説明

ポリ乳酸の製造方法、ポリ乳酸の製造装置、生分解性プラスチックの製造方法および生分解性プラスチックの製造装置

【課題】均一な品質のポリ乳酸を得ることができ、製造期間を短縮することができるポリ乳酸の製造方法、ポリ乳酸の製造装置、生分解性プラスチックの製造方法および生分解性プラスチックの製造装置を提供する。
【解決手段】1次発酵タンク12が、植物系原料を密閉して乳酸発酵させる。第1分離手段13が、1次発酵タンク12で発酵した発酵物を、液体部と固体部とに分離する。2次発酵タンク15が、第1分離手段13で分離された発酵物の液体部を密閉して再発酵させる。第2分離手段16が、2次発酵タンク15で再発酵した再発酵物を、液体部と固体部とに分離する。除湿手段17が、第2分離手段16で分離された再発酵物の液体部から水を蒸発させて乳酸を抽出する。重合手段18が、除湿手段17で抽出された乳酸を加熱し、重合させてポリ乳酸2を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸の製造方法、ポリ乳酸の製造装置、生分解性プラスチックの製造方法および生分解性プラスチックの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の植物系原料からポリ乳酸を製造する方法は、所定期間、植物系原料を乳酸発酵させ、得られた乳酸を原料としてポリ乳酸を製造している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−262770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような従来のポリ乳酸の製造方法は、乳酸発酵を所定期間の1段階で行うため、発酵後のpHが安定せず、製造されるポリ乳酸の品質が不均一になるという課題があった。また、ポリ乳酸の製造に最短でも1ヶ月程度かかるため、製造期間の短縮が望まれている。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、均一な品質のポリ乳酸を得ることができ、製造期間を短縮することができるポリ乳酸の製造方法、ポリ乳酸の製造装置、生分解性プラスチックの製造方法および生分解性プラスチックの製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るポリ乳酸の製造方法は、植物系原料を密閉して乳酸発酵させる第1発酵工程と、前記第1発酵工程での発酵物を液体部と固体部とに分離する第1分離工程と、前記第1分離工程で分離された前記発酵物の液体部を密閉して再発酵させる第2発酵工程と、前記第2発酵工程での再発酵物を液体部と固体部とに分離する第2分離工程と、前記第2分離工程で分離された前記再発酵物の液体部から水を蒸発させて乳酸を抽出する除湿工程と、前記除湿工程で抽出された前記乳酸を加熱して重合させ、ポリ乳酸を得る重合工程とを、有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るポリ乳酸の製造装置は、植物系原料を密閉して乳酸発酵させる1次発酵タンクと、前記1次発酵タンクで発酵した発酵物を液体部と固体部とに分離する第1分離手段と、前記第1分離手段で分離された前記発酵物の液体部を密閉して再発酵させる2次発酵タンクと、前記2次発酵タンクで再発酵した再発酵物を液体部と固体部とに分離する第2分離手段と、前記第2分離手段で分離された前記再発酵物の液体部から水を蒸発させて乳酸を抽出する除湿手段と、前記除湿手段で抽出された前記乳酸を加熱して重合させ、ポリ乳酸を得る重合手段とを、有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るポリ乳酸の製造装置によれば、本発明に係るポリ乳酸の製造方法を容易に実施することができる。本発明に係るポリ乳酸の製造方法およびポリ乳酸の製造装置は、第1発酵工程または第1発酵タンクで乳酸発酵された発酵物の液体部を、第2発酵工程または第2発酵タンクにより再発酵させることにより、再発酵後のpHを安定化させることができる。pHが安定した再発酵物の液体部を使用することにより、均一な品質のポリ乳酸を得ることができる。また、植物系原料の発酵を、第1発酵工程または第1発酵タンク、および第2発酵工程または第2発酵タンクの2段階で行うことにより、1段階で発酵を行う場合よりも発酵期間を短くすることができ、ポリ乳酸の製造期間を短縮することができる。
【0009】
本発明に係るポリ乳酸の製造方法およびポリ乳酸の製造装置で、植物系原料は、原料の植物に前処理が施されたものから成ることが好ましい。植物系原料は、例えば、原料の植物を粉砕したものまたは原料の植物に水を加えて加熱撹拌し、どろどろの状態にしたものや、原料の植物を細かく切断したものなどから成っている。また、必要に応じて、2〜10重量%程度の糖分が加えられてもよい。第1発酵工程または第1発酵タンクは、植物系原料に乳酸類や他の原料を添加して乳酸発酵させてもよい。
【0010】
