説明

ポリヌクレオチドプライマー

配列番号3〜16、18、20〜33、35若しくは37〜39のプライマー配列のうちの一つ又はその相補配列の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含むキット、及び遺伝子において変異の有無を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)は、細胞シグナリングに関与する脂質キナーゼの大きなファミリーである。PI3K−AKT経路は、多くの腫瘍型において活性化され、細胞生育、細胞増殖及び細胞生存の異常に至る(1最近のレビューのrefを加える)。近年、クラス1A PI3K(PIK3CA)の触媒サブユニットにおける変異が、ヒト癌で同定されている(非特許文献1参照)。発癌におけるこれら変異の正確な役割は、まだ、明確に定義されるのを待つ状態であるが、進行中の多数の標的PI3K阻害剤の開発に伴い、変異の検出が、患者選定にとってますます重要になるだろう。そのような変異の検出における技術的挑戦は、少量の変異配列のみ含有する可能性のある腫瘍の生検の制限に起因する。さらに、パラフィン包埋組織から抽出したDNAは、しばしば分解しており、品質が悪い。シーケンシングによる検出に必要とされる変異DNAの最低水準は、15〜25%であるから、異種の試料において少量の変異対立遺伝子を検出することができる高感度測定法及びその測定法を実施するために必要なプロダクトを開発する差し迫った必要性がある。
本発明は、この必要性に対処することを求める。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】サミュエルズ・ワイ、ワング・ジー、バーデリ・エーら、「ヒト癌におけるPIK3CA遺伝子の高頻度の変異」サイエンス2004;304(5670): 554(Samuels Y,Wang Z, Bardelli A, et al. "High frequency of mutations of the PIK3CA gene in human cancers. Science 2004;304(5670): 554)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、腫瘍性のPIK3CA変異のための高感度かつ強固な試験を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様によれば、配列番号3〜16、18、20〜33、35若しくは37〜39のプライマー配列のうちの一つ又はその相補配列の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが提供される。
【0006】
有用ものとして、当該ポリヌクレオチドは、100ヌクレオチ長さ未満であり、好ましくは80ヌクレオチド長さ未満であり、より好ましくは60ヌクレオチド長さ未満であり、より好ましくは40ヌクレオチド長さ未満であり、より好ましくは30ヌクレオチド長さ未満である。
【0007】
好ましくは、当該ポリヌクレオチドは、配列番号3〜16、18、20〜33、35若しくは37〜39のプライマー配列のうちの一つ、その相補配列、又はそれと80%、90%、95%若しくは99%の配列同一性を有する配列の最後の8個、10個、12個、14個、16個、17個、18個若しくは20個のヌクレオチド又は全体の少なくとも75%を含む。
【0008】
有利には、当該ポリヌクレオチドは、クエンチャー基(quencher group)及びフルオロフォア基(fluorophore group)をさらに含む。
【0009】
有用ものとして、クエンチャー基とフルオロフォア基とは、第一及び第二の領域を含むヌクレオチド・テイル配列によって分離され、第二の領域に対する第一の領域のハイブリダイゼーションによりクエンチャー基がフルオロフォア基に十分に近づき、フルオロフォア基を消光する結果となるように、第一の領域のヌクレオチドは、第二の領域のヌクレオチドと相補的であるが逆順である。
【0010】
好ましくは、前記テイル配列は、さらに、PIK3CA遺伝子の領域と相補的な配列を有する第三の領域を含む。
【0011】
有利には、当該ポリヌクレオチドは、配列番号18の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含み、かつ前記テイル配列は配列番号17を含む。
【0012】
あるいは、当該ポリヌクレオチドは、配列番号35の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含み、かつ前記テイル配列は配列番号34を含む。
【0013】
あるいは、当該ポリヌクレオチドは、配列番号39の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含み、かつ前記テイル配列は配列番号38を含む。
【0014】
有用なものとして、クエンチャー基はダブシル(Dabcyl)を含む。
【0015】
好ましくは、フルオロフォアは、ヘックス(Hex)、ファム(Fam)又はロックス(Rox)を含む。
【0016】
本発明の別の態様によれば、本発明のポリヌクレオチドの少なくとも二つを含むキットが提供される。
【0017】
有利には、当該キットは、配列番号18を含むポリヌクレオチド及び配列番号3〜16のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;又は配列番号35を含むポリヌクレオチド及び配列番号20〜33のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;又は配列番号39を含むポリヌクレオチド及び配列番号37を含むポリヌクレオチドを含む。
【0018】
