説明

ポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液、これを用いたポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法

【課題】アルコールアミンと3級アミンをアミン水溶液に添加し、高い透水量及び優れた塩排除率を持つポリアミド逆浸透複合膜製造を可能にするポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液を提供する。
【解決手段】多官能性アミン0.1乃至20重量%、アルコールアミン0.1乃至20重量%、3級アミン0.1乃至20重量%、及び水40乃至99.7重量%を含んでポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液、これを用いたポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法に関するもので、より詳細には、アルコールアミン及び3級アミンをアミン水溶液に添加し、高い透水量と優れた塩排除率を持つポリアミド逆浸透複合膜を製造することができるポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液、これを用いたポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水は、空気とともに、人間をはじめとするあらゆる生物が生きていく上で欠かせない必要資源で、その量と質は、人間を含め、地球上の生命体に非常に大きな影響を及ぼす。科学と産業の発達に伴って水資源の活用範囲がより広くなり、その重要性が一層高まっている現実を勘案すると、良質の水資源確保は、地球生命体の維持という側面で極めて重要な要件とされる。
【0003】
現在、全世界的に水不足と水汚染という二重苦に悩んでいるにもかかわらず、水使用量は引続き増加傾向にあり、現実的に使用可能な水資源の確保が一層困難な状況である。UNの調査によると、世界人口の約1/5に達する12億人が安全な飲用水(Safe Drinking Water)不足に陥っており、これより2倍も多い24億人が下水道施設のない状態で水を飲んでいるとされている。このような水資源管理の不備による非衛生的な水の飲用から、毎年、全世界で3百万人以上の人々が生命を失っている。
【0004】
一方、海水は、全世界水量の70%以上を占めると報告されている。しかし、海水には各種塩等を含め、不純物が多量含まれているため、海水をそのまま産業用水、農業用水、家庭用水などに使用することは不可能である。したがって、海水や塩水を人間の実生活において各種用途に利用するためには、海水や塩水から各種塩等の不純物を除去して淡水化する過程が必須とされるが、このような淡水化過程に逆浸透複合膜が核心部品として用いられる。
【0005】
一般の逆浸透複合膜は、機械的強度を維持するための多孔性高分子支持体と、その上に形成されて分離性能を決定するポリアミド活性層とを含んで構成される。特に、ポリアミド活性層は、多官能性アミンと多官能性ハロゲン化アシルなどのアミン反応性化合物との界面重合によって形成される。このようなポリアミド複合膜の例が、特許文献1(Cadotteによる米国特許第4,277,344号(1981年))に記述されている。この特許では、少なくとも2つの1級アミン基を持つ多官能性芳香族アミンと、少なくとも3つのハロゲン化アシル基を持つ多官能性ハロゲン化アシルとの界面重合によって形成されるポリアミド活性層に対して記述している。このような方法で製造されたCadotteの逆浸透複合膜は、高い透水性と塩排除率性能を呈したが、これに止まらず、以降、多様な方法で流量と塩排除率性能を向上させようとする多くの研究がなされてきた。
【0006】
現在まで報告されているポリアミド逆浸透複合膜の透水性向上方法は、次のように分類することができる。第1の方法は、アミン水溶液に3級アミンと強酸を添加して3級アミン塩を形成する方法で、第2の方法は、アミン水溶液にアルコールまたは極性非プロトン性溶媒を添加する方法で、第3の方法は、製造されたポリアミド逆浸透複合膜を酸を含有する溶液またはアミン水溶液と接触させ、一定の温度で一定時間の間乾燥して後処理する方法である。
【0007】
以下、上述した第1の方法として、3級アミン塩を含有するアミン水溶液を使用して界面重合を実施する方法を具体的に説明する。
【0008】
特許文献2(米国特許第4,872,984号(1989年))において、Tomaschkeは、少なくとも2つの反応性アミン基を持つ多官能性芳香族アミン単量体及び単量体アミン塩を含有するアミン水溶液と、芳香族多官能性ハロゲン化アシル化合物を含有する有機溶液とを多孔性支持体の表面で接触させ、界面重合によってポリアミド膜を製造した。このとき、アミン水溶液に添加される単量体アミン塩は、3級アミン及び強酸によって形成される3級アミン塩または4級アミン塩である。具体的に、3級アミンとしては、トリアルキルアミン類であるトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン;N―アルキルシクロアリファチックアミン類である1―メチルピペリジン;N,N―ジアルキルアミン類であるN,N―ジメチルエチルアミン、N,N―ジエチルメチルアミン;N,N―ジアルキルエタノールアミン類であるN,N―ジメチルエタノールアミンなどを例示した。そして、4級アミン類としては、テトラアルキルアンモニウムビドロキシド類であるテトラメチルアンモニウムビドロキシド、テトラエチルアンモニウムビドロキシド;ベンジルトリアルキルアンモニウムビドロキシド類であるベンジルトリエチルアンモニウムビドロキシド、ベンジルトリプロピルビドロキシドを例示した。また、強酸としては、具体的にカンファースルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などを提示した。
【0009】
他の例として、特許文献3(米国特許第6,063,278号(2000年))において、Ja―Young Kooが提示するポリアミド逆浸透複合膜の製造方法によると、多官能性ハロゲン化アシル、多官能性ハロゲン化スルホニル、または多官能性イソシアネートから選択されたアミン反応性化合物を含む有機溶液と、多官能性アミン、少なくとも一つの3級アミン基及び少なくとも一つの3級アミン塩基を持つ塩含有化合物を含むアミン水溶液とを多孔性支持体の表面で接触させ、界面重合法によってポリアミド逆浸透複合膜を製造した。上記の特許で提示する塩含有化合物は、強酸と多官能性3級アミンの反応によって形成される。このとき、多官能性3級アミンは、2個以上の3級アミン基を含み、一部の3級アミン基は強酸と反応して3級アミン塩を形成し、他の3級アミン基は界面重合反応時の反応触媒として作用することを特徴とする。具体的な多官能性3級アミンとしては、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N,N',N'−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、N,N,N',N'−テトラメチレンジアミンまたはこれらの混合物を例示した。
【0010】
