説明

ポリイミド被覆ファイバの製造方法

【課題】 ファイバ伝送特性に悪影響をもたらすことがなく、しかも製造速度を遅延させることなく良好な被覆状態を実現することができるとともに、外観不良を引き起こすことのないポリイミド被覆ファイバの製造方法を提供する。
【解決手段】 光ファイバ母材から線引きした裸ファイバ1にポリイミド樹脂を被覆して硬化するポリイミド硬化工程において、ポリイミド樹脂の硬化を抑えた状態でポリイミド樹脂に含まれる溶剤の殆どを揮発させる揮発プロセスと、残った溶剤を揮発させるとともにポリイミド樹脂の硬化を促進させる仮硬化プロセスと、残った溶剤が殆ど残らない状態になるように揮発させるとともにポリイミド樹脂の硬化を完全になるよう促進させる本硬化プロセスとの各作業は、それぞれ別の硬化炉24〜27を用いて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行するファイバにポリイミド樹脂をコーティングするポリイミド被覆ファイバの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバにポリイミド樹脂をコーティングして高温での使用を可能とするポリイミド被覆ファイバが知られている。また、このファイバなどの線状体にポリイミド樹脂をコーティングする被覆方法として、例えば特許文献1に記載の方法も知られている。
【0003】
このポリイミド樹脂の被覆方法では、図5に示すように、ポリイミド樹脂を供給する供給装置101と、この供給装置101から送り出されるポリイミド樹脂を線状体100に被覆するコーティング装置102と、被覆したポリイミド樹脂を硬化させる硬化炉103と、硬化炉103内へ不活性ガスを送り込むガス供給装置104と、図示外の巻取り機などを備えた装置を用い、硬化炉103の温度を500℃以上とし、硬化炉103内を不活性ガスの雰囲気として、線状体100にポリイミド樹脂を被覆している。
【特許文献1】特開昭63−1489号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このポリイミド被覆ファイバでは、耐熱性に優れたポリイミド樹脂から脱溶剤及びポリイミド化の硬化反応により、ポリイミド樹脂がファイバに被覆される。ところが、この被覆の際には、ポリイミド樹脂に溶剤が多く含まれていることから、加熱して溶剤を除去して硬化させるために、十分な加熱が必要である。つまり、得られるポリイミド被覆の品質は、硬化度及び残留溶剤の量的な影響を受ける。このため、良好な被覆状態とするには、最適な温度条件で硬化させることが必要となる。
【0005】
ところが、従来の装置では、効率的な溶剤の揮発、硬化を促す構成になっていない。このため、ポリイミド樹脂を、外部応力による特性への影響を受け易いファイバに被覆した場合、硬化不良により被覆表面状態が粘性を持ち、ファイバ伝送特性が不良となる虞がある。これは、単独の硬化炉(限られた硬化領域)では、ボリイミド硬化時に高い温度で硬化させることができない、即ち残留溶剤が残らないような硬化(温度付加)ができないので、溶剤の揮発・硬化が不十分なまま、ポリイミド被覆が形成されることになる。また、残留溶剤により泡が発生することがあり、外観不良やファイバ特性の劣化をもたらす可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、ファイバ伝送特性に悪影響をもたらすことがなく、しかも製造速度を遅延させることなく良好な被覆状態を実現することができるとともに、外観不良をもたらすことのないポリイミド被覆ファイバの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のポリイミド被覆ファイバの製造方法は、線引きされたガラスファイバにポリイミド樹脂を被覆して硬化するポリイミド硬化工程において、前記ポリイミド樹脂の硬化を抑えた状態で前記ポリイミド樹脂に含まれる溶剤の殆どを揮発させる揮発プロセスと、残った溶剤を揮発させるとともに前記ポリイミド樹脂の硬化を促進させる仮硬化プロセスと、仮硬化後、残った溶剤が殆ど残らない状態になるように揮発させるとともに前記ポリイミド樹脂の硬化を完全になるよう促進させる本硬化プロセスとを有し、前記各プロセスでの処理は、異なる硬化炉を用いて行うことを特徴としている。
