説明

ポリシロキサンを含有するポリウレタンエラストマー組成物

【課題】少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオールおよび少なくとも1種のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られた軟質セグメントを含む、ポリウレタンエラストマー組成物を含む、改良された機械特性、透明性、加工性および/または耐崩壊性を有する材料を提供する。
【解決手段】約60〜約98重量%の少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオールおよび約2〜約40重量%の少なくとも1種のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られた軟質セグメントを含むポリウレタンエラストマー組成物およびその製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の用途、特に、生体組織または体液と接触する医療デバイス、製品またはインプラントの製造に有用とする、改良された特性を有する、ポリシロキサンを含有するポリウレタンエラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンエラストマーは、高い引張強度、良好な耐引裂性および耐摩耗性を含めた優れた機械特性並びに生体環境中における比較的に良好な安定性を有するセグメント化コポリマーの重要なクラスである。従って、ポリウレタンは心臓ペースメーカー、カテーテル、移植可能な人工器官、心臓援助装置、心臓弁および血管移植片のような医療インプラントに広く用いられている。セグメント化ポリウレタンの優れた機械特性は軟質セグメントと硬質セグメントのミクロ相分離により生じる2つの相のモルホロジーに起因する。長期間の医療インプラントにおいて用いるポリウレタンにおいて、軟質セグメントは、通常、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)のようなポリエーテルマクロジオールから形成されたものであり、一方、硬質セグメントは4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)のようなジイソシアネートおよび1,4−ブタンジオールのようなジオール連鎖延長剤から得られたものである。
【0003】
PTMOをベースとするポリウレタンは広い範囲の医療インプラントのために選択される材料であるが、幾つかの場合には、ポリウレタンは崩壊してインプラントの誤作動または不全を起こす。崩壊は、通常、表面もしくは深いクラッキング、脆化、エロージョン、または、曲げ強さのような機械特性の悪化の点で明らかになる1。このような崩壊を担う機構は環境応力クラッキング、特定の応力レベルでポリウレタンに作用する媒体により生じるクラックおよびクレーズの発生および金属イオン誘導酸化を含む。PTMOをベースとするエラストマー中のエーテル結合は崩壊の開始を最も受けやすいサイトであることが一般に受け入れられている2。豪州特許第657267号、米国特許第4,875,308号(Coureyら) 、米国特許第5,133,742号(Pinchuck) および米国特許第5,109,077号(Wick) の明細書に開示されているように、PTMOを排他的にベースとするポリウレタンを開発することにより、この問題を解決しようとしている。しかしながら、崩壊に対する耐性、機械特性、加工性および透明性の組み合わせは特定の用途に副次的に最適化されたものである。例えば、リード線の絶縁のためにペーシング産業において、低いジュロメータ硬度、高い可撓性、良好な加工性および崩壊に対する高い耐性を組み合わせたポリウレタンが必要であると長い間考えられてきた。上記の特許明細書において記載されたポリウレタンでは、可撓性およびショア硬度に対する下限があるようであり、この下限よりも低いと、耐崩壊性および/または機械特性が悪影響を受ける。
【0004】
ポリカーボネートマクロジオールもブロックおよびセグメント化コポリマー系、特に高性能ポリウレタンの合成において反応性成分として用いられてきた。ある範囲のビスヒドロキシアルキレン化合物をベースとするポリカーボネートマクロジオールの製造法はJP62,241,920(Toa Gosei Chemical Industry Co. Ltd)、JP64,01,726(Dainippon Ink and Chemicals, Inc.)、JP62,187,725(Daicel Chemical Industries, Ltd.)、DE3,717,060(Bayer A.G.) 、米国特許第4,105,641号(Bayer Aktiengesellschaft) 、米国特許第4,131,731号(Beatrice Foods Company) および米国特許第5,171,830号(Arco Chemical Technology) 明細書に開示されている。
【0005】
ポリシロキサンをベースとする材料、特に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)は低いガラス転移温度、良好な熱、酸化および加水分解安定性、低い表面エネルギー、良好な血液適合性および低い毒性のような性質を示す。この材料は、また、グルーイング、溶剤ウェルディング、同時押出または同時成形のような手順により、シリコーン部材と結合される改良された能力を示す。これらの理由から、生医学用途でPDMSは用いられてきた3,4。しかし、PDMSをベースとするポリマーは、一般に、制約があり、そして、長期の使用を意図した多くのタイプのインプラントに要求される耐引裂性、耐摩耗性および引張特性の必要な組み合わせを示さない。PDMSの安定性および生物学的性質を有するが、ポリウレタンの強度、耐摩耗性、加工性および他の物性を有するポリマーがあることが望まれるであろう。PDMSを含有するポリウレタンはこの要求を実現するものと考えられるが、今日まで、多くの実験にも係わらず、物理的特性および生物学的特性の最適な組み合わせを有する組成物は製造されていない。
【0006】
PDMSをポリウレタン中に取り込もうとする以前の試みはあまりうまくいかなかった5。Speckhard ら6はポリシロキサンと硬質セグメントとの溶解度パラメータが大きく異なるので、PDMSをベースとするポリウレタンは低い機械特性を有する非常に相分離された材料となるであろうということを示した。硬質セグメントと軟質セグメントとの極性の大きな相違の結果として、早期相分離が合成の間に起こり、それにより、組成の不均質性が生じ、そして低い分子量になるであろうと予測される。このことは実験により立証され、通常、PDMSをベースとするポリウレタンの引張強さおよび破断点伸び率はそれぞれ約7MPaおよび200%である6
【0007】
軟質のPDMS相と硬質セグメントとの間の界面付着力を増加させることに主眼を置いた、PDMSをベースとするポリウレタンの機械特性を改良する、幾つかの技術が文献中に報告されている。これらは、特定のポリエーテルもしくはポリエステルと混合させること7、(b)PDMSに極性官能基を導入すること、(c)PDMSとポリエーテルとのコポリマーを軟質セグメントとして使用すること、および、(d)硬質セグメントを改質すること、を含む。機械特性のほんのわずかな改良がこれらの技術を用いて観測された。
【発明の開示】
【0008】
従って、良好な機械特性を有する材料を生じるように、ポリウレタン構造の一部としてポリシロキサンセグメントを取り込むための方法を開発する必要がある。改良された生体適合性および安定性を有する材料を求める現在の要求は、ポリシロキサンを含有するポリウレタンの開発の根拠を与え、特に長期間インプラントされるときに崩壊に対して耐性である、ポリシロキサン含有ポリウレタンの開発の根拠を与える。
【0009】
本発明によると、ポリシロキサンマクロジオールおよびポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られた軟質セグメントを含むポリウレタンエラストマー組成物を含む、改良された機械特性、透明性、加工性および/または耐崩壊性を有する材料が提供される。
【0010】
ポリウレタンエラストマー組成物中に1種より多くのポリシロキサンマクロジオールおよびポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールが含まれていてよいことは理解されるであろう。
【0011】
本発明は、改良された機械特性、透明性、加工性および/または耐崩壊性を有する材料としての、上記に規定したポリウレタンエラストマー組成物の使用をも提供する。
【0012】
本発明は、改良された機械特性、透明性、加工性および/または耐崩壊性を有する材料として用いるときの上記に規定したポリウレタンエラストマー組成物をさらに提供する。
【0013】
改良された機械特性は、引張強さ、引裂強さ、耐摩耗性、ジュロメータ硬度、曲げ弾性率および可撓性に関連する測定値を含む。
【0014】
改良された崩壊に対する耐性は、フリーラジカル、酸化、酵素および/または加水分解プロセスに対する耐性および生体材料として移植されたときの崩壊に対する耐性を含む。
【0015】
改良された加工性は、溶剤キャスティングのようなキャスティング、および、押出成形および射出成形のような熱手段による加工の容易性を含み、例えば、押出後の低い粘着性および比較的にゲルを含まないこと、を含む。
【0016】
上記に規定したポリウレタンエラストマー組成物を含む、耐崩壊性材料も提供される。
【0017】
本発明のポリウレタンエラストマー組成物は、米国特許第4,875,308号明細書に開示されており、そしてポリウレタンPellethane 2363-80A(登録商標) で市販されている、より軟質のグレードのものよりも有意に改良された耐崩壊性を示す。それは、また、生体環境において、特に、長期間にわたってインビボで移植されたときに、良好な適合性および安定性を有する。
【0018】
本発明の別の態様によると、上記に規定したポリウレタンエラストマー組成物を含むインビボで耐崩壊性の材料が提供される。
【0019】
このポリウレタンエラストマー組成物は、また、生体材料としても用いられてよい。用語「生体材料」とは、本明細書中で用いるときに、その最も広い意味で用いられ、そして生きている動物または人間の細胞および/または体液と接触する状況で用いられる材料を指す。
【0020】
ポリウレタンエラストマー組成物は、それ故、医療デバイス、製品またはインプラントの製造に有用である。
【0021】
このように、本発明は上記に規定したポリウレタンエラストマー組成物から全体としてなるかまたはそれを一部に含む医療デバイス、製品またはインプラントをさらに提供する。
【0022】
ポリウレタンエラストマー組成物は医療デバイス、製品またはインプラント上のコーティングとして用いることができることは理解されるであろう。
【0023】
医療デバイス、製品またはインプラントは、心臓ペースメーカーおよび除細動器、カテーテル、カニューレ、移植可能な人工器官、心臓援助装置、心臓弁、血管移植片、体外装置、人工組織、ペースメーカーリード、除細動器リード、血液ポンプ、バルーンポンプ、A−Vシャント、バイオセンサー、細胞封入用膜、医薬輸送装置、傷ドレッシング、人工ジョイント、整形外科的インプラントおよび軟質組織代替物を含む。
【0024】
種々の医療デバイス、製品またはインプラントの製造における使用のために最適化された特性を有するポリウレタンエラストマー組成物は他の非医療用途をも有するものと理解されるであろう。このような用途は人工皮革、靴底、ケーブルシース、ワニスおよびコーティング;ポンプ、乗物等のための構造部品;採鉱スクリーンおよびコンベアベルト;例えば、グレージングのための積層用コンパウンド;テキスタイル;分離膜;シーラントまたは接着剤成分を含むことができる。
【0025】
このように、本発明はデバイスまたは製品の製造における、上記に規定したポリウレタンエラストマー組成物の使用にまで広がる。
【0026】
本発明は、また、上記に規定したポリウレタンエラストマー組成物から完全になるかまたはそれを一部に含むデバイスまたは製品をも提供する。
【0027】
本発明のポリウレタンエラストマー組成物の幾つかはそれ自体が新規である。これらの新規の組成物は予想外に改良された透明性、加工性、曲げ弾性率、機械特性、耐摩耗性、柔軟性および/または耐崩壊性を示し、それらの特性はこの組成物を広い範囲の用途に適切なものとする。
【0028】
このように、本発明は60〜98重量%、より好ましくは70〜90重量%のポリシロキサンマクロジオール、および、2〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られたマクロジオールを含むポリウレタンエラストマー組成物をも提供する。
適切なポリシロキサンマクロジオールはヒドロキシを末端とし、そして下記式(I)により示されるものを含む。
【0029】
【化1】

