説明

ポリペプチド及びそれをコードする核酸

本発明は、単離されたポリペプチド及びそのポリペプチドをコードする単離された核酸配列、並びに前記ポリペプチドの生成方法及び動物飼料へのポリペプチドの使用に関する。本発明のポリペプチドの例は、いわゆる、飼料転換率(FCR)を改良し、そして/又は腸マイクロフロラモジュレーターとして作用するバチルス・リケニホルミスATCC14580からのL12タンパク質である。本発明はさらに、L12に関連するタンパク質を生成するバチルス株の共生使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、単離されたポリペプチド、及び前記ポリペプチドをコードする単離された核酸配列に関する。本発明はまた、前記核酸配列を含んで成る核酸構造体、ベクター及び宿主細胞、並びに飼料転換率(FCR)を改良し、そして/又は腸マイクロフロラを調整するために動物飼料におけるポリペプチドの生成及び使用方法にも関する。本発明のポリペプチドの例は、本明細書における配列番号2のアミノ酸+1−+85(配列番号2のアミノ酸1−85になる)のアミノ酸配列を有する、バチルス・リケニホルミスATCC14580からのいわゆるL12タンパク質である。本発明はまた、L12に関連するタンパク質を生成するバチルス株の動物飼料への共生使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
WO03/093453号は、WO03/093453号の配列番号133のヌクレオチド601−978によりコードされる小さな細胞外タンパク質を生成しない改良されたバチルス・リケニホルミス宿主細胞の企画を、例1において開示しており、ここで前記タンパク質は、WO03/093453号の配列番号134のアミノ酸1−126のアミノ酸配列を有する。WO03/093453号の配列番号133及び134は、それぞれ配列番号3及び4として列挙される配列に包含される。本明細書における配列番号4のアミノ酸1−126の配列は、本明細書における配列番号2のアミノ酸−41−+85と同一である。WO03/093453号は、配列番号2のアミノ酸1−85を有する、単離されたポリペプチドを開示しない。WO03/093453号はまた、配列番号1のヌクレオチド124−378を有する、単離された核酸配列を開示しない。
【0003】
Gen Pept受託番号YP_081375は、バチルス・リケニホルミスATCC14580からの推定のタンパク質BL00275である。YP_081375は、本明細書における配列番号2のアミノ酸−41−+85と同一である。バチルス・リケニホルミスATCC14580からの推定のタンパク質BL00275の配列はまた、一次受託番号Q65CU4を伴ってUniProtKB/TrEMBLで登録されている。この配列はまた、本明細書における配列番号1のアミノ酸−41−+85と同一である。
【0004】
YP_081375をコードするヌクレオチド配列は、GenBank受託番号NC_006270を有する。GenBank受託番号NC_006270は、本明細書における配列番号1のヌクレオチド1−381と同一である。
本発明者は、驚くべきことには、このバチルス・リケニホルミスの推定上の配列の一部、すなわち配列番号2のアミノ酸1−85に関連するポリペプチドが、動物飼料への使用のために高い可能性を有することを見出した。
【0005】
SWISSPROT受託番号Q8DQM5は、ストレプトコーカス・プネウモニアエ(Streptococcus pneumoniae)(株ATCC BAA-255/R6)からの115個のアミノ酸の推定上のタンパク質spr0600である。この配列はまた、Hoskins など,J. Bacteriol. 183:5709 (2001)による“細菌ストレプトコーカス・プネウモニアエ株R6のゲノム”にも開示されている。Q8DQM5は、配列番号2のアミノ酸1−85に対して少なくとも33%の同一性を有するアミノ配列を包含しない。
【0006】
Martinez など, Microbiology (1999), vol. 145, pp. 3155-3161は、推定される66個のアミノ酸のC−末端成熟部分を有する、プレ−バクテリオシンラクトコシン972の推定上の91個のアミノ配列を、図3において開示する。配列番号2のアミノ酸1〜85に対するプレポリペプチド及び成熟ポリペプチドの個々の同一性の%は、38%以下である。
【0007】
配列番号1のヌクレオチド124−378(配列番号2のアミノ酸1−85をコードする)に関するヌクレオチドデータベースの調査は、配列番号1のヌクレオチド124−378に対して47%の同一性のDNAフラグメントを示した。このフラグメントは、まだ進行中の配列決定企画に起因する配列の一部である。フラグメントが由来する生物は、バチルス(Geobacillus)・ステアロサーモフィラス株10と呼ばれる。配列決定作業は、University of Oklahoma(http://www.genome.ou.edu/bstearo.html)で行われる。このDNAフラグメントに実質的に対応するアミノ酸配列についてのいずれの出版物も存在せず、そして従って、またいずれかのコードされるアミノ酸配列のいずれの可能性ある有用性の指摘も存在しない。
【0008】
BioPlusTM2Bと称する飼料内共生生成物が、Chr. Hansen A/S, 10-12 Boege AIIe, DK-2970 Hoersholm, Denmarkによる販売のために提供されている。この生成物は、バチルス・リケニホルミスの株を含むが、しかしながら、L12に関連するタンパク質を生成しない(本明細書における例6を参照のこと)。
ポリペプチド、そのポリペプチドをコードする核酸、バチルスの特定株、及び動物飼料への前記ポリペプチド及びバチルス株の使用方法を提供することが本発明の目的である。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約:
本発明は、(a)配列番号2のアミノ酸1−85に対して少なくとも33%の程度の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;(b)(i)配列番号1のヌクレオチド124−378、(ii)少なくとも100個のヌクレオチドの(i)の副配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖と、低い緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチド;(c)1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、延長及び/又は挿入を含んで成る、配列番号2のアミノ酸1−85のアミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体;(d)(a)又は(b)の対立遺伝子変異体;及び(c)(a)、(b)、(c)又は(d)のフラグメントから成る群から選択された、配列番号4のアミノ酸1−126ではない、単離されたポリペプチドに関する。
【0010】
本発明はまた、前記ポリペプチドをコードする、単離された核酸配列、及び前記核酸配列を含んで成る、核酸構造体、ベクター及び宿主細胞、並びに前記ポリペプチドの生成方法及び動物飼料内への前記ポリペプチド使用方法にも関する。
さらに、本発明は、本明細書における例6の試験において陽性であるバチルス株の動物飼料への使用に関し、ここで前記株のDNAは、収穫され、そしてプライマーとしての配列番号6及び7とのPCR反応において、DNA鋳型として使用される場合、約0.4kbのサイズのPCRフラグメントの生成を導く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の特定の記載:
ポリペプチド、その特徴及び使用
第1の観点においては、本発明は、(a)配列番号2のアミノ酸1−85に対して少なくとも33%の程度の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;(b)(i)配列番号1のヌクレオチド124−378、(ii)少なくとも100個のヌクレオチドの(i)の副配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖と、低い緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチド;(c)1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、延長及び/又は挿入を含んで成る、配列番号2のアミノ酸1−85のアミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体;(d)(a)又は(b)の対立遺伝子変異体;及び(c)(a)、(b)、(c)又は(d)のフラグメントから成る群から選択された、配列番号4のアミノ酸1−126ではない、単離されたポリペプチドに関する。
【0012】
本発明はまた、上記で定義されたポリペプチド及び/又は配列番号4のアミノ酸1−126を有するポリペプチドの動物飼料への使用、及び動物飼料への使用のための組成物の調製へのそれらのいずれかの使用にも関する。それらのポリペプチドは、飼料転換率(FCR)を改良し、そして/又は腸マイクロフロラを調整することにより動物飼料利用性を改良する。
【0013】
上記但し書き(ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸1−126ではない)は、WO03/093453号の配列番号134のアミノ酸1−126を否定することを目的とする(背景技術のセクションを参照のこと)。但し書きは任意であり;そのもう1つの態様においては、(i)ポリペプチドはシグナルペプチド部分を含まず、(ii)ポリペプチドはプロペプチド部分を含まず、そして/又は(iii)ポリペプチドは成熟ポリペプチドである。さらなる他の態様においては、ポリペプチドは、50−120個のアミノ酸、好ましくは55-115、 60-110、 65-105、 70-100、 75-95、又は最も好ましくは80−90個のアミノ酸を含んで成るか、他方では、有するか、又はそれらから成る(実質的に)。
【0014】
第1の特定の態様においては、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1−85に対して少なくとも33%の程度の同一性を有するアミノ酸配列、例えば配列番号2のアミノ酸1−85のポリペプチドを有するか、それらから実質的に成るか、又はそれらから成る。他の特定の例は、配列番号8,9及び10のいずれか1つのアミノ酸1−85のポリペプチドである(本明細書の例6のPCR−試験に基づいてL12のようなものとして同定された)。
【0015】
本発明のポリペプチドは、細菌又は菌類ポリペプチドであり得る。第2の特定の態様においては、ポリペプチドは、グラム陽性細菌ポリペプチド、例えばバチルスポリペプチド又はその変異体、例えばバチルス・リケニホルミスの株型であり、そしてAmerican Type Culture Collection, ATCCから請求に基づいて入手できるバチルス・リケニホルミスATCC14580に由来するバチルス・リケニホルミスポリペプチドである。好ましいバチルス・リケニホルミス株は、本明細書における例6の試験において陽性であり、例えばバチルス・リケニホルミスの次の株である:ATCC 14580 (=NCIB 9375)、 NCIMB 6346 (=DSM 8785)、 NCTC 1024、 NCTC 1025、 NCTC 2120、 NCTC 7589、 NCTC 9932、 ATCC 21424、 NCIMB 10689及び ATCC 53757。
【0016】
第3の特定の態様においては、ポリペプチドは、飼料転換率(FCR)を改良し、そして/又は腸マイクロフロラを調整することにより動物飼料利用性を改良する。他の態様においては、ポリペプチドは、動物飼料消化能力を改良し、そして/又は適切な消化を助け、そして/又は免疫系機能を支持することにより動物の健康を維持する。
【0017】
FCRは、ポリペプチドが動物飼料に、5mg/kg飼料の濃度で添加される第1処理、及びポリペプチドが動物飼料に添加されていない第2処理(対照)を含んで成るブロイラー鶏成長試験に基づいて決定され得、個々の処理は、6羽の雄の鶏の8つのグループから成り、鶏はトウモロコシ/SBM48飼料のペレットを自由に与えられ、FCRは試験の8〜29の間、g/鶏での体重の増加に対するg/鶏での飼料摂取として計算され、第1処理についてのFCRは、第2の処理のFCRに対して改良される。さらなる詳細は、例5を参照のこと。
【0018】
FCRは、ポリペプチドが動物飼料に、(i)2.5, (ii)5.0, 又は(iii)7.5mg/kg飼料の濃度で添加される第1処理、及びポリペプチドが動物飼料に添加されていない第2処理(対照)を含んで成るブロイラー鶏成長試験に基づいて決定され得、個々の処理は、6羽の雄の鶏の10つのグループから成り、鶏はトウモロコシ/SBM48飼料のペレットを自由に与えられ、FCRは試験の8〜29の間、g/鶏での体重の増加に対するg/鶏での飼料摂取として計算され、第1処理についてのFCRは、第2の処理のFCRに対して改良される。特定の態様においては、成長試験は、ゲージ試験である。さらなる詳細については、例9を参照のこと。
【0019】
FCRは、ポリペプチドが動物飼料に、7.5mg/kg飼料の濃度で添加される第1処理、及びポリペプチドが動物飼料に添加されていない第2処理(対照)を含んで成るブロイラー鶏成長試験に基づいて決定され得、個々の処理は、20羽の雄の鶏の12つのグループ(20羽の雌の鶏の6グループ、20羽の雄の鶏の6グループ)から成り、鶏はトウモロコシ/SB小麦、ライ麦及び大豆に基づいての飼料のペレットを自由に与えられ、FCRは試験の1〜36の間、g/鶏での体重の増加に対するg/鶏での飼料摂取として計算され、第1処理についてのFCRは、第2の処理のFCRに対して改良される。第1の特定の態様においては、鶏は鉋くずを与えられた床張りの囲いに収容される。第2の特定の態様においては、鶏は1〜22日の期間、開始飼料を、及び22〜36の期間、成長用飼料を与えられ、両者は、小麦、ライ麦及び大豆飼料に基づかれ、そして組成は表9に表される通りである。さらなる詳細については、例12を参照のこと。
【0020】
一般的に知られているように、改良されたFCRは、対照FCRよりも低い。特定の態様においては、FCRは、対照に比較して、少なくとも1.0%、好ましくは少なくとも1.5%, 1.6%, 1.7%, 1.8%, 1.9%, 2.0%, 2.1%, 2.2%, 2.3%, 2.4%, 又は少なくとも2.5%、改良される(すなわち、低められる)。さらなる特定の態様においては、FCRは、対照に比較して、少なくとも2.6%, 2.7%, 2.8%, 2.9%, 又は少なくとも3.0%、改良される(すなわち低められる)。さらなる特定の態様においては、FCRは、対照に比較して、少なくとも3.1%, 3.2%, 3.3%, 3.4%, 3.5%, 3.6%, 3.7%, 又は少なくとも3.8%改良される(すなわち、低められる)。
【0021】
用語“腸”とは、本明細書において使用される場合、胃腸又は消化管(また、消化管(alimentary canal)としても言及される)を示し、そしてそれは、食物を摂取し、それを特別なエネルギー及び栄養物に消化し、そして残る廃棄物を排出する、多細胞動物内の器官系を言及する。腸は、上部及び下部胃腸管に分けられ、口及び胃を包含し、そして後者は腸を包含する。腸は小及び大腸に分けられ得る。しかしながら、動物種間で差異を有する小腸の基本的成分は、十二指腸、空腸及び回腸である。大腸の基本的成分は、盲腸、結腸及び直腸(排出腔)である。
【0022】
用語、腸“マイクロフロラ”とは、本明細書において使用される場合、腸に存在し、そして適切な消化を助け、そして/又は免疫系機能を支持することにより健康を維持する天然の微生物培養物として言及される。
用語“調整する”とは、腸マイクロフロラに関して本明細書において使用される場合、一般的に、健康で且つ通常機能的動物において機能又はその状態を変えるか、操作するか、変更するか又は調節すること、すなわち非治療的使用を意味する。調整は、本発明のポリペプチド及び/又はバチルス株に応答して存在する。
【0023】
次のことは、本発明のポリペプチドにより得られる腸マイクロフロラ調整効果の非制限的な特定の例(本発明のポリペプチドを有さない対照に比較しての変化)である;さらなる詳細については、例8を参照のこと:
(i)37℃で5日間の嫌気性培養室においてのインキュベーション後、5%(v/v)の羊血液により補充されたBrucella寒天上での回腸−直腸及び/又は盲腸含有物の培養後に決定される、子豚及び/又はブロイラーにおけるインビボでの合計の通性嫌気性細胞の数の上昇;
【0024】
(ii)37℃で24時間、嫌気性的に、Coll-ID色原体培地上で回腸−直腸及び/又は盲腸含有物を培養した後に決定される、子豚及び/又はブロイラーにおけるインビボでのE. コリの数の上昇;
(iii)37℃で48時間、嫌気性培養室において、MRS寒天上でのそれぞれ、回腸−直腸及び/又は盲腸含有物の培養後に決定される、子豚及び/又はブロイラーにおけるインビボでの合計の乳酸細菌の実質的な変化又は上昇の不在:
(iv)37℃で48時間、嫌気性培養室において、Rogosa寒天上での回腸−直腸含有物の培養後に決定される、子豚におけるインビボでの合計のラクトバチルスspp.の実質的な変化の不在:
【0025】
(v)37℃で24時間、嫌気性的に、Coll-ID色原体培地上で回腸−直腸含有物を培養した後に決定される、子豚におけるインビボでの他の腸内細菌(E. コリ以外)の数の低下;
(vi)37℃で48時間、嫌気性的に、エンテロコーカス寒天上で回腸−直腸含有物を培養した後に決定される、子豚におけるインビボでの他のエンテロコーカスssp.の数の低下;及び/又は
(vii)46℃で24時間、嫌気性培養室において、80℃での10分間のサンプルの加熱の後、TSN寒天上での回腸−直腸の培養の後に決定される、子豚においてクロストリジウム・ペルフリゲンス(Clostridium perfringens)が発生する頻度の低下。
【0026】
さらに、また腸マイクロフロラ調整効果に関して、及び本発明のポリペプチドを有さない対照に関しては、本発明は好ましくは、
(iv)グラム陰性細菌よりもグラム腸性球菌に対してインビトロで、より活性的であり、すなわち子豚及び/又はブロイラー腸含有物から単離されたグラム腸性球菌及びグラム陰性細菌に関して、グラム腸性球菌の強い低下を表し;
【0027】
(ix)グラム陰性細菌よりもクロストリジウムssp.、例えばクロストリジウム・ペルフリゲンスに対してインビトロで、より活性的であり、すなわち子豚及び/又はブロイラー腸含有物から単離されたクロストリジウム・ペルフリゲンス及びグラム陰性細菌に関して、グラム腸性球菌の強い低下を表し;
(x)例えば、子豚及び/又はブロイラー腸含有物から単離されるような有益な微生物、例えば細菌のインビトロでの増殖を実質的に影響せず;そして/又は
(xi)例えば、子豚及び/又はブロイラー腸含有物から単離されるような有害な微生物、例えば細菌のインビトロでの増殖を実質的に低める。
【0028】
態様(iix)-(xi)に関する詳細については、例8の最後の部分を参照のこと。
態様(x)においては、有益な微生物は好ましくは、ラクトバチルス(Lactobacillus)spp.,例えばL.サリバリウス(L. salivarius)DSM18070から選択され、これについてのMIC90は、少なくとも1000μg/ml、好ましくは少なくとも2000, 3000, 4000, 4500, 5000, 5500, 6000, 又は少なくとも70001000μg/ml、特に少なくとも4170μg/mlである。
【0029】
従って、本発明のポリペプチドは、L.サリバリウスDSM18070に対して、少なくとも1000 1000μg/ml, 好ましくは少なくとも2000, 3000, 4000, 4500, 5000, 5500, 6000, 又は少なくとも7000 1000μg/ml, 特に少なくとも4170 1000μg/mlのMIC90を有する。
