説明

ポリ(アリーレンエーテル)組成物、方法、及び物品

本熱可塑性組成物は、特定量のポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、可塑剤、白色顔料、及び紫外線安定剤を含む。本組成物は優れた光安定性を示し、白色又は灰白色のケーブル絶縁材を形成するのに特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリ(アリーレンエーテル)組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(アリーレンエーテル)樹脂は、その優れた耐水性、寸法安定性、及び固有の難燃性で知られている1つのタイプのプラスチックである。広範囲の消費者製品、例えば、衛生設備、電気ボックス、自動車部品、並びに電線及びケーブル用の絶縁材の要求を満足させるために、それを種々の他のプラスチックとブレンドすることによって、強度、剛性、耐化学薬品性、及び耐熱性のような特性を調整することができる。
【0003】
ポリ(塩化ビニル)は、現在、難燃性の電線及びケーブルの絶縁材用の商業的に優勢な材料である。しかしながら、ポリ(塩化ビニル)はハロゲン化材料である。ハロゲン化材料の環境影響に対する懸念が増加しており、非ハロゲン化代替物が求められている。したがって、ポリ(塩化ビニル)を非ハロゲン化ポリマー組成物に置き換える強い要望(及び幾つかの場所においては法的命令)が存在する。白色の小型装置及び個人用電気器具の大衆性を考えると、光化学経時劣化後にその色を保持する白色又は灰白色のケーブル絶縁材組成物に対する特段の必要性も存在する。
【0004】
最近の研究で、ハロゲンを含まないポリ(アリーレンエーテル)組成物は電線及びケーブルの絶縁材として用いるために必要な物理特性及び難燃特性を有することができることが示された。例えば、Mhetarらの米国特許出願公開US2006/131050−A1及びUS2006/131052−A1及びUS2006/135661−A1;KuboらのUS2006/131053−A1及びUS2006/134416−A1;XuらのUS2006/131059−A1;及びGuoらのUS2006/135695−A1を参照。しかしながら、これらの参照文献において開示されている組成物は、白色又は灰白色に配合するのが困難であるか、或いは不十分な熱又は光化学色安定性を示すか、或いは両方を示す。また、ポリ(アリーレンエーテル)を含む組成物の光化学黄変の問題は長い間知られているが、この問題に対する現在の解決法は白色及び灰白色の電線及びケーブルの絶縁材に関しては効果的でないか又は実用的でない。例えば1つのアプローチにおいては、光漂白性染料を含ませることによってポリ(アリーレンエーテル)の光化学黄変を補償する。例えば、Lohmeijerの米国特許4,493,915及び4,551,494を参照。光漂白性染料の存在は所望の白色又は灰白色とは適合しないので、このアプローチは白色及び灰白色のポリ(アリーレンエーテル)組成物においては有効でない。他のアプローチにおいては、ポリフェニレンエーテル及び第2の樹脂を含む物品の表面を溶媒で処理して、物品の表面からポリフェニレンエーテルを選択的に除去する。例えば、van der Meerの米国特許5,055,494を参照。このアプローチは、溶媒処理する必要がある大きな表面積のために電線及びケーブルの絶縁材に関しては実用的でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開US2006/131050−A1
【特許文献2】米国特許出願公開US2006/131052−A1
【特許文献3】米国特許出願公開US2006/135661−A1
【特許文献4】米国特許出願公開US2006/131053−A1
【特許文献5】米国特許出願公開US2006/134416−A1
【特許文献6】米国特許出願公開US2006/131059−A1
【特許文献7】米国特許出願公開US2006/135695−A1
【特許文献8】米国特許4,493,915
【特許文献9】米国特許4,551,494
【特許文献10】米国特許5,055,494
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、電線及びケーブルの絶縁材のために必要な物理特性及び難燃特性を示し、更に長時間の光曝露後の色安定性を示す白色及び灰白色のポリ(アリーレンエーテル)組成物に対する必要性が未だ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に記載の欠点及び他の欠点は、約10〜約45重量%のポリ(アリーレンエーテル);約9〜約80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;約8〜約25重量%の可塑剤;約1〜約12重量%の白色顔料;及び約0.1〜約5重量%の紫外線安定剤;を含み;ここで、水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは約0.3〜約4の重量比で存在し;組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及びASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔE;を示す組成物によって解決される。
【0008】
他の態様は、約18〜約30重量%のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約23〜約35重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;約4〜約10重量%のポリブテン;約0.5〜約3重量%のエチレン−プロピレンラバー;約3〜約10重量%の鉱油;約8〜約16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート);約2〜約10重量%の水酸化マグネシウム;約4〜約16重量%のメラミンポリホスフェート;約2〜約6重量%の二酸化チタン;約0.1〜0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;約0.3〜約1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び約0.6〜約1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;を含み;ここで、組成物は、ラバー変性ポリスチレン、ポリエチレンホモポリマー、及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、約80〜約90の値のCIE明度値L*;約−1.5〜約0.5のCIEa*値;約−2.5〜約1.5のCIEb*値;ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2のCIELAB色シフトΔE;及びASTM−D790にしたがって23℃において測定して約50〜約100MPaの曲げ弾性率;を示す組成物である。
【0009】
他の態様は、約10〜45重量%のポリ(アリーレンエーテル);約9〜約80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;約8〜約25重量%の可塑剤;約1〜約12重量%の白色顔料;及び約0.1〜約5重量%の紫外線安定剤;を溶融混練することを含む熱可塑性組成物の製造方法であって、ここで水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは約0.3〜約4の重量比で存在し;組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及びASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIE色シフトΔE;を示す上記方法である。
【0010】
他の態様は、約18〜約30重量%のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約23〜約35重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;約4〜約10重量%のポリブテン;約0.5〜約3重量%のエチレン−プロピレンラバー;約3〜約10重量%の鉱油;約8〜約16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート);約2〜約10重量%の水酸化マグネシウム;約4〜約16重量%のメラミンポリホスフェート;約2〜約6重量%の二酸化チタン;約0.1〜約0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;約0.3〜約1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び約0.6〜約1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;を溶融混練することを含む熱可塑性組成物の製造方法であって;組成物は、ラバー変性ポリスチレン、ポリエチレンホモポリマー、及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、約80〜約90の値のCIE明度値L*;約−1.5〜約0.5のCIEa*値;約−2.5〜約1.5のCIEb*値;ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2のCIELAB色シフトΔE;及びASTM−D790にしたがって23℃において測定して約50〜約100MPaの曲げ弾性率;を示す上記方法である。
【0011】
他の態様は、約10〜約45重量%のポリ(アリーレンエーテル);約9〜約80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;約8〜約25重量%の可塑剤;約1〜約12重量%の白色顔料;及び約0.1〜約5重量%の紫外線安定剤;を含み;ここで、水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは約0.3〜約4の重量比で存在し;組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及びASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔE;を示す組成物で電線を押出被覆することを含む電線の絶縁方法である。
【0012】
他の態様は、約18〜約30重量%のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約23〜約35重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;約4〜約10重量%のポリブテン;約0.5〜約3重量%のエチレン−プロピレンラバー;約3〜約10重量%の鉱油;約8〜約16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート);約2〜約10重量%の水酸化マグネシウム;約4〜約16重量%のメラミンポリホスフェート;約2〜約6重量%の二酸化チタン;約0.1〜約0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;約0.3〜約1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び約0.6〜約1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;を含み;ここで、組成物は、ラバー変性ポリスチレン、ポリエチレンホモポリマー、及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、約80〜約90の値のCIE明度値L*;約−1.5〜約0.5のCIEa*値;約−2.5〜約1.5のCIEb*値;ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2のCIELAB色シフトΔE;及びASTM−D790にしたがって23℃において測定して約50〜約100MPaの曲げ弾性率;を示す組成物で電線を押出被覆することを含む、電線の絶縁方法である。
【0013】
これら及び他の態様、並びに本組成物を含む物品、特に本組成物を含むケーブル絶縁材を以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、実質的に向上した光安定性を有する白色及び灰白色の組成物を求めて可撓性ポリ(アリーレンエーテル)組成物に関する研究を行った。この研究の着手時においては、ポリ(アリーレンエーテル)、並びにポリスチレン、ポリアミド、及びポリオレフィンホモポリマーとのそれらのブレンドは劣った光安定性を示すことが知られていた。具体的には、ポリ(アリーレンエーテル)は紫外光(UV)及び可視光、例えば蛍光灯に曝露すると黄変することが知られていた。本発明者らは、まずポリ(アリーレンエーテル)及びラバー変性ポリスチレンを含む可撓性ブレンドに焦点を当てた。UV安定化添加剤を含ませることによってこれらのブレンドのUV安定性を向上させることができたが、得られた組成物は不十分な初期明度又は不十分なUV安定性のいずれかを示した。ポリ(アリーレンエーテル)及び水素化ブロックコポリマーを含むブレンドはしばしば許容できる初期明度を示したが、これらのUV安定性はしばしばポリ(アリーレンエーテル)/ラバー変性ポリスチレンブレンドのものよりも劣っていた。次に本発明者らは、ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、ポリ(アリーレンエーテル)用の可塑剤、及びUV安定化添加剤をそれぞれ特定の量で含む組成物がUV安定性において予期しなかった実質的な向上を与えたことを思いがけなく見出した。以下の実施例において示されるように、このUV安定性の有利性は、水素化ブロックコポリマーに代えて耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)のような他の耐衝撃性改良剤を用いるか、或いは可塑剤を省くと損なわれる。したがって、UV安定化添加剤の有効性を増加させるポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、及び可塑剤の間の3元相互作用が存在すると思われる。この複数成分の複雑な相互作用は予期しなかったことであり、ここで特許請求する特定の成分量を有する明色の可撓性ポリ(アリーレンエーテル)組成物に関して新規なUV安定性を与える。特に、可撓性ポリ(アリーレンエーテル)組成物は、少なくとも70の値の初期CIE明度値L*、及びキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIE色シフトΔEを示す。本発明者らは更に、驚くべきことに、上記に記載した態様の水素化ブロックコポリマーの一部に代えてエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーを用いる組成物において同様のUV安定化効果が観察されることを見出した。これらの発見は、白色及び灰白色の電線及びケーブルの絶縁材のためにポリ(塩化ビニル)に代えて可撓性のポリ(アリーレンエーテル)組成物を用いることを可能にするので、非常に大きな前進を示す。
【0015】
したがって、一態様は、約10〜約45重量%のポリ(アリーレンエーテル);約9〜約80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;約8〜約25重量%の可塑剤;約1〜約12重量%の白色顔料;及び約0.1〜約5重量%の紫外線安定剤;を含み;ここで、水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは約0.3〜約4の重量比で存在し;組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及びASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔE;を示す組成物である。
【0016】
他の態様は、約10〜約45重量%のポリ(アリーレンエーテル);約5〜約40重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;約10〜約55重量%のエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマー;約8〜約25重量%の可塑剤;約1〜約12重量%の白色顔料;及び約0.1〜約5重量%の紫外線安定剤;を含み;ここで、組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及びASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔE;を示す組成物である。
【0017】
本組成物はポリ(アリーレンエーテル)を含む。幾つかの態様においては、ポリ(アリーレンエーテル)は、次式:
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、それぞれの構造単位に関して、それぞれのZ1は、独立して、ハロゲン、非置換又は置換C1〜C12ヒドロカルビル(但し、ヒドロカルビル基はtert−ヒドロカルビルではない)、C1〜C12ヒドロカルビルチオ(即ち、(C1〜C12ヒドロカルビル)S−)、C1〜C12ヒドロカルビルオキシ、又はC2〜C12ハロヒドロカルビルオキシであり、ここでハロゲンと酸素原子とは少なくとも2つの炭素原子によって隔てられており;それぞれのZ2は、独立して、水素、ハロゲン、非置換又は置換C1〜C12ヒドロカルビル(但し、ヒドロカルビル基はtert−ヒドロカルビルではない)、C1〜C12ヒドロカルビルチオ、C1〜C12ヒドロカルビルオキシ、又はC2〜C12ハロヒドロカルビルオキシであり、ここでハロゲンと酸素原子とは少なくとも2つの炭素原子によって隔てられている)
を有する繰り返し構造単位を含む。本明細書において用いる「ヒドロカルビル」という用語は、単独で用いられるにせよ、或いは他の用語の接頭辞、接尾辞、又は一部として用いられるにせよ、炭素及び水素のみを含む残基を指す。残基は、脂肪族又は芳香族で、直鎖、環式、二環式、分岐、飽和、又は不飽和であってよい。また、脂肪族、芳香族、直鎖、環式、二環式、分岐、飽和、及び不飽和の複数の炭化水素部分の組み合わせを含んでいてもよい。
【0020】
幾つかの態様においては、ポリ(アリーレンエーテル)は、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位、又はこれらの組み合わせを含む。
【0021】
ポリ(アリーレンエーテル)は、典型的にはヒドロキシ基に対してオルト位に位置する1つ又は複数のアミノアルキル含有末端基を有する分子を含んでいてよい。また、典型的にはテトラメチルジフェノキノン副生成物がその中に存在する2,6−ジメチルフェノール含有反応混合物から得られるテトラメチルジフェノキノン(TMDQ)末端基もしばしば存在する。ポリ(アリーレンエーテル)は、ホモポリマー、コポリマー、グラフトコポリマー、イオノマー、又はブロックコポリマー、並びに上記の少なくとも1つを含む組み合わせの形態であってよい。
【0022】
ポリ(アリーレンエーテル)は、単分散ポリスチレン標準試料、40℃のスチレンジビニルベンゼンゲル、及びクロロホルム1mLあたり1mgの濃度を有する試料を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって測定して、約3,000〜約40,000原子質量単位(AMU)の数平均分子量及び約5,000〜約80,000AMUの重量平均分子量を有していてよい。ポリ(アリーレンエーテル)は、クロロホルム中25℃において測定して約0.05〜約1.0dL/g、具体的には約0.1〜約0.8dL/g、より具体的には約0.2〜約0.6dL/g、更により具体的には約0.3〜約0.6dL/gの固有粘度を有していてよい。当業者は、ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は溶融混練によって30%以下増加する可能性があることを理解している。0.05〜約1.0dL/gの上記の固有粘度の範囲は、溶融混練して組成物を形成する前及び後の両方の固有粘度を包含するように意図される。異なる固有粘度を有する複数のポリ(アリーレンエーテル)樹脂のブレンドを用いることができる。
【0023】
本組成物は、組成物の全重量を基準として約10〜約45重量%のポリ(アリーレンエーテル)を含む。この範囲内において、ポリ(アリーレンエーテル)の量は、具体的には約15〜約40重量%、より具体的には約18〜約36重量%、更により具体的には約21〜約30重量%、更により具体的には約21〜約25重量%であってよい。
【0024】
ポリ(アリーレンエーテル)に加えて、本組成物はアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマーを含む。簡潔にするために、この成分をここでは「水素化ブロックコポリマー」と呼ぶ。水素化ブロックコポリマーは、約10〜約90重量%のポリ(アルケニル芳香族化合物)含量及び約90〜約10重量%の水素化ポリ(共役ジエン)含量を有していてよい。幾つかの態様においては、ポリ(アルケニル芳香族化合物)含量は、約10〜45重量%、具体的には約20〜約40重量%である。他の態様においては、ポリ(アルケニル芳香族化合物)含量は、45重量%より大きく約90重量%以下、具体的には約55〜約80重量%である。水素化ブロックコポリマーは、約40,000〜約400,000原子質量単位の重量平均分子量を有していてよい。ポリ(アリーレンエーテル)成分に関しては、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定することができ、ポリスチレン標準試料との比較に基づく。幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーは、200,000〜約400,000原子質量単位、具体的には220,000〜約350,000原子質量単位の重量平均分子量を有する。他の態様においては、水素化ブロックコポリマーは、約40,000乃至200,000原子質量単位未満、具体的には約40,000〜約180,000原子質量単位、より具体的には約40,000〜約150,000原子質量単位の重量平均分子量を有していてよい。
【0025】
水素化ブロックコポリマーを製造するのに用いるアルケニル芳香族モノマーは、次式:
【0026】
【化2】

