説明

ポリマー膜を有する燃料電池のためのバイポーラ・プレート

燃料電池のための分配プレート。当該分配プレートは、内側面と、イオン交換膜と協働するようになされている外側面(11o)とを有する導電性材料から作られる第1のプレート(11)を具備し、その外側面(11o)は第1のガスのための分配チャネル(111)のネットワークを有している。当該分配プレートは更に、外側面と、第1のプレート(11)の内側面に押圧されるようになされている内側面(12i)とを有する導電性材料から作られる第2のプレート(12)を有している。冷却剤の循環のためのチャネル(122)のネットワークは、第1のプレート(11)の内側面及び第2のプレート(12)の内側面(12i)の何れか一方または両方に設けられ、前記第1および第2のプレートは、前記第1および第2のプレートの各々の内側面を覆う導電性結合材料(2)の均一な層によって結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン交換ポリマー膜を有する燃料電池に関する。詳述するならば、本発明は、このような燃料電池において使用される流体を分配するための分配プレート、例えば、電気化学電池の各々と、様々な電気化学電池の積層体の両側に配置されているエンドプレートとの間に設置されるバイポーラ・プレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池において使用されるバイポーラ・プレートは、2つの非常に異なる機能を果たしている。燃料電池には、燃料ガスと酸化剤ガス、即ち水素と空気又は純粋な酸素とが供給されなければならないことと、そして、燃料電池が冷却されなければならない即ち水のような冷却剤を燃料電池に通さなければならないことが知られている。バイポーラ・プレートの機能の内の1つは、燃料電池の動作のために必要とされるこれらの様々な流体を通すことである。バイポーラ・プレートは更に、電気的な機能を果たす、即ち、互いに隣接する電気化学電池のアノードとカソードとの間を電気的に接続する。実際、燃料電池は通常、直列に組立てられた非常に多数の基本電気化学電池から成り、それら基本電気化学電池は直列に接続されており、そして、燃料電池の公称電圧は各基本電気化学電池の電圧の合計となっている。
【0003】
これらの様々な機能、即ち、流体を輸送することと、電気を通すこととにより、バイポーラ・プレートを製造するために使用される材料が満たさなければならない仕様が決定される。使用される材料は、非常に高い導電率を有しなければならない。使用される材料は更に、使用される流体に対して不透過性でなければならず且つそれらの流体に対して非常に大きい化学的安定性を有していなければならない。
【0004】
更に、バイポーラ・プレートは、非常に多数の基本電気化学電池及び付属のバイポーラ・プレートを並べて、エンドプレートの間に締付け棒部材によって圧縮されて組立体の状態を保持する十分に高い機械的性質を有しなければならない。バイポーラ・プレートは、この圧縮に耐えられる十分に高い機械的性質を有しなければならない。グラファイトは高い導電率と使用される流体に対する高い化学的不活性とを兼ね備えているので、普通グラファイトが使用される。国際特許出願公開公報WO2005/006472号は、このようなバイポーラ・プレートの1つの可能な実施例を開示している。その特許出願に開示されているバイポーラ・プレートは、適当な可撓性のあるグラファイト材料から作られたシートを間に挟んだ2枚の比較的剛性のあるグラファイト・プレートからなって、様々な層に対する厚さの許容製造誤差にも対応できるようになっている。グラファイト・プレートは、燃料ガスと酸化剤ガスすなわち水素と空気又は純粋な酸素を分配するために必要なチャネルのネットワークを有しており、そのチャネル・ネットワークは更に、水のような冷却剤を各バイポーラ・プレートを通って流すこともできる。
【0005】
あいにく、グラファイト・バイポーラ・プレートの機械的な構造に使用されている剛性の構成要素は、特に燃料電池が組立てられる時の取り扱い中の衝撃に対して非常に脆い。一方、上述した可撓性グラファイト材料でできた層は更に、工業的な状況においての取り扱いが特に難しい。これらは全て、バイポーラ・プレートの製造費用を相当増大させる。
【0006】
