説明

ポリマー/WUCSマット及びその製造方法

誘電乾燥した強化繊維の束と結合繊維で形成されるチョップドストランドマットを提供する。強化繊維を約10〜約500のバンドルテックスを有するウェット強化繊維の束として形成しうる。強化繊維を約2.54〜約3.81cm(約1〜約1.5インチ)の単一チョップ長又は約1.27〜約5.08cm(約1/2〜2インチ)の複数チョップ長の繊維で形成しうる。結合材料は、強化繊維の融点より低い融点を有するいずれの熱可塑性又は熱可塑性材料でもよい。ウェット強化繊維を誘電乾燥させ、強化繊維と結合繊維をブレンドし、強化繊維と結合繊維を結合してチョップドストランドマットを形成し、マットを圧縮し、マットを冷却し、かつマットを連続ロールに巻き取ることによって、チョップドストランドマットを製造することができる。チョップドストランドマットは、結合材料と乾燥した強化繊維の束との均一又はほとんど均一の分布を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野及び産業上の利用可能性〕
本発明は、一般的に強化複合製品に関し、さらに詳しくは、誘電乾燥した強化繊維の束と結合材料で形成されるチョップドストランドマットに関する。該チョップドストランドマットの製造方法をも提供する。
【0002】
〔発明の背景〕
ガラス繊維は種々の技術で有用である。例えば、一般的にガラス繊維をポリマーマトリックス中の強化材として用いて、ガラス繊維強化プラスチック又は複合物を形成する。連続又はチョップドフィラメント、ストランド、ロービング、織布、不織布、メッシュ、及びスクリムの形態でガラス繊維を用いてポリマーを強化している。ガラス繊維強化ポリマー複合物が非強化ポリマーに比べて高い機械的性質を有することは技術上周知である。従って、ガラス繊維強化複合物によって、より良い寸法安定性、引張り強さと引張り係数、曲げ強さと曲げ弾性率、衝撃抵抗、及びクリープ抵抗を達成することができる。
典型的に、ブッシング又はオリフィスプレートを通じて溶融ガラスを引いてフィラメントにし、このフィラメントに、潤滑剤、カップリング剤、及び膜形成結合樹脂を含有するサイジング組成物を適用することによってガラス繊維を形成する。水性サイジング組成物は繊維をフィラメント間摩耗から保護し、ガラス繊維と、該ガラス繊維を使用する予定のマトリックスとの間の適合性を向上させる。該サイジング組成物の適用後、繊維を集めて1又は2以上のストランドとし、パッケージ中に巻き取ることができ、或いは湿式で収集しながら切断してもよい。次に、収集したチョップドストランドを乾燥かつ硬化させて乾燥チョップド繊維を形成するか、又はその湿って状態でウェットチョップド繊維としてパッケージングすることができる。
不織繊維強化の一形態である繊維マットは、多種の合成プラスチック複合材の強化用として非常に好適である。ドライチョップドガラス繊維ストランド(DUCS)は、熱可塑性物品の強化材料として一般的に使用される。これらドライチョップドガラス繊維は容易に通常の機械に供給することができ、ドライレイド(dry-laid)法等の常法で簡便に利用できる。従来のドライレイド法では、ドライガラス繊維を切断し、コンベヤー又はスクリーン上でエアブローし、固めてマットを形成する。例えば、ドライチョップド繊維とポリマー繊維を空中で懸濁させ、スクリーン又は穴あきドラム上でルーズウェブとして集めてから固めてランダムに配向したマットを形成する。
ウェットチョップド繊維は、通常ウェットレイド法で使用され、この方法では、界面活性剤、粘度改良剤、消泡剤、又は他の化学薬剤を含みうる水スラリーにウェットチョップド繊維を分散させる。チョップドガラス繊維をスラリー中に導入したらすぐに、繊維が分散するように、該スラリーを撹拌する。繊維を含有するスラリーを移動スクリーン上に堆積させ、実質的部分の水を除去してウェブを形成する。次に、バインダーを適用し、結果として生じたマットを乾燥させて残りの水を除去し、バインダーを硬化させる。形成される不織マットは、分散した個々のガラスフィラメントの集合である。
【0003】
ドライレイド法は、高い多孔性マットの製造に特に適し、結果のマットが種々の液体又は樹脂が迅速に浸透できるようなオープン構造が望ましい場合に適する。しかし、このような従来のドライレイド法は、特に従来のウェットレイド法で形成されるマットと比較した場合、マットの表面領域全体に均一でない重量分布を有するマットを生成する傾向がある。さらに、ドライチョップド繊維の使用は、ドライチョップド繊維は通常、切断する前に別の工程で乾燥してパッケージングするので、ウェットレイド法で使用するウェットチョップド繊維より加工費用がかかり得る。
複合部品の形成における特定の強化用途のためには、マットがオープンな多孔性構造(ドライレイド法におけるような)を含み、かつ均一重量(ウェットレイド法におけるような)を有する繊維マットを形成することが望ましい。しかし、従来のウェットチョップド繊維を従来のドライレイド法で使用することはできない。例えば、ウェットチョップド繊維は塊になるか又は相互に及び/又は加工装置にくっつく傾向があり、製造装置をだめにし、製造ライン止まらせることになるだろう。さらに、従来のドライレイド法は、典型的に空気流を利用してドライチョップドストランドを移動スクリーン又は有孔コンベヤーに送達する。繊維が良く分散しているマットを得るために十分制御して空気流中でウェットチョップド繊維を分散させることはできない。
ガラス繊維ストランドを巻取機で集めながら、又はインラインプロセスの間に乾燥させてガラス繊維の取扱いと引き続く加工の均一性を改良する試みが為されている。このような乾燥の試みは、ガラスストランド及び/又はチョップドガラス繊維を乾燥させるための高周波誘電システムの使用を含んでおり、いくつかの例について以下に述べる。
【0004】
Roscherに対する米国特許第3,619,252号は、ガラス繊維を水性エラストマー組成物で被覆するか又は前記組成物を含浸させてから該ガラス繊維を高周波電気加熱で乾燥させて実質的にすべての水を除去しながら、該エラストマー固体は実質的に変化しない方法を開示している。
