説明

ポリウレタン群ヘアケア用皮膜形成ポリマーの使用、ならびに該ポリマーを含有する医薬製剤およびパッチの使用

【課題】柔軟で、外見上目立たず、易付着性で、べたつきのない皮膜を形成し、この皮膜から、皮膚内へと、または皮膚を通して全身循環へと、有効成分の制御放出が行われるプラスターならびに医薬製剤を提供する。
【解決手段】本発明では、有効成分の皮膚投与または経皮投与のための医薬製剤における、ヘアケア剤に使用される皮膜形成ポリウレタン、これらのポリウレタンの混合物もしくはポリウレタン類と他のポリマーとの混合物、またはウレタンと他のモノマーとのコポリマーを使用する。前記ヘアケア剤に使用される皮膜形成混合物またはコポリマーが、ポリウレタンとアクリレートとの混合物またはコポリマーであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン群ヘアケア用皮膜形成ポリマーおよび該ヘアケア用ポリマーを含有する医薬製剤の、有効成分の皮膚投与または経皮投与のための使用に関する。該医薬製剤は、液状で皮膚に施用される。同じく含有される溶媒の蒸発によって、これらの医薬製剤は、柔軟で、外見上目立たず、易付着性で、且つべたつきのない皮膜を形成し、この皮膜から、皮膚内へと、または皮膚を通して全身循環へと、有効成分の制御放出が行われる。
【背景技術】
【0002】
医薬物質の投与の標的器官としてのヒトの皮膚は、現在、2つの点で使用されている。一方では、有効成分は、乾癬や神経皮膚炎などのさまざまな皮膚病の治療のために、局所投与される。他方では、有効成分を、全身性疾患の治療やホルモン置換のために、経皮投与することができる。
【0003】
局所投与の場合には、軟膏、クリーム剤、ゲル剤などの半固体状の製剤が主流である。多くの場合、経皮投与は、マトリックスパッチやリザーバ型経皮吸収パッチ(reservoir patches)などの経皮治療システムによって行われる。近年、半固体製品(ヒドロアルコールゲル剤、例えばTestogel(登録商標))も、経皮投与に使用されている。
【0004】
市販の経皮投与のためのゲル製剤中には、アルコール溶液として透過することになる有効成分が存在する。これらの成分はポリマー(例えば、ポリアクリル酸)で濃縮され、ヒドロアルコールゲル剤の形態で1日1回皮膚に塗布される。
【0005】
アルコールは急速に蒸発するため、有効成分が表皮に入り込むための時間も短い。したがって、90%を超える有効成分が血中に入り込むことなく、大部分が皮膚の表面に残留する。溶媒が急速に失われることによって過飽和が起こり、それによって有効成分の晶出が頻繁に起こる。そうなると、有効成分は溶解した形態でしか皮膚内で拡散できないため、浸透がかなり妨げられる。
【0006】
皮膚上に定着しない有効成分の残留物は、用量の損失に加えて、衣服や他の人々に汚れをつけるおそれがある。
【0007】
特に経皮投与においては、皮膚内に必要量の有効成分を搬送するために、大きな塗布表面積が必要になることが非常に多い。これには、1回の投与につき数ミリリットルという大きな容積のゲル剤が必要になる。患者は、このようなことは非実用的で、取り扱いが不快だと考える。結果的に、標準的なゲル製剤で長時間にわたって有効成分の放出を制御することは、不可能である。
【0008】
これとは対照的に、経皮治療システムにおける有効成分の制御放出は可能であるが、一般に、市場の物流上の理由から、提供される投与数は制限される。したがって、患者についての個別の投与は、限られた範囲内でしか可能ではない。また、経皮治療システムの皮膚への接触面積に関して、投与領域に制限が課せられる。20cmよりも大きいパッチは、パッチが固定される皮膚の面積が大きいために、身につけていて不快である。その他の欠点としては、パッチの粘着層に起因する皮膚の炎症とともに、外見の悪さが挙げられる。さらに、経皮パッチの製造には、高価な装置や手順が必要である。
【0009】
上記の欠点のうちの多くについては、これまでにすでに解決策が提案されている。すなわち、特許公報EP1150661B1では、皮膜形成組成物と1種以上の有効成分とを含有する局所用噴霧剤が特許請求されている。この噴霧剤は、特に皮膜形成ポリマーを含有する。皮膚に施用すると、この噴霧剤は、柔軟で、易付着性で、通気性のある皮膜を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、皮膚に施用すると、既知の製剤と比較して、有効成分の透過に関して改善された皮膜を形成する代替的な医薬製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、有効成分の皮膚投与または経皮投与のための医薬製剤において、ヘアケア剤に通常使用される皮膜形成ポリウレタン、またはこのポリウレタンとさまざまな他のポリマーとの混合物を使用することによって、本発明に従って達成された。
【0012】
非常に驚いたことに、ヘアケア剤に使用されるポリウレタンは、有効成分の透過が明らかに増加した場合に、既知のポリマー(例えば、Eudragit(登録商標))を使用した製剤と同様に、柔軟性、皮膚上での安定性および通気機能に関して、良好な特性を発揮することがわかった。
【0013】
この目的のために、皮膜形成ポリウレタンを、1種以上の有効成分とともに適切な溶媒に溶解または懸濁し、また、いくつかの補助剤を添加して、こうして形成された医薬製剤を液状で皮膚に施用する。
【0014】
こうして形成された医薬製剤を、例えば爪乾癬や爪真菌症(爪甲真菌症)を治療するために、爪に施用することも可能である。
【0015】
皮膚上で溶媒が蒸発した後に、医薬製剤は、薄くて柔軟性のある目に見えない皮膜を形成する。1種以上の有効成分が、形成された皮膜から、その中のポリマーリザーバ(polymer reservoir)を介して皮膚に導入されたり、皮膚を通して全身循環へと放出されたりすることが可能となる。本明細書において提案する投与方法は、簡便な投与、例えば医薬製剤を噴霧または塗布することによる投与や、可変の用量や、長時間にわたる有効成分の制御可能な放出によって、差別化される。形成される皮膜は、皮膚への付着性が良好で、炎症の可能性が低く、外見上目立たない。皮膚上の皮膜に有効成分を定着させることによって、衣服との接触による有効成分の損失や、他の人々に汚れをつけることが避けられる。本発明の別の利点は、経皮パッチの製造における場合とは異なり、高価な装置や手順が必要ないことである。さまざまな成分が、溶媒のみに溶解しているか、懸濁し封入されている。溶液の施用は、皮膚の状態とは独立して行うことができる。毛のない滑らかな場所に貼り付けなくてはならないパッチとは対照的に、毛やしわの存在は何ら問題を来たさない。
【0016】
溶媒が蒸発する間に、使用される有効成分の再結晶化は起こらない。むしろ、高い熱力学的活量を示す過飽和溶液が生成する。その結果、有効成分の皮膚への透過は、永続的に促進される。また、乾燥した皮膜においては、有効成分は晶出せずに、溶解した形態で存在する。これによって皮膜内での拡散が可能になり、有効成分を、皮膜の乾燥後に界面にも拡散し、皮膚へと放出することができる。製剤においては、単独の有効成分を添加しても、複数の有効成分(例えば、エチニルエストラジオールなどのエストロゲンと、レボノルゲストレルなどのゲスターゲンとの組み合わせ)を添加してもよく、この場合の複数の有効成分は、一緒に、すなわち同時に皮膚内へと搬送される。ヘアケア用ポリウレタンによって、有効成分の再結晶化が避けられると同時に、有効成分の皮膚内への吸収が熱力学的に促進される。
【0017】
本発明の医薬製剤に使用するのに好適なヘアケア用ポリマーは、ポリウレタン群に属する。単独の、または他のポリマー(例えば、アクリレート)と組み合わせた、ヘアケア用製品に使用されるポリウレタンは、この用途に特に好適である。なぜなら、形成される皮膜は、高い柔軟性を有すると同時に、強度が高くなるからである。好適なポリウレタンの例を、以下の一覧に列挙する。一覧においては、ポリウレタンを、これらの商品名によって列挙する。対応する括弧内に、ポリウレタンの呼称と、それぞれの現在の製造業者を示す。
−Luviset(登録商標)P.U.R(ポリウレタン−1、BASF製)、
−DynamX(登録商標)(ポリウレタン‐14およびAMP‐アクリレートコポリマー、National Starch and Chemical製)、
