説明

ポリイミド粉末およびその製造方法

【課題】フィルム状ポリイミド樹脂が機械的に粉末化すること非常に困難なので化学的に粉末化する方法を提供する。
【解決手段】ポリイミドフィルムを原料として、酸アルカリの溶液を使用して、0.2〜180ミクロン粒子のポリイミド粉末を製造する方法。特に、製造現場で発生した屑フィルムを使用する。また、ポリイミドフィルムを原料として、酸とアルカリの溶媒を使用して、ペースト状、またはコロイド溶液の状態を形成する製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルム状ポリイミド樹脂が機械的に粉末化すること非常に困難なので化学的に粉末化することを、提供する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂は、 耐熱性 機械強度 電気絶縁性 耐薬品性等の優れた特性を有するため 圧縮成形の樹脂体を製造する際の原料等樹脂加工分野で広く利用されている。
【0003】
これまでのポリイミドの粉末化としては、ポリアミド酸溶液を第3級アミン存在下で加熱して得られる芳香族ポリイミド粉体(例えば、特許文献1,特許文献2参照
【0004】
ポリイミドフルムを粉砕し平面状の粉体をつくる(特許文献3参照)
【特許文献1】特公昭39−30060号公報
【特許文献2】特開平4−142332号公報
【特許文献3】特開2008−56755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来技術における問題点を検討した結果達成されたものである。
【0006】
したがって、本発明の目的は、使用時に凝集し難いポリイミド粉体およびこのポリイミド粉体を、酸とアルカリ溶媒を使用して効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また、本発明の上記ポリイミド粉体の製造方法は、ポリイミドフィルムを原料としこれを酸とアルカリ溶媒を使用して粉体化することを特徴とし、原料ポリイミドフィルムは製造現場で発生した屑フィルムを使用することが出来、時代にマッチした産業廃棄物リサイクル事業に貢献する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下に説明するとおり、使用時に凝集し難いポリイミド粉体を酸とアルカリ溶媒を使用して効率的に製造することができる。
【0009】
また、ポリイミド製造の現場では製品ロールを作製する際に破棄される屑フィルムが多量に発生する。このポリイミドフィルムは熱をかけても溶融せず、また有機溶剤にも溶解しないためこのポリイミドフィルムの状態でのリサイクルは不可能である。そのため一般に屑フィルムの処理は埋め立てや焼却処理されている。本発明によればこれらの屑フィルムを原料として微粉化して再利用することにより、産業廃棄物問題も解決する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ポリイミドは物性的にアルカリ性に弱い性質なのでその弱点を利用してPH8〜13程度のアルカリ溶媒に浸漬し攪拌するとペースト状になりコロイド状の粒子が分散する。
【0011】
この状態に酸性溶液を加えてPH1〜6酸性化するとコロイド状の粒子が固形化する。
【0011】
以上の工程中の加水分解を防ぐために水の変わりにグリコール系溶剤、例えばプロピレングリコール、グリセリン等を使用すると良い。又アルカリ水でアルカリ度の高いものでも、使用可能である。
【0012】
製造する際に原料として使用するポリイミドフィルムはどのような厚さのフィルムでもよく、また組成も特に限定されない。原料として市販のポリイミドフィルムを使用することもできる。
【0013】
これら一連の工程は温度が25以上の方が良い。
【0014】
固形化したものを水洗、濾過、乾燥する。
【0015】
固形化されたポリイミド粉体の粒子は、180ミクロンから0.2ミクロン迄微粉化されるが用途によって、粒径を調節することができる。
【実施例】
【0016】
ポリイミドフイルム2cm程度の機械粉砕品30gに水30gとカ性ソーダー5gを加え、加熱攪拌した。60度を過ぎると軟化が始まり75度でペースト状に成った。
【0017】
ポリイミドフイルム2cm程度の機械粉砕品30gにグリセリン30gとカ性ソーダー5gを加え、加熱攪拌した。60度を過ぎると軟化が始まり71度でペースト状に成った。
【0018】
ポリイミドフイルム2cm程度の機械粉砕品30gにアルカリ水ph13を加え攪拌した。68度過ぎると軟化が始まり78度でペースト状に成った。
【産業上の利用可能性】
【0019】
研磨剤として使用可能である。
【0020】
金属に密着性が良いので、光触媒のバインダー
【0021】
耐熱性を利用して、金、銀等鍍金加工時に混合してバインダー
【0022】
本発明のポリイミド粉末は、耐熱性 電気絶縁性 耐薬品性等の優れた特性を持ち、使用時に凝集し難く取り扱いがよいため、樹脂加工分野で広く使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドフィルムを原料として、酸とアルカリの溶媒を使用して0.2〜180ミクロンのポリイミド粉体の製造方法。
【請求項2】
原料のポリイミドフィルムは製造現場で発生した屑フィルムを使用することを特徴とする請求項1記載のポリイミド粉体の製造方法。
【請求項3】
ポリイミドフィルムを原料として、酸とアルカリの溶媒を使用して、ペースト状、またはコロイド溶液の状態を形成する請求項1記載のポリイミド粉体の製造方法。

【公開番号】特開2011−162570(P2011−162570A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186113(P2009−186113)
【出願日】平成21年7月18日(2009.7.18)
【出願人】(501418775)
【出願人】(502322899)
【Fターム(参考)】