説明

ポリアミド染色のための酸供与体

(A)2〜20個のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物のC1〜C2カルボン酸エステル、および(B)pKa値6〜8を有するN−複素環化合物を含む補助剤組成物は、貯蔵安定性であり、ポリアミドの染色における酸供与体として適切である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C1〜C2カルボン酸エステルおよびN−複素環化合物を含む補助剤組成物、並びに繊維加工工程におけるpH制御の方法に関する。
【0002】
繊維の染色において、いわゆる酸供与体がしばしば染色液に添加され、それが染色工程中に加水分解し、その際に酸を放出し、pHのゆるやかな低下をもたらす。これがより低速でより均一な染料の吸尽を、その結果、染物のより良好な平面度を確実にする。DE−A3417780では、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのギ酸エステルが適切な酸供与体として推奨されている。しかし、それらのギ酸エステルは加水分解を極めて受けやすく、保存中でもある程度まで分解する。
【0003】
したがって、本発明の課題は、高い度合いの保存安定性を有する酸供与体の均質な無水液状配合物を製造することである。
【0004】
驚くべきことには、所定のカルボン酸エステル配合物の加水分解の傾向が、N−複素環化合物の添加により、相互に減らすことができることが今や見出された。N−複素環化合物は何ら問題を伴わずに無水配合物に均質に組み入れることができ、次いで、それらは高温でも良好な保存安定性を示す。
【0005】
したがって、本発明は、
(A)2〜20個のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物のC1〜C2カルボン酸エステル、および
(B)pKa値6〜8を有するN−複素環化合物
を含む補助剤組成物に関する。
【0006】
グリコールのギ酸エステルの、繊維加工工程におけるpH調整特性を有する酸供与体としての使用は、たとえば、米国特許第4,568,351号から公知である。
【0007】
1〜C2カルボン酸エステルの製造のための適切なポリヒドロキシ化合物は、たとえば、グリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびグルコース、ならびにまた、それらの化合物のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加生成物である。
【0008】
成分Aに従うC1〜C2カルボン酸エステルは、公知であるか、または公知の方法にしたがって、たとえば適切なポリヒドロキシ化合物とC1〜C2カルボン酸もしくは適切なカルボン酸誘導体とを反応させることにより製造することができる。
【0009】
完全にエステル化ならびに部分的にエステル化された化合物の両方が、成分Aとして適切である。完全にエステル化および部分的にエステル化されたポリヒドロキシ化合物の混合物も可能である。成分Aがジカルボン酸(たとえばシュウ酸)のエステルである場合、モノエステルもしくはジエステルのいずれかの形態、またはモノエステルおよびジエステルの混合物の形態とすることができる。ジカルボン酸ジエステルが好ましい。
【0010】
1〜C2カルボン酸エステルの製造に適切なC1〜C2カルボン酸は、たとえば、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヒドロキシ酢酸、およびシュウ酸である。
【0011】
成分Aとして、エチレングリコールまたはプロピレングリコールの、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールの、グリセロールの、グリセロール/エチレンオキシド付加生成物またはグリセロール/プロピレンオキシド付加生成物の、グルコースの、グルコース/エチレンオキシド付加生成物またはグルコース/プロピレンオキシド付加生成物の、C1〜C2カルボン酸エステルの使用が好ましい。
【0012】
成分Aとして特に好ましいのは、C1〜C2カルボン酸と、エチレングリコール、2〜4個のエチレン基を含有するポリエチレングリコール、プロピレングリコール、2〜4個のプロピレン基を含有するポリプロピレングリコール、グリセロール、2〜6個のエチレン基を含有するグリセロール/エチレンオキシド付加生成物、または2〜6個のプロピレン基を含有するグリセロール/プロピレンオキシド付加生成物との反応生成物である。
【0013】
さらに成分Aとして好ましいのは、2〜20個のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物の、ギ酸エステル、クロロ酢酸エステル、ヒドロキシ酢酸エステル、またはシュウ酸エステルである。
【0014】
特に好ましい酸供与体は、エチレングリコールモノホルマート、エチレングリコールジホルマート、ジエチレングリコールモノホルマート、ジエチレングリコールジホルマート、エチレングリコールモノ(クロロアセタート)、エチレングリコールジ(クロロアセタート)、ジエチレングリコールモノ(クロロアセタート)、ジエチレングリコールジ(クロロアセタート)、エチレングリコールモノ(ヒドロキシアセタート)、エチレングリコールジ(ヒドロキシアセタート)、ジエチレングリコールモノ(ヒドロキシアセタート)、ジエチレングリコールジ(ヒドロキシアセタート)、エチレングリコールモノ(オキサラート)、エチレングリコールジ(オキサラート)、ジエチレングリコールモノ(オキサラート)、およびジエチレングリコールジ(オキサラート)である。
【0015】
成分Bとして、原則的に、pKa6〜8を有する任意のN−複素環化合物が適切である。このような化合物は、たとえば、ピロリジン、ピロール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、キノリン、またはイソキノリンから誘導することができる。
【0016】
好ましい成分Bは、モルホリン化合物、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、キノリン化合物、またはイソキノリン化合物である。
【0017】
適切な成分Bの例は、イミダゾール、ヒスチジン、2−メチルベンゾイミダゾール、2−アミノピリジン、2,4−ジメチルピリジン(2,4−ルチジン)、2,4,6−トリメチルピリジン、1−アミノ−イソキノリン、および4−メチルモルホリンである。
【0018】
本発明による組成物中の成分Bとして、イミダゾールおよび2,4−ルチジンが、特に好ましい。
【0019】
本発明による組成物中の成分AおよびBの比は広い範囲で変えることができる。成分AおよびBの重量比は、好ましくは500:1〜4:1、特に100:1〜10:1、さらに特に60:1〜20:1である。
【0020】
活性を調節するために、有機溶剤、有利なことにはグリコールまたはグリコールエーテルを本発明による組成物に添加することもできる。
【0021】
したがって本発明は、前記定義の成分AおよびB、さらに
(C)式(1):
【0022】
【化3】

