説明

ポリアルキレングリコールベースのポリ(エステル‐アミド)ポリマー、該ポリマーの製造方法および使用方法、ならびに該ポリマーを含む組成物および製品

60℃〜180℃の軟化点を有し、二酸、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンおよびポリ(アルキレンオキシ)ポリオールを含む反応混合物、または二酸、炭素数2〜6の短鎖脂肪族ジアミンおよびポリ(アルキレンオキシ)ポリオールを含む反応混合物から形成し、前記二酸はシクロヘキサンジカルボン酸とする、ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマー。前記ブロックコポリマーの形成方法および使用方法、ならびに前記ブロックコポリマーを含む組成物および物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:マークSパブリン
【0002】
本開示は、ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマー、このようなポリマーの製造方法および使用方法、ならびにこのようなポリマーを含む組成物および製品に関する。より詳細には、本開示は、ポリアルキレングリコールベースのポリ(エステル‐アミド)(PGPEA)ポリマー、このようなポリマーの製造方法および使用方法、ならびにこのようなポリマーを含む組成物および製品に関する。本発明はさらに、ゲル化剤としてのPGPEAポリマーの使用、およびPGPEAを含むゲル状の組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
商業的に重要な組成物の多くでは、製品のコンシステンシー(粘稠度)がその商業的成功にとって極めて重要である。例としては個人向けケア製品、家庭用ケア製品、産業用ケア製品および医薬品が挙げられ、これらは一般にキャリア製剤中に一種以上の有効成分を含有する。こうした有効成分によって製品の最終的な性能有用性が決まるが、キャリア製剤が主として製品のコンシステンシーを決定するという点で製品の商業的成功にとってはキャリア製剤が重要である。消費者が製品を利用または使用する形態は、主としてキャリアまたは「基剤(base)」のレオロジーによって決まる。多くの商用製品および商品化予定製品では、成功する製品を調合できるようにするには、種々のレオロジー特性を変更する能力を備えた「ゲル化剤」と称される材料の利用可能性に依存する。
【0004】
製品は、しばしば「ゲル」の状態、すなわち攪乱を受けない状態では形状を維持するが、剪断を受けると流動する状態であることが望まれる。透明なゲル化したキャリアは、特に着色剤が有効成分である製品、例えばリップグロスまたはルージュを開発する調合者による需要が高い。なぜなら、透明なキャリアは(不透明なキャリアと異なり)着色剤の外観に対する干渉があるとしても最小限で済むからである。近年、消費者は脱臭剤やシャンプー等の個人向けケア製品について無色透明のものを好む傾向が高まっている。
【0005】
当技術分野では表面ケア、空気ケアおよび個人向けケア用製剤のゲル化剤(ゲラント)として、いくつかのポリアミドポリ(エステル‐アミド)およびポリエーテルポリアミド樹脂が知られている。
【0006】
エメリーインダストリーズ(Emery Industries, Inc.)社の特許文献1(米国特許第3,839,245号)には、ポリマー繊維静電防止ブレンド構成成分として有用な調製剤が記載されている。この特許に開示されている材料は、単独の二酸としてダイマー酸を含み、またポリエーテル成分量が全ポリマーの最大で75質量%となるレベルで含む。
【0007】
ATO Chemie社の特許文献2(米国特許第4,230,838号)には、直線的に配置され且つ結鎖エステル基と結合されたポリエーテルおよびポリアミドブロックで構成したブロック共重合体(コポリマー)静電防止成分が開示されている。ポリ(エーテル‐エステル‐アミド)は繊維形成範囲以下の分子量を有し、指定の量のポリエーテルブロックおよび特定比率のアミド‐エステル結合を含む。これらにポリエステル、ポリアミドおよび他の繊維形成ポリマーをブレンドして静電防止特性を付与する。特許文献2(’838号特許)の開示は、このようなポリマーをゲラントとして使用することは教示も示唆もしていない(諸実施例に開示されている軟化点は極めて高く、典型的には180℃であるため、これらポリマーはゲラント用途に適さない)。さらに、この特許文献2にはダイマー酸および/またはCHDAベースの組成物を教示も示唆もしていない。
【0008】
Union Camp社の特許文献3(米国特許第5,783,657号/1998年)には、鉱油等の無極性液体に溶解し、室温まで冷えたときに堅い透明ゲルを形成するダイマー酸ベースのポリアミド組成物が開示されている。このような組成物は、それらがある量のエステル基を含有する必要がある点、さらにはそれらのエステルがポリマー鎖の末端に位置しなければならない点で特異的である。
【0009】
ユニオン・キャンプ(Union Camp Corporation)社およびブッシュ・ボーク・アレン(Bush Boake Allen)社の特許文献4(米国特許第6,111,055号/2000年)には、溶媒をブレンドしてゲルを形成することができるエステル末端ダイマー酸ベースのポリアミドが開示されている。溶媒は可燃性であり、結果として得られるゲルに芯を追加してキャンドル(ロウソク)を形成することができる。芯はこのゲル中に存在させてもさせなくてもよいが、いずれにせよこの組成物は芳香剤、殺虫剤または昆虫忌避剤の放出を可能にする。
【0010】
特許文献5(米国特許第6,242,509号)には、溶媒をブレンドしてゲルを形成することができるエステル末端ダイマー酸ベースのポリアミドが記載されている。溶媒は可燃性であり、結果として得られるゲルに芯を追加してキャンドルを形成することができる。組成に応じてこのキャンドルを自立柱とすることも容器内への収納に適合させることもできる。溶媒は鉱油であってよい。エステル末端ダイマー酸ベースのポリアミドは、芳香剤、着色剤、昆虫忌避剤、殺虫剤、生物活性成分等の有効成分と組み合わせて有効成分送給媒体にすることもできる。
【0011】
アリゾナケミカル社の特許文献6(米国特許第6,268,466号/2001年)には、鉱油等の無極性液体に溶解することができ、冷却時に透明なゲルを形成することができるダイマー酸ポリアミドが開示されている。このような組成物は、ポリマー鎖を第三級アミド基で終端させる必要がある点で特異的である。
【0012】
アリゾナケミカル社の特許文献7(米国特許第6,399,713号/2002年)には、ダイマー酸、エチレンジアミン(EDA)、ポリ(オキシエチレン/プロピレン)ジアミンおよびポリ(オキシエチレン/プロピレン)モノアミンの反応生成物からなるポリアミドゲル化剤(PAOPA:ポリ(アルキレンオキシ)末端ポリアミド)が開示されている。
【0013】
特許文献8(米国特許第6,469,131号)には、調合炭化水素‐ポリエーテル‐ポリアミド‐ポリエーテル‐炭化水素によるブロック共重合体(コポリマー)が開示されている。この共重合体(コポリマー)は、ダイマー酸、ジアミン、および炭化水素末端と、アミン、ヒドロキシル、カルボキシルのうちの一つから選択される末端との両方を有するポリエーテルを含む反応物同士を反応させることによって調製することができる。このコポリマーを溶媒と組み合わせてゲルを形成することができる。このゲルは透明とし、制汗剤を含む家庭用製品および消費者向け製品に組み込むことができる。
【0014】
特許文献9(米国特許第6,503,077号)には、溶媒をブレンドしてゲルを形成することができる第三級アミド末端ダイマー酸ベースのポリアミドが記載されている。溶媒は可燃性とし、結果として得られるゲルに芯を追加してキャンドルを形成することができる。組成に応じてこのキャンドルを自立柱とすることも容器内への収納に適合させることもできる。溶媒は、例えば鉱油またはトリグリセリドとすることができる。固体コーティングをキャンドルの周囲に施すこともできる。その利点としては、ゲル化した本体の機械的安定性が向上する点、ゲルが油っぽい感覚を与え、また目立つ指紋が付き易いという傾向を解消する点が挙げられる。第三級アミン末端ダイマー酸ベースのポリマーと組み合わせてゲルを形成するこの溶媒は、芳香剤材料とするまたは芳香剤材料を含むものとすることができる。ゲル化した組成物は、一つ、二つまたはそれ以上のエステル基を含有する脂肪酸および/または化合物も含むことができる。一態様において、この物品は芯を含まず、芳香放出製品として機能させることを企図する。
【0015】
特許文献10(米国特許第6,503,522号)には、構造化した固体組成物が記載されており、この固体組成物は、少なくとも一つの着色剤と、液体油相と、ゲラントとを含有する。この場合、ゲラントは第三級アミド末端ポリアミド樹脂(ATPA)であり、このATPAは末端アミド基が全アミド基の10%〜50%を構成する多数の反復単位を備える。
【0016】
特許文献11(米国特許第6,552,160号)には、二塩基酸、ジアミン、ポリオールおよびモノアルコールを含む構成成分と反応させることによって調製した樹脂組成物が開示されている。この場合、(a)二塩基酸の少なくとも50当量パーセントが重合脂肪酸を含み、(b)ジアミンの少なくとも50当量パーセントがエチレンジアミンを含み、(c)ジアミン、ポリオールおよびモノアルコールによって得られるヒドロキシル当量およびアミン当量の合計に対する10〜60当量パーセントがモノアルコールによって得られ、且つ(d)ジアミン、ポリオールおよびモノアルコールによって得られるヒドロキシル当量およびアミン当量の合計に対する50当量パーセント以下がポリオールによって得られるものとする。この樹脂組成物は、例えば個人向けケア製品、芳香放出製品およびキャンドルに調製することができる。
【0017】
特許文献12(米国特許第6,592,857号)には、低分子量の第三級アミド末端ポリアミドが開示されている。この第三級アミド末端ポリアミドに液体炭化水素をブレンドし、ゲルとしてのコンシステンシーを有する透明な組成物を形成することができ、このゲルを使用して化粧品を調合することができる。この第三級アミド末端ポリアミドは「x」当量のジカルボン酸と反応させることによって調製することができる。この場合、これら当量の少なくとも50%は、重合化脂肪酸、「y」当量のエチレンジアミンのようなジアミンおよび単独反応性官能基として第2級アミン基を有する「z」当量の単官能性反応物に由来するものとする。このゲルは、約5〜50%の第三級アミド末端ポリアミドを含有し、残りは純炭化水素であることが好ましい。
【0018】
特許文献13(米国特許第6,864,349号)には、重合化脂肪酸ベースのポリアミドが開示されている。このポリアミドは、低い極性および高い極性の共溶媒と組み合わせて均質なウォーター・イン・オイルのエマルションを生成することができる。これらエマルションは、オイルベースとするのが好ましい用途、例えば低スティフネスのエマルションを含むスキンクリームや化粧品、およびより高いスティフネスのエマルションを含む自動車用光沢剤に有用である。
【0019】
特許文献14(米国特許第6,875,245号)には、二塩基酸、ジアミン、ポリオールおよびモノアルコールを含む構成成分に反応させることによって調製する樹脂組成物が開示されている。この場合、(a)二塩基酸の少なくとも50当量パーセントが重合脂肪酸を含み、(b)ジアミンの少なくとも50当量パーセントがエチレンジアミンを含み、(c)ジアミン、ポリオールおよびモノアルコールによって得られるヒドロキシル当量およびアミン当量の合計に対する10〜60当量パーセントがモノアルコールによって得られ、且つ(d)ジアミン、ポリオールおよびモノアルコールによって得られるヒドロキシルおよびアミン当量の合計に対する50当量パーセント以下がポリオールによって得られるものとする。この樹脂組成物は、例えば個人向けケア製品、芳香放出製品およびキャンドルとして調合することができる。
【0020】
アリゾナケミカル社の特許文献15(米国特許第6,956,099号/2005年)には、ダイマー酸、ジアミンの反応生成物を含むポリエーテルポリアミド(PEPA)ゲル化剤が開示されている。ここに開示されているコポリマーは、内部ポリエーテルブロックと内部ポリアミドブロックを結合させたものであり、有利な物理的特性および溶媒ゲル化能力を有する。このコポリマーは、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)およびポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)を含有する反応混合物から調製することができる。随意の選択肢として、この反応混合物はアミンまたはカルボン酸基と反応する単官能性化合物を含有しないものとするが、そのような単官能性化合物が若干存在するものとすることもできる。ダイマージアミンおよび/またはダイマー酸を反応混合物中に存在させることもできる。コポリマーは、ダイマー酸と、PAODAおよび炭素数2〜6の短鎖脂肪族ジアミン(SDA)を含めた少なくとも2つのジアミン化合物とを含有する反応混合物から調製することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第3,839,245号明細書
【特許文献2】米国特許第4,230,838号明細書
【特許文献3】米国特許第5,783,657号明細書
【特許文献4】米国特許第6,111,055号明細書
【特許文献5】米国特許第6,242,509号明細書
【特許文献6】米国特許第6,268,466号明細書
【特許文献7】米国特許第6,399,713号明細書
【特許文献8】米国特許第6,469,131号明細書
【特許文献9】米国特許第6,503,077号明細書
【特許文献10】米国特許第6,503,522号明細書
【特許文献11】米国特許第6,552,160号明細書
【特許文献12】米国特許第6,592,857号明細書
【特許文献13】米国特許第6,864,349号明細書
【特許文献14】米国特許第6,875,245号明細書
【特許文献15】米国特許第6,956,099号明細書
【特許文献16】米国特許第3,157,681号明細書
【特許文献17】米国特許第3,615,289号明細書
【特許文献18】米国特許第3,645,705号明細書
【特許文献19】米国特許第3,148,125号明細書
【特許文献20】米国特許第5,538,718号明細書
【特許文献21】米国特許第4,275,054号明細書
【特許文献22】米国特許第4,937,069号明細書
【特許文献23】米国特許第5,069,897号明細書
【特許文献24】米国特許第5,102,656号明細書
【特許文献25】米国特許第5,500,209号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Naval Stores‐Production, Chemistry and Utilization, D. F. Zinkel and J. Russell (eds.), Pulp. Chem. Assoc. Inc., 1989, Chapter 23
【非特許文献2】文書番号IPCOM000168883D(www.ip.com)
【非特許文献3】文書番号PCOM000009045D(www.ip.com)
【非特許文献4】文書番号IPCOM000010393D(www.ip.com)
【非特許文献5】文書番号IPCOM000007401D(www.ip.com)
【非特許文献6】文書番号IPCOM000005738D(www.ip.com)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
当技術分野の進歩にもかかわらず、ゲル化剤として機能し得る新規なポリアミド樹脂がなおも必要とされている。従来、反応構成成分としてポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを使用することが、規定または随意の選択肢として許容される文献が知られているが、これらのどの文献にも反応構成成分としてポリ(アルキレンオキシ)ポリオールを使用することは開示または示唆されていない。本開示は、これらの必要性を満足することを目的とし、以下でより詳しく説明する付加的な利点を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
以下では本開示の基本的な理解を与えるために、本開示の多くのあり得る実施形態のいくつかに関する一般的な概要を説明する。この概要は本開示のすべての実施形態を網羅的に概説するものではない。この概要は本開示の重要なまたは極めて重要な要素を特定するものではなく、請求項の範囲を規定または他の何らかの方法で限定するものでもない。以下の概要は、単に後述するより詳細な説明の導入として本開示のいくつかの概念を一般的な形式で提示するにすぎない。
【0025】
本開示の非限定的な一実施形態では、ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーを提供する。通常、上記コポリマーは、二酸、炭素数2〜6の短鎖脂肪族ジアミンおよびポリ(アルキレンオキシ)(PAO)ポリオールを含む反応混合物から形成する。上記二酸は重合脂肪酸とすることができる。上記ポリマーはPAO含有構成成分を約20〜50質量%の範囲で含むことができる。一実施形態では、二塩基当量の少なくとも75%が重合脂肪酸に由来する。別の実施形態では、全ヒドロキシルおよびアミン当量の約40%〜約80%が前記短鎖ジアミンに由来する。他の実施形態において、全ヒドロキシルおよびアミン当量の約5%〜約55%がPAOポリオールに由来する。上記PAOポリオールは、ジ‐、トリ‐、テトラ‐エチレングリコール、ジ‐、トリ‐、テトラ‐プロピレングリコール、ジ‐、トリ‐、テトラ‐ブチレングリコール、およびより高分子量のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ブチレングリコール)、混合ポリ(エチレンオキシコプロピレンオキシ)グリコールポリマー、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。また他の実施形態では、全ヒドロキシルおよびアミン当量の約0.1%〜30%が単官能性化合物に由来する。上記単官能性化合物はPAOMAおよびPGMOからなる群から選択することができる。本開示のコポリマー(共重合体)を形成するための反応混合物は、さらに、カルボン酸またはアミン基と反応する一つ以上の単官能性化合物を含むことができる。
【0026】
本開示のまた別の非限定的な実施形態では、ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ポリマーと生(き)の状態が室温で液体である化合物とを含む組成物を提供する。一般に、上記組成物はゲルの形式とする。一実施形態では、上記化合物は、エステル、エーテル、ハロゲン、炭酸塩、スルホキシドから選択した少なくとも一つの化学基を含むものとする。
【0027】
本開示の別の非限定的な実施形態では、本開示のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ポリマーの調製方法を提供する。この方法において、前記ブロックコポリマーは60℃〜180℃の軟化点を有し、二酸、炭素数2〜6の短鎖脂肪族ジアミン、およびポリ(アルキレンオキシ)(PAO)ポリオールを含む反応混合物から形成する。一般に、上記方法は、二酸、炭素数2‐6の短鎖脂肪族ジアミン、およびポリ(アルキレンオキシ)ポリオールを含む反応物同士を反応させるステップを有する。
【0028】
本開示のさらに別の非限定的な実施形態では、ゲルの調製方法を提供する。上記方法は、本開示のコポリマーを化合物と高温で混合して混合物を生ずるステップと、該混合物を室温まで冷却してゲルを形成するステップとを有する。一般に、上記化合物は生の状態が室温で液体であり、ヒドロキシルおよび/またはエーテル官能性を有する。
【0029】
本開示のさらに別の非限定的な実施形態では、本開示のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーを含む物品を提供する。一般に、上記コポリマーは60℃〜180℃の軟化点を有し、二酸、炭素数2〜6の短鎖脂肪族ジアミン、およびポリ(アルキレンオキシ)(PAO)ポリオールを含む反応混合物から形成する。一実施形態において、上記物品は、少なくとも一つの生理学的に容認できるオイルを含む芳香スティック、空気消臭剤、芳香ゲルまたは個人向けケア製品として調合することができる。このような物品は、さらにHLB値が4〜20の界面活性剤を含むことができる。このような物品は、さらに着色剤および芳香剤のうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0030】
本開示のまた別の非限定的な実施形態では、ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーを提供する。上記コポリマーは、二酸、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン、およびポリ(アルキレンオキシ)(PAO)ポリオールを含む反応混合物から形成する。前記二酸はシクロヘキサンジカルボン酸である。通常、上記コポリマーは60℃〜180℃の軟化点を有する。上記反応混合物は、さらに共二酸(co-diacid)を含むことができる。上記反応混合物は、さらにカルボン酸またはアミン基と反応する一つ以上の単官能性化合物を含むことができる。非限定的な一実施形態では、上記シクロヘキサンジカルボン酸を1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸とすることができる。別の非限定的な実施形態では、上記共二酸を重合脂肪酸とすることができる。また別の非限定的な実施形態において、上記ジアミンについては、化学式HN‐R‐NHのジアミンを除外することができる(ただし、RはC〜Cのヒドロカルビルとする)。本発明で使用するのに適したジアミンの一例は、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(PAODA)である。PAOポリオールは、ジ‐、トリ‐、テトラ‐エチレングリコール、ジ‐、トリ‐、テトラ‐プロピレングリコール、ジ‐、トリ‐、テトラ‐ブチレングリコール、およびより高分子量のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ブチレングリコール)、混合ポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)グリコールポリマー、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
【0031】
本開示のまた別の非限定的な実施形態では、本開示のブロックコポリマーの調製方法を提供する。一般に、上記方法は、二酸、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン、およびポリ(アルキレンオキシ)ポリオールを含む反応物同士を反応させるステップを有する。前記二酸はシクロヘキサンジカルボン酸である。
【0032】
本開示のさらにまた別の非限定的な実施形態では、a)本開示のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーと、b)生の状態が室温で液体である化合物とを含む組成物を提供する。一般に、上記組成物はゲルの形式とする。一般に、上記コポリマーは、二酸、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン、およびポリ(アルキレンオキシ)ポリオールを含む反応混合物から形成する。前記二酸はシクロヘキサンジカルボン酸である。一般に、上記化合物は、エステル、エーテル、ハロゲン、炭酸塩、スルホキシドから選択される少なくとも一つの化学基を含む。
【0033】
本開示のさらにまた別の非限定的な実施形態では、ゲルの調製方法を提供する。上記方法は、本開示のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーを化合物と高温で混合して混合物を形成するステップと、該混合物を室温まで冷却させてゲルを形成するステップとを有する。一般に、上記化合物は生の状態が室温で液体であり、ヒドロキシルおよび/またはエーテル官能性を備えるものとする。
【0034】
本開示のさらにまた別の非限定的な実施形態では、本開示のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーを含む物品を提供する。一般に、上記コポリマーは60℃〜180℃の軟化点を有し、二酸、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミン、およびポリ(アルキレンオキシ)ポリオールを含む反応混合物から形成する。前記二酸はシクロヘキサンジカルボン酸である。一実施形態において、上記物品は、少なくとも一つの生理学的に容認し得るオイルを含む芳香スティック、空気消臭剤、芳香剤ゲルまたは個人向けケア製品として調合することができる。上記物品は、さらにHLB値が4〜20の界面活性剤を含むことができる。上記物品は、さらに着色剤および芳香剤のうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0035】
本開示のさらにまた別の非限定的な実施形態では、ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーを提供する。上記コポリマーは、下記の構造I、構造II、構造III、構造IV、構造Vおよび構造VIからなる群から選択される少なくとも一つの構造を備える。
【0036】
構造I:
【化1】