本発明に係るポリ乳酸の製造方法およびポリ乳酸の製造装置は、それぞれ、第1発酵工程または第1発酵タンク、および第2発酵工程または第2発酵タンクで発生する二酸化炭素などのガスを、例えば炭素水の原料として再利用化する工程またはタンクを有していてもよい。また、第1分離工程または第1発酵タンクでの発酵物の固体部、および第2分離工程または第2発酵タンクでの再発酵物の固体部から、肥料を製造する工程または肥料化手段を有していてもよい。
【0011】
本発明に係るポリ乳酸の製造方法で、前記第1発酵工程は前記植物系原料を5〜25日間密閉して発酵させ、前記第2発酵工程は前記発酵物の液体部のpHが2.2〜2.6になるよう、25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度で密閉して再発酵させ、前記除湿工程は、前記第2分離工程で分離された前記再発酵物の液体部に対して、超音波振動により水を霧化させて蒸発させ、前記重合工程は前記乳酸を190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して重合させることが好ましい。この場合、よりpHおよび品質が安定したポリ乳酸を得ることができる。また、2〜4週間程度の短期間で、効率よくポリ乳酸を得ることもできる。さらにポリ乳酸の品質を安定化させるため、除湿工程を、25〜50℃の温度で5〜6時間行うことが好ましい。
【0012】
本発明に係るポリ乳酸の製造方法で、前記植物系原料は、白米、玄米、籾米、発芽米、昆布、ワカメ、ホンダワラ、卵の殻、ソテツの実、貝の殻またはコンニャク芋のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。植物系原料が白米、玄米、籾米または発芽米を含む場合、米由来のポリ乳酸を得ることができる。また、植物系原料が昆布、ワカメまたはホンダワラなどの褐藻海草類を含む場合、フコイダンやアルギン酸を含むポリ乳酸を得ることができる。植物系原料が卵の殻、ソテツの実または貝の殻を含む場合、カルシウムを含むポリ乳酸を得ることができる。植物系原料がコンニャク芋を含む場合、粘り気のあるコンニャク由来のポリ乳酸を得ることができる。
【0013】
本発明に係る米由来ポリ乳酸の製造方法は、発酵物のpHが4以下になるよう、白米、玄米、籾米または発芽米のうち少なくとも1つを含む植物系原料を25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度で5〜10日間密閉して乳酸発酵させる第1発酵工程と、前記第1発酵工程での発酵物を液体部と固体部とに分離する第1分離工程と、前記第1分離工程で分離された前記発酵物の液体部を、60〜100℃の温度で20分〜1時間加熱して雑菌処理する加熱工程と、前記加熱工程で雑菌処理された前記発酵物の液体部のpHが2.2〜2.6になるよう、前記発酵物の液体部を25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度で密閉して再発酵させる第2発酵工程と、前記第2発酵工程での再発酵物を液体部と固体部とに分離する第2分離工程と、前記第2分離工程で分離された前記再発酵物の液体部から水を蒸発させて乳酸を抽出する除湿工程と、前記除湿工程で抽出された前記乳酸を190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して重合させ、ポリ乳酸を得る重合工程とを、有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る米由来ポリ乳酸の製造方法は、本発明に係るポリ乳酸の製造方法に加熱工程を付加したものであり、pHが安定した、均一な品質の米由来のポリ乳酸を得ることができる。また、2週間程度の短期間で、効率よく米由来のポリ乳酸を得ることができる。加熱工程で雑菌処理を行うため、衛生的である。なお、除湿工程は、第2分離工程で分離された再発酵物の液体部に対して、超音波振動により水を霧化させて蒸発させてもよい。
【0015】
また、本発明に係るポリ乳酸の製造装置は、前記第1分離手段で分離された前記発酵物の液体部を加熱して雑菌処理する加熱手段を有し、前記植物系原料は、白米、玄米、籾米または発芽米のうち少なくとも1つを含み、前記2次発酵タンクは前記加熱手段で雑菌処理された前記発酵物の液体部を密閉して再発酵させるよう構成されていてもよい。この場合、本発明に係るポリ乳酸の製造装置により、本発明に係る米由来ポリ乳酸の製造方法を容易に実施することができる。
【0016】
本発明に係るバインダー用ポリ乳酸の製造方法は、昆布、ワカメ、ホンダワラ、卵の殻、ソテツの実、貝の殻またはコンニャク芋のうち少なくとも1つを含む植物系原料に、本発明に係る米由来ポリ乳酸の製造方法で製造された前記米由来のポリ乳酸を添加して10〜25日間密閉し、乳酸発酵させる第1発酵工程と、前記第1発酵工程での発酵物を液体部と固体部とに分離する第1分離工程と、前記第1分離工程で分離された前記発酵物の液体部のpHが2.2〜2.6になるよう、前記発酵物の液体部を25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度で密閉して再発酵させる第2発酵工程と、前記第2発酵工程での再発酵物を液体部と固体部とに分離する第2分離工程と、前記第2分離工程で分離された前記再発酵物の液体部から水を蒸発させて乳酸を抽出する除湿工程と、前記除湿工程で抽出された前記乳酸を190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して重合させ、ポリ乳酸を得る重合工程とを、有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るバインダー用ポリ乳酸の製造方法は、本発明に係るポリ乳酸の製造方法を利用したものであり、pHが安定した、均一な品質のバインダー用のポリ乳酸を得ることができる。