説明

ポリエステルの連続的製造方法、ポリエステルプレポリマー粒状体及びポリエステル

【課題】容器材料等に用いる高分子量、高品質のポリエステルの、複雑な溶融重縮合反応装置を用いることなく、比較的短い固相重縮合時間で製造可能な、製造方法を提供する。
【解決手段】エステル化工程、溶融重縮合工程、造粒工程、固相重縮合工程を有するポリエステルを連続的に製造する方法において、触媒として下記(1)〜(3)を満足する触媒1及び触媒2を、造粒工程に先立つ任意の異なる2箇所に順次添加し、かつ、造粒工程で得られるポリエスルプレポリマー粒状体及び固相重縮合工程で得られるポリエステルの固有粘度を夫々0.18〜0.35dL/g、0.70dL/g以上とする。(1)触媒1の活性比(K1)が0.5以上、(2)触媒2の活性比(K2)が0.6未満、(3)K1>K2(触媒の活性比とは、触媒のエステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の合計に対するエステル化反応触媒活性の比率の指標である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルの連続的製造方法、及び該方法の製造中間体であり、固相重縮合に適した比較的低分子量のポリエステルプレポリマー粒状体及びこれを固相重縮合して得られるポリエステルに関する。特に、溶融重縮合反応装置を単純化し、高速度でポリエステルを製造可能な連続的製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは、機械的性質、熱的性質、電気的性質などに優れているため、繊維や、各種用途のフィルム、シート、ボトルなどの成形品に広く使われ、需要も拡大している。
【0003】
ボトル等の容器材料として用いられるような高分子量のポリエステルは、通常、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体とジオールとをエステル化及び/又はエステル交換反応を経て、溶融重縮合、固相重縮合することにより製造される。
【0004】
現在主流である製造方法においては、溶融重縮合により比較的高分子量のポリエステルプレポリマーを得、これを固相重縮合することにより製造しているが、比較的高分子量のポリエステルプレポリマーを得るべく、溶融重縮合の最終段に、複雑な攪拌翼を備えた横型のプラグフロー性を有する反応器を用いている。また、固相重縮合反応に通常10数時間以上と長時間を要している。これに対し、溶融重縮合反応容器として複雑な構造の装置を使用せず効率的にポリエステルを製造する方法として、例えば、溶融重縮合により比較的低分子量のポリエステルプレポリマーを得、これを固相重縮合工程に供するポリエステルの製造方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この場合であっても比較的長い固相重縮合時間を要する点で未だ不十分である。
【0005】
又、特許文献2には、固相重縮合速度が触媒量やプレポリマーのカルボキシル末端基含量に依存することが、又、プレポリマーのカルボキシル末端基量を、エステル化反応におけるテレフタル酸とエチレングリコールとの仕込み比率を変化させること、反応の後の段階で初期仕込み量に対して過剰量のエチレングリコールを添加すること、または、重縮合工程に部分真空がかけられた後から触媒を添加することによって調整することが記載されているが、この方法はポリエステルの連続的製造方法への適用が困難であり、また、必ずしも重合速度の点で満足の行くものではなかった。
【0006】
一方、重縮合反応を進めるための触媒として、古くからアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物などが知られており、また、重縮合反応速度が高い触媒としてタングステン塩等のタングステン化合物が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、タングステン化合物を触媒とした場合であっても、より効率的な製造の点から、重合速度の点で未だ不十分なものであった。
【0007】
ところで、重縮合反応は、カルボン酸とアルコールとのエステル化反応と、エステル結合とアルコールとのエステル交換反応(アルコール交換反応)の2種類の反応によって主に進行するが、従来エステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の関係については着目されておらず、上記触媒活性の調整により固相重縮合速度を向上させる技術に関しては知られていなかった。
【特許文献1】特表平10−512608号公報
【特許文献2】特開昭55−133421号公報
【特許文献3】特公昭44−19554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、容器材料等としての実用性を有する高分子量、高品質のポリエステルを、複雑な溶融重縮合反応装置を用いることなく、比較的短い固相重縮合時間で製造可能とし、結果として安価で効率よくポリエステルを製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、前記固相重縮合に適した、比較的低分子量のポリエステルプレポリマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討の結果、溶融重縮合で比較的低分子量のポリエステルプレポリマーを製造し、該プレポリマーを固相重縮合して高分子量のポリエステルを製造するに際し、触媒活性比が特定の範囲で特定の関係にある2以上の触媒を、ポリエステルの製造工程の特定の段階に特定の順序で添加することにより、固相重縮合速度が向上することを見出し本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、(a)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応させてオリゴマーを得るエステル化工程、(b)得られたオリゴマーを溶融重縮合反応させてポリエステルプレポリマーを得る溶融重縮合工程、(c)得られたポリエステルプレポリマーを造粒してポリエステルプレポリマー粒状体を得る造粒工程、(d)得られたポリエステルプレポリマー粒状体を固相重縮合反応させることによりポリエステルを得る固相重縮合工程、を有するポリエステルを連続的に製造する方法において、触媒として下記(1)〜(3)を満足する少なくとも2種の触媒1及び触媒2を、造粒工程(c)に先立つ任意の異なる2箇所に順次添加し、かつ、工程(c)で得られるポリエスルプレポリマー粒状体の固有粘度を0.18dL/g以上0.35dL/g以下、固相重縮合工程(d)で得られるポリエステルの固有粘度を0.70dL/g以上とすることを特徴とするポリエステルの連続的製造方法
(1)触媒1の活性比(K1)が0.5以上である
(2)触媒2の活性比(K2)が0.6未満である
(3)K1>K2
(ここで、触媒の活性比とは、触媒のエステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の合計に対するエステル化反応触媒活性の比率の指標であり、明細書に記載の方法で定義される。)
