説明

ポリイミド及びその製造方法、並びにポリアミド酸及びその製造方法

【課題】重合度が高く、耐熱性、光学特性、及び耐折性に優れているとともに、良好な伸びを示すフィルム又はシートを形成可能なポリイミドを提供する。
【解決手段】下記一般式(1A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを提供する。下記一般式(1A)で表される繰り返し単位には、下記一般式(2A)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるか、又は下記一般式(3A)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるポリイミドである。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の構成材料として好適な特性を有するポリイミド、及びそれを用いたフィルム又はシートに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは、耐熱性に優れているとともに、機械特性、電気特性、及び光学特性等の点においても優れているため、成形材料、複合材料、電気・電子材料として様々な分野で幅広く用いられている。
【0003】
無色透明性等の光学特性及び電気特性等に優れたポリイミドとして、脂環式のジアミン化合物と酸二無水物を構成原料として用いて得られるポリイミドが開発されている。例えば、脂環式のジアミン化合物として2,5(又は6)−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(以下、「NBDA」とも記す)を用いて得られる、光線透過率が良好で無色透明性の高いポリイミドが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
NBDAは、従来、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2−カルボニトリルに、パラジウム触媒及びトリフェニルホスファイト、或いは0価ニッケル錯体触媒の存在下でシアン化水素を付加させてジシアノ体とした後、接触水素化することにより製造されている(例えば、特許文献3及び4参照)。このようにして製造されるNBDAには、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン環におけるアミノメチル基の置換位置が異なる異性体として、2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(以下、「2,5−NBDA」とも記す)、及び2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(以下、「2,6−NBDA」とも記す)が含まれている。
【0005】
これらの異性体は、蒸留等の通常の分離手段では分離することが非常に困難であることが知られている。更に、2,5−NBDAと2,6−NBDAのそれぞれにも光学異性体が存在する。このため、上記のようにして製造されるNBDAは、一般的な分離手段では分離困難な4種類の異性体を含有する異性体混合物である。
【0006】
NBDAに含まれる4種の異性体を分離する方法として、それぞれの異性体の融点差を利用し、凝固させたNBDAを徐々に昇温させながらそれぞれの異性体が多く含まれる留分に分画する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。更に、特許文献5には、当該方法によって異性体の含有割合が制御されたNBDAを構成原料として用いて得られるポリイミドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−7906号公報
【特許文献2】国際公開第1998/029471号
【特許文献3】特許第2713612号公報
【特許文献4】特開2002−69043号公報
【特許文献5】国際公開第2002/010253号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献5で開示されたポリイミドを用いて得られるフィルムやシートであっても、耐熱性、光学特性、及び耐折性等の諸特性については必ずしも十分であるとはいえず、更なる改良を図る必要性があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、重合度が高く、耐熱性、光学特性、及び耐折性に優れているとともに、良好な伸びを示すフィルム又はシートを形成可能なポリイミド、当該ポリイミドの製造方法、当該ポリイミドを製造可能なポリアミド酸、当該ポリアミド酸のワニス、並びに当該ポリアミド酸の製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の課題とするところは、重合度が高く、耐熱性、光学特性、及び耐折性に優れているとともに、良好な伸びを示すポリイミドからなるフィルム又はシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、4種類の異性体を含むNBDAから高純度に分離精製した2,5−diexo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、及び2−endo−5−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンを構成原料として用いることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明によれば、以下に示すポリイミド、ポリアミド酸、ポリイミドの製造方法、ポリアミド酸の製造方法、ワニス、及びポリイミドフィルム又はシートが提供される。
【0013】
[1]下記一般式(1A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドであって、下記一般式(1A)で表される繰り返し単位には、下記一般式(2A)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるか、又は下記一般式(3A)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるポリイミド。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
前記一般式(1A)〜(3A)中、Rは4価の有機基を示す。
【0018】
[2]前記一般式(1A)で表される繰り返し単位に含まれる、前記一般式(2A)で表される繰り返し単位の割合が95〜100モル%である前記[1]に記載のポリイミド。
【0019】
[3]前記一般式(1A)で表される繰り返し単位に含まれる、前記一般式(3A)で表される繰り返し単位の割合が95〜100モル%である前記[1]に記載のポリイミド。
【0020】
[4]前記一般式(1A)〜(3A)中、Rは、炭素数4〜27である、直鎖型若しくは分岐型の脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基又は芳香族基が直接若しくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式の脂肪族基若しくは芳香族基である前記[1]に記載のポリイミド。
【0021】
[5]下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸であって、
下記一般式(1B)で表される繰り返し単位には、下記一般式(2B)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるか、又は下記一般式(3B)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるポリアミド酸。
【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
前記一般式(1B)〜(3B)中、Rは4価の有機基を示す。
【0026】
[6]前記一般式(1B)で表される繰り返し単位に含まれる、前記一般式(2B)で表される繰り返し単位の割合が95〜100モル%である前記[5]に記載のポリアミド酸。
【0027】
[7]前記一般式(1B)で表される繰り返し単位に含まれる、前記一般式(3B)で表される繰り返し単位の割合が95〜100モル%である前記[5]に記載のポリアミド酸。
【0028】
[8]前記一般式(1B)〜(3B)中、Rは、炭素数4〜27である、直鎖型若しくは分岐型の脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基又は芳香族基が直接若しくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式の脂肪族基若しくは芳香族基である前記[5]に記載のポリアミド酸。
【0029】
[9]N,N−ジメチルアセトアミドに0.5g/dlの濃度で溶解させた溶液の温度35℃における対数粘度が0.1〜3である前記[5]〜[8]のいずれかに記載のポリアミド酸。
【0030】
[10]前記[5]〜[9]のいずれかに記載のポリアミド酸を熱的又は化学的に脱水閉環させる工程を含むポリイミドの製造方法。
【0031】
[11]下記式(I)で表される2,5−diexo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの含有率が95モル%以上、又は下記式(II)で表される2−endo−5−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの含有率が95モル%以上であるジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンと、下記一般式(V)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、を反応させる工程を含むポリアミド酸の製造方法。
【0032】
【化7】

