説明

ポリメチロールの製造方法

本発明は、式(I)[ここで、Rは、それぞれ互いに独立して、さらなるメチロール基又は炭素原子1〜22個を有するアルキル基又は炭素原子6〜22個を有するアリール基又はアラルキル基を表す]のポリメチロール、第三級アミン、水並びに第三級アミンとギ酸との付加物(アミンホルマート)を含有する水性ポリメチロール混合物を蒸留する方法に関するものであり、前記方法は、蒸留を、底部でリボイラーと結合されている蒸留塔中で実施し、その際に底部温度が、前記蒸留中に形成されるギ酸とポリメチロールとのモノエステル(ポリメチロールホルマート)の蒸発温度を上回ることにより特徴付けられる。さらに、本発明は、ポリメチロールと1〜10000質量ppmのポリメチロールホルマートとを含有する組成物並びにそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカナール及びホルムアルデヒドからポリメチロールを製造する際に得られる水性ポリメチロール混合物を蒸留する方法に関する。さらに、本発明は、ポリメチロールと1〜10000質量ppmのポリメチロールホルマートとを含有する組成物並びにそれらの使用にも関する。
【0002】
ポリメチロール、例えばネオペンチルグリコール("NPG")及びトリメチロールプロパン("TMP")は、プラスチック分野において、塗料、コーティング、ポリウレタン及びポリエステルの製造に使用される。
大工業的には、ポリメチロールはたいてい、カニッツァーロ法により製造される。トリメチロールプロパンをこの方法により製造するには、n−ブチルアルデヒドを過剰量のホルムアルデヒドと無機塩基の存在で反応させる。その際に、同時に1当量の無機ギ酸塩が連産品として生じる。トリメチロールプロパンからの前記塩の分離は煩雑であり、かつ付加的な出費を必要とする。そのうえ、前記無機塩は − 有益に利用されるべきである場合には − 後処理され、かつ精製されなければならない。前記連産品の発生はさもなければ、化学量論的に使用される量のカセイソーダ液及びホルムアルデヒドの損失である。付加的に、n−ブチルアルデヒドに関するこの無機カニッツァーロ反応の場合の収率は不十分である、それというのも、前記反応の過程で、再利用されることができない高沸点成分が形成されるからである。
トリメチロールプロパンについて詳述したのと類似した問題は、トリメチロールエタン(n−プロパナール及びホルムアルデヒドから)又はトリメチロールブタン(n−ペンタナール及びホルムアルデヒドから)又はネオペンチルグリコール(イソブチルアルデヒド及びホルムアルデヒドから)のような他のポリメチロールの製造の際にも存在する。
【0003】
これらの欠点を回避するために、国際公開(WO)第98/28253号により、ポリメチロールを多段階で製造する方法が知られており、前記方法の場合に、炭素原子2〜24個を有するアルデヒドを、第一段階(アルドール反応)において、ホルムアルデヒドと、触媒として第三級アミンの使用下に、まず最初に相応するメチロールアルカナールに縮合し、引き続きさらなる段階(水素化)において、相応するポリメチロールに水素化する。この多段階法は通常、水素化法と呼ばれる。この方法は連産品が乏しい。
【0004】
前記水素化法の第一段階の後に、未反応アルデヒド及び前記アミン塩基の一部は一般的に、形成されたメチロールアルカナールから蒸留により分離され、かつ返送される。
【0005】
蒸留ボトム中には、 − 形成されたメチロールアルカナールに加えて − 水、ギ酸と使用された第三級アミンとの付加物(アミンホルマート)及びギ酸自体が残留する。
通例、前記ポリメチロールアルカナールは、この方法により、20〜70質量%の水溶液として得られる。
【0006】
前記ポリメチロールアルカナール含有水溶液は、ポリメチロールアルカナールを、TMP又はNPGのような相応するポリメチロールに変換するために、第二段階において水素化される。
前記水素化の際に、一般的に、メチロールアルカナールの遊離アルカナール及びホルムアルデヒドへの解離(Rueckspaltungen)及びさらにまたエーテル形成、エステル形成及びアセタール形成のような副反応が観察される。
これらの副反応は、低い水素化選択率及びポリメチロールの低い収率をまねく。
これらの副生物は、形成されたポリメチロールの品質及び特定の用途におけるそれらの使用も妨げうる。例えば、最終生成物中に含まれるホルマートは分解し、その際にギ酸が形成される。ギ酸は、例えば、ウレタン結合もしくはエステル結合の加水分解を触媒することができ、このことは、塗料及びプラスチックの老化促進をまねく。
【0007】
本発明に関連して、特にギ酸と形成されたポリメチロールとのモノエステル(ポリメチロールホルマート)が、最終生成物中のホルマート含量に寄与することが目下見出された。
【0008】
故に、本発明の課題は、低い含量のポリメチロールホルマートを有するポリメチロールを得るために、水性ポリメチロール混合物を精製する方法を提供することにあった。
【0009】
本発明の課題は、式(I)
【化1】

[式中、Rは、それぞれ互いに独立して、さらなるメチロール基又は炭素原子1〜22個を有するアルキル基又は炭素原子6〜22個を有するアリール基又はアラルキル基を表す]で示されるポリメチロール、第三級アミン、水並びに第三級アミンとギ酸との付加物(アミンホルマート)を含有する水性ポリメチロール混合物を蒸留する方法により解決され、前記方法は、底部でリボイラーと結合されている蒸留塔中で水素化排出物の蒸留を実施し、その際に底部温度が、前記蒸留の間に形成されるギ酸とポリメチロールとのモノエステル(ポリメチロールホルマート)の蒸発温度を上回ることにより特徴付けられる。
【0010】
本方法へ装入される水性ポリメチロール混合物は、好ましくは次の組成を有する:
ポリメチロール(I) 20〜90質量%、
メタノール 0〜5質量%、
第三級アミン 0〜5質量%、
有機副次化合物 0〜5質量%、
第三級アミンとギ酸との付加物(アミンホルマート) 0.01〜5質量%、
水 残部。
【0011】
特に好ましくは、前記水性ポリメチロール混合物は、次の組成を有する:
ポリメチロール(I) 50〜80質量%、
メタノール 0.1〜3質量%、
第三級アミン 0.01〜5質量%、
有機副次化合物 0〜5質量%、
第三級アミンとギ酸との付加物(アミンホルマート) 0.01〜5質量%、
水 残部。
【0012】
そのような水性ポリメチロール混合物は、好ましくはアルカナールとホルムアルデヒドの多段階の反応により得られる。好ましくは、前記水性ポリメチロール混合物は、水素化法により得られる。
しかしながら、水性ポリメチロール混合物の本発明による蒸留法を、有機カニッツァーロ反応(強有機塩基及びホルムアルデヒド)により得られたポリメチロール混合物を用いて実施することも可能である。
【0013】
上記で述べたように、前記水性ポリメチロール混合物は、好ましくは多段階の水素化法において得られ、その際に段階a)において、アルカナールをアルドール反応においてホルムアルデヒドと、触媒として第三級アミンの存在で、式(II)
【化2】

[式中、Rは、それぞれ互いに独立して上記で挙げた意味を有する]で示されるメチロールアルカナールに凝縮し、
かつ引き続き段階b)において、段階a)から得られた反応混合物を、式(II)の化合物を主に含有するボトムと、低沸成分を含有する塔頂流とに蒸留により分離し、かつ段階c)において、段階b)からの底部排出物を水素化する。
【0014】
第一処理段階a)(アルドール反応)において、一般的にアルカナールはアルドール反応において、ホルムアルデヒドと、触媒として第三級アミンの存在で反応される。
【0015】
