説明

ポリオレフィン触媒のための電子供与体としての二環式有機ケイ素化合物

重合触媒系のための電子供与体として使用され得る環式有機ケイ素化合物、環式有機ケイ素化合物を電子供与体として使用する重合触媒系、重合触媒系を作製する方法およびポリオレフィンを生成する重合プロセスが開示されている。有機ケイ素化合物は、ポリオレフィンの生成のための重合触媒系において電子供与体として有用であって、式(I)によって表される:式中、Q、Q、QおよびQは、同一であってよくまたは異なっていてよく、それぞれ、N、O、S、Si、BおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子である。R、R、RおよびRは、同一であってよくまたは異なっていてよく、それぞれ、Q、Q、QおよびQそれぞれに対する炭化水素系置換基である。下付き文字i、j、mおよびnは、独立して0−3である。RおよびRは、同一であってよくまたは異なっていてよく、それぞれ、2個のヘテロ原子QおよびQならびにQおよびQの間のそれぞれの主鎖長が1−8個の原子である架橋基である。架橋基は、脂肪族二価基、脂環式二価基および芳香族二価基からなる群から選択される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合触媒系のための電子供与体として使用され得る環式有機ケイ素化合物、環式有機ケイ素化合物を電子供与体として使用する重合触媒系、重合触媒系を作製する方法および重合触媒系を使用する、幅広くなった分子量分布を有するポリオレフィン、特にポリプロピレンを生成する重合プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン重合のためのチーグラーナッタ触媒系は、当該分野において周知である。一般的に、これらの系は、固体チーグラーナッタ触媒成分および共触媒成分、通常は有機アルミニウム化合物から構成されている。α−オレフィンの重合のための触媒系の活性および立体特異性を増加させるために、電子供与性化合物が、(1)固体チーグラーナッタ触媒成分における内部電子供与体としてならびに/または(2)固体チーグラーナッタ触媒成分および共触媒成分と併せて用いられる外部電子供与体として広く用いられてきた。有機ケイ素化合物は、外部電子供与体として一般的に用いられている。
【0003】
固体チーグラーナッタ触媒成分の調製の間にかかる成分に組み込まれる一般的な内部電子供与体化合物として、エーテル、ケトン、アミン、アルコール、フェノール、ホスフィンおよびシランが挙げられる。かかる内部電子供与体化合物および触媒系の成分としてのこれらの使用の例は、米国特許第4,107,414号;同第4,186,107号;同第4,226,963号;同第4,347,160号;同第4,382,019号;同第4,435,550号;同第4,465,782号;同第4,522,930号;同第4,530,912号;同第4,532,313号;同第4,560,671号;同第4,657,882号;同第5,208,302号;同第5,902,765号;同第5,948,872号;同第6,121,483号;および同第6,770,586号に記載されている。
【0004】
プロピレンまたはアイソタクチック性であり得る他のオレフィンに関与する重合のためのチーグラーナッタ型触媒の利用において、外部電子供与体を利用することが望ましい場合があり、内部電子供与体の使用に加えられても加えられなくてもよい。外部電子供与体は、固体触媒の表面に存在する非立体規則性の活性部位を選択的に汚染するまたは転換することによって、得られるポリマー生成物のアイソタクチック性、すなわち、立体規則性を改善する立体選択性制御剤として作用することが当該分野において公知である。また、重合活性ならびに得られるポリマーの立体規則性および分子量分布は、使用される外部電子供与体の分子構造に依存することも周知である。したがって、重合プロセスおよび得られるポリマーの特性を改善するために、種々の外部電子供与体、特に、種々の有機シラン化合物を開発する努力がなされており、これを開発することが望まれていた。当該分野において公知であるかかる外部電子供与体の例は、Si−OCOR結合、Si−OR結合またはSi−NR結合を含有し、ケイ素を中心原子として有し、Rが、一般的には、1−20個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキルまたはシクロアルキルである有機ケイ素化合物である。かかる化合物は、米国特許第4,472,524号;同第4,473,660号;同第4,560,671号;同第4,581,342号;同第4,657,882号;同第5,106,807号;同第5,407,883号;同第5,684,173号;同第6,228,961号;同第6,362,124号;同第6,552,136号;同第6,689,849号;同第7,009,015号;および同第7,244,794号に記載されている。
【0005】
WO03014167は、触媒系において外部電子供与体としてヘテロ原子を含有する環式有機ケイ素化合物を用いて、より高いメルトフローレート(MFR)を有するポリプロピレンを調製している。ケイ素は環系に組み入れられており、ヘテロ原子が1個だけ存在している。96%の純度を有する有機シランGを外部電子供与体として用いることによって調製されたプロピレンポリマーは、狭い分子量分布を有すると記述されている。他の純粋な有機シラン(純度>95%)を外部電子供与体として用いて調製されたプロピレンポリマーに関する分子量分布データは提示されていない。
【0006】
