説明

ポリアリレート樹脂成型体およびその製造方法

【課題】易加工性を保持したまま、結晶化度を上昇させることにより、弾性率に優れたポリアリレート樹脂成型体を提供する。
【解決手段】液晶転移点を持たず、主鎖の構造を構成するジオール残基とジカルボン酸残基の成分の合計が3以上であって、結晶融解熱が5J/g以下であるポリアリレート樹脂からなる成型体を、溶剤雰囲気および/または溶剤中に曝す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶融解熱が大きいポリアリレート樹脂成型体、特にフィルム状成型体に関する。また、該成型体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂は軽量で、成型容易性に優れ、安価であることから、各種成型体として大量に利用されている。成型体には結晶性樹脂が用いられていることが多いが、これは結晶成分があることにより力学物性、耐熱性、耐溶剤性、ガスバリア性などの特性が優れるためである。
【0003】
一方、成型体には非晶性樹脂も数多く用いられている。非晶性樹脂は加工性、透明性、染色性に優れるという特長を有している。しかしながら結晶成分を含まない、または結晶成分が少ないために、力学物性、耐熱性、耐溶剤性、ガスバリア性などの特性が結晶性樹脂と比較して劣っている。
【0004】
非晶性樹脂としては、ビスフェノールAとテレフタル酸およびイソフタル酸から得られるポリアリレート樹脂が利用されている。ポリアリレート樹脂は透明性が高く、耐熱性に優れるため車のヘッドライトカバーなどの部品として利用されている。しかしながら、結晶性が低いため、弾性率、耐溶剤性、ガスバリア性が低いなどの欠点を有している。
【0005】
ポリアリレート樹脂の結晶化度を向上させる方法として、非特許文献1にポリアリレート溶液をキャストして徐々に乾燥させる方法が開示されている。しかしながら本法は乾燥時間が長い、溶液からの成型のためにフィルム状に限定される、結晶化度が小さいなどの欠点を有している。
【0006】
また、特許文献1、特許文献2にポリアリレート樹脂の製造工程で、オリゴマーを結晶化させる方法が開示されている。この方法では結晶化度の高いポリアリレート樹脂の粉体を得ることができるが、粉体の溶剤への溶解性が低い、粉体の加熱成型後の成型体の結晶化度が小さくなってしまうという欠点を有している。
【非特許文献1】Eur. Polym. J.誌, Vol.27, No9, 965-968頁(1991年)
【特許文献1】特開平5−331270号公報
【特許文献2】特開平8−319346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に述べたように、非晶性樹脂の易加工性を保持したまま、結晶化度を上昇させて、弾性率に優れたポリアリレート樹脂成型体を提供することが求められていた。本発明は、そのようなポリアリレート樹脂成型体とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討した結果、以下の構成を有する本発明によれば課題を解決しうることを見いだした。
[1] 液晶転移点を持たず、主鎖の構造を構成するジオール残基とジカルボン酸残基の各成分種の合計が3以上であるポリアリレート樹脂からなる成型体であって、結晶融解熱が20J/g以上であることを特徴とするポリアリレート樹脂成型体。
[2] 前記ポリアリレート樹脂のガラス転移温度が150℃以上であることを特徴とする[1]に記載のポリアリレート樹脂成型体。
[3] 前記ポリアリレート樹脂が、一般式(1)で表されるジカルボン酸残基と、一般式(2)で表されるジカルボン酸残基と、一般式(3)で表されるジオール残基を主鎖に含有することを特徴とする[1]または[2]に記載のポリアリレート樹脂成型体。
【0009】
【化1】