ホルムアルデヒドは、通例、ホルムアルデヒド水溶液として、本方法へ装入される。工業的に入手可能なホルムアルデヒドは、通常、30、37及び49質量%の濃度の水溶液で販売されている。しかしながら、60質量%までのホルムアルデヒド溶液を本方法へ装入することも可能である。
【0016】
工業用ホルムアルデヒドは、通例、製造に制約されてギ酸を含有する。ギ酸の分解生成物は、後続の水素化段階における前記水素化触媒の可使時間を低下させうるものであり、このことは、ポリメチロールの収率の低下をまねく。特別な一実施態様において、150ppm又はそれ未満のギ酸含量を有するホルムアルデヒドが使用される。そのようなホルムアルデヒドは、出願明細書PCT/EP2008/052240に記載されているように、塩基性イオン交換体でのホルムアルデヒドもしくはホルムアルデヒド水溶液の処理により得ることができる。アニオン交換体として、それ自体として知られている、強塩基性、弱塩基性又は中程度のゲル状又はマクロ孔の塩基性イオン交換体が考慮に値する。これは、例えば、官能基としての第三級アミノ基を有するジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン樹脂の構造のアニオン交換体である。また、ジビニルベンゼンで架橋されたアクリル酸又はメタクリル酸をベースとするイオン交換体又はホルムアルデヒドとフェノールとの縮合により製造された樹脂が考慮に値する。詳細には、例えば、Rohm and Haas社、Philadelphia、USAのAmbersep(登録商標) 900、Amberlyst(登録商標)及びAmberlite(登録商標)並びにLanxess社、LeverkusenのLewatit(登録商標)の市販製品が考慮に値する。
【0017】
本発明による方法へ、カルボニル基に対してα位にメチレン基を有するアルカナールが装入されることができる。
好ましくは、出発物質として炭素原子2〜24個を有する脂肪族アルカナールが使用されることができ、前記アルカナールは直鎖状又は分枝鎖状であることができ、又はまた脂環式基を有することができる。
同じように、芳香脂肪族アルカナールが出発物質として使用されることができるが、但しこれらはカルボニル基に対してα位にメチレン基を有することを前提とする。一般的に、出発物質として炭素原子8〜24個、好ましくは炭素原子8〜12個を有するアラルキルアルカナール、例えばフェニルアセトアルデヒドが使用される。好ましくは、炭素原子2〜12個を有する脂肪族アルカナール、例えば3−エチル−、3−n−プロピル−、3−イソプロピル−、3−n−ブチル−、3−イソブチル−、3−s−ブチル−、3−t−ブチル−ブタナール並びに相応する−n−ペンタナール、−n−ヘキサナール、−n−ヘプタナール;4−エチル−、4−n−プロピル−、4−イソプロピル−、4−n−ブチル−、4−イソブチル−、4−s−ブチル−、4−t−ブチル−ペンタナール、−n−ヘキサナール、−n−ヘプタナール;5−エチル−、5−n−プロピル−、5−イソプロピル−、5−n−ブチル−、5−イソブチル−、5−s−ブチル−、5−t−ブチル−n−ヘキサナール、−n−ヘプタナール;3−メチル−ヘキサナール、3−メチルヘプタナール;4−メチルペンタナール、4−メチルヘプタナール、5−メチル−ヘキサナール、5−メチルヘプタナール;3,3,5−トリメチル−n−ペンチル−、3,3−ジエチルペンチル−、4,4−ジエチルペンチル−、3,3−ジメチル−n−ブチル−、3,3−ジメチル−n−ペンチル−、5,5−ジメチルヘプチル−、3,3−ジメチルヘプチル−、3,3,4−トリメチルペンチル、3,4−ジメチルヘプチル−、3,5−ジメチルヘプチル−、4,4−ジメチルヘプチル−、3,3−ジエチルヘキシル−、4,4−ジメチルヘキシル−、4,5−ジメチルヘキシル−、3,4−ジメチルヘキシル−、3,5−ジメチルヘキシル−、3,3−ジメチルヘキシル−、3,4−ジエチルヘキシル−、3−メチル−4−エチルペンチル、3−メチル−4−エチルヘキシル−、3,3,4−トリメチルペンチル−、3,4,4−トリメチルペンチル−、3,3,4−トリメチルヘキシル−、3,4,4−トリメチルヘキシル−、3,3,4,4−テトラメチルペンチルアルデヒド;特にC2〜C12−n−アルカナールである。
【0018】
ネオペンチルグリコールの製造に使用されるイソブチルアルデヒドの好ましい使用に加えて、好ましくはさらに、トリメチロールプロパンを製造するためのn−ブチルアルデヒド、ペンタエリトリトールを製造するためのアセトアルデヒド、トリメチロールエタンを製造するためのプロピオンアルデヒド及びトリメチロールブタンを製造するためのn−ペンタナールが、出発化合物として使用されることができる。
【0019】
第三級アミンとして、例えば独国特許出願公開(DE-A)第28 13 201号明細書及び独国特許出願公開(DE-A)第27 02 582号明細書に記載されているようなアミンが使用されることができる。特に好ましくは、トリ−n−アルキルアミン、特にトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン及びトリメチルアミンである。
極めて特に好ましくは、トリメチルアミン("TMA")、トリエチルアミン("TEA")及びトリ−n−プロピルアミン("TPA")である、それというのも、これらの化合物は通例、優先的に形成されるポリメチロールよりも低い沸点を有し、ひいては反応混合物からの蒸留による除去が容易になるからである。特に好ましくは、トリメチルアミン("TMA")が第三級アミンとして前記反応へ装入される。
【0020】
前記アルドール反応は、有機溶剤又は可溶化剤を添加して又は添加せずに実施されることができる。溶剤又は可溶化剤の添加は、特に、出発物質として長鎖アルカナールを使用する場合に有利であることが判明している。本発明による方法を個々に蒸留する場合に低沸点化合物と適した低沸点アゼオトロープ混合物を形成する溶剤を使用することにより、場合により、これらの蒸留の場合のエネルギー消費が低減されることができ、及び/又は高沸点化合物からの低沸成分の蒸留による分離が容易にされることができる。
溶剤として、例えば、環状及び非環状のエーテル、例えばTHF、ジオキサン、メチル−t−ブチルエーテル又はアルコール、例えばメタノール、エタノール又は2−エチルヘキサノールが適している。
【0021】
前記アルドール反応の際に、それぞれ添加されたばかりのアルカナール対ホルムアルデヒドの添加された量のモル比は、好都合には1:1〜1:5、好ましくは1:2〜1:3.5である。
【0022】
前記アルドール反応の際に添加される第三級アミン触媒の量は、添加されるアルカナールを基準として、通例、0.001〜0.2当量、好ましくは0.01〜0.07当量であり、すなわち前記アミンは通常、触媒量で使用される。
【0023】
前記アルドール反応は一般的に、5〜100℃、好ましくは15〜80℃の温度で実施され、かつ滞留時間は、前記温度に依存して、一般的に0.25〜12時間に調節される。
【0024】
前記アルドール反応について記載された反応操作は、一般的に1〜30bar、好ましくは1〜15bar、特に好ましくは1〜5barの圧力で、好都合には当該反応系の自生圧下に、実施されることができる。
【0025】
前記アルドール反応は、不連続に又は連続的に実施されることができる。
好ましくは、前記アルドール反応は、連続的に操作される撹拌釜反応器又は連続的に操作される撹拌釜カスケード中で実施される。滞留時間を調節するために、前記反応排出物の一部が撹拌釜からそれぞれの撹拌釜反応器中へ返送されることができる。
【0026】
前記アルドール反応からの排出物は通常、未反応の出発化合物、例えばホルムアルデヒド、アルカナール、並びに使用される第三級アミン触媒及び場合により水を含有する。
【0027】
