換基を有するホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物を挙げることができる。アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体の例としては、アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体を挙げることができる。また、アミノ置換基を有するホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物の例としては、グアナミン(2,4−ジアミノ−sym−トリアジン)、メラミン(2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン、2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン、N,N,N’、N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、メラミンシアヌレート、エチレンジメラミンシアヌレート、トリグアナミンシアヌレート、アンメリン、アセトグアナミン等のトリアジン誘導体が挙げられる。これらホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合せて用いても良い。ポリアセタール樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部配合される。
【0063】
耐候(光)安定剤は、ベンゾトリアゾール系物質、蓚酸アニリド系物質、およびヒンダードアミン系物質からなる群から選ばれる1種もしくは2種以上が好ましい。
【0064】
ベンゾトリアゾール系物質の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0065】
蓚酸アリニド系物質の例としては、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。これらの物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0066】
ヒンダードアミン系物質の例としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物等が挙げられる。上記ヒンダードアミン系光安定剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0067】
中でも好ましい耐候(光)安定剤は、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。これらの耐候(光)安定剤は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部配合されることが好ましい。
【0068】
離型剤としては、アルコール、脂肪酸およびそれらのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン等が挙げられる。中でも、炭素数12〜22の脂肪酸由来のエチレングリコールジ脂肪酸エステルが好ましく、特にエチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジヘプタデシレートが好ましい。本発明においては、これら炭素数12〜22の脂肪酸由来のエチレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる2種以上をポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜0.9重量部配合することが特に有効である。
【0069】
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のポリアセタール樹脂組成物に無機フィラー(ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維等に代表される補強剤、導電性カーボンブラック、金属粉末、繊維等に代表される導電材等)、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂、またはこれらの変性物等に代表される熱可塑性樹脂、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等に代表される熱可塑性エラストマーを配合しても良い。
【0070】
本発明のポリアセタール樹脂組成物にさらに硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー等に代表される無機顔料、縮合アゾ系、ペリノン系、フタロシアニン系、モノアゾ系等に代表される有機顔料等を配合することができる。
【0071】
顔料は本発明のポリアセタール樹脂組成物100重量部に対して0〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の範囲で使用される。5重量部を超えると熱安定性が低下し好ましくない。
【0072】
本発明の樹脂組成物は、機械的性質の低下や射出成形機等のシリンダー内で滞留してもクリープ特性が低下しない特性を持つ組成物であり、射出成形や押出成形、ブロー成形等の方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。射出成形する場合の金型温度としては、結晶化の観点から、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。
【0073】
本発明の樹脂組成物からなる成形品としては、射出成形品、押出成形品、およびブロー成形品等が挙げられる。これらの成形品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品、および日用品等各種用途に利用することができる。
【0074】
以下実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0075】
参考例1〜17
100mmφ、L/d=10の2軸連続型混合機(栗本鉄工所製“KRCニーダ”S−4型)にトリオキサン、1,3−ジオキソラン、およびトリオキサンに対して100ppmの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.5%ベンゼン溶液)、重合度調節剤のメチラールをそれぞれ供給し、連続重合を行った。なお、表1中の各成分の括弧内の数値は重量部を表す。重合温度は外部ジャケットに温水を通すことにより、約60℃にコントロールし、回転数は60rpmに設定した。分子量調整剤としてのメチラールは、トリオキサン中に溶解した。また、1,3−ジオキソランと触媒溶液は、ニーダーへ供給する直前に予備混合されるように予備混合ゾーンを設けた。重合体は白色微粉末として得られた。
【0076】