さらに他の例として、特許文献4(米国特許第6,245,234号(2001年))においてJa―Young Kooは、少なくとも2つの反応性アミン基を持つ芳香族多官能性アミン単量体、多官能性3級アミン及び強酸が溶解されたアミン水溶液と、多官能性ハロゲン化アシル、多官能性ハロゲン化スルホニル、または多官能性イソシアネートのアミン反応性化合物を含む有機溶媒とを多孔性支持体の界面で接触させ、逆浸透複合膜を製造する方法を提示した。このとき、水溶液に含まれる多官能性3級アミンとしては、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,6―ヘキサンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,4―ブタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―2―ブテン―1,4―ジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,3―ブタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,3―プロパンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,8―オクタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,7―ヘプタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,5―ペンタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラエチル―1,4―ブタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラエチル―1,3―ブタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラエチル―1,3―プロパンジアミン、1,4―ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’―テトラエチルエチレンジアミンが好ましく、このとき、多官能性3級アミンと強酸の反応モル比は1:0〜1:1未満の範囲とした。上記の特許で提示する多官能性3級アミンは、主鎖の炭素数が2乃至10個であるアルカンまたは3乃至10員環の環状炭化水素で構成されており、少なくとも2個以上の3級アミンを含むことを特徴とする。
【0011】
なお、特許文献5(米国特許第6,368,507号(2002年))においてJa―Young Kooは、ポリアミド逆浸透複合膜の製造において、水、多官能性アミン、少なくとも一つの3級アミン塩基及び少なくとも一つの3級アミン基を含む塩含有化合物、及び1個以上の極性溶媒を含むアミン水溶液と、多官能性ハロゲン化アシル、多官能性ハロゲン化スルホニルまたは多官能性イソシアネートを含む有機溶液との反応によってポリアミド逆浸透複合膜を製造する方法を提示した。このとき、上記の特許で提示する極性溶媒としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2− プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジ(エチレングリコール)、t−ブチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘキシルエーテル、1,3−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ブチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、テトラメチルスルホン、ブチルスルホン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどがある。また、多官能性3級アミンとしては、具体的にN,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N,N',N'−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、N,N,N',N'−テトラメチレンジアミンを例示した。
【0012】
以下、上述した第2の方法として、アミン水溶液にアルコールまたは極性非プロトン性溶媒を添加してポリアミド逆浸透複合膜を製造する方法を具合的に説明する。
【0013】
特許文献6(米国特許第5,576,057号(1996年))において、Hiroseは、アミン水溶液にアルコールを10〜50重量%添加することで逆浸透複合膜の透水性を改善できることを提示した。このときに使用したアルコールとしては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブチルアルコール、1―ペンタノール、2―ペンタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2―エチルブタノール、2―エチルヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ネオペンチルグリコール、t―ブタノール、ベンジルアルコール、4―メチル―2―ペンタノール、3―メチル―2―ブタノール、ペンチルアルコール、アーリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロールまたはこれらの混合物が好ましいとした。
【0014】
さらに他の例として、特許文献7(米国特許第4,950,404号)においてChauは、アミン水溶液に極性非プロトン性溶媒を添加し、多官能性ハロゲン化アシルを含む有機溶液と接触させ、多孔性支持体の表面で界面重合法によってポリアミド逆浸透複合膜を製造する方法を提示した。このときに使用した極性非プロトン性溶媒としては、N―メチルピロリドン、2―ピロリドン、N,N―ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ピリジン、ルチジン、ピコリン、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルホレン、ヘキサメチルホスホアミド、トリエチルホスファート、N,N―ジメチルアセトアミド、N,N―ジメチルプロピオンアミドが好ましいとした。
【0015】
以下、上述した第3の方法として、形成されたポリアミド活性層を後処理する方法を具体的に説明する。
【0016】
特許文献8(米国特許第5,755,964号(1998年 ))においてMickolsは、ポリアミド活性層をアンモニア;ヒドロキシ、フェニル及びアミノ基から選択された1個以上の置換体に追加的に置換可能な炭素数1乃至2のアルキル基1乃至3個に置換されたアンモニア;ブチルアミン;シクロヘキシルアミン;1,6−ヘキサンジアミン;及びこれらの混合物からなる群から選択され、濃度が5%乃至100%で、pHが7乃至12であるアミンと0乃至130℃度で15秒乃至5日の間接触させる後処理方法を提示した。このときに使用したアミンとして、トリメチルアミン、エタノールアミン、アンモニア、トリエタノールアミン、ジメチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、メチルアミン、エチレンジアミンを提示した。