【0027】
(式中、R20及びR21は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル基、又はC2〜C8アルケニル基を表し;R22及びR26は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル基、塩素原子、又は臭素原子を表し;R23、R24、及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C8アルキル基、又はC2〜C8アルケニル基を表し、或いは、R23及びR24は中心芳香環と一緒にナフチル基を形成するか、或いはR24及びR25は、中心芳香環と一緒にナフチル基を形成する)
の構造を有していてよい。具体的なアルケニル芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、例えばp−クロロスチレン、並びにメチルスチレン、例えばα−メチルスチレン及びp−メチルスチレンが挙げられる。幾つかの態様においては、アルケニル芳香族モノマーはスチレンである。
【0028】
水素化ブロックコポリマーを製造するのに用いる共役ジエンはC4〜C20共役ジエンであってよい。好適な共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの態様においては、共役ジエンは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、又はこれらの組み合わせである。幾つかの態様においては、共役ジエンは1,3−ブタジエンから構成される。
【0029】
水素化ブロックコポリマーは、(A)アルケニル芳香族化合物から誘導される少なくとも1つのブロック、及び(B)共役ジエンから誘導される少なくとも1つのブロックを含み、ブロック(B)中の含有脂肪族不飽和基が水素化によって少なくとも部分的に還元されているコポリマーである。幾つかの態様においては、ブロック(B)中の脂肪族不飽和部分は少なくとも50%、具体的には少なくとも70%還元されている。ブロック(A)と(B)の配列としては、線状構造、グラフト構造、及び分岐鎖を有するか又は有しない放射状テレブロック構造が挙げられる。線状ブロックコポリマーとしては、テーパー型線状構造及び非テーパー型線状構造が挙げられる。幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーはテーパー型線状構造を有する。幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーは非テーパー型線状構造を有する。幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーは、ランダムに含まれているアルケニル芳香族モノマーを含むBブロックを含む。線状ブロックコポリマー構造としては、ジブロック(A−Bブロック)、トリブロック(A−B−Aブロック又はB−A−Bブロック)、テトラブロック(A−B−A−Bブロック)、及びペンタブロック(A−B−A−B−Aブロック又はB−A−B−A−Bブロック)構造、並びにA及びBの合計で6以上のブロックを含む線状構造が挙げられる。ここで、それぞれのAブロックの分子量は他のAブロックのものと同一であっても異なっていてもよく、それぞれのBブロックの分子量は他のBブロックのものと同一であっても異なっていてもよい。幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、又はこれらの組み合わせである。
【0030】
幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーはポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーである。幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーはポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロックコポリマーである。これらのブロックコポリマーは、官能化剤又はそれらの名称によって示されるもの以外のモノマーの残基を含まない。
【0031】
幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族化合物及び共役ジエン以外のモノマーの残基を含まない。幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族化合物及び共役ジエンから誘導されるブロックから構成される。これは、これら又は任意の他のモノマーから形成されるグラフトを含まない。また、これは炭素及び水素原子から構成され、したがってヘテロ原子を含まない。
【0032】
幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーは無水マレイン酸のような1種類以上の酸官能化剤の残基を含む。
水素化ブロックコポリマーを製造する方法は当該技術において公知であり、多くの水素化ブロックコポリマーを商業的に入手することができる。代表的な商業的に入手できる水素化ブロックコポリマーとしては、Kraton PolymersからKraton G1701及びG1702として入手できるポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロックコポリマー;Kraton PolymersからKraton G1641、G1650、G1651、G1654、G1657、G1726、G4609、G4610、GRP-6598、RP-6924、MD-6932M、MD-6933、及びMD-6939として入手できるポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;Kraton PolymersからKraton RP-6935及びRP-6936として入手できるポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレン(S−EB/S−S)トリブロックコポリマー;Kraton PolymersからKraton G1730として入手できるポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;Kraton PolymersからKraton G1901、G1924、及びMD-6684として入手できる無水マレイン酸グラフトポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;Kraton PolymersからKraton MD-6670として入手できる無水マレイン酸グラフトポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;AK ElastomerからTUFTEC H1043として入手できる67重量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;AK ElastomerからTUFTEC H1051として入手できる42重量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;AK ElastomerからTUFTEC P1000及びP2000として入手できるポリスチレン−ポリ(ブタジエン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;AK ElastomerからS.O.E.-SS L601として入手できるポリスチレン−ポリブタジエン−ポリ(スチレン−ブタジエン)−ポリブタジエンブロックコポリマー;Chevron Phillips Chemical CompanyからK-Resin KK38、KR01、KR03、及びKR05として入手できる水素化放射状ブロックコポリマー;KurarayからSEPTON S8104として入手できる約60重量のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;KurarayからSEPTON S4044、S4055、S4077、及びS4099として入手できるポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;及びKurarayからSEPTON S2104として入手できる約65重量%のポリスチレンを含むポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;が挙げられる。2種類以上の水素化ブロックコポリマーの混合物を用いることができる。
【0033】
本組成物は、組成物の全重量を基準として約9〜約80重量%の量の水素化ブロックコポリマーを含む。この範囲内において、水素化ブロックコポリマーの量は、具体的には約10〜約60重量%、より具体的には約15〜約60重量%、更により具体的には約20〜約50重量%、更により具体的には約23〜約40重量%、更により具体的には約27〜約32重量%であってよい。
【0034】
幾つかの態様においては、水素化ブロックコポリマーの少なくとも一部は、水素化ブロックコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、及び鉱油を含む溶融混練ブレンドの形態で与えられる。これに関連して「溶融混練ブレンド」という用語は、水素化ブロックコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、及び鉱油が、他の成分と溶融混練する前に互いに溶融混練されていることを意味する。この溶融混練ブレンド中のエチレン−プロピレンコポリマーは、エラストマーコポリマー(即ち、所謂エチレン−プロピレンラバー(EPR))である。好適なエチレン−プロピレンコポリマーは、場合によって用いるエチレン/α−オレフィンコポリマーに関連して以下に記載するものである。これらのブレンドにおいて、水素化ブロックコポリマーの量は、約20〜約60重量%、具体的には約30〜約50重量%であってよく;エチレン−プロピレンコポリマーの量は、約2〜約20重量%、具体的には約5〜約15重量%であってよく;鉱油の量は、約30〜約70重量%、具体的には約40〜約60重量%であってよく;ここで、全ての重量%は溶融混練ブレンドの全重量を基準とするものである。
【0035】
水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは、約0.3〜約4の重量比で存在する。言い換えれば、水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)との重量比は約0.3:1〜約4:1である。この範囲内において、水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)との重量比は、具体的には約0.7〜約3、より具体的には約1.2〜約3、更により具体的には約1.2〜約1.5であってよい。
【0036】
ポリ(アリーレンエーテル)及び水素化ブロックコポリマーに加えて、本組成物は可塑剤を含む。ここで用いる「可塑剤」という用語は、組成物を全体として又は組成物の少なくとも1つの成分を可塑化するのに有効な化合物を指す。幾つかの態様においては、可塑剤はポリ(アリーレンエーテル)を可塑化するのに有効である。可塑剤は、通常、ポリマー中に溶解して連鎖を互いに分離し、それによりレプテーションを促進して組成物のガラス転移温度を低下させる低分子量で比較的非揮発性の分子である。幾つかの態様においては、可塑剤は、約−110〜−50℃のガラス転移温度(Tg)を有し、ポリ(アリーレンエーテル)樹脂と概ね混和性であり、1,000g/モル以下の分子量を有する。
【0037】
好適な可塑剤としては、例えば、安息香酸エステル(ジベンゾエートエステルを含む)、ペンタエリトリトールエステル、トリアリールホスフェート(ハロゲン置換トリアリールホスフェートを含む)、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステルなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
幾つかの態様においては、可塑剤はトリアリールホスフェートである。好適なトリアリールホスフェートとしては、次式:
【0039】
【化3】

