説明

ポリオキシアルキレン‐アルキル官能性シロキサン樹脂およびその水性組成物

ポリオキシアルキレンMシロキシ単位及びアルキル官能性M及びTシロキシ単位の両方を含むシロキサン樹脂、ならびにこれらの水性組成物が開示されている。この水性組成物は、シロキサン樹脂によって安定化された分散粒子を含み、種々の個人用、家庭用および医療用活性剤の封入および送達に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし
【0002】
本発明は、ポリオキシアルキレンおよびアルキル官能性シロキシ単位の両方を含むシロキサン樹脂ならびにそれらの水性組成物に関する。この水性組成物は、シロキサン樹脂によって安定化された分散粒子を含み、種々の個人用、家庭用および医療用活性剤の封入および送達に有用である。
【背景技術】
【0003】
化粧品および薬剤配合/送達分野の分野における長年の要望は、活性剤を容易に形成および封入し、種々の化学的および機械的ストレスの下で安定であり、さらに所望の条件下で制御された方法において活性剤を送達することが可能であるベシクル組成物を特定することである。シリコーン界面活性剤から得られるベシクル、より詳細にはシリコーンポリエーテル界面活性剤は、この種類の界面活性剤が他のタイプに対して有する追加の固有の利点のために、興味がもたれる。例えば、シリコーンポリエーテル界面活性剤は、しばしば、パーソナルケア配合物において改善された審美性を有する。
【0004】
ある種のシリコーンポリエーテルの凝集挙動が、ベシクルを形成するこれらの能力とともに教示されている。例えば、Hillによる米国特許第5,364,633号および第5,411,744号は、ある種のシリコーンポリエーテルの水性分散液におけるシリコーンベシクルの自己集合を教示している。
【0005】
米国特許第5,958,448号は、封入しようとする物質を水に溶解させ、表面活性シロキサンを添加し、この混合物をゆるやかに撹拌し、過剰の水および物質を除去することによって実施される、表面活性シロキサンから形成されたベシクル中に水溶性物質を封入する方法を教示している。水不溶性物質は、封入しようとする物質を表面活性シロキサン中に溶解し、物質およびシロキサンをゆるやかに撹拌することによってベシクル中に封入される。表面活性シロキサンは、本質的に四価SiO2および一価R3SiO1/2およびR'R2SiO1/2単位からなる。四価単位に対する一価単位の比は、0.4/1から2/1であり、全ての一価単位の40から90%はR'R2SiO1/2単位である。Rは、8個までの炭素原子を有する一価炭化水素基であり、R'は、ポリオキシアルキレン基である。
【0006】
LinによるPCT出願US03/38455は、ある種のシリコーンベシクルにおける種々の油の封入、および種々のパーソナルケア配合物におけるこれらの使用を教示している。
【特許文献1】米国特許第5,364,633号
【特許文献2】米国特許第5,411,744号
【特許文献3】米国特許第5,958,448号
【特許文献4】PCT出願US03/38455
【特許文献5】WO 03/101412
【特許文献6】米国特許第6,168,782号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、ポリオキシアルキレン官能性「M」シロキシ単位およびアルキル官能性「T」シロキシ単位の両方を含むある種のシロキサン樹脂が、水中で、特にベシクル組成物中で安定な分散液を形成することを発見した。本発明のシロキサン樹脂から形成された、分散粒子またはベシクルを含む水性組成物は、種々の個人用、家庭用および医療用活性物質の封入および送達に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次式を有するシロキシ単位の少なくとも80モル%を含むシロキサン樹脂に関する;
(R12R'SiO1/2)x(R''SiO3/2)y
[式中、
xおよびyは、0.1から0.95の値を有し、
R1は、1から8個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり、
R'は、一価ポリオキシアルキレン基であり、
R''は、2から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基である]。
また、本発明は、シロキサン樹脂を含むベシクル組成物を含む、シロキサン樹脂の水性分散液に関する。さらに、本発明は、シロキサン樹脂の水性分散液およびベシクル組成物を調製する方法に関する。本発明は、さらにシロキサン樹脂の水性組成物を含む個人用、家庭用または医療用組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のシロキサン樹脂は、式(式I);
(R12R'SiO1/2)x(R''SiO3/2)y
[式中、
xおよびyは、0.1から0.95の値を有し、
R1は、1から8個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり、