米国特許第6,379,476号は、パッシベーション処理されたフィルムで表面が被覆されると共に、表面から突出するカーバイド含有物を有するステンレス鋼でできたバイポーラ・プレートをつくることを提案している。その特許の出願人によれば、提案された製造物は、バイポーラ・プレートがその製造物から作れるように接触電気抵抗が十分に低くなければならない。しかし、この解決策は、特に機械的性質に関して、全てがグラファイトでできたバイポーラ・プレートに勝る2、3の利点を有することが可能であるにもかかわらず、実施するには複雑であり、そして、特に燃料電池において非常に高いパワー密度を達成したい場合、抵抗率が余りに高い。
【0007】
他の特許出願は、非金属材料例えばプラスチックでできたバイポーラ・プレートをつくることを提案している。その理由は、これらの材料の多くが、使用されるガス及び冷却剤による化学的な攻撃に対して非常に安定であるためである。そのような他の特許出願の1つの例は、国際特許出願公開公報WO2006/100029号である。
【0008】
米国特許出願公開公報第US2005/0100771号は、導電性金属の極薄層で被覆されている中心導電性領域を有する金属基材によって各々形成されている2つのプレートを電気化学的に接触させて形成された燃料電池のためのバイポーラ・プレートを開示している。このような被覆を作ることはバイポーラ・プレートのコストを増大させる。
【0009】
米国特許出願公開公報第US2003/0228512号および米国特許出願公開公報第US2005/0252892号は、2つのプレートから形成された燃料電池のためのバイポーラ・プレートを開示しており、各プレートは中心導電性領域を有する金属基材によって形成され、その導電性領域は導電性金属の極薄層、および、これらの間に挟まれた第3の分離プレートで被覆されている。この場合も、このような被覆の製造はバイポーラ・プレートのコストを増大させ、提案された構造をさらに複雑にする。
【0010】
そして、欧州特許出願公開公報第0955686号がある。この場合も、2つの錫被覆ステンレス鋼プレートを電気化学的に接触させて形成された、燃料電池のためのバイポーラ・プレートが開示されている。上述したように、このような被覆の製造はバイポーラ・プレートのコストを増大させ、そして、得られる電気的接触は燃料電池を形成する要素の積層の品質及びその経時変化によって大きく異なる。
【0011】
バイポーラ・プレートとしての金属プレートの使用は、グラファイト・プレートに勝る多くの利点を有する。強調したい主な利点は、プレートの厚さを減少することができ且つプレートのひび割れの問題を回避できる金属のより大きい機械抵抗である。
【0012】
一方で、金属プレート、特にステンレス鋼から作られるものはグラファイト・プレートより高い電気的接触抵抗を有している。従って、得られる性能はグラファイト・プレート又はプラスチック材料から作られる基材を有するプレートの場合より低く、導電性要素を付加することによって電気的導電性がもたらせている。ステンレス鋼から作られるバイポーラ・プレートの場合は、下記の電気的接触で電気抵抗損が発生する:
ガス拡散層(GDL)と金属プレート自体との間、
冷却回路を含むように並べた2つの金属プレートの間。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許出願公開公報WO2005/006472号
【特許文献2】米国特許第6,379,476号
【特許文献3】国際特許出願公開公報WO2006/100029号
【特許文献4】米国特許出願公開公報第US2005/0100771号
【特許文献5】米国特許出願公開公報第US2003/0228512号
【特許文献6】米国特許出願公開公報第US2005/0252892号
【特許文献7】欧州特許出願公開公報第0955686号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、可能な限り製造し易く、燃料電池の重さ及び寸法に比較して非常に高いパワーの出力レベルを達成でき、自動車に燃料電池を相当容易に使用できるように冷却剤で特に冷却可能である、バイポーラ・プレート又はエンドプレートのための構成を提供することである。本発明の目的は、上述した2つの接触のうちの2番目における電気的な損失の問題を回避しながら、金属バイポーラ・プレートをその優れた強度によって改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、燃料電池のための分配プレートを提案する。