−Avalure(登録商標)UR405、Avalure(登録商標)UR425(ポリウレタン−2、Noveon製)、
−Avalure(登録商標)UR445(ポリウレタン−4、Noveon製)、
−Avalure(登録商標)UR450(ポリプロピレングリコール−17/イソホロンジイソシアネート/ジメチルプロピオン酸コポリマー、Noveon製)
−Aquamere(商標)A/H(ポリビニルピロリドン/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル)
−Aquamere(商標)C(ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル)
−Aquamere(商標)S(ポリビニルピロリドン/ジメチコニルアクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル)
【0018】
(1)式Iによって表される1種以上の2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸
【0019】
【化1】

【0020】
式中、Rは水素またはC〜C20アルキルを意味し、2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸は、ポリウレタン1gにつき0.35〜2.25ミリ当量のカルボキシル官能価を生じさせるのに十分な重量で存在する、
【0021】
(2)ポリウレタンの重量に対して10〜90重量%の1種以上の有機化合物であって、いずれの場合にも活性水素原子が2以下である有機化合物、および
(3)2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸および有機化合物の活性水素原子(2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸のカルボキシル基上の水素を除く)と反応するのに十分な量で存在する1種以上の有機ジイソシアネート
からなる反応生成物を含む、必要に応じて中和されていてもよい、完全に反応したカルボキシル化直鎖ポリウレタンの使用が好ましい。
【0022】
2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸は、式Iによって表される。
【0023】
【化2】

【0024】
式中、Rは、水素またはC〜C20アルキル、好ましくはC〜Cアルキルを意味する。
【0025】
特定の例としては、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)酢酸、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)酪酸、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)ペンタン酸等が挙げられる。好ましい酸は、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸である。2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸は、ポリウレタン1gにつき0.35〜2.25ミリ当量、好ましくは0.5〜1.85ミリ当量のカルボキシル官能価を生じさせる量で存在し、一般に、この量は、ポリウレタンポリマーの約5〜30重量%である。
【0026】
イソシアネートと反応し、本発明によるポリウレタンポリマーの製造に使用することができる有機化合物は、2個以下の活性水素原子を有する(ツェレビチノフ法によって測定)。活性水素原子は、通常、酸素、窒素、または硫黄原子に結合している。これらの化合物の分子量は、約300〜20,000、好ましくは約500〜8,000である。重合中のゲル化を避けるために、これらの化合物は好ましくは直鎖状であるが、少量の非直鎖状化合物も、その使用がゲル化を来たさないことを条件に使用することができる。有機化合物は、ポリウレタンの10〜90重量%の量で、好ましくは15〜70重量%の量で存在する。
【0027】
2つの活性水素原子を有する好ましい有機化合物は、直鎖状で二官能性のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールであり、特に、触媒としての水酸化ナトリウムの存在下で、エチレンオキサイド(またはプロピレンオキサイド)と、水、エチレングリコール(またはプロピレングリコール)またはジエチレングリコール(またはジプロピレングリコール)との反応によって製造される、市販のものである。これらのポリグリコールの分子量は、約600〜20,000、好ましくは約1,000〜8,000である。一様な分子量を有する複数のポリグリコールや、異なる分子量を有する複数のグリコールの混合物を使用することができる。また、少量の付加的なアルキレンオキサイドを、共重合によってポリグリコールに組み込むことも可能である。
【0028】
2つの活性水素原子を有する他の好適な有機化合物は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基またはメルカプト基を有する化合物である。中でも、ポリヒドロキシ化合物、例えばポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリアセタールジオール、ポリアミドジオール、ポリエステルポリアミドジオール、ポリ(アルキレンエーテル)ジオール、ポリチオエーテルジオール、およびポリカーボネートジオールが好ましい。これらの種類の中で2つ以上の異なる基を有する化合物、例えばアミノアルコールや、2つのアミノ基と1種のヒドロキシル基とを有するアミノアルコールも、使用することができる。二官能性の化合物が好ましく使用されるが、少量の三官能性(および多官能性)の化合物も使用することができる。
【0029】
好適なポリエーテルジオールは、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドまたはテトラヒドロフランからなる縮合生成物と、これらの共重合、グラフト重合またはブロック重合生成物(例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの縮合物、オレフィンと上記アルキレンオキサイド縮合物との高圧下反応でのグラフト重合生成物)である。好適なポリエーテルは、例えば、上記のアルキレンオキサイドと多価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなど)との縮合によって製造される。
【0030】
好適なポリエステルジオール、ポリエステルアミドジオールおよびポリアミドジオールは、好ましくは飽和しており、例えば、飽和または不飽和ポリカルボン酸と、飽和または不飽和多価アルコール、ジアミンまたはポリアミンとの反応によって得られる。これらの化合物の製造のために好適なカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テレフタル酸およびマレイン酸が挙げられる。ポリエステルの製造のために好適な多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよびヘキサンジオールが挙げられる。アミノアルコール、例えばエタノールアミンも、好適である。ポリエステルアミドおよびポリアミドの製造のために好適なジアミンは、例えば、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンである。
【0031】
好適なポリアセタールは、例えば、1,4−ブタンジオールまたはヘキサンジオールとホルムアルデヒドとから製造することができる。好適なポリチオエーテルは、以前に開示されているように、例えば、チオジグリコールの単独縮合、またはチオジグリコールと他のグリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロペニレングリコール)との縮合、またはチオジグリコールと他のポリヒドロキシ化合物との縮合によって製造することができる。最初から尿素またはウレタン基を含有するポリヒドロキシ化合物や、さらに修飾することができる天然の多価アルコール(例えば、ヒマシ油および炭水化物)も使用することができる。
【0032】
