説明

ポリエステル複合長繊維パッケージ

【課題】パッケージ内での捲縮ムラを抑えてヒケやスジを無くし、優れた布帛を得ることができるポリエステル複合長繊維パッケージを提供する。
【解決手段】一方の構成成分がポリエチレンテレフタレートを主成分とし、他方の構成成分がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型または偏芯芯鞘型であるポリエステル複合長繊維が2kg未満の巻き量でリワインドされており、かつ、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするポリエステル複合長繊維パッケージ。
(1)パッケージ最外層の複合長繊維とパッケージ最内層の複合長繊維の伸縮伸長率の差が5%以下、(2)パッケージの巻き硬度が45°以上80°以下、(3)パッケージの巻き幅が10cm以上25cm以下、(4)パッケージの巻き径が5cm以上30cm以下

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル複合長繊維パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ストレッチ素材として、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートをサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に貼り合わせた複合繊維が提案されている(特許文献1参照)。また、このような複合繊維について紡糸でのパッケージについても提案がなされている(特許文献2参照)。しかし、パッケージの巻き量が多くなると、編織物を形成したときに、パッケージからの解舒張力ムラおよびパッケージ内での捲縮ムラに起因するヒケやスジがしばしば発生する問題が指摘されていた。
【特許文献1】特開2001−288621号公報
【特許文献2】特開2003−542066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、一方の構成成分がポリエチレンテレフタレートを主成分とし、他方の構成成分がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型または偏芯芯鞘型であるポリエステル複合長繊維に高次加工を施して衣服などに使用する際、一旦リワインドを実施し、紡糸後のパッケージに内在する内部応力を緩和することにより、パッケージ内での捲縮ムラを抑えてヒケやスジを無くし、優れた布帛を得ることができるポリエステル複合長繊維パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決する本発明のポリエステル複合長繊維パッケージは次の構成を有する。
すなわち、一方の構成成分がポリエチレンテレフタレートを主成分とし、他方の構成成分がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型または偏芯芯鞘型であるポリエステル複合長繊維が2kg未満の巻き量でリワインドされており、かつ、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするポリエステル複合長繊維パッケージである。
(1)パッケージ最外層の複合長繊維とパッケージ最内層の複合長繊維との伸縮伸長率の差が5%以下
(2)パッケージの巻き硬度が45°以上80°以下
(3)パッケージの巻き幅が10cm以上25cm以下
(4)パッケージの巻き径が5cm以上30cm以下
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、パッケージ内での捲縮ムラを抑えることができ、従来発生していたヒケやスジを無くし、優れた布帛を得ることができるポリエステル複合長繊維パッケージを提供できる。また、経編などの整経のために、必要となる立て本数を確保するため小割りリワインドすることがしばしばあるが、需要量に応じたポリエステル複合長繊維パッケージを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の複合長繊維には、一方の構成成分がポリエチレンテレフタレートを主成分とし、他方の構成成分がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型または偏芯芯鞘型であるポリエステル複合長繊維が用いられる。このように極限粘度の異なる二つの重合体が貼り合わされることによって、紡糸・延伸時に高粘度側に応力が集中するため、二成分間で内部歪みが異なる。そのため、延伸後の弾性回復率差および布帛の熱処理工程での熱収縮差により高粘度側が大きく収縮するために単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形態をとる。この3次元コイルの径および単繊維長当たりのコイル数は、高収縮成分と低収縮成分との収縮差(弾性回復率差を含む)によって決まるといってもよく、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多くなる。ストレッチ素材としてコイル捲縮は、コイル径が小さいこと、単位繊維長当たりのコイル数が多いこと(すなわち、伸長特性に優れ、見映えがよいこと)、コイルの耐へたり性がよいこと(伸縮回数に応じたコイルのへたり量が小さく、ストレッチ保持性に優れること)が好ましい。さらに、コイルの伸縮特性は、低収縮成分を支点とした高収縮成分の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重合体には高い伸長性と回復性を有することが好ましい。
