説明

ポリイソシアネート組成物およびそれを硬化剤とする塗料組成物

【課題】本発明は、低粘度でかつ優れた架橋性を発現しうるポリイソシアネート組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも、下記[1]と[2]で示される(X)と(Y)を10:90〜90:10(質量比)で含むポリイソシアネート組成物。[1]へキサメチレンジイソシアネートから誘導される1)イソシアネートモノマー濃度1質量%以下で2)イソシアネート基平均数2.0〜3.3のポリイソシアネート(X)、[2]下記構造式(1)で示され、イソシアネート基平均数nが4〜20で、かつ、ジイソシアネートモノマー濃度1質量%以下であるポリイソシアネート(Y)。R−(NCO)n・・・・・・・・(1)。R:脂肪族ジイソシアネート・脂環族ジイソシネートから選ばれる1種以上のジイソシアネートとポリオールから誘導されたものであり、イソシアネート基を除く残基

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低粘度でかつ優れた架橋性を発現するポリイソシアネート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアネートを硬化剤とするウレタン系塗料組成物はその塗膜の耐薬品性、かとう性などが優れている。特に、脂肪族、脂環族ジイソシアネートから得られるポリイソシアネートを使用した場合、更に耐候性に優れるため、その使用は常温硬化性の2液ウレタン塗料、熱硬化性の1液ウレタン塗料および2液ウレタン塗料の形態で、自動車、建築、家電等の塗料として広く用いられている。しかし、作業時間短縮のため、架橋性の向上が望まれていた。
通常上記硬化剤のイソシアネート基平均数は約3であり、イソシアネート基平均数をより高めて、架橋性の向上を図る技術が特許文献1、2に開示されている。これらは一般的に硬化剤粘度が高く、塗料用硬化剤として使用した場合に塗料固形分が低くなる場合があった。
また、性質の異なる2種のプレポリマーを混合するものとして、ヘキサメチレンジイソシアネートプレポリマーとイソホロンジイソシアネートプレポリマーを混合したポリイソシアネート組成物(特許文献3、4参照)が開示されている。これらは、一般的に硬化初期の塗膜硬度には効果があるが、架橋性に劣る場合があった。
そのため、低粘度でかつ優れた架橋性を発現するポリイソシアネートが望まれていた。
【特許文献1】特開平6−312969号公報
【特許文献2】特願2004−056426号
【特許文献3】特表平6−510087号公報
【特許文献4】特開2002−293873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、低粘度でかつ優れた架橋性を発現しうるポリイソシアネート組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、鋭意研究した結果、ポリイソシアネート(X)とポリイソシアネート(Y)を特定割合で混合した場合、驚くべきことに、低粘度でかつ優れた架橋性を発現するという知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
1.少なくとも、下記[1]と[2]で示される(X)と(Y)を10:90〜90:10(質量比)で含むポリイソシアネート組成物。
[1]へキサメチレンジイソシアネートから誘導される1)イソシアネートモノマー濃度1質量%以下で2)イソシアネート基平均数2.0〜3.3のポリイソシアネート(X)
[2]下記構造式(1)で示され、イソシアネート基平均数nが4.5〜20で、かつ、ジイソシアネートモノマー濃度1質量%以下であるポリイソシアネート(Y)
R−(NCO)n・・・・・・・・(1)
R:脂肪族ジイソシアネート群、脂環族ジイソシネート群から選ばれる1種あるいは数種のジイソシアネートとポリオールから誘導されたものであり、イソシアネート基を除く残基
2.ポリイソシアネート(X)が、粘度2000mPa・s/25℃以下であることを特徴とする前記の1.記載のポリイソシアネート組成物。
3.ポリイソシアネート(Y)が、水酸基平均数2〜8のポリオールから誘導されたものであることを特徴とする前記の1.または2.いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
4.ポリイソシアネート(Y)のイソシアネート基平均数が4.5〜20であることを特徴とする前記の1.、2.または3.いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
5.ポリイソシアネート(Y)にイソシヌレート基を有することを特徴とする前記の1.、2.、3.または4.いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
6.ポリイソシアネート(X)がイソシヌレート基を有し、イソシアヌレート構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート3量体濃度が60質量%以上であることを特徴とする前記の1.、2.、3.、4.または5.いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
7.ポリイソシアネート(X)とポリイソシアネート(Y)を20:80〜80:20(質量比)で含むことを特徴とする前記の1.、2.、3.、4.、5.または6.いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
8.ポリイソシアネート(Y)のRが脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシネート、ポリオールのそれぞれから少なくとも1種以上選ばれた化合物群から誘導されたイソシアネート基を除く残基であることを特徴とする前記の1.、2.、3.、4.、5.、6.または7.いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
