説明

ポリマー参照電極

【課題】 先行技術の参照電極を大幅に改良すること
【解決手段】 本発明は、可塑剤の不存在下で先行技術の電極と同等か又はそれより優れた性質を有するポリマー参照電極であって、そのような性質は、充分に低いガラス転移温度(Tg)を有するポリマー膜内に取り込まれ、高可塑化熱可塑性膜の特性に近づけることによって達成される。好ましいポリマーは、好ましくは線状骨格およびペンダント置換基を有するポリアクリレートである。さらに、膜は親油性ポリマーおよび塩のような親油性付加物を含む。参照電極内では、膜を所望によって電解質でコートした内部接点からなる内部電極上にかぶせ、親油性ポリマー内に内包する。ポリマー参照電極は、好ましくはイオン選択性電極組み立ての中で用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン選択性電極と一緒に用いるポリマー参照電極に関する。より具体的には、本発明は、ポリマー膜、及び参照電極を含む電極に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン選択性電極(ISEs)は、様々な生体関連および非生体関連の流体中のイオン濃度を測定するために、広く用いられている。測定されるイオンは、飲料水(すなわち比較的単純な溶液)中のフッ化物から、血液(実質上より複雑な溶液)中の電解質まで、複雑さが異なる流体中に存在する。生体関連溶液中の場合、時には、複数のイオンを、複数イオン選択性電極を含むセンサーを用いて、単一サンプル内で測定する。
【0003】
一般的に、イオン選択性電極は、イオン選択性膜、内部電解質溶液および内部参照電極からなる。内部参照電極は、イオン選択性電極の組み立て品の中に含まれ、典型的には、固定濃度の塩化物及び膜が選択可能なイオンを含む適当な溶液と接触状態にある銀/塩化銀からなる。イオン選択性電極は、完全な電気化学セルを形成するために、参照電極(即ち、「外側」または「外部」参照電極)と一緒に用いられなければならない。構成は、一般的に、外側参照電極|試験溶液|膜|内部参照電極、または外側参照電極|試験溶液|イオン選択性電極と表される。測定される電位差(イオン選択性電極-対-外側参照電極電位)は、溶液内の与えられたイオン活性の対数に一次従属的である。参照電極は、電気化学測定の間、一般的な条件下の溶液に関して比較的一定な電位を維持し、さらに作用参照電極の電位のモニターに役立つ。
【0004】
慣用の参照電極の例としては、pHメーターと共にしばしば用いられているような、銀/塩化銀(Ag/AgCl)単一ジャンクション参照電極である。一般的に、そのような参照電極は、AgClで飽和した塩化カリウム(KCl)の4M溶液の内部電解質溶液を含む円筒型ガラスチューブからなる。ガラス管の低い方の端を、内部電解質溶液がゆっくりと通過することができるようにして、外部試験溶液との液体ジャンクションを形成させる多孔性セラミックフリットでシールする。充填溶液内へ浸すのは、塩化銀の層でコートした銀線である。該銀線を測定システムと連結する低ノイズケーブルとつなぐと、電圧がジャンクション越しに測定できるようになる。
【0005】
最近特に関心を集めている分野は、電気化学システムと共に用いられる微小平面参照電極である。ポリマー参照電極は、低価格、製造容易性及び微細加工といった利点を提供する。様々な微小平面電気化学センサーは商品化に成功しているが、安定性及び信頼性のある微小平面参照電極を今後導入される必要がある。ポリマー参照電極の基本構造は、Ag/AgClのような既知の標準を内包した不活性膜である。Nolanら、Anal.Chem.,1997,(60),1244−1247は、ポリウレタンまたはNafion(登録商標)膜で被覆した内部電解質を含むポリマー参照電極を開示している。しかしながら、膜の有用性は、コンディショニングに長い時間が必要であることによって制限される。Yoonら、センサーズ・アンド・アクチュエイターズ B,(64),8−14は、Ag/AgCl上に当モル濃度のカチオン性およびアニオン性親油性付加物がドープされた親水性ポリウレタン膜を含むポリマー参照電極について記載している。参照電極には、長い前処理時間およびイオン感受性という制約がある。ChoiらのU.S.Publ.Pat.Appl.2002/0065332には、1)酢酸セルロースのような多孔性ポリマーまたは親水性可塑剤、2)ポリビニルクロリドまたはポリウレタンのような親油性ポリマーであって、高可塑化熱可塑性膜を形成し、前処理時間が短いという長所を有する、該親油性ポリマー、を含むポリマー参照電極膜について開示されているが、そのような膜形成における制約は、可塑剤浸出が起こり、これに伴って膜特性が変化することである。さらに、ドープしていないポリビニルクロリド膜は、時としてポリマー内の不純物が原因でイオンに対して感受性を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの教示から、ポリマー膜を用いて構築した参照電極内では、合理的な結果が得られる可能性があることが示されたが、長い前処理時間、可塑剤の浸出による膜の変化、および膜内の不純物による電位イオンの妨害などの、実質的な制約がなお存在する。
【0007】
