説明

ポリプロピレン系樹脂組成物

【課題】少ない添加量でポリプロピレン系樹脂の物理強度を向上する造核剤・透明化剤組成物を提供することで物性向上に伴う製品価格の上昇を抑えられたポリプロピレン樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂100質量部に、特定の芳香族リン酸エステル金属塩0.06〜0.1質量部、特定の芳香族トリアミド化合物0.015〜0.02質量部および水酸化マグネシウム0.015〜0.03質量部を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族リン酸エステル金属塩と芳香族トリアミド化合物および水酸化マグネシウムを併用することで少ない添加量でポリプロピレン系樹脂の透明性と物理強度を向上したポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレン単独重合体やエチレン−プロピレン共重合体などのポリプロピレン系樹脂は、自動車、家電、建築資材、家具、包装容器、玩具、日用雑貨など幅広く用いられている。しかし、透明性においてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレンなどに劣るため安息香酸金属塩、芳香族リン酸エステル金属塩、脂肪族環状化合物の金属塩やジベンジリデンソルビトール類、アミド化合物など各種の造核剤、透明化剤を配合することが従来より提案され実用化されている。
【0003】
特許文献1には、芳香族リン酸エステル金属塩を用いることが提案され、特に物理強度の向上に顕著な効果を示し、透明性も向上している。特許文献2には、アミド化合物が提案され、少ない配合量で優れた透明性を有するポリプロピレン樹脂組成物が得られている。更に、段落(0051)に他の造核剤との併用が示唆されている。また、特許文献3や特許文献4には、芳香族リン酸エステル金属塩に有機酸アミド化合物を併用することが提案されているが、特許文献3に具体的に記載された有機酸アミド化合物はいずれも脂肪酸アミド化合物であり、特許文献4では2価以上の脂肪族アミン由来のアミド化合物であり、芳香族トリアミド化合物の記載はない。特許文献5にはリン酸エステル金属塩にタルクやマイカなどの珪酸系無機物を併用することが提案されている。
【0004】
造核剤や透明化剤はポリプロピレン系樹脂の諸特性を向上するが、特許文献2記載の化合物のように透明性の改善のみであれば低添加量で可能な添加剤もあるものの、物理強度の向上については少量で効果を示すものはなく、高い性能を発現するには添加量を増やす必要があり、コスト増となるためポリプロピレンの用途拡大に障害となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−184252号公報の特許請求の範囲
【特許文献2】特表2006−518402号公報の特許請求の範囲および段落(0051)
【特許文献3】特開2005−120237号公報の特許請求の範囲
【特許文献4】特開平04−370124号公報
【特許文献5】特開2003−335968号公報の特許請求の範囲
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少ない添加量でポリプロピレン系樹脂の物理強度を向上する造核剤・透明化剤組成物を提供することで物性向上に伴う製品価格の上昇を抑えられたポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
芳香族リン酸エステル金属塩、芳香族トリアミド化合物および水酸化マグネシウムを併用することで少量の添加量でも透明性と物理強度に優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。
【0008】
ポリプロピレン系樹脂100質量部に、下記一般式(I)で表される化合物0.06〜0.1質量部、下記一般式(II)で表される化合物0.015〜0.02質量部および水酸化マグネシウム0.015〜0.03質量部を配合することで上記課題を解決する。
【0009】
【化1】

(式中、R1、R2、R3およびR4は、各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Xは直接結合又は炭素原子数1〜4のアルキリデン基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムのいずれかを表し、Yはヒドロキシ基を表し、nは、Mがアルカリ金属のとき1を、Mがアルカリ土類金属のとき2を、Mがアルミニウムのとき2又は3を表し、mは0又は1を表し、Mがアルカリ金属又はアルカリ土類金属のとき0を、Mがアルミニウムのときnが2なら1を、nが3なら0を表す。)
【0010】
【化2】