9.前記の1.、2.、3.、4.、5.、6.、7.または8.いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物
に関するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明のポリイソシアネート組成物は低粘度でかつ架橋性に優れた塗料組成物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、本発明について詳しく説明する。
本発明を構成するポリイソシアネート(X)は、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと言う)から誘導される。脂肪族ジイソシアネートであるHDIを原料としたポリイソシアネート組成物は、塗料用硬化剤として使用した場合、耐候性等の塗膜物性に非常に優れている。
また、本発明のポリイソシアネート(X)は各種結合を有することができる。具体的には、イソシアヌレート基、ウレトジオン基、ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基、イミノオキサジアジンジオン基等が挙げられ、2種以上を含むことができる。その中でも特に耐候性等の塗膜物性に優れるため、イソシアヌレート基を有することが好ましい。イソシアヌレート基を有するイソシアヌレート型ポリイソシアネートとは下記式(2)に示される構造を有したポリイソシアネートである。
【0007】
【化1】

【0008】
イソシアヌレート型ポリイソシアネートを製造するための触媒としては、一般的に使用されるイソシアヌレート化触媒が挙げられる。
イソシアヌレート化触媒としては、例えば一般に塩基性を有するものが好ましく、(1)例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(2)例えばトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや例えば酢酸、カプリン酸等の有機弱酸塩、(3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の例えば錫、亜鉛、鉛等のアルカリ金属塩、(4)例えばナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、(5)例えばヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物、(6)マンニッヒ塩基類、(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、(8)例えばトリブチルホスフィン等の燐系化合物等がある。
【0009】
この中で4級アンモニウムの有機弱酸塩が好ましく、さらにテトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩がさらに好ましい。
イソシアヌレート化反応を停止するために用いた触媒を失活する。その失活方法としては例えば、リン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性物質による中和、熱分解、化学分解等がある。
本発明のポリイソシアネート(X)はイソシアヌレート構造を有するHDI3量体濃度(以下イソシアヌレート3量体と言う)が60質量%以上であることが好ましい。イソシアヌレート3量体濃度が60質量%未満である場合、粘度が高くなりすぎる時がある。また、本発明のポリイソシアネート(X)は、ジイソシアネートモノマー2分子からなるウレトジオン2量体を含んでも構わない。ウレトジオン基とは、2つのイソシアネート基からなり、(3)式で示される。
【0010】
【化2】

【0011】
ウレトジオン2量体を含有した場合、ポリイソシアネート(X)が低粘度となるが、あまり多くなりすぎると架橋性が低下する場合があり、ウレトジオン2量体質量割合は40%以下が好ましい。ここで、ウレトジオン2量体質量割合aはウレトジオン2量体質量%をA、イソシアヌレート3量体質量%をBとした時の(A/A+B)×100と表される。
ウレトジオン2量体はウレトジオン化触媒を用いて得ることができる。この具体的な化合物の例としては、第3ホスフィンである、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン、トリス−(ジメチルアミノ)−ホスフィンなどのトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン、シクロヘキシル−ジ−n−ヘキシルホスフィンなどのシクロアルキルホスフィンなどがある。これらの化合物はアロファネート化触媒にもなり得る。また、これらの化合物の多くは、同時にイソシアヌレート化反応も促進し、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートに加えてイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを生成する。
【0012】
また、前記のような触媒を用いることなく、加熱で得ることもできる。
本発明のポリイソシアネート(X)は、ウレタン基および/またはアロファネート基を有しても構わない。ウレタン基とはアルコールの水酸基とイソシアネート基から形成され、(4)式で示され、アロファネート基とはアルコールの水酸基と2個のイソシアネート基から形成され、(5)式で示される。
【0013】
【化3】

【0014】
【化4】

【0015】
ウレタン基、アロファネート基形成のための原料アルコールとしては、モノアルコール、ジオール等が挙げられる。その中でモノアルコールとしては直鎖もしくは分岐アルコール、脂環式アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i―ブタノール、s−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−ノナノール、2−エチルブタノール、2,2−ジメチルヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノールが挙げられる。