有利なものとして、当該キットは、ヌクレオチド三リン酸塩、重合酵素及び/又はバッファー溶液をさらに含む。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、PIK3CA遺伝子の少なくとも断片を含む核酸試料における変異を検出するための、本発明のポリヌクレオチド若しくはキット;又は配列番号3〜16、18、20〜33若しくは35又はその相補配列の最後の6個のヌクレオチドの4個又は5個を含むポリヌクレオチドの使用が提供される。
【0020】
有利には、核酸試料におけるPIK3CA遺伝子の断片は、少なくとも10ヌクレオチド長さであり、好ましくは20ヌクレオチド長さであり、より好ましくは30ヌクレオチド長さであり、より好ましくは40ヌクレオチド長さである。
【0021】
本発明の別の態様によれば、
a)PIK3CA遺伝子の少なくとも断片を含む核酸試料を、配列番号3〜16又は20〜33のプライマー配列のうちの一つ又はその相補配列の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと混合し;及び
b)ハイブリダイゼーションが変異の存在を示す、核酸試料に対するポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを検出する、
工程を含む、PIK3CA遺伝子における変異の有無を検出する方法が提供される。
【0022】
有用なものとしては、前記ポリヌクレオチドは、配列番号3〜16又は20〜33のプライマー配列の一つを含む。
【0023】
好ましくは、当該方法は、工程a)の前に、熱サイクリング核酸増幅、好ましくはPCRを用いて、PIK3CA遺伝子の断片のコピー数を増幅する工程を有する。
【0024】
有利には、工程b)は、前記ポリヌクレオチドを第一のプライマーとして用いDNA重合を実施すること、及び重合の伸張産物を検出することを含む。
【0025】
有用なものとしては、工程b)は、前記ポリヌクレオチドが相補的な領域の下流にあるPIK3CA配列の断片の領域に対応する第2のプライマーと、核酸試料及び前記ポリヌクレオチドを混合し、該混合物についてPCRを実施する工程を含む。
【0026】
好ましくは、第2のプライマーは配列番号18を含み、かつ前記ポリヌクレオチドは配列番号3〜16の最後の6個のヌクレオチドの少なくとも4個又は5個を含み;又は第2のプライマーは配列番号35を含み、かつ前記ポリヌクレオチドは配列番号20〜33の最後の6個のヌクレオチドの少なくとも4個又は5個を含む。
【0027】
あるいは、当該方法は、コントロールプライマーを用いて試料についてPCRを実施し、PIK3CA遺伝子の増幅と、前記ポリヌクレオチド及び第2のプライマーを用いた増幅とを比較する工程をさらに含む。
【0028】
有利には、コントロールプライマーは、配列番号37及び39を含む。
【0029】
有用なものとして、前記ポリヌクレオチドは、クエンチャー基及びフルオロフォア基を含み、工程b)は、クエンチャー基の非存在下でフルオロフォアが反応する波長の光に混合物を暴露し、クエンチャー基の非存在下でフルオロフォア基によって放射される波長の光を検出することを含む。
【0030】
PIK3CA遺伝子は、本明細書に参照することにより組み込まれる、ジェンバンク・アクセション番号NM_006218 バージョン番号NM_006218.2 GI:54792081(GenBank accession no. NM_006218 version no. NM_006218.2 GI:54792081)として利用可能な配列であることが好ましい。
【0031】
参照配列の「最後の6個の配列の少なくとも4個又は5個」について、本明細書において申し述べると、これは、該参照配列における6個のヌクレオチドのうち、1個かそれとも2個のヌクレオチドが欠失又は異なるヌクレオチドと置換しても良いことを意味する。もちろん、ある実施形態では、当該配列は、参照配列の全ての6個のヌクレオチドを含む。
【0032】
本明細書において、「ARMS」とは、例えば、EP−A−0332435に開示される増幅不応性変異システム(Amplification Refractory Mutation System)である。
【0033】
参照ポリヌクレオチドと比較したポリヌクレオチドのパーセンテージについて、本明細書において申し述べると、これは、当該技術において知られているアルゴリズムによって決定することができる。
【0034】
例えば、二つの配列の間のパーセンテージ同一性は、BLSTP・アルゴリズム・バージョン2.2.2(アルチャル、ステフェン・エフ、トーマス・エル、マッデン、アレジャンドロ・エー・スキャッファー、ジングアイ・ザング、ゼング・ザング、ウェブ・ミラー、及びデービッド・ジェー・リプマン(1997)、「ギャップ・ブラスト及びピー・エス・アイ−ブラスト:タンパク質データベース検索プログラムの新世代」、核酸リサーチ25:3389-3402)(Altschul, Stephen F., Thomas L. Madden, Alejandro A. Schaffer, Jinghui Zhang, Zheng Zhang, Webb Miller, and David J. Lipman (1997), "Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs", Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)を用い、デフォルト・パラメーターを用いて決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】変異PIK3CA遺伝子を含む試料についてスコーピオン検出及びシーケンシングを行った結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態は、核酸を含有する試料においてPIK3CA遺伝子の変異の検出のためのアッセイに用いることができるポリヌクレオチドプライマーを提供する。