【0037】
式中、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1
である。
【0038】
構造II:
【化2】

【0039】
式中、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
x=エチレンオキシド(EO)基、
=Hのとき、y=エチレンオキシド(EO)基、
またはR=CHのとき、y=プロピレンオキシド(PO)基、
(EO)の場合R=H、または(PO)の場合R=CH
である。
【0040】
構造III:
【化3】

【0041】
式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
x=15
である。
【0042】
構造IV:
【化4】

【0043】
式中、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、 またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、および
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1
である。
【0044】
構造V:
【化5】

【0045】
式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、 またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
(EO)の場合R=H、または(PO)の場合R=CH
x=エチレンオキシド(EO)基、
=Hのとき、y=エチレンオキシド(EO)基、またはR=CHのとき、y=プロピレンオキシド(PO)基
である。
【0046】
構造VI:
【化6】

【0047】
式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、 またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
x=15
である。
【0048】
本開示の上記および他の目的は当業者が本明細書を読めば明らかとなるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本開示は、ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマー、該コポリマーの形成方法および使用方法、ならびに該コポリマーを含む組成物および物品を提供する。より詳細には、本開示は、ポリアルキレングリコールベースのポリ(エステル‐アミド)(PGPEA)ポリマー、PGPEAの形成方法、PGPEAの使用方法ならびにPGPEAを含む組成物および物品を提供する。本開示によるPGPEAポリマーは種々の用途、例えばゲル化剤(gelling agents/ゲラント(gellants)」)としての使用に適している。本開示のポリマーおよび組成物は任意の様々な製品および製造物品に調合することができる。かかる製品および製造物品としては、以下に限定するものではないが、表面ケア、空気ケアおよび御仁向けケアを含めた使用領域を対象とする製品および物品があり、個人向けケア製品、医薬品、家庭用製品、塗料剥離剤、空気消臭剤、薬剤アプリケータ、光沢仕上げ剤等、一般にゲルまたは濃密化した状態の製品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
ポリ(アルキレンオキシ)末端ポリアミド(PAOPA)やポリエーテルポリアミド(PEPA)のような普通のポリアミドゲラントと比較すると、本発明のPGPEAポリマーは、既知のポリアミドゲラントとは構造が明らかに異なり、主鎖(バックボーン)内に有意なレベルのエステル基を含む。PAOPAおよびPEPAと同様に、PGPEAもポリエーテル部分が豊富である。しかしながら、PGPEAのポリエーテル部分は、PAOPAおよびPEPAの場合のように大部分がジアミンに由来するものではなく、大部分がジオールに由来するものである。このジオール反応物はアミド基の代わりにエステル基を介してPGPEA鎖の必要なジカルボン酸を結合させる。ジオールは一般にジアミンよりも価格が安いので、本発明によるPGPEA樹脂は一般にPAOPAまたはPEPA樹脂よりも生成コストが低くなる。
【0051】
本明細書で使用する「ポリアルキレングリコールベースのポリ(エステル‐アミド)ポリマー」、「PGPEA」、「ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマー」、「本開示のポリマー」、「本開示のコポリマー」および「本開示の樹脂」という用語はすべて、本開示の本発明によるポリアルキレングリコールベースのポリ(エステル‐アミド)ポリマーを指す。これらポリマーを本明細書では「本開示のゲラント」と呼ぶことも「本開示のゲル化剤」と称する場合もある。
【0052】
本開示のPGPEAポリマーは、i)一つ以上の二酸、ii)ジアミン、およびiii)ポリ(アルキレングリコール)等のポリ(アルキレンオキシ)ポリオールの反応生成物である。随意の選択肢として、単官能性鎖の反応停止剤(ターミネーター)をこの反応に含めることもできる。本発明で使用するのに適したポリオールの2つの非限定的な例として、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)がある。一般に、ポリ(アルキレンオキシ)ポリオールは比較的大量に使用するが、結果として得られるポリマーにおけるポリエーテルブロック部分の単独資源(ソース)とすることができる。結果として得られるPGPEAポリマーはポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーである。
【0053】
1つの非限定的な実施形態において、本PGPEAポリマーは単官能性鎖反応停止剤を含み、例えばPAO含有モノアミンまたはモノアルコールで終端する。単官能性鎖反応停止剤を含むPGPEA樹脂は、二塩基酸、ジアミン、ポリ(アルキレンオキシ)ポリオールおよび単官能性鎖反応停止剤を共に反応させることによって調製する。ここで、i)二塩基酸当量の少なくとも75%は重合脂肪酸に由来し、ii)全ヒドロキシルおよびアミン当量に対する40%〜80%は炭素原子数2〜6の短鎖脂肪族ジアミンに由来し、iii)全ヒドロキシルおよびアミン当量に対する5〜55%はポリ(アルキレンオキシ)ポリオールに由来し、iv)全ヒドロキシルおよびアミン当量に対する最大30%(30%以下)は単官能性鎖反応停止剤に由来するものとする。
【0054】
別の非限定的な実施形態において、本発明によるPGPEAポリマーは単官能性反応停止剤を持たないものとする。例えば、本発明のPGPEAの分子量は十分高く、末端基は重要でなく、したがって随意的なものである。単官能性反応停止剤を持たないPGPEA樹脂は、二塩基酸、ジアミンおよびポリ(アルキレンオキシ)ポリオール構成成分を反応させることによって調製する。ここで、i)二塩基酸当量の少なくとも75%は重合脂肪酸に由来し、ii)全ヒドロキシルおよびアミン当量に対する40%〜80%は炭素原子数2〜6の短鎖脂肪族ジアミンに由来し、iii)全ヒドロキシルおよびアミン当量に対する5〜55%はポリ(アルキレンオキシ)ポリオールに由来する。
【0055】
成功を得るゲラントとなるか否かの鍵となる2つの要件は、ゲラントの軟化点が約60℃以上であること、および目標とする液体に対して可溶性または不溶性が高くなりすぎないようにすることであり、したがって、混合物に液体をブレンドしたとき、混合物が十分低い温度、好ましくは室温で固体になることである。ポリエステル、および特にポリ(アルキレンオキシ)ポリオールから構成したポリエステルは、類似の鎖構造を有する対応のアミドよりずっと低い軟化点およびずっと高い可溶性を有する。したがって、アルキレンオキシポリオールを大量に含有する本発明によるポリ(エステル‐アミド)がゲラントとして機能するのに必要な固化性および可溶性を有していることは特筆すべき点である。
【0056】
本開示のポリマーは、一般にポリスチレンを参照基準としてゲル透過クロマトグラフィを使用して測定した質量平均分子量が10,000〜50,000である。他の実施形態では、本ポリマーの質量平均分子量は12,000〜40,000とすることができ、また他の実施形態では質量平均分子量は15,000〜30,000とすることができる。本開示のポリマーは一般にアミン価および酸価がそれぞれ20未満、いくつかの実施形態ではそれぞれ15未満とすることができる。本開示のポリマーは一般に60℃〜180℃の軟化点を有する。本ポリマーは、ある実施形態では80℃〜160℃の軟化点を有することができ、他の実施形態では100℃〜140℃の軟化点を有することができる。
【0057】
[二酸反応物]
二塩基酸は、少なくとも2つのカルボン酸基またはそれらの反応性等価物(reactive equivalent)を含有する有機分子とすることができる。非限定的な一実施形態において、二塩基酸は重合脂肪酸である。重合脂肪酸は約180〜約200のオーダーの酸価を有する液体とすることができる。重合脂肪酸は本発明の樹脂形成反応で使用する前に水素化することができる。脂肪酸の重合に関するより詳細な議論は、例えば特許文献16(米国特許第3,157,681号)、および非特許文献1(Naval Stores‐Production, Chemistry and Utilization, D. F. Zinkel and J. Russell (eds.), Pulp. Chem. Assoc. Inc., 1989, Chapter 23)で確認することができる。これらの内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0058】
重合脂肪酸またはその反応性等価物に加えて、二塩基酸は式HOOC--R--COOHの共二酸またはその反応性等価物も含むことができる。重合脂肪酸以外の共二酸が存在するときは、それらの使用量を微量、すなわち当量ベースで二酸の総量の25%未満とすることが好ましい。
【0059】
[ジアミン反応物]
本開示のいくつかの非限定的な実施形態では、ジアミン反応物は短鎖脂肪族ジアミンとすることができる。本発明で有用な短鎖脂肪族ジアミン反応物は2つの第一級アミン基を有することができ、2〜12個の炭素原子を含むことができる。本発明で有用な短鎖脂肪族ジアミン反応物は式HN‐R‐NHで表すことができる。ここで、Rは直鎖または分岐アルキルジラジカルである。一実施形態において、短鎖ジアミン反応物は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよび1,12‐ドデカンジアミンからなる群から選択する。
【0060】
短鎖ジアミン以外のジアミンは、本明細書では共ジアミン(co-diamine)と呼ぶことがある。共ジアミンが存在するときは、その使用量を微量、すなわち全アミンおよびアルコールの総量の50%未満とすることが好ましい。
【0061】
本開示のいくつかの非限定的な実施形態では、PGPEAの主要な二酸をシクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)とすることができる。その場合、反応混合物中に短鎖ジアミンは存在しなくなる。したがって、反応混合物が短鎖ジアミンを含有しない実施形態では、「共ジアミン」が実際に存在する唯一のジアミンとなる。
【0062】
共ジアミンは環式のもの、例えばピペラジン、または酸素原子をポリアルキレンオキシド基の形式で含むものとすることができる。例示的なポリアルキレンオキシドベースの共ジアミン(PAOジアミン)としては、以下に限定するものではないが、JEFFAMINE(登録商標)ジアミン、すなわちハンツマン・ケミカル(Huntsman Chemical)社(ユタ州ソルトレークシティ)製のポリ(アルキレンオキシ)ジアミン(別名、ポリエーテルジアミン)が挙げられる。ポリアルキレンオキシドを含有する好ましい共ジアミンは、JEFFAMINE(登録商標)D‐およびXTJ‐シリーズのジアミンである。
【0063】
[ポリオール反応物]
ポリ(アルキレンオキシ)ポリオール(ここでは「ポリオール」と呼ぶ)は、ポリエトキシレート化グリセロールやポリプロポキシレート化トリメチロールプロパンのような任意のエトキシレート化またはプロポキシレート化ポリオールとすることができる。本発明で有用なポリオールは次式を有する。すなわち、
HO‐CH(R)CH(R)‐[OCH(R)CH(R)]‐OH
式中、RおよびRは各例でH1、CH(メチル)およびCHCH(エチル)から独立して選択する。整数nは好ましくは少なくとも2、より好ましくは2より大きい数とし、グリセロールの分子量が約200〜約4,000となるようにする。本発明の樹脂調製に使用するのに適したポリオールとしては、ジ‐、トリ‐、テトラ‐エチレングリコール、ジ‐、トリ‐、テトラ‐プロピレングリコール、ジ‐、トリ‐、テトラ‐ブチレングリコール、およびより高分子量のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ブチレングリコール)、ならびに混合ポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)グリコールポリマーが挙げられる。
【0064】
[単官能性反応物]