ポリウレタンポリマーの製造においては、多くの場合に高い分子量を有し、2つ以下の活性水素原子を有する有機化合物に加えて、低分子量有機化合物、好ましくは約300未満でありかつ60を超える分子量を有する低分子量有機化合物を使用して、鎖延長することが望ましい場合がある。典型的な鎖延長剤としては、飽和または不飽和グリコール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等);アミノアルコール(例えばエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン等);モノ−およびジ−アルコキシル化脂肪族、脂環式、芳香族および複素環式の第1級アミン(例えばN−メチルジエタノールアミン、N−オレイルジエタノールアミン、N−シクロヘキシルジイソプロパノールアミン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシプロピルナフチルアミン等);ジアミン(例えばエチレンジアミン、ピペラジン、N,N−ビス−γ−アミノプロピル−N−メチルアミン等);脂肪族、脂環式、芳香族および複素環式のジカルボン酸などのカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、ジグリコール酸、キノリン酸、ルチジン酸等);アミノカルボン酸(例えばグリシン、α−アラニンおよびβ−アラニン、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、p−アミノ安息香酸、および5−アミノナフトエ酸等)が挙げられる。好ましい鎖延長剤は、脂肪族ジオールである。
【0033】
有機化合物と反応させることができる有機ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物は、脂肪族または芳香族ポリイソシアネートまたはこれらの混合物である。ポリイソシアネートは、好ましくはジイソシアネートであり、したがって、直鎖ポリマーが製造されるが、ジイソシアネートとともに少量の三官能性のイソシアネートも使用することができる。イソシアネートは、2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸および有機化合物の活性水素原子(ただし、2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸のカルボキシル基上の水素を除く)と反応するのに十分な量で存在する。この量は、カルボン酸および有機化合物の量に基づいて変化する。
【0034】
ジイソシアネートの例としては、メチレンジ−p−フェニルジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジブロモ−1,5−ナフタレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、およびシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
ポリマー鎖を延長することが望ましくない場合、ジイソシアネートと2つの活性水素原子を含有する有機化合物との反応は、残留するすべてのイソシアネート官能価を消費するように、活性水素を含有する単官能化合物を添加することによって、停止される。これらの鎖停止剤の例は、当該専門分野において周知である。この系のために好ましい鎖停止剤は、エタノールである。
【0036】
ウレタンの重合は、典型的には、当該専門分野において既知のウレタン反応のための触媒の使用下または不使用下で、反応媒質(reaction medium)中で行われる。好適な触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、炭素数2〜18のカルボン酸の錫(II)塩(例えば、錫(II)ラウレート、錫(II)ステアレート、錫(II)アセテート、錫(II)ブチレート、錫(II)オクトエート等)およびこれらの混合物が挙げられる。その他の好適な触媒としては、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫スルフィド、樹脂酸鉛、安息香酸鉛、サリチル酸鉛、鉛−2−エチルへキソエート、オレイン酸鉛、アセチルアセトン鉄、安息香酸コバルト、テトラ(2−エチルへキシル)−チタネート、テトラブチルチタネート等が挙げられる。多くの他の化合物により、イソシアネート基の特定の他の反応よりも、ヒドロキシル基または別の基とイソシアネートとの反応が促進され、これらの化合物のいずれをも使用することができる。当業者であれば、個々のウレタン反応に望ましい特性を与える特定の触媒を選択するであろう。記載した特定の化合物は、好ましい化合物であって、説明として言及したのみであり、化合物を限定するものではない。さらに、あらゆる好適な第3級アミン(例えばトリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリンまたは4−ジメチルアミノ−エチルピペラジン)を、単独で、または金属触媒とともに使用することができる。
【0037】
共反応物の割合に関しては、活性水素原子に対するイソシアネート基の分子比が可能な限り1:1に近づくように選択するべきである。確かに、この割合を常に正確に達成することは事実上不可能であり、したがって、約0.7:1〜1.3:1、好ましくは約0.9:1〜1.2:1の範囲の割合を求めるべきであり、先に説明したように、すべての過剰のジイソシアネートは、活性水素を含有する単官能の化合物を用いて抑制することができる。
【0038】
重合は、当業者には周知のポリウレタンを製造するための既知の重合法に従って行われる。例として、重合法および反応条件が、特許公報DE69401230T2の実施例に示されている。
【0039】
ポリウレタン‐14およびAMP‐アクリレートコポリマー(DynamX(登録商標))の使用が、特に好ましい。
【0040】
先に列挙したポリウレタン群ヘアケア用ポリマーは、外見上目立たず柔軟な皮膜を、皮膚上に形成する。形成された皮膜が透明であり、皮膚に辛うじて定着する程度、または中程度に定着するのであれば、外見上目立たず柔軟な皮膜が、皮膚に常に存在する。皮膚への強固な付着は、望ましくないしわの発生を来たしたり、使用時の快適さと外見上の美しさを低下させたりする虞がある。この皮膜は、使用している少なくとも24時間の間、十分な付着性を示し(すなわち、剥がれや脱落がなく)、非常に高い柔軟性を有しているため、この間に視認できる程度の破れが形成されない。使用時間は、72〜84時間という長時間(これは、1週間に2回の投与に相当する)であってもよい。
【0041】
本発明による医薬組成物または製剤は、簡便な投与と可変の用量とを組み合わせることができる。この組成物は、速乾性で、べたつきがなく、易付着性である。有効成分の放出を、長時間にわたって制御することができる。この場合、ホルモンについては、市販されている通常のホルモンパッチや、同じ濃度のエタノールホルモン溶液からの透過よりも高い、ヒト表皮を通る有効成分の透過が達成される。衣服や他の人々に汚れがつくことはない。
【0042】
粘度および外見上の理由のために、医薬製剤中のヘアケア用皮膜形成ポリウレタンの濃度は、特定の限度内でのみ変動しなくてはならない。ポリマーの割合が過剰であると、結果的に粘度がかなり上昇する。したがって、例えば噴霧による施用が妨げられる。これとは別の結果としては、厚すぎる皮膜の形成が挙げられ、その結果、皮膚への定着が強固になり、望ましくないしわが発生する。皮膚に医薬製剤を施用することによってこうして形成されるポリマー皮膜の厚みは、1μmを超えるが、100μmを超えてはならない。好ましい膜厚は、5μm〜50μmの範囲である。
【0043】
一方、含有されるポリウレタンの量も、有効成分の積載能力に影響を与えるため、ポリマーや有効成分の特性に基づいた皮膜を形成する個々のポリウレタンについて、個別に濃度範囲を設定することができ、上記の皮膜は、所望の期間にわたって有効成分の適切な透過を可能にすると同時に、外見上の要件(しわがないこと)に対応する。(噴射剤を含有しない)液状の医薬製剤中の場合、その中のポリウレタン濃度は、0.01〜40%(w/w)、好ましくは5〜30%の間の値を取り得る。
【0044】
さらに、このポリウレタン皮膜は、蒸れにくく、すなわち水蒸気透過率が0.05g×cm−2×24時間−1を超える(Ph. Brit 1993 Appendix XXJに従って測定)。したがって、これらの皮膜は、長時間の使用にも好適である。