【0037】
具体的な実施形態において、ポリヌクレオチドプライマーは、PCR増幅反応を行うことができる、PIK3CA遺伝子にハイブリダイズするフォワード及びリバース・プライマーである。このように、フォワード・プライマーは、リバース・プライマーとは逆鎖に、かつその上流にハイブリダイズし、フォワード・プライマーとリバース・プライマーとは共に、PCRの間に増幅されるアンプリコン配列を定義する。フォワード・プライマーの配列は、野生型配列に相補的でないが、変異PIK3CA配列にハイブリダイズ可能であるように、選択される。
【0038】
試料において変異PIK3CA遺伝子の存在を検出するために、前記プライマーは試料と混合される。PCRに必要な物(適切なヌクレオチド三リン酸塩、DNAポリメラーゼ酵素及びバッファー溶液)が、次いで試料に加えられ、PCRが実施される。もし、試料が、フォワード・プライマーがハイブリダイズできる変異配列を含んでいる場合、PCRの間にアンプリコンが増幅され、試料における変異配列の存在がこのように示される。もし、試料が変異配列を含んでいない場合、フォワード・プライマーは、PIK3CA配列に低い効率で結合するため、アンプリコン配列の増幅はほとんど又は全くない。
【0039】
変異E542Kを検出するために、フォワード・プライマー配列は、配列番号3〜9のうちの一つ、好ましくは配列番号5であってもよい。変異E545Kを検出するために、フォワード・プライマー配列は、配列番号10〜16のうちの一つ、好ましくは配列番号14であってもよい。変異H1047Rを検出するために、フォワード・プライマー配列は、配列番号20〜26のうちの一つ、好ましくは配列番号21であってもよい。変異H1047Lを検出するために、フォワード・プライマー配列は、配列番号27〜33のうちの一つ、好ましくは配列番号28であってもよい。しかし、フォワード・プライマーが野生型配列よりもより容易に変異配列にハイブリダイズするならば、フォワード・プライマーの正確な配列はこれらの配列と同一である必要がないことは評価されるべきものである。上記に示した配列において、結合特異性をもたらすのは、プライマーの最後の6個のヌクレオチド(3’末端にけるヌクレオチド)であるので、これらのヌクレオチドは、与えられる配列と同一でなければならない。
【0040】
試料において形成されるアンプリコンの存在を検出するために、本発明の実施形態では、リバース・プライマーは、いわゆる「スコーピオンズ」("Scorpions")プライマーである。スコーピオンズ・プライマーの詳細は、本明細書に参照として組み込まれるWO−A−99/066071に提供されている。スコーピオンズ・プライマーは、遺伝子(本発明ではPIK3CA)の第1の標的配列に相補的なプライマー配列を含み、テイル配列は、両側に二つの相互に相補的な配列が並ぶプローブ配列を含む。DNAポリメラーゼ・ブロック部位(例えば、ヘキサエチレングリコール(HEG)モノマー)が、プライマー配列とテイル配列との間に設けられる。フルオロフォア基がテイル配列の一方の端に設けられ、クエンチャー基がテイル配列のもう一方の端に設けられる。使用において、スコーピオンズ・プライマーのプライマー配列は、通常、PCRの間、リバース・プライマーとして作用し、したがって、テイル配列を含む全体のスコーピオン・プライマーが各アンプリコンに組み込まれるようになる。DNAポリメラーゼ・ブロック部位は、テイル配列の重複を回避する。このように、テイル配列における相互に相補的な配列は、互いにハイブリダイズする傾向を有し、フルオロフォア基とクエンチャー基を接近させ、フルオロフォア基からの発光を回避する。しかし、アンプリコンが、プローブ配列と相補的な第2の標的配列を含んでいる場合、プローブ配列は、相互に相補的な配列を分離して、第2の標的配列に優先的に結合する。結果として、フルオロフォア基及びクエンチャー基は空間的に遠ざけられ、フルオロフォア基は、ある波長の入射光に応答して他の波長の光を放射する。したがって、アンプリコンが第2の標的配列を含む場合にのみシグナルが生じることから、スコーピオンズ・プライマーは、アンプリコンの簡易な検出を可能とし、さらに偽陽性の結果(例えば、プライマーダイマーに起因する)を回避する。
【0041】
フルオロフォア基は、ヘックス(Hex) (4,7,2',4',5',7'-ヘキサクロロ-(3',6'-ジピバロイルフルオレセイニル)-6-カルボキサミドヘキシル]-1-O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-フォスフォルアミダイト)
((4,7,2',4',5',7'-hexachloro-(3',6'-dipivaloylfluoresceinyl)-6-carboxamidohexyl]-1-O-(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)-phosphoramidite)、ファム(Fam)([(3',6'-ジピバロイルフルオレセイニル)-6-カルボキサミドヘキシル]-1-O-(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)-フォスフォルアミダイト)
([(3',6'-dipivaloylfluoresceinyl)-6-carboxamidohexyl]-1-O-(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)-phosphoramidite)、又は、ロックス(Rox)(5,6,-カルボキシ-エックス-ローダミン) (5,6,-Carboxy-X-Rhodamine)であってもよい。クエンチャー基は、ダブシル(Dabcyl)(5'-ジメトキシトリチロキシ-5-[(N-4'-カルボキシ-4-(ジメチルアミノ)-アゾベンゼン)-アミノヘキシル-3-アクリリミド]-2'-デオキシウリジン-3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]- フォスフォルアミダイト)
