説明

ポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布及びその製造方法

【課題】ポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布及びその製造方法の提供。
【解決手段】ポリ乳酸及びポリプロピレンのブレンド紡糸により製造された不織布において、前記不織布は、ブレンディングのための高分子混合物の総重量中のポリ乳酸の重量は10〜25重量%であり、ポリプロピレンの重量は65〜89重量%であり、分散剤の重量は1〜10重量%であるポリプロピレン/ポリ乳酸のブレンド樹脂から芯層を形成し、これを総重量の50〜80重量%にし、20〜50重量%の植物由来のポリエチレン樹脂から外部層を形成した鞘芯型フィラメントから構成されるものであることを特徴とするポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布。
このような構成を有する本発明のポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布及びその製造方法は、ポリプロピレンとポリ乳酸のブレンドを芯層とし、ポリエチレンを鞘層として複合紡糸して不織布を製造することから、生産性及び機械的な物性に優れており、しかも、二酸化炭素の排出量を画期的に減らした環境にやさしいスパンボンド不織布を提供して上記の従来の問題点を解消した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリ乳酸の複合紡糸に用いた環境にやさしいスパンボンド不織布の製造方法とこれにより製造された不織布に係り、さらに詳しくは、特定の分散剤を用いてポリ乳酸とポリプロピレンをブレンドした溶融物を紡糸して芯層として不織布を製造することから、炭素の排出の低減に役立ち、しかも、鞘層に植物由来のポリエチレンを紡糸してソフト性と強度を維持するポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、幼児用オムツ及び成人用失禁オムツ、生理ナプキンなどの衛生材バックシート用不織布としては、衛生材の薄膜化及び外観のソフト化のために、ポリエチレンフィルムを最外層とした製品、複合紡糸多層構造のスパンボンドであって極細糸であるメルトブローン不織布が内部に形成された多層不織布などが用いられている。
【0003】
しかしながら、一方では、技術の発展とライフ質の向上に伴い幾何級数的に増える、前記不織布などの廃高分子による環境汚染問題と石油価格の沸騰により、環境への負担が少なく、バイオマスから得られて再生可能な植物由来の高分子材料が注目を集めている。特に、最近、環境汚染が深刻化するに伴い、土壌または埋立地において自然に分解可能な生分解性高分子が脚光を浴びている。
【0004】
このような高分子のうち、脂肪族ポリエステル高分子は、加工性に優れており、分解特性が調節し易いことから、生分解性高分子として最も盛んに研究されているが、特に、中でも、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)の場合に、全世界に10万トン規模の市場を形成しており、食品包装材及び容器、電子製品ケースなどの一般プラスチックが用いられていた分野までその適用範囲が拡大されつつあるのが現状である。
【0005】
また、最近には、ポリ乳酸とポリプロピレンをブレンドする研究が進んでいるが、前記ポリ乳酸をポリプロピレンとブレンドして用いる場合に、石油原料由来の汎用樹脂の使用量を抑えることができて、結果的に石油燃料の使用量が抑えられ、且つ、廃棄時の炭酸ガスの発生と燃焼熱を低減することができて環境への負担を減らし得る方法として脚光を浴びている。特に、現在、使い捨て衛生製品に最も多用されているポリプロピレンの場合に、1トンのポリプロピレンを燃焼させるときに発生する二酸化炭素の量が3、200kgであるのに対し、ポリ乳酸の場合に1、830kgであって、ポリプロピレンの57%のレベルに留まっており、極めて有利であるといえる。
【0006】
しかしながら、前記有利な側面にも拘わらず、前記ポリ乳酸とポリプロピレンをブレンドする場合にポリ乳酸とポリプロピレンとの分散性が十分ではないために耐熱性や機械的特性を向上させることができないという問題点があり、このような問題点を解消するためにいくつかの方案が提案されているが、例えば、これまで提示されたポリ乳酸とポリ乳酸以外の熱可塑性樹脂とのブレンドとしては、例えば、下記の特許文献1においては、ポリ乳酸とポリメチルメタクリレートとのブレンドを開示しているが、前記特許方法は、ポリ乳酸と非相溶性であるポリプロピレンにおいて相溶性を向上させるのに限界があった。