【0033】
前記一般式(V)中、Rは4価の有機基を示す。
【0034】
[12]前記ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン中、前記式(I)で表される2,5−diexo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの含有率が95〜100モル%である前記[11]に記載のポリアミド酸の製造方法。
【0035】
[13]前記ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン中、前記式(II)で表される2−endo−5−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの含有率が95〜100モル%である前記[11]に記載のポリアミド酸の製造方法。
【0036】
[14]前記テトラカルボン酸二無水物が、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物の少なくともいずれかである前記[11]〜[13]のいずれかに記載のポリアミド酸の製造方法。
【0037】
[15]前記[5]〜[9]のいずれかに記載のポリアミド酸を含むワニス。
【0038】
[16]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリイミドから形成されるフィルム又はシート。
【発明の効果】
【0039】
本発明のポリイミドは、重合度が高く、耐熱性、光学特性、及び耐折性に優れているとともに、良好な伸びを示すフィルム又はシートを形成可能なものである。また、本発明のポリイミドの製造方法によれば、上記のポリイミドを製造することができる。
【0040】
本発明のポリアミド酸及びそのワニスは、重合度が高く、耐熱性、光学特性、及び耐折性に優れているとともに、良好な伸びを示すフィルム又はシートを形成可能なポリイミドを製造可能なものである。また、本発明のポリアミド酸の製造方法によれば、上記のポリアミド酸を製造することができる。更に、本発明のフィルム又はシートは、重合度が高く、耐熱性、光学特性、及び耐折性に優れているとともに、良好な伸びを示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】合成例1で得られた2,5−diexo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの13C−NMRチャートである。
【図2】合成例1で得られた2,5−diexo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの13C−NMRチャートである。
【図3】原材料であるジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンのガスクロマトグラフィー(GC)チャートである。
【図4】合成例1で得られた2,5−diexo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンのガスクロマトグラフィー(GC)チャートである。
【図5】合成例2で得られた2−endo−5−exo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの13C−NMRチャートである。
【図6】合成例2で得られた2−endo−5−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの13C−NMRチャートである。
【図7】合成例2で得られた2−endo−5−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンのガスクロマトグラフィー(GC)チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0043】
[1]ポリイミド:
本発明のポリイミドは、下記一般式(1A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドである。また、この繰り返し単位には、下記一般式(2A)で表される繰り返し単位、又は下記一般式(3A)で表される繰り返し単位が高い割合で含まれている。なお、下記一般式(1A)〜(3A)中のRは4価の有機基を示す。
【0044】
【化8】

【0045】
【化9】

【0046】
【化10】

【0047】
前記一般式(2A)で表される繰り返し単位が、前記一般式(1A)で表される繰り返し単位に含まれる場合において、前記一般式(2A)で表される繰り返し単位の含有割合は95モル%以上であり、好ましくは97.0モル%以上、更に好ましくは99.0モル%以上、特に好ましくは100モル%である。前記一般式(2A)で表される繰り返し単位の含有割合を95モル%以上とすることにより、形成されるポリイミドフィルム又はシートの耐熱性、光学特性、耐折性、及び伸びを向上させることができる。
【0048】
また、前記一般式(3A)で表される繰り返し単位が、前記一般式(1A)で表される繰り返し単位に含まれる場合において、前記一般式(3A)で表される繰り返し単位の含有割合は95モル%以上であり、好ましくは97.0モル%以上、更に好ましくは99.0モル%以上、特に好ましくは100モル%である。前記一般式(3A)で表される繰り返し単位の含有割合を95モル%以上とすることにより、形成されるポリイミドフィルム又はシートの耐熱性、光学特性、耐折性、及び伸びを向上させることができる。
【0049】
前記一般式(1A)〜(3A)中、Rで示される4価の有機基としては、炭素数4〜27である、直鎖型若しくは分岐型の脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基又は芳香族基が直接若しくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式の脂肪族基若しくは芳香族基を挙げることができる。
【0050】
なお、本発明のポリイミド中の、前記一般式(1A)で表される繰返し単位の含有率は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%である。また、前記一般式(1A)の繰返し単位数は特に限定されるものではないが、好ましくは20〜10000である。
【0051】
本発明のポリイミドは、下記式(I)で表される2,5−diexo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(以下、「2,5−diexo−NBDA」とも記す)を95モル%以上含有するジアミン成分、又は下記式(II)で表される2−endo−5−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(以下、「2−endo−5−exo−NBDA」とも記す)を95モル%以上含有するジアミン成分を使用し、テトラカルボン酸二無水物と重合させることにより合成されるポリアミド酸から製造されるものである。このように高い割合で2,5−diexo−NBDA又は2−endo−5−exo−NBDAを含むジアミン成分を用いて製造されるポリアミド酸及びポリイミドは、他の異性体である2,6−NBDAを多く含むジアミン成分を用いて製造されるポリアミド酸及びポリイミドに比して、重合度が高くなり易い。即ち、本発明のポリイミドは重合度が十分に高く、分子量が大きいため、耐折性をはじめとする物理的特性が顕著に向上したフィルム又はシートを製造することができる。
【0052】
【化11】

【0053】
本発明のポリイミドには、本発明のポリイミドの効果を損なわない範囲で、必要に応じて熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含有させることができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニルABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、PTFE、セルロイド、ポリアリレート、ポリエーテルニトリル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニルスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、変性ポリフェニレンオキシド、及び他のポリイミド(本発明のポリイミドを除く)等を挙げることができる。
【0054】
また、熱硬化性樹脂の具体例としては、熱硬化性ポリブタジエン、ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン、シリコン樹脂、SBR、NBR、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリシアネート、フェノール樹脂、及びポリビスマレイミド等を挙げることができる。
【0055】
本発明のポリイミドには、本発明のポリイミドの効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種充填剤や添加剤を混合することができる。各種充填剤や添加剤の具体例としては、グラファイト、カーボランダム、ケイ石粉、二硫化モリブデン、フッ素系樹脂等の耐摩耗性向上剤;三酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の難燃性向上剤;クレー、マイカ等の電気的特性向上剤;アスベスト、シリカ、グラファイト等の耐トラッキング向上剤;硫酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カルシウム等の耐酸性向上剤;鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、銅粉等の熱伝導度向上剤;その他、ガラスビーズ、ガラス球、タルク、ケイ藻土、アルミナ、シラスバルン、水和アルミナ、金属酸化物、着色料、及び顔料等を挙げることができる。
【0056】
[2]ポリアミド酸:
本発明のポリアミド酸は、下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸である。また、この繰り返し単位には、下記一般式(2B)で表される繰り返し単位、又は下記一般式(3B)で表される繰り返し単位が高い割合で含まれている。なお、下記一般式(1B)〜(3B)中のRは4価の有機基を示す。
【0057】
【化12】