【0017】
また、Chauは、特許文献9(米国特許第4,983,291号)で、製造されたポリアミド逆浸透複合膜をアスコルビン酸、塩酸、クエン酸、スルファミン酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸、p―トルエンスルホン酸、塩酸L―リシン、グリシンなどの酸が含まれている溶液と接触させる後処理段階後、常温〜170℃で1分〜120分の間乾燥する方法を提示した。
【0018】
以上説明した従来のポリアミド逆浸透複合膜の透水性向上方法を整理すると、次の通りである。
【0019】
第1の方法は、アミン水溶液に3級アミン及び強酸を追加し、その反応生成物である3級アミン塩を形成する方法である。このとき、3級アミン塩形成時に使用される3級アミンとしては、3級アミン一つで構成された単量体3級アミン及び2個以上の3級アミン基で構成された多官能性3級アミンを提示した。具体的に、単量体3級アミンの場合、アミン塩形成の役割のみを行う。その反面、多官能性3級アミンの場合、一部の3級アミン基は強酸と反応して3級アミン塩を形成し、他の3級アミン基は界面重合反応時の反応触媒の役割をし、その特性が単量体3級アミンと異なる。
【0020】
第2の方法は、1次槽アミン水溶液にアルコールまたは極性非プロトン性溶媒を添加する方法である。第3の方法は、製造された逆浸透複合膜のポリアミド活性層を酸またはアミンが含まれている溶液と接触させる後処理工程段階を実施する方法である。
【0021】
しかしながら、以上紹介された前記各方法のいずれを通しても、透水性と塩排除率を全て所望の水準に向上させることはできなかった。
【0022】
したがって、本発明では、ポリアミド逆浸透複合膜の製造において、新しいアミン水溶液、これを用いたポリアミド逆浸透複合膜の製造方法及び後処理方法を提示し、既存の逆浸透複合膜より向上した透水性と塩排除率を持つポリアミド逆浸透複合膜を製造しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第4,277,344号
【特許文献2】米国特許第4,872,984号
【特許文献3】米国特許第6,063,278号
【特許文献4】米国特許第6,245,234号
【特許文献5】米国特許第6,368,507号
【特許文献6】米国特許第5,576,057号
【特許文献7】米国特許第4,950,404号
【特許文献8】米国特許第5,755,964号
【特許文献9】米国特許第4,983,291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上述した問題点を解決するための本発明の目的は、アルコールアミンと3級アミンをアミン水溶液に添加し、高い透水量及び優れた塩排除率を持つポリアミド逆浸透複合膜製造を可能にするポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液を提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、前記アミン水溶液を用いて製造されたポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の目的を達成するために、本発明は、多官能性アミン0.1乃至20重量%、アルコールアミン0.1乃至20重量%、3級アミン0.1乃至20重量%、及び水40乃至99.7重量%を含むポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液を提供する。
【0027】
また、本発明は、界面重合によってポリアミド逆浸透複合膜を製造する方法において、(1)多孔性支持体を多官能性アミン、アルコールアミン、3級アミン及び水を含むアミン水溶液をコーティングし、前記アミン水溶液がコーティングされた多孔性支持体を得る段階;(2)前記アミン水溶液がコーティングされた多孔性支持体上に多官能性ハロゲン化アシル、多官能性ハロゲン化スルホニル及び多官能性イソシアネートからなる群から選択された1種のアミン反応性化合物を含む有機溶液を接触させてポリアミド活性層を得る段階;及び(3)乾燥する段階を含むポリアミド逆浸透複合膜の製造方法を提供する。
【0028】
このとき、前記ポリアミド逆浸透複合膜は、乾燥段階後に追加的にアルコールアミンをコーティングした後、乾燥または硬化する段階を行う。
【0029】
また、本発明は、上記の方法で製造されたポリアミド逆浸透複合膜を提供する。
【0030】
前記ポリアミド逆浸透複合膜は、多孔性支持体;及び前記多孔性支持体の少なくとも一側面に形成されたポリアミド活性層を含む。
【0031】
また、前記ポリアミド逆浸透複合膜は、多孔性支持体;及び多孔性支持体の少なくとも一側面に形成されたポリアミド活性層を含み、前記ポリアミド活性層のポリアミドとアルコールアミンが部分的に架橋された構造を有する。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、従来使用されていないアルコールアミンと3級アミンをアミン水溶液に使用し、高い透水量と優れた塩排除率を持つポリアミド逆浸透複合膜の製造を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1で製造されたポリアミド逆浸透複合膜の断面を示した走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0035】
本発明は、従来使用されていないアルコールアミンと3級アミンを一緒にアミン水溶液中に使用する。このとき、アルコールアミンの水酸基相互間、アルコールアミンの水酸基と3級アミンとの間に水素結合が形成され、アルコールアミンの3級アミン基と3級アミンが界面重合の触媒役割をする。したがって、界面重合が円滑に進行され、改善された塩排除率と透水量を持つポリアミド逆浸透複合膜の製造が可能になる。
【0036】
また、製造されたポリアミド活性層にアルコールアミンをコーティングして硬化する場合、アルコールアミンの水酸基とポリアミドの親水性基であるカルボキシル基との間に部分的な架橋反応が進行され、透水性のみならず、塩排除率がより向上する。
【0037】
本発明のポリアミド活性層形成に使用されるアミン水溶液は、多官能性アミン0.1乃至20重量%、アルコールアミン0.1乃至20重量%、3級アミン0.1乃至20重量%、及び水40乃至99.7重量%を必須成分として含む。
【0038】
一般的なポリアミド逆浸透複合膜は、機械的な強度を維持する多孔性高分子支持体と、その上に形成された分離性能を持つポリアミド活性層とを含んで構成される。このとき、ポリアミド活性層は、多官能性アミンを含有するアミン水溶液とアミン反応性化合物を含有する有機溶液とを多孔性高分子支持体上で反応させ、界面重合によって形成される。
【0039】
本発明のアミン水溶液は、添加剤としてアルコールアミンと3級アミンを含有する。このとき、アルコールアミンは、公知の種類が使用可能であり、本発明ではその種類を特別に限定しない。代表的には、下記の化学式1乃至化学式3から選択されたものを使用する。
【0040】
【化1】

