説明

ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法

【課題】DCPの含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】炭素数8〜22の脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、得られたポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液中に、減圧下で、水蒸気及び/又は不活性ガスを吹き込む、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法に関し、詳しくは、低分子有機ハロゲン化合物の含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂は、製紙用サイズ剤、湿潤紙力増強剤、多孔性向上剤等として有用である。このポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造法としては、二塩基性カルボン酸類とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてアミドアミン化合物を製造し、得られたアミドアミン化合物とエピハロヒドリンとを更に反応させる方法が知られている。この製造法の問題点としては、アミドアミン化合物とエピハロヒドリンとの反応時に、PRTR物質(化学物質排出把握管理促進法に定める第一種指定化学物質)である1,3−ジクロロプロパン等の低分子有機ハロゲン化合物(以下、総称して単に「DCP」という)が生成することが挙げられる。
【0003】
そこで、DCP量の少ないポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法として、特許文献1〜4には、二塩基性カルボン酸類とポリアルキレンポリアミン類とのモル比、反応温度等の反応条件を調整する方法が提案されている。また、特許文献5には、モノカルボン酸類とポリアルキレンポリアミン類との反応で得られるアミド系化合物と、エピハロヒドリンとを反応させる工程中又は反応終了後に、塩基性物質を添加する方法が提案されている。
しかしながら、従来法は、DCPを効率的に除去する点で、満足できるものではない。
【0004】
【特許文献1】特開平06−1842号公報
【特許文献2】特開2002−121280号公報
【特許文献3】特開2003−231751号公報
【特許文献4】特開2004−175818号公報
【特許文献5】特開2007−31898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、DCPの含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の効率的な製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造過程において、減圧下で、水蒸気及び/又は不活性ガスを吹き込むことにより、副生したDCPを効率的に除去できることを見出した。
すなわち、本発明は、炭素数8〜22の脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、得られたポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液中に、減圧下で、水蒸気及び/又は不活性ガスを吹き込む、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法によれば、DCPの含有量が少なく、しかも溶媒含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法は、炭素数8〜22の脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、得られたポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液中に、減圧下で、水蒸気及び/又は不活性ガスを吹き込むことを特徴とする。
【0009】
<ポリアミドアミン系化合物>
本発明に用いられるポリアミドアミン系化合物は、炭素数8〜22の脂肪酸(以下、「長鎖脂肪酸」ともいう)及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類との反応で得られる。
長鎖脂肪酸としては、炭素数8〜22、好ましくは炭素数12〜22、より好ましくは炭素数14〜20、特に好ましくは炭素数16〜18の直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
炭素数8〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、炭素数8〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸としては、シトロネル酸、リンデル酸、抹香酸、オレイン酸等が挙げられる。
飽和脂肪族ジカルボン酸としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸等が挙げられる。
これらの中では、嵩高性能の観点から、直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸がより好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸が特に好ましい
【0010】
長鎖脂肪酸の誘導体としては、長鎖脂肪酸のエステル等を挙げることができる。
長鎖脂肪酸のエステルとしては、長鎖脂肪酸と炭素数1〜5の低級アルコールとのエステルが挙げられ、特に好適なエステルとしては、長鎖脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、及びプロピルエステル等が挙げられる。これらの長鎖脂肪酸のエステルは、長鎖脂肪酸とアルコールとの公知のエステル化反応により得ることができる。
長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0011】
ポリアルキレンポリアミン類としては、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン及びこれらのアミン類のアルキレンオキシド付加物が挙げられる。これらの中では、嵩高性能の観点から、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが好ましく、テトラエチレンペンタミンが特に好ましい。
上記のポリアルキレンポリアミン類は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。例えば、ジエチレンジアミンを15質量%程度含有するテトラエチレンペンタミンを使用することもできる。
【0012】
長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類との反応モル比は、特に限定されないが、ポリアルキレンポリアミン類1モルに対して、長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体は、通常1〜7モル、好ましくは1.2〜6モル、より好ましくは1.5〜5モルである。