【0030】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は同一であるかまたは異なり、そして置換されていてよい、直鎖、枝分かれまたは環式の飽和もしくは不飽和の炭化水素基から選ばれ、そして、
nは1〜100の整数である)
好ましいポリシロキサンはPDMSであり、それは、R1〜R4がメチルであり、そしてR5およびR6が上記に規定の通りである式(I)の化合物である。好ましくは、R5およびR6は同一であるかまたは異なり、そしてプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル(−CH2CH2OCH2CH2CH2−)、プロポキシプロピルおよびブトキシプロピルから選ばれる。
【0031】
置換基R1、R2、R3およびR4のための炭化水素基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたは複素環式基を含むことができる。アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、それぞれ、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンであるべきであることを除いては、同様の基は置換基R5およびR6のために用いられてよいことが理解されるであろう。重複を避けるために、以下において、アルキル、アルケニルおよびアルキニルのみの詳細な規定を示す。
【0032】
用語「アルキル」は直鎖、枝分かれまたは単環もしくは多環式アルキルを意味し、好ましくはC1-12アルキル若しくはシクロアルキルである。直鎖および枝分かれのアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル、secアミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ペンチル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−または5−エチルヘプチル、1−、2−または3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−または6−エチルオクチル、1−、2−、3−または4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−または5−プロピルオクチル、1−、2−または3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−または6−プロピルノニル、1−、2−、3−または4−ブチルオクチル、1,2−ペンチルヘプチル等を含む。環式アルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルおよびシクロデシル等を含む。
【0033】
用語「アルケニル」とは、直鎖、枝分かれ、または、単環式もしくは多環式アルケンから形成された基を意味し、エチレン系モノもしくはポリ不飽和の上記のようなアルキルもしくはシクロアルキル基を含み、好ましくはC2-12アルケニルである。アルケニルの例はビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル、1,3,5,7−シクロオクタテトラエニル等を含む。
【0034】
用語「アルキニル」とは、直鎖、枝分かれ、または、単環式もしくは多環式アルキンから形成された基を意味する。アルキニルの例は、エチニル、1−プロピニル、1−および2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、10−ウンデシニル、4−エチル−1−オクチン−3−イル、7−ドデシニル、9−ドデシニル、10−ドデシニル、3−メチル−1−ドデシン−3−イル、2−トリデシニル、11−トリデシニル、3−テトラデシニル、7−ヘキサデシニル、3−オクタデシニル等を含む。
【0035】
用語「アリール」とは、単核もしくは多核の共役されておりそして縮合された芳香族炭化水素の残基を意味する。アリールの例は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クォーターフェニル、フェノキシフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル等を含む。
【0036】
用語「複素環式(ヘテロサイクリル)」とは、窒素、硫黄および酸素から選ばれた少なくとも1個のヘテロ原子を含む、単環式もしくは多環式の複素環式基を意味する。適切な複素環式基は、N−含有複素環式基、例えば、1〜4個の窒素原子を含む不飽和の3〜6員環のヘテロモノ環式基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリルまたはテトラゾリル;1〜4個の窒素原子を含む、飽和の3〜6員環のヘテロモノ環式基、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノまたはピペラジニル;1〜5個の窒素原子を含む、不飽和の縮合複素環式基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリルまたはテトラアゾロピリダジニル;酸素原子を含む、不飽和の3〜6員環のヘテロモノ環式基、例えば、ピラニルまたはフリル;1〜2個の硫黄原子を含む、不飽和の3〜6員環のヘテロモノ環式基、例えば、チエニル;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む、不飽和の3〜6員環のヘテロモノ環式基、例えば、オキサゾリル、イソオキサゾリルまたはオキサジアゾリル;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む、飽和の3〜6員環のヘテロモノ環式基、例えば、モルホリニル;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む、不飽和の縮合ヘテロ環式基、例えば、ベンズオキサゾリルまたはベンズオキサジアゾリル;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む、不飽和の3〜6員環のヘテロモノ環式基、例えば、チアゾリルまたはチアジアゾリル;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む、飽和の3〜6員環のヘテロモノ環式基、例えば、チアジアゾリル;および、1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む、不飽和の縮合ヘテロ環式基、例えば、ベンゾチアゾリルまたはベンゾチアジアゾリルを含む。
【0037】
本明細書中において、「置換されていてよい」とは、基が、酸素、窒素、硫黄、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロサイクリル、アジド、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、ヘテロサイクリル、ヘテロシクロオキシ、ヘテロサイクリルアミノ、ハロヘテロサイクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ等から選ばれた1個以上の基によりさらに置換されていてもよいしまたは置換されていなくてもよいことを意味する。
【0038】
ポリシロキサンマクロジオールはShin Etsu からX-22-160ASのような市販製品として得るかまたは既知の手順8により製造されることができる。ポリシロキサンマクロジオールの好ましい分子量範囲は好ましくは約200〜約6000であり、より好ましくは約400〜約1500である。この好ましい分子量範囲に該当するポリシロキサンマクロジオールを有するポリウレタンエラストマー組成物は特に改良された透明性および機械特性を示す。
【0039】
適切なポリエーテルマクロジオールは、下記式(II)により示されるものを含む。
HO−〔(CH2m−O〕n−H (II)
(式中、mは4以上の整数であり、好ましくは5〜18であり、そして、
nは2〜50の整数である)。
mが5以上である式(II)のポリエーテルマクロジオール、例えば、ポリヘキサメチレンオキシド(PHMO)、ポリヘプタメチレンジオール、ポリオクタメチレンオキシド(POMO)およびポリデカメチレンオキシド(PDMO)は従来のPTMOよりも好ましい。これらのポリエーテルは、その疎水性のために、PDMSマクロジオールと、より混和性であり、そして組成的に均質であり、高い分子量を有し、そして改良された透明性を示すポリウレタンを生じる。
【0040】
特に好ましい態様において、ポリウレタンエラストマー組成物はポリシロキサンマクロジオールおよび上記の式(II)のポリエーテルマクロジオールから得られた軟質セグメントを含む。
【0041】
ポリエーテルマクロジオールは、Gunatillake らにより記載された手順9により製造されうる。この引用文献中に記載されているPHMOのようなポリエーテルはPTMOよりも疎水性であり、そしてポリシロキサンマクロジオールと、より相溶性である。ポリエーテルマクロジオールの好ましい分子量範囲は約200〜約5000であり、より好ましくは約200〜約1200である。
【0042】
適切なポリカーボネートマクロジオールはポリ(アルキレンカーボネート)、例えば、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)およびポリ(デカメチレンカーボネート);アルキレンカーボネートと、アルカンジオール、例えば、1,4−ブタンジオール、1,10−デカンジオール(DD)、1,6−ヘキサンジオール(HD)および/または2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール(DEPD)とを反応させることにより製造されたポリカーボネート;および、アルキレンカーボネートと、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD)および/またはアルカンジオールとを反応させることにより製造された珪素をベースとするポリカーボネートを含む。
【0043】
ポリエーテルマクロジオールおよびポリカーボネートマクロジオールの両方が含まれるときには、それらは混合物の形態であるかまたはコポリマーの形態であってよいものと理解されるであろう。適切なコポリマーの例は、下記式(III)のコポリ(エーテルカーボネート)マクロジオールである。
【0044】
【化2】