ジオールとは、1分子中に2個の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチルヘキサンー1,3−ジオール、メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、メチルペンタンジオール、メオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0016】
上記アルコールの中でi−ブタノールや2−エチルヘキサノール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール等の分岐アルコールが特に好ましい。本発明で使用されるモノアルコール、ジオールは単独で用いても良いし、2種以上を併用して用いても良い。
水酸基を3個以上有する多価アルコールを使用した場合、ポリイソシアネートの粘度が高くなりすぎる場合がある。
また、ウレタン基、アロファネート基形成のためのアルコールは、イソシアヌレート化触媒と同時に添加することもできるし、触媒の添加に先立ち、添加することもできる。
ウレタン基+アロファネート基の合計数をC、イソシアヌレート基数をDとした時のウレタン+アロファネート基数割合cを(C/C+D)×100と規定した場合、20%以下であることが好ましい。20%以上存在した場合、架橋性が低下する場合があり、好ましくない。
【0017】
本発明のポリイソシアネート(X)はビウレット基を有しても構わない。しかし、ビウレット結合を含むポリイソシアネートであるビウレット型ポリイソシアネートの存在は、貯蔵後のジイソシアネートモノマーの増加をもたらすため、好ましくない。質量5%以下であれば該モノマーの増加の影響が少ない。
前述した、イソシアヌレート化反応、ウレトジオン化反応、ウレタン化反応、アロファネート化反応はそれぞれを逐次行うこともできるし、並行して行うこともできる。ウレトジオン結合を共存させる場合は、イソシアヌレート化反応とウレタン化反応あるいはアロファネート化反応を先行し、その後、ウレトジオン化反応を行うことが好ましく、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応は共通した触媒を用い、ウレトジオン化反応を熱により行うことが製造工程を簡略でき好ましい。これらの反応は溶媒を用いても、用いなくてもよい。溶媒を用いる場合は、イソシアネート基に対して不活性な溶媒を用いるべきである。イソシアヌレート化反応、ウレタン化反応、アロファネート反応の反応温度は20〜140℃、好ましくは40〜140℃である。これらの反応後、さらにウレトジオン化反応を行う場合のウレトジオン反応の反応温度は120〜200℃、好ましくは140〜200℃である。これらの反応終了後、未反応HDIモノマーは薄膜蒸発缶、抽出などにより除去する。
【0018】
本発明中のポリイソシアネート(X)のHDIモノマー濃度としては1質量%以下、好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。HDIモノマー濃度が1質量%を越えると、ポリイソシアネート組成物の硬化性が低下する場合がある。また、本発明のポリイソシアネート(X)は、イソシアネート基平均数が3.3以下であり、好ましくは2.5〜3.3であり、さらに好ましくは2.7〜3.3である。3.3を超える場合、粘度が高くなりすぎる場合がある。
イソシソシアネート基平均数は以下の式(5)による求められる。

(数平均分子量)×(イソシアネート基質量%)
――――――――――――――――――――――=イソシアネート基平均数 (5)
イソシアネートの式量(42)×100
【0019】
本発明のポリイソシアネート(X)は、HDIモノマー及び溶剤を実質的に含まない状態での粘度が2000mPa・s/25℃以下である。その中でもより好ましくは、150〜1500mPa・sである。
粘度が150mPa・s未満の場合、架橋性が低下する場合があり、粘度が2000mPa・sを超える場合、低粘度化の効果が小さい場合がある。
本発明のポリイソシアネート(Y)に用いる脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4〜30のものが好ましく、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、HDI、2,2,4−トリメチルー1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンイソシアネートなどがあり、中でも、工業的入手のしやすさからHDIが好ましい。
本発明のポリイソシアネート(Y)に用いる脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと言う)、1,3−ビス(イソシアナートメチル)−シクロヘキサン、4,4‘−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどがある。中でも、耐候性、工業的入手の容易さから、IPDIが好ましい。
これらの脂肪族ジイソシアネートと脂環族ジイソシアネートは単独で使用してもいいし、2種以上を併用しても構わない。
【0020】
本発明のポリイソシアネート(Y)はイソシアネート基平均数を高めるためにジイソシアネートモノマーに加えてポリオールを使用し、誘導することが好ましい。使用するポリオールとしては、分子量500未満の低分子ポリオールと分子量500以上の高分子ポリオールがある。低分子ポリオールとしてはジオール類、トリオール類、テトラオール類などがある。低分子ポリオールとしては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどがあり、トリオール類としては、例えばグルセリン、トリメチロールプロパンなどがあり、テトラオール類としては、例えばペンタエリトリトールなどがある。
