説明

ポリオールエーテルおよびその製法

新規なポリオールエーテル化合物およびそれらの製造方法。その方法は、水素化触媒の存在下に、ポリオール、カルボニル化合物および水素を反応させて、ポリオールエーテルを生成することを含む。その方法においてカルボニル化合物に対するポリオールのモル比は5よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2008年8月25日に出願された米国仮出願第61/091,530号(その出願の全体が引用によってここに組み入れられる。)に基づく優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、触媒の存在下に、ポリオールをカルボニル化合物および水素と反応させることによって、ポリオールエーテルを製造する方法に関する。本発明は、また、新規のポリオールエーテル化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
グリセロールエーテル、グリコールエーテルおよびポリグリコールエーテルのようなポリオールエーテルは、産業界および消費財において広範囲の用途、たとえば溶媒、界面活性剤、湿潤剤、乳化剤、潤滑剤および界面活性剤の調製のための中間体としての用途を見いだす、十分に確立した物質である。
【0004】
グリコールおよびポリグリコールエーテルは、典型的には、グリコールまたはポリグリコールを、エチレンオキシドのようなアルキレンオキシドで、接触アルコキシル化することによって製造される。しかし、この方法には著しい不利がある。たとえば、アルキレンオキシドの1つの分子がグリコールまたはポリグリコールの1つのアルコール基に付加した後に反応を止めることが難しいという不利がある。むしろ、反応が進行し続けることが典型的であり、その結果、望ましくないことに、生成物の分子量分布をもたらす。
【0005】
ポリオール類の一例として、グリセロールモノエーテルの従来の調製法は、3工程プロセスであり、次の工程を必要とするものである。(1)グリセロールをアセトンで保護して、ソルケタール(4−ヒドロキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン)を形成する工程、(2)好ましくは相間移動触媒として臭化テトラブチルアンモニウムの存在下に、強アルカリ溶液中でソルケタールをブロモアルカンと反応させる工程、および(3)ケタール保護を塩酸で加水分解する工程(クエステ(Queste)ら、グリーン・ケミストリー(Green Chem.)、2006年、第8号、p.822−830参照)。そのプロセスは、いくつかの不利、たとえば3つの工程を必要とし、大量の無機塩類を発生させ、そして製品収率が低いという不利を有する。さらに、そのプロセスは臭化第二級アルキルと共に使用するために適していることは実証されておらず、それにより、可能性のある生成物の構造の多様性を制限する。
【0006】
米国特許第5,446,210号明細書は、水素化触媒の存在下にポリオールおよびカルボニル化合物を水素と反応させることによって、ポリオールエーテルを製造するプロセスについて記載している。5:1〜1:5のポリオール:カルボニル化合物のモル比が記載されている。とはいえ、1:1〜1:4の比が好ましいと教示されている(また、実施例はすべてカルボニル化合物過剰で行なわれている。)。米国特許第5,446,210号明細書の方法の欠点の1つはエーテル化されたポリオールの低い収率である。例えば、この文献は、35〜50%の全エーテル(モノおよびビス)収率を示す。低収率に加えて、この方法は、この文献の実施例で実証されるように、ビスエーテル生成物に対するモノエーテル生成物の低い選択率を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5446210号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】クエステ(Queste)ら、グリーン・ケミストリー(Green Chem.)、2006年、第8号、p.822−830
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポリオールエーテルを製造する方法を提供する。その方法は、水素化触媒の存在下にポリオールおよびカルボニル化合物を水素と反応させてポリオールエーテルを生成させることを含み、カルボニル化合物に対するポリオールのモル比が5より大きいことを特徴とする。カルボニル化合物は式Iの化合物である。
C=O I
式中、RおよびRは、独立に、H、C−C50アルキル、C−C50アルケニル、アリール−C−C50アルキル、アリール−C−C50アルケニル−またはC−C12シクロアルキルであるか、またはRとRは、それらが結合している炭素と一緒に、C−C12シクロアルキル環を形成し、そしてRおよびRのアルキル、アルケニル、アリールおよびシクロアルキル基は、−OH、ハロゲン、ジアルキルアミノ、およびC−Cアルキル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、エーテル、アルキニル、ジアルキルアミド、無水物、カーボネート、エポキシド、ラクトン、ラクタム、ホスフィン、シリル、チオエーテル、チオールおよびフェノールから独立して選択される1つ、2つまたは3つの基で置換されていてもよい。
【0010】
本発明は、また、新規なポリオールエーテル化合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記したように、本発明はポリオールエーテルを製造する方法を提供する。この方法は、先行技術の方法に比べいくつかの利点を示す。例えば、カルボニル化合物に対して大過剰のモル数のポリオールを用いることによって、発明者は、驚くべきことに、速められた反応速度、改善されたモノエーテル選択率、および抑えられた副作用、すなわち(1)カルボニル化合物の対応するアルコールへの還元、(2)次のエーテルポリオールの残存ヒドロキシル基のジ、トリおよびポリエーテルへのエーテル化、(3)経路(1)において生成したアルコールおよび出発原料カルボニル化合物から対称なジアルキルエーテル副生成物の形成を観察した。さらに、この方法は、唯一の化学量論的な副生成物として水を同時に生成する一工程反応である。
【0012】
さらに、本発明の方法が、相対的に無極性(例えば、RとRが水素とアルキルまたは両方とも炭素の総数が5個以下のアルキルである場合)の式Iの短鎖カルボニル化合物と、極性の強いポリオール(例えば下記する式II−5のポリオール)との間で行なわれる場合、そのような化合物は混合されたときに一般に単一相を形成することが発明者によって観察された。それら2つの成分の相互の混和性は予想外であり、エーテル化反応を効率的に、そして所望により溶媒なしで、行なうことを可能にする(実施例参照)。
【0013】
本発明の方法は、また、分子中の制御された数のアルコキシ単位を有するエーテル化された化合物の形成を可能にするので、ポリオールがグリコールまたはポリグリコールであるときに、先行技術に比べて利点がある。グリコールおよびポリグリコールエーテルを調製する従来の方法は、アルコールと、エチレンオキシドのようなアルキレンオキシドとの接触アルコキシル化によるものである。しかし、1分子のアルキレンオキシドが付加した後、従来の反応を止めるのは困難であり、したがって、その反応は、広い分子量分布の生成物を生じる。対照的に、本発明の方法は均一な物質を生じる。
【0014】
本発明の方法は、水素化触媒の存在下においてポリオールおよびカルボニル化合物を水素と反応させることを含む。ポリオール/カルボニル化合物のモル比は5/1より大きい。カルボニル化合物は式Iの化合物である。
C=O I
式中、RおよびRは、独立に、H、C−C50アルキル、C−C50アルケニル、アリール−C−C50アルキル、アリール−C−C50アルケニル−、C−C12シクロアルキルであるか、または、RおよびRは、それらが結合している炭素と一緒に、C−C12シクロアルキル環を形成しており、そしてRおよびRのアルキル、アルケニル、アリールおよびシクロアルキル基は、−OH、ハロゲン、ジアルキルアミノ、およびC−Cアルキル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、エーテル、アルキニル、ジアルキルアミド、酸無水物、カーボネート、エポキシド、ラクトン、ラクタム、ホスフィン、シリル、チオエーテル、チオール、およびフェノールから独立に選択される1つ、2つまたは3つの基で置換されていてもよい。
【0015】
式Iの好ましい化合物(ここでは式I−1を有する化合物と呼称する。)は、RおよびRが独立にH、C−C22アルキル、C−C22アルケニル、アリール−C−C20アルキル、アリール−C−C20アルケニル−、またはC−C12シクロアルキルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒に、C−C12シクロアルキル環を形成している(ただし、RおよびRのアルキル、アルケニル、アリールおよびシクロアルキル基は、−OH、ハロゲン、ジアルキルアミノ、およびC−Cアルキル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、エーテル、アルキニル、ジアルキルアミド、酸無水物、カーボネート、エポキシド、ラクトン、ラクタム、ホスフィン、シリル、チオエーテル、チオール、およびフェノールから独立に選択された1つ、2つまたは3つの基で置換されていてもよい。)ような化合物が挙げられる。
【0016】
式Iおよび式I−1の好ましい化合物(ここでは式1−2を有する化合物と呼称する。)としては、RおよびRの少なくとも1つがHでない化合物が挙げられる。RもRもHでないような化合物もまた好ましい。
【0017】
式I、I−1およびI−2の好ましい化合物(ここでは式I−3を有する化合物と呼称する。)としては、RがH、C−C22アルキルまたはアラルキルである化合物が挙げられる。より好ましくは、RはHまたはC−C22アルキルである。さらに好ましくは、RはC−C12アルキルまたはC−Cアルキルである。
【0018】