前記化学式1で、R乃至Rは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、R乃至Rのうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【0041】
【化2】

前記化学式2で、
乃至Rは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、Raは、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、R乃至Rのうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【0042】
【化3】

前記化学式3において、R乃至R12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、Rb及びRcは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、R乃至R12のうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【0043】
前記アルコールアミンとしては、2,2',2’’−ニトリロトリエタノール、2,2'−エチルイミノジエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N',N',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N−フェニルジエタノールアミン、2−(N−エチルアニリノ)エタノール、2,2'−(4−メチルフェニルイミノ)ジエタノール、1,1'−((3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス−2−プロパノール、N−tert−ブチルジエタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン、2−((2−(ジメチルアミノ)エチル)メチルアミノ)−エタノール、2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)−エタノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、3−ジメチルアミノフェノール、2−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−メチル−3−ピロールジオール、1−アジリジンエタノール、トロピン、N−メチル−3−ピペリジノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、N−メチル−4−ピペリジノール、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、N,N−ジメチルシクロヘキサノールアミン、(N,N−ジメチル)ナフトールアミン、(N,N−ジメチル)フェノールアミン及びこれらの混合物からなる群から選択された1種を使用することが好ましい。
このようなアルコールアミンは、アミン水溶液中に0.1乃至20重量%使用する。前記含量が前記範囲未満であると、アルコールアミンの添加による効果が微小に表れる一方、前記含量が前記範囲を超えると、製造されたポリアミド逆浸透複合膜の塩排除率性能が減少するという問題点がある。
【0044】
前記アルコールアミンと一緒にアミン水溶液に添加される3級アミンは、公知の種類が使用可能であり、本発明ではその種類を特別に限定しない。代表的に、窒素に結合された側鎖の炭素数が1乃至10のアルカンである3級アミンを使用することができ、アルコールアミンの水酸基との水素結合形成及び反応触媒役割の側面で、トリアルキルアミン類であるトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択された1種を使用することが好ましい。
【0045】
このような3級アミンの含量は、アミン水溶液中の0.1乃至20重量%、好ましくは0.5乃至5重量%である。このとき、前記含量が前記範囲未満であると、添加による効果が微小に表れるという問題があり、前記含量が前記範囲を超えると、界面重合反応に影響を与えることで、ポリアミド逆浸透複合膜の塩排除率性能が低下するという問題がある。
【0046】
前記アミン水溶液中に添加されてアミン反応性化合物と反応する多官能性アミンは、本発明で特別に限定するものでなく、この分野で通常の知識を有する者によって適切に選択される。代表的に、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、シクロ脂肪族1次アミン、シクロ脂肪族2次アミン、キシレンジアミン及び芳香族2次アミンなどが使用可能である。好ましくは、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、N,N'−ジフェニルエチレンジアミン、4−メトキシフェニレンジアミンまたはこれらの混合物などを使用する。
【0047】
このような多官能性アミンの含量は、アミン水溶液中の0.1乃至20重量%、好ましくは0.5乃至5重量%である。このとき、前記含量が前記範囲未満であると、ポリアミド活性層の形成が確実に行われないという問題があり、前記含量が前記範囲を超えると、ポリアミド逆浸透複合膜の透水性が減少したり、未反応多官能性アミンが多量存在するという問題をもたらす。
【0048】
本発明のアミン水溶液は、アルコールアミンと3級アミンを一緒に含有し、アルコールアミンの水酸基相互間の水素結合またはアルコールアミンの水酸基と3級アミンとの間の水素結合が形成されることはもちろんで、アルコールアミンを構成する3級アミン基と3級アミンが界面重合反応の触媒役割をする。したがって、製造されたポリアミド活性層は高い透水性を有し、界面重合が円滑に進行され、ポリアミド逆浸透複合膜の透水性及び塩排除率性能が著しく向上する。
【0049】
このような本発明のアミン水溶液でポリアミド逆浸透複合膜を製造する方法を製造段階別に詳細に説明する。
【0050】
(1)アミン水溶液コーティング段階
まず、多孔性支持体上に多官能性アミン、アルコールアミン、3級アミン及び水を含むアミン水溶液をコーティングする。
【0051】
前記多孔性支持体は、一般的に複合膜に使用される高分子材質が使用可能であり、その種類を特別に限定しない。代表的に、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリオレフィンなどが使用可能である。
【0052】
このとき、多孔性支持体の孔隙と厚さは適用分野によって異なり、一例として、孔隙の大きさは1乃至500nmで、厚さは25乃至125μmであることが好ましい。
【0053】
前記アミン水溶液は、多官能性アミン0.1乃至20重量%、アルコールアミン0.1乃至20重量%、3級アミン0.1乃至20重量%、及び水40乃至99.7重量%を含み、多孔性支持体の少なくとも一側面または両側面にコーティングする。
【0054】
このとき、コーティング法としては湿式コーティング法が好ましく、一例として、ディップコーティング、スピンコーティング、バーコーティング、スプレーコーティングなどの公知の方法が可能である。
【0055】
(2)ポリアミド活性層形成段階
その次に、前記アミン水溶液がコーティングされた多孔性支持体の少なくとも一側面をアミン反応性化合物を含む有機溶液と接触させ、ポリアミド活性層を形成する。
【0056】
前記ポリアミド活性層は、多孔性支持体上にコーティングされたアミン水溶液内の多官能性アミンと有機溶液内のアミン反応性化合物との間の反応による界面重合によって形成される。このとき、前記アミン水溶液内の3級アミンとアルコールアミンを使用する場合、3級アミン及びアルコールアミンを構成する3級アミン基によって界面重合が促進される。