【0058】
【化13】

【0059】
【化14】

【0060】
前記一般式(2B)で表される繰り返し単位が、前記一般式(1B)で表される繰り返し単位に含まれる場合において、前記一般式(2B)で表される繰り返し単位の含有割合は95モル%以上であり、好ましくは97.0モル%以上、更に好ましくは99.0モル%以上、特に好ましくは100モル%である。前記一般式(2B)で表される繰り返し単位の含有割合を95モル%以上とすることにより、形成されるポリイミドフィルム又はシートの耐熱性、光学特性、耐折性、及び伸びを向上させることができる。
【0061】
また、前記一般式(3B)で表される繰り返し単位が、前記一般式(1B)で表される繰り返し単位に含まれる場合において、前記一般式(3B)で表される繰り返し単位の含有割合は95モル%以上であり、好ましくは97.0モル%以上、更に好ましくは99.0モル%以上、特に好ましくは100モル%である。前記一般式(3B)で表される繰り返し単位の含有割合を95モル%以上とすることにより、形成されるポリイミドフィルム又はシートの耐熱性、光学特性、耐折性、及び伸びを向上させることができる。
【0062】
前記一般式(1B)〜(3B)中、Rで示される4価の有機基としては、炭素数4〜27である、直鎖型若しくは分岐型の脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基又は芳香族基が直接若しくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式の脂肪族基若しくは芳香族基を挙げることができる。
【0063】
なお、本発明のポリアミド酸中の、前記一般式(1B)で表される繰返し単位の含有率は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%である。また、前記一般式(1B)の繰返し単位数は特に限定されるものではないが、好ましくは20〜10000である。
【0064】
高い割合で2,5−diexo−NBDA又は2−endo−5−exo−NBDAを含むジアミン成分を用いて合成される本発明のポリアミド酸は、他の異性体である2,6−NBDAを多く含むジアミン成分を用いて合成されるポリアミド酸に比して重合度が高くなり易い。このため、本発明のポリアミド酸を用いると、分子量が十分に大きいポリイミド、及び耐折性をはじめとする物理的特性が顕著に向上したフィルム又はシートを製造することができる。
【0065】
ポリアミド酸をN−メチル−2−ピロリドンに0.5g/dlの濃度で溶解させて得られる溶液(ワニス)の温度35℃における対数粘度は、0.1〜3であることが好ましく、0.3〜2.5であることが更に好ましく、0.5〜2.0であることが特に好ましい。対数粘度がこの数値範囲内であると、ワニスのハンドリングと得られるポリイミドの機械的な諸物性とのバランスが良好となるために好ましい。
【0066】
[3]ポリアミド酸及びポリイミドの製造方法:
本発明のポリイミドは、上述のポリアミド酸を熱的又は化学的に脱水閉環させることによって製造することができる。また、本発明のポリアミド酸は、下記式(I)で表される2,5−diexo−NBDAの含有率が95モル%以上、又は下記式(II)で表される2−endo−5−exo−NBDAの含有率が95モル%以上であるジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンを含むジアミン化合物と、下記一般式(V)で表されるテトラカルボン酸二無水物とを反応させる(重合させる)ことによって製造することができる。なお、下記一般式(V)中のRは4価の有機基を示す。
【0067】
【化15】

【0068】
[3−1]ジアミン化合物:
2,5−diexo−NBDAがジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンに含まれる場合において、2,5−diexo−NBDAの含有率は95モル%以上であり、好ましくは97.0モル%以上、更に好ましくは99.0モル%以上、特に好ましくは100モル%である。また、2−endo−5−exo−NBDAがジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンに含まれる場合において、2−endo−5−exo−NBDAの含有率は95モル%以上であり、好ましくは97.0モル%以上、更に好ましくは99.0モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0069】
2,5−diexo−NBDA及び2,5−diexo−NBDAは、NBDAに含まれるそれぞれの異性体のアミノ基を保護基で保護した後、2,5−diexo−NBDA又は2,5−diexo−NBDAに由来する異性体を結晶化と固液分離を含む分離操作により分離し、次いで分離した異性体の保護基を脱保護することによって製造することができる。
【0070】
原料となるNBDAは、下記式(I)で表される2,5−diexo−NBDA、下記式(II)で表される2−endo−5−exo−NBDA、下記式(III)で表される2−exo−6−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(以下、「2,6−diexo−NBDA」ともいう)、及び下記式(IV)で表される2−endo−6−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(「2−endo−6−exo−NBDA」とも記す)を含有する異性体混合物である。
【0071】
【化16】

【0072】
[3−1−1]NBDA:
NBDAとしては、従来公知の方法に従って製造されたものを用いることができる。具体的には、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2−カルボニトリルに、パラジウム触媒及びトリフェニルホスファイト、或いは0価ニッケル錯体触媒の存在下でシアン化水素を付加させてジシアノ体とした後、接触水素化することにより製造されたもの等を用いることができる。また、市販品としては三井化学社製の商品名「NBDA」がある。これらのNBDAには、通常、2,5−diexo−NBDAが約26質量%、2−endo−5−exo−NBDAが約36質量%、2,6−diexo−NBDAが約20質量%、及び2−endo−6−exo−NBDAが約18質量%の割合で含有されている。
【0073】
[3−1−2]アミノ基の保護:
先ず、NBDAに含まれるそれぞれの化合物のアミノ基を保護基により保護する。保護基の種類は特に限定されず、1級のアミノ基を保護することが可能な保護基であればよい。但し、試薬の取り扱い性や、保護された化合物(異性体)をそれらの結晶性の相違に基づいて分離する際の分離性の観点からは、フタルイミド基、t−ブチルオキシカルボニル基(t−BOC基)、又はベンジルオキシカルボニル基(Z−基)が好ましい。なお、アミノ基の保護基をフタルイミド基とした場合には、保護された異性体どうしの結晶性の差が大きくなるため、結晶化と固液分離により異性体をより簡便に分離しやすくなるために好ましい。
【0074】
[3−1−3]異性体の分離:
次に、保護基によってアミノ基が保護された異性体のうち、2,5−diexo−NBDA及び2−endo−5−exo−NBDAに由来する異性体を、結晶化と固液分離を含む分離操作によりそれぞれ分離する。保護基の種類がフタルイミド基、t−BOC基、及びZ−基である場合を例に挙げると、下記式(I−1)〜(I−3)、及び下記式(II−1)〜(II−3)で表される異性体をそれぞれ分離する。
【0075】
【化17】