(5'-Dimethoxytrityloxy-5-[(N-4'-carboxy-4-(dimethylamino)-azobenzene)-aminohexyl-3-acrylimido]-2'-deoxyUridine-3'-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite)であってもよい。
【0042】
本発明の実施形態では、スコーピオンズ・プライマーが、E542K及びE545K変異の検出に提供され、そのプライマー配列は配列番号18であり、そのプローブ配列は配列番号17である。スコーピオンズ・プライマーが、H1047R及びH1047L変異の検出に提供され、そのプライマー配列は配列番号35であり、そのプローブ配列は配列番号34である。
【0043】
しかし、スコーピオンズ・プライマーの使用は本発明に必須でなく、特許番号US−A−5487972及びUS−A−5210015に記載されるような、TaqMan(商標)プロダクト・ディテクション等のアンプリコンの合成を検出する他の方法が利用されてもよいことは評価されるべきである。
【0044】
ある実施形態では、試料においてPIK3CA遺伝子の全体の濃度を検出するために、コントロールアッセイがまた実施される。これは、PIK3CA遺伝子の他の領域におけるアンプリコンを定義するコントロールのフォワード及びリバース・プライマーを用いた別のPCR反応を実施することによって達成される。フォワード・プライマーは配列番号37であり、かつリバース・プライマーは、プライマー配列が配列番号39であってプローブ配列が配列番号38であるスコーピオンズ・プライマーであることが好ましい。試料におけるPIK3CA遺伝子の変異コピーの割合を評価するために、コントロールのアンプリコンの閾値数を生成するのに必要なPCRサイクル数を、次いで、変異配列を含むアンプリコンの閾値数を生成するのに必要なPCRサイクル数と比較する。このようなコントロールアッセイは、通常、試験アッセイとは別に実施される。
【0045】
PCRアッセイは、多重リアルタイムPCRアッセイ(multiplexed real time PCR assay)として好ましくは実施される。
【0046】
核酸の試験試料は、有用なものとしては、血液、糞便、痰、結腸洗浄、気管支洗浄若しくはその他体液の試料、又は固体から得られる組織である。固体は、有用なものとしてはヒト、好ましくは、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)である。試験試料は、試験試料における配列に対応する核酸配列と同等であってもよいことが評価されるだろう。すなわち、本発明の方法における使用の前に、試料核酸における全部又は一部の領域が、熱サイクリング核酸増幅、特にPCR、又は全ゲノム増幅(WGA)等のあらゆる有用な技術を用いて、まず、増幅されてもよい。
【0047】
かなりの程度において正常な鋳型配列と変異の鋳型配列とを区別するDNAポリメラーゼの能力に影響しない限り、重合のためのあらゆる有用な酵素が用いられてもよい。有用な酵素の例としては、著しい3'−5'エクソヌクレアーゼ活性を有しない耐熱性酵素、例えば、TaqDNAポリメラーゼ、特に"Ampli Taq Gold"(商標)DNAポリメラーゼ(PEアプライド・バイオシステムズ)、ストッフェル・フラグメント(Stoffelfragment)、又はTaq若しくはTth(サーマス サーモフィラス)(Thermus thermophilus)DNAポリメラーゼのその他の適切なN末端欠失改良を含む。
【0048】
本発明のさらなる実施形態では、1個以上の本発明のポリヌクレオチド及びヌクレオチド三リン酸塩、並びに、PCR反応を実施するために必要なDNAポリメラーゼ酵素及びバッファー溶液を含むキットが提供される。好ましいキットは、特定の変異の検出のためのフォワード及びリバース・プライマー、並びに、フォワード及びリバースのコントロール・プライマーを含む。
【実施例】
【0049】
<材料及び方法>
プライマーを、PIK3CA遺伝子(アクセッション番号:NM_006218)における4つの最も一般的な変異に対して設計した。エクソン20における2つの変異:H1047R及びH1047L;並びに、エクソン9における2つの変異:E452K及びE454Kを検出するために、ARMSプライマーを設計した。コントロール・プライマーを、PIK3CA遺伝子におけるcDNA位置2450に対して設計した。
【0050】
スコーピオンズについてもまた設計した。各反応におけるいくつかのアッセイの多重化を許容するために、3つのスコーピオン・プライマーを、異なるフルオロフォアを用いて標識した。
【0051】
(プライマーの設計)
各標的領域に対して特異的ないくつかのARMSプライマーを設計した。E542K及びE545K変異の標的領域を、それぞれ、配列番号1及び2として以下に示す(変異の塩基は括弧に示され、最初のものが正常変異である)。変異に対するフォワード・プライマーもまた以下(配列番号3〜16)に示す。これらの反応の特異性を高めるために、3'末端近傍のさらなるプライマー・ミスマッチが用いられた(プライマー配列において下線で示す)。最適なプライマー(E542K−2及びE545K−4)を、記載する実験に用いた。プライマー配列と共に使用可能なスコーピオンズ・プライマーを、配列番号17及び18として示す。スコーピオンズ・プライマーと標的領域との間で対応する領域は、同一の強調表示又は下線で示されている。
【0052】
(エクソン9領域)
【化1】