【0045】
(式中、R1およびR2は同一であるかまたは異なり、そして、置換されていてよい、直鎖、枝分かれもしくは環式の飽和もしくは不飽和の炭化水素基から選ばれ、そしてmおよびnは1〜20の整数である)。
【0046】
上記の式(III)の化合物はカーボネートおよびエーテル基のブロックを示しているが、それらは主鎖構造中においてランダムに分布していてよいことは理解されるであろう。
【0047】
本発明のポリウレタンエラストマー組成物はいずれかの適切な既知の技術により製造されうる。好ましい方法は、ポリシロキサンマクロジオール、ポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオール並びに連鎖延長剤を混合し、この混合物をジイソシアネートと反応させることを含む。初期成分は、好ましくは約45〜約100℃の範囲の温度で混合され、より好ましくは約60〜80℃の範囲の温度で混合される。所望ならば、合計成分を基準として約0.001〜約0.5重量%のレベルのジブチル錫ジラウレートのような触媒を初期成分に添加してよい。混合は従来の装置において行われても、または、反応性押出機もしくは連続反応性射出成形機の内部(confines) で行われてもよい。
【0048】
または、ポリウレタンは、ジイソシアネートとポリシロキサンおよびポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールとを反応させて、末端に反応性のジイソシアネート基を有するプレポリマーを形成させることを含むプレポリマー法により製造されてよい。このプレポリマーは、その後、連鎖延長剤と反応される。
【0049】
このように、本発明のポリウレタンエラストマー組成物は、
(i)(a)ポリシロキサンマクロジオール、および、
(b)ポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオール、を含むマクロジオール、
(ii)ジイソシアネート、および、
(iii)連鎖延長剤、
の反応生成物を含むものとしてさらに規定されうる。
【0050】
好ましくは、ジイソシアネートは4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアネート(p−PDI)、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート(CHDI)またはシスおよびトランス異性体の混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(DICH)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)またはその異性体またはその混合物、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI)およびm−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)から選ばれる。MDIは特に好ましい。
【0051】
連鎖延長剤は好ましくは1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンおよび1,12−ドデカンジオールから選ばれる。1,4−ブタンジオールは特に好ましい。
【0052】
ここで上記に記載された方法は、一般に早期相分離を生ぜず、そして組成的に均質でありかつ透明であり、高い分子量を有するポリマーを生じる。これらの方法は、合成の間に軟質セグメントおよび硬質セグメントが相溶性であることを確保するために溶剤を全く使用する必要がない、という利点をも有する。
【0053】
本発明による、ポリシロキサンセグメントを取り込む更なる利点は、加工用ワックスを添加する必要なく、従来の方法、例えば、押出成形、射出成形および圧縮成形によりポリウレタンを加工することが比較的に容易であることである。しかしながら、所望ならば、従来のポリウレタン加工用添加剤、例えば、ジブチル錫ジラウレート(DBTL)、酸化第一錫(SO)、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデス−7−エン(DABU)、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン(tetrabutyldistannoxane) (DTDS)、1,4−ジアザ−(2,2,2)−ビシクロオクタン(DABCO)、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン(TMBD)およびジメチル錫ジラウレート(DMTD)のような触媒、Irganox(登録商標) のような酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスフィット(TNPP)のようなラジカル禁止剤、安定剤、Irgawax(登録商標) のような潤滑剤、染料、顔料、無機および/または有機充填剤、および、補強材料は製造の間にポリウレタン中に混入されてよい。このような添加剤は好ましくはマクロジオール混合物に添加される。
【0054】
ポリシロキサンマクロジオール、ポリエーテルマクロジオール、ジイソシアネートおよび連鎖延長剤は特定の好ましい割合で含まれてよい。組成物中のジイソシアネートおよび連鎖延長剤の好ましいレベルは約30〜約60重量%であり、より好ましくは約30〜約50重量%であり、最も好ましくは約40重量%である。ポリシロキサン対ポリエーテルおよび/またはポリカーボネートの重量比は、1:99〜99:1であってよい。耐崩壊性および安定性を向上させるポリシロキサン対ポリエーテルおよび/またはポリカーボネートの特に好ましい重量比は80:20である。
【0055】
特に好ましいポリウレタンエラストマー組成物は80重量%のPDMSおよび20重量%のPHMOまたはPTMOから得られる軟質セグメントおよびMDIおよびBDOから得られる硬質セグメントを含む。
【0056】
本発明は次の実施例を参照してさらに説明されるであろう。これらの例はいかようにも本発明を制限するものと解釈されない。
例において、添付の図面が参照される。
【0057】
例1
それぞれ種々の割合のPDMS/PHMOおよびPDMS/PTMOを含む2つのシリーズのポリウレタン組成物を1工程の塊重合手順により製造した。0.1重量%のトリス(ノニルフェニル)ホスフィット(TNPP)を含む、α,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(Shin Etsu 製品 X-22-160AS 、Mw 947.12)(PDMS)を真空下(0.1トル)で15時間、105℃で乾燥させた。Gunatillake ら9および米国特許第5,403,912号明細書に記載された手順により製造されたポリ(ヘキサメチレンオキシド)(PHMO)を130℃で真空下(0.1トル)で4時間乾燥させ、それは0.1重量%のTNPP(PHMO重量を基準として)を含んだ。PHMOの分子量は851.54であった。ポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO、DuPontからのTetrathane 1000 (登録商標)) を105℃で真空下(0.1トル)で15時間乾燥させ、それは0.1重量%のTNPP(PTMOの重量を基準として)を含んだ。
【0058】
PDMS/PHMOポリウレタンの次の製造は1工程の塊重合のための一般手順の例である。他のPDMS/PHMOの比およびPDMS/PTMOポリウレタンは同様に調製した。
【0059】
乾燥したPDMS(120.0g)、PHMO(30.00g)および1,4−ブタンジオール(15.94g)の混合物を500mlのポリプロピレンビーカー中に入れ、そしてこのビーカーを炉内で80℃で1.5時間、真空下(2トル)に入れることにより脱気した。60℃の溶融したMDI(84.06g)をヒュームフード中で100mlポリプロピレンビーカー中に計量した。このポリオール混合物を、触媒であるジブチル錫ジラウレート(0.0125g)の添加後に窒素下にて70℃に放冷した。その後、MDIを、ステンレススチール製スパチュラを用いて急速に攪拌しながら素早く添加した。最初に曇っていた混合物は約10秒後に混合とともに透明になった。この粘性の混合物をテフロン(登録商標)コーティングした金属トレー上に素早く注ぎ、そして炉内で100℃で窒素下に硬化させた。4時間後に加熱を止め、そしてポリウレタンのシートを約15時間にわたって周囲温度に放冷した。
【0060】
上記の通りに製造した2つのシリーズのポリウレタンは0、20、40、60、80および100重量%のPDMSをマクロジオール混合物中に含んだ。
【0061】
各ポリウレタン組成物の熱加工性を1軸スクリューブラベンダー押出機を用いて薄いフィルム(0.2mm厚さ)に押出成形することにより評価した。全てのポリウレタンを押出前に85℃において窒素下にて一晩乾燥させた。ポリウレタンの押出成形性はフィルムの透明性、溶融強度、押出後の粘着性、外観(「ゲル」または他の粒状物の存在)および加工温度の変化に対する感受性を観測することにより評価した。
【0062】
PHMOシリーズにおいて、80%のPDMSおよび20%のPHMOを含むマクロジオール混合物から製造された組成物は最適の加工性を示した。100%のPDMSの組成物も良好に押出しされたが、高レベルの「ゲル」状粒子をフィルム中に示し、そして表面は粗い感触であった。それは、また、以下に議論されるような劣った機械特性をも有した。20、40および60%のPDMSを含むマクロジオール混合物を含むポリウレタンから製造されたフィルムは80%のPDMSの組成物から製造されたフィルムよりも劣った透明性を有した。
【0063】
PDMS/PTMOシリーズの押出成形性は、一般に、PHMOシリーズと比較して劣っていた。特に、低いPDMS含有率(20%および40%)を有する組成物は低い溶融強度を示し、そしてフィルムは透明でなかった。80%のPDMSを含むマクロジオールから製造された組成物は良好な透明性を有するフィルムを生じ、全体としてPTMOシリーズの中で最も良好であった。80%PDMS/20%PHMO類似体は、しかしながら、加工性において、より優れていた。
【0064】
100、80、50および20重量%のPDMSを含む、2つのシリーズ(PDMS/PHMOおよびPDMS/PTMO)のポリウレタン組成物の耐崩壊性を3か月間のヒツジの移植実験により評価した。
【0065】
各ポリウレタン組成物を、Pellethane (登録商標)2363-80A および2363-55Dとともに、0.5mmの厚さのシートに圧縮成形した。ダンベル状の形状の試料をシートから切り取り、そしてポリ(メチルメタクリレート)ホルダーで延伸した。これにより、中心部がその初期長さの250%の歪みを受けた。ポリプロピレン縫合は各試料の中心部の周囲を強固に結合した。これにより、試料において局所的な応力の増加が生じた。この試験法は環境応力クラッキングによる生分解性に対する耐性を評価する手段を提供する。
【0066】
ホルダーに取り付けられた試料をエチレンオキシドにより滅菌し、そしてオトナの雑種の虚勢されたヒツジの背面の胸腰領域の皮下脂肪組織に移植した。
【0067】
3か月後にポリウレタンを回収した。付着した組織を注意深く解剖し、試料を0.1MのNaOH中に周囲温度で2日間ソーキングし、次いで、脱イオン水でリンスすることにより洗浄した。その後、試料を乾燥し、そして走査型電子顕微鏡(SEM)によりピッティングまたはクラッキングの兆候に関して調べた。マクロジオールが80%または100%PDMSである組成物は最も良好な耐崩壊性を示した。2種の組成物および2種の市販のポリウレタンの代表的な走査型電子顕微鏡写真を図1〜6に示す。
【0068】
この例において製造されたポリウレタンの機械特性も評価した。
図7および8はPDMS/ポリエーテルマクロジオール混合物から製造されたポリウレタンの曲げ弾性率および引裂強度の変化を示す。
【0069】
下記の表1は、PDMS/PHMO混合物(80:20)から製造されたポリマーの引張特性および他の特性を、2種に市販の医療グレードのポリウレタンであるPellethane( 登録商標)2363-80A および2363-55Dの特性とともに示す。
【0070】
このデータは、約80/20の比のPDMS/PHMOでは、医療移植材料のために特に適切な生体安定性(耐崩壊性)、加工性および機械特性の組み合わせが達成されることを示す。
【0071】
【表1】