【0007】
複合長繊維に用いられるポリエチレンテレフタレートとしては、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする重合体成分からなるものである。すなわち、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコ−ル成分として得られるポリエステルが好ましい。他のエステル結合を形成可能な共重合成分が20モル%以下の割合で含まれていてもよく、好ましくは10モル%以下の割合で含まれる。共重合可能な化合物としては、スルフォン酸、ナトリウムスルフォン酸、硫酸、硫酸エステル、硫酸ジエチル、硫酸エチル、脂肪族スルフォン酸、エタンスルフォン酸、クロロベンゼンスルフォン酸、脂環式スルフォン酸、イソフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、アジピン酸、シュウ酸、デカンジカルボン酸などのジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸などのジカルボンサン類、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ハイドロキノン、ビスフェノールAなどのジオール類を用いることができる。また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
【0008】
複合長繊維に用いられるポリトリメチレンテレフタレートとしては、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とする重合体成分からなるものである。すなわち、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオ−ルを主たるグリコ−ル成分として得られるポリエステルが好ましい。他のエステル結合を形成可能な共重合成分が20モル%以下の割合で含まれていてもよく、好ましくは10モル%以下の割合で含まれる。共重合可能な化合物として、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類を用いることができる。
【0009】
ポリトリメチレンテレフタレートは、代表的なポリエステル長繊維であるポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートと同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性がきわめて優れている。これは、ポリトリメチレンテレフタレートの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ−ゴーシュ構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えている。
【0010】
また、必要に応じて、ポリエステル複合長繊維には、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。本発明において、コイル状捲縮を発現させ、編織物を形成した際に所望の伸縮性を得る観点から、ポリトリメチレンテレフタレートの極限粘度は1.0以上であるのが好ましく、1.2以上であるのがより好ましい。本発明で使用されるポリエステル複合長繊維の単糸断面形状はサイドバイサイド型または偏芯芯鞘型とするものである。断面形状がサイドバイサイド型または偏芯芯鞘型でないと、糸条に熱が付与された際に、コイル状捲縮が発現せず、糸条に伸縮性を付与することができない問題がある。
【0011】
また、ポリエステル複合長繊維におけるポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレートの重量比率は、製糸性および繊維長さ方向のコイルの寸法均質性の観点から30/70以上70/30以下の範囲である。好ましくは35/65以上65/35以下、より好ましくは40/60以上60/40以下の範囲である。
【0012】
ポリエステル複合長繊維の総繊度は、用途目的に応じて決めればよく、30デシテックス以上170デシテックス以下の範囲が好ましい。また、単繊維繊度は2.0デシテックス以上8.0デシテックス以下の範囲が好ましい。
【0013】
本発明のポリエステル複合長繊維パッケージは、ポリエステル複合長繊維が2kg未満の巻き量でリワインドされている。布帛を形成したときスジや段などの外観欠点の原因となるパッケージ内外層での捲縮差を制御するには、2kg未満でリワインドする必要がある。