植物系原料が昆布、ワカメまたはホンダワラなどの褐藻海草類を含む場合、フコイダンやアルギン酸を含むバインダー用のポリ乳酸を得ることができる。植物系原料が卵の殻、ソテツの実または貝の殻を含む場合、カルシウムを含むバインダー用のポリ乳酸を得ることができる。植物系原料がコンニャク芋を含む場合、粘り気のあるコンニャク由来のバインダー用のポリ乳酸を得ることができる。なお、除湿工程は、第2分離工程で分離された再発酵物の液体部に対して、超音波振動により水を霧化させて蒸発させてもよい。
【0018】
本発明に係る生分解性プラスチックの製造方法は、本発明に係る米由来ポリ乳酸の製造方法により得られた米由来のポリ乳酸と、本発明に係るバインダー用ポリ乳酸の製造方法により得られたバインダー用のポリ乳酸とを加熱しつつ混合撹拌する撹拌工程と、混合撹拌の後、水を除去して、その混合物をポリ乳酸化させる原料製造工程と、ポリ乳酸化した前記混合物を冷却し、固化させて生分解性プラスチックを得る固化工程とを、有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る生分解性プラスチックの製造装置は、本発明に係るポリ乳酸の製造装置と、前記ポリ乳酸の製造装置により得られた複数種類のポリ乳酸を加熱しつつ混合撹拌する撹拌手段と、前記撹拌手段で混合撹拌の後、水を除去して、その混合物をポリ乳酸化させる原料製造手段と、前記原料製造手段でポリ乳酸化した前記混合物を冷却し、固化させて生分解性プラスチックを得る固化手段とを、有することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る生分解性プラスチックの製造装置によれば、本発明に係る生分解性プラスチックの製造方法を容易に実施することができる。本発明に係る生分解性プラスチックの製造方法および生分解性プラスチックの製造装置では、米などの植物系原料から得られたポリ乳酸を利用するため、生分解性を有するプラスチックを製造することができる。撹拌工程でカルシウムを含むバインダー用のポリ乳酸を混合することにより、得られる生分解性プラスチックをより固くすることができる。撹拌工程でアルギン酸を含むバインダー用のポリ乳酸を混合することにより、粘着性が増し、ペレット状などの任意の形状に整えやすくすることができる。また、得られる生分解性プラスチックに柔軟性を付加することができ、生分解性プラスチックを割れにくくすることができる。撹拌工程でコンニャク芋由来のバインダー用のポリ乳酸を混合することにより、粘度の高い生分解性プラスチックを得ることができる。
【0021】
本発明に係る生分解性プラスチックの製造方法で、前記撹拌工程は前記米由来のポリ乳酸と前記バインダー用のポリ乳酸とを、190〜230℃の温度で30分〜1時間加熱しつつ混合撹拌し、前記原料製造工程は70〜90℃の温度で、水を除去して、前記混合物をポリ乳酸化させることが好ましい。この場合、より優れた性能を有する生分解性プラスチックを得ることができる。
【0022】
本発明に係る生分解性プラスチックの製造方法で、前記撹拌工程は前記米由来のポリ乳酸に対して、前記バインダー用のポリ乳酸を5〜30重量%の割合で混合撹拌することが好ましい。この場合、特に粘度が高い生分解性プラスチックを得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、均一な品質のポリ乳酸を得ることができ、製造期間を短縮することができるポリ乳酸の製造方法、ポリ乳酸の製造装置、生分解性プラスチックの製造方法および生分解性プラスチックの製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1および図2は、本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造方法、ポリ乳酸の製造装置、生分解性プラスチックの製造方法および生分解性プラスチックの製造装置を示している。
本発明の実施の形態の生分解性プラスチックの製造装置は、図1に示す本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造装置と、図2に示すプラスチック化装置とを有している。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造装置は、前処理手段11と1次発酵タンク12と第1分離手段13と加熱手段14と2次発酵タンク15と第2分離手段16と除湿手段17と重合手段18とガス処理タンク19と肥料化手段20とを有している。
【0026】