【0008】
また、本発明のポリイミド被覆ファイバの製造方法において、前記各硬化炉での加熱温度は、前記プロセスの順で高くなるように、温度勾配をもたせることが好ましい。
【0009】
また、本発明のポリイミド被覆ファイバの製造方法は、前記各硬化炉の炉内での加熱温度を、入線側が低く出線側が高くなるように、温度勾配を持たせることが好ましい。
【0010】
また、本発明のポリイミド被覆ファイバの製造方法において、前記本硬化プロセスで用いる硬化炉は、該炉内を不活性ガス雰囲気とするとともに、前記炉内の酸素濃度を100ppm以下とすることが好ましい。
【0011】
また、本発明のポリイミド被覆ファイバの製造方法において、前記ポリイミド硬化工程は、前記一連のプロセスを少なくとも2回以上繰り返して行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、溶剤を十分に蒸発させることができるので、ファイバ伝送特性に悪影響をもたらすことがなく、外観不良を招くことがないポリイミド被覆ファイバの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るポリイミド被覆ファイバの製造方法を実施する被覆装置を示すものであり、このポリイミド被覆ファイバの被覆装置10は、コーティング装置11と、第1の硬化炉12と、第2の硬化炉13と、第3の硬化炉14と、これらの硬化炉12、13、14の間でファイバをガイドするガイドローラ15とを備える。コーティング装置11は、線引き後の走行中のガラスファイバ1に対して、ポリイミド樹脂を被覆する。第1〜第3の硬化炉12〜14は、ポリイミド樹脂を加熱するものであり、電気炉で構成される。なお、揮発プロセスとなる第1の硬化炉としては、揮発成分を回収できる吸排気を有した熱風炉が好ましい。
【0014】
このうち、第1の硬化炉12では、[表1]に記載のように、ポリイミド硬化工程のうち、最初のプロセスである揮発プロセスを行う。即ち、ポリイミド樹脂の硬化を抑えた状態でポリイミド樹脂に多く含まれる溶剤、例えばNメチル−2−ピロリドンなどの溶剤の殆どを揮発させる(これを「揮発プロセス」とよぶ)ため、所定の設定温度Tに加熱するものである。
次に行う硬化プロセスでは、溶剤がポリイミド樹脂に残留しないように段階的に効率的に硬化させるため、硬化プロセスを2つに分ける。このため、第2の硬化炉13では、前半の硬化プロセス(これを「仮硬化プロセス」とよぶ)を行う。このプロセスは、残った溶剤を揮発させるとともに、ポリイミド樹脂の硬化を促進させるためのプロセスである。このため、所定の設定温度Tに加熱する。一方、第3の硬化炉14では、硬化プロセスの後半を行う(これを「本硬化プロセス」とよぶ)。このプロセスは、残った溶剤が殆ど残らない状態になるように揮発させるとともにポリイミド樹脂の硬化を完全になるように促進させるためのプロセスである。このため、所定の設定温度Tに加熱する。なお、これらの硬化炉12〜14では、各設定温度T〜Tの値が順に高くなっている。つまり、各硬化炉は、徐々に高い温度に(T<T<T)設定してある。
【0015】
また、これら第1〜第3の硬化炉12〜14では、それぞれの硬化炉ごとに、炉内部に温度勾配を持たせており、ポリイミド樹脂に多く含まれる溶剤を段階的な温度付加により効率よく硬化させることで、ポリイミド被覆したファイバ2を製造する。
【0016】
このため、第1の硬化炉12内では、50℃の温度勾配を与える。即ち、第1の硬化炉12では、入線側である硬化炉上部での温度をT−25℃、出線側である硬化炉下部での温度をT+25℃に設定する。
【0017】
一方、第2の硬化炉13内でも、同様の温度勾配、つまり50℃の温度勾配を与える。即ち、入線側である上部での温度をT−25℃、出線側である下部での温度をT+25℃に設定する。
【0018】
さらに、第3の硬化炉14内でも、同様に50℃の温度勾配を与える。即ち、入線側である上部での温度をT−25℃、出線側である下部での温度をT+25℃に設定する。なお、この第3の硬化炉14では、酸素などの流入を防止するため、炉内に不活性ガス(例えばNなど)を供給するのが好ましい。
