説明

ポンプ装置

本発明によるポンプ装置は、複合ポンプ(100)を有し、複合ポンプ(100)は、第1チャンバ(10)に連結された第1入口(130)と、第2チャンバ(14)に連結された第2入口(132)と、第1ポンプセクション(106)と、その下流側に位置する第2のポンプセクション(108)とを有する。複合ポンプ(100)に第1入口(130)から入った流体は、第1及び第2ポンプセクション(106,108)を通り、第2入口(132)から入った流体は、第2ポンプセクション(108)だけを通る。ポンプ装置は、更に、第3チャンバ(11)に連結されたブースタポンプ(140)と、それに連結されたバッキングポンプ(142)とを有し、これらのポンプのいずれかに、複合ポンプ(100)から排出された流体を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関し、特に、真空システムを差圧式に排気するポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
差圧ポンプ送り式質量分析計(マススペクトロメータ)システムでは、サンプル及びキャリヤガスが、その分析のために質量分析計に導入される。かかる一例が、図1に記載されている。図1を参照すると、かかるシステムでは、高真空チャンバ10が設けられ、高真空チャンバ10は、第1の排気インターフェースチャンバ11又はシステムのタイプに応じて第2又は第3の排気インターフェースチャンバ12,14のすぐ次に位置している。第1のインターフェースチャンバ11は、排気式質量分析計システムにおける圧力の最も高いチャンバであり、イオンをイオン源(ソース)から第1のインターフェースチャンバ11内へ引き込むようにするオリフィス又は毛管を有するのがよい。第2のオプションとしてのインターフェースチャンバ12は、第1のインターフェースチャンバ11からのイオンを第3のインターフェースチャンバ14内に案内するイオン光学系を有するのがよく、第3のインターフェースチャンバ14は、第2のインターフェースチャンバ12からのイオンを高真空チャンバ10内に案内する追加のイオン光学系を有するのがよい。この例では、使用にあたり、第1のインターフェースチャンバ11は、約1〜10ミリバール(102〜103Pa)の圧力状態にあり、第2のインターフェースチャンバ12(用いられる場合)は、約10-1〜1ミリバール(10〜102Pa)の圧力状態にあり、第3のインターフェースチャンバ14は、約10-2〜10-3ミリバール(1〜10-1Pa)の圧力状態にあり、高真空チャンバは、約10-5〜10-6ミリバール(10-3〜10-4Pa)の圧力状態にある。
【0003】
複合真空ポンプ16により高真空チャンバ10、第2のインターフェースチャンバ12及び第3のインターフェースチャンバ14を排気することができる。この例では、真空ポンプは、2組のターボ分子段の形態をした2つのポンプセクション18,20及びホルベック(Holweck)ドラッグ機構の形態をした第3のポンプセクション22を有し、ホルベックドラッグ機構に代えて別の形態のドラッグ機構、例えばジーグバーン(Siegbahn)又はゲーデ(Gaede)機構を用いてもよい。ターボ分子段の各組18,20は、よく知られた傾斜構造を有するロータ19a,21aとステータ19b,21bの多数の羽根対(図1では3つであるが、任意適当な数であってもよい)を有している。ホルベック機構22は、多数の回転シリンダ28a(図1では2つであるが、任意適当な数であってもよい)と、それに対応する環状ステータ23b及び螺旋チャネルをそれ自体よく知られている仕方で有している。
【0004】