【0030】
態様(xi)においては、有害な微視物は好ましくは、エンテロコーカス(Enterococcus)、スタフィロコーカス(Staphylococcus)、クロストリジウム(Clostridium)(好ましくは、C.ペルフリンゲンス(C. perfringens))から選択され;例えばエンテロコーカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)DSM 18047についてのMIC90は、4000μg/ml以下、好ましくは3000, 2000, 1000, 800, 600, 500, 400, 300, 200, 100, 90, 80, 又は70μg/ml以下、好ましくは50−80、より好ましくは60−70μg/mlである。
【0031】
従って、本発明のポリペプチドは、E. ファエカリスDSM18047に対して、好ましくは3000, 2000, 1000, 800, 600, 500, 400, 300, 200, 100, 90, 80, 又は70μg/ml以下、好ましくは50−80、より好ましくは60−70μg/mlのMIC90を有する。
【0032】
MIC90は、生物の90%の生長を阻害するために必要とされる最少阻害濃度を意味する。このためには、MIC90は、本発明のポリペプチドを有さない対照に対して90%、OD595として測定される、培養物密度を低めるために必要とされる本発明のポリペプチドの濃度として定義される。OD595は、適切なインキュベーション条件(例8の表5に示されるように、問題の生物に依存する)下でのインキュベーションの後、決定される。MIC90の決定は、対照として水を用いて、一連の2倍希釈で本発明のポリペプチドを添加する、トリプシン大豆ブイヨンにおける約105個のCFU/mlの純粋細胞を用いてのマイクロタイターブイヨン希釈法により行われ得る。さらなる詳細については、例8を参照のこと。MIC90は本明細書においては、一般的に、ml当たりの純粋ポリペプチドのμg(μg/ml)の単位で示される。
【0033】
さらなる特定の態様においては、本発明のポリペプチドは、
(xii)グラム陽性球菌、例えばエンテロコーカス又はスタフィロコーカスの株、例えばエンテロコーカス・ファエカリス、好ましくはエンテロコーカス・ファエカリスDAM18047についてのMIC90よりも少なくとも50%高い、グラム陽性細菌、例えばE. コリ、クレブシエラ・プネウモニアエ、サルモネラ・エンテリチジス、サルモネラ・チプムリウム又はプロテウス・ミラビリスについてのMIC90を有し、その好ましい副態様においては、グラム陰性細菌のMIC90は好ましくは、グラム陽性細菌のMIC90よりも、少なくとも100%, 150%, 200%, 250%, 300%, 350%, 400%, 450%, 又は少なくとも500%高い。
【0034】
第4の特定の態様(詳細については、例11を参照のこと)においては、本発明のポリペプチドは、その生来(すなわち、変性されていない)形において、(i)へプシン(pN3.5、40℃、2時間);(ii)パンクレアチン(pH7.0、40℃、4時間);及び/又は(iii)ペプシン−続いてパンクレアチン(pH3.5でのペプシン、40℃、2時間−続いてpH7.0でのパンクレアチン、40℃、4時間)により分離されるが;すべての態様(i)−(iii)に関しては、SDS−PAGEにより判断される(例10を参照のこと)。
【0035】
第5の特定の態様(詳細については、例7を参照のこと)においては、本発明のポリペプチドは、示差走査熱量法(DSC)により決定される場合、次の変性温度を有する:(i)pH2.5で少なくとも54℃、(ii)pH4.0で少なくとも68℃、及び/又は(iii)pH7.0で少なくとも59℃;好ましくは(iv)pH2.5で55℃;(v)pH4.0で69℃;及び/又は(vi)pH7.0で60℃。
【0036】
同一性及びハイブリダイゼーション、フラグメント及び変異体
2種のアミノ酸配列間の関連性が、パラメーター“同一性”により記載される。
本発明のためには、2種のアミノ酸配列は、EMBOSSパッケージ (http://emboss.org)バージョン2.8.0からのNeedleプログラムを用いることにより決定される。このNeedle−プログラムは、Needleman, S. B. and Wunsch, C. D. (1970) J. MoI. Biol. 48, 443-453に記載される世界的一列整列アルゴリズムを実行する。使用される置換マトリックスはBLOSUM62であり、ギャップ開放ペナルティーは10であり、そしてギャップ延長ペナルティーは0.5である。
【0037】
本発明のアミノ酸配列(“発明の配列”、例えば配列番号2のアミノ酸1−85)と、異なったアミノ酸配列(“外来性配列”)との間の同一性の程度は、“発明の配列”の長さ、又はいずれにせよ、最も短い“外来性配列”の長さにより割り算された、2種の配列一列整列での正確な適合の数として計算される。結果は、%同一性で表される。
【0038】
正確な適合は、“発明の配列”及び“外来性配列”がオーバーラップの同じ位置において同一のアミノ酸残基を有する場合、発生する(下記一列整列の例においては、これは“|”により表される)。配列の長さは、配列におけるアミノ酸残基の数である(例えば、配列番号2のアミノ酸1−85の長さは85である)。
【0039】
下記純粋に推定的な一列整列の例においては、オーバーラップは、配列1のアミノ酸配列“HTWGER-NL”又は配列番号2のアミノ酸配列“NGWGEDANL”である。この例においては、ギャップは、“−”により示される。
推定的な一列整列の例:
配列番号1:ACMSHTWGER-NL
配列番号2: HGWGEDANLAMNPS
【0040】
特定の態様においては、配列番号2のアミノ酸1−85に対するポリペプチドのアミノ酸配列の同一性の%は、i)2種のアミノ酸を、BLOSUM62置換マトリックス、10のギャップ開放ペナルティー及び0.5のギャップ延長ペナルティーを伴って、Needleプログラムを用いて、一列整列し;ii)前記一列整列における正確な適合の数を計数し;iii)2種のアミノ酸配列の最短の長さにより前記正確な適合の数を割り算し;そしてiv) iii)の割り算の結果を%に転換することにより決定される。上記仮定的例においては、正確な適合の数は6であり、2種のアミノ酸配列の最短の長さは12であり、従って、同一性の%は50%である。
【0041】
一方では、2種のアミノ酸配列間の同一性の程度、及び2種のヌクレオチド配列間の同一性の程度は、Needleman-Wunsch一列整列(すなわち、包括的な一列整列)であるプログラム“align”により決定される。このプログラムは、ポリペプチド及びヌクレオチド配列の一列整列のために使用される。デフォールト評点マトリックスBLOSUM50はポリペプチド一列整列のために使用され、そしてデフォールト一致マトリックスはヌクレオチド一列整列のために使用される。ギャップの最初の残基についてのペナルティーは、ポリペプチドに関して、−10及びヌクレオチドに関して、−16である。ギャップの追加の残基についてのペナルティーは、ポリペプチドに関して−2及びヌクレオチドに関して、−4である。
【0042】
“Align”は、FASTAパッケージバージョンv20u6の一部である(W. R. Pearson and D. J. Lipman (1988),"Improved Tools for Biological Sequence Analysis", PNAS 85 : 2444-2448,及び W. R. Pearson (1990) "Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA, "Methods in Enzymology 183: 63-98を参照のこと)。FASTAタンパク質一列整列は、ギャップサイズに対する制限を有さないSmith-Watermanアルゴリズムを使用する("Smith-Waterman algorithm", T. F. Smith and M. S. Waterman (1981) J. Mol. Biol. 147: 195-197を参照のこと)。またMyers and Miller, CABIOS(1989) 4: 11-17も参照のこと。
【0043】
好ましい態様においては、配列番号2のアミノ酸1−85に対する同一性の程度は、少なくとも35%, 又は少なくとも37%, 40%, 42%, 45%, 47%, 50%, 52%, 55%, 57%, 60%, 62%, 65%, 67%, 70%, 72%, 75%, 77%, 80%, 82%, 85%, 87%, 90%, 92%, 95%, 97%,又は少なくとも99%である。配列番号2のアミノ酸1−85に対するそれらの程度の同一性を有するポリペプチドは、相同ポリペプチドとして言及される。他の態様においては、配列番号2のアミノ酸1−85に対する同一性の程度は、32%である。
【0044】
特定の態様においては、本発明のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1−85とは、(i)57, 55, 50, 45, 40, 35, 30, 又は25個のアミノ酸;又は(ii)20, 19, 18, 17, 16, 15, 14, 13, 12, 又は11個のアミノ酸;又は10, 9, 8, 7, 6, 又は 5個のアミノ酸で異なるアミノ酸配列を含んで成る(又は有するか又はそれらから成る)。さらなる特定の態様においては、前記ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1−85とは、4,3又は2個のアミノ酸、又は1個のアミノ酸で異なるアミノ酸配列を含んで成る(又は有するか又はそれらから成る)
【0045】
例えば、配列番号2のアミノ酸1−85のフラグメントは、それらのアミノ酸配列のアミノ及び/又はカルボキシル末端から欠失された1又は複数のアミノ酸を有するポリペプチドである。1つの態様においては、フラグメントは、少なくとも30、35、40、45、50又は少なくとも55個のアミノ酸を含む。もう1つの態様においては、フラグメントは、少なくとも65個のアミノ酸、又は30、35、40、45、45、50又は少なくとも55個の個のアミノ酸を含む。
【0046】
対立遺伝子変異体は、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子のいずれか複数の二者択一形を示す。対立遺伝子変動は、天然においては、突然変異を通して生じ、そして集団内の多型現象をもたらす。遺伝子突然変異はサイレンであり(コードされたポリペプチドの変化がない)、又は変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされるポリペプチドである。
【0047】
本発明はまた、(i)配列番号1のヌクレオチド124−378、;(ii)(i)の副配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖と、同じ条件下でハイブリダイズする核酸プローブと、非常に低い、又は低い、又は中位の、又は中位の高い、又は高い、又は非常に高い緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされる単離されたポリペプチドにも関する(J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd edition, Cold Spring Harbor, New York)。1つの特定の態様においては、核酸プローブは、中でも、上記(i)(ii)又は(iii)の核酸配列から選択される。
【0048】
配列番号1のヌクレオチド124−378の副配列は、少なくとも100個のヌクレオチドであり得る。
【0049】
配列番号1のヌクレオチド124−378の核酸配列、又はそれらの副配列、及び配列番号2のアミノ酸1−85のアミノ酸配列又はそのフラグメントは、当業界において良く知られている方法に従って、異なった属又は種の株からの動物飼料への使用のための可能性を有するポリペプチドをコードするDNAを同定し、そしてクローン化するための核酸プローブを企画するために使用され得る。特に、そのようなプローブは、そこにおける対応する遺伝子を同定し、そして単離するために、標準のサザンブロット方法に従って、興味ある属又は種のゲノム又はcDNAとのハイブリダイゼーションのために使用され得る。
【0050】
そのようなプローブは、完全な配列よりも相当に短いが、しかし少なくとも15個、好ましくは少なくとも25個、及びより好ましくは少なくとも35個の長さのヌクレオチドであるべきである。より長いプローブがまた使用される。DNA及びRNAの両プローブが使用され得る。プローブは典型的には、対応する遺伝子を検出するためにラベルされる(例えば、32P, 3H, 35S, ビオチン、又はアビジンにより)。そのようなプローブは、本発明により包含される。
【0051】
従って、そのような他の生物から調製されたゲノムDNA又はcDNAライブラリーは、本明細書に記載されるプローブとハイブリダイズし、そして所望の活性を有するポリペプチドをコードするDNAについてスクリーンされ得る。そのような生物からのゲノム又は他のDNAは、アガロース又はポリアクリルアミドゲル電気泳動、又は他の分離技法により分離され得る。ライブラリーからのDNA又は分離されたDNAが、ニトロセルロース又は他の適切なキャリヤー材料に移行され、そしてその上に固定され得る。配列番号1と相同であるクローン又はDNA、又はその副配列を同定するためには、キャリヤー材料がサザンブロットに使用される。本発明のためには、ハイブリダイゼーションは、核酸配列が、非常に低い〜非常に高い緊縮条件下で、配列番号1で示される核酸配列、その相補的鎖、又はその副配列に対応するラベルにされた核酸プローブにハイブリダイズすることを示す。核酸プローブがそれらの条件下でハイブリダイズする分子は、X−線フィルムを用いて検出される。
【0052】
特定の態様においては、核酸プローブは、配列番号2のアミノ酸1−85、又はその副配列をコードする核酸配列である。もう1つの態様においては、核酸プローブは、配列番号1のヌクレオチド124−378(配列番号1の成熟ポリペプチドコード領域)である。
【0053】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長さのプローブに関して、非常に低い〜非常に高い緊縮条件は、標準のサザンブロット方法に従っての、5×SSPE, 0.3%SDS, 200μg/ml の剪断され、そして変性されたサケ精子DNA、及び25%ホルムアミド(非常に低い及び低い緊縮に関して)、35%ホルムアミド(中位い及び中位の高い緊縮に関して)、又は50%ホルムアミド(高い及び非常に高い緊縮に関して)における42℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションとして定義される。
【0054】
少なくとも100個の長さのヌクレオチドの長さプローブに関しては、キャリヤー材料は最終的に、2×SSC, 0.2%SDS溶液を用いて、好ましくは少なくとも45℃(非常に低い緊縮)、より好ましくは少なくとも50℃(低い緊縮)、より好ましくは少なくとも55℃(中位の緊縮)、より好ましくは少なくとも60℃(中位の高い緊縮)、さらにより好ましくは少なくとも65℃(高い緊縮)、および最も好ましくは少なくとも70℃(非常に高い緊縮)で、それぞれ15分間、3度洗浄される。
【0055】
約15個〜約70個の長さのヌクレオチドである短いプローブに関しては、緊縮条件は、0.9MのNaCl、0.09Mのトリス−HCl, pH7.6、 6mM のEDTA、 0.5のNP-40, 1×Denhardt’s溶液、1mMのピロリン酸ナトリウム、1mMの一塩基性リン酸ナトリウム、0.1mMのATP及び0.2mgの酵母RNA(ml当たり)における、Bolton and McCarthy(1962、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 48: 1390)に従って計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度での標準のサザンブロット方法に従ってのプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、及び後−ハイブリダイゼーション洗浄として定義される。
【0056】
約15個〜約70個の長さのヌクレオチドである短いプローブに関しては、キャリヤー材料は、6×SSC及び0.1%SDSにより15分間、1度、及び6×SSCを用いて、計算されたTmよりも約5℃〜約10℃低い温度でそれぞれ15分間、2度、洗浄される。
本発明はまた、1又は複数のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入を含んで成る、配列番号2のアミノ酸1−85のアミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体に関する。
【0057】
変異体ポリペプチドのアミノ酸配列は、1又は複数のアミノ酸残基の挿入又は欠失、及び/又は異なったアミノ酸残基による1又は複数のアミノ酸残基の置換により、配列番号2のアミノ酸1−85のアミノ酸配列と異なることができる。好ましくは、アミノ酸変更は、マイナーな性質のもの、すなわちタンパク質の折りたたみ及び/又は活性に有意に影響を及ぼさない保存性アミノ酸置換;典型的には1〜約30個のアミノ酸の小さな欠失;小さなアミノ−又はカルボキシ−末端−、たとえばアミノ−末端のメチオニン残基の延長;約20〜25個までの残基の小さなリンカーペプチドの延長;又は実効電荷又は他の機能、例えばポリ−ヒスチジン系を変更することにより精製を促進する小さな延長のものである。
【0058】
保存性置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小さなアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン及びメチオニン)のグループ内である。
【0059】
従って、例えば本発明は、配列番号2で示されるような配列、好ましくはその成熟部分を有するか、又はそれを含んで成るポリペプチドに関し、ここで保存性アミノ酸置換は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小さなアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン及びメチオニン)間での置換、又はいずれかの組合せ、又はその活性フラグメントを含んで成る。
【0060】
本明細書において定義される場合、“単離された”又は“純粋な”ポリペプチドとは、他のポリペプチドを実質的に含まない、例えばSDS−PAGE(例えば、クーマシー染色及び当業界にお手知られている方法による続く走査による−例2及び4を参照のこと)により決定される場合、少なくとも90%純粋、好ましくは少なくとも85%、86%、88%、89%又は少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも91%、92%、93%、94%、95%又は少なくとも96%純粋であるポリペプチドである。純度はまた、HPLC, 好ましくはRP-HPLCにより決定される(例えば、Waters μ-Bondapak C18 カラム, 移動相 A: 0.1% TFA, 移動相 B: アセト日リル + 0.1% TFA, 280nmでの検出 - 例10を参照のこと)を用いる;例10を参照のこと)。SDS−PAGE純度、及びHPLC純度は、合計タンパク質の量に対する本発明のポリペプチドの量を言及する。他の態様においては、ポリペプチドは、少なくとも20%、40%、60%又は少なくとも70%純粋であり得る。
【0061】