【0040】
(式中、それぞれのアリール基:Arは、独立して、場合によってはC1〜C12ヒドロカルビル、C1〜C12ヒドロカルビルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシなどから選択される1以上の置換基で置換されている直接に結合しているC6〜C12芳香族基である)
の構造を有するものが挙げられる。代表例としては、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、イソプロピル化トリフェニルホスフェート、ブチル化トリフェニルホスフェートなどが挙げられる。トリアリールホスフェートとしては、更に、2つ以上のジアリールホスフェート基がそれぞれ連結基の1つ以上のアリール部分と結合している分子が挙げられる。代表例としては、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(「RDP」;CAS Reg. No. 57583-54-7;リン酸1,3−フェニレンテトラフェニルエステル)及びビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(「BPADP」;CAS Reg. No. 5945-33-5;リン酸(1−メチルエチリデン)ジ−4,1−フェニレンテトラフェニルエステル)が挙げられる。幾つかの態様においては、トリアリールホスフェートはハロゲンを含まない。他の態様においては、トリアリールホスフェートは1つ以上のハロゲン置換基を含む。
【0041】
本組成物は、組成物の全重量を基準として約8〜約25重量%の量のトリアリールホスフェートを含む。この範囲内において、トリアリールホスフェートの量は、具体的には約9〜約20重量%、より具体的には約9〜約15重量%、更により具体的には約10〜約12重量%であってよい。
【0042】
ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、及びトリアリールホスフェートに加えて、本組成物は白色顔料を含む。白色顔料は組成物の白色又は灰白色に寄与する。好適な白色顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サテンホワイト、ケイ酸アルミニウム、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成アモルファスシリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、変性アルミナ、リトポン、ゼオライト、水和ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。幾つかの態様においては、白色顔料は、硫化亜鉛、二酸化チタン(ルチル型二酸化チタンを含む)、又はこれらの混合物である。幾つかの態様においては、白色顔料は二酸化チタンである。
【0043】
本組成物は、組成物の全重量を基準として約1〜約12重量%の量の白色顔料を含む。この範囲内において、白色顔料の量は、具体的には約2〜約8重量%、より具体的には約3〜約5重量%であってよい。
【0044】
ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、トリアリールホスフェート、及び白色顔料に加えて、本組成物は紫外線安定剤を含む。ここで用いる「紫外線安定剤」という用語は、紫外光を直接吸収する化合物(所謂UV吸収剤)だけでなく、光化学励起状態を失わせる化合物、ヒドロペルオキシド中間体を分解する化合物、及び遊離基中間体を除去する化合物も含む。紫外線安定剤の好適な種類としては、ベンゾフェノンタイプのUV吸収剤(2−ヒドロキシベンゾフェノン類及びヒドロキシフェニルベンゾフェノン類など)、ベンゾトリアゾールタイプのUV吸収剤(2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類など)、ヒンダードアミン光安定剤、シンナメートタイプのUV吸収剤、オキサニリドタイプのUV吸収剤、2−(2’−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンUV吸収剤、ベンゾオキサジノンタイプのUV吸収剤、脂環式エポキシ化合物、ホスファイト化合物などが挙げられる。紫外線安定剤の更なる種類は、H. Zweifel編の"Plastic Additive Handbook", 5版, Cincinnati: Hanser Gardner Publications, Inc. (2001), p. 206-238に記載されている。
【0045】
ベンゾフェノンタイプのUV吸収剤としては、次式:
【0046】
【化4】

【0047】
(式中、R1は水素又はC1〜C12アルキルである)
の構造を有するものが挙げられる。
ベンゾトリアゾールタイプのUV吸収剤としては、次式:
【0048】
【化5】

【0049】
(式中、X1は水素又はクロロであり;R2はC1〜C12アルキルであり;R3は水素又はC1〜C12アルキルである)
の構造を有するものが挙げられる。特定の代表的なベンゾトリアゾールタイプのUV吸収剤は、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール:CAS Reg. No. 3147-75-9である。
【0050】
ヒンダードアミン光安定剤は、一般に、2つの第4級炭素に結合している窒素原子を含む5又は6員環を含む。例えば、好適なヒンダードアミン光安定剤としては、次式:
【0051】
【化6】

【0052】
(式中、nは2〜12であり、具体的にはnは8である)
の構造を有するものが挙げられる。幾つかの態様においては、ヒンダードアミン光安定剤はビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート:CAS Reg. No. 52829-07-9である。
【0053】
シンナメートタイプのUV吸収剤としては、次式:
【0054】
【化7】

【0055】
(式中、R4は水素又はビニル又はC1〜C6アルコキシ(具体的にはメトキシ)であり;R5は水素又はC1〜C12ヒドロカルビル、具体的にはメチル又はフェニルであり;R6及びR7は、それぞれ独立して、水素、シアノ(−CN)、又はカルボキシ(C1〜C12)アルキルである)
の構造を有するものが挙げられる。
【0056】
オキサニリドタイプのUV吸収剤としては、次式:
【0057】
【化8】

【0058】
(式中、R8及びR9は、それぞれ独立してC1〜C6アルキルであり;R10及びR11は、それぞれ独立して、水素又はC1〜C12アルキル、具体的にはtert−ブチルである)
の構造を有するものが挙げられる。
【0059】
2−(2’−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンUV吸収剤としては、次式:
【0060】
【化9】

【0061】
(式中、R12はC1〜C12アルキルであり;R13、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立して、水素又はC1〜C6アルキル(具体的にはメチル)又はC6〜C12アリール(具体的にはフェニル)である)
の構造を有するものが挙げられる。
【0062】
ベンゾオキサジノンタイプのUV吸収剤としては、次式:
【0063】
【化10】