(式中、R11〜R14、R21〜R24、R31およびR32は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、Xは2価の連結基を表す。)
[4] 前記成型体の形状がフィルムであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリアリレート樹脂成型体。
【0010】
[5] 液晶転移点を持たず、主鎖の構造を構成するジオール残基とジカルボン酸残基の成分種の合計が3以上であって、結晶融解熱が5J/g以下であるポリアリレート樹脂からなる成型体を、溶剤雰囲気および/または溶剤中に曝す工程を有することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリアリレート樹脂成型体の製造方法。
[6] 前記ポリアリレート樹脂からなる成型体の形状がフィルムであることを特徴とする[5]に記載のポリアリレート樹脂成型体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリアリレート樹脂成型体は、易加工性を有し、結晶化度が高くて、弾性率に優れているという特徴を有する。また、本発明の製造方法によれば、このような特徴を有するポリアリレート樹脂成型体を簡便に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、本発明のポリアリレート樹脂成型体および該成型体の製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
(ポリアリレート樹脂)
本発明で用いられるポリアリレート樹脂は液晶転移点を持たないものである。液晶転移点を持つ樹脂は、結晶化度が大きいため、成型物とする際の加熱温度が高くなり、溶剤への溶解性も低下するなどの問題を有しているためである。液晶転移点を持つか否かの判定は、溶融粘度を測定し、昇温時に溶融粘度の急激な低下の有無を検出することにより行うことができる。
【0014】
本発明で用いられる樹脂成型体の結晶融解熱は、20J/g以上であり、23J/g以上であることが好ましく、25J/g以上であることがさらに好ましい。本発明でいう結晶融解熱は、示差走査熱量計で観測される吸熱ピークの積算値で求めることができる。
【0015】
本発明で用いられるポリアリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)は150℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがさらに好ましく、190℃以上であることが特に好ましい。
【0016】
本発明で用いられるポリアリレート樹脂は、主鎖の構造を構成するジオール残基とジカルボン酸残基の各成分種の合計が3以上である。このような条件を満たすものであれば、本発明で用いられるポリアリレート樹脂の構造の詳細は特に限定されるものではない。好ましいポリアリレート樹脂は、一般式(1)で表されるジカルボン酸残基と、一般式(2)で表されるジカルボン酸残基と、一般式(3)で表されるジオール残基を主鎖に含有するものである。
【0017】
一般式(1)中、R11〜R14はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
11〜R14が採りうる好ましい置換基としては、アルキル基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基など)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アリール基(炭素数6〜20が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アルコキシ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基など)、アシル基(炭素数2〜10が好ましく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基など)、アシルアミノ基(炭素数1〜10が好ましく、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基など)、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基などが挙げられる。より好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基であり、特に好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子である。
【0018】
以下に一般式(1)の具体例を示すが、本発明で採用することができる一般式(1)の構造はこれらに限定されるものではない。
【0019】
【化2】

【0020】
一般式(2)中、R21〜R24はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R21〜R24が採りうる好ましい置換基としては、R11〜R14が採りうる好ましい置換基として上に例示したものを挙げることができる。
【0021】
以下に一般式(2)の具体例を示すが、本発明で採用することができる一般式(2)の構造はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【化3】

【0023】
一般式(3)中、R31およびR32は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R31およびR32が採りうる好ましい置換基としては、R11〜R14が採りうる好ましい置換基として上に例示したものを挙げることができる。
【0024】
mおよびnはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、mとしては0〜2の整数が好ましく、nとしては0〜2の整数が好ましい。mが2以上の場合、複数のR31はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、nが2以上の場合、複数のR32はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
また、一般式(3)中、Xは2価の連結基を表す。Xは単一の原子から構成されるものであってもよいし、2以上の原子から構成されるものであってもよい。Xの好ましい例としては、アルキリデン基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、フルオレニリデン基が挙げられ、特に好ましくは、イソプロピリデン基、酸素原子、フルオレニリデン基である。
【0026】
一般式(3)中、2つの酸素原子連結基の結合位置はベンゼン環のどこでもよいが、4位と4’位が好ましい。
【0027】
以下に一般式(3)の具体例を示すが、本発明で採用することができる一般式(3)の構造はこれらに限定されるものではない。
【0028】
【化4】

【0029】
【化5】

【0030】
本発明で好ましく用いられるポリアリレート樹脂は、一般式(1)で表されるジカルボン酸残基と、一般式(2)で表されるジカルボン酸残基と、一般式(3)で表されるジオール残基をそれぞれ1種類ずつ主鎖に含有するものであってもよいし、いずれかの残基を複数種主鎖に含有するものであってもよい。本発明で用いられるポリアリレート樹脂は、一般式(1)のジカルボン酸残基を5〜45mol%含有することが好ましく、一般式(2)のジカルボン酸残基を5〜45mol%含有することが好ましく、一般式(3)のジオール残基を5〜50mol%含有することが好ましい。
【0031】
また、本発明で好ましく用いられるポリアリレート樹脂は、一般式(1)〜(3)で表される残基以外の残基を主鎖に含有するものであってもよい。本発明で用いられるポリアリレート樹脂中におけるそのような残基の含有量は、20mol%以下であることが好ましく、
10mol%以下であることがより好ましい。
【0032】
本発明で用いられるポリアリレート樹脂のうち、一般式(1)〜(3)で表される残基を主鎖に含有するポリアリレート樹脂の具体例を以下に示すが、本発明で用いることができるポリアリレート樹脂はこれらに限定されるものではない。下記構造中の数値は、樹脂中に含有される各成分のモル%である。
【0033】
【化6】