式I、I−1、I−2およびI−3の好ましい化合物(ここでは式I−4を有すると呼称する。)としては、RがH、C−C22アルキルまたはアラルキルである化合物が挙げられる。より好ましくは、RはHまたはC−C22アルキルである。さらに、好ましくは、RはC−C12アルキルまたはC−Cアルキルである。
【0019】
式I、I−1、I−2、I−3およびI−4の好ましい化合物(ここでは式I−5を有する化合物と呼称する。)としては、また、RおよびRの一方がHであり他方がC−C22アルキルである化合物が挙げられ、より好ましくはRおよびRの一方がHであり、他方がC−C14アルキルである化合物が挙げられる。
【0020】
式I、I−1、I−2、I−3およびI−4の好ましい化合物(ここでは式I−6を有する化合物と呼称する。)としては、さらに、RおよびRが独立にC−C22アルキル、より好ましくは独立にC−C14アルキルである化合物が挙げられる。
【0021】
式Iの適切なカルボニル化合物としては、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、カプロンアルデヒド、カプリルアルデヒド、カプリンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、ミリスチンアルデヒド、セチルアルデヒド、ステアリルアルデヒド、オレイルアルデヒド、エライジルアルデヒド、リノリルアルデヒド、リノレニルアルデヒド、ベヘニルアルデヒド、エルシルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、メチルエチルケトン、2−ウンデカノン、n−デカナール、2−メチルウンデカナール、n−バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、2−エチルヘキサナール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シンナムアルデヒド、レブリン酸、1,3−シクロヘキサンジカルバルデヒド、1,4−シクロヘキサンジカルバルデヒド、シクロヘキサノン、およびそれらの2以上の混合物が挙げられる。
【0022】
式Iの好ましいカルボニル化合物としては、n−ブチルアルデヒド、メチルエチルケトン、2−ウンデカノン、n−デカナール、2−メチルウンデカナール、n−バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、2−エチルヘキサナール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シンナムアルデヒド、レブリン酸、1,3−シクロヘキサンジカルバルデヒド、1,4−シクロヘキサンジカルバルデヒド、シクロヘキサノン、およびそれらの2以上の混合物が挙げられる。1つの特定の実施態様では、カルボニル化合物は1,3−シクロヘキサンジカルバルデヒドおよび1,4−シクロヘキサンジカルバルデヒドの混合物である。不飽和カルボニル化合物の場合には、その二重結合が反応中に水素化されて、飽和基を形成してもよい。
【0023】
前述のとおり、本発明は、さらなる官能基を有するカルボニル化合物(RおよびRのアルキル、アルケニル、アリールおよびシクロアルキル基が、−OH、ハロゲン、ジアルキルアミノ、およびC−Cアルキル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、エーテル、アルキニル、ジアルキルアミド、酸無水物、カーボネート、エポキシド、ラクトン、ラクタム、ホスフィン、シリル、チオエーテル、チオールおよびフェノールから独立に選択された1つ、2つまたは3つの基で置換された化合物)を包含する。そのような官能基は、本発明の方法中にさらに物質を形成するために追加のまたは直列の反応を受けることができる。
【0024】
例えば、官能基がレブリン酸のようなカルボン酸である場合、分子のカルボニル部分のエーテル化と同時に、カルボン酸基はエステル化を受けることができる。実施例は、この実施態様のさらなる実例を与える。
【0025】
カルボニル化合物は様々な商業上の供給源から入手可能であり、および/または当業者はよく知られた手法を使用して容易に調製することができる。カルボニル化合物の供給源およびその調製法は、本発明にとっては重要ではない。例えば、種子油または他の天然の供給源に由来したアルデヒドのほかに、工業プロセスの副生成物であるアルデヒド、またはヒドロホルミル化反応から誘導されたアルデヒドもまた包含される。
【0026】
本発明の方法に使用されるポリオールは一般に少なくとも2つのヒドロキシル基を含む化合物である。好ましいポリオールは式IIのポリオールである。
HO−[CHR−Q−CR−O]−H II
式中、
は、出現毎に独立に、H、C−C20アルキル、アラルキルまたはC−C12シクロアルキルであり、
およびRは、出現毎に独立に、H、C−C20アルキル、アラルキルまたはC−C12シクロアルキルから選択され、
ただし、R、RおよびRのアルキル、アリールおよびシクロアルキル基は、−OH、ハロゲン、ジアルキルアミノ、C−Cアルキル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、エーテル、アルキニル、ジアルキルアミド、酸無水物、カーボネート、エポキシド、ラクトン、ラクタム、ホスフィン、シリル、チオエーテル、チオールおよびフェノールから独立に選択される1つ、2つまたは3つの基で置換されていてもよく、
Qは、出現毎に独立に、共有結合であるか、または式L、X、L−X、X−LもしくはL−X−Lのスペーサー基であり、ここで、Lは、出現毎に独立に、C−C14アルキレン、C−C14ヘテロアルキレンまたはC−C14アルケニレンであり、そしてXはC−C12シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、ただし、アルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンおよびヘテロアリーレンは、−OH、−OCHR、ハロゲン、ジアルキルアミノ、C−Cアルキル、ヒドロキシルアルキル、および−OCHRで置換されたC−Cアルキルから独立に選択された1つ、2つ、3つまたは4つの基で置換されていてもよく、そして
mは1〜2000の整数であり、
ただし、式IIの化合物は少なくとも2つのヒドロキシ基を含む。
【0027】
式IIのポリオール中のmが2以上であるとき、m単位内の基は同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、mが2である場合、1つの単位中のRは例えばHであり、もう1つの単位中のRは例えばアルキルであってもよい。しかし、m単位内の基は互いに同じであることが好ましい。
【0028】
式IIの好ましいポリオール(ここでは式II−1を有する化合物と呼称する。)は、RがHまたはC−C20アルキルである化合物が挙げられる。より好ましくは、RはHである。
【0029】
式IIまたはII−1の好ましいポリオール(ここでは式II−2を有する化合物と呼称する。)は、RおよびRの少なくとも1つがHであり、他方がHまたはC−C20アルキルである化合物が挙げられる。この実施態様のための好ましいアルキルは、C−C10アルキルでああり、より好ましくはC−Cアルキルであり、そしてさらに好ましくはC−Cアルキルである。特に好ましいアルキルは、メチルおよびエチルである。
【0030】
式II、II−1またはII−2の好ましいポリオール(ここでは式II−3を有する化合物と呼称する。)は、RおよびRの両方がHである化合物が挙げられる。
【0031】
式II、II−1、II−2またはII−3の好ましいポリオール(ここでは式II−4を有する化合物と呼称する。)は、mが1〜1000、より好ましくは1〜500、さらに好ましくは1〜100である化合物が挙げられる。いくつかの実施態様では、mは1〜10である。
【0032】
式II、II−1、II−2、II−3またはII−4の好ましいポリオール(ここでは式II−5を有する化合物と呼称する。)は、Qが共有結合またはC−Cアルキレンである化合物が挙げられる。より好ましくは、Qは共有結合またはメチレンもしくはエチレン橋である。
【0033】
式II−5においては、RがHであり、RおよびRが独立にHまたはC−Cアルキルであることが好ましい。また、mは1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10である。mが1、2、3、4、5または6である化合物が特に好ましい。式II−5の好ましいポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、および異なる平均分子量(例えば62〜620の範囲に及ぶ数平均分子量)を有するポリエチレングリコール;1,2−プロピレングリコール;1,3−プロピレングリコール;1,2−ブチレングリコール;1,3−ブチレングリコール;1,4−ブチレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
式II、II−1、II−2、II−3またはII−4の好ましいポリオール(ここでは式II−6を有する化合物と呼称する。)としては、QがC−C14アルキレンまたはC−C14ヘテロアルキレン(好ましくはヘテロ原子は酸素であり、例えば−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル−)である化合物もまた挙げられる。より好ましくは、QはC−C10アルキレンであり、さらに好ましくはC−Cアルキレンである。アルキレンおよびヘテロアルキレン基は、所望により、1つ、2つ、3つまたは4つのヒドロキシ基で置換される。この実施態様の中で、mが1であるポリオールもまた好ましい。
【0035】
実施態様II−6の好ましいポリオールは、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジグリセロールおよびそれらの混合物である。ジグリセロールとは、次の化合物またはそれらの2つ以上の混合物から選択された化合物を意味する。
【0036】
【化1】