【0064】
(式中、R17、R18、及びR19は、それぞれの場合において独立して、C1〜C12アルキル又はC1〜C12アルコキシであり;x、y、及びzは、それぞれ独立して、0、1、又は2である)
の構造を有するものが挙げられる。
【0065】
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、4−ビニルシクロヘキセンオキシド、4−ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(CAS Reg. No. 2386-87-0)、4−アルコキシメチルシクロヘキセンオキシド、アシルオキシメチルシクロヘキセンオキシド、1,3−ビス(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、2−エポキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンなどが挙げられる。
【0066】
2種類以上のUV安定剤の混合物を用いることができる。幾つかの態様においては、紫外線安定剤は、ベンゾトリアゾール及びヒンダードアミン光安定剤を含む。幾つかの態様においては、紫外線安定剤は更に脂環式エポキシ化合物を含む。
【0067】
紫外線安定剤の全量は、全組成物を基準として約0.1〜約5重量%である。この範囲内において、紫外線安定剤の全量は、具体的には約0.2〜約3重量%、又は約0.5〜約2重量%であってよい。
【0068】
本組成物には、場合によって青色顔料を更に含ませることができる。
本組成物には、場合によって光学増白剤を更に含ませることができる。好適な光学増白剤は当該技術において公知であり、例えば、CibaからUVITEX OBとして入手できる光学増白剤、及びEastman Chemical CompanyからEASTOBRITE OB-1として入手できる光学増白剤が挙げられる。
【0069】
本組成物には、場合によってポリブテンを更に含ませることができる。ここで用いるポリブテンという用語は、75重量%より多く、具体的には80重量%より多い、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロペン(イソブテン)、又はこれらの組み合わせから誘導される単位を含むポリマーを指す。ポリブテンはホモポリマー又はコポリマーであってよい。幾つかの態様においては、ポリブテンは、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロペン(イソブテン)、又はこれらの組み合わせから誘導される単位から構成される。他の態様においては、ポリブテンは、1乃至25重量%未満の、エチレン、プロピレン、又は1−オクテンのような共重合可能なモノマーを含むコポリマーである。幾つかの態様においては、ポリブテンは約700〜約1,000原子質量単位の数平均分子量を有する。好適なポリブテンとしては、例えば、InnoveneからIndopol H50として得られる約800原子質量単位の数平均分子量を有するイソブテン−ブテンコポリマーが挙げられる。
【0070】
本組成物には、エチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーを更に含ませることができる。簡潔にするために、この成分はここでは場合によりエチレン/α−オレフィンコポリマーと呼ぶ。エチレン/α−オレフィンコポリマーは、ここでは、25〜95重量%、具体的には60〜85重量%のエチレンから誘導される単位、及び75〜5重量%、具体的には40〜15重量%のC3〜C12−α−オレフィンから誘導される単位を含むコポリマーとして定義される。幾つかの態様においては、エチレン/α−オレフィンコポリマーは、例えばエチレン−プロピレンラバー(「EPR」)、線状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、又は極低密度ポリエチレン(「VLDPE」)のようなランダムコポリマーである。他の態様においては、エチレン/α−オレフィンコポリマーは、エチレンホモポリマー又はプロピレンホモポリマーから構成される少なくとも1つのブロック、及びエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのランダムコポリマーである1つのブロックを含むブロックコポリマーである。好適なα−オレフィンとしては、プロペン、1−ブテン、及び1−オクテンが挙げられる。幾つかの態様においては、エチレン/α−オレフィンコポリマーは200℃及び2.16kgの力において測定して約0.1〜約20g/10分のメルトフローインデックスを有する。幾つかの態様においては、エチレン/α−オレフィンコポリマーは約0.8〜約0.9g/mLの密度を有する。幾つかの態様においては、エチレン/α−オレフィンコポリマーはエチレン−プロピレンラバーである。幾つかの態様においては、エチレン/α−オレフィンコポリマーは、水素化ブロックコポリマー、エチレン/α−オレフィンコポリマー、及び鉱油を含む溶融混練ブレンドの形態で与えられる。
【0071】
組成物がポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まない態様においては、エチレン/α−オレフィンコポリマーは場合によって用いる成分であり、存在する場合には、組成物の全重量を基準として約0.5〜約6重量%の量で用いることができる。この範囲内において、エチレン/α−オレフィンコポリマーの量は、具体的には1〜約4重量%、より具体的には約1.5〜約3重量%であってよい。幾つかの態様においては、本組成物は0乃至1重量%未満のエチレン/α−オレフィンコポリマーを含む。幾つかの態様においては、本組成物はエチレン/α−オレフィンコポリマーを含まない。
【0072】
エチレン/α−オレフィンコポリマーが必要な成分である態様においては、これは、組成物の全重量を基準として約10〜約55重量%の量で用いることができる。この範囲内において、エチレン/α−オレフィンコポリマーの量は、約15〜約50重量%、具体的には約20〜約45重量%、より具体的には約25〜約40重量%であってよい。
【0073】
本組成物は、組成物の全重量を基準として20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含む。20重量%より多い量のラバー変性ポリスチレンを含ませることはUV安定性の低下と関係することが観察された。幾つかの態様においては、本組成物は、15重量%以下、具体的には10重量%以下、より具体的には5重量%以下、更により具体的には1重量%以下、更により具体的には0.1重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含む。幾つかの態様においては、本組成物はラバー変性ポリスチレンを実質的に含まない。これに関連して「実質的に含まない」とは、ラバー変性ポリスチレンを組成物に意図的に加えないことを意味する。
【0074】
幾つかの態様においては、本組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まない。「ポリエチレンホモポリマー」という用語はエチレンのホモポリマーを意味する。「ポリプロピレンホモポリマー」という用語はプロピレンのホモポリマーを意味する。これに関連して「実質的に含まない」とは、ポリエチレンホモポリマー又はポリプロピレンホモポリマーを組成物に意図的に加えないことを意味する。幾つかの態様においては、本組成物は1重量%未満のポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、又はこれらの混合物を含む。幾つかの態様においては、本組成物は、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満のこれらのホモポリマーを含み、或いはこれらのホモポリマーを全く含まない。ポリエチレンホモポリマーとしては、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン(しかしながらコポリマーである線状低密度ポリエチレンではない)が挙げられる。ここで定義されるポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーは非エラストマー材料である。
【0075】
他の態様、特にエチレン/α−オレフィンコポリマーの存在が必要な態様においては、本組成物には、場合によって、ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、又はこれらの混合物を含ませることができる。これらの態様においては、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの混合物の合計量は1〜約30重量%である。この範囲内において、この量は、具体的には約3〜約20重量%、より具体的には約5〜約15重量%であってよい。幾つかの態様においては、本組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを含まない。
【0076】
本組成物には、場合によって鉱油を含ませることができる。鉱油は、水素化ブロックコポリマー、エチレン/α−オレフィンコポリマー、及び鉱油を含む溶融混練ブレンドの形態で与えることができる。存在する場合には、鉱油は、組成物の全重量を基準として約2〜約20重量%の量で用いることができる。具体的には、鉱油の量は、約4〜約15重量%、より具体的には約7〜約12重量%であってよい。
【0077】
可塑剤に関して上記に記載したトリアリールホスフェートに加えて、本組成物には、場合によって1種類以上の更なる難燃剤を含ませることができる。好適な難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。下記の実施例において示すように、(a)トリアリールホスフェート、(b)水酸化マグネシウム、及び(c)メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、又はこれらの混合物を含む組成物において優れた難燃性が示された。幾つかの態様においては、本組成物は、水酸化マグネシウム及びメラミンポリホスフェートを含む難燃剤を含み、本組成物は、3.2mmの厚さにおいてV−0又はV−1のUL94等級を示す。ハロゲン化難燃剤を許容することができる用途に関しては、好適な難燃剤としては更に、ハロゲン化ポリオレフィンワックス、オクタブロモジフェニルオキシド、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリスチレン、無水クロレンド酸、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)などが挙げられる。
【0078】
本組成物には、場合によって熱可塑性樹脂技術において公知の他の1種類以上の添加剤を更に含ませることができる。有用な添加剤としては、例えば、安定剤、離型剤、加工助剤、垂れ遅延剤(ドリップ抑制剤)、成核剤、染料、顔料、酸化防止剤、静電防止剤、発泡剤、金属失活剤、抗ブロッキング剤、ナノクレー、香料(香料カプセル封入ポリマーを含む)など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。添加剤は、組成物の所望の外観及び物理特性を許容しないほど損なわない量で加えることができる。かかる量は当業者によって過度の実験を行うことなく決定することができる。
【0079】
幾つかの態様においては、本組成物は上記記載のもの以外の成分を排除することができるか、又は実質的に含まないものであってよい。例えば、本組成物は、ホモポリスチレン(シンジオタクチックポリスチレンを含む)、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリプロピレングラフトポリスチレンのような他のポリマー材料を実質的に含まないものであってよい。これに関連して「実質的に含まない」という用語は、示された成分のいずれも意図的に加えないことを意味する。
【0080】
組成物が複数の成分を含むと定義される際には、それぞれの成分は、特に単一の化合物が1つより多い成分の定義を満足することができる場合には化学的に異なるものであると理解される。
【0081】
幾つかの態様においては、本組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相及び水素化ブロックコポリマーを含む連続相を含む。熱可塑性樹脂技術の当業者であれば、特定の組成物がかかる分散相及び連続相を含むかどうかを、例えば電子顕微鏡、並びに四酸化オスミウム及び四酸化ルテニウムなどの当該技術において公知の選択的染料を用いることによって求めることができる。幾つかの態様においては、本組成物は約0.2〜約20μmの粒径を有する分散相を含む。
【0082】
一態様は、約18〜約30重量%のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約23〜約35重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;約4〜約10重量%のポリブテン;約0.5〜約3重量%のエチレン−プロピレンラバー;約3〜約10重量%の鉱油;約8〜約16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート);約2〜約10重量%の水酸化マグネシウム;約4〜約16重量%のメラミンポリホスフェート;約2〜約6重量%の二酸化チタン;約0.1〜約0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;約0.3〜約1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び約0.6〜約1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;を含み;ここで、組成物は、ラバー変性ポリスチレン、ポリエチレンホモポリマー、及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、約80〜約90の値のCIE明度値L*;約−1.5〜約0.5のCIEa*値;約−2.5〜約1.5のCIEb*値;ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2のCIELAB色シフトΔE;及びASTM−D790にしたがって23℃において測定して約50〜約100MPaの曲げ弾性率;を示す組成物である。幾つかの態様においては、本組成物は約88以下のL*値を示す。幾つかの態様においては、本組成物は、ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に500時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2の色シフトΔEを示す。幾つかの態様においては、本組成物は、ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に1,000時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2の色シフトΔEを示す。
【0083】
一態様は、約25〜約45重量%のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約20〜約35重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;約10〜約30重量%の線状低密度ポリエチレン;約2〜約10重量%のポリブテン;約8〜約25重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、又はこれらの混合物;約4〜約10重量%の水酸化マグネシウム;約4〜約11重量%のメラミンポリホスフェート;約2〜約6重量%の二酸化チタン;約0.1〜約0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;約0.3〜約0.7重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び約0.6〜約1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;を含み;ここで、全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、約80〜約90の値のCIE明度値L*;約−1.5〜約0.5のCIEa*値;約−2.5〜約1.5のCIEb*値;ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2のCIELAB色シフトΔE;及びASTM−D790にしたがって23℃において測定して約50〜約100MPaの曲げ弾性率;を示す組成物である。
【0084】
本組成物は外観が明色である。具体的には、本組成物はASTM−D2244−05にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*を示す。幾つかの態様においては、明度値L*は少なくとも80であってよい。幾つかの態様においては、明度値L*は、70〜約95、具体的には約75〜約90、より具体的には約80〜約90、更により具体的には約85〜約88であってよい。
【0085】
本組成物は紫外光に対して非常に安定である。具体的には、本組成物は、ASTM−D4459−06にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244−05にしたがって測定して3以下のCIE色シフトΔEを示す。幾つかの態様においては、色シフトΔEはキセノンアークに500又は1000時間曝露した後に3以下である。幾つかの態様においては、色シフトΔEはキセノンアークに300又は500又は1000時間曝露した後に2以下又は1以下である。
【0086】
本組成物は可撓性である。「可撓性」という本用語の1つの客観的相関は曲げ弾性率である。したがって、幾つかの態様においては、本組成物はASTM−D790−03にしたがって23℃において測定して300MPa以下の曲げ弾性率を示す。幾つかの態様においては、曲げ弾性率は、約20〜約300MPa、具体的には約20〜約200MPa、より具体的には約35〜約150MPa、更により具体的には約50〜約100MPaである。曲げ弾性率の値は、ASTM−D790−03、方法Aにしたがって、1.27cm(0.5インチ)×12.7cm(5インチ)×3.175mm(0.125インチ)の寸法を有する試料に関して、5.08cm(2インチ)の支持スパン長さ、及び1.27mm/分(0.05インチ/分)のクロスヘッド移動速度を用いて測定することができる。可撓性の他の客観的相関は引張り伸びである。したがって、幾つかの態様においては、本組成物は100%以上の破断点引張り伸びを示す。幾つかの態様においては、引張り伸びは、具体的には約100〜約300%、より具体的には約150〜約300%、更により具体的には約200〜約300%、更により具体的には約250〜約290%である。破断点引張り伸びは、ASTM−D638−03にしたがって23℃において、3.2mmの厚さを有するタイプIの棒状試料、組成物あたり5つの棒状試料、及び5.08cm/分(2インチ/分)の試験速度を用いて測定することができる。
【0087】
本発明は、上記記載の組成物の製造方法を包含する。したがって、一態様は、約10〜約45重量%のポリ(アリーレンエーテル);約9〜約80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;約8〜約25重量%の可塑剤;約1〜約12重量%の白色顔料;及び約0.1〜約5重量%の紫外線安定剤;を溶融混練することを含む熱可塑性組成物の製造方法であって;ここで、水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは約0.3〜約4の重量比で存在し;組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及びASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIE色シフトΔE;を示す上記方法である。
【0088】