Kallenbornに対する米国特許第3,619,538号は、高周波電気加熱、例えば誘電加熱を利用して、水性エラストマー浸液で湿っているか又は飽和している複数の被覆ガラス繊維ストランドを乾燥させるための方法と装置を開示している。
Nakazawaらに対する米国特許第4,840,755号は、高密度を有する緻密チョップドストランドを製造するための方法と装置を開示している。チョップドストランドの下側から施される加熱空気によって、又はチョップドストランドが搬送プレートに沿って移動しながら高周波加熱によって、チョップドストランドを乾燥させる。
Bloughらに対する米国特許第6,148,641号は、チョッピングアセンブリーから乾燥チャンバー中に放出された湿ったチョップドストランドの直接堆積による連続的な繊維ストランドの供給から乾燥したチョップドストランドを製造するための装置と方法を開示している。乾燥チャンバーは、当業者に公知のいずれの連続型又はバッチ型乾燥器でもよく、例えば、電気、ガス、紫外線、誘電、又は流動床乾燥器でよい。
上記に鑑み、強化複合部品の製造で使用でき、かつウェットチョップドストランドを利用する実質的に均一の重量分布と、オープンな多孔性構造を有する不織マットを製造するための費用効果があり、かつ効率的な方法が要望されている。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、強化繊維の束と結合材料とで形成される低ロフト(low-loft)の不織チョップドストランドマットを提供することである。強化繊維の好適な例として、ガラス繊維、ウールガラス繊維、天然繊維、及びセラミック繊維が挙げられる。強化繊維は、総繊維の質量の約60〜約90質量%の量でチョップドストランドマット中に存在しうる。強化繊維の束は、約10〜約500のバンドルテックス(baudle tex)を有することが好ましい。好ましい実施形態では、強化繊維は、誘電乾燥オーブンを用いて実質的に乾燥させたウェットユースチョップドストランドガラス繊維のようなウェット強化繊維である。結合材料は、該強化繊維より低い融点を有するいずれの熱可塑性又は熱硬化性材料でもよい。
また、本発明は、低ロフトの不織チョップドストランドマットの製造方法を提供することである。チョップドストランドマットの製造では、ウェット強化繊維(ウェットユースチョップドストランドガラス繊維のような)の束を、ウェット強化繊維を誘電オーブンに通して高周波数の交番電界がウェット強化繊維を乾燥又は実質的に乾燥させるように誘電乾燥させる。乾燥した強化繊維の束を第1繊維移動システムで形成フード内に供給する。第2繊維移動システムが熱可塑性結合材料を形成フード内に供給する。これら繊維移動システムを相互に連結して、結合材料と強化繊維の比率を調和させることができる。乾燥した強化繊維と結合材料を形成フード内で高速空気流によって一緒にブレンドする。乾燥した強化繊維と結合材料の混合物を形成フード内で下方に引き、バキューム又は空気吸引システムを用いて移動搬送装置上に引いてランダムであるが、実質的に一様に分散している、乾燥した強化繊維の束と結合繊維のシートを形成する。次に、該シートを熱結合システムに通して、乾燥した強化繊維と結合材料を結合し、チョップドストランドマットを形成する。チョップドストランドマットを圧縮システムに通して、チョップドストランドマットを圧縮し、好ましくは約1.59〜約12.7mm(約1/16〜約1/2インチ)の厚さにすることができる。チョップドストランドマットを冷却システムに通すことによってさらに加工してから巻取装置で貯蔵用連続ロールにチョップドストランドマットを巻き取ることができる。
【0006】
本発明のさらなる目的は、結合材料としてポリマーマットを利用する、低ロフトの不織チョップドストランドの製造方法を提供することである。例えば誘電オーブン内で誘電乾燥させたウェット強化繊維を第1遷移移動システムによって形成フード内に堆積させる。好ましくは、約10〜約500のバンドルテックスを有する強化繊維の束としてウェット強化繊維を形成する。乾燥した強化繊維を、形成フード内で生成される高速空気流によって懸濁させる。搬送装置上に第1ポリマーを配置し、形成フード内に導入する。乾燥強化繊維を下方に引いて第1ポリマーマット上に堆積させる。結果のマットは、その上に乾燥したウェット繊維の束の実質的に均一の分布を有する。次に、ポリマー/ガラスマットを熱結合システムに通して、乾燥した強化繊維の少なくとも一部と、第1ポリマーマットを形成するポリマー材料とを結合することができる。任意に、乾燥した強化繊維の束の層上に第2ポリマーマットを配置して、第1ポリマーマットと第2ポリマーマットの間に乾燥した強化繊維の束をサンドイッチすることができる。所望用途によって、第1及び第2ポリマーマットを同じポリマーで形成してもよく、或いは異なるポリマーで形成してもよい。
【0007】
誘電乾燥したウェットチョップドガラス繊維の使用により、現在ドライレイド法で使用されている従来の低テックスのローブド繊維製品よりコスト利益を得ることが本発明の利点である。結果として、誘電乾燥したウェットチョップドガラス繊維の使用は、より低コストでチョップドストランドマットを製造することができる。
本発明の別の利点は、ウェット強化繊維の誘電乾燥が、ウェット強化繊維は低い正味の繊維温度で迅速に乾燥しうるので、強化繊維から水を除去する経済的なウェット方法を提供することである。さらに、ウェット強化繊維の誘電乾燥は、繊維と繊維の凝集力を高め、束と束の接着力を低減する。
本発明のさらなる利点は、誘電乾燥を通じて、より低温でウェット強化繊維から水を除去する際に、ガラス繊維上の表面化学の化学反応が減少しうることである。
本発明のなおさらなる利点は、誘電オーブンの使用により、繊維撹拌という能動的な方法なしでウェット強化繊維を乾燥させうることである。この撹拌がないことは、従来の流動床及びトレイ乾燥オーブン内では、該乾燥オーブン内の高い気流速度及び該床内の繊維材料の機械的運動のために通常見られる繊維の摩耗を排除する。さらに、撹拌がないことは、繊維の束を維持する能力を大いに高める。