【0034】
【化7】

【0035】
本発明で用いられるポリアリレート樹脂は、添加剤を含むものであってもよい。添加剤としては、例えば可塑剤、核剤、無機粒子、UV吸収剤、ラジカル捕捉剤などを挙げることができる。。本発明で用いられるポリアリレート樹脂における添加剤の含有量は、 0.01質量%〜25質量%が好ましく、0.05質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%がさらに好ましい。
【0036】
(成型体とその製造方法)
本発明のポリアリレート樹脂成型体は、上記のポリアリレート樹脂からなり、結晶融解熱が20J/g以上であることを特徴とする。このような特徴を有する本発明のポリアリレート樹脂成型体は、結晶融解熱の小さいポリアリレート樹脂からなる成型体を溶剤雰囲気および/または溶剤中に曝して結晶融解熱を上昇させることにより製造することができる。具体的には、液晶転移点を持たず、主鎖の構造を構成するジオール残基とジカルボン酸残基の成分の合計が3以上であって、結晶融解熱が5J/g以下であるポリアリレート樹脂からなる成型体を、溶剤雰囲気および/または溶剤中に曝すことを特徴とする本発明の製造方法にしたがって、好ましく製造することができる。
【0037】
樹脂成型体を曝す溶剤としては、ポリアリレート樹脂の貧溶媒を単独で用いてもよいし、もしくは良溶媒/貧溶媒の混合溶媒を用いてもよい。具体例として、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、アニソール、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ヘキサフルオロイソプロパノール、ヘキサン、酢酸、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ニトロベンゼンを挙げることができる。これらの溶剤は、単独もしくは複数種組み合わせて使用してもよい。
【0038】
樹脂成型体を、溶剤雰囲気に曝す場合は、雰囲気中の溶剤濃度は0.01g/L〜5.0g/Lであることが好ましく、0.03g/L〜4.0g/Lであることがより好ましく、0.05g/L〜3.0g/Lであることがさらに好ましい。また、溶剤雰囲気の温度は、−20℃〜150℃であることが好ましく、0℃〜120℃であることがより好ましく、20℃〜100℃であることがさらに好ましい。さらに、樹脂成型体を溶剤雰囲気に曝す時間は、1秒〜24時間であることが好ましく、5秒〜10時間であることがより好ましく、10秒〜2時間であることがさらに好ましい。
【0039】
樹脂成型体を、溶剤中に浸漬することによって曝す場合は、溶剤の温度は、−78℃〜150℃であることが好ましく、−50℃〜120℃であることがより好ましく、20℃〜100℃であることがさらに好ましい。さらに、樹脂成型体を溶剤中に浸漬する時間は、1秒〜24時間であることが好ましく、5秒〜10時間であることがより好ましく、10秒〜2時間であることがさらに好ましい。
【0040】
樹脂成型体を溶剤雰囲気および/または溶剤中に曝した後は、樹脂成型体を乾燥させる。乾燥温度は、25℃〜150℃であることが好ましく、25℃〜120℃であることがより好ましく、25℃〜100℃であることがさらに好ましい。乾燥時には、温風をあてたり、脱気したりしてもよい。
【0041】
溶剤に曝す前の樹脂成型体、および溶剤に曝すことによって製造される本発明のポリアリレート樹脂成型体の形状は特に制限されない。好ましいのはフィルムである。ここでいうフィルムとは、膜厚が10μm〜250μmの成型体を意味する。フィルム状の成型体を製造する場合は、溶剤に曝す際に、枚葉方式とロール・トゥ・ロール方式のいずれも用いることができる。生産性の点では、ロール・トゥ・ロール方式を用いることが好ましい。
【0042】
本発明のポリアリレート樹脂成型体は、軽量で、成型容易性に優れ、安価であるうえ、結晶化度が比較的高くて、弾性率が優れているという特徴を有する。本発明のポリアリレート樹脂成型体の引張弾性率は、2.5GPa以上であることが好ましく、2.7GPa以上であることがさらに好ましく、3.0GPa以上であることが特に好ましい。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0044】
〔実施例1〕
ポリアリレートフィルム(ユニチカ社製、U−100フィルム、膜厚100μm)をDMAc60質量%とアセトン40質量%の混合溶媒に25℃で浸漬した。1時間後に混合溶媒から取り出し、溶剤をふき取った後、100℃にて5時間真空乾燥して、実施例1のポリアリレート樹脂成型体を得た。
【0045】
〔実施例2〕
混合溶媒をDMAc70質量%とアセトン30質量%に変更して、実施例1と同様の操作を行って、実施例2のポリアリレート樹脂成型体を得た。
【0046】
〔比較例1〕
非特許文献1に記載されている方法にて、U100フィルムのオルト−ジクロロベンゼンの15質量%溶液をガラス板上にキャストした。室温、空気下で5日間乾燥させた後、80℃、真空下で48時間乾燥させることにより、比較例1のポリアリレート樹脂成型体を得た。
【0047】
〔実施例3〕
比較例1で作製したU−100キャストフィルムに対して実施例1と同様の操作を行うことによって、実施例3のポリアリレート樹脂成型体を得た。
【0048】
〔比較例2〕
U100フィルムを、比較例2のポリアリレート樹脂成型体とした。
【0049】
<結晶融解熱の測定>
実施例1〜3、比較例1〜2の各フィルムの溶剤浸漬前後の結晶融解熱を測定した。
測定は、示差走査熱量計(DSC6200、セイコー(株)製)を用いて、窒素中、昇温温度10℃/分、試料質量10mgの条件で行った。200℃〜300℃の温度範囲での吸熱ピークから結晶融解熱を算出した。
【0050】
<引張弾性率の測定>
実施例1〜3、比較例1〜2の各フィルムの引張弾性率を測定した。
フィルムサンプル(1.0cm×5.0cm片)を作製し、引張速度3mm/分の条件下、テンシロン(東洋ボールドウィン(株)製、テンシロン RTM−25)を用いて引張弾性率を測定した。測定は3サンプル行い、その平均値を求めることにより評価した(サンプルは25℃、相対湿度60%で一晩放置後に使用。チャック間距離3cm)。
【0051】
【表1】

