説明

ポリウレタン系でブロック共重合体系の硬化性組成物、及び前記組成物から得られる透明材料

【課題】ポリオール系、ポリイソシアネート系及びブロック共重合体系の新規硬化性組成物、該組成物より得られる透明な製品原材料を提供する。
【解決手段】(1)ジイソシアネート系化合物の3量体と(2)ビスフェノールA系ポリオール、2〜4官能性ポリカプロラクトンアルコールから選ばれるポリオールを用いて、(a)(1)又は過剰量の(1)と(2)を重縮合させたポリウレタンプレポリマーから選ばれる1以上のポリイソシアネート、(b)(2)又は過剰量の(2)と(1)を重縮合させたポリウレタンプレポリマーから選ばれる1以上のポリオールであり、(b)のアルコール官能基数に対する(a)のイソシアネート官能基数の比が1.00〜1.20であるポリオールであるポリオールと(c)(a),(b),(c)の全重量に対して5〜80重量%のポリスチレンーポリブタジエンーポリメタクリル酸メチルブロック共重合体とを含む硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール系、ポリイソシアネート系、及びブロック共重合体系の新規な硬化性組成物、これらの組成物の反応により得られる透明な製品原材料、並びに硬化性組成物及び透明な製品原材料を調製する方法に関する。これらの材料は、光学器具、より具体的には眼科用器具の製造に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
光学機器、特に眼科用レンズの製造に通常用いられている基材には2種類、すなわち無機ガラス製及び有機ガラス製の基材がある。現時点では、より軽量で耐衝撃性により優れるという利点を有する有機ガラスが市場規模的に著しく伸びている。使用量の最も多い有機ガラス基材は、可塑性ポリカーボネートとジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)との重合により得られるポリカーボネートである。
【0003】
光学材料の製造における新規な高性能材料を開発する一連の研究において、本願出願人は、ポリウレタン系の材料が、例えば、光学特性を有する眼科用レンズ又はポリマーフィルムなどの光学製品の製造等に用いられる透明材料の製造にとって有用な候補であることを見出した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような材料は当業者に周知である。しかしながら、液体状態で存在するポリオール及びポリイソシアネート系の前駆体の取り扱いは、制約を受ける。イソシアネートが、液体状態での取り扱いや保存における特異的な格納手段を必要とする毒性化合物であることによって更に制約される。また、これらの製品は、通常液体状態では高い反応性があるため、それらを満足に保存できる設備は限定される。
【0005】
イソシアネート官能基の反応は通常非常に速いため、ポリウレタンの加工には、RIM(反応射出成形)、又はRTM(樹脂トランスファー成形)等の非常に複雑な処理を要する。ポリウレタンの加工を、押出成形、射出成形、又は共押出成形等のより簡単な処理で行うことができ、ポリウレタンを得るための固体の組成物を、より簡単に保存、格納、及び加工できることが有益となる。
【0006】
更に詳しくは、本願出願人は、特定のポリオール、ポリイソシアネート、及びブロック共重合体系の新規な硬化性組成物を開発した。熱硬化工程後、これらの組成物から、ポリウレタン系の透明材料が得られ、また、これらの組成物は、特に眼科用機器の製造に用いられるのに必要な物理的性質を有する。
【0007】
そのようなブロック共重合体のエポキシ樹脂マトリックスへの導入については、例えば、国際公開第01/92415号パンフレットに記載されている。ブロック共重合体の導入によって改変したエポキシ材料は、透明性を保持し、機械的性質が向上させるが、Tg(ガラス転移温度)はわずかしか低下しない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明の一主題は、硬化性組成物であって、
(a)(1)キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、脂環式ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの三量体、及びヘキサメチレンジイソシアネートの三量体と、
(2)中心のビスフェノールA単位の両側に平均1〜10のプロピレンオキシド単位を含むポリプロポキシル化ビスフェノールA化合物のファミリー、中心のビスフェノールA単位の両側に平均1〜15のエチレンオキシド単位を含むポリエトキシル化ビスフェノールA化合物のファミリー、並びに二官能性、三官能性、及び四官能性のポリカプロラクトンアルコールのファミリーから選択される少なくとも2個のアルコール官能基を含む1又は複数のポリオールと、前記ポリイシアネート(1)から選択される過剰量の1又は複数のポリイソシアネートとの重縮合により得られるポリウレタンプレポリマーと、
から選択される少なくとも2個のイソシアネート官能基を含む1又は複数のポリイソシアネートと、
(b)(1)中心のビスフェノールA単位の両側に平均1〜10のプロピレンオキシド単位を含むポリプロポキシル化ビスフェノールA化合物のファミリー、中心のビスフェノールA単位の両側に平均1〜15のエチレンオキシド単位を含むポリエトキシル化ビスフェノールA化合物のファミリー、並びに二官能性、三官能性、及び四官能性のポリカプロラクトンアルコールのファミリーと、