【0021】
高分子ポリオールとしてはアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオールなどがある。
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル等、またはグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル等の群から選ばれた単独または混合物とメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル等の群から選ばれた単独または混合物とを必須成分とし、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル等、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル等、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、
【0022】
アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド、及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独または混合物の存在下、あるいは非存在下において重合させて得られるアクリルポリオールが挙げられる。
【0023】
ポリエステルポリオールとしては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独または混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール及び例えばε−カプロラクトンを多価アルコールに開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、多価ヒドロキシ化合物の単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
【0024】
前記多価ヒドロキシ化合物としては
(1)例えばジクリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなど
(2)例えばエリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等糖アルコール系化合物
(3)例えばアラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、
(4)例えばトレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオースなどの二糖類、
(5)例えばラフィノース、ゲンチアノース、メレチトースなどの三糖類
(6)たとえはスタキオースなどの四糖類
などがある。
【0025】
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレンなどが挙げられる。
ポリオールの統計的1分子が持つ水酸基数(以下水酸基平均数)は2〜8であることが好ましい。水酸基平均数が2未満であると、本発明のnの範囲が得られず、効果性が低下する。また、8を超えると、得られたポリイソシアネート(Y)の粘度が非常に高くなるか、この粘度を低下させるためにポリオールの分子量を大きくすると、これで得られたポリイソシアネート(Y)を用いて形成した塗膜の硬度の低下を招く場合がある。
好ましいポリオールの例としては、前記の低分子量ポリオール及びこの低分子量ポリオールにε−カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンポリオールである。
【0026】
低分子ポリオール、特にトリオールは高い塗膜硬度を得るために好ましい。
本発明のポリイソシアネート(Y)は、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートの1種あるいは数種とポリオールを反応させることを特徴として誘導される。ジイソシアネートのイソシアネート基とポリオールの水酸基のウレタン化反応及び、イソシアヌレート化反応の両者を併用することが好ましい。イソシアヌレート化反応後、前記ポリオールを添加し、ウレタン化反応を行うことができるが、好ましくはウレタン化反応後、イソシアヌレート化反応を行うことが、イソシアネート基平均数を高めるために好ましい。イソシアヌレート化反応により、その前に形成されたウレタン基の一部またはすべてはアロファネート基となる。
【0027】
本発明のポリイソシアネート(Y)はイソシアヌレート基を有することが好ましく、イソシアヌレート3量体濃度が10質量%以上であることがさらに好ましい。イソシアヌレート3量体濃度が10質量%未満である場合、高塗膜硬度を得ることが難しい場合がある。
前記のジイソシアネートとポリオールを反応させる場合のジイソシアネートとポリオールの比率は、イソシアネート基/水酸基の当量比が5〜50、好ましくは5〜20である。5未満であると、得られるポリイソシアネート(Y)の粘度が高くなり、50を超えると、ポリイソシアネート(Y)のイソシアネート基平均数の増加が難しい場合がある。反応温度は、50〜200℃、好ましくは50〜150℃である。50℃未満では反応が進みにくく、200℃を超えると製品の着色など好ましくない副反応が生じる場合がある。
【0028】
水酸基の一部またはすべてが反応した後または反応と同時に、イソシアヌレート基を形成するイソシアヌレート化反応を行うことが好ましい。このイソシアヌレート化反応を行わない場合、これにより得られたポリイソシアネートを使用して得られる塗膜の硬度が低下する場合がある。イソシアヌレート化反応の反応温度は、50〜200℃、好ましくは50〜150℃である。50℃未満では、反応が進みにくく、200℃を超えると製品の着色など好ましくない副反応が生じる場合がある。