R'は、一価ポリオキシアルキレン基であり、
R''は、2から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基である]
を有するシロキシ単位の少なくとも80モル%を含む。
本明細書では、xおよびyは、シロキサン樹脂中に互いに相対的に存在する、(R12R'SiO1/2)および(R''SiO3/2)シロキシ単位(すなわち、各々ポリオキシアルキレン官能性M単位およびアルキル官能性T単位)のモル分率を表す。したがって、それぞれ(R12R'SiO1/2)xおよび(R''SiO3/2)yシロキシ単位のモル分率は、独立に0.1から0.95に変化することができる。しかし、シロキサン樹脂中に存在する(R12R'SiO1/2)および(R''SiO3/2)シロキシ単位の組合せは、シロキサン樹脂の配合全体の全シロキシ単位の少なくとも80モル%、あるいは90モル%、あるいは95モル%である必要がある。
【0010】
R'は、一価ポリオキシアルキレン基である。ポリオキシアルキレンは、当技術分野でよく知られており、通常「ポリエーテル」と呼ばれる。式I中のポリオキシアルキレン基R'は、式-R4O(CnH2nO)zR5
[式中、
nは、2から4まで(両端の数字を含めて)であり、zは、4より大きく、
R4は、2から8個の炭素原子を含む二価炭化水素であり、
R5は、水素、アセチル基または1から8個の炭素原子を含む一価炭化水素である]
を有してもよい。
式Iのポリオキシアルキレン基は、式(CnH2nO)zによって表されるポリオキシアルキレン単位を含み、ここで、nは2から4(両端の数字を含めて)までであり、zは4より大きく、あるいはzは5から30、またはあるいは5から24の範囲であり得る。ポリオキシアルキレン基は、オキシエチレン単位-C2H4O-、オキシプロピレン単位-C3H6O-、オキシブチレン単位-C4H8O-、またはこれらの任意の混合物を含んでよい。一般に、ポリオキシアルキレンブロックはオキシエチレン単位-C2H4O-を含む。
【0011】
式I中のポリオキシアルキレン基の少なくとも1つの末端は、R4と指定される二価有機基によってシロキサン樹脂のシロキシ単位に結合されている。R4の二価有機基は、2から30個の炭素原子を含む二価炭化水素、および2から30個の炭素原子を含む二価有機官能性炭化水素から独立に選択することができる。このような二価炭化水素基の代表的な、限定しない例には、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレンなどが含まれる。このような二価有機官能性炭化水素基の代表的な、限定しない例には、アクリレート、およびメタクリレートが含まれる。一般に、R4はプロピレン、(-CH2CH2CH2-)である。
【0012】
式Iのポリオキシアルキレン基R'の末端は、R5によって表され、水素、アセチル基(CH3C(O)-)、または1から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基から選択することができる。一般に、R5は水素である。
【0013】
R''は、2から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチル基によって示される。一般に、R''はプロピルである。
【0014】
シロキサン樹脂は、通常当技術分野で知られており、また本明細書では各々M、D、TおよびQ単位として使用される(i)(R13SiO1/2)a、(ii)(R22SiO2/2)b、(iii)(R3SiO3/2)c、または(iv)(SiO4/2)d単位などのその他のシロキシ単位を含むことができる。シロキサン樹脂中に存在するそれぞれの単位の量は、アルキルフェニルシルセスキオキサン樹脂中に存在する全てのシロキシ単位のモルの総数のモル分率として表すことができる。したがって、本発明のシロキサン樹脂は、次の単位:
(i)(R13SiO1/2)a
(ii)(R22SiO2/2)b
(iii)(R3SiO3/2)c
(iv)(SiO4/2)d
(v)(R12R'SiO1/2)xおよび
(vi)(R''SiO3/2)y
[式中、
R1、R2およびR3は、独立に1から8個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基であり、
R'は、一価ポリオキシアルキレン基であり、
R''は、2から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、
a、b、cおよびdは、ゼロから0.4の値を有し、
xおよびyは、0.1から0.95の値を有し、
但し、x+yの値は、0.80以上であり、a+b+c+d+x+yの値=1である]
を含むことができる。
【0015】