この例では、第1のポンプ入口24が、高真空チャンバ10に連結され、第1のポンプ入口24を通してポンプ送りされた流体が、ターボ分子段の両方の組18,20を順番に通り、そしてホルベック機構22を通って出口30を介してポンプから出る。第2のポンプ入口26が、第3のインターフェースチャンバ14に連結されており、第2のポンプ入口26を通ってポンプ送りされた流体が、ターボ分子段の組20及びホルベック機構22を通り、出口30を介してポンプから出る。この例では、ポンプ16は、第3のポンプ入口27を更に有し、この第3のポンプ入口は、選択的に開閉可能であり、この第3のポンプ入口は、例えば、流体をオプションとしての第2のインターフェースチャンバ12からポンプ16内に案内する内部バッフル又は板を利用するのがよい。第3のポンプ入口27が開いた状態で、第3の入口27を通してポンプ送りされた流体は、ホルベック機構だけを通り、出口30を介してポンプ16から出る。
【0005】
この例では、質量分析計を排気するのに必要なポンプの数を最小に抑えるために、第1のインターフェースチャンバ11は、フォアライン31を介してバッキングポンプ32に連結され、このバッキングポンプ32も又、複合真空ポンプ16の出口30から流体をポンプ送りする。バッキングポンプ32は、典型的には、複合真空ポンプ16の出口30からの質量流量よりも多量の質量流量を第1のインターフェースチャンバ11から直接ポンプ送りする。各ポンプ入口に入った流体がポンプ16から出る前に互いに異なる数の段を通るので、ポンプ16は、バッキングポンプ32が第1のインターフェースチャンバ11内に所要の真空レベルを付与している状態で高真空チャンバ10及びインターフェースチャンバ12,14内に所要の真空レベルをもたらすことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複合ポンプ16の性能及び電力消費量は、主として、そのバッキング圧力に依存し、即ち、バッキングポンプ32により与えられるフォアライン圧力(及び第1のインターフェースチャンバ11内の圧力)に依存する。これはそれ自体、主として、2つの要因、即ち質量分析計からフォアライン31に入る全質量流量と、バッキングポンプ32のポンプ性能とに依存する。ターボ分子段と分子ドラッグ段の組合せを有する多くの複合ポンプは、理想的には、比較的低いバッキング圧力に適しているに過ぎないので、質量流量の増大又はバッキングポンプサイズの減少の結果としてフォアライン31内(及びそれ故に第1のインターフェースチャンバ11内)の圧力が増大した場合、その結果としての性能の低下及び電力消費量の増大がすぐに生じる場合がある。質量分析計の性能を向上させようとして、製造業者は、質量分析計中への質量流量を増大させる場合が多く、かくして、それに伴ってバッキングポンプのサイズ又は数を増大させて質量流量の増大に対応する必要がある。これにより、質量分析計を差圧式に排気するのに必要なポンプシステム全体のコストとサイズの両方並びに電力消費量が増大する。
【0007】
本発明は、少なくともその好ましい実施形態において、低いシステム圧力を保持しながら質量流量を実質的に増大させることができる比較的コンパクトで安価でありしかも低電力のポンプ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の特徴において、複数のチャンバを差圧的に排気するポンプ装置であって、複合ポンプを有し、複合ポンプは、第1のチャンバからの流体を受入れるための第1の入口と、第2のチャンバからの流体を受入れるための第2の入口と、第1のポンプセクションと、第1のポンプセクションの下流側に位置した第2のポンプセクションとを有し、第1及び第2のポンプセクションは、第1の入口から複合ポンプに入った流体が第1及び第2のポンプセクションを通り且つ第2の入口から複合ポンプに入った流体が第1及び第2のポンプセクションのうちの第2のポンプセクションだけを通るように配置され、更に、第3のチャンバからの流体を受入れるための入口を備えたブースタポンプと、ブースタポンプからの排出流体を受入れるための入口を備えたバッキングポンプと、複合ポンプの第1及び第2のポンプセクションからの流体をブースタポンプ及びバッキングポンプのうちの一方に移動させるための手段とを有するポンプ装置を提供する。