この際に使用されるイソシアヌレート化触媒としては、前記のポリイソシアネート(X)記載と同様のものが使用される。
【0029】
イソシアヌレート化反応を停止するために用いた触媒を失活する。その失活方法としては例えば、リン酸、酸性リン酸エステルなどの酸性物質による中和、熱分解、化学分解等がある。
ジイソシアネートモノマーからポリイソシアネート(Y)への転化率は10〜70質量%の範囲から選択される。高い収率で得られるポリイソシアネート組成物の粘度が高い。
これらの反応は溶媒を用いても,用いなくても良い.溶媒を用いる場合は,イソシアネート基に対して不活性な溶媒を用いるべきである。
反応終了後、未反応HDIモノマーは薄膜蒸発缶、抽出などにより除去する。ポリイソシアネート中のHDIモノマー濃度としては1質量%以下、好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0030】
本発明のポリイソシアネート(Y)を構成する脂肪族ジイソシアネート成分と脂環族ジイソシアネート成分はそれぞれ単独でも構わないが、両成分が存在することがより好ましく、この場合は、脂肪族ジイソシアネート成分と脂環族ジイソシアネート成分の質量比率が95:5〜50:50であることが好ましく、より好ましくは90:10〜50:50である。50:50を超えた場合、ポリイソシアネート(Y)の粘度が高くなりすぎる場合がある。
本発明のポリイソシアネート(Y)のイソシアネート基平均数nは4.5〜20であり、好ましくは4.8〜15である。4.5未満の場合、ポリイソシアネート(Y)の架橋性が低下する場合があり、20を超えると、得られた塗膜の伸びなどが低下する場合がある。
【0031】
本発明のポリイソシアネート(Y)の数平均分子量は700〜3000であり、700未満ではイソシアネート基平均数が低下する場合があり、3000を超えるとイソシアネート基濃度が低下する場合がある。
本発明のポリイソシアネート(Y)の25℃における粘度は通常5000〜1000000mPa・s程度であり、好ましくは10000〜1000000mPa・sである。5000mPa・s未満の場合、高い塗膜硬度が発現しない場合があり、1000000mPa・sを超える場合、作業性が低下する場合がある。
本発明のポリイソシアネート(Y)のポリオール成分濃度は1〜50質量%である。1質量%未満であると、イソシアネート基平均数が低下する場合があり、50質量%を超えると、イソシアネート基濃度が低下する場合がある。
【0032】
驚くべきことに、イソシアネート基平均数の高いポリイソシアネート(Y)にイソシアネート基平均数の低いポリイソシアネート(X)を混合した本発明のポリイソシアネート混合物は、架橋性が高く、しかもポリイソシアネート(Y)単独の場合と比較して粘度が格段に低下した。
本発明のポリイソシアネート組成物は、上記ポリイソシアネート(X)とポリイソシアネート(Y)を10:90〜90:10(質量比)で混合して得られ、好ましくは20:80〜80:20である。10:90よりも小さい場合、架橋性、乾燥性は満足するが、ポリイソシアネート組成物の粘度が高すぎる場合があり、90:10を超える場合、ポリイソシアネート組成物の粘度は低粘度となるが、架橋性、乾燥性が不足する場合がある。
また、本発明のポリイソシアネート組成分の25℃における粘度は溶剤を使用しない状態で通常500〜10,000mPa・s程度である。粘度500mPa・s未満の場合、架橋性が低下する場合があり、10,000mPa・sよりも粘度が高い場合、作業性に劣る場合がある。
【0033】
本発明の塗料組成物は前記ポリイソシアネート組成物に加えて、イソシアネート基と反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物と混合し、主成分を構成する。ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基はこの活性水素含有化合物と反応して、架橋塗膜を形成することができる。前記の活性水素を2個以上有する化合物とは、例えばポリオール、ポリアミン、ポリチオールなどがあり、多くの場合、ポリオールが使用される。このポリオールの例としては、前記の高分子ポリオールの以外に、フッ素ポリオールなどがある。フッ素ポリオールは分子内にフッ素を含むポリオールであり、例えば特開昭57−34107号公報、特開昭61−275311号公報で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体がある。前記ポリオールの水酸基価は30〜200mgKOH/g、酸価0〜30mgKOH/gの中から選択される。
【0034】
好ましいポリオールはアクリルポリオール、ポリエステルポリオールである。
必要に応じて、完全アルキル型、メチロール基型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を添加することができる。
また、用途、目的に応じて各種溶剤、添加剤を用いることができる。溶剤としては例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸セロソルブなどのエステル類、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、などの群から目的及び用途に応じて適宜選択して使用することができる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
また、必要に応じて、酸化防止剤例えばヒンダードフェノール等、紫外線吸収剤例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等、顔料例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インジゴ、キナクリドン、パールマイカ等、金属粉顔料例えばアルミ等、レオロジーコントロール剤例えばヒドロキシエチルセルロース、尿素化合物、マイクロゲル等、硬化促進剤例えば、錫化合物、亜鉛化合物、アミン化合物等を添加してもよい。