シロキサン樹脂の単位中のR1、R2およびR3は、独立に1から8個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基である。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびオクチルによって示される。アリール基は、フェニル、ナフチル、ベンジル、トリル、キシリル、ゼニル、メチルフェニル、2-フェニルエチル、および2-フェニル-2-メチルエチルによって示され、アリール基は一般にフェニルである。
【0016】
本発明のシロキサン樹脂は、次の単位を含むシロキサン樹脂によって示される;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)3SiO1/2)a
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)2SiO2/2)b
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)SiO3/2)c
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
(SiO4/2)d
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)3SiO1/2)a
(SiO4/2)d
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)3SiO1/2)a
((CH3)SiO3/2)c
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)3SiO1/2)a
((CH3)2SiO2/2)b
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)2SiO2/2)b
((CH3)SiO3/2)c
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)2SiO2/2)b
(SiO4/2)d
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)SiO3/2)c
(SiO4/2)d
次の単位を含むシロキサン樹脂;
(R12R'SiO1/2)x
(CH3CH2CH2SiO3/2)y
((CH3)3SiO1/2)a
((CH3)2SiO2/2)b
((CH3)SiO3/2)cおよび
(SiO4/2)d
[式中、
R1、R2およびR3は、独立に1から8個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり、
R'は、一価ポリオキシアルキレン基であり、
a、b、cおよびdは、ゼロから0.4の値を有し、
xおよびyは、0.1から0.95の値を有し、
但し、x+yの値は、0.80以上であり、a+b+c+d+x+yの値=1であり、Rは1から8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基またはアミノ基に等しい]。
【0017】
一般にポリオキシアルキレン基R'は、式-(CH2)3O(CH2CH2O)zHを有し、ここで、zは4より大きく、あるいはzは5から30、またはあるいは5から24の範囲であり得る。
【0018】
上に示した全ての式において、ポリオキシアルキレン基R'は、Mシロキシ単位上にあると指定される。本発明のその他の実施形態において、R'基はDまたはTシロキシ単位上にあり得る。
【0019】
本発明のシロキサン樹脂は、ポリオキシアルキレン官能性シロキサン樹脂を調製するための当技術分野で知られている方法のいずれによっても調製することができるが、一般には(R12HSiO1/2)xおよび(R''SiO3/2)yシロキシ単位(ここで、R1、R''、xおよびyは上に定義した通りである)を含むSiH官能性シロキサンを、アルケニル末端ポリオキシアルキレンとヒドロシリル化反応技法によって反応させることによって調製される。このようなヒドロシリル化反応および技法は、当技術分野でよく知られており、しばしばプラチナ化合物により触媒される。(R12HSiO1/2)xおよび(R''SiO3/2)yシロキシ単位を含むSiH官能性シロキサンは、また追加のM、D、TまたはQシロキサン単位を含んでよく、存在するそれぞれの量を供給しつつ、上の式Iに対して記載されているものの中に組成的に存在するシロキサン樹脂を提供する。
【0020】
さらに本発明は、分散粒子が、式Iに示されているようなシロキサン樹脂を含み、10マイクロメートル未満の平均粒径を有する分散粒子を有する水性組成物を提供する。本発明の水性組成物は、水連続相中に分離している粒子として分散している疎水性相を含む。疎水性相粒子は、上記のように、シロキサン樹脂の存在によって水性組成物中に安定化される。分散している疎水性相粒子は、10マイクロメートル未満、あるいは5マイクロメートル未満、またはあるいは1マイクロメートル未満である平均粒径を有する。「平均粒径」は、エマルジョン技術で容認された意味であり、例えばNanotrac150などの粒径分析器を使用して求めることができる。