長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類との反応温度は、通常100〜250℃、好ましくは150〜230℃で行われる。反応時間は、通常0.5〜20時間、好ましくは2〜15時間である。反応に際して、長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを接触させる方法に特に制限はなく、通常はポリアルキレンポリアミン類に、長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体を徐々に添加してアミド化反応をスムースに進行させる方法が好ましい。
アミド化反応の触媒は特に必要ではないが、触媒を用いる場合は、硫酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸類、その他、アミド化反応に通常に用いられる触媒を使用することができる。触媒の使用量は、ポリアルキレンポリアミン1モルに対し、通常0.005〜0.1モル、好ましくは0.01〜0.05モルである。
また、ポリアミドアミン中の酸価は、原料脂肪酸の反応率を維持する目安であり、原料脂肪酸を効率的に使用する観点から、JIS K 0070、AOCS Te 2a−64に準拠した測定値で、0〜10が好ましく、特に0〜5が好ましい。
【0013】
<ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応>
上記の反応で得られたポリアミドアミン系化合物は、次いでエピハロヒドリン類と反応させて架橋し、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する。
ここで、エピハロヒドリン類とは、エピハロヒドリン及び/又はその誘導体をいう。エピハロヒドリとしては、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン等が挙げられ、エピハロヒドリンの誘導体としては、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等の1,3−ジハロゲノ−2−プロパノール等が挙げられる。
【0014】
この反応においては、溶媒を用いてもよく、用いなくてもよい。溶媒を用いる場合は、水又は水と有機溶剤との混合溶媒を用いることが好ましい。
有機溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられるが、これらの中ではイソプロピルアルコールが好ましい。有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用して水と混合することができる。
水と有機溶剤の使用量、混合比は、反応温度でポリアミドアミン系化合物を均一に溶解又は分散させるのに必要な量、混合比であればよい。通常、ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応は、ポリアミドアミン系化合物の濃度が5〜99.8質量%、好ましくは15〜99質量%、水と有機溶剤の混合比が、水100gに対して有機溶剤0〜100g、好ましくは3〜30gの範囲で行われる。
反応は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃に昇温した後、エピハロヒドリン類を0.2〜2時間かけて添加(滴下)して反応(第2段階反応)させ、更に、通常0.5〜20時間、好ましくは1〜15時間熟成させることが好ましい。
【0015】
ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応において、ポリアミドアミン系化合物の残存アミノ基の活性水素1モルに対する、エピハロヒドリン類の量は、DCP含量の増加を抑制する観点から、好ましくは0.5〜1.2モル当量、より好ましくは0.7〜1.0モル当量である。エピハロヒドリン類の量が0.5モル当量よりも少ないとポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の粘度が高くなって流動性を失い、取り扱いが困難となるという不都合を生じることがあり、また1.2モル当量を超えるとポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂中のDCPの含有量が多くなるという不都合を生じることがある。
【0016】
<副生DCPの除去>
本発明の特徴は、上記の方法により得られたポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液中に、減圧下で、水蒸気及び/又は不活性ガスを吹き込んで、副生したDCPを除去することにある。水蒸気及び/又は不活性ガスの吹き込みは、ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応中に開始してもよいが、収率を低下させないようにする観点から、ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応率が60%以上、好ましくは80%以上となった時点で、水蒸気及び/又は不活性ガスの吹き込みを開始することが好ましい。
水蒸気及び/又は不活性ガスの吹き込み方式に特に制限はないが、連続的に行うことが好ましい。水蒸気及び/又は不活性ガスの吹き込み位置は、DCPの除去効率の観点から、反応器内の加熱溶解されたポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液の深さに対して、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上の深さの位置、特に底部に吹き込むことが好ましい。不活性ガスと水蒸気とを併用してもよい。
不活性ガスとしては、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液と反応しないものであればよく特に制限されないが、窒素、アルゴン、ヘリウム、炭酸ガス等が好ましい。
【0017】
水蒸気及び/又は不活性ガスを吹き込む場合には、好ましくは80kPa以下、より好ましくは50kPa以下、特に好ましくは1〜20kPaの減圧下で行い、温度が好ましくは110℃以下、より好ましくは105℃以下、更に好ましくは100℃以下、中でも特に好ましくは80〜90℃の条件で行う。
水蒸気及び/又は不活性ガスの吹き込み量は、副生したDCPにより異なるが、DCPの除去効率の観点から、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液の量に対する水蒸気の重量比〔(水蒸気及び)/(ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液)〕が好ましくは0.005〜0.5、より好ましくは0.01〜0.3である。又不活性ガスの吹き込み量は、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液の量(m3)に対して、体積比で0.05以上であればDCPの除去が十分に行われ、また、0.3以下であれば、反応器内での空塔線速度が適度で、真空系への負担も大きくなく好ましい。
【0018】
水蒸気及び/又は不活性ガスを吹き込む際に、DCPを効率的に除去するには、特に限定されるものでないが、例えば0.5kW/m3以上、好ましくは1kW/m3以上、より好ましくは1.5kW/m3以上であって、15kW/m3以下の攪拌動力下で反応を行うことが好ましい。かかる攪拌動力を達成する攪拌翼としては、ファウドラー翼、パドル翼、タービン翼、プロペラ翼、アンカー翼等が好ましく、これらの翼の組み合わせで2枚以上用いてもよい。また攪拌剪断力を向上させるために、反応槽内に邪魔板を設置することが好ましい。
【0019】