に存する。
他の要旨は、固有粘度が0.18dL/g以上0.35dL/g以下、末端カルボキシル基濃度が30当量/ton以下、平均粒径が0.1mm以上2.0mm以下であり、タングステン元素、及び、アンチモン元素、ゲルマニウム元素並びにチタン元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とするポリエステルプレポリマー粒状体、に存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法によれば、ボトル等の容器材料等としての実用性を有する高分子量、高品質のポリエステルを、複雑な溶融重縮合反応装置を用いることなく、短い固相重縮合時間で製造することができ、結果として安価で効率よくポリエステルを製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されない。
【0013】
本発明のポリエステルの連続的製造方法は、(a)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応させてオリゴマーを得るエステル化工程、(b)得られたオリゴマーを溶融重縮合反応させてポリエステルプレポリマーを得る溶融重縮合工程、(c)得られたポリエステルプレポリマーを造粒してポリエステルプレポリマー粒状体を得る造粒工程、(d)得られたポリエステルプレポリマー粒状体を固相重縮合反応させることによりポリエステルを得る固相重縮合工程、を有することを前提とするが、通常、上記工程(a)に先立ち、ジカルボン酸成分とジオール成分とを混合してスラリーを得るスラリー化工程を有する。又、スラリー化工程と工程(a)の間に、スラリーをエステル化工程に移送するスラリー移送工程、工程(a)と(b)の間に、工程(b)で得られたオリゴマーを溶融重縮合工程に移送するオリゴマー移送工程、工程(c)と(d)の間に、得られたポリエステルプレポリマーを造粒工程に移送するプレポリマー移送工程を有する。
【0014】
尚、上記の各移送工程は、前後の各工程を配管で連結し、前工程の混合物及び/又は生成物(以下、併せて、生成物と略する)を後工程に連続的に移送することにより行われる。連続的に移送する方法としては、前工程、移送工程及び後工程を順次低く設置し、高低差を利用して前工程の生成物を移送する方法、前工程を後工程よりも相対的に高い圧力とし、移送工程で前後の工程の圧力差を利用して生成物を移送する方法、及び後工程にポンプを設置して前工程の生成物を移送する方法等が挙げられる。中でも、ポンプを用いて移送する方法が、前工程の生成物の移送量や速度を精度良く制御することが可能であり好ましい。又、不溶性の夾雑物や粒子径の大きな析出物を除去するために、移送工程にフィルター等を設置することもできる。
【0015】
本発明においてテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とは、ポリエステルを製造する際に使用する全ジカルボン酸成分に対して95モル%以上がテレフタル酸成分であるジカルボン酸成分をいい、好ましくは97モル%以上である。テレフタル酸成分の含有量が前記範囲未満では、得られるポリエステルを成形体とした際に耐熱ボトル等の成形体としての耐熱性が劣る傾向となる。またエチレングリコールを主成分とするジオール成分とは、ポリエステルを製造する際に使用する全ジオール成分に対してエチレングリコール成分が95%以上であることをいい、好ましくは97モル%以上である。
【0016】
ここで、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、等が挙げられる。
【0017】
又、エチレングリコール以外のジオール成分としてはジエチレングリコールの他、例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチ ロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
又、3官能以上の化合物、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸などのポリカルボン酸及びこれらの無水物及び、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオール等のポリオール、及びリンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸等を得られるポリエステルの物性を調整する等の目的により必要に応じて共重合成分として使用しても良い。
【0018】
本発明の製造方法においては、触媒として下記(1)〜(3)を満足する少なくとも2種の触媒1及び触媒2を、造粒工程(c)に先立つ任意の異なる2箇所に、順次添加する必要がある。
(1)触媒1の活性比(K1)が0.5以上である
(2)触媒2の活性比(K2)が0.6未満である
(3)K1>K2
ここで、触媒活性比は、下記で定義される。
【0019】
<活性比定義>
触媒活性比(K)とは、エステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の合計に対する、エステル化反応触媒活性の比率の指標であり、下記式で算出される。
K=2×(AV0−AV1)/(TEV0−TEV1)
【0020】
ここで、AV0、TEV0、AV1、TEV1とは、それぞれ、以下のように定義される。
【0021】
(i)目的とするポリエステルの原料オリゴマー(但し、全末端基濃度が1600±160当量/ton、末端カルボキシ基濃度が900±100当量/ton)を、温度270℃で溶融状態としてから、着目している触媒を添加し、攪拌しながら、徐々に減圧し、1.33kPaA(10torr)で溶融重縮合反応させる。ここでkPaAは絶対圧力をkPa単位で表していることを示す。尚、原料オリゴマーの全末端基濃度及び末端カルボキシ基濃度を単一の値に調整することは現実的に困難であり、該値が若干変動することによる本発明で定義する触媒活性比の変動は無視できると考えられることから、それぞれ上記の通り、許容される変動分を±で示した。
(i i)1.33kPaA到達時点を0分目とし、0分目、及び、20分目のサンプルを採取する。
(i i i)0分目及び20分目の両サンプルにつき、末端カルボキシ基濃度及び全末端基濃度を測定し、それぞれ、下記の通り、AV0、TEV0、AV1、TEV1とする。
AV0 :0分目のサンプルの末端カルボキシ基濃度
TEV0 :0分目のサンプルの全末端基濃度
AV1 :20分目のサンプルの末端カルボキシ基濃度
TEV1 :20分目のサンプルの全末端基濃度
【0022】
原料オリゴマーの触媒濃度は、20分目の固有粘度が0.18〜0.28dL/gの範囲に入るように、触媒種毎に調整する。尚、固有粘度を単一の値に調整することは現実的に困難であり、該値が若干変動することによる本発明で定義する触媒活性比の変動は無視できると考えられることから、上記の通り許容される固有粘度を0.18〜0.28dL/gとした。
【0023】