【0009】
本明細書で用いる「ブースタポンプ」という用語は、使用の際、流体を大気圧よりも低い圧力の状態で排出するポンプを意味し、「バッキングポンプ」という用語は、使用の際、流体を大気圧又はほぼ大気圧の状態で排出するポンプを意味する。
【0010】
与えられているポンプ機構の場合、種々の設計パラメータは、典型的には、圧縮に対する能力の妥協によるものである。その場合、圧縮の必要性が、大気圧までポンプ排気を行なわないブースタポンプの場合のように小さいならば、ポンプの能力を向上させることができる。かくして、原理的には、ブースタポンプは、同等の寸法の大気排気式機械よりも非常に高いレベルのポンプ速度を有し且つ電力を減少させることができる。
【0011】
ターボ分子ポンプとは異なり、ブースタポンプは、分子流れ方式で動作するようには特別に設計されておらず、それどころか、低粘度高移行圧力方式で動作するよう設計されている。ブースタポンプ及びバッキングポンプを直列に設けることにより、図1に示す先行技術の装置の場合よりも高いレベルの性能を第3の又は圧力の最も高いチャンバに与えることができ、それにより、第3のチャンバのところの圧力を増大させないで第3のチャンバ内への質量流量を増大させることができる。複合ポンプからの排出物を第1及び第2のチャンバの性能要件に従ってブースタポンプかバッキングポンプかのいずれかに差し向けた状態で、かくして、本発明は、全て大気圧まで排気する大型又は多数のバッキングポンプを用いる解決策と比較して、第1のチャンバから第3のチャンバまで差圧的に排気する比較的コンパクトで安価なポンプ装置を提供することができる。
【0012】
複合ポンプの各ポンプ段は、好ましくは、乾燥ポンプ段、即ち、作動を行なうのに液体又は潤滑剤を必要としないポンプ段を有する。複合ポンプは、好ましくは、各々が少なくとも1つのポンプ段を有する少なくとも3つのポンプセクションを有する。好ましい実施形態では、複合ポンプは、第1のポンプセクションと、第1のポンプセクションの下流側に位置した第2のポンプセクションと、第2のポンプセクションの下流側に位置した第3のポンプセクションとを有し、第1、第2及び第3のセクションは、第1の入口を通ってポンプに入った流体が第1のポンプセクション、第2のポンプセクション及び第3のポンプセクションを通り且つ第2の入口を通ってポンプに入った流体が第1、第2及び第3のセクションのうちの第2及び第3のポンプセクションだけを通るように、第1及び第2の入口に対して位置決めされている。
【0013】
好ましくは、第1及び第2のポンプセクションのうちの少なくとも一方は、少なくとも1つのターボ分子段を有する。第1のポンプセクションと第2のポンプセクションは両方とも、少なくとも1つのターボ分子段を有する。第1のポンプセクションのポンプ段は、第2のポンプセクションのポンプ段とは異なるサイズのものであってもよい。例えば、第2のポンプセクションのポンプ段は、選択的なポンプ性能を提供するよう第1のポンプセクションのポンプ段よりも大型であるのがよい。
【0014】
第3のポンプセクションは、少なくとも1つの分子ドラッグ段を有し、複数の螺旋形部として配列されている複数のチャネルを備えた多段ホルベック機構を有する。一実施形態では、ポンプ性能を向上させるため、第3のポンプセクションは、第1のチャンバ、第2のチャンバ及び第3のチャンバの各々から複合ポンプに入った流体を受入れる少なくとも1つのゲーデポンプ段及び/又は少なくとも1つの空気力学的ポンプ段を有し、ホルベック機構は、少なくとも1つのゲーデポンプ段及び/又は少なくとも1つの空気力学的ポンプ段の上流側に位置決めされている。空気力学的ポンプ段は、再生段であるのがよく、他形式の空気力学的機構は、サイドフロー型、サイドチャネル型及び周辺流れ型機構であるのがよい。好ましい一実施形態では、分子ドラッグポンプ段のロータ要素は、再生ポンプ段のロータ要素を包囲している。第1〜第3ポンプセクションをこのように配置することにより、ポンプサイズを全く増大させず又は殆ど増大させないでポンプ性能を向上させることができる。