【0019】
【表1】

【0020】
次に、本実施形態のポリイミド被覆ファイバの製造方法について説明する。
線引き後のガラスファイバ1には、初めに、図1に示すように、コーティング装置11でポリイミド樹脂を被覆する。次に、被覆後の裸ファイバ1は、第1の硬化炉12、第2の硬化炉13、第3の硬化炉14を順次通過していく。このとき、硬化炉12〜14は、プロセス順に温度上昇するように、硬化炉間に温度勾配を持たせてある。さらに、各炉内でも、上部(裸ファイバ1の入線側)と下部(裸ファイバ1の出線側)で、それぞれ温度勾配を持たせている。従って、第1の硬化炉12〜第3の硬化炉14を通過するにつれて、加熱温度が次第に増大するような加熱処理が行える。これにより、効率的な溶剤の揮発・硬化を図ることができる。その結果、残留溶剤をなくした良好なポリイミド被覆ファイバが得られる。
【0021】
従って、ポリイミド硬化工程では、(I)溶剤を揮発させる揮発プロセス、(II)溶剤を硬化させる仮硬化プロセス、(III)本硬化プロセス、をそれぞれ別の硬化用炉12〜14を用いて行うため、十分に加熱し硬化させることができる。換言すれば、ポリイミド樹脂を段階的に効率よく硬化させることができ、残留溶剤をなくすことができる。これにより、気泡の発生を阻止した良好なポリイミド被覆ファイバ2が得られる。なお、この気泡が混入していると、クラッドに歪みなどを発生してファイバに側圧等が発生し伝送特性が落ちることがある。
【0022】
しかも、本実施形態では、各硬化炉12〜14の設定温度が順次増大するように温度勾配を持たせてあるだけでなく、各硬化炉12〜14の炉内部にも、それぞれ入線側よりも出線側を高くした温度勾配を持たせてある。このため、更に効率的な溶剤の揮発・硬化を促し、残留溶剤をなくすことができ、なお一層良好なポリイミド被覆ファイバが得られる。
【0023】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。
図2は、本発明の第2の実施形態に係るポリイミド被覆ファイバの製造方法を実施する被覆装置20を示すものである。このポリイミド被覆ファイバの被覆装置20では、ポリイミド塗布工程とポリイミド硬化工程と、を都合3度繰り返すようになっており、第1〜第3のコーティング装置21〜23と、第1の硬化炉24及び25と、第2の硬化炉26と、第3の硬化炉27と、これらの硬化炉24〜27の間で裸ファイバ1の走行をガイドするガイドローラ15、28、29とを備える。
【0024】
第1〜第3のコーティング装置21〜23は、ポリイミド樹脂を3層に塗布することで、最終的に厚い状態にポリイミド被覆させるため、3個のものから構成する。即ち、これらのコーティング装置21〜23は、ポリイミド塗布後に通過する各硬化炉24〜27において溶剤を完全に取除くため、それぞれの装置21〜23ではポリイミド樹脂を比較的薄く塗布し、溶剤を確実に蒸発させることができる。
【0025】
第1〜第3の硬化炉24〜27は、第1の実施形態と同様の構成であり、それぞれ、ポリイミド樹脂をTからTで加熱する電気炉で構成する。但し、本実施形態では、第1の実施形態と異なり、第1の硬化炉は、2つのもので構成されているが、ともに同じ温度設定である。なお、第1の硬化炉24の方は、第1層目での揮発プロセスにのみ使用し、第1の硬化炉25の方は、第2層目及び第3層目での揮発プロセスに使用する。
【0026】
なお、最終硬化炉である第3の硬化炉27では、酸素の流入によるポリイミド樹脂の酸化を防止するため、図示外の供給装置で炉内に不活性ガス(例えばNなど)を供給する。即ち、本実施形態では、ポリイミド樹脂の酸化劣化を防ぐため、最終硬化炉27内部を不活性ガスの雰囲気としている。この不活性ガスを供給することで、第3の硬化炉27の内部を、酸素濃度を100ppm以下とする。
【0027】
次に、本実施形態に係るポリイミド被覆ファイバの製造方法について、図2及び図3を参照しながら説明する。