誘電オーブンが熱乾燥プロセス装置の使用の結果通常生じるガラスの脱色を減らすことも本発明の利点である。
本発明の上記及び他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明を考慮することによってさらに明らかになるだろう。
しかし、図面は説明目的のためであり、本発明の限界を定義するものと考えるべきでないことを明確に理解すべきである。
この発明の利点は、本発明の以下の詳細な開示を考慮することによって、特に添付図面と関連して解釈すると、明らかになるだろう。
【0008】
〔発明の詳細な説明及び好ましい実施態様〕
特に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実施又は試験では、本明細書で述べるものと同様又は均等ないずれの方法及び材料も使用できるが、本明細書では好ましい方法と材料について述べる。本明細書で引用するすべての参考文献は、公開され又は対応する米国若しくは外国の特許出願、発行された米国若しくは外国の特許、又は他のいずれの参考文献も含め、その引用文献で提供されたすべてのデータ、表、図、及び本文といったその全体がそれぞれ参考文献として組み込まれる。
図面中、線、層、及び領域の厚さは明瞭さのため拡大されていることがある。図面全体を通じて同様の符号は同様の要素を示すことに注意すべきである。用語“トップ”、“ボトム”、“サイド”等は、本明細書では説明目的のためだけに使用される。ある要素が別の要素の“上”にある、又は“に隣接して”若しくは“と向かい合って”いると表されている場合、該要素は、直接別の要素の上にあり、また隣接若しくは向かい合っていてもよく、或いは介在要素が存在し得ることが分かるだろう。ある要素が別の要素の“上方”にあると表されている場合、該要素は、直接別の要素の上方にあってもよく、或いは介在要素が存在し得ることも分かるだろう。用語“強化繊維(reinforcing fiber)”と“強化繊維(reinforcement fiber)”は本明細書では相互交換可能に使用される。用語“結合繊維”と“結合材料”も相互交換可能に使用される。さらに、用語“シート”と“マット”も本明細書では相互交換可能に使用されうる。
【0009】
本発明は、強化繊維の束と有機結合繊維で形成されるチョップドストランドマットに関する。本チョップドストランドマットは、低ロフトの不織マットであり、例えば、複合品、射出成形、引出し成形プロセス、構造樹脂射出成形、開放型樹脂システム、閉鎖型樹脂システム、ポリマーギプス強化材、ポリマーコンクリート強化材、圧縮成形、樹脂移送成形、及び真空注入プロセスにおける強化材として使用しうる。
強化繊維は、良い構造品質を与えるのに適したいずれの種類の有機、無機、又は天然繊維でもよい。適切な強化繊維の好ましい例として、ガラス繊維、ウールガラス繊維、天然繊維、及びセラミック繊維が挙げられる。チョップドストランドマットが全体的に1種類の強化繊維(ガラス繊維のような)で形成されてよく、或いはチョップドストランドマットの形成に1種類より多くの強化繊維を用いてもよい。本発明と関連して使用する場合、用語“天然繊維”は、植物のいずれの部分から抽出される植物繊維をも指し、植物の部分としては、限定するものではないが、幹、種、葉、根、又は靭皮が挙げられる。好ましくは、強化繊維はガラス繊維である。
強化繊維は、個々の長さが約1.27〜約5.08cm(約1/2〜約2インチ)、好ましくは約1.91〜約1.27cm(約3/4〜約1/2インチ)の長さを有するチョップド繊維でよい。さらに、強化繊維は約2.54〜約3.81cm(約1〜約1.5インチ)の単一チョップ長又は約1.27〜約5.08cm(約1/2〜約2インチ)の範囲の複数チョップ長の繊維で形成されうる。強化繊維は約10〜約22ミクロン、好ましくは約12〜約16ミクロン、さらに好ましくは約11〜約12ミクロンの直径を有し得る。強化繊維が約10〜約500、好ましくは約20〜約400、さらに好ましくは約30〜約100のバンドルテックスを有する強化繊維の束として形成されることが好ましい。好適なチョップドストランド束の例を図1に示す。図1に示されるチョップドストランド束70は、上述したような別個の所望の長さ74と所望の直径76を有する個々のフィラメント72で形成されている。
【0010】
理論に拘泥されたくないが、各束のテックスが十分な量に達すると、繊維が、結合材料によって一緒に保持された繊維の“粘着性物質”の集合を形成すると考えられる。強化繊維のこれらの高テックス束から形成されたチョップドストランドマットは、特に従来の高ロフトのエアレイド(air-laid)マット製品に比し、樹脂内で迅速濡れ、かつ相対的に薄い低ロフトのチョップドストランドマットをもたらすだろう。さらに、例ロフトの束化チョップドガラス繊維マットは、繊維の軸に沿って一緒に詰まった繊維で形成され、チョップドガラスマットのガラス含量を増やすことができる。本発明のチョップドストランドマットのような複合マットでは、機械的性能及び衝撃性能はガラス含量に比例する。本チョップドストランドマットは高いガラス含量を有するので、特に、分散した繊維と制限されたガラス含量(例えば、約20〜約30%のガラス)を有する従来の高ロフトのドライレイドマット製品に比し、最終製品の機械的性能及び衝撃性能を高めることができる。
強化繊維は、本チョップドストランドマット内で相互に変化する長さと直径を有してよく、総繊維の約60〜約90質量%の量で存在し得る。好ましくは、強化繊維は、チョップドストランドマット中に約80〜約90質量%の量で存在する。最も好ましい実施形態では、強化繊維は約90質量%の量で存在する。
【0011】