尚、TEV(当量/ton)は、下記式により算出する。
Mn=(固有粘度(dL/g)×10000/7.55)(1/0.685)
TEV(当量/ton)=2×1000×1000/Mn
ここで、Mnは数平均分子量である。また、AV(当量/ton)は、滴定により測定する。
【0024】
<添加位置>
本発明において、少なくとも2種の触媒1及び触媒2を造粒工程(c)に先立つ任意の異なる2箇所に順次添加するとは、少なくとも触媒1と触媒2を造粒工程(c)に先立つ工程の何れかの異なる箇所からこの順序で添加する、即ち触媒1を触媒2の添加箇所よりも上流側の工程に添加する限り、同一の工程、例えば、複数のエステル化工程の異なる位置に添加しても、異なる工程に添加しても良い。なかでも、触媒1をエステル化工程(a)に、触媒2をエステル化工程(a)で得られたオリゴマーを溶融重縮合工程(b)に移送する工程又はそれ以降の工程に添加するのが好ましい。触媒1、触媒2の順に添加することにより、ポリエステルプレポリマーの末端カルボキシル基濃度が低いものを得やすくなり、その結果、固相重縮合速度が大きくなる傾向がある。
触媒1の活性比K1は、0.5以上であるが、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.65以上である。一方、K1の値は高いほど好ましいが、通常、その上限は、1.0である。K1が0.5未満であると溶融重縮合工程後に得られるポリエステルプレポリマーの末端カルボキシル基濃度が大きくなり、固相重縮合反応速度が小さくなり、好ましくない。
触媒2の活性比K2は、0.6未満であるが、好ましくは0.55未満である。その下限は、通常、0.2、好ましくは、0.3である。触媒2の活性比K2は、固相重縮合反応に有効なエステル交換反応活性と関係し、K2が0.6以上であると固相重縮合反応速度が小さくなり、好ましくない。
【0025】
又、触媒1の活性比K1と触媒2の活性比K2は、K1>K2の関係である必要がある。K1≦K2であると、固相重縮合工程での反応速度が大きいという本発明の特徴が発揮されず、好ましくない。
【0026】
触媒1としては、その活性比K1が0.5以上でありK1>K2を満足するものを選択する限り特に限定されないが、例えばタングステン化合物、チタン化合物が挙げられ、中でもタングステン化合物が好ましい。
タングステン化合物としては、例えば、パラタングステン酸、メタタングステン酸、タングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸およびそれらの塩があげられ、塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。なかでも、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸が好ましく、特に好ましくはメタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウムである。
【0027】
チタン化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、アセチル−トリ−i−プロピルチタネートなどのテトラアルコキシチタネート、酢酸チタン、蓚酸チタン、塩化チタン等が挙げられ、中でも、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。
触媒1の使用量は触媒種により一概に言えないが、得られるポリエステル中の触媒1に由来する金属元素の濃度が、通常0.5重量ppm〜500重量ppmから適宜選択すればよい。該濃度の下限は好ましくは1重量ppmであり、上限は好ましくは300重量ppm、より好ましくは200重量ppm、特に好ましくは100重量ppmである。尚、触媒1として異なる金属を含む2種以上の化合物を組み合わせて使用する場合、上記金属元素の濃度は、異なる金属元素の合計の濃度とする。
【0028】
触媒2としては、その活性K2が0.6未満でありK1>K2を満足するものを選択する限り特に限定されないが、例えば、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物などが好ましく用いられる。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等が挙げられ、中でも、二酸化ゲルマニウムが好ましい。アンチモン化合物としては、三酸化二アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、メトキシアンチモン等が挙げられ、中でも、三酸化二アンチモンが好ましい。
【0029】
触媒1および触媒2は、それぞれ、単一の化合物でもよいし、2種以上の化合物を組み合わせたものでもよい。また、前記の1種以上の触媒成分と他の1種以上の助触媒成分とを組み合わせたものでもよい。更には、触媒2は助触媒成分としてもよい。助触媒成分としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、珪素化合物などがあげられる。
又、触媒2としては、チタン化合物と1種以上の助触媒成分とを組み合わせたものも好ましく、中でも、チタン元素と珪素元素、チタン元素とマグネシウム元素、あるいはチタン元素、マグネシウム元素、及びリン元素の3元素を含む触媒が好ましい。この場合のチタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物等が挙げられ、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタンアルコキシドが好ましい。また、助触媒成分としては、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン等のケイ酸エステル化合物、酢酸ケイ素などのケイ素のカルボン酸塩、ジシロキサン、トリシロキサン、ジメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン化合物、シラノール、シランジオール、フェニルシラントリオールなどのシラノール化合物、ナトリウムトルフェニルシラノールなどのシラノレート化合物、または、ケイ酸エステル化合物の加水分解物であるポリアルコキシシロキサン化合物等の珪素化合物や、酢酸マグネシウム等のマグネシウム化合物が挙げられる。
【0030】
又、触媒2としては、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物とリン化合物とを組み合わせたものも好ましく、中でも、マグネシウム元素とリン元素を含むものが好ましい。この場合のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物としては、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。又、リン化合物としては、正リン酸、正リン酸アルキルエステル、エチルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート、亜リン酸、亜リン酸アルキルエステル等が挙げられる。中でも、酢酸マグネシウムとエチルアシッドホスフェート及び/又はジブチルホスフェートとの組み合わせが好ましい。