【0045】
本発明による医薬製剤は、上記の1種以上のポリウレタン、必要に応じて加えられるポリマーとの混合物に代えて、少なくとも1種の有効成分とともに少なくとも1種の適切な溶媒を含有する。
【0046】
ポリウレタン溶液に組み込むことができ、対応する適応症において皮膚投与または経皮投与を可能にすることができる限り、薬学的に活性なすべての物質が有効成分として好適である。また、本発明による医薬製剤によって、例えば真菌症などの皮膚病を治療するための有効成分の投与も考えられる。したがって、例えばポリウレタン溶液を噴霧することにより、皮膚病変を特異的に治療することができる。傷ついた皮膚の治療のためには、特に溶媒の適合性に注意を払わなくてはならない。
【0047】
以下の一覧は、本発明による医薬製剤を投与するのに好適な有効成分を列挙である:
経皮投与のためには、以下のもの(キラル型および薬学的に許容される塩を含む)が好適である:
−アンドロゲン、例えばテストステロンおよびそのエステル(例えば、ジプロピオン酸テストステロン)、7−メチル−11−フルオロ−19−ノルテストステロンまたは7−メチル−19−ノルテストステロン、
−エストロゲン、例えばエチニルエストラジオール、メストラノール、キネストラノール、エストラジオール、エストロン、エストラン、エストリオール、エステトロールおよび結合型ウマエストロゲン、
−ゲスターゲン、例えばプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエチステロン、ドロスピレノン、ジドロゲステロン、ノルエルゲストロミン、レボノルゲストレル、ジエノゲスト、リネストレノール、エトノゲストレル、メドロゲストン、ネストロンおよび酢酸シプロテロン、
−m−コリン受容体拮抗薬、例えばスコポラミン、塩化トロスピウム、チオトロピウムおよびホマトロピン、
−プロスタグランジン、例えばジノプロスト、ミソプロストール、サルプロストンおよびゲメプロスト、
−加えてダナゾール、フィナステリド、ラロキシフェン、ニコチン、オキシトシン、ニトログリセリン、フェンタニル、ナロキソン、ブプロピオン、クロニジン、プロプラノロール、メトプロロール、ジルチアゼム、ニカルジピン、カプトプリル、硝酸イソソルビド(isosorbide dinitrate)、一硝酸イソソルビド、ジメチルイソソルビド、タリノロール、リドカイン、プロピポカイン、ジアゼパム、ミダゾラム、メチルフェニデート、パラトルモン、ロチゴチン、インスリン、へパリン、オキシブチニン、スルファグアニジンおよび/またはジドブジン。
【0048】
皮膚投与のためには、以下のもの(キラル型および薬学的に許容される塩を含む)が好適である:
−日焼け剤に含まれているカテキンのオリゴマー、ガロタンニンとフラバン誘導体とのオリゴマー、フェノールカルボン酸、没食子酸およびその誘導体のエステル化した糖、
−防腐剤、例えばクロルヘキシジン、トリクロサンおよびエタクリジン、
−抗生物質、例えばフシジン酸、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、スピラマイシン、ミノサイクリン、クリンダマイシン、ネオマイシンB、カナマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、メトロニダゾール、ニモラゾール、チニダゾール、ポリミキシンB、コリスチン、チロトリシン、バシトラシン、ムピロシンおよびセファレキシン、
−抗真菌剤、例えばケトコナゾール、イトラコナゾール、アンホテリシンB、グリセオフルビン、フルコナゾール、アモロルフィン、フルシトシン、テルビナフィン、ナフチフィン、シクロピロックス、ナタマイシン、ニスタチン、ウンデセン酸およびイソコナゾール、
−局所用副腎皮質ホルモン剤、例えばアセポン酸メチルプレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、フランカルボン酸モメタゾン、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン−17−ベンゾエート、プレドニカルベート、吉草酸ジフルコルトロン、トリアムシノロンアセトニド、アムシノニド、デスオキシメタゾン、フルオコルトロンおよびフルチカゾン、
−局所用免疫調節剤(マクロライド)、例えばタクロリムスおよびピメクロリムス、またエポチロン、
−抗ヒスタミン剤:アゼラスチン、フェキソフェナジン、レボカバスチン、ロラタジン、ミゾラスチン、クレマスチン、バミピン、セチリジン、ジメチジン、ケトチフェンおよびエメダスチン、
−免疫抑制剤:シクロスポリン、アザチオプリンおよびミコフェノール酸モフェチル、
−アントラリン:シグノリン(cignolin)およびジトラノール、
−ビタミンD3類似体:カルシポトリオールおよびタカルシトール、
−局所用レチノイド:トレチノイン、イソトレチノイン、アシトレチン、アダパレンおよびタザロテン、
−細胞増殖抑制剤:メトトレキサート、5−フルオロウラシル、5−ヒドロキシタモキシフェン、ジンクピリチオンおよびフルダラビン、
−紫外線防止剤:スチルベン誘導体、
−植物抽出物:緑茶抽出物、ツボクサ抽出物、ヤナギの樹皮抽出物、カバノキ抽出物、ティーツリー油、オリーブ葉抽出物、アロエベラ抽出物、マリーゴールド抽出物、トケイソウ抽出物、マンサク抽出物、カモミール抽出物、クマコケモモ葉抽出物およびカンゾウ根抽出物、例えば18β−グリシルレチン酸(Zn化合物)またはその混合物、および
−尿素、乳酸、フマル酸エステル、アゼライン酸、ハイドロキノン、過酸化ベンゾイル、安息香酸ベンジル、ケトプロフェン、イブプロフェン、サリチル酸塩、ナプロキセン、ジクロフェナクナトリウムおよび塩、ケトロラク、インドメタシン、ピロキシカム、ニコチンアミド、フタル酸ジプロピル、アミノピリン、フルフェナム酸、ケトチフェン、ポリドカノール、オリゴヌクレオチド、si−RNAおよびリボザイム、RNAデコイヌクレオチド、アシクロビル、ペンシクロビル、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、トロマンタジン、5−アミノレブリン酸、リドカイン、プロカインおよびシンコカイン。
【0049】
この場合、有効成分は、溶解した形態と、エマルジョンまたは懸濁液の形態のどちらでも存在することができる。
【0050】
本発明の医薬製剤から得られるポリマー皮膜中の有効成分の濃度は、達成すべき有効成分レベルに依存する。該濃度は、有効成分の皮膚透過性に依存し、また、必要に応じて加えられる製剤中の透過促進剤の存在に依存する。溶液においては、組み込まれる有効成分の量は、該溶液中での有効成分の飽和溶解度によって制限される。この量を超える場合、有効成分は、部分的に溶解し部分的に懸濁した形態で存在する。本発明による医薬製剤に含まれる有効成分の量は、0.01〜30%(w/w)、好ましくは0.01〜15%(w/w)である。
【0051】
本発明によるポリウレタン皮膜は、限られた積載能力を有する非常に薄い系である。したがって、有効成分は、このような系による投与に適しているのが好ましい。前記ポリマーの皮膜系は有効成分の皮膚透過を良好にできる構造を有していたり、ポリマー系それ自体または透過促進添加剤によって、皮膚を介した有効成分の輸送効率を非常に高くできたり、または皮膜系により有効成分が非常に強い作用を発現したりする。したがって、有効成分は、少量でのみ投与しなくてはならない。そのため、有効成分としては、ホルモン、主にエストロゲン、ゲスターゲンおよびアンドロゲン、特にエチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルが、特に好適である。
【0052】
製剤を乾燥させる際に、患者コンプライアンスを損ないかねない長い待ち時間を避ける観点から、皮膚適合性でわずかに揮発性の溶媒が使用される。これらの溶媒は、好ましくはエタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、揮発性シリコーン、アセトンおよび水である。溶媒は、単独で使用しても、互いに組み合わせて使用してもよい。水性溶媒混合物の場合には、水の割合は、乾燥時間が長くなるのを防ぐために、好ましくは50%(w/w)未満である。
【0053】
