説明

ポリテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン−コポリマーの製造法

本発明の対象は、テロゲン及び/又はコモノマーの存在で酸性固定床触媒上でテトラヒドロフランを重合させることによるポリテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン−コポリマーの製造法において、重合混合物の温度が触媒床の貫流方向で上昇することを特徴とする方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、テロゲン及び/又はコモノマーの存在で酸性固定床触媒上でテトラヒドロフランを重合させることによるポリテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン−コポリマーの製造法において、重合混合物の温度が触媒床の貫流方向で上昇することを特徴とする方法である。
【0002】
ポリオキシブチレングリコールとも呼ばれる、ポリテトラヒドロフラン(以後PTHFとする)は、プラスチック工業及びプラスチック繊維工業において、多方面にわたる中間生成物であり、かつ特に、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー及びポリアミドエラストマーの製造のためのジオール成分として使用される。その他に、これは(大抵はその誘導体も同様に)多様な適用分野において、例えば分散剤として又は古紙の脱色(脱インキ)の際の有用な助剤である。
【0003】
PTHFは工業的に通常では、試薬の存在で適当な触媒を用いたテトラヒドロフラン(以後THFとする)の重合により製造され、前記の試薬の添加はポリマー鎖の鎖長の調節及び平均分子量の調節を可能にする(連鎖停止試薬又は「テロゲン」)。この場合、調節は、テロゲンの種類及び量の選択により行う。適当なテロゲンの選択により、付加的にポリマー鎖の一方の末端又は両方の末端に官能基を導入することができる。
【0004】
即ち、例えばテロゲンとしてカルボン酸又はカルボン酸無水物を使用することにより、PTHFのモノエステル又はジエステルを製造することができる。引き続くけん化又はエステル交換によって初めて、PTHF自体が生じる。従って、この製造は二段階のPTHF法と呼ばれる。PTHFは、酸触媒を用いて、水、1,4−ブタンジオール又は低分子量のPTHFをテロゲンとして用いてTHF重合により一段階で製造されることもできる。
【0005】
他のテロゲンは、連鎖停止試薬として作用するだけではなく、PTHFの成長するポリマー鎖内へも組み込まれる。これらはテロゲンの機能を有するだけでなく、同時にコモノマーでもあり、従ってテロゲンとしてもコモノマーとしても同じ機能を有することを特徴とする。このようなコモノマーの例は、2個のヒドロキシ基を有するテロゲン、例えばジアルコールである。これは、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール又は低分子量のPTHFであることができる。
【0006】
更に、コモノマーとして、環式エーテル、有利に、3員、4員及び5員環、例えば1,2−アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド又はプロピレンオキシド、オキセタン、置換オキセタン、例えば、3,3−ジメチルオキセタン、並びにTHF誘導体、例えば3−メチルテトラヒドロフラン、3,3−ジメチルテトラヒドロフラン又は3,4−ジメチルテトラヒドロフランが適している。
【0007】
このようなコモノマーもしくはテロゲンの使用により、水、1,4−ブタンジオール及び低分子量のPTHFを除き、テトラヒドロフラン−コポリマー(以後THFコポリマーとする)が製造され、かつこの方法によりPTHFを化学的に変性することが可能となる。
【0008】
大規模工業的には、主に前記の二段階法が実施され、この場合にTHFは例えば通常は不均一系の、即ち十分に溶解されていない触媒の存在でまず重合させてポリテトラヒドロフラン−エステルにされ、引き続き加水分解によりPTHFにされる。通常では、この形態のTHF重合の場合には、一段階法の場合よりも高いTHF変換率が達成される。
【0009】
不均一系触媒の接触効率の他に、他の反応パラメータ並びに選択された触媒との相互作用は、重合の結果、特に変換率、収率及び生成物特性、例えばポリテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン−コポリマーの色数及び分子量分布に対して重大な影響を及ぼす。
【0010】
ポリマーの狭い分子量分布の意図的な調節のために、JP−B10−025340によれば、ヘテロポリ酸を用いた全重合反応の間の反応温度を一定に保つことが重要である。
【0011】