(2)前記ポリオール(1)から選択される過剰量の1又は複数のポロリオールと、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、脂環式ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの三量体、及びヘキサメチレンジイソシアネートの三量体から選択される1又は複数のポリイソシアネートとの重縮合より得られるポリウレタンプレポリマーと、
から選択される少なくとも2個のアルコール官能基を含む1又は複数のポリオールであって、前記ポリオール成分(b)のアルコール官能基数に対する前記ポリイソシアネートの成分(a)のイソシアネート官能基数の比は、1.00〜1.20であるポリオールと、
(c)(a)、(b)、及び(c)の全重量に対して5〜80重量%のポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(SBM)と、を含む硬化性組成物である。
【0009】
ポリイソシアネート成分(a)と混合、又は、前記硬化性組成物のポリオール成分(b)と混合、又は、ポリイソシアネート成分(a)及び前記硬化性組成物のポリオール成分(b)の2成分と混合する熱硬化性組成物の調製において、ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体を導入してもよい。
【0010】
後者の場合、本発明は、異なる分子量のポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(SBM)及び、組成物のポリイソシアネート成分(a)、及び、前記硬化性組成物のポリオール成分(b)の異なる組成物を用いてもよい。ポリイソシアネート部分(a)及びポリオール部分(b)中のブロック共重合体の重量比は異なる。
【0011】
好ましくは、硬化性組成物の調製において、ポリイソシアネート成分(a)と混合されるブロック共重合体は、ポリオール成分(b)と混合されるブロック共重合体と同一である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の特に有益な一実施形態において、ポリイソシアネート成分(a)において用いられるポリイソシアネートは、ポリオール成分(b)で用いられるポリイソシアネートと同一であり、ポリイソシアネート成分(a)において用いられるポリオールは、ポリオール成分(b)で用いられるポリオールと同一であり、硬化性組成物の調製において、ポリイソシアネート成分(a)と混合されるブロック共重合体(c)は、ポリオール成分(b)と混合されるブロック共重合体(c)と同一である。
【0013】
熱誘導される反応の後、これらの組成物から、光学材料に使用され、例えば、眼科用レンズの製造又は眼科用途に適したフィルムなどの支持材の有用に適した透明性のプリウレタン(PU)材料を得る。
【0014】
本発明の別の主題は、上記の硬化性組成物の熱誘導される反応によって得られた透明材料であり、別の主題は光学機器、好ましくは眼科用レンズであり、このような材料を含む。
【0015】
本願明細書における特定の用語の定義は、以下のとおりに理解される。
【0016】
「光学器具」とは、機器用、及び視覚、遮光用の光学レンズ、並びに眼科用レンズ、更に、光学レンズ、遮光板、又は眼科用レンズにおいて用いられる光学的特性を有するフィルムをも意味する。「眼科用レンズ」とは、特に眼鏡フレームに取り付けることができ、眼の保護、及び/又は視力の矯正の機能を有するレンズで、無限焦点、一焦点、二焦点、三焦点、及び多重焦点レンズから選択されるレンズを意味する。
【0017】
本発明の更なる主題は、硬化性組成物を調製する方法、及び以下により詳細に述べるポリウレタン材料を調製する方法である。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態において、用いられるポリイソシアネートは、脂環式ジイソシアネートである。本発明のポリウレタンを調製するのに好ましいポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)である。
【0019】
本発明において、硬化性組成物を調整するためには、ビスフェノールA単位の両側に平均1〜10のプロピレンオキシド単位、好ましくは、単独又は混合して、中心のビスフェノールA単位の両側に平均3.5〜8のプロピレンオキシド単位、特に、中心のビスフェノールA単位の両側に平均3.5、5.5、又は7.5のプロピレンオキシド単位を含むポリプロポキシル化ビスフェノールAを使用することが好ましく、これらは、それぞれ、3.5PO−BPA、5.5 PO−BPA、及び7.5 PO−BPAと称する。
【0020】
ほぼ化学量論的割合のこれら2種類の官能基を有することによって、高いガラス転移温度(Tg)を有する、特に、眼科用レンズの製造のために用いることができる材料を得るのに十分な重合度を確実にするため、本発明の硬化性組成物において、アルコール官能基数に対するイソシアネート官能基数の比は1に近いが、1よりもわずかに小さな値であることが重要である。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、硬化性組成物におけるポリオール成分(b)のアルコール官能基数に対するポリイソシアネート成分(a)のイソシアネート官能基数の比は、1.00〜1.05である。