1種以上の軟化剤を、任意に医薬製剤に添加することができる。好ましい軟化剤は、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、フタル酸ジブチル、セバシン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンまたはヒマシ油である。ここで、軟化剤の含有量は、ポリウレタンおよびその濃度に適合させなくてはならない。なぜなら、軟化剤の含有量が多すぎると、皮膜がべたつくからである。しかし、軟化剤の含有量が少なすぎる場合には、付着性と柔軟性が低下する。そうなると皮膜は、一定時間が経過した後に、剥がれ落ちたり破れたりする。本発明による医薬組成物に任意に添加される軟化剤の割合は、好ましくは0.01〜20%(w/w)である。軟化剤は、単独で使用しても、互いに組み合わせて使用してもよい。
【0054】
加えて、さらに別の薬学的に適合性の物質、例えば保湿剤および乳化剤を、本発明による医薬組成物に任意に添加してもよい。
【0055】
保湿剤としては、好ましくはグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールまたはポリビニルピロリドン、加えてこれらの組み合わせが好適である。医薬製剤におけるこれらの割合は、好ましくは0.01〜10%(w/w)である。
【0056】
本発明において好ましい乳化剤は、セチルステアリル硫酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、脂肪アルコール、コレステロール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル、POE脂肪酸グリセリドまたはPOE脂肪アルコールエーテルである。これらは、好ましくは0.01〜10%(w/w)の割合で医薬製剤に添加することができる。
【0057】
皮膚上でのポリマー系からの有効成分を搬送することの制御は、特定の透過促進剤やさまざまな物質の組み合わせを選択することによって行ってもよいし、添加する物質(単数または複数)の量を変えることによって、行ってもよいし、その双方であってもよい。
【0058】
任意に添加される好ましい透過促進剤は、ラウロカプラム、スルホキシド、テルペン油またはエーテル油、オレイン酸、オレイルアルコール、ラウリル酸、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、N−メチル−ピロリドンおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群から選択される。この場合、透過促進剤は、個別に使用しても、組み合わせて使用してもどちらでもよい。これらのうち、オレイン酸、テルペンR−(+)−リモネンおよびミリスチン酸イソプロピルが特に好ましい。さらに好ましいのは、ミリスチン酸モノイソプロピル;オレイン酸、R−(+)−リモネンまたはミリスチン酸イソプロピルとプロピレングリコールとの組み合わせである。オレイン酸、R−(+)−リモネンまたはミリスチン酸イソプロピルとプロピレングリコールとの組み合わせは、好ましくは前者/後者の割合が1:1であるのが、特に好ましい。
【0059】
例えば、有効成分がエチニルエストラジオールの場合、R−(+)−リモネン、オレイン酸およびミリスチン酸イソプロピルの、主にプロピレングリコールとの組み合わせが、特に有利である。医薬製剤におけるこれらの割合は、好ましくは0.01〜15%(w/w)である。
【0060】
透過促進剤に加えて、基礎的溶媒(basic solvents)、例えばエタノール、酢酸エチルまたはイソプロパノールも、透過の促進に貢献し得る。しかし、エタノールポリマー溶液から産生されるポリマー皮膜からの有効成分の透過は、ポリマーを含有しないエタノール有効成分溶液からの透過よりも明らかに優れている。したがって、有機溶媒だけが存在する場合、ヒト表皮を通る有効成分の透過が増加することはない。ポリマーは、この過程において重要な役割を果たす。この所見は、さまざまなポリマーを含有する製剤からのさまざまな量の有効成分が、ヒト表皮を通って搬送されるという点においても裏付けられている。
【0061】
大量の有効成分を組み込む場合、またはかなりの程度まで補助薬を添加する場合、製剤を、例えば軟化剤の含有量を増加させることによって適合させてもよい。なぜなら、添加された物質によって、皮膜特性が、例えば付着性に関して変化し得るからである。
【0062】
本発明による医薬製剤を、市販の施用装置に封入することができ、その施用装置を利用して皮膚に施用することができる。この場合、施用装置としては、ローラー、ポンプ式噴霧瓶、噴霧装置、チューブ、ブラシ付き瓶またはピペット付き瓶が特に好適である。1つの噴霧装置に封入する場合、さらに噴射剤を混合する必要がある。噴射剤としては、例えば、ジメチルエーテルまたはプロパンとブタンとの組み合わせを使用することができる。この場合、有効成分の投与は、当業者には既知の装置または手順によって行われる。
【0063】
エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルについては、本発明の新たな医薬製剤を使用した場合、透過促進剤を使用しても使用しなくとも、同じ濃度のエタノール溶液からの場合よりも多くの有効成分をヒト表皮内に搬送できることを示せた。新たなポリマー系は、24時間以内に透過する有効成分の量に関して、同じ有効成分濃度の単純なエタノール溶液よりも優れている。
【0064】
本発明による医薬製剤では、透過促進剤を使用した場合であっても使用しない場合であっても、市販の避妊パッチ(EVRA(登録商標);有効成分:エチニルエストラジオールおよびノルエルゲストロミン)よりも、単位表面積につき有意に多くのエチニルエストラジオールをヒト表皮内に24時間以内に搬送することができた。また、透過促進剤を添加すると、ホルモン置換療法のための市販のパッチ(Fem7(登録商標)Combi,Phase II;有効成分:エストラジオールおよびレボノルゲストレル)からと同じくらい多量の単位表面積あたりのレボノルゲストレルが、24時間以内に本発明による医薬製剤からヒト表皮を通って透過する。
【0065】
実施例1:透過促進剤を含有しない医薬製剤
透過促進剤を含有せず、皮膚上で乾燥して、柔軟で外見上目立たない皮膜となる医薬製剤を得るために、任意に投与される有効成分を、加熱しながら約96%のエタノール中に溶解させた。有効成分の溶解後にポリマーを添加し、ポリマーが完全に溶解するまで製剤をマグネチックスターラで攪拌した。透明な溶液を得た後に、任意に架橋剤または軟化剤を添加し、溶液をさらに24時間攪拌した。ポリマー溶液の保管は、シリコーン処理をしたゴム栓とアルミニウム製のフランジキャップとでしっかりと密閉したガラス容器内で行った。ポリマーの種類、ポリマー含有量、軟化剤含有量および軟化剤含有量を変化させて、これらの製剤試験を行った。
【0066】
こうして得られた製剤を、粘度、乾燥時間、外側のべたつき、外見上の美しさおよび皮膚上での耐久性の基準に基づいて、以下に記載するとおりに評価した。この目的のために、上述のようにして得られた製剤の約50mg(10mg/cmに相当する)を、金属製の型を使用して皮膚に塗布した。
【0067】
製剤を皮膚に塗布してから5分後に、皮膜の乾燥を、皮膜に圧力をかけずにスライドガラスを載せることによって調べた。皮膜から離した後のスライド上に液状の残渣が検出されなければ、皮膜が乾燥しているとみなした。良好な患者コンプライアンスを確保するために、5分後に乾燥していると考えられる皮膜のみを選択する。
【0068】
皮膜の外側のべたつきを調べるために、乾燥した皮膜に軽く圧力をかけながら一塊の綿を接触させた。評価は、皮膜が捕らえた綿繊維の量に基づいて行った。
【0069】
皮膜の外見上の美しさは、厚み、透明度、および皮膜が皮膚に付着した状態に関して、裸眼で目視によって評価した。
【0070】
24時間配置した後、皮膚上の皮膜の耐久性を、倍率10倍の拡大鏡で目視によって評価した。皮膜の破れや穴(剥離)が少ないほど、品質が良い。
【0071】
溶液の粘度を、噴霧によって投与することができる低粘度〜中粘度の製剤を選択することを目的として、保管容器内の目視によって評価した。
【0072】