【0014】
さらに、リワインドされたパッケージは、下記(1)〜(4)を満足する必要がある。
(1)パッケージ最外層の複合長繊維とパッケージ最内層の複合長繊維との伸縮伸長率の差が5%以下
(2)パッケージの巻き硬度が45°以上80°以下
(3)パッケージの巻き幅が10cm以上25cm以下
(4)パッケージの巻き径が5cm以上30cm以下
パッケージ最外層の複合長繊維とパッケージ最内層の複合長繊維との伸縮伸長率の差は、リワインド直後で5%以下であることが必要である。また本発明においてパッケージ最外層とは、最外層表面より50gの部分、パッケージ最内層とは紙管表面より50gの最内層部分を示す。パッケージ最外層とパッケージ最内層の差が5%より大きいとテール移行などにより布帛上で最外層の糸と最内層の糸が隣り合わせになったとき、その捲縮の差が起因してスジや段などの問題が発生する。
【0015】
さらに、本発明のポリエステル複合長繊維パッケージは、リワインド後180日経過したときのパッケージ最外層の複合長繊維とパッケージ最内層の複合長繊維との伸縮伸長率の差が10%以下であることが好ましい。伸縮伸長率はリワインド後、経日により減ずる。特に、高硬度でリワインドされたパッケージの伸縮伸長率は内外層差が拡大する。リワインド後180日経過したときのパッケージ最外層の複合長繊維とパッケージ最内層の複合長繊維との伸縮伸長率の差が10%を超えると、リワインド後、経日した該複合長繊維糸で布帛を形成する際、捲縮差に起因するスジが発生するので好ましくない。
【0016】
パッケージの巻き硬度は45°未満であると、解舒不良を発生しやすくなり解舒張力の変動や糸切れの原因となる。さらにパッケージ輸送時に、巻きフォームを崩しやすくなる。80°より大きいと糸自体が有する捲縮を減じてしまい、内層部と外層部の捲縮差を拡大させる効果があり、これも捲縮差に起因するスジや段などの問題を発生させる。さらに、経日により巻き締まりが発生し、捲縮の内外層差を拡大する。
【0017】
また、パッケージの巻き幅が10cm未満であると巻き径が大きくなり、工業的に実施することを考慮に入れると好ましくない。巻き幅が25cmを超すと、糸解舒の際、糸がパッケージ表面をこすりながら解舒されやすくなり、輪抜けなどの解舒不良や解舒張力不良さらには糸切れなどを発生しやすくなる。
【0018】
さらに、パッケージの巻き径は、5cm未満であると巻き量が非常に少なくなるため、工業的に実用性がない。パッケージの巻き径が30cmを超えるとパッケージ最外層とパッケージ最内層の捲縮差に起因する周期性のあるスジや段を布帛上に発生しやすくなる。
【0019】
図1、図2、図3はそれぞれ、本発明のポリエステル複合長繊維パッケージ例を示す概略図である。
【0020】
パッケージの巻きフォームがストレート巻きの場合について説明する。図1はストレート巻きの場合のパッケージを示す概略図である。パッケージ5は紙管3にポリエステル複合長繊維がストレート型に巻き上げられている。紙管3は解舒側に先曲げ部4を有することが好ましい。解舒側に先曲げ部4を有することにより、解舒時に紙管端面に糸が接触したとき、単糸割れ、毛羽、解舒不良および糸切れが発生することを防ぐ。巻き巾1および巻き径2は前記規定範囲内とする。
【0021】
次に、パッケージの巻きフォームがバイコニカル巻きの場合について説明する。図2はバイコニカル巻きの場合のパッケージを示す概略図である。パッケージ11は紙管9にポリエステル複合長繊維がバイコニカル型に巻き上げられている。紙管9は解舒側に先曲げ部10を有することが好ましい。解舒側に先曲げ部10を有することにより、解舒時に紙管端面に糸が接触したとき、単糸割れ、毛羽、解舒不良および糸切れが発生することを防ぐ。巻き巾6、巻き巾7および巻き径8は前記規定範囲内とする。
【0022】
次に、パッケージの巻きフォームがコーン巻きの場合について説明する。図3はコーン巻きの場合のパッケージを示す概略図である。パッケージ18は紙管16にポリエステル複合長繊維がコーン型に巻き上げられている。紙管16は解舒側に先曲げ部17を有することが好ましい。解舒側に先曲げ部17を有することにより、解舒時に紙管端面に糸が接触したとき、単糸割れ、毛羽、解舒不良および糸切れが発生することを防ぐ。巻き巾12、巻き巾13および巻き径15は前記規定範囲内とする。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0024】
なお、実施例中の極限粘度[η]は次の方法で求めた。ただし、本発明がこれら実施例により限定されるものではない。
【0025】
極限粘度[η]
オルソクロロフェノール10mlに対し試料0.10gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて測定した。
【0026】
伸縮伸長率(%)