【0037】
ポリオールは様々な商業的供給源から入手可能であり、および/または当業者はよく知られた手法を用いて容易に調製することができる。ポリオールの供給源は本発明にとって重要ではない。いくつかの実施態様においては、バイオ原料のような再生可能な非石油源からポリオールを得ることが望ましい。バイオ系ポリオールは、例えば米国特許出願公開第2007/0129451号明細書および米国特許出願公開第2008/0103340号明細書(これらは引用によってここに組み入れられる。)に記載されている。
【0038】
本発明の方法においては、カルボニル化合物に対するポリオールのモル比は5よりも大きく、それにより大過剰のポリオールを与える。上述したように、本発明によれば、大モル過剰のポリオールを用いることによって、収率および生成物選択率の向上等、先行技術を超える利点が得られる。好ましい実施態様においては、カルボニル化合物に対するポリオールのモル比は少なくとも6であり、または少なくとも7である。より好ましくは、少なくとも8であり、または少なくとも9である。特に好ましい実施態様において、その比は少なくとも10である。特にポリオールは再生利用し再使用することができるので、用いられる過剰ポリオールの量には特に上限はない。いくつかの実施態様においては、カルボニル化合物に対するポリオールのモル比は100以下が好ましく、より好ましくは50以下である。
【0039】
いくつかの実施態様においては、本発明の方法は、強酸またはルイス酸が存在しない状態で行なわれる。
【0040】
典型的な手順においては、ポリオールおよびカルボニル化合物は水素化触媒が存在する状態で水素と反応させられる。エーテル、ジオキサンまたはTHFのような溶媒を使用してもよい。しかし、過剰のポリオールがそれ自身溶媒として機能するので、追加の溶媒は必要でなく、一般には好まれない。
【0041】
適した水素化触媒は当技術分野でよく知られており、例えば、Pd、Pt、RhまたはRuを主成分とするもの、ならびにNi、Co、CuおよびFeのような遷移金属を主成分とするものが挙げられる。その方法において触媒量(100%が活性のとき)は、カルボニル化合物の質量を基準として、好ましくは0.001〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.3〜0.8質量%の範囲である。触媒は、炭素、アルミナ、シリカゲルまたはゼオライトのような担体の中に存在してもよい。好ましい触媒/担体は10%Pd/C(pH約5)であり、それは様々な商業的供給源から入手可能である。
【0042】
反応は、30〜300℃の温度で、好ましくは100〜250℃のような高い温度で、より好ましくは150〜220℃で行なわれる。反応圧力は0〜約3000psiの範囲である。200〜2000psiのような高い圧力が好ましく、より好ましくは500〜1500psiである。
【0043】
一般に、反応は、数分〜約24時間の間に行なわれ、1〜8時間が好ましい。生成物は、溶媒抽出、蒸留および/またはクロマトグラフィーのような当業者によく知られた手法によって反応混合物から単離することができる。相分離する生成物については、デカンテーションを用いることができる。
【0044】
本発明の方法によって調製される好ましいエーテルポリオールは、式IIIのものである。
CHO−[CHR−Q−CR−O]−H III
式中、R、R、R、R、R、Qおよびmは、式IおよびIIの化合物(それらの好ましい実施態様を含む。)について上に定義したとおりである。
【0045】
式IIIの好ましい化合物は、RおよびRの少なくとも1つがHでないものである。RとRのいずれもがHでない化合物もまた好ましい。
【0046】
好ましい化合物としては、RがH、C−C22アルキルまたはアラルキル−であるものもまた挙げられる。より好ましくは、RはHまたはC−C22アルキルである。さらに好ましくは、RはC−C12アルキルまたはC−Cアルキルである。
【0047】
がHまたはC−C22アルキルまたはアラルキル−である化合物もまた好ましい。より好ましくは、RはHまたはC−C22アルキルである。さらに好ましくは、RはC−C12アルキルまたはC−Cアルキルである。
【0048】
さらに好ましいのは、RおよびRの一方がHであり、他方がC−C22アルキルである化合物であり、より好ましくは、RおよびRの一方がHであり、他方がC−C14アルキルである化合物である。
【0049】
好ましい化合物としては、さらに、RおよびRが独立にC−C22アルキル、より好ましくは独立にC−C14アルキルであるものが挙げられる。
【0050】
さらに好ましいのは、RがHまたはC−C20アルキルである化合物である。より好ましくは、RはHである。
【0051】
およびRの少なくとも一方がHであり、他方がHまたはC−C20アルキルである化合物もまた好ましい。この実施態様のための好ましいアルキルは、C−C10アルキル、より好ましくはC−Cアルキル、さらに好ましくはC−Cアルキルである。特に好ましいのは、メチルおよびエチルである。
【0052】
さらに好ましいのは、mが1〜1000、より好ましくは1〜500、さらに好ましくは1〜100の化合物である。いくつかの実施態様においては、mは1〜10である。
【0053】
好ましい化合物としては、Qが共有結合またはC−Cアルキレンであるものもまた挙げられる。より好ましくは、Qは共有結合またはメチレンもしくはエチレン橋である。この実施態様においては、RがHであり、RおよびRが独立にHまたはC−Cアルキルであることもまた好ましい。mが1〜20、より好ましくは1〜10であることもまた好ましい。mが1、2、3、4、5または6である化合物が特に好ましい。
【0054】
式IIIの好ましい化合物としては、QがC−C14アルキレンまたはC−C14ヘテロアルキレン(好ましくはヘテロ原子は酸素であり、例えば−C−Cアルキル−O−C−Cアルキル−)であるものもまた挙げられる。より好ましくは、QはC−C10アルキレンであり、さらに好ましくはC−Cアルキレンである。アルキレンおよびヘテロアルキレン基は、所望により、1つ、2つ、3つまたは4つの置換基で置換され、ヒドロキシルが好ましい置換基である。
【0055】
上述のように、カルボニル化合物が1種以上の追加の官能基を含む場合には、そのような官能基は本発明の方法の間にさらなるまたは直列の反応をすることができる。例えば、カルボニル化合物の上のカルボン酸官能基は、その分子のカルボニル部分のエーテル化と相前後してエステル化を受けることができる。
【0056】
本発明の方法によって調製される好ましいポリオールエーテルは以下のとおりである。
【0057】
【化2】

