説明

ポリマー安定剤の成形方法

【課題】煩雑な温度調整を必要としない、より簡便なポリマー安定剤の成形方法が求められている。
【解決手段】式(1)


(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で示される化合物を圧縮成形する工程を含むポリマー安定剤の成形方法。
本発明によれば、ポリマー安定剤を簡便に成形できる。また、本発明のポリマー安定剤成形物は、熱可塑性ポリマーの加工安定性を一層向上させ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー安定剤の成形方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー安定剤の成形方法としては、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレートを溶融する工程と、得られた溶融物をその融点以下にて固化させる工程と、得られた固化物を先の固化温度より高く融点以下の温度雰囲気下で加熱する工程とを含む方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−144138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の成形方法は煩雑な温度調整が必要であり、より簡便な成形方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、ポリマー安定剤の簡便な成形方法を見出し、以下の[1]〜[7]記載の発明に至った。
[1]式(1)

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で示される化合物を圧縮成形する工程を含むポリマー安定剤の成形方法。
[2]式(1)

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で示される化合物を圧縮成形する工程を含むポリマー安定剤成形物の製造方法。
[3]式(1)で表される化合物が、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート又は2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレートである[2]記載の製造方法。
[4]式(1)

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で示される化合物を圧縮成形して得られるポリマー安定剤成形物。
[5]式(1)で表される化合物が、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート又は2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレートである[4]記載のポリマー安定剤成形物。
[6]形状が、フレーク状である[4]又は[5]記載のポリマー安定剤成形物。
[7][4]〜[6]のいずれか一項記載のポリマー安定剤成形物の、熱可塑性ポリマーへの使用。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ポリマー安定剤を簡便に成形できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
<式(1)で示される化合物(以下、化合物(1)と記すことがある)>
化合物(1)において、式中のR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表す。R及びRとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、t−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など炭素数1〜8のアルキル基、例えば、フェニル基などの炭素数6〜12のアリール基、例えば、ベンジル基などの炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。
【0009】
好ましくは、t−ブチル基やt−ペンチル基等の3級炭素を有するアルキル基が挙げられ、より好ましくはt−ペンチル基である。
【0010】
は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基を挙げることができる。好ましいRとしては、水素原子又はメチル基である。
【0011】
は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。
【0012】
化合物(1)としては、例えば、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル メタクリレート、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルベンジル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、2,4−ジ−t−ブチル−6−〔1−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニル アクリレート、2,4−ジ−t−ブチル−6−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル アクリレート、2,4−ジ−t−ブチル−6−〔1−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニル メタクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−〔1−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エチル〕−4−メチルフェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル メタクリレート、2−t−ブチル−6−〔1−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピル〕−4−メチルフェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−エチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−エチルフェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−〔1−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)エチル〕−4−プロピルフェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−〔1−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)エチル〕−4−イソプロピルフェニル アクリレート等が例示される。
好ましくは、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2,4−ジ−t−ブチル−6−〔1−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−〔1−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エチル〕−4−メチルフェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−〔1−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピル〕−4−メチルフェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−〔1−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−プロピルフェニル)エチル〕−4−プロピルフェニル アクリレート、2−t−ブチル−6−〔1−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)エチル〕−4−イソプロピルフェニル アクリレートが挙げられる。
より好ましくは2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート又は2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレートである。
【0013】
2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレートは、スミライザーGS(F)(登録商標、住友化学製)として市販され、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレートは、スミライザーGM(登録商標、住友化学製)として市販されている。
【0014】
<成形方法>
本発明の成形方法及び成形品の製造方法は、いずれも化合物(1)を圧縮成形する工程を含む。さらに、得られた成形物を適当な大きさに破砕する工程や、成形する工程を含んでいてもよい。
【0015】
本発明における化合物(1)の圧縮成形は、後述する化合物(1)以外の添加剤を必要に応じて添加して行ってもよい。
【0016】
圧縮成形は、乾式であっても湿式であってもよいが、乾式が好ましい。乾式の圧縮成形は、例えば、ブリケットマシン、単発打錠機、ロータリー式打錠機、プレス式成形機等の圧縮成形機を用いて実施することができる。
【0017】
圧縮成形における操作圧力は、圧縮成形機の種類によって異なる。例えば、ブリケットマシンを用いる場合、1t/cm〜15t/cmが好ましく、1t/cm〜10t/cmがより好ましい。例えば、単発打錠機を用いる場合、1kN〜55kNが好ましく、20kN〜55kNがより好ましい。例えば、ロータリー式打錠機を用いる場合、1kN〜60kNが好ましく、5kN〜50kNがより好ましい。例えば、プレス式成形機を用いる場合、1MPa〜80MPaが好ましく、2MPa〜40MPaがより好ましい。
【0018】
圧縮成形は、0〜80℃の温度で実施することが好ましく、10〜70℃の温度で実施することがより好ましい。
【0019】
<ポリマー安定剤成形物>
化合物(1)の圧縮成形により得られる本発明のポリマー安定剤成形物は、好ましくは化合物(1)を60〜100重量%含有する。より好ましくは化合物(1)を70〜100重量%、さらに好ましくは化合物(1)を80〜100重量%含有する。化合物(1)としては、異なる複数種の化合物(1)を併用してもよい。
【0020】
本発明のポリマー安定剤成形物は、化合物(1)以外の添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、顔料、無機充填剤等が挙げられる。これらの添加剤の具体例としては、特開2010−43175号公報に記載されているものが挙げられる。ポリマー安定剤に含まれるこれらの添加剤の量は、好ましくは0〜40重量%、より好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0〜20重量%である。
【0021】
本発明のポリマー安定剤成形物の形状は、例えば、フレーク状、板状、棒状、円板状、略球状、略半球状等である。好ましくは、フレーク状である。
【0022】
JIS K7365に準拠して求められる本発明のポリマー安定剤成形物の嵩密度は、好ましくは0.1g/mL〜1g/mL、より好ましくは0.2g/mL〜0.8g/mLである。また、JIS K0069に準拠して求められる本発明のポリマー安定剤成形物の粒子径分布としては、0.5mm〜2.36mmの粒子径のものが、全体の30%以上であることが好ましく、全体の60%以上であることがより好ましい。
【0023】
<ポリマー安定剤成形物の熱可塑性ポリマーへの使用>
本発明のポリマー安定剤成形物の熱可塑性ポリマーへの使用は、例えば、熱可塑性ポリマーにポリマー安定剤成形物を溶融混練することにより実施する。これにより、熱可塑性ポリマーの加工安定性を向上させることができる。
【0024】
熱可塑性ポリマーとしては、ポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)など)、ポリプロピレン系樹脂(結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体など)、メチルペンテンポリマー、ポリスチレン系樹脂(ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)などのポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、特殊アクリルゴム−アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体など)、ポリブタジエン系樹脂(ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、BRもしくはSBRもしくはSBSで改質した耐衝撃性ポリスチレン(HI−PS)など)、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル樹脂(たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などが挙げられ、成形加工性の良さから、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂及びポリブタジエン系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂及びポリブタジエン系樹脂がより好ましい。