JIS L 1013(1999)「化学繊維フィラメント糸試験方法」の「8.11 伸縮性 a)A法(1本ずつ測定する場合)」に準じて測定を行う。試料の前処理方法としては、2mg/dの荷重をかけた状態で、90℃、20分間の熱水処理をする。次いで、荷重を外し、1昼夜風乾する。次いで2mg/d荷重下での試料の長さを測定する(L0)。その後、0.1g/dの荷重を加えた荷重下での試料の長さを測定する(L1)。そして下記式にて伸縮伸長率を算出する。
【0027】
伸縮伸長率(%)=[(L1−L0)/L0]×100
ただし、パッケージ最外層部については最外層表面より20gの部分、パッケージ最内層については紙管表面より20gの最内層部分についてサンプリングした。
[実施例1]
極限粘度[η]が1.31のポリトリメチレンテレフタレートと極限粘度[η]が0.52のポリエチレンテレフタレートをそれぞれ別々に溶融し、紡糸温度260℃で24孔の複合紡糸口金よりポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレートの重量比率が50/50となるように吐出し、紡糸速度1400m/分で引き取り、165デシテックス、24フィラメントの未延伸糸を得た。さらに、ホットロール−熱板系延伸機を用い、ホットロール温度70℃、熱板温度145℃、延伸倍率3.0で延伸して、56デシテックス、24フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル複合繊維糸条を得、8kgストレート巻きのポリエステル複合長繊維パッケージを得た。
【0028】
これを通常のワインダ設備を用いて下記条件にてストレート型でリワインドした。
【0029】
リワインド速度 :300m/min
巻取りフィード :+2%
パッケージの巻き量:1kg
得られたパッケージの巻き量、ディメンジョン、リワインド直後および180日経日後について最内層および最外層での伸縮伸長率、巻き硬度について表1に示す。
【0030】
リワインド直後および180日経日後で、得られたパッケージ最外層および最内層より28ゲージの1口筒編機を用いて、編地を形成した。それぞれの経日状態において、編地表面を検査し、ほぼ同等であり、編みスジのないことを確認した。
[実施例2]
極限粘度[η]が1.31のポリトリメチレンテレフタレートと極限粘度[η]が0.52のポリエチレンテレフタレートをそれぞれ別々に溶融し、紡糸温度260℃で24孔の複合紡糸口金よりポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレートの重量比率が50/50となるように吐出し、紡糸速度1400m/分で引き取り、495デシテックス、72フィラメントの未延伸糸を得た。さらに、ホットロール−熱板系延伸機を用い、ホットロール温度70℃、熱板温度145℃、延伸倍率3.0で延伸して、165デシテックス、72フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル複合繊維糸条を得、8kgストレート巻きのポリエステル複合長繊維パッケージを得た。
【0031】
これを通常のワインダ設備を用いて下記条件にてバイコニカル型でリワインドした。
【0032】
リワインド速度 :300m/min
巻取りフィード :+2%
パッケージの巻き量:1kg
得られたパッケージの巻き量、ディメンジョン、リワインド直後および180日経日後について最内層および最外層での伸縮伸長率、巻き硬度について表1に示す。
【0033】
リワインド直後および180日経日後で、得られたパッケージ最外層および最内層より28ゲージの1口筒編機を用いて、編地を形成した。それぞれの経日状態において、編地表面を検査し、ほぼ同等であり、編みスジのないことを確認した。
[実施例3]
極限粘度[η]が1.31のポリトリメチレンテレフタレートと極限粘度[η]が0.52のポリエチレンテレフタレートをそれぞれ別々に溶融し、紡糸温度260℃で24孔の複合紡糸口金よりポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレートの重量比率が50/50となるように吐出し、紡糸速度1400m/分で引き取り、135デシテックス、24フィラメントの未延伸糸を得た。さらに、ホットロール−熱板系延伸機を用い、ホットロール温度70℃、熱板温度145℃、延伸倍率3.0で延伸して、44デシテックス、24フィラメントのサイドバイサイド型ポリエステル複合繊維糸条を得、8kgストレート巻きのポリエステル複合長繊維パッケージを得た。
【0034】
これを通常のコーンワインダ設備を用いて下記条件にてコーン型でリワインドした。
【0035】
リワインド速度 :300m/min
巻取り張力 :4g
パッケージの巻き量:1kg
得られたパッケージの巻き量、ディメンジョン、リワインド直後および180日経日後について最内層および最外層での伸縮伸長率、巻き硬度について表1に示す。
【0036】
リワインド直後および180日経日後で、得られたパッケージ最外層および最内層より28ゲージの1口筒編機を用いて、編地を形成した。それぞれの経日状態において、編地表面を検査し、ほぼ同等であり、編みスジのないことを確認した。
[比較例1]
実施例1と同じ方法により、8kgストレート巻きのポリエステル複合長繊維パッケージを得た。
