説明

ポリオキシアルキレンアルコールの製造方法

【課題】本発明の目的は、臭気の改善されたポリオキシアルキレンアルコールの製造方法を見いだすことである。
【解決手段】下記工程(A)〜(C)を含むポリオキシアルキレンアルコール(a)の製造方法。
工程(A):反応槽(1)中で、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)を含む気相(d)を連続的又は断続的に反応槽(1)の系外に除去しながら、ルイス酸触媒(b)の存在下、活性水素含有化合物(e)にアルキレンオキサイド(f)を付加重合させてポリオキシアルキレンアルコール(a)を製造する工程。
工程(B):反応槽(1)の系外に除去した気相(d)を固体触媒(g)を充填した反応塔(2)に送り、固体触媒(g)と接触させ気相(h)を得る工程。
工程(C):気相(h)からアルキレンオキサイド(f)を蒸留により分離し反応槽(1)へ供給する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレンアルコールの製造方法及びその製造方法により得られたポリオールを用いたポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリオキシアルキレンアルコールは、水酸化カリウム等のアルカリ金属や塩化アルミニウム及び三フッ化ホウ素等のルイス酸を触媒として用い、活性水素含有化合物にプロピレンオキサイド(以下POと略記する。)やエチレンオキサイド(以下EOと略記する。)等のアルキレンオキサイドを付加重合させて得られる。
【0003】
中でもルイス酸触媒を用いて製造したポリオキシアルキレンアルコールには、低分子アルデヒドやジオキサン等の副生低沸点揮発成分が含まれており、これらを用いて製造されたポリウレタン樹脂やポリウレタンフォームは、不快な臭気を発生するという問題がある。特定のルイス酸触媒の使用により臭気の低減が可能であることが知られているが、臭気低減の効果は不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−183383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低沸点の揮発成分を除去する後処理工程を必要とせず、特に臭気の改善されたポリオキシアルキレンアルコールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に達した。
すなわち本発明は以下の(I)、(II)を要旨とする。
(I)本発明のポリオキシアルキレンアルコール(a)の製造方法は、下記工程(A)〜(C)を含むことを要旨とする。
工程(A):反応槽(1)中で、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)を含む気相(d)を連続的又は断続的に反応槽(1)の系外に除去しながら、ルイス酸触媒(b)の存在下、活性水素含有化合物(e)にアルキレンオキサイド(f)を付加重合させてポリオキシアルキレンアルコール(a)を製造する工程。
工程(B):反応槽(1)の系外に除去した気相(d)を固体触媒(g)を充填した反応塔(2)に送り、固体触媒(g)と接触させ気相(h)を得る工程。
工程(C):気相(h)からアルキレンオキサイド(f)を蒸留により分離し反応槽(1)へ供給する工程。
(II)本発明の発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(k)とを反応させて、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として、上記の製造方法で得られたポリオキシアルキレンアルコール(a)であって価数が2以上のポリオールを用いることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリオキシアルキレンアルコールの製造方法によれば、低沸点揮発成分を除去する後処理工程が不要となり生産効率が向上し、臭気発生も低減出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の比較例を例示するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の製造方法においては、ルイス酸触媒(b)の存在下、活性水素含有化合物(e)にアルキレンオキサイド(f)を付加重合させる。
本発明において、アルキレンオキサイド(f)付加重合時に用いるルイス酸触媒(b)としては、環状エーテルを開環付加重合させるルイス酸触媒であれば特に限定はないが、反応性の観点から、ホウ素、アルミニウム、錫、アンチモン、鉄、燐、亜鉛、チタン、ジルコニウム及びベリリウムからなる群より選ばれる1種以上の元素(b1)を含むルイス酸触媒が好ましい。
元素(b1)を含むルイス酸触媒としては、元素(b1)のハロゲン化物並びにアルキル及び/又はアリール化合物等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。具体的には下記のものが挙げられる。
(i)元素(b1)のハロゲン化物
三フッ化ホウ素及び三塩化ホウ素等のホウ素化合物;塩化アルミニウム及び臭化アルミニウム等のアルミニウム化合物;四フッ化錫及び四塩化錫等の錫化合物;フッ化アンチモン及び塩化アンチモン等のアンチモン化合物;塩化第二鉄等の鉄化合物;五フッ化燐等の燐化合物;塩化亜鉛等の亜鉛化合物;四塩化チタン等のチタン化合物;塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物;塩化ベリリウム等のベリリウム化合物;等
(ii)元素(b1)のアルキル及び/又はアリール化合物
トリフェニルホウ素、トリ(t−ブチル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルホウ素、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化ホウ素、ジ(t−ブチル)フッ化ホウ素及び(ペンタフルオロフェニル)2フッ化ホウ素等のホウ素化合物;トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−t−ブチルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルアルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化アルミニウム、ジ(t−ブチル)フッ化アルミニウム、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化アルミニウム及び(t−ブチル)2フッ化アルミニウム等のアルミニウム化合物;ジエチル亜鉛等の亜鉛化合物;等
これら(i)、(ii)の中で、付加重合時の反応性及び製造したポリオキシアルキレンアルコールの反応性の観点から、三フッ化ホウ素及び元素(b1)のアルキル及び/又はアリール化合物が好ましく、さらに好ましくは三フッ化ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムであり、特に好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムである。
【0010】
本発明において、活性水素含有化合物(e)としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物及びリン酸化合物等が挙げられる。
水酸基含有化合物としては、アルコール、フェノール及びアルカノールアミン並びに活性水素を有する化合物(アルコール、アミノ基含有化合物、カルボン酸及びリン酸等)に後述のアルキレンオキサイド(f)が付加された構造の化合物(ポリエーテルアルコール)が挙げられ、2種以上を併用してもよい。なお、上記の活性水素含有化合物(e)としてのポリエーテルアルコールは、ルイス酸触媒(b)以外の触媒を用いて得られたものであってもよい。
【0011】