図1に示すように、前処理手段11は、原料の植物1に前処理を施して、植物系原料を形成するよう構成されている。具体的には、前処理手段11は、原料の植物1が白米、玄米、籾米または発芽米を含むとき、原料の植物1を粉砕したものや原料の植物1に水を加えて加熱撹拌し、どろどろの状態にして、植物系原料を形成するようになっている。また、前処理手段11は、原料の植物1が昆布、ワカメ、ホンダワラ、卵の殻、ソテツの実、貝の殻またはコンニャク芋を含むとき、原料の植物1を細かく切断して植物系原料を形成するようになっている。前処理手段11は、処理した植物系原料を1次発酵タンク12に送るようになっている。
【0027】
1次発酵タンク12は、撹拌装置が付いた密閉式のタンクから成っている。1次発酵タンク12は、前処理手段11で処理された植物系原料や乳酸等の添加物を収納して密閉し、撹拌しながら乳酸発酵させるよう構成されている。1次発酵タンク12は、発酵した発酵物を第1分離手段13に送り、発酵時に発生した二酸化炭素などのガス成分をガス処理タンク19に送るようになっている。
【0028】
第1分離手段13は、ろ過装置から成っている。第1分離手段13は、1次発酵タンク12で発酵した発酵物をろ過して、液体部と固体部とに分離するよう構成されている。第1分離手段13は、分離した発酵物の液体部を加熱手段14または2次発酵タンク15に送り、発酵物の固体部を肥料化手段20に送るようになっている。
【0029】
図1に示すように、加熱手段14は、加熱装置から成り、第1分離手段13で分離された発酵物の液体部を加熱可能に構成されている。これにより、加熱手段14は、発酵物の液体部を雑菌処理するようになっている。加熱手段14は、加熱後の発酵物の液体部を2次発酵タンク15に送るようになっている。
【0030】
2次発酵タンク15は、撹拌装置が付いた密閉式のタンクから成っている。2次発酵タンク15は、加熱手段14による加熱後の発酵物の液体部または第1分離手段13で分離された発酵物の液体部を収納して密閉し、撹拌しながら再発酵させるよう構成されている。2次発酵タンク15は、再発酵した再発酵物を第2分離手段16に送り、再発酵時に発生した二酸化炭素などのガス成分をガス処理タンク19に送るようになっている。
【0031】
第2分離手段16は、ろ過装置から成っている。第2分離手段16は、2次発酵タンク15で再発酵した再発酵物をろ過して、液体部と固体部とに分離するよう構成されている。第2分離手段16は、分離した再発酵物の液体部を除湿手段17に送り、再発酵物の固体部を肥料化手段20に送るようになっている。
【0032】
図1に示すように、除湿手段17は、超音波振動子付きのタンク17aを有している。除湿手段17は、第2分離手段16で分離された再発酵物の液体部に対して、超音波振動子で発生させた超音波振動により水を霧化させ、除湿機能でその水分を蒸発させるよう構成されている。これにより、除湿手段17は、再発酵物の液体部から乳酸を抽出可能になっている。除湿手段17は、抽出した乳酸を重合手段18に送るようになっている。
【0033】
重合手段18は、加熱装置から成り、除湿手段17で抽出された乳酸を加熱可能に構成されている。これにより、重合手段18は、乳酸を重合させてポリ乳酸2を得るようになっている。重合手段18は、得られたポリ乳酸2を排出可能になっている。
【0034】
図1に示すように、ガス処理タンク19は、1次発酵タンク12および2次発酵タンク15で発生した二酸化炭素などのガスを集めて収納可能に構成されている。ガス処理タンク19は、例えば、集められたガスを無害化して排出処理したり、集められた二酸化炭素を炭素水の原料として再利用化処理したりするようになっている。
【0035】
肥料化手段20は、第1分離手段13で分離された発酵物の固体部および第2分離手段16で分離された再発酵物の固体部から、肥料を製造可能に構成されている。
【0036】
図2に示すように、プラスチック化装置は、撹拌手段21と原料製造手段22と固化手段23とを有している。撹拌手段21は、超音波撹拌機能が付いたタンクから成っている。撹拌手段21は、重合手段18から排出された複数種類のポリ乳酸2を収納し、それらを超音波撹拌機能により加熱しつつ混合撹拌するよう構成されている。撹拌手段21は、混合撹拌後の混合物を原料製造手段22に送るようになっている。
【0037】
原料製造手段22は、加熱装置から成り、撹拌手段21で混合撹拌された混合物を加熱して水を除去し、その混合物をポリ乳酸化させるよう構成されている。原料製造手段22は、ポリ乳酸化した混合物を固化手段23に送るようになっている。
【0038】
固化手段23は、シリコン製または粘土製の容器を有し、原料製造手段22でポリ乳酸化した混合物をその容器に収納して冷却し、固化させるよう構成されている。これにより、固化手段23は、生分解性プラスチック3を得るようになっている。固化手段23は、得られた生分解性プラスチック3を排出可能になっている。なお、容器は、製造する生分解性プラスチック3の形状に合わせて、任意の所望の形状を成している。
【0039】
本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造装置によれば、本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造方法を容易に実施することができる。また、本発明の実施の形態の生分解性プラスチックの製造装置によれば、本発明の実施の形態の生分解性プラスチックの製造方法を容易に実施することができる。