他の態様は、約18〜約30重量%のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約23〜約35重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;約4〜約10重量%のポリブテン;約0.5〜約3重量%のエチレン−プロピレンラバー;約3〜約10重量%の鉱油;約8〜約16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート);約2〜約10重量%の水酸化マグネシウム;約4〜約16重量%のメラミンポリホスフェート;約2〜約6重量%の二酸化チタン;約0.1〜約0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;約0.3〜約1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び約0.6〜約1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;を溶融混練することを含む熱可塑性組成物の製造方法であって;組成物はラバー変性ポリスチレン、ポリエチレンホモポリマー、及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、約80〜約90の値のCIE明度値L*;約−1.5〜約0.5のCIEa*値;約−2.5〜約1.5のCIEb*値;ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2のCIELAB色シフトΔE;及びASTM−D790にしたがって23℃において測定して約50〜約100MPaの曲げ弾性率;を示す上記方法である。
【0089】
他の態様は、約10〜約45重量%のポリ(アリーレンエーテル);約5〜約40重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;約10〜約55重量%のエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマー;約8〜約25重量%の可塑剤;約1〜約12重量%の白色顔料;及び約0.1〜約5重量%の紫外線安定剤;を溶融混練することを含む熱可塑性組成物の製造方法であって;組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及びASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIE色シフトΔE;を示す上記方法である。
【0090】
他の態様は、約25〜約45重量%のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約20〜約35重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;約10〜約30重量%の線状低密度ポリエチレン;約2〜約10重量%のポリブテン;約8〜約25重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)又はレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)又はこれらの混合物;約4〜約10重量%の水酸化マグネシウム;約4〜約11重量%のメラミンポリホスフェート;約2〜約6重量%の二酸化チタン;約0.1〜0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;約0.3〜約0.7重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び約0.6〜約1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;を溶融混練することを含む熱可塑性組成物の製造方法であって;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、約80〜約90の値のCIE明度値L*;約−1.5〜約0.5のCIEa*値;約−2.5〜約1.5のCIEb*値;ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2のCIELAB色シフトΔE;及びASTM−D790にしたがって23℃において測定して約50〜約100MPaの曲げ弾性率;を示す上記方法である。
【0091】
溶融混練中の本組成物の溶融温度は、混合を容易にするのに十分に高いが、組成物の黄変を避けるのに十分に低くなければならない。幾つかの態様においては、溶融温度は300℃以下、具体的には270℃以下でなければならない。溶融混練によって製造される押出材料は、場合によっては、通常のペレット化装置、ダイフェースペレット化装置、又は水中ペレット化装置のような公知の装置を用いてペレット化する前に水浴中で冷却することができる。幾つかの態様においては、溶融混練は押出機内で行い、可塑剤を他の成分とは別に押出機に加える。他の態様においては、可塑剤をポリ(アリーレンエーテル)と予めブレンドし、ポリ(アリーレンエーテル)/可塑剤プレブレンドの添加の下流の位置において水素化ブロックコポリマーを押出機に加える。幾つかの態様においては、得られるプレブレンドを他の成分と溶融混練する前に、ポリ(アリーレンエーテル)、可塑剤、及び紫外線安定剤を予め互いにブレンドする。幾つかの態様においては、ポリ(アリーレンエーテル)/可塑剤の予備ブレンド、又はポリ(アリーレンエーテル)、可塑剤、及び紫外線安定剤の予備ブレンドは、室温において行う。幾つかの態様においては、ポリ(アリーレンエーテル)/可塑剤の予備ブレンド、又はポリ(アリーレンエーテル)、可塑剤、及び紫外線安定剤の予備ブレンドは、室温乃至ほぼポリ(アリーレンエーテル)のガラス転移温度の温度において行う。
【0092】
本発明は、上記記載の任意の組成物を含む物品、特にケーブル絶縁材を包含する。
本発明は、上記記載の任意の組成物を用いて電線を絶縁する方法を包含する。ここで用いる「電線」とは、検出可能な電気信号を伝導することができる導体を含む線材である。したがって、一態様は、約10〜約45重量%のポリ(アリーレンエーテル);約9〜約80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;約8〜約25重量%の可塑剤;約1〜約12重量%の白色顔料;及び約0.1〜約5重量%の紫外線安定剤;を含み;ここで、水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは約0.3〜約4の重量比で存在し;組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及びASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔE;を示す組成物で電線を押出被覆することを含む、電線の絶縁方法である。
【0093】
他の態様は、約18〜約26重量%のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約23〜約35重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;約4〜約10重量%のポリブテン;約1〜約3重量%のエチレン−プロピレンラバー;約6〜約10重量%の鉱油;約13〜約16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート);約2〜約10重量%の水酸化マグネシウム;約4〜約11重量%のメラミンポリホスフェート;約2〜約6重量%の二酸化チタン;約0.1〜約0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;約0.3〜約1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び約0.6〜約1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;を含み;ここで、組成物はラバー変性ポリスチレン、ポリエチレンホモポリマー、及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、約80〜約90の値のCIE明度値L*;約−1.5〜約0.5のCIEa*値;約−2.5〜約1.5のCIEb*値;ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2のCIELAB色シフトΔE;及びASTM−D790にしたがって23℃において測定して約50〜約100MPaの曲げ弾性率;を示す組成物で電線を押出被覆することを含む、電線の絶縁方法である。
【0094】
他の態様は、約10〜約45重量%のポリ(アリーレンエーテル);約5〜約40重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;約10〜約55重量%のエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマー;約8〜約25重量%の可塑剤;約1〜約12重量%の白色顔料;及び約0.1〜約5重量%の紫外線安定剤;を含み;ここで、組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及びASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIE色シフトΔE;を示す組成物で電線を押出被覆することを含む、電線の絶縁方法である。
【0095】
他の態様は、約25〜約45重量%のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル);約20〜約35重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマー;約10〜約30重量%の線状低密度ポリエチレン;約2〜約10重量%のポリブテン;約8〜約25重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)又はレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)又はこれらの混合物;約4〜約10重量%の水酸化マグネシウム;約4〜約11重量%のメラミンポリホスフェート;約2〜約6重量%の二酸化チタン;約0.1〜0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;約0.3〜約0.7重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び約0.6〜約1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;を含み;ここで、全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;組成物は、約80〜約90の値のCIE明度値L*;約−1.5〜約0.5のCIEa*値;約−2.5〜約1.5のCIEb*値;ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して約0.1〜約2のCIELAB色シフトΔE;及びASTM−D790にしたがって23℃において測定して約50〜約100MPaの曲げ弾性率;を示す組成物で電線を押出被覆することを含む、電線の絶縁方法である。
【0096】
以下の非限定的な実施例によって本発明を更に説明する。
【実施例】
【0097】
実施例1〜11、比較例1:
以下の実施例は、ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、トリアリールホスフェート、白色顔料、及び紫外線安定剤を含むブレンドによって示される優れた色安定性を示す。
【0098】
表1に、実施例1〜12の試料を製造するのに用いた基組成物中の成分を示す。基組成物は、UV安定剤を除く全ての成分を含む。全ての成分量は重量部で表す。ポリ(アリーレンエーテル)は、クロロホルム中25℃において測定して0.46dL/gの固有粘度を有し、GE PlasticsからPPO 646として得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル):CAS Reg. No. 24938-67-8であった(表1において「0.46 IV PPE」)。トリアリールホスフェートは、Great Lakes Chemical Corporationから得られるビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート):CAS Reg. No. 5945-33-5であった(表1において「BPADP」)。水素化ブロックコポリマーは、Kraton Polymers LLCからKraton RP6936として得られる、39%のポリスチレン含量及び約160,000原子質量単位の数平均分子量を有する線状トリブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンコポリマー:CAS Reg. No. 66070-58-4であった(表1において「SEBS-K6936」)。Sumitomo ChemicalからTPE-SB2400として得られる、約40重量%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン、約10重量%のエチレン−プロピレンラバー、及び約50重量%の鉱油を含む溶融混練ブレンド(表1において「SEBS/EPR/MO」)も全水素化ブロックコポリマーに寄与していた。液体ポリブテン、具体的には約800AMUの数平均分子量を有するイソブテン−ブテンコポリマーをInnoveneからIndopol H50として得た(表1において「ポリブテン」)。メラミンポリホスフェート:CAS Reg. No. 218768-84-4を、Ciba Specialty ChemicalsからMelapur 200/70として得た(表1において「メラミンポリホスフェート」)。水酸化マグネシウム:CAS Reg. No.1309-32-8を、Kyowa Chemical Industry Co.からKisuma 5Aとして得た(表1において「Mg(OH)2」)。エルカミド:CAS Reg. No. 112-84-5を、Crompton CorporationからKemamide E Ultraとして得た(表1において「エルカミド」)。ヒンダードフェノール酸化防止剤:1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン:CAS Reg. No. 32687-78-8を、Ciba Specialty ChemicalsからIrganox MD1024として得た(表1において「Phen. AO-1024」)。ヒンダードフェノール酸化防止剤:オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート:CAS Reg. No. 2082-79-3を、Ciba Specialty ChemicalsからIrganox 1076として得た(表1において「Phen. AO-1076」)。硫化亜鉛:CAS Reg. No. 1314-98-3を、SachtlebenからSachtolith HDとして得た(表1において「ZnS」)。表1において、「MgO」は酸化マグネシウム:CAS Reg. No. 1309-48-4を指す。ポリエチレンカプセル封入香料を、International Flavors and FragrancesからIFI-7191 PBDとして得た(表1において「香料」)。0.2μmの平均粒径を有する二酸化チタンをDuPontからTi-Pure R103-15として得た(表1において「TiO2」)。ASTM−D1510−02aにしたがって測定して231g/kgのヨウ素吸収量を有するカーボンブラックをCabotからMonarch 800として得た(表1において「カーボン」)。ピグメントグリーン36をBASFから得た(表1において「Green36」)。ウルトラマリンブルーをHolliday Pigmentsから得た(表1において「UMブルー」)。黄色着色剤:ピグメントブラウン24をBASFから得た(表1において「Yellow」)。脂環式エポキシ化合物:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート:CAS Reg. No. 2386-87-0を、DowからERL-4221として得た(表1において「エポキシ」)。ベンゾトリアゾールUV安定剤:2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール:CAS Reg. No. 3147-75-9を、CytecからCyasorb UV5411として得た(表1において「BTZ-1」)。ヒンダードアミン光安定剤:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート:CAS Reg. No. 52829-07-9を、Ciba Specialty ChemicalsからTinuvin770として得た(表1において「HALS」)。
【0099】
それぞれの組成物を以下のようにして調製した。押出の前に全ての成分を高速ヘンシェルミキサー内において1分間乾燥ブレンドした。得られた乾燥ブレンドを押出機のフィードスロートに加え、約250〜285℃において押出し、ペレットに切断した。押出温度は好ましくは約265〜275℃である。溶融温度が285℃より高いと、押出しているペレットの色が変化する可能性がある。押出機は、960mmの長さ及び32:1の長さ/直径比を有するWerner and Pfleidererの30mm共回転10バレル二軸押出機であった。水浴は約2mの長さを有する。水浴の温度は15℃以下に制御する。ペレット化機はJetro Divisionによって製造されたConair Jetroである。幾つかの非常に軟質のUV安定性の材料に関しては、水浴温度は10℃より低く制御し、ペレット化機はLab Tech Eng. Corp Ltdによって製造された特注のサイドカットラバーチョッパーである。このペレット化機を用いるとペレットの寸法がより均一になる。215〜240℃において、約5.5MPa(800lb/in2)の成形圧及び77℃の成形型温度を用いて、ペレットから5.08cm×7.62cm×0.254cm(2インチ×3インチ×0.100インチ)の寸法のプラスチックカラーチップを成形した。
【0100】
ASTM−D4459−99:「室内用途を意図されたプラスチックのキセノンアーク照射に関する標準手順」にしたがって、組成物のUV安定性を試験した。具体的には、この手順は、3500Wのランプ、0.3W/m2の照射露光量、並びに55℃の温度及び55%の相対湿度に制御する能力を有する、AtlasからCi4000として得られる照射装置を用いた。
【0101】
ASTM−D2244−05:「装置で測定した色座標から色の許容差及び色差を算出するための標準手順」にしたがって色差を測定した。色差(ΔE)値は、下記のCIELAB色差式にしたがって算出した。
【0102】
ΔE=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
ここで、
ΔL*=L1*−L2*
Δa*=a1*−a2*
Δb*=b1*−b2*
であり、L1*、a1*、及びb1*は、それぞれ、試験に曝露する前の明度、赤−緑座標、及び黄−青座標であり、L2*、a2*、及びb2*は、それぞれ、試験に曝露した後の明度、赤−緑座標、及び黄−青座標である。
【0103】
破断点引張り伸びは、ASTM−D638−03にしたがい、23℃の温度及び50mm/分の引張り速度において、210〜235℃のバレル温度及び40〜70℃の成形型温度を用いて成形した3.2mmの厚さを有するタイプI棒状試料を用いて23℃において測定した。引張り棒状試料は、試験の前に23℃及び50%の相対湿度において48時間コンディショニングした。報告する値は組成物あたり3つの試料の平均値を表す。
【0104】
表1に、表1の基組成物から構成され、特定量(重量部)の3種類のUV安定剤化合物を加えた実施例1〜12の試料に関する、引張り伸び値及び曝露時間の関数としてのΔE値を示す。「PPE/SEBS」、「BPADP/PPE」、及び「(BTZ+HALS)/PPE」と示される組成の列は、それぞれの成分の重量/重量比を表す(また、「PPE/SEBS」における「SEBS」は、「SEBS-K6936」及び「SEBS/EPR/MO」の両方からのSEBSを含む)。
【0105】
【表1−1】