本発明は、上記の先行技術による電極を大幅に改良するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主要な実施態様では、本発明は、安定な電位を有する接点を含む内部電極及び約25℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する膜ポリマーを含む膜を含むポリマー参照電極であって、該膜ポリマーは、ポリマー骨格から吊り下げられた親油性可塑化基を含む。Tgが測定室での操作温度(通常室温25℃)より低いこと、即ち該膜ポリマーは可塑化剤不存在下では操作温度で可撓性を有すること、が重要である。従って、膜は室温での使用中も、貯蔵中も共に、柔軟性を有するであろう。好ましくは、Tgは、膜の可塑性は貯蔵中も保持されるように、貯蔵温度より低くなるべきである。このように、Tgは≦0℃が好ましく、より好ましくはTg≦−10℃である。―10℃から−100℃までのTg範囲が好ましく、−10℃から−60℃の範囲がより好ましい。膜は、可塑化されても少なくとも操作可能レベルの膜運動性を持つような挙動を示すべきである。それ以外の場合には、膜のインピーダンスは大きすぎて、電気化学測定を行うために用いることはできないであろう。
【0009】
それ故、本発明は、先行技術の電極と同様の基本構造を有するポリマー参照電極であるが、従来必要とされた可塑剤成分を膜から除去し、充分に低いTgを有する可塑剤を含まないポリマーで置き換え、それによって先行技術の装置と等しいか又はそれより優れた性能が、可塑剤の存在を原因とする有害性を排除して達成される。したがって、本発明によって、長時間にわたって適当な膜運動性を有し、インピーダンスが低く、イオン干渉が少なく、膜が迅速に水和される、および/またはコンディショニングが迅速に行われる、参照電極が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ポリマーは、線状部分および分枝状部分を有することが好ましい(ただし必須ではない)。好ましい膜ポリマーは、典型的には、メタクリル-アクリルコポリマーであるが、必要なTg特性を有し、さもなければ適当な電極膜特性を有する任意の適当なポリマーを用いてもよい。さらに、電極は、ポリビニルクロリド、ポリウレタン、またはシリコーンゴムおよび親油性若しくは親水性付加物のようなバイオセンサーに適した追加のポリマーを含んでいてもよい。
【0011】
別の適当な(好ましい)可塑剤非含有膜のある膜を、R1およびR2ペンダントアルキル基を有するメタクリレートモノマーであって、該ペンダント基R1が任意のC1-3アルキル基であり、R2が任意のC4-12アルキル基である該モノマーのコポリマーを含む膜としてもよい。(長さおよび分枝度を異にする)異なるペンダントアルキル基を有するメタクリレートモノマーを用いると、可塑剤非含有可塑化効果のみならず好ましいTgでよりよい機械強度を有するポリマー材料が得られる。このように、モノマーの分枝化をより多く又は少なくすること、鎖長をより長く又はより短くすること、及び、数多くの方法でこれらを結びつけることによって、得られたTgおよび機械的強度の調節及び最適化を行うことが可能である。好ましい膜ポリマーは、以下の式:
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、親油性可塑化基R1およびR2は同一または異なっており、C1からC16までのアルキル基、好ましくはC1からC12までのアルキル基から選択され、R3およびR4は同一または異なっており、HおよびCH3から選択される)
に要約できるセグメントを含む。
【0014】
内部接点は、限定するものではないが、Ag/AgClを含む任意の適当な接点材料であってよい。伝導性電解質は、KCl、ギ酸ナトリウム、塩化ナトリウム等のような任意の適当な塩であってよい。内部電解質は、任意の適当な親水性不活性ポリマー内に内包されていてよく、該親水性不活性ポリマーは、限定するものではないが、親水性ポリウレタン(PU)、ポリヘキシルエチルメタクリレート(pHEMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)又はその他の親水性ポリマーであってよい。
【0015】
図面の簡単な説明
図面の各図は、以下した種々の実験から得られたデータを図示しており、本質的には例示である。説明された各実験では、溶液内の具体的なイオンまたは化合物を、イオン選択性電極および本発明の参照電極を含むセンサーによって検出し、検出は特性の分かった参照電極を用いたセンサーによって同一溶液内で同一イオンまたは化合物を同時に検出し比較した。それぞれの図では、Y軸は本発明の参照電極で照合した各々の慣用のセンサーの値であり、X軸は慣用の参照電極(ABL(登録商標) 725分析装置、ラジオメーター・メディカル・アー・ぺー・エス、デンマーク)で照合した各々の慣用のセンサーの値である。性能の実線境界の隔たりは試験用分析装置およびABL725対照用分析装置の両方の不確実性を考慮して、公表されている性能試験結果から計算される。組み合わせられた性能の隔たりは、分析装置に関する信頼区間(2標準偏差)性能帯を規定する。図は比較データを示しており、データの誤差範囲もまた示している。
【0016】
図1は、異なる試験日に、本発明の参照電極で照合したpH電極の応答を、慣用の参照電極で照合したpH電極と比較して示しており、値が血液への使用/暴露と一致することを示す。
【0017】
図2は、日数を変えて、本発明の参照電極で照合したpCO2電極の応答を、慣用の参照電極で照合したpCO2電極と比較して表示しており、値は、血液への使用/暴露と一致することを示す。
【0018】