【0021】
本発明の硬化性組成物は、好ましくは、(a)、(b)、及び(c)の全重量に対して30〜80重量%、好ましくは40〜60重量%、特に好ましくは約50重量%のポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(SBM)を含む。上記の含有量により、この硬化性組成物から得られる材料の物理的特性、特に機械的特性を改善することが可能である。
【0022】
本発明において用いられるブロック共重合体は、例えば、国際公開第2005/073314号パンフレット、及び国際公開第2005/014699号パンフレットに記載されている。特に、その共重合体における、ポリスチレンS、ポリブタジエンB、及び前記SBMブロック共重合体のポリメチルメタクリレートM部分に関する詳細な記載については、これらの文献を参照することができる。
【0023】
最後に、透明なポリウレタン材料を得るためには、ブロック共重合体中のポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)のブロックが、ブロック共重合体中で大きな割合を占めることが重要である。本発明の有利な実施の形態において、PMMAブロックは、ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体の重量平均分子量の50〜80重量%、好ましくは55〜75重量%、特に好ましくは60〜70重量%を占める
【0024】
同様の理由により、ポリメタクリル酸メチルのブロックの重量平均分子量は、好ましくは15,000〜100,000g/molであるブロック共重合体の全重量平均分子量に対して、好ましくは、10,000〜200,000g/molである。
【0025】
本発明において、用いられるブロック共重合体は、トリブロック共重合体と、ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン系のジブロック共重合体の混合物であってもよいことは理解されるべきである。これらの共重合体は、例えば、国際公開第2005/073314号パンフレットに記載されている。
【0026】
上記の硬化性組成物から得られるポリウレタン材料は、光学分野、特に眼科分野で用いるのに十分な透明度を有している。この透明度は、ブロック共重合体による材料の構造化の結果、少なくとも前記SBM中のBブロックを含むナノドメインが形成されることによるものである。
【0027】
本発明の硬化性材料から製造される光学製品について、例えば、衝撃強度、耐磨耗性及び引っかき抵抗性、反射防止特性、及び防汚性等の特定の性質を改善するために、主面の少なくとも1つに1又は複数の機能性被膜を施すことができる。従って、本発明のポリウレタン製の光学機器の1つの主面上に、耐衝撃プライマーと呼ばれ、器具の耐衝撃性と共に、以後形成される被膜の基材に対する接着性を向上させる機能を有する第1の被膜、次に、この耐衝撃プライマーコーティングの上に、通常耐磨耗又は耐引っかき被膜と呼ばれ、光学機器の表面の、機械的な衝撃による損傷に対する抵抗性を向上させる目的を有する硬質の被膜を順次形成することも可能である。対磨耗被膜の上に、反射防止被膜と水又は油との間の界面張力を変化させると共に、隙間を塞いで油分が浸入し、残留するのを防止することを目的とする防汚性被膜がその上に適宜重ね合わされた反射防止被膜を重ね合わせることも可能である。光学機器は、更に帯電防止被膜を有していてもよい。
【0028】
上記のように、本発明の他の主題は、上記の硬化性組成物を調製する方法であって、
i.前記ポリイソシアネート成分(a)と前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(c)とを混合することにより第1の組成物(A)を調製する工程であって、前記ブロック共重合体(c)に対する前記ポリイソシアネート成分(a)の重量比が95/5〜20/80である工程と、
ii.前記ポリオール成分(b)と前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)前記ブロック共重合体(c)とを混合することにより第2の組成物(B)を調製する工程であって、前記ブロック共重合体(c)に対する前記ポリオール成分(b)の重量比が95/5〜20/80である工程と、
iii.前記第1の組成物(A)及び前記第2の組成物(B)の各々を、アルコール官能基数に対するイソシアネート官能基数の比が1.00〜1.20となる量で混合する工程と、を含む方法である。
【0029】
また、第1の変形例において、本発明は、硬化性組成物を調製する方法であって、
i.前記ポリイソシアネート成分(a)と前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(c)とを混合することにより組成物(A)を調製する工程であって、前記ブロック共重合体(c)に対する前記ポリイソシアネート成分(a)の重量比が95/5〜20/80である工程と、
ii.前記ポリオール成分(b)及び前記組成物(A)の各々を、アルコール官能基数に対するイソシアネート官能基数の比が1.00〜1.20となる量で混合する工程と、を含む方法である。
【0030】
また、第2の変形例において、本発明は、硬化性組成物を調製する方法であって、