アルコール及びフェノールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール及びオクタノール等の1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン及び2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の2価アルコール;グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース及びショ糖等の4〜8価のアルコール;フェノール及びクレゾール等のフェノール;ピロガロール、カテコール及びヒドロキノン等の多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノール;ポリブタジエンアルコール;ひまし油系アルコール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体、ポリビニルアルコール等の多官能(2〜100)アルコール等が挙げられ、炭素数1〜20のものが好ましい。
なお、ポリブタジエンアルコールとしては、1,2−ビニル構造を有するもの、1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造とを有するもの及び1,4−トランス構造を有するものが挙げられる。1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造の割合は種々にかえることができ、例えばモル比で100:0〜0:100である。またポリブタジエングリコ―ル(4)にはホモポリマ―及びコポリマ―(スチレンブタジエンコポリマ―、アクリロニトリルブタジエンコポリマ―等)、並びにこれらの水素添加物(水素添加率:例えば20〜100%)が含まれる。
また、ひまし油系アルコールとしては、ひまし油及び変性ひまし油(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールで変性されたひまし油等)が挙げられる。
【0012】
アミノ基含有化合物としては、モノ又はポリアミン及びアミノアルコールがあげられる。
モノ又はポリアミンとしては、具体的には、アンモニア、アルキルアミン(ブチルアミン等)及びアニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン及びその他特公昭55−21044号公報記載の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエ−テルジアミン及びポリフェニルメタンポリアミン等の芳香族ポリアミン;ポリアミドポリアミン[例えばジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン(上記アルキレンジアミン及びポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン];ポリエーテルポリアミン[ポリエーテルアルコール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物];シアノエチル化ポリアミン[アクリロニトリルとポリアミン(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との付加反応により得られるシアノエチル化ポリアミン、例えばビスシアノエチルジエチレントリアミン等];ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等);及びジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられ、炭素数1〜20のものが好ましい。
アミノアルコールとしては、アルカノールアミン、例えばモノ−、ジ−又はトリ−のアルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリプロパノールアミン等);これらのアルキル(炭素数(以下、Cと略記する)1〜4)置換体〔N,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(N,N−ジメチルエタノールアミン及びN,N−ジエチルエタノールアミン等)、N−アルキルジアルカノールアミン(N−メチルジエタノールアミン及びN−ブチルジエタノールアミン等)〕;及びこれらのジメチル硫酸又はベンジルクロリド等の4級化剤による窒素原子4級化物が挙げられ、炭素数1〜20のものが好ましい。
【0013】
カルボキシル基含有化合物としては、炭素数1〜20のカルボン酸が挙げられ、酢酸及びプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;コハク酸及びアジピン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸及びトリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物等のポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
チオール基含有化合物のポリチオール化合物としては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール、プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1、6−ヘキサンジチオール及び3−メチルペンタンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸及びホスホン酸等が挙げられる。
【0014】
これら活性水素含有化合物(e)のうち、汎用性の観点から、水酸基含有化合物が好ましく、より好ましいものは多価アルコール及び多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物である。
【0015】
活性水素含有化合物(e)に付加重合させるアルキレンオキサイド(f)としては、C1〜10のものが好ましく、具体例としては、EO、PO、1,2−、1,3−、1,4−及び2,3−ブチレンオキサイド並びにスチレンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、生産性の観点から、PO及び/又はEOが好ましく、さらに好ましくはPOである。
活性水素含有化合物(e)へのアルキレンオキサイド(f)の付加モル数は、副生低沸点化合物(c)の除去しやすさの観点から、活性水素1モルに対して、0.5〜300モルが好ましく、より好ましくは0.7〜250モル、特に好ましくは1〜160モルである。
(f)を付加する方法は、単独付加並びに二種以上の(f)を用いる場合のランダム付加及びブロック付加等が挙げられるが限定はない。
【0016】
アルキレンオキサイド(f)の付加条件については、通常行われる条件でよく、付加重合の反応性の観点から、ルイス酸触媒(b)の使用量は、ポリオキシアルキレンアルコール(a)の重量に対して、0.00001〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.0001〜1重量%のルイス酸触媒(b)を用い、反応温度については、0〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20〜180℃である。
【0017】
圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)の具体例としては、ホルムアルデヒド(沸点−19℃)、アセトアルデヒド(沸点20℃)及びプロピオンアルデヒド(沸点48℃)並びにアリルアルコールにアルキレンオキサイド(f)が0〜2モル付加した化合物等が挙げられる。これらは揮発成分であり臭気を持つ。これらの成分は、ポリオキシアルキレンアルコール(a)に対して、付加重合中に通常0.0001〜10重量%発生する。
上記及び以下において、圧力はとくに断りのない限り、絶対圧で記載する。
【0018】
本発明の製造方法では、反応槽(1)中で活性水素含有化合物(e)にアルキレンオキサイド(f)を付加重合する工程において、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)を連続的又は断続的に除去する。系外に除去する方法には、副生化合物(c)と未反応のアルキレンオキサイド(f)を含んだ気相(d)を系外に除去する手法を取る。
反応槽(1)としては、アルキレンオキサイドの付加反応に用いることのできる容器であれば何でもよいが、1MPaの圧力に耐えられ、加熱及び冷却が可能で撹拌装置が備え付けられている物が望ましい。反応槽(1)の材質としては、ガラス、鉄、ステンレス、アルミ、各種合金、カーボン等が挙げられるが、耐腐食性を備えたステンレスが望ましい。