図3は、異なる試験日に、本発明の参照電極で照合したナトリウム(Na+)イオン選択性電極の応答を、慣用の参照電極で照合したNa+イオン選択性電極と比較して表示しており、値は血液への使用/暴露と一致することを示す。
【0019】
図4は、異なる試験日に、本発明の参照電極で照合したカリウム(K+)イオン選択性電極の応答を、慣用の参照電極で照合したK+選択性電極と比較して表示しており、値は血液への使用/暴露と一致することを示す。
【0020】
図5は、異なる試験日に、本発明の参照電極で照合したカルシウム(Ca++)イオン選択性電極の応答を、慣用の参照電極で照合したCa++選択性電極と比較して表示しており、値は血液への使用/暴露と一致することを示す。
【0021】
図6は、本発明の例となる参照電極#1および#2で別々に照合したpH電極の応答を、慣用の参照電極で照合したpH電極である対照(Ctrl)と比較して、表示している。図は、#1および#2で得られた値が、慣用の参照電極を用いて得られた値と等しいことを示す。
【0022】
図7は、本発明の例となる参照電極#1および#2で別々に照合したNa+電極の応答を、慣用の参照電極で照合したNa+電極である対照(Ctrl)と比較して、表示している。図は、#1および#2で得られた値が、慣用の参照電極を用いて得られた値と等しいことを示す。
【0023】
図8は、本発明の例となる参照電極#1および#2で別々に照合したK+電極の応答を、慣用の参照電極で照合したK+電極である対照(Ctrl)と比較して、表示している。図は、#1および#2で得られた値が、慣用の参照電極を用いて得られた値と等しいことを示す。
【0024】
図9は、本発明の例となる参照電極#1および#2で別々に照合したCa++電極の応答を、慣用の参照電極で照合したCa++電極である対照(Ctrl)と比較して、表示している。図は、#1および#2で得られた値が、慣用の参照電極を用いて得られた値と等しいことを示す。
【0025】
詳細な説明および好ましい実施態様
本発明の全体像は、様々な要素および本発明の態様についての以下の説明から明らかになるであろう。
【0026】
膜は、ポリマー参照電極に使用するための非常に可塑化された熱可塑性膜の特性に近づけるために充分に低いガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを提供する、ポリマー骨格およびペンダント親油性可塑化基を有する膜ポリマーからなる。膜は短い前処理時間を有する。膜は徐々に膜から浸出することが知られている可塑剤を含まない。さらに、膜はきわめて疎水性である。この性質により、参照電極からの内部電解質の移動を遅くし、さらに生物付着を制限することができる。
【0027】
ガラス転移温度(Tg)は、ポリマーの部分移動の開始を示す。該温度は、該温度以下ではポリマーセグメントが互いに動き回るに充分なエネルギーを持たない温度である。様々な因子がTgに影響を与える。結合相互作用、分子量、官能性、分枝性および化学構造はすべて、Tgならびに膜運動性および機械的強度のような膜のその他の特性に影響を与える。従って、膜の特性はペンダント親油性可塑化剤の選択によって幾分か調整できる。例えばポリマー鎖の運動性の減少、鎖の剛性の増加、およびその結果として生ずるより高いTgは、ポリマーがポリメチルメタクリレート(PMMA)の場合のように多くの小さく硬い置換基を有するか又はポリスチレンの場合のようにかさばった置換基を有する場合に得られる。低いガラス転移温度(例えば−10℃から−75℃のTg)を有するポリマーが知られており、(例えば、Sartomer Co.,Exton,PAのような供給元から)市販されている。そのようなポリマーには、以下に限定するものではないが、モノ-およびジ-メタクリレートのような、多数のポリアクリレートが含まれている。当業者らは、特定の用途に最も適した具体的ポリマーを、直接に又は供給元の援助を得て、容易に選択できるであろう。
【0028】
ポリマーのTgは、任意の適当な方法、例えば“Differential Scanning Calorimetry”、を用いて、ポリマーについて直接測定できる。好ましくは、ポリマーTgは、約−10℃から約−100℃までの範囲であり、−10℃から約−60℃までの範囲がより好ましい。
【0029】
膜ポリマーのポリマー骨格は、例えば、ポリビニルクロリドまたはポリアクリレート骨格であってよい。ポリアクリレート骨格が好ましい。このように、好ましい膜ポリマーはアクリレート骨格を有し、1以上の次のモノマー:メチルメタクリレート、メタクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレートおよびヘプチルアクリレート:のホモポリマーまたはコポリマーである。メタクリレート骨格が好ましい。ポリマーは中程度の剛性の骨格を有する必要がある。特定の用途で要求されるTgに応じて、ポリマーは、ホモポリマー、官能化ホモポリマーまたは2以上の異なるモノマー単位を含むコポリマーであってよい。一般に、ポリメタクリレートは対応するポリアクリレートと比べると、比較的より高いTgが得られる。
【0030】