ある一定の適用には、より広い分子量分布を有するポリマーが望ましい。かかるポリマーは、高い剪断速度において、より低い溶融粘度を有する。高い剪断速度によって操作する多くのポリマー製造プロセス、例えば、射出成形、配向フィルムおよび熱接着繊維は、スループット率を改善することおよびエネルギーコストを低減することにより、より低い粘度の生成物の利益を享受することができる。曲げ弾性率によって測定される、より高い剛性を有する生成物は、製造される部分が、生成物の特性を維持するために必要とされる材料がほとんどないようにダウンゲージされ得るため、射出成形され押し出されるフィルム生成物に重要である。幅広い分子量分布は、ポリマー材料の高い剛性を達成する重要な寄与因子の1つである。したがって、より広い分子量分布を有するポリマーを得るために重合触媒系を適合させることが有利であり得る。
【0007】
JP−A−63−245408、JP−A−2−232207およびJP−A−4−370103に、複数の重合容器においてプロピレンを重合することによりまたは多段階重合により得られる広い分子量分布を有するポリマーの調製のための方法が記載されている。しかし、開示されている操作は、低い生産効率でありながら複雑であり、ポリマーの構造および生成物の質は制御するのが困難である。
【0008】
特定の種類の外部電子供与体系の利用を通じてポリマーの分子量分布を幅広くすることを介して樹脂の処理性/押出特性を向上させるために重合触媒系を適合させる継続的な努力がなされてきた。米国特許第6,376,628号は、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン化合物を教示している。米国特許第6,800,703号は、幅広い分子量分布を有するポリプロピレンを生成するための外部電子供与体としてのビニルトリメトキシシラン化合物またはジシクロヘキシルジメトキシシラン化合物を教示している。米国特許出願公開第20060252894号は、種々のシラン化合物を含む混合供与体系を用いて、幅広くなった分子量分布を有するポリプロピレンを生成することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,107,414号明細書
【特許文献2】米国特許第4,186,107号明細書
【特許文献3】米国特許第4,226,963号明細書
【特許文献4】米国特許第4,347,160号明細書
【特許文献5】米国特許第4,382,019号明細書
【特許文献6】米国特許第4,435,550号明細書
【特許文献7】米国特許第4,465,782号明細書
【特許文献8】米国特許第4,522,930号明細書
【特許文献9】米国特許第4,530,912号明細書
【特許文献10】米国特許第4,532,313号明細書
【特許文献11】米国特許第4,560,671号明細書
【特許文献12】米国特許第4,657,882号明細書
【特許文献13】米国特許第5,208,302号明細書
【特許文献14】米国特許第5,902,765号明細書
【特許文献15】米国特許第5,948,872号明細書
【特許文献16】米国特許第6,121,483号明細書
【特許文献17】米国特許第6,770,586号明細書
【特許文献18】米国特許第4,472,524号明細書
【特許文献19】米国特許第4,473,660号明細書
【特許文献20】米国特許第4,581,342号明細書
【特許文献21】米国特許第5,106,807号明細書
【特許文献22】米国特許第5,407,883号明細書
【特許文献23】米国特許第5,684,173号明細書
【特許文献24】米国特許第6,228,961号明細書
【特許文献25】米国特許第6,362,124号明細書
【特許文献26】米国特許第6,552,136号明細書
【特許文献27】米国特許第6,689,849号明細書
【特許文献28】米国特許第7,009,015号明細書
【特許文献29】米国特許第7,244,794号明細書
【特許文献30】国際公開第03014167号
【特許文献31】特開昭63−245408号公報
【特許文献32】特開平2−232207号公報
【特許文献33】特開平4−370103号公報
【特許文献34】米国特許第6,376,628号明細書
【特許文献35】米国特許第6,800,703号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2006/0252894号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
幅広くなった分子量分布を有するポリオレフィン、特に、ポリプロピレンを生成するのに用いられ得る触媒系を開発することが継続して必要である。幅広くなった分子量分布に加えて、所望の触媒系は、良好な重合活性および水素反応も付与するべきである。さらに、触媒系は、最終使用者の適用要求に基づいて、得られるポリマーのアイソタクチック性を制御するための定常的な幅広い操作ウィンドウも付与するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、重合触媒系のための電子供与体として使用され得る環式有機ケイ素化合物、環式有機ケイ素化合物を電子供与体として使用する重合触媒系、重合触媒系を作製する方法および重合触媒系を使用する、幅広くなった分子量分布を有するポリオレフィン、特にポリプロピレンを生成する重合プロセスに関する。
【0012】
これらの種々の態様によると、本発明は、固体チーグラーナッタ型触媒成分、共触媒成分および式:
【0013】
【化1】

[式中、Q、Q、QおよびQは、同一であってよくまたは異なっていてよく、それぞれ、N、O、S、Si、B、Pからなる群から選択されるヘテロ原子であり;R、R、RおよびRは、同一であってよくまたは異なっていてよく、それぞれ、Q、Q、QおよびQそれぞれに対する炭化水素系置換基であり;i、j、mおよびnは、独立して0−3であり;RおよびRは、同一であってよくまたは異なっていてよく、それぞれ、これらの2個のそれぞれのヘテロ原子QおよびQならびにQおよびQの間のそれぞれの主鎖長が1−8個の原子である架橋基であり、上記架橋基の主鎖は、脂肪族基、脂環式基および芳香族基からなる群から独立して選択される。]