【0019】
気相(d)を系外に除去する際の温度は、付加重合の反応性及び気相除去のしやすさの観点から、アルキレンオキサイド(f)を付加させる通常行われる温度でよい。例えば、0〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20〜180℃である。
【0020】
気相を系外に除去する際の圧力は、付加重合の反応性及び気相除去のしやすさの観点から、アルキレンオキサイド(f)を付加させる通常の圧力である1MPa以下が好ましく、より積極的に気相除去させるために、さらに好ましくは0.001〜0.3MPa、次にさらに好ましくは0.01〜0.2MPaである。
【0021】
本発明において、工程(A)で反応槽(1)の系外に除去した気相(d)は、吸着塔(2)に送り、固体触媒(g)と接触させ気相(h)を得る。
【0022】
本発明において、反応塔(2)は、その内部に(g)を充填でき、(2)に通気した際に(g)が容器外に拡散しない構造の容器であれば特に制限されないが、加熱及び冷却、並びに/又は、加圧及び減圧が可能である物が望ましく、その材質は耐腐食性を備えたステンレス等が望ましい。
【0023】
固体触媒(g)と接触した気相に含まれる副生化合物(c)は反応して、より高い沸点を有する化合物(j)となる。
【0024】
本発明において、反応塔(2)から排出される気相(h)中に含まれるより高い沸点を有する化合物(j)とアルキレンオキサイド(f)を蒸留により分離する。蒸留による分離に用いる装置{例えば、図1〜3における蒸留塔(3、3−1、3−2)}は、石油化学品の精製に用いられる通常の蒸留塔又は精留塔であれば特に制限はなく、その材質は耐腐食性を備えたステンレスやガラス等が望ましい。
【0025】
圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)を反応させて得られるより高い沸点を有する化合物(j)には、2−メチル−2−ペンテナール(沸点137℃)、水(沸点100℃)やプロピルアルコール、アリルアルコール、アリルアルデヒド、アクリル酸及びアクリル酸エステル等が含まれる。
【0026】
反応槽(1)からの連続的な気相除去は、必要に応じて反応槽(1)を加熱及び/又は減圧若しくは加圧して実施する。連続的に気相(d)を反応槽(1)から除去させる際の温度は、活性水素含有化合物(e)に(f)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、付加重合の反応性の観点から、0〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20〜180℃である。減圧度は付加重合の反応性及び副生化合物(c)の揮発しやすさの観点から、0.001〜0.3MPaが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.2MPaである。
気相(d)を固体触媒(g)に接触させる際の温度は、副生化合物(c)の反応性の観点から、0〜300℃が好ましく、さらに好ましくは50〜200℃であり、圧力は0.001〜2.0MPaが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1.0MPaである。
気相(d)を固体触媒(g)に接触させる時間(滞留時間)は、副生化合物(c)の反応性の観点から、0.01秒から120秒が好ましく、さらに好ましくは0.1〜90秒である。
【0027】
固体触媒(g)としては、ナトリウム、カリウム及びリチウム等のアルカリ金属や、カルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属並びにこれら金属の酸化物、炭酸化物、硫化物及びその他金属塩が挙げられる。他にも複合酸化物や合金及びヘテロポリ酸等が挙げられ、(c)を(j)に変性する活性を有する触媒であれば、これらに限定されるものではない。反応原料の選択性の観点から、金属酸化物及び金属炭酸化物が好ましく、特に好ましくは酸化マグネシウムである。
【0028】
図1に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて説明する。
反応槽(1)中の活性水素含有化合物(e)に原料供給ライン(5)を通じてアルキレンオキサイド(f)を投入し付加重合する工程中に、反応槽(1)と反応塔(2)を循環ライン(6)で結ぶことにより、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)と未反応の(f)を含む気相(d)を連続的又は断続的に反応塔(2)に送る。
(2)に充填された固体触媒(g)に(c)を接触させ、より高い沸点を有する化合物(j)に変性させる。(f)と(j)を含有する気相(h)を循環ライン(7)を通じて連続的又は断続的に蒸留塔(3)に送り、気相(h)中から(f)を分離する。反応塔(2)で変性された化合物(j)は蒸留塔の釜下ライン(9)から系外除去し、分離した(f)は循環ライン(8)を通じて反応槽(1)に戻す。
【0029】
連続的に気相(d)、(h)及び、気相(h)中から分離したアルキレンオキサイド(f)を反応槽(1)と反応塔(2)、蒸留塔(3)の間で循環させる際の流速は好ましくは、1分間に反応槽(1)の容量の1/10000〜100倍、さらに好ましくは1/1000〜50倍の容積が置換される速度である。反応塔(2)や蒸留塔(3)は必要に応じて2基以上使用してもよく、それぞれを同時又は交互に使用してもよい。
(f)と(c)を含んだ気相を反応塔(2)に送る方法や、(f)と(j)を含んだ気相(h)を蒸留塔(3)に送る方法や、(f)を蒸留塔(3)から反応槽(1)に戻す方法としては圧力差を利用した方法が挙げられ、ダイアフラムポンプや真空ポンプを使用することができるが、その他の方法を用いてもよい。
【0030】
図1の実施態様において、断続的な気相除去とは、アルキレンオキサイド(f)を分割(好ましくは2〜100回)して投入し反応槽(1)で反応させることと、気相(d)を循環ライン(6)を通じて反応塔(2)に送り、必要に応じて加熱若しくは冷却、及び/又は、加圧若しくは減圧することにより、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)を反応塔(2)に充填された固体触媒(g)に接触させ、より高い沸点を有する化合物(j)とし、(j)と(f)を含む気相(h)を蒸留塔(3)に送り、(f)と(j)を分離することで(j)を反応系外に除去し、(f)を反応槽(1)に循環ライン(8)を通じて連続的又は断続的に戻すことの繰り返しを意味する。断続的に反応槽(1)から気相(d)を除去させる際の温度は、活性水素含有化合物(e)に(f)
を付加させる通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。減圧度は好ましくは0.001〜0.3MPa、更に好ましくは0.01〜0.2MPaである。
【0031】
連続的な気相除去とは、アルキレンオキサイド(f)を反応槽(1)で反応させることと、気相(d)の一部を循環ライン(6)を通じて反応塔(2)に送り、必要に応じて加熱若しくは冷却、及び/又は、加圧若しくは減圧することにより、(c)と反応塔(2)に充填された固体触媒(g)に接触させ、より高い沸点を有する化合物(j)とし、(j)と(f)を含む気相(h)を蒸留塔(3)に送り、(f)と(j)を分離することで(j)を反応系外に除去し、(f)を反応槽(1)に循環ライン(8)を通じて連続的に戻すことの繰り返しを意味する。
【0032】
連続的な気相除去は、必要に応じて加熱及び/又は減圧若しくは加圧して実施する。連続的に気相(d)を反応槽(1)から除去させる際の温度は、活性水素含有化合物(e)に(f)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。減圧度は好ましくは0.001〜0.3MPa、更に好ましくは0.01〜0.2MPaである。
気相(d)を固体触媒(g)に接触させる際の温度は0〜300℃が好ましく、さらに好ましくは50〜200℃である。圧力は0.001〜2.0MPaが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1.0MPaである。
【0033】
図2に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて説明する。