合計タンパク質の量は、当業界において知られているいずれかの方法、例えばKjeldahl方法(A.O.A.C, 1984, Official Methods of Analysis 14th ed., Association of Official Analytical Chemists, Washington DC)により決定され、そして本発明のポリペプチドの量は、SDS−PAGE及び続く走査により、また当業界において知られている方法により決定され得る。
【0062】
本発明の核酸配列によりコードされるポリペプチドはまた、もう1つのポリペプチドが前記ポリペプチド又はフラグメントのN−末端又はC−末端で融合されている、融合された又は切断可能な融合ポリペプチドも包含することができる。融合されたポリペプチドは、1つのポリペプチドをコードする核酸配列(又はその一部)を、本発明の核酸配列(又はその一部)に融合することによって生成される。融合ポリペプチドを生成するための技法は、当業界において知られており、そしてポリペプチドをコードするコード配列を、それらが整合して存在し、そして融合されたポリペプチドの発現が同じプロモーター及びターミネーターの制御下にあるよう、連結することを包含する。
【0063】
特定の態様においては、ポリペプチドは、動物、例えばヒトに暴露される場合、低められた免疫学的応答を誘発するよう企画された低−アレルゲン性変異体である。用語、免疫学的応答とは、ポリペプチドに暴露される動物の免疫系によるいずれかの反応として理解されるべきである。1つのタイプの免疫学的応答は、暴露された動物においてIgEの高められたレベルを導くアレルギー性応答である。低−アレルゲン性変異体は、当業界において知られている技法を用いて調製され得る。例えば、ポリペプチドは、免疫学的応答に包含されるポリペプチドの部分又はエピトープを保護するポリマー成分により接合され得る。
【0064】
ポリマーとの接合は、例えばWO 96/17929号, WO98/30682号, WO98/35026号, 及び/又は WO99/00489号に記載されるように、ポリペプチドへのポリマーのインビトロ化学的カップリングに関与する。接合は、さらに又は他方では、ポリペプチドへのポリマーのインビボカップリングを包含することができる。そのような接合は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の遺伝子工学により達成され得る。低−アレルゲン性変異体を供給するもう1つの手段は、ポリペプチドの自己−オリゴマー化を引起し、ポリペプチドモノマーが他のポリペプチドモノマーのエピトープを保護することをもたらし、そしてそれにより、オリゴマーの抗原性を低めるための、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の遺伝子工学である。そのような生成物類及びそれらの調製は、WO96/16177号に記載されている。
【0065】
免疫学的応答に関与するエピトープは、種々の方法、例えばWO00/26230号及びWO01/83559号に記載されるファージ表示方法、又はEP561907号に記載されるランダムアプローチにより同定され得る。エピトープが同定されると、そのアミノ酸配列は、既知の遺伝子操作技法、例えば特定部位の突然変異誘発によりポリペプチドの変更された免疫学的性質を生成するために変更され得る(例えば、WO 00/26230号, WO 00/26354号及び/又はWO 00/22103号を参照のこと)、そして/又はポリマーの接合が、エピトープを保護するためにポリマーのためのエピトープに対して十分な近位位置で行われ得る。
【0066】
細菌株:共生バチルス株
第2の観点においては、本発明は、バチルス株(そのDNAが、収穫され、そしてプライマーとしての配列番号6及び7とのPCR反応において、DNA鋳型として使用される場合、約0.4kbのサイズのPCRフラグメントの生成を導く)の動物飼料への使用に関する。この試験は、L12−様遺伝子を有する株を同定するよう作用する(例6を参照のこと)。それらのバチルス株は、動物飼料への使用のための組成物の調製にも使用される。それらの使用は、例えば飼料転換率(FCR)を改良し、そして/又は腸マイクロフロラを調整するためである。
【0067】
第1の特定の態様においては、バチルス株は、共生微生物である。用語“共生”とは、一般的に、病原性細菌によりコロニー化を妨げる手段として、動物、例えば鳥類に供給される非病原性細菌を言及する。基本的概念は、重度の病原体によりコロニー化を阻止する手段として、粘膜表面のコロニー化を促進することである。共生体はまた、健康で且つ通常機能するヒト及び動物の腸バランスに有益に影響を及ぼし、それにより生存重量を再び高め、そして/又は飼料転換を改良する生存、又は生存できる微生物としても定義され得る。
【0068】
第2の特定の態様においては、バチルス株が胞子の形で使用される。胞子は、外生胞子又は好ましくは、内生胞子であり得る。内生胞子は、生物(通常、細菌)内で生成されるいずれかの胞子である。内生胞子は環境的ストレスの期間を通して生存することができ、そして従って、上部胃腸管の過酷(酸)な環境を通して生存することができ、その効果を発揮しながら、それは腸に達し、そこで通常の生成細胞が形成されるであろう。
【0069】
第3の特定の態様においては、PCRフラグメントは、精製され、そして配列決定される場合、配列番号2のアミノ酸1−85に対して少なくとも33%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする。本発明の第1の観点の特定の態様(ポリペプチド及び動物飼料へのその使用)はまた、本発明のこの観点に適用できる。
【0070】
さらなる特定の態様においては、バチルス株は、好ましくはバチルス・リケニホルミスの次の株から選択されたバチルス・リケニホルミス株である:ATCC 14580 (=NCIB 9375), NCIMB 6346 (=DSM 8785), NCTC 1024, NCTC 1025, NCTC 2120, NCTC 7589, NCTC 9932, ATCC 21424, NCIMB 10689, and ATCC 53757。 好ましい副グループは、バチルス・リケニホルミス ATCC 14580 (=NCIB 9375), 及びバチルス・リケニホルミスNCIMB 6346 (=DSM 8785)。
【0071】
さらなる特定の態様においては、本発明に従っての使用のためのバチルス株は、(i)バチルス・リケニホルミスDSMZ5749、(ii)バチスル・サブチリスDSMZ5750、及び/又は(iii)バチルス・リケニホルミスFERM BP-266ではない。(i)及び(ii)の株は、BioPlusTM2B 生成物に包含される;例えばEP1472933号を参照のこと。(iii)の株は、GB2138023号に記載される。
【0072】
細胞の分類及び同定に関しては、Bergey's Manual of Systematic Bacteriology (1986), vol 2, ISBN0-683-0783を参照のこと;例えば、p1104、セクション13の内生胞子形成グラム陽性棹状菌;p.1105のバチルス属;pp.1105-1129の属の説明;pp.1130-1138の個々のバチルス種の説明、例えばp.1132のバチルス・リケニホルミスを参照のこと。他方では、良く知られている16SrRNA配列分析が使用され得(例えば、Johansenなど, Int. J. Syst. Bacteriol, 1999, 49, 1231-1240, 特に the Methods section on p. 1233, 2nd columnを参照のこと);又は分類専門家は、DSMZ、又は他の認識される寄託機関から調べることができる。
【0073】
バチルス株、例えばバチルス・リケニホルミス株は、当業界において知られており、そして例えば上記に言及されるATTCのような培養物収集からであり、又はそれは自然から単離され得る。生存又は生存できるバチルス細胞の調製物は、当業界において知られているようにして調製され得る。そのような細胞の例は、成長細胞及び胞子、例えば内生胞子である。1つの態様においては、バチルス株の発酵抽出物は、噴霧乾燥された発酵液体の形で使用される。
【0074】
例6の試験は、PCR反応であり、この例においては、バチルス・リケニホルミスの種々の株から単離されたDNAにより行われる。この試験の特定の態様においては、PCR反応のための鋳型として使用されるDNAは、当業界において知られている方法により単離され得る染色体DNAである。例6試験の結果は、正しいサイズのPCRフラグメントが得られる場合、陽性である。例6においては、正しいサイズは0.4kbとして示される。特定の態様においては、正しいサイズは、0.35−0.44kb(約350bp−440bp)である。他の態様においては、正しいサイズは330-430bp, 340-420bp, 350-41 Obp, 360-400bp, 370-390bp, 又は385-395bpである。配列番号1のコード配列のサイズ(CDS)は、約380bp(すなわち、378bp)である。
【0075】
核酸配列
本発明はまた、(a)本発明のポリペプチドをコードし;(b)(i)配列番号1のヌクレオチド124−378、(ii)少なくとも100個のヌクレオチドの(i)の副配列、及び/又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖と、非常に低い緊縮条件下でハイブリダイズし;そして/又は(c)配列番号1のヌクレオチド124−378に対して少なくとも48%の程度の同一性を有する、ポリペプチド−コード核酸配列を含んで成る単離された核酸配列に関し、但し前記核酸配列は、(iv)配列番号3及び(v)配列番号3のヌクレオチド601−978、及び配列番号1のヌクレオチド1−381ではない。さらに、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸配列に関する。
【0076】
上記但し書きに関しては、本明細書における背景技術のセクションを参照のこと。したがって、否認(iv)は、WO03/093453号の配列番号133を言及し、否認(v)はそのヌクレオチド601−978を言及し、そして否認(vi)はGenBank受託番号NC_006270を言及する。それらの否認は任意であり;そのほかの態様においては、核酸配列は、(i)シグナルペプチド部分を含まず、(ii)プロペプチド部分を含まず、そして/又は(iii)成熟ポリペプチドである。さらなる他の態様においては、核酸配列は、150-360個のヌクレオチド、 好ましくは 165-345、 180-330、 195-315、 210-300、 225-285個、 又は 最も好ましくは240- 270 個のアミノ酸を含んで成り、他方では、有するか、又はそれから成る(実質的に)。
【0077】
同一性及びハイブリダイゼーションは、上記セクションにおいて定義される。
第1の特定の態様においては、核酸配列は、飼料転換率(FCR)を改良し、そして/又は腸マイクロフロラを調整することにより、動物飼料利用性を改良するポリペプチドをコードする。
本発明の特定の核酸配列は、配列番号1のヌクレオチド124−378であり、後者は成熟ポリペプチドコード領域に対応する。本発明の他の特定の核酸配列は、配列番号2,8,9及び10のいずれか1つのアミノ酸1−85のポリペプチドをコードするそれらである。
【0078】
本発明はまた、配列番号1のその対応する部分とは、遺伝子コードの縮重により異なる、配列番号2のアミノ酸1−85のアミノ酸を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成る核酸配列も包含する。本発明はまた、配列番号2のフラグメントをコードする、配列番号1の副配列にも関する。
【0079】
配列番号1の副配列は、配列番号1により包含される核酸配列であり、但し5’及び/又は3’末端から1又は複数のヌクレオチドが欠失されている。好ましくは、副配列は、少なくとも150個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも165, 180, 195, 210, 225, 240, 270, 285, 300, 315, 330個、又は最も好ましくは少なくとも345個のヌクレオチドを含む。
【0080】
本発明はまた、ポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成り、そして配列番号1のヌクレオチド124−378に対して、少なくとも48%の程度の同一性を有するヌクレオチド配列にも関する。ヌクレオチド同一性の程度を決定するためには、上記に言及されるプログラム“align”が使用される。
【0081】
好ましい態様においては、配列番号1のヌクレオチド124−378に関する同一性の程度は、少なくとも50%, 52%, 55%, 57%, 60%, 62%, 65%, 67%, 70%, 72%, 75%, 77%, 80%, 82%, 85%, 87%, 90%, 92%, 95%, 97%, 又は少なくとも99%である。他の態様においては、配列番号1のヌクレオチド124−378に対する同一性の程度は、少なくとも32%、又は少なくとも35%,37%, 40%, 42%, 45%, 又は少なくとも47%である。
【0082】
本発明はまた、配列番号1のヌクレオチド124−378に少なくとも1つの突然変異を含んで成る変異体核酸にも関し、ここで前記成熟核酸配列は、(i)配列番号2のアミノ酸1−85から成るか、又は(ii)1又は複数のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入を含んで成る、(i)の配列の変異体であるか;又は(iii)(i)又は(ii)の配列の対立遺伝子変異体であるか;又は(iv)(i)の配列のフラグメントであるポリペプチドをコードする。
【0083】
ポリペプチドをコードする核酸配列を単離し、又はクローン化するために使用される技法は、当業界において知られており、そしてゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、又はそれらの組み合わせを包含する。そのようなゲノムDNAからの本発明の核酸配列のクローニングは、例えば良く知られているポリメラーゼ鎖反応(PCR)、又は共有する構造特徴を有するクローン化されたDNAフラグメントを検出するために発現ライブラリーの抗体スクリーニングを用いることによってもたらされ得る。例えば、Innisなど., 1990, PCR: A Guide to Methods and Application; Academic Press, New York を参照のこと。他の核酸増幅方法、例えばリガーゼ鎖反応(LCR)、連結された活性化転写(LAT)及び核酸配列に基づく増幅(NASBA)が使用され得る。核酸配列は、バチルス株、好ましくはバチルス・リケニホルミス、又は他の又は関連する生物からクローン化され得、そして従って、核酸配列のポリペプチドコード領域の対立遺伝子又は種変異体であり得る。
【0084】
用語“単離された核酸配列”とは、本明細書において使用される場合、アガロース電気泳動により決定される場合、他の核酸配列を実質的に有さず、たとえば少なくとも約20%純度、好ましくは少なくとも約40%の純度、より好ましくは少なくとも約60%の純度、さらにより好ましくは少なくとも約80%の純度、及び最も好ましくは少なくとも約90%の純度である核酸配列を言及する。たとえば、単離された核酸配列は、それが再生されるであろう異なった部位にその天然の位置から核酸配列を再配置するために遺伝子工学に使用される標準のクローニング方法により得られる。クローニング方法は、ポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成る所望する核酸フラグメントの切除及び単離、ベクター分子中へのフラグメントの挿入、及び核酸配列の複数コピー又はクローンが複製されるであろう宿主細胞中への組換えベクターの組み込みを包含する。核酸配列は、ゲノム、cDNA, RNA, 半合成、合成起源、又はそれらのいずれかの組み合わせのものであり得る。
【0085】
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列の修飾は、そのポリペプチドに実質的に類似するポリペプチドの合成のために必要である。用語、ポリペプチドに“実質的に類似する”とは、ポリペプチドの天然に存在しない形を言及する。それらのポリペプチドは、その天然源から単離されたポリペプチドとは、いくつかの構築された態様で異なり、たとえば熱安定性、pH最適性、消化酵素に対する安定性、アレルゲン性、又は同様のものにおいて異なる変異体であり得る。
【0086】
変異体配列は、配列番号1のポリペプチドコード部分として提供される核酸配列、例えばその副配列に基づいて、及び/又は核酸配列によりコードされるポリペプチドのもう1つのアミノ酸配列を生ぜしめないが、しかしポリペプチドの生成のために意図された宿主生物のコドン使用法に対応するヌクレオチド置換の導入により、又は異なったアミノ酸配列を生ぜしめることができるヌクレオチド置換の導入により構成され得る。ヌクレオチド置換の一般的記載のためには、Fordなど., 1991, Protein Expression and Purification 2:95-107を参照のこと。低−アレルゲン性ポリペプチドが、上記に記載されるようにして調製され得る。
【0087】
本発明はまた、配列番号1の核酸配列、又はそれらの相補的鎖;又はその対立遺伝子及び副配列と同じ条件下でハイブリダイズする核酸プローブと、非常に低い緊縮条件、好ましくは低い緊縮条件、より好ましくは中位の緊縮条件、より好ましくは中位の高い緊縮条件、さらにより好ましくは高い緊縮条件及び最も好ましくは非常に高い緊縮条件下でハイブリダイズするポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成る単離された核酸配列にも関する。(Sambrook など., 1989, 前記)。
【0088】
本発明はまた、(a)非常に低い、低い、中位の、中位の高い、高い又は非常に高い緊縮条件下で、(i)配列番号1のヌクレオチド124−378、(ii)(i)の副配列、又は(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖によりDNAをハイブリダイズせしめ;そして(b)核酸配列を単離することによって生成される、単離された核酸配列にも関する。副配列は好ましくは、少なくとも100個のヌクレオチドの配列、例えばラクトノヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドフラグメントをコードする配列である。
【0089】
本発明はさらに、配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列又はその副配列中に少なくとも1つの突然変異を導入することを含んで成る、変異体核酸配列を生成するための方法に関し、ここで前記変異体核酸配列は、配列番号2のアミノ酸1−85;又はそのフラグメントから成るポリペプチドをコードする。
【0090】
1つのヌクレオチドをもう1つのヌクレオチドにより交換するためへの核酸配列中への突然変異の導入は、当業界において知られているいずれかの方法を用いて、特定部位の突然変異誘発により達成され得る。興味ある挿入体を有する、超らせん二本鎖DNAベクター及び所望する突然変異を含む2種の合成プライマーを用いる方法が特に有用である。ベクターの反対鎖に対してそれぞれ相補的なオリゴヌクレオチドプライマーは、Pfu DNAポリメラーゼによる温度サイクリングの間、延長する。プライマーの組み込みに基づいて、付着されたニッケルを含む突然変異誘発されたプラスミドが生成される。温度サイクリングに続いて、生成物は、親DNA鋳型を消化し、そして突然変異−含有の合成されたDNAについて選択するために、メチル化され、そしてヘミメチル化されたDNAに対して特異的であるDpnIにより処理される。当業界において知られている他の方法もまた使用され得る。
【0091】
核酸構造体