【0040】
[米由来のポリ乳酸の製造]
本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造方法では、原料の植物1が白米、玄米、籾米または発芽米を含む場合、まず、前処理手段11により、これら原料の植物1を粉砕したものや原料の植物に水を加えて加熱撹拌し、どろどろの状態にして、植物系原料を形成する。このとき、必要に応じて、2〜10重量%程度の糖分が加えられてもよい。
【0041】
次に、前処理した植物系原料を、1次発酵タンク12に収納して密閉し、25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度に保った状態で乳酸発酵させる。このとき、植物1の持つデンプン質が糖分で分解されるため、乳酸菌の増殖を促すことができる。発酵中、1次発酵タンク12内に二酸化炭素ガスが発生して充満するため、随時、適量のガス成分をガス処理タンク19に排出し、ガス排出後、再び密閉して発酵を続ける。また、発酵中、pH計で発酵物のpHを測定し、発酵物のpHが4以下に低下するまで、発酵を継続させる。具体的には、1週間程度発酵させることにより、pHが4以下に低下する。
【0042】
pHが4以下に低下したならば、第1分離手段13により、発酵物を液体部と固体部とに分離する。分離した発酵物の液体部を、加熱手段14により、60〜100℃の温度で30分程度加熱して雑菌処理を行う。なお、分離した発酵物の固体部は、肥料化手段20に送られて肥料として再利用される。加熱手段14による加熱後の発酵物の液体部を、2次発酵タンク15に収納して密閉し、25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度に保った状態で、発酵物のpHが2.2〜2.6になるまで、再発酵させる。
【0043】
再発酵した再発酵物から、沈殿したデンプン質を沈殿分離する。これにより、再発酵物の水分が透明化する。この再発酵物を、第2分離手段16により、液体部と固体部とに分離する。除湿手段17により、25〜50℃の温度で5〜6時間、分離した再発酵物の液体部に対して、2.4MHzの超音波振動により水を霧化させ、除湿機能でその水分を蒸発させる。これにより、乳酸を抽出することができる。抽出された乳酸をアルミ容器に入れ、190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して乳酸を重合させる。これにより、米由来のポリ乳酸2aを得ることができる。なお、得られた米由来のポリ乳酸2aの乳酸菌数を、BCP寒天培地法により計測した結果、3,000,000以上/ml(検出上限値以上)であった。
【0044】
[アルギン酸を含むバインダー用のポリ乳酸の製造]
本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造方法では、原料の植物1が昆布、ワカメ、ホンダワラ等の褐藻海草類を含む場合、まず、前処理手段11により、これら原料の植物1を細かく切断して粉末状にして、植物系原料を形成する。
【0045】
次に、前処理した植物系原料と米由来のポリ乳酸2aとを、1次発酵タンク12に収納して密閉し、25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度に保った状態で2週間程度、乳酸発酵させる。このとき、海草類が乳酸により分解され、海草類に含まれるアルギン酸が乳酸上に溶け出すため、アルギン酸を含んだ乳酸が形成される。また、発酵中、1次発酵タンク12内に二酸化炭素ガスが発生して充満するため、随時、適量のガス成分をガス処理タンク19に排出し、ガス排出後、再び密閉して発酵を続ける。
【0046】
発酵後、第1分離手段13により、発酵物を液体部と固体部とに分離する。分離した発酵物の液体部を、2次発酵タンク15に収納して密閉し、25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度に保った状態で、発酵物のpHが2.2〜2.6になるまで、再発酵させる。このとき、アルギン酸を多く含む海草デンプン質が糖分で分解されるため、アルギン酸を多く含んだ乳酸菌の再発酵化を促すことができる。なお、分離した発酵物の固体部は、肥料化手段20に送られて肥料として再利用される。
【0047】
再発酵した再発酵物から、沈殿したデンプン質を沈殿分離し、再発酵物の水分の安定化を図る。安定化した再発酵物を、第2分離手段16により、液体部と固体部とに分離する。除湿手段17により、25〜50℃の温度で5〜6時間、分離した再発酵物の液体部に対して、2.4MHzの超音波振動により水を霧化させ、除湿機能でその水分を蒸発させる。これにより、乳酸を抽出することができる。抽出された乳酸をアルミ容器に入れ、190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して乳酸を重合させる。重合させた乳酸を、シリコン製または粘土製の容器に入れて冷却し、固化させる。これにより、アルギン酸を含むバインダー用のポリ乳酸2bを得ることができる。また、アルギン酸を含むバインダー用のポリ乳酸2bは、フコイダンも多く含んでいる。