【0023】
(式中、R1およびR2は、水素またはC1〜C12アルキル、ただしR1およびR2基の少なくとも1個は、水素であり、R3は、水素またはメチルであり、nは、0〜8の数である)のグリコールまたはグリコールエーテルを含む組成物にも関する。
【0024】
式(1)の化合物は公知であり、多数が市販されている。それらの例は、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、およびポリプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
【0025】
本発明による好ましい組成物は、成分Cとして、R1およびR2が水素であり、nが0〜2の数である式(1)のグリコールを含む。
【0026】
成分Cとして、ジエチレングリコール、とりわけジプロピレングリコールが特に好ましい。
【0027】
本発明による組成物中の成分A、B、およびCの相対量は、広い範囲で変えることができる。
【0028】
(A)2〜20個のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物のC1〜C2カルボン酸エステル20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%、特に50〜80重量%、
(B)pKa値6〜8を有するN−複素環化合物0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、特に1〜3重量%、および
(C)式(1):
【0029】
【化4】

【0030】
(式中、R1およびR2は、水素またはC1〜C12アルキルであり、ただしR1およびR2基の少なくとも1個は、水素であり、R3は、水素またはメチルであり、nは、0〜8の数である)のグリコールまたはグリコールエーテル0〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、特に20〜45重量%を含み、成分(A)+(B)+(C)の合計が、いずれの場合も、100重量%である組成物が好ましい。
【0031】
本発明による補助剤は、成分A、B、および場合によるCのほかに、さらなる通常の添加剤、たとえば分散剤、湿潤剤、および消泡剤を含んでもよい。
【0032】
本発明は、加工液が前記定義の補助剤組成物を含む、繊維加工工程におけるpH制御の方法にも関する。
【0033】
本発明により理解される通りの繊維加工工程は、最も広い意味で、染色、捺染および増白法、繊維の漂白、繊維の仕上げ、羊毛の塩素化、およびpHが方法に影響を及ぼすような任意の方法であるが、特に染色法である。
【0034】
本発明による方法が適切である繊維基材は、特に酸性条件下で仕上げ、加工または染色するもの、たとえばセルロース2.5アセタート、ジアセタート、もしくはトリアセタート、変性ポリプロピレン、ポリエステル、またはポリアクリロニトリル、特に、天然または合成ポリアミドである。
【0035】
適切なポリアミドファイバー材料は、天然ポリアミドファイバー材料、たとえば羊毛または絹、および合成ポリアミドファイバー材料、たとえばポリアミド−6またはポリアミド−6.6、およびファイバーブレンド、たとえば羊毛/セルロースまたはポリアミド/セルロースファイバーブレンド、ポリアミド/羊毛ファイバーブレンド、またはポリアミド/エラステンファイバーブレンドを含む。ファイバー材料は、合成ポリアミドファイバー材料が好ましい。
【0036】
繊維材料は、任意の形態、たとえばファイバー、糸、織布またはメリヤス生地の形態で使用できる。
【0037】
ファイバー材料の本発明による補助剤組成物を用いる処理は、吸尽法により行うのが好ましく、その場合、溶液比(liquor ratio)は広い範囲内でから選択されることができ、たとえば、1:3〜1:100、好ましくは1:4〜1:50、特に1:5〜1:20である。
【0038】
一般に、本発明による補助剤組成物を0.1〜10g/L、好ましくは0.2〜6g/Lの量で用いると、良好な結果が得られる。
【0039】
特別な装置は必要ない。たとえば、通常の染色装置、たとえば開放浴、ウインチベック(winch beck)、ジグ、またはパドル、ジェットまたはサーキュレーション装置を用いることができる.
【0040】
手順は、たとえば20〜130℃、好ましくは50〜120℃、特に60〜100℃の温度で行うのが有利である。処理時間は、たとえば10〜90分、好ましくは15〜60分とすることができる。
【0041】