の少なくとも1種の環式有機ケイ素化合物を含む電子供与体成分を含む、α−オレフィンの重合または共重合のための触媒系に関する。本発明はまた、上記式の環式有機ケイ素化合物の化合物を含有する組成物にも関する。これらの種々の態様によると、本発明はまた、上記式の環式有機ケイ素化合物の存在下でα−オレフィンを重合することを含む、α−オレフィンを重合する方法にも関する。
【0014】
本発明の特徴および利点は、当業者に容易に明らかである。多数の変更が当業者によってなされ得るが、かかる変更は、本発明の精神の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施例1Aの手順にしたがって得られた生成物の質量スペクトルを示す図である。
【図2】図2は、実施例1Aの手順にしたがって得られた生成物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】図3は、実施例9Bおよび比較例1の手順にしたがって得られた生成物のGPCクロマトグラフを示す図である。
【図4】図4は、実施例17および比較例2の手順にしたがって得られた生成物のGPCクロマトグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明は、重合触媒系のための電子供与体として使用され得る環式有機ケイ素化合物、環式有機ケイ素化合物を電子供与体として使用する重合触媒系、重合触媒系を作製する方法および重合触媒系を使用する、幅広くなった分子量分布を有するポリオレフィン、特にポリプロピレンを生成する重合プロセスに関する。
【0017】
種々の実施形態によると、ポリオレフィン、特に、ポリプロピレンの生成のための重合触媒系において電子供与体として有用である有機ケイ素化合物のクラスが開示されている。これらの有機ケイ素化合物は、内部電子供与体または外部電子供与体のいずれかとして用いられ得る。好ましくは、これらの有機ケイ素化合物は、外部電子供与体として用いられる。本発明の環式有機ケイ素化合物を使用する重合触媒系は、内部電子供与体を有しても、外部電子供与体を有しても、または内部電子供与体および外部電子供与体の両方を有してもよい。
【0018】
本発明の有機ケイ素化合物は、触媒系の電子供与体成分における単一の構成成分として単独で用いられても、または触媒系の電子供与体成分として1種または複数の他の化合物と組み合わせて用いられてもよい。1種を超える化合物が電子供与体成分として用いられるとき、構成成分のうち1種または複数が、本発明の有機ケイ素化合物であってよい。
【0019】
重合触媒系における電子供与体として用いられ得る本発明の有機ケイ素化合物は、式1によって表される:
【0020】
【化2】

、Q、QおよびQは、同一であってよくまたは異なっていてよく、それぞれ、N、O、S、Si、BおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子である。本発明の好ましい実施形態において、式1中の上記QおよびQは、同一であってよくまたは異なっていてよく、N、O、SiまたはBから選択される。本発明の好ましい実施形態において、式1中の上記QおよびQは、同一であってよくまたは異なっていてよく、NまたはOから選択される。
【0021】
、R、RおよびRは、同一であってよくまたは異なっていてよく、それぞれ、Q、Q、QおよびQそれぞれに対する炭化水素系置換基である。下付き文字i、j、mおよびnは、独立して0−3であり、これらは、この開示内容の利益を有する当業者は認識しているが、Q、Q、QおよびQの原子価状態に依存する。R基、R基、R基およびR基の長さおよび構造は、一般に限定されない。本発明の好ましい実施形態において、上記RおよびRは、小さな基、例えば、水素、メチルまたはエチルである。本発明の好ましい実施形態において、上記RおよびRの少なくとも一方は、より大きな基、例えば、イソ−プロピル、イソ−ブチルおよびt−ブチルである。
【0022】
およびRは、同一であってよくまたは異なっていてよく、それぞれ、2個のヘテロ原子QおよびQならびにQおよびQの間のそれぞれの主鎖長が1−8個の原子である架橋基である。この文脈における「主鎖長」は、2個のヘテロ原子QおよびQならびにQおよびQの間にそれぞれ直接連結されている原子を称する。例えば、−CH−または−CH−CH−が架橋基であるとき、結合している主鎖長は、2個のヘテロ原子の間にて直接連結を与える炭素原子を参照して、それぞれ、1個および2個の原子である。同様に、架橋基が、イソ−構造のCHCHCHを有するとき、結合している主鎖長も2個の原子である。
【0023】
架橋基の主鎖は、脂肪族基、脂環式基および芳香族基からなる群から選択される。好ましくは、架橋基の主鎖は、不飽和を有するまたは有さない脂肪族基からなる群から選択される。架橋基は、主鎖から延びている1個以上のC−C20置換基(または側鎖)を有していてよい。置換基は、分枝状であっても線状であってもよく、飽和されていても飽和されていなくてもよい。同様に、置換基は、脂肪族基、脂環式基および/または芳香族基を含んでいてよい。
【0024】
、R、R、Rならびに架橋基Rおよび架橋基R(これらのいずれの置換基も含む。)の1個以上の炭素原子および/または水素原子は、N、O、S、Si、B、Pおよびハロゲン原子からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられていてよい。