本発明で使用するのに適した単官能性反応停止剤は、任意の一酸塩基、モノアミンまたはモノアルコールであってよい。一実施形態において、単官能性反応停止剤は次式のポリ(アルキレンオキシ)モノアルコールまたはポリ(アルキレンオキシ)モノアミンである。
Z‐CH(R)CH(R)‐[OCH(R)CH(R)]‐OR
式中、ZはHOまたはHN、RおよびRはそれぞれ‐H、‐CHおよび‐CHCHから独立して選択し、RはC〜C18のアルキルおよびC〜C15のアリールから独立して選択する。整数nは好ましくは少なくとも1、より好ましくは2より大きい数とし、反応停止剤の分子量が約100〜約2,000となるようにする。一実施形態において、単官能性反応停止剤はモノアミンポリエーテル(例えばJEFFAMINE(登録商標)M‐2070ポリエーテルアミン)である。他の実施形態において、単官能性反応停止剤はCARBOXWAX(登録商標)MPEG750メトキシ末端ポリ(エチレングリコール)のようなモノアルコールポリエーテルである)。
【0065】
用語「モノカルボン酸」は単一のカルボン酸基、すなわち構造--COOHの単一基を有する有機分子を指す。用語「モノアミン」は単一のアミン基を有する有機分子を指し、アミン基は第一級アミンであっても第二級アミンであってもよい。用語「モノアルコール」は単一のヒドロキシル(--OH)基を有する有機分子を指す。
【0066】
単官能性反応物の非限定的な一例は、構造R--COOHを有するモノカルボン酸である。ここで、Rはポリエーテル、アルキル、アルケニルまたはアルキニルである。別の例示的な単官能性反応物は、構造R‐NHのモノアミンである。本明細書で使用する「アルキル」は、単結合のみを含む一価ヒドロカルビルラジカルを指し、「アルケニル」および「アルキニル」は、それぞれ少なくとも一つのC=C二重結合と一つの炭素三重結合とを含む一価ヒドロカルビルラジカルである。反応混合物中のモノカルボン酸またはモノアミンの存在は、結果として得られるポリアミド鎖の更なる伸長を阻止し、それによりコポリマーの分子量が大きくなりすぎるのを防止する働きをする。
【0067】
本発明で使用するのに適したモノカルボン酸の非限定的な例としては、それだけに限らないが、短鎖脂肪族カルボン酸、飽和脂肪酸(例えばRがアルキル)および不飽和脂肪酸(例えばRがアルケニルまたはアルキニル)が挙げられる。具体的な短鎖脂肪族カルボン酸の例としては、それだけに限らないが、酢酸、プロピオン酸およびブタン酸が挙げられ、飽和脂肪酸の例としては、それだけに限らないが、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸およびモンタン酸が挙げられ、不飽和脂肪酸の例としては、それだけに限らないが、カプロレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、エラジン酸、ブラシジン酸、エルカ酸およびネルボン酸が挙げられる。本発明の様々な付加的態様において、モノカルボン酸は、本発明のコポリマーを形成するのに使用する反応混合物に対して最大約20質量パーセント、より好ましくは最大約10質量パーセント、さらに好ましくは最大約5質量パーセントとする。
【0068】
モノアルコールの非限定的な例は、末端アミン基を水酸基で置換した上述のモノアミン、および末端カルボン酸基を第一アルコール基に還元した上述のモノカルボン酸基である。
【0069】
単官能性反応物がポリアミド形成反応混合物中に存在する場合、単官能性反応物の量は生成ポリアミドの好ましい分子量を考慮して選択することができる。この分子量は、反応混合物の単官能性反応物の量が増加するにつれて減少する。様々な態様において、単官能性反応物の割合は、ポリアミド形成反応混合物中におけるポリアミド形成反応物の総質量の5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、40%未満、50%未満のいずれかである。
【0070】
[反応条件]
本開示はさらにPGPEAの製造方法を提供する。一般に、本開示の樹脂は下記のワンステップ手順で調製する。すなわち、反応物(一つ以上の二酸、ジアミン、ポリオール(ポリ(アルキレングリコール))、および随意的な単官能性反応停止剤(該当する場合は共二酸および共ジアミンを含む)を容器、例えばガラス容器に充填し、この反応混合物を円滑に攪拌しながら穏やかな乾燥した窒素流下で約200〜220℃まで加熱する。窒素流を増加させて水分除去を促進することができる。反応フラスコには熱電対プローブ、窒素導入口および磁気攪拌棒を装着することができる。フラスコには水分トラップを経て換気フードの裏側に抜ける蒸気放出口を設けることができる。フラスコはアルミホイルまたは絶縁ガラス繊維パッドで覆うことができる。反応物の一つ以上が室温で固体であり得るので、各成分を幾分昇温した温度で化合させ、次いで均質混合物を形成してから反応混合物を構成成分間の反応を引き起こすのに十分な温度まで加熱するとよい場合がある。反応進行は生成混合物の酸価および/またはアミン価を定期的に測定することによって、都合よくモニタリングすることができる。一般に、この加熱期間中に発生する水分は凝縮して除去する。サンプルを定期的に採取して反応の経過をモニタリングすることができる。合計約10〜24時間この高温下に置いた後、反応混合物を約140〜160℃まで冷却し注出することができる。その後、軟化点、酸価、アミン価および分子量を含めた種々の特性を分析/測定することができる。一般に、これらの反応条件によれば満足のいく数の酸価およびアミン価を有するコポリマーが得られ、酸価およびアミン価はそれぞれ典型的には20未満であるが、実施形態によっては15未満であり得る。他の実施態様では、アミン価が10未満となり得る。
【0071】
1つの代案として、反応物は上述のように反応開始時に一度にすべて充填する代わりに、反応容器に調量投入することもできる。また、反応容器を包被してホットオイルで加熱することもできる。この容器はモータ駆動式パドルブレード攪拌機を備えることができ、また好ましくは低圧に減圧して水分除去を促進することができるように構成することができる。コポリマーの形成中に溶媒が存在する可能性もあるが、溶媒はコポリマーの構造に組み込まれないので「反応混合物」という用語の範囲には含まれない。
【0072】
反応混合物は、エステルおよび/またはアミド形成を促進する触媒を含むことができる。したがって、リン酸のような鉱酸またはジブチルスズオキシドのようなスズ塩が反応中に存在させることができる。さらに、アミドおよびエステル形成時に反応混合物から生じる水を除去することが好ましい。これは反応混合物に対する減圧状態を維持することによって達成することができる。
【0073】
一般に、反応物の化学量論的量をそれらの樹脂調製中に制御することが望ましい。カルボン酸の当量は、ヒドロキシル官能性構成成分とアミン官能性構成成分の当量を組み合わせた当量とほぼ等しいことが好ましい。
【0074】
本開示のPGPEAポリマーは、構造化剤、増粘剤、レオロジー(流動学的)条件剤またはチキソトロピー剤としても知られるゲル化剤として使用することができる。すなわち、本開示のPGPEAポリマーを液体と組み合わせることによってゲルを形成する。例えば、一態様において、ポリアルキレングリコールベースのポリ(エステル‐アミド)コポリマーは、大豆メチルのような液体エステル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル、乳酸エチルのようなヒドロキシ置換エステル用のゲル化剤である。別の態様において、ポリアルキレングリコールベースのポリ(エステル‐アミド)コポリマーは、ジブチルアジペートのようなポリエステル用のゲル化剤である。ゲル化試験は当技術分野で既知であり、そのような任意の試験を使用してゲラントとしての本開示によるポリマーの分析を実施することができる。1つの単純なゲル化試験では、ポリマー10部および液体90部を約100℃まで加熱しながら撹拌してポリマーと液体の混合物が形成されるようにする。室温まで冷却したら、混合物の硬度や透明度のような特性を注意深く観察/評価する。
【0075】
本開示は、さらに、本開示のPGPEAポリマー、および化合物もしくは化合物の混合物を含む組成物を提供する。上記化合物もしくは化合物の混合物は生の状態が室温で液体である。本発明の組成物は高温では流体であり、より低い温度、例えば室温ではゲルの形態になるものとすることができる。このような化合物は、官能基、例えばエステル、アルコール、芳香環、エーテル、ハロゲン、炭酸塩および/またはスルホキシドを含むことができる。このような組成物は任意の一つ以上の付加的な構成成分であり、一般に組成物の機能を発揮または向上させる「有効成分」と称される構成成分を含むことができる。
【0076】
本開示はさらに、本開示の樹脂と液体の均質混合物である組成物を提供する。一般に、本開示による組成物は、高温、すなわちゲル温度を上回る温度では澄んだ溶液となり、ゲル温度を下回る温度、最も望ましくは周囲温度では澄んだゲルまたはほとんど澄んだゲルとなる。一般に、本開示のゲルは、液体中に溶解するPGPEAゲラントの濃度に応じて軟かい固体として安定する。液体は、ポリ(エステル‐アミド)の厳密な組成に応じて、含水性または無水性であり、高極性または低極性の液体とすることができる。ポリ(エステル‐アミド)自体は高、中、低のどの極性の液体とも相溶することができる。「液体」とは任意の物質の混合物を意味し、これには液体中に溶解した固体も含まれる。つまり、組成物が使用温度、一般には室温すなわち約20〜25℃で流体となるような任意の物質の混合物を指す。
【0077】
本開示の別の実施形態では、本開示のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ポリマーと相溶性液体をブレンドすることによって得られる組成物の製造方法を提供する。一般に、本開示の組成物は、PGPEAと液体を約90〜140℃の範囲の高温で組み合わせることによって調製する。この組み合わせはポリマーが溶融し液体媒体に完全に溶解するまで継続する。冷却時も、冷却した混合物(すなわち組成物)はほぼ均質なままである。好ましい一実施形態において、本発明の組成物はゲルである。一実施形態において、冷却した混合物は透明なままであるが、場合によっては半透明になる、濁りを生ずるまたは乳白色の外観を呈することもある。
【0078】
本開示のポリマーは中極性の液体と組み合わせることができ、場合によっては高極性の有機液体と組み合わせることができる。また他の場合では、本開示のポリマーに高極性の有機液体と水の混合ブレンドをブレンドすることができる。それらの厳密な組成、特にポリ(アルキレンオキシ)部分の性質に応じて、本開示による樹脂は、エステル類および芳香油からグリコール類およびグリコール類の水溶液に及ぶ極性範囲の液体と結合させることができる。本PGPEA樹脂は様々な用途での使用に適している。用途としては、ゲル化芳香オイル(香水、エッセンシャルオイル)、化粧品および個人向けケア用品を調合するための皮膚軟化剤オイル(すべての形式のエステル含有物質)、ウォーター・イン・オイルおよびオイル・イン・ウォーターのエマルションおよび分散液を生成するための界面活性剤(両親媒性化合物とも称される)、および塗料剥離剤を調合するための溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
本開示による組成物およびゲルでの使用に適した液体は、当技術分野で既知の任意の液体であってよい。有用な液体の極性範囲は、エステル類および芳香油からグリコール類およびグリコール類の水溶液に及ぶ可能性がある。適切な液体の非限定的な例としては、芳香オイル、香水、エッセンシャルオイル、化粧品および/または個人向けケア用品の調合に使用するような皮膚軟化剤オイル、ウォーター・イン・オイルおよびオイル・イン・ウォーターのエマルションおよび分散液を生成するための両親媒性化合物(界面活性剤)、ならびに塗料剥離剤を調合するための溶媒が挙げられる。
【0080】
適切なゲル形成液体の1つの非限定的なクラスは、それだけに限らないが、日焼け止め製品の調合に有用な2‐エチルヘキシル(または「オクチル」)サリチレート、ならびにアルキルベンゾエートおよびベンジルベンゾエートを含めたベンゾエートエステルを含むエステル類である。エステルは、一般に化粧品産業で多くの個人向けケア製品の調合に利用される。例えばHLB値が4〜18の両親媒性化合物がある。他の化粧品エステル類としてはグリセロールおよびプロピレングリコールエステル類が挙げられ、これにはいわゆるポリグリセロール脂肪酸エステル類およびトリグリセリド類が含まれる。
【0081】
本発明によるPGPEAと共に使用してゲルを形成するのに適した液体の別の非限定的なクラスはエーテル類である。エーテル類としては、エチレングリコールやプロピレンジ‐n‐アルキルエーテル類のようなグリコールエーテル溶媒、および非イオン性界面活性剤と称される両親媒性化合物ファミリーを構成する多くのエトキシレート化直鎖アルコール類およびフェノール類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
本開示の組成物およびゲルを形成する上で使用に適した液体のまた別の非限定的なクラスはアルコール類である。アルコール類としては、エーテルアルコール類、エステルアルコール類およびポリオール類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリオール類にはプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール等が含まれる。これらのアルコール類を水と組み合わせてゲル化することができる。