【0072】
例2
2つのシリーズのPDMS/PHMOおよびPDMS/PTMOをベースとするポリウレタン組成物を2工程の塊重合手順によっても製造した。PDMS(Shin Etsu 製品X-22-160AS、Mw 947.12)、PHMOおよびPTMOを実験の前に例1において記載した条件を用いて乾燥した。PDMS/PHMO(80/20 w/w)を含むポリウレタン組成物を製造するために用いられた次の手順は、この例の2つのシリーズのポリウレタンを製造するために用いた重合を例示する。
【0073】
MDI(28.30g)およびジブチル錫ジラウレート(0.004g)を、滴下漏斗、凝縮器および窒素インレットを装備した250ml反応フラスコ中に入れ、そして80℃に加熱してMDIを融解させた。10分間にわたって攪拌しながらPDMS(40.00g)を滴下漏斗を介してMDIに添加した。80℃での30分間の反応後、PHMO(10.00g)をこの混合物に添加し、反応を1時間続けた。得られたプレポリマーを70℃に放冷し、そして1,4−ブタンジオール(5.031g)をシリンジを用いて添加した。この混合物を15秒間攪拌し、その後、ポリマーをテフロン(登録商標)コーティングされたガラス布上に注ぎ、そして100℃で4時間硬化させた。同様の手順を用いて、100/0、60/40、20/80、10/90および0/100のPDMS/PHMO(w/w)を有する、さらに5つのポリウレタンを製造した。同様のシリーズをPTMOおよびPDMSでも製造した。
【0074】
両方のシリーズにおいて、80重量%のPDMSを含む組成物は、合成したままの材料および熱加工されたフィルムの透明性の点で最も良好であった。PDMS/PHMO(80/20)をベースとする組成物の極限引張強さおよび破断点伸び率はそれぞれ21MPaおよび330%であり、PDMS/PTMO(80/20)の組成物ではそれぞれ19および310%であった。100%PDMS(ポリエーテルマクロジオールを添加していない)をベースとする組成物はわずか14MPaの極限引張強さを有し、そして破断点伸び率は330%であった。
【0075】
例3
PDMS(Shin Etsu 製品X-22-160AS、Mw 947.12)およびPHMOを例1に記載した通りに乾燥させた。PHMO(520.0g、Mw856.8)、PDMS(130.0g、Mw970)、1,4−ブタンジオール(75.52g)、Irgawax (2.800g)、Irganox-1010(2.240g)およびジブチル錫ジラウレート(0.0560g、0.005%)を1L丸底フラスコに入れた。この混合物を80℃で2時間、真空下(2.0トル)で脱気させた。この混合物(350g)を1Lポリプロピレンビーカー中に計量し、そして窒素下にて70℃に放冷した。60℃で溶融したMDI(189.32)をこの混合物に素早く添加し、その後、それを10秒間攪拌した。最初に曇っていた溶液は透明になり、そしてそれを、テフロン(登録商標)でコーティングされたステンレススチール製トレー上に注ぎ、そして100℃で4時間、窒素下にて炉内で硬化させた。硬化したスラブは透明であり、うまく分散されていない添加剤の視覚的な証拠を示さず、従来の添加剤は組成物中に混入されうることを示した。42重量%および45重量%の硬質セグメントを含む2つの他の組成物も同様に製造した。これらの組成物に関する引張特性および分子量データを下記の表2に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
例4
MDI(28.65g)を、凝縮器、窒素インレットおよびメカニカルスターラーを装備した250ml反応フラスコに入れた。予備乾燥したPDMS(Shin Etsu 製品X-22-160AS、Mw 947.12)(PDMS)(10.00g)およびジブチル錫ジラウレート(0.004g)の混合物をMDIに添加し、そして30分間80℃で攪拌した。予備乾燥したPDMO(40.00g、Mw822.64)を、その後、添加し、そしてこの混合物をさらに90分間攪拌した。1,4−ブタンジオール(4.683g)をこの混合物に添加し、攪拌を15秒間続け、そしてポリマーを、テフロン(登録商標)によりコーティングされたガラス布で覆われたトレー上に素早く注ぎ、そして窒素下にて100℃で4時間硬化させた。ポリマーの分子量および多分散をそれぞれ41250および2.52であると決定した。引張特性を決定した:破壊応力(fail stress)29.43MPa、破壊歪み(fail strain) 435%、100%伸び率における応力13.6MPa、引張セット(tensile set)59%およびショア硬度A85。
【0078】
例5
従来のポリウレタン添加剤を含むかまたは含まないPDMS/PHMO(80/20)をベースとする4つのポリウレタン組成物を2工程の塊重合を用いて製造した。マクロジオール含有率を60重量%で一定に保ち、1.00および1.03のイソシアネートインデックスを有する2種の配合物を各々の添加剤を含まない組成物と添加剤を含む組成物について調製した。PDMS(Shin Etsu 製品X-22-160AS、Mw 947.1) およびPHMO(Mw 696.1) を0.1重量%のTNPPとともに例1に記載されるように乾燥させた。添加剤を含まない配合物では、2種のポリオールをTNPPを含まないで乾燥させた。
【0079】
添加剤を含む組成物:PDMS(540.00g)、PHMO(135.00g)、Irgawax (2.80g)およびIrganox 1010(2.240g)を2Lフラスコに入れ、そして真空下(0.1トル)にて80℃で2時間脱気した。MDI(367.62g)を、メカニカルスターラー、窒素インレットおよび滴下漏斗を装備した3L3つ口丸底フラスコに入れた。このフラスコを、70℃のオイルバス中に入れた。混合物を約30分間にわたって攪拌しながら、脱気したポリオール混合物(652.71g)を滴下漏斗からMDIに入れた。添加の完了後、混合物を80℃で90分間攪拌し、反応を完了させた。その後、プレポリマーを真空下(0.1トル)で80℃で30分間脱気し、そして490.0gの各々のプレポリマーを2つの1Lポリプロピレンビーカー中に計量した。それぞれ1.00および1.03のイソシアネートインデックスを有する2つのポリウレタン組成物を、1,4−ブタンジオール(それぞれ31.55および29.71g)をプレポリマー(490.00g)に添加することにより製造した。ポリウレタンを100℃で炉内で窒素下にて4時間硬化させた。
【0080】
添加剤を含まない組成物:それぞれ1.00および1.03のイソシアネートインデックスを有する2つのポリウレタン組成物を上記で用いたのと同一の手順により製造したが、添加剤のTNPP、Irgawax およびIrganox を配合物中に用いなかった。
【0081】
この例において製造した4つのポリウレタン組成物を一軸ブラベンダー押出機を用いて0.5mm厚さのリボンに押出した。全ての4つの材料は、従来の加工添加剤を含まなくても、透明でかつ均質なリボンを提供するように押出しされた。従来のポリウレタンとは異なり、全ての押出しされた材料は最少の押出後の粘着性を有し、その為、テープを容易に取り扱うことができた。押出しされたテープ並びに圧縮成形されたシートから打ち抜かれたダンベルとして試験した材料の引張特性を表3に示す。結果から判るように、特性の有意な差異はなく、従来の酸化防止剤および加工用ワックスを含まなかったにも係わらず、押出の間の崩壊を示さなかった。
【0082】
【表3】