【0031】
触媒2の使用量は、触媒種により一概に言えないが、得られるポリエステル中の触媒2に由来する金属元素の濃度が、通常1重量ppm〜500重量ppmから適宜選択すればよい。該濃度の下限は好ましくは5重量ppmであり、上限は好ましくは300重量ppm、より好ましくは250重量ppmである。
尚、触媒2として異なる金属を含む2種以上の化合物を組み合わせて使用する場合、上記金属元素の濃度は、異なる金属元素の合計の濃度とする。
尚、本発明の製造方法においては、触媒1および2を使用する限り、安定剤としてのリン化合物等を使用しても良い。
【0032】
本発明のポリエステルの製造方法においては、溶融重縮合工程(b)で得られるポリエステルプレポリマーの固有粘度を0.18dL/g以上、0.35dL/g以下とする。下限は好ましくは0.19dL/g、より好ましくは0.20dL/gであり、上限は好ましくは0.33dL/g、好ましくは0.32dL/gである。下限未満であると後工程である固相重縮合工程の反応に要する時間が長くなる等の点で不利であり、上限を越える場合は溶融重縮合工程の重縮合反応器をプラグフロー性をもった横型反応器にするなど、複雑で高価な設備を要することとなり、本願発明の目的に適さないこととなる。
【0033】
又、ポリエステルプレポリマーの末端カルボキシル基濃度は、30当量/ton以下が好ましく、より好ましくは20当量/ton以下である。大きすぎると固相重縮合速度が遅くなる傾向がある。下限は、小さいほど好ましく、従って、0当量/tonである。
【0034】
本発明のポリエステルの製造方法において、固相重縮合工程に供されるポリエステルプレポリマー粒状体の平均粒径は、通常、0.1mm以上、2.0mm以下である。下限は好ましくは0.15mm、更に好ましくは0.2mmであり、上限は好ましくは1.5mm、更に好ましくは1.3mmである。小さすぎると固相重縮合速度は速いが粉体状であるため移送、計量などのハンドリング性が著しく劣ることとなる。大きすぎると粒状体の比表面積が小さくなり固相重縮合速度が小さくなる怖れがある。
尚、上記に従って得られる、固有粘度が0.18dL/g以上0.35dL/g以下、末端カルボキシル基濃度が30当量/ton以下、平均粒径が0.1mm以上2.0mm以下であり、好ましい触媒1及び2に由来するタングステン元素、及び、アンチモン元素、ゲルマニウム元素、チタン元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とするポリエステルプレポリマー粒状体は新規であり、本発明のポリエステルの連続的製造方法の中間生成物として有用である。
【0035】
本発明の固相重縮合工程(d)を経て得られるポリエステルの固有粘度は、0.70dL/g以上であり、好ましくは0.75dL/g以上である。上限は通常1.10dL/g、好ましくは1.00dL/g以下である。下限未満であるとこれを原料としたボトルなどの成形体の機械強度が劣り、好ましくない。また、上限超過では成形体成形時に溶融粘度が高すぎて成形不良の原因となる場合がある。
【0036】
本発明のポリエステルの連続的製造方法は、触媒の選択及び触媒の供給箇所を上記とし、反応温度、反応圧力及び反応時間等を調整してポリエステルプレポリマー粒状体の固有粘度及び固相重縮合工程で得られるポリエステルの固有粘度を上記の通りとする以外は、公知のポリエステルの製造方法に準じて行われる。
以下、製造条件について説明する。
本発明においては、通常、ジカルボン酸成分とジオール成分を混合して原料スラリーを調製する。原料スラリーの調製は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分、及び必要に応じて用いられる共重合成分等とを、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比を1.0〜2.0として調製する。このモル比は1.05〜1.8とするのが好ましく、1.1〜1.6とするのが更に好ましい。
【0037】
次いで、調製した原料スラリーを、単数又は複数のエステル化反応槽を備えたエステル化工程に移送し、常圧〜加圧下、加熱下で、エステル化反応させてポリエステル低分子量体であるオリゴマーとする(エステル化工程(a))。
【0038】
エステル化反応における反応条件としては、単一のエステル化反応槽の場合、通常240〜290℃程度の温度、圧力を、通常0〜400kPaG(0〜4kg/cm2 G)程度とし、攪拌下に1〜10時間程度の反応時間〈滞留時間〉とする。又、複数のエステル化反応槽の場合は、第1段目のエステル化反応槽における反応温度を、通常240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧力を、通常5〜300kPaG(0.05〜3kg/cm2 G)、好ましくは10〜200kPaG(0.1〜2kg/cm2 G)とし、最終段における反応温度を、通常250〜290℃、好ましくは255〜280℃、圧力を、通常0〜150kPaG(0〜1.5kg/cm2 G)、好ましくは0〜130kPaG(0〜1.3kg/cm2 G)とする。ここでkPaGは大気圧に対する相対圧力をkPa単位で表したものである。
【0039】
本発明において、エステル化反応生成物としてのオリゴマーのエステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)は、90%以上とするのが好ましく、94%以上とするのが更に好ましい。
【0040】
引き続いて、得られたオリゴマーを、重縮合反応槽を備えた溶融重縮合工程に移送し、減圧下、加熱下で溶融重縮合反応させる(溶融重縮合工程(b))。溶融重縮合は、通常攪拌翼を備えた完全混合型の単一の反応槽で行うことができる。
【0041】
本発明においては、溶融重縮合で得られるポリエステルプレポリマーの固有粘度が0.35dL/g以下と低いため、従来広く使用されている攪拌翼を備えた横型プラグフロー型第2段、第3段の重縮合反応槽は必要でなく、溶融重縮合工程は単純化され設備コストも低減される。
【0042】
溶融重縮合における反応条件は、温度が260〜290℃、好ましくは270〜280℃、圧力が100〜0.01kPaA、好ましくは50〜0.1kPaAである。反応時間〈滞留時間〉は、溶融重縮合工程で得られるポリエステルプレポリマーを後述の造粒工程で粒状化して得られるポリエステルプレポリマー粒状体の固有粘度を上記本発明の範囲となるように調節すればよく、温度及び圧力で変動するが、通常0.5〜3時間程度である。
【0043】
前記溶融重縮合により得られたポリエステルプレポリマーは、通常、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断してポリエステルプレポリマー粒状体とする。あるいは、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口から水中に吐出して冷却しながら、吐出方向と略平行方向の回転軸を有し、抜き出し口先端部に隣接設置されたカッターで切断してポリエステルプレポリマー粒状体とする。または粉砕機で粉砕して所望の平均粒径の粒状体とすることもできる。