ポリマーのTgを調整する方法は、当業界で周知である。従って、膜ポリマーの特性をいくらか調整することもできる。分枝鎖アルキルアクリレートまたはα-若しくはβ-置換モノマーは、対応する直鎖または非置換のモノマーから作り出されるポリマーよりも、さらに高いTgを有するポリマーを作り出す傾向がある。通常、ペンダント分枝置換基は、C1-C16アルキル基、好ましくはC1-C12アルキル基、より好ましくはC3-C7アルキル基であろう。より好ましい実施態様では、低級アルキルアクリレート(C1からC4)を用いる。さらに、膜ポリマーの特性を、少量の別のモノマーを加えることによって調整することもできる。このように、ヒドロキシメチルアクリレートのような水酸基を加えることによって疎水性/親油性の平衡を調整することが望ましいであろう。膜の強さおよび剛性もまた、タイプ(例えば二官能性-対-多官能性)および架橋剤の量を選択することによって、調節することができる。
【0031】
分枝状アルキルアクリレートモノマーは、アルキル基が非線状であり非芳香族であるアクリレートモノマーである。そのような化合物の例としては、メチルメタクリレートおよびi-ブチルアクリレートが含まれる。低級アルキルアクリレートモノマーは、アルキル基がC1からC4であるアクリレートモノマーである。そのような化合物の例としては、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルアルキレート、ブチルアクリレートが含まれる。
【0032】
要約すると、好ましい膜ポリマーは、以下の式:
【0033】
【化2】

【0034】
(式中、親油性可塑化基R1およびR2は同一または異なっており、C1からC16までのアルキル基、好ましくはC1からC12アルキル基から選択され、R3およびR4は同一または異なっており、HおよびCH3から選択される)
のセグメントを含む。一つの好ましい実施態様では、親油性可塑化基R1およびR2は同一であり、C1からC7までのアルキル基、好ましくはC1からC4までのアルキル基から選択され、R3およびR4も同一であり、HおよびCH3より選択される。もう一つの好ましい実施態様では、親油性可塑化基R1はC1からC3までのアルキル基から選択され、親油性可塑化基R2はC4からC12までのアルキル基、好ましくはC4からC7までのアルキル基から選択され、R3およびR4は同一または異なっており、HおよびCH3から選択される。好ましい膜ポリマーの例としては、ポリ(ブチルメチルメタクリレート)、ポリ(ブチルエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)およびポリ(ブチルアクリレート)が挙げられる。
【0035】
また、膜は親油性ポリマーまたはポリマー置換基も含んでいてよい。親油性成分は接着性の増加および多孔性の調節に重要な役割を演ずる。好ましくは、親油性ポリマーは、シリコーンゴム、ポリビニルクロリド、ポリウレタン、ポリビニルクロリドカルボキシル化コポリマーまたはポリビニルクロリド-コ-ビニルアセテート-コ-ビニルアルコールおよびその混合物からなる群より選択される。親油性塩のような分離親油性付加物は、膜内に存在して良く、インピーダンスを低下させ、対イオンの選択性を改善する。カチオン性および/またはアニオン性親油性付加物を膜に加えると、試験溶液内の正および/または負に帯電したイオンの影響を排除すると考えられる。好ましくは、膜は正および負に帯電したイオンの拡散に対して等しく抵抗性を有するべきである。このように、膜ポリマーまたは他の付加成分が正または負に帯電したイオンに元々より高い選択性を有しないならば、アニオン性およびカチオン性親油性付加物を実質上当モル濃度で加えることが好ましい。膜ポリマーまたはその他の付加成分が正または負に帯電したイオンに元々より高い選択性を有する場合、アニオン性またはカチオン性親油性付加物の一方のみ又はより多くの適切な付加物を加えることによって、ある程度打ち消したり、または抹消することができる。そのような付加物の例としては、カチオン性塩であるカリウムテトラキス(4-クロロフェニル)ボレート(KtpClPB)およびアニオン性塩であるトリドデシルメチルアンモニウムクロリド(TDMAC)が含まれる。
【0036】
膜は保護ポリマー層中に内包されていてよい。保護層を用いると、妨害物質が選り分けられ、又は、生体適合性が改良される。そのような保護層の例としては、以下に限定するものではないが、親油性ポリウレタンおよびセルロースアセテートが含まれる。
【0037】
吸湿成分は、周辺環境から水分を容易に吸収する。このことにより湿潤性が改善され、それによりコンディショニング時間がより短くなり、これによってより迅速に安定電位が確立されるようになる。そのような物質の例としては、グリセロールおよびソルビトールが含まれる。そのようなポリマーの例としては、親油性ポリウレタン(PU)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルアクリレート(PVA)が含まれる。
【0038】
内部電気接点は、通常、国際特許出願WO01/65247内に開示されているような、適当な金属、金属合金、金属酸化物または金属塩、例えば銀/塩化銀またはナトリウムバナジウムブロンズの平らな薄片である。内部電気接点は、単独でまたは電解質との電解質交流で、安定な電位を提供する。内部電極接点は、所望により、ポリマー、セラミック、ガラスまたはシリコーンウェハのような不活性支持素材上に配置される。これにより、センサーの小型化が可能になる。
【0039】
内部電極は、所望により内部電解質と電解質の交流を有する内部電気接点である。内部電解質は、好ましくは、その平らな表面の少なくとも一方を被覆している。