さらに、前記アルドール反応からの排出物は、式(II)
【化3】

[式中、Rは、それぞれ互いに独立して、さらなるメチロール基又は炭素原子1〜22個を有するアルキル基又は炭素原子6〜22個を有するアリール基又はアラルキル基を意味する]で示されるメチロールアルカナールを含有する。メチロールアルカナールの例は、出発物質としてイソブチルアルデヒドを使用する際に形成されるヒドロキシピバルアルデヒドであるか、又は出発物質としてn−ブチルアルデヒドを使用する際に形成されるジメチロールブタナールである。
通常、前記排出物は、前記アルドール反応からの不純物及び副生物、例えばカニッツァーロ反応又はティチェンコ反応によりホルムアルデヒドから生じうるギ酸、及び使用されるアミン触媒のギ酸塩、例えばトリメチルアンモニウムホルマートも含有する。
【0028】
前記アルドール反応からの排出物は引き続き、通常、蒸留により分離される(段階b))。
【0029】
この場合に、前記アルドール反応からの排出物は、蒸留装置、通常、塔に供給され、その中でより易揮発性の成分とより難揮発性の成分とに分離される。
その際に、前記蒸留条件は、通例、本質的な成分として未反応アルカナール、ホルムアルデヒド及び場合により水及びメタノールが含まれている低沸成分からなる留分が形成されるように選択される。このいわゆる低沸成分留分は、前記水素化法、前記アルドール反応の第一段階へ返送されることができるか、又はさらなる後処理段階に供給されることができる。
【0030】
低沸成分留分の分離後に、詳述した蒸留による後処理の場合には、本質的にはメチロールアルカナール(II)、例えばヒドロキシピバルアルデヒド、水、ギ酸並びにアミンホルマートからなるより難揮発性の缶出液が残留する。
【0031】
第三級アミンとしてTMAを使用する場合に、前記蒸留条件は、TMAが一部が低沸成分留分中にも含まれており、かつ少ない部分が缶出液中に存在しているように選択される。TMAよりも高沸点であるアミンを使用する場合に、前記蒸留条件は、第三級アミンが缶出液中で富化されるように選択される。
【0032】
蒸留による分離は、高められた温度によりメチロールアルカナール(II)が分解しないように、好ましくは中程度の圧力で行われるべきである。例えば、ヒドロキシピバルアルデヒドは、ヒドロキシピバル酸−ネオペンチルグリコールエステル(HPN)へ変換されうる。他方では、前記圧力は、低沸成分であるアルカナール、例えばイソブチルアルデヒド、及びアミン塩基、例えばトリメチルアミンのようなトリアルキルアミンをなお頂部で凝縮するために、低すぎるべきではない。
前記蒸留は、故に、低すぎる圧力で行われるべきでもない、それというのも、通例約60℃を下回ると、ヒドロキシピバルアルデヒド(HPA)のようなアルカナール(II)の前記水溶液への溶解度は、アルカナール含量及びメタノール含量に依存して、約1〜3質量%に急激に低下するからである。
さらに、前記アルドール反応からの排出物の分離は、低沸成分流中のメタノール量ができる限り低く維持されるように行われるべきであり、それによって前記アルドール反応におけるメタノール濃度は蓄積されない(nicht aufpegelt)。メタノールは通例、製造条件に応じてメタノールを約1〜3質量%含有するホルムアルデヒド水溶液を介して持ち込まれる。
メタノールの沸点は通例、未反応アルカナールの沸点よりも低いので、メタノールが塔頂で富化され、かつそれゆえプロセス中でのメタノール濃度が蓄積することになる。
前記メタノール濃度を低く維持するために、多様な措置が講じられることができる。
【0033】
一方では、メタノールの乏しいホルムアルデヒドを出発物質として前記アルドール反応へ装入することは有利である。
さらに、メタノールを未反応アルカナールと一緒にプロセスから外に移すことは可能であるが、このことはアルカナールの損失をまねく。
好ましい一実施態様において、しかしながら前記蒸留は特殊な条件下で実施されるので、メタノールは塔底中に十分に保持される。前記アルドール反応からの排出物を蒸留により分離するこの好ましい実施態様は、出願明細書PCT/EP2008/052240に記載されている。
この実施態様において、低沸成分留分と前記缶出液とへの蒸留による分離は、一般的に50〜200℃で、好ましくは90〜160℃で及び一般的に0.1mbar〜10bar、好ましくは0.5〜5barの圧力で、特に大気圧で、1つの蒸留塔中で実施される。前記蒸留塔は、通常、0.5〜1.5barの範囲内の頂部圧力で操作される。
頂部領域内に、二段凝縮が好ましくは設けられており、前記凝縮の際に、蒸気が、まず最初に50〜80℃の範囲内の温度で操作される分縮器中へ導かれ、その凝縮物は少なくとも部分的に前記蒸留塔へ返送され、かつ分縮器中で凝縮されない蒸気が、−40〜+30℃の範囲内の温度で操作される、後ろにある凝縮器に供給され、その凝縮物は少なくとも部分的に外に移される。
好ましくは、前記分縮器の凝縮物は70質量%超、特に好ましくは完全に、前記蒸留塔へ返送される。その際に、その凝縮物は、好ましくは塔頂へ返送される。後ろにある凝縮器の凝縮物は、好ましくは少なくとも70質量%、特に完全に、外に移される。
前記分縮器は、50〜80℃、好ましくは55〜60℃の範囲内の温度で操作される。後ろにある凝縮器は、−40〜+30℃、好ましくは−10〜+10℃の範囲内の温度で操作される。頂部圧力は、特に好ましくは1〜1.2barである。
前記蒸留塔の底部は、好ましくは、短い滞留時間を有するリボイラーと結合されており、前記リボイラーは、90〜130℃、特に好ましくは100〜105℃の範囲内の温度で操作される。その際に、前記リボイラーは、特に好ましくは流下薄膜型蒸発缶であり、さらに、好ましくはワイプ式薄膜蒸発缶(Wischfilmverdampfer)又は短行程蒸発缶(Kurzwegverdampfer)が使用されることができる。その際に本質的であるのは、短い滞留時間、ひいては低い熱負荷が達成されることである。前記リボイラーには、熱、例えば4barの蒸気が適した手法で供給されることができる。
好ましくは、前記蒸留塔は、分離性能を増加させるための内部構造物(Einbauten)を有する。その際に、前記アルドール化の反応排出物は、好ましくは前記蒸留塔の理論段の1/4〜3/4の空間領域、特に好ましくは前記蒸留塔の理論段の1/3〜2/3の空間領域内に供給される。例えば、前記供給は、前記理論段の中央より幾分上方で行われることができる(比3:4)。
蒸留内部構造物は、例えば、規則充填物として、例えばMellapak 250 Y又はMontz Pak、タイプB1-250のような薄板充填物として存在することができる。また、より低い又は高められた比表面積を有する充填物が存在することもでき、又は織物充填物又はMellapak 252 Yのような他の幾何学的形状を有する充填物が使用されることができる。これらの蒸留内部構造物を使用する場合に有利であるのは、例えばバルブトレイと比較して、低い圧力損失及び低い比液体ホールドアップである。
分縮器中で、凝縮物として主に水が生じ、この水は好ましくは前記塔に完全に還流として供給される。NPGの製造の際に、例えば、イソブチルアルデヒドが出発物質として使用される場合には、イソブチルアルデヒド約10質量%、トリメチルアミンのようなアミン塩基約5質量%、ヒドロキシピバルアルデヒド約1質量%及びメタノール約5質量%を水に加えて含有する混合物が凝縮物として得られることができる。この場合に、残存蒸気は、大部分の量のイソブチルアルデヒドと、トリメチルアミンのようなアミン塩基とを含有する。これらの蒸気は、後ろにある凝縮器中でできるだけ完全に凝縮される。冷却媒体として、この場合に、好ましくはできるだけ冷たい水(例えば約5℃)又は寒剤(例えば−20℃を有する例えばグリコール−水)が使用されることができる。