【0058】
【化3】

【0059】
【化4】

【0060】
上に示したポリオールエーテル化合物のいくつかは新規である。したがって、さらなる態様において、本発明は、次のものから選択される化合物を提供する。
【0061】
【化5】

【0062】
本発明のエーテルは広範囲の用途を有する。そのような用途の非限定的な例としては、例えば、溶媒、界面活性剤、脱脂剤、湿潤剤、乳化剤、潤滑剤および界面活性剤中間体としての用途が挙げられる。そのため、その化合物は、クリーニング組成物、コーティング、香料類、インク、および難溶性化合物の可溶化のため等の、種々様々の用途で使用するのに適している。
【0063】
「アルキル」は、この明細書において用いるときは、単独であるか別の基の一部として(例えばジアルキルアミノ中)であるかどうかにかかわらず、示された数の炭素原子を有する直鎖および枝分れ鎖の脂肪族基を包含する。数が示されていない場合は、アルキルは好ましくは1〜14個の炭素原子、より好ましくは1〜10個の炭素原子、さらに好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。好ましいアルキル基としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルおよびウンデシルが挙げられる。
【0064】
用語「ヘテロアルキル」とは、基の中の1つ以上の炭素原子が1つ以上のヘテロ原子(窒素、酸素、硫黄、リン)で置き換えられた上に定義したようなアルキル基をいう。例はエーテルまたはチオエーテルである。
【0065】
用語「アルケニル」とは、この明細書において用いるときは、示された数の炭素原子を有し、1つ以上の炭素−炭素二重結合を含む不飽和の直鎖または枝分れ鎖の脂肪族の基を意味する。炭素数が示されていない場合は、その基は、好ましくは2〜14個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、さらに好ましくは2〜6個の炭素原子を含む。好ましいアルケニル基としては、限定するものではないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルが挙げられる。
【0066】
用語「アルキニル」とは、ここで用いるときは、示された数の炭素原子を有し、1つ以上の炭素−炭素三重結合を含む不飽和の直鎖または枝分れ鎖の脂肪族の基を意味する。炭素数が示されていない場合は、その基は、好ましくは2〜14個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、さらに好ましくは2〜6個の炭素原子を含む。
【0067】
用語「シクロアルキル」としては、ここで用いるときは、3〜12個の炭素、好ましくは3〜8個の炭素を有する飽和のおよび部分的に不飽和の環状炭化水素基が挙げられる。好ましいシクロアルキル基としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
【0068】
「ヘテロシクロアルキル」は、窒素、酸素および硫黄から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含む非芳香族3〜12員環系をいう。ヘテロシクロアルキル環は、所望により、他のヘテロシクロアルキル環および/または非芳香族炭化水素環に縮合しまたは他の方法で結合していてもよい。好ましいヘテロシクロアルキル基は3〜7員環である。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例はテトラヒドロフランである。
【0069】
「アリール」基は、1〜3個の芳香環を含むC−C12芳香族基である。好ましくは、アリール基はC−C10アリール基である。好ましいアリール基としては、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフルオレニルが挙げられる。より好ましいのはフェニルである。「アリールアルキル」または「アラルキル」は、上に定義されたアルキル基を介して親分子の基に結合したアリール基をいう。
【0070】
「ヘテロアリール」とは、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む芳香族環系をいう。ヘテロアリール環は、1つ以上のヘテロアリール環、芳香族または非芳香族炭化水素環またはヘテロシクロアルキル環に縮合しまたは他の方法で結合していてもよい。ヘテロアリール基の例としては、限定するものではないが、ピリジンおよびフランが挙げられる。
【0071】
用語「アラルキル−」および「アラルケニル−」とは、それぞれ、アリール−C−C20アルキル−およびアリール−C−C20アルケニル−をいう。
【0072】
用語「アルキレン」、「ヘテロアルキレン」、「アルケニレン」、「シクロアルキレン」、「ヘテロシクロアルキレン」、「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は、上に定義された基であるが2つの他の化学基の間に位置し、2つの他の化学基を接続する役目をする基に相当する。例として、アルキレン基としては、限定するものではないが、メチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレンが挙げられる。アリーレン基としては、再び限定するものではないが、フェニレンが挙げられる。
【実施例】
【0073】
次の実施例は本発明の例証となるが、その範囲を限定するものではない。
【0074】
実施例1〜10
n−ブチルアルデヒド/エチレングリコール
実施例1〜10において、n−ブチルアルデヒド、エチレングリコールおよび水素を、様々な比および/または反応条件で、Pd/Cの存在下で、反応させる。反応手順は一般に以下のとおりである。n−ブチルアルデヒド、エチレングリコールおよびPd/Cをパー(Parr)反応器に仕込む。系を窒素で3時間パージする。その後、水素を仕込み、反応器を加熱し、必要に応じて水素圧を調節する。適切な反応時間の後に、生成物混合物をGCによって分析する。反応条件およびGCの結果を表1にまとめて示す。
【0075】
【表1】