【0021】
水性組成物は、水性分散液またはエマルジョン、特に油/水エマルジョンを調製するための当技術分野で知られているプロセスのいずれによっても調製することができる。これらは、バッチ、半連続または連続プロセスで、撹拌、ブレンド、均質化、ソナレーティング(sonalating)および押出し技法を含む。
【0022】
一般に、水性組成物は、
I)A)次式を有するシロキシ単位の少なくとも80モル%を含むシロキサン樹脂
(R12R'SiO1/2)x(R''SiO3/2)y
[式中、
xおよびyは、0.1から0.95の値を有し、
R1は、1から8個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり、
R'は、一価ポリオキシアルキレン基であり、
R''は、2から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基である]、
B)場合によって、水混和性揮発性溶剤、
C)場合によって、有機またはシリコーン油
を水と混合し、シロキサン樹脂の水性分散液を形成する段階、
II)場合によって、水性分散液から水混和性揮発性溶剤を除去する段階
を含むプロセスによって調製される。
【0023】
シロキサン樹脂成分A)は、式Iとして上に記載されたものと同様である。任意選択の成分B)は、水混和性揮発性溶剤である。本明細書では、「水混和性」は、室温において少なくとも数時間の間に溶剤が水と分散液を形成することを意味する。「揮発性」は、溶剤が種々の温度において水よりも高い蒸気圧を有することを意味する。したがって、オルガノポリシロキサンおよび溶剤の水性分散液を、減圧下で分散液を加熱するなどの溶剤を除去するための条件にさらす場合、溶剤が最初に主として除去され、水の全てまたは大部分を組成物中に残すことを可能にする。
【0024】
ベシクル分散液調製のための適切な水混和性揮発性溶剤には、アルコール、エーテル、グリコール、エステル、酸、ハロゲン化炭化水素、ジオールなど有機溶剤が含まれる。この有機溶剤は、効果的にシリコーンを分散し、安定で均質な分散液を長時間維持するためにその割合以下で水と混和性であるべきである。例示の目的に対し、水混和性アルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよび高級炭化水素アルコールが含まれ;エーテルには、グリコールエーテル、メチルエチルエーテル、メチルイソブチルエーテル(MIBK)などが含まれ;グリコールは、プロピレングリコールを含み、エステルには、トリグリセロールのエステル、酸およびアルコールのエステル化生成物が含まれ;ハロゲン化炭化水素は、クロロホルムを含む。一般に水混和性有機溶剤は、比較的低沸点(<100℃)または高蒸発速度を有する溶剤であり、それ故、水混和性有機溶剤は、真空下で容易に除去することができる。本発明に対する最も好ましい水混和性有機溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびプロパノールを含む揮発性アルコールである。これらのアルコールは、周囲温度におけるバキュームストリッピングにより、シリコーンベシクル分散液を含む水性混合物から除去することができる。
【0025】
上記のように段階I)は、また成分C)シリコーンまたは有機油を含むことができる。シリコーンは、一般式RiSiO(4-i)/2を有する任意のオルガノポリシロキサンであってよく、ここでiは、1から3の平均値を有し、Rは、一価有機基である。オルガノポリシロキサンは、環式、直鎖、分枝およびこれらの混合物であってよい。
【0026】
一実施形態では、成分C)として選択されたシリコーンは、低分子量直鎖および環式揮発性メチルシロキサンを含む、揮発性メチルシロキサン(VMS)である。シクロメチコーンのCTFA定義に合致する揮発性メチルシロキサンは、低分子量シロキサンの定義内にあると考えられる。
【0027】
直鎖VMSは、式(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}fSi(CH3)3を有する。fの値は、0〜7である。環式VMSは、式{(CH3)2SiO}gを有する。gの値は、3〜6である。好ましくは、これらの揮発性メチルシロキサンは、1,000未満の分子量;250℃未満の沸点;および0.65から5.0センチストーク(mm2/s)、一般には5.0センチストーク(mm2/s)を超えない粘度を有する。
【0028】
代表的直鎖揮発性メチルシロキサンは、100℃の沸点、0.65mm2/sの粘度および式Me3SiOSiMe3を有するヘキサメチルジシロキサン(MM);152℃の沸点、1.04mm2/sの粘度および式Me3SiOMe2SiOSiMe3を有するオクタメチルトリシロキサン(MDM);194℃の沸点、1.53mm2/sの粘度および式Me3SiO(Me2SiO)2SiMe3を有するデカメチルテトラシロキサン(MD2M);229℃の沸点、2.06mm2/sの粘度および式Me3SiO(Me2SiO)3SiMe3を有するドデカメチルペンタシロキサン(MD3M);245℃の沸点、2.63mm2/sの粘度および式Me3SiO(Me2SiO)4SiMe3を有するテトラデカメチルヘキサシロキサン(MD4M);270℃の沸点、3.24mm2/sの粘度および式Me3SiO(Me2SiO)5SiMe3を有するヘキサデカメチルヘプタシロキサン(MD5M)。