【0015】
複合ポンプは、好ましくは、ポンプ段の各々について少なくとも1つのロータ要素が取付けられた駆動シャフトを有する。ポンプセクションのうちの少なくとも2つのロータ要素は、駆動シャフトに取付けられた共通の羽根車に設けられるのがよく、好ましくはこれと一体である。例えば、第1及び第2のポンプセクションのロータ要素は、羽根車と一体であるのがよい。第3のポンプセクションが分子ドラッグ段を有している場合、分子ドラッグ段の羽根車をそれと一体のロータに設けるのがよい。例えば、ロータは、羽根車に実質的に垂直な、好ましくはこれと一体のディスクを有するのがよい。第3のポンプセクションが再生ポンプ段を有する場合、再生ポンプ段のロータ要素は、好ましくは、羽根車と一体である。
【0016】
複合ポンプ及びブースタポンプの入口の種々の構成及びポンプ装置を用いて排気されるべきチャンバの出口へのこれらのそれぞれの接続の仕方を提供することができる。これらの幾つかの例を以下に詳細に説明する。
【0017】
例えば、複合ポンプは、第4のチャンバからの流体を受入れるオプションとしての第3の入口を有するのがよい。この第3の入口は、好ましくは、第3の入口を通って複合ポンプに入った流体が上述のセクションのうちの第3のポンプセクションだけを通るように配置され、従って、ポンプ装置は、第1のチャンバから第3のチャンバまでの任意のところでの真空レベルと異なる真空レベルを、第4のチャンバのところに生じさせる。
【0018】
変形例として、複合ポンプは、ブースタポンプと並列に第3のチャンバから流体を受入れるための第3の入口を有してもよい。チャンバを並列式にポンプ排気することにより、同じ能力の単一のポンプ入口を用いる場合よりも高いレベルの性能を、並列式にポンプ排気されるチャンバに提供することができる。第3の入口は、第3の入口を通って複合ポンプに入った流体がセクションのうちの第3のポンプセクションだけを通るように配置されているのがよい。好ましい一実施形態では、第3のポンプセクションは、第3のポンプ入口から複合ポンプ中を通る流体が第2のポンプ入口から複合ポンプ中を通る流体とは別の経路を辿るように第2及び第3のポンプ入口に対して位置決めされる。例えば、第2の入口を通って複合ポンプに入った流体は、第3の入口を通って複合ポンプに入った流体よりも多い数の第3のポンプセクションのポンプ段を通るのがよい。
【0019】
この第3の入口に加えて、複合ポンプは、第4のチャンバからの流体を受入れるオプションとしての第4の入口を有するのがよい。この第4の入口は、第4の入口を通って複合ポンプに入った流体が第1、第2及び第3セクションのうちの第3のポンプセクションだけを通るように配置されているのがよい。ブースタポンプは、複合ポンプの第4の入口と並列に第4のチャンバからの流体を受入れるための第2の入口を有するのがよい。
【0020】
ブースタポンプは、任意の都合のよいポンプ機構を有するのがよい。周波数独立性ブースタポンプ(即ち、主要な供給周波数に依存しない周波数で動作するポンプ)又はインバータ駆動式ポンプ、例えばスクロールポンプが、ブースタポンプを構成するのがよい。変形例として、以下に説明する好ましい実施形態の場合のように、ブースタポンプは、複合ポンプのポンプ段とほぼ同じ1つ又は2つ以上のポンプ段を有する高速単軸ポンプ機械であってもよい。換言すると、ブースタポンプは、好ましくは、複数のポンプ段を有し、複数のポンプ段のポンプ機構は、バッキングポンプの入口圧力、質量流量及び第3のチャンバの圧力要件に応じて選択される。ブースタポンプの各ポンプ段は、好ましくは、乾燥ポンプ段を有する。好ましい実施形態では、ブースタポンプは、分子ドラッグ機構を有する。一実施形態では、ブースタポンプは、分子ドラッグポンプ機構の下流側に位置する少なくとも1つのゲーデポンプ段及び/又は少なくとも1つの空気力学的ポンプ段、例えば再生ポンプ機構を有する。