【0044】
造粒工程(c)で得られたポリエステルプレポリマー粒状体は、必要に応じて公知の方法、例えば120〜180℃の不活性ガス気流中で0.5〜12時間流動化させることで結晶化及び乾燥処理を行った後、固相重縮合反応させる(固相重縮合反応工程(d))。
則ち、本発明の方法における固相重縮合反応は、温度の下限が、通常、200℃、好ましくは205℃、更に好ましくは208℃、温度の上限が当該ポリエステルの融点よりも5℃低い温度、好ましくは融点よりも8℃低い温度、更に好ましくは融点よりも10℃低い温度の不活性ガス雰囲気において実施する。ここで、ポリエステルの融点とは、当該ポリエステルを、示差走査熱量計を用いて、窒素気流下、0℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温した際のDSC曲線における、最も高温側の吸熱ピークの頂点に対応する温度のことである。また、不活性ガスとは、酸素濃度が0.1体積%以下、好ましくは0.05体積%以下であり、かつ、実質的にポリエステルと反応しない気体のことである。実質的にポリエステルと反応しない気体としては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、二酸化炭素等が例示でき、主に経済性の点から窒素が好ましく用いられる。
【0045】
固相重縮合温度が低過ぎると固相重縮合速度が小さくなり、好ましくない。固相重縮合温度が高過ぎると、固相重縮合時にポリエステル粒子が融着するため、好ましくない。又、ポリエステルプレポリマー粒子の平均粒径が1.0mm以下の場合は、流動床にて固相重縮合するのが好ましい。固相重縮合時間は、得られるポリエステルの固有粘度が0.70dl/g以上となる様、目標固有粘度に応じて設定すればよく、通常、1〜50時間程度である。固相重縮合後の平均粒径は、通常、固相重縮合前のプレポリマーの平均粒径とほぼ一致する。
【0046】
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、射出成形や押出成形によりプリフォームを成形後、延伸ブロー成形により、飲料用等に用いられるボトルにすることができる。また、ダイレクトブロー成形により、ボトルにすることができる。
【0047】
また、本発明の製造方法により得られるポリエステルは、押出成形や延伸成形によりフィルム、シートにして包装材料など各種用途に供することができる。また、押出及び延伸成形により、繊維とすることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
尚、実施例および触媒活性比測定における各種測定方法、触媒活性比測定用原料オリゴマーの調製方法、及び実施例で使用した触媒の調製方法を、以下に纏めて示す。
【0050】
<固有粘度IV(dL/g)>
試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように溶解させた後、30℃まで冷却、保持し、全自動溶液粘度計(センテック社製「2CH型DJ504」)にて、濃度が1.00g/dLの試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、下式により算出した。
【0051】
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC)
ここで、ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
【0052】
試料の溶解条件は、試料がプレポリマーの場合は120℃で30分間、固相重縮合後のポリエステルの場合は140℃で30分間とした。
【0053】
<エステル化反応率(%)>
試料を乳鉢で粉砕し、その1.0gをビーカーに精秤し、これにジメチルホルムアミド40mlを加えて攪拌しながら180℃で20分間加熱して溶解させた後、180℃のジメチルホルムアミド10mlでビーカー壁を洗浄し、室温まで冷却する。この溶液を、メトローム社製ポテンショグラフ「E−536型」自動滴定装置にて、複合pH電極「EA−120」を用い、0.1N 水酸化カリウムメタノール溶液で滴定した。尚、0.1N 水酸化カリウムメタノール溶液は、JIS K8006の方法により調製、標定した。得られた滴定曲線の変曲点から求めた滴定量〔A(ml)〕と、前記方法により調製、標定し、算出した、0.1N 水酸化カリウムメタノール溶液のファクター〔f1 〕、及び試料重量〔W(g)〕とから、下式により、遊離の末端カルボキシル基量〔AV(当量/ton)〕を求めた。
【0054】
AV(当量/ton)={A×f1 ×(1/10)}/W
次いで、乳鉢で粉砕した試料0.3gを三角フラスコに精秤し、これに0.5N KOHエタノール溶液をホールピペットで20ml加え、更に純水10mlを加えて還流冷却器をセットし、表面温度を200℃にしたプレートヒーター上で、時々攪拌しながら2時間加熱還流して試料を加水分解した。このときの試料液は透明となっている。放冷後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N 塩酸水溶液で滴定した。尚、ここで、0.5N KOHエタノール溶液と0.5N 塩酸水溶液は、JIS K8006の方法により調製、標定した。又、フェノールフタレインは、1gをエタノール90mlに溶解し、純水で100mlに定容したものを用いた。また、同一条件で試料を入れないブランクの状態においても滴定した。その際の、試料の滴定量〔Vs (ml)〕、ブランクの滴定量〔Vb (ml)〕、前記方法により調製、標定し、算出した、0.5N 塩酸水溶液のファクター〔f2 〕、及び試料重量〔W(g)〕とから、下式により、全カルボン酸由来のカルボキシル基量〔SV(当量/ton)〕を求めた。
【0055】
SV(当量/ton)={(Vb −Vs )×f2 ×(1/2)}/W
次いで、得られたAV(当量/ton)、及びSV(当量/ton)とから、下式により、エステル化率(%)を求めた。
【0056】
エステル化率(%)={(SV−AV)/SV}×100
<ポリエステル末端カルボキシル基濃度(当量/ton)>
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式によって酸価を算出した。
【0057】
末端カルボキシル基濃度(当量/ton)=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。〕
尚、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)以下の式によって力価(f)を算出した。
【0058】
力価(f)=0.1Nの塩酸水溶液の力価×0.1Nの塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
<ポリエステル粒状体の平均粒径>
JIS K0069に記載の乾式篩い分け方法により作成した積算分布曲線における積算百分率が50%になるときの値を平均粒径とした。