本発明の好ましい実施態様は、未染色紡織繊維材料を、少なくとも1種の染料と請求項1記載の組成物とを含む水性の吸尽染色液に、20〜40℃かつpH6〜9で接触させ、次に、温度を90〜150℃に上げ、その結果pHが4〜7に低下する、天然または合成紡織繊維染色の方法を含む。
【0042】
その溶液は、本発明による補助剤のほかに、さらなる通常の添加剤、たとえば電解質、たとえば塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウム、分散剤、湿潤剤、および消泡剤を含むことができる。
【0043】
染色は、アニオン染料、たとえばColour Index, 3rd edition (1971) に記載されているような、任意の通常のアニオン染料を用いて行うのが好ましい。
【0044】
アニオン染料の例は、スルホ基含有モノアゾ、ポリアゾ、金属錯体アゾ、アントラキノン、フタロシアニン、およびホルマザン染料を含む。
【0045】
ファイバー材料の染色に用いるアニオン染料は、それらのフリースルホン酸の形態かそれらの塩の形態のいずれかである。
【0046】
ファイバー材料の染色で用いる染料は、さらなる添加剤、たとえば塩化ナトリウムまたはデキストリンを含んでもよい。
【0047】
ファイバー材料の染色は、通常の染色または捺染法にしたがって、たとえばパジングまたは吸尽法にしたがって行うことができる。染色液または捺染糊は、水および染料のほかに、さらなる添加剤、たとえば湿潤剤、消泡剤、レベリング剤、または繊維材料の特性に影響を及ぼす薬剤、たとえば柔軟剤、難燃剤、もしくは汚れ、水、および油の忌避剤、ならびに硬水軟化剤および天然または合成の増粘剤、たとえばアルギン酸塩およびセルロースエーテルを含むことができる。
【0048】
染浴中に用いる染料の量は、必要な色合いの深みに応じて広い範囲内で変えることができ;一般に、染色する材料に基づいて0.01〜15重量%、特に0.01〜10重量%の量が有利であることが分かっている。
【0049】
アニオン染料または反応性染料を用いる染色は、pH1〜8、特に2〜7で行うのが好ましい。溶液比は、広い範囲内で、たとえば1:3〜1:50、好ましくは1:5〜1:30から選択することができる。染色は、好ましくは50〜130℃、特に80〜120℃で行う。
【0050】
本発明による方法の後に、ポリアミドファイバー材料の、染料、たとえばアニオン染料または反応性染料の染物が得られ、これらの染物は、高い度合いの平面度によって区別される。
【0051】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0052】
実施例1:保存安定性
エチレングリコールジホルマート60重量部、イミダゾール1.5重量部、およびジプロピレングリコール38.5重量部を混合することにより補助剤組成物を調製した(配合物1)。濃縮した生成物を数週間保管した;いずれの場合もpHの測定のために、脱イオン水中の1%溶液を調製した。市販されている酸供与体の1%溶液を比較に用いた。測定したpH値を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例2:アニオン染料を用いるポリアミドの染色
ポリアミド織物(PA6.6)5gを、1%のEriofast(登録商標)Red 3B(Ciba Specialty Chemicals)、および配合物1(発明)または参照製品(比較)1g/Lを含む溶液50gに室温で浸漬した。次に、溶液を加熱速度2℃/分で98℃に加熱した。98℃で60分後、溶液を3℃/分で60℃に冷ました。染色工程中に測定したpH値を表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
配合物1を用いた染物は、織物の改良された平面度およびより均一な外観によって区別された。
【0057】
実施例3:アニオン染料を用いるポリアミドの3色染色
ポリアミド織物(PA6.6)5gを、0.8%のErionyl(登録商標)Yellow A-R(Ciba Specialty Chemicals)、0.4%のErionyl(登録商標)Red A-2BF(Ciba Specialty Chemicals)、0.6%のErionyl(登録商標)Blue A-R(Ciba Specialty Chemicals)、および2%のUnivadine(登録商標)MC new(レベリング剤、Ciba Specialty Chemicals)、並びに配合物1(場合によって0.5g/L、1.0g/L、または4.0g/L)を含む溶液50gに、50℃で浸漬した。次に、溶液を加熱速度2℃/分で98℃に加熱した。98℃で60分後、溶液を3℃/分で50℃に冷ました。染色工程中に測定したpH値を表3に示す。
【0058】
【表3】