好ましくは、メチロールアルカナール(II)、例えばヒドロキシピバルアルデヒド又はジメチロールブタナールが富化された前記リボイラーの底部からの混合物は外に移される。また、その循環から外に移すことも可能である。
【0034】
前記アルドール反応からの排出物の蒸留による分離からのより難揮発性の缶出液は、熱負荷を減少させるために、さらなる後処理の前に、50〜80℃、特に好ましくは55〜60℃の範囲内の冷却器温度を有する冷却器中で冷却されることができる。
【0035】
こうして得られた段階b)からの底部排出物は、その後に段階c)において水素化されることができる。
【0036】
水素化法の段階b)からの底部排出物は、一般式(II)のメチロールアルカナールを含有し、かつ水素化法の段階c)において、相応するポリメチロールに水素化される("水素化")。
【0037】
前記水素化において、好ましくは触媒が使用され、これらの触媒はFe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、An、Zn、Cd、Hg、好ましくはFe、Co、Ni、Cu、Ru、Pd、Pt、特に好ましくはCuのような元素の周期表の8〜12副族の少なくとも1つの金属を、好ましくは担体材料上に含有する。
担体材料として、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素及び/又はアルミニウムの酸化物からなる担体材料が使用される。
【0038】
使用可能な触媒の製造は、この種の担持触媒を製造する技術水準から知られた方法により行われることができる。好ましくは使用されることができるのは、銅を酸化アルミニウム又は二酸化チタンを含有する担体材料上に、マグネシウム、バリウム、亜鉛又はクロムの1つ又はそれ以上の元素の存在又は不在で有する担持触媒でもある。この種の触媒及びそれらの製造は、国際公開(WO)第99/44974号から知られている。
さらに、例えば国際公開(WO)第95/32171号に記載されているような含銅担持触媒及び欧州特許出願公開(EP-A)第44 444号明細書及び独国特許(DE)第19 57 591号明細書に開示された触媒は、前記水素化に適している。
【0039】
前記水素化は、不連続に又は連続的に、例えば、触媒床の充填された管形反応器中で実施されることができ、前記反応器の場合に、反応溶液は、触媒床に、例えば流下運転方式又は昇流運転方式(Riesel- oder Sumpffahrweise)で、例えば独国特許出願公開(DE-A)第19 41 633号明細書又は独国特許出願公開(DE-A)第20 40 501号明細書に記載されるように、導かれる。前記反応排出物の部分流を、場合により冷却しながら、返送し、かつ再び触媒固定床に導くことは有利でありうる。同じように、前記水素化を、複数の直列接続された反応器中で、例えば2〜4の反応器中で実施することは有利でありうるものであり、その際に最後の反応器の前の個々の反応器中で、水素化反応が、例えば50〜98%の部分転化率までのみ実施され、かつ最後の反応器中ではじめて水素化が完了される。その場合に、前記水素化排出物を前記の反応器から、その後の反応器へ入れる前に、例えば冷却装置を用いて又は冷たいガス、例えば水素又は窒素のノズル注入又は冷たい反応溶液での部分流の導通により、冷却することが好都合でありうる。
【0040】
水素化温度は、一般的に50〜180℃、好ましくは90〜140℃である。水素化圧力として、一般的に10〜250bar、好ましくは20〜120barが使用される。
【0041】
水素化フィードは、通例、水素化反応器入口の前で、前記水素化排出物が7〜9のpH値を有するまで第三級アミンと混合される。水素化フィード及び第三級アミンを別個に反応器中へ供給し、かつそこで混合することも可能である。第三級アミンとして、前記の第三級アミン、特にTMAが、使用されることができる。
【0042】
水素化(段階c))からの反応排出物は、式(I)
【化4】

[式中、Rは、それぞれ互いに独立して、さらなるメチロール基又は炭素原子1〜22個を有するアルキル基又は炭素原子6〜22個を有するアリール基又はアラルキル基を意味する]で示されるポリメチロール、第三級アミン、水並びに第三級アミンとギ酸との付加物(アミンホルマート)を含有する水性ポリメチロール混合物である。
【0043】
上記で挙げたように、前記水性ポリメチロール混合物は、好ましくは次の組成を有する:
ポリメチロール(I) 20〜90質量%、
メタノール 0〜5質量%、
第三級アミン 0〜5質量%、
有機副次化合物 0〜5質量%、
第三級アミンとギ酸との付加物(アミンホルマート) 0.01〜5質量%、
水 残部。
【0044】
特に好ましくは、前記水性ポリメチロール混合物は、次の組成を有する:
ポリメチロール(I) 50〜80質量%、
メタノール 0.1〜3質量%、
第三級アミン 0.01〜5質量%、
有機副次化合物 0〜5質量%、
第三級アミンとギ酸との付加物(アミンホルマート) 0.01〜5質量%、
水 残部。
【0045】
有機副次化合物として、例えば、使用されるアルカナールの水素化された形、すなわち式(III)
【化5】

[式中、Rは、それぞれ互いに独立して前記の意味を表す]で示されるアルコールが含まれうる。
【0046】
前記水性ポリメチロール混合物は、本発明によれば、低沸成分が前記ポリメチロール化合物から分離されることによって精製される。
前記水性ポリメチロール混合物からの低沸成分の分離は、本発明によれば蒸留により行われる。
【0047】
前記蒸留は、好ましくは、特に使用されるアミンが、TMA、TEA及びTPAの場合のように形成されるポリメチロールよりも低い沸点を有する場合に、低沸成分、例えば水、式(III)のアルコール、メタノール及び第三級アミンが真空中で頂部を経て分離されるように実施される。
【0048】
形成されるポリメチロールよりも高い沸点を有する第三級アミンが使用される場合には、第三級アミンが、形成されたポリメチロールと一緒に底部で分離され、かつその後の蒸留段階において塔底中で富化されるのに対し、ポリメチロールは塔頂留出物として除去される。
【0049】
本発明の範囲内で、前記アミンホルマートの一部が前記蒸留中に、塔底中で又は前記塔の回収部中でポリメチロール化合物と、遊離アミン及びポリメチロール化合物のホルマートを形成しながら反応することが見出された。この場合に、この開示の範囲内でポリメチロールホルマートと呼ばれる、ギ酸及びポリメチロール化合物のモノエステルが優先的に形成される。
エステル交換反応により遊離したアミンは通例、前記蒸留の際に、他の低沸成分と共に前記塔の頂部で分離される。
前記蒸留は、故に、形成されたポリメチロールホルマートの濃度が底部排出物中で低く維持され、かつ目的生成物であるポリメチロールが、できるだけ純粋であるように制御されるべきである。このことは、本発明によれば、前記蒸留の際に前記ポリメチロールホルマートの蒸発温度を上回る底部温度を選択することにより行われるので、ポリメチロールホルマートは、完全に又は大体において完全に蒸発により前記気相へ移送される。
本発明による措置により生じる収率及び生成物品質の改善は、ポリメチロールホルマートが通常、他の低沸成分よりも高沸点であり、かつポリメチロールホルマートが通例、故に前記塔の濃縮部中で、相応する還流比で凝縮されることにおそらく起因されうる。濃縮部中で凝縮されるポリメチロールホルマートは、水と、ギ酸及びポリメチロール化合物を解離しながら加水分解しうる。前記ギ酸は通常、塔頂で分離されるのに対し、前記ポリメチロール化合物は通例、前記塔底から排出されることができる。
【0050】
好ましい一実施態様において、前記蒸留は、次のように実施される:
前記凝縮器は、好ましいこの実施態様において、通例、低沸成分の大部分が相応する頂部圧力で凝縮される温度で操作される。
通例、前記凝縮器の運転温度は、0〜80℃、好ましくは20〜50℃の範囲内である。
冷却媒体として、この場合に、好ましくはできるだけ冷たい水(例えば約5℃)又は寒剤(例えば−20℃を有する例えばグリコール−水)が使用されることができる。
【0051】
頂部圧力は、特に好ましくは0.001〜0.9bar、特に好ましくは0.01〜0.5barである。
真空は通常、大工業的にはスチームエジェクタを用いて発生される。
塔底中で、好ましくは、前記ポリメチロールホルマートの蒸発温度を上回る温度に調節されるので、前記ポリメチロールホルマートは、完全に又は大体において完全に気相へ移行する。
特に好ましくは、前記ポリメチロールホルマートの沸騰温度を5%〜50%上回る温度、かつ極めて特に好ましくは前記ポリメチロールホルマートの沸騰温度を10%〜20%上回る温度に、調節される。
例えば、NPGを第三級アミンとしてTMAの使用下及び175mbarの塔頂圧力下に製造する場合に、好ましくは、150〜170℃、特に好ましくは160〜165℃の塔底温度に調節されることができる。
塔頂での還流は、通例、前記ポリメチロールホルマートの大部分の量が、前記塔中で保持されるように調節される。
好ましくは、凝縮器で生じる凝縮物は、30質量%超、好ましくは60質量%超が、前記蒸留塔へ返送される。その際に、前記凝縮物は、好ましくは塔頂へ返送される。
蒸発に必要なエネルギーは通常、リボイラーを経て塔底に導入される。
その際に、前記リボイラーは、通常、自然循環蒸発器又は強制循環蒸発器である。しかしまた、短い滞留時間を有するリボイラー、流下薄膜型蒸発缶、蛇管式蒸発缶、ワイプ式薄膜蒸発缶又は短行程蒸発缶が使用されることもできる。前記リボイラーには、熱、例えば16barの蒸気又は熱媒体油が適した手法で供給されることができる。
【0052】
好ましくは、前記蒸留塔は、分離性能を増加させるための内部構造物を有する。蒸留内部構造物は、例えば、規則充填物として、例えばMellapak 250 Y又はMontz Pak、タイプB1-250のような薄板充填物として存在することができる。また、より低い又は高められた比表面積を有する充填物が存在することもでき、又は織物充填物又はMellapak 252 Yのような他の幾何学的形状を有する充填物が使用されることができる。これらの蒸留内部構造物を使用する場合に有利であるのは、例えばバルブトレイと比較して、低い圧力損失及び低い比液体ホールドアップである。前記内部構造物は、1つ又はそれ以上の区間(Schuessen)で存在することができる。
前記水素化からの排出物は、好ましくは、前記蒸留塔の理論段の1/4〜3/4の空間領域、特に好ましくは前記蒸留塔の理論段の1/3〜2/3の空間領域内に供給される。例えば、前記供給は、前記理論段の中央より幾分上方で行われることができる(比3:4)。
前記理論段の数は、一般的に5〜30、好ましくは10〜20の範囲内である。
【0053】
凝縮器中で、凝縮物として低沸成分の混合物が生じ、これは前記のような塔に、大部分が還流として供給される。例えば、低沸成分混合物であるアミン、水並びに式(III)のアルコール、例えばイソブチルアルデヒド由来のイソブタノール又はn−ブチルアルデヒド由来のn−ブタノール、並びにホルムアルデヒド由来のメタノールを含有しうる。
凝縮されない残存蒸気は、エネルギー的に有利に直接、ガス状で燃焼に供給されることができ、又はほぼ周囲圧力で操作する蒸留塔に供給される。この次の塔は、前記凝縮物のさらなる蒸留による分離に利用される。
【0054】
好ましくは、主に前記ポリメチロール化合物を含有するリボイラーの底部から排出物は外に移される。また、前記リボイラーの循環から外に移すことも可能である。
前記底部排出物は、本発明の範囲内で"粗ポリメチロール"と呼ばれる。
本発明により得られる"粗ポリメチロール"は、技術水準と比較してより低い割合のメチロールホルマートを含有する。好ましくは、メチロールホルマートの割合は、1500質量ppm未満、好ましくは1200質量ppm未満、特に好ましくは800質量ppm未満及び特に好ましくは600質量ppm未満である。
【0055】
粗ポリメチロールは、さらに、式(I)
【化6】

[式中、Rは、それぞれ互いに独立して、さらなるメチロール基又は炭素原子1〜22個を有するアルキル基又は炭素原子6〜22個を有するアリール基又はアラルキル基を表す]で示されるポリメチロール、並びに式(IV)
【化7】

[式中、Rは、それぞれ互いに独立して前記の意味を表す]で示されるヒドロキシ酸を含有する。
【0056】
粗ポリメチロールは、好ましくは次の組成を有する:
ポリメチロール(I) 90〜99質量%、
式(IV)のヒドロキシ酸 0.01〜5質量%、
有機副次化合物 0〜5質量%。
【0057】
特に好ましくは、粗ポリメチロールは、次の組成を有する:
ポリメチロール(I) 95〜99質量%、
式(IV)のヒドロキシ酸 0.1〜2質量%、
有機副次化合物 0〜3質量%。
【0058】
そのような粗ポリメチロールは、上記で記載されたように、好ましくはアルカナールとホルムアルデヒドとの多段反応により得られる。
好ましくは、粗ポリメチロールは、水素化法により得られる。
【0059】
ポリメチロール化合物の低い損失で、底部にあるより高沸点の酸性成分、特に式(IV)のヒドロキシ酸を分離するために、前記蒸留の際に底部リボイラーとして、特に好ましい一実施態様において、少ない滞留時間を有する少なくとも1つのリボイラー、例えば残留物排出を備えた流下薄膜型蒸発缶、薄膜型蒸発缶又は蛇管式蒸発缶が使用される。
【0060】
特別な一実施態様において、前記塔の底部は、塔底中の滞留時間を更に減少させるために、嵌め込まれた底部として構成されていることができる。
【0061】
好ましくは、粗ポリメチロールの蒸留は、次の条件下で実施される:
有利には、凝縮器で生じる凝縮物は、30質量%超、特に好ましくは50質量%超が、前記蒸留塔へ返送される(還流の流れ)。その際に、前記凝縮物は、好ましくは塔頂へ返送される。
【0062】
前記凝縮器は、50〜180℃、好ましくは130〜160℃の範囲内の温度で操作される。
冷却媒体として、この場合に、好ましくはできるだけ水が使用されることができ、この水はこの際に蒸発する。
【0063】
頂部圧力は、特に好ましくは0.001〜0.9barである。
真空は通常、大工業的にはスチームエジェクタを用いて発生される。
【0064】
底部温度は、ポリメチロールが気相へ移送されるのに対し、式(IV)のヒドロキシ酸が塔底中に残留するように通例選択される。
好ましくは、前記ポリメチロールの沸騰温度の100〜150%、好ましくは105〜140%、特に好ましくは110〜130%の範囲内である底部温度に調節される。
例えば、NPGを第三級アミンとしてのTMAの使用下及び150mbarの塔頂圧力下に製造する際に、好ましくは150〜200℃、特に好ましくは160〜190℃の塔底温度に調節されることができる。
【0065】
前記蒸留塔の底部は、好ましくは、少ない滞留時間を有する少なくとも1つのリボイラーと結合されている。
【0066】
前記蒸留塔の底部及び少ない滞留時間を有するリボイラーは定義に従い一緒に蒸発段階を形成する。
【0067】
前記蒸発段階の滞留時間は、開示に従い、前記塔の熱い部分中の液体ホールドアップの体積(Vホールドアップ)が、前記塔の還流及び供給体積流量の和により除されることで計算され(Vホールドアップ/(供給流+還流の流れ))、その際に前記塔の熱い部分中の液体ホールドアップ(Vホールドアップ)は、塔底のホールドアップの体積(Vホールドアップ−底部)+前記リボイラーのホールドアップの体積(Vホールドアップ−リボイラー)から計算される(Vホールドアップ=Vホールドアップ−底部+Vホールドアップ−リボイラー)。