【0076】
【化18】

【0077】
例えば、各種溶媒を用いた固液分離や再結晶を行うこと等により、アミノ基が保護された異性体を分離することができる。このとき、用いる溶媒の種類や温度等を適宜選択・設定することにより、2,5−diexo−NBDAに由来する異性体のみを実質的に含有する分画や、2−endo−5−exo−NBDAに由来する異性体のみを実質的に含有する分画を得ることができる。
【0078】
[3−1−4]脱保護:
分離した異性体の保護基を脱保護することにより、目的とする2,5−diexo−NBDA及び2−endo−5−exo−NBDAを得ることができる。保護基は、保護基の種類に応じて従来公知の方法に従って脱保護することができる。例えば、保護基がフタルイミド基である場合には、ヒドラジン等で処理することで脱保護することができる。保護基がt−BOC基である場合には、トリフルオロ酢酸等で処理することで脱保護することができる。また、保護基がZ−基である場合には、パラジウム触媒の存在下に水素添加すること等で脱保護することができる。
【0079】
なお、保護基を脱保護した後、必要に応じて精製して目的とする2,5−diexo−NBDA及び2−endo−5−exo−NBDAの純度を高めることが好ましい。精製方法は特に限定されないが、好適例として減圧蒸留、カラムによる分離、再結晶等の方法を挙げることができる。
【0080】
このようにして得られる2,5−diexo−NBDA及び2−endo−5−exo−NBDAの純度は、いずれも通常95%以上である。また、純度100%の2,5−diexo−NBDA及び2−endo−5−exo−NBDAは、常温・常圧下でいずれも液状(オイル状)である。なお、本明細書における2,5−diexo−NBDA及び2−endo−5−exo−NBDAの純度は、いずれもガスクロマトグラフィーによって分析及び算出される値である。
【0081】
[3−1−5]2,5−NBDAの製造:
以下、保護基の種類がフタルイミド基である場合を例に挙げ、2,5−NBDAの製造方法の更なる詳細について説明する。先ず、原料となるNBDAと無水フタル酸を、p−トルエンスルホン酸等の適当な触媒の存在下、有機溶媒中で加熱して脱水縮合させる。有機溶媒の具体例としては、トルエン、DMF等を挙げることができる。なお、系外に水分を排出しながら反応させることが好ましい。
【0082】
(1)2,5−diexo−NBDAの製造
NBDAと無水フタル酸の反応が終了した後、室温(25℃)まで冷却し、析出した結晶を濾取する。得られた結晶を、適当な有機溶媒を使用して再結晶するか、或いは有機溶媒中に分散させたスラリーを加熱するスラッジング処理を行うことによって精製することが好ましい。再結晶及びスラッジング処理に用いる有機溶媒の具体例としては、トルエン、アセトニトリル、キシレン、メチルセロソルブ、酢酸エチル等を挙げることができる。再結晶及び/又はスラッジング処理による精製を好ましくは2回以上行うことによって、前記式(I−1)で表される異性体を得ることができる。
【0083】
次に、前記式(I−1)で表される異性体を、イソプロピルアルコール、メタノール、メチルセロソルブ等の溶媒中、加熱条件下でヒドラジン一水和物と反応させると、2,5−diexo−NBDAのフタラジンジオン塩が反応系中に析出する。濾過して取り出した2,5−diexo−NBDAのフタラジンジオン塩を塩酸等の酸で処理して酸分解した後、水酸化ナトリウム等の塩基で中和すれば、2,5−diexo−NBDAの粗生成物を得ることができる。その後、有機溶媒による抽出、及び減圧蒸留すること等によって精製すれば、目的とする高純度の2,5−diexo−NBDAを得ることができる。
【0084】
(2)2−endo−5−exo−NBDAの製造
NBDAと無水フタル酸の反応が終了した後、室温(25℃)まで冷却し、析出した結晶を濾別して濾液を得る。得られた濾液を水中に徐々に投入し、析出した結晶を濾取する。得られた結晶を乾燥した後、100℃前後に加熱した有機溶媒に溶解させる。有機溶媒としてはトルエン、キシレン、メシチレン、メチルセロソルブ、メチルエチルケトン等を用いることができるが、なかでもトルエンが好ましい。結晶を有機溶媒に溶解させて得られた溶液を室温(25℃)まで冷却し、析出した結晶を濾別する。得られた濾液を加熱条件下で濃縮した後、好ましくは0〜50℃に冷却して析出した結晶を濾取する。得られた結晶を、必要に応じてDMF等の有機溶媒を用いて再結晶することにより、前記式(II−1)で表される異性体を得ることができる。
【0085】
次に、前記式(II−1)で表される異性体を、イソプロピルアルコール、メタノール、メチルセロソルブ等の溶媒中、加熱条件下でヒドラジン一水和物と反応させ、アミノ基を保護する保護基を脱保護する。生成したフタラジンジオンの結晶を濾別した後、濾液を濃縮すれば2−endo−5−exo−NBDAの粗生成物を得ることができる。その後、減圧蒸留すること等によって精製すれば、目的とする高純度の2−endo−5−exo−NBDAを得ることができる。
【0086】
[3−2]その他のジアミン化合物:
ポリアミド酸及びポリイミドを製造するためのジアミン化合物としては、本発明のポリイミドの特性を損なわない限りにおいて、必要に応じてジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン以外の脂環式ジアミン化合物を用いることも可能である。この脂環式ジアミン化合物の使用割合は、全ジアミン化合物に対して通常30モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
【0087】
脂環式ジアミン化合物の具体例としては、2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,5−ジアミノメチル−7,7−ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノメチル−7,7−ジフルオロビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノメチル−7,7,8,8−テトラフルオロビシクロ[2,2,2]オクタン、2,5−ジアミノメチル−7,7−ビス(ヘキサフルオロメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノメチル−7−オキサビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノメチル−7−チアビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノメチル−7−オキソビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノメチル−7−アザビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,6−ジアミノメチル−7,7−ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−7,7−ジフルオロビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−7,7,8,8−テトラフルオロビシクロ[2,2,2]オクタン、2,6−ジアミノメチル−7,7−ビス(ヘキサフルオロメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−7−チオビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−7−オキソビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−7−イミノビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,5−ジアミノ−7,7−ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7,7−ジフルオロビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7,7,8,8−テトラフルオロビシクロ[2,2,2]オクタン、2,5−ジアミノ−7,7−ビス(ヘキサフルオロメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7−オキサビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7−チアビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7−オキソビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7−アザビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,6−ジアミノ−7,7−ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7,7−ジフルオロビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7,7,8,8−テトラフルオロビシクロ[2,2,2]オクタン、2,6−ジアミノ−7,7−ビス(ヘキサフルオロメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−オキシビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−チオビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−オキソビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−イミノビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン等を挙げることができる。これらの脂環式ジアミン化合物は、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、立体異性体が存在する脂環式ジアミン化合物においては、立体異性体の混合物を用いても、異性体のうちのいずれかの成分を単離して用いても構わない。
【0088】
更に、ジアミン化合物として、本発明のポリイミドの特性を損なわない限りにおいて、必要に応じて芳香族ジアミン化合物、ジアミノシロキサン類、及び脂肪族ジアミン化合物(前記脂環式ジアミン化合物を除く)を用いることも可能である。これらのジアミン化合物の使用割合は、全ジアミン化合物に対して通常30モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
【0089】
芳香族ジアミン化合物の具体例としては、(A)ベンゼン環1個を有するジアミン化合物、(B)ベンゼン環2個を有するジアミン化合物、(C)ベンゼン環3個を有するジアミン化合物、(D)ベンゼン環4個を有するジアミン化合物、(E)ベンゼン環5個を有するジアミン化合物、(F)ベンゼン環6個を有するジアミン化合物、(G)芳香族置換基を有するジアミン化合物、及び(H)スピロビインダン環を有するジアミン化合物等を挙げることができる。
【0090】
(A)ベンゼン環1個を有するジアミン化合物の具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0091】
(B)ベンゼン環2個を有するジアミン化合物の具体例としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン等を挙げることができる。
【0092】
(C)ベンゼン環3個を有するジアミン化合物の具体例としては、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン等を挙げることができる。
【0093】
(D)ベンゼン環4個を有するジアミン化合物の具体例としては、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。
【0094】
(E)ベンゼン環5個を有するジアミン化合物の具体例としては、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン等を挙げることができる。
【0095】
(F)ベンゼン環6個を有するジアミン化合物の具体例としては、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン等を挙げることができる。
【0096】
(G)芳香族置換基を有するジアミン化合物の具体例としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0097】
また、(H)スピロビインダン環を有するジアミン化合物の具体例としては、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン等を挙げることができる。なお、これらの芳香族ジアミン化合物の芳香環上の水素原子の一部又は全部をフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、及びトリフルオロメトキシ基の少なくともいずれかの置換基で置換したジアミン化合物を用いることも可能である。
【0098】
(I)ジアミノシロキサン類の具体例としては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン等を挙げることができる。
【0099】
脂肪族ジアミン化合物(前記脂環式ジアミン化合物を除く)の具体例としては、(J)エチレングリコールジアミン類、(K)メチレンジアミン類等を挙げることができる。
【0100】
(J)エチレングリコールジアミン類の具体例としては、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル等を挙げることができる。
【0101】
(K)メチレンジアミン類の具体例としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等を挙げることができる。なお、これらの芳香族ジアミン化合物、ジアミノシロキサン類、及び脂肪族ジアミン化合物(前記脂環式ジアミン化合物を除く)は、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0102】
[3−3]テトラカルボン酸二無水物:
ジアミン化合物と反応させる(重合させる)テトラカルボン酸二無水物は、下記一般式(V)で表される化合物である。
【0103】
【化19】