【0076】
比較例1
n−ブチルアルデヒド/エチレングリコール:2工程合成
この例は、2−プロピル−1,3−ジオキソランの水素化分解を例証する。2−プロピル−1,3−ジオキソランは、水素化分解に先立って、n−ブチルアルデヒドおよびエチレングリコールからパー反応器の中で調製される。
n−ブチルアルデヒド(7.21g、9.01mL、0.1モル)、エチレングリコール(61.1g、55.8mL、1モル)および10%Pd/C(0.36g、n−ブチルアルデヒドに対して5質量%)を、150mLのパー反応器の中に入れ、窒素で3回パージする。その後、混合物は2時間150℃で撹拌しながら加熱する。GC分析は、n−ブチルアルデヒドの完全な消費およびより高い保持時間を有するいくつかの未確認の副生成物と共に2−プロピル−1,3−ジオキソランの形成を示す。水素を仕込み、水素化分解を200℃、1000psiで2時間行なう。生じる混合物は、残存する2−プロピル−1,3−ジオキソランを1%および所望の2−ブトキシエタノールをほんの61%含む。
【0077】
実施例11
n−ブチルアルデヒド/ジエチレングリコール
n−ブチルアルデヒド(3.6g、4.5mL、0.05モル)、ジエチレングリコール(106.1g、55.8mL、1モル)および0.18gの10%Pd/Cを、150mLのパー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を200℃に加熱し、水素1000psiに設定する。200℃および1000psiで2時間の後、GC分析は、n−ブチルアルデヒドの完全な消費、および3,6−ジオキサ−1−デカノール(n−ブチルカルビトール)(94.5%)、n−ブタノール(3.4%)および2,2′−ジブトキシエチルエーテル(2.1%)の生成を示す。
【0078】
実施例12
n−ブチルアルデヒド/テトラエチレングリコール
n−ブチルアルデヒド(1.8g、2.25mL、0.025モル)、テトラエチレングリコール(97.1g、86.3mL、0.5モル)および0.09gの10%Pd/Cを、150mLのパー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を180℃に加熱し、水素1000psiに設定する。180℃および1000psiで4時間の後、n−ブチルアルデヒドは完全に反応し、GC分析は、3,6,9,12−テトラオキサヘキサデカノール(91.2%)、n−ブタノール(4.8%)および5,8,11,14,17−ペンタオキサウンエイコサン(1.1%)の生成を示す。
【0079】
実施例13
n−ブチルアルデヒド/グリコールの混合物
この実施例は、グリコールの混合物によるn−ブチルアルデヒドの還元的エーテル化を例証する。n−ブチルアルデヒド(2.9g、3.6mL、0.04モル)、エチレングリコール(12.4g、11.2mL、0.2モル)、ジエチレングリコール(21.2g、19.0mL、0.2モル)、トリエチレングリコール(30.1g、26.7mL、0.2モル)およびテトラエチレングリコール(38.9g、34.6mL、0.2モル)の混合物および0.15gの10%Pd/Cを、150mLのパー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を180℃に加熱し、水素1000psiに設定する。180℃および1000psiで2時間の後、n−ブチルアルデヒド転化率は98%に達する。GC分析は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールのモノブチルエーテルならびに3−プロピル−1,3−ジオキソランおよび少量のn−ブタノールの生成を示す。
【0080】
実施例14
n−ブチルアルデヒド/1,2−プロパンジオール
n−ブチルアルデヒド(3.6g、4.5mL、0.05モル)、1,2−プロパンジオール(76.1g、73.4mL、1モル)および0.18gの10%Pd/C(n−ブチルアルデヒドに対して5質量%)を、150mLのパー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を180℃に加熱し、水素圧を1000psiに調節する。180℃および1000psiで3時間の後、GC分析は、n−ブチルアルデヒドの完全な転化ならびに2−ブトキシ−1−プロパノールと1−ブトキシ−2−プロパノールのほぼ1:1の混合物(79.2%)、n−ブタノール(5.8%)およびシス/トランス2−プロピル−4−メチル−1,3−ジオキソラン(11.9%)の生成を示す。
【0081】
実施例15
メチルエチルケトン/エチレングリコール
メチルエチルケトン(MEK、3.6g、4.5mL、0.05モル)、エチレングリコール(62.1g、55.8mL、1モル)および0.2gの10%Pd/Cを、150mLのパー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を200℃に加熱し、水素圧を1000psiに調節する。200℃および1000psiで3時間の後、GC分析は、MEKの95%の転化、ならびに2−sec−ブトキシエタノール(84.7%)、2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン(3.1%)および1,2−ジ−sec−ブトキシエタン(2.8%)の生成を示す。
【0082】
実施例16
2−ウンデカノン/エチレングリコール
2−ウンデカノン(8.5g、10.3mL、0.05モル)、エチレングリコール(62.1g、55.8mL、1モル)および0.2gの10%Pd/Cを、パー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を200℃に加熱し、水素圧を1000psiに調節する。200℃および1000psiで3時間の後、GC分析は、2−ウンデカノンの98%の転化、ならびに2−sec−ウンデシルエタノール(87.1%)、2−ウンデカノール(7.0%)および2−メチル−2−ノニル−1,3−ジオキソラン(0.9%)の生成を示す。
【0083】
比較例2
2−ウンデカノン/エチレングリコール:2工程合成
この例は、2−メチル−2−ノニル−1,3−ジオキソランの水素化分解を例証する。2−メチル−2−ノニル−1,3−ジオキソランは2−ウンデカノンおよびエチレングリコールから調製され、水素化分解の前に単離される。トルエン(100mL)中のエチレングリコール(12.4g、0.2モル)、2−ウンデカノン(17.3g、0.1モル)およびp−トルエンスルホン酸(1g)の混合物を、3時間、ディーン=シュタルク・トラップで還流する。反応混合物を冷却し、NaOH水溶液(50mL×2)で抽出し、トルエン相を固体のNaOHで乾燥し、その後、トルエンを真空除去し、粗生成物を65〜67℃/0.6mmHgで蒸留して、2−メチル−2−ノニル−1,3−ジオキソラン18.7g(87%)を得る。GC/MS:199(M−CH),87,43。NMRスペクトルを図3に示す。
2−メチル−2−ノニル−1,3−ジオキソランの水素化分解を、前の実施例と同様の手順を使用して、150℃および水素1000psiで2時間、ヘキサン中で行なう。2時間後のジオキソラン転化率は99%であり、2−sec−ウンデシルエタノールの選択率はたった67%である。
【0084】
実施例17
n−デカナール/トリエチレングリコール
n−デカナール(3.9g、4.7mL、0.025モル)、メチレングリコール(75.1g、66.8mL、0.5モル)および10%Pd/C(0.2g、n−デカナールに対して5質量%)を、150mLのパー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を200℃に加熱し、水素圧を1000psiに調節する。200℃および1000psiで3時間の後、GC分析は、n−デカナールの完全な転化率を示し、3,6,9−トリオキサ−1−ノナデカノール(82.6%)およびn−デカノール(13.7%)を検出する。
【0085】
実施例18
n−デカナール/テトラエチレングリコール
n−デカナール(3.9g、4.7mL、0.025モル)、テトラエチレングリコール(97.1g、86.3mL、0.5モル)および10%Pd/C(0.2g、n−デカナールに対して5質量%)を、150mLのパー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を200℃に加熱し、水素圧を1000psiに調節する。200℃および1000psiで3時間の後、GC分析は、n−デカナールの完全な転化率を示し、3,6,9,12−テトラオキサ−1−ドコサノール(79.4%)およびn−デカノール(15.3%)を検出する。
【0086】
実施例19
2−メチルウンデカナール/トリエチレングリコール
2−メチルウンデカナール(4.61g、5.55mL、0.025モル)、トリエチレングリコール(75.1g、66.8mL、0.5モル)および10%Pd/C(0.3g、n−デカナールに対して6.5質量%)を、150mLのパー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を200℃に加熱し、水素圧を1000psiに調節する。200℃および1000psiで3時間の後、GC分析は、2−メチルウンデカナールの99.7%の転化率を示し、11−メチル−3,6,9−トリオキサ−1−エイコサノール(76.3%)および2−メチルウンデカノール(11.9%)を検出する。
【0087】
実施例20
2−メチルウンデカナール/テトラエチレングリコール
2−メチルウンデカナール(4.61g、5.55mL、0.025モル)、テトラエチレングリコール(97.1g、86.3mL、0.5モル)および10%Pd/C(0.3g、n−デカナールに対して6.5質量%)を、150mLのパー反応器に仕込む。系を窒素で3回パージする。その後、500psiの水素を仕込み、反応器を200℃に加熱し、水素圧を1000psiに調節する。200℃および1000psiで3時間の後、GC分析は、2−メチルウンデカナールの99.5%の転化率を示し、11−メチル−3,6,9,12−テトラオキサ−1−トリコサノール(82.3%)および2−メチルウンデカノール(7.9%)を検出する。
【0088】
実施例21
n−ブチルアルデヒド/グリセロール
n−ブチルアルデヒド(7.21g、8.96mL、0.1モル)、グリセロール(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.36g)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで4時間、反応させる。GC分析は、n−ブチルアルデヒドの完全な消費およびグリセロールモノエーテル、3−ブチルオキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−ブトキシ−1,2−プロパンジオール(83.1%、比6.7)、グリセロールジエーテル 1,3−ジブトキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジブトキシ−1−プロパノール(7.1%)、n−ブタノール(3.3%)、ジ−n−ブチルエーテル(0.3%)の生成を示す。
【0089】
実施例22
イソブチルアルデヒド/グリセロール
イソブチルアルデヒド(7.21g、9.13mL、0.1モル)、グリセロール(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.36g)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで8時間、反応させる。GC分析は、イソブチルアルデヒドの完全な消費、およびグリセロールモノエーテル 3−イソブチルオキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−イソブトキシ−1,2−プロパンジオール(80.1%、比8.2)、グリセロールジエーテル 1,3−ジイソブトキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジイソブトキシ−1−プロパノール(7.1%)、イソブタノール(2.7%)の生成を示す。
【0090】
実施例23〜25
n−バレルアルデヒド/グリセロール
実施例23〜25は、グリセロール/アルデヒド比のモノエーテル収率に及ぼす影響を比較する。反応条件は以下のとおりである。水素圧1000psi、反応温度200℃、反応時間8時間、触媒10%Pd/C、触媒充填量5質量%。結果を表2に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
実施例26
イソバレルアルデヒド/グリセロール
イソバレルアルデヒド(8.61g、10.8mL、0.1モル)、グリセロール(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.43g)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで4時間、反応させる。GC分析は、イソバレルアルデヒドの完全な消費、およびグリセロールモノエーテル 3−イソペントキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−イソペントキシ−1,2−プロパンジオール(82.0%、比8.5)、グリセロールジエーテル 1,3−ジイソペントキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジイソペントキシ−1−プロパノール(8.4%)、イソペンタノール(6.3%)の生成を示す。
【0093】
実施例27
n−ヘキサナール/グリセロール
n−ヘキサナール(10.0g、12.3mL、0.1モル)、グリセロール(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.50g)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで8時間、反応させる。反応混合物は冷却すると2相を形成する。各相のGC分析は、n−ヘキサナールの完全な消費を示す。下相(グリセロール):グリセロールモノエーテル 3−ヘキソキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−ヘキソキシ−1,2−プロパンジオール(70.6%、比7.8)、グリセロールジエーテル 1,3−ジヘキソキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジヘキソキシ−1−プロパノール(12.8%)、n−ヘキサノール(3.7%)。上相(粗生成物):グリセロールモノエーテル 3−ヘキソキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−ヘキソキシ−1,2−プロパンジオール(57.2%、比8.4)、グリセロールジエーテル 1,3−ジヘキソキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジヘキソキシ−1−プロパノール(18.5%)、n−ヘキサノール(3.1%)。
【0094】
実施例28
n−ヘプタナール/グリセリン