結合材料は、強化繊維の融点未満の融点を有するいずれの熱可塑性又は熱硬化性材料でもよい。本チョップドストランドマットで使うのに適した熱可塑性及び熱硬化性材料の非限定例として、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維、ポリ塩化ビニル(PVC)繊維、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル(EVA/VC)繊維、低級アルキルアクリレートポリマー繊維、アクリロニトリルポリマー繊維、部分的に加水分解したポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニルピロリドン繊維、スチレンアクリレート繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、レーヨン、ナイロン、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂が挙げられる。結合材料は、チョップドストランドマット中に、総繊維の約10〜約40質量%、好ましくは約10〜約20質量%の量で存在し得る。最も好ましい実施形態では、結合材料はチョップドストランドマット中に約10質量%の量で存在する。
さらに、例えば、マレイン酸又はアクリル酸などの酸でカルボキシル化することによって、酸性基で結合材料を官能化してよく、或いは無水酸基又は酢酸ビニルを添加して結合繊維を官能化することができる。結合材料は、ポリマー繊維の形態というよりはむしろ、フレーク、顆粒、樹脂、又は粉末の形態でもよい。
結合材料は、多成分繊維、例えば二成分ポリマー繊維、三成分ポリマー繊維、又はプラスチック被覆鉱物繊維、例えば熱硬化性被覆ガラス繊維の形態でもよい。二成分繊維は、芯鞘型(sheath-core)、並列型(side-by-side)、海島型(islands-in-the-sea)、又は分割パイ型(segmented-pie)配列で配置される。好ましくは、二成分繊維は芯鞘型配列で形成され、この配列では、第2ポリマー繊維で形成された芯を実質的に取り囲んで、第1ポリマー繊維で鞘が形成される。鞘繊維が芯繊維全体を取り囲んでいる必要はない。第1ポリマー繊維は、第2ポリマー繊維の融点より低い融点を有するので、これら二成分を第1ポリマー繊維(鞘繊維)の融点より高く、第2ポリマー繊維(芯繊維)の融点より低い温度に加熱すると、第1ポリマー繊維は軟化又は融解するが、第2ポリマー繊維は元のままだろう。この第1ポリマー繊維(鞘繊維)の軟化が第1ポリマー繊維を粘着性にして第1ポリマー繊維自体及び他の繊維に結合させ、最密に近接しうる。
【0012】
ドライレイド法、例えば技術上周知のいずれの従来のドライレイド法によってもチョップドストランドマットを形成することができる。好ましい実施形態では、チョップドストランドマットを形成するために使用する強化繊維は、誘電乾燥オーブンを用いて実質的に乾燥させたウェット強化繊維である。本明細書では、“実質的に乾燥した”という表現は、ウェット強化繊維が乾燥又はほとんど乾燥していること示す意である。好ましい実施形態では、ウェット強化繊維はウェットユースのチョップドストランドガラス繊維(WUCS)である。強化繊維として使うウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は、技術上周知の通常の方法で形成される。ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は、5〜30%の含水率を有することが望ましい。ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維が約5〜約15%の含水率を有することがさらに好ましい。
誘電乾燥したウェットユースのチョップドストランドガラス繊維の使用は、現在ドライレイド法で使用されている通常の低テックス粗紡(roved)繊維製品(例えばロービング)を超える経済的利益を提供する。例えば、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は粗紡繊維より製造コストが安価である。粗紡繊維は、製造プロセスで使用できる繊維を得るために巻き取り、乾燥、クリール(creel)負荷、巻き戻し、及び切断などの多数の製造工程が必要だからである。誘電乾燥したウェットユースのチョップドストランドガラス繊維を使用すると、より低コストでチョップドストランドマットを製造できる。さらに、ロービングを乾燥させるとき、ガラス繊維上のサイズがパッケージの外側に移行する傾向があり、ロービングパッケージ全体のサイズの不均一な分布をもたらす。ロービングパッケージの外側は通常除去され、廃棄物として捨てられる。本発明のチョップドストランドマットはサイズの移行をもたらさず、結果として、生じる廃棄物の量を減らす。
【0013】
誘電乾燥した強化繊維を用いてチョップドストランドマットを製造する典型例は、一般的に図2に示される。図2に示される方法はウェット強化繊維を誘電乾燥させる工程(10)、乾燥した強化繊維と結合材料をブレンドする工程(20)、強化繊維と結合材料を結合する工程(30)、チョップドストランドマットを圧縮する工程(40)、チョップドストランドマットを冷却する工程(50)、及びマットを連続ロールに巻き取る工程(60)を含む。
本発明の典型的な実施形態によるチョップドストランドマットの形成と貯蔵は図3に示される。図3に示されるように、ウェット強化繊維100を誘電オーブン110中に導入する。好ましくは、これらウェット強化繊維は束で存在する。誘電オーブン110は、間隔を置いて並べられた電極を含み、連続的に反対に荷電した電極間に高周波数の交番電界を生じさせる。ウェット強化繊維は電極間を通り、電界を通過し、ここで、高周波数の交番電界が作用して水分子を励起させ、強化繊維内の水を蒸発させるのに十分なレベルに水分子のエネルギーを高める。
誘電オーブン110に留まる強化繊維が実質的に乾燥し、かつ非粘着性となるように、電子の活性化の量と誘電オーブン110内の滞留時間を制御する。強化繊維が実質的に乾燥していると、電力の閉ループフィードバックによって乾燥の持続時間を制御しうる。典型的な実施形態では、約70%より多いフリーな水(強化繊維の外部にある水)を除去する。しかし、好ましくは、誘電オーブン110によって実質的にすべての水を除去する。本明細書で使用する場合、“実質的にすべての水”という表現は、すべて又はほとんどすべてのフリーな水を除去すること表す意であることに留意されたい。