【0104】
前記一般式(V)中、Rで示される4価の有機基としては、炭素数4〜27である、直鎖型若しくは分岐型の脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基又は芳香族基が直接若しくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式の脂肪族基若しくは芳香族基を挙げることができる。
【0105】
テトラカルボン酸二無水物は、(L)芳香族テトラカルボン酸二無水物と(M)脂肪族テトラカルボン酸二無水物のいずれであってもよい。なお、「芳香族テトラカルボン酸二無水物」とは、芳香族環に4つのカルボキシル基が直結したテトラカルボン酸の無水物を意味する。また、「脂肪族テトラカルボン酸二無水物」とは、脂肪族基の4つのカルボキシル基が直結したテトラカルボン酸の無水物を意味する。
【0106】
(L)芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
【0107】
(M)脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0108】
[3−4]芳香族ジカルボン酸無水物、及び脂肪族又は芳香族モノアミン:
ポリアミド酸及びポリイミドの分子末端は封止されていなくてもよいが、封止されていてもよい。分子末端を封止する場合には、アミン化合物やジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で封止することが好ましい。ポリアミド酸及びポリイミドの分子末端を封止するために用いられる化合物としては、下記一般式(VI)で表される芳香族ジカルボン酸無水物、及び下記一般式(VII)で表される芳香族モノアミンが好ましい。
【0109】
【化20】

【0110】
前記一般式(VI)中、Zは、炭素数6〜15である、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、又は芳香族基が直接若しくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基を示す。
【0111】
【化21】