反応槽(1)中の活性水素含有化合物(e)に原料供給ライン(5)を通じてアルキレンオキサイド(f)を投入し付加重合する工程中に、反応槽(1)と反応塔(2)を循環ライン(6)で結ぶことにより、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)と未反応の(f)を含む気相(d)を連続的又は断続的に反応塔(2)に送る。
(2)に充填された固体触媒(g)に(c)を接触させ、より高い沸点を有する化合物(j)に変性させる。(f)と(j)を含有する気相(h)を循環ライン(7)を通じて連続的又は断続的に凝縮装置(4)に送り、気相(h)中から(f)を分離する。反応塔(2)で変性された化合物(j)は凝縮装置(4)内で凝縮させ、気相(h)から分離された(f)の反応槽(1)への循環を停止した際に系外に除去する。分離した(f)は循環ライン(8)を通じて反応槽(1)に戻す。
【0034】
連続的に気相(d)、(h)、及び、気相(h)中から分離したアルキレンオキサイド(f)を反応槽(1)と反応塔(2)、凝縮装置(4)の間で循環させる際の流速は好ましくは、1分間に反応槽(1)の容量の1/10000〜100倍、さらに好ましくは1/1000〜50倍の容積が置換される速度である。反応塔(2)や凝縮装置(4)は必要に応じて2基以上使用してもよく、それぞれを同時又は交互に使用してもよい。
(f)と(c)を含んだ気相を反応塔(2)に送る方法や、(f)と(j)を含んだ気相(h)を凝縮装置(4)に送る方法や、(f)を凝縮装置(4)から反応槽(1)に戻す方法としては圧力差を利用した方法が挙げられ、ダイアフラムポンプや真空ポンプを使用することができるが、その他の方法を用いてもよい。
【0035】
図2の実施態様において、断続的な気相除去とは、アルキレンオキサイド(f)を分割(好ましくは2〜100回)して投入し反応槽(1)で反応させることと、気相(d)を循環ライン(6)を通じて反応塔(2)に送り、必要に応じて加熱若しくは冷却、及び/又は、加圧若しくは減圧することにより、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)を反応塔(2)に充填された固体触媒(g)に接触させ、より高い沸点を有する化合物(j)とし、(j)と(f)を含む気相(h)を凝縮装置(4)に送り
、(f)と(j)を分離することで(j)を反応系外に除去し、(f)を反応槽(1)に循環ライン(8)を通じて連続的又は断続的に戻すことの繰り返しを意味する。断続的に反応槽(1)から気相(d)を除去させる際の温度は、活性水素含有化合物(e)に(f)を付加させる通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。減圧度は好ましくは0.001〜0.3MPa、更に好ましくは0.01〜0.2MPaである。
【0036】
連続的な気相除去とは、アルキレンオキサイド(f)を反応槽(1)で反応させることと、気相(d)の一部を循環ライン(6)を通じて反応塔(2)に送り、必要に応じて加熱若しくは冷却、及び/又は、加圧若しくは減圧することにより、(c)と反応塔(2)に充填された固体触媒(g)に接触させ、より高い沸点を有する化合物(j)とし、(j)と(f)を含む気相(h)を凝縮装置(4)に送り、(f)と(j)を分離することで(j)を反応系外に除去し、(f)を反応槽(1)に循環ライン(8)を通じて連続的又は断続的に戻すことの繰り返しを意味する。
【0037】
連続的な気相除去は、必要に応じて加熱及び/又は減圧若しくは加圧して実施する。連続的に気相(d)を反応槽(1)から除去させる際の温度は、活性水素含有化合物(e)に(f)を付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。減圧度は好ましくは0.001〜0.3MPa、更に好ましくは0.01〜0.2MPaである。
気相(d)を固体触媒(g)に接触させる際の温度は0〜300℃が好ましく、さらに好ましくは50〜200℃である。圧力は0.001〜2.0MPaが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1.0MPaである。
【0038】
図3に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて説明する。
反応槽(1)中の活性水素含有化合物(e)に原料供給ライン(5)を通じてアルキレンオキサイド(f)を投入し付加重合する工程中に、反応槽(1)と反応塔(2)を循環ライン(6)で結ぶことにより、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)と未反応の(f)を含む気相(d)を連続的又は断続的に反応塔(2)に送る。(2)に充填された固体触媒(g)に(c)を接触させ、より高い沸点を有する化合物(j)に変性させる。(f)と(j)を含有する気相(h)を循環ライン(7)を通じて連続的又は断続的に蒸留塔(3−1)に送り、アルキレンオキサイド(f)より高沸点の化合物を分離する。高沸点の化合物以外のものは、更に循環ライン(11)を通じて第2の蒸留塔(3−2)へ送り、アルキレンオキサイド(f)より低沸点の化合物を分離した後、回収ライン(12)を通して、回収されたアルキレンオキサイド(f1)として回収槽(12)に回収する。第1の蒸留塔(3−1)で分離された(f)より高沸点の化合物は、高沸点化合物抜き取りライン(13)を通して廃棄する。第2の蒸留塔(3−2)で分離された(f)より低沸点の化合物は、低沸点化合物抜き取りライン(14)を通して廃棄する。
【0039】
連続的に反応槽(1)から気相(d)を抜き出す速度は副生化合物(c)の発生速度の観点から、1分間に反応槽(1)の容量の1/10000〜100倍、さらに好ましくは1/1000〜50倍の容積が置換される速度である。反応塔(2)や蒸留塔(3){(3−1)及び(3−2)}は必要に応じて2基以上使用してもよく、それぞれを同時又は交互に使用してもよい。
【0040】
蒸留塔(3){(3-1)及び(3-2)}としては、公知の蒸留等が使用でき、棚段式蒸留塔及び充填式蒸留塔を用いるのが好ましく、必要に応じて2基以上を組み合わせて使用してもよい。また、必要に応じて、抽出蒸留等を組み合わせて実施してもよい。蒸留塔(3)が2基以上ある場合は、必要に応じてどちらか片方のみを使用しても良い。
【0041】
気相(d)、(h)を反応塔(2)や蒸留塔(3)に送る方法としては圧力差を利用した方法が挙げられ、真空ポンプやブロアーを使用することができるが、その他の方法を用いてもよい。
【0042】
アルキレンオキサイド(f)を反応槽(1)に送る方法や、回収されたアルキレンオキサイド(f1)を回収槽(12)へ送る方法としては、圧力差を利用した方法が挙げられ、通常用いられる液相ポンプを使用することができるが、その他の方法を用いてもよい。
【0043】
回収されたアルキレンオキサイド(f1)を反応槽(1)へ戻す経路としては、回収ライン(16)を通じて反応槽(1)に直接戻す経路、回収ライン(16)を通じて原料供給ライン(5)に合流させ反応槽(1)へ戻す経路があるが、その他の経路を用いても良い。
【0044】
図3の実施態様において、断続的な気相除去とは、アルキレンオキサイド(f)を分割(好ましくは2〜100回)して投入し反応槽(1)で反応させることと、気相(d)を循環ライン(6)を通じて反応塔(2)に送り、必要に応じて加熱若しくは冷却、及び/又は、加圧若しくは減圧することにより、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)を反応塔(2)に充填された固体触媒(g)に接触させ、より高い沸点を有する化合物(j)とし、(j)と(f)を含む気相(h)を蒸留塔(3)に送り、(f)と(j)を分離することで(j)を反応系外に除去し、分離回収されたアルキレンオキサイド(f1)を回収槽(15)へ回収し、回収されたアルキレンオキサイド(f1)は反応槽(1)に回収ライン(16)を通じて連続的又は断続的に戻すことの繰り返しを意味する。
【0045】
連続的な気相除去とは、アルキレンオキサイド(f)を反応槽(1)で反応させることと、気相(d)の一部を循環ライン(6)を通じて反応塔(2)に送り、必要に応じて加熱若しくは冷却、及び/又は、加圧若しくは減圧することにより、(c)と反応塔(2)に充填された固体触媒(g)に接触させ、より高い沸点を有する化合物(j)とし、(j)と(f)を含む気相(h)を蒸留塔(3)に送り、(f)と(j)を分離することで(j)を反応系外に除去し、分離回収された(f1)を回収槽(15)へ回収し、回収されたアルキレンオキサイド(f1)は反応槽(1)に回収ライン(16)を通じて連続的又は断続的に戻すことの繰り返しを意味する。