誘電オーブン110は低い正味の繊維温度で迅速にウェット強化繊維100を乾燥させ得る。正味の繊維温度は、ガラス繊維を被覆するサイズの化学に左右され、順次、意図した用途によって決まる。従って、誘電オーブン110は、ウェット強化繊維100から水を除去する経済的方法を提供する。さらに、ウェット強化繊維の束の誘電乾燥は、繊維と繊維の凝集力を増強し、束と束の接着力を減らす。誘電エネルギーは、チョップド繊維のウェット束に一様に浸透し、水を迅速に蒸発させて、ウェットガラス束を相互に離れたままにするのを助ける。さらに、チョップド繊維上のサイズの誘電乾燥は、その後の審美的に魅力的な最終製品を形成するための加工工程(例えばチョップドストランドマットの成形)の際にチョップドストランドマット中の束をフィリメントする(filimentizing)のも助ける。誘電乾燥はサイズを軽く硬化させるので、フィリメント化(filimentation)さえ起こり得る。
より低温でウェット強化繊維から水を除去することによって、表面化学(例えば、サイズ)の化学反応が減少し得る。サイジング組成物は、繊維の用途によって、種々の成分を含有し得る。一例として、エポキシ樹脂系との適合性を与えるためにガラス繊維に適用するサイズではエポキシ膜形成剤を利用し得る。従来のドライレイド法では、従来の熱乾燥プロセスで典型的な長い乾燥時間と高温のため、サイズ組成物中の膜形成剤内のすべて又はほとんどすべてのエポキシ官能基が反応する。しかし、ガラス繊維上のサイズをより低温かつより短時間で誘電乾燥させることによって、活性なエポキシ官能基はガラス上のサイズ中に包埋されたままである。さらに、サイズを乾燥させるために必要な誘電オーブンのより低い温度とより短い乾燥時間は、一般的に熱乾燥プロセス装置の使用に起因するガラスの脱色が低減する。
誘電オーブン110は、通常ウェット繊維から水分を除去するために必要な繊維の撹拌という活発な方法を用いないでウェット強化繊維100を乾燥することができる。この撹拌がないことは、従来の流動床及びトレイ乾燥オーブンでは、オーブン内の高速の空気流及び床内の繊維材料の機械的運動のため一般的に見られるような繊維の摩擦又は摩耗を低減又は排除する。さらに、撹拌がないことは、誘電オーブン110は束中に繊維を維持する能力を大いに高め、かつ攻撃的な従来の熱プロセスにおけるように繊維ストランドをフィラメント化しない。
【0014】
乾燥した強化繊維(例えばWUCS繊維)が誘電オーブン110から離れたら、それらを第1繊維移動システム120によって形成フード300に供給する。本明細書では、用語“乾燥した強化繊維”は、すべてのフリーな水を除去したか又はほとんどすべてのフリーな水を除去した強化繊維を表す意である。第1繊維移動システム120は、乾燥した繊維(図示せず)を制御された速度で形成フード300中に供給するいずれの種類のロス-イン-ウェイト若しくは連続重量供給又は分配装置でもよい。
典型的に繊維のベイル(bale)の形態で存在する結合材料200をオープニングシステム210中に供給し、結合材料200を少なくとも部分的に広げ、及び/又はフィラメント化(個別化)する。オープニングシステム210は、好ましくはベイルオープナーであるが、結合材料200のベイルをを広げるのに適したいずれのタイプのオープナーでもい。オープナーのデザインは、広げる繊維のタイプと物理的性質によって決まる。本発明で使うために適したオープナーには、いずれの従来の標準タイプのベイルオープナーも含まれ、秤量装置を備えたものと備えていないものが挙げられる。秤量装置は、部分的に広げられた繊維をそれらがベイルオープナーを通過するときに連続的に秤量して次の加工工程に進む繊維の量をモニターするために役立つ。オープニングシステム210を出た結合材料200は、次に、該結合材料200を形成フード300に供給する第2繊維移動システム220中に供給される。繊維移動システム120を繊維移動システム220に連結して、結合材料と強化繊維の比率を調和させることができる。
【0015】
結合繊維がフレーク、顆粒、又は粉末の形態である代替実施形態では、オープニングシステム210と第2繊維移動システム220を該フレーク、粉末、又は顆粒を形成フード300に分配して、これら樹脂製材料を乾燥した強化繊維(図示せず)と形成フード300内で混合させるのに適した装置と置き換えることができる。当業者は、好適な分配装置を容易に同定するだろう。
乾燥した強化繊維の束と結合繊維200を形成フード300内で一緒にブレンドする。形成フード300の典型的な実施形態は図4に示される。好ましい実施形態では、ファン(例えば、バースターファン)等によって形成フード300内で生成した高速気流内で繊維をブレンドする。空気流内で、乾燥した強化繊維の束と結合繊維200をできる限り均一に分布させることが望ましい。形成フード300を出る、乾燥した強化繊維と結合繊維200の比を、繊維が第1及び第2繊維移動システム120、220を通過する重量供給率によって制御することができる。例えば、第1及び第2繊維移動システム120、220を通過する繊維の制御は、ロスインウェイト振動フィーダー、例えば振動パン又は重量ベルトによって達成される。図4に示される典型的な実施形態では、繊維移動システム120、220は、それぞれ分配ユニット125、225と振動フィーダー130、230の組合せである。空気流内に存在する乾燥した強化繊維の結合繊維200に対する比はそれぞれ乾燥した強化繊維:結合繊維200が好ましくは90:10〜60:40である。
形成フード300内でバキューム又は空気吸引システム320を用いて、乾燥した強化繊維と結合材料200の混合物を下方かつ移動搬送装置310上に引いて、ランダムであるが、実質的に均一に分布している乾燥した強化繊維の束と結合材料200のシートを形成する。搬送装置310は当業者が認める適切ないずれのコンベヤー(例えば、有孔コンベヤー)でもよい。次に、シートを熱結合システム400に通して、乾燥した強化繊維の束と結合繊維200を結合することができる。熱的結合工程では、結合繊維200の熱可塑性を用いて、加熱によって乾燥した強化繊維との結合を形成する。シートは、所望の比と重量分布で、乾燥した強化繊維と結合繊維210の実質的に均一な分布を含む。繊維の均一又は実質的に均一な分布は、チョップドストランドマット450に改良された強度のみならず、改良された音響特性及び熱特性を与える。本明細書では、“繊維の実質的に均一な分布”及び“実質的に一様に分布した繊維”という表現は、繊維が均一又は一様に分布し、或いはほとんど均一又は一様に分布していることを表す意である。