内部電解質は、塩、典型的には塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)またはギ酸ナトリウムであり、内部電気接点との電解質交流中に入る、内部電極の平らな表面の少なくとも一方に適用される。その他の塩もまた、実質上の等移動性イオンを有する、即ちカチオンおよびアニオンが近似したサイズである限りにおいて、用いることができる。塩のイオンを近似したサイズで選ぶことが好ましく、したがって、該イオンは本発明の膜内では実質的によく似た移動性を有することになる。内部電解質を、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルアクリレート(PVA)のような、親油性ポリマーの保護層中に内包してもよい。また、電解質を、接点に適用する前に、吸湿性要素と混合してもよい。
【0040】
本発明の参照電極は、実質上対象となる全媒体内で、特に生理的流体のような複合媒体内でも、安定である。特に対象となる媒体は、全血清および血しょうのような血液媒体である。その他の対象となる媒体は、尿、脊髄および間質流体ならびに乳汁である。
【0041】
参照電極内で用いられる膜は、当業者らに周知の方法によって作られる。膜を調製する厳密な方法は本発明を制限しない。適当な膜は、n-ブチルアクリレート(nBA)およびメチルメタクリレート(MMA)を、好ましくは約50:50から95:5のモル比率で、より好ましくは80:20程度で、徹底的に混合することによって作られる。重合前に、混合物をバイアルにアリコートする。開始剤を必要とする重合剤を用いる(例えば、ベンゾインメチルエーテル[BME]はUV光を必要とし、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルは熱を必要とする)場合、アリコートする前に重合剤を加える。次に、混合物を、重合を促進させるために充分時間、活性剤に晒す。UV開始剤を必要とする架橋剤の例には、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、過酸化ベンゾイルおよび関連化合物が含まれる。開始剤として熱を必要とする架橋剤の例としては、過酸化ベンゾイルおよび関連化合物が含まれる。重合剤の活性化が必要でない場合、重合剤を加える前に、混合物をアリコートする。次に、架橋ポリマーを、シクロヘキサノンのような有機溶媒またはその他の有機溶媒内で激しくかき混ぜて溶解し、望ましい粘性の溶液を作る。
【0042】
所望により、膜ポリマーを、ポリビニルクロリド、ポリウレタンまたはポリウレタン-シリコーンのような一つ以上の更なるポリマーと様々な比率で混合することもできる。さらに、カリウムテトラキス(4-クロロフェニル)ボレート(KtpClPB)およびトリドデシルメチルアンモニウムクロリド(TDMAC)のような親油性付加物の取り込みも、好ましくは、およそ等モルの濃度で可能である。内部電気接点および所望により電解質を適用した後、内部電極上に複数の層を適用し、各層の適用の合間に溶媒を完全に乾燥させることによって、膜を製造する。膜の厚さは約3μmの好ましい厚さに変えることができる。そのような考えは当業者らに周知である。
【0043】
また、所望により電解質を適用した内部電極上に、使用位置で直接膜を形成させることも可能である。例えば、モノマー混合物を、所望により適当な溶媒内で、望ましい位置に置き、重合される部分に開始剤(例えばUV光)を直接与えることによって重合することができる。代わりに、膜ポリマーを、シート状に重合し、望ましい大きさに切断し、電極内に取り込むこともできる。また、スピンコーティング、インクジェットまたはスクリーンプリンティングのような方法によってポリマーを適用することも可能である。本発明の参照電極をポリマー、セラミック、ガラスまたはシリコンウェハ基板材料のような基板の上に配置してもよい。フォトパターニングは、複数の異なる測定センサーが単一試験片、または本発明のポリマー参照電極を有するセンサーボード内に取り込まれることを可能にする。そのような方法は、当業者らに周知である。例えば、1以上のパラメーターに対して選択性である測定センサーを含むセンサーボードであって、該1以上のパラメーターがpH、pCO2、pO2、Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++、Cl-、HCO3-およびNH4+のような電解質、ヘモグロビン、ヘモグロビン誘導体、ヘマトクリット、ならびに、ビリルビン、グルコース、ラクテート、尿素、血液尿窒素(BUN)、クレアチンまたはクレアチニンのような代謝物からなる群より選択される、該測定センサーを含むセンサーボードを製造できる。
【0044】
本発明の内部電極は、内部電気接点を含む。好ましくは、該内部電気接点はAg/AgClからなるが、前記のようなその他の適当な物質からなってもよい。そのような物質は当業者らに周知である。所望により、KClまたはギ酸ナトリウムのような内部電解質は、内部接点の所望の部分上に電解質溶液を適用することにより、サブメンブレンを形成させるように適用される。その他の電解質の使用も可能であるが、イオンが近似した大きさであることが好ましく、そうすることで膜を通るイオンの移動速度がほぼ同じになる。電解質溶液を適用する前に、グリセロールおよびソルビトールのような吸湿因子を溶液に加えることもできる。電解質溶液の適用後、溶液を蒸発させ、内部接点上の電解質を除去する。電解質溶液の濃度は、用いられる電解質によって変動し得る。典型的には、KClの1〜4M分配溶液を用いる。
【0045】