【0059】
<触媒活性比の測定>
「触媒活性比(K)」は、エステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の合計に対する、エステル化反応触媒活性の比率の指標であり、
K=2×(AV0−AV1)/(TEV0−TEV1)
で表す。ここで
AV0、TEV0、AV1、TEV1は、それぞれ、以下のように定義される。
【0060】
(i)目的とするポリエステルの原料オリゴマー(下記原料オリゴマー調製方法による。全末端基濃度が1600±160当量/ton、末端カルボキシル基濃度が900±100当量/ton)を、攪拌しながら、90分かけて室温から温度270℃まで昇温し、270℃で30分間保持して溶融状態としてから、着目している触媒を添加し、攪拌しながら、10分間掛けて段階的に大気圧から1.33kPaA(10torr)まで減圧し、溶融重縮合反応させる。
(ii)1.33kPaA到達時点を0分目とし、0分目、及び、20分目のサンプルを採取する。
(iii)0分目及び20分目の両サンプルにつき、末端カルボキシル基濃度及び全末端基濃度を測定し、それぞれ、AV0、TEV0、AV1、TEV1とする。
AV0 :0分目のサンプルの末端カルボキシ基濃度
TEV0 :0分目のサンプルの全末端基濃度
AV1 :20分目のサンプルの末端カルボキシ基濃度
TEV1 :20分目のサンプルの全末端基濃度
【0061】
原料オリゴマーの触媒濃度は、20分目の固有粘度が0.18〜0.28dL/gの範囲に入るように、触媒種毎に調整する。
【0062】
尚、TEV(当量/ton)は、下記式により算出する。
Mn=(固有粘度(dL/g)×10000/7.55)(1/0.685)
TEV(当量/ton)=2×1000×1000/Mn
なる式にて算出する。ここで、Mnは数平均分子量である。
【0063】
また、AV(当量/ton)は、上記ポリエステル末端カルボキシル基濃度測定法にて測定する。
【0064】
(触媒活性比測定用原料オリゴマーの調製方法)
撹拌機、分離塔、連続抜き出し装置の付属した反応器に、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート100重量部を仕込み窒素雰囲気下で溶融し、温度260℃、圧力100kPaGに保ち、テレフタル酸:エチレングリコール(=1:1.5モル比)スラリーを30重量部/時間で、平均滞留時間6時間になるように連続的に仕込み、分離塔から精製する水を留去しつつエステル化反応を行い、連続的に抜き出し冷却し、原料オリゴマーを得た。
【0065】
スラリー仕込み開始後20時間から25時間までに排出したオリゴマーを冷却後粉砕して触媒活性比測定実験に供した。
【0066】
このオリゴマーのエステル化率は91.9%、末端カルボキシル基濃度は834当量/ton、全末端基濃度1620当量/tonであった。
【0067】
<メタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の調製>
エチレングリコールを29.168g計量した三角フラスコに、メタタングステン酸アンモニウム濃厚水溶液(タングステン原子の濃度が40重量%)を0.832g滴下し、十分に混合することで、タングステン原子として1.1重量%の濃度であるメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液を調製した。
【0068】
<チタン−シリカ混合触媒の調製>
エチレングリコールを200mL計量したフラスコに、撹拌しながらテトラエトキシシランを2.2g滴下し、十分に混合した。この混合液に、撹拌しながらテトラ−n−ブチルチタネートを0.7g滴下し、再度、十分に混合し、チタンと珪素の混合比が16:46(重量比)である、チタン−シリカ混合触媒を調製した。
【0069】
<チタン−マグネシウム−リン合成触媒の調製>
1Lの摺り栓付きの三角フラスコに酢酸マグネシウム・4水和物を60.72g入れ、360gの無水エタノールを加えて30分間攪拌後、テトラ−n−ブチルチタネートを96.26g入れて20分間攪拌して均一溶液を得た。次に、激しく攪拌しながら、モノエチルアシッドホスフェート(城北化学工業社製 JAMP-2、純度72.6重量%、ジエチルアシッドホスフェート14.5重量%、正リン酸を13.0重量%含む)を30分かけて添加し、やや白濁した溶液を得た。この溶液を1Lのナスフラスコに移し、オイルバス温度80℃、減圧下で内容物が322.2gとなるまでエタノールを留去した。次に窒素常圧下で389.25gのエチレングリコールを添加して、15分間混合させて均一溶液を調製した。次に1.33kPa(10Torr)の減圧下で40分処理することで、低沸点物を除去して、淡黄色の重縮合用触媒溶液(チタン−マグネシウム−リン合成触媒)508.0gを得た。
本溶液のpHは5.4であり、均一溶液として安定であった。また、チタン、マグネシウム、リンの濃度はそれぞれ2.6重量ppm、1.4重量ppm、0.9重量ppmであった。
【0070】
(実施例1)
撹拌機、エチレングリコール仕込み配管およびテレフタル酸仕込み配管を有するスラリー調製槽;スラリーをエステル化第一槽へ移送する配管;撹拌機、分離塔、原料受入れ口、触媒仕込み配管、反応物移送配管を有する完全混合型第一および第二エステル化反応槽;エステル化反応物(オリゴマー)を溶融重縮合槽へ移送する配管(但し、触媒仕込み配管を備える);撹拌機、分離塔、オリゴマー受入れ口、触媒仕込み配管を有する完全混合型溶融重縮合槽;ポリエステルプレポリマー抜き出し配管(但し、触媒仕込み配管を備える)、を備えたポリエステルプレポリマーの連続製造装置を用いてポリエステルプレポリマーを製造した。すべての反応は窒素雰囲気下で行った。
【0071】
まず、上記触媒活性比測定用原料オリゴマーの調製方法に従って得られた原料オリゴマー450重量部を第一エステル化反応槽に投入し温度262℃にて溶融する。また、スラリー調製槽にテレフタル酸に対するエチレングリコールをモル比が1.5となるように仕込み撹拌してスラリーとした(スラリー化工程)。ついで圧力96kPaG下、テレフタル酸フタル酸/エチレングリコール(1:1.5モル比)スラリーを135重量部/時間で、平均滞留時間4.5時間になるように連続的に第一エステル化槽に仕込んだ(スラリー移送工程)。同時に触媒1として上記にて調製したメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液(濃度:タングステン原子として1.1重量%)を第一エステル化反応槽の気相部分より、得られるポリエステルに対してタングステンとして80重量ppmとなる量を連続的に添加し、分離塔から生成する水を留去しつつエステル化反応を行い(エステル化工程)、連続的に抜き出し第二エステル化反応槽に移送した。第二エステル化反応槽で温度260℃、圧力5kPaG下、滞留時間1.5時間でエステル化反応を行い(エステル化工程)、移送配管を通じ溶融重縮合槽へ連続的に移送した(オリゴマー移送工程)。この第二エステル化反応槽から重縮合槽への移送配管へ、触媒2として、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液(濃度:アンチモン原子濃度として1.8重量%)を得られるポリエステルに対してアンチモンとして209重量ppmとなる量を連続的に添加した。