【0083】
例6
PDMS/PHMO(80/20)、水素化MDI(H12MDI)および1,4−ブタンジオールをベースとするポリウレタン組成物を、1工程の塊重合手順を用いて製造した。ポリオールを例1に記載された手順により乾燥した。H12MDI(Aldrich)およびBDO(Aldrich)を用いた。
【0084】
PDMS(40.00g)、PHMO(10.00g)、BDO(5,595g)およびジブチル錫ジラウレート(0.008g)を200mLポリプロピレンビーカー中に計量し、そして窒素下にて80℃で2時間脱気した。溶融H12MDI(30.612g)を濡れた風袋計量されたポリプロピレンビーカー中に計量し、そして脱気したポリオール混合物に添加し、そして45秒間攪拌した。得られた透明な粘性のポリマーを窒素下にて炉内で100℃で12時間硬化させた。硬化したポリマーである透明でゴム状の材料は62460の数平均分子量および1.88の多分散を示した。このポリマーを180℃で1mmの厚さのシートに圧縮成形し、そしてインストロン引張試験機を用いて引張特性を試験した。このポリマーは24MPaの極限引張強さ、385%の破断点伸び率、33MPaのヤング弾性率、10MPaの100%伸び率における応力、64N/mmの引裂強さ、25MPaの曲げ弾性率および80Aのショア硬度を示した。
【0085】
例7
PDMS(Mw937.8)およびPTMO(Mw998.2)マクロジオールの混合物をベースとする、2種の添加剤を含まないポリウレタン組成物を2工程の塊重合手順を用いて製造し、高いPDMS含有率を有する組成物の加工性は優れていることを示した。2種の組成物はそれぞれPTMO中80および20重量%のPDMSをベースとするものであった。
【0086】
2種のポリオールを例1に記載されるように乾燥したが、TNPPを用いなかった。PDMS(400.0g、Mw937.8)およびPTMO(100g、Mw998.2)を2Lフラスコに入れ、そして真空下(0.1トル)にて80℃で2時間脱気した。溶融したMDI(267.2g)を、メカニカルスターラー、窒素インレットおよび滴下漏斗を装備した3L3つ口丸底フラスコに入れた。その後、このフラスコを70℃のオイルバスに入れた。脱気したポリオール混合物(473.5g)を滴下漏斗からMDIに添加し、その間、混合物を約30分間攪拌した。添加を完了した後に、窒素下に攪拌しながら90分間80℃で混合物を加熱した。真空下(0.1トル)にて脱気した後のプレポリマーを2Lポリプロピレンビーカー中に計量した(715.00g)。1,4−ブタンジオール(46.79g)をプレポリマーに素早く添加し、そして1分間完全に攪拌し、そしてテフロン(登録商標)コーティングした金属パンの上に注ぎ、それを窒素下にて炉内で100℃で4時間硬化させた。
【0087】
第二のポリウレタン組成物を同様の手順を用いて製造したが、PTMO(400.0g)、PDMS(100.0g)、MDI(280.86g)および1,4−ブタンジオール(52.472g)を用いた。2種のポリウレタンを一軸ブラベンダー押出機を用いて約0.8mmの厚さのテープに押出した。マクロジオール中20%のPDMSを含むポリウレタン組成物から押出しされたテープは不透明であったが、80%のPDMSを含む組成物は非常に透明なテープを製造した。薄いテープを製造するために引落比を増加させることまたは加工温度を変化させることは前者のケースにおけるテープの透明性に有意な改良を生じさせなかった。両者の場合に、最適な加工温度はそれぞれゾーン1、ゾーン2、ゾーン3およびダイにおいて150℃、175℃、203℃および205℃であった。
【0088】
押出しされたフィルムの透明性をガードナーヘーズメータ(モデルNo.UX10)を用いて評価し、そしてその結果を、比較のための透明ガラスおよびパラフィルムの結果とともに表4に要約する。これらの結果は、本発明のより好ましい組成物であるPTMO/PDMS(20/80)をベースとするポリウレタン組成物はガラスに匹敵する透明性を有するフィルムを生じることを明らかに示した。他方、PTMO/PDMS(80/20)をベースとするPUから得られたフィルムは透明ではなかった。
【0089】
【表4】

【0090】
例8
PDMS(Mw937.8)と低い分子量のPHMO(Mw529.0)およびPTMO(Mw660.4)の各々を50/50(w/w)の組成で用いて2種のポリウレタン組成物を製造した。これらのポリウレタンは添加剤または触媒を全く含まなかった。
【0091】
マクロジオールを例1に記載した手順を用いて乾燥させ、そして2種のポリウレタンを例7に記載したのと同様の2工程の塊重合手順により製造した。最初にPDMS(200.00g)およびPHMO(200.00g)とMDI(237.07g)とを反応させて、80℃でプレポリマーを形成させることによりPHMO/PDMSポリウレタンを製造した。得られたプレポリマー(574.70g)を、その後、BDO(26.69)と混合し、そして窒素下にて100℃で4時間硬化させた。同様に、PDMS(200.00g)、PTMO(200.00g)、MDI(232.05)およびBDO(34.62g)を反応させることによりPTMO/PDMSポリウレタンを製造した。
【0092】
2種のポリウレタンを1軸ブラベンダー押出機を用いて約0.8mmの厚さのテープに押出した。マクロジオール中にPTMOを含むポリウレタン組成物から押出しされたテープは不透明であったが、PHMOをベースとする材料は非常に透明なテープを製造した。薄いテープを製造するために引落比を増加させることまたは加工温度を変化させることは前者のケースにおけるテープの透明性の有意な改良を生じさせなかった。両方の場合に、最適押出機加工温度はゾーン1、ゾーン2、ゾーン3およびダイにおいて、それぞれ150℃、175℃、203℃および205℃であった。
【0093】
押出機フィルムの透明性をガードナーヘーズメータ(モデルNo.UX10)を用いて評価し、その結果を、比較のための透明なガラスおよびパラフィルムの結果とともに表5に要約する。結果は、PHMOをベースとするポリウレタンはPTMOをベースとするポリウレタンよりも有意に透明であることを示した。
【0094】
【表5】

【0095】
例9
当業界において用いられている一定の一般的な触媒を用いて1工程塊重合手順において8種のポリウレタンを製造し、その触媒効果を試験した。
【0096】
調査した触媒はオクタン酸第一錫(SO)、ジブチル錫ジラウレート(DBTD)、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデス−7−エン(DABU)、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン(tetrabutyldistannoxane)(DTDS)、1,4−ジアザ−(2,2,2)−ビシクロオクタン(DABCO)、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン(TMBD)およびジメチル錫ジラウレート(DMTD)を含んだ。
【0097】
PDMS(360.0g、Mw940.3)、PHMO(90.0g、Mw696.1)および1,4−ブタンジオール(45.49g)を1L丸底フラスコ中で真空下(2トル)で80℃で1.5時間脱気した。各触媒(0.005g、合計重量の0.008重量%)を40.0gのポリオール混合物を含んでいる別個の200mLポリプロピレンビーカー中に計量し、そして窒素下にて70℃の炉内に入れた。70℃の溶融したMDI(20.55g)を濡れた風袋計量されたビーカー中に計量し、そしてポリオール混合物に添加し、そして攪拌した。反応混合物中の温度増加を、チャートレコーダーに連結したビーカー中の熱電対を配置することによりモニターした。各触媒の効果を反応ゲル化時間、初期温度上昇速度およびポリマーの分子量、並びに最終製品の透明性を測定することにより評価した。結果を表6に要約する。
【0098】
【表6】

【0099】
結果は、1工程手順を用いて透明なポリウレタン組成物を製造するために最も有効な触媒はジブチル錫ジラウレート(DBTD)、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン(DTDS)およびジメチル錫ジラウレート(DMTD)であることを示す。
【0100】
例10
3種のポリウレタン組成物は、それぞれ45℃、60℃および80℃の初期混合温度において、1工程の触媒される重合によって製造した。PDMS(Mw969.7、480.00g)、PHMO(Mw821、120.00g)、BDO(63.42g)、Irgawax-280 (2.5g)、Irganox-1010(2.0g)およびジブチル錫ジラウレート(0.1g)を1L丸底フラスコに入れ、そして真空下(2トル)で90分間、80℃で脱気した。脱気されたポリオール混合物(658.50g)は1Lポリプロピレンビーカー中に計量した。ポリオール混合物およびMDIを80℃で平衡させた後に、MDI(337.80g)をポリオール混合物に素早く添加し、そして攪拌した。このポリマーをテフロン(登録商標)によりコーティングされた金属パンに注ぎ、そして窒素循環炉内で100℃で4時間硬化させた。同様に、2種の他の組成物をそれぞれ45℃および60℃でポリオール混合物およびMDIを平衡させることにより製造した。60℃および80℃で重合中の反応混合物は混合の間に透明な溶液となったが、45℃で重合したものは曇ったままであった。
反応ゲル化時間、生じたポリマーの透明性および硬化したポリウレタンの数平均分子量を表7に示す。
【0101】
【表7】