本発明はまた、適切な発現宿主におけるコード配列の発現を指図する1又は複数の制御配列に操作可能的に連結される本発明の核酸配列を含んで成る核酸構造体にも関する。適切な発現宿主はバチルス宿主細胞であり、このDNAは、例6に記載されるように、収穫され、そしてプライマーとしての配列番号6及び7とのPCR反応においてDNA鋳型として使用される場合、約0.4kbのサイズのPCRフラグメントの生成を導く。
【0092】
適切な宿主細胞の例は、下記“宿主細胞”セクションに言及されている。
発現は、ポリペプチドの生成に包含されるいずれかの段階、例えば転写、後−転写修飾、翻訳、後−翻訳修飾及び分泌(但し、それらだけには限定されない)を包含することが理解されるであろう。
【0093】
“核酸構造体”とは、本明細書においては、天然に存在する遺伝子から単離され、又は他方では、天然に存在しない態様で組み合わされ、そして並置される、核酸のセグメントを含むように修飾されている、一本鎖又は二本鎖核酸分子として定義される。用語“核酸構造体”とは、核酸構造体が本発明のコード配列の発現のために必要とされるすべての制御配列を含む場合、用語“発現カセット”と同じ意味である。用語“コード配列”とは、本明細書において定義される場合、そのタンパク質生成物のアミノ酸配列を直接的に特定する核酸配列として定義される。そのコード配列の境界は、一般的に、リボソーム結合部位(原核生物)により、又はmRNAの5’末端で読み取り枠のすぐ上流に位置するATG開始コドン、及びmRNAの3’末端で読み取り枠のすぐ下流に位置する転写ターミネーター配列により決定される。コード配列は、DNA、cDNA 及び組み合わせ核酸配列を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0094】
本発明のポリペプチドをコードする単離された核酸配列は、ポリペプチドの発現を提供するために種々の手段で操作され得る。ベクター中へのその挿入の前、核酸配列の操作は、発現ベクターに依存して、所望されるか又は必要とされる。組換えDNA方法を用いて核酸配列を修飾するための技法は、当業界において良く知られている。
【0095】
用語“制御配列”とは、本発明のポリペプチドの発現のために必要であるか、又はそのために好都合であるすべての成分を包含するよう定義される。個々の制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対して生来であっても又は外来性であっても良い。そのような制御配列は、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターを包含するが、但しそれらだけには限定されない。最少で、制御配列は、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを包含する。制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域と制御配列との連結を促進する特定の制限部位を導入するためにリンカーを提供され得る。用語“操作可能的に連結される”とは、本明細書においては、制御配列が、それがポリペプチドの生成を方向づけるよう、DNA配列のコード配列に対する位置に適切に配置される形状として定義される。
【0096】
プロモーター配列、すなわち核酸配列の発現のために宿主細胞により認識される核酸配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含む。プロモーターは、宿主細胞において転写活性を示すいずれかの核酸配列、たとえば変異体の、切断された、及びハイブリッドのプロモーターであり得、そして宿主細胞に対して相同であるか又は異種である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。
【0097】
本明細書における例6の試験において陽性であるバチルス・リケニホルミス細胞宿主細胞において本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモーターの例は、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)マルトゲン性アミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliguefaciens) α−アミラーゼ遺伝子(amyQ)から得られるプロモーター、CrylllA プロモーター (WO 99/43835号を参照のこと)、及び下記に言及される特定のバチルス・リケニホルミス宿主細胞のいずれかの内因性L12プロモーターである。
【0098】
転写ターミネーター配列、すなわち転写を終結するために宿主細胞により認識される配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3’側末端に操作可能的に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのターミネーターが本発明において使用され得る。
上記バチルス・リケニホルミス宿主細胞のための好ましいターミネーターは、バチルス・リケニホルミスα−アミラーゼ遺伝子(amyL)、及びそれらの宿主細胞のいずれかからの内因性L12ターミネーターである。
【0099】
制御配列はまた、適切なリーダー配列、すなわち宿主細胞による翻訳のために重要であるmRNAの非翻訳領域でもあり得る。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に操作可能的に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのリーダー配列が、本発明において使用され得る。
【0100】
シグナルペプチドコード領域は、細胞の分泌経路中に、コードされるポリペプチドを指図するポリペプチドのアミノ末端に連結されるアミノ酸配列コードする。好ましい態様においては、シグナルペプチドコード領域は、配列番号2のアミノ酸−41〜−1をコードする配列番号1のヌクレオチド1−123である。
【0101】
SignalP Vergion3.0ソフトウェによれば、配列番号2の予測されるシグナルペプチドは、アミノ酸−41〜−2である。これは、予測される成熟タンパク質が配列番号2のアミノ酸+1、すなわちTrpで開始し、これは、シグナルペプチド部分が、予測されるよりも長い1つのアミノ酸である、配列番号2のアミノ酸−41〜−1に及ぶことを意味する。
【0102】
従って、配列番号2のアミノ酸−1−+85は、本発明の一部でもある、L12タンパク質の他の成熟形である。従って、配列番号2のアミノ酸1−85を言及する、いずれかの請求項及び本明細書におけるいずれかの言及はまた、又は他方では、配列番号2のアミノ酸-1−+85を言及する。同じことが、配列番号1の対応する部分を言及するいずれかの請求項及び本明細書におけるいずれかの言及についての事例であり、すなわち配列番号1のヌクレオチド121−378は、さらに、又は他方では、配列番号1のヌクレオチド124−378を言及する。
【0103】
同様に、配列番号2のシグナル部分についての本明細書におけるいずれかの言及は、また、又は他方では、配列番号2のアミノ酸−41〜−2であり得る。配列番号1のその対応する部分は、配列番号1のヌクレオチド1−120である。従って、シグナルペプチド部分を言及するいずれかの請求項及び本明細書におけるいずれかの言及はまた、配列番号1のヌクレオチド1−120を言及する。
【0104】
SignalP方法V.3.0は、Bendtsen など.,Journal of Molecular Biology 2004, 340(4), pp. 783-95に記載されている。また、Nielsenなど.,Proceedings of the Sixth International Conference on Intelligent Systems for Molecular Biology (ISMB 6), AAAI Press,Menlo Park, California, pp 122-130, 1998 (V. 2.0); 及びNielsen など., Protein Engineering 10,1-6 (1997) (V. 1.1)も参照のこと。
【0105】
発現ベクター
本発明はまた、本発明の核酸配列、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを含んで成る組換え発現ベクターにも関する。上記の種々の核酸及び制御配列は、1又は複数の便利な制限部位でポリペプチドをコードする核酸配列の挿入又は置換を可能にするためにそれらの部位を含むことができる組換え発現ベクターを生成するために一緒に連結され得る。他方では、本発明の核酸配列は、前記配列又は前記配列を含んで成る核酸構造体を、発現のための適切なベクター中に挿入することによって発現され得る。発現ベクターを創造する場合、そのコード配列はベクターに位置し、その結果、コード配列は発現のための適切な制御配列により操作可能的に連結される。
【0106】
組換え発現ベクターは、組換えDNA方法に便利にゆだねられ得、そして核酸配列の発現をもたらすことができるいずれかのベクター(たとえば、プラスミド又はウィルス)であり得る。ベクターの選択は典型的には、ベクターが導入される予定である宿主細胞とベクターとの適合性に依存するであろう。ベクターは、線状又は閉環された環状プラスミドであり得る。
【0107】
ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち染色体存在物として存在するベクター(その複製は染色体複製には無関係である)、たとえばプラスミド、染色体外要素、ミニクロモソーム又は人工染色体であり得る。ベクターは自己複製を確かめるためのいずれかの手段を含むことができる。他方では、ベクターは、糸状菌細胞中に導入される場合、ゲノム中に組み込まれ、そしてそれが組み込まれている染色体と一緒に複製されるベクターであり得る。さらに、宿主細胞のゲノム中に導入される全DNA又はトランスポゾンを一緒に含む、単一のベクター又はプラスミド、又は複数のベクター又はプラスミドが使用され得る。
【0108】
本発明のベクターは好ましくは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1又は複数の選択マーカーを含む。選択マーカーは、1つの遺伝子であり、その生成物は、殺生物剤又はウィルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求性に対する原栄養要求性、及び同様のものを提供する。細菌選択マーカーの例は、バチルス・サブチリス又はバチルス・リケニホルミスからのdal遺伝子、又は抗生物質、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性を付与するマーカーである。
【0109】
本発明のベクターは好ましくは、宿主細胞ゲノム中へのベクターの安定した組み込み、又は細胞のゲノムに無関係に細胞におけるベクターの自律的複製を可能にする要素を含む。
【0110】
宿主細胞のゲノム中への組み込みのためには、ベクターは、相同又は非相同組換えによるゲノム中へのベクターの安定した組み込みのためのベクター中のポリペプチド、又はいずれか他の要素をコードする核酸配列に依存する。他方では、ベクターは、宿主細胞のゲノム中への相同組換えによる組み込みを方向づけるための追加の核酸配列を含むことができる。その追加の核酸配列は、染色体における正確な位置での宿主細胞ゲノム中へのベクターの組み込みを可能にする。
【0111】
正確な位置での組み込みの可能性を高めるために、組み込み要素は好ましくは、相同組換えの可能性を高めるために対応する標的配列と高い相同性を示す十分な数の核酸、たとえば100〜1,500個の塩基対、好ましくは400〜1,500個の塩基対、及び最も好ましくは800〜1,500個の塩基対を含むべきである。組み込み要素は、宿主細胞のゲノムにおける標的配合と相同であるいずれかの配列であり得る。さらに、組み込み要素は、非コード又はコード核酸配列であり得る。他方では、ベクターは非相同組換えにより宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得る。
【0112】
自律複製のためには、ベクターはさらに、問題の宿主細胞においてのベクターの自律的な複製を可能にする複製の起点を含んで成る。複製の細菌起点の例は、E.コリにおける複製を可能にするプラスミドpBR322, pUC19, pACYC177及びpACYC184, 及びバチルスにおける複製を可能にするpUB110, pE194, pTA1060及びpAMβ1の複製の起点である。複製の起点は、宿主細胞においてその機能を感温性にする突然変異を有する起点である(例えば、Ehrlich, 1978, Procedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1433を参照のこと)。
【0113】
本発明の核酸配列の1以上のコピーが、遺伝子生成物の生成を高めるために宿主細胞中に挿入され得る。核酸配列のコピー数の上昇は、宿主細胞ゲノム中に配列の少なくとも1つの追加のコピーを組み込むことによって、又は核酸配列と共に増幅可能な選択マーカー遺伝子を含むことによって得られ、ここで細胞は選択マーカー遺伝子の増幅されたコピーを含み、そしてそれにより、核酸配列の追加のコピーが、適切な選択剤の存在下で前記細胞を培養することによって選択され得る。
本発明の組換え発現ベクターを構成するために上記要素を連結するために使用される方法は、当業者に良く知られている(例えば、Sambrookなど., 1989, 前記を参照のこと)。
【0114】
本発明のポリペプチドはまた、動物飼料のための少なくとも1つの他の成分、例えば動物飼料への使用のための所望する酵素活性を有するポリペプチドと一緒に、同時−発現され得る。本発明のポリペプチド、及び少なくとも1つの他の成分は、異なったベクターから、1つのベクターから、又は両技法の混合物を用いて、同時−発現され得る。
【0115】
宿主細胞
本発明はさらに、本発明の核酸構造体及び/又は本発明の発現ベクターを含んで成る組換えバチルス宿主細胞に関する。宿主細胞のDNAは、収穫され、そしてプライマーとしての配列番号6及び7とのPCR反応においてDNA鋳型として使用される場合、約0.4kbのサイズのPCRフラグメントの生成を導く。
特定の態様においては、PCRフラグメントは、精製され、そして配列決定される場合、配列番号2のアミノ酸1−85に対して少なくとも33%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする。
【0116】
本発明の第1の観点の特定の態様(特に、“ポリペプチド、その特徴及び使用”、及び“同一性及びハイブリダイゼーション、フラグメント及び変異体”のセクションにおいて開示されるそれら)はまた、本発明の宿主細胞にも適用でき、例えば、本発明のバチルス宿主細胞のさらなる特定の態様においては、PCRフラグメントは、精製され、そして配列決定される場合、配列番号2のアミノ酸1−85に対して、少なくとも35%、又は少なくとも37%, 40%, 42%, 45%, 47%, 50%, 52%, 55%, 57%, 60%, 62%, 65%, 67%, 70%, 72%, 75%, 77%, 80%, 82%, 85%, 87%, 90%, 92%, 95%, 97%, 又は少なくとも99%の程度の同一性を有するアミノ酸配列をコードする。
【0117】
さらなる特定の態様においては、バチルス宿主株は、好ましくはバチルス・リケニホルミスの次の株から選択されたバチルス・リケニホルミス株である:ATCC 14580 (=NCIB 9375), NCIMB 6346 (=DSM 8785), NCTC 1024, NCTC 1025, NCTC 2120, NCTC 7589, NCTC 9932, ATCC 21424, NCIMB 10689, and ATCC 53757。 好ましい副グループは、バチルス・リケニホルミス ATCC 14580 (=NCIB 9375), 及びバチルス・リケニホルミスNCIMB 6346 (=DSM 8785)。
【0118】
それらの宿主細胞は好都合には、ポリペプチドの組換え生成に使用される。本発明の核酸配列を含んで成るベクターは宿主細胞中に導入され、そこで前記ベクターは、前に記載されたように、染色体組込み体として、又は自己複製する染色体外ベクターとして維持される。用語“宿主細胞”とは、複製の間、生じる突然変異のために、親細胞とは同一でない、親細胞のいずれかの子孫を包含する。
【0119】
細胞宿主細胞中へのベクターの導入は例えば、プロトプラスト形質転換(例えば、Chang and Cohen, 1979, Molecular General Genetics 168: 111-115を参照のこと)により、コンビテント細胞(例えば、Young and Spizizin, 1961, Journal of Bacteriology 81: 823-829, 又は Dubnau and Davidoff-Abelson, 1971 , Journal of Molecular Biology 56: 209-221を参照のこと)、エレクトロポレーション(例えば、Shigekawa and Dower, 1988, Biotechniques 6: 742-751を参照のこと)、又は接合(例えば、Koehler and Thorne, 1987, Journal of Bacteriology 169: 5771-5278を参照のこと)を用いて、もたらされ得る。
【0120】
生成方法
本発明はまた、本発明のポリペプチドの生成方法にも関し、ここで前記方法は、(a)前記ポリペプチドを含んで成る上清液を生成するために本発明の組換え宿主細胞を培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る。
本発明はさらに、本発明のポリペプチドの生成方法にも関し、ここで前記方法は、(a)バチルスの株を培養し、このDNAが、収穫され、そしてプライマーとしての配列番号6及び7とのPCR反応において、DNA鋳型として使用される場合、約0.4kbのサイズのPCRフラグメントの生成を導き;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る。
宿主細胞の例は、上記セクション“宿主細胞”に言及されている。
【0121】
本発明はまた、(a)組換えバチルス・リケニホルミスATCC 14580 (=NCIB9375)又はバチルス・リケニホルミスNCIMB6346(=DSM8785)宿主細胞を、本発明のポリペプチドの生成の助けと成る条件下で培養することを含んで成る、本発明のポリペプチドの生成方法にも関し、ここで前記宿主細胞は、配列番号1のヌクレオチド124−378に少なくとも1つの突然変異を含んで成る変異体核酸配列を含んで成り、ここで前記変異体核酸配列は、(i)配列番号2のアミノ酸1−85から成り、又は(ii)(i)の配列の異性体であり、ここで前記変異体は1又は複数のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入し、欠失及び/又は挿入を包含し、又は(iii)(i)の配列の対立遺伝子変異体であり、又は(iv)(i)の配列のフラグメントである。
【0122】
本発明の生成方法においては、細胞は、当業界において知られている方法を用いて、ポリペプチドの生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、ポリペプチドの発現及び/又は単離を可能にする、適切な培地において、及び条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は固体状態発酵を包含する)により培養され得る。培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは培地から直接的に回収され得る。ポリペプチドが分泌されない場合、それは細胞溶解物から回収され得る。
【0123】