熱結合システム400では、シートを結合材料200の融点より高いが、乾燥した強化繊維の融点より低い温度に加熱する。強化繊維200として二成分繊維を使用する場合、熱結合システム400における温度を、鞘繊維の融点より高いが、強化繊維の融点より低い温度に上げる。結合繊維200をその融点より高い温度、又は結合繊維200が二成分繊維の場合鞘繊維の融点より高い温度に加熱すると、結合繊維200(又は鞘繊維)が接着性になって、結合繊維200と乾燥した強化繊維の束とを結合する。結合繊維200が完全に融解すると、その融解した繊維は乾燥した強化繊維の束を封入し得る。熱結合システム400内の温度が強化繊維及び/又は芯繊維の融点ほどに上昇しない限り、これら繊維は熱結合システム400及びチョップドストランドマット450内で繊維形態のままだろう。
熱結合システム400には、技術上周知のいずれの加熱及び結合法も含まれ、例えばオーブン結合、赤外線加熱、熱カレンダー法、ベルトカレンダー法、超音波結合、マイクロ波加熱、及び加熱ドラムが挙げられる。任意に、これら結合法の2種以上を組み合わせて用いてシート中の繊維を結合してもよい。熱結合システム400の温度は使用する結合繊維200の融点及びシート内に二成分繊維が存在するか否かによって変化する。しかし、熱結合システム内の温度は、約200〜約350℃でよい。熱結合システム400から出てくるチョップドストランドマット450は、結合繊維200と乾燥した強化繊維の束の均一又はほとんど均一な分布を含む。
チョップドストランドマット450は、圧縮システム500に通してよく、ここでマットは好ましくは約0.158〜約1.27cm(約1/16〜約1/2インチ)の厚さに圧縮される。圧縮システムは一連のローラー又は単一の圧縮ロールセットでよい。圧縮ロールは、ギャップ制御システムを含む1セットのクロムコートロールを含み、該ロール全体に循環する冷却水で約10〜約21℃(約50〜約70°F)の範囲の温度で表面を維持し得る。
チョップドストランドマット450を冷却システム600に通してもよい。冷却システムは、コンベヤーと、コンベヤーを動かすための駆動装置、例えばモーターを含み得る。ブロワー装置(図示せず)をコンベヤーの下に配置してチョップドストランドマット450を貫いて、例えばトップからボトムまで吸引力を生成して空気を引くことができる。好ましくは周囲温度で空気を引いて、空気を用いてチョップドストランドマット450の温度を室温に操縦する。或いは、冷却コイル(図示せず)を通じて空気を引いて空気の温度を下げてチョップドストランドマット450に及ぼす冷却効果を高めることができる。次に巻取装置700を用いて、後で使うための貯蔵用連続ロール(図示せず)上にチョップドストランドマット450を巻き取ることができる。本発明では、従来のいずれの巻取装置も適する。チョップドストランドマット450、及び後述するガラスポリマーマットは、多くの非構造音響用途、例えば家庭用電気器具、オフィスのスクリーンと仕切り、天井用タイル、建築用パネル、及び半構造用途、例えば、ヘッドライナー、フードライナー、フロアライナー、トリムパネル、小荷物棚、日除け、器械のパネル構造、ドアインナー、又はレジャー用自動車の壁パネル若しくは屋根パネルで利用される。
【0016】
これとは別の実施形態(図示せず)では、上述したように誘電乾燥させたウェット強化繊維を形成フード300内に、例えば第1繊維移動システム120を用いて堆積させ、形成フード300内で生成した高速空気流で懸濁させる。好ましくは、10〜500のバンドルテックスの束としてウェット強化繊維を形成する。ウェット強化繊維100の束を誘電オーブン110又は電界を生じさせる他の装置に通してウェット繊維を乾燥させる。次に、乾燥したウェット強化繊維の束を形成フード300に移してよい。第1ポリマーマット(図示せず)を搬送装置310上に置き、入口350で形成フード300内に導入する(図4に示される)。第1ポリマーマットは、ランダムに配向したポリマー繊維のマットでよい。適切なポリマー繊維として、限定するものではないが、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維、ポリ塩化ビニル(PVC)繊維、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル(EVA/VC)繊維、低級アルキルアクリレートポリマー繊維、アクリロニトリルポリマー繊維、部分的に加水分解したポリビニルアセテート繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニルピロリドン繊維、スチレンアクリレート繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、レーヨン、ナイロン、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂が挙げられる。
乾燥したウェット強化繊維の束を、バキューム又は他のタイプの吸引装置を用いて下方に引いて第1ポリマーマット上に堆積させる。結果のポリマーマットは、その上に、乾燥したウェット強化繊維の束の実質的に一様な分布を有する。次に、該ポリマー/ガラスマットを熱結合システム400に通して、乾燥した強化繊維の束と、第1ポリマーマットを形成するポリマー材料とを結合することができる。熱結合システム400内の温度は可変であり、ポリマーマットを形成するポリマー成分によって決まる。この温度は、ポリマーマット中のポリマー材料を少なくとも部分的に融かし、かつ乾燥したウェット強化繊維とポリマー材料を結合してポリマー/ガラスマットを形成するのに十分高い温度である。次に、このポリマー/ガラスマットを上述したように圧縮し、冷却し、巻く。