【0068】
前記蒸発段階における滞留時間は、有利には45分未満、好ましくは30分未満、特に好ましくは15分未満、殊に好ましくは10分未満及び極めて特に好ましくは5分未満である。
一般的に、前記蒸発段階における滞留時間を、より高い底部温度で相応してより短い滞留時間に調節されるように選択することが好ましい。
【0069】
前記ポリメチロールの沸騰温度の130〜150%の範囲内である底部温度の場合に、前記蒸発段階における滞留時間は、好ましくは5分及びそれ未満、特に好ましくは4分及びそれ未満及び極めて特に好ましくは3分及びそれ未満である。
【0070】
前記ポリメチロールの沸騰温度の120〜130%の範囲内である底部温度の場合に、前記蒸発段階における滞留時間は、好ましくは30分及びそれ未満、特に好ましくは15分及びそれ未満及び極めて特に好ましくは10分及びそれ未満及び殊に好ましくは5分及びそれ未満である。
【0071】
前記ポリメチロールの沸騰温度の100〜120%の範囲内である底部温度の場合に、前記蒸発段階における滞留時間は、好ましくは45分及びそれ未満、特に好ましくは30分及びそれ未満及び極めて特に好ましくは15分及びそれ未満及び殊に好ましくは10分及びそれ未満である。
【0072】
特別なさらなる一実施態様において、少ない滞留時間を有するリボイラーは、少ない滞留時間を有する少なくとも1つのさらなるリボイラーと結合されている。
【0073】
前記蒸留塔の底部及び少ない滞留時間を有するリボイラーは、好ましいこの実施態様において、定義に従い一緒に第一蒸発段階を形成する。
少ない滞留時間を有する前記のもしくはさらなるリボイラーは、定義に従い第二のもしくは(1+n)番目の(ここでn≧2)蒸発段階を形成する。
好ましくは、少ない滞留時間を有するリボイラーは、少ない滞留時間を有するさらなるリボイラーと結合されている(2段実施)。
この実施態様において、通常、蒸発に必要なエネルギーの主部分が、第一蒸発段階に導入される。第二蒸発段階において、そうするとより短い滞留時間で蒸発に必要なより高い温度に達することができるので、第二蒸発段階における滞留時間はより少ない。
第一段階は、好ましくは流下薄膜型蒸発缶又は蛇管式蒸発缶として構成されている。
特別なこの実施態様の第二段階は、好ましくは、流下薄膜型蒸発缶、蛇管式蒸発缶又は薄膜型蒸発缶である。
第一蒸発段階における滞留時間は、開示に従い、前記塔の熱い部分中の液体ホールドアップの体積が(Vホールドアップ)が、前記塔の還流及び供給体積流量の和により除されることで計算され(Vホールドアップ/(供給流+還流の流れ))、その際に前記塔の熱い部分中の液体ホールドアップ(Vホールドアップ)は、塔底のホールドアップの体積(Vホールドアップ−底部)+リボイラーのホールドアップの体積(Vホールドアップ−リボイラー)から計算される(Vホールドアップ=Vホールドアップ−底部+Vホールドアップ−リボイラー)。
第二蒸発段階の滞留時間は、開示に従い、第二リボイラーの液体ホールドアップが第二リボイラーの供給流により除されることで計算される。
(1+n)番目の蒸発段階の滞留時間は、それに応じて開示に従い、(1+n)番目のリボイラーの液体ホールドアップが(1+n)番目のリボイラーの供給流により除されることで計算される。
好ましいこの実施態様において、第一蒸発段階における底部温度は、有利には前記ポリメチロールの蒸発温度を上回る。
好ましくは、第一蒸発段階における底部温度は、前記ポリメチロールの沸騰温度の100〜130%、特に好ましくは110〜125%の範囲内である。
第二蒸発段階における温度は、一般的に、ほぼ完全に前記ポリメチロールが気相へ移送されるように選択される。
【0074】
好ましくは、第二蒸発段階における温度は、前記ポリメチロールの沸騰温度の105〜150%、特に好ましくは120〜150%、殊に好ましくは130〜140%である。
第一蒸発段階における滞留時間は、有利には45分未満、好ましくは30分未満、特に好ましくは15分未満、殊に好ましくは10分未満及び極めて特に好ましくは5分未満である。
第二蒸発段階における滞留時間は、有利には30分未満、好ましくは15分未満、特に好ましくは5分未満、殊に好ましくは2分未満及び極めて特に好ましくは1分未満である。
一般的に、前記蒸発段階の滞留時間を、より高い底部温度で相応してより短い滞留時間に調節されるように選択することが好ましい。
上記で述べたように、少ない滞留時間を有するリボイラーは、少ない滞留時間を有する1つよりも多いさらなるリボイラー、例えば2又は3つのリボイラーと結合されていることができ、その際に前記リボイラーのうちの最後は前記チェーン中でいわゆる最後の蒸発段階を形成する。最後の蒸発段階における滞留時間及び温度は、前記二段実施における第二蒸発段階の滞留時間及び温度に相当する。
【0075】
好ましくは、第一蒸発段階においてNPGを第三級アミンとしてTMAの使用下で製造する場合に、45分未満、好ましくは30分未満の滞留時間で135〜170℃、特に好ましくは150〜160℃の底部温度に調節されることができる。第二蒸発段階において、15分未満、好ましくは10分未満及び特に好ましくは5分未満の滞留時間で160〜220℃、好ましくは180〜200℃の温度に好ましくは調節される。
【0076】
好ましくは、前記蒸留塔は、分離性能を増加させるための内部構造物を有する。蒸留内部構造物は、例えば、規則充填物として、例えばMellapak 250 Y又はMontz Pak、タイプB1-250のような薄板充填物として存在することができる。また、より低い又は高められた比表面積を有する充填物が存在することもでき、又は織物充填物又はMellapak 252 Yのような他の幾何学的形状を有する充填物が使用されることができる。これらの蒸留内部構造物を使用する場合に有利であるのは、例えばバルブトレイと比較して、低い圧力損失及び低い比液体ホールドアップである。前記内部構造物は、1つ又はそれ以上の区間で存在することができる。
前記水素化からの排出物は、好ましくは、前記蒸留塔の理論段の1/4〜3/4の空間領域、特に好ましくは前記蒸留塔の理論段の1/3〜2/3の空間領域内に供給される。例えば、前記供給は、前記理論段の中央より幾分上方で行われることができる(比3:4)。
前記理論段の数は、一般的に5〜30、好ましくは10〜20の範囲内である。
【0077】
これらの条件下で、通例、好ましいポリメチロール(ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン及びトリメチロールブタン)については、式(I)のより低沸点のポリメチロールが、式(IV)のより高沸点のヒドロキシ酸から分離される。他のポリメチロールが、本方法へ装入される場合には、他の圧力条件及び温度条件を選択することが必要でありうるが、それによって前記ポリメチロールが前記ヒドロキシ酸から分離されることができる。
【0078】
凝縮器中で、好ましくは凝縮物として精製されたポリメチロールが生じる。
前記ポリメチロールの純度は、好ましくは少なくとも99.0質量%、特に好ましくは少なくとも99.2質量%である。
凝縮物として生じる組成物は、好ましくは式(I)のポリメチロール及び、1〜10000質量ppmの式(I)のポリメチロールと式(IV)のヒドロキシ酸とのエステル、好ましくは5〜5000質量ppm及び特に好ましくは10〜1000質量ppmの式(I)のポリメチロールと式(IV)のヒドロキシ酸とのエステルを含有する。
凝縮物として生じる組成物は通例、さらに、低い割合のポリメチロールホルマートを含有する。