【0106】
【表1−2】

【0107】
表1におけるΔE値から、ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、トリアリールホスフェート、白色顔料、及び紫外線安定剤を含むブレンドは、キセノンアーク照射後のそれらの低いΔE値によって例示されるように優れた色安定性を有することが分かる。実施例1〜11は異なるUV安定剤を含んでおり、これらは全て100、200、及び300時間後に2未満のΔE値を有する。これらの実施例は、1000時間の曝露後に優れた色安定性を保持して、3未満、及び実施例1、3、4、及び7〜11のような幾つかの場合においては1未満のΔE値を与える。
【0108】
いかなるUV安定剤も含まない比較例1も、100、200、及び300時間の曝露後に2未満のΔE値を示すが、その色安定性は300〜1000時間の曝露の間に実質的に低下する。
【0109】
また、表1におけるデータにより、広範囲のタイプ及び量のUV安定剤を用いて低い色シフトが達成されることも示される。例えば、全てのUV安定化添加剤の合計量は実施例9に関しては約1.2重量%であり、これは1000時間の曝露後に0.16のΔEを示し、一方、実施例6に関しては約12.0重量%であり、これは1000時間の曝露後に1.93のΔEを示した。UV安定剤の量の変動に対してUV安定性が安定していることにより、比較的少量のUV安定剤を用いることができ、したがって機械特性、難燃性、及び時間経過に伴う組成物の物理的分離に対するUV安定剤の悪影響を最小にすることができることが示される。
【0110】
比較例2〜13:
以下の比較例は、水素化ブロックコポリマーの代わりに耐衝撃性ポリスチレン(HIPS:ラバー変性ポリスチレン)を用いるブレンドは上記の実施例1〜11に関して示したものよりも著しく劣る色安定性を示すことを示す。
【0111】
試料の組成を表2に示す。ポリ(アリーレンエーテル)は、GE PlasticsからPPO 630として得られる、クロロホルム中25℃において測定して0.31dL/gの固有粘度を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であった(表2において「0.31 IV PPE」)。10.3重量%のポリブタジエンラバーを含む耐衝撃性ポリスチレンをGE HuntsmanからNORYL HIPS 3190として得た(表2において「HIPS」)。190℃及び2.16kgの力において測定して約20g/10分のメルトフローインデックスを有する線状低密度ポリエチレンをNova ChemicalsからNovapol GM-2024-Aとして得た(表2において「LLDPE-1」)。トリデシルホスフェートをDover Chemicalから得た(表2において「TDP」)。スチレン−アクリロニトリルコポリマー内にカプセル封入されているポリテトラフルオロエチレンは表2において「TSAN」と示す。325メッシュの篩によって0.10重量%未満の残留分を有する酸化鉄をBayerからBayferrox 180MPLとして得た(表2において「酸化鉄」)。ベンゾインをAceto Chemicalから得た(表2において「ベンゾイン」)。レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート):CAS Reg. No. 57583-54-7をAkzo NobelからFyrolflex RDPとして得た(表2において「RDP」)。他の成分は上記に記載した通りである。表2における全ての成分量は重量部で表す。
【0112】
ASTM−D638−03にしたがって上記に記載の条件を用いて破断点引張り強さ及び破断点引張り伸びを測定した。
また表2は、100〜300時間のキセノンアーク照射後のΔE値も示す。300時間の曝露後のΔE値は全ての試料に関して11.2〜30.7の範囲であり、これは全て1.5未満であった上記の実施例1〜11に関する値よりも非常に大きいことに注意されたい。
【0113】
【表2】

【0114】
比較例14〜20:
以下の比較例は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)を用いるブレンドは、水素化ブロックコポリマーを用いるブレンドと比較して著しく劣った色安定性を示すことを更に示す。
【0115】
表3に、比較例14〜20の組成をそれらの300時間後のΔE値と一緒に示す。キノフタロン染料:4,5,6,7−テトラクロロ−2−[2−(4,5,6,7−テトラクロロ−2,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−1H−インデン−2−イル)−8−キノリニル]−H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(CAS Reg. No. 30125-47-4:ピグメントイエロー138)をBASFからPaliotol Yellow K0961 HDとして得た(表3において「CC染料」)。ベンゾトリアゾールUV安定剤:2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミル)ベンゾトリアゾールをCiba Specialty ChemicalsからTinuvin 324として得た(表3において「BTZ-2」)。「全UV安定剤」は、BTZ-1、BTZ-2、HALS770、及びエポキシの量の合計である。
【0116】
表3はまた、試料の種々のCIE色特性も示す。成形したままのカラーチップについて、ASTM−D2244−05:「装置で測定した色座標から色の許容差及び色差を算出するための標準手順」にしたがってL*、a*、及びb*の初期値を測定した。同じ標準規格にしたがって300時間のキセノンアーク照射後のb*における変化及びΔEを測定した。
【0117】
【表3】

【0118】
ポリ(アリーレンエーテル)を水素化ブロックコポリマーではなくラバー変性ポリスチレンとブレンドする比較例14〜20は非常に劣った色安定性を有することが分かる。具体的には、これらの試料はASTM−D4459にしたがう300時間の曝露後に3.0〜33.5の範囲のΔE値を示す。これに対して、ラバー変性ポリスチレンではなく水素化ブロックコポリマーを用いる上記の実施例1〜11は、300時間後に0.72〜1.39の範囲のΔE値を示した。比較例14〜20に関しては、300時間のキセノンアーク照射後のΔb*及びΔE値が同等であることより、試料の黄変が全色シフトの主たる要素であることが示される。
【0119】
比較例21:
本実施例は、トリアリールホスフェートの濃度が8重量%未満である場合に色安定性が悪化し始めることを示す。
【0120】
組成を表4に詳細に示す。
組成、及びキセノンアーク照射時間の関数としてのΔE値を表4に示す。この試料に関しては、水酸化マグネシウムはMartin Marietta Magnesia SpecialtiesからMagshield UFとして得た。メラミンピロホスフェートをBudenheim Iberica Comercial S.A.からBudit 311 MPPとして得た(表4において「メラミンピロホスフェート」)。他の成分は上記に記載した通りである。
【0121】
データは、ΔE値が300時間のキセノンアーク照射後に5.81に上昇することを示す。
【0122】
【表4】

【0123】
実施例12〜17:
これらの実施例は、組成物の可撓性及びUV安定性に対するポリ(アリーレンエーテル)の濃度の効果を示す。
【0124】
組成を表5に詳細に示す。
ショアA硬度は、ASTM−D2240−05にしたがって、OS-2H操作スタンドを有するRex Model DD-3-Aデジタルデュロメーターを用いて25℃において測定した。
【0125】
曲げ弾性率値(MPaで表す)は、ASTM−D790−03、方法Aにしたがい、1.27cm(0.5インチ)×12.7cm(5インチ)×3.175mm(0.125インチ)の寸法を有する試料に関して23℃で測定した。支持スパン長さは5.08cm(2インチ)であった。クロスヘッド移動速度は1.27mm/分(0.05インチ/分)であった。
【0126】
PPE/SEBS比において変動するが他は実質的に同じである実施例13〜16に関する表5の特性値は、引張り強さ、引張り伸び、曲げ弾性率、及び難燃性が、水素化ブロックコポリマーに対するポリ(アリーレンエーテル)の重量比(即ちPPE/SEBS)が増加するにつれて単調に変動することを示す。しかしながら、PPE/SEBSと色シフト(ΔE)との間の相関関係はより複雑である。より高いPPE/SEBS比を有する実施例15及び16に対して、0.42のPPE/SEBS比を有する実施例13及び0.68のPPE/SEBS比を有する実施例14は、100時間曝露においてそれぞれ約1.8及び1.4のより高いΔE値を有するが、これらのΔE値はその後200〜500時間の曝露の間に下降する。これに対して、実施例15及び16はいずれも100時間において約1のΔE値、200時間後において約0.2へのΔEの低下、及び300から400、更に500時間へと上昇するΔEを示す。ΔE対時間における相違がPPE/SEBSの関数としての傾向を示すのにもかかわらず、実施例12〜17を総合すると、0.25〜2.13のPPE/SEBS比及び10〜45重量%のポリ(アリーレンエーテル)濃度に関して、500時間のような長いキセノンアーク照射に関して2未満のΔE値を達成することができることが示される。これらの実験からのデータはまた、10〜45重量%のポリ(アリーレンエーテル)を含む組成物は、導電ケーブル及び同軸ケーブル用の被覆材として用いるのに必要な可撓性、柔軟性、及びUV安定性を示すことができることも示唆する。
【0127】
【表5】

【0128】
実施例18〜21:
これらの実施例は、UV安定性及び物理特性に対するポリブテン濃度の効果を示す。
組成を表6に詳細に示す。13重量%のポリスチレン含量、及び230℃において5kgの力を用いて測定して22g/10分のメルトフローを有するポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーを、Kraton PolymersからKraton G1657Mとして得た(表6において「SEBS-K1657M」)。
【0129】
特性結果を表6に示す。この結果は、ポリブテンのレベルを増加させることは、一般に色安定性の向上(ΔE値の低下)と関係することを示す。UV安定性の向上の一部はポリブテンの比較的UV不活性である性質によって与えられると考えられる。しかしながら、最大のポリブテン濃度は全濃度の約8重量%である。したがって、ポリブテン濃度における変動は十分に小さくて、引張り特性及びショアA硬度に対して比較的小さな効果を有し、したがってUV安定性に対して比較的小さな効果を有すると考えられる。むしろ、少量のポリブテンを加えることはUV安定性に対して大きな有益な効果を有する。
【0130】
【表6】

【0131】
実施例22〜27:
これらの実施例は、UV安定性及び物理特性に対するSEBS/EPR/MO、ポリブテン、SEBS、及びメラミンピロホスフェートの濃度における変動の効果を示す。
【0132】
組成を表7に詳細に示す。上記したように、SEBS/EPR/MOは、40%のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン、10%のエチレン−プロピレンラバー、及び50%の鉱油の溶融混練ブレンドである。
【0133】
実施例26に関する結果、特にその異なる初期の色(所望の明灰色よりも遙かに黄色い)は、この材料の配合又は化合中にいくらかのエラーが起きた可能性があることを示唆している。実施例26を除いて、表7における結果は、これらの配合物の引張り特性及びUV安定性は、SEBS/EPR/MO、ポリブテン、SEBS、及びメラミンピロホスフェートの濃度における変動に対して安定していることを示す。
【0134】
【表7】