かくして、得られた本発明のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂は、DCPの含有量が非常に少ないというという特徴を有する。しかも、製紙用嵩高剤として用いると公知の方法で製造されたポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂と同等以上の優れた嵩高性能、吸水抑制能を有する。
【0020】
本発明のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を紙用嵩高剤等として使用する場合は、例えば、パルプスラリーに0.1〜2質量%程度添加する方法、抄紙された紙にサイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、キャレンダー等を用いて表面塗工又は含浸加工する方法等を採用することができる。
また、必要に応じて、填料、染料、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力向上剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤等の公知の添加物を添加し、又は公知の方法で水等に分散させて使用することができる。
分散方法としては、転相乳化法、界面活性剤や無機塩類の添加による方法、界面活性剤・無機塩類を添加した後の転相乳化法、機械的方法等が挙げられる。
用いることのできる界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、高級アルコール又は高級脂肪酸にオキシアルキレン基が付加した非イオン界面活性剤等の公知の界面活性剤が挙げられる。また、無機塩類としては、例えば、ナトリウムやカルシウムの塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
機械的方法としては、ホモミキサー、高圧吐出型ホモジナイザー、高剪断型回転式乳化分散機、超音波乳化機等の各種の乳化機により均一分散させる方法が挙げられる。
これらの方法は組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0021】
以下の実施例及び比較例において、「%」は特記しない限り「質量%」である。
実施例1
(1)ポリアミドアミン化合物の製造
温度計、冷却管、窒素導入管を備えた1L容4ツ口フラスコにテトラエチレンペンタミン94.7g(0.5モル)とパルミチン酸/ステアリン酸混合物(混合質量比35/65)479.5g(1.75モル)を加えて徐々に200℃まで昇温し、温度が到達してから10時間反応させた。得られたポリアミドアミン化合物の酸価を、JIS K 0070、AOCS Te 2a−64に記載の試験法に準拠して測定した結果、3.8であった。(2)ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造
前記(1)得られたポリアミドアミン化合物300gを、温度計、冷却管、撹拌機、滴下ロートを備えた1L容4ツ口フラスコ仕込んだ後に、水を5g添加し、95℃にて3時間保持した。その後、105℃へ温度を上げて、エピクロロヒドリン37g(0.4モル)を1時間で滴下して反応させ(反応系中の水分量:1.6質量%)、9時間熟成を行った。
(3)DCPの除去
水蒸気吹き込み管を前記(2)で得られたポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液の深さに対して80%の深さに調整し、95℃で、3kPaまで減圧した後に、タービン翼を用いて3kW/m3の攪拌動力下で、水蒸気を3g/hrで2時間かけて吹き込んでDCPの除去した(〔(水蒸気及び/又は不活性ガス)/(ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液)〕の重量比=1/50)。
その後、ガスクロマトグラフィー法〔HEWLETT PACKARD株式会社製GC装置(HP4890)、Agilent Technologies株式会社製カラム(ULTRA1)〕により、1,3−ジクロロプロパンの含有量を測定した結果、2.1%であった。また留出分の重量を測定した結果、14.1g(水分量:64質量%)であった。
【0022】
実施例2
実施例1(3)において、水蒸気を吹き込む時のフラスコ内の温度を105℃、減圧度を5kPaに変えた以外は実施例1と同様に行った。スチーミング終了後の1,3−ジクロロプロパンの含有量を実施例1と同様にして測定した結果、1.8%であった。また、留出分の重量を測定した結果、14.5g(水分量:63質量%)であった。
【0023】
比較例1
実施例1(1)得られたポリアミドアミン化合物300gを、温度計、冷却管、撹拌機、滴下ロートを備えた1L容4ツ口フラスコ仕込んだ後に、水を5g添加し、95℃にて3時間保持した。その後、105℃へ温度を上げて、エピクロロヒドリン37g(0.4モル)を1時間で滴下して反応させ(反応系中の水分量:1.6質量%)、9時間熟成を行った。
熟成終了後の1,3−ジクロロプロパンの含有量を実施例1と同様にして測定した結果、3.8%であった。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の方法によれば、DCPの含有量が少なく、しかも溶媒含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を効率的に製造することができる。得られるポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂は、嵩高性能、吸水抑制能等に優れており、紙用嵩高剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数8〜22の脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、得られたポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液中に、減圧下で、水蒸気及び/又は不活性ガスを吹き込む、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
【請求項2】
水蒸気及び/又は不活性剤ガスを、反応器内のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂液の深さに対して30%以上の深さの位置に吹き込む、請求項1に記載のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
【請求項3】
反応器内に水蒸気及び/又は不活性剤ガスを吹き込む際に、1.5kW/m3以上の攪拌動力下で行う、請求項1又は2に記載のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
【請求項4】
反応系中の水分量を5質量%以下に保持する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
【請求項5】
脂肪酸が脂肪族モノカルボン酸である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法による、紙用嵩高剤用のポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2009−149733(P2009−149733A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327391(P2007−327391)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】