【0037】
これを通常のワインダ設備を用いて下記条件にてストレート型でリワインドした。
【0038】
リワインド速度 :300m/min
巻取りフィード :+2%
パッケージの巻き量:4kg
得られたパッケージの巻き量、ディメンジョン、リワインド直後および180日経日後について最内層および最外層での伸縮伸長率、巻き硬度について表1に示す。
【0039】
リワインド直後および180日経日後で、得られたパッケージ最外層および最内層より28ゲージの1口筒編機を用いて、編地を形成した。それぞれの経日状態において、編地表面を検査した。
【0040】
リワインド直後では、パッケージ最外層および最内層についてほぼ同等であり、編みスジのないが、リワインド180日後では外層部において捲縮が低減し筒編み地の幅が広くなり、糸の捲縮むらによる周期的なスジを確認した。
[比較例2]
実施例1と同じ方法により、8kgストレート巻きのポリエステル複合長繊維パッケージを得た。
これを通常のワインダ設備を用いて下記条件にてバイコニカル型でリワインドした。
【0041】
リワインド速度 :300m/min
巻取りフィード :+0%
パッケージの巻き量:4kg
得られたパッケージの巻き量、ディメンジョン、リワインド直後および180日経日後について最内層および最外層での伸縮伸長率、巻き硬度について表1に示す。
【0042】
リワインド直後および180日経日後で、得られたパッケージ最外層および最内層より28ゲージの1口筒編機を用いて、編地を形成した。それぞれの経日状態において、編地表面を検査した。
【0043】
リワインド直後および180日経日後とも、パッケージ最外層および最内層について、糸の捲縮むらによる周期的なスジを確認した。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のポリエステル複合長繊維パッケージは、スジ、段などの表面欠点がなく、ストレッチ性に優れ、衣料用として、特に、ジャケット、ボトムなどのアウター、ワンピース、スカート、アームウォーマーなどの婦人衣料、ジャージ、アスレチックウェア、スキーウェアなどのスポーツ衣料などストレッチ素材として用いることができるポリエステル複合長繊維を提供することができる。その応用範囲はこれらに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】パッケージの巻きフォームがストレート巻きの場合のパッケージを示す概略図
【図2】パッケージの巻きフォームがバイコニカル巻きの場合のパッケージを示す概略図
【図3】パッケージの巻きフォームがコーン巻きの場合のパッケージを示す概略図
【符号の説明】
【0047】
1:巻き巾
2:巻き径
3:紙管
4:先曲げ部
5:ストレート巻きのパッケージ
6:巻き巾
7:巻き巾
8:巻き径
9:紙管
10:先曲げ部
11:バイコニカル巻きのパッケージ
12:巻き巾
13:巻き巾
14:解舒側巻き径
15:巻き径
16:コーン紙管
17:先曲げ部
18:コーン巻きのパッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の構成成分がポリエチレンテレフタレートを主成分とし、他方の構成成分がポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするサイドバイサイド型または偏芯芯鞘型であるポリエステル複合長繊維が2kg未満の巻き量でリワインドされており、かつ、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするポリエステル複合長繊維パッケージ。
(1)パッケージ最外層の複合長繊維とパッケージ最内層の複合長繊維との伸縮伸長率の差が5%以下
(2)パッケージの巻き硬度が45°以上80°以下
(3)パッケージの巻き幅が10cm以上25cm以下
(4)パッケージの巻き径が5cm以上30cm以下
【請求項2】
前記パッケージの巻きフォームがストレート巻きであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル複合長繊維パッケージ。
【請求項3】
前記パッケージの巻きフォームがバイコニカル巻きであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル複合長繊維パッケージ。
【請求項4】
前記パッケージの巻きフォームがコーン巻きであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル複合長繊維パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−156763(P2008−156763A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343862(P2006−343862)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(502179282)オペロンテックス株式会社 (100)
【Fターム(参考)】