(式中、Zはアミド結合を表し、R5、R6およびR7は各々独立に炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。)
【発明の効果】
【0011】
本発明により、少ない添加量の造核剤・透明化剤でポリプロピレン系樹脂の透明性と物理強度を向上することができる。また、添加量が少なくなることで耐抽出性が向上し、成形品の衛生性も向上する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレンと他のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)少量(1〜10質量%)との共重合体、プロピレンとエチレンプロピレンとの共重合体(TPO)などが挙げられる。
【0013】
上記のポリプロピレン系樹脂は、重合触媒・助触媒の種類や有無、立体規則性、平均分子量、分子量分布、特定の分子量成分の有無や比率、比重、粘度、各種溶媒への溶解度、伸び率、衝撃強度、結晶化度、X線回折、不飽和カルボン酸(マレイン酸、イタコン酸、フマル酸など)およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルなど)や有機過酸化物またはエネルギー線の照射およびこれら処理の組合せによる変性・架橋処理の有無などによらず用いることができる。
【0014】
本発明に用いられる一般式(I)におけるR1、R2、R3およびR4で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、第三ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、第三オクチルなどが挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる一般式(I)におけるXで表される炭素原子数1〜4のアルキリデン基としては、メチレン、エチリデン、2,2−プロピリデン、1,1−ブチリデンなどが挙げられる。
【0016】
一般式(I)で表される芳香族リン酸エステル金属塩として、より具体的には、以下の化合物No.1〜No.4の化合物が挙げられる。
【0017】
【化3】

【0018】
【化4】

【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

【0021】
上記化合物は、製造方法は特に制限されず、粒径、アスペクト比などの形状に関する限定や、酸価、塩素濃度などの純度に起因するパラメータなども特に制限されなが、樹脂への分散性に優れるので粒径は小さいものが好ましく、針状晶のものはアスペクト比が小さくなるような粉砕処理されたものが成形品の収縮率異方性が小さいので好ましく、不純物が少ないものが好ましい。ただし、微粉末は流動性に乏しいことや粉塵が発生しやすいことなど欠点もあり、粉砕や精製は製造コストの増大につながるので費用対効果で最適な品質になるよう製造して使用することが好ましい。
【0022】
本発明に用いられる一般式(II)におけるR5、R6およびR7で表される炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、第三ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、第三オクチルなどが挙げられる。
【0023】
一般式(II)で表されるアミド化合物としては、より具体的には、以下の化合物No.5〜No.7などが挙げられる。
【0024】
【化7】