【0029】
代表的環式揮発性メチルシロキサンは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)であり、134℃の沸点、223の分子量および式{(Me2)SiO}3を有する固体;176℃の沸点、2.3mm2/sの粘度、297の分子量および式{(Me2)SiO}4を有するオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4);210℃の沸点、3.87mm2/sの粘度、371の分子量、式{(Me2)SiO}5を有するデカメチルシクロペンタシロキサン(D5);245℃の沸点、6.62mm2/sの粘度、445の分子量、式{(Me2)SiO}6を有するドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)である。
【0030】
成分C)として選択されたシリコーンは、ポリジオルガノシロキサン流体、ゴム、またはその混合物のいずれであってもよい。ポリオルガノシロキサンが、1000以上の分子量を有する場合、これを上記の揮発性メチルシロキサンとブレンドすることができる。本発明に適するポリジオルガノシロキサンゴムは、本質的にジメチルシロキサン単位からなり、その他の単位は、モノメチルシロキサン、トリメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン、メチルエチルシロキサン、ジエチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン、エチルフェニルシロキサン、ビニルエチルシロキサン、フェニルビニルシロキサン、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン、ジメチルフェニルシロキサン、メチルフェニルビニルシロキサン、ジメチルエチルシロキサン、3,3,3-トリフルオロプロピルジメチルシロキサン、モノ-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン、アミノアルキルシロキサン、モノフェニルシロキサン、モノビニルシロキサンなどによって代表される。
【0031】
成分C)が有機油である場合、これは、個人用、家庭用またはヘルスケア配合物の調製での使用に適する当技術分野で知られている有機油のいずれかから選択することができる。適切な有機油には、限定はしないが、ヤシ油などの天然油;鉱油および水素化ポリイソブテンなどの炭化水素;オクチルドデカノールなどの脂肪アルコール;C12〜C15安息酸アルキルなどのエステル、プロピレンジペラルガネートなどのジエステル;グリセリルトリオクタノエートなどのトリエステルが含まれる。有機油成分は、また低粘度および高粘度油の混合物であってよい。適切な低粘度油は、25℃で5から100mPa.sの粘度を有し、一般に構造RCO-OR'を有するエステルであり、ここでRCOはカルボン酸基を表し、OR'はアルコール残基である。これらの低粘度油の例には、イソトリデシルイソノナノエート、PEG-4ジヘプタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、トリデシルネオペンタノエート、セチルオクタノエート、セチルパルミテート、セチルリシノレート、セチルステアレート、セチルミリステート、ココ-ジカプリレート/カプレート、デシルイソステアレート、イソデシルオレエート、イソデシルネオペンタノエート、イソヘキシルネオペンタノエート、オクチルパルミテート、ジオクチルマレート、トリデシルオクタノエート、ミリスチルミリステート、オクトドデカノール、またはオクチルドデカノールの混合物、アセチル化ラノリンアルコール、セチルアセテート、イソドデカノール、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、またはこれらの混合物が含まれる。高粘度表面油は、一般に25℃において200〜1,000,000mPa.sの粘度、好ましくは100,000〜250,000mPa.sの粘度を有する。表面油には、ヒマシ油、ラノリンおよびラノリン誘導体、トリイソセチルシトレート、ソルビタンセスキオレエートC10〜18トリグリセリド、カプリル/カプリントリグリセリド、ヤシ油、コーン油、綿実油、グリセリルトリアセチルヒドロキシステアレート、グリセリルトリアセチルリシノレート、グリセリルトリオクタノエート、水素化ヒマシ油、アマニ油、ミンク油、オリーブ油、パーム油、イリッペバター、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種油、獣脂、トリカプリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソステアリン、トリラウリン、