それに応じて、本発明は、式(I)のポリメチロール及び、1〜10000質量ppmのポリメチロールホルマート、好ましくは5〜5000質量ppm及び特に好ましくは10〜1500質量ppmのポリメチロールホルマートを含有する組成物にも関する。
【0079】
凝縮されない残存蒸気は、通例、漏洩空気及び痕跡量の水に加えて、主にNPGを含有し、かつ有利に直接ガス状で前記蒸留へ返送される。
【0080】
好ましくは、より高沸点の化合物、例えば式(IV)のヒドロキシ酸、例えばヒドロキシピバル酸(HPS)を主に含有する前記リボイラーの底部からの排出物は外に移される。
【0081】
前記ボトムは、燃焼において熱的に利用されることができ、又は後ろにある蒸留塔中に供給されることができ、この塔中で前記ボトムは複数の留分へ分別される。
例えば、NPG製造からのボトムは、低沸点の、とりわけHPSを含有する留分、中沸点の、とりわけHPNを含有する(>97% HPN)留分及び高沸点の(とりわけHPS及びHPNのエステル)留分へ分別されることができる。
【0082】
本発明の利点は、本発明による方法により、低い割合のポリメチロールホルマートを有するポリメチロールが得られることにある。それゆえ、本発明による方法を用いて得られるポリメチロールは、結合が酸触媒反応により分解されうる塗料及びコーティングのようなポリマー又はネットワーク、例えばポリエステル又はポリウレタンにおける使用に特に好適である。本発明による方法を用いて得られたポリメチロールは、これらの用途において高い安定性を有する。
【0083】
極めて特に好ましくは、10000質量ppm未満、好ましくは5000質量ppm未満及び特に好ましくは1500質量ppm未満のポリメチロールホルマート含量を有するポリメチロールが、ポリマー又はネットワーク中の加水分解安定性を改善するために使用されることができる。特に、式(I)のポリメチロール及び、1〜10000質量ppmのポリメチロールホルマート、好ましくは5〜5000質量ppm及び特に好ましくは10〜1500質量ppmのポリメチロールホルマートを含有する組成物も、好ましくは、ポリマー又はネットワーク中の加水分解安定性を改善するために使用されることができる。
【0084】
本発明による方法のさらなる利点は、前記ポリメチロールが極めて高い収率で製造されることができることにある。このことは全体として前記ポリメチロール製造方法の経済性の改善をもたらす。
生じる副生物と生成物との本発明による分離により、本方法の経済性はさらに改善されることができる、それというのも、たいていの成分は、例えば本プロセスへの返送により、物質的に利用されることができるからである。廃棄に供給されなければならない化合物の割合は低下されるので、廃棄コストは、本発明による方法の場合に減少されることができる。
【0085】
本発明は、次の例に基づいて説明される:
例1:
水素化法での水性ポリメチロール混合物の製造
段階a) アルドール反応:
イソブチルアルデヒド(IBA約>99.5 GC面積%)約750g/hをホルムアルデヒド(Fa約49%、メタノール1.5%、水 残部)約700g/h及びトリメチルアミン溶液(水中TMA50%)80g/hと、二段階の撹拌釜カスケード中で反応させた。
【0086】
段階b) 段階a)からの反応混合物の蒸留による分離:
引き続き、前記溶液から、塔中で、蒸留により低沸成分から取り除いた。前記塔には、織物充填物(比表面積500m2/m3)1.5mが濃縮部中に、及び薄板充填物(250m2/m3)4mが備えられている。前記アルドール化排出物を、薄板充填物の上方で供給し、前記塔の頂部で、冷却水(約10℃)及び後ろにある相分離器を有する凝縮器を使用した。頂部で、前記留出物をガス状で前記凝縮器に供給した。液体凝縮物約255g/hが生じた。後ろにある相分離器中で、95g/hの水相を分離し、かつ前記塔に完全に供給した。さらに、相分離器から、135g/hを第一撹拌釜に供給した。前記塔中の調整温度を85℃に維持するために、付加的に、前記塔に有機相25g/hを供給した。前記凝縮器の後ろにあるコールドトラップ中で、液体約1g/hが生じ(IBA約80%、TMA約20%)、これらを同様に返送した。
IBA分離を、約1bar絶対の頂部圧力で操作した。リボイラーとして流下薄膜型蒸発缶を使用した。前記塔のボトム中の底部温度を102℃に調節した。塔への還流量(もしくは分縮器の冷却水量)を、前記織物充填物の中央での温度を用いて調整し、85℃の温度に調節した。
前記塔底から、ポンプを用いて液体約100kg/hを除去した。これを、流下薄膜型蒸発缶(油加熱された合金鋼管からなる、長さ2.5m、内径約21mm、壁厚約2mm)に供給した。流下薄膜型蒸発缶の底部から、イソブチルアルデヒド約0.3%の濃度を有する生成物約1.5kg/hを除去した。蒸気及び過剰の液体を前記塔底に供給した。外に移された缶出液は、HPA約70質量%、HPN約1.5質量%、IBA0.3%質量%、水 残部を含有していた。
【0087】
段階c) 段階b)からの底部排出物の水素化:
得られた缶出液を、引き続き、固定床を用いる水素化にかけた。
触媒の活性化を次のように行った:
EP 44444もしくはPF 57216に記載されたようなCu/Al23触媒150mlを、管形反応器中で190℃で、水素5体積%及び窒素95体積%の混合物(全体積50Nl/h)を加圧せずに24h通すことにより活性化させた。
水素化を次のように実施した:
出発溶液として、上記で水素化フィードとして記載された混合物を利用した。前記混合物に、前記水素化フィードを基準としてトリメチルアミンの15%水溶液約10質量%を添加した。こうして得られた供給物を、流下運転方式(Rieselfahrweise)で、H2圧40barで120℃に加熱された反応器に送った。負荷は、0.4kg HPA/(l触媒*h)であった。前記水素化排出物の一部を、前記供給物に再び混合した(循環運転方式)。循環対供給の比は10:1であった。pH値は、反応器排出物の試料から室温で8.9と測定された。
【0088】
段階c)からの水性ポリメチロール混合物の組成は次の通りである:
NPG:69質量%
メタノール:3.5質量%
TMA:2質量%
有機副次化合物(HPS、イソブタノール):<2質量%
TMAホルマート:1質量%
水:23質量%。
【0089】
例2:段階c)からの水性ポリメチロール混合物の蒸留
ヒドロキシピバルアルデヒド水素化から得られた前記排出物を、蒸留による分離に供給した。長さ各1m及び比表面積500m2/m3を有する構造化された充填物の3つの配列を有する充填塔(DN 50mm)を使用した。前記供給を最下の配列の上方で行った。約175mbar絶対の頂部圧力に調節した。ボトム中で164℃の温度に調節した。164℃の値は、175mbarでのNPGホルマートの沸点の110%に相当する。
前記エネルギーを、前記塔に自然循環蒸発器を用いて供給したが、しかしまた、他のリボイラー、例えば流下薄膜型蒸発缶も使用されることができる。頂部で得られた蒸気を凝縮器に供給し、この凝縮器は30℃で、得られた蒸気をほぼ完全に凝縮する。真空を、単純な市販の水流真空ポンプにより発生させた。得られた留出物から約350g/hを外に移し、約250g/hを前記塔に最上部の充填物区間で還流として計量供給する。真空発生に使用された水を生物学的な廃水処理に供給した。
ボトム中で、次の組成を有する粗NPGが得られた:
NPGホルマート 約400質量ppmを有するNPG 97質量%。
【0090】
比較例:
ボトム中の煮沸速度を還流の減少により75g/hに減少させた以外は、例2と同じ条件であった。ボトム中で、145℃の温度に調節した。ボトム中で、次の組成を有する粗NPGが得られた:
NPGホルマート約5700質量ppmを有するNPG 97質量%。