【0135】
実施例28、比較例22〜26:
これらの実施例及び比較例は、水素化ブロックコポリマーのタイプを変動させ、及び水素化ブロックコポリマーをHIPSに部分的に置き換えることを示す。
【0136】
上記の実施例の多くは、水素化ブロックコポリマーとしてKraton A RP6936を用いる。これは、39%のポリスチレン含量及び約160,000原子質量単位の数平均分子量を有する線状トリブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンコポリマーである。実施例28は、Kraton PolymersからKraton G1650として得られる、約30%のポリスチレン含量を有する線状トリブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンコポリマー(表8において「SEBS-KG1650」)を用いる。比較例22〜26はHIPSと異なる水素化ブロックコポリマーとのブレンドを用いる。以下のブロックコポリマーをKraton Polymersから得た:Kraton G1651(表8において「SEBS-KG1651」)は、33%のポリスチレン含量を有する線状トリブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンコポリマーである;Kraton D1101(表8において「SBS」)は、31%のポリスチレン含量を有する線状トリブロックポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンコポリマーである;Kraton G1701(表8において「SEP-KG1701」)は、37%のポリスチレン含量を有する線状ジブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)コポリマーである;Kraton G1702(表8において「SEP-KG1702」)は、28%のポリスチレン含量を有する線状ジブロックポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)コポリマーである。
【0137】
ベンゾフェノン光安定剤:2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンを、Cytec CorporationからCyasorb UV-531として得た(表8において「Cyasorb UV-531」)。
表8における結果は、本発明の組成物のUV安定性の有利性は水素化ブロックコポリマーのポリ(アルケニル芳香族化合物)含量における変動に対して安定していることを示す。HIPSの添加並びにブロックコポリマーのタイプ及び量の効果を明確に解明することは可能でないが、実施例28及び比較例22〜26に関する結果は、20%より大きいHIPSの濃度はUV安定性に対して実質的な悪影響を与える可能性があることを示唆する。
【0138】
【表8】

【0139】
実施例29、比較例27〜29:
これらの実施例は、水素化ブロックコポリマー対ラバー変性ポリスチレン、並びにトリアリールホスフェートの存在及び不存在の効果を示す。
【0140】
組成を表9に詳細に示す。
表9における「樹脂の色」は視認検査によって評価した。
ラバー変性ポリスチレン(HIPS)を含むが水素化ブロックコポリマーを含まない比較例27及び28に関する結果は、試料が300時間のキセノンアーク照射を示す後にそれぞれ5.0及び14.8のΔE値によって示されるような劣ったUV安定性を示したことを示す。更に、比較例28は初めは所望の白色よりもむしろ灰色であった。水素化ブロックコポリマーを含むがトリアリールホスフェートを含まない比較例5は劣ったUV安定性を示す。水素化ブロックコポリマー及びトリアリールホスフェートの両方を含む実施例26は、所望の初期の白色及び優れたUV安定性を示す。
【0141】
【表9】

【0142】
実施例30〜36、比較例30〜37:
これらの実施例は、ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、SEBS/EPR/MO、トリアリールホスフェート、及びポリブテンの濃度を変動させることの効果、並びにトリアリールホスフェートを含まない組成物における水素化ブロックコポリマー対ラバー変性ポリスチレンの効果を示す。
【0143】
組成を表10に詳細に示す。
CIE明度値L*、並びに300及び500時間のキセノンアーク照射後のΔE値を表10に示す。全ての組成物は同等の明度値を有していた。種々の比較により、同等の重量部の他の成分を含む組成物におけるトリアリールホスフェート:BPADPの存在に関係するUV安定性の大きな向上が示される:比較例31(BPADP無し;300時間でのΔE=11.5;500時間でのΔE=11.9)対実施例30(BPADP有り;300時間でのΔE=0.9;500時間でのΔE=0.6);比較例32(BPADP無し;300時間でのΔE=11.0;500時間でのΔE=11.7)対実施例31(BPADP有り;300時間でのΔE=0.8;500時間でのΔE=0.5);比較例33(BPADP無し;300時間でのΔE=11.1;500時間でのΔE=12.0)対実施例32(BPADP有り;300時間でのΔE=1.1;500時間でのΔE=0.6);比較例35(BPADP無し;300時間でのΔE=17.4;500時間でのΔE=17.3)対実施例35(BPADP有り;300時間でのΔE=0.5;500時間でのΔE=1.5);比較例36(BPADP無し;300時間でのΔE=15.9;500時間でのΔE=16.7)対実施例36(BPADP有り;300時間でのΔE=0.8;500時間でのΔE=1.6)。
【0144】
比較例30及び比較例31を総合すると、トリアリールホスフェートを含まない組成物に関するHIPS対SEBSの効果が示される。実際、300時間後により低い(より良好な)ΔE値を示すのはHIPSを含む試料であり、両方の試料は500時間後に非常に大きなΔE値を有する。この比較により、ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、及びトリアリールホスフェートを含む組成物の実質的に向上したUV安定性が予期しないものであることが更に示される。
【0145】
実施例30〜32の結果を総合すると、組成物の優れたUV安定性は、SEBSの約25%をSEBS/EPR/MOブレンドに置き換えても、及びSEBSの約15%をポリブテンに置き換えても全く安定していることが示される。
【0146】
【表10−1】

【0147】
【表10−2】

【0148】
【表10−3】

【0149】
実施例37、38、38A、及び38B:
これらの実施例は、本組成物の優れたUV安定性、並びに物理的、電気的、及び難燃特性を更に示す。
【0150】
組成を表11に詳細に示す。
比誘電率は、ASTM−D150−98(2004):「固体電気絶縁材のAC損失特性及び誘電率(誘電定数)に関する標準的な試験法」にしたがって測定した。試料の形状は、3mmの厚さを有する引張り試験棒状試料であった。試料の両側上において試験固定電極と良好な接触を与えるように試料の表面は平坦でなければならない。試料を85℃において2時間乾燥した。乾燥後、試料を試験前に23℃の室温及び50%の相対湿度において24時間コンディショニングした。測定回路は、Hewlett Packardによって製造されたAgilent 4291B RF Impedance/Materials Analyzerであり、用いた典型周波数は60ヘルツ、1メガヘルツ、及び100メガヘルツであった。
【0151】
試験物品の難燃性は、Underwriter's Laboratory UL94「装置及び設備における部品のためのプラスチック材料の可燃性に関する試験」、5版(1996)にしたがって測定した。具体的には、垂直燃焼炎試験を用いた。この手順においては、125×12.5×3.2mmの寸法を有する試験棒状試料を垂直に配置する。1.9cm(3/4インチ)の炎を試験棒状試料の端部に10秒間適用して取り除く。消火した時間を測定する(第1燃焼時間)。炎を更に10秒間再び適用して取り除く。消火した時間を測定する(第2燃焼時間)。V−0等級に関しては、第1又は第2の炎の適用からの個々の燃焼時間はいずれも10秒を超えず、5つの試験片の全てに関する燃焼時間の合計は50秒を超えず、試験片の下方に配置した綿ガーゼ片を発火させる垂れ(ドリップ)粒子は発生せず、クランプまでの燃焼は起こらない。V−1等級に関しては、第1又は第2の炎の適用からの個々の燃焼時間はいずれも30秒を超えず、5つの試験片の全てに関する燃焼時間の合計は250秒を超えず、試験片の下方に配置した綿ガーゼ片を発火させる垂れ粒子は発生しない。V−2等級に関しては、第1又は第2の炎の適用からの個々の燃焼時間はいずれも30秒を超えず、5つの試験片の全てに関する燃焼時間の合計は250秒を超えず、試験片の下方に配置した綿ガーゼ片を発火させる垂れ粒子が発生するが、クランプまでの燃焼は起こらない。
【0152】
表11における特性結果は、これらの配合物が優れたUV安定性を示し、また、それらを導電ケーブル用の被覆材として用いるのに好適にする物理的、電気的、及び難燃特性を有することを示す。これらの組成物は、iPodのようなソリッドステートのオーディオ及びオーディオ/ビデオプレイヤーと共に用いるケーブル用の被覆材として用いるのに特に好適である。
【0153】
【表11】

【0154】
実施例39〜41、比較例38〜40:
これらの実施例は、本発明のUV安定化の有利性がポリオレフィンを含む組成物にも拡張されることを更に示す。
【0155】
0.924g/mLの密度、123℃の融点、並びにASTM−D1238にしたがって190℃及び2.16kgの力において測定して20g/10分のメルトインデックスを有する線状低密度ポリエチレンを、DowからDNDA-7144 NT7として得た。この線状低密度ポリエチレンは表12において「LLDPE-2」と示す。他の成分は全て上記に記載したとおりである。
【0156】
表12における結果は、ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、トリアリールホスフェート、ポリオレフィン、及び紫外線安定剤を用いる実施例39〜41によって優れたUV安定性が示されたことを示す(1.43以下の300時間でのΔEの値によって示される)。紫外線安定剤を含まない対応する比較例38〜40は、遙かに悪いUV安定性を示した(4.69以上の300時間でのΔEの値によって示される)。
【0157】
【表12−1】

【0158】
【表12−2】

【0159】
実施例42、比較例41:
これらの実施例は、本発明のUV安定性の有利性がエチレン/α−オレフィンコポリマーを含む組成物にも拡張されることを示す。
【0160】
ISO−1183にしたがって測定して23℃において0.882g/mLの密度、ASTM−D3418にしたがって示差走査熱量測定によって測定して70℃の融点、並びにISO−1133にしたがって190℃及び2.16kgの力において測定して1.1dg/分のメルトフローレートを有するエチレン−オクテンコポリマーを、DEXPLASTOMERSからExact 8201として得た(表13において「PEO」)。ブチル化トリフェニルホスフェートをSuprestaから得た(表13において「BTPP」)。他の成分は全て上記に記載した通りである。
【0161】
表13における結果は、ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、トリアリールホスフェート、及び紫外線安定剤を含む実施例42は優れたUV安定性を示し、これに対して紫外線安定剤を含まない比較例41は非常に劣ったUV安定性を示したことを示す。
【0162】
【表13】

【0163】
実施例43〜48:
これらの実施例は、難燃剤のタイプ及び量における変動の効果を示す。実施例43及び44においては、難燃剤はメラミンポリホスフェートとビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)の組み合わせであり;2つの試料はビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)の量において僅かに異なる。実施例43及び44は、NagaseからNUCG5381として得られる線状低密度ポリエチレン(表14において「LLDPE-3」)も含む。実施例45〜48は線状低密度ポリエチレンを含まない。実施例45及び46においては、難燃剤は、メラミンポリホスフェート、メラミンピロホスフェート、及びビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)の組み合わせである。実施例47及び48においては、難燃剤は、メラミンポリホスフェート、メラミンピロホスフェート、及びレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)の組み合わせである。
【0164】
表14における結果は、全ての試料が優れたUV安定性を示すことを示す。これらの結果はまた、線状低密度ポリエチレン、並びにメラミンポリホスフェートとビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)の組み合わせの難燃剤を含む実施例43及び44は、非常に望ましいUL94のV−0等級を達成したことも示す。また、これらの結果は、線状低密度ポリエチレンを含まない実施例45〜48は、幾つかのケーブル被覆材用途に必要な比較的低いショアA硬度値を示したことを示す。また、これらの結果は、BPADPはUV安定性のためにはRDPよりも良好であることを示す。
【0165】
【表14−1】