前記ポリペプチドは、ポリペプチドに対して特異的である、当業界において知られている方法を用いて検出され得る。それらの検出方法は、特異的抗体の使用;約12kDaの相対的分子量Mrのバンドを示すSDS−PAGEゲル分析;及び/又は精製されたサンプル、及び/又はSDS−PAGEゲルから切断されるような、12kDaのMrのバンドに基づいてのN−末端配列の決定を包含する。後者の場合、N−末端は好ましくは、配列番号5に対して、少なくとも33%、又は少なくとも35%, 37%, 40%, 42%, 45%, 47%, 50%, 52%, 55%, 57%, 60%, 62%, 65%, 67%, 70%, 72%, 75%, 77%, 80%, 82%, 85%, 87%, 90%, 92%, 95%, 97%, 又は少なくとも99%の同一性を有するべきであり、%同一性は、一般的に上記のようにして決定される。
【0124】
得られるポリペプチドは、当業界において知られている方法により回収され得る。例えば、ポリペプチドは、従来の方法、例えば遠心分離、濾過(例えば、限外濾過及び/又はジアフィルトレーション)、抽出、噴霧−乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から回収され得る。
【0125】
本発明のポリペプチドは、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS−PAGE又は抽出(但し、それらだけには限定されない)により精製され得る(例えば、Protein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publlishers, New York, 1989を参照のこと)。
【0126】
組成物及び使用
さらなる観点においては、本発明は、本発明のポリペプチド及び/又はバチルス株を含んで成る組成物に関する。
ポリペプチド組成物は、当業者において知られている方法に従って調製され得、そして液体又は乾燥組成物の形で存在することができる。例えば、ポリペプチド組成物は、粒子又は微粒子の形で存在することができる。組成物に含まれるポリペプチドは、当業界において知られている方法に従って安定化され得る。
【0127】
本発明の組成物の特定の例は、次のものである:
(a)i)配列番号4のアミノ酸1−126を有するポリペプチド、及び/又はii)本発明のポリペプチド;及び(b)少なくとも1つの脂溶性ビタミン、(c)少なくとも1つの水溶性ビタミン、(d)少なくとも1つの微量鉱物、及び/又は(e)少なくとも1つの多量鉱物を含んで成る動物飼料添加剤;
50〜800g/kgの粗タンパク質含有率を有し、そしてi)配列番号4のアミノ酸1−126を有するポリペプチド、及び/又はii)本発明のポリペプチドを含んで成る動物飼料組成物;
【0128】
(a)“細菌株;共生バチルス株”のセクションにおいて定義されるようなバチルス株;及び(b)少なくとも1つの脂溶性ビタミン、(c)少なくとも1つの水溶性ビタミン、(d)少なくとも1つの微量法物、及び/又は(e)少なくとも1つの多量鉱物を含んで成る動物飼料添加剤;及び
50〜800g/kgの粗タンパク質含有率を有し、そして“細菌株;共生バチルス株”のセクションに定義されるようなバチルス株を含んで成る動物飼料組成物。
【0129】
いわゆるプレミックスは、本発明の動物飼料添加剤の例である。プレミックスは、1又は複数の微小成分と希釈剤及び/又はキャリヤーとの均質混合物を意味する。プレミックスは、大きな混合物における微小成分の均質分散を促進するために使用される。
本発明の好ましい使用の例は、上記に与えられ(“ポリペプチド、その特徴及び使用”、及び“細菌株;共生バチルス株”のセクションにおける)、そして下記にさらに詳細に示される。
【0130】
動物飼料
用語、動物とは、すべての動物を包含する。動物の例は、非反芻動物、及び反芻動物である。反芻動物は例えば、動物、例えば羊、ヤギ、及び蓄牛、例えば、牛、例えば肉ウシ及び乳牛を包含する。特定の態様においては、動物は非反芻動物である。非反芻動物は、単一の胃を有する動物、例えばブタ又はイノシシ(子ブタ、成長しているブタ及び雌ブタを包含するが、但しそれらだけには限定されない);家禽類、例えば七面鳥、鴨及び鶏(ブロイラー鶏、産卵鶏を包含するが、但しそれらだけには限定されない);及び魚(サケ、マス、ティラピア、ナマズ、及び鯉を包含するが、但しそれだけには限定されない);及び甲殻類(小エビ及び車えびを包含するが、但しそれだけには限定されない)を包含する。
【0131】
用語、飼料又は飼料組成物とは、動物のために適切な、又は動物による摂取のために意図された、いずれかの化合物、調製物、混合物又は組成物を意味する。
本発明従っての使用においては、ポリペプチドは、食事の前、後又は同時に動物に供給され得る。後者が好ましい。
【0132】
特定の態様においては、ポリペプチドは、それが飼料に添加される形において、又は飼料添加物に含まれる場合、良く定義されている。良く定義されたということは、ポリペプチド調製物がサイズ排除クロマトグラフィーにより決定される場合、少なくとも50%の純度であることを意味する(WO01/58275号の例12を参照のこと)。他の特定の態様においては、良く定義されたポリペプチド調製物は、この方法により決定される場合、少なくとも60、70、80、85、88、90、92、94又は少なくとも95%の純度である。
【0133】
十分に定義されたポリペプチド調製物が好都合である。例えば、干渉性又は汚染性のポリペプチドを実質に有さないポリペプチドを、飼料に正しく適量に分けることがより容易である。用語“適量に分ける”とは、一貫した及び一定した結果を得ることの目的、及び所望する効果に基づいて用量を最適化する能力を正しくは言及する。
しかしながら、動物飼料への使用に関しては、純粋であるポリペプチドは必要ではなく;それは他のポリペプチド、例えば動物飼料酵素を含むことができ、この場合、それはポリペプチド調製物と呼ばれる。
【0134】
ポリペプチド調製物は、(a)飼料に直接的に添加され得(又はタンパク質の処理工程に直接的に使用され得る)、又は(b)1又は複数の中間体組成物、例えば続いて飼料に添加される(又は処理工程に使用される)飼料添加物又はプレミックスの生成に使用され得る。上記純度の程度は、上記(a)又は(b)のいずれに従って使用されても、元のポリペプチド調製物の純度を言及する。
【0135】
この高さの程度の純度を有するポリペプチド調製物は特に、組換え生成方法を用いて得ることができ、ところがそれらは、ポリペプチドが従来の発酵方法により生成される場合、得るにはそんなに容易ではなく、そしてより高いバッチからバッチへの変動を受けやすい。
本明書においては、用語、飼料転換率又はFCRとは、用語、飼料転換と類似して使用される。FCRは、g/動物での体重増加に対するg/動物での飼料摂取として計算される。例5における表2を参照のこと。
【0136】
ポリペプチドは、それが比較的純粋なポリペプチドとして存在する場合、いずれかの形で、又は動物飼料への添加のために意図された他の成分との混合物の形で、すなわち動物飼料添加物、例えばいわゆる動物飼料のためのプレミックスの形で、飼料に添加され得る。
本発明のポリペプチド及び/又はバチルス株とは別に、本発明の動物飼料添加物は、少なくとも1つの脂溶性ビタミン、及び/又は少なくとも1つの水溶性ビタミン、及び/又は少なくとも1つの微量鉱物、及び/又は少なくとも1つのマクロ鉱物を含むことができる。
【0137】
さらに、任意の飼料添加物成分は、着色剤、例えばカロテノイド、例えばβ−カロテノイド、アスタキサンチン、及びルテイン;芳香化合物;安定剤;抗菌ペプチド;多不飽和脂肪酸;反応性酵素生成種;及び/又は中でも、フィターゼ(EC3.1.3.8又は3.1.3.26);キシラーゼ(EC3.2.1.8)、ガラクタナーゼ(EC3.2.1.89);α−ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.22);プロテアーゼ(EC3.4._._);ホスホリパーゼA1(EC3.1.1.32);ホスホリパーゼA2(EC3.1.1.4);リソホスホリパーゼ(EC3.1.1.5);ホスホリパーゼC(EC3.1.4.3);ホスホリパーゼD(EC3.1.4.4);及び/又はβグルカナーゼ(EC3.2.1.4又はEC3.2.1.6)から選択された少なくとも1つの他の酵素である。特定の態様においては、それらの他の酵素は、十分に定義されている(ポリペプチド調製物について上記に定義されるように)。
【0138】
抗菌ペプチド(AMP)の例は、CAP18, Leucocin A, Tritrpticin, Protegrin-1, Thanatin, Defensin, Lactoferrin, Lactoferricin,及び Ovispirin 、例えば Novispirin (Robert Lehrer, 2000)、Plectasins, 及び Statins,例えばWO 03/044049号 及び WO 03/048148号に開示される化合物及びポリペプチド、及び抗菌活性を保持するそれらの変異体又はフラグメントである。
【0139】
抗真菌ポリペプチド(AFP)の例は、WO94/01459号及びWO02/090384号に開示されるように、アスペルギラス・ギガンテウス(Aspergillus giganteus)、及びアスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)ペプチド、並びに抗真菌活性を保持するそれらの変異体及びフラグメントである。
多不飽和脂肪酸の例は、C18, C20及びC22多不飽和脂肪酸、例えばアラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸及びγ−リノール酸である。
【0140】
反応性酵素生成種の例は、化学物質、例えば過硼酸塩、過硫酸塩又は過炭酸塩;及び酵素、例えばオキシダーゼ、オキシゲナーゼ、又はシンターゼである。
通常、脂−及び水−溶性ビタミン、及び微量鉱物は、飼料への添加のために意図された、いわゆるプレミックスの一部を形成し、そしてマクロ鉱物は通常、別々に飼料に添加される。それらの組成物型のいずれかが、本発明のポリペプチド又はバチルス株により富化される場合、本発明の動物飼料添加物である。
【0141】
特定の態様においては、本発明の動物飼料添加物は、0.01〜10.0%、より特定には0.05〜5.0%;又は0.2〜1.0%(%は、100gの飼料当たりの添加物g数を意味する)のレベルで、動物規定食又は飼料への包含を意図される(又は包含すべきより意図される)。これは、特に、プレミックスのためである。
【0142】
次のものは、それらの成分の例の非制限的列挙である:
脂溶性ビタミンの例は、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE及びビタミンK、例えばビタミンK3である。
水溶性ビタミンの例は、ビタミンB12、ビオチン及びコリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸及びパントテネート、例えばCa−D−パントテネートである。
【0143】
微量鉱物の例は、マンガン、亜鉛、鉄、銅、ヨウ素、セレン及びコバルトである。
マクロ鉱物の例は、カルシウム、リン及びナトリウムである。
それらの成分(家禽、及び子豚/豚により例示される)の栄養必要条件は、WO01/58275号の表Aに列挙される。栄養必要条件とは、それらの成分が示される濃度で規定食に供給されるべきであることを意味する。
【0144】
他方では、本発明の動物飼料添加は、WO01/58275号の表Aに特定される、少なくとも1つの個々の成分を含んで成る。少なくとも1つとは、1、又は2、又は3、又は4及び等〜すべての13個、又はすべての15個の個々の成分の1又は複数の成分のいずれかを意味する。より特定には、この少なくとも1つの個々の成分は、表Aの縦列4、又は5又は6に示される範囲内の飼料中濃度を提供するような量で本発明の添加物に包含される。
【0145】
動物飼料組成物又は規定食は、比較的に高いタンパク質含有率を有する。家禽及び豚規定食は、WO01/58275号の表B、縦列2−3に示されるように特徴づけられ得る。さらに、そのような魚規定食は通常、200−310g/kgの粗脂肪含有率を有する。
WO01/58275号は、引用により本明細書に組み込まれるアメリカ特許09/77334号に対応する。
本発明の動物飼料組成物は、50−800g/kgの粗タンパク質含有率を有し、そしてさらに、本明細書に記載され、そして/又は請求されるように、少なくとも1つのポリペプチド及び/又は少なくとも1つのバチルス株を含んで成る。
【0146】
さらに、又は他方では(上記に示される粗タンパク質含有率)、本発明の動物飼料組成物は、10+30MJ/kgの代謝可能エネルギー含有率;及び/又は0.1−200g/kgのカルシウム含有率;及び/又は0.1−200g/kgの利用できるリン含有率;及び/又は0.1−100g/kgのメチオニン含有率:及び/又は0.1−150g/kgのメチオニン及びシステイン含有率;及び/又は0.5−50g/kgのリシン含有率を有する。
【0147】
特定の態様においては、前記代謝エネルギー、粗タンパク質、カルシウム、リン、メチオニン、メチオニン+システイン、及び/又はリシン含有率は、WO01/58275号(R. 2−5)の表Bにおける範囲2,3,4又は5のいずれか1つの範囲内である。
粗タンパク質は、係数6.25により掛け算される窒素(N)、すなわち粗タンパク質(g/kg)=N(g/kg)×6.25として計算される。窒素含有率は、Kjeldahl方法 (A. O. A. C. , 1984, Official Methods of Analysis 14th ed., Association of Official Analytical Chemists, Washington DC)により決定され得る。
【0148】
代謝可能エネルギーは、NRC publication Nutrient requirements in swine, ninth revised edition 1988, subcommittee on swine nutrition, committee on animal nutrition, board of agriculture, national research council. National Academy Press, Washington, D. C. , pp. 2-6、及びthe European Table of Energy Values for Poultry Feed-stuffs, Spelderholt centre for poultry research and extension, 7361 DA Beekbergen, The Netherlands. Grafisch bedrijf Ponsen & looijen bv, Wageningen. ISBN 90-71463-12-5に基づいて計算され得る。
【0149】
完全な動物規定食におけるカルシウム、利用できるリン及びアミノ酸の含有率は、飼料表、例えばVeevoedertabel 1997, gegevens over chemische samenstelling, verteerbaarheid en voederwaarde van voedermiddelen, Central Veevoederbureau, Runderweg 6,8219 pk Lelystad. ISBN 90- 72839-13-7に基づいて計算される。
【0150】
特定の態様においては、本発明の動物飼料組成物は、上記に定義されるような少なくとも1つの植物性タンパク質の又はタンパク質源を含む。それはまた、動物タンパク質、例えば肉及び骨粉、及び/又は魚粉を、典型的には0−25%の量で含むことができる。用語“植物タンパク質”とは、本明細書において使用される場合、植物由来の又は植物起源の少なくとも1つのタンパク質、例えば修飾されたタンパク質及びタンパク質誘導体を含む、いずれかの化合物、組成物、調製物又は混合物を言及する。特定の態様においては、植物タンパク質中のタンパク質含有率は、少なくとも10、20、30、40、50、又は60%(w/w)である。
【0151】
植物タンパク質は、植物タンパク質源、例えばマメ科植物及び穀物、例えばマメ科(Leguminosae)、アブラナ科、アカザ科及びイネ科、例えば大豆粉、ルピナス粉及びナタネ種子粉由来のものである。
特定の態様においては、植物タンパク質源は、1又は複数のマメ科植物、例えば大豆、ルピナス、エンドウ又はインゲン豆からの材料である。
【0152】
もう1つの特定の態様においては、植物タンパク質源は、1又は複数のアカザ科植物、例えばビート、砂糖大根、ホウレンソウ又はキノアからの材料である。
植物タンパク質源の他の例は、ナタネ種子、ヒマワリ種子、綿種子及びキャベツである。
植物タンパク質源の他の例は、穀物、例えば大麦、小麦ライ麦、オート麦、トウモロコシ、イネ、ライコムギ及びモロコシである。
【0153】
さらなる特定の態様においては、本発明の動物用飼料組成物は、0-80%のトウモロコシ;及び/又は0-80%のモロコシ;及び/又は0−70%の小麦;及び/又は0-70%の大麦;及び/又は0-30%のオート麦;及び/及び0-40%の大豆ミール;及び/又は0-25%の魚ミール;0-25%の肉及び骨負ン及び/又は0-20%ホエーを含む。
【0154】
動物用規定食は、マッシュ飼料(ペレット化されていない)又はペレット化された飼料として製造され得る。典型的には、微粉砕された飼料材料が混合され、そして十分な量の必須ビタミン及び鉱物が、問題の種についての規定に従って添加される。ポリペプチド及び/又はバチルス株は、固体又は液体酵素配合として添加され得る。例えば、固体ポリペプチド配合物は典型的には、混合段階の前又はその間に添加され;そして液体ポリペプチド調製物は典型的には、ペレット化段階の後に添加される。ポリペプチドはまた、飼料添加物又はプレミックスにも組込まれ得る。
【0155】
規定食における最終ポリペプチド濃度は、0.01−200mgのタンパク質/kg規定食、例えば0.1−20mgのタンパク質/kg動物規定食の範囲内である。
ポリペプチド及び/又はバチルス株はもちろん、有効量で、すなわち飼料の溶解性及び/又は栄養価値を改良するための適切な量で適用され得る。
【0156】
ポリペプチドは次の量(用量範囲)で投与されることが現在企画される:0.01-200 ; 0.01-100 ; 0.5-100 ; 1-50; 5-100; 10-100; 0.05-50 ;又は0.10-10−すべてのそれらの範囲はmgポリペプチドタンパク質/kg飼料(ppm)である。特定の態様においては、用量範囲は、1-9, 1-8, 2-7, 2-6, 又は2-5ppmである。特に好ましい用量範囲の例は、0.5-15.0, 1.0-12.5, 1.5-10.0及び2.5-7.5ppmである。ポリペプチドの量は、例10におけるL12タンパク質について記載のようにして、決定される。
【0157】
バチルス株は、次の量(用量範囲)で投与されることが現在、企画されている:10 E2-14, 10 E4-12, 10 E6-10, 10 E7-9, 好ましくは 10 E8 CFU/g飼料(用量Eは、指数を意味し、すなわち10EZ-14は、102-1014を意味する)。
kg飼料当たりのmgポリペプチドタンパク質を決定するためには、ポリペプチドは、飼料組成物から精製され、そしてkg飼料当たりのmgポリペプチドタンパク質での用量が、例10に記載のようにして、計算される。同じ原理が、飼料添加剤におけるmgポリペプチドタンパク質を決定するために適用される。
【0158】
生物学的材料の寄託
例8に記載されるように、ブロイラーの腸含有物から単離された、次の生物学的材料を、DSMZ (Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, MascheroderWeg 1b, D-38124 Braunschweig, Germany)に、ブタペスト条件に基づいて寄託し、そして次の受託番号を付与された:
寄託物 受託番号 寄託日