n−ヘプタナール(11.4g、14.0mL、0.1モル)、グリセリン(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.57g)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで8時間、反応させる。反応混合物は冷却すると2相を形成する。各相のGC分析は、n−ヘプタナールの完全な消費を示す。下相(グリセリン):グリセリンモノエーテル 3−ヘプトキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−ヘプトキシ−1,2−プロパンジオール(78.7%、比7.7)、グリセリンジエーテル 1,3−ジヘプトキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジヘプトキシ−1−プロパノール、n−ヘプタノール(4.2%)(11.8%)。上相(粗生成物):グリセリンモノエーテル 3−ヘプトキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−ヘプトキシ−1,2−プロパンジオール(72.6%、比7.9)、グリセリンジエーテル 1,3−ジヘプトキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジヘプトキシ−1−プロパノール(17.1%)、n−ヘプタノール(4.3%)。
【0095】
実施例29
2−エチルヘキサナール/グリセリン
2−エチルヘキサナール(12.8g、15.6mL、0.1モル)、グリセリン(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.64g)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで7時間、反応させる。反応混合物は冷却すると2相を形成する。各相のGC分析は、2−エチルヘキサナールの完全な消費を示す。下相(グリセリン):グリセリンモノエーテル 3−(2−エチル)ヘキソキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−(2−エチル)ヘキソキシ−1,2−プロパンジオール(55.4%、比13.6)、グリセリンジエーテル 1,3−ジ(2−エチル)ヘキソキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジ(2−エチル)ヘキソキシ−1−プロパノール(24.7%)、2−エチルヘキサノール(3.2%)。上相(粗生成物):グリセリンモノエーテル 3−ジ(2−エチル)ヘキソキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−ジ(2−エチル)ヘキソキシ−1,2−プロパンジオール(55%、比12.8)、グリセリンジエーテル 1,3−ジ(2−エチル)ヘキソキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジ(2−エチル)ヘキソキシ−1−プロパノール(24.8%)、2−エチルヘキサノール(3.5%)。
【0096】
実施例30
アセトン/グリセリン
アセトン(5.81g、7.34mL、0.1モル)、グリセリン(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.29g)を、パー反応器に仕込み、窒素でパージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで4時間、反応させる。GC分析は、アセトンの完全な消費を示し、グリセリンモノエーテル 3−イソプロポキシ−1,2−プロパンジオール(78.5%)、グリセリンジエーテル 1,3−ジイソプロポキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジイソプロポキシ−1−プロパノール(3.9%)、イソプロパノール+アセトン(7.2%)の存在を示す。
【0097】
比較例
2,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソランの水素化分解
2,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン(ソルケタール)(19.8g、18.6mL、0.15モル)および10%Pd/C(5質量%、0.99g)を、パー反応器に仕込み、窒素でパージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで4時間、反応させる。GC分析は、グリセリンモノエーテル 3−イソプロポキシ−1,2−プロパンジオール(56.7%)、グリセリンジエーテル 1,3−ジイソプロポキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジイソプロポキシ−1−プロパノール(31.9%)、グリセリン(9.4%)、イソプロパノール(0.3%)の存在を示す。
【0098】
実施例31
メチルエチルケトン/グリセリン
メチルエチルケトン(7.21g、9.01mL、0.1モル)、グリセリン(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.36g)を、パー反応器に仕込み、窒素でパージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで7時間、反応させる。GC分析は、メチルエチルケトンの完全な消費を示し、グリセリンモノエーテル 3−sec−ブトキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−sec−ブトキシ−1,3−プロパンジオール(84.9%)、グリセリンジエーテル 1,3−ジ−sec−ブトキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジ−sec−ブトキシ−1−プロパノール(5.5%)、2−ブタノール(4.6%)の存在を示す。
【0099】
実施例32
2−ペンタノン/グリセリン
2−ペンタノン(8.61g、10.6mL、0.1モル)、グリセリン(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.43g)を、パー反応器に仕込み、窒素でパージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで4時間、反応させる。GC分析は、2−ペンタノンの92%の転化率を示し、3−sec−ペントキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−sec−ペントキシ−1,3−プロパンジオール(76.2%、異性体比32.1)、1,3−ジ−sec−ペントキシ−2−プロパノール(6.1%)、2−ペンタノール(6.9%)、4−ヒドロキシメチル−2−メチル−2−プロピル−1,3−ジオキソラン(環状ケタール)(6.7%)への選択率を示す。
【0100】
実施例33
3−ペンタノン/グリセリン
3−ペンタノン(8.61g、10.6mL、0.1モル)、グリセリン(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(5質量%、0.43g)を、パー反応器に仕込み、窒素でパージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで9時間、反応させる。GC分析は、3−ペンタノンの80.2%の転化率を示し、3−(3−ペントキシ)−1,2−プロパンジオール(40.7%)、1,3−ジ−(3−ペントキシ)−2−プロパノール(0.5%)、4−ヒドロキシメチル−2,2−ジエチル−2−1,3−ジオキソラン(環状ケタール)(31.4%)への選択率を示す。
【0101】
実施例34
グリセリンおよび触媒再利用
実施例23の反応を繰り返し、反応混合物を濾過せずにパー反応器から分液漏斗に移し、エーテル(50mL×10)で抽出する。触媒を含むグリセリン相(96.6g)は、同一の条件下での第二の水素化分解のために用いられる。6時間後、GC分析は、n−バレルアルデヒドの完全な消費、およびグリセリンモノエーテル 3−ペントキシ−1,2−プロパンジオールおよび2−ペントキシ−1,2−プロパンジオール(64.3%)、グリセリンジエーテル 1,3−ジペントキシ−2−プロパノールおよび2,3−ジペントキシ−1−プロパノール(5.2%)、n−ペンタノール(18%)、ジ−n−ペンチルエーテル(0.9%)の形成を示す。
【0102】
実施例35
レブリン酸およびエチレングリコール
レブリン酸(8.7g、7.7mL、0.075モル)、無水エチレングリコール(93.15g、83.7mL、1.5モル)、およびオールドリッチ製10%Pd/C 1.74g(レブリン酸に対して20質量%)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで20時間、反応させる。GC分析は、反応が完了していることを示す。過剰のエチレングリコールを80℃で0.2mmHgで蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーでシリカゲルおよびヘキサン−酢酸エチル3:1〜1:2を用いて分離し、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ペンタン酸2−ヒドロキシエチル13.10gを単離する。
H NMR(δ,ppm,CDCl):1.09d(3H,CH),1.76m(2H,CH),2.38m(2H,CH),3.3−3.75m(8H,CHO,OH,CH),4.0−4.25m(COOCH)。13C NMR(δ,ppm,CDCl):19.73(CH);31.12,32.20(CHCH);60.81,62.08,66.22,70.16(OCHCHO),75.42(CH),174.48(COO)。質量スペクトル:m/e 206(M)。副生成物は、γ−バレロラクトンと3−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)プロパン酸2−ヒドロキシエチルおよび4−オキソペンタン酸2−ヒドロキシエチルであると確認される。
【0103】
実施例36
レブリン酸および1,3−プロパンジオール
レブリン酸(11.6g、0.1モル)、1,3−プロパンジオール(67.6g、0.89モル)、およびオールドリッチ製10%Pd/C 2.32g(レブリン酸に対して20質量%)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで20時間、反応させる。GC分析は、反応が完了していることを示す。1,3−プロピレングリコールを58〜59℃/0.1mmで蒸留し、所望の単量体を79%含む粗生成物14.7gを得る。粗生成物(1.0g)をクロマトグラフィーでシリカゲルおよびヘキサン−酢酸エチル3:1〜1:1を用いて分離し、4−(3−ヒドロキシプロポキシ)ペンタン酸3−ヒドロキシプロピル約0.62gを単離する。H NMR(δ,ppm,CDCl):1.07d(3H,CH),1.66−1.80m(6H,CH),2.31m(2H,CHCO),3.1(broad,2H,OH),3.39m(2H,CHO),3.57m(5H,2×CHOH,CH),4.11m(2H,COOCH)。13C NMR(δ,ppm,CDCl):19.69(CH);30.67,31.85,31.88;32.68(CH基);59.02,61.21,61.70,67.06(CHO基),74.97(CH),174.15(COO)。質量スペクトル:m/e 234(M)。
【0104】
実施例37
レブリン酸および1,4−ブタンジオール
レブリン酸(11.6g、0.1モル)、1,4−ブタンジオール(81.1g、0.9モル)、およびオールドリッチ製10%Pd/C 2.32g(レブリン酸に対して20質量%)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら230℃に加熱し、水素1000psiで16時間、反応させる。GC分析は、反応が完了していることを示す。1,4−ブタンジオールを75〜80℃/0.1mmで蒸留し、粗生成物19.1gを得る。この粗生成物の一部をクロマトグラフィーでシリカゲルおよび塩化メチレン−エタノール12:1を用いて分離し、4−(4−ヒドロキシブトキシ)ペンタン酸4−ヒドロキシブチルの分析試料を調製する。H NMR(δ,ppm,CDCl):1.12d(3H,CH),1.62−1.80m(10H,CH),2.36t(2H,CHCO),2.0−2.6(broad,2H,OH),3.42m(3H,CHO,CH),3.63m(4H,2×CHOH),4.08m(2H,COOCH)。13C NMR(δ,ppm,CDCl):19.46(CH);25.17;27.02;29.22;30.18;30.39;31.61(CH基);62.18;62.59;64.21;68.40(CHO基),74.48(CH),173.56(COO)。質量スペクトル:m/e 262(M)。
【0105】
実施例38
レブリン酸およびジエチレングリコール
レブリン酸(11.6g、0.1モル)、ジエチレングリコール(63.6g、0.6モル)およびオールドリッチ製10%Pd/C 2.32g(レブリン酸に対して20質量%)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら230℃に加熱し、水素1000psiで65時間、反応させる。GC分析は、反応が完了していることを示す。ジエチレングリコールを70〜72℃/0.06mmで蒸留し、粗生成物15.6gを得、それを、クロマトグラフィーで、シリカゲルを用い、まず純粋な塩化メチレンを使用して、次いで塩化メチレン−メタノール30:1を使用して、分離し、4−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)ペンタン酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル6.9gを単離する。H NMR(δ,ppm,CDCl):1.16d(3H,CH),1.81m(2H,CH),2.46m(2H,CHCO),3.1(broad,2H,OH),3.50m(3H,CHO,CH),3.61m(14H,7CHO),4.25m(2H,COOCH)。13C NMR(δ,ppm,CDCl):19.30(CH);30.01;31.27(CH基);61.38;61.54;63.22;67.64;68.88;70.48;72.33;72.37(CHO基)、74.68(CH)、173.57(COO)。質量スペクトル:m/e 294(M)。
【0106】
実施例39
再生可能なカルボニル化合物およびテトラ(エチレングリコール)
trans−シンナムアルデヒド(3.30g、3.15mL、0.025mol)、テトラ(エチレングリコール)(97.1g、86.3mL、0.5mol)および10%Pd/C 0.17g(アルデヒドに対して5質量%)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで20時間、反応させる。GC分析は、アルデヒドの転化の完了、およびより高い保持時間を有する新しいピークの形成を示す。混合物を水で希釈(1:1)し、エーテル(50mL×10)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥する。その後、エーテルを蒸発させ、粗生成物6.35gを得、それをクロマトグラフィーでシリカゲルおよびヘキサン−酢酸エチル7:3〜1:1を用いて分離する。純粋な生成物(下記の構造)の収量は3.55gである。生成物はHおよび13C NMRによって特徴づけられる。
【0107】
【化6】