【0057】
前記アミン反応性化合物としては、多官能性アミンと界面重合を行えるように多官能性ハロゲン化アシル、多官能性ハロゲン化スルホニル及び多官能性イソシアネートからなる群から選択された1種が使用可能である。さらに、前記アミン反応性化合物としては、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、イソフタロイルクロリドまたはこれらの混合物を使用することが好ましい。
【0058】
このようなアミン反応性化合物の含量は、有機溶液中の0.01乃至10重量%、好ましくは0.05乃至2.0重量%である。このとき、前記含量が前記範囲未満であると、ポリアミド活性層の形成が難しいという問題があり、前記含量が前記範囲を超えると、ポリアミド逆浸透複合膜の透水性が減少したり、未反応アミン反応性化合物が多量存在するという問題をもたらす。
【0059】
前記アミン反応性化合物が溶解される有機溶媒としては、通常的に使用されるものであればいずれも使用可能である。代表的には、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、炭素数8〜12個のアルカン、フレオン類のハロゲン置換炭化水素またはこれらの混合物である混合有機溶液を使用する。
【0060】
(3)乾燥段階
次いで、前記界面重合によって多孔性支持体に形成されたポリアミド活性層を乾燥し、ポリアミド逆浸透複合膜を製造する。
【0061】
このとき、乾燥条件は、本発明で特別に限定しないが、界面重合に使用されていない反応物質、水及び有機溶媒を充分に除去可能な条件で乾燥を行う。好ましくは、30〜150℃で行い、必要によって減圧下で行う。
【0062】
このような段階を経て、本発明に係るポリアミド逆浸透複合膜の製造が可能である。
【0063】
このとき、前記ポリアミド逆浸透複合膜の透水量及び塩排除率を高めるために、アルコールアミンをコーティングした後、乾燥または硬化する段階を追加的に行う。
【0064】
前記段階を経て製造されたポリアミド逆浸透複合膜にアルコールアミンをコーティングした後、乾燥して後処理することで、製造されたポリアミド逆浸透複合膜の透水量をより増加させることができる。
【0065】
前記アルコールアミンとしては、公知の種類が使用可能であり、本発明ではその種類を特別に限定しない。代表的には、前記化学式2または化学式3の構造を有するものを使用する。好ましくは、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N',N',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、1,1'−((3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス−2−プロパノール、2−((2−(ジメチルアミノ)エチル)メチルアミノ)−エタノール、2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)−エタノール及びこれらの混合物からなる群から選択された1種を使用する。
【0066】
このとき、アルコールアミンコーティング方法は、前記アミン水溶液コーティング段階で述べた通りである。コーティングは、20乃至60℃で10秒乃至1時間の間アルコールアミンまたはアルコールアミン水溶液にポリアミド活性層を浸漬して行うことが好ましい。このとき、コーティング時間が前記範囲未満であるか、温度が前記範囲未満であると、その効果が微小に表れ、コーティング時間が前記範囲を超えたり、温度が前記範囲を超えると、形成されたポリアミド逆浸透複合膜の塩排除率性能が減少するという問題がある。
【0067】
前記アルコールアミンの濃度は、コーティング方法、コーティング装置、またはコーティングしようとする厚さなどを考慮して調節する。このようなアルコールアミンは、それ自体を使用したり、0.01乃至100重量%未満、好ましくは1乃至50重量%の水溶液状態で使用する。
【0068】
コーティング後に行われる乾燥段階は、25乃至85℃未満の温度で10秒乃至1時間の間行う。
【0069】
このような後処理段階によってポリアミド逆浸透複合膜の透水性がより改善される。
【0070】
また、前記アルコールアミンをコーティングした後、硬化を行い、ポリアミド逆浸透複合膜の透水性と塩排除率をより向上させる。
【0071】
前記硬化によって、ポリアミド逆浸透複合膜のポリアミド活性層内のカルボキシル基(親水性基)及びアルコールアミンコーティング層内の水酸基とのエステル化反応を通した部分的な架橋反応が進行される。その結果、ポリアミド鎖の剛性が増加し、ポリアミド逆浸透複合膜の透水性と塩排除率性能が向上する。
【0072】
コーティング後に行われる硬化段階は、85乃至150℃で10秒乃至1時間の間行われる。
【0073】
このとき、温度が前記範囲未満であると、後処理剤として使用したアルコールアミンを構成する水酸基の架橋反応効果を得られないので、相対的にポリアミド逆浸透複合膜が高い透水性を持つ反面、塩排除率が減少するという問題点がある。これと反対に、温度が前記範囲を超えると、ポリアミド逆浸透複合膜が収縮され、膜の透水性が著しく減少するので好ましくない。
【0074】
また、その時間が10秒未満であると、ポリアミド逆浸透複合膜表面のアルコールアミンを構成する水酸基の役割が微々たるものになり、逆浸透複合膜の性能向上効果が小さい。これと反対に、時間が1時間を超えると、ポリアミド逆浸透複合膜が収縮され、膜の透水性が減少するという短所がある。
【0075】
したがって、高い透水性及び優れた塩排除率を持つポリアミド逆浸透複合膜を製造するために硬化段階を実施する場合、上記で提示した範囲内で行う。
【0076】
このような段階を経て製造されるポリアミド逆浸透複合膜は、従来の製造方法によって製造された複合膜より向上した透水性と塩排除率を持つ。
【0077】
図1は、実施例1によって製造されたポリアミド逆浸透複合膜の断面を示した走査電子顕微鏡写真である。
【0078】
図1を参照すると、前記ポリアミド逆浸透複合膜1は、多孔性支持体2上にポリアミド活性層3が形成された構造を有する。このとき、ポリアミド活性層は、多孔性支持体の一側上に形成したが、適用しようとする分野によって前記多孔性支持体の両側に全て形成可能である。
【0079】
また、本発明に係るポリアミド逆浸透複合膜は、透水量と一緒に塩排除率を高めるために、アルコールアミンをコーティングした後、硬化して部分的な架橋反応を行う。このとき、前記ポリアミド活性層とアルコールアミンコーティング層は、架橋反応によって部分的に結合された構造を有する。
【0080】
以下、本発明の好適な実施例及び比較例を記載する。下記の実施例及び比較例は、本発明をより明確に表現するために記載されたものに過ぎなく、本発明の内容が下記の実施例及び比較例に限定されることはない。
[実施例]
(実施例1)
ポリスルホン高分子溶液を不織布上にコーティングした後、相転移方法によって製造された多孔性支持体を2.0重量%の1,3−フェニレンジアミン、1.5重量%の2,2',2''−ニトリロトリエタノール、1.0重量%のトリエチルアミンが含まれたアミン水溶液に1分間浸漬した。多孔性支持体上の剰余アミン水溶液をゴムローラで除去した後、0.1重量%のトリメソイルクロリドを含むアイソパー(Isopar、Exxon社)溶液に10秒間浸漬した後、95℃オーブンで3分間乾燥させ、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
(実施例2乃至10)
前記実施例1でアミン水溶液に含まれる2,2',2''−ニトリロトリエタノールの代わりに下記の表1に開示されたアルコールアミンを使用した点を除いて、実施例1と同一の製造方法でポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0081】
【表1】