第2ポリマーマット(図示せず)を、乾燥したウェット強化繊維の束が第1ポリマーマットと第2ポリマーマットの間に挟まれるように、乾燥したウェット強化繊維の束の層上に配置することができる。第1及び第2ポリマーマットを同じポリマーで形成してよく、或いは異なるポリマーで形成してもよく、それは所望用途によって決まる。上述したように、第2ポリマーマットを熱結合によって強化繊維に貼り付けてもよい。
この発明を一般的に述べたが、以下に示す特定の実施例を参照すると本発明をさらに理解できる。これら実施例は説明の目的のためだけに提供するものであり、特に断らない限りすべて包括的又は限定的であることを意図しない。
【実施例】
【0017】
実施例1−束の統合性
表1のサイジング組成物を混合し、円筒型アプリケーターロールで13μmの繊維に32kg(70ポンド)/時間のガラスブッシング処理能力にて2052チップの先端プレートで塗布した。
【0018】
【表1】

【0019】
ガラスストランドを16分割して約40テックスのストランドテックスを得た。ストランドをCB 73チョッパーで3.175cm(1.25インチ)の長さに切断し、プラスチックタブ中に堆積させた。次に、該チョップドストランドをPSC漂遊磁界RF(誘電)オーブン内で約15%の含水率から約0%の含水率に約14kg(約30lb)/時間にて乾燥させた。得られた束の集団は容易に個々の繊維束に分割(破壊)された。含水率を0.5質量%未満であると判定した。
約300gの束を手で“プレフォーマー”(プレフォームと呼ばれるガラスマットを作るために使用する大量の空気の下向き通風のある閉鎖ボックス)中に移した。この量は約0.3kg/m2(約1オンス/平方フィート)の面密度を与えるのに十分だった。E-240-8マット結合剤(AOCから入手可能な下塗り粉末熱硬化性ポリエステル結合剤と過酸化ベンゾイル触媒)を手でマット上にまいた。マットを10分間232℃(450°F)の押込空気オーブンに移した。マットを取り出して冷却した。このマットは束の優れた統合性と強度を示すことが判った。
【0020】
実施例2−誘電乾燥及びエアレイドマット
表2のサイジング組成物を混合し、円筒型アプリケーターロールで16μmの繊維に32kg(70ポンド)/時間のガラスブッシング処理能力にて2052チップの先端プレートで塗布した。
【0021】
【表2】

【0022】
ガラスストランドを16分割して約70テックスのストランドテックスを得た。ストランドをCB 73チョッパーで3.175cm(1.25インチ)の長さに切断した。このチョップド繊維をプラスチックタブ中に堆積させ、PSC漂遊磁界RF(誘電)オーブン内で約15%の含水率から約0%の含水率に約14kg(約30lb)/時間にて乾燥させた。得られた束の集団は容易に個々の束に破壊された。含水率が0.5質量%であると判定した。束をプラスチックバッグの中に置いた。次に、バッグを裏返して、どれだけよく繊維の束が相互に分散しているか、また、どれだけよく該束が相互に通り越えて流動しているかを判定した。目視検査により、個々の束が非常に容易に流動し、かつよく分散していると判定した。
約300gの束を手で“プレフォーマー”(プレフォームと呼ばれるガラスマットを作るために使用する大量の空気の下向き通風のある閉鎖ボックス)中に移した。この量は約0.3kg/m2(約1オンス/平方フィート)の面密度を与えるのに十分だった。E-240-8マット結合剤(AOCから入手可能な下塗り粉末熱硬化性ポリエステル結合剤と過酸化ベンゾイル触媒)を手でマット上にまいた。マットを10分間232℃(450°F)の押込空気オーブンに移した。マットを取り出して冷却した。このチョップドストランドマットは束の優れた統合性と強度を示した。
この出願の発明を一般的及び特定実施形態に関して上述した。本発明を好ましい実施形態と考えられるもので示したが、一般的な開示内で、当業者に周知の種々多様な代替物を選択することができる。本発明は、添付の特許請求の範囲の記載を除き、その他の点では制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の典型的な実施形態のチョップドストランド束の概略図である。
【図2】本発明の一局面のウェット強化繊維を用いてチョップドストランドマットを形成するための工程を示す流れ図である。
【図3】本発明の少なくとも1つの典型的な実施形態に従って誘電乾燥した強化繊維を用いてチョップドストランドマットを形成する方法の概略図である。
【図4】本発明の少なくとも1つの典型的な実施形態の形成フードの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織チョップドストランドマットであって、
誘電乾燥したウェット強化繊維の束と、
前記誘電乾燥したウェット強化繊維の束の融点より低い融点を有する熱可塑性結合材料とを含み、
前記熱可塑性結合材料が前記誘電乾燥したウェット強化繊維の束の少なくとも一部に結合し、前記誘電乾燥したウェット強化繊維の束が、前記チョップドストランドマット全体に実質的に均一に分布している、前記チョップドストランドマット。
【請求項2】
前記ウェット強化繊維が、ガラス繊維、ウールガラス繊維、天然繊維及びセラミック繊維から選択される少なくとも1種の繊維を含む、請求項1に記載のチョップドストランドマット。
【請求項3】
前記チョップドストランドマットが、約0.158〜約1.27cm(約1/16〜約1/2インチ)の圧縮厚さを有する、請求項2に記載のチョップドストランドマット。
【請求項4】
前記誘電乾燥したウェット強化繊維の束が、約10〜約500のバンドルテックスを有する、請求項2に記載のチョップドストランドマット。
【請求項5】
前記ウェット強化繊維が、約1.27〜約5.08cm(約1/2〜約2インチ)の長さを有する、請求項4に記載のチョップドストランドマット。
【請求項6】