上記の基準のすべてにおいて最良の評価(低粘度〜中粘度で、5分後に乾燥し、皮膜の外側のべたつきがほとんどないか全くなく、厚みが小さく、透明性が良好で、皮膚への付着が強力すぎないとともに、24時間後に破れや穴がほとんど形成されないか全く形成されない)が達成された場合に、製剤を合格とみなした。本発明による医薬製剤において、その内容物および濃度に関して何らかの変化があった場合、結果として皮膜の特性が変化し、それによって上記の基準の評価において変化が生じ得る。一定の限度内であれば、これらの変化は許容可能であり、個々の成分についての濃度範囲を示すことができる。しかし、激しい逸脱は、皮膚上のポリマー皮膜が上記の所望の特性を有しなくなる結果を来たすため、予定の用途に不適である。
【0073】
以下の表に、医薬製剤が、柔軟で、易付着性で、べたつきがなく、外見上目立たない皮膜を皮膚上に形成する分量範囲に関するデータを記載する。
【0074】
【表1】

【0075】
10%(w/w)のDynamX(登録商標)、1%(w/w)のクエン酸トリエチル、16%の水、68%(w/w)のエタノールおよび5%(w/w)の有効成分からなる医薬組成物は、特に好適な皮膜を形成する。
【0076】
実施例2:透過促進剤を含有する医薬製剤
有効成分の皮膚内での搬送を増加させるために、透過を促進する物質を製剤に添加することができ、この製剤は、上記の基準に関して肯定的に評価される。
【0077】
【表2】

【0078】
実施例3:エチニルエストラジオール−エタノール溶液との透過比較
皮膚透過試験のために、美容整形外科手術からのヒトの腹部の皮膚を使用した。皮膚をその下にある脂肪組織から切り離し、使用するまで冷凍保管した。準備として、皮膚片から円形サンプルを打ち抜き、熱分離によって表皮を他の皮膚成分から分離した(Kligman, A. M., Christophers, E., Preparation of Isolated Sheets of Human Stratum Corneum. Archives of Dermatology, 1963. 88: pp. 702-705)。表皮を適切な支持膜とともに縦型フランツ拡散セルに固定した。アクセプタ媒体として、0.5%のγ−シクロデキストリンを可溶化剤として含有する、これより中性側のリン酸緩衝液を使用した。試験の間を通して、セルを32℃に調節し、アクセプタ媒体を、磁気攪拌棒で継続的にセル内に十分に混ぜ込んだ。それぞれの製剤を表皮に塗布した後(いずれの場合も、1製剤につき4つのセル)、サンプルを所定の時点で各セルから取り出し、容積を新しいアクセプタ媒体で置換した。サンプルの有効成分含有量を、さらに処理することなくHPLCで測定した。
【0079】
本発明によるポリマー系(DynamX 10%(w/w);エチニルエストラジオール含有量 5%(w/w))からのエチニルエストラジオールの透過を、透過促進剤(オレイン酸 2.5%(w/w);プロピレングリコール 2.5%(w/w))を使用する場合と使用しない場合の双方で、熱分離したヒト表皮によって測定し、エタノール溶液(5%(w/w)エチニルエストラジオール)からの透過と比較した。透過試験の結果を、図1/8にグラフを用いて示す。
【0080】
実施例4:エチニルエストラジオール−パッチとの透過比較
本発明によるポリマー系(DynamX 10%(w/w);エチニルエストラジオール含有量 5%(w/w))からのエチニルエストラジオールの透過を、透過促進剤(オレイン酸 2.5%(w/w);プロピレングリコール 2.5%(w/w))を使用する場合と使用しない場合の双方で、熱分離したヒト表皮によって測定し、市販の避妊パッチ(EVRA(登録商標))からのエチニルエストラジオールの透過と比較した。透過試験の結果を、図2/8にグラフを用いて示す。
【0081】
実施例5:エチニルエストラジオール−さまざまなポリマー溶液の透過比較
本発明によるポリマー系(DynamX 10%(w/w);エチニルエストラジオール含有量 5%(w/w))からのエチニルエストラジオールの透過を、熱分離したヒト表皮によって測定し、他のポリマーを使用した同じエチニルエストラジオール含有量(5%(w/w))のポリマー溶液、およびエタノール溶液(5%(w/w)エチニルエストラジオール)からのエチニルエストラジオールの透過と比較した。試験した製剤の組成を、以下の表に列挙する。
【0082】
【表3】

【0083】
ここで、Eudragit(登録商標)RL POは、メタクリル酸アンモニウムコポリマーであり、SGM36は、シリコーンゴムであり、Klucel(登録商標)LFは、ヒドロキシプロピルセルロースである。さらに、Q7−9180は、Dow Corning Q7−9180 Silicone Fluid 0.65 cst(ヘキサメチルジシロキサンとオクタメチルトリシロキサンとからなる混合物)を意味し、193 Fluidは、Dow Corning 193 fluid(PEG−12ジメチコン)を意味する。透過試験の結果を、図3/8にグラフを用いて示す。
【0084】
実施例6:レボノルゲストレル−エタノール溶液との透過比較
本発明によるポリマー系(DynamX 10%;レボノルゲストレル含有量 0.3%(w/w))からのレボノルゲストレルの透過を、透過促進剤(オレイン酸 2.5%;プロピレングリコール 2.5%(w/w))を使用する場合と使用しない場合の双方で、熱分離したヒト表皮によって測定し、エタノール溶液(0.3%w/w レボノルゲストレル)からのレボノルゲストレルの透過と比較した。透過試験の結果を、図4/8にグラフを用いて示す。
【0085】
実施例7:レボノルゲストレル−パッチとの透過比較
本発明によるポリマー系(DynamX 10%;レボノルゲストレル含有量 0.3%(w/w))からのレボノルゲストレルの透過を、透過促進剤(オレイン酸 5.0%;プロピレングリコール 5.0%(w/w))を使用して、熱分離したヒト表皮によって測定し、市販のパッチ(Fem7(登録商標)Combi,Phase II)からのレボノルゲストレルの透過と比較した。透過試験の結果を、図5/8にグラフを用いて示す。
【0086】
実施例8:経皮パッチまたは皮膜形成ポリマー溶液の単回投与後のブタにおけるエチニルエストラジオールの血漿中濃度の測定
試験を、ドイツ動物保護法に従って、責任当局からの認可後に、8匹の雌のブタ(ドイツのランドレース種、3〜4カ月齢)について実施した。動物を、各群4匹の2群に分けた。群分けは、平均体重の近似した2つの群を作成する(23.5kg±0.5kg)ように、体重に基づいて無作為に行った。実験の1日前に、動物の背中の試験領域で、皮膚を傷付けないように毛を剃った。試験薬物の投与前に、アルコールで皮膚を注意深く清浄化した。1匹につき1枚のEVRA(登録商標)パッチ(20cm、0.03mgのEE/cm)を、片方の群の動物に投与した。試験中にパッチが脱落した場合(皮膚接触<90%)は、パッチを除去し、代わりに皮膚の別の部位に新しいパッチを投与した。300μLの皮膜形成製剤(組成:10.0%のDymamX(登録商標)、1.0%のクエン酸トリエチル、67.2%のエタノール、16.8%の水、5.0%のエチニルエストラジオール)を、2つ目の群の動物の20cmに投与した。どちらの製剤も、いずれの場合にも試験開始時に1回投与した。薬物の状態を試験期間(7日間)にわたって観察し、起こり得る皮膚反応を記録した。投与の時点から開始して6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、144時間後および168時間後に血液サンプルを採取し、エチニルエストラジオールについてGS−MSによって血漿を分析した。
【0087】
エチニルエストラジオールの血漿中濃度を、図6/8〜8/8に示す。濃度−時間曲線下面積(AUC0〜168時間)および最高血漿濃度到達時間(tmax)を、以下の表に示す。
【0088】
【表4】

【0089】
どちらの医薬製品も、試験期間にわたって十分な皮膚接触を示した。投与後、ポリマー溶液は、透明で光沢のある皮膜を皮膚上に形成し、この皮膜は、24時間後に破れを示し始めた。3〜6日後には、もはや皮膜はみられなかった。皮膚反応は観察されなかった。パッチの群の動物のうち1匹だけが、皮膚の発赤を示したが、これはおそらく脱落しかけたパッチを除去したためであろう。両群におけるエチニルエストラジオールの血漿中濃度は、かなりの変動を示した。さらに、皮膜形成製剤を使用した群では、さまざまな時点で最高血漿濃度が達成された。しかし、計算された濃度−時間曲線下面積は、パッチの群におけるよりも皮膜形成製剤の群について高いレベルであった。こうして、皮膜形成ポリマー溶液を利用して、インビボにおけるかなりの量のエチニルエストラジオールの血漿中濃度をブタにおいて生じさせることができ、該濃度は、パッチの群で達成された血漿中濃度よりも高くなる傾向を示した。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1/8(実施例3)は、透過促進剤を使用した場合(黒塗りの四角)および使用しない場合(黒塗りの三角)の本発明による医薬製剤からの有効成分の透過(エチニルエストラジオール)、およびエタノール溶液(白塗りの四角)からの有効成分の透過(エチニルエストラジオール)の比較試験結果を示す。