トリリノレイン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、クルミ油、小麦胚芽油、コレステロール、またはこれらの混合物が含まれる。任意選択の他の非シリコーン脂肪質物質としては、流動パラフィンまたは流動石油などの鉱油、パーヒドロスクアレンまたはアララ油などの動物油、またはあるいはスイートアーモンド、カロフィラム、パーム、ヒマシ、アボカド、ホホバ、オリーブまたは穀粒胚芽油などの植物油が挙げられる。また、例えばラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸またはミリスチン酸のエステル;オレイルアルコール、リノレイルまたはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノールなどのアルコール;またはアルコールまたはポリアルコールのアセチルグリセリド、オクタノエート、デカノエートまたはリシノレートを使用することができる。水素化ヒマシ、パームまたはヤシ油、または水素化獣脂などの25℃において固体である水素化油;モノ-、ジ-、トリ-またはスクログリセリド;ラノリン;または25℃において固体である脂肪エステルを使用することが、あるいは可能である。
【0032】
成分A)、B)、およびC)を混合する順序は、決定的ではなく、一般にはA)とB)を最初に混合し、次いで、混合物に水を添加する。成分A)、B)、およびC)を混合させるために必要とされる特別の必要条件または条件はない。混合は、バッチ、半連続または連続プロセスにおいて行われる。
【0033】
成分A)、B)、およびC)の量は、プロセスにおいて変化し得るが、一般に以下のような範囲である。
A)2から50重量%、あるいは2から25重量%、またはあるいは2から15重量%、
B)0から50重量%、あるいは2から25重量%、またはあるいは2から15重量%、
C)0から50重量%、あるいは1から20重量%、またはあるいは2から10重量%、
およびA)、B)およびC)、および水含有量の重量%の合計を100%にするのに十分な量の水。
【0034】
本発明の一実施形態において、シロキサン樹脂A)を含む分散粒子が、水性組成物中でベシクルを形成する。したがって、本発明は、また
I)A)上の式Iに記載のシロキサン樹脂、
B)任意選択の水混和性揮発性溶剤、
C)場合によって、有機またはシリコーン油、
を水と混合して、シロキサン樹脂の水性分散液を形成する段階、
II)場合によって、水性分散液から水混和性揮発性溶剤を除去して、ベシクル組成物を形成する段階
を含むベシクル組成物を作製する方法に関する。
この実施形態において、任意選択の成分B)およびC)は、上記の通りであり、混合技法は同様である。
【0035】
本発明の組成物中のベシクルの形成は、最新技術で一般的である技法によって確認することができる。一般に、板状相構造を有するベシクルは、交差分極顕微鏡により試験すると、複屈折を示す。あるいは、ベシクルの形成は、極低温透過型電子顕微鏡(Cryo-TEM)技法によって示すことができる。また、オルガノポリシロキサンが、ベシクルサイズに典型的な水性媒体中に十分に分散されていることを示すために、粒径測定を使用することができる。例えば、0.500μm(マイクロメートル)未満の平均粒径が、分散されたベシクルに典型的である。0.200μm未満、または0.100μm未満の平均粒径を有するベシクルが、本発明の教示により可能である。
【0036】
本発明は、個人用、家庭用またはヘルスケア成分をさらに含む、上記のようなシロキサン樹脂の水性組成物にも関する。したがって、水性分散液およびベシクル組成物を封入するために使用し、適用後に引き続いて個人用、家庭用ケアまたはヘルスケア成分を送達することができる。可能な個人用、家庭用またはヘルスケア成分の一覧は、WO 03/101412に教示されており、これを参照により本明細書に組み込む。また、個人用またはヘルスケア成分は、個人用またはヘルスケア「活性剤」、即ち、化粧品および/または薬剤活性を有することが知られている任意の化合物から選択することができる。このような個人用またはヘルスケア活性剤の代表的な一覧は、米国特許第6,168,782号に開示されており、これを参照により本明細書に組み込む。
【0037】
(実施例)
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを意図し、特許請求の範囲に述べられた本発明の範囲を限定するものではない。
【0038】
(実施例1)-参考
ポリエーテル-官能性MxMPEyTPrz樹脂の調製
一般式MxMPEyTPrzを有するいくつかのポリエーテル-官能性シロキサン樹脂を調製し;ここでPrはプロピル基を表し、PEはポリエーテル基を表す。それぞれに対する一般式および他の構造的特性値を表1にまとめる。