【0025】
本発明の種々の実施形態において、上記R、R、R、R、架橋基Rおよび架橋基Rの2個以上が連結して、1個以上の飽和または不飽和の単環式環または多環式環を形成していてよい。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、式1中の上記RおよびRの一方または両方は、同一であってよくまたは異なっていてよく、2個のヘテロ原子QおよびQまたはQおよびQの間のそれぞれの主鎖長が2−4個の原子である架橋基である。
【0027】
式1の好適な環構造の有機ケイ素化合物の例として、限定されないが:
【0028】
【化3】


が挙げられる。
【0029】
上記R、R、R、R、架橋基Rおよび架橋基Rの2個以上が連結して1個以上の飽和または不飽和の単環式環または多環式環を形成している式1の好適な環構造の有機ケイ素化合物の例として、限定されないが:
【0030】
【化4】

が挙げられる。
【0031】
本発明の有機ケイ素化合物は、チーグラーナッタ型触媒系における成分として用いられる。本発明の有機ケイ素化合物を包含していることを除いて、本発明の種々の実施形態にしたがって使用され得るチーグラーナッタ型触媒系およびかかる触媒系を作製するための方法は、一般に限定されない。本発明にしたがって用いられ得る典型的な許容されるチーグラーナッタ型触媒系は、(a)固体チーグラーナッタ型触媒成分および(b)共触媒成分を含む。本発明の種々の実施形態によると、本発明による少なくとも1種の有機ケイ素化合物は、チーグラーナッタ型触媒系における電子供与体として用いられる。本明細書において先に開示されているように、これらの有機ケイ素化合物は、内部電子供与体または外部電子供与体のいずれかとして用いられてよい。好ましくは、これらの有機ケイ素化合物は、(c)外部電子供与体として用いられる。
【0032】
好ましい固体チーグラーナッタ型触媒成分(a)として、少なくともTi−ハロゲン結合を有するチタン化合物および無水二ハロゲン化マグネシウム支持体に支持された内部電子供与体化合物を含む固体触媒成分が挙げられる。かかる好ましい固体チーグラーナッタ型触媒成分(a)として、四ハロゲン化チタンを含む固体触媒成分が挙げられる。好ましい四ハロゲン化チタンは、TiClである。ハロゲン化アルコキシが用いられてもよい。
【0033】
固体チーグラーナッタ型触媒成分(a)を調製するのに許容される内部電子供与体化合物は、一般に限定されず、該化合物として、限定されないが、芳香族酸のアルキルエステル、アリールエステルおよびシクロアルキルエステル、特に、安息香酸およびフタル酸ならびにこれらの誘導体のアルキルエステルが挙げられる。かかる化合物の例として、安息香酸エチル、安息香酸n−ブチル、p−トルイル酸メチル、p−メトキシ安息香酸メチルおよびフタル酸ジイソブチルが挙げられる。アルキルエーテルまたはアルキルアリールエーテル、ケトン、モノ−またはポリアミン、アルデヒドならびにP−化合物、例えばホスフィンおよびホスホルアミドを含めた他の一般的な内部電子供与体も用いられ得る。最終的に、本発明の有機ケイ素化合物はまた、内部電子供与体として使用されてもよい。
【0034】
固体チーグラーナッタ型触媒成分(a)の支持体を形成している許容される無水二ハロゲン化マグネシウムは、当該分野において周知である、活性形態の二ハロゲン化マグネシウムである。かかる二ハロゲン化マグネシウムは、予備活性化されていてもよく、チタン化の間にインサイチュにて活性化されてもよく、マグネシウム化合物からインサイチュにて形成されてもよく、好適なハロゲン含有遷移金属化合物によって処理され次いで活性化されるとき、二ハロゲン化マグネシウムを形成することが可能である。好ましい二ハロゲン化マグネシウムは、二塩化マグネシウムおよび二臭素化マグネシウムである。二ハロゲン化物の含水量は、一般に1重量%未満である。
【0035】
固体チーグラーナッタ型触媒成分(a)は、種々の方法によって作製され得る。1種のかかる方法は、生成物が20m/gより高い表面積を示すまで二ハロゲン化マグネシウムおよび内部電子供与体化合物を共粉砕することならびにその後、粉砕された生成物をTi化合物と反応させることからなる。固体チーグラーナッタ型触媒成分(a)を調製する他の方法は、米国特許第4,220,554号;同第4,294,721号;同第4,315,835号;同第4,330,649号;同第4,439,540号;同第4,816,433号;および同第4,978,648号に開示されている。これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
典型的な固体チーグラーナッタ型触媒成分(a)において、二ハロゲン化マグネシウムとハロゲン化されたチタン化合物との間のモル比は、1から500の間であり、上記ハロゲン化されたチタン化合物と内部電子供与体との間のモル比は、0.1から50の間である。
【0037】
好ましい共触媒成分(b)として、アルミニウムアルキル化合物が挙げられる。許容されるアルミニウムアルキル化合物として、トリアルキルアルミニウム、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリイソプロピルアルミニウムが挙げられる。他の許容されるアルミニウムアルキル化合物として、ジアルキル水素化アルミニウム、例えば、ジエチル水素化アルミニウムが挙げられる。他の許容される共触媒成分(b)として、ヘテロ原子を通して互いに連結されている2個以上のアルミニウム原子を含有する化合物、例えば:
(CAl−O−Al(C
(CAl−N(C)−Al(C;および
(CAl−O−SO−O−Al(C
が挙げられる。
【0038】