【0053】
【化2】

【0054】
【表1】

【0055】
(エクソン20領域)
H1047R及びH1047L変異の標的領域は、以下配列番号19として示す(変異の塩基は括弧に示され、最初のものが正常変異である)。変異に対するフォワード・プライマーもまた以下(配列番号20〜33)に示す。これらの反応の特異性を高めるために、3'末端近傍のさらなるプライマー・ミスマッチが用いられた(プライマー配列において下線で示す)。最適なプライマー(H1047R−1及びH1047L−1)を、記載する実験に用いた。プライマー配列と共に使用可能なスコーピオンズ・プライマーを、配列番号34及び35として示す。スコーピオンズ・プライマーと標的領域との間で対応する領域は、同一の強調表示又は下線で示されている。
【0056】
【化3】

【0057】
【表2】

【0058】
(コントロール・プライマー)
コントロール・プライマーを以下に示す。スコーピオンズ・プライマーと標的領域との間で対応する領域は、同一の強調表示又は下線で示す。
【0059】
【化4】

【0060】
【表3】

【0061】
全てのプライマーは、インビトロジェン社によって合成、提供された。PCRバッファー、Taq及びマグネシウムは、ユーロジェンテック(Eurogentec)社によって提供され、dNTPSは、アブジェン社(Abgene Ltd.)から購入した。スコーピオンズは、エーティーディーバイオ社(ATDBio)によって合成され、提供された。
【0062】
アッセイは、コントロールアッセイ及び2つのARMSアッセイ(1×エクソン9及び1×エクソン20)を含む2つの反応に多重化した。アッセイは、1×PCRバッファー、4.0mM MgCl2、200μM dNTPミックス、0.25μMの各プライマー(コントロール・プライマー及び2つのARMSプライマー)及び0.25μMの各スコーピオン(コントロール・スコーピオン(配列番号38及び39)、エクソン20スコーピオン(配列番号34及び35)及びエクソン9スコーピオン(配列番号17及び18))を含有する25μLの反応容積において行った。2.5μLのDNA鋳型を各反応に添加した。H1047R及びE542Kプライマーを、反応当たり2.5ユニットのTaqポリメラーゼと多重化した。H1047L及びE545Kプライマーを、反応当たり3.0ユニットのTaqポリメラーゼと多重化した。使用したE542Kプライマーは、E542K−2(配列番号5)であった。使用したE545Kプライマーは、E545K−4(配列番号14)であった。使用したH1047Rプライマーは、H1047R−1(配列番号21)であった。使用したH1047Lプライマーは、H1047L−1(配列番号28)であった。
【0063】
全てのケースにおいて、95℃で10分間、続いて90℃で30秒間及び60℃で1分間を45サイクルの条件下で、Stratagene Mx3000Pで増幅した。
【0064】
ポジティブ・コントロールとして使用した点変異を内部に有するDNAカセットは、Higuchiら(参考文献2)に記載の方法に基づいて構築した。概略、対応する外側のプライマー及び変異プライマーを用い、相補的な末端を有する半分のカセット(各半分のカセットは変異塩基を含んでいる)を生成した。これらのPCR産物を混合し、内部ネスティッド・プライマー(nested primers)を用いて増幅した。相補的な半分のカセット同士の自己プライミング、及び続く増幅により、変異させた塩基を有する最終産物を生成した。産物について、正確な配列が生成されていることを確かめるために、シーケンスを行った。この過程を、注目する各変異について繰り返した。100%のポジティブ・コントロールを作成するために、DNAカセットは、等量のゲノムDNAと混合した。
【0065】
(実施例1)
反応及びプライマーの特異性を決定するために、各アッセイは、反応当たり5〜50ngのゲノムDNAを用いて行い、ミスマッチしたプライマーの伸長により生じたブレイクスルー・シグナル(breakthrough signal)を評価した。各反応について、ΔCt値(コントロールCt−変異Ct)を定義した(Ct=閾値サイクル(threshold cycle))。その値未満でいずれの増幅も変異の配列の存在に起因するものであり、かつブレークスルー・シグナルに起因するものではないと言える、カットオフΔCt値を定義するために、反応は、各DNA濃度について6回行い、別々の場合で三重(triplicate)に繰り返した。カットオフΔCt値は、各アッセイについて全ての反応において見出された最も低いΔCt値未満の1Ctであると決定した。H1047R及びH1047Lアッセイについて、カットオフΔCtは12と定義され、E542Kアッセイについて、カットオフΔCtは9であり、E545Kアッセイについては、カットオフΔCtは8であった。
【0066】
(実施例2)
アッセイの感度を評価するために、変異DNAの5コピーを、野生型に対して5、2、1、0.5及び0.1%変異DNAの最終濃度となるように、各種濃度のゲノムDNAにおいて希釈した。表1は、4つのARMSアッセイの感度を示している。表は、野生型DNAのバックグラウンド内において減少する濃度の変異DNAに対するΔCt値を示す。事前に定義されたカットオフΔCtは最後の欄に示されている。エクソン20アッセイは、(事前に定義したカットオフΔCt内において)総DNAの0.1%のみを含有する場合に、変異DNAの5コピーを検出することができた。エクソン9アッセイは、事前に定義したカットオフ値内でΔCtとともに1%濃度において5コピーのDNAを検出することができた(表1)。
【0067】
【表4】