【0021】
分子ドラッグポンプ機構のロータ要素は、好ましくは、再生ポンプ機構のロータ要素と共に回転運動可能に取付けられたシリンダを有する。このシリンダは、好ましくは、多段ホルベックポンプ機構の一部をなす。好ましい一実施形態では、ブースタポンプは、2段ホルベックポンプ機構を有するが、シリンダの数を増大させると共にそれに対応するステータ要素を増大させることにより追加の段を設けることができる。追加のシリンダをシリンダの軸方向位置がほぼ同じであるように同心状に異なる直径で同一の羽根車ディスクに取付けるのがよい。
【0022】
分子ドラッグポンプ機構のロータ要素及び再生ポンプ機構のロータ要素は、有利には、ブースタポンプの共通のロータに設けられる。このロータは、好ましくは、ポンプの駆動シャフトに取付けられた羽根車と一体であり、駆動シャフトに対して実質的に直角のディスクによって提供できる。再生ポンプ機構のロータ要素は、ロータの一方の側に環状アレイ状に位置決めされた一連の羽根を有するのがよい。これら羽根は好ましくは、ロータと一体である。羽根がこのように配置された状態で、分子ドラッグポンプ機構のロータ要素は、有利には、ロータの同一側に取付けられる。
【0023】
再生ポンプ機構は、2つ以上のポンプ段を有するのがよく、従って、少なくとも2連の羽根を有し、これらの羽根は、その軸線方向の位置がほぼ同じであるようにロータの上述した一方の側に同心環状アレイ状に位置決めされる。
【0024】
ポンプのサイズを最小に抑えるのを助けるため、再生ポンプ機構及び分子ドラッグポンプ機構の少なくとも一部について共通のステータを設けるのがよい。
【0025】
幾つかの実施形態では、ブースタポンプは、第3のチャンバからの流体を受入れるための第1の入口及び複合ポンプからの排出流体を受入れるための第2の入口を有する。これら2つの入口を、選択されたブースタポンプ及び複合ポンプポートの形態に応じてブースタポンプに設けられた単一のポートの状態に組み合わせてもよい。これら実施形態では、ブースタポンプのポンプ段は、ブースタポンプ入口のうちの一方を通ってブースタポンプに入った流体がブースタポンプ入口の他方を通ってブースタポンプに入った流体と同数のポンプ段を通るようにブースタポンプの入口に対して配置されるのがよい。この場合、ブースタポンプは、単一のポートを介して両方のガス流を排出することができる。他の実施形態では、ブースタポンプは、第3のチャンバからの流体を受入れるための第1の入口及び第4のチャンバからの流体を受入れるための第2の入口を有する。これら実施形態では、ブースタポンプのポンプ段は、ブースタポンプ入口のうちの一方を通ってブースタポンプに入った流体がブースタポンプ入口の他方を通ってブースタポンプに入った流体とは異なる数のポンプ段を通るようにブースタポンプの入口に対して配置されているのがよい。
【0026】
コンパクトなポンプ機構を構成するため、複合ポンプのポンプ段は、好ましくは、ブースタポンプのポンプ段と同軸であるが、これは必須の要件ではなく、ブースタポンプは、有利には、複合ポンプに取付けられる。2つのポンプは又、共通の電源を用いるのがよい。
【0027】
流体移動手段が流体を複合ポンプのポンプセクションからブースタポンプに運ぶ又は移動させることができるように構成されている場合、複合ポンプの出口をブースタポンプの入口に単に接続するだけでよく、流体移動手段は、流体を複合ポンプからブースタポンプに移動させるための追加の導管又は配管を何ら必要としないで、複合ポンプの排気導管だけで提供される。変形例として、流体移動手段が流体を複合ポンプのポンプセクションからバッキングポンプに移動させるように構成されている場合、流体移動手段は、複合ポンプの出口とブースタポンプの出口の両方をバッキングポンプの入口に連結する1本又は2本以上の導管を配置することにより提供してもよい。