〔1〕線引き直後のガラスファイバ1に、初めに、図2に示すように、第1のコーティング装置21で第1層目となるポリイミド樹脂を被覆する(第1ステップS1)。〔2〕次に、被覆後のファイバは、第1の硬化炉24、第2の硬化炉26、第3の硬化炉27を順次通過していく。ここで、前述したように、硬化炉24、26、27では、硬化炉間に温度勾配を持たせており、さらに、各炉内では上部と下部で温度勾配を持たせている。従って、第1の硬化炉24〜第3の硬化炉27を通過するにつれて、加熱温度が次第に増大するような加熱処理が行われる(第2ステップS2〜第4ステップS4)。このようにして、第1層目のポリイミド樹脂は、最終硬化炉である第3の硬化炉27で本硬化させる(第4ステップS4)。
【0028】
〔3〕その後、ガイドローラ29Eのガイドにより、同図中でみて上方向に進行路が転換され、さらにガイドローラ28B、28Cを経て、第2のコーティング装置22で第2層目となるポリイミド樹脂を被覆する(第5ステップS5)。〔4〕次に、前回と同様に、第2の硬化炉26、第3の硬化炉27を順次通過していき、加熱温度が次第に増大するような加熱処理が行われる(第6ステップS6〜第8ステップS8)。このようにして、第2層目のポリイミド樹脂を最終硬化炉である第3の硬化炉27で本硬化させる(第8ステップS8)。
〔5〕その後、同様に、ガイドローラ29Eのガイドにより、同図中でみて上方向に進行路が転換され、第3層目について、第2層目と同様の塗布・硬化プロセスが行われる(第9ステップS9〜第12ステップS12)。このようにして、ファイバ心線2に対して、第3層目のポリイミド樹脂を最終硬化炉である第3の硬化炉27で本硬化させたならば(第12ステップS12)、ガイドローラ29E通過後に、同図中右方向の進行路に移動させ、最終的には図示外の巻き取り機で巻き取る。
【0029】
従って、本実施形態によれば、図3に示すように、本プロセスを3回繰り返し行い(第1ステップS1〜第12ステップS12)、被覆層を厚肉化することで、強度を向上させる。また、本プロセスを複数回行うことで、硬化処理を行う領域を自在に増やせることから、製造速度上昇できる。さらに、厚肉化により良好な被覆偏心も得られる。
【0030】
また、本実施形態では、最終硬化炉である第3の硬化炉27で、炉内に不活性ガス(例えばNなど)を供給するため、良好なポリイミド被覆表面が得られる。これにより、酸化による劣化時に発生する被覆表面の粘性、即ちファイバ心線2同士のまとわりによる不均一な応力付与を防ぐことができる。従って、伝送損失が低減された良好な伝送特性のポリイミド被覆ファイバ2が得られる。
【実施例1】
【0031】
実施例1について、図2及び図3を参照しながら説明する。
本実施例では、図2に示すポリイミド被覆ファイバの被覆装置を用いて、純石英のコアとフッ素を添加したクラッドを持つファイバに対して、第2の実施形態と同じ方法でポリイミド被覆を行った。即ち、外径125μmの上記ファイバに、ポリイミド3層コートを行い、外径170μmのポリイミド被覆ファイバを製造した。なお、ポリイミド樹脂には、パイラインPI−2525を使用した。また、硬化温度は、第1の硬化炉24、25が200〜250度、第2の硬化炉26が250〜300度、第3の硬化炉27が450〜500度とした。また、最終加熱炉である第3の硬化炉27には、不活性ガスであるNを送り込み、炉内をNガス雰囲気とした。
【0032】
このような条件下でN流量を変化させ、最終炉内酸素濃度を下記に示す表2のように変化させ、それぞれの酸素濃度でのファイバの伝送損失を測定して比較した。その結果、図4のようなグラフが得られた。
【0033】
【表2】

【0034】
図4から、本発明の方法により被覆されたファイバによれば、伝送損失の低い良好なファイバが得ることが分かった。特に、表2に示すように、酸素濃度を100ppm以下とすることで、さらに伝損失が低い、さらに良好なファイバが得られることが確認できた。
【実施例2】
【0035】
次に、実施例2について、図2を参照しながら説明する。
本実施例では、実施例1と同様に、図2に示すポリイミド被覆ファイバの被覆装置を用いて、第2の実施形態と同じ方法でファイバにポリイミド被覆した。
特に本実施例では、ポリイミド被覆した被覆部分の肉厚化による効果を確認するため、外径160μm及び170μmの2種類のポリイミド被覆ファイバを製造し、それぞれ荷重負荷(伸び1%)による断線頻度を調べる実験を行って比較してみた。その結果を[表3]に示す。