【0083】
本開示は、さらに、本開示のPGPEAポリマー、PGPEA組成物またはPGPEAゲルを含む製品および物品を提供する。本発明のポリマー、ゲルおよび組成物は、当技術分野で知られる任意の様々な製品および製造物品として調合することができる。かかる製品および製造物品としては、それだけに限らないが、表面ケア、空気ケアおよび個人向けケア用品を含めた使用領域を対象とする製品および製造物品があり、個人向けケア製品、医薬品、家庭用製品、塗料剥離剤、空気消臭剤、薬剤アプリケータ、光沢仕上げ剤等、一般にゲルまたは濃縮状態の製品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
非限定的な例としては、それだけに限らないが、化粧品、マスカラ、アイシャドー、アイライナ、メイクアップ、口紅、ファンデーション、メイクアップ落とし、バスオイル、皮膚保湿剤、クリームおよびローション状の日焼け止め剤、リップバーム、水なしハンドクリーナ、薬用軟膏、薬剤アプリケータ、水性ゲル、水性エマルション、水性クリーム、水性ローション、エスニックヘア製品、香水ゲル等の個人向けケア製品や、それだけに限らないが、自動車ワックス/光沢仕上げ剤、キャンドル、家具光沢剤、金属クリーナ/光沢仕上げ剤、家庭用クリーナ、塗料剥離剤、昆虫忌避剤、殺虫剤、エアクリーナ、光沢仕上げ剤等、一般にゲルまたは濃縮状態の家庭用製品が挙げられる。本開示のポリマー、組成物およびゲルは、例えば潤滑油、硬質表面クリーナ、インク、腐食抑制剤およびゲル様の特性の利益を享受し得る他の製品での使用にも適している。
【0085】
本開示の製品および物品は、さらに一つ以上の有効成分を含むことができる。1つの非限定的な実施形態において、この製品は一つ以上の有効成分を周囲環境に放出するまたはその他の方法で利用可能にすることができる。非限定的な有効成分の例としては、芳香剤材料、殺虫剤、虫忌避剤および生物活性成分が挙げられる。別の実施形態において、この有効成分はゲル内に留まっている間効きめを発揮する。かかる有効成分の非限定的な例としては、着色剤および日焼け止め剤が挙げられる。かかる製品の非限定的な例としては、空気消臭剤、芳香スティック、芳香ソフトゲル、虫忌避剤、殺虫剤、色送給組成物、日焼け止め剤その他の皮膚用組成物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
したがって、本発明は、本明細書に記載したPGPEAポリマーおよび化合物もしくは化合物の混合物を含む組成物を提供する。上記化合物もしくは混合物は生の状態が室温で液体である。上記組成物は高温では典型的に流体であり、室温では典型的にゲルである。一態様において、上記化合物は官能基を有する、すなわち上記化合物は単純な炭化水素ではない。いくつかの実施形態において、上記官能基はエステルまたはエーテルまたはハロゲンまたは炭酸塩またはスルホキシドである。ゲル化し得る混合物は、これらの化合物および官能基のうちの1つまたはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。次に、本発明のPGPEAコポリマーによってゲル化し得る特定の化合物および化合物のクラスについて説明するが、本明細書に記載するコポリマーは広範囲の有機液体および有機液体のブレンドをゲル化することができることを理解されたい。
【0087】
一実施形態において、本PGPEAポリマーによるゲル化に適した有機液体は本来的に極性を有する。本明細書で使用する用語「有機」は少なくとも一つの炭素原子を含む化学構成成分を指す。極性液体とは、正電荷および負電荷が誘起された優位な構造部分を示す液体であり(例えばメタノール)、無極性液体とは、正電荷および負電荷が誘起された領域が分子構造中に存在しない液体である(例えば四塩化炭素)。本発明のコポリマーによるゲル化に適した有機液体の例としては、それだけに限らないが、エタノールやプロピレングリコールのようなアルコール類、ジメチルスルホキシド(すなわちDMSO)、N‐メチルピロリジノン(すなわちNMP)、各種テルペン類、各種ケトン類のような剥離溶剤、EPON(商標)828(テキサス州ヒューストンのリゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ社製)のようなエポキシ類、およびアルキルアクリレート、ポリアクリレートおよびスチレン樹脂溶液を含めた重合性モノマーが挙げられる。
【0088】
エステル含有化合物は本発明のコポリマーによるゲル化に適した別のクラスの液体である。エステル含有化合物は構造式--C(=O)O--を含み、好ましくは構造式--C(=O)--O--Rを含む。ここで、RはC1〜22のヒドロカルビル基から選択する。かかるエステル類は、単官能性エステル類(すなわち単一のエステル部分を有する)であっても多官能性(すなわち2つ以上のエステル基を有する)であってもよい。適切なエステル類としては、それだけに限らないが、C1〜24のモノアルコール類とC1〜22のモノカルボン酸の反応生成物が挙げられる。この場合、炭素原子の配置は直線状、分岐状および/または環状とすることができ、随意の選択肢として炭素原子間に不飽和結合を持つこともできる。エステル類は少なくとも約18個の炭素原子を有することが好ましい。エステル類の例としては下記が挙げられるが、これらに限定されるものではない:脂肪酸エステル類、例えばメチルオレアート、メチルリノレート、メチルオレアートおよびメチルリノレートを含む混合物(大豆メチルや他の植物油メチルエステル類等)、イソプロピルイソステアレート、n‐プロピルミリステート、イソプロピルミリステート、n‐プロピルパルミテート、イソプロピルパルミテート等。他の適切なエステル類としては、FINSOLV(商標)EBやFINNSOL(商標)TNのようなアルキルベンゾエート、メチルサリチレート(別名、冬緑油)のようなアルキルサリチレート、ジオクチルフタレートのようなフタル酸塩、脂肪酸のグリセロールおよびプロピレングリコールエステル類、例えばいわゆるポリグリセロール脂肪酸エステル類(例えば化粧品調合の使用に適したエステル類。グリセリルモノステアレート等。)およびトリグリセリド類が挙げられる。
【0089】
ポリ(アルキレンオキシ)エーテルは、本発明のコポリマーによるゲル化に適した別のクラスの液体である。適切なポリ(アルキレンオキシ)エーテルとしては、それだけに限らないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、DOWANOL(商標)EPHエチレングリコールモノフェニルエーテルおよびDOWANOL(商標)DPMジプロピレングリコールモノメチルエーテル(米国ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社から入手可能)、TERGITOL(商標)NP‐4およびTRITON(商標)X‐100(いずれもユニオン・カーバイド社から入手可能)、SURFONIC(商標)40、SURFONIC(商標)DNP100およびSURFONIC(商標)N60(すべてテキサス州ヒューストンのハンツマン・ケミカルズ社から入手可能)、ポリオキシエチレンモノラウレート(ニュージャージー州フェアローンのロンザ社製のGLYCOSPERSE(商標)L20として販売されている)のような界面活性剤が挙げられる。特に適しているのは、化粧品の調製に有用であり且つHLB数が4より大きく20より小さい、好ましくは6〜16の界面活性剤である。このような界面活性剤は当技術分野で周知である。
【0090】
一実施形態では、有効成分は芳香剤材料とすることができる。適切な芳香剤材料としては高級香水および日用品芳香剤材料が挙げられる。ほぼすべての芳香剤材料は少なくとも中極性の有機液体であり、アルコール、エーテル、ケトン、エステルのような官能基を有するので、当業者に既知の多数の適切な芳香剤材料が本発明のコポリマーによってゲル化できる。本発明の芳香剤含有組成物は、芳香剤の形態および放出を制御する、すなわち固体ゲルの形式とした芳香剤に対して長期間持続する安定した芳香放出を付与することができる。芳香剤材料が高級芳香剤である場合、ゲル化した組成物はスティックの形式とすることが好ましい。このスティックは表面上に擦り付けて芳香剤放出材料の層を設けることができる。このような組成物を本明細書では芳香剤スティックと呼ぶ。代案として、ゲル化した組成物を「ソフトゲル」とすることもできる。「ソフトゲル」とはゼラチン様の粘稠度(コンシステンシー)を有する組成物を指す。ソフトゲルは一般に応力が加わるとそれ自体の構造を保持せず、したがって瓶等に収容することが好ましい。ソフトゲルは皮膚または他の表面に塗布することができる。塗布は、指をゲルに浸漬し、次いで指に残った残渣を皮膚の別の領域上に擦り付けることによって行う。用語「高級芳香剤」は一般に高級な(例えば高価な)香水で使用される芳香剤を指す。代案として、ゲル化した組成物は、芳香が放出されるときにそれ自体の形状を保持するまたは僅かに収縮する、魅力的なまたは実用的な形状の物体とすることができる。このような組成物を本明細書では空気消臭剤と呼ぶ。なぜなら、これらの組成物は部屋、クローゼット、自動車または他の密閉空間を芳香するまたは「消臭(freshening)」するのに有用であるからである。
【0091】
[0163]本発明の典型的な芳香スティック、空気消臭剤またはソフトゲルにおいて、高級芳香剤は組成物の約1〜70質量%の濃度範囲で存在し、好ましくは組成物の約2〜25質量%を構成する。コポリマーは典型的には組成物の約5〜50質量%の濃度範囲、好ましくは約10〜20質量%の濃度範囲で存在する。スティックの所望の粘稠度(コンシステンシー)および芳香剤とコポリマーの相溶性に応じて、上記成分をより大きい量またはより小さい量で存在させることができる。一般に、このゲル構造は、芳香剤スティック、空気消臭剤またはソフトゲル中のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーの濃度が増加するほど堅固になり、芳香剤スティック、空気消臭剤またはソフトゲルはすべて「スティック」タイプの粘稠度を採用することができる。つまり非常に堅固な独立ゲルであることを意味する。ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマーと芳香剤の組み合わせは、澄んだすなわち透明な構造をもたらすことができる。このような透明な構造はスティック、消臭剤およびゲルの審美的訴求力を高め、市場での応用分野を拡大する可能性がある。
【0092】
本発明の上記物品は、本明細書に記載するPGPEAポリマーを含む構成成分から調製する。本発明の典型的な空気消臭剤、芳香剤スティックまたは芳香剤ゲルは、約5〜60質量%の濃度範囲のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーと、約1〜70質量%の濃度範囲の芳香剤とを含有する。これらの質量パーセント値は物品の総質量に基づく。空気消臭剤中に存在するポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーおよび芳香剤の量はこれらの典型的な範囲を超えて変動する可能性があるが、それでもなお有用な製品を提供する。物品の製造時に使用すべきポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーおよび芳香剤の厳密な量は、特定のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーの性質に依存する。典型的には、例えば空気消臭剤では高い芳香剤含有量が望ましい。なぜなら、そのような空気消臭剤はより長い耐用寿命にする可能性があるからである。通常、魅力的な外観にすべき物品では、着色剤、典型的には染料を含むことが有利である。着色剤レベルは典型的に低く、質量ベースで0.05%〜2%の範囲とする。
【0093】
本発明のゲルおよび/または製品に組み込むことが可能な別の有効成分は虫除け化学物質である。用語「虫除け化学物質」は、虫にとって有毒もしくは不快であるまたは虫を誘引する材料を包含することを意図している。虫除け化学物質を含有するゲルはスティックのコンシステンシー(粘稠度)を有する、すなわち少なくとも堅固なゲルであることが好ましく、本明細書では便宜のため虫スティックと呼ぶこととする。本発明の虫スティックを使用して虫除け残渣を薄膜の形式で表面に付けることができる。かかる残渣は、例えば食器棚の虫を殺すおよび/または忌避するために食器棚の表面上に配置することができる。代案として、皮膚に薄膜を塗布することにより蚊のような虫を皮膚から忌避することができる。
【0094】
[0166]本発明の典型的な虫スティックでは、ポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーの含有量がスティックの約5〜60質量%、好ましくは約10〜50質量%の範囲となる。虫除け化学物質の含有量は典型的には0.1〜30質量%の範囲となる。虫スティックで使用すべき虫除け化学物質の量は、虫除け化学物質の効力だけでなく、そのポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーとの相溶性にも依存する。適切な虫除け化学物質としては、ホウ酸、合成ピレスロイド、D‐empenthrinおよびDEETが挙げられる。当技術分野で知られている他の虫除け化学物質を本発明のゲルに付加的にまたは代替的に組み込むこともできる。そのような化学製品の1つをフェロモンと呼ぶ。かかる材料は虫の挙動に影響を及ぼすことができ、したがって虫の個体数を制御するのに利用することができる。フェロモンは、例えば虫が損傷を受けないまたは虫を捕獲することができる領域に虫を誘引することができる。