【0102】
例11
この例において、触媒されない1工程重合を幾つかの異なる初期混合温度で(50〜110℃の温度範囲)行い、組成的に均質であり、透明であり、そして良好な機械特性を有するポリウレタンを製造するためには特定の反応条件が要求されることを示した。
【0103】
PDMS(200.00g)、PHMO(50.00g)およびBDO(26.038g)を500mLフラスコ中において混合し、真空下(0.2トル)にて90分間、80℃で脱気した。ポリオール混合物(35.00g)を各々5つの100mLポリプロピレンビーカー中に計量し、そして70℃の炉内に入れた。ポリオール混合物およびMDIを所望の初期反応温度に平衡させた後に、MDI(17.83g)を素早く添加し、そして攪拌した。反応ゲル化時間および形成されたポリマーの透明性を記録した。ポリマーを窒素循環炉内で100℃で4時間硬化させた。50℃、70℃、90℃および100℃の初期反応温度のものを調べた。比較のために、70℃の初期反応温度で、ジブチル錫ジラウレート触媒(0.005%レベル)を用いて対照実験も行った。結果を表8に要約する。触媒される重合において得られたポリマーを除いて、全ての他のポリマーは脆く、そして低い分子量であった。
【0104】
【表8】

【0105】
例12
硬質セグメントの百分率を変更した4種のポリウレタン組成物を例1に記載したのと同様の1工程重合手順を用いて製造した。PDMS(Shin Etsu 製品X-22-160AS、Mw962.2)を真空下(0.1トル)で105℃で15時間乾燥させ、一方、PHMO(Mw694.8)を真空下(0.1トル)で135℃で4時間乾燥させた。
45重量%の硬質セグメント組成を有するポリウレタンを製造した。PDMS(100.00g)、PHMO(25.00g)、ジブチル錫ジラウレート(0.011g)およびBDO(17.15g)を、500mLポリプロピレンビーカーを2トルの真空下に80℃で60分間炉内に入れることにより、ビーカー中において脱気した。60℃の溶融したMDI(85.12g)を、ステンレススチール製スパチュラを用いて急速に攪拌しながら、ビーカー中のポリオール混合物中に素早く添加した。混合の間に混合物は曇ったままであり、そして約1分後に、粘性のポリマーをテフロン(登録商標)によりコーティングされたトレー上に注ぎ、そして窒素下にて炉内で100℃で4時間硬化させた。硬化したポリマーは不透明であった。同様の手順を用いたが、適切な量を用いて、50、55および60重量%の硬質セグメント百分率を有する3種の他のポリウレタン組成物を製造した。全ての場合に、得られるポリウレタンは全く不透明であり、そして55重量%以上の硬質セグメントを有する組成物は脆かった。表9は製造したポリウレタンの分子量を示す。
【0106】
【表9】

【0107】
この例における4種のポリウレタンのうちで、45%の硬質セグメントを有する組成物のみが圧縮成形可能であった。他の3種の材料は非常に脆く、そして非常に低い機械特性を有すると思われるフィルムを製造した。
【0108】
例13
硬質セグメントのレベルを変更した4種のポリウレタン組成物を2工程塊重合を用いて製造した。PDMS(Shin Etsu 製品X-22-160AS、Mw962.2)およびPHMO(Mw694.8)を例12に記載された通りに乾燥させた。
【0109】
次の手順は、45重量%の硬質セグメントを有する組成物の製造を例示する。PDMS(80.00g)およびPHMO(20.00g)の混合物を80℃で60分間、真空下(0.1トル)で脱気した。MDI(68.09g)を、メカニカルスターラー、窒素インレットおよび滴下漏斗を装備した3つ口丸底フラスコ中に入れた。ポリオール混合物(100.00g)を、ゆっくりとした窒素流の下で70℃で5分間にわたって滴下漏斗を通してMDIに添加した。添加を完了した後に、攪拌しながら反応を80℃で2時間続けた。その後、プレポリマーを真空下(0.1トル)で80℃で15分間脱気した。このプレポリマー(160.00g)を500mLポリプロピレンビーカー中に計量し、BDO(13.06g)により連鎖延長された。その後、ポリウレタンをテフロン(登録商標)によりコーティングされた金属パンにおいて100℃で窒素循環炉内で4時間硬化した。
【0110】
同様の手順を用い、50、55および50重量%の硬質セグメントを有する3種の他の組成物を製造した。得られたポリウレタンの分子量を表10に示す。表11は得られたポリウレタンの引張特性を示す。
【0111】
【表10】

【0112】
【表11】

【0113】
この例の結果は、60%までの硬質セグメントを有し、良好な機械特性を有するポリウレタンは2工程重合手順を用いることにより製造されうることを示している。
【0114】
例14
例12に記載したのと同様の1工程の塊重合手順により4種のポリウレタン組成物を製造したが、PTMO(Mw1000)をPHMOの代わりに用いた。例12と同様に、4種の組成物を45、50、55および60重量%の硬質セグメントを有するように配合した。45重量%の硬質セグメントを有するポリウレタンを次のように製造した。PDMS(80.00g)、PHMO(20.00g)、ジブチル錫ジラウレート(0.01g)およびBDO(14.305g)を、500mLポリプロピレンビーカーを2トルに真空下の80℃の炉内に60分間入れることにより、ビーカー中において脱気した。ステンレススチール製のスパチュラを用いて急速に攪拌しながら、60℃の溶融したMDI(67.513g)をビーカー中のポリオール混合物に素早く添加した。混合の間の混合物は曇ったままであり、約1分後、粘性のポリマーをテフロン(登録商標)によりコーティングされたトレー上に注ぎ、そして窒素循環炉内で100℃で4時間硬化させた。硬化したポリマーは不透明であった。
【0115】
同様の手順を用いたが、適切な量を用いて、50、55および60重量%の硬質セグメント含有率を有する3種の他のポリウレタン組成物を製造した。全ての場合に、得られたポリウレタンは非常に不透明であり、そして55重量%以上の硬質セグメントを有する組成物は脆かった。表12は、この例において製造されたポリウレタンの分子量を示す。
【0116】
PHMOを含む例12において得られた結果と同様に、この例における材料は引張試験のためのプラークを形成するために圧縮成形を行うことができなかった。形成されたプラークは非常に脆く、そして取扱の際に破壊した。
【0117】
【表12】