これとは異なり、US−A4510333及びDE−A4205984には、反応温度が重合の進行中に迅速に低下される場合には、色数問題を回避するために、及び狭い分子量分布に調節するために、均一系触媒、 − 即ち十分に反応混合物中で可溶性の − 例えばフルオロスルホン酸のみならず、不均一系触媒、例えば漂白用粘土も有利であることが教示されている。
【0012】
EP−A0051499から、PTHFの重合を、触媒としてフルオロスルホン酸又は発煙硫酸を用いる均一法で実施すること、及び該方法を二工程に分けることは公知である。第一の工程は−30℃〜+10℃の温度で行われ、第二の工程は第二の撹拌釜中で前記温度を10〜40℃上回る温度で行われる。それにより、高い生成物純度で変換率の増加が達成される。前記方法の大規模工業的な反応には、2つの撹拌型反応器、高い制御費用及び均一系触媒を用いた重合の際に通例の費用のかかる分離が必要であることは不利である。
【0013】
前記従来技術から出発して、本発明は、ポリテトラヒドロフラン及び/又はテトラヒドロフラン−コポリマーを狭い平均分子量分布で経済的に、良好な変換率及び低い色数で製造することのできる方法を提供するという課題に基づいていた。
【0014】
そこで今、テロゲン及び/又はコモノマーの存在で酸性固定床触媒上でテトラヒドロフランを重合させることによるポリテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン−コポリマーの製造法において、重合混合物の温度が触媒床の貫流方向で上昇することを特徴とする方法が見出された。
【0015】
触媒固定床は、1つ以上の相互に接続された自体公知の固定床反応器、例えば管形反応器中に存在してよい。有利に、重合は固定床反応器中で実施される。
【0016】
重合は一般に0〜80℃、有利に25℃〜THFの沸点の温度で実施され、その際、反応温度とは、重合混合物のそれぞれの温度に相応する温度であると解釈される。重合混合物の温度(反応温度)は触媒床の最初では0〜50℃、有利に25〜45℃である。固定床の最後では、該温度は本発明によれば30〜80℃、有利に35〜55℃である。
【0017】
本発明による温度上昇は、触媒床1メートル当たり少なくとも0.1℃、有利に触媒床1メートル当たり少なくとも0.2℃、特に有利に触媒床1メートル当たり少なくとも0.3℃であり、その際、温度上昇は連続的に、又は少なくとも二段階、有利に二、三、四又は五段階で行われてよい。有利に、温度上昇は1℃、有利に2.5℃の温度差で段階的に行われる。温度上昇は触媒床1メートル当たり5℃を上回らないのが望ましい。
【0018】
反応器中の温度上昇は、重合混合物のその都度局所的な温度の相応する測定装置、例えば熱電対を有する自他公知の工業的に慣用の加熱−又は冷却装置の使用により行われてよい。この場合、加熱はプロセス熱の使用下に行われてもよい。
【0019】
適用される圧力は、通常、重合の結果に関して決定的ではないため、一般には、大気圧で、又は重合系の固有圧未満で作業される。このうち、THFと易揮発性1,2−アルキレンオキシドとの共重合は例外的であり、該共重合は有利に圧力下で実施される。通常、該圧力は0.1〜20バール、有利に0.5〜2バールである。
【0020】
本発明による方法により、PTHF及びTHF−コポリマーを、狭い分子量分布で、かつ一定の生成物品質でテロゲンのより高い変換率で取得することが可能となる。テロゲン及び/又はコモノマーの改善された利用は、原料の経済的な利用に寄与し、かつ経済的な方法をもたらす。
【0021】
PTHF及びTHF−コポリマーのための本発明による製造法の場合、第一の工程において、PTHFないしTHF−コポリマーのモノ−及び/又はジエステルが、有利に無水酢酸及び場合によりコモノマーの存在で、酸性の、有利に不均一系の触媒上でTHFを重合させることにより製造される。
【0022】
適当な触媒は、例えばDE−A1226560に記載されているような漂白用粘土をベースとする触媒である。漂白用粘土、特に活性化されたモンモリロナイトは、成形体として固定床中で、又は懸濁液中で使用されてよい。
【0023】
更に、THFの重合に関して、特に元素周期表の第3族、第4族、第13族及び第14族の混合金属酸化物をベースとする触媒は公知である。例えばJP−A04−306228には、カルボン酸無水物の存在で、式MxOy(x及びyは1〜3の範囲内の整数である)の金属酸化物からなる混合金属酸化物上でTHFを重合させることが記載されている。例として、Al23−SiO2、SiO2−TiO2、SiO2−ZrO2及びTiO2−ZrO2が挙げられる。ヘテロポリ酸、特にH3PW1240及びH3PMo1240は担体上で、しかしながら有利に非担持で触媒として使用されてよい。
【0024】