【0068】
(実施例3)
シーケンシングと比較したARMSアッセイの相対的な感度を比較するために、変異H1047R(HCT−116)及びE545K(MCF−7)を含む細胞株の混合物を用いた。両細胞株は、変異についてヘテロ接合であった。シーケンシングは、Samuelsら(参考文献1)によって記載されるプライマー及びPCRのサイクル条件を用いて行った。ARMSアッセイ及びシーケンシングは、総混合物の100%、50%、30%、10%及び1%の変異遺伝子の濃度で実施した。結果を図1に示す。図1において、表題の「スコーピオンズ」(Scorpions)の下の結果は、PCRの連続の繰り返しの後のアンプリコンのコピー数における増加を示す(コントロール・プライマー及び変異プライマーを用いた結果は別々の線として示されている)。表題の「DNAシーケンシング」の下には、該混合物において当該遺伝子の逆鎖をシーケンスした結果が示されている。シーケンシングでは、総混合物の50%未満で存在する場合にはH1047Rの変異の存在を検出することはできず、総混合物の30%未満で存在する場合にはE545Kの変異の存在を検出することができなかった。これに対して、本発明のプライマーを用いたアッセイは、1%の濃度において変異の存在を検出することができた。
【0069】
(実施例4)
ARMS/スコーピオン・アッセイを用いてPIK3CA変異の存在が評価された様々な腫瘍型からの新鮮凍結組織から抽出したDNAに本アッセイを適用した。合計で、279の腫瘍試料からDNAが利用可能であった。アッセイにより、49の直腸結腸癌試料のうち5個(10.2%)、49の乳癌試料のうち19個(38.7%)、51の肺癌試料のうち1個(1.9%)、及び34の黒色腫(メラノーマ)試料のうち1個(2.9%)において、変異が報告された。50の前立腺癌試料又は46の卵巣癌試料では、変異は検出されなかった。PIK3CA変異が陽性の直腸結腸癌試料のうち、3個はH1047Rであり、1個はH1047Lであり、1個はE542Kであった。PIK3CA変異が陽性の乳癌試料のうち、15個はH1047Rであり、1個はH1047Lであり、3個はE545Kであった。PIK3CA変異が陽性である両肺癌試料及び黒色腫試料における変異はH1047Rであった。シーケンシングは、検出された26の総変異のうち14(53%)のみ同定した。シーケンシングは、ARMSアッセイでは検出されるように設計されていない、一つの乳癌試料において変異を検出した(c. 1634 A>G;p E545G)。これは、新規の変異でなく、乳癌及び直腸結腸癌において以前記載されていたものである(参考文献3〜5)。
【0070】
分析された試料におけるPIK3CA変異の出現は、卵巣癌を除いて、以前の研究と一致した(参考文献1、3〜9)。PIK3CA変異は、卵巣癌において以前記載されているが、類内膜癌及び明細胞癌と関係しているかもしれないことが示唆されている(参考文献8、10)。本調査において試験された全ての卵巣癌は、いずれのPIK3CA変異も存在しないことを説明するだろう漿液性腺癌であった。
【0071】
ARMSアッセイは、ダイレクト・シーケンシングよって見られるよりも、臨床試料においてより多くの変異を同定した。細胞株の混合物により、本アッセイは、注目するPIK3CA変異を検出するのに、シーケンシングよりもより感度が高いことが確認された。腫瘍及び正常組織の両方を含むだろう臨床試料の不均一性は、場合によっては変異の出現はシーケンシング法によっては検出可能ではないことを意味し、ARMSアッセイが臨床適用により好適である。不利な点としては、特定のARMS特異的変異のみが検出されることである。しかしながら、この一連の279の試料において、ARMSアッセイでは検出されるように設計されていない、PIK3CA遺伝子のエクソン9又は20において一つのみの変異が検出された。
【0072】
要約すると、実施例は、本発明がPIK3CA遺伝子における4つの最も一般的な変異の検出のための感度が高く、高いスループットのアッセイを提供することを示す。本アッセイは、少量のDNAに適用してもよく、試料内において低レベルの変異PIK3CAを検出することができる。
【0073】
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<210> 1
<223> E542K 標的領域