【0095】
以下は、本発明のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーを含有する調合物に含ませることができる化学物質のリストであり、ここでは該化学物質の環境への放出が虫の挙動に影響を及ぼすものを列挙する:EまたはZ‐13‐オクタデセニルアセテート、EまたはZ‐11‐ヘキサデセナール、EまたはZ‐9‐ヘキサデセナール、ヘキサデカナール、EまたはZ‐11ヘキサデセニルアセテート、EまたはZ‐9‐ヘキサデセニルアセテート、EまたはZ‐11‐テトラデセナール、EまたはZ‐9‐テトラデセナール、テトラデカナール、EまたはZ‐11‐テトラデセニルアセテート、EまたはZ‐9‐テトラデセニルアセテート、EまたはZ‐7‐テトラデセニルアセテート、EまたはZ‐5‐テトラデセニルアセテート、EまたはZ‐4‐トリデセニルアセテート、EまたはZ‐9‐ドデセニルアセテート、EまたはZ‐8‐ドデセニルアセテート、EまたはZ‐5‐ドデセニルアセテート、ドデセニルアセテート、11‐ドデセニルアセテート、ドデシルアセテート、EまたはZ‐7‐デセニルアセテート、EまたはZ‐5‐デセニルアセテート、EまたはZ‐3‐デセニルアセテート、ZまたはE、ZまたはE3,13‐オクタデカジエニルアセテート、ZまたはE、ZまたはE2,13‐オクタデカジエニルアセテート、Z,ZまたはE‐7,11‐ヘキサデカジエニルアセテート、Z,E9,12‐テトラデカジエニルアセテート、E,E‐8,10‐ドデカジエニルアセテート、Z,E,6,8‐ヘンエイコサジエン‐11‐オン(-one)、E,E,7,9‐ヘンエイコサジエン‐11‐オン(-one)、Z‐6‐ヘニコセン‐11‐オン(-one)、7,8‐エポキシ‐2‐メチルオクタデカン、2‐メチル‐7‐オクタデセン、7,8‐エポキシオクタデカン、Z,Z,Z‐1,3,6,9‐ノナデカテトラエン、5,11‐ジメチルヘプタデカン、2,5‐ジメチルヘプタデカン、6‐エチル‐2,3‐ジヒドロ‐2‐メチル‐4H‐ピラン‐4‐オン(-one)、メチルジャスモネート、アルファ‐ピネン、ベータ‐ピネン、テルピノレン、リモネン、3‐カレン、p‐シメン、ヘプタン、エチルクロトナート、ミルセン、カンフェン、カンファー、シネオール、アルファ‐クベベン、アリルアニソール、ウンデカナール、ノナナール、ヘプタナール、E‐2‐ヘキサナール、E‐3‐ヘキサナール、ヘキサナール、ベルベネン、ベンベノン、ベルベノール、3‐メチル‐2‐シクロヘキセノン、3‐メチル‐3‐シクロヘキセノン、フロンタリン、エキソおよびエンドブレビコミン、リネアチン、ムルチストリアチン、カルコグラン、7‐メチル‐1,6‐ジオキサスピロ(4,5‐デカン、4,8‐ジメチル‐4(E)‐、8(E)‐デカジエノリド、11‐メチル‐3(Z)‐ウンデセノリド、Z‐3‐ドデセン‐11‐オリド、Z,Z‐3,6‐ドデセン‐11‐オリド、Z‐5‐テトラデセン‐13‐オリド、Z,Z‐5,8‐テトラデセン‐13‐オリド、Z‐14‐メチル‐8‐ヘキサデセナール、4,8‐ジメチルデカナール、ガンマ‐カプロラクトン、ヘキシルアセテート、E‐2‐ヘキセニルアセテート、ブチル‐2‐メチルブタノエート、プロピルヘキサノエート、ヘキシルプロパノエート、ブチルヘキサノエート、ヘキシルブタノエート、ブチルブチラート、E‐クロチルブチラート、Z‐9‐トリコセン、メチルオイゲノール、アルファ‐イオノン‐4‐(p‐ヒドロキシフェニル)‐2‐ブタノンアセテート、E‐ベータ‐ファルナセン、ネペタラクトン、3‐メチル‐6‐イソプロペニル‐9‐デセニルアセテート、Z‐3‐メチル‐6‐イソプロペニル‐3,9‐デカジエニルアセテート、EまたはZ‐3,7‐ジメチル‐2,7‐オクタデカジエニルプロピオネート、2,6‐ジメチル‐1,5‐ヘプタジエン‐3‐オールアセテート、Z‐2,2‐ジメチル‐3‐イソプロペニルシクロブタンメタノールアセテート、E‐6‐イソプロピル‐3,9‐ジメチル‐5,8‐デカジエニルアセテート、Z‐5‐(1‐デセニル)ジヒドロ‐2(3H)‐フラノン、2‐フェネチルプロピオネート、3‐メチレン‐7‐メチル‐7‐オクテニルプロピオネート、3,11‐ジメチル‐2‐ノナコサノン、8‐メチレン‐5‐(1‐メチルエチル)スピロ(11‐オキサビシクロ)8.1.0‐ウンデセン‐2,2‐オキシラン‐3‐オン、2‐プロピルチエタン、3‐プロピル‐1,2‐ジチオラン、3,3‐ジメチル‐1,2‐ジチオラン、2,2‐ジメチルチエタン、EまたはZ‐2,4,5‐トリメチルチアゾリン、2‐sec‐ブチル‐2‐チアゾリン、およびイソペンテニルメチルスルフィド。具体的なフェロモンとしては以下が挙げられる:8‐メチル‐2‐デシル‐プロピオネート、14‐メチル‐1‐オクタデセン、9‐トリコセン(tricosense)、トリデセニルアセテート、ドデシルアセテート、ドデセニルアセテート、テトラデセニルアセテート、テトラデカジエニルアセテート、ヘキサデセニルアセテート、ヘキサデカジエニルアセテート、ヘキサデカトリエニルアセテート、オクタデセニルアセテート、ドデカジエニルアセテート、オクタデカジエニルアセテート、Z,E‐9,12‐テトラデカジエン‐1‐オール、ヘキサデセナール、オクタデセナール、アセトフェノン、アミルアセテート、イソアミルアセテート、バニリン、またはコーヒー香味、ウイキョウ香味およびシナモン香味から選択される香味料(flavorant)。
【0096】
[0168]本発明の製造物品に含まれ得る他の有効成分は、主としてゲル内に残留している間に機能する。かかる有効成分の例としては着色剤および日焼け止め剤が挙げられる。有効成分が着色剤である場合は、本製品を使用して所望の着色を表面に施すおよび/または下地の望ましくない着色を隠すことができる。有効薬剤は日焼け止め剤であることもある。適切な日焼け止め剤としては、それだけに限らないが、PABA、エチルヘキシルp‐メトキシシンナメート、オキシベンゾン、2‐エチルヘキシルサリチレート、オクチルサリチレート、および酸化亜鉛や酸化チタンのような金属酸化物が挙げられる。酸化亜鉛および酸化チタンは光を散乱させ、その結果下層の皮膚に当たる光が少なくなる。
【0097】
本発明の製造物品に含まれ得る別の有効成分は生物活性化合物である。本発明で使用する生物活性化合物は生物系に作用して所望の結果をもたらす。好ましい一実施形態では、生物活性化合物を人の皮膚に塗布することにより、その人にとって望ましい影響を与えることができる。したがって、本発明のゲルは、生物活性化合物を生物系に送給するためのキャリア、および/または生物活性化合物をキャリア送給部位で保持する手段、および/または系に対する生物活性化合物の制御放出を可能にする生物活性化合物の貯蔵所、として作用することができる。このタイプの有効成分を組成物に組み込むべき量は所望の効果に依存するが、かかる量は当業者なら過度の実験をすることなく容易に決定することができる。少なくともこの量は実効的な量である必要がある。典型的には有効成分の0.1〜25質量%、より典型的には0.5〜10質量%で十分である(質量%値は組成物の全質量に基づく)。
【0098】
生物活性化合物は、受容者の皮膚に塗布したときにある結果を受容者にもたらす化粧剤/皮膚用剤とすることもできる。望ましい結果の例としては、それだけに限らないが、抗真菌活性、痔疾治療、痒み止め治療、いぼ除去または縮小、抗生物質活性、抗しわ、および鎮痛効果が挙げられる。適切な化粧剤/皮膚用剤としては、それだけに限らないが、アセチルサルチル酸、アシクロビル、6‐[3‐(1‐アダマンチル)‐4‐メトキシフェニル]‐2‐ナフトエ酸、アンホテリシンB、アスコルビン酸、過酸化ベンゾイル、吉草酸ベタメタゾン、クロロキシレノール、クエン酸、クリンダマイシンホスフェート、クロベタゾールプロピオネート、クロトリマゾール、シプロヘプタジン、ジクロフェナク、塩酸ジフェニルヒドラミン、エコナゾール、エリスロマイシン、エストラジオール、グリコール酸、グリチルレチン酸、ヒドロコルチゾン、ヒドロキノン、イブプロフェン、ケトコナゾール、コジック酸、乳酸、塩酸リドカイン、メトロニダゾール、ミコナゾール、硝酸ミコナゾール、オクトピロックス(octopirox)(登録商標)、5‐オクタノイルサリチル酸、パラセタモール、塩酸プラモキシン、プロゲステロン、レチノイン酸、レチノール、サリチル酸、スーパーオキシドジスムターゼ、テルビナフィン、テナルジン、トコフェロール、トルナフテート、トリメプラジン、1,8,10‐トリプロピオニル‐9‐アントロン、ウンデシレネート、およびビタミンDが挙げられる。
【0099】
生物活性剤は局所鎮痛剤として機能することもできる。局所鎮痛剤の例としては、それだけに限らないが、カンフル、カプサイシン、メントール、メチルサリチレートおよびトロラミンサリチレートが挙げられる。生物活性剤は抗真菌剤として機能することもできる。その場合、抗真菌剤の例としては、それだけに限らないが、クロトリマゾール、硝酸ミコナゾール、トルナフテートおよびウンデシレネートが挙げられる。典型的な痒み止め剤の例としては、それだけに限らないが、塩酸プラモキシンおよび塩酸ジフェニルヒドラミンが挙げられる。本発明のゲルに含める例示的な抗疣(いぼ)化合物はサリチル酸である。本発明のゲルに含める例示的な痔疾治療化合物はヒドロコルチゾンである。本発明のゲルに含める例示的な抗生物質化合物はクロロキシレノールである。
【0100】
生物活性剤は、哺乳類細胞の損傷を防止および軽減し、また損傷した哺乳類細胞の蘇生率を高める創傷治癒促進剤として機能することができる。典型的な創傷治癒促進剤は、(a)ピルビン酸およびその製薬学的に容認し得る塩類と、(b)細胞膜の修復および哺乳類細胞の蘇生に必要な飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の混合物との組み合わせである。生物活性剤は抗酸化剤とすることもできる。抗酸化剤は、酸素または過酸化物によって亢進される酸化反応または抑制反応を抑止する。酸化防止剤の例としては、それだけに限らないが、ビタミンA、ビタミンEおよびそれらの誘導体が挙げられる。生物活性剤は抗座瘡(にきび)剤として機能することもできる。抗座瘡剤の例としては、それだけに限らないが、過酸化ベンゾイルおよびビタミンA酸が挙げられる。
【0101】
生物活性成分を本発明のゲルに組み込むべき量は生物活性成分の実効性および所望の効果に依存する。この量は当業者なら過度の実験をすることなく決定することができる。少なくともこの量は実効性のある量とする必要がある。典型的には生物活性成分の0.1質量%〜25質量%、より典型的には0.2質量%〜10質量%で十分である。
【0102】
本発明のPGPEAコポリマーを含有する製造物品は個人向けケア製品とすることもできる。個人向けケア製品の例としては、それだけに限らないが、アイメイクアップ(マスカラ、シャドー)、マニキュア液、スクラブ洗顔料、口紅、ファンデーションメイクアップ、コスチュームメイクアップ、ベビーオイル、メイクアップ落とし、バスオイル、皮膚保湿剤、サンケア製品、リップバーム、水なしハンドクリーナ、薬用軟膏、エスニックヘアケア製品、香水、コロンおよび坐薬が挙げられる。
【0103】
本明細書ではポリマークラスI(ダイマー二酸)およびポリマークラスII(ダイマー‐CHDA二酸の組合せ)として個別に指定される本発明のコポリマーを使用して水性ゲル、エマルション、クリームおよび/またはローションを製造することができる。これらの調合剤は、一般に水および水溶性の極性有機液体(POL)をブレンドした本発明の少なくとも一つのコポリマーを含む。適切なPOLの例としては、エチレン、プロピレンおよびブチレングリコール類、低級アルコール類、ならびにDOWANOL DPMやPROGLYDE DMMのようなポリグリコールアルキルエーテル類が挙げられる。本発明のコポリマーを適切な配合率、例えば10%で使用して実効性のあるゲルを形成することができる。結果はPOL/水の比率およびブレンド中の水の割合に応じて変化する。このような組成物の調製およびこのような組成物の使用の詳細は、非特許文献2(文書番号IPCOM000168883D(www.ip.com))で確認することができる。この内容全体を参照により本明細書に援用する。この文書によれば、本発明のコポリマーをこの文書に開示されているゲラントの代わりにまたはこれらゲラントと組み合わせて使用することができる。
【0104】
また、本発明のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーを含有するゲルは、自動車ワックス/光沢仕上げ剤、キャンドル、家具光沢仕上げ剤、金属クリーナ/光沢仕上げ剤、家庭用クリーナ、塗料剥離剤、殺虫剤キャリアのような家庭用製品で使用することができる。
【0105】
本発明のポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーを含有するゲルは、燃料(スターノ(sterno)、ライター、点火用具)、便器リング、潤滑剤/グリース、ワイヤロープ潤滑剤、ジョイントおよびケーブル充填剤、はんだ付け用フラックス、バフ研磨用コンパウンド、クレヨンおよびマーカー、モデリング用粘土、さび止め剤、印刷用インク、塗料、保護/剥離可能コーティング、ジェットインク等の工業製品にも使用することができる。
【0106】