i.前記ポリオール成分(b)を前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(c)とを混合することにより組成物(B)を調製する工程であって、前記ブロック共重合体(c)に対する前記ポリオール成分(b)の重量比が95/5〜20/80である工程と、
ii.前記組成物(b)及び前記ポリイソシアネート成分(a)の各々を、アルコール官能基数に対するイソシアネート官能基数の比が1.00〜1.20となる量で混合する工程と、を含む方法である。
【0031】
そのような硬化性組成物の調製は、加工上の条件により更に容易となる。かくして、それぞれの成分を混合することによる第1の組成物(A)及び第2の組成物(B)の調製は、別個に独立して行われ、好ましくは、押出機、好ましくは2軸押出機を用いた押出成形により、100〜150℃の最高温度で行われ、好ましくは、次いで、押出成形されたロッドが、ダイから排出される際に造粒される。粒状物は容易に保存することができる。本発明の硬化性組成物を処理する方法によると、最終生成物であるポリウレタン材料の2種類の前駆体成分を、それぞれ別個に、化学的に安定な状態で室温条件下で保存することができる。
【0032】
この様にして得られる粒状物を、適当な割合で混合して、最高温度120〜140℃、好ましくは温度が125〜135℃の押出機、好ましくは2軸押出機に供給することができる。
【0033】
この様にして得られる、押出成形された硬化性組成物は、反応性の化合物の形を取る硬化性組成物の中間体となる。この反応性の化合物を室温よりも低い温度で保存すれば、その物理化学的及び機械的性質は安定である。この硬化性組成物の中間体は、押出成形機の排出口に取り付けたダイの形状に応じて、粒状物又はフィルムの形態で保存することができる。
【0034】
他の変形例において、上記のように別個の粒状物として得られる、最終品であるポリウレタン材料の2つの前駆体組成物を共押出成形してもよい。本方法においてそのような構成を取ると、得られるのは、粒状又はフィルム状の硬化性組成物の中間体で、第1の成分(組成物A)の反応性官能基と、第2の成分(組成物B)の反応性官能基とは、これらの2成分の界面又は界面相でのみ緊密に混合されている。そのような組成物は安定であり、室温でも保存が容易である。特に、フィルム状になっているものは、そのまま用いることができる。
【0035】
このようにして、押出成形又は共押出成形により得られた硬化性組成物は、例えば、成形、射出成形、又は熱成形等によって加工することができ、100〜170℃で1〜15時間熱処理すると、本発明の透明硬化材料が得られる。
【0036】
本発明の好ましい変形例において、粒状の第1の組成物(A)と粒状の第2の組成物(B)を、化学量論比(あるいは、ほぼ化学量論比)のアルコール官能基及びイソシアネート基で混合し、射出成形機のホッパーに投入し、鋳型に鋳込む。射出成形機の鋳型内で熱硬化させると、透明なポリウレタン材料を含む製品が得られる。射出成形機の鋳型は、眼科用レンズのインサート成形用の鋳型であることが有利であり、それにより眼科用レンズを得ることが可能になる。
【実施例】
【0037】
本発明の実施例により、本発明を説明する。
【0038】
実施例1
合成されるポリウレタン基質は、IPDI/3.5PO−BPA型であった。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
実施例において用いられるブロック共重合体は、41900グラム−平均分子量のPS−b−PB−b−PMMAであり、PMMAセグメントの質量分率が50%より大きかった。
【0042】
50%SBMでナノ構造化されるポリウレタン材料を、以下の手順に従って合成した。=>2本のロッド、3.5PO−BPA/SBM及びIPDI/SBM(重量比50/50)を押出成形し、次いで粒状化した。粒状物を、DSMミクロ15型の再循環型二軸マイクロ押出機において調製した。粒状物の種類ごとに、以下の方法で混合調整を行なった。初めに、単量体を、液体状態において、押出機(アルコールの場合は80℃、l’IPDIの場合は室温)に供給し、SBM粉末を徐々に添加した。10rpmのスクリュー回転数で、均質のロッドが得られるまで、30分間再循環して混合した。3.5PO−BPA/SBMロッドを140℃で処理し、IPDI/SBMロッドを80℃で処理した。含有量は、以下の通りだった。
ロッド1(IPDI/SBM):
IPDI=9.212g
SBM=9.138g
ロッド2(3.5PO−BPA/SBM):
3.5PO−BPA=9.418g
SBM=9.390g
【0043】
イソシアネート官能基の化学分析により得られた理論値と実験値との比較により、イソシアネート官能基は、IPDI/SBMロッドの形成反応において分解しなかったことが確認された。
【0044】
したがって、巨視的に均質なIPDI/SBM及び3.5PO−BPA/SBMの2つの粒状物を得た。
【0045】
次いで、イソシアネート/SBM粒状物の化学的定量法によって測定したイソシアネート当量に従い、固体の状態においてNCO/OH比率=1となるように、3.5PO−BPA/SBM及びIPDI/SBMの粒状物を混合し、標準のNF T52−112において与えられるように、実験手順に従って、3.5PO−BPAアルコールのヒドロキシル価を予め測定した。
【0046】
混合した粒状物の質量は、下記のとおりである。
IPDI/SBMの粒状物=4.351g