【0118】
例15
PDMS(Mw2181)、PHMO(Mw696.1)およびPTMO(Mw660.4)をそれぞれ用いて2種のポリウレタン組成物を製造し、PDMSの分子量がポリウレタンの性質に対して与える影響を調べた。PDMSおよびPHMOを例12に記載された条件を用いて乾燥した。PTMOを真空下(0.1トル)で105℃で15時間乾燥した。硬質セグメントの重量百分率は両方の材料で40重量%と一定に保った。
【0119】
PDMS(20.00g)、PHMO(5.00g)、ジブチル錫ジラウレート(0.002g)およびBDO(3.226g)を100mLポリプロピレンビーカー中において、このビーカーを2トルの真空下で80℃の炉内に60分間入れることにより脱気した。60℃の溶融したMDI(13.44g)を、ステンレススチール製のスパチュラを用いて急速に攪拌しながら、ビーカー中のポリオール混合物に素早く添加した。混合の間に混合物は曇ったままであり、約1分後に、粘性のポリマーをテフロン(登録商標)によりコーティングされたトレー上に注ぎ、炉内で100℃で窒素下に4時間硬化させた。硬化したポリマーは非常に不透明であった。
【0120】
第二のポリウレタンを同一の手順を用いて製造したが、PDMS(20.00g)、PTMO(5.00g)、BDO(3.200g)、ジブチル錫ジラウレート(0.002g)およびMDI(13.467g)を用いた。硬化したポリマーは同様に非常に不透明であった。2種のポリマーの数平均分子量をGPCにより測定して、それぞれ97983および107940であった。
【0121】
2種のポリマーを210℃で圧縮成形し、1mmの厚さのプラークを形成させ、そしてインストロン引張試験機を用いて引張特性を試験した。PHMOをベースとするポリウレタンは、3.8MPaの極限引張強さ、70%の破断点伸び率、15MPaのヤング弾性率を示し、一方、PTMOをベースとする材料は5.5MPaの極限引張強さ、80%の破断点伸び率および17MPaのヤング弾性率を示した。これらの結果は、それ故、PDMSの分子量はポリウレタンの特性に対して非常に有意な影響を与えることを示す。
【0122】
次の例16〜21は、PDMSおよびポリカーボネートマクロジオールの混合物からポリウレタン組成物を製造するための本発明の有用性を例示する。提供する例は、幾つかのマクロジオールの組み合わせでは、組成的に均質であり、そして透明であり、良好な機械特性を有するポリウレタンを製造するために重合法の選択が重要であることを示す。例16〜21の全てのポリウレタンは、1.03のイソシアネートインデックスおよび40重量%のMDIおよびBDOをベースとする硬質セグメントを有するように配合された。PDMS(Mw937.8、Shin Etsu 製品X-22-160AS) を例12に記載した条件を用いて重合前に乾燥させた。ポリウレタンの引張特性をダンベル形状の試料を用いて、インストロン引張試験機で測定した。
【0123】
例16
この例において、2種のポリウレタン組成物をPDMSおよびポリ(ヘキサメチレンカーボネート)マクロジオールの混合物から、それぞれ、1工程塊重合手順および2工程塊重合手順を用いて製造した。ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)(Mw893、Polyscience Inc.) を真空下(0.1トル)で105℃で15時間乾燥させた。
【0124】
1工程重合手順において、PDMS(40.00g)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)(10.00g)、1,4−ブタンジオール(5.265g)およびジブチル錫ジラウレート(0.008g)を200mLポリプロピレンビーカー中に計量し、そして真空下(2トル)で80℃で60分間脱気した。溶融したMDI(28.07g)をポリオール混合物に素早く添加し、そしてステンレススチール製のスパチュラを用いて急速に攪拌した。混合の間に、溶液は非常に曇ったままであり、そして約15秒後に、不透明の固体材料を生じた。
【0125】
PDMS(48.00g)およびポリ(ヘキサメチレンカーボネート)(12.00g)の混合物を真空下(0.1トル)で80℃で60分間脱気した。MDI(32.62g)を、メカニカルスターラー、窒素インレットおよび滴下漏斗を装備した250mL3つ口丸底フラスコに入れた。ポリオール混合物(60.00g)を、窒素のゆっくりとしたストリーム下で、70℃で15分間にわたって滴下漏斗を通してMDIに添加した。添加を完了した後に、反応を攪拌しながら80℃で2時間続けた。その後、プレポリマーを真空下(0.1トル)で80℃で15分間脱気した。このプレポリマー(82.00g)を250mLポリプロピレンビーカーに計量し、そしてBDO(5.53g)により連鎖延長した。このポリウレタンを、その後、テフロン(登録商標)によりコーティングされた金属トレーにおいて窒素循環炉内で100℃で4時間硬化させた。
【0126】
両方のポリウレタンを1mmの厚さのプラークに圧縮成形した。このプラークからダンベル形に打ち抜き、インストロン引張試験機で引張試験を行った。1工程重合により得られたポリウレタンは非常に脆く、そして取扱の間に破壊し、非常に低い機械特性であることを示し、一方、2工程プロセスにおいて得られた材料は18MPaの極限引張強さ、250%の破断点伸び率、57MPaのヤング弾性率および13MPaの100%伸び率における応力を示した。これらの結果は、2工程手順はこの例におけるマクロジオール混合物からポリウレタンを製造するのに、1工程法よりもはるかに優れていることを示す。
【0127】
例17
この例はPDMSおよび1,10−デカンジオール(DD)から製造されたポリカーボネートマクロジオールからのポリウレタンの製造を例示する。ポリカーボネートマクロジオールはDDおよびエチレンカーボネートから米国特許第4,131,731号明細書に記載された手順により製造された。
【0128】
ポリウレタン組成物は1工程重合手順を用いて製造した。ポリカーボネートマクロジオール(Mw729.79)を105℃で真空下(0.1トル)で15時間乾燥した。PDMS(40.00g)、ポリカーボネートマクロジオール(10.00g)、1,4−ブタンジオール(4.872g)およびジブチル錫ジラウレート(0.008g)を250mLポリプロピレンビーカーに計量し、80℃で真空下(2トル)で60分間脱気した。溶融したMDI(28.46g)を、その後、ステンレススチール製のスパチュラを用いて約30秒間急速に攪拌しながらビーカー中の混合物に添加した。得られた粘性のポリウレタンをテフロン(登録商標)によりコーティングされた金属トレー上に注ぎ、そして窒素循環炉内で100℃で4時間硬化させた。硬化したポリマーは透明であり、そしてゴム状の材料であった。ポリウレタンの引張特性は22MPaの極限引張強さ、280%の破断点伸び率、53MPaのヤング弾性率および13MPaの100%伸び率における応力であった。
【0129】
例18
PDMSおよび1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD)から製造したコポリカーボネートマクロジオール(Mw1088)をベースとするポリウレタン組成物を合成した。コポリカーボネートマクロジオールは米国特許第4,131,731号明細書に記載された手順によりBHTDおよびエチレンカーボネートから製造した。ポリウレタンは例17に記載されたのと同様の手順を用いて製造したが、PDMS(10.00g)、ポリカーボネートマクロジオール(2.50g)、1,4−ブタンジオール(1.293g)、MDI(7.040g)およびジブチル錫ジラウレート(0.002g)を用いた。ポリウレタンの引張特性は14MPaの極限引張強さ、280%の破断点伸び率、37MPaのヤング弾性率および10MPaの100%伸び率における応力であった。
【0130】
例19
この例は、PDMS、および、1,10−デカンジオール(DD)および1,6−ヘキサンジオール(HD)から製造されたポリカーボネートマクロジオールからのポリウレタンの製造を例示する。ポリカーボネートマクロジオールは50/50(wt/wt)のDDとHDとの混合物と、エチレンカーボネートとから、米国特許第4,131,731号明細書に記載された手順により製造された。
【0131】
ポリウレタン組成物は1工程重合手順を用いることにより製造した。ポリカーボネートマクロジオール(Mw623.6)を105℃で15時間、真空下(0.1トル)で乾燥させた。PDMS(40.00g)、ポリカーボネートマクロジオール(10.00g)、1,4−ブタンジオール(4.716g)およびジブチル錫ジラウレート(0.008g)を250mLポリプロピレンビーカー中に計量し、そして80℃で真空下(2トル)で60分間脱気した。溶融したMDI(28.617g)を、その後、ステンレススチール製のスパチュラを用いて約30秒間急速に攪拌しながら、ビーカー中の混合物に添加した。得られた粘性のポリウレタンをテフロン(登録商標)によりコーティングされた金属トレー上に注ぎ、窒素循環炉内で100℃で4時間硬化させた。硬化したポリマーは透明であり、そしてゴム状の材料であった。ポリウレタンの引張特性は、22MPaの極限引張強さ、300%の破断点伸び率、50MPaのヤング弾性率および12MPaの100%伸び率における応力であった。
【0132】
例20
PDMSと、HDおよび1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD)をベースとするコポリカーボネートマクロジオール(Mw1220)との混合物を用いて、1工程の塊重合手順を用いてポリウレタン組成物を製造した。コポリカーボネートマクロジオールは、50/50(wt/wt)の2種のジオールの混合物と、エチレンカーボネートとから、米国特許第4,131,731号明細書に記載された手順により製造した。
【0133】
PDMS(10.00g)、ポリカーボネートマクロジオール(2.5g)、1,4−ブタンジオール(1.310g)、MDI(7.023g)およびジブチル錫ジラウレート(0.002g)を用いて、例19に記載したのと同様の手順を用いてポリウレタンを製造した。透明であるポリウレタンは18MPaの極限引張強さ、280%の破断点伸び率、37MPaのヤング弾性率および11MPaの100%伸び率における応力を示した。
【0134】
例21
例19に記載したのと同様の手順を用いたが、HDおよび2,2’−ジエチル1,3−プロパンジオール(DEPD)から製造したコポリカーボネートマクロジオール(Mw1060)を用いた。ポリウレタン組成物は、PDMS(20.00g)、HDおよびDEPDをベースとするコポリカーボネート(5.00g)、BDO(2.578g)、ジブチル錫ジラウレート(0.002g)およびMDI(14.088g)を反応させることにより製造した。製造されたポリウレタンは21MPaの極限引張強さ、315%の破断点伸び率、70MPaのヤング弾性率および11MPaの100%伸び率における応力を示した。
【0135】
引用文献
1.M. Szycher, J. Biomat. Appl. Vol 3, pp297 〜 402 (1988)
2.L. Pinchuck, J. Biomater. Sci. Edn, Vol 3(3), pp225 〜267 (1994)
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4.Jr. Wardら、Organometallic Polymers, Academic Press, New York (1978)
5.X. Yu, M. R. Nagarajan, T. G. Grasel, P. E. GibsonおよびS.L. Cooper. J. Polym. Sci. Polym. Phy., Vol 23, pp2319 〜2338 (1985)
6.T. A. Speckhard およびS. L. Cooper, Rubber Chem. Technol. Vol 59, pp405〜430 (1986)
7.R. A. Phillips, J. S. Stevenson, M. R. NagarajanおよびS.L. Cooper, J. Macromol SciPhy., Vol B27(2&3), pp245 〜274 (1988)
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【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】体外培養されて3か月後の市販のポリウレタンであるPellethane 2363-80A の顕微鏡写真である。
【図2】体外培養されて3か月後の市販のポリウレタンであるPellethane 2363-55D の顕微鏡写真である。
【図3】体外培養されて3か月後のPDMS/PHMO(80/20)をベースとするポリウレタン組成物の顕微鏡写真である。
【図4】体外培養されて3か月後のPDMS/PTMO(80/20)をベースとするポリウレタン組成物の顕微鏡写真である。
【図5】体外培養されて3か月後のPDMS/PHMO(20/80)をベースとするポリウレタン組成物の顕微鏡写真である。
【図6】体外培養されて3か月後のPDMS/PTMO(20/80)をベースとするポリウレタン組成物の顕微鏡写真である。
【図7】種々のPDMS、PHMOおよびPDMS/PTMOをベースとするポリウレタン組成物の曲げ弾性率を示すグラフである。
【図8】種々のPDMS/PHMOおよびPDMS/PTMOをベースとするポリウレタン組成物の引裂強さを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオール、および、少なくとも1種のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られた軟質セグメントを含むポリウレタンエラストマー組成物を含む、改良された機械特性、透明性、加工性および/または耐崩壊性を有する材料。
【請求項2】
改良された機械特性は引張強さ、引裂強さ、耐摩耗性、ジュロメータ硬度、曲げ弾性率および/または可撓性に関する測定値である、請求項1記載の材料。
【請求項3】
改良された耐崩壊性はフリーラジカル、酸化、酵素および/または加水分解プロセスに対して耐性があること、および/または、生体材料として移植されたときに崩壊に対して耐性があることである、請求項1または2記載の材料。
【請求項4】