内部接点上にコートされた電解質を保護し安定化するために、内部電解質を、親水性ポリウレタン(PU)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアクリレート(PVA)または任意のその他の親水性ポリマーの保護層内に内包してもよい。
【0046】
ポリマー参照電極の正確な大きさおよび形状は、取り込まれるセンサーによって決まる。そのような考えは、本発明によって制限されるものではない。
【実施例】
【0047】
実施例1: 参照電極の製造
n-ブチルアクリレート(nBA)、メチルメタクリレート(MMA)を80:20のモル比率で混合する。ベンゾインメチルエーテル(BME)を最終濃度が0.5%になるように溶液に加え、混合物が完全に溶解するまでそれを急速に攪拌する。次に、溶液をガラスシンチレーションバイアル内におおよそ5ml溶液/バイアルで分配した。その後、バイアルを高強度のUVランプ下に約1時間、完全に重合されるまで置いた。次にポリマーをシクロヘキサン内で激しくかき混ぜて溶解して、適当な粘度のコポリマー溶液を作った。所望により、溶液をPVC溶液と混合し、内部電極をコーティングするために用いた。
【0048】
内部電極を、Ag/AgCl接点上にPVA中の1〜4M KCl溶液を適用することによって、製造した。その後、水相を乾燥した。
参照電極を、本発明のポリマー膜の2から3の層でサブメンブレン(内部電極)をコーティングすることによって、作成した。電極は、層の間を完全に乾燥させた。
【0049】
実施例2: ポリマー参照電極の試験・カロメル参照電極との比較
ポリマー参照電極を、市販のカロメル参照電極と比較した。ポリマー参照電極で得られた試験校正溶液から様々な他の試験溶液までのmV示差をカロメル参照電極で得られたデータと比較した。本発明のポリマー参照電極は、一連の試験溶液の繰り返し測定によって、カロメル参照電極と比較して安定であることが分かった。
【0050】
実施例3: ポリマー参照電極の試験・参照電極の実際の適用
ポリマー参照電極を、イオン選択性電極(ISE)と一緒に用いて、全血液および水溶液内の様々なアナライトの濃度を測定した。センサーを数カ月以上にわたって広範な試験にさらした。ポリマー参照電極で照合したISEsの結果は、ABL(登録商標) 77分析装置(ラジオメーター・メディカル・アー・ぺー・エス、デンマーク)において用いられている標準ゲル電極で照合した対照ISEsと良く一致した。このことは、試験した個々のイオン、すなわちNa+、Ca++、K+およびH+(pH)およびpCO2の場合にも妥当した。本発明のポリマー参照電極は、米国国立標準技術局(NIST)微量標準比較法を用いて決定した平均値の2つの標準偏差で、個々のイオンの濃度の範囲にわたって、安定な再現性のある結果を作り出すことが分かった。
【0051】
本発明の例示的実施態様を実施例によって上に説明したが、当業者らは、本発明の範囲および精神から逸脱することなく開示された実施態様に修飾および変更を加えることができ、本発明は添付クレイムによってのみ規定されるべきであることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】異なる試験日に、本発明の参照電極で照合したpH電極の応答を、慣用の参照電極で照合したpH電極と比較して表示したグラフ。
【図2】異なる試験日に、本発明の参照電極で照合したpCO2電極の応答を、慣用の参照電極で照合したpCO2電極と比較して表示したグラフ。
【図3】異なる試験日に、本発明の参照電極で照合したナトリウム(Na+)イオン選択性電極の応答を、慣用の参照電極で照合したNa+イオン選択性電極と比較して表示したグラフ。
【図4】異なる試験日に、本発明の参照電極で照合したカリウム(K+)イオン選択性電極の応答を、慣用の参照電極で照合したK+選択性電極と比較して表示したグラフ。
【図5】異なる試験日に、本発明の参照電極で照合したカルシウム(Ca++)イオン選択性電極の応答を、慣用の参照電極で照合したCa++選択性電極と比較して表示したグラフ。
【図6】本発明の例となる参照電極#1および#2で別々に照合したpH電極の応答を、慣用の参照電極で照合したpH電極である対照(Ctrl)と比較して表示したグラフ。
【図7】本発明の例となる参照電極#1および#2で別々に照合したNa+電極の応答を、慣用の参照電極で照合したNa+電極である対照(Ctrl)と比較して表示したグラフ。
【図8】本発明の例となる参照電極#1および#2で別々に照合したK+電極の応答を、慣用の参照電極で照合したK+電極である対照(Ctrl)と比較して表示したグラフ。
【図9】本発明の例となる参照電極#1および#2で別々に照合したCa++電極の応答を、慣用の参照電極で照合したCa++電極である対照(Ctrl)と比較して表示したグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定電位を有する接点を含む内部電極、及び、約25℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する膜ポリマーを含む膜を含むポリマー参照電極であって、該膜ポリマーがポリマー骨格から吊り下げられた親油性可塑化基を含む、該ポリマー参照電極。
【請求項2】
膜ポリマーのTgが約0℃より低い、請求項1記載のポリマー参照電極。
【請求項3】
膜ポリマーのTgが約−10℃と約−100℃の間、好ましくは約−10℃と約−60℃の間である、請求項2記載のポリマー参照電極。
【請求項4】
親油性可塑化基をC1からC16までのアルキル基、好ましくはC1からC12までのアルキル基、より好ましくはC3からC7までのアルキル基から選択する、請求項1、2または3に記載のポリマー参照電極。