この分配プレートは第1のプレートと第2のプレートとを重ね合わせて構成され、第1のプレートは導電性材料から作られ、且つ内側面とイオン交換膜と協働するようになされている外側面とを有しており、その外側面は第1のガスのための分配チャネルのネットワークを有しており、分配プレートの第2のプレートは、導電性材料から作られ、且つ外側面と第1のプレートの内側面に押圧されるようになされている内側面とを有しており、冷却剤の循環のためのチャネルのネットワークは、第1のプレートの内側面及び第2のプレートの内側面の何れか一方または両方に設けられ、少なくとも第1及び第2のプレートの内側面は表面被覆を有しておらず、それらプレートは導電性結合材料層によって結合され、その導電性結合材料層は第1及び第2プレートのそれぞれの内側面に設けられている。第1プレートと第2プレートとを接合する適切な技術には、好ましくは高温での蝋付けがある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、当然、バイポーラ・プレート、すなわち一方の側が燃料電池の基本電気化学電池のアノードを形成しもう一方の側が隣接の基本電気化学電池のカソードを形成するプレートに適用される。しかし、本発明は更に、エンドプレートにも適用される。実際、冷却剤を循環するためのチャネルの内部ネットワークを有する分配プレートを製造したいときはいつでも、本発明は適用される。以下においては、第2のプレートの外側面がイオン交換膜と協働し且つガスのための分配チャネルのネットワークを含むバイポーラ・プレートのみを説明するが、これに限定されるものではない。
【0017】
好ましくは、第1及び第2のプレートに使用される導電性材料は金属材料から作られている。第1及び第2プレートの間の導電性結合材料の層の場合は、第1及び第2プレートの各々の内側面の全部又は一部を被覆するシートを用いて鑞付けし、この鑞付けは優れた電気的接触を提供し、更に別の利点、すなわち、冷却回路と外との間に、更に、冷却回路と一つまたは複数のガス回路との間に、最適な気密性を確保するという利点を有する。
【0018】
本発明は更に、燃料電池のための鋼製の分配プレートを製造する方法を提供する。その分配プレートは、内側面と、イオン交換膜と協働するようになされている外側面とを有する導電性材料から作られる第1のプレートを具備し、当該分配プレートは更に、外側面と、第1のプレートの内側面に押圧されるようになされている内側面とを有する導電性材料から作られる第2のプレートを有しており、冷却剤の循環のためのチャネルのネットワークは、第1のプレートの内側面及び第2のプレートの内側面の何れか一方または両方に設けられる。前記第1及び第2のプレートとの間に導電性結合材料のシートを挟んでこれらを重ね合わせ、前記第1及び第2のプレートを互いに対して押圧した状態を保持しながら、得られた組立体を結合材料の溶融温度に加熱し、組立体を放冷し、そして、プレートを保持する圧力を解放し、前記分配プレートを得る。
【0019】
本発明は、化学的に不活性である、すなわち、少なくとも表面が、より詳しくは少なくとも使用流体と接触する表面が使用流体に対して化学的に不活性な材料であるステンレス鋼の使用を可能にする。実際、材料の表面が、水素、酸素、改質水又はチャネル内を輸送される他の物質によって攻撃を受けないことが非常に重要であり、特に、動作中の燃料電池において過酷な条件に晒されても材料の表面が不活性であることが非常に重要である。
【0020】
以下、バイポーラ・プレートを詳細に説明する。当然、上述したように、本発明は、バイポーラ・プレートに限定されるものではなく、基本燃料電池の積層体の両端に配置される分配プレートも含むものである。
本発明は、添付図面に図示した実施例の詳細な説明により良く理解される筈である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のバイポーラ・プレートの様々な構成要素を図示している分解部品配列図である。
【図2】本発明のバイポーラ・プレートの様々な構成要素を別の視角から図示している分解部品配列図である。
【図3】組立てた状態での本発明のバイポーラ・プレートを示している斜視図である。
【図4】組立てた状態での本発明のバイポーラ・プレートを別の視角から見た斜視図である。
【図5】本発明のバイポーラ・プレートの外側面の一つの立面図である。