そのような材料を調製するための調合は当技術分野で周知である。例えば、特許文献17および特許文献18(米国特許第3,615,289号および同第3,645,705号)にはキャンドルの調合が記載され、特許文献19および特許文献20(米国特許第3,148,125号および同第5,538,718号)には口紅および他の化粧用スティックの調合が記載されている。特許文献21,22,23,24,25(米国特許第4,275,054号、同第4,937,069号、同第5,069,897号、同第5,102,656号および同第5,500,209号)にはそれぞれ脱臭剤および/または制汗剤の調合が記載されている。
【0107】
有効成分を含有する本発明のゲルは付加的に随意的成分も含有することができる。随意的成分は一つ以上の目的、例えば、均質なゲル形成を容易にする、製品の送給特性を強化する、製品の審美的訴求力を高める、有効成分を放出する製品の能力を向上させることができる。
【0108】
1つの適切な随意的有効成分は着色剤である。皮膚または他の表面に塗布するゲルに着色剤を添加することにより、ゲルの残渣が表面上で見えるようになる標識を提供する。好ましい芳香スティックまたはゲルは、着色剤無添加の澄んだ透明ゲルであるが、本発明の芳香スティックまたはソフトゲルは不透明または半透明であってもよい。いずれにせよ、着色剤を添加すると芳香スティックまたはゲルの視覚的外観に加えて、そのスティックまたはゲルを表面全体に擦り付けたときに現れる残滓の視覚的外観も改善することができる。着色剤は染料または顔料であってよく、皮膚にゲルを塗布したときに皮膚を刺激しないことが好ましい。そのような着色剤は当技術分野で周知であり、例えば口紅やアイシャドー等の化粧品で使用されている。
【0109】
着色剤を添加するときもその必要な量は典型的にはほんの少量、例えば5質量%未満であり、多くの場合、ゲルに所望の着色を施すには1質量%で十分であり、0.1質量%でも十分である。より強い着色を望む場合はゲル中の着色剤の量を増加させることができる。着色を望むときは、所望の着色をもたらすのに実効性のある量の着色剤が必要となる。
【0110】
他の随意的構成成分は、有効成分を利用したゲルの処理を改善するのに役立つ可能性がある。例えば、随意的構成成分はポリエーテルポリ(エステル‐アミド)コポリマーゲラントと有効成分の均質混合物の形成を容易にする可能性がある。また、随意的構成成分は典型的にはゲルのコンシステンシー(粘稠度)に影響を与える。この随意的構成成分を使用してスティックまたはゲルの送給特性を改善することができる。例えば、場合によっては揮発性炭化水素またはアルコールを組み込むことにより、ゲルと有効成分の組み合わせの均質性を向上させることができるとともに、ゲル薄層の皮膚への送給を促進することができる。後者は、通常存在し得る付随的な湿潤残渣が存在しないことによる。
【0111】
本発明のコポリマーを使用してワックスおよび光沢仕上げ剤として有用なゲル化した組成物を製造することができる。本発明は、本発明のコポリマーを使用して基材に光沢のある外観を与える方法を提供する。このような組成物の調製およびこのような組成物の使用の詳細は、非特許文献3(文書番号PCOM000009045D(www.ip.com))に記載されている。この内容全体を参照により本明細書に援用する。該文書によれば、本発明のコポリマーを該文書に開示されているゲラントの代わりに、またはこれらのゲラントと組み合わせて使用することができる。基本的にはゲラント構成成分を利用することにより、塗布する基材に顕著な耐傷性および耐水性を与え、該基材への汚れの付着を最小限に抑えるワックスおよび光沢仕上げ剤は、本発明のコポリマーを使用して調製することが可能となる。これら組成物は今日の自動車仕上げ市場で一般的なポリウレタントップコートに対する粘着力を示す。驚くべきことに、これらの特性を示す組成物は非常に簡単に生成することができる。つまり、ゲル様、クリーム様またはペースト様のコンシステンシー(粘稠度)を有する外見上均質な組成物を構築する上で必要となるものは、熱と単純な攪拌モータ以外、ほんの2つか3つの構成成分を含む調合だけである。したがって、これらの組成物は製造が容易であり、家具、自動車その他の基材向けの優れたワックスおよび光沢仕上げ剤を生成する。このようなワックスおよび光沢仕上げ剤組成物は、ゲラントと、該ゲラントによってゲル化した溶媒と、随意的成分とを含有する。これらの組成物は好ましくは外見上均質であり、クリーム様、ゲル様またはペースト様のコンシステンシー(粘稠度)を有し、基材表面に容易に塗布することができる。ペースト形式の組成物は脂肪族溶媒を含むことができ、エマルション形式の組成物は液体/クリーム塗布向けに製造することができる。これらのゲラントは非晶質構造(透明)を有することが好ましい。その目的は優れた成膜、さらには高光沢展開のための(平滑な)表面生成である。中長期間持続する膜の無欠性を得るためにUV安定系および非UV安定系を使用することができる。本発明コポリマーは極端な周囲温度および湿度でも良好な加水分解安定性を組成物に付与する。本発明によるワックスは優れた水玉形成(water beading)/撥水性を示すことができる。
【0112】
本発明のコポリマーを使用して着火液(fire lighting fluid)として有用なゲル化組成物を製造することができ、本発明は、このようなゲル化組成物、およびこのような組成物を着火液として使用する方法を提供する。かかる組成物の製造およびかかる組成物の使用に関する詳細は、非特許文献4(文書番号IPCOM000010393D(www.ip.com))に記載されている。この内容全体を参照により本明細書に援用する。該文書によれば、本発明のコポリマーを該文書に開示されているゲラントの代わりにまたはこれらゲラントと組み合わせて使用することができる。着火液は火を起こす非常に効率的な手段であり得る。しかしながら、これらの着火液の粘度が低いと実用的で安全な使用が妨げられる恐れがある。これらの着火液をゲル化させるのが、こうした欠点を解消するための適切な手法である。現在、このような系はエタノールベースの系に関して既に存在し、これらは大きな成果を挙げている。しかしながら、製造現場と消費者レベルでの利用の両面でエタノールの低い引火点がなお懸念事項となっている。本発明は、鉱油および引火点がずっと高い(したがってより安全な)他の燃料に基づくゲル化着火系を、本発明のコポリマーゲル化剤を使用して生成することを可能にする。
【0113】
本発明のコポリマーを使用してゲル化した繊維強化プラスチックおよびゲルコートを製造することができる。かかる組成物の製造およびかかる組成物の使用に関する詳細は、非特許文献5(文書番号IPCOM000007401D(www.ip.com))に記載されている。この内容全体を参照により本明細書に援用する。該文書によれば、本発明のコポリマーを該文書に開示されているゲラントの代わりにまたはこれらのゲル化剤と組み合わせて使用することができる。これにより、繊維強化プラスチックおよびゲルコートの生成に適した、マトリックス液および本発明のコポリマーを含むゲル化マトリックス液組成物を提供する。上記マトリックス液は、一つ以上の重合可能なモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、硬化触媒および随意的成分(例えば溶媒、不活性充填剤、有機ポリアミドゲラント等)の混合物である。本発明のコポリマーは、軽度な加熱および/または高剪断混合によってマトリックス液組成物中に組み込むことが容易であり、均質且つ剪断薄肉化可能なゲルを形成することができる。このゲルはチキソトロピー特性を有し、この特性により冷却時にマトリックス液が繊維マトリックスから分離することまたはゲルコートがたるむことを防止する。
【0114】
本発明のコポリマーを使用して被覆表面からコーティングを除去するのに有用なゲル化した組成物を製造することができる。このような組成物の製造およびこのような組成物の使用に関する詳細は、非特許文献6(文書番号IPCOM000005738D(www.ip.com))に記載されている。この内容全体を参照により本明細書に援用する。該文書によれば、本発明のコポリマーを該文書に開示されているゲラントの代わりにまたはこれらのゲラントと組み合わせて使用することができる。簡単に言うと、有機コーティングはそれぞれの被覆基材をゲル化有機溶媒で処理することによって各基材から除去することができる。この場合、ゲラントは本発明のコポリマーであるか、本発明のコポリマーを含むものである。例えば、金属や木材等からの塗料の剥離は、テレビン油または他の有機溶媒と本発明のコポリマーとを組み合わせて形成したゲル化した組成物に塗料を接触させる処理によって行うことができる。コーティングをゲル中に溶解させ且つ/またはゲルからの溶媒をコーティングと下層の基材との間に拡散させることができ、これによりコーティングを溶解および/または軟化(loosening)させ、その結果ゲルを除去する処理によりコーティングの一部または全部をさらに除去することができる。コーティングを完全に除去するにはゲル化した有機溶媒を複数回塗布する必要がある。被覆表面が垂直に配置されているときはゲルが特に有利である。なぜなら、ゲルが被覆表面から流れ落ちにくくなり、したがって表面との接触が所望の期間保持されるからである。
【0115】
本発明の製造物品は下記の処理によって調製することができる。すなわち、本明細書に記載するPGPEAポリマーと適切な液体とを組み合わせ、これらの物質を均質な混合物が得られるまで攪拌しながら加熱する。冷却すると、この混合物はゲル様またはスティック様のコンシステンシー(粘稠度)を示す。この混合物には一つ以上の有効成分を添加することもできる。
【0116】
[0187]以下に実施例を挙げて本開示の非限定的な実施形態について説明する。下記の実施例において、化学物質は特に明記しない限り試薬グレードであり、各種の商用供給業者から入手した。
【実施例】
【0117】
[実施例1]PGPEAポリマーの設計
本PGPEAは、反応構成成分に従っていくつかのクラスおよびタイプ(サブクラス)に分類することができ、通常は末端基の形式に基づいて互いに区別される。表1は、本PGPEAを製造し得る構成成分の非限定的な例の一覧である。
【0118】
本明細書では、本PGPEAを下記の非限定的なクラスおよびタイプ(サブクラス)に分類した。すなわち、1)ダイマー酸に基づくクラスI‐PGPEA、および2)CHDAに基づくクラスII‐PGPEAポリマー。
【0119】
クラスI‐PGPEAに関して、これらは通常EDAを構成成分として必要とする。EDAはターゲット軟化点を達成するために必要となる場合がある。様々なタイプのクラスI‐PGPEAの非限定的な例としては以下が挙げられる。
クラスI、タイプA:ダイマー、EDA+PGDO(固有の反応停止剤なし)
クラスI、タイプB:ダイマー、EDA+PGDO(PAOMAで終端)
クラスI、タイプC:ダイマー、EDA+PGDO(PGMOで終端)
【0120】
無論、付加的な構成成分を追加することによって付加的なPGPEAクラスおよびタイプが作成できることは当業者にとって自明であるだろう。一例として、例えば(ダイマー+EDA+PGDO)を含有する特定のポリマーが有用なゲラントであり、且つ例えば(ダイマー+EDA+PAODA)から生成したポリマーが良好なゲラントであるならば、これらの構成成分の混合物、すなわち(ダイマー+EDA+PGDO+PAODA)からも有用なゲラントを生成することができることは当業者にとって自明であるだろう。
【0121】
本明細書の分類によれば、クラスII‐PGPEAポリマーはCHDAに基づくポリマーである。一般に、クラスII‐PGPEAはEDAを含有しない。というのも、大部分のより下位のジアミンはCHDAと共に塩を形成するが、これにより反応混合物が扱いづらくなるためである。このような反応は、このようなジアミンの使用レベルが非常に低い(<0.5%)場合にしか発生しないが、その場合には結果として得られるポリマーが極端に高い軟化点を有することになる。
【0122】
一般に、所望の軟化点範囲を得るために、クラスII‐PGPEAは例えばJEFFAMINE D‐400のようなPAODAをベースとする。かかるポリマーは構造中にダイマー酸を必要としないが、ダイマー酸の存在は軟化点を低下させ、樹脂の疎水性を高め、したがってゲル化性能に影響を及ぼす。それ故、ダイマー酸は随意的であるが有用な構成成分である。クラスII‐PGPEAタイプの非限定的な例は以下のとおりである。
クラスII、タイプA:CHDA(+ダイマー)、PAODA+PGDO(固有の反応停止剤なし)
クラスII、タイプB:CHDA(+ダイマー)、PAODA+PGDO(PAOMAで終端)
クラスII、タイプC:CHDA(+ダイマー)、PAODA+PGDO(PGMO終端)
【0123】
本発明者のこれまでの研究から、ポリマーのPAO含有量を増加させるとゲル化性能に概ね肯定的な影響が及ぶことが判明した。したがって、本実施例では少なくとも25質量%、場合によっては最大50質量%のPAOを含有する構成成分(例えばPGDOおよびPGMO)を有するPGPEAをターゲットとして分析を行った。
【0124】
以下、上記で列挙した非限定的なクラスIおよびクラスII‐PGPEAの非限定的な各実施例に関する構造を示す。本明細書で使用する用語「PGPEA」は、本発明のすべてのクラスおよびタイプのコポリマーを指す。
【0125】
クラスI、タイプA:ダイマー、EDA+PGDO(固有の反応停止剤なし)
(ポリアルキレングリコールベースのポリエステルアミド(PGPEA))
【0126】
【化7】