本発明にしたがって用いられ得るオレフィン重合プロセスは、一般に限定されない。例えば、触媒成分(a)、(b)および(c)は、使用されるとき、重合反応器に同時に添加されても順次添加されてもよい。成分(b)および(c)を最初に混合し、次いで得られた混合物を成分(a)と、重合の前に接触させることが好ましい。
【0039】
オレフィンモノマーは、チーグラーナッタ型触媒系の重合反応器への添加の前に、添加と共にまたは添加の後に添加され得る。チーグラーナッタ型触媒系の添加後にオレフィンモノマーを添加することが好ましい。
【0040】
ポリマーの分子量は、公知の方法によって、好ましくは水素を用いることによって制御され得る。本発明によって生成される触媒について、分子量は、重合が比較的低い温度、例えば、約30℃から約105℃において実施されるとき、水素によって好適に制御され得る。この分子量制御は、メルトフローレート(MFR)の測定可能な正の変化によって証明され得る。
【0041】
重合反応は、スラリープロセス、液相プロセスもしくは気相プロセスにおいてまたは別個の反応器を用いた液相プロセスおよび気相プロセスの組み合わせにおいて実施され得、これらは全て、バッチ式によってまたは連続式のいずれかで行われてもよい。ポリオレフィンは、従来的に公知の方法にしたがって、気相プロセスから直接得られても、スラリープロセスからの溶媒の単離および回収によって得られてもよい。
【0042】
本発明の方法によるポリオレフィンの生成のための重合条件、例えば、重合温度、重合時間、重合圧、モノマー濃度などについての特定の制限はない。重合温度は、一般に40−90℃であり、重合圧は、一般に1気圧以上である。
【0043】
本発明のチーグラーナッタ型触媒系は、予備重合として当該分野において周知のように、触媒の重量の0.5から3倍の量のポリマーを生成するのに十分な時間にわたって60℃以下の温度にて炭化水素溶媒において少量のオレフィンモノマーと予備接触されてよい。かかる予備重合が液体モノマーまたは気体モノマーにおいて行われるとき、得られるポリマーの量は、一般に、触媒重量の最大で1000倍である。
【0044】
本発明のチーグラーナッタ型触媒系は、限定されないがα−オレフィンの単独重合および共重合を含めたオレフィンの重合において有用である。本発明による重合プロセスにおいて用いられ得る好適なα−オレフィンとして、一般式CH=CHRのオレフィン(式中、Rが、HであるまたはC1−10の直鎖もしくは分枝状のアルキルである。)、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1およびオクテン−1が挙げられる。本発明のチーグラーナッタ型触媒系は、エチレンが重合されるプロセスにおいて使用され得るが、本発明のチーグラーナッタ型触媒系を、ポリプロピレンまたはこれより高次のオレフィンが重合されるプロセスにおいて使用することがより望ましい。プロピレンの単独重合または共重合を含むプロセスが好ましい。
【0045】
本発明のより良好な理解を促進するために、いくつかの実施形態のある一定の態様の以下の実施例が与えられる。以下の実施例は、本発明の全範囲を限定するまたは定義するとして決して読み取られてはならない。
実施例
実施例における触媒成分およびポリマーの特性を、以下の方法にしたがって測定した:
H−NMRおよびGC/MSを用いて有機シラン化合物を特性決定した。
【0046】
有機ケイ素化合物の分析を、データの取り扱いにChemstationソフトウェアG1701BA、バージョンB.01.00を用いて、GC/MS(質量分析を備えたガスクロマトグラフ)によって行った。
【0047】
分析に用いた機器を以下に列挙する:
ガスクロマトグラフィー:Agilent5890シリーズII Plus
注入器:Agilent7673自動注入器
質量スペクトル検出器:Agilent5989B
カラムは、長さ30メートル、内径0.25mmおよび膜厚1.00ミクロンの寸法を有するPhenomenex ZB−5ms(5%のポリシルアリーレンおよび95%のポリジメチルシロキサン)であった。クロマトグラフ条件は以下の通りであった:GC入口温度250℃;オーブンの温度プログラム:最初に50℃に設定し、35℃/分において130℃までおよび12℃/分において320℃まで上げ、6分間保持;カラム流量1.0ml/分;スプリット流量1:75;注入体積1.0マイクロリットル;ならびに質量スペクトル走査範囲50−650amu。質量スペクトルを、GC分離後、TICモード(全イオンクロマトグラム)から得た。
【0048】
以下の分析方法を用いてポリマーを特性決定した。
【0049】
ヘプタン不溶分(HI):ヘプタンを6時間沸騰させながら抽出した後の残りのPP。
【0050】
メルトフローレート:ASTM D−1238、2.16kgの荷重下で、230℃において決定。
【0051】
Tm:ASTM D−3417、DSC(製造者:TA Instrument、Inc.;型番:DSC Q1000)によって決定。
【0052】
分子量(MnおよびMw):ポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を、Polymer Labs Plgel 10um MIXED−B LS 300×7.5mmのカラムおよび可動相としての1,2,4,4−トリクロロベンゼン(TCB)を用いてWaters2000GPCVシステムにおけるゲル浸透クロマトグラフィーによって得た。可動相を0.9ml/minに設定し、温度を145℃に設定した。ポリマーサンプルを150℃において2時間加熱した。注入体積は200マイクロリットルであった。ポリスチレン標準の外部標準較正を用いて分子量を算出した。
【0053】
以下の試験用の試料をASTM D−4101に特定されている条件にしたがって射出成形した。