【0046】
ルイス酸触媒(a)は付加重合完了後、必要により中和、分解、除去等してもよい。
【0047】
分解方法としては、水及び/又はアルコール化合物、必要によりアルカリ化合物やアミン化合物等の塩基性物質を加える方法がある。アルコール化合物としては前述のアルコール、フェノールから選ばれる1種以上を用いることができる。アルカリ化合物としてはアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属アルコラート(カリウムメチラート、ナトリウムメチラート等)及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうち分解効率の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましい。アミン化合物としては前述したアミノ基含有化合物から選ばれる1種以上を用いることができる。
【0048】
分解に際して、分解効率の観点から、温度は10℃〜180℃が好ましく、さらに好ましくは80〜150℃である。分解は密閉状態で行ってもよく、真空源に接続して排気しながら行ってもよく、あるいは水又はアルコール化合物を連続して添加しながら行ってもよい。添加する水又はアルコールは、液体の状態で添加してもよく、蒸気あるいは固体状態で添加してもよい。水、アルコール化合物の使用量は、分解効率の観点から、付加生成物に対して、0.1〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。アルカリ化合物やアミン化合物の使用量は、分解効率の観点から、付加生成物に対して、0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2重量%である。
【0049】
除去方法としては、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、ハイドロタルサイト系吸着剤(例えば、キョーワード500、キョーワード1000、キョーワード2000等<いずれも協和化学工業社製>)や珪藻土等のろ過助剤(例えば、ラヂオライト600、ラヂオライト800、ラヂオライト900<いずれも昭和化学工業社製>)等を用いることができる。ろ過は、加圧ろ過、減圧ろ過のどちらでもよいが、酸素の混入を防止しやすいので加圧ろ過が好ましい。フィルターの材質は特に限定されない。例えば、紙、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、アクリル、メタアラミド等が挙げられるが紙が好ましい。また、フィルターの保留粒子径は、濾過効率の観点から、0.1〜10μmのものが好ましく。さらに1〜5μmのものが好ましい。
【0050】
上記吸着剤は必要に応じ除去してもよい。除去方法は通常知られているいずれの方法で実施してもよく、必要により、ハイドロタルサイト系吸着剤(例えば、キョーワード500、キョーワード1000、キョーワード2000等<いずれも協和化学工業社製>)や珪藻土等のろ過助剤(例えば、ラヂオライト600、ラヂオライト800、ラヂオライト900<いずれも昭和化学工業社製>)等を用いることができる。ろ過は、加圧ろ過、減圧ろ過のどちらでもよいが、酸素の混入を防止しやすいので加圧ろ過が好ましい。フィルターの材質は特に限定されない。例えば、紙、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、アクリル、メタアラミド等が挙げられるが紙が好ましい。また、フィルターの保留粒子径は、濾過効率の観点から、0.1〜10μmのものが好ましく、さらに1〜5μmのものが好ましい。
【0051】
水分の含有量が高い場合は、続いて、減圧下(100kPa以下)、90〜160℃で脱水することが好ましい。方法としてはバッチ式でもよいし、シャワーリング方式でもよい。
【0052】
いずれの工程においても、酸素不存在下で行うことが好ましく、酸素濃度が好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下で行う。1000ppm以下であるとポリオキシアルキレンアルコールが酸化されにくくその結果着色されにくい。酸素濃度の低減は、ろ過装置中に窒素ガス及びアルゴンガス等の不活性ガスを通入することで実施することが望ましい。
【0053】
本発明の製造方法で得られたポリオキシアルキレンアルコールは、各種用途に用いることができるが、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造するのに好適に用いられる。ここで、ポリオキシアルキレンアルコールとは、1価のポリオキシアルキレンモノオール、又は2価以上のポリオキシアルキレンポリオールをいうものとする。とくに2〜8価のポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
すなわち、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(k)とを、必要により添加剤の存在下反応させて、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造する際、ポリオール成分の少なくとも一部として、ポリオキシアルキレンアルコール(a)を使用する。ポリオキシアルキレンアルコール(a)を使用することには、(a)中でビニルモノマー(n)を重合させて得られる重合体アルコール(m1)及び/又は(a)中にポリマー(r)を分散させた重合体アルコール(m2)を使用することも含まれる。
【0054】
重合体アルコール(m1)は、ポリオキシアルキレンアルコール(a)(とくに2〜8価又はそれ以上のポリオキシアルキレンポリオール)中でビニルモノマー(n)を通常の方法で重合して製造することができる。例えば、(a)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(n)が重合され、得られた(n)の重合体が安定分散されたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書、特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0055】
ラジカル重合開始剤としては、遊離基を生成して重合を開始させるものが使用でき、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーイキサイド及び過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩及び過ホウ酸塩等の無機過酸化物等が挙げられる。なお、これらは2種以上を併用することができる。
【0056】
ビニルモノマー(n)としては、芳香族ビニル単量体(n1)、不飽和ニトリル(n2)、(メタ)アクリル酸エステル(n3)、その他のビニル単量体(n4)、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(n1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロルスチレン等が挙げられる。
(n2)としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられる。
(n3)としては、C、H及びO原子から構成されるもの、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基のCが1〜24)〔例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシアルキル(C2〜5)(メタ)アクリレート〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート〕、及びヒドロキシポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート〔例えば、アルキレン基のC2〜4、ポリオキシアルキレン鎖の数平均分子量200〜1000〕が挙げられる。
【0057】