(実施例11乃至実施例13)
前記実施例1でアミン水溶液に含まれるトリエチルアミンの代わりに下記の表2に開示された3級アミンを使用した点を除いて、実施例1と同一の製造方法でポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0082】
【表2】

(実施例14乃至実施例18)
前記実施例1で製造されたポリアミド逆浸透複合膜を、下記の表3に開示されたアルコールアミン50重量%を含有する水溶液に常温で10分間浸漬した後、50℃で5分間乾燥して後処理した。
【0083】
【表3】

(実施例19乃至実施例23)
前記実施例1で製造されたポリアミド逆浸透複合膜を、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン50重量%を含有する水溶液に常温で10分間浸漬した後、下記の表4に整理した条件で乾燥または硬化する工程をさらに実施した。実施例19乃至23の乾燥または硬化条件は、下記の表4に整理した通りである。
【0084】
【表4】

(比較例1)
ポリスルホン支持体を2.0重量%の1,3−フェニレンジアミンを含むアミン水溶液に浸漬した後、支持体の表面で過量のアミン水溶液を除去した後、0.1重量%のトリメソイルクロリドが溶けているフレオン(FREON TF)有機溶液と支持体の表面で10秒間界面重合を進行し、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
(比較例2)
ポリスルホン支持体を2.0重量%の1,3−フェニレンジアミン、2.0重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム、0.1重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むアミン水溶液に2分間浸漬した後、支持体表面の過量のアミン水溶液を除去した。その後、支持体を0.05重量%のトリメソイルクロリド、0.075重量%のイソフタロイルクロリドが溶けているアイソパー(Isopar Exxon社)溶液と接触させた後、95℃オーブンで6分間乾燥してポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
(比較例3)
ポリスルホン支持体を1.6重量%の1,3−フェニレンジアミン、0.6重量%のN,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、0.06重量%のトルエンスルホン酸を含むアミン水溶液に40秒間浸漬した後、支持体表面の過量のアミン水溶液を除去した。その後、0.1重量%トリメソイルクロリドが溶けているアイソパーC(Isopar、Exxon社)有機溶液と支持体の表面で1分間反応させ、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。製造されたポリアミド逆浸透複合膜を1分間常温で乾燥した後、0.2重量%のNaCO水溶液で30分間洗浄した。
(比較例4)
ポリスルホン支持体を2.0重量%の1,3−フェニレンジアミン、2.3重量%のカンファースルホン酸、1.1重量%のトリエチルアミン、2.0重量%の2−ブトキシエタノールを含むアミン水溶液に40秒間浸漬した後、支持体表面の過量のアミン水溶液を除去した。その後、0.1重量%のトリメソイルクロリドが溶けているアイソパー(Isopar、Exxon社)有機溶液と支持体の表面で1分間反応させ、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。製造されたポリアミド逆浸透複合膜を90℃で3分30秒間乾燥した後、常温で0.2重量%のNaCO水溶液で30分間洗浄した。
(比較例5)
ポリスルホン支持体を2.0重量%の1,3−フェニレンジアミン、1.0重量%の1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、0.85重量%のメタンスルホン酸を含むアミン水溶液に40秒間浸漬した後、支持体表面の過量のアミン水溶液を除去した。その後、0.1重量%のトリメソイルクロリドが溶けているアイソパー(Isopar、Exxon社)有機溶液と支持体の表面で1分間界面重合させ、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。製造されたポリアミド逆浸透複合膜を90℃で3分30秒間乾燥した後、40℃で0.2重量%のNaCO水溶液で30分間洗浄した。
(比較例6)
製造されたFT−30(FilmTec社)逆浸透複合膜を100重量%のトリエタノールアミン溶液に浸漬し、60℃で1時間の間処理する後処理段階を実施してポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
(比較例7)
ポリスルホン支持体を3.0重量%の1,3−フェニレンジアミン、3.0重量%のN−メチルピロリドン、100ppmのNaCOを含むアミン水溶液に浸漬した後、0.1重量%のトリメソイルクロリドが溶けているナフサ(naphtha)溶液と接触させ、界面重合によってポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
(比較例8)
ポリスルホン支持体を3.5重量%の1,3−フェニレンジアミンを含むアミン水溶液に一定時間の間浸漬した後、支持体表面の過量のアミン水溶液を除去した。その後、0.14重量%のトリメソイルクロリドが溶けているナフサ有機溶液と支持体の表面で界面重合させ、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。製造されたポリアミド逆浸透複合膜を1.0重量%のクエン酸、アスコルビン酸、スルファミン酸、酒石酸、塩酸及びエチレンジアミン四酢酸を含む酸溶液に常温で15分間浸漬した後、過量の酸溶液を脱イオン水で1分間洗浄して除去した。その後、100℃で15分間乾燥した。
(比較例9)
水/エタノールの重量比が80/20である混合溶液に2.0重量%の1,3−フェニレンジアミン、0.25重量%のラウリル硫酸ナトリウム、4.0重量%のカンファースルホン酸、2.0重量%のトリエチルアミンを溶かしてアミン水溶液を製造した。前記アミン水溶液に多孔性ポリスルホン支持体を浸漬した後、支持体上の過量のアミン水溶液を除去した。その後、0.1重量%のトリメソイルクロリド、0.1重量%のイソフタロイルクロリドを含有するヘキサン溶液と接触させて界面重合反応を進行した後、120℃で5分間乾燥処理して逆浸透複合膜を製造した。
(実験例)
ポリアミド逆浸透複合膜の透水量と塩排除率測定