この様にして得られた線状ポリアセタールの微粉末10kg(100重量部)に対して、27g(0.27重量部)のビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートを200mlのベンゼンに溶解した溶液を添加して触媒失活を行った後、更に(B)カルボン酸の金属塩等を表1記載の種類と量、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製“イルガノックス(Irganox)”245]50g(0.5重量部)を添加してヘンシェルミキサー中で10分間撹拌した。得られた混合物を35mmφ、L/d=30のベント付2軸押出機を使用して、シリンダー温度230℃、ベントの真空度670Paの条件で溶融安定化を行った後、水中に吐出しカッティングを行ってペレット状の線状ポリアセタール共重合体を得た。この操作を繰り返して線状ポリアセタールを製造し、以下の実施例で使用した。
【0077】
参考例18〜27
100mmφ、L/d=10の2軸連続型混合機(栗本鉄工所製“KRCニーダ”S−4型)にトリオキサン、表2中に示した重合成分2、表2中に示した前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物およびトリオキサンに対して100ppmの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.5%ベンゼン溶液)、重合度調節剤のメチラールをそれぞれ供給し、連続重合を行った。なお、表2中の各成分の括弧内の数値は重量部を表す。重合温度は外部ジャケットに温水を通すことにより、約60℃にコントロールし、回転数は60rpmに設定した。分子量調整剤としてのメチラールは、トリオキサン中に溶解した。また、重合成分2と触媒溶液は、ニーダーへ供給する直前に予備混合されるように予備混合ゾーンを設けた。重合体は白色微粉末として得られた。
【0078】
この様にして得られた分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールの微粉末10kg(100重量部)に対して、27g(0.27重量部)のビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートを200mlのベンゼンに溶解した溶液を添加して触媒失活を行った後、更に(B)カルボン酸の金属塩等を表2記載の量、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製“イルガノックス(Irganox)”245]50g(0.5重量部)、参考例18、23〜27についてはさらに分解助剤として12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム10g(0.1重量部)を添加してヘンシェルミキサー中で10分間撹拌した。得られた混合物を35mmφ、L/d=30のベント付2軸押出機を使用して、シリンダー温度230℃、ベントの真空度670Paの条件で溶融安定化を行った後、水中に吐出しカッティングを行ってペレット状の分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールを得た。この操作を繰り返してポリアセタールを製造し、以下の実施例で使用した。
【0079】
なお、参考例1〜27で得られたポリアセタールについて、重合度の目安として、ISO1133に従い、ポリマー温度:190℃、荷重:2160グラムの条件でMI(g/10分)を測定し、結果を表1および表2に示した。
【0080】
実施例および比較例で用いた各添加剤の内容を下記に示す。
・[乳酸カルシウム(B−1)]、[乳酸マグネシウム(B−2)]、[乳酸ナトリウム(B−3)]、[乳酸カリウム(B−4)]、[グリコール酸ナトリウム(B−5)]、[グルタミン酸ナトリウム(B−6)]、[リンゴ酸ナトリウム(B−7)]、[リンゴ酸カリウム(B−8)]、[クエン酸カルシウム(B−9)]、[クエン酸三ナトリウム(B−10)]、[クエン酸三カリウム(B−11)]、[酒石酸カルシウム(B−12)]、[酒石酸水素ナトリウム(B−13)]、[酒石酸ナトリウム(B−14)]、[酒石酸水素カリウム(B−15)]:それぞれ関東化学株式会社製のものを使用した。
・[12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム(B−16)]:大日化学”ダイワックスOHC”を使用した。
・[水酸化カルシウム(B−17)]、[乳酸(B−18)]、[リンゴ酸(B−19)]、[クエン酸(B−20)]、[酒石酸(B−21)]:それぞれ関東化学株式会社製のものを使用した。
【0081】
実施例1〜47、比較例1、2
参考例1〜17に示した線状ポリアセタールおよび参考例18〜27に示した分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールを表3、4に示した割合でドライブレンドし、シリンダー温度210℃、スクリュー回転数:150回転に設定した30mmφ2軸押出機(日本製鋼所製“TEX”30)を用いて溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、シーケンシャル型ICP発光分光分析装置SPS4000(セイコーインスツルメンツ製)を用いて金属成分を定量し、その値から(B)成分由来の金属成分量を求め、(B)成分の含有量を計算した。その値よりポリアセタール樹脂100重量部に対する(B)成分の部数を計算し表3、4に示した。得られた樹脂組成物をシリンダー温度210℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(東芝IS−80)を用いてJIS♯4ダンベル(厚さ:1mm)を成形した。このときの成形条件として、通常条件:射出時間10秒、冷却時間10秒の場合と、滞留条件:射出時間10秒、冷却時間5分と変えて成形を行った。成形片はそれぞれギアオーブン(タバイ:High Temp Oven PHH-200)に入れ、160℃まで昇温した後、3時間保持して成形歪みを除去した。
【0082】
クリープ試験として、安田精機:クリープテスター6連型で雰囲気温度:40℃、荷重:30MPaの条件で破断までの時間を測定した。結果を合わせて表3、4に示す。 なお表3、4において、破断時間は時間単位で表している。
【0083】
実施例48〜70、比較例3〜17
参考例16に示した線状ポリアセタール、参考例18に示した分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール、および(B)カルボン酸の金属塩等を表5に示した重量割合でドライブレンドし、シリンダー温度210℃、スクリュー回転数:150回転に設定した30mmφ2軸押出機(日本製鋼所製“TEX”30)を用いて溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をシリンダー温度210℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(東芝IS−80)を用いてJIS♯4ダンベル(厚さ:1mm)を成形した。このときの成形条件として、通常条件:射出時間10秒、冷却時間10秒の場合と、滞留条件:射出時間10秒、冷却時間5分と変えて成形を行った。成形片はそれぞれギアオーブン(タバイ:High Temp Oven PHH-200)に入れ、160℃まで昇温した後、3時間保持して成形歪みを除去した。