【図6】図5の線A−Aを通る断面図である。
【図7】図6の円Bで特定される部分の拡大図である。
【図8】本発明による分配プレートを使用する燃料電池の基本電気化学電池を図示している。
【実施例】
【0022】
第1のプレート11及び第2のプレート12を組立てて形成されるバイポーラ・プレート1の構成要素を図1および図2に示す。組み立てたときのバイポーラ・プレート1は図3および図4で見られる。
【0023】
第1のプレート11と、第2のプレート12は、一方の端に、比較的大きい横断面積の3つの開口31、32及び33を有し、反対側の端にも、比較的大きい横断面積の3つの開口34、35及び36を有している。全ての開口31は、1つのプレート11から別のプレート12に一致するように整合されている。同様に、他の開口32、33、34、35及び36も全て、1つのプレート11から別のプレート12に一致するように整合されている。開口31及び33は、ガスのうちの1つをそれぞれ輸送するための流路を形成している。開口31及び33の内の一方(例えば31)は水素を輸送し、他方(例えば33)は、酸素を輸送する。開口34及び36は、ガスのうちの1つをそれぞれ戻すための流路を形成している。開口34及び36の内の一方(34)は、燃料電池で消費されなかった水素を戻し、他方(36)は、燃料電池で消費されなかった酸素を戻す。開口32は全て、冷却剤を輸送する流路を形成しており、開口35は全て、燃料電池の温度を制御するために使用された冷却剤を戻す流路を形成している。
【0024】
第1のプレート11の面のうちの一方の面11oは、第1のプレート11の有効部分の全体に、燃料電池によって消費される2つのガスのうちの一方を分配するためにレイアウトされている第1の分配チャネル111を有している。その第1の分配チャネル111は、第1のプレート11の厚さを貫通しているオリフィス111aから始まり、第1のプレート11を貫通するオリフィス111bで終わっている。
【0025】
第2のプレート12の面12iのうちの一方の面は、第2のプレート12の有効部分の全体に、燃料電池の温度を制御するために使用される冷却剤を分配するためにレイアウトされている内部分配チャネル122を有している。冷却剤は液体または空気にすることができる。後者の場合は、流体通過断面積は通常、より大きくしなければならない。
オリフィス111aは、面12iに形成されたチャネル部分111cの端部と一致するように整合されている。オリフィス111bは、同様に、面12iに形成されたチャネル部分111dの端部と一致するように整合されている。これらのチャネル部分111c及び111dの各々は、開口31及び34に連通している。かかる構成により、第1の分配チャネル111及び問題の流路との間の連通が実現されている。
【0026】
これらの面のうちの、図2に見ることができる他方の面12oには、第2の分配チャネル121が形成されており、その第2の分配チャネル121は分配チャネル111と同様であり、第2のプレート12の有効部分の全体に、燃料電池によって消費される2つのガスのうちの他方を分配するためにレイアウトされている。第2のプレート12の開口33及び36は共に、面12iに形成されているチャネル121c及びチャネル121dにそれぞれ連通している。チャネル部分121c及び121dの各々は、第2のチャネル121を問題の流路と連通するために、第2のプレート12の厚さを貫通するオリフィス121a及び121bで終端している。
【0027】
以下では、第1プレートと第2プレートとを永久的に結合させるための鑞付けを考察する。分配プレートにとって有利な一つの材料はステンレス鋼である。鑞付けには、ニッケルまたは銅(純ニッケルまたは銅、好ましくは純銅、純とは、当業者に周知なように、問題の元素を99%以上含む、すなわち銅ベースの合金またはニッケルベースの合金を意味することは理解できよう)を用いるのが有利である。単なる例として、以下の合金が挙げられる:Cu−P(約95%銅、残余は燐)、Ni−P(89%Ni及び11%P)、Ni−Cr−Si(71%Ni、19%Cr及び10%Si)、Ni−B−Cr−Fe−Si(74%Ni、3%B、14%Cr、4.5%Fe及び4.5%Si)。
【0028】