【0108】
実施例40
再生可能な物質からのグリセリルエーテル
trans−シンナムアルデヒド(13.2g、12.6mL、0.1モル)、グリセロール(92.09g、73.7mL、1モル)および10%Pd/C(0.66g、アルデヒドに対して5質量%)を、パー反応器に仕込み、窒素で3回パージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで20時間、反応させる。GC分析は、アルデヒドの完全な消費を示す。混合物を濾過し、生成物をエーテル(50mL×5)で抽出し、混合されたエーテル溶液を、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーでシリカゲルおよびヘキサン−酢酸エチル5:1〜1:1を用いて分離し、モノエーテル(純度95%)4.6gを得る。この生成物は、3−(3−フェニルプロピル)−1,2−プロパンジオールと3−(3−シクロヘキシルプロピル)−1,2−プロパンジオールのほぼ2:1の混合物である。この混合物の個々の成分は、第二のカラムクロマトグラフィーによって分離され、Hおよび13C NMRによって特徴づけられる。
【0109】
【化7】

【0110】
実施例41
ジアルデヒドおよびエチレングリコール
1,3−および1,4−ジシクロヘキサンジカルボキサルデヒド(7.0g、0.05モル)のほぼ1:1の混合物、エチレングリコール(62.1g、1モル)および10%Pd/C 0.35g(ジアルデヒドに対して5質量%)を、パー反応器に仕込み、窒素でパージし、攪拌しながら200℃に加熱し、200℃および1000psiで4時間、水素と反応させる。GC分析は、ジアルデヒドの完全な消費および生成物の形成を示す。混合物を濾過し、溶液をエーテル(50mL×10)で抽出し、混合されたエーテル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発させ、残渣(13.2g)をクロマトグラフィーでシリカゲルおよびヘキサン−酢酸エチル5:1を用いて分離し、生成物を(4つの異性体として)得る。
【0111】
【化8】