【0048】
[カルシウムを含むバインダー用のポリ乳酸の製造]
本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造方法では、原料の植物1が卵の殻、ソテツの実または貝の殻を含む場合、まず、前処理手段11により、これら原料の植物1を細かく切断して粉末状にして、植物系原料を形成する。
【0049】
次に、前処理した植物系原料と米由来のポリ乳酸2aとを、1次発酵タンク12に収納して密閉し、25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度に保った状態で2〜3週間程度、乳酸発酵させる。このとき、卵の殻等が乳酸により分解され、卵の殻等に含まれるカルシウム分が乳酸上に溶け出すため、カルシウムを含んだ乳酸が形成される。また、発酵中、1次発酵タンク12内に二酸化炭素ガスが発生して充満するため、随時、適量のガス成分をガス処理タンク19に排出し、ガス排出後、再び密閉して発酵を続ける。
【0050】
発酵後、第1分離手段13により、発酵物を液体部と固体部とに分離する。分離した発酵物の液体部を、2次発酵タンク15に収納して密閉し、25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度に保った状態で、発酵物のpHが2.2〜2.6になるまで、再発酵させる。このとき、カルシウムを多く含む植物性のデンプン質が糖分で分解されるため、カルシウムを多く含んだ乳酸菌の再発酵化を促すことができる。なお、分離した発酵物の固体部は、肥料化手段20に送られて肥料として再利用される。
【0051】
再発酵した再発酵物から、沈殿したデンプン質を沈殿分離し、再発酵物の水分の安定化を図る。安定化した再発酵物を、第2分離手段16により、液体部と固体部とに分離する。除湿手段17により、25〜50℃の温度で5〜6時間、分離した再発酵物の液体部に対して、2.4MHzの超音波振動により水を霧化させ、除湿機能でその水分を蒸発させる。これにより、乳酸を抽出することができる。抽出された乳酸をアルミ容器に入れ、190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して乳酸を重合させる。重合させた乳酸を、シリコン製または粘土製の容器に入れて冷却し、固化させる。これにより、カルシウムを含むバインダー用のポリ乳酸2cを得ることができる。
【0052】
[コンニャク由来のバインダー用のポリ乳酸の製造]
本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造方法では、原料の植物1がコンニャク芋を含む場合、まず、前処理手段11により、コンニャク芋を細かく切断して粉末状にして、植物系原料を形成する。
【0053】
次に、前処理した植物系原料と糖分または米由来のポリ乳酸2aとを、1次発酵タンク12に収納して密閉し、25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度に保った状態で2〜3週間程度、乳酸発酵させる。このとき、コンニャク芋のデンプンが乳酸により分解されて、コンニャク由来の乳酸が形成される。また、発酵中、1次発酵タンク12内に二酸化炭素ガスが発生して充満するため、随時、適量のガス成分をガス処理タンク19に排出し、ガス排出後、再び密閉して発酵を続ける。
【0054】
発酵後、第1分離手段13により、発酵物を液体部と固体部とに分離する。分離した発酵物の液体部を、2次発酵タンク15に収納して密閉し、25〜60℃、好ましくは35〜45℃の温度に保った状態で、発酵物のpHが2.2〜2.6になるまで、再発酵させる。これにより、再発酵物に粘り気が出る。なお、分離した発酵物の固体部は、肥料化手段20に送られて肥料として再利用される。
【0055】
再発酵した再発酵物から、沈殿したデンプン質を沈殿分離し、再発酵物の水分の安定化を図る。安定化した再発酵物を、第2分離手段16により、液体部と固体部とに分離する。除湿手段17により、25〜50℃の温度で5〜6時間、分離した再発酵物の液体部に対して、2.4MHzの超音波振動により水を霧化させ、除湿機能でその水分を蒸発させる。これにより、乳酸を抽出することができる。抽出された乳酸をアルミ容器に入れ、190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して乳酸を重合させる。重合させた乳酸を、シリコン製または粘土製の容器に入れて冷却し、固化させる。これにより、粘り気のあるコンニャク由来のバインダー用のポリ乳酸2dを得ることができる。
【0056】
このように、本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造方法およびポリ乳酸の製造装置は、1次発酵タンク12で乳酸発酵された発酵物の液体部を、2次発酵タンク15で再発酵させることにより、再発酵後のpHを安定化させることができる。pHが安定した再発酵物の液体部を使用することにより、均一な品質のポリ乳酸2を得ることができる。また、植物系原料の発酵を、1次発酵タンク12および2次発酵タンク15の2段階で行うことにより、1段階で発酵を行う場合よりも発酵期間を短くすることができ、ポリ乳酸2の製造期間を短縮することができる。例えば、米由来のポリ乳酸2aの場合には2週間程度、バインダー用のポリ乳酸2b,2c,2dの場合には、あらかじめ米由来のポリ乳酸2aを準備しておくことにより、2〜4週間程度の短期間で、効率よくポリ乳酸2を得ることができる。