【0112】
前記一般式(VII)中、Zは、炭素数6〜15である、直鎖型若しくは分岐型の脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基又は芳香族基が直接若しくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式の脂肪族基又は芳香族基である。
【0113】
(N)芳香族ジカルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、4−フェニルフタル酸無水物、4−フェノキシフタル酸無水物、4−フェニルスルフィニルフタル酸無水物、4−フェニルスルホニルフタル酸無水物、4−フェニルカルボニルフタル酸無水物、4−(2−フェニルイソプロピル)フタル酸無水物、4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルイソプロピル)フタル酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物等を挙げることができる。これらの芳香族ジカルボン酸無水物は、2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、これらの芳香族ジカルボン酸無水物の使用割合は、全ジアミン化合物1モルに対して通常0.001〜1.0モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
【0114】
(O)脂肪族または芳香族モノアミンの具体例としては、シクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、ベンジルアミン、4−メトキシベンジルアミン、2−メトキシベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、n−ヘキシルアミン、アニリン、トルイジン類、キシリジン類、クロロアニリン類、ブロモアニリン類、ニトロアニリン類、アミノフェノール類、アニシジン類、フェネジン類、アミノベンツアルデヒド類、アミノベンゾニトリル類、アミノビフェニル類、アミノフェニルフェニルエーテル類、アミノベンゾフェノン類、アミノフェニルフェニルスルフィド類、アミノフェニルフェニルスルホン類、ナフチルアミン類、アミノナフトール類、アミノアントラセン類等を挙げることができる。これらの脂肪族または芳香族モノアミンは、2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、これらの脂肪族または芳香族モノアミンの使用割合は、全ジアミン化合物1モルに対して通常0.001〜1.0モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
【0115】
[3−5]ポリアミド酸の製造:
ジアミン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを重合反応させるに当たり、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物のモル比(ジアミン化合物/テトラカルボン酸二無水物)は、通常0.9〜1.1の範囲とする。但し、低分子量のポリアミド酸を得ようとする場合は、0.75以上0.9未満の範囲、又は1.1を超え(1.1を含まない)1.25以下の範囲で重合反応を行うことも可能である。
【0116】
重合反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒としては、(a)フェノール系溶媒、(b)非プロトン性アミド系溶媒、(c)エーテル系溶媒、(d)アミン系溶媒、(e)その他の溶媒等を挙げることができる。なかでも(b)非プロトン性アミド系溶媒、又は(c)エーテル系溶媒が好ましい。
【0117】
(a)フェノール系溶媒の具体例としては、フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等を挙げることができる。
【0118】
(b)非プロトン性アミド系溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド等を挙げることができる。
【0119】
(c)エーテル系溶媒の具体例としては、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、アニソール等を挙げることができる。
【0120】
(d)アミン系溶媒の具体例としては、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンン等を挙げることができる。
【0121】
(e)その他の溶媒の具体例としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素等を挙げることができる。これらの溶媒は、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0122】
重合反応に際して、溶媒中におけるジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物の合計の濃度は、通常5〜40重量%であり、好ましくは10〜30重量%である。
【0123】
反応温度、反応時間、及び反応圧力には特に制限はなく、公知の条件を適用することができる。反応温度は−10〜100℃が好ましく、氷冷温度付近〜50℃が更に好ましく、室温付近(25℃)前後が実用的で特に好ましい。反応時間は、使用する溶媒の種類や反応条件等により異なるが、1〜48時間とすることが好ましく、2〜十数時間とすることが更に好ましく、4〜10時間が特に好ましい。なお、反応圧力は常圧で十分である。このようにして反応を行うことにより、ポリアミド酸、又はポリアミド酸が溶媒に溶解したワニスを得ることができる。
【0124】
[3−6]ポリイミドの製造:
ポリイミドは、ポリアミド酸を熱的又は化学的に脱水閉環させ、イミド化することによって製造することができる。イミド化には、化学イミド化法と熱イミド化法に大別されるが、これらの方法を併用した方法を含めて全ての脱水イミド化方法を適用することができる。
【0125】
化学イミド化法は、ポリアミド酸と、加水分解能を有する脱水剤とを反応させて化学的に脱水を行う方法である。脱水剤としては、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物等の脂肪族カルボン酸無水物;ポリリン酸、五酸化リン等のリン酸誘導体;これらの混合酸無水物;塩化メタンスルホン酸、五塩化リン、塩化チオニル等の酸塩化物等を挙げることができる。これらの脱水剤は、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。脱水剤の使用量は、全ジアミン化合物1モルに対して、通常2〜10モル、好ましくは2.1〜4モルである。
【0126】
また、化学イミド化法においては、塩基触媒を共存させることもできる。塩基触媒としては、前述の(e)アミン系溶媒を用いることができる。なお、それ以外にもイミダゾール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の有機塩基;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基を用いることもできる。塩基触媒の使用量は、全ジアミン化合物1モルに対して、通常0.001〜0.50モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。
【0127】
化学イミド化法の反応温度、反応時間、及び反応圧力には特に制限はなく、公知の条件が適用できる。反応温度は、−10〜120℃が好ましく、室温(25℃)付近〜70℃が更に好ましく、室温(25℃)前後が実用的に最も好ましい。反応時間は、使用する溶媒の種類や反応条件により異なるが、1〜24時間が好ましく、2〜10時間が更に好ましい。反応圧力は常圧で十分である。反応雰囲気には空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンを用いることができ、特に制限はないが、不活性気体である窒素やアルゴンを用いることが好ましい。
【0128】
熱イミド化法は、(i)ポリアミド酸を加熱して熱的に脱水を行う方法、又は(ii)ポリアミド酸を単離せず、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを溶媒中に溶解若しくは懸濁した状態のまま加熱し、ポリアミド酸を形成する重合反応と脱水イミド化反応を同時に進行させる方法、である。
【0129】
上記(i)の方法において用いるポリアミド酸の状態は、溶媒中に溶解した状態、溶媒中に分散した状態、粉末状又は顆粒状固体等のいずれでもよい。また、ポリアミド酸の溶液又は懸濁液を加熱する場合、脱水イミド化反応の進行とともに溶媒を蒸発除去しても、溶媒を還流させるようにしてもよい。溶媒を蒸発除去する場合は、フィルム又はシートを形成する場合等に好適である。また、溶媒を還流させる場合は、反応器内で脱水イミド化反応させるのに好適である。
【0130】
上記(ii)の方法において用いられる溶媒は、前述の(a)フェノール系溶媒が好ましい。また、熱イミド化法は、化学イミド化法と同様、塩基触媒を共存させて行うこともできる。使用可能な塩基触媒及び塩基触媒の好適な使用量は、前述の化学イミド化法の場合と同様である。
【0131】
熱イミド化法の反応温度、反応時間、及び反応圧力には特に制限はなく、公知の条件が適用できる。反応温度は、80〜400℃が好ましく、100〜300℃が更に好ましく、150〜250℃が実用的に最も好ましい。反応時間は、使用する溶媒の種類や反応条件により異なるが、0.5〜24時間が好ましく、2〜10時間が更に好ましい。反応圧力は常圧で十分である。反応雰囲気には空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンを用いることができ、特に制限はないが、不活性気体である窒素やアルゴンを用いることが好ましい。
【0132】
本発明のポリイミドは、溶融成形加工が可能なものである。適用可能な成形方法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、焼結成形、ブロー成形、真空成形、回転成形、粉末成形、反応射出成形、積層成形、及び注形成形等を挙げることができる。これらの成形方法により、ポリイミドをフィルム状又はシート状に成形することもできる。
【実施例】
【0133】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各種物性値の測定方法は以下に示す通りである。
【0134】
[対数粘度(ηinh)]:固形分濃度が0.5g/dlとなるようにポリアミド酸をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解して得られたワニスの35℃における対数粘度(ηinh(dl/g))を測定した。
【0135】
[E型機械粘度]:E型機械粘度計(東京計機社製)を使用し、DMAcで20重量%に希釈したワニスの25℃におけるE型機械粘度(mPa・s)を測定した。
【0136】
[ガラス転移温度(Tg)]:熱機械分析装置(TMA−50、島津製作所社製)を使用し、窒素気流下、昇温速度を5℃/分としてポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg(℃))を熱機械分析(TMA)により測定した。
【0137】
[5%重量減少温度(Td5)]:熱機械分析装置(TGA−50、島津製作所社製)を使用し、空気中、昇温速度を10℃/分としてポリイミドフィルムの5%重量減少温度(Td5(℃))を熱機械分析(TMA)により測定した。
【0138】
[引張破断伸度(EL)]:小型卓上試験機(EZ−TEST−100N、島津製作所社製)を使用し、ASTM−D−822に準拠してポリイミドフィルムの引張破断伸度(EL(%))を測定した。
【0139】
[耐折度(折り曲げ回数(MIT))]:MIT型耐折度試験機(安田精機製作所社製)を使用し、JIS−P8115に準拠してポリイミドフィルムが破断するまでの折り曲げ回数(MIT(回))を測定した。測定は加重4.9Nにおいて3回行い、その平均値を採用した。
【0140】
[屈折率及び複屈折率]:プリズムカップラー(2010型、メトリコン社製)を使用し、波長1550nmでポリイミドフィルムの屈折率及び複屈折率を測定した。
【0141】
[透過率]:フォトダイオードアレイ分光光度計(MultiSpec−1500、島津製作所社製)を使用し、波長450nmでポリイミドフィルムの透過率(%)を測定した。
【0142】
(合成例1)
撹拌装置、滴下漏斗、温度計、コンデンサー、窒素導入管、及びディーンスターク水分離器を備え付けた300mlガラス製反応装置に、無水フタル酸325.9g(2.2mol)、p−トルエンスルホン酸0.75g、N,N−ジメチルホルムアミド1250g、及びトルエン250gを装入し、窒素雰囲気下において撹拌しながら140℃へ昇温した。トルエン還流下において140〜145℃を維持しながら、4種の異性体混合物である、ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(商品名:NBDA、三井化学社製)154.3g(1.0mol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド154.3gの混合溶液を、90分かけて徐々に滴下した。途中反応により生成する水はトルエンとの共沸によりディーンスターク水分離器により系外へ排出し、トルエンは系内へ戻した。滴下終了後、同温度を6時間維持して充分に反応を進行させた後、放冷により室温まで冷却し、析出した白色結晶を濾取した。なお、NBDAのアミノ基をフタルイミド化する際の反応式を以下に示す。
【0143】
【化22】