【0072】
重縮合槽の圧力2.5kPaA、温度273℃、滞留時間1.0時間にて反応を行い(溶融重縮合工程)、得られたポリエステルプレポリマーを抜き出し配管を通じて(プレポリマー移送工程)取り出し冷却固化した。
固化したプレポリマーをサンプルミル(協立理工社製SK−M2型)にて粉砕し、篩い分けすることにより、JIS規格の目開き350μmは通過するが150μmは通過しない平均粒径0.25mmのプレポリマー粒状体を得た(造粒工程)。
【0073】
このプレポリマー粒状体18gを、底面が130mm×170mmの角形で、深さが30mmのステンレス製バットに載せた状態で、内部のガス温度が180℃のイナートオーブン(タバイエスペック社製IPHH−201M型)に入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を180℃として、2時間の結晶化処理を行った。ここで、NLとは0℃、101.3kPaGにおける気体の体積(L)のことである。前記の結晶化済のポリエステルプレポリマー粒状体2gを、前記のステンレス製バットに均一に載せ、内部のガス温度が50℃の前記のイナートオーブンに入れ、イナートオーブンの内部に流通させる窒素の流量を50NL/分、温度を50℃から210℃まで30分掛けて昇温し、210℃で20分保持後、0.5℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で所定時間保持することで、固相重縮合を行った(固相重縮合工程)。
【0074】
230℃到達後の保持時間を固相重縮合時間として、固相重縮合時間を2時間としたときに得られたPETの固有粘度を測定した。
【0075】
触媒1,2の触媒活性比、得られたポリエステルプレポリマー、固相重縮合後のポリエステルの物性を表1に示す。
【0076】
(実施例2)
実施例1において、正リン酸のエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として1.6重量%)を、第二エステル化反応槽から重縮合槽への移送配管の三酸化二アンチモンを添加する箇所より上流側の箇所から、得られるポリエステルに対してリンとして12重量ppmとなる量を連続的に添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0077】
(実施例3)
実施例1において、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液に替えて上記にて調製したチタン−シリカ混合触媒を、得られるポリエステルに対してチタンとして16重量ppm、シリカとして46重量ppmとなる量を連続的に添加した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0078】
(実施例4)
実施例3においてメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の替わりにテトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液(濃度:チタン原子として0.15重量%)を、得られるポリエステルに対してチタンとして4重量ppmとなる量を連続的に添加した以外は実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0079】
(実施例5)
実施例1において、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液の添加箇所を第二エステル化反応槽の気相部分に替えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0080】
(実施例6)
実施例1において、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液の添加箇所を溶融重縮合反応後のプレポリマー抜き出し配管に替えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0081】
(実施例7)
実施例6において、メタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の替わりにテトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液(濃度:チタン原子として0.15重量%)を、得られるポリエステルに対してチタンとして8重量ppmとなる量を連続的に添加したこと、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液の替わりに酢酸マグネシウム4水塩のエチレングリコール溶液(濃度:マグネシウム原子として0.040重量%))とエチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として0.030重量%)の混合液(酢酸マグネシウム−エチルアシッドホスフェート混合触媒)を得られるポリエステルプレポリマーに対してマグネシウムとして8重量ppm、リンとして6重量ppmとなる量を連続的に添加したこと以外は実施例6と同様に行った。結果を表1に示す。
【0082】
(実施例8)
実施例7において、酢酸マグネシウム−エチルアシッドホスフェート混合触媒の替わりに酢酸マグネシウム4水塩のエチレングリコール溶液(濃度:マグネシウム原子として0.030重量%))とジブチルホスフェートのエチレングリコール溶液(濃度:リン原子として0.040重量%)の混合液(酢酸マグネシウム−ジブチルホスフェート混合触媒)を得られるポリエステルプレポリマーに対してマグネシウムとして4重量ppm、リンとして5重量ppmとなる量を連続的に添加したこと以外は実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
【0083】
(実施例9)
実施例7において、第一エステル化槽に添加するテトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液の添加量を、得られるポリエステルに対してチタンとして4重量ppmとなる量に変更し、酢酸マグネシウム−エチルアシッドホスフェート混合触媒の替わりに上記にて調製したチタン−マグネシウム−リン合成触媒のエチレングリコール希釈液(濃度:チタン原子として0.020重量%))を得られるポリエステルプレポリマーに対してチタン、マグネシウム、リンとしてそれぞれ4重量ppm、2重量ppm、3重量ppmとなる量を連続的に添加したこと以外は実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
【0084】
(比較例1)
三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液を添加しないこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