エンテロコーカス・ファエカルス DSM 18047 2006年3月10日
ラクトバチルス・サリバリス DSM 18070 2006年3月16日
【0159】
寄託はNovozymes A/S, Krogshoejvej 36, DK-2880, Denmarkにより行われた。それらの株は、培養物への接近が、37 C.F.R.§1.14.及び35 U.S.C.§122下で特許及び商標局長により決定される本特許出願の係属の間、利用できることを保証する条件下で寄託された。寄託物は、寄託された株の実質的に純粋な培養物を示す。寄託物は、本出願の対応物又はその子孫が出願される国々における外国特許法により要求される場合、利用できる。しかしながら、寄託物の入手可能性は、政府の指令により許される特許権の低下において本発明を実施する許可を構成しないことが理解されるべきである。
【0160】
本明細書に記載される発明は、本明細書に開示される特許の態様により範囲を限定されるものではない。何故ならば、それらの態様は本発明のいくつかの観点を例示するものである。いずれかの同等の態様が本発明の範囲内で意図される。実際、本明細書に示され、そして記載されるそれらの修飾の他に、本発明の種々の修飾は、前述の記載から当業者に明らかになるであろう。そのような修飾はまた本発明の範囲内にある。
種々の文献が本明細書に引用されており、それらの開示は引用により本明細書に組み込まれている。
【実施例】
【0161】
例1バチルス:リケニホルミスの振盪フラスコ発酵
バチルス・リケニホルミスATCC14580を、TY寒天培地(2%寒天により固化されたTYブイヨン)上で37℃で一晩、増殖し、そして次の組成を有するTYブイヨン100mlを含む振盪フラスコ中に接種した:トリプトン:20g/l、酵母抽出物:5g/l、FeCl2・4H2O:7mg/l、MnCl2・4H2O:1mg/l、MgSO4・7H2O:15mg/l、pH7.3。振盪フラスコを、225rpmで振盪しながら、37℃で20時間インキュベートした。細胞を遠心分離により除去した。
【0162】
上清液のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動は、所望するポリペプチドに応答する12kDaの相対的分子量のバンドを示した。本発明のポリペプチドは、SDS-PAGEによれば、12kDaのその相対的分子量により、“L12タンパク質”として表される(しかしながら、理論的分子量は、9591.56Daであることが計算され得る)。
【0163】
例2バチルス・リケニホルミス振盪フラスコ発酵の精製
例1からの発酵ブイヨンを遠心分離し(20000×g、20分)、そして上清液を、沈殿物から注意してデカントした。組合された上清液を、バチルス細胞を除去するために、Seitz EKSプレートを通して濾過した。EKS濾液を限外濾過し、そしてFiltron 3kカットオフカセット上でジアフィルトレートし、タンパク質を濃縮し、そしてSeitz EKS濾液における導電性を低める。Filtron濃縮物を、もう1つのSeitz EKSプレートを通して濾過した。
【0164】
濃縮物のpHを、20%CH3COOHによりpH4.5に調節した。このpH調節により沈殿された溶液における何か(L12タンパク質ではない)及びこの沈殿物を、Seitz K-250プレートを通しての濾過により除去した。K-250濾液を、NaOHによりpH4.5に調節された、20mMのCH3COOH、50−MのH3BO4、1mMのCaCl2溶液により平衡化された100mlのSP−セファロースFFカラムに適用した。平衡化緩衝液により集中的にカラムを洗浄した後、L12タンパク質を、同じ緩衝液中、線状NaClグラジエント(0→0.5M)により溶離した。
【0165】
L12タンパク質含有画分を、SDS−PAGE分析により同定し、そしてそれらの画分をプールし、そして脱イオン化された水により10倍に希釈し、プールの導電性を低めた。そのプールを、同じ平衡化緩衝液(20mMのCH3COOH、50mMのH3BO3、1mMのCaCl2、NaOHによりpH4.5に調節されている)により平衡化された8mlのSOURCE Sカラムに適用し、そして平衡化緩衝液により集中的にカラムを洗浄し、L12タンパク質を、同じ緩衝液中、線状NaClグラジエント(0→1.0M)により溶離した。
【0166】
カラムからの画分を、SDS−PAGE分析により分析し、そしてL12タンパク質含有画分をプールし、pHを3%NaOHによりpH8に調節し、そしてプールを冷たい部屋に次の日まで放置した。pH8への調節は、L12タンパク質の沈殿を引起し、そして次の日、L12沈殿物を遠心分離(5000×g、10分)により集めた。
【0167】
L12タンパク質沈殿物を、20mMのトリス/HCl、pH8により洗浄し、沈殿されたL12タンパク質の純度を高めた。第2の遠心分離(5000×g、10分)の後、L12タンパク質沈殿物を、最少体積の平衡化緩衝液(20mMのCH3COOH、50mMのH3BO3、1mMのCaCl2、NaOHによりpH4.5に調節されている)に溶解し、そして同じ緩衝液により平衡化された300mlのSuperdex75サイズ排除カラムに適用した。
【0168】
Superdex75カラムを、同じ緩衝液により溶出し、そしてカラムからの画分を、SDS−PAGE分析により分析した。わずか1つのバンドがクーマシー染色されたSDS−PAGEゲル上で見られた画分を、精製されたL12タンパク質調製物としてプールした。グリセロールを、プールされたL12画分に添加し、50%(w/w)の最終濃度にした。
グリセロール配合されたL12タンパク質を、冷蔵庫に貯蔵した。その調製物は、クーマシー染色されたSDS−PAGEゲル上で決定される場合、実質的に純粋であった(1つのバンド)。
【0169】
特徴
SDS−PAGEにより決定される場合の相対的分子量は、Mr=12kDaであった。N−末端配列は次の通りであった:WVNPGYHYQYPSEGG(配列番号5)。
【0170】
例3バチルス・リケニホルミスの供給−バッチ発酵
バチルス・リケニホルミスATCC14580の供給−バッチ発酵方法を、下記のようにして実施した。すべての培地は、当業界において知られている方法により殺菌した。特にことわらない限り、水道水を使用した。下記レセピーに言及される成分濃度は、接種の前である。
【0171】
培地
LB寒天:カゼインからの10g/lのペプトン(例えば、Flukaカタログ番号95039、カゼインからのトリプシン消化物);5g/lの酵母抽出物(サッカロミセス・セレビシアエの自己分解により製造された、例えばOrganotechnie SA, 27, avenue Jean Mermoz, F-93120 La Courneuve, Franceからのカタログ番号9512);10g/lの塩化ナトリウム;12g/lのBacto-寒天(LB−寒天(Miller)、Merckカタログ番号110283)(pH7.0±0.2に調節された)。
M-9緩衝液:リン酸水素二ナトリウム・2H2O、8.8g/l;リン酸二水素カリウム、3g/l;塩化ナトリウム、4g/l;硫酸マグネシウム・7H2O、0.2g/l(脱イオン水がこの緩衝液において使用された)。
【0172】
PRK-50:110g/l大豆穀物;リン酸水素二水素、2H2O 5g/l;消泡剤(例えば、Struktol SB2121 , Schill & Seilacher, Hamburg, Germany)、1ml/l;殺菌の前、NaOH/H3PO4により8.0に調節されたpH。
【0173】
構成培地:トリプトン(カゼイン加水分解物、例えばカゼインカタログ番号211699のBactoTMトリプトン膵臓消化物)、30g/l;硫酸マグネシウム・7H2O、4g/l;リン酸水素二ナトリウム、7g/l;リン酸水素二ナトリウム・2H2O、7g/l;硫酸二アンモニウム、4g/l;クエン酸、0.78g/l;ビタミン(二塩化チアミン、34.2mg/l;リボフラビン、2.9mg/l;ニコチン酸、23mg/l;カルシウムD−パントテネート、28.5mg/l;ピリドキサール−HCl、5.7mg/l;D−ビオチン、1.1mg/l;葉酸、2.9mg/l);微量金属(MnSO4・H2O 39.2 mg/l; FeSO4・ 7H2O 157 mg/l; CuSO4・5H2O 15.6 mg/l; ZnCI2 15.6 mg/l);消泡剤(Struktol SB2121、上記参照のこと)、1.25ml/l;pHは、殺菌の前、NaOH/H3PO4により6.0に調節された。モノプロピレングリコール(MPG)24ml/lを、接種の28及び47時間後(すなわち、それぞれ、約1及び2の後)、合計48ml/lで添加した。
供給−培地;グルコース・1H2O、820g/l。
【0174】
発酵方法
バチスル・リケニホルミスATCC14580を、LB寒天スラント上で37℃で1日間、増殖した。次に、寒天を、M-9緩衝液により洗浄し、そして得られる細胞懸濁液の650nmでの光学密度(OD)を測定した。接種物振盪フラスコ(100mlの培地PRK−50を含む)を、OD(650nm)×ml細胞懸濁液=0.1の接種物により接種した(mlでの接種物の必要とされる量は接種物細胞懸濁液のOD(650nm)により0.1を割り算することにより見出されたことを意味する。振盪フラスコを、37℃、300rpmで20時間インキュベートした。
【0175】
使用される発酵器は、温度調節システム、アンモニア水及びリン酸によるpH制御、全発酵を通して20%以上の酵素飽和を測定するための溶解された酸素電極を備えた撹拌実験用発酵器であった。
主要発酵器(発酵タンク)での発酵を、接種物振盪フラスコからの増殖培養物により主要発酵器を接種することにより開始した。接種される体積は、構成培地の10%であった(720mlの構成培地について80ml、接種の後、800mlの初期ブイヨンをもたらす)。
【0176】
発酵パラメーターは次の通りであった:温度41℃;6.8〜7.2のpH(アンモニア水及びリン酸を用いる、6.8(アンモニア水)、7.2(リン酸))。通気:1.5L/分/kg発酵ブイヨン重量、撹拌:1500rpm.
【0177】
フィード培地を次の通りに添加した:発酵の開始である初期供給速度0.05g/分/kg、8時間後、0.16g/分/kgまで直線的に上昇、そして発酵の最後まで、0.16g/分/kgで維持する(接種の直後、発酵ブイヨンの開始重量との参照による)。
3日(70時間)後、発酵ブイヨンを収穫し、そして下記例4に記載のようにして精製した。
【0178】
例4バチルス・リケニホルミスのフェドバッチ(fed-batch)発酵の精製
例3からの発酵ブイヨンを遠心分離し(2000×g、20分)、そして上清液を沈殿物から注意してデカントした。組合された上清液をSeitz K-250プレート及び次に、Seitz EKSプレートを通して濾過し、バチルス宿主細胞の残りを除去した。EKS濾液の電導性は、10mS/cmであった。100mlのEKS濾液を、20mMのCH3COOH、50mMのH3BO3、1mMのCaCl2により10倍に希釈し、NaOHによりpH4.5に調節し、そして希釈されたEKS濾液のpHを、20%CH3COOHによりpH4.5に調節した。希釈されたEKS濾液を、NaOHによりpH4.5に調節された、20mMのCH3COOH、50mMのH3BO3、1mMのCaCl2の溶液により平衡化された19mlのSP-セファロースFFカラムに適用した。
【0179】
平衡化緩衝液によりカラムを集中的に洗浄した後、L12タンパク質を、同じ緩衝液中、線状NaClグラジエント(0→0.5M)により溶出した。L12タンパク質を含む画分を、SDS−PAGE分析により同定し、そしてプールし、そして脱イオン化された水により10倍に希釈し、プールの電導性を低めた。プールを、同じ平衡化緩衝液(20mMのCH3COOH、50mMのH3BO3、1mMのCaCl2、NaOHによりpH 4.5に調節された)により平衡化された8mlのSOURCE Sカラムに適用し、そして平衡化緩衝液によりカラムを集中的に洗浄した後、L12タンパク質を、同じ緩衝液中、線状NaClグラジエント(0→1.0M)により溶離した。
【0180】
カラムからの画分を、SDS−PAGE分析により分析し、そしてL12タンパク質を含む画分をプールし、そしてNaOHによりpH 4.5に調節された20mMのCH3COOH、50mMのH3BO3、100mのNaCl、1mMのCaCl2の溶液より平衡化された120mlのSuperdex75サイズ排除カラムに適用した。Superdex75カラムを同じ緩衝液により溶出し、そしてカラムからの画分をSDS-PAGE分析により分析した。クーマシー染色されたSDS−PAGEゲル上で12kDaで強いバンドを生ぜしめる画分を、精製されたL12タンパク質調製物としてプールした。調製物は、クーマシー染色されたSDS−PAGEゲルから判断される場合、少なくとも90%の純度であり、そしてSDS−PAGEにより決定される場合、相対的分子量はMr=12kDaであった。N−末端配列は、次の通りであって:WNVPGYHYQY(配列番号5のアミノ酸1−10)。
【0181】
例5動物飼料におけるインビボ性能(ケージ試験)
動物飼料におけるL12 タンパク質の性能を、次のパラメーターを用いて、ブロイラー鶏成長試験において評価した:
成長試験:8日目〜29日目(0日=孵化の日)
処理:A:対照;B:kg飼料当たり5mgの精製されたL12 のタンパク質
規定食:トウモロコシ/SBM48規定食(飼料組成物、表1を参照のこと)
【0182】
混合の後、飼料を約70℃でペレット化した(3×25mm)。L12タンパク質を、水500mlにより希釈し、そしてペレットに噴霧した。対照処理においては、同じ量の水をペレット上に噴霧した。
反復試験:処理当たり、6羽の雄鶏ROSS PM3の8つのグループ
飼料:任意のペレット。
【0183】
【表1】

【0184】
1:消化できないマーカーとしてTiO2が飼料混合物に包含された。
2:DSM Nutritional Products NV, Dorpsstraat 4, B-9800 Deinze, Belgium及びLasalocid Sodiumから市販されている。
3:EC−等式(EEC (1986) Directive de Ia Commission du 9 avril 1986 fixant Ia methode de calcul de Ia valeur energetique des aliments composes destines a Ia volaille; Journal Officiel des Communautes Europeennes, L 130, 53-54)により計算された。
4:飼料材料のための原料;Moulin Moderne Hirsingue, Hirsingue, Franceから入手できる。
5:Moulin Moderne Hirsingue, Hirsingue, Franceから入手できる、大豆ミール、油製造の残留物、飼料材料のための原料。
【0185】
【表2】

【0186】
Newman-Keuls試験:通常の下付文字を共存しない横列内の平均は、有意に異なる(p<0.05)。
【0187】
例6PCRにより同定されるような、L12 −様遺伝子を有するバチルス株
L12タンパク質(配列番号1)をコードする遺伝子に類似する遺伝子を、PCRにより、多くの他のバチルス・リケニホルミス株において同定した。PCR反応のための鋳型として使用するためのDNAを、TY寒天プレート(レセピーについては、例1を参照のこと)上で37℃で一晩、増殖された11の異なったバチルス・リケニホルミス株から単離した。個々の株からの細胞を有する1つの接種管を、0.1mlの水に懸濁し、そして10分間、煮沸し、遠心分離し、そして個々からの5μlの上清液を、下記のように、PCR反応におけるDNA鋳型として使用した。
【0188】
PCR反応を、Amersham Biosciencesからの"Pure TaqTM Ready-To_GoTM PCR Beads"において実施した:5μlのDNA鋳型+2×1μlのプライマーPep481(配列番号6)及びPep482(配列番号7)+18μlの水。
PCRプログラム:1) 95℃ 3分; 2) 95℃ 10秒; 3) 65℃ 30秒-1℃ プレサイクル; 4) 72℃ 1 分; 5) 2)への進行 9 回; 6) 95℃ 10秒; 7) 55℃ 30秒; 8) 72℃ 1分; 9) 6)への進行 19 回; 10) 72℃ 5分; 11) 4℃ 永久、これは、段階10)に続いて、温度を4℃に下げることを意味する。
【0189】
プライマー:
Pep481:AATTACGCGTGTTGGTGCGATAGTAGTAACG-3'(配列番号6)
Pep482:TTAAGAATTCGAATGAAAGAGGAGGAATG-3'(配列番号7)
5種の陽性株(陽性性とは、正しいサイズのDNAバンドを付与することを意味する)からの得られる0.4kbのPCRフラグメントを精製し、そして配列プライマーとして再び、Pep481(配列番号6)及びPep482(配列番号7)プライマーを用いて、DNA配列決定実験に使用した。
【0190】
5種の陽性株の3種が、同じDNA配列を付与した:バチルス・リケニホルミスATCC14580、バチルス・リケニホルミスNCINB6346(=DSM8785)及びバチスル・リケニホルミス株712(配列番号2のアミノ配列をもたらす)。バチルス・リケニホルミス株470においては、DNA変化が2種のアミノ配列変化をもたらしたが(配列番号9)、しかしながら成熟ペプチドには存在しなかった。バチルス・リケニホルミス株009においては、DNA変化が15個のアミノ酸変化をもたらし(配列番号8)、それらの8個は成熟ペプチドにおいてであった。さらに、コンセンサス配列(配列番号10)は、配列番号2,8及び9から誘導された。
【0191】
この実験においては、配列番号2の7個のC−末端アミノ酸をコードするヌクレオチドがPep481プライマー(配列番号6)に包含され、そして従って配列番号8−9の7個のC−末端のアミノ酸残基が正しくない。しかしながら、配列番号8−9の補正は後で確認された。
BioPlusTM2B (Chr. Hansen A/S, 10-12 Boege AIIe, DK-2970 Hoersholm, Denmarkにより提供される)と呼ばれる飼料内共生生成物から単離されたバチルス・リケニホルミス株が、11の試験された株間に包含されたが、しかし陰性であった。
【0192】
さらに、バチルス・リケニホルミスの44の他の株を上記のようにして試験した。陽性PCR−応答を、それらの株の27において見出した。L12陽性であることが見出された追加の公的に入手できるバチルス・リケニホルミス株の例は次の受託番号を有する:NCTC 1024, NCTC 1025, NCTC 2120, NCTC 7589, NCTC 9932, ATCC 21424, NCIMB 10689, ATCC 53757。NCTCはNational Collection of Type Culturesである。ATCCは、American Type Culture Collectionである。NCIMBは、National Collection of Industrial, Marine and Food Bacteriaである。
【0193】
例7熱安定性
示差走査熱量法(DSC)を用いて、pH2.5、4.0及び7.0でのL12タンパク質の熱安定性を決定した。約2mg/mlの濃度での精製されたL12を、適切な緩衝液に対して4℃で一晩、透析し、そして20〜90℃で1.5℃/分の一定の走査速度でのVP−DSC装置(Microcal)上で試験した。データ取り扱いを、MicroCal Originソフトウェア(バージョン4.10)を用いて行い、そして変性温度は、エンタルピーピークの頂点での温度として定義された。10mMのクエン酸、50mMの塩化ナトリウム(pH2.5)において、L12は、55℃の変性温度を有することが見出された。10mMの酢酸ナトリウム、50mMのNaCl(pH4.0)においては、L12は69℃で変性し、そして10mMのリン酸ナトリウム、50mMのNaCl(pH7.0)においては、変性温度は60℃であった。
【0194】
例8インビボ及びインビトロでの腸マイクロフロラ調整