【0007】
また、ポリ乳酸と汎用樹脂をブレンドして紡糸する場合には、製造工程によりダイの激しい圧力上昇と糸切れ現象などの問題点が発生して現実的に使用できなかったが、これは、ポリ乳酸と汎用樹脂との間の相溶性がよいとしても、紡糸製造工程が裏付けられない限り、不織布を製造し得ないことを意味する。
【0008】
一方、従来、乳児用オムツ及び成人用失禁オムツなどの衛生材バックシート用不織布として用いられるポリプロピレン/ポリエチレン不織布の場合に、石油由来のポリオレフィン系の樹脂によってのみ不織布の製造が行われて、炭素排出量を低減し得る方法が不織布の製造過程では限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−171204号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、前記従来の技術的な問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の主たる目的は、ポリ乳酸とポリプロピレンとの間の相溶性を向上させたポリプロピレン/ポリ乳酸のブレンドを芯層とし、植物由来のポリエチレンを鞘層として複合紡糸して不織布を製造することから、生分解性及び機械的な物性に優れており、しかも、二酸化炭素の排出量を減らした、ポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、前記特定を有する不織布をより一層容易に製造する方法を提供することにある。
【0012】
本発明はまた、前記明確な目的の他に、このような目的及び本明細書の全般的な技術からこの分野における通常人によって容易に導き出される他の目的を達成することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための本発明のポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布は、ポリ乳酸及びポリプロピレンのブレンド紡糸により製造された不織布において、前記不織布は、ブレンディングのための高分子混合物の総重量中のポリ乳酸の重量は10〜25重量%であり、ポリプロピレンの重量は65〜89重量%であり、分散剤の重量は1〜10重量%であるポリプロピレン/ポリ乳酸のブレンド樹脂から芯層を形成し、これを総重量の50〜80重量%にし、20〜50重量%の植物由来のポリエチレン樹脂から外部層を形成した鞘芯型フィラメントから構成されるものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の構成によれば、前記不織布は、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布の多層に構成されてもよい。ここで、外部層を形成するスパンボンド不織布層は1層以上に構成することができ、内部のメルトブローン層も1層以上に構成することができて構成する層数を限定するものではない。
【0015】
本発明のさらに他の構成によれば、前記分散剤は、ポリ乳酸重合体と混和性を有する親水性部分及びポリプロピレン重合体と混和性を有する疎水性部分を備えるものであることを特徴とする。
【0016】
本発明のさらに他の構成によれば、前記分散剤の成分は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンのブロック共重合体成分であることを特徴とする。
【0017】
本発明のさらに他の構成によれば、前記植物由来のポリエチレン樹脂の成分は、サトウキビから得られるエタノールを重合して得られるポリエチレンであることを特徴とする
【0018】
前記他の目的を達成するための本発明のポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布の製造方法は、ポリ乳酸及びポリプロピレンのブレンド紡糸を用いて不織布を製造する方法において、前記製造方法は、ブレンディングのための高分子混合物の総重量中のポリ乳酸の重量は10〜25重量%であり、ポリプロピレンの重量は65〜89重量%であり、分散剤の重量は1〜10重量%であって、実質的な連続相としてのポリ乳酸及びポリプロピレンを分散剤を用いてポリプロピレン樹脂内にポリ乳酸を均一に乾式混合して分散することにより熱可塑性組成物乾燥混合物を形成するステップと、前記熱可塑性組成物乾燥混合物を、有利には、攪拌、掻回、または他の方式によりブレンディングしてポリ乳酸重合体、ポリプロピレン重合体及び分散剤を効果的に且つ均一に混合して均質な乾燥混合物を形成するステップと、前記ポリプロピレン/ポリ乳の酸乾燥混合物と植物由来のポリエチレンを溶融するエキストルーダーをそれぞれ異ならせて、それぞれの溶融高分子を誘導する分配板をノズル上に存在させて、ポリプロピレン/ポリ乳酸溶融高分子はフィラメントの内部に、植物由来ポリエチレンは外部に形成して鞘芯型のフィラメントを紡糸してウェブを形成し、熱圧着して不織布を形成するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上記の構成を有する本発明のポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布及びその製造方法は、ポリプロピレンとポリ乳酸のブレンドを芯層とし、植物由来のポリエチレンを鞘層として複合紡糸して不織布を製造することから、生産性及び機械的な物性に優れており、しかも、二酸化炭素の排出量を画期的に減らした環境にやさしいスパンボンド不織布を提供して前記従来の問題点を解消した。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を好適な実施形態により一層詳述する。
【0021】
本発明を詳述するに先立って、本発明の明細書の全般にわたって用いられた前記ポリ乳酸について先ず定義すると、ポリ乳酸は、一般に、乳酸またはラクチドの重合により製造されるものであり、このため、本発明において用いられる用語「ポリ乳酸」は、乳酸またはラクチドの重合により製造される重合体を意味するものである。任意の公知の重合方法、例えば、重縮合または開環重合を用いて乳酸を重合してもよい。重縮合方法において、例えば、L−乳酸、D−乳酸またはこれらの混合物は、脱水−重縮合に直的的に適用される。開環重合方法において、乳酸のシクリックダイマーであるラクチドは、重合調節剤及び触媒の補助により重合に適用される。ラクチドは、L−ラクチド、D−ラクチド及びDL−ラクチド(メソ−ラクチド、L−乳酸とD−乳酸の縮合物とも呼ばれる)を含むことができる。それぞれの前記ラクチド(すなわち、L−ラクチド、D−ラクチド及びDL−ラクチド)は、ダイマーである。すなわち、これらは2つの乳酸単位からなる。そのキラル中心のために、乳酸は2つの異なる立体化学的異性体、すなわち、R異性体及びS異性体の形状を有する。D−ラクチドは、2つのR異性体を含み、L−ラクチドは、2つのS異性体を含み、メソ−ラクチドは、R異性体及びS異性体を含む。異なる異性体を混合し、必要に応じて、重合して後述する任意の所要の組成及び結晶度を有するポリ乳酸が得られる。なお、少量の鎖延長剤(例えば、後述するジイソシアネート化合物、エポキシ化合物または酸無水物)を用いてポリ乳酸の分子量を増やすことができる。好適には、ポリ乳酸の重量平均分子量は、約60、000〜約1、000、000である。
【0022】
本発明に使用可能な好適なポリ乳酸重合体としては、これに限定されるものではないが、一つの具体例としては、米国ミネソタ州ミネアポリス所在のネイチャーワークス(登録商標)があり、これは、商業的に入手可能である。他の好適なポリ乳酸重合体は、ドイツクライリング所在のビオマーインコーポレーテッド(Biomer、Inc.)からビオマー(BIOMERTM)L9000または三井ケミカル(Mitsui Chemical)(ラセア(LACEATM))から商業的に入手可能である。さらに他の好適なポリ乳酸は、本発明に参照として引用される米国特許第4、797、468号、第5、470、944号、第5、770、682号、第5、821、327号、第5、880、254号、及び第6、326、458号に記述されているものが使用可能である。
【0023】
さらに、前記ポリ乳酸の溶融流動指数は、任意の温度(例えば、210℃)において10分当たりに2160gの荷重に適用されるときに、押出流量計オリフィス(直径0.0825インチ)により強制的に送られる、ASTM試験方法D1238−Eにより測定される重合体の重量(g)を示す。ポリ乳酸はまた、典型的に融点が約100℃〜約240℃であり、一部の実施形態において約120℃〜約220℃であり、一部の実施形態において約140℃〜約200℃である。このような低融点のポリ乳酸は、これらが高速で生分解されるという点で有用である。ポリ乳酸のガラス転移温度(「Tg」)もまた、重合体の可溶性及び加工性を改善するように比較的に低い。例えば、Tgは約80℃以下、一部の実施形態において約70℃以下、一部の実施形態において約65℃以下であってもよい。以下で詳述するように、融点及びガラス転移温度はいずれもASTMD−3417に従い視差走査熱量計(「DSC」)を用いて決定することができる。
【0024】