US5,208,385には、アモルファスケイ素/アルミニウム混合酸化物をベースとする触媒が開示されている。SnO2/SiO2、Ga23/SiO2、Fe23/SiO2、In23/SiO2、Ta25/SiO2及びHfO2/SiO2をベースとする混合酸化物も公知である。上記触媒は有利に共沈/ゾルゲル法により製造される。担持触媒はDE−A4433606に開示されており、その際、酸化タングステン又は酸化モリブデンが例えばZrO2、TiO2、HfO2、Y23、Fe23、Al23、SnO2、SiO2又はZnO上に施与される。更に、担体が5000ppm未満のアルカリ金属濃度を有するZrO2/SiO2−触媒が推奨されている。
【0025】
酸性イオン交換体をベースとする触媒は、US4,120,903において、無水酢酸の存在での、THF、特にα−フルオロスルホン酸を含有するポリマー(例えばNafion(R))の重合に関して記載されている。更に、金属及びペルフルオロアルキルスルホン酸−アニオンを含有する触媒はTHF重合に好適である。
【0026】
それに加えて、重合触媒として更に他の場合により活性化された粘土鉱物が公知であり、例えばWO94/05719、WO96/23833、WO98/51729、WO99/12992及びDE−A19513493に開示されている。ゼオライトも触媒として好適であり、例えばDE−A4316138に記載されている。最後に、更に、硫酸処理された酸化ジルコニウム、硫酸処理された酸化アルミニウム、担持されたヘテロポリ酸及び担持された重フッ化アンモニウム(NH4*HF)又は五フッ化アンチモンは好適な重合触媒として公知である。有利に、本発明による方法は活性化された漂白用粘土を用いて実施される。
【0027】
触媒の前処理として、例えば80〜200℃、有利に100〜180℃に加熱されたガス、例えば空気又は窒素を用いた乾燥が挙げられる。
【0028】
過酸化エーテルの形成を回避するために、重合は有利に不活性ガス雰囲気下で実施される。不活性ガスとして、例えば窒素、二酸化炭素又は希ガスを用いることができ、有利に窒素が使用される。
【0029】
該方法は不連続的又は連続的に運転されてよいが、しかしながら経済的な理由から有利に連続的に運転される。
【0030】
テロゲンは連鎖停止を生じるため、使用するテロゲンの量によって、製造すべきポリマーの平均分子量を制御することができる。テロゲンとして、C2〜C12−カルボン酸無水物及び/又はプロトン酸とC2〜C12−カルボン酸無水物との混合物が好適である。プロトン酸は有利に、反応系中で可溶性である有機酸又は無機酸である。C2〜C12−カルボン酸は、例えば酢酸又はスルホン酸、硫酸、塩酸、リン酸である。有利に無水酢酸及び/又は酢酸が使用される。従って、重合の第一工程において、PTHF又はTHF−コポリマーのモノ−及びジエステルが形成される。
【0031】
重合反応器中に供給されるエダクト混合物(フィード)中での、テロゲンとして使用される無水酢酸の濃度は、使用されるTHFに対して、0.03〜30モル%、有利に0.05〜20モル%、特に有利に0.1〜10モル%である。付加的に酢酸が使用される場合には、進行中の重合のフィード中でのモル比は、使用される無水酢酸に対して通常1:20〜1:20000である。
【0032】
THF−コポリマーのモノ−及びジエステルは、開環重合の可能な環式エーテル、有利に3員環、4員環及び5員環、例えば1,2−アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド又はプロピレンオキシド、オキセタン、置換オキセタン、例えば3,3−ジメチルオキセタン、THF−誘導体2−メチルテトラヒドロフラン又は3−メチルテトラヒドロフランをコモノマーとして付加的に使用することにより製造することができ、その際、2−メチルテトラヒドロフラン又は3−メチルテトラヒドロフランが特に有利である。
【0033】
同様に、C2〜C12−ジオールをコモノマーとして使用することも可能である。これは例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、1,6−ヘキサンジオール又は低分子量のPTHFであってよい。更に、コモノマーとして、環式エーテル、例えば1,2−アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド又はプロピレンオキシド、2−メチルテトラヒドロフラン又は3−メチルテトラヒドロフランが好適である。
【0034】
本発明による固定床運転方式において、重合反応器は昇流運転方式で、即ち反応混合物は下方から上方へ案内されて、又は流下運転方式で、即ち反応混合物は上方から下方へ反応器を貫通して運転されてよい。THF及びテロゲン及び/又はコモノマーからなるエダクト混合物(フィード)は、重合反応器に連続的に供給され、その際、触媒負荷はTHF0.01〜2.0kg/(1*h)、有利にTHF0.02〜1.0kg/(1*h)、特に有利にTHF0.04〜0.5kg/(1*h)である。
【0035】
更に、該重合反応器は、直線的な経路で、つまり生成物の返送なしで、又は循環路で、つまり反応器から搬出されるポリマー混合物の一部が循環されるように運転することができる。循環運転法の場合には、循環対供給の比は、150以下:1であり、有利に100未満:1であり、有利に60未満:1である。