腸マイクロフロラに対するL12タンパク質の影響を、a)インビボ、子豚及ブロイラー;及びb)インビトロ、腸マイクロフロラから単離された微生物に対して評価した。
子豚研究
生存動物を伴っての実験に基づいてFrench法律規則に従って行われたこの研究を実施し、子豚の腸マイクロフロラに対する5ppmのL12(kg飼料当たり5mgの精製されたL12)の効果を評価した。
【0195】
25.3±1.3kgの初期体重の10匹の子豚(GAEC Lecherc, Osteim, Franceから得られたLarge-White, Landrace, and Pietrainのハイブリッド)を、回腸−直腸吻合に提供した(盲腸及び結腸を迂回して、直腸の末端に末端開帳を連結する)、そのような豚においては、末端回腸のマイクロフロラが、肛門レベルで集められ、そして腸のすべての連続的消化部分の細胞集団の代表的である。手術の後、手術からの回復の間、及び実験期間の間、動物を、代謝ケージに配置し、回腸−直腸内容物の容易なサンプリングを可能にした。
【0196】
6週間の実験期間の間、子豚は、それぞれ及び他方では(二重−ラテン方格企画においては、個々の変性の効果及びまた、処理の順序のいずれかの潜在的影響を低めるために)、試験化合物により補充された又は補充を補充されていない基本的規定食を供給された。規定蝕は次の通りに構成された:
規定食A:18%の大豆ミール、53%のトウモロコシ、13%の大麦、6%のオートミル、5.4%の小麦ふすま、1%の大豆油、3.6%の鉱物、ビタミン及び合成アミノ酸(w/v)を含む、Provimi-Kliba, Kaiseraugst, Switzerlandから入手できるKLIBA。
規定食E:5mg/kgのタンパク質L12の添加を伴っての規定食A。
規定食B, C及びDは、本発明のために適切でない他の試験化合物を含んだ。
【0197】
試験化合物(L12を包含する)を、Buhlerミキサー(Buhler, Aschwill, Switzerland)において規定食中に導入した。実験規定食を調製し、そしてマッシュ形で動物に投与した。
実験用規定食は、8:00及び15:30で2かいの等しいミールにおける、2kg/日のレベルでの動物への分布を可能にされた。
【0198】
回腸−直腸内容物を、個々の処理期間の最後の2日で、個々の動物からサンプリングし、そしてマイクロフロラ中の乾燥物質及び異なった成分の濃度を決定した。
動物は、実験の間、中毒又は疾病のいずれの徴候も示さなかった。観察の間、それらの毎日の体重の増加は、1.14±0.1kgであり、これは非常に良好な畜産性能である。
実験蝕の最後で、動物を、精神安定化の後、致死注射により安楽死せしめた。
【0199】
サンプル中の乾燥物質内容物を、105℃で、1gのサンプルを一晩乾燥した後、標準のAssociation of Official Analytical Chemists (AOAC) procedure (1009) (Association of Official Analytical Chemists. (1990). (Official methods of analysis. 15th edition. Association of Official Analytical Chemists. Arlington.)従って決定した。
【0200】
マイクロフロラの分析を次の通りにして実施した:
放出の直後、10gの回腸−直腸内容物を、100mlの塩化ナトリウムペプトンブイヨン(Merck, Darmstadt, Germany、カタログ番号10582)を含むフラスコ中に移し、そして均質化した。放出を嫌気性チャンバー(AES Cheminex, Combourg, France)に急速に移された理想的内容物の除去との間の経過は5分以下であった。続いてサンプルを、10-1〜10-8(重量/体積)、塩化ナトリウムペプトンブイヨンを用いて、10倍段階で連続的に希釈した。すべての細菌計数は、二重反復試験プレートにより達成された。
【0201】
合計の通性嫌気性計数は、羊血液(5%体積/体積、AES Cheminex, Combourg, Franceにより供給される)により補充されたBrucella寒天((Merck, Darmstadt, Germany、カタログ番号10490)上で増殖されたコロニーの平均数を表す。プレートを、37℃で5日間、嫌気性キャビネットにおいてインキュベートした。
【0202】
乳酸細菌を、MRS寒天(Merck, Darmstadt, Germany、カタログ番号110660)上で計数し、そしてラクトバチルスspp. を、Rogosa寒天(Merck, Darmstadt, Germany、カタログ番号105413)上で計数した。両プレートを、37℃で48時間、嫌気性キャビネットにおいてインキュベートした。
【0203】
腸内細菌を、V.R.B.D agar (Merck, Darmstadt, Germany, カタログ番号110275)上で計数した。E. コリ及び他の腸内細菌を、Coli-IDクロモゲン培地(BioMerieux, Marcy I'Etoile, France、カタログ番号42017)上で分析した。この培地は、2種のクロモゲン基質を含む:1つは、β−D−グルクロニダーゼ(E. コリ)生成ピンクコロニーの検出のためであり、そして他の1つは、ガラクトシダーゼ(他の腸内細菌)生成ブルーコロニーの検出のためである。両プレートを、37℃で24時間、好気性下でインキュベートした。
【0204】
エンテロコーカスssp.を、エンテロコーカス寒天(Merck, Darmstadt, Germany、カタログ番号65009)上で評価し、そしてスタフィロコーカスspp.を、37℃で48時間の好気性インキュベートの後、Baird Parker 寒天 (AES Cheminex, Combourg, France, カタログ番号AEB150302)上で評価した。
【0205】
80℃で10分間、氷浴においてサンプルを加熱した後、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)を、46℃で24時間、嫌気性チャンバーにおいてインキュベートされたTSN寒天(BioMerieux, Marcy I'Etoile, France、カタログ番号51048)を用いて単離した。
【0206】
代表的コロニーの識別をさらに、適切なAPIシステム(BioMerieux, Marcy I'Etoile, France)を用いてのグラム染色及び生化学的試験の後、顕微鏡試験により確認した。
個々の試験グループに関しては、データの統計学的分析は、平均及び平均の標準偏差の計算、及び変動の分析、続くグループ内差異の有意性を評価するためのスチューデントt試験を包含する。
それぞれの細菌計数(理想的内容物乾燥物質(DM)1g当たりのコロニー形成単離(CFU)の数±標準偏差(SD))が、下記表3に与えられており、これはまた、対照に対して、5ppmのL2の添加により引起されるそれぞれ細菌計数での補正も示す。
【0207】
【表3】

【0208】
このアッセイにおいては、細菌計数における有意な差異は、見出されず、わずかな数的な効果が観察されたが、しかし時々、それらは非常に強かった。
L12の陽性効果が合計の通性嫌気性細菌の平均に見られ、ここで計数は、対照に対して48%、高められた。
【0209】
L12の中性効果が、腸マイクロフロラの有益な細菌の代表である、合計の乳酸細菌及び合計のラクトバチルスspp.に対して見出された。合計の腸内細菌に関しても、同じであった。子豚マイクロフロラにおける腸内細菌集団、すなわちE. コリの主要成分は、19%上昇し、ところが潜在的に病原性である他の腸内細菌(E. コリ以外)のグループは、強く低められた。
【0210】
L12の負の効果が、エンテロコーカスspp.の集団に対して見出された。
クロストリジウム・ペルフリンゲンスが20の対照サンプルの13に見出され(規定食A)、ところがそれは、L12−補充された規定食(規定食E)に関しての20のサンプルの6に見出された。従って、この病原性細菌は、L12に関して、強く低められた(99%)。
【0211】
ブロイラー研究
例5に記載されるブロイラー成長試験においては、ブロイラー腸マイクロフロラに対するL12(kg飼料当たり5mgの精製されたL12 )の効果をまた評価した。
グループ当たり12匹の動物からのマイクロフロラの分析を、ブロイラーの殺害のあと、出発材料として盲腸内容物を用いて、上記のようにして(子豚の研究)行った。
ブロイラー盲腸内容物における細菌集団計数の結果が表4に示されている。
【0212】
【表4】

【0213】
L12の陽性効果が、178%統計学的に有意に上昇した、合計の通性嫌気性フロラに見出された。
この変動は、L12補充されたグループにおいて観察される合計の乳酸細菌の観察される(数的な)上昇により説明され得る。合計の乳酸細菌は、合計の通性嫌気性フロラの主要集団を表し、そして宿主健康のための通常のマイクロフロラにより付与される有益性において重要な役割を演じるラクトバチルス種から主に構成される。
【0214】
E. コリの計数は、統計学的に有意ではないが、数的に、L12充填されたグループにおいて高められた。これは、他の2種のグループの微生物の計数の上昇と一致する。この実験に従事されるすべての動物は、健康で且つ平衡化された盲腸マイクロフロラを有し、そして動物における下痢患者が、試験の間、観察され、これは、それが高められ得る片利共生E. コリ株であったことを示唆する。
【0215】
インビトロでの腸マイクロフロラ調整
マイクロフロラに対するL12の効果を、さらにインビトロで評価した。腸マイクロフロラの有益な及び有害な微生物の代表的細菌を、子豚及びブロイラー腸内容物から単離した。それらの識別を、適切なAPIシステム(BioMerieux, Marcy I'Etoile, France)を用いて、グラム染色及び生化学的試験の後、顕微鏡試薬により確認した。
【0216】
それらの細菌の増殖に対するL12の効果を、595nmで吸光度を測定するマイクロタイターブイヨン希釈方法により決定した。すべてのそれらのインビトロアッセイを、次の通りに、110μlの最終体積で、殺菌された96−ウェルプレート(Falcon 353072 microtiter plates, Becton Dickinson Labware, Meylan, France)において実施した:トリプシン性大豆ブイヨン(Merck, Darmstadt, Germany、カタログ番号105459)に105CFU/mlの純粋細菌を含む懸濁液100μlを、一連の2倍希釈度でL12を含む水10μl、又は対照としての水10μlに添加した。増殖の阻害を、純粋細菌の最適な増殖のための適切な温度での適切な時間のインキュベーションの後、Multiskan Ascent (ThermoLabsystems, Helsinki, Finland)により、595nmでの吸光度を測定することにより決定した;表5を参照のこと。
【0217】
【表5】

【0218】
培養物密度の低下を、対照培養物のOD595 から、24又は48時間後の試験培養物のOD595を控除することにより決定した。培養物密度の低下を、対照培養物のOD595の%としてそれを表すことにより標準化し、そしてMIC90は、培養物密度を90%低めるために必要とされるL12の濃度に対応し、このことは、試験される生物の90%の増殖を阻害することを意味する(MIC90は、生物の90%の増殖を阻害するために必要とされる最少阻害濃度として定義される)。
それらの評価の結果は、表6に示される。
【0219】
【表6】

【0220】
L12は、豚及びブロイラー内容物から単離されたグラム陰性細菌よりも、同じものから単離されたグラム陽性球菌及びクロストリジウムに対してより活性的である。
それらの結果は、胃−腸マイクロフロラに対するL12の影響を一部、説明する。
エンテロコーカス・ファエカリス及びエンテロコーカス・ファエシウムに対するインビトロでのL12の観察された効果は、子豚においてインビボで観察されるエンテロコーカスspp.の観察される低下を確認した。
【0221】
ラクトバチルス種に対するインビトロでのL12の観察される効果は、L12が豚及び家禽類からのラクトバチルス種に対するインビボでの負の影響を有さない、子豚及びブロイラーインビボ研究からの発見を確認した。
ブロイラー腸内容物から単離されたクロストリジウム・ペルフリンゲンスに対するインビトロでのL12の観察される効果は、子豚においてインビボで観察されるこの集団の強い低下を確認した。
【0222】
例9動物飼料におけるインビボ性能(ケージ試験)−種々の用量
動物飼料におけるL12 タンパク質の性能を、次のパラメーターを用いて、ブロイラー鶏成長試験において評価した:
成長試験:8日目〜29日目(0日=孵化の日)
処理:A:対照;B:kg飼料当たり2.5、5.0及び7.5mgの精製されたL12 のタンパク質
規定食:トウモロコシ/SBM48規定食(飼料組成物、表1を参照のこと)
【0223】
混合の後、飼料を約70℃でペレット化した(3×25mm)。L12タンパク質を、水500mlにより希釈し、そしてペレットに噴霧した。対照処理においては、同じ量の水をペレット上に噴霧した。
反復試験:処理当たり、6羽の雄鶏ROSS PM3の8つのグループ
飼料:任意のペレット。
【0224】
【表7】

【0225】
1:消化できないマーカーとしてTiO2が飼料混合物に包含された。
2:DSM Nutritional Products NV, Dorpsstraat 4, B-9800 Deinze, Belgium及びLasalocid Sodiumから市販されている。
3:EC−等式(EEC (1986) Directive de Ia Commission du 9 avril 1986 fixant Ia methode de calcul de Ia valeur energetique des aliments composes destines a Ia volaille; Journal Officiel des Communautes Europeennes, L 130, 53-54)により計算された。
【0226】
4:飼料材料のための原料;Moulin Moderne Hirsingue, Hirsingue, Franceから入手できる。
5:Moulin Moderne Hirsingue, Hirsingue, Franceから入手できる、大豆ミール、油製造の残留物、飼料材料のための原料。
【0227】
【表8】

【0228】
Newman-Keuls試験:通常の下付文字を共存しない横列内の平均は、有意に異なる(p<0.05)。
【0229】
例10濃度の決定
精製されたL12タンパク質調製物を、L12タンパク質の標準として使用した。それを、例4に記載のようにして調製し、そして例2に記載のようにして、グリセロールと共に配合した。純度は、HPLCにより測定される場合、96%以上であった(Waters 2690分離モデュール及びWaters 2487 UV検出器(280nmで検出する)、カラムACE C18 5μm 100Å 150×3.0mm及びWater μ−Bondapak C18 20×3.9mm(ガードカラム)、0.5ml/分の流速、10μlの注入体積、移動相A:H2O 18MΩ+0.1%TFA(三−弗素酢酸)、移動相B:アセト二トリル+0.1%TFA)。
【0230】
標準のL12−濃度は、アミノ酸分析(下記のようにして)により決定される場合、3.6mgの純粋のタンパク質/mlであった。
種々の他のL12サンプルの純度及び濃度を、この標準により、下記のようなSDS−PAGEゲルにより決定した。
【0231】
アミノ酸分析(AAA)−L12タンパク質標準の濃度
L12タンパク質サンプルのペプチド結合を、酸加水分解し、続いて、Bie & Berntsen A/S, Sandbaekvej 5-7, DK-2610 Roedovre, Denmarkから市販されているBiochrom 20 Plus Amino Acid Analyser上で、製造業者の説明書に従って、開放されるアミノ酸を分離し、そしてそれを定量化した。酸加水分解のために、タンパク質サンプルを、真空遠心分離機において乾燥し、18.5%(v/v)のHCl+0.1%(v/v)のフェノールに溶解し、そして110℃で16時間インキュベートした。インキュベーションの後、サンプルを再び真空遠心分離機において乾燥し、負荷緩衝液(0.2Mのクエン酸ナトリウム、pH2.2)に溶解し、そしてBiochrom 20 Plus Amino Acid Analyser上に負荷した。
【0232】
定量化のために、加水分解されたサンプルを、Bie & Berntsen A/S(カタログ番号80−2104−15)から市販されているカチオン交換樹脂UlterPac No.8, Sodium-formのカラム上に負荷した。種々のpH(pH1〜pH8)及びイオン強度の緩衝液を、上記に言及される製造業者の説明者に従って、カラムに通し、種々のアミノ酸を分離した。カラム温度を、必要とされる分離を確保するために、製造業者の説明書に従って、正確に調節した(53℃〜92℃及び53℃に戻る)。カラム溶離剤を、ニンヒドリン試薬(Bie & Berntsen、カタログ番号80−2038−07)と共に混合し、そしてその混合物を、アミノ酸分析器の高温反応コイルに通した。反応コイルにおいては、ニンヒドリンがアミノ酸と反応し、着色された化合物が形成され、その量は、存在するアミノ酸の量と直接的に比例した。
【0233】
L12タンパク質サンプルの濃度
種々のL12サンプルの濃度を、次の方法により決定した(言及されるすべてのNovex製品は、Invitrogenから市販されている、www.invitrogen.comを参照のこと)。
【0234】
50μlのL12溶液(ml当たり0.1〜1.0mgのL12)を、5μlの1%(w/v)EDTA+10μlの6%PMSF+10μlの0.5MのDTT+25μlのNuPage LDSサンプル緩衝液(NOVEXからのNP0001)と共に、Eppendort管において混合し、そして管を95℃に5分間、加熱した。10μlのサンプルを、10%トリス−ビスプレキャストゲル(NOVEXからのNP0301 BOX)に適用した。電気泳動を、MES走行緩衝液(MES=2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、NOVEXからのNP0002)+酸化防止剤(NUVEXからのNP0005)により、200Vの一定電圧で、その製造業者の説明書に従って実施した。
【0235】
電気泳動の後、ゲルを、10%酢酸+50%エタノールにおいて10分間、軽く振盪した。次に、ゲルを、コロイド状ブルー染色溶液(NOVEXからの46−7016)と共に最少3時間、軽く振盪し、そして蒸留水と共に、2〜4時間、数回の蒸留水の取り替えを伴って、軽く振盪することにより洗浄した。湿潤ゲルを、Quantity Oneソフトウェア(バージョン4.6.0、BioRad)を備えたBioRad Calibrated Densitometer GS-800により走査し、そしてL12タンパク質を、製造業者の説明書に従って定量化した。上記に記載されるL12標準を、0.1〜1.0mg/mlの範囲内の3〜4倍希釈溶液において標準として使用した。
【0236】
例11ペプシン及びパンクレアチンに対する安定性
生来のL12:10mMのトリス/CH3COOH緩衝液(pH4.5)により1mg/mlに希釈された、精製されたL12のタンパク質。
変性されたL12:精製されたL12(10mMのトリス/CH3COOH緩衝液(pH4.5)において1mg/ml)のサンプルを、タンパク質を変性するために5分間、煮沸した。
【0237】
ペプシン:豚ペプシン(Sigma P-7000、453単位/mg固形物)。30000単位/mlを、10mMの琥珀酸(pH3.0)に溶解した。
パンクレアチン:豚パンクレアチン(Sigma P-7545, 8xUSP)。80mg/mlを、0.5Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁した。
pH3緩衝液:10mMの琥珀酸pH3.0.