【請求項5】
膜ポリマーのポリマー骨格がポリアクリレート骨格である、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項6】
膜ポリマーが以下の式:
【化1】

(式中、親油性可塑化基R1およびR2は同一または異なっており、C1からC16までのアルキル基、好ましくはC1からC12までのアルキル基から選択され、R3およびR4は同一または異なっており、HおよびCH3から選択される)
のセグメントを含む、請求項5記載のポリマー参照電極。
【請求項7】
親油性可塑化基R1およびR2は同一で、C1からC7までのアルキル基、好ましくはC1からC4までのアルキル基より選択され、R3およびR4も同一で、HおよびCH3より選択される、請求項6記載のポリマー参照電極。
【請求項8】
膜ポリマーが、メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレートおよびペプチルアクリレートからなる群より選択されるモノマーのホモポリマーを含む、請求項6または7に記載のポリマー参照電極。
【請求項9】
親油性可塑化基R1はC1からC3までのアルキル基より選択され、親油性可塑化基R2はC4からC12までのアルキル基、好ましくはC4からC7までのアルキル基より選択され、また、R3およびR4は同一または異なっており、HおよびCH3から選択される、請求項6記載のポリマー参照電極。
【請求項10】
膜ポリマーが、メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレートおよびペプチルアクリレートからなる群より選択される少なくとも2つのモノマーのコポリマーを含む、請求項6又は9のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項11】
膜ポリマーがブチルアクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーである、請求項10記載のポリマー参照電極。
【請求項12】
ブチルアクリレート:メチルメタクリレートのモル比率が約50:50から約95:5の範囲内、好ましくは約80:20である、請求項11記載のポリマー参照電極。
【請求項13】
膜が少なくとも一つの親油性ポリマーまたはポリマー置換基をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項14】
親油性ポリマーまたはポリマー置換基がシリコーンゴム、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリウレタン、ポリビニルクロリドカルボキシル化コポリマー、カルボキシル化ポリビニルクロリド、ポリビニルクロリド-コ-ビニルアセテート-コ-ビニルアルコールおよびその組み合わせからなる群より選択される、請求項13記載のポリマー参照電極。
【請求項15】
膜が少なくとも一つの親油性付加物をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項16】
膜が少なくとも1つのポリマー被覆層によって被覆されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項17】
少なくとも一つのポリマー被覆層が親油性ポリウレタン(PU)および酢酸セルロースからなる群より選択される、請求項16記載のポリマー参照電極。
【請求項18】
内部電極の接点が金属、金属合金、金属酸化物、金属塩またはその組み合わせを含む、請求項1−17のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項19】
接点が銀/塩化銀を含む、請求項18記載のポリマー参照電極。
【請求項20】
接点がナトリウムバナジウムブロンズを含む、請求項18記載のポリマー参照電極。
【請求項21】
内部電極が接点と電解質交流する内部電解質をさらに含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項22】
内部電解質が塩を含み、該塩のカチオン成分およびアニオン成分が近似したサイズである、請求項21記載のポリマー参照電極。
【請求項23】
内部電解質が少なくとも一つの親油性ポリマー内に内包されている、請求項21または22に記載のポリマー参照電極。
【請求項24】
少なくとも一つの親油性ポリマーが、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルアクリレート(PVA)からなる群より選択される、請求項23記載のポリマー参照電極。
【請求項25】
内部電解質が少なくとも一つの吸湿性化合物を含む、請求項21〜24のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項26】
内部電解質が接点の少なくとも一部分を覆っている、請求項21〜25のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項27】
膜には内部電解質が添加されている、請求項21〜26のいずれか一項に記載のポリマー参照電極。
【請求項28】
約25℃より低いガラス転移温度(Tg)を有する膜ポリマーを含むポリマー参照電極に用いる膜であって、該膜ポリマーがポリマー骨格から吊り下げられた親油性可塑化基を含む該膜。
【請求項29】