【0127】
式中、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1
である。
【0128】
クラスI、タイプB:ダイマー、EDA+PGDO(PAOMAで終端)
(PAOMA終端PGPEA(PAOMATPGPEA))
【0129】
【化8】



【0130】
式中、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
x=エチレンオキシド(EO)基、
=Hのとき、y=エチレンオキシド(EO)基、
または
=CHのとき、y=プロピレンオキシド(PO)基、
(EO)の場合R=H、または(PO)の場合R=CH
である。
【0131】
クラスI、タイプC:ダイマー、EDA+PGDO(PGMOで終端)
(PGMO末端PGPEA(PGMOTPGPEA))
【0132】
【化9】

【0133】
式中、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
x=15
である。
【0134】
クラスII、タイプA:CHDA(+ダイマー)、PAODA+PGDO(固有の反応停止剤なし)
(ポリアルキレングリコールベースのポリエステルアミド(PGPEA)とCHDA)
【0135】
【化10】

【0136】
[式中、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、および
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1
である。
【0137】
クラスII、タイプB:CHDA(+ダイマー)、PAODA+PGDO(PAOMAで終端)
(PAOMA末端PGPEA(PAOMATPGPEA)とCHDA)
【0138】
【化11】

【0139】
式中、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
(EO)の場合R=H、または(PO)の場合R=CH
x=エチレンオキシド(EO)基、
=Hのとき、y=エチレンオキシド(EO)基、
またはR=CHのとき、y=プロピレンオキシド(PO)基
である。
【0140】
クラスII、タイプC:CHDA(+ダイマー)、PAODA+PGDO(PGMOで終端)
(PGMO末端PGPEA(PGMOTPGPEA)とCHDA)
【0141】
【化12】

【0142】
式中、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
またはZ=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
x=15
である。
【0143】
【表1】

【0144】
[実施例2]PGPEAゲラントの調製
エステル化はアミド化よりも遅いため、典型的なPGPEA合成は215℃の窒素掃過気流(sweep)下で約16〜20時間かかる。
【0145】
表2および表3はいくつかの例示的なPGPEAの構成成分および特性の一覧である。ポリエチレングリコール(PEG)に由来する連鎖伸長剤部分ブロックとして有するクラスI‐PGPEAは、概して親水性である。かかるPGPEAの5例を生成し、それらの組成および特性を表2に示した。ポリプロピレングリコール(PPG)をPGDOとして利用した場合、結果として得られるポリマーは概して疎水性である。疎水性のクラスIおよびクラスII‐PGPEAの4例を生成し、それらの組成および特性を表3に示した。これらのPGPEAはそれぞれ可撓性の澄んだ固体であり、満足のいく軟化点および比較的高い分子量を有する。
【0146】
表2および表3に列挙したPGPEAはそれらの個々の構成成分以外は同様の設備で調製した。例えば、PGPEA#464‐27を調製するため、攪拌器、熱電対プローブ、窒素導入口および凝縮器を備えたフラスコに下記を充填した。すなわち、重合脂肪酸(ユニケマ(Uniqeme Corporation)社製のPRIPOL(登録商標)1006、51.6質量%、100当量%酸基)、分子量600のポリエチレングリコール(ダウ社製、15.0質量%、全アミンおよびアルコール基の28.0当量%)、エチレンジアミン(3.4質量%、全アミンおよびアルコール基の62.3当量%)、末端モノアミン(ハンツマン(Huntsman)社製JEFFAMINE(登録商標)M2070、30.0質量%、全アミンおよびアルコール基の8.2当量%)および少量の次亜リン酸(25%水溶液として約0.1%)。混合物を攪拌しながら反応水を除去しつつ210〜215℃までゆっくりと加熱し、この温度を16時間保持した。次いで混合物を約150℃まで冷却し注出した。表2に示したとおり、製品#464‐27は、軟化点が96.8℃、質量平均分子量が26,960の可撓性で澄んだ無色透明に近い固体である。
【0147】
【表2】