(n4)としては、エチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体、具体的には(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド等;脂肪族もしくは脂環式炭化水素単量体、具体的にはアルケン(エチレン、プロピレン、ノルボルネン等)、アルカジエン(ブタジエン等)等;フッ素系ビニル単量体、具体的には、フッ素含有(メタ)アクリレート(パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート等)等;塩素系ビニル単量体、具体的には塩化ビニリデン等;上記以外の窒素含有ビニル単量体、具体的には窒素含有(メタ)アクリレート(ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート等)等;及びビニル変性シリコーン等が挙げられる。
これら(n)中で好ましいものは、(n1)及び(n2)であり、とくにスチレン及び/又はアクリロニトリルである。
【0058】
ビニルモノマー(n)中の、(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)の重量比率は、要求されるポリウレタンの物性等に応じて変えることができ、特に限定されていないが、一例を示すと次の通りである。
(n1)及び/又は(n2)は、好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%である。(n1)と(n2)の重量比はとくに限定されないが、好ましくは0/100〜80/20である。(n3)は、好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜20重量%である。(n4)は、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。
また、(n)中に少量(好ましくは0.05〜1重量%)の2官能以上(好ましくは2〜8官能)の多官能ビニルモノマー(n5)を用いることにより、重合体の強度をさらに向上させることができる。(n5)としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレン(アルキレン基のC2〜8、重合度:2〜10)グリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0059】
重合体アルコール(m1)中の(n)の重合体の含量は、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは、下限は15重量%、上限は55重量%である。重合体の含量が10重量%以上では十分なフォーム硬さが発現でき、60重量%以下では重合体アルコール(m1)の粘度が低くなり取扱いが容易である。
【0060】
重合体アルコール(m2)は、ポリオキシアルキレンアルコール(a)(とくに2〜8価又はそれ以上のポリオキシアルキレンポリオール)中にポリマー(r)を平均粒子系0.1μm〜100μmの範囲で機械的に分散させたものである。(a)中に分散させるポリマー(r)は工業的に生産されているものであれば制限なく、例えばメラミン樹脂、エステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂を用いることができるがこれらに制限されない。(a)中にポリマー(r)を分散させる手法は公知の手法を用いることができる。
【0061】
重合体アルコール(m2)中のポリマー(r)の含量は、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは、下限は15重量%、上限は55重量%である。重合体の含量が10重量%以上では十分なフォーム硬さが発現でき、60重量%以下では重合体アルコール(m2)の粘度が低くなり取扱いが容易である。
【0062】
上記有機ポリイソシアネート(k)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、又はオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0063】
芳香族ポリイソシアネートとしては、C(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、C6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、C6〜10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0064】
脂環式ポリイソシアネートとしては、C6〜16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、C8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
【0065】
本発明のポリウレタンの製造方法において、必要により、以下に述べる添加剤の存在下で反応させてもよい。
ポリウレタンフォームを製造する場合には、発泡剤を使用する。
発泡剤としては、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、液化炭酸ガス等が用いられ、2種以上を併用してもよい。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素の具体例としては、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123及びHCFC−141b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HFC−245fa及びHFC−365mfc)等が挙げられる。
低沸点炭化水素は、沸点が通常−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタンが挙げられる。
【0066】
ポリオール成分100重量部に対する発泡剤の使用量は、水は、好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。水素原子含有ハロゲン化炭化水素は、好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは10〜45重量部である。低沸点炭化水素は、好ましくは40重量部以下、さらに好ましくは10〜30重量部である。液化炭酸ガスは、好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは1〜25重量部である。
【0067】
さらに例えば、整泡剤(ジメチルシロキサン系、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系等)、ウレタン化触媒(3級アミン系触媒、例えばトリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7等、及び/又は金属触媒、例えばオクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸鉛等)、着色剤(染料、顔料)、可塑剤(フタル酸エステル、アジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性もしくは熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、難燃剤(リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステル等)、老化防止剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系等)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系等)等公知の添加剤の存在下で反応させることができる。
【0068】