【0057】
[生分解性プラスチックの製造]
本発明の実施の形態の生分解性プラスチックの製造方法は、まず、撹拌手段21により、米由来のポリ乳酸2aとバインダー用のポリ乳酸2b,2c,2dとを、190〜230℃の温度で30分〜1時間加熱しつつ混合撹拌する。このとき、米由来のポリ乳酸2aに対して、バインダー用のポリ乳酸2b,2c,2dを5〜30重量%の割合で混合撹拌する。混合するバインダー用のポリ乳酸としては、製造する生分解性プラスチック3に付与する性能に応じて、アルギン酸を含むバインダー用のポリ乳酸2b、カルシウムを含むバインダー用のポリ乳酸2c、およびコンニャク由来のバインダー用のポリ乳酸2dのうち、1種類〜複数種類を使用するのが好ましい。
【0058】
次に、混合撹拌した後の混合物を、原料製造手段22により、80℃の温度で加熱して水を除去し、その混合物をポリ乳酸化させる。ポリ乳酸化した混合物を、固化手段23の容器に収納して冷却し、固化させる。これにより、生分解性プラスチック3を得ることができる。
【0059】
本発明の実施の形態の生分解性プラスチックの製造方法および生分解性プラスチックの製造装置では、米由来のポリ乳酸2aを利用するため、生分解性を有する生分解性プラスチック3を製造することができる。また、米由来のポリ乳酸2aにカルシウムを含むバインダー用のポリ乳酸2cを混合することにより、得られる生分解性プラスチック3をより固くすることができる。米由来のポリ乳酸2aにアルギン酸を含むバインダー用のポリ乳酸2bを混合することにより、粘着性が増し、ペレット状などの任意の形状に整えやすくすることができる。また、得られる生分解性プラスチック3に柔軟性を付加することができ、生分解性プラスチック3を割れにくくすることができる。米由来のポリ乳酸2aにコンニャク由来のバインダー用のポリ乳酸2dを混合することにより、粘度の高い生分解性プラスチックを得ることができる。このように、本発明の実施の形態の生分解性プラスチックの製造方法および生分解性プラスチックの製造装置によれば、より優れた性能を有する生分解性プラスチックを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態のポリ乳酸の製造装置および製造方法を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の生分解性プラスチックの製造装置および製造方法の、プラスチック化装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1 原料の植物
2 ポリ乳酸
2a 米由来のポリ乳酸
2b アルギン酸を含むバインダー用のポリ乳酸
2c カルシウムを含むバインダー用のポリ乳酸
2d コンニャク由来のバインダー用のポリ乳酸
3 生分解性プラスチック
11 前処理手段
12 1次発酵タンク
13 第1分離手段
14 加熱手段
15 2次発酵タンク
16 第2分離手段
17 除湿手段
18 重合手段
19 ガス処理タンク
20 肥料化手段
21 撹拌手段
22 原料製造手段
23 固化手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物系原料を密閉して乳酸発酵させる第1発酵工程と、
前記第1発酵工程での発酵物を液体部と固体部とに分離する第1分離工程と、
前記第1分離工程で分離された前記発酵物の液体部を密閉して再発酵させる第2発酵工程と、
前記第2発酵工程での再発酵物を液体部と固体部とに分離する第2分離工程と、
前記第2分離工程で分離された前記再発酵物の液体部から水を蒸発させて乳酸を抽出する除湿工程と、
前記除湿工程で抽出された前記乳酸を加熱して重合させ、ポリ乳酸を得る重合工程とを、
有することを特徴とするポリ乳酸の製造方法。
【請求項2】
前記第1発酵工程は前記植物系原料を5〜25日間密閉して発酵させ、
前記第2発酵工程は前記発酵物の液体部のpHが2.2〜2.6になるよう、25〜60℃の温度で密閉して再発酵させ、
前記除湿工程は、前記第2分離工程で分離された前記再発酵物の液体部に対して、超音波振動により水を霧化させて蒸発させ、
前記重合工程は前記乳酸を190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して重合させることを、
特徴とする請求項1記載のポリ乳酸の製造方法。
【請求項3】
前記植物系原料は、白米、玄米、籾米、発芽米、昆布、ワカメ、ホンダワラ、卵の殻、ソテツの実、貝の殻またはコンニャク芋のうち少なくとも1つを含むことを、特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸の製造方法。
【請求項4】