【0084】
クリープ試験として、安田精機:クリープテスター6連型で雰囲気温度:40℃、荷重:30MPaの条件で破断までの時間を測定した。結果を合わせて表5に示す。なお表5において、破断時間は時間単位で表している。
【0085】
表3〜5の結果からは次の事項が明らかである。
(1)線状ポリアセタール0〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール100〜0.001重量%とから成るポリアセタール樹脂100重量部に対して(B)カルボン酸の金属塩0.001〜10重量部を添加することで、溶融状態で長時間放置した後も、機械特性、特にクリープ特性の低下の少ないポリアセタール樹脂組成物が得られる。(実施例1〜70)
(2)一方、(B)カルボン酸の金属塩の代わりにB−16、B−17を配合した場合には、溶融状態で長時間放置した後の機械特性、特にクリープ特性の低下が大きくなる。(比較例1〜4)
(3)また(B)カルボン酸の金属塩の代わりにB−18〜21を配合した場合には、溶融状態で長時間放置した後だけでなく、通常条件で測定した場合でも機械特性、特にクリープ特性の低下が大きくなる。(比較例5〜8)
(4)また(B)カルボン酸の金属塩が0.001重量部より少ない場合、および10重量部より多い場合も、溶融状態で長時間放置した後の機械特性、特にクリープ特性の低下が大きくなる。(比較例9〜17)
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、特に溶融状態で長時間放置した後の機械特性、特にクリープ特性の低下が少ない。従って大型の成形品を射出成形する場合や、高い寸法精度で成形品を得る必要がある場合など成形サイクルが長くなる場合の機械特性、特にクリープ特性の低下が少ないため、電気・電子分野、自動車分野などの機械機構部品として広範囲に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)線状ポリアセタール0〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール100〜0.001重量%とから成るポリアセタール樹脂100重量部に対して(B)下記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩0.001〜10重量部を添加してなるポリアセタール樹脂組成物。
【化1】

(ただし、式中R1、R2は水素原子および炭素数10以下の有機基からなる群から選ばれた基を表し、同一であっても異なっていてもよく、またm、nはそれぞれ0から5までの整数を表し、かつm+nが0から5までの整数である。またXは水酸基、ホルミル基、アミノ基、エステル基、アルコキシル基からなる群から選ばれた基を表す。)
【請求項2】
分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールが、下記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物(ただしプロピレンオキシドは除く)を重合して得られるポリアセタールである請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
【化2】

(ただし式中、R3は炭素数30以下の有機基からなる群から選ばれた基を表す。)
【請求項3】
(B)前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩の中で、Xが水酸基またはアミノ基であることを特徴とするカルボン酸の金属塩である請求項1または2記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項4】
(B)前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩における前記一般式(I)で表されるカルボン酸が、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、β−ヒドロキシイソ酪酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アミノ酢酸、2−アミノ−プロピオン酸、3−アミノプロピオン酸、2−アミノ−酪酸、グルタミン酸、L−アラニン及びβーアラニンから選ばれた1種または2種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項5】
(B)前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩における前記一般式(I)で表されるカルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸からなる群から選ばれた1種または2種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項6】
(B)前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩における金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、銀から選ばれた1種または2種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項7】
(B)前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩がギ酸との反応により前記一般式(I)で表されるカルボン酸を形成し、縮重合するおよび/または自己縮合して環化するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなる成形品。
【請求項9】
(A)線状ポリアセタールおよび/または分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールとから成るポリアセタールの溶融状態で(B)前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩を混合することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2006−63319(P2006−63319A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191548(P2005−191548)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】