【0025】
本発明のポリマー安定剤成形物は、通常、熱可塑性ポリマー100重量部に対して2重量部以下配合させればよく、具体的には、0.01重量部以上、2重量部以下、好ましくは0.01重量部以上、1重量部以下配合させればよい。2重量部以下であると熱可塑性ポリマー組成物表面に安定剤が現れる、いわゆる、ブリード現象が抑制される傾向があることから好ましい。
【実施例】
【0026】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、部及び%は、特に説明がない限り、重量基準を意味する。
【0027】
以下の実施例及び比較例において、化合物(1)として、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート(以下、化合物(1−1)と記載することがある)を使用した。
【0028】
製造例
温度計、撹拌機および冷却管を備えた4つ口フラスコに、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ペンチルフェノール)494.8g(1.0モル)、アクリル酸72.1g(1.0モル)、n−ヘプタン400gおよびトリエチルアミン212.5g(2.1モル)を仕込み、容器内を窒素置換した後、撹拌しながらオキシ塩化リン107.3g(0.7モル)を滴下した。滴下終了後80℃で1時間保温し、次に水500gを仕込み、60℃で水洗、分液した。油層部分の水洗と分液を中性になるまで繰り返し、油層を5℃まで撹拌冷却して、結晶を析出させた。同温度においてさらに撹拌を実施し、結晶を析出させた後、結晶をろ別し、冷n−ヘプタンで洗浄、減圧乾燥して結晶性粉末状の化合物(1−1)235.6gを得た。
【0029】
実施例1
製造例で得た結晶性粉末状の化合物(1−1)0.5gをアルミ板に挟み、プレス式成形機である油圧プレス機(関西ロール株式会社製、DEW5040型)を圧縮成形機として用いて、25〜30℃、9.8MPaの条件で10秒間プレスした。得られた成形物を破砕してフレーク状(嵩密度:0.51g/mL、粒子径分布:0.5mm〜2.36mmの粒子径のものが、全体の62%)の本発明のポリマー安定剤成形物を得た。
【0030】
比較例1
製造例で得た結晶性粉末状の化合物(1−1)を、容器内で140℃まで加熱撹拌して溶融させた後、化合物(1−1)の溶融物を25℃に調整されたアルミ板上に滴下して50℃以下になるまで冷却して、固化物を得た。該固化物を約25℃で1.5時間保持後、110℃の乾燥器内で5分間再加熱を行なった。乾燥器から取り出し、再度25℃で冷却することで、粒径3.3mm、高さ2mmの略半球状の2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレートを得た。
【0031】
実施例2
熱可塑性ポリマーとして電気化学製スチレン−ブタジエンブロック共重合体100部と、実施例1で得たポリマー安定剤成形物0.3部とをドライブレンドした後、得られた樹脂組成物を、スクリュー径30mmの単軸押出機(田辺プラスチック社製、VS30−28型押出機)を用いて230℃、スクリュー回転数50rpmで混練押出して得られたストランドをペレタイザーで切断して熱可塑性ポリマー組成物のペレットを得た。
【0032】
比較例2
実施例2において、実施例1で得たポリマー安定剤成形物に替えて、比較例1で得た略半球状の2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート0.3部を用いる以外は、実施例2と同様にして熱可塑性ポリマー組成物のペレットを得た。
【0033】
試験例1(加工安定性試験)
実施例2及び比較例2でそれぞれ得たペレットについて、押出加工時の運転時の加工性評価として滞留MFR試験を実施した。試験は、JIS K 7210に準拠し、メルトインデクサ(L217−E14011、テクノ・セブン社製)のシリンダー内を270℃にし、該シリンダー内に熱可塑性ポリマー組成物を充填させて荷重2.16kgでのMFRを測定し、次いで、該シリンダー内に熱可塑性ポリマー組成物を30分滞留させた後に荷重2.16kgでのMFRを測定することにより実施した。結果を表1に示す。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体の場合、30分滞留後MFR値が大きい方が加工性が良い。
【0034】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、ポリマー安定剤を簡便に成形できる。また、本発明のポリマー安定剤成形物は、熱可塑性ポリマーの加工安定性を一層向上させ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で示される化合物を圧縮成形する工程を含むポリマー安定剤の成形方法。
【請求項2】
式(1)

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で示される化合物を圧縮成形する工程を含むポリマー安定剤成形物の製造方法。
【請求項3】
式(1)で表される化合物が、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート又は2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレートである請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
式(1)

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で示される化合物を圧縮成形して得られるポリマー安定剤成形物。
【請求項5】
式(1)で表される化合物が、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート又は2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレートである請求項4記載のポリマー安定剤成形物。
【請求項6】
形状が、フレーク状である請求項6又は7記載のポリマー安定剤成形物。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項記載のポリマー安定剤成形物の、熱可塑性ポリマーへの使用。

【公開番号】特開2012−97137(P2012−97137A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243439(P2010−243439)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】