曲げ弾性率(1.3mm/min)、1%の割線:ASTM D−790。
降伏点引張強度(50mm/min):ASTM D−638。
降伏点伸び(50mm/min):ASTM D−638
73°Fにおけるノッチアイゾット衝撃強度:ASTM D−256。
66psiにおけるHDT:ASTM D−648。
ロックウェル硬度:ASTM D−785
別途示さない限り、全ての反応を不活性雰囲気下で行った。
【0054】
有機ケイ素化合物の調製
実施例1A
この実施例は、本発明による有機ケイ素化合物およびこれを調製する方法を説明する。
【0055】
4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナンの調製。
【0056】
2−(tert−ブチルアミノ)エタノール(0.08mol、99%、Aldrich製)を、氷水浴を有する250mlのフラスコにおいてTHF(100ml、無水、Aldrich製)に溶解し、撹拌しながら、n−ブチルリチウム(100mlのヘキサン中1.6M溶液、Aldrich製)を約30分間にわたって滴加した。次いで、氷水浴を除去し、反応混合物を室温にて20分間撹拌し続けた。
【0057】
撹拌しながら、氷浴によって冷却した、100mlのヘプタン(無水、Aldrich製)を含有する500mlのフラスコ内に、上記の調製された反応混合物および100mlのヘプタンに溶解したSiCl(0.04mol、99%、Aldrich製)をそれぞれ約60分間にわたって同時に添加し、得られた反応混合物をさらに30分間撹拌した。次いで、氷浴を除去し、得られた反応混合物を室温にて6時間撹拌した。次いで、撹拌を停止し、得られた反応混合物を一晩中静止させ、固体副生成物を沈澱させた。上澄みの澄んだ溶液をフラスコに移し、減圧下で濃縮して、溶媒成分、例えばTHFを除去し、続いて溶融パラフィンワックスに溶解し、蒸留および精製し、目的生成物を復元した。目的生成物は、無色の透明な外観を有する液体であり、97%のGC純度を有した。目的生成物をガス質量クロマトグラフィーによって同定し、この質量スペクトルを図1に示し、H−NMRを図2に示す。
【0058】
実施例1B
この実施例は、4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナンを調製する別の方法を説明する。
【0059】
4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナンの調製。
【0060】
2−(tert−ブチルアミノ)エタノール(0.125mol、99%、Aldrich製)を、氷水浴を有する250mlのフラスコにおいてTHF(100ml、無水、Aldrich製)に溶解し、撹拌しながら、n−ブチルリチウム(100mlのヘキサン中2.5M溶液、Aldrich製)を約30分間にわたって滴加した。次いで、氷水浴を除去し、反応混合物を室温にて20分間撹拌した。
【0061】
上記の調製された反応混合物を、9.5gのオルトケイ酸テトラメチル(99%、Aldrich製)、120mlのヘプタンおよび120mlのTHFの撹拌混合物を含有する500mlのフラスコ内に室温にて5分間にわたって添加した。その後、反応温度を油浴によって50℃に上昇させた。反応を撹拌下で50℃にて5時間実施した。次いで撹拌を停止し、得られた反応混合物を室温にて一晩中静止させ、固体副生成物を沈澱させた。上澄みの澄んだ溶液をフラスコに移し、減圧下で濃縮して、溶媒成分、例えばTHFを除去し、続いて溶融パラフィンワックスに溶解し、蒸留および精製し、目的生成物を復元した。目的生成物は、無色の透明な外観を有する液体であり、97%のGC純度を有する。
【0062】
実施例2から8
2−(tert−ブチルアミノ)エタノールを表1に示されている化学物質[RNH−(CR−OH]によって置き換えたことを除いて、実施例1Aの手順および構成要素を繰り返した。
【0063】
【表1】

【0064】
重合例
実施例9A
ベンチスケールの2リットルの反応器を用いた。反応器を窒素パージしながら少なくとも100℃まで最初に予備加熱し、残りの水分および酸素を除去した。その後、反応器を50℃に冷却した。
【0065】
窒素下、1リットルの乾燥ヘキサンを反応器内に導入した。反応器温度が約50℃であったとき、2.5mlのトリエチルアルミニウムヘキサン溶液(1.0M)、0.8mlの4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナンヘプタン溶液(0.25M)および次いで30mgのToho53−009触媒(Toho Catalyst Ltd.から入手可能)を反応器に添加した。撹拌を開始し、窒素(8psig)を導入することによって反応器の圧力を50℃において28.5psigまで上昇させた。150ccの容器中の水素をプロピレンによって反応器内にフラッシングした。
【0066】
次いで反応器温度を70℃に上昇させた。プロピレンを反応器内に連続的に導入することによって全反応器圧を90psigに上昇させて制御し、重合を1時間進行させた。重合後、反応器を排気して圧力を0psigまで低減し、反応器温度を50℃に至るまで冷却した。
【0067】
次いで、反応器を開放した。500mlのメタノールを反応器に添加し、得られた混合物を5分間撹拌し、次いで濾過して、ポリマー生成物を得た。得られたポリマーを80℃にて6時間真空乾燥した。ポリマーをメルトフローレート(MFR)、パーセントヘプタン不溶分(%HI)、分子量分布(Mw/Mn)に関して評価した。触媒の活性(AC)も測定した。結果を以下の表2に示す。
【0068】
実施例9B