膜ポリマーのTgが約0℃より低い、請求項28記載の膜。
【請求項30】
膜ポリマーのTgが約−10℃と約−100℃の間、好ましくは約−10℃と約−60℃の間である、請求項29記載の膜。
【請求項31】
親油性可塑化基がC1からC16までのアルキル基、好ましくはC1からC12までのアルキル基、より好ましくはC3からC7までのアルキル基より選択される、請求項28〜30のいずれか1項に記載の膜。
【請求項32】
膜ポリマーのポリマー骨格がポリアクリレート骨格を含む、請求項28〜31のいずれか一項に記載の膜。
【請求項33】
膜ポリマーが以下の式:
【化2】

(式中、親油性可塑化基R1およびR2は同一または異なっており、C1からC16までのアルキル基、好ましくはC1からC12までのアルキル基から選択され、また、R3およびR4は同一または異なっており、HおよびCH3から選択される)
のセグメントを含む、請求項32記載の膜。
【請求項34】
親油性可塑化基R1およびR2は同一でありC1からC7までのアルキル基、好ましくはC1からC4のアルキル基から選択され、また、R3およびR4は同一であり、HおよびCH3から選択される、請求項33記載のポリマー参照電極。
【請求項35】
膜ポリマーが、メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレートおよびへプチルアクリレートからなる群より選択されるモノマーのホモポリマーを含む、請求項33または34に記載の膜。
【請求項36】
親油性可塑化基R1はC1からC3のアルキル基から選択され、親油性可塑化基R2はC4からC12のアルキル基、好ましくはC4からC7のアルキル基から選択され、R3およびR4は同一または異なっており、HおよびCH3から選択される、請求項33記載のポリマー参照電極。
【請求項37】
膜ポリマーが、メタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレートおよびペプチルアクリレートからなる群より選択される少なくとも2つのモノマーのコポリマーを含む、請求項33または36に記載の膜。
【請求項38】
膜ポリマーがブチルアクリレートとメチルメタクリレートのコポリマーである、請求項37記載の膜。
【請求項39】
ブチルアクリレート:メチルメタクリレートのモル比率が約50:50から約95:5の範囲内、好ましくは約80:20である、請求項38記載の膜。
【請求項40】
膜が少なくとも一つの親油性ポリマーまたはポリマー置換基をさらに含む、請求項28〜39のいずれか一項に記載の膜。
【請求項41】
少なくとも一つの親油性ポリマーまたはポリマー置換基がシリコーンゴム、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリウレタン、ポリビニルクロリドカルボキシル化コポリマー、カルボキシル化ポリビニルクロリド、ポリビニルクロリド-コ-ビニルアセテート-コ-ビニルアルコールおよびその組み合わせからなる群より選択される、請求項40記載の膜。
【請求項42】
膜が少なくとも一つの親油性付加物をされに含む、請求項28〜41のいずれか一項に記載の膜。
【請求項43】
膜が内部電解質でドープされている、請求項28〜42のいずれか一項に記載の膜。
【請求項44】
膜が少なくとも一つのポリマー被覆層によって被覆されている、請求項28〜43のいずれか一項に記載の膜。
【請求項45】
少なくとも一つのポリマー被覆層が親油性ポリウレタン(PU)および酢酸セルロースからなる群より選択される、請求項44記載の膜。
【請求項46】
血液のような生体関連流体中の1以上のパラメーターの電位差測定での、請求項1〜27のいずれか一項に記載のポリマー参照電極又は請求項28〜45のいずれか一項に記載のポリマー参照電極用の膜の使用。
【請求項47】
1以上の測定センサーおよび不活性基板上に配置された請求項1〜27のいずれか一項に記載のポリマー参照電極を含むセンサーボード。
【請求項48】
1以上の測定センサーが、pH、pCO2、pO2、Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++、Cl-、HCO3-及びNH4+のような電解質、ヘモグロビン、ヘモグロビン誘導体、ヘマトクリット(Hct)、並びに、ビリルビン、グルコース、ラクテート、尿素、血液尿窒素(BUN)、クレアチン又はクレアチニンのような代謝物質からなる群より選択される1以上のパラメータに対する選択性を有する、請求項47記載のセンサーボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−514903(P2008−514903A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532774(P2007−532774)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000607
【国際公開番号】WO2006/032284
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(500554782)ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス (20)
【出願人】(507094681)センデックス・メディカル・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】