【図2】図2/8(実施例4)は、透過促進剤を使用した場合(黒塗りの四角)および使用しない場合(黒塗りの三角)の本発明による医薬製剤からの有効成分の透過(エチニルエストラジオール)、および避妊パッチ(白塗りの四角)からの有効成分の透過(エチニルエストラジオール)の比較試験結果を示す。
【図3】図3/8(実施例5)は、ポリマーDynamXを使用した場合(黒塗りの三角)の本発明による医薬製剤からの有効成分の透過(エチニルエストラジオール)、他のポリマー(例えば、Klucel LF(=ヒドロキシプロピルセルロース、白塗りの四角)、SGM36(=シリコーンゴム、黒塗りの四角)およびEudragit RL PO(=メタクリル酸アンモニウムコポリマー、白塗りの三角))を使用したポリマー系からの有効成分の透過(エチニルエストラジオール)、およびエタノール溶液(白塗りの円)からの有効成分の透過(エチニルエストラジオール)の比較試験結果を示す。
【図4】図4/8(実施例6)は、透過促進剤を使用した場合(黒塗りの四角)および使用しない場合(黒塗りの三角)の本発明による医薬製剤からの有効成分の透過(レボノルゲストレル)、およびエタノール溶液(白塗りの四角)からの有効成分の透過(レボノルゲストレル)の比較試験結果を示す。
【図5】図5/8(実施例7)は、透過促進剤を使用した場合(黒塗りの四角)の本発明による医薬製剤からの有効成分の透過(レボノルゲストレル)、および市販のパッチFem7(登録商標)Combi Phase II(白塗りの四角)からの有効成分の透過(レボノルゲストレル)の比較試験結果を示す。
【図6】図6/8(実施例8)は、EVRA(登録商標)パッチの単回投与後のブタにおけるエチニルエストラジオールの血漿中濃度を示す(動物1:▲、動物2:●、動物3:□、動物4:■)。
【図7】図7/8(実施例8)は、皮膜形成ポリマー溶液(溶液中5%のエチニルエストラジオール)の単回投与後のブタにおけるエチニルエストラジオールの血漿中濃度を示す(動物5:▲、動物7:■、動物8:□)。
【図8】図8/8(実施例8)は、皮膜形成ポリマー溶液(溶液中5%のエチニルエストラジオール)の単回投与後のブタにおけるエチニルエストラジオールの血漿中濃度を示す(動物6:●)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分の皮膚投与または経皮投与のための医薬製剤における、ヘアケア剤に使用される皮膜形成ポリウレタン、これらのポリウレタンの混合物もしくはポリウレタン類と他のポリマーとの混合物、またはウレタンと他のモノマーとのコポリマーの使用。
【請求項2】
請求項1において、ヘアケア剤に使用される皮膜形成混合物またはコポリマーが、ポリウレタンとアクリレートとの混合物またはコポリマーである、使用。
【請求項3】
請求項1において、ヘアケア剤に使用される皮膜形成ポリウレタンが、
・ポリウレタン−1、
・ポリウレタン‐14およびAMP‐アクリレートコポリマー
・ポリウレタン−2、
・ポリウレタン−4、
・ポリプロピレングリコール−17/イソホロンジイソシアネート/ジメチルプロピオン酸コポリマー、
・ポリビニルピロリドン/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル、
・ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル、および
・ポリビニルピロリドン/ジメチコニルアクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル
からなる群から選択される、使用。
【請求項4】
請求項1において、ヘアケア剤に使用される皮膜形成ポリウレタンが、
(1)式Iによって表される1種以上の2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸
【化1】

式中、Rは水素またはC〜C20アルキルを意味し、2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸は、ポリウレタン1gにつき0.35〜2.25ミリ当量のカルボキシル官能価を生じさせるのに十分な重量で存在する、
(2)ポリウレタンの重量に対して10〜90重量%の1種以上の有機化合物であって、活性水素原子が2以下である有機化合物、および
(3)2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸および有機化合物の活性水素原子(2,2−ヒドロキシメチル置換カルボン酸のカルボキシル基上の水素を除く)と反応するのに十分な量で存在する1種以上の有機ジイソシアネート
からなる反応生成物を含む、中和されていてもよい、完全に反応したカルボキシル化直鎖ポリウレタンである、使用。
【請求項5】
請求項4において、ヘアケア剤に使用される皮膜形成ポリウレタンが、ポリウレタン‐14およびAMP‐アクリレートコポリマーを含む、使用。
【請求項6】
請求項5において、ヘアケア剤に使用される皮膜形成ポリウレタンが、ポリウレタン‐14およびAMP‐アクリレートコポリマーを含むDynamX(登録商標)である、使用。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、溶液中のポリマー濃度が、0.01〜40%、好ましくは5〜30%である、使用。
【請求項8】
請求項1〜5に記載の1種以上のヘアケア用ポリウレタンに加えて、
・0.01〜30%(w/w)の1種以上の有効成分、
・0.01〜99.98%(w/w)の1種以上の溶媒、
・必要に応じて、0.01〜20%(w/w)の1種以上の軟化剤、
・必要に応じて、0.01〜10%(w/w)の1種以上の保湿剤、
・必要に応じて、0.01〜10%(w/w)の1種以上の乳化剤および/または
・必要に応じて、0.01〜15%(w/w)の1種以上の透過促進剤
を含有する、液体医薬製剤。
【請求項9】
請求項8において、溶液、エマルジョンまたは懸濁液の形態である、液体医薬製剤。
【請求項10】
請求項8または9において、有効成分の経皮投与のためのものである、液体医薬製剤。
【請求項11】
請求項10において、
・アンドロゲン:テストステロンおよびそのエステル(例えば、ジプロピオン酸テストステロン)、7−メチル−11−フルオロ−19−ノルテストステロンまたは7−メチル−19−ノルテストステロン、
・エストロゲン:エチニルエストラジオール、メストラノール、キネストラノール、エストラジオール、エストロン、エストラン、エストリオール、エステトロールおよび結合型ウマエストロゲン、
・ゲスターゲン:プロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエチステロン、ドロスピレノン、ジドロゲステロン、ノルエルゲストロミン、レボノルゲストレル、ジエノゲスト、ダナゾール、リネストレノール、エトノゲストレル、メドロゲストン、ネストロンおよび酢酸シプロテロン、
・m−コリン受容体拮抗薬:スコポラミン、塩化トロスピウム、チオトロピウムおよびホマトロピン、
・プロスタグランジン:ジノプロスト、ミソプロストール、サルプロストンおよびゲメプロスト、および
・フィナステリド、ラロキシフェン、ニコチン、オキシトシン、ニトログリセリン、フェンタニル、ナロキソン、ブプロピオン、クロニジン、プロプラノロール、メトプロロール、ジルチアゼム、ニカルジピン、カプトプリル、硝酸イソソルビド、ジメチルイソソルビド、タリノロール、リドカイン、プロピポカイン、ジアゼパム、ミダゾラム、メチルフェニデート、パラトルモン、ロチゴチン、インスリン、へパリン、オキシブチニン、スルファグアニジンおよび/またはジドブジン
(これらのキラル型および薬学的に許容される塩を含む)
からなる群から選択される1種以上の有効成分を含有する、液体医薬製剤。