改良された加工性はキャスティングおよび/または熱手段による加工が容易性であることである、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項5】
耐崩壊性の材料である、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項6】
インビボにおける崩壊に対して耐性である材料である、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項7】
生体材料である、先行の請求項のいずれか1項記載の材料。
【請求項8】
軟質セグメントは約60〜約98重量%の少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオールおよび約2〜約40重量%の少なくとも1種のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られたものである、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項9】
軟質セグメントは約70〜約90重量%の少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオールおよび約30〜約10重量%の少なくとも1種のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られたものである、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項10】
軟質セグメントは約80重量%の少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオールおよび約20重量%の少なくとも1種のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られたものである、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項11】
ポリシロキサンマクロジオールは、下記式(I)
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は同一であるかまたは異なり、置換されていてよい直鎖、枝分かれもしくは環式の飽和もしくは不飽和の炭化水素基から選ばれ、そして、
nは1〜100の整数である)により表される、先行の請求項のいずれか1項記載の材料。
【請求項12】
ポリシロキサンマクロジオールはポリジメチルシロキサン(PDMS)である、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項13】
ポリシロキサンマクロジオールの分子量の範囲は約200〜約6000である、先行の請求項のいずれか1項記載の材料。
【請求項14】
ポリシロキサンマクロジオールの分子量の範囲は約400〜約1500である、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項15】
ポリエーテルマクロジオールは、下記式(II)
HO−〔(CH2m−O〕n−H (II)
(式中、mは4以上の整数であり、そして
nは2〜50の整数である)により表される、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項16】
ポリエーテルマクロジオールはポリテトラメチレンオキシド(PTMO)、ポリペンタメチレンオキシド(PPMO)、ポリヘキサメチレンオキシド(PHMO)、ポリヘプタメチレンジオール、ポリオクタメチレンオキシド(POMO)またはポリデカメチレンオキシド(PDMO)である、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項17】
ポリカーボネートマクロジオールはポリ(アルキレンカーボネート)、アルキレンカーボネートとアルカンジオールとを反応させることにより製造されたポリカーボネートまたは珪素をベースとするポリカーボネートである、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項18】
軟質セグメントはポリエーテルマクロジオールとポリカーボネートマクロジオールの両方を混合物またはコポリマーの形で含む、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項19】
ポリウレタンエラストマー組成物は、ジイソシアネートと連鎖延長剤の両方から得られた硬質セグメントをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項に記載の材料。
【請求項20】
ジイソシアネートは4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアネート(p−PDI)、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート(CHDI)またはシス異性体とトランス異性体との混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(DICH)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)またはその異性体またはその混合物、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI)およびm−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)から選ばれたものである、請求項19記載の材料。
【請求項21】
連鎖延長剤は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコールおよび1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンから選ばれたものである、請求項19または20記載の材料。
【請求項22】
ジイソシアネートはMDIであり、そして連鎖延長剤は1,4−ブタンジオールである、請求項20または21記載の材料。
【請求項23】
硬質セグメントは組成物の約30〜約60重量%である、請求項19〜22のいずれか1項記載の材料。
【請求項24】
改良された機械特性、透明性、加工性および/または耐崩壊性を有する材料としての、先行の請求項のいずれか1項に記載のポリウレタンエラストマー組成物の使用。
【請求項25】
改良された機械特性、透明性、加工性および/または耐崩壊性を有する材料として使用されるときの、請求項1〜23のいずれか1項記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項26】
請求項1〜23のいずれか1項に記載のポリウレタンエラストマー組成物から完全になるか、またはそれを一部に含む、デバイスまたは製品。
【請求項27】
医療用のデバイス、製品またはインプラントである、請求項26記載のデバイスまたは製品。
【請求項28】
心臓ペースメーカーまたは除細動器、カテーテル、移植可能な人工器官、心臓援助装置、心臓弁、血管移植片、体外装置、人工組織、ペースメーカーリード、除細動器リード、血液ポンプ、バルーンポンプ、A−Vシャント、バイオセンサー、細胞封入用膜、医薬輸送装置、傷ドレッシング、人工ジョイント、整形外科的インプラントおよび軟質組織代替物である、請求項26または27記載のデバイスまたは製品。
【請求項29】
人工皮革、靴底、ケーブルシース、ワニス、コーティング、ポンプまたは乗物のための構造部品、採鉱スクリーン、コンベアベルト、積層用コンパウンド、テキスタイル、分離膜、シーラントおよび接着剤成分から選ばれる、請求項26記載のデバイスまたは製品。
【請求項30】
デバイスまたは製品の製造における請求項1〜23のいずれか1項記載のポリウレタンエラストマー組成物の使用。
【請求項31】
デバイスまたは製品の製造において用いられるときの、請求項1〜23のいずれか1項記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項32】
約60〜約98重量%の少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオールおよび約2〜約40重量%の少なくとも1種のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られた軟質セグメントを含む、ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項33】
軟質セグメントは約70〜約90重量%の少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオールおよび約2〜約40重量%の少なくとも1種のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られたものである、請求項32記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項34】
軟質セグメントは約80重量%の少なくとも1種のポリシロキサンマクロジオールおよび約20重量%の少なくとも1種のポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールから得られたものである、請求項32または33記載の組成物。
【請求項35】
ポリシロキサンマクロジオールは下記式(I)
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は同一であるかまたは異なり、置換されていてよい直鎖、枝分かれもしくは環式の飽和もしくは不飽和の炭化水素基から選ばれ、そして、
nは1〜100の整数である)により表される、請求項32〜34のいずれか1項記載の組成物。
【請求項36】
ポリシロキサンマクロジオールはポリジメチルシロキサン(PDMS)である、請求項32〜35のいずれか1項記載の組成物。
【請求項37】
ポリエーテルマクロジオールは下記式(II)
HO−〔(CH2m−O〕n−H (II)
(式中、mは4以上の整数であり、そして、
nは2〜50の整数である)により表される、請求項32〜36のいずれか1項記載の組成物。
【請求項38】
ポリエーテルマクロジオールはポリテトラメチレンオキシド(PTMO)、ポリペンタメチレンオキシド(PPMO)、ポリヘキサメチレンオキシド(PHMO)、ポリオクタメチレンオキシド(POMO)またはポリデカメチレンオキシド(PDMO)である、請求項32〜37のいずれか1項記載の組成物。
【請求項39】
ポリカーボネートマクロジオールはポリ(アルキレンカーボネート)、アルキレンカーボネートとアルカンジオールとを反応させることにより製造されたポリカーボネート、または珪素をベースとするポリカーボネートである、請求項32〜38のいずれか1項記載の組成物。
【請求項40】
ジイソシアネートおよび連鎖延長剤から得られた硬質セグメントをさらに含む、請求項32〜39のいずれか1項記載の組成物。
【請求項41】
ジイソシアネートは4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアネート(p−PDI)、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート(CHDI)またはシス異性体とトランス異性体との混合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(DICH)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)またはその異性体またはその混合物、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI)およびm−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)から選ばれたものである、請求項32〜40のいずれか1項記載の組成物。
【請求項42】
連鎖延長剤は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコールおよび1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンから選ばれたものである、請求項32〜41のいずれか1項記載の組成物。
【請求項43】
80重量%のPDMSおよび20重量%のPHMOまたはPTMOから得られた軟質セグメント、および、MDIおよびBDOから得られた硬質セグメントを含む、請求項40〜42のいずれか1項記載の組成物。
【請求項44】
(a)ポリシロキサンマクロジオール、ポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオール、および、連鎖延長剤を混合すること、および、
(b)この混合物とジイソシアネートとを反応させること、
の工程を含む、請求項40〜43のいずれか1項記載の組成物を製造するための方法。
【請求項45】
工程(a)を約45〜約100℃の範囲の温度で行う、請求項44記載の方法。
【請求項46】
工程(a)を触媒の存在下に行う、請求項44または45記載の方法。
【請求項47】
触媒はジブチル錫ジラウレートである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
(a)ジイソシアネートと、ポリシロキサンマクロジオールおよびポリエーテルおよび/またはポリカーボネートマクロジオールとを反応させて、末端に反応性ジイソシアネート基を有するプレポリマーを形成させること、および、
(b)このプレポリマーを連鎖延長剤と反応させること、
の工程を含む、請求項40〜43のいずれか1項記載の組成物を製造するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−101194(P2008−101194A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−219931(P2007−219931)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【分割の表示】特願平10−515057の分割
【原出願日】平成9年9月19日(1997.9.19)
【出願人】(501030898)エイオーテク バイオマテリアルズ プロプライアタリー リミティド (6)
【Fターム(参考)】