発酵物のpHが4以下に低下するよう、白米、玄米、籾米または発芽米のうち少なくとも1つを含む植物系原料を25〜60℃の温度で5〜10日間密閉して乳酸発酵させる第1発酵工程と、
前記第1発酵工程での発酵物を液体部と固体部とに分離する第1分離工程と、
前記第1分離工程で分離された前記発酵物の液体部を、60〜100℃の温度で20分〜1時間加熱して雑菌処理する加熱工程と、
前記加熱工程で雑菌処理された前記発酵物の液体部のpHが2.2〜2.6になるよう、前記発酵物の液体部を25〜60℃の温度で密閉して再発酵させる第2発酵工程と、
前記第2発酵工程での再発酵物を液体部と固体部とに分離する第2分離工程と、
前記第2分離工程で分離された前記再発酵物の液体部から水を蒸発させて乳酸を抽出する除湿工程と、
前記除湿工程で抽出された前記乳酸を190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して重合させ、ポリ乳酸を得る重合工程とを、
有することを特徴とする米由来ポリ乳酸の製造方法。
【請求項5】
昆布、ワカメ、ホンダワラ、卵の殻、ソテツの実、貝の殻またはコンニャク芋のうち少なくとも1つを含む植物系原料に、請求項4記載の米由来ポリ乳酸の製造方法で製造された前記米由来のポリ乳酸を添加して10〜25日間密閉し、乳酸発酵させる第1発酵工程と、
前記第1発酵工程での発酵物を液体部と固体部とに分離する第1分離工程と、
前記第1分離工程で分離された前記発酵物の液体部のpHが2.2〜2.6になるよう、前記発酵物の液体部を25〜60℃の温度で密閉して再発酵させる第2発酵工程と、
前記第2発酵工程での再発酵物を液体部と固体部とに分離する第2分離工程と、
前記第2分離工程で分離された前記再発酵物の液体部から水を蒸発させて乳酸を抽出する除湿工程と、
前記除湿工程で抽出された前記乳酸を190〜230℃の温度で10分〜1時間加熱して重合させ、ポリ乳酸を得る重合工程とを、
有することを特徴とするバインダー用ポリ乳酸の製造方法。
【請求項6】
植物系原料を密閉して乳酸発酵させる1次発酵タンクと、
前記1次発酵タンクで発酵した発酵物を液体部と固体部とに分離する第1分離手段と、
前記第1分離手段で分離された前記発酵物の液体部を密閉して再発酵させる2次発酵タンクと、
前記2次発酵タンクで再発酵した再発酵物を液体部と固体部とに分離する第2分離手段と、
前記第2分離手段で分離された前記再発酵物の液体部から水を蒸発させて乳酸を抽出する除湿手段と、
前記除湿手段で抽出された前記乳酸を加熱して重合させ、ポリ乳酸を得る重合手段とを、
有することを特徴とするポリ乳酸の製造装置。
【請求項7】
前記第1分離手段で分離された前記発酵物の液体部を加熱して雑菌処理する加熱手段を有し、
前記植物系原料は、白米、玄米、籾米または発芽米のうち少なくとも1つを含み、
前記2次発酵タンクは前記加熱手段で雑菌処理された前記発酵物の液体部を密閉して再発酵させるよう構成されていることを、
特徴とする請求項6記載のポリ乳酸の製造装置。
【請求項8】
請求項4記載の米由来ポリ乳酸の製造方法により得られた米由来のポリ乳酸と、請求項5記載のバインダー用ポリ乳酸の製造方法により得られたバインダー用のポリ乳酸とを加熱しつつ混合撹拌する撹拌工程と、
混合撹拌の後、水を除去して、その混合物をポリ乳酸化させる原料製造工程と、
ポリ乳酸化した前記混合物を冷却し、固化させて生分解性プラスチックを得る固化工程とを、
有することを特徴とする生分解性プラスチックの製造方法。
【請求項9】
前記撹拌工程は前記米由来のポリ乳酸と前記バインダー用のポリ乳酸とを、190〜230℃の温度で30分〜1時間加熱しつつ混合撹拌し、
前記原料製造工程は70〜90℃の温度で、水を除去して、前記混合物をポリ乳酸化させることを、
特徴とする請求項8記載の生分解性プラスチックの製造方法。
【請求項10】
前記撹拌工程は前記米由来のポリ乳酸に対して、前記バインダー用のポリ乳酸を5〜30重量%の割合で混合撹拌することを、特徴とする請求項8または9記載の生分解性プラスチックの製造方法。
【請求項11】
請求項6または7記載のポリ乳酸の製造装置と、
前記ポリ乳酸の製造装置により得られた複数種類のポリ乳酸を加熱しつつ混合撹拌する撹拌手段と、
前記撹拌手段で混合撹拌の後、水を除去して、その混合物をポリ乳酸化させる原料製造手段と、
前記原料製造手段でポリ乳酸化した前記混合物を冷却し、固化させて生分解性プラスチックを得る固化手段とを、
有することを特徴とする生分解性プラスチックの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−115165(P2010−115165A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291464(P2008−291464)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【特許番号】特許第4339393号(P4339393)
【特許公報発行日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(505157599)
【出願人】(508338533)株式会社 ロイヤル・バイオ・プラ (2)
【Fターム(参考)】