【0112】
実施例42
立体的に込み合った2,6−ジメチル−4−ヘプタノンとエチレングリコール
2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(7.11g、0.05モル)、エチレングリコール(62.1g、1モル)、および10%Pd/C 0.36g(ケトンに対して5質量%)を、パー反応器に仕込み、窒素でパージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで22時間、反応させる。GC分析は、ケトンのおよそ50%が反応したことを示す。上相を分離し、下相をエーテル(50mL×5)で抽出する。エーテル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させ、粗生成物を得、それをクロマトグラフィーでシリカゲルおよびヘキサン−酢酸エチル10:1を用いて分離する。精製された生成物はNMRによって特徴づけられる。
【0113】
【化9】

【0114】
実施例43
立体的に込み合った2,6,8−トリメチル−4−ノナノンとエチレングリコール
2,6,8−トリメチル−4−ノナノン(4.61g、0.025モル)、エチレングリコール(31.0g、0.5モル)、および10%Pd/C 0.92g(ケトンに対して20質量%)を、パー反応器に仕込み、窒素でパージし、攪拌しながら200℃に加熱し、水素1000psiで20時間、反応させる。GC分析はケトン転化率74%を示す。水を加え(1:1)、系をエーテル(50mL×3)で抽出する。混合されたエーテル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーでシリカゲルおよびヘキサン−酢酸エチル9:1を用いて分離する。精製された生成物はNMRによって特徴づけられる。
【0115】
【化10】

【0116】
本発明をその好ましい実施態様に従って上に記載したが、本発明は、この開示の精神および範囲の中で修正することができる。したがって、この出願は、ここに開示された一般的な原理を用いて、本発明のいかなる変形、使用または改造も包含するように意図されている。さらに、この出願は、本開示からそのような逸脱を、本発明が属する技術の分野における既知または慣習的な慣行の範囲内に来るものとして、かつ次の特許請求の範囲内に入るものとして、包含するように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化触媒の存在下にポリオールおよびカルボニル化合物を水素と反応させてポリオールエーテルを生成させることを含むポリオールエーテルを製造する方法であって、カルボニル化合物に対するポリオールのモル比が5よりも大きく、カルボニル化合物が式I
C=O I
(式中、RおよびRは、独立に、H、C−C50アルキル、C−C50アルケニル、アリール−C−C50アルキル、アリール−C−C50アルケニル−またはC−C12シクロアルキルであるか、またはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒に、C−C12シクロアルキル環を形成し、そしてRおよびRのアルキル、アルケニル、アリールおよびシクロアルキル基は、−OH、ハロゲン、ジアルキルアミノ、およびC−Cアルキル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、エーテル、アルキニル、ジアルキルアミド、無水物、カーボネート、エポキシド、ラクトン、ラクタム、ホスフィン、シリル、チオエーテル、チオールおよびフェノールから独立に選択される1つ、2つまたは3つの基で置換されていてもよい。)
の化合物であることを特徴とする方法。
【請求項2】
カルボニル化合物に対するポリオールのモル比が少なくとも7であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリオールが式II
HO−[CHR−Q−CR−O]−H II
(式中、
は、出現毎に独立に、H、C−C20アルキル、アラルキル−、またはC−C12シクロアルキルであり、
およびRは、出現毎に独立に、H、C−C20アルキル、アラルキル−、またはC−C12シクロアルキルから選択され、
、RおよびRのアルキル、アリールおよびシクロアルキル基は、−OH、ハロゲン、アミノ、C−Cアルキル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、エーテル、アルキニル、ジアルキルアミド、無水物、カーボネート、エポキシド、ラクトン、ラクタム、ホスフィン、シリル、チオエーテル、チオールおよびフェノールから独立に選択される1つ、2つまたは3つの基で置換されていてもよく、
Qは、出現毎に独立に、共有結合であるか、または式L、X、L−X、X−LもしくはL−X−Lのスペーサー基であり、ここで、Lは、出現毎に独立に、C−C14アルキレン、C−C14ヘテロアルキレンまたはC−C14アルケニレンであり、そしてXはC−C12シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、ただし、アルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレンおよびヘテロアリーレンは、各々、−OH、−OCHR、ハロゲン、C−Cアルキル、ヒドロキシルアルキル、および−OCHRで置換されたC−Cアルキルから独立に選択される1つ、2つ、3つまたは4つの基で置換されていてもよく、そして
mは1〜2000の整数である。)
の化合物であり、式IIの化合物は少なくとも2つのヒドロキシ基を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポリオールエーテルが式III
CHO−[CHR−Q−CR−O]−H III
の化合物であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
およびRの少なくとも一方がHでないことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
およびRが、独立に、H、C−C22アルキルおよびアラルキル−から選択されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
がHまたはC−C20アルキルであることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
およびRの少なくとも一方がHであり、他方がHまたはC−C20アルキルであることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
Qが共有結合であることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項10】
QがC−C14アルキレンまたはC−C14ヘテロアルキレン(ただしアルキレンおよびヘテロアルキレン基は、1つ、2つ、3つまたは4つのヒドロキシ基で置換されていてもよい。)であることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項11】
mが1〜100の整数であることを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ポリオールエーテルが式
【化1】

【化2】

の化合物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ポリオールが再生可能な非石油系源から得られることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
【化3】

から選択される化合物。

【公表番号】特表2012−500849(P2012−500849A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525095(P2011−525095)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/054277
【国際公開番号】WO2010/027663
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】