【0059】
これにより得られた褐色の染物は、織物の改良された平面度およびより均一な外観によって区別された。
【0060】
実施例4:アニオン染料を用いるポリアミドの3色染色
ポリアミド織物(PA6.6)5gを、0.4%のErionyl(登録商標)Yellow A-R(Ciba Specialty Chemicals)、0.6%のErionyl(登録商標)Red A-2BF(Ciba Specialty Chemicals)、0.8%のErionyl(登録商標)Blue A-R(Ciba Specialty Chemicals)、および2%のUnivadine(登録商標)MC new(Ciba Specialty Chemicals)、並びに配合物1(場合によって0.5g/L、1.0g/L、または2.0g/L)を含む溶液50gに、50℃で浸漬した。次に、溶液を加熱速度2℃/分で98℃に加熱した。98℃で60分後、溶液を3℃/分で50℃に冷ました。これにより得られた紫色の染物は、織物の改良された平面度およびより均一な外観によって区別された。
【0061】
実施例5:アニオン染料を用いるポリアミドの3色染色
ポリアミド織物(PA6.6)5gを、0.73%のEriofast(登録商標)Yellow R(Ciba Specialty Chemicals)、0.43%のEriofast(登録商標)Red 2B(Ciba Specialty Chemicals)、0.76%のEriofast(登録商標)Blue 3R(Ciba Specialty Chemicals)、および2%のUnivadine(登録商標)MC new(Ciba Specialty Chemicals)、Cibatex(登録商標)AD-40(Ciba Specialty Chemicals)0.5g/L、並びにジエチレングリコールビスクロロアセタート45重量部、2,4−ルチジン2.5重量部、およびジプロピレングリコール52.5重量部からなる配合物(場合によって1.0g/L、2.0g/L、または4.0g/L)を含む溶液50gに、40℃で浸漬した。次に、溶液を加熱速度2℃/分で98℃に加熱した。98℃で60分後、溶液を3℃/分で40℃に冷ました。これにより得られた紫色の染物は、織物の改良された平面度およびより均一な外観によって区別されたが、これは染色中のpHの経過がより一定なためである。
【0062】
実施例6:アニオン染料を用いるポリアミドの3色染色
ポリアミド織物(PA6.6)5gを、0.73%のEriofast(登録商標)Yellow R(Ciba Specialty Chemicals)、0.43%のEriofast(登録商標)Red 2B(Ciba Specialty Chemicals)、0.76%のEriofast(登録商標)Blue 3R(Ciba Specialty Chemicals)、および2%のUnivadine(登録商標)MC new(Ciba Specialty Chemicals)、Cibatex(登録商標)AD-40(Ciba Specialty Chemicals)0.5g/L、並びにエチレングリコールジ(ヒドロキシアセタート)45重量部、2,4−ルチジン2.5重量部、およびジプロピレングリコール52.5重量部からなる配合物(場合によって1.0g/L、2.0g/L、または4.0g/L)を含む溶液50gに、40℃で浸漬した。次に、溶液を加熱速度2℃/分で98℃に加熱した。98℃で60分後、溶液を3℃/分で40℃に冷ました。これにより得られた紫色の染物は、織物の改良された平面度およびより均一な外観によって区別されたが、これは染色中のpHの経過がより一定なためである。
【0063】
実施例7:アニオン染料を用いるポリアミドの3色染色
ポリアミド織物(PA6.6)5gを、0.73%のEriofast(登録商標)Yellow R(Ciba Specialty Chemicals)、0.43%のEriofast(登録商標)Red 2B(Ciba Specialty Chemicals)、0.76%のEriofast(登録商標)Blue 3R(Ciba Specialty Chemicals)、および2%のUnivadine(登録商標)MC new(Ciba Specialty Chemicals)、Cibatex(登録商標) AD-40(Ciba Specialty Chemicals)0.5g/L、並びにエチレングリコールビスオキサラート45重量部、2,4−ルチジン2.5重量部、およびジプロピレングリコール52.5重量部からなる配合物(場合によって1.0g/L、2.0g/L、または4.0g/L)を含む溶液50gに、40℃で浸漬した。次に、溶液を加熱速度2℃/分で98℃に加熱した。98℃で60分後、溶液を3℃/分で40℃に冷ました。これにより得られた紫色の染物は、織物の改良された平面度およびより均一な外観によって区別されたが、これは染色中のpHの経過がより一定なためである。
【0064】
実施例8:アニオン染料を用いるポリアミドの3色染色
ポリアミド織物(PA6.6)5gを、0.73%のEriofast(登録商標) Yellow R(Ciba Specialty Chemicals)、0.43%のEriofast(登録商標)Red 2B(Ciba Specialty Chemicals)、0.76%のEriofast(登録商標)Blue 3R(Ciba Specialty Chemicals)、および2%のUnivadine(登録商標)MC new(Ciba Specialty Chemicals)、Cibatex(登録商標)AD-40(Ciba Specialty Chemicals)0.5g/L、並びに配合物1(場合によって0.5g/Lまたは4.0g/L)を含む溶液50gに、40℃で浸漬した。次に、溶液を加熱速度2℃/分で98℃に加熱した。98℃で60分後、溶液を3℃/分で70℃に冷まし、次に、NaCO31g/Lを添加することによりアルカリ性にした。染色工程中に測定したpH値を表4に示す。
【0065】
【表4】