【0091】
例3:段階c)からの水性ポリメチロール混合物の蒸留
ヒドロキシピバルアルデヒド水素化から得られた前記排出物を、蒸留による分離に供給した。長さ各1m及び比表面積500m2/m3を有する構造化された充填物の3つの配列を有する充填塔(DN 50mm)を使用した。前記供給を最下の配列の上方で行った。約70mbar絶対の頂部圧力に調節した。ボトム中で、148℃の温度に調節した。148℃の値は、70mbarでのNPGホルマートの沸点の120%に相当する。
前記エネルギーを、前記塔に自然循環蒸発器を用いて供給したが、しかしまた、他のリボイラー、例えば流下薄膜型蒸発缶も使用されることができる。頂部で得られた蒸気を凝縮器に供給し、この凝縮器は10℃で、得られた蒸気をほぼ完全に凝縮する。真空を、単純な市販の水流真空ポンプにより発生させた。得られた留出物から約350g/hを外に移し、約250g/hを前記塔に最上部の充填物区間で還流として計量供給する。真空発生に使用された水を生物学的な廃水処理に供給した。
ボトム中で、次の組成を有する粗NPGが得られた:
NPGホルマート約400質量ppmを有するNPG 97質量%。
【0092】
例4:段階c)からの水性ポリメチロール混合物の蒸留
ヒドロキシピバルアルデヒド−水素化から得られた前記排出物を、蒸留による分離に供給した。長さ各1m及び比表面積500m2/m3を有する構造化された充填物の3つの配列を有する充填塔(DN 50mm)を使用した。前記供給を最下の配列の上方で行った。約500mbar絶対の頂部圧力に調節した。ボトム中で、189℃の温度に調節した。189℃の値は、500mbarでのNPGホルマートの沸点の106%に相当する。
前記エネルギーを、前記塔に自然循環蒸発器を用いて供給したが、しかしまた他のリボイラー、例えば流下薄膜型蒸発缶も使用することができる。頂部で得られた蒸気を凝縮器に供給し、この凝縮器は50℃で、得られた蒸気をほぼ完全に凝縮する。真空を、単純な市販の水流真空ポンプを経て発生させた。得られた留出物から約350g/hを外に移し、約250g/hを前記塔に最上部の充填物区間で還流として計量供給する。真空発生に使用された水を生物学的な廃水処理に供給した。
ボトム中で、次の組成を有する粗NPGが得られた:
NPGホルマート約400質量ppmを有するNPG 97質量%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、Rは、それぞれ互いに独立して、さらなるメチロール基又は炭素原子1〜22個を有するアルキル基又は炭素原子6〜22個を有するアリール基又はアラルキル基を表す]で示されるポリメチロール、第三級アミン、水並びに第三級アミンとギ酸との付加物(アミンホルマート)を含有する水性ポリメチロール混合物を蒸留する方法であって、蒸留を、底部でリボイラーと結合されている蒸留塔中で実施し、その際に底部温度が、前記蒸留中に形成されるギ酸とポリメチロールとのモノエステル(ポリメチロールホルマート)の蒸発温度を上回ることを特徴とする、水性ポリメチロール混合物を蒸留する方法。
【請求項2】
前記水性ポリメチロール混合物の組成が、
ポリメチロール(I) 20〜90質量%、
メタノール 0〜5質量%、
第三級アミン 0〜5質量%、
有機副次化合物 0〜5質量%、
第三級アミンとギ酸との付加物(アミンホルマート) 0.01〜5質量%、
水 残部
を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
水性ポリメチロール混合物を多段反応において得て、その際に段階a)において、アルカナールをアルドール反応においてホルムアルデヒドと、触媒として第三級アミンの存在で、式(II)
【化2】

[式中、Rは、それぞれ互いに独立して請求項1に記載された意味を有する]のメチロールアルカナールに縮合し、
かつ引き続き段階b)において、段階a)から得られた反応混合物を、式(II)の化合物を主に含有するボトムと、低沸成分を含有する塔頂流とに蒸留により分離し、
かつ段階c)において、段階b)からの底部排出物を水素化する、請求項1から2までのいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
ポリメチロールが、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン又はトリメチロールブタンである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ポリメチロールが、ネオペンチルグリコールである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第三級アミンが、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン又はトリメチルアミンである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第三級アミンが、トリメチルアミンである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
塔頂での圧力が0.001〜0.9barであり、かつ凝縮器の運転温度が0〜80℃の範囲内である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
塔底中で、前記ポリメチロールホルマートの沸騰温度を10%〜50%上回る温度に調節する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
凝縮器で生じる凝縮物の30質量%超を蒸留塔へ返送する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
蒸留塔が5〜30の理論段を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
蒸留塔が、分離性能を増加させるための内部構造物を有し、かつ前記水性ポリメチロール混合物を、前記蒸留塔の理論段の1/4〜3/4の空間領域中に供給する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
段階b)からの底部排出物に第三級アミンを添加する、請求項3から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記水性ポリメチロール混合物の蒸留からの底部排出物を、ポリメチロールを含有する塔頂流と、より高沸点の有機成分を含有する塔底流とに分離する、請求項3から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
式(I)のポリメチロールと、1〜10000質量ppmのポリメチロールホルマートとを含有する、組成物。
【請求項16】
ポリマー又はネットワークにおける使用のための、請求項15記載のポリメチロール又は請求項14により得られるポリメチロールの使用。
【請求項17】
ポリマー又はネットワークにおける加水分解安定性を改善するための、1500質量ppm未満のポリメチロールホルマート含量を有するポリメチロールの使用。

【公表番号】特表2012−511534(P2012−511534A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540042(P2011−540042)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066522
【国際公開番号】WO2010/066674
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】