前記実施例1乃至23及び比較例1乃至9で製造したポリアミド逆浸透複合膜の透水量と塩排除率を2,000ppmのNaCl水溶液を使用して225psiの圧力下で測定し、その結果を下記の表5に示した。
【0085】
【表5】

前記表5に示すように、本発明の製造方法によって製造されたポリアミド逆浸透複合膜は、比較例の場合に比べて透水量及び塩排除率が全て優秀である。したがって、本発明の製造方法によって製造されたポリアミド逆浸透複合膜は、高い透水量と塩排除率を全て要求する分野に好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能性アミン0.1乃至20重量%、アルコールアミン0.1乃至20重量%、3級アミン0.1乃至20重量%、及び水40乃至99.7重量%を含むことを特徴とする、ポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液。
【請求項2】
前記アルコールアミンは、
下記の化学式1乃至化学式3からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液。
【化1】

前記化学式1で、
乃至Rは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR’、−R’’XR’’’及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、
乃至Rのうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【化2】

前記化学式2において、
乃至Rは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、
Raは、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、
乃至Rのうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【化3】

前記化学式3で、
乃至R12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、
Rb及びRcは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、
乃至R12のうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【請求項3】
前記アルコールアミンは、
2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール、2,2'−エチルイミノジエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N',N',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N−フェニルジエタノールアミン、2−(N−エチルアニリノ)エタノール、2,2'−(4−メチルフェニルイミノ)ジエタノール、1,1'−((3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス−2−プロパノール、N−tert−ブチルジエタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン、2−((2−(ジメチルアミノ)エチル)メチルアミノ)−エタノール、2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)−エタノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、3−ジメチルアミノフェノール、2−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−メチル−3−ピロールジオール、1−アジリジンエタノール、トロピン、N−メチル−3−ピペリジノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、N−メチル−4−ピペリジノール、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、N,N−ジメチルシクロヘキサノールアミン、(N,N−ジメチル)ナフトールアミン、(N,N−ジメチル)フェノールアミン及びこれらの混合物からなる群から選択された1種であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液。
【請求項4】
前記3級アミンは、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択された1種であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液。
【請求項5】
前記多官能性アミンは、
1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、N,N'−ジフェニルエチレンジアミン、4−メトキシフェニレンジアミン及びこれらの混合物からなる群から選択された1種であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜活性層形成用アミン水溶液。
【請求項6】
界面重合によってポリアミド逆浸透複合膜を製造する方法において、
(1)多孔性支持体に多官能性アミン、アルコールアミン、3級アミン及び水を含むアミン水溶液をコーティングし、前記アミン水溶液がコーティングされた多孔性支持体を得る段階;
(2)前記アミン水溶液がコーティングされた多孔性支持体上に多官能性ハロゲン化アシル、多官能性ハロゲン化スルホニル及び多官能性イソシアネートからなる群から選択された1種のアミン反応性化合物を含む有機溶液を接触させてポリアミド活性層を得る段階;及び
(3)乾燥する段階を含むことを特徴とするポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項7】
前記アミン水溶液は、
多官能性アミン0.1乃至20重量%、アルコールアミン0.1乃至20重量%、3級アミン0.1乃至20重量%及び水40乃至99.7重量%を含むことを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項8】
前記有機溶液は、
アミン反応性化合物を0.01乃至10重量%の含量で含むことを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項9】
前記アルコールアミンは、
下記の化学式1乃至化学式3からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【化1】