前記熱可塑性結合材料が、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリ塩化ビニル繊維、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル繊維、低級アルキルアクリレートポリマー繊維、アクリロニトリルポリマー繊維、部分的に加水分解したポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニルピロリドン繊維、スチレンアクリレート繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、レーヨン、ナイロン、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂から選択される、請求項2に記載のチョップドストランドマット。
【請求項7】
不織チョップドストランドマットの製造方法であって、以下の工程を含む方法:
ウェット強化繊維の束を誘電乾燥させて、乾燥した強化繊維の束を形成する工程;
前記乾燥した強化繊維の束と、前記乾燥した強化繊維の束の融点より低い融点を有する熱可塑性結合材料とをブレンドして、前記乾燥した強化繊維の束と前記熱可塑性結合材料の混合物を形成する工程;
前記混合物を搬送装置上に堆積させてシートを形成する工程(前記シートは前記シート全体に前記乾燥した強化繊維の束と前記熱可塑性結合材料の実質的に均一の分布を含む);及び
前記乾燥した強化繊維の束と前記熱可塑性結合材料を結合して、チョップドストランドマットを形成する工程。
【請求項8】
前記ウェット強化繊維の束の前記誘電乾燥工程が以下の工程:
前記ウェット強化繊維の束を誘電オーブン内に導入して、前記オーブン内で前記ウェット強化繊維の束を高周波数の交番電界に通して乾燥させる工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ブレンド工程が以下の工程:
前記乾燥した強化繊維の束と前記熱可塑性結合材料を形成フードに搬送し、前記乾燥した強化繊維の束と前記熱可塑性結合材料を空気流中に分散させる工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記堆積工程において、前記搬送装置の前記混合物の反対側に配置されたバキュームによって前記輸送装置上に前記混合物を堆積させる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記結合工程が以下の工程:
前記シートを前記熱可塑性結合材料の少なくとも一部を融かすのに十分な温度に加熱する工程(このとき、前記熱可塑性結合材料は接着性になり、前記乾燥した強化繊維の束の少なくとも一部と前記熱可塑性結合材料を結合する)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
さらに以下の工程:
前記チョップドストランドマットを圧縮する工程;及び
前記圧縮チョップドストランドマットを冷却する工程;
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
さらに以下の工程:
前記冷却した圧縮チョップドストランドマットを連続ロール上に巻き取る工程;
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複合マットの製造方法であって、以下の工程を含む方法:
ウェット強化繊維の束を誘電乾燥させて、乾燥した強化繊維の束を形成する工程;
前記誘電乾燥した強化繊維の束をポリマーマット上に堆積させる工程(前記ポリマーマットはポリマー結合材料で形成され、前記ポリマー結合材料は、前記誘電乾燥した強化繊維の束の融点より低い融点を有する);及び
前記乾燥した強化繊維の束と前記ポリマー結合材料を結合して複合マットを形成する工程。
【請求項15】
さらに以下の工程:
前記乾燥工程後に、前記乾燥した強化繊維の束を形成フードに搬送して、前記乾燥した強化繊維を空気流中に分散させる工程;
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
さらに以下の工程:
前記堆積工程前に、前記ポリマーマットを前記形成フード内の搬送装置上に配置する工程;
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ウェット強化繊維の束の前記誘電乾燥工程が以下の工程:
前記ウェット強化繊維の束を誘電オーブン内に導入し、前記ウェット強化繊維の束を高周波数の交番電界に通して乾燥させる工程;
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記結合工程が以下の工程:
前記乾燥した強化繊維の束と前記ポリマーマットを前記ポリマー結合材料の少なくとも一部を融かすのに十分な温度に加熱し、前記ポリマー結合材料が接着性になって、前記乾燥した強化繊維の束の少なくとも一部とポリマー結合材料を結合する工程;
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記乾燥した強化繊維の束を、前記搬送装置の前記ポリマーマットの反対側に配置されたバキュームによって前記ポリマーマット上に堆積させる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
さらに以下の工程:
前記複合マットを圧縮する工程;
前記複合マットを冷却する工程;及び
前記冷却した圧縮複合マットを連続ロール上に巻き取る工程;
を含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−500539(P2009−500539A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521456(P2008−521456)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/026516
【国際公開番号】WO2007/008660
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507130004)オウェンス コーニング ファイバーグラス テクノロジー ザ セカンド リミテッド ライアビリティ カンパニー (9)
【Fターム(参考)】