3.5PO−BPA/SBM=12.238g
【0047】
DSMミクロ15型の再循環型二軸マイクロ押出機に2本のロッドを供給し、10rpmのスクリュー回転数において30分間、均質なロッドを得るまで混合させた。ロッドを回収し、150℃に予熱した厚さ4mmのスペーサーを含むPTFE−コート紙で覆われた硬膜モールドに配置し、試料が熱クエンチにさらされるのを防ぐため、直接圧力(10バール)をかけて、混合物を硬化した。その後、混合物を150℃で4時間、次いで、170℃で1時間加熱して硬化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物であって、
(a)(1)キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、脂環式ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの三量体、及びヘキサメチレンジイソシアネートの三量体と、
(2)中心のビスフェノールA単位の両側に平均1〜10のプロピレンオキシド単位を含むポリプロポキシル化ビスフェノールA化合物のファミリー、中心のビスフェノールA単位の両側に平均1〜15のエチレンオキシド単位を含むポリエトキシル化ビスフェノールA化合物のファミリー、並びに二官能性、三官能性、及び四官能性のポリカプロラクトンアルコールのファミリーから選択される少なくとも2個のアルコール官能基を含む1又は複数のポリオールと、前記ポリイシアネート(1)から選択される過剰量の1又は複数のポリイソシアネートとの重縮合により得られるポリウレタンプレポリマーと、
から選択される少なくとも2個のイソシアネート官能基を含む1又は複数のポリイソシアネートと、
(b)(1)中心のビスフェノールA単位の両側に平均1〜10のプロピレンオキシド単位を含むポリプロポキシル化ビスフェノールA化合物のファミリー、中心のビスフェノールA単位の両側に平均1〜15のエチレンオキシド単位を含むポリエトキシル化ビスフェノールA化合物のファミリー、並びに二官能性、三官能性、及び四官能性のポリカプロラクトンアルコールのファミリーと、
(2)前記ポリオール(1)から選択される過剰量の1又は複数のポロリオールと、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、脂環式ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの三量体、及びヘキサメチレンジイソシアネートの三量体から選択される1又は複数のポリイソシアネートとの重縮合より得られるポリウレタンプレポリマーと、
から選択される少なくとも2個のアルコール官能基を含む1又は複数のポリオールであって、前記ポリオール成分(b)のアルコール官能基数に対する前記ポリイソシアネートの成分(a)のイソシアネート官能基数の比は、1.00〜1.20であるポリオールと、
(c)(a)、(b)、及び(c)の全重量に対して5〜80重量%のポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(SBM)と、を含む硬化性組成物。
【請求項2】
前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体が、前記硬化性組成物の調製において前記ポリイソシアネート成分(a)と混合されることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体が、前記硬化性組成物の調製において前記ポリオール成分(b)と混合されることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体が、前記硬化性組成物の調整において、前記ポリイソシアネート成分(a)及び前記ポリオール成分(b)と混合され、前記ポリイソシアネート成分(a)を混合したブロック共重合体が、前記ポリオール成分(b)を混合したブロック共重合体と同一又は異なることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記硬化性組成物の調製において、前記ポリイソシアネート成分(a)を混合したブロック共重合体は、前記ポリオール成分(b)を混合したブロック共重合体と同一であることを特徴とする請求項4記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記ポリイソシアネート成分(a)において用いられるポリイソシアネートは、前記ポリオール成分(b)で用いられるポリイソシアネートと同一であり、前記ポリイソシアネート成分(a)において用いられるポリオールは、前記ポリオール成分(b)で用いられるポリオールと同一であり、硬化性組成物の調製において、前記ポリイソシアネート成分(a)を混合したブロック共重合体(c)は、前記ポリオール成分(b)を混合したブロック共重合体(c)と同一であることを特徴とする請求項1又は5記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記ポリイソシアネートが脂環式ジイソシアネートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記ポリイソシアネートがイソホロンジイソシアネート(IPDI)であることを特徴とする請求項7記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