【0039】
【表1】

【0040】
表1に示されているポリエーテル-官能性MM'TPr樹脂を調製する一般的手順は、1Cに対して記載されている。所望の構造を有する出発SiH官能性樹脂を、EBB末端ブロック剤およびDC3-7010(SiHダイマー)により、DC-8004TPr樹脂中間体をFC24で触媒化されたキャップをすることによって合成した。仕上がったSiH官能性MxM'yTPrz樹脂は、トルエン中71.33重量/重量%の不揮発性含有量(NVC)および0.124重量/重量%のSiHを有していた。
【0041】
反応釜を、ポリグリコールAE501モノアリルオキシポリエーテル(OH3.14重量/重量%、Vi4.81重量/重量%を含み、Dow Chemicalから得られる)59.2g、酢酸ナトリウム0.1g、イソプロピルアルコール53.7gおよびにSiH官能性樹脂100gにより充填した。70℃に加熱後に、次いで、Pt触媒の4.5ppm等量を反応を開始するために添加した。反応を2時間進行させた後に、得られた反応混合物を濾過し、減圧下で加熱することによって揮発性物質をストリップした。
【0042】
(実施例2)
MM'TPr-PEO樹脂の分散液および揮発性溶剤の添加の効果
実施例1Cのシロキサン樹脂の水性分散液を表2に記載したような配合および手順により調製した。実施例2Aは、分散液を樹脂だけで試みた(イソプロパノールなどの揮発性溶剤なし)場合、樹脂は水相から分離し、安定な分散液が観察されなかったことを示す。しかし、ポリエーテル-官能性MM'TPr樹脂、MM'TPr-PEO樹脂は、表2の実施例2B、2C、および2Dによって示されているように、イソプロパノールの種々の量を含む水中にうまく分散された。
【0043】
【表2】

【0044】
(実施例3)
純粋な、ビタミン装填ベシクルの分散液
異なる重量%シリコーン含有量を有するポリエーテル-官能性MM'TPr-PEO樹脂を、純粋な水性ベシクル分散液を調製するために、また形成されたベシクル中に油溶性活性剤を封入するために使用した。表3は、ベシクル組成物および実施例1から調製されたMM'TPr-PEO樹脂のいくつかから調製されたビタミンAパルミテート(VAP)を封入したベシクル分散液を要約している。活性剤が封入されたベシクルは、水中に安定であった。
【0045】
【表3】

【0046】
(実施例4)
高重量%シリコーンを有するMM'TPr-PEO樹脂からのベシクル分散液
M0.135M'0.035TPr0.82-PEO樹脂(1E)を最初にIPA/水媒体中に分散させ、平均サイズ0.0321を有する粒子が実施例4A(30IPA/60水混合物中)において、0.0040μmのものが4C(44IPA/46重量/重量水混合物中)において見出された。
【0047】
実施例4B分散液を4A分散液からイソプロパノールをストリップ除去することによって調製し、4IPA/81水中の15シリコーンポリエーテルベシクルの最終組成物を得た。このベシクルは、0.028μmの平均粒径を有している。
【0048】
【表4】

【0049】
(実施例5)
61.3%シリコーンを有するM0.135M'0.035TPr0.82-PEO樹脂の分散液
M0.135M'0.035TPr0.82-PEO樹脂の分散液を実施例4の手順を使用して調製した。このポリエーテル-官能性M0.135M'0.035TPr0.82-PEO樹脂は、シリコーン約61.3重量%を含み、水に容易に分散しない。表4に詳述したように、M0.135M'0.035TPr0.82-PEO樹脂は、30/60重量/重量イソプロパノール/水混合物中に分散させた。この分散液は、0.026μmの粒径を有した。純水中のM0.135M'0.035TPr0.82-PEO樹脂の分散液が、引き続きイソプロパノールをストリップ除去することによって得られた。2つの粒径範囲をもつ分散液が得られる:0.344μmおよび2.03μm。
【0050】
【表5】

【0051】
2層に分離された実施例5B分散液:僅かに曇った上層および乳白色下層。さらに各々の層の分析は、上層は、小さい粒子の分散液であり、下層は、大きい粒子の分散液であることを示した。
【0052】
Cryo-TEM画像を、以下図1に示すように、M0.135M'0.035TPr0.82-PEO樹脂の5B分散液の上層に対して求めた。Cryo-TEM画像は、分散液中の粒子はベシクルであり、主として単一板状の小さいベシクルであることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、M0.135M'0.035TPr0.82-PEO樹脂の5B分散液のCryo-TEM画像を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式:
(R12R'SiO1/2)x(R''SiO3/2)y
[式中、
xおよびyは、0.1から0.95の値を有し、