この様に調整された塗料組成物はロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装などにより、鋼板、表面処理鋼板などの金属及びプラスチック、無機材料などの素材にプライマーまたは上中塗りとして有用であり、更に防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装、プラスチック塗装などに美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性などを付与するために有用である。また、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤などのウレタン原料としても有用である。
【実施例】
【0036】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
(数平均分子量の測定)
数平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCという)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。
装置:東ソー(株)HLC−802A
カラム:東ソー(株)G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
【0037】
(残存ジシソシアネートモノマー濃度)
前記GPC測定で得られる未反応ジイソシアネート相当の分子量(例えばHDIであれば168)のピーク面積%をその質量濃度として表した。
(ウレトジオン2量体量A、イソシアヌレート3量体量Bの測定)
前記GPC測定で得られるウレトジオン2量体相当の分子量(例えばHDI由来であれば336)のピーク面積%をそのウレトジオン2量体質量%Aとした。また、イソシアヌレート3量体相当の分子量(例えばHDI由来であれば504)のピーク面積%をそのイソシアヌレート3量体質量%Bとした。
【0038】
(アロファネート結合量C、イソシアヌレート結合量Dの測定)
ウレタン結合+アロファネート結合量C、イソシアヌレート結合量Dはポリイソシアネート組成物の1H−NMR測定で求めた。
装置:日本電子社製JNM−LA400
溶剤:重クロロホルム
(粘度の測定)
E型粘度計(トキメック社製VISCONIC ED型)を用いて、25℃で測定した。
【0039】
(ハイソリッド性)
アクリルポリオール(アクゾ社の商品名 SetaluX1903、樹脂固形分75質量%、水酸基価 150mgKOH/樹脂g)とポリイソシアネートを水酸基とイソシアネート基の当量比が1.0になるように混合し、更にシンナーとして酢酸エチル/トルエン/酢酸ブチル/キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(質量比30/30/20/15/5)の混合液でフォードカップNo.4で測定した粘度が20秒になるように希釈した。上記組成で塗料固形分が54質量%以上の場合を○、54質量%未満になる場合を×として表した。
(ゲル分率)
硬化塗膜を、アセトン中に20℃、24時間浸漬後、未溶解部質量の浸漬前質量に対する値を計算し、60質量%未満の場合は×、60質量%以上の場合は〇で表した。
【0040】
(製造例1)(ポリイソシアネートXの製造)
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 600部を仕込み、60℃、2HR保持した。その後、イソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエートを加え、イソシアヌレート化反応を行い、添加率が20質量%になった時点で4時間後、リン酸を添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去した。
得られたポリイソシアネートの物性を表1に示す。
【0041】
(製造例2)
イソシアヌレート化反応による転化率を16質量%とした以外は製造例1と同様に行った。得られたポリイソシアネートの物性を表1に示す。
【0042】
(製造例3)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 600部、イソブタノール0.6部を仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2HR保持した。その後、イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、イソシアヌレート化反応を行い、HDIモノマーの転化率が18%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液を更に160℃、1HR保持した。この加熱によりウレトジオン基含有ポリイソシアネートが生成した。反応液を冷却後、ろ過後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去した。ウレトジオン基を含有した後の収率は20%となった。得られたポリイソシアネートの特性を表1に示す。
【0043】
(製造例4)
イソシアヌレート化反応によるHDIモノマーの転化率を10.5質量%とした以外は製造例3と同様に行った。ウレトジオン基を含有した後の収率は13質量%となった。得られたポリイソシアネートの物性を表1に示す。
【0044】
(製造例5)(ポリイソシアネートYの製造)
攪拌器、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 1000部、3価アルコールであるポリカプロラクトンポリオール系ポリエステルポリオール「プラクセル303」(ダイセル化学の商品名 分子量300)50部を仕込み、攪拌下反応器内温度を90℃1時間保持しウレタン化反応を行った。その後反応器内温度を80℃に保持し、シソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、反応液の屈折率を測定し、HDIとポリオールを足した質量を100とした時の収率54質量%に相当する時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液を濾過した後、薄膜蒸留缶を用いて未反応HDI、IPDIを除去した。得られたポリイソシアネートの物性を表2に示す。