【0166】
【表14−2】

【0167】
この記載は、ベストモードを含む本発明を開示し、また当業者が本発明を製造及び使用することができるような例を用いている。発明の特許範囲は特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の例を含むことができる。かかる他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有するか、或いは特許請求の範囲の文言から大きくは異ならない等価の構造要素を含むならば、特許請求の範囲内に含まれると意図される。
【0168】
全ての引用された特許、特許出願、及び他の参照文献は、その全てを参照として本明細書中に包含する。しかしながら、本出願における用語が、包含された参照文献中の用語と反するか又は対立する場合には、本出願からの用語は、包含された参照文献からの対立する用語に優先する。
【0169】
本明細書において開示する全ての範囲は、端点を包含するものであり、端点は独立して互いに組み合わせることができる。
発明の説明に関連して(特に特許請求の範囲に関連して)用語「a」、及び「an」、及び「the」、及び同様の指示詞を用いることは、本明細書において他に示すか又は記載によって明確に反しない限りにおいて、単数及び複数の両方を包含すると解釈すべきである。更に、本明細書における「第1」、「第2」などの用語は、順番、量、又は重要性を示すものではなく、1つの要素を他から区別するために用いるものであることを注意すべきである。量に関して用いる修飾語「約」は、示した値を包含するものであり、文脈によって定まる意味を有する(例えば、特定の量の測定値に関係する誤差の程度を包含する)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10〜45重量%のポリ(アリーレンエーテル);
9〜80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;
8〜25重量%の可塑剤;
1〜12重量%の白色顔料;及び
0.1〜5重量%の紫外線安定剤;
を含み;
水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは0.3〜4の重量比で存在し;
組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;
組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;
全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;
組成物は、
ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及び
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔE;
を示す組成物。
【請求項2】
少なくとも80の値のCIE明度値L*を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に500時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔEを示す、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に1000時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔEを示す、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
ASTM−D790にしたがって23℃において測定して300MPa以下の曲げ弾性率を示す、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
ASTM−D638にしたがって測定して100%以上の23℃における引張り伸びを示す、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
水素化ブロックコポリマーがポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーである、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
水素化ブロックコポリマーの少なくとも一部が、水素化ブロックコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、及び鉱油を含む溶融混練ブレンドの形態で与えられる、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とが1.2〜3の重量比で存在する、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
可塑剤が、安息香酸エステル、ペンタエリトリトールエステル、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、トリアリールホスフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
可塑剤がトリアリールホスフェートである、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
可塑剤がビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)である、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
白色顔料が、硫化亜鉛、二酸化チタン、又はこれらの混合物である、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
紫外線安定剤が、ベンゾフェノンUV吸収剤、ベンゾトリアゾールUV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、シンナメートUV吸収剤、オキサニリドUV吸収剤、2−(2’−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンUV吸収剤、ベンゾオキサジノンタイプのUV吸収剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるUV吸収剤である、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
紫外線安定剤が脂環式エポキシ化合物を更に含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
ポリブテンを更に含む、請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
ポリブテンが700〜1,000原子質量単位の数平均分子量を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
0.5〜6重量%のエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーを更に含む、請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
エチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーがエチレン−プロピレンラバーである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
組成物がエチレンとC3〜C12−α−オレフィンとのコポリマーを含まない、請求項1〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
組成物がポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを含まない、請求項1〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
2〜20重量%の鉱油を更に含む、請求項1〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
水酸化マグネシウム、メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される難燃剤を更に含む、請求項1〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
水酸化マグネシウム及びメラミンポリホスフェートを含む難燃剤を更に含み、3.2mmの厚さにおいてV−0のUL94等級を示す、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
水酸化マグネシウム及びメラミンポリホスフェートを含む難燃剤を更に含み、3.2mmの厚さにおいてV−1のUL94等級を示す、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相及び水素化ブロックコポリマーを含む連続相を含む、請求項1〜25のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
組成物が18〜30重量%のポリ(アリーレンエーテル)を含み;
ポリ(アリーレンエーテル)がポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり;
組成物が23〜35重量%の水素化ブロックコポリマーを含み;
水素化ブロックコポリマーがポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーであり;
組成物が4〜10重量%のポリブテンを更に含み;
組成物が0.5〜3重量%のエチレン−プロピレンラバーを更に含み;
組成物が3〜10重量%の鉱油を更に含み;
組成物が8〜16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を更に含み;
組成物が2〜10重量%の水酸化マグネシウム更に含み;
組成物が4〜16重量%のメラミンポリホスフェートを更に含み;
組成物が2〜6重量%の白色顔料を含み;
白色顔料が二酸化チタンであり;
紫外線安定剤が、
0.1〜0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;
0.3〜1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び
0.6〜1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;
を含み;
組成物がラバー変性ポリスチレンを実質的に含まず;
全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;
組成物が、
80〜90の値のCIE明度値L*
−1.5〜0.5のCIEa*値;
−2.5〜1.5のCIEb*値;
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して0.1〜2のCIELAB色シフトΔE;及び
ASTM−D790にしたがって23℃において測定して50〜100MPaの曲げ弾性率;
を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
組成物がASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に500時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して0.1〜2の色シフトΔEを示す、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
組成物がASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に1,000時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して0.1〜2の色シフトΔEを示す、請求項27又は28に記載の組成物。
【請求項30】
10〜45重量%のポリ(アリーレンエーテル);
9〜80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;
8〜25重量%の可塑剤;
1〜12重量%の白色顔料;及び
0.1〜5重量%の紫外線安定剤;
を溶融混練することを含む熱可塑性組成物の製造方法であって、
ここで水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは0.3〜4の重量比で存在し;
組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;
組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;
組成物は、
ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及び
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIE色シフトΔE;
を示す上記方法。
【請求項31】
ポリ(アリーレンエーテル)及び可塑剤を、水素化ブロックコポリマーとブレンドする前に互いにブレンドする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ポリ(アリーレンエーテル)、可塑剤、及び紫外線安定剤を、水素化ブロックコポリマーとブレンドする前に互いにブレンドする、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
ポリ(アリーレンエーテル)の量が18〜30重量%であり;
ポリ(アリーレンエーテル)がポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり;
水素化ブロックコポリマーの量が23〜35重量%であり;
水素化ブロックコポリマーがポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーであり;
4〜10重量%のポリブテン;
0.5〜3重量%のエチレン−プロピレンラバー;
3〜10重量%の鉱油;
8〜16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート);
2〜10重量%の水酸化マグネシウム;及び
4〜16重量%のメラミンポリホスフェート;
を、ポリ(アリーレンエーテル)、水素化ブロックコポリマー、可塑剤、白色顔料、及び紫外線安定剤と溶融混練し;
ここで、白色顔料の量は2〜6重量%であり;
白色顔料は二酸化チタンであり;
紫外線安定剤は、
0.1〜0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;
0.3〜1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び
0.6〜1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;
を含み;
組成物はラバー変性ポリスチレンを実質的に含まず;
組成物は、
80〜90の値のCIE明度値L*
−1.5〜0.5のCIEa*値;
−2.5〜1.5のCIEb*値;
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して0.1〜2のCIELAB色シフトΔE;及び
ASTM−D790にしたがって23℃において測定して50〜100MPaの曲げ弾性率;
を示す、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)及びビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーとブレンドする前に互いにブレンドする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、脂環式エポキシ樹脂、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、及びビス(ピペリジニル)セバケートを、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーとブレンドする前に互いにブレンドする、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
10〜45重量%のポリ(アリーレンエーテル);
9〜80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;
8〜25重量%の可塑剤;
1〜12重量%の白色顔料;及び
0.1〜5重量%の紫外線安定剤;
を含み;
水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは0.3〜4の重量比で存在し;
組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;
組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;
全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;
組成物は、
ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及び
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔE;
を示す組成物を含む物品。
【請求項37】
ケーブル絶縁材である、請求項36に記載の物品。
【請求項38】
組成物が18〜30重量%のポリ(アリーレンエーテル)を含み;
ポリ(アリーレンエーテル)がポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり;
組成物が23〜35重量%の水素化ブロックコポリマーを含み;
水素化ブロックコポリマーがポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーであり;
組成物が4〜10重量%のポリブテンを更に含み;
組成物が0.5〜3重量%のエチレン−プロピレンラバーを更に含み;
組成物が3〜10重量%の鉱油を更に含み;
組成物が8〜16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を更に含み;
組成物が2〜10重量%の水酸化マグネシウム更に含み;
組成物が4〜16重量%のメラミンポリホスフェートを更に含み;
組成物が2〜6重量%の白色顔料を含み;
白色顔料が二酸化チタンであり;
紫外線安定剤が、
0.1〜0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;
0.3〜1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び
0.6〜1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;
を含み;
組成物がラバー変性ポリスチレンを実質的に含まず;
全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;
組成物が、
80〜90の値のCIE明度値L*
−1.5〜0.5のCIEa*値;
−2.5〜1.5のCIEb*値;
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して0.1〜2のCIELAB色シフトΔE;及び
ASTM−D790にしたがって23℃において測定して50〜100MPaの曲げ弾性率;
を示す、請求項36に記載の物品。
【請求項39】
ケーブル絶縁材である、請求項38に記載の物品。
【請求項40】
10〜45重量%のポリ(アリーレンエーテル);
9〜80重量%のアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの水素化ブロックコポリマー;
8〜25重量%の可塑剤;
1〜12重量%の白色顔料;及び
0.1〜5重量%の紫外線安定剤;
を含み;
水素化ブロックコポリマーとポリ(アリーレンエーテル)とは0.3〜4の重量比で存在し;
組成物は20重量%以下のラバー変性ポリスチレンを含み;
組成物はポリエチレンホモポリマー及びポリプロピレンホモポリマーを実質的に含まず;
全ての重量%は組成物の全重量を基準とするものであり;
組成物は、
ASTM−D2244にしたがって測定して少なくとも70の値のCIE明度値L*;及び
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して3以下のCIELAB色シフトΔE;
を示す組成物で電線を押出被覆することを含む、電線の絶縁方法。
【請求項41】
組成物が18〜30重量%のポリ(アリーレンエーテル)を含み;
ポリ(アリーレンエーテル)がポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり;
組成物が23〜35重量%の水素化ブロックコポリマーを含み;
水素化ブロックコポリマーがポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロックコポリマーであり;
組成物が4〜10重量%のポリブテンを更に含み;
組成物が0.5〜3重量%のエチレン−プロピレンラバーを更に含み;
組成物が3〜10重量%の鉱油を更に含み;
組成物が8〜16重量%のビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を更に含み;
組成物が2〜10重量%の水酸化マグネシウム更に含み;
組成物が4〜16重量%のメラミンポリホスフェートを更に含み;
組成物が2〜6重量%の白色顔料を含み;
白色顔料が二酸化チタンであり;
紫外線安定剤が、
0.1〜0.6重量%の脂環式エポキシ樹脂;
0.3〜1重量%のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;及び
0.6〜1.5重量%のビス(ピペリジニル)セバケート;
を含み;
組成物がラバー変性ポリスチレンを実質的に含まず;
組成物が、
80〜90の値のCIE明度値L*
−1.5〜0.5のCIEa*値;
−2.5〜1.5のCIEb*値;
ASTM−D4459にしたがってキセノンアーク照射に300時間曝露した後にASTM−D2244にしたがって測定して0.1〜2のCIELAB色シフトΔE;及び
ASTM−D790にしたがって23℃において測定して50〜100MPaの曲げ弾性率;
を示す、請求項40に記載の方法。

【公表番号】特表2010−520328(P2010−520328A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551791(P2009−551791)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/054634
【国際公開番号】WO2008/106362
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(508171804)サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ (86)
【Fターム(参考)】