【0036】
重合混合物のテロゲン含分に応じて、該方法により、PTHF又はTHF−コポリマーのモノ−及び/又はジエステルを250〜10000ダルトンの平均分子量で意図的に製造することができ、有利に、本発明による方法で、500〜5000ダルトン、特に有利に650〜4000ダルトンの平均分子量を有する当該PTHF−エステルが製造される。「平均分子量」又は「平均モル質量」という表記は、本願明細書中で、ポリマーの分子量の数平均Mnであると解釈され、その測定は例えばDIN 53240による湿式化学的OH価測定により行われる。
【0037】
重合工程からのTHF含有排出物は、重合触媒の痕跡を保持するために濾過され、引き続き蒸留によるTHF分離に供される。しかしながら、まず初めに未反応のTHFを分離し、その後、残存するPTHFのモノ−又はジエステルから触媒残留物を濾過により分離することも可能である。第二の方法は有利である。濾過装置として、工業的に慣用の膜フィルターも使用される。
【0038】
そのように得られたポリマーのエステル基は、第二の工程において変換されねばならない。慣用の方法は、アルカリ性触媒により開始される、低級アルコールとの反応である。アルカリ性触媒とのエステル交換は従来技術から公知であり、例えばDE10120801及びDE−A19742342に記載されている。有利にメタノールが低級アルコールとして使用され、かつ、有効なエステル交換触媒としてナトリウムメチラートが使用される。
【0039】
得られたポリマーは、有機イソシアナートとの反応により、自体公知の方法で、ポリウレタン−及びポリウレタン尿素製造に、特に熱可塑性ウレタン、スパンデックス、熱可塑性エーテルエステル又はコポリエーテルアミドの製造に使用されることができる。従って本発明の対象は更に、例えば弾性繊維(スパンデックス又はエラスタンとも呼称される)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又はポリウレタン注型エラストマーの製造に必要とされるポリウレタン重合体ないしポリウレタン尿素重合体の製造のための、本発明による方法により製造されたポリテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン−コポリマーの使用である。
【0040】
この場合、例えばJP−A07−278246に記載されているように、自体公知の方法で、PTHF又はTHF−コポリマーはまず過剰の有機ジイソシアナートと、次いで有機ジアミンと反応される。
【0041】
本発明を以下に実施例に基づき詳説する。
【実施例】
【0042】
分子量の測定
数平均分子量の形の平均分子量Mnは、全てのPTHF−分子の質量をそのモルでの量により除したものであると定義され、ポリテトラヒドロフラン中のヒドロキシル価の測定により決定される。ヒドロキシル価とは、物質1gのアセチル化の際に結合する酢酸の量に当量である水酸化カリウムの量をmgで表した量である。ヒドロキシル価とは存在するヒドロキシ基を過剰の無水酢酸でエステル化することにより測定される。
【0043】
【化1】

【0044】
この反応の後で、過剰の無水酢酸を次の反応平衡式により水で加水分解し
【化2】

かつ酢酸として水酸化ナトリウムで逆滴定する。
【0045】
蒸発残分の測定
蒸発残分とは、一定の条件下に測定された、PTHF又はPTHF−エステル−低沸点混合物中の蒸発不可能な割合であり、収率のための尺度として役立つ。EDRを測定するために、試料を蒸発フラスコ中で標準圧で145℃で30分間及び同じ温度で1ミリバール未満の真空下に30分間蒸発させる。蒸発残分を、以下
【化3】

により計算する。
【0046】
ここで、
EDR=蒸発残分、DIN1310による質量濃度(g/100g)
=試料を有する蒸発フラスコの質量(g)
2=蒸発残分を有する蒸発フラスコの質量(g)
100=gから100gへの換算ファクターである。
【0047】
方法
蒸発残分の測定のために、予め秤量した試料を回転蒸発器で145℃、標準圧で1時間にわたって、その後同じ温度で0.1〜0.2ミリバールで1時間にわたって処理し、再度秤量した。蒸発残分を初期値に対する百分率の質量比として得た。
【0048】
色数の測定
溶剤を除去したポリマーを、処理せずにDr. Lange社の液体色彩測定装置LICO 200で測定する。精密キュベットTyp Nr. 100-QS(層厚50mm、Helma社)を使用する。
【0049】
実施例1