【0144】
得られた白色結晶をHPLCで分析したところ、83.7面積%の主成分を含む混合物であることが判明した。なお、収量は97.5gであった。一方、濾液(以下、「濾液A」と記す)をHPLCで分析したところ、この濾液Aには、3種の主生成物、及び上記白色結晶と同様の保持時間で溶出するピークを含む極僅かな混合物が含まれていることが判明した。
【0145】
得られた白色結晶を400gのアセトニトリル中に分散させてスラリー状態とし、スラリー状態のまま加熱して30分間還流した。室温まで冷却した後、85.0gの白色結晶を得た。HPLCで分析した得られた白色結晶の純度(領域面積に基づく)は97.3%であった。得られた白色結晶を450gのトルエン中に分散させてスラリー状態とし、スラリー状態のまま加熱して70℃で1時間スラッジングした後、60〜65℃で熱濾過することで白色結晶を得た。HPLCで分析した得られた白色結晶の純度(領域面積に基づく)は100.0%であり、収量は73.0gであり、NBDAからの収率は17.6%であった。また、得られた白色結晶のNMRチャートを図1に示す。図1に示すNMRチャートから、得られた白色結晶は前記式(I−1)で表される2,5−diexo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンであることが判明した。なお、13C−NMRは、日本電子社製の「ECA500」(500MHz)を使用し、重クロロホルムを溶媒として用いて測定した。
【0146】
撹拌装置、温度計、温度計、窒素導入管、及びコンデンサーを備え付けた1000mlガラス製反応装置に、上記(1)の操作を繰り返し行って得られた2,5−diexo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン124.4g(0.3mol)及びイソプロピルアルコール1200gを装入し、撹拌しながら60℃まで加熱した。同温度を維持しながら96%ヒドラジン(1水和物)90.0g(1.8mol)を1時間かけて滴下した。同温度を維持しながら更に3時間撹拌して反応を完結させた。なお、HPLCで2,5−diexo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの消失を確認することにより、反応の完結(終点)を確認した。反応終了後、室温まで冷却し、析出した2,5−diexo−NBDAのフタラジンジオン塩(以下単に「フタラジンジオン塩」と記す)を濾過して単離した。
【0147】
撹拌装置、温度計、及び滴下漏斗を備え付けた3000mlガラス製反応装置に単離したフタラジンジオン塩を装入し、水340gを加えて撹拌してスラリー状態とした。撹拌しながら14.2質量%塩化水素水溶液840g(3.26mol)を1時間かけて滴下し、塩を酸分解して2,5−diexo−NBDA塩酸塩とした。続けて30質量%水酸化ナトリウム水溶液520.8gを1時間かけて滴下し、2,5−diexo−NBDA塩酸塩を中和した後、固形分を濾過した。ロータリーエバポレーターを使用して濾液を濃縮し、塩化ナトリウム、フタラジンジオン、少量の水酸化ナトリウム、及び2,5−diexo−NBDAを含む淡黄色の塊状物を得た。なお、フタルイミド基を脱保護する際の反応式を以下に示す。
【0148】
【化23】

【0149】
得られた塊状物にトルエン600gを添加してよく撹拌し、目的物である2,5−diexo−NBDAをトルエンに溶解させた。固形分を濾別した後、ロータリーエバポレーターを使用して濾液を濃縮し、少量のトルエンを含む41.5gの淡黄色液体を得た。得られた液体について170〜175℃に加熱された油浴中、2.8〜3.5kPaの減圧度で減圧蒸留を行ったところ、無色透明の2,5−diexo−NBDA30.2gを得た。ガスクロマトグラフィーにより分析した2,5−diexo−NBDAの純度は100%であり、2,5−diexo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンからの収率は65.3%であった。また、DSCにより融点を測定しようとしたところ−20℃においても結晶化しなかった。得られた2,5−diexo−NBDAのNMRチャートを図2に示す。また、原材料であるNBDA及び得られた2,5−diexo−NBDAのガスクロマトグラフィー(GC)チャートを図3及び4にそれぞれ示す。なお、ガスクロマトグラフィーの条件を以下に示す。
【0150】
カラム種類:無極性カラム、商品名「ZB−1」、Phenomenex社製
カラムサイズ:内径×長さ×膜厚=0.53mm×30m×3μm
キャリアーガス:ヘリウム
カラム圧力:定圧モード20kPa
カラム温度:160℃
試料気化室及び検出部温度:280℃
【0151】
(合成例2)
撹拌装置、滴下漏斗、及び温度計を備え付け、水3500gを装入したガラス製反応装置に、上記合成例1の操作で得られた濾液Aを30分かけて滴下し、結晶を析出させた。析出した結晶を濾別及び乾燥した後、100℃に加熱した800gのトルエンに溶解した。得られた溶液を放冷し、室温(25℃)まで冷却して生じた結晶を濾別した。ロータリーエバポレーターを使用し、約400mlになるまで濾液を濃縮した。濃縮した濾液を放冷したところ徐々に白色結晶が析出した。50℃まで冷却したところで濾過し、85.0gの白色結晶を得た。得られた白色結晶をHPLCで分析したところ、88.4面積%の主成分を含む混合物であることが判明した。この混合物(白色結晶)の全量を420gのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させて再結晶を行い、56.0gの白色結晶を得た。HPLCで分析した得られた白色結晶の純度(領域面積に基づく)は100.0%であり、NBDAからの収率は9.0%であった。また、得られた白色結晶のNMRチャートを図5に示す。図5に示すNMRチャートから、得られた白色結晶は前記式(II−1)で表される2−endo−5−exo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンであることが判明した。
【0152】
撹拌装置、温度計、温度計、窒素導入管、及びコンデンサーを備え付けた1000mlガラス製反応装置に、上記(3)の操作を繰り返し行って得られた2−endo−5−exo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン124.4g(0.3mol)及びイソプロピルアルコール1000gを装入し、撹拌しながら60℃まで加熱した。同温度を維持しながら96%ヒドラジン(1水和物)90.1g(1.8mol)を1時間かけて滴下した。同温度を維持しながら更に3時間撹拌して反応を完結させた。なお、HPLCで2−endo−5−exo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの消失を確認することにより、反応の完結(終点)を確認した。反応終了後、室温まで冷却し、析出したフタラジンジオンを濾別した。また、目的物である2−endo−5−exo−NBDAが濾液中に存在していることをガスクロマトグラフィーによりで分析することにより確認した。なお、フタルイミド基を脱保護する際の反応式を以下に示す。
【0153】
【化24】