【0052】
本発明のポリアリレート樹脂成型体は結晶融解熱が大きい。また、本発明の製造方法によれば、結晶融解熱の小さなポリアリレート樹脂成型体の結晶融解熱を大きくすることができる。これにより成型体の弾性率を上昇させることができ、力学特性の優れた成型体を得ることが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、結晶融解熱が大きなポリアリレート樹脂成型体を提供することができる。すなわち、本発明によれば、ポリアリレート樹脂の優れた成型性を損なうことなく、結晶化度を向上させ、耐熱性が高くて、力学物性に優れたポリアリレート樹脂成型体を提供することができる。本発明のポリアリレート樹脂成形体は、自動車部品、電気・電子部品、機械部品、光学部品等の材料として幅広く利用することができ、産業上の利用可能性は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶転移点を持たず、主鎖の構造を構成するジオール残基とジカルボン酸残基の各成分種の合計が3以上であるポリアリレート樹脂からなる成型体であって、結晶融解熱が20J/g以上であることを特徴とするポリアリレート樹脂成型体。
【請求項2】
前記ポリアリレート樹脂のガラス転移温度が150℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリレート樹脂成型体。
【請求項3】
前記ポリアリレート樹脂が、一般式(1)で表されるジカルボン酸残基と、一般式(2)で表されるジカルボン酸残基と、一般式(3)で表されるジオール残基を主鎖に含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂成型体。
【化1】

(式中、R11〜R14、R21〜R24、R31およびR32は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、Xは2価の連結基を表す。)
【請求項4】
前記成型体の形状がフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアリレート樹脂成型体。
【請求項5】
液晶転移点を持たず、主鎖の構造を構成するジオール残基とジカルボン酸残基の成分種の合計が3以上であって、結晶融解熱が5J/g以下であるポリアリレート樹脂からなる成型体を、溶剤雰囲気および/または溶剤中に曝す工程を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアリレート樹脂成型体の製造方法。
【請求項6】
前記ポリアリレート樹脂からなる成型体の形状がフィルムであることを特徴とする請求項5に記載のポリアリレート樹脂成型体の製造方法。

【公開番号】特開2007−262123(P2007−262123A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85165(P2006−85165)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】