鑞付け材料はペースト状または好ましくはシート状で用いる。鑞付けシートは第1及び第2プレートの寸法に切断する。第1プレート11と第2プレート12との間に鑞付けシート2を挟んで組立体を製造する。この鑞付けシートの厚さは、鑞付けによって一方で第1及び第2プレート間の非常に均一な電気的接触が提供され、他方で冷却剤の効果的な循環を妨げずに、完全気密性を保証するように選択される。このシートの典型的な(本発明を限定するものではないが)厚さは約100分の1ミリメートルである。第1及び第2プレートの内側面11i及び12iは表面被覆を有していないことを想起されたい。
【0029】
この組立体を少なくとも鑞付け金属の溶融温度まで加熱する。典型的には、この温度は全ての鑞付けシートが確実に液相に変化するように約10〜20℃高くする。正確な温度は鑞付け用に選択される材料に依存することは明らかである。冷却した後に、バイポーラ・プレート1が得られる。そのバイポーラ・プレート1は、一方の面にチャネル111例えばアノードガス回路を、他方の面にチャネル121例えばカソードガス回路を有し、組立て後では見えないプレートの間には冷却剤回路用のチャネル122を具備している。
【0030】
好ましくは、得られる組立体を不活性ガス雰囲気(例えば窒素)中で、材料の溶融温度を下回る温度レベル(例えば純銅を用いた鑞付けでは約800℃)まで加熱する。そして、温度を、純銅を用いた鑞付けでは約1100℃まで、上げ続けるために真空を形成する。この場合も、好ましくは、結合材料の溶融温度を超えるまで温度を上げる段階の後に、組立体を材料の溶融温度を下回る温度レベル(例えば、温度を上げる時と同じ温度レベル)まで真空中で放冷し、不活性ガス雰囲気(例えば窒素)中で冷却を続ける。
【0031】
このようにして組み立てられたプレートの間の電気的接触は優れている。しかも、バイポーラ・プレート自体の内側、すなわち、2つの分配プレート11および12の間にシールを設ける必要がない。バイポーラ・プレートとイオン交換膜との間のシール8のみが必要である。図5、6及び7はこのようなシールのレイアウトを示している。特に、図7の拡大図は断面におけるこのようなシールの配置を示している。
【0032】
本発明によるバイポーラ・プレートは、電気化学電池を形成している要素と組み合わせられることを意図している。図8は2つの同一のバイポーラ・プレート1Aおよび1Bと組み合わせられる電気化学電池9を示している。基本電気化学電池9は、(本発明を決して限定するものではないが)現在では、5つの層、すなわち、イオン交換ポリマー膜91と、電気化学反応が生じるために必要な例えば白金のような化学元素でできた2つの電極92(図面には一方のみが見える)と、バイポーラ・プレートのチャネルのネットワークによって運ばれるガスがイオン交換膜の全表面にわたって均一に拡散されることを確保するための2つのガス拡散層93(図面には一方のみが見える)を重ね合わせて通常形成されていることが知られている。
【0033】
開口31、32、33、34、35及び36も同様に、ポリマー膜91に形成され且つ分配プレートの開口に一致するように整合されている。バイポーラ・プレートの面11o及び12oの各々は隣接する電気化学電池9の拡散層のうちの1つと協働することができる。多数の電気化学電池9が、バイポーラ・プレート1を挟んで重ねられ、単純な(非バイポーラ)分配プレートが各端に置かれて、燃料電池を形成する。
【0034】
従って、本発明の結果として、燃料電池のために動作応力を伝達するだけでなくバイポーラ・プレートの製造を自動化できるのに十分な機械的性質を有する材料を、個々のプレートの各々の基本構成要素材料として選択可能である。実際に、この種のオートメーションはプロセス・ロボットによる処理を想定しており、この処理が、基板の構成要素材料の強固さのために、殆ど予防措置を必要としない場合には、自動製造の実施は、正に、より単純になり、より強化されそしてより費用効率が高くなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプレート(11)と第2のプレート(12)とを重ね合わせて構成された燃料電池のための分配プレート(1)であって、前記第1のプレート(11)は、導電性材料から作られ、且つ内側面(11i)と、イオン交換膜と協働するようになされている外側面(11o)とを有しており、その外側面(11o)は第1のガスのための分配チャネル(111)のネットワークを有しており、前記第2のプレート(12)は、導電性材料から作られ、且つ外側面(12o)と、前記第1のプレート(11)の内側面(11i)に押圧されるようになされている内側面(12i)とを有しており、冷却剤の循環のためのチャネル(122)のネットワークは、前記第1のプレート(11)の内側面(11i)及び前記第2のプレート(12)の内側面(12i)の何れか一方または両方に設けられ、少なくとも前記第1及び第2のプレートのそれぞれの内側面(11i及び12i)は表面被覆を有しておらず、前記第1及び第2のプレートは導電性の結合材料(2)の層によって結合され、前記結合材料層は、前記第1及び第2プレートのそれぞれの内側面に設けられている、ことを特徴とする燃料電池のための分配プレート(1)。