4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナン(ヘプタン中0.25M)の量を1.6mlに変更したことを除いて、重合を実施例9Aと同様に実施した。結果を以下の表2に示す。
【0069】
実施例9C
4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナン(ヘプタン中0.25M)の量を3.2mlに変更したことを除いて、重合を実施例9Aと同様に実施した。結果を以下の表2に示す。
【0070】
比較例1
シランである4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナンをイソブチルイソプロピルジメトキシシラン(IBIP)によって置き換えたことを除いて、重合を実施例9Aと同様に実施した。結果を表2および図3に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
実施例10から16
4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナンを表1に示した有機ケイ素化合物によって置き換えたことを除いて、重合を実施例9Aと同様に実施した。結果を以下の表3に示す。
【0073】
【表3】

【0074】
実施例17
10リットルの反応器を用いた。反応器を90℃において窒素によって1時間パージし、次いで30℃に至るまで冷却した。反応器を真空にして、窒素を除去した。次いで3.6kgのプロピレン、20.2リットルの水素、50mlのトリエチルアルミニウムヘキサン溶液(0.6M)および4.5mlの4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナンヘプタン溶液(0.5M)を10リットルの反応器内に供給した。撹拌を開始した。その後、10リットルの反応器に接続された管における60mgのLynx1010触媒(BASF Catalyst LLCから入手可能)を0.2kgの液体プロピレンによって反応器内にフラッシングした。予備重合を30℃にて15分間実施した。次いで、温度を10分間にわたって80℃に上昇させ、この温度において1時間重合を実行した。重合後、未反応のプロピレンを排出し、反応器の温度を室温まで低下させた。
【0075】
重合において得られたポリマー粉末を粉砕ステップにおいて添加剤混合物と混ぜ合わせた。粉砕を、Werner & Pfleiderer製の二軸押出機ZSK30を用いて230℃の溶融温度において添加剤の添加によって実施した。得られたポリマー組成物は、0.035重量%の抗酸化剤(商品名;Anox20、Chemtura Corporation製)、0.075重量%の抗酸化剤(商品名:Anox BB021、Chemtura Corporation製)および0.1重量%のステアリン酸カルシウム(Baerloch USA製)を含有した。ポリマー組成物の特性を表4および図4に示す。データを、添加剤の添加および粉砕後のポリマー組成物についてまたはこれから生成された試験試料について測定した。触媒の活性(AC)もまた測定し、表4に示した。
【0076】
比較例2
水素を7.1リットル添加したことおよびシランである4,9−ジ−tert−ブチル−1,6−ジオキサ−4,9−ジアザ−5−シラ−スピロ[4.4]ノナンをシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(C−供与体)によって置き換えたことを除いて、重合を実施例17と同様に実施した。結果を表4および図4に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
したがって、本発明は、言及した目標および利点ならびに本明細書に特有であるものによく適合される。本発明は、本明細書における教示の利益を有する当業者に明らかである、異なるが等価である様式において変更および実行され得るため、先に開示した特定の実施形態は、単なる説明に過ぎない。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されている以外の、本明細書に示した構成または設計の詳細に限定することは意図されていない。したがって、先に開示した特定の説明的な実施形態が改変または変更されてよいことならびに全てのかかる変形例が本発明の範囲および精神内にあるとみなされることが明白である。下限および上限を有する数字範囲が開示されているときはいつでも、該範囲内にあるあらゆる数が具体的に開示されている。また、不定冠詞「a」または「an」は、特許請求の範囲において用いられているとき、導入する要素が1または1を超えることを意味することが本明細書において規定されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体チーグラーナッタ型触媒成分、共触媒成分および式:
【化1】

[式中、
、Q、QおよびQは、それぞれ、N、O、S、Si、B、Pからなる群から独立して選択されるヘテロ原子であり;
、R、RおよびRは、独立してそれぞれ、Q、Q、QおよびQそれぞれに対する炭化水素系置換基であり;
i、j、mおよびnは、独立して0−3であり;
およびRは、独立してそれぞれ、これらの2個のそれぞれのヘテロ原子QおよびQならびにQおよびQの間のそれぞれの主鎖長が1−8個の原子である架橋基であり、
前記架橋基の主鎖は、脂肪族基、脂環式基および芳香族基からなる群から選択される。]
の少なくとも1種の環式有機ケイ素化合物を含む電子供与体成分を含む、α−オレフィンの重合または共重合のための触媒系。
【請求項2】
架橋基の少なくとも1個が、C−C20の線状または分枝状の置換基を含む、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