【0148】
【表3】

【0149】
クラスII‐PGPEAの例も作成した。親水性を2例(表4参照)、疎水性を1例(表3参照)作成した。表4は、クラスIIの親水性PGPEAの非限定的な例の組成および特性を示す。各例はそれぞれ可撓性で澄んだ固体である。これらのうちの1つ(#230‐93)の軟化点は100℃を下回った。当業者には既知のとおり、任意な所与の組成物の軟化点は、ダイマー酸含有量を増加させること(およびCHDA含有量を低下させること)によって低下させることができる。
【0150】
[実施例3]ゲル化性の試験および評価
表2、表3および表4のPGPEAポリマーのゲル化能力を10%の固体で下記の手順を使用して試験した。1.00gの樹脂および9.00gの溶媒をガラスバイアルに充填し、小さい磁気撹拌具を加え、キャップを緩くねじ留めした。バイアルを軽度の熱さにセット(液体混合物が約100℃を超えることがないように調整)したホットプレート上に置き、約30分間加熱しながら攪拌を続けた(樹脂が溶融し、澄んでいない樹脂の場合、混合物が均質になるまで続けた)。次いで、バイアルをプレートから取り出し、熱いうちに渦流式攪拌器上で短時間攪拌して溶媒との良好な樹脂接触が確実に得られるようにし、そして、攪拌せずに(気泡の混入を回避するため)室温まで冷却した。この処理の後に樹脂が完全には溶解しない場合は、加熱サイクルをさらに約10〜15分間繰り返した。
【0151】
【表4】

【0152】
候補ポリマーをゲラントとして評価する際は、一般に下記の2つの問いに的をしぼる。
1)どの程度の幅の液体範囲にわたり良質なゲルが形成されるか?
2)良質なゲルを形成するためにどの程度の下限の使用レベルが必要か?
【0153】
ゲルの品質はそれ自体の堅さと透明度で判定し、この判定は簡単な検査で定性的に実施する。これら指標はどちらも重要である。ゲル−液体の透明度は、樹脂−液体の相溶性が増加するにつれて増加するが、ポリマーが適切な水素結合網を形成することができない場合はゲル化が生じず、ブレンドは(冷却しても)単純なポリマー溶液のままである。多数のE/ATPAで作成したゲルは希釈時に濁りが増加する(不相溶性が増加する)。
【0154】
冷却した樹脂溶液の判定は、それら溶液を振るまたは木製攪拌棒でプロービング(探査)することによって実施し、下記の呼称で格付けした。
「ゲル」:逆さにして強く振っても流動または沈降しない溶液。
「ゼリー」:振ったときに沈降するまたはひび割れができる溶液。
「ペースト」:攪拌すると非常に曇り、不均質となり、容易に沈降または流動する混合物。
「不相溶」:ゲルが存在せず、樹脂は大きい凝集体または別個の相とみなすことができるもの。
「溶液」:溶液が流体(低粘度)である。
【0155】
冷却した樹脂溶液の透明度を目視で判定し、下記の呼称で格付けした。
空欄:真溶液と同等の透明度を有する溶液。
「やや濁っている」:真溶液と同等の透明度ではなく若干霧がかかった状態が見られる溶液。
「濁っている」:霧がかっているが溶液越しに印字が読み取れる溶液。
「曇っている」:溶液越しでは何も見えない溶液。
表5は、10%のPGPEAのゲル化能力結果を示している。
【0156】
【表5】

【0157】
好ましい試験液は市場動向の変化によって変わるが、一般に「親水性」ゲラント候補については、水、グリコール、水とグリコールのブレンド、プロピレンカーボネートおよびグリコールエーテル類が挙げられ、中極性の液体ゲラント候補については、オクチルサリチレート、ジブチルアジペート、ポリプロピレングリコール425、エチルラクテート、2‐エチルヘキシルアセテートおよびメチルイソブチルケトンが挙げられる。候補樹脂の別の品質基準は、その樹脂によって形成されるゲルの安定性(経時的安定性や温度安定性等)である。例えば、断然好ましいゲルは、保管中、加熱中または冷却中に離漿(シネレシス)、濁りまたはひび割れを示さないゲルである。若干の用途では高温試験を通過したゲルが必要となる。この研究では安定性試験を実施しなかった。ポリ(エチレングリコール)をベースとするPGPEAポリマーは、プロピレングリコール、水およびグリコールと水の混合物を含めた比較的極性を示す液体のレオロジーに影響を与える能力をある程度示した。これらのポリマーを様々な極性を示す液体に10質量%配合した場合(10%のポリマー、90%の試験液)の試験結果を表5に示す。
【0158】
表6では、上位4つのベストパフォーマーを現時点で最も優良な商用親水性ゲラントのPAOPAであるSYLVACLEAR WF1500Vと比較した。この比較ではポリマー#464‐27がWF1500を上回る非常に良い性能を示している。
【0159】
【表6】

【0160】
ポリ(プロピレングリコール)をベースとするPGPEAポリマーは、エステル類、ケトン類およびエーテル類を含めた低極性〜中極性を示す液体のレオロジーに影響を与える若干の能力を示した。この試験結果を表7に列挙する。表7中の興味深い1つの樹脂はベストパフォーマーとして突出したポリマー#464‐37であり、SYLVACLEAR PE1800Vの性能と拮抗している。
【0161】
同様に、クラスII(CHDAベース)‐ポリマーの性能も2つの発展途上における先導的な優れた親水性ゲラントであるSYLVACLEAR PE400およびSYLVACLEAR WF1500Vと比較した。この結果を表8に示す。表8中の興味深い1つの樹脂は#464‐49である。なぜならば、この樹脂は水とグリセロールの1:1混合物をゲル化するだけでなく、水自体に緩いゼリーも形成するからである。
【0162】
【表7】


* ジアミン部として40.9%のD400も含む。
【0163】
【表8】


*PGPEAではない。CHDA 13.5%、ダイマー酸 26.0%、XTJ-500 25%、D400 35.5%の反応性生物。
#M-2070として29.7%のモノアミン反応停止剤を含む。
【0164】
本明細書で言及した米国特許、米国特許出願公開公報、米国特許出願、外国の特許、外国の特許出願およびIPCOM文書等の非特許文献を含めたすべての参照文献は、それらの内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0165】
上記の説明から、本発明の特定の実施形態を説明の目的で本明細書に記載したが、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り様々な修正を施すことができることが理解されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造I、構造II、構造III、構造IV、構造Vおよび構造VIからなる群から選択される少なくとも一つの構造を備えるポリエーテルポリ(エステル‐アミド)ブロックコポリマー。
構造I:
【化1】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、および
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1
である。
構造II:
【化2】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
x=エチレンオキシド(EO)基、
=Hのとき、y=エチレンオキシド(EO)基、
またはR=CHのとき、y=プロピレンオキシド(PO)基、および
(EO)の場合R=H、または(PO)の場合R=CH
である。
構造III:
【化3】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、および
x=15
である。
構造IV:
【化4】

式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、および
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1
である。
構造V:
【化5】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、および
または
=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
(EO)の場合R=H、または(PO)の場合R=CH
x=エチレンオキシド(EO)基、
=Hのとき、y=エチレンオキシド(EO)基、および
またはR=CHのとき、y=プロピレンオキシド(PO)基
である。
構造VI:
【化6】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、および
x=15
である。
【請求項2】
請求項1に記載のコポリマーであり、ポリスチレンを参照基準としてゲル透過クロマトグラフィを使用して測定した質量平均分子量が10,000〜40,000であるコポリマー。
【請求項3】
請求項1に記載のコポリマーであり、PAO含有構成成分を約20〜50質量%の範囲で含むコポリマー。
【請求項4】
請求項1に記載のコポリマーであり、60℃〜180℃の軟化点を有し、i)二酸、ii)ジアミンおよびiii)ポリ(アルキレンオキシ)ポリオールを含む反応混合物から形成され、前記二酸は、重合脂肪酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記ジアミンは、炭素数2〜6の短鎖脂肪族ジアミン、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、コポリマー。
【請求項5】
請求項4に記載のコポリマーであり、前記反応物は、さらに、カルボン酸またはアミン基と反応する一つ以上の単官能性化合物を含み、前記少なくとも一つの構造は構造II、構造III、構造Vおよび構造VIからなる群から選択される、コポリマー。
【請求項6】
請求項4に記載のコポリマーであり、前記二酸は重合脂肪酸であり、前記ジアミンは炭素数2〜6の短鎖脂肪族ジアミンであり、前記少なくとも一つの構造は、構造I、構造IIおよび構造IIIからなる群から選択される、コポリマー。
【請求項7】
請求項4に記載のコポリマーであり、前記二酸はシクロヘキサンジカルボン酸であり、前記ジアミンはポリ(アルキレンオキシ)ジアミンであり、前記少なくとも一つの構造は構造IV、構造Vおよび構造VIからなる群から選択される、コポリマー。
【請求項8】
a)請求項1に記載のコポリマーと、b)生の状態が室温で液体である化合物とを含む組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の組成物であり、前記組成物はゲルである、組成物。
【請求項10】
請求項8に記載の組成物であり、前記化合物はエステル、エーテル、ハロゲン、炭酸塩およびスルホキシドから選択される少なくとも一つの化学基を含む、組成物。
【請求項11】
ブロックコポリマーの調製方法であり、i)二酸、ii)ジアミンおよびiii)ポリ(アルキレンオキシ)ポリオールを含む反応物同士を反応させるステップを有し、前記二酸は、重合脂肪酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記ジアミンは、炭素数2〜6の短鎖脂肪族ジアミン、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であり、前記ブロックコポリマーは、下記の構造I、構造II構造III、構造IV、構造Vおよび構造VIからなる群から選択される少なくとも一つの構造を備える、方法。
構造I:
【化7】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、および
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1
である。
構造II:
【化8】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
x=エチレンオキシド(EO)基、
=Hのとき、y=エチレンオキシド(EO)基、
またはR=CHのとき、y=プロピレンオキシド(PO)基、および
(EO)の場合R=H、または(PO)の場合R=CH
である。
構造III:
【化9】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、および
x=15
である。
構造IV:
【化10】

式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、および
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1
である。
構造V:
【化11】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、および
またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、
(EO)の場合R=H、または(PO)の場合R=CH
x=エチレンオキシド(EO)基、
=Hのとき、y=エチレンオキシド(EO)基、および
またはR=CHのとき、y=プロピレンオキシド(PO)基
である。
構造VI:
【化12】


式中、R=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
Z=OまたはNH、
Z=Oのとき、R=ポリ(アルキレンオキシ)部分、
または
Z=NHのとき、R=炭素数2〜12の直鎖または分岐アルキル部分、
=水素化または非水素化した重合脂肪酸、
またはR=シクロヘキサンジカルボン酸、したがって重合脂肪酸のCHDAに対する比は5:1以上、
n=20、したがって(‐O‐R‐O‐)の(‐NH‐R‐NH‐)に対する比は3:1、および
x=15
である。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であり、前記ポリ(アルキレンオキシ)ポリオールは、ジ‐、トリ‐、テトラ‐エチレングリコール、ジ‐、トリ‐、テトラ‐プロピレングリコール、ジ‐、トリ‐、テトラ‐ブチレングリコール、およびより高分子量のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ブチレングリコール)、混合ポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)グリコールポリマー、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つである、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であり、前記反応物は、さらに、カルボン酸またはアミン基と反応する一つ以上の単官能性化合物を含み、前記少なくとも一つの構造は構造II、構造III、構造Vおよび構造VIからなる群から選択される、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であり、前記二酸は重合脂肪酸であり、前記ジアミンは炭素数2〜6の短鎖脂肪族ジアミンであり、前記少なくとも一つの構造は構造I、構造IIおよび構造IIIからなる群から選択される、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であり、前記二酸はシクロヘキサンジカルボン酸であり、前記ジアミンはポリ(アルキレンオキシ)ジアミンであり、前記少なくとも一つの構造は構造IV、構造Vおよび構造VIからなる群から選択される、方法。
【請求項17】
ゲルの製造方法であり、請求項1に記載のコポリマーをヒドロキシルおよび/またはエーテル官能性を有する液体と高温で化合させて混合物として組み合わせるステップと、前記混合物を室温まで冷却させてゲルを形成するステップとを有する方法。
【請求項18】
請求項1に記載のコポリマーを含む製造物品。
【請求項19】
請求項19に記載の製造物品であり、少なくとも一つの生理学的に容認し得るオイルを含む芳香スティック、空気消臭剤、芳香ゲル、個人向けケア製品およびそれらの任意の組み合わせからなる群のうちの一つ以上として調合される製造物品。
【請求項20】
請求項19に記載の製造物品であり、さらに、界面活性剤、着色剤、芳香剤およびそれらの任意の組み合わせからなる群のうちの少なくとも一つを含む製造物品。

【公表番号】特表2012−503044(P2012−503044A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527066(P2011−527066)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/057159
【国際公開番号】WO2010/033595
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(511064144)アリゾナ ケミカル カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】ARIZONA CHEMICAL COMPANY
【Fターム(参考)】