R1は、1から8個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり、
R'は、ポリオキシアルキレン単位を含む一価有機基であり、
R''は、2から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基である]
を有するシロキシ単位の少なくとも80モル%を含むシロキサン樹脂。
【請求項2】
シロキサン樹脂が次の単位:
(i)(R13SiO1/2)a
(ii)(R22SiO2/2)b
(iii)(R3SiO3/2)c
(iv)(SiO4/2)d
(v)(R12R'SiO1/2)xおよび
(vi)(R''SiO3/2)y
[式中、
R1、R2およびR3は、独立に1から8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基、またはアミノ基であり、
R'は、一価ポリオキシアルキレン基であり、
R''は、2から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、
a、b、cおよびdは、ゼロから0.2の値を有し、
xおよびyは、0.1から0.95の値を有し、
但し、x+yの値は0.80以上であり、a+b+c+d+x+yの値=1である]
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R'がプロピル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
R'が式-R4O(CnH2nO)zR5
[式中、
nは、2から4まで(両端の数字を含めて)であり、zは、4より大きく、
R4は、2から8個の炭素原子を含む二価炭化水素であり、
R5は、水素、アセチル基または1から8個の炭素原子を含む一価炭化水素である]
を有する、請求項1または3に記載のシロキサン樹脂。
【請求項5】
nが2であり、zが4から24であり、
R4がプロピレンであり、
R5が水素である、
請求項4に記載のシロキサン樹脂。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5に記載のシロキサン樹脂を含み、10マイクロメートル未満の平均粒径を有する分散粒子を有する水性組成物。
【請求項7】
水混和性揮発性溶剤をさらに含む、請求項6に記載の水性組成物。
【請求項8】
溶剤がアルコールである、請求項7に記載の水性組成物。
【請求項9】
分散粒子がベシクルである、請求項6に記載の水性組成物。
【請求項10】
ベシクルが非水性成分をさらに含む、請求項9に記載の水性組成物。
【請求項11】
I)A)請求項1に記載のシロキサン樹脂
B)場合によって、水混和性揮発性溶剤
C)場合によって、有機油またはシリコーン油
を水と混合して、シロキサン樹脂の水性分散液を形成する工程、
II)場合によって、前記水性分散液から水混和性揮発性溶剤を除去して、ベシクル組成物を形成する工程
を含む、水性分散液の調製方法。
【請求項12】
C)シリコーンまたは有機油が、段階I)の混合に含まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
シリコーンが揮発性メチルシロキサンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
I)A)請求項1に記載のシロキサン樹脂
B)任意選択の水混和性揮発性溶剤
C)場合によって、有機またはシリコーン油
を水と混合して、シロキサン樹脂の水性分散液を形成する段階、
II)場合によって、水性分散液から水混和性揮発性溶剤を除去して、ベシクル組成物を形成する段階
を含むベシクル組成物を作製する方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法によって製造されるベシクル組成物。
【請求項16】
個人用、家庭用またはヘルスケア活性成分をさらに含む、請求項6、7または8に記載の水性組成物。
【請求項17】
請求項6、7、8または16に記載の水性組成物を含む個人用、家庭用およびヘルスケア組成物。
【請求項18】
個人用、家庭用またはヘルスケア活性成分をさらに含む、請求項9、10、または15に記載のベシクル組成物。
【請求項19】
請求項9、10、15または18に記載のベシクル組成物を含む個人用、家庭用およびヘルスケア組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2008−531767(P2008−531767A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556147(P2007−556147)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/001818
【国際公開番号】WO2006/091295
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】