、R、R、R、RまたはRの炭素原子および水素原子の1個以上が、N、O、S、Si、B、Pおよびハロゲン原子からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられている、請求項1に記載の触媒系。
【請求項4】
前記R、R、R、R、RおよびRの2個以上が連結して、飽和または不飽和の単環式環または多環式環を形成している、請求項1に記載の触媒系。
【請求項5】
架橋基Rの2個のヘテロ原子QおよびQの間の前記主鎖長が、2から4個の原子である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項6】
架橋基Rの2個のヘテロ原子QおよびQの間の前記主鎖長が、2から4個の原子である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項7】
式1中の前記ヘテロ原子Qが、N、O、SiおよびBからなる群から選択される、請求項1に記載の触媒系。
【請求項8】
式1中の前記ヘテロ原子Qが、N、O、SiおよびBからなる群から選択される、請求項1に記載の触媒系。
【請求項9】
式1中の前記ヘテロ原子Qが、酸素である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項10】
式1中の前記ヘテロ原子Qが、窒素である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項11】
式1中の前記ヘテロ原子Qが、酸素である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項12】
式1中の前記ヘテロ原子Qが、窒素である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項13】
式:
【化2】

[式中、
、Q、QおよびQは、それぞれ、N、O、S、Si、B、Pからなる群から独立して選択されるヘテロ原子であり;
、Q、QおよびQは、全てが同じではなく;
、R、RおよびRは、独立してそれぞれ、Q、Q、QおよびQそれぞれに対する炭化水素系置換基であり;
i、j、mおよびnは、独立して0−3であり;
およびRは、独立してそれぞれ、2個のヘテロ原子QおよびQならびにQおよびQの間のそれぞれの主鎖長が1−8個の原子である架橋基であり、
前記架橋基の主鎖は、脂肪族基、脂環式基および芳香族基からなる群から選択される。]
の化合物を含む組成物。
【請求項14】
、R、R、R、RおよびRの炭素原子および水素原子の1個以上が、N、O、S、Si、B、Pおよびハロゲン原子からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられている、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記R、R、R、R、RおよびRの2個以上が連結して、飽和または不飽和の単環式環または多環式環を形成している、請求項13に記載の触媒系。
【請求項16】
架橋基Rの2個のヘテロ原子QおよびQの間の前記主鎖長が、2から4個の原子である、請求項13に記載の触媒系。
【請求項17】
架橋基Rの2個のヘテロ原子QおよびQの間の前記主鎖長が、2から4個の原子である、請求項13に記載の触媒系。
【請求項18】
固体チーグラーナッタ型触媒成分、共触媒成分および式:
【化3】

[式中、
、Q、QおよびQは、それぞれ、N、O、S、Si、B、Pからなる群から独立して選択されるヘテロ原子であり;
、R、RおよびRは、独立してそれぞれ、Q、Q、QおよびQそれぞれに対する炭化水素系置換基であり;
i、j、mおよびnは、独立して0−3であり;
およびRは、独立してそれぞれ、これらの2個のそれぞれのヘテロ原子QおよびQならびにQおよびQの間のそれぞれの主鎖長が1−8個の原子である架橋基であり、
前記架橋基の主鎖は、脂肪族基、脂環式基および芳香族基からなる群から選択される。]
の少なくとも1種の環式有機ケイ素化合物を含む電子供与体成分の存在下でα−オレフィンを重合することを含む、α−オレフィンを重合するための方法。
【請求項19】
、R、R、R、RまたはRの炭素原子および水素原子の1個以上が、N、O、S、Si、B、Pおよびハロゲン原子からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記R、R、R、R、RおよびRの2個以上が連結して、飽和または不飽和の単環式環または多環式環を形成している、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
架橋基Rの2個のヘテロ原子QおよびQの間の前記主鎖長が、2から4個の原子である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
架橋基Rの2個のヘテロ原子QおよびQの間の前記主鎖長が、2から4個の原子である、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−523491(P2012−523491A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506133(P2012−506133)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/030910
【国際公開番号】WO2010/120794
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(502366088)フオルモサ・プラステイクス・コーポレイシヨン・ユー・エス・エイ (2)
【Fターム(参考)】