記ポリオールが、ビスフェノールA基の両側に平均1〜10のプロピレンオキシド(Po)単位を含むポリプロポキシル化ビスフェノールA化合物のファミリーから選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記ポリオールが、ビスフェノールA基の両側に平均3.5〜8のプロピレンオキシド単位を含むポリプロポキシル化ビスフェノールA化合物のファミリーから選択されることを特徴とする請求項9記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記ポリオールが、ビスフェノールA基の両側に平均3.5、5.5、及び7.5のプロピレンオキシド単位を含むポリプロポキシル化ビスフェノールA化合物から選択されることを特徴とする請求項9又は10記載の硬化性組成物。
【請求項12】
前記ポリオール成分(b)のアルコール官能基数に対する前記ポリイソシアネートの成分(a)のイソシアネート官能基数の比は、1.00〜1.05であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項13】
ブロック共重合体は、前記組成物の総重量に対して30〜80重量%であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項14】
ブロック共重合体は、前記組成物の総重量に対して40〜80重量%であることを特徴とする請求項13記載の硬化性組成物。
【請求項15】
ブロック共重合体は、前記組成物の総重量に対して50重量%であることを特徴とする請求項13記載の硬化性組成物。
【請求項16】
前記ブロック共重合体のポリメチルメタクリレート(PMMA)ブロックが、ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(PS−b−PB−b−PMMA)の重量平均分子量の50〜80重量%、好ましくは55〜75重量%、特に好ましくは60〜70重量%を占めることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項記載の硬化性組成物を調製する方法であって、
i.前記ポリイソシアネート成分(a)と前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(c)とを混合することにより第1の組成物(A)を調製する工程であって、前記ブロック共重合体(c)に対する前記ポリイソシアネート成分(a)の重量比が95/5〜20/80である工程と、
ii.前記ポリオール成分(b)と前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)前記ブロック共重合体(c)とを混合することにより第2の組成物(B)を調製する工程であって、前記ブロック共重合体(c)に対する前記ポリオール成分(b)の重量比が95/5〜20/80である工程と、
iii.前記第1の組成物(A)及び前記第2の組成物(B)の各々を、アルコール官能基数に対するイソシアネート官能基数の比が1.00〜1.20となる量で混合する工程と、を含む方法。
【請求項18】
請求項1記載の硬化性組成物を調製する方法であって、
i.前記ポリイソシアネート成分(a)と前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(c)とを混合することにより組成物(A)を調製する工程であって、前記ブロック共重合体(c)に対する前記ポリイソシアネート成分(a)の重量比が95/5〜20/80である工程と、
ii.前記ポリオール成分(b)及び前記組成物(A)の各々を、アルコール官能基数に対するイソシアネート官能基数の比が1.00〜1.20となる量で混合する工程と、を含む方法。
【請求項19】
請求項1記載の硬化性組成物を調製する方法であって、
i.前記ポリオール成分(b)を前記ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエン−ブロック−ポリ(メタクリル酸メチル)ブロック共重合体(c)とを混合することにより組成物(B)を調製する工程であって、前記ブロック共重合体(c)に対する前記ポリオール成分(b)の重量比が95/5〜20/80である工程と、
ii.前記組成物(b)及び前記ポリイソシアネート成分(a)の各々を、アルコール官能基数に対するイソシアネート官能基数の比が1.00〜1.20となる量で混合する工程と、を含む方法。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか1項記載の硬化性組成物の熱硬化により得られる透明硬化材料。
【請求項21】
請求項20記載の透明硬化材料を含む光学器具。
【請求項22】
眼科用レンズであることを特徴とする請求項21記載の光学器具。

【公開番号】特開2007−197728(P2007−197728A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−9873(P2007−9873)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(505425373)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラレ ドプテイク) (74)
【Fターム(参考)】