ロータリーエバポレーターを使用して濾液を濃縮し、少量の溶媒及びヒドラジンを含む41.9gの淡黄色液体を得た。得られた液体について170〜175℃に加熱された油浴中、2.8〜3.5kPaの減圧度で減圧蒸留を行ったところ、無色透明の2−endo−5−exo−NBDA35.7gを得た。ガスクロマトグラフィーにより分析した2−endo−5−exo−NBDAの純度は100%であり、2−endo−5−exo−ビスフタルイミドメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンからの収率は77.2%であった。また、DSCにより融点を測定しようとしたところ−20℃においても結晶化しなかった。得られた2−endo−5−exo−NBDAのNMRチャートを図6に示す。また、得られた2−endo−5−exo−NBDAのガスクロマトグラフィー(GC)チャートを図7に示す。
【0154】
(実施例1)
撹拌装置、温度計、温度計、窒素導入管、及びコンデンサーを備え付けた200mlガラス製反応装置に、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)61.81g及びピロメリット酸二無水物(PMDA)21.81g(0.10mol)を装入し、窒素気流下で撹拌しながら氷水冷して10℃以下に冷却した。冷却及び撹拌を続けながら、合成例1で得られた2,5−diexo−NBDA15.4g(0.10mol)及びDMAc15.4gの混合溶液を、内温が10℃を上回らない様に2時間かけて徐々に滴下した。なお、滴下途中にアミド酸中のカルボン酸とアミノ基の塩と想定される白色結晶の析出は認められなかった。滴下終了後、10℃以下で2時間し、次いで室温(25℃)で6時間撹拌することにより、2−diexo−NBDAとPMDAからなるポリアミド酸ワニスを得た。得られたワニスの対数粘度は0.94dl/gであり、E型機械粘度は24500mPa・sであった。
【0155】
(実施例2)
2,5−diexo−NBDAに代えて、合成例2で得られた2−endo−5−exo−NBDAを用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして2−endo−5−exo−NBDAとPMDAからなるポリアミド酸ワニスを得た。得られたワニスの対数粘度及びE型機械粘度の測定結果を表1に示す。
【0156】
(比較例1)
2,5−diexo−NBDAに代えて、4種の異性体混合物であるジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(商品名:NBDA、三井化学社製)を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にしてNBDAとPMDAからなるポリアミド酸ワニスを得た。得られたワニスの対数粘度及びE型機械粘度の測定結果を表1に示す。
【0157】
【表1】

【0158】
(実施例3)
実施例1で得られたポリアミド酸のワニスをガラス板上にキャストし、窒素気流下において50℃から250℃まで2時間かけて昇温した。引き続き250℃で2時間焼成することにより、厚さ約30μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg)は不明瞭であり、5%重量減少温度(Td5)は402℃であり、引張破断伸度(EL)は44%であり、折り曲げ回数(MIT)は10000回であった。また、得られたポリイミドフィルムの屈折率は1.5691であり、複屈折率は0.0075であり、透過率は73.8%であった。
【0159】
(実施例4)
実施例2で得られたポリアミド酸のワニスをガラス板上にキャストし、窒素気流下において50℃から250℃まで2時間かけて昇温した。引き続き250℃で2時間焼成することにより、厚さ約30μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg)、5%重量減少温度(Td5)、引張破断伸度(EL)、折り曲げ回数(MIT)、屈折率、複屈折率、及び透過率の測定結果を表2に示す。
【0160】
(比較例2)
比較例1で得られたポリアミド酸のワニスをガラス板上にキャストし、窒素気流下において50℃から250℃まで2時間かけて昇温した。引き続き250℃で2時間焼成することにより、厚さ約30μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg)、5%重量減少温度(Td5)、引張破断伸度(EL)、折り曲げ回数(MIT)、屈折率、複屈折率、及び透過率の測定結果を表2に示す。
【0161】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明のポリイミドによって形成されるフィルム又はシートは、各種電子部品の構成材料として用いられるポリイミドフィルムとして好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1A)で表される繰り返し単位を有するポリイミドであって、
下記一般式(1A)で表される繰り返し単位には、下記一般式(2A)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるか、又は下記一般式(3A)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるポリイミド。
【化1】

【化2】

【化3】

(前記一般式(1A)〜(3A)中、Rは4価の有機基を示す)
【請求項2】
前記一般式(1A)で表される繰り返し単位に含まれる、前記一般式(2A)で表される繰り返し単位の割合が95〜100モル%である請求項1に記載のポリイミド。
【請求項3】
前記一般式(1A)で表される繰り返し単位に含まれる、前記一般式(3A)で表される繰り返し単位の割合が95〜100モル%である請求項1に記載のポリイミド。
【請求項4】
前記一般式(1A)〜(3A)中、Rは、炭素数4〜27である、直鎖型若しくは分岐型の脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基又は芳香族基が直接若しくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式の脂肪族基若しくは芳香族基である請求項1に記載のポリイミド。
【請求項5】
下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸であって、
下記一般式(1B)で表される繰り返し単位には、下記一般式(2B)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるか、又は下記一般式(3B)で表される繰り返し単位が95モル%以上含まれるポリアミド酸。
【化4】

【化5】

【化6】

(前記一般式(1B)〜(3B)中、Rは4価の有機基を示す)
【請求項6】
前記一般式(1B)で表される繰り返し単位に含まれる、前記一般式(2B)で表される繰り返し単位の割合が95〜100モル%である請求項5に記載のポリアミド酸。
【請求項7】
前記一般式(1B)で表される繰り返し単位に含まれる、前記一般式(3B)で表される繰り返し単位の割合が95〜100モル%である請求項5に記載のポリアミド酸。
【請求項8】
前記一般式(1B)〜(3B)中、Rは、炭素数4〜27である、直鎖型若しくは分岐型の脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基又は芳香族基が直接若しくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式の脂肪族基若しくは芳香族基である請求項5に記載のポリアミド酸。
【請求項9】
N,N−ジメチルアセトアミドに0.5g/dlの濃度で溶解させた溶液の温度35℃における対数粘度が0.1〜3である請求項5〜8のいずれか一項に記載のポリアミド酸。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか一項に記載のポリアミド酸を熱的又は化学的に脱水閉環させる工程を含むポリイミドの製造方法。
【請求項11】
下記式(I)で表される2,5−diexo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの含有率が95モル%以上、又は下記式(II)で表される2−endo−5−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの含有率が95モル%以上であるジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンと、
下記一般式(V)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、を反応させる工程を含むポリアミド酸の製造方法。
【化7】

(前記一般式(V)中、Rは4価の有機基を示す)
【請求項12】
前記ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン中、前記式(I)で表される2,5−diexo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの含有率が95〜100モル%である請求項11に記載のポリアミド酸の製造方法。
【請求項13】
前記ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン中、前記式(II)で表される2−endo−5−exo−ジアミノメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの含有率が95〜100モル%である請求項11に記載のポリアミド酸の製造方法。
【請求項14】
前記テトラカルボン酸二無水物が、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物の少なくともいずれかである請求項11〜13のいずれか一項に記載のポリアミド酸の製造方法。
【請求項15】
請求項5〜9のいずれか一項に記載のポリアミド酸を含むワニス。
【請求項16】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイミドから形成されるフィルム又はシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−201952(P2011−201952A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68200(P2010−68200)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】