漂白用粘土(Sued-Chemie社製のK10粉末)から、1.5mmの平均直径を有する押出物を製造し、使用の直前に150℃で乾燥した。乾燥した触媒押出物各200ml(130g)を、それぞれ調温された冷却マントルが備えられた2つの直列接続されたガラス製反応管(内径3cm、有効長30cm)に入れ、60cmの全有効長を有する触媒床を得た。第一の反応管の入口、即ち触媒床の最初(P1)での温度及び第二の反応管の出口、即ち触媒床の最後(P2)での温度を別個のサーモスタットにより調節した。触媒床の貫流方向での温度上昇を、触媒床60cm当たり2.46℃に調節した。反応器に、第一の反応管の入口で35℃でTHFと3.5%無水酢酸とからなる重合混合物を流入させた。重合混合物をポンプにより連続的に循環させて反応装置に導通し、1時間毎に更に重合混合物30gを循環:供給=15:1の一定の比で反応器に導入し、一方で同量の生成物混合物を循環から取り出した。分析のために、反応排出物の易揮発性分、即ち本質的に未反応のTHF及び無水酢酸を、真空中でまず70℃/30ミリバールで、その後170℃/0.3ミリバールで蒸発させ、ポリマー残留物を分析した。結果を第1表にまとめる。
【0050】
比較例
本発明による実施例1に相応して、直列接続された反応管に触媒を充填した。本発明による実施例とは異なり、触媒床の貫流方向での温度上昇を設定しなかった。反応器に、第一の反応管の入口で35℃でTHFと3.5%無水酢酸とからなる重合混合物を流入させた。重合混合物をポンプにより連続的に循環させて反応装置に導通し、1時間毎に更に重合混合物30gを循環:供給=15:1の一定の比で反応器に導入し、一方で同量の生成物混合物を循環から取り出した。分析のために、反応排出物の易揮発性分、即ち本質的に未反応のTHF及び無水酢酸を、真空中でまず70℃/30ミリバールで、その後170℃/0.3ミリバールで蒸発させ、ポリマー残留物を分析した。結果を第1表にまとめる。
【0051】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
テロゲン及び/又はコモノマーの存在で酸性固定床触媒上でテトラヒドロフランを重合させることによるポリテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン−コポリマーの製造法において、重合混合物の温度が触媒床の貫流方向で上昇することを特徴とする方法。
【請求項2】
重合混合物の温度が、触媒床の最初で0〜50℃であり、かつ最後で30〜80℃である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
温度上昇を、触媒床の貫流方向で、連続的に、又は段階的に行う、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
触媒床が1つ以上の反応器中に存在する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
温度上昇が触媒床の貫流方向で触媒床1メートル当たり少なくとも0.1℃である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
温度上昇が触媒床の貫流方向で触媒床1メートル当たり少なくとも0.2℃である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
温度上昇が触媒床の貫流方向で触媒床1メートル当たり少なくとも0.3℃である、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
触媒を、漂白用粘土、元素周期表の第3族、第4族、第13族及び第14族の混合金属酸化物、担持された酸化タングステン又は担持された酸化モリブデン、酸性イオン交換体、ゼオライト及び/又は硫酸処理された酸化ジルコニウムから選択する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ポリウレタン尿素重合体の製造のための、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法により製造されたポリテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン−コポリマーの使用。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により製造されたポリテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン−コポリマーを、熱可塑性ポリウレタン、スパンデックス、熱可塑性エーテルエステル又はコポリエーテルアミドの製造に使用する、請求項9記載の使用。

【公表番号】特表2009−540029(P2009−540029A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513644(P2009−513644)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055105
【国際公開番号】WO2007/141148
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】