【請求項12】
請求項8または9において、有効成分の皮膚投与のためのものである、液体医薬製剤。
【請求項13】
請求項12において、
・日焼け剤に含まれているカテキンのオリゴマー、ガロタンニンとフラバン誘導体とのオリゴマー、フェノールカルボン酸、没食子酸およびその誘導体のエステル化した糖、
・防腐剤:クロルヘキシジン、トリクロサンおよびエタクリジン、
・抗生物質:フシジン酸、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、スピラマイシン、ミノサイクリン、クリンダマイシン、ネオマイシンB、カナマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、メトロニダゾール、ニモラゾール、チニダゾール、ポリミキシンB、コリスチン、チロトリシン、バシトラシン、ムピロシンおよびセファレキシン、
・抗真菌剤:ケトコナゾール、イトラコナゾール、アンホテリシンB、グリセオフルビン、フルコナゾール、アモロルフィン、フルシトシン、テルビナフィン、ナフチフィン、シクロピロックス、ナタマイシン、ニスタチン、ウンデセン酸およびイソコナゾール、
・局所用副腎皮質ホルモン剤:アセポン酸メチルプレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、フランカルボン酸モメタゾン、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン−17−ベンゾエート、プレドニカルベート、吉草酸ジフルコルトロン、トリアムシノロンアセトニド、アムシノニド、デスオキシメタゾン、フルオコルトロンおよびフルチカゾン、
・局所用免疫調節剤(マクロライド):タクロリムスおよびピメクロリムス、
・抗ヒスタミン剤:アゼラスチン、フェキソフェナジン、レボカバスチン、ロラタジン、ミゾラスチン、クレマスチン、バミピン、セチリジン、ジメチジン、ケトチフェンおよびエメダスチン、
・免疫抑制剤:シクロスポリン、アザチオプリンおよびミコフェノール酸モフェチル、
・アントラリン:シグノリンおよびジトラノール、
・ビタミンD3類似体:カルシポトリオールおよびタカルシトール、
・局所用レチノイド:トレチノイン、イソトレチノイン、アシトレチン、アダパレンおよびタザロテン、
・細胞増殖抑制剤:メトトレキサート、5−フルオロウラシル、5−ヒドロキシタモキシフェン、ジンクピリチオンおよびフルダラビン、
・紫外線防止剤:スチルベン誘導体、
・植物抽出物:緑茶抽出物、ツボクサ抽出物、ヤナギの樹皮抽出物、カバノキ抽出物、ティーツリー油、オリーブ葉抽出物、アロエベラ抽出物、マリーゴールド抽出物、トケイソウ抽出物、マンサク抽出物、カモミール抽出物、クマコケモモ葉抽出物およびカンゾウ根抽出物、例えば18β−グリシルレチン酸(Zn化合物)またはその混合物、および
・尿素、乳酸、フマル酸エステル、アゼライン酸、ハイドロキノン、過酸化ベンゾイル、安息香酸ベンジル、ケトプロフェン、イブプロフェン、サリチル酸塩、ナプロキセン、ジクロフェナクナトリウムおよび塩、ケトロラク、インドメタシン、ピロキシカム、ニコチンアミド、フタル酸ジプロピル、アミノピリン、フルフェナム酸、ケトチフェン、ポリドカノール、オリゴヌクレオチド、si−RNAおよびリボザイム、RNAデコイヌクレオチド、アシクロビル、ペンシクロビル、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、トロマンタジン、5−アミノレブリン酸、リドカイン、プロカインおよびシンコカイン
(これらのキラル型および薬学的に許容される塩を含む)
からなる群から選択される1種以上の有効成分を含有する、液体医薬製剤。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか1項において、溶媒が皮膚に適合性であり揮発性である、液体医薬製剤。
【請求項15】
請求項14において、
・エタノール、
・イソプロパノール、
・酢酸エチル、
・揮発性シリコーン、
・アセトン、および
・水
からなる群から選択される1種以上の溶媒を含有する、液体医薬製剤。
【請求項16】
請求項14または15において、溶媒が、水の割合が50%(w/w)未満である水性溶媒混合物である、液体医薬製剤。
【請求項17】
請求項8〜13のいずれか1項において、
・クエン酸トリエチル、
・クエン酸トリブチル、
・クエン酸アセチルトリエチル、
・クエン酸アセチルトリブチル、
・トリアセチン、
・フタル酸ジブチル、
・セバシン酸ジブチル、
・フタル酸ジエチル、
・プロピレングリコール、
・ポリエチレングリコール、
・グリセリンおよび
・ヒマシ油
からなる群から選択される1種以上の軟化剤を含有する、液体医薬製剤。
【請求項18】
請求項8〜13のいずれか1項において、
・グリセリン、
・ソルビトール、
・プロピレングリコール、
・ポリエチレングリコールおよび
・ポリビニルピロリドン
からなる群から選択される1種以上の保湿剤を含有する、液体医薬製剤。
【請求項19】
請求項8〜13のいずれか1項において、
・ラウリル硫酸ナトリウム、
・セチルステアリル硫酸ナトリウム、
・グリセリン脂肪酸エステル、
・レシチン、
・脂肪アルコール、
・コレステロール、
・ソルビタン脂肪酸エステル、
・ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
・ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび
・ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル
からなる群から選択される1種以上の乳化剤を含有する、液体医薬製剤。
【請求項20】
請求項8〜13のいずれか1項において、
・ラウロカプラム、
・スルホキシド、
・テルペン油またはエーテル油、
・オレイン酸、
・オレイルアルコール、
・ラウリル酸、
・プロピレングリコール、
・プロピレンカーボネート、
・N−メチル−ピロリドンおよび
・ミリスチン酸イソプロピル
からなる群から選択される1種以上の透過促進剤を含有する、液体医薬製剤。
【請求項21】
請求項20において、
・オレイン酸、
・R−(+)−リモネン、
・ミリスチン酸イソプロピル、特にミリスチン酸モノイソプロピル、
・オレイン酸とプロピレングリコールとの、好ましくは1:1の割合の組み合わせ、
・好ましくは1:1の割合のR−(+)−リモネンとプロピレングリコール、および
・ミリスチン酸イソプロピルとプロピレングリコール
からなる群から選択される1種以上の透過促進剤を含有する、医薬製剤。
【請求項22】
請求項8〜21のいずれか1項において、医薬製剤を噴霧することができる噴射剤を、さらに含有していてよい、液体医薬製剤。
【請求項23】
請求項8〜22のいずれか1項に記載の液体医薬製剤を含有する施用装置であって、特に、ローラー、ポンプ式噴霧装置、噴霧装置、チューブ、ブラシ付き瓶またはピペット付き瓶の形態である、施用装置。
【請求項24】
有効成分の皮膚投与または経皮投与のための、柔軟で、易付着性で、べたつきがなく、外見上目立たないパッチであって、請求項7〜21のいずれか1項に記載の医薬製剤を皮膚に施用し、次いで溶媒を乾燥させることによって得られる、パッチ。
【請求項25】
請求項24において、水蒸気透過率が0.05g×cm−2×24時間−1を超える、パッチ。
【請求項26】
請求項24において、ヘアケア用ポリマーDynamX(登録商標)を含有する、パッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−520741(P2009−520741A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546292(P2008−546292)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012635
【国際公開番号】WO2007/077029
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508186978)エピナミクス・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【氏名又は名称原語表記】EPINAMICS GMBH
【Fターム(参考)】