ポリオール成分100重量部に対するこれらの添加剤の使用量に関しては、整泡剤は、好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。ウレタン化触媒は、好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。着色剤は、好ましくは1重量部以下である。可塑剤は、好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下である。有機充填剤は、好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは30重量部以下である。難燃剤は、好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは5〜20重量部である。老化防止剤は、好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。抗酸化剤は、好ましくは1重量部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。添加剤の合計使用量は、好ましくは50重量部以下、さらに好ましくは0.2〜30重量部である。
【0069】
本発明のポリウレタンの製造方法におけるイソシアネート指数(NCO INDEX)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、好ましくは80〜150、さらに好ましくは85〜135、とくに好ましくは90〜130である。
【0070】
また、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(k)を反応させる条件は、通常用いられる公知の条件でよい。
一例を示せば、まず、ポリオール成分及び必要により添加剤を所定量混合する。次いで、ポリウレタン低圧もしくは高圧注入発泡機又は撹拌機を使用して、この混合物とポリイソシアネートとを急速混合する。得られた混合液を密閉型もしくは開放型のモールド(金属製又は樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してポリウレタン樹脂を得る。
【実施例】
【0071】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
<臭気の評価>方法
本製造方法で得られたポリオキシアルキレンアルコール(a)5gを容量25mlの容器に入れ30℃で30分密閉後、容器を開封し30cm離れた場所から手で仰ぐようにして人がにおいを嗅ぎ、以下の基準で臭気の評価を行う。
4点:ほとんど臭わない
3点:かすかに臭う
2点:やや不快感のある臭いがする。
1点:不快な臭いがする。
【0073】
<実施例1>
図1に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400g充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、直径5cm、長さ30cmを2基使用)、及び、蒸留塔(3)(理論段数15段、ステンレス製円筒管、直径4cm、長さ2m)を、ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブと反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いてオートクレーブの気相を1〜10L/minの流量で、オートクレーブ(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→オートクレーブ(1)の順に循環させた。反応塔(2)を80℃、0.3〜0.5MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)(40℃)にてPOと分離する事で系外に除去した。
分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(9)から抜き取った。オートクレーブ内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、液状のグリセリンPO付加物(a−1)を得た。反応時間は合計で9時間であった。(a−1)の水酸基価は55.7、臭気評価は4であった。
【0074】
<実施例2>
図1に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400g充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、直径5cm、長さ30cmを2基使用)、及び、蒸留塔(3)(理論段数15段、ステンレス製円筒管、直径4cm、長さ2m)を、ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)にグリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gと三フッ化ホウ素0.05gを仕込んだ後、オートクレーブと反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いてオートクレーブの気相を1〜10L/minの流量で、オートクレーブ(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→オートクレーブ(1)の順に循環させた。反応塔(2)を80℃、0.3〜0.5MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)(40℃)にてPOと分離する事で系外に除去した。分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(9)から抜き取った。オートクレーブ内液量が2000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、液状のグリセリンPO付加物(a−2)を得た。反応時間は合計で9時間であった。(a−2)の水酸基価は55.5、臭気評価は4であった。
【0075】
<実施例3>
図3に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウムを500g充填した外部ヒーターを取り付けた2本の反応塔(21)及び(22)を反応塔(2)として、循環ライン(6)を通じて並列に接続した。循環ライン(6)には、ダイアフラム型真空ポンプを設置した。さらに、反応塔(21)及び(22)には、POより高沸点の副生低分子化合物を除くための蒸留塔(3−1)を循環ライン(7)を通じて接続し、さらにPOより低沸点の副生低分子化合物を除くための蒸留塔(3−2)を循環ライン(11)を通じて直列に接続した。蒸留塔(3−2)とステンレス製の回収槽(15)を回収ライン(12)を通じて接続した。回収槽(15)と原料供給ライン(5)を、回収ライン(16)を通じて接続した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gとを仕込んだ後、オートクレーブと吸着塔(21)及び循環ライン(6)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に投入することと、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)の気相を10L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(31)へと連続的に送気し、蒸留塔(3−1)へ送られた気相中からPOよりも高沸点の化合物を高沸点化合物抜き取りライン(13)から除去し、さらに循環ライン(11)を通じて蒸留塔(3−2)へ送り、低沸点の化合物を低沸点化合物抜き取りライン(14)から除去し、回収ライン(12)を通じて蒸留したPOを回収槽(15)に回収し、回収したPOを回収ライン(16)及び原料供給ライン(5)を通じて反応槽(1)へ連続的に戻すことを同時に行った。反応塔(2)は80℃、0.3〜0.5MPaになるように制御した。
オートクレーブ内の液量が2000mlとなるまでPOを投入した後、70℃で5時間熟成し、液状のグリセリンPO付加物(a−3)を得た。(a−3)の水酸基価は56.0、臭気評価は4、反応時間は合計で10時間であった。
【0076】
<実施例4>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gの代わりにグリセリンのPO付加物(水酸基価280)を240g用いる以外は実施例3と同様の方法で、液状のグリセリンPO付加物(a−4)を得た。(a−4)の水酸基価は33.5、臭気評価は4、反応時間は合計で12時間であった。
【0077】
<実施例5>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gの代わりにグリセリンのPO付加物(水酸基価280)を200g用いる以外は実施例3と同様の方法で、液状のグリセリンPO付加物(a−5)を得た。(a−5)の水酸基価は28.1、臭気評価は4、反応時間は合計で15時間であった。