【0025】
【化8】

【0026】
【化9】

【0027】
上記化合物は、製造方法は特に制限されず、粒径などの形状に関する限定や、純度に起因するパラメータなども特に制限されなが、樹脂への分散性に優れるので粒径は小さいものが好ましく、不純物が少ないものが好ましい。ただし、微粉末は流動性に乏しいことや粉塵が発生しやすいことなど欠点もあり、粉砕や精製は製造コストの増大につながるので費用対効果で最適な品質になるよう製造して使用することが好ましい。
【0028】
本発明に用いられる水酸化マグネシウムは、市販の水酸化マグネシウム粉末をそのまま使用可能であり、粒径などの形状に関する限定や、表面処理の有無、純度に起因するパラメータなども特に制限されなが、樹脂への分散性に優れるので粒径は小さいものが好ましく、不純物が少ないものが好ましい。ただし、微粉末は流動性に乏しいことや粉塵が発生しやすいことなど欠点もあり、粉砕や精製は製造コストの増大につながるので費用対効果で最適な品質になるよう製造して使用することが好ましい。
【0029】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、使用条件や要求特性に応じてフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、難燃剤、難燃助剤、他の造核剤、帯電防止剤、重金属不活性化剤、可塑剤、軟化剤、滑剤、ハイドロタルサイト、脂肪酸金属塩、顔料、赤外線吸収剤、防曇剤、防霧剤、充填剤、抗菌・抗カビ剤などの汎用の樹脂添加剤を添加することが好ましい。
【0030】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、2−メチル−4,6−ビス(オクチルチオメチル)フェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられ、樹脂100重量部に対して、0.001〜10重量部、より好ましくは、0.05〜5重量部が用いられる。
【0031】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイトなどがあげられる。
【0032】
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジパルミチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、テトラキス(3−ラウリルチオジプロピオン酸メチル)メタン、ビス(2−メチル−4−(アルキル(C8〜C18の単独または混合)チオプロピオニルオキシ)−5−第三ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンズイミダゾールおよびその亜鉛塩などが挙げられる。
【0033】
紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類があげられる。
【0034】
ヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物があげられる。
【0035】
難燃剤としては、デカブロモジフェニルエーテルやテトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェイト、レゾルシノールやビスフェノールAなどの多価フェノールとフェノールや2,6−キシレノールなどの1価フェノールの縮合リン酸エステル;赤燐、リン酸メラミンなどの無機リン化合物;メラミンシアヌレートなどの含窒素難燃剤;水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤;酸化アンチモンや酸化ジルコニウムなどの難燃助剤;ポリテトラフルオロエチレンなどのドリップ防止剤などが用いられる。
【0036】
難燃助剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、(メタ)アクリル変性PTFEなどのフッ素樹脂やシリコン樹脂などが挙げられる。
【0037】
他の造核剤としては、安息香酸ナトリウム、アルミニウム−p−tert−ブチルベンゾエート、リチウム−p−tert−ブチルベンゾエート等の安息香酸類の金属塩;2,2−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)リン酸エステルナトリウムなどのリン酸エステル金属塩;ジベンジリデンソルビトール、ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(4−エチルベンジリデン)ソルビトール等のベンジリデンソルビトール類;グリセリン亜鉛等の金属アルコラート類;グルタミン酸亜鉛等のアミノ酸金属塩;ビシクロヘプタンジカルボン酸またはその塩などのビシクロ構造を有する脂肪族二塩基酸およびその金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸リチウムなどの芳香族スルホン酸金属塩などがあげられる。2,2−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)リン酸エステルナトリウムなどのリン酸エステル金属塩などの金属塩系化合物のように透明性だけでなく、ポリプロピレン系樹脂のガラス転移温度を向上する造核剤との併用は本発明のみでは得られない効果が期待できるので好ましい。
【0038】
重金属不活性化剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンズアミド−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルやドデカンジオイックアシッドビス[2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド]などが挙げられる。
【0039】
上記ハイドロタルサイト化合物としては、下記一般式(III)で表されるマグネシウム及びアルミニウム、又はマグネシウム、及びアルミニウムからなる複塩化合物が好ましく用いられ、また、結晶水を脱水したものであってもよい。
【0040】
Mgx1Znx2Al2・(OH)2(x1+x2)+4・(CO3)1-y1/2・mH2O (III)
(式中、x1、x2及びy1は各々下記式で表される条件を満足する数を示し、mは0又は任意の整数を示す。
0≦x2/x1≦10、2≦x1+x2<20、0≦y1≦2)
【0041】
上記ハイドロタルサイト化合物は、天然物であってもよく、合成品であってもよい。該合成品の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特公平3−36839号公報、特開昭61−174270号公報、特開2001−164042号公報、特開2002−53722号公報等に記載の公知の合成方法を例示することができる。また、本発明のおいては、上記ハイドロタルサイト化合物は、その結晶構造、結晶粒子径等に制限されることなく使用することが可能で、原料中に含まれる鉄などの重金属分の残存量は精製コストが実用的な範囲で少ないことが好ましい。
【0042】
また、上記ハイドロタルサイト化合物としては、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックス等で被覆したものも使用できる。
【実施例】
【0043】
実施例1〜3および比較例1〜13
ランダムポリプロピレン(エチレン含有率 %、メルトフローインデックス=40)100質量部、芳香族リン酸エステル金属塩(表1参照)、アミド化合物(表1参照)、水酸化マグネシウム(表1参照)、テトラキス(3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル)メタン0.05、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.05質量部、カルシウムステアレート0.05質量部をヘンシェルミキサーで3分間混合し、230℃で押出し成形してペレットとし、230℃で射出成形して厚さ1mmの試験片を得た。
【0044】
得られた試験片を、JIS K 7361−1に従って試験機((株)東洋精機製作所、ヘイズ・ガード2)を用いて霞度(Haze)を測定した。また、JIS K 7191−2に従って試験機((株)東洋精機製作所、自動HDT−VICAT試験装置)を用いて熱変形温度(HDT)を、JIS K 7171に従って曲げ試験機((株)島津製作所製、AG−IS)を用いて曲げ弾性率(FM)を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂100質量部に、下記一般式(I)で表される化合物0.06〜0.1質量部、下記一般式(II)で表される化合物0.015〜0.02質量部および水酸化マグネシウム0.015〜0.03質量部を配合したことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1、R2、R3およびR4は、各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Xは直接結合又は炭素原子数1〜4のアルキリデン基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムのいずれかを表し、Yはヒドロキシ基を表し、nは、Mがアルカリ金属のとき1を、Mがアルカリ土類金属のとき2を、Mがアルミニウムのとき2又は3を表し、mは0又は1を表し、Mがアルカリ金属又はアルカリ土類金属のとき0を、Mがアルミニウムのときnが2なら1を、nが3なら0を表す。)
【化2】

(式中、Zはアミド結合を表し、R5、R6およびR7は各々独立に炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。)

【公開番号】特開2012−102246(P2012−102246A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252183(P2010−252183)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】