【請求項2】
前記第2プレート(12)の外側面(12o)はイオン交換膜と協働するようになされており且つ第2のガスのための分配チャネル(121)のネットワークを含むバイポーラ・プレートを形成する、請求項1に記載の分配プレート。
【請求項3】
前記第1及び第2のプレートは金属材料から作られている、請求項1又は2に記載の分配プレート。
【請求項4】
前記第1及び第2のプレートはステンレス鋼から作られている、請求項3に記載の分配プレート。
【請求項5】
前記結合材料は、銅ベースの合金とニッケルベースの合金とからなるグループから選択された合金である、請求項1から3の何れか1項に記載の分配プレート。
【請求項6】
前記結合材料は、純銅と純ニッケルとからなるグループから選択される、請求項1から3の何れか1項に記載の分配プレート。
【請求項7】
燃料電池のための鋼製の分配プレートの製造方法であって、前記分配プレートは、内側面(11i)と、イオン交換膜と協働するようになされている外側面(11o)とを有する導電性材料から作られる第1のプレート(11)を具備し、前記分配プレートは更に、外側面(12o)と、第1のプレート(11)の内側面(11i)に押圧されるようになされている内側面(12i)とを有する導電性材料から作られる第2のプレート(12)を具備しており、冷却剤の循環のためのチャネル(122)のネットワークは、前記第1のプレート(11)の内側面(11i)及び前記第2のプレート(12)の内側面(12i)の何れか一方または両方に設けられ、前記第1及び第2のプレートとの間に導電性の結合材料のシート(2)を挟んでこれらを重ね合わせ、前記第1及び第2のプレートを互いに対して押圧した状態を保持しながら、得られた組立体を前記結合材料の溶融温度をわずかに超える温度に加熱し、その後、当該組立体を放冷し、そして、前記第1及び第2のプレートを保持する圧力を解放して分配プレートを得ることを特徴とする分配プレートの製造方法。
【請求項8】
前記第1及び第2のプレートはステンレス鋼から作られている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
結合材料は銅ベースの合金である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
結合材料は純銅から作られている、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
得られた組立体を不活性ガス雰囲気中で、前記結合材料の溶融温度を下回る温度レベルまで加熱し、真空を形成して温度を上げ続ける、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記結合材料の溶融温度を超えるまで温度を上げる段階の後に、前記組立体を前記結合材料の溶融温度を下回る温度レベルまで真空中で放冷し、そして、不活性ガス雰囲気中で冷却を続ける、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−516027(P2010−516027A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545104(P2009−545104)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011407
【国際公開番号】WO2008/083836
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(599140471)ソシエテ ドゥ テクノロジー ミシュラン (96)
【出願人】(597011441)ミシュラン ルシェルシェ エ テクニク ソシエテ アノニム (94)
【Fターム(参考)】