【0036】
【表3】

【0037】
この[表3]の結果から、厚肉化によって断線頻度を減少できるとの知見が得られた。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のポリイミド被覆ファイバの製造方法によれば、ファイバ伝送特性に悪影響をもたらすことがなく、しかも製造速度を遅延させることなく良好な被覆状態を実現することができるとともに、外観不良を引き起こすことのないポリイミド被覆ファイバを製造できる効果を有し、の高温下で使用するファイバ等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るポリイミド被覆ファイバの製造方法が用いられるファイバ製造装置の要部を示す説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るポリイミド被覆ファイバの製造方法が用いられるファイバ製造装置の要部を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るポリイミド被覆ファイバの製造方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例1に係る実験結果を示す伝送損失と最終硬化炉内酸素濃度の相関図である。
【図5】従来のポリイミド被覆ファイバの製造装置の被覆部及び硬化部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ガラスファイバ
2 ポリイミド被覆ファイバ
10、20 ポリイミド被覆ファイバの被覆装置
11 コーティング装置
12、24、25 第1の硬化炉
13、26 第2の硬化炉
14、27 第3の硬化炉
15、28、29 ガイドローラ
21〜23 第1〜第3のコーティング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線引きされたガラスファイバにポリイミド樹脂を被覆して硬化するポリイミド硬化工程において、
前記ポリイミド樹脂の硬化を抑えた状態で前記ポリイミド樹脂に含まれる溶剤の殆どを揮発させる揮発プロセスと、残った溶剤を揮発させるとともに前記ポリイミド樹脂の硬化を促進させる仮硬化プロセスと、仮硬化後、残った溶剤が殆ど残らない状態になるように揮発させるとともに前記ポリイミド樹脂の硬化を完全になるよう促進させる本硬化プロセスとを有し、
前記各プロセスでの処理は、異なる硬化炉を用いて行うことを特徴とするポリイミド被覆ファイバの製造方法。
【請求項2】
前記各硬化炉での加熱温度は、前記プロセスの順で高くなるように、温度勾配をもたせることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド被覆ファイバの製造方法。
【請求項3】
前記各硬化炉の炉内での加熱温度は、入線側が低く出線側が高くなるように、温度勾配を持たせることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド被覆ファイバの製造方法。
【請求項4】
前記本硬化プロセスで用いる硬化炉は、該炉内を不活性ガス雰囲気とするとともに、前記炉内の酸素濃度を100ppm以下とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミド被覆ファイバの製造方法。
【請求項5】
前記ポリイミド硬化工程は、前記一連のプロセスを少なくとも2回以上繰り返して行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のポリイミド被覆ファイバの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−81335(P2008−81335A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260940(P2006−260940)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】