【0045】
(製造例6−8)
表2に示す以外は製造例5と同様に行った。得られたポリイソシアネートの物性を表2に示す。
【0046】
(比較製造例1)
イソシアヌレート化反応による転化率を45質量%とした以外は製造例1と同様に行った。得られたポリイソシアネートの物性を表1に示す。
【0047】
(比較製造例2)
表2に示す以外は製造例5と同様に行った。得られたポリイソシアネートの物性を表2に示す。
【0048】
(実施例1−6、比較例1−3)
製造例1−4に示されるポリイソシアネート(X)と製造例5−8に示されるポリイソシアネート(Y)を表3に示される質量比で配合した。その時の酢酸ブチルを10質量%含有した固形物90質量%における粘度を表3に示す。
【0049】
(参考例1−6、比較参考例1−3)
アクリルポリオール(アクゾノーベル社の商品名「SETALUX1903」、樹脂分濃度75質量%、水酸基価150mgKOH/樹脂g)と実施例1−6、比較例1−3で得られたポリイソシアネート組成物を用いて、イソシアネート基/水酸基の当量比1.0で塗料配合し、シンナー(酢酸エチル/トルエン/酢酸ブチル/キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=30/30/20/15/5(質量比))で塗料粘度がフォードカップNo.4で20秒になるように調整した。作成した塗料溶液をガラス板に乾燥後膜厚40μmになるようにアプリケーター塗装し、20℃、湿度63%の条件で24時間静置後の塗膜ゲル分率を評価した。結果を表3に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装などにより、鋼板、表面処理鋼板などの金属及びプラスチック、無機材料などの素材にプライマーまたは上中塗りとして有用であり、更に防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装、プラスチック塗装などに美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性などを付与するために有用である。また、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤などのウレタン原料としての分野で好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、下記[1]と[2]で示される(X)と(Y)を10:90〜90:10(質量比)で含むポリイソシアネート組成物。
[1]へキサメチレンジイソシアネートから誘導される1)イソシアネートモノマー濃度1質量%以下で2)イソシアネート基平均数2.0〜3.3のポリイソシアネート(X)
[2]下記構造式(1)で示され、イソシアネート基平均数nが4〜20で、かつ、ジイソシアネートモノマー濃度1質量%以下であるポリイソシアネート(Y)
R−(NCO)n・・・・・・・・(1)
R:脂肪族ジイソシアネート・脂環族ジイソシネートから選ばれる1種以上のジイソシアネートとポリオールから誘導されたものであり、イソシアネート基を除く残基
【請求項2】
ポリイソシアネート(X)が、粘度2000mPa・s/25℃以下であることを特徴とする請求項1記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
ポリイソシアネート(Y)が、水酸基平均数2〜8のポリオールから誘導されたものであることを特徴とする請求項1または2いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
ポリイソシアネート(Y)のイソシアネート基平均数が4.5〜20であることを特徴とする請求項1、2または3いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
ポリイソシアネート(Y)がイソシヌレート基を有することを特徴とする請求項1、2、3または4いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項6】
ポリイソシアネート(X)がイソシヌレート基を有し、イソシアヌレート構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート3量体濃度が60質量%以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4または5いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項7】
ポリイソシアネート(X)とポリイソシアネート(Y)を20:80〜80:20(質量比)で含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項8】
ポリイソシアネート(Y)のRが脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシネート、ポリオールのそれぞれから少なくとも1種以上選ばれた化合物群から誘導されたイソシアネート基を除く残基であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8いずれか1項記載のポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物。

【公開番号】特開2007−145988(P2007−145988A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342329(P2005−342329)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】