前記化学式1において、
乃至Rは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、
乃至Rのうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【化2】

前記化学式2において、
乃至Rは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、
Raは、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、
乃至Rのうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【化3】

前記化学式3において、
乃至R12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、
Rb及びRcは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、
乃至R12のうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【請求項10】
前記アルコールアミンは、
2,2',2’’−ニトリロトリエタノール、2,2'−エチルイミノジエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N',N',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N−フェニルジエタノールアミン、2−(N−エチルアニリノ)エタノール、2,2'−(4−メチルフェニルイミノ)ジエタノール、1,1'−((3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス−2−プロパノール、N−tert−ブチルジエタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン、2−((2−(ジメチルアミノ)エチル)メチルアミノ)−エタノール、2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)−エタノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、3−ジメチルアミノフェノール、2−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−メチル−3−ピロールジオール、1−アジリジンエタノール、トロピン、N−メチル−3−ピペリジノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、N−メチル−4−ピペリジノール、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、N,N−ジメチルシクロヘキサノールアミン、(N,N−ジメチル)ナフトールアミン、(N,N−ジメチル)フェノールアミン及びこれらの混合物からなる群から選択された1種であることを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項11】
前記3級アミンは、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択された1種であることを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項12】
前記多官能性アミンは、
1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、N,N'−ジフェニルエチレンジアミン、4−メトキシフェニレンジアミン及びこれらの混合物からなる群から選択された1種であることを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項13】
前記多官能性ハロゲン化アシルは、
トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、イソフタロイルクロリド及びこれらの混合物からなる群から選択された1種であることを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項14】
ポリアミド逆浸透複合膜のポリアミド活性層上にアルコールアミンをコーティングした後で乾燥する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項15】
ポリアミド逆浸透複合膜のポリアミド活性層上にアルコールアミンをコーティングした後で硬化する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項16】
前記アルコールアミンは、
下記の化学式2または化学式3で表示されることを特徴とする、請求項14または15に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【化2】

前記化学式2において、
乃至Rは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、
Raは、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、
乃至Rのうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【化3】

前記化学式3において、
乃至R12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキル基、C1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、
Rb及びRcは、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基、−XR'、−R''XR'''及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、このとき、前記Xは、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−CF−及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種で、前記R'、R''、及びR''’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立的にC1〜C10の直鎖または側鎖のアルキレン基、C6〜C10のアリール基、C3〜C10のシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種であり、
乃至R12のうち少なくとも一つは−OHに置換される。
【請求項17】
前記アルコールアミンは、
N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N',N',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、1,1'−((3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス−2−プロパノール、2−((2−(ジメチルアミノ)エチル)メチルアミノ)−エタノール、2−((2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エチル)メチルアミノ)−エタノール及びこれらの混合物からなる群から選択された1種であることを特徴とする、請求項14または15に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項18】
前記ポリアミド活性層を20乃至60℃で10秒乃至1時間の間アルコールアミン水溶液またはアルコールアミンに浸漬した後、25乃至85℃未満で10秒乃至1時間の間乾燥することを特徴とする、請求項14に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項19】
前記ポリアミド活性層を20乃至60℃で10秒乃至1時間の間アルコールアミン水溶液またはアルコールアミンに浸漬した後、85乃至150℃で10秒乃至1時間の間硬化することを特徴とする、請求項15に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項20】
請求項6の方法で製造され、
多孔性支持体;及び
前記多孔性支持体の少なくとも一側面に形成されたポリアミド活性層を含むことを特徴とする、ポリアミド逆浸透複合膜。
【請求項21】
請求項15の方法で製造され、
多孔性支持体;及び
前記多孔性支持体の少なくとも一側面に形成されたポリアミド活性層を含み、
前記ポリアミド活性層のポリアミドとアルコールアミンが部分的に架橋されたことを特徴とする、ポリアミド逆浸透複合膜。

【図1】
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【公表番号】特表2010−502429(P2010−502429A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527294(P2009−527294)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004082
【国際公開番号】WO2008/030006
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(508179431)ウンジン コーウェイ カンパニー リミテッド (23)
【氏名又は名称原語表記】WOONGJIN COWAY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】658,Yugu−ri,Yugu−eup,Gongju−si,Chungcheongnam−do 314−895,Republic of Korea
【Fターム(参考)】