本発明に従い、ポリプロピレン/ポリ乳酸ブレンドを芯層とし、植物由来のポリエチレンを鞘層とした鞘芯型のフィラメントによりウェブを形成して製造された不織布は、必要に応じて、少なくとも1層以上のスパンボンド不織布層及び/またはポリ乳酸メルトブローン不織布層若しくはポリプロピレンメルトブローン不織布層が付加的に積層されてなる。このとき、本発明の好適な実施形態によれば、前記ポリプロピレン/ポリ乳酸ブレンドは、ポリプロピレンとポリ乳酸にスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体成分である分散剤を総重量の1〜10重量%付加して混合される。
【0025】
本発明の好適な実施形態によれば、本発明の不織布の製造方法は、ブレンデングのための高分子混合物の総重量中のポリ乳酸の重量は10〜25重量%であり、ポリプロピレンの重量は65〜89重量%であり、分散剤の重量は1〜10重量%であって、実質的な連続相としてのポリ乳酸及びポリプロピレンを分散剤を用いてポリプロピレン樹脂内にポリ乳酸を均一に乾式混合して分散することにより熱可塑性組成物乾燥混合物を形成するステップと、前記熱可塑性組成物乾燥混合物を、有利には、攪拌、掻回、または他の方式によりブレンディングしてポリ乳酸重合体、ポリプロピレン重合体及び分散剤を効果的に且つ均一に混合して均質な乾燥混合物を形成するステップと、前記ポリプロピレン/ポリ乳の酸乾燥混合物と植物由来のポリエチレンを溶融するエキストルーダーをそれぞれ異ならせて、それぞれの溶融高分子を誘導する分配板をノズル上に存在させて、ポリプロピレン/ポリ乳酸溶融高分子はフィラメントの内部に、植物由来ポリエチレンは外部に形成して鞘芯型のフィラメントを紡糸してウェブを形成し、熱圧着して不織布を形成するステップと、を含む。
【0026】
本発明の好適な実施形態によれば、上記のように本発明に従い集積されたウェブは、力学的特性及び形態安定性を与えるために熱的に結合する。このとき、接着面積を限定するものではないが、カレンダーロールは、片側は通常の接着面積が10〜20重量%を有するエンボルロール面、他側は表面が滑らかなロール面となっており、多層に集積されたウェブは前記ロールを通過しながらシート化される。なお、このとき、エンボスロールと滑らかなロールの温度は、120〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、130〜140℃である。
【0027】
以下の実施例及び比較例は本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範疇がこれらの実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。下記の実施例及び比較例により製造された不織布の各種の特性及び物性値は下記の方法により測定及び評価した。
【0028】
(1)重量(Weight):EDANA40.3−90
(2)引張り強伸度(Tensile strength and Elongation):EDANA20.2−89
(3)剛軟度(Bending Length):EDANA50.5−99
【0029】
実施例及び比較例
下記のポリ乳酸、ポリプロピレン、分散剤及び植物由来のポリエチレンを用いて繊維を製造した。ポリ乳酸重合体(PLA)は、米国ミネソタ州ミネアポリス所在のネイチャーワークスから入手し、溶融流動指数(MI:Melt Index)が15〜30g/10分であった。ポリプロピレン重合体(PP)は、ホナム石油化学から商品名SFR−171Hを入手し、溶融溶融指数(MI:Melt Index)が35g/10分であり、約160℃の溶融温度を有していた。分散剤は、日本国東京都中央区築地所在のJSRコーポレーションから商品名ダイナロン(DYNARON)8630Pを入手して使用した。植物由来のポリエチレンはブラジル南リオ・グランデ州トリウンフォ市所在のブラスケム(Braskem)が製造し、豊田通商株式会社が供給した商品名SHA7260を使用した。
【0030】
実施例1
ポリ乳酸10重量%と、分散剤3重量%及びポリプロピレン樹脂87重量%を芯層に総重量の50%投入して溶融紡糸し、植物由来のポリエチレンは総重量の50%を鞘層に投入して溶融紡糸して鞘芯型に繊維化し、多孔性のコンベヤベルト上において延伸して目付けが20gsmであるポリ乳酸/ポリプロピレン/ポリエチレン不織布を製造し、物性を測定して表1に示す。
【0031】
実施例2
ポリ乳酸/ポリプロピレンブレンド樹脂を総重量の60重量%で芯層に投入し、植物由来のポリエチレンは総重量の40重量%を鞘層に投入した以外は、実施例1の方法と同様にして不織布を製造し、物性を測定して表1に示す。