【0078】
<実施例6>
実施例3と同様の装置にて、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gとをオートクレーブに仕込んだ後、原料供給ライン(5)からPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は20回に分けて実施し、1回のPOの投入は10分間でPO150gを投入した後、循環ライン(6)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、15分間低沸点の揮発成分を留去する工程とし、この工程を20回繰り返し実施した。POをオートクレーブ内液量が2000mlとなるまで投入した後、70℃で5時間熟成し、液状のグリセリンPO付加物(a−6)を得た。(a−6)の水酸基価は56.0、臭気評価は3、反応時間は合計(POの投入開始から熟成終了まで)で13.3時間であった。
【0079】
<実施例7>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gの代わりにグリセリンのPO付加物(水酸基価280)を240g用いる以外は実施例6と同様の方法で、液状のグリセリンPO付加物(a−7)を得た。(a−7)の水酸基価は33.7、臭気評価は3、反応時間は合計で15時間であった。
【0080】
<実施例8>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gの代わりにグリセリンのPO付加物(水酸基価280)を200g用いる以外は実施例6と同様の方法で、液状のグリセリンPO付加物(a−8)を得た。水酸基価は28.4、臭気評価は3、反応時間は合計で16.5時間であった。
【0081】
<比較例1>
図4に示した態様において、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)、減圧ライン(10)付きのステンレス製オートクレーブを反応槽(1)とし、(1)にグリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gとを仕込み、原料供給ライン(5)からオートクレーブ内液量が2050mlとなるまで、反応温度が50〜60℃を保つように制御しながらPOを投入し、更に70℃で4時間熟成し、液状のグリセリンPO付加物(a’−1)を得た。反応時間は合計で9時間であった。(a’−1)の水酸基価は56.3、臭気評価は1であった。
【0082】
<比較例2>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gの代わりにグリセリンのPO付加物(水酸基価280)を240g用いる以外は比較例1と同様の方法で、液状のグリセリンPO付加物(a’−2)を得た。水酸基価は33.6、臭気評価は1、反応時間は合計で11時間であった。
【0083】
<比較例3>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gの代わりにグリセリンのPO付加物(水酸基価280)を200g用いる以外は比較例1と同様の方法で、液状のグリセリンPO付加物(a’−3)を得た。水酸基価は28.3、臭気評価は1、反応時間は合計で13.5時間であった。
【0084】
<比較例4>
図4に示した態様において、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)、減圧ライン(10)付きのステンレス製オートクレーブを反応槽(1)とし、(1)にグリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gとを仕込んだ後、原料供給ライン(5)からオートクレーブ内液量が2000mlとなるまで、反応温度が50〜60℃を保つように投入した。POは5時間かけて投入した後、70℃で5時間熟成した。水200mlを加えた後、減圧ライン(10)を通じて105〜110℃に制御しながら低沸点副生物を常圧留去した後、さらに3時間、温度を130℃まで上げ、圧力を50torr以下に保って脱水し、液状のグリセリンPO付加物(a’−4)を得た。反応時間は合計で14時間であった。(a’−4)の水酸基価は55.9、臭気評価は3であった。
【0085】
<比較例5>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gの代わりにグリセリンのPO付加物(水酸基価280)を240g用いる以外は比較例4と同様の方法で、液状のグリセリンPO付加物(a’−5)を得た。(a’−5)の水酸基価は33.1、臭気評価は3、反応時間は合計で16時間であった。
【0086】
<比較例6>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)400gの代わりにグリセリンのPO付加物(水酸基価280)を200g用いる以外は比較例4と同様の方法で、液状のグリセリンPO付加物(a’−6)を得た。(a’−6)の水酸基価は27.9、臭気評価は3、反応時間は合計で18.5時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明のポリオキシアルキレンアルコールの製造方法により、低沸点揮発成分を除去する後処理工程が不要となり生産効率が向上し、アルコールの臭気が改善される。得られたポリオキシアルキレンアルコールは、ポリイソシアネートと反応させて得られるポリウレタン樹脂(ポリウレタンフォームを含む)の原料として、特に有用である。
【符号の説明】
【0088】
1 反応槽
2 反応塔
3 蒸留塔
3−1 蒸留塔
3−2 蒸留塔
4 凝縮装置
5 原料供給ライン
6 循環ライン
7 循環ライン
8 循環ライン
9 釜下ライン
10 減圧ライン
11 循環ライン
12 回収ライン
13 高沸点化合物抜き取りライン
14 低沸点化合物抜き取りライン
15 回収槽
16 回収ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(A)〜(C)を含むポリオキシアルキレンアルコール(a)の製造方法。
工程(A):反応槽(1)中で、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生化合物(c)を含む気相(d)を連続的又は断続的に反応槽(1)の系外に除去しながら、ルイス酸触媒(b)の存在下、活性水素含有化合物(e)にアルキレンオキサイド(f)を付加重合させてポリオキシアルキレンアルコール(a)を製造する工程。
工程(B):反応槽(1)の系外に除去した気相(d)を固体触媒(g)を充填した反応塔(2)に送り、固体触媒(g)と接触させ気相(h)を得る工程。
工程(C):気相(h)からアルキレンオキサイド(f)を蒸留により分離し反応槽(1)へ供給する工程。
【請求項2】
固体触媒(g)が、金属、金属酸化物、金属炭酸化物、金属硫化物、複合酸化物、合金、ヘテロポリ酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(B)において、気相(d)を固体触媒(g)に接触させることにより、アルキレンオキサイド(f)を除く副生化合物(c)を反応させてより高い沸点を有する化合物(j)に変性する請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(C)において、蒸留で分離したアルキレンオキサイド(f)を連続的又は断続的に反応槽(1)へ供給する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(k)とを反応させて、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られたポリオキシアルキレンアルコール(a)であって価数が2以上のポリオールを用いる発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−222571(P2010−222571A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38935(P2010−38935)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】