<210> 2
<223> E545K 標的領域

<210> 3
<223> E542K-0 フォワード・プライマー

<210> 4
<223> E542K-1 フォワード・プライマー

<210> 5
<223> E542K-2 フォワード・プライマー

<210> 6
<223> E542K-3 フォワード・プライマー

<210> 7
<223> E542K-4 フォワード・プライマー

<210> 8
<223> E542K-5 フォワード・プライマー

<210> 9
<223> E542K-6 フォワード・プライマー

<210> 10
<223> E545K-0 フォワード・プライマー

<210> 11
<223> E545K-1 フォワード・プライマー

<210> 12
<223> E545K-2 フォワード・プライマー

<210> 13
<223> E545K-3 フォワード・プライマー

<210> 14
<223> E454K-4 フォワード・プライマー

<210> 15
<223> E545K-5 フォワード・プライマー

<210> 16
<223> E545K-6 フォワード・プライマー

<210> 17
<223> エクソン9 スコーピオン

<210> 18
<213> エクソン 9 スコーピオン2

<210> 19
<223> H1047R及びH1047L 標的領域

<210> 20
<223> H1047R-0 フォワード・プライマー

<210> 21
<223> H1047R-1 フォワード・プライマー

<210> 22
<223> H1047R-2 フォワード・プライマー

<210> 23
<223> H1047R-3 フォワード・プライマー

<210> 24
<223> H1047R-4 フォワード・プライマー

<210> 25
<223> H1047R-5 フォワード・プライマー

<210> 26
<223> H1047R-6 フォワード・プライマー

<210> 27
<223> H1047L-0 フォワード・プライマー

<210> 28
<223> H1047L-1 フォワード・プライマー

<210> 29
<223> H1047L-3 フォワード・プライマー

<210> 30
<223> H1047-3 フォワード・プライマー

<210> 31
<223> H1047L-4 フォワード・プライマー

<210> 32
<223> H1047L-5 フォワード・プライマー

<210> 33
<223> H1047L-6 フォワード・プライマー

<210> 34
<223> エクソン20 スコーピオン

<210> 35
<223> エクソン20 スコーピオン2

<210> 36
<223> コントロール標的領域

<210> 37
<223> コントロール・プライマー

<210> 38
<223> コントロール・スコーピオン

<210> 39
<223> コントロール・スコーピオン2
【0074】
(参考文献)
1. サミュエルズ・ワイ、ワング・ジー、バーデリ・エーら、「ヒト癌におけるPIK3CA遺伝子の高頻度の変異」サイエンス2004;304(5670): 554(Samuels Y, Wang Z, Bardelli A, et al. High frequency of mutations of the PIK3CA gene in human cancers. Science 2004;304(5670):554.)
2. ヒグチ・アール、クラメル・ビー、サイキ・アールケー、「DNA断片のイン・ビトロ調整及び特定の変異生成の一般的方法:タンパク質及びDNAの相互作用の研究」、核酸リサーチ1988;16(15):7351-67(Higuchi R, Krummel B, Saiki RK. A general method of in vitro preparation and specific mutagenesis of DNA fragments: study of protein and DNA interactions. Nucleic Acids Res 1988;16(15):7351-67.)
3. ウー・ジー、ジング・エム、マンボ・イーら、「ヒト乳癌におけるPIK3CAの体細胞変異及びコピー数の獲得」、乳癌リサーチ2005;7(5):R609-16(Wu G, Xing M, Mambo E, et al. Somatic mutation and gain of copy number of PIK3CA in human breast cancer. Breast Cancer Res 2005;7(5):R609-16.)
4. レビン・ディーエー、ボゴモルニイ・エフ、イー・シージェーら、「卵巣癌及び乳癌におけるPIK3CA遺伝子の高頻度の変異」臨床癌リサーチ2005;11(8):2875-8(Levine DA, Bogomolniy F, Yee CJ, et al. Frequent mutation of the PIK3CA gene in ovarian and breast cancers. Clin Cancer Res 2005;11(8):2875-8.)
5. ベルホ・エス、オリベリカ・シー、フェレイラ・エーら、「胃癌及び結腸癌におけるPIK3CA変異の保有率」ヨーロッパ癌ジャーナル2005;41(11):1649-54(Velho S, Oliveira C, Ferreira A, et al. The prevalence of PIK3CA mutations in gastric and colon cancer. Eur J Cancer 2005;41(11):1649-54.)
6. リー・ジェーダブリュ、サング・ワイエイチ、キム・エスワイら、「PIK3CA遺伝子は、乳癌及び肝細胞癌において高頻度に変異する」、オンコジーン2005;24(8):1477-80(Lee JW, Soung YH, Kim SY, et al. PIK3CA gene is frequently mutated in breast carcinomas and hepatocellular carcinomas. Oncogene 2005;24(8):1477-80.)
7. ブッチャマン・ケーイー、アルガニ・ピー、サミュエルズ・ワイら、「PIK3CA遺伝子は、ヒト乳癌において高頻度で変異する」癌生物学及び治療2004;3(8):772-5(Bachman KE, Argani P, Samuels Y, et al. The PIK3CA gene is mutated with high frequency in human breast cancers. Cancer Biol Ther 2004;3(8):772-5.)
8. キャンプベル・アイジー、ラッセル・エスイー、コーング・ディーワイら、「卵巣癌及び乳癌におけるPIK3CA遺伝子の変異」、癌リサーチ2004;64(21):7678-81(Campbell IG, Russell SE, Choong DY, et al. Mutation of the PIK3CA gene in ovarian and breast cancer. Cancer Res 2004;64(21):7678-81.)
9. オムホルト・ケー、クロッケル・ディー、リングボーグ・ユー、ハンソン・ジェー「皮膚黒色腫では、PIK3CAの変異は稀有である」、メラノーマ・リサーチ2006;16(2):197-200(Omholt K, Krockel D, Ringborg U, Hansson J. Mutations of PIK3CA are rare in cutaneous melanoma. Melanoma Res 2006;16(2):197-200.)
10. ワング・ワイ、へランド・エー、ホルム・アール、クリステンセン・ジービー、ボレッセン−デイル エーエル、「進行卵巣癌におけるPIK3CA変異」ヒト変異2005;25(3):322(Wang Y, Helland A, Holm R, Kristensen GB, Borresen-Dale AL. PIK3CA mutations in advanced ovarian carcinomas. Hum Mutat 2005;25(3):322.)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3〜16、18、20〜33、35若しくは37〜39のプライマー配列のうちの一つ又はその相補配列の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項2】