pH7緩衝液:0.5Mのリン酸ナトリウム緩衝液pH7.0
次のサンプルを調製した:
【0238】
)L12をペプシン及びパンクレアチンと共にインキュベートする
278μlの生来の又は変性されたL12+100μlのペプシン溶液+122μlのpH3緩衝液を、振盪しながら40℃で2時間インキュベートし、pHは3.5であることを測定した。次に、400μlのpH7緩衝液+100μlのパンクレアチン懸濁液を添加し、そして続いて、振盪しながら40℃で4時間インキュベート、pHは7.0であることを測定した。
【0239】
2)L12をペプシンと共にインキュベートする
278μlの生来の又は変性されたL12+100μlのペプシン溶液+122μlのpH3緩衝液を、振盪しながら40℃で2時間インキュベートした(pHは3.5であることを測定した)。次に、500μlのpH7緩衝液を添加した(pHは7.0であることを測定した)。
3)L12をパンクレアチンと共にインキュベートする
278μlの生来の又は変性されたL12+222μlのpH3緩衝液を、振盪しながら40℃で2時間インキュベートした。次に、400μlのpH7緩衝液+100μlのパンクレアチン懸濁液を添加し、そして続いて、振盪しながら40℃で4時間インキュベートした。
【0240】
4)L12対照サンブル
278μlの生来の又は変性されたL12+100μlのペプシン溶液+122μlのpH3緩衝液+400μlのpH7緩衝液+100μlのパンクレアチン懸濁液を、氷上で混合し、そして冷たいまま維持した。
5)ペプシン対照サンプル
100μlのペプシン溶液+400μlのpH3緩衝液を、振盪しながら、40℃で2時間インキュベートした(pH3.5を測定した)。次に、500μlのpH7緩衝液を添加した。
【0241】
6)パンクレアチン対照サンプル
500μlのpH3緩衝液+400μlのpH7緩衝液+100μlのパンクレアチン緩衝液を、振盪しながら、40℃で4時間インキュベートした(pH7.0を測定した)。
7)ペプシン+パンクレアチン対照サンプル
100μlのペプシン溶液+400μlのpH3緩衝液を、振盪しながら、40℃で2時間インキュベートした(pH3.5を測定した)。次に、400μlのpH7緩衝液+100μlのパンクレアチン緩衝液を添加し、そして続いて、振盪しながら、40℃で4時間インキュベートした(pH7.0を測定した)。
【0242】
すべてのサンプルを、例10に記載のようにして、SDS−PAGEにより分析した。FDS−PAGE−により判断すると、生来のL12は、ペプシン、パンクレアチン又はペプシン−続くパンクレアチン処理により分解されなかった。変性されたL12は、L12バンドがその対応するサンプルにおけるSDS−ゲル上に検出できなかったので、ペプシン、パンクレアチン又はペプシン−続くパンクレアチン処理により集中的に分解された。
【0243】
例12インビボでの動物飼料性能(床張りの囲いでの試験)
この例は、36日の十分な成長サイクルにわたってのブロイラー鶏の成長性能に対するL12タンパク質の効果を評価する。
ブロイラー鶏による成長性能試験を、1〜36日目で実施した。
【0244】
動物は、木材のかんなくずを散在された床張りの囲いに収容された。開始期間の間(1〜22日目)及び成長期間の間(22〜36日目)、鶏は、小麦、ライ麦及び大豆ミール(組成については、表9を参照のこと)に基づく規定食を受けた。補充されていない対照処理の他に、L12タンパク質は、7.5mgのタンパク質/kg飼料の用量で包含された。
成長試験:1日目〜36日目(0日=孵化の日)
規定食:小麦/ライ麦/SBM48規定食(飼料組成物、表9を参照のこと)
飼料:任意のペレット
【0245】
混合の後、飼料を約70℃でペレット化した(3×25mm)。L12タンパク質を、開始飼料のために水800mlに、及び成長飼料のために1200mlの水に溶解し、そしてペレット上に噴霧した。対照処理においては、L12タンパク質を有さない同じ量の水をそれぞれペレット上に噴霧した。
処理:対照、kg飼料当たり7.5mgのL12 のタンパク質
反復試験:処理当たり、20羽の鶏の6つのグループ(20羽の雌の6グループ、20羽の雄の6グループ)。
【0246】
【表9】

【0247】
1:消化できないマーカーとしてTiO2が飼料混合物に包含された。
2:DSM Nutritional Products NV, Dorpsstraat 4, B-9800 Deinze, Belgium及びLasalocid Sodiumから市販されている。
3:EC−等式(EEC (1986) Directive de Ia Commission du 9 avril 1986 fixant Ia methode de calcul de Ia valeur energetique des aliments composes destines a Ia volaille; Journal Officiel des Communautes Europeennes, L 130, 53-54)により計算された。
4:飼料材料のための原料;Moulin Moderne Hirsingue, Hirsingue, Franceから入手できる。
5:Moulin Moderne Hirsingue, Hirsingue, Franceから入手できる、大豆ミール、油製造の残留物、飼料材料のための原料。
【0248】
【表10】

【0249】
Newman-Keuls試験:通常の下付文字を共存しない横列内の平均は、有意に異なる(p<0.05)。*:1つのケージは、技術的問題により排除された。
L12タンパク質は、鶏の体重増加をわずかに改良したが(表10)、しかしながら、この効果は有意ではなかった。L12を受ける鶏の飼料摂取は、対照鶏のそれとは異ならなかった。飼料転換率(FCR)は、対照に比較して、L12タンパク質により2.7%、有意に改良された。
【0250】
例13動物飼料及び添加剤
動物飼料添加剤
動物飼料添加剤を、次のプレミックスに、20g/kgの量で、精製されたL12タンパク質を含んで成る被覆されたT−粒質物25g(EP569468B1の例3に記載のようにして調製された;しかしながら、約7%の水素化されたヤシ油及び約13%のCaCO3の被膜を伴う)を添加することにより調製する(kgプレミックス当たり):
【0251】
1100000 IE ビタミン A
300000 IE ビタミン D3
4000 IE ビタミン E
250 mg ビタミン B1
800 mg ビタミン B2
200 mg Ca-D-パントテネート
500 mg ビタミン B6
2.5 mg ビタミン B12
5000 mg ナイアシン
10000 mg ビタミン C
300 mg ビタミン K3
15 mg ビオチン
150 mg 葉酸
50004 mg 塩化コリン
6000 mg Fe
3000 mg Cu
5400 mg Zn
8000 mg Mn
124 mg I
60 mg Co
29.7 mg Se
9000 mg Lasalocid Sodium (Avatec)
17.3 % Ca
0.8 % Mg
11.7 % Na
【0252】
動物飼料
次の組成(%、w/w)を有するブロイラー成長規定食を、成分を混合することにより調製する。小麦、ライ麦及びSBM48は、Moulin Moderne Hirsinque, Hirsingue, Franceから入手できる。混合の後、飼料を、所望する温度、例えば約70℃でペレット化する(3×25mm):
【0253】
小麦 46.00
ライ麦 15.00
大豆ミール (SBM 48) 30.73
大豆油 4.90
DL-メチオニン 0.04
DCP (リン酸二カルシウム) 1.65
石灰石 0.43
塩 0.15
TiO2 0.10
動物飼料添加物 (上記) 1.00
【0254】
得られる動物飼料は、kg当たり5.0mgの精製されたL12タンパク質(5ppm)を含んで成る。
追加の動物飼料及び飼料添加剤組成物を、同じ態様で調製するが、但しkgプレミックス当たり25gの被覆されたL12 CT粒質物を、g飼料組織物当たり約108個のコロニー形成単位(CFU)を有する動物飼料をもたらす。バチルス・リケニホルミスATCC14580の内生胞子の形での1013個のCFUにより置換する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号2のアミノ酸1−85に対して少なくとも33%の程度の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;
(b)(i)配列番号1のヌクレオチド124−378、
(ii)少なくとも100個のヌクレオチドの(i)の副配列、又は
(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖と、低い緊縮条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチド;
(c)1又は複数のアミノ酸の置換、欠失、延長及び/又は挿入を含んで成る、配列番号2のアミノ酸1−85のアミノ酸配列を有するポリペプチドの変異体;
(d)(a)又は(b)の対立遺伝子変異体;及び
(c)(a)、(b)、(c)又は(d)のフラグメントから成る群から選択された、配列番号4のアミノ酸1−126ではない、単離されたポリペプチド。
【請求項2】
飼料転換率(FCR)を改良し、そして/又は腸マイクロフロラを調整することにより動物飼料利用性を改良する請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
(a)請求項1記載のポリペプチドをコードし;
(b)(i)配列番号1のヌクレオチド124−378、
(ii)少なくとも100個のヌクレオチドの(i)の副配列、又は
(iii)(i)又は(ii)の相補的鎖と、非常に低い緊縮条件下でハイブリダイズし;そして/又は
(c)配列番号1のヌクレオチド124−378に対して少なくとも48%の程度の同一性を有するが、但し、
(iv)配列番号3ではなく、
(v)配列番号3のヌクレオチド601−978ではなく、そして
(vi)配列番号1のヌクレオチド1−381ではない、ポリペプチド−コード核酸配列を含んで成る単離された核酸配列。
【請求項4】
請求項2記載のポリペプチドをコードする請求項3記載の核酸配列。
【請求項5】
バチルス(Bacillus)宿主細胞におけるポリペプチドの生成を指図する1又は複数の制御配列に操作可能的に連結される請求項3又は4記載のポリペプチド−コード核酸配列を含んで成る核酸構造体であって、前記宿主細胞のDNAが、収穫され、そしてプライマーとしての配列番号6及び7とのPCR反応において、DNA鋳型として使用される場合、約0.4kbのサイズのPCRフラグメントの生成を導くことを特徴とする核酸構造体。
【請求項6】
請求項5記載の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクター。
【請求項7】
請求項5記載の核酸構造体又は請求項6記載のベクターを含んで成る組換えバチルス宿主細胞であって、前記宿主細胞のDNAが、収穫され、そしてプライマーとしての配列番号6及び7とのPCR反応において、DNA鋳型として使用される場合、約0.4kbのサイズのPCRフラグメントの生成を導くことを特徴とする宿主細胞。
【請求項8】
請求項1又は2記載のポリペプチドの生成方法であって、(a)請求項7記載の組換え宿主細胞を培養し、前記ポリペプチドを含んで成る上清液を生成し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項9】
請求項1又は2記載のポリペプチドの生成方法であって、(a)バチルスの株を培養し、このDNAが、収穫され、そしてプライマーとしての配列番号6及び7とのPCR反応において、DNA鋳型として使用される場合、約0.4kbのサイズのPCRフラグメントの生成を導き;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項10】
i)配列番号4のアミノ酸1−126を有するポリペプチド;及び/又はii)請求項1又は2記載のポリペプチドの動物飼料への使用。
【請求項11】
動物飼料への使用のための組成物の調製への、i)配列番号4のアミノ酸1−126を有するポリペプチド;及び/又はii)請求項1又は2記載のポリペプチドの使用。
【請求項12】
i)配列番号4のアミノ酸1−126を有するポリペプチド;及び/又はii)請求項1又は2記載のポリペプチドが、動物飼料に添加される、動物飼料転換率(FCR)の改良方法。
【請求項13】
i)配列番号4のアミノ酸1−126を有するポリペプチド;及び/又はii)請求項1又は2記載のポリペプチドが、動物飼料に添加される、動物の腸マイクロフロラの調整方法。
【請求項14】
(a)i)配列番号4のアミノ酸1−126を有するポリペプチド;及び/又はii)請求項1又は2記載のポリペプチド;及び
(b)少なくとも1つの脂溶性ビタミン、
(c)少なくとも1つの水溶性ビタミン、
(d)少なくとも1つの微量鉱物、及び/又は
(e)少なくとも1つの多量鉱物、を含んで成る動物飼料添加剤。
【請求項15】
50〜800g/kgの含有率の粗タンパク質を有し、そしてi)配列番号4のアミノ酸1−126を有するポリペプチド;及び/又はii)請求項1又は2記載のポリペプチドを含んで成る動物飼料組成物。
【請求項16】
バチルス株(そのDNAが、収穫され、そしてプライマーとしての配列番号6及び7とのPCR反応において、DNA鋳型として使用される場合、約0.4kbのサイズのPCRフラグメントの生成を導く)の動物飼料への使用。
【請求項17】
動物飼料への使用のための組成物の調製への請求項16記載のバチルス株の使用。
【請求項18】
請求項16記載のバチルス株が動物飼料に添加される、飼料転換率(FCR)の改良方法。
【請求項19】
請求項16記載のバチルス株が動物飼料に添加される、腸マイクロフロラの調整方法。
【請求項20】
(a)請求項16記載のバチルス株;及び
(b)少なくとも1つの脂溶性ビタミン、
(c)少なくとも1つの水溶性ビタミン、
(d)少なくとも1つの微量鉱物、及び/又は
(e)少なくとも1つの多量鉱物、を含んで成る動物飼料添加剤。
【請求項21】
50〜800g/kgの含有率の粗タンパク質を有し、そして請求項16記載のバチルス株を含んで成る動物飼料組成物。
【請求項22】
エンテロコーカス・フェエカリス(Enterococcus faecalis) DSM18047。
【請求項23】
ラクトバチルス・サリバリウム(Lactobacillus salivarius)DSM18070。

【公表番号】特表2008−533976(P2008−533976A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502251(P2008−502251)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000162
【国際公開番号】WO2006/099871
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】