【0066】
これにより得られた褐色の染物は、織物の改良された平面度およびより均一な外観によって区別された。
【0067】
実施例9:金属錯体染料を用いるポリアミドの3色染色
ポリアミド織物(PA6.6)5gを、0.6%のLanaset(登録商標)Yellow 2R(Ciba Specialty Chemicals)、0.6%のLanaset(登録商標)Red G(Ciba Specialty Chemicals)、0.4%のLanaset(登録商標)Grey G(Ciba Specialty Chemicals)、および2%のUnivadine(登録商標)MC new(レベリング剤、Ciba Specialty Chemicals)、並びに配合物1(場合によって0.5g/L、1.0g/L、または4.0g/L)を含む溶液に、50℃で浸漬した。次に、溶液を加熱速度2℃/分で98℃に加熱した。98℃で60分後、溶液を3℃/分で50℃に冷ました。染色工程中に測定したpH値を表5に示す。
【0068】
【表5】

【0069】
これにより得られたベージュの染物は、織物の改良された平面度およびより均一な外観によって区別された。
【0070】
実施例10:金属錯体染料を用いるポリアミドの3色染色
ポリアミド織物(PA6.6)5gを、0.028%のIrgalan(登録商標)Yellow 3RL 250%(Ciba Specialty Chemicals)、0.049%のIrgalan(登録商標)Grey GLN(Ciba Specialty Chemicals)、0.029%のIrgalan(登録商標)Blue 3GL 200%(Ciba Specialty Chemicals)、0.021%のIrgalan(登録商標)Bordeaux EL 200%(Ciba Specialty Chemicals)、0.019%のIrgalan(登録商標)Yellow GRL 200%(Ciba Specialty Chemicals)、および2%のUnivadine(登録商標)MC new(レベリング剤、Ciba Specialty Chemicals)、並びに配合物1(0.5g/L)を含む溶液50gに、40℃で浸漬した。次に、溶液を加熱速度2℃/分で98℃に加熱した。染色工程中に測定したpH値を表6に示す。
【0071】
【表6】

【0072】
これにより得られたベージュの染物は、織物の改良された平面度およびより均一な外観によって区別された。
【0073】
実施例11:アニオン染料を用いるポリアミドの3色染色
種々の羊毛織物を、Ahiba実験室用染色装置中で、羊毛染色に通常の方法を用いて染色した。その工程中、解いた羊毛10gを、0.45%のLanasol Yellow 4G(Ciba Specialty Chemicals)、0.60%のLanasol Red 6G(Ciba Specialty Chemicals)、0.45%のLanasol Blue 3G(Ciba Specialty Chemicals)、および0.5g/LのCibaflow(登録商標)CIR(湿潤剤、Ciba Specialty Chemicals)、1.0%のAlbegal(登録商標)(両性界面活性剤、Bayer)、5.0%のグラウバー塩、並びに配合物1(場合によって1.0g/Lまたは4.0g/L)を含む溶液400ml中で処理した。染色工程中に測定したpH値を表7a〜7cに示す。
【0074】
【表7】