ポリヌクレオチドは、100ヌクレオチ長さ未満であり、好ましくは80ヌクレオチド長さ未満であり、より好ましくは60ヌクレオチド長さ未満であり、より好ましくは40ヌクレオチド長さ未満であり、より好ましくは30ヌクレオチド長さ未満である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号3〜16、18、20〜33、35若しくは37〜39のプライマー配列のうちの一つ又はその相補配列の全体又は最後の8個、10個、12個、14個、16個、17個、18個若しくは20個のヌクレオチドの少なくとも75%を含む、請求項1又は2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
クエンチャー基及びフルオロフォア基をさらに含む、前記請求項のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
クエンチャー基とフルオロフォア基とは、第一及び第二の領域を含むヌクレオチド・テイル配列によって分離され、第二の領域に対する第一の領域のハイブリダイゼーションによりクエンチャー基がフルオロフォア基に十分に近づき、フルオロフォア基を消光する結果となるように、第一の領域のヌクレオチドは、第二の領域のヌクレオチドと相補的であるが逆順である、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記テイル配列は、さらに、PIK3CA遺伝子の領域と相補的な配列を有する第三の領域を含む、請求項5に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号18の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含み、かつ前記テイル配列は配列番号17を含む、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号35の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含み、かつ前記テイル配列は配列番号34を含む、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号39の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含み、かつ前記テイル配列は配列番号38を含む、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記クエンチャー基がダブシル(Dabcyl)を含む、請求項4〜9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記フルオロフォアが、ヘックス(Hex)、ファム(Fam)又はロックス(Rox)を含む、請求項4〜10のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記請求項の1項に定義されるポリヌクレオチドの少なくとも二つを含むキット。
【請求項13】
配列番号18を含むポリヌクレオチド及び配列番号3〜16のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;又は配列番号35を含むポリヌクレオチド及び配列番号20〜33のいずれか1つを含むポリヌクレオチド;又は配列番号39を含むポリヌクレオチド及び配列番号37を含むポリヌクレオチドを含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
ヌクレオチド三リン酸塩、重合酵素及び/又はバッファー溶液をさらに含む、請求項12又は13に記載のキット。
【請求項15】
PIK3CA遺伝子の少なくとも断片を含む核酸試料における変異を検出するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド若しくは請求項12〜14のいずれか1項に記載のキット;又は配列番号3〜16、18、20〜33若しくは35又はその相補配列の最後の6個のヌクレオチドの4個又は5個を含むポリヌクレオチドの使用。
【請求項16】
核酸試料におけるPIK3CA遺伝子の断片が、少なくとも10ヌクレオチド長さであり、好ましくは20ヌクレオチド長さであり、より好ましくは30ヌクレオチド長さであり、より好ましくは40ヌクレオチド長さである、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
a)PIK3CA遺伝子の少なくとも断片を含む核酸試料を、配列番号3〜16又は20〜33のプライマー配列のうちの一つ又はその相補配列の少なくとも最後の6個のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと混合し;及び
b)ハイブリダイゼーションが変異の存在を示す、核酸試料に対するポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを検出する、
工程を含む、PIK3CA遺伝子における変異の有無を検出する方法。
【請求項18】
前記ポリヌクレオチドは、配列番号3〜16又は20〜33のプライマー配列の一つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程a)の前に、熱サイクリング核酸増幅、好ましくはPCRを用いて、PIK3CA遺伝子の断片のコピー数を増幅する工程を有する、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
工程b)は、ポリヌクレオチドを第一のプライマーとして用いてDNA重合を実施すること、及び重合の伸張産物を検出することを含む、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
工程b)は、前記ポリヌクレオチドが相補的な領域の下流にあるPIK3CA配列の断片の領域に対応する第2のプライマーと、核酸試料及び前記ポリヌクレオチドを混合し、該混合物についてPCRを実施する工程を含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
第2のプライマーは配列番号18を含み、かつ前記ポリヌクレオチドは配列番号3〜16の最後の6個のヌクレオチドの少なくとも4個又は5個を含み;又は第2のプライマーは配列番号35を含み、かつ前記ポリヌクレオチドは配列番号20〜33の最後の6個のヌクレオチドの少なくとも4個又は5個を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
コントロール・プライマーを用いて試料についてPCRを実施し、PIK3CA遺伝子の増幅と、前記ポリヌクレオチド及び第二のプライマーを用いた増幅とを比較する工程をさらに含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記コントロール・プライマーが、配列番号37及び39を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリヌクレオチドは、クエンチャー基及びフルオロフォア基を含み、工程b)は、クエンチャー基の非存在下でフルオロフォアが反応する波長の光に混合物を暴露し、クエンチャー基の非存在下でフルオロフォア基によって放射される波長の光を検出することを含む、請求項17〜24のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−539920(P2010−539920A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526365(P2010−526365)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003306
【国際公開番号】WO2009/040557
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(510084161)ディーエックスエス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】