触媒2に相当する触媒成分を添加しないため、固相重縮合反応が遅い結果であった。
【0085】
(比較例2)
メタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液を添加しないこと以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
触媒1に相当する触媒成分を添加しないため、プレポリマーのAVが高く、固相重縮合反応速度が小さい結果であった。
【0086】
(比較例3)
実施例1において、メタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の添加箇所を実施例1の三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液添加箇所に替え、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液添加箇所を実施例1のメタタングステン酸アンモニウムのエチレングリコール溶液の添加箇所に替えた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
2種の触媒を使用したが本願発明と添加順序が異なり、触媒1と触媒2の活性の大小が逆転した本例では、固相重縮合反応速度が小さい結果であった。
【0087】
(比較例4)
実施例1において、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液をテトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液に替えた以外は実施例1と同様に行った。触媒2に相当する触媒成分の触媒活性比が高い本例では、固相重縮合反応速度が小さい結果であった。
【0088】
【表1】

【0089】
*触媒
W:メタタングステン酸アンモニウム
Ti:テトラブチルチタネート
Sb:三酸化二アンチモン
Ti/Si:チタン−シリカ混合触媒
Mg/EAP:酢酸マグネシウム−エチルアシッドホスフェート混合触媒
Mg/DBP:酢酸マグネシウム−ジブチルホスフェート混合触媒
Ti/Mg/P:チタン−マグネシウム−リン合成触媒
*添加位置
第1Es:第一エステル化槽
第2Es:第二エステル化槽
MSP移送管:第二エステル化槽から溶融重縮合槽への移送配管
PP移送管:溶融重縮合反応後のプレポリマー抜き出し配管
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明によりボトルやフィルムなど、包装材料としての実用性を有する高分子量、高品質のポリエステルを、複雑な溶融重縮合反応装置を用いることなく、比較的短い固相重縮合時間で製造することができ、ポリエステル生産性向上に資することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とをエステル化反応させてオリゴマーを得るエステル化工程、(b)得られたオリゴマーを溶融重縮合反応させてポリエステルプレポリマーを得る溶融重縮合工程、(c)得られたポリエステルプレポリマーを造粒してポリエステルプレポリマー粒状体を得る造粒工程、(d)得られたポリエステルプレポリマー粒状体を固相重縮合反応させることによりポリエステルを得る固相重縮合工程、を有するポリエステルを連続的に製造する方法において、触媒として下記(1)〜(3)を満足する少なくとも2種の触媒1及び触媒2を、造粒工程(c)に先立つ任意の異なる2箇所に順次添加し、かつ、工程(c)で得られるポリエスルプレポリマー粒状体の固有粘度を0.18dL/g以上0.35dL/g以下、固相重縮合工程(d)で得られるポリエステルの固有粘度を0.70dL/g以上とすることを特徴とするポリエステルの連続的製造方法。
(1)触媒1の活性比(K1)が0.5以上である
(2)触媒2の活性比(K2)が0.6未満である
(3)K1>K2
(ここで、触媒の活性比とは、触媒のエステル化反応触媒活性とエステル交換反応触媒活性の合計に対するエステル化反応触媒活性の比率の指標であり、明細書に記載の方法で定義される。)
【請求項2】
造粒工程(c)で得られるポリエスルプレポリマー粒状体の末端カルボキシル基濃度を30当量/ton以下、平均粒径を0.1mm以上2.0mm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの連続的製造方法。
【請求項3】
触媒1がタングステン化合物及びチタン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1又は2に記載のポリエステルの連続的製造方法。
【請求項4】
タングステン化合物が、パラタングステン酸、メタタングステン酸、タングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項3に記載のポリエステルの連続的製造方法。
【請求項5】
チタン化合物が、テトラ−n−ブチルチタネート及びテトラ−i−プロピルチタネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項3に記載のポリエステルの連続的製造方法。
【請求項6】
触媒2が、アンチモン化合物及びゲルマニウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1乃至5の何れか1項に記載のポリエステルの連続的製造方法。
【請求項7】
触媒2が、チタン元素及び珪素元素、チタン元素及びマグネシウム元素、又は、マグネシウム元素及びリン元素を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のポリエステルの連続的製造方法。
【請求項8】
触媒1の添加箇所がエステル化工程(a)であり、触媒2の添加箇所がエステル化工程(a)で得られたオリゴマーを溶融重縮合工程(b)に移送する工程又はそれ以降である、ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のポリエステルの連続的製造方法。
【請求項9】
固有粘度が0.18dL/g以上0.35dL/g以下、末端カルボキシル基濃度が30当量/ton以下、平均粒径が0.1mm以上2.0mm以下であり、タングステン元素、及び、アンチモン元素、ゲルマニウム元素並びにチタン元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とするポリエステルプレポリマー粒状体。
【請求項10】
請求項9に記載のポリエステルプレポリマー粒状体を、固相重縮合反応することにより得られる、固有粘度が0.70dL/g以上のポリエステル。

【公開番号】特開2006−265536(P2006−265536A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43728(P2006−43728)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】