【0075】
これにより得られた褐色の染物は、相当により良いトーン・イン・トーン(tone-in-tone)付着、改良された平面度、およびより低い滑りやすさ(平面度の欠如)によって区別された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2〜20個のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物のC1〜C2カルボン酸エステル、および
(B)pKa値6〜8を有するN−複素環化合物
を含む補助剤組成物。
【請求項2】
成分Aとして、エチレングリコールまたはプロピレングリコールの、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールの、グリセロールの、グリセロール/エチレンオキシド付加生成物またはグリセロール/プロピレンオキシド付加生成物の、グルコースの、グルコース/エチレンオキシド付加生成物またはグルコース/プロピレンオキシド付加生成物の、C1〜C2カルボン酸エステルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
成分Aとして、C1〜C2カルボン酸と、エチレングリコール、2〜4個のエチレン基を含有するポリエチレングリコール、プロピレングリコール、2〜4個のプロピレン基を含有するポリプロピレングリコール、グリセロール、2〜6個のエチレン基を含有するグリセロール/エチレンオキシド付加生成物、または2〜6個のプロピレン基を含有するグリセロール/プロピレンオキシド付加生成物との反応生成物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
成分Aとして、2〜20個のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物の、ギ酸エステル、クロロ酢酸エステル、ヒドロキシ酢酸エステル、またはシュウ酸エステルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
成分Aとして、エチレングリコールモノホルマート、エチレングリコールジホルマート、ジエチレングリコールモノホルマート、ジエチレングリコールジホルマート、エチレングリコールモノ(クロロアセタート)、エチレングリコールジ(クロロアセタート)、ジエチレングリコールモノ(クロロアセタート)、ジエチレングリコールジ(クロロアセタート)、エチレングリコールモノ(ヒドロキシアセタート)、エチレングリコールジ(ヒドロキシアセタート)、ジエチレングリコールモノ(ヒドロキシアセタート)、ジエチレングリコールジ(ヒドロキシアセタート)、エチレングリコールモノ(オキサラート)、エチレングリコールジ(オキサラート)、ジエチレングリコールモノ(オキサラート)、またはジエチレングリコールジ(オキサラート)を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
成分Bとして、モルホリン、イミダゾール、ピリジン、キノリン、またはイソキノリン化合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
成分Bとして、イミダゾール、または2,4−ルチジンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
成分AおよびBを500:1〜4:1の重量比で含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
さらに、
(C)式(1):
【化1】


(式中、R1およびR2は、水素またはC1〜C12アルキル、ただしR1およびR2基の少なくとも1個は、水素であり、R3は、水素またはメチルであり、nは、0〜8の数である)のグリコールまたはグリコールエーテルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
成分Cとして、R1およびR2が水素であり、nが0〜2の数である式(1)のグリコールを含む、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
成分Cとしてジプロピレングリコールを含む、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
(A)2〜20個のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物のC1〜C2カルボン酸エステル20〜95重量%、
(B)pKa値6〜8を有するN−複素環化合物0.2〜10重量%、および
(C)式(1):
【化2】


(式中、R1およびR2は、水素またはC1〜C12アルキルであり、ただしR1およびR2基の少なくとも1個は、水素であり、R3は、水素またはメチルであり、nは、0〜8の数である)のグリコールまたはグリコールエーテル0〜70重量%を含み、成分(A)+(B)+(C)の合計が、いずれの場合も、100重量%である、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
加工液が請求項1記載の組成物を含む、繊維加工工程におけるpH制御の方法。
【請求項14】
繊維加工工程が染色法である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
未染色紡織繊維材料を、少なくとも1種の染料と請求項1記載の組成物とを含む水性の吸尽染色液に、20〜40℃かつpH6〜9で接触させ、次に、温度を90〜150℃に上げ、その結果pHが4〜7に低下する、天然または合成紡織繊維の染色の方法。

【公表番号】特表2007−536441(P2007−536441A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512159(P2007−512159)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051828
【国際公開番号】WO2005/106107
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(300052420)ハンツマン アドバンスト マテリアルズ (スイッツァランド) ゲーエムベーハー (26)
【氏名又は名称原語表記】HUNTSMAN ADVANCED MATERIALS (SWITZERLAND) GMBH
【Fターム(参考)】