【0032】
比較実施例1
ポリ乳酸30重量%と、分散剤5重量%及びポリプロピレン樹脂65重量%を投入した以外は、実施例1の方法と同様にして不織布を製造し、物性を測定して表1に示す。
【0033】
比較実施例2
ポリプロピレン樹脂を総重量の50重量%で芯層に投入し、ポリエチレン樹脂を総重量の50重量%で鞘層に投入した以外は、実施例1の方法と同様にして不織布を製造し、物性を測定して表1に示す。
【0034】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸及びポリプロピレンのブレンド紡糸により製造された不織布において、
前記不織布は、ブレンディングのための高分子混合物の総重量中のポリ乳酸の重量は10〜25重量%であり、ポリプロピレンの重量は65〜89重量%であり、分散剤の重量は1〜10重量%であるポリプロピレン/ポリ乳酸のブレンド樹脂から芯層を形成し、これを総重量の50〜80重量%にし、20〜50重量%の植物由来のポリエチレン樹脂から外部層を形成した鞘芯型フィラメントから構成されるものであることを特徴とするポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布。
【請求項2】
前記不織布は、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布の多層に構成されるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布。
【請求項3】
前記分散剤は、ポリ乳酸重合体と混和性を有する親水性部分及びポリプロピレン重合体と混和性を有する疎水性部分を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布。
【請求項4】
前記分散剤の成分は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンのブロック共重合体成分であることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布。
【請求項5】
前記植物由来のポリエチレン樹脂の成分は、サトウキビから得られるエタノールを重合して得られるポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布。
【請求項6】
前記植物由来のポリエチレン樹脂の密度は0.950〜0.959であり、溶融流動指数(MI)は、190℃において10分当たりに2160gの荷重に適用されるとき、押出流量計オリフィス(直径0.0825インチ)により強制的に送られる重量が10g〜40gであることを特徴とする請求項1または請求項5に記載のポリ乳酸複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布。
【請求項7】
ポリ乳酸及びポリプロピレンのブレンド紡糸を用いて不織布を製造する方法において、
前記製造方法は、ブレンディングのための高分子混合物の総重量中のポリ乳酸の重量は10〜25重量%であり、ポリプロピレンの重量は65〜89重量%であり、分散剤の重量は1〜10重量%であって、実質的な連続相としてのポリ乳酸及びポリプロピレンを分散剤を用いてポリプロピレン樹脂内にポリ乳酸を均一に乾式混合して分散することにより熱可塑性組成物乾燥混合物を形成するステップと、
前記熱可塑性組成物乾燥混合物を、有利には、攪拌、掻回、または他の方式によりブレンディングしてポリ乳酸重合体、ポリプロピレン重合体及び分散剤を効果的に且つ均一に混合して均質な乾燥混合物を形成するステップと、
前記ポリプロピレン/ポリ乳の酸乾燥混合物と植物由来のポリエチレンを溶融するエキストルーダーをそれぞれ異ならせて、それぞれの溶融高分子を誘導する分配板をノズル上に存在させて、ポリプロピレン/ポリ乳酸溶融高分子はフィラメントの内部に、植物由来ポリエチレンは外部に形成して鞘芯型のフィラメントを紡糸してウェブを形成し、熱圧着して不織布を形成するステップと、
を含むことを特徴とするポリ乳酸の複合紡糸を用いた環境にやさしいスパンボンド不織布の製造方法。

【公開番号】特開2013−23805(P2013−23805A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−148670(P2012−148670)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【出願人】(511244311)トーレ アドバンスド マテリアルズ コーリア インク. (5)
【Fターム(参考)】