【0028】
本発明は、第1のチャンバと、第2のチャンバと、第3のチャンバと、チャンバを排気する上述のポンプ装置とを有する差圧ポンプ排気式真空システムに及ぶ。したがって、本発明は、第2の特徴において、第1のチャンバと、第2のチャンバと、第3のチャンバと、チャンバを排気する上述のポンプ装置とを有する差圧ポンプ排気式真空システムであって、ポンプ装置は、複合ポンプを有し、複合ポンプは、第1のチャンバの出口に連結された第1の入口と、第2のチャンバの出口に連結された第2の入口と、第1のポンプセクションと、第1のポンプセクションの下流側に位置する第2のポンプセクションとを有し、第1及び第2のポンプセクションは、第1の入口から複合ポンプに入った流体が第1及び第2のポンプセクションを通り且つ第2の入口から複合ポンプに入った流体が第1及び第2のセクションのうちの第2のセクションだけを通るように配置され、ポンプ装置は更に、第3のチャンバからの流体を受入れるための入口を備えたブースタポンプと、ブースタポンプからの排出流体を受入れるための入口を備えたバッキングポンプと、複合ポンプの第1及び第2のポンプセクションからの流体をブースタポンプ及びバッキングポンプのうちの一方に移動させるための手段とを有する真空システムを提供する。
【0029】
複合ポンプは、有利には、第1及び第2のチャンバのうちの少なくとも一方に取付けられ、且つ/又は、ブースタポンプは、有利には、第3のチャンバに取付けられる。
【0030】
好ましい実施形態では、これらチャンバは、質量分析計システムの一部をなす。
【0031】
本発明は、第3の特徴において、複数個の圧力チャンバを差圧的に排気する方法であって、ポンプ装置を用意するステップを有し、ポンプ装置は、複合ポンプを有し、複合ポンプは、第1の入口と、第2の入口と、出口と、第1のポンプセクションと、第1のポンプセクションの下流側に位置する第2のポンプセクションとを有し、第1及び第2のポンプセクションは、第1の入口から複合ポンプに入った流体が第1及び第2のポンプセクションを通り且つ第2の入口から複合ポンプに入った流体が第1及び第2のセクションのうちの第2のセクションだけを通るように配置され、ポンプ装置は、更に、少なくとも1つのブースタポンプ入口及びブースタポンプ出口を備えたブースタポンプと、バッキングポンプ入口備えたバッキングポンプと、を有し、この方法は、更に、ポンプ装置を圧力チャンバに連結して第1の複合ポンプ入口を第1のチャンバの出口に連結し、第2の複合ポンプ入口を第2のチャンバの出口に連結し、ブースタポンプ入口を、第3のチャンバの出口に連結するステップと、バッキングポンプ入口をブースタポンプ出口に連結するステップと、複合ポンプの出口をバッキングポンプ及びブースタポンプのうちの一方に連結するステップと、を有する方法を提供する。本発明のポンプ装置又はシステムと関連した上述の特徴は、本発明の方法の特徴にそのまま当てはまり、又、その逆の関係が成り立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、添付の図面を参照して本発明の好ましい種々の特徴を説明するが、これらは例示に過ぎない。
【0033】
図2は、図1の質量分析計システムを排気するのに適したポンプ装置の第1の実施形態を示す図である。ポンプ装置は、多部品本体102を有する複合ポンプ100を有し、この多部品本体102内には、駆動シャフト104が設けられている。駆動シャフト104の回転は、その周りに設けられたモータ(図示せず)、例えばブラシレス直流電動機によって行なわれる。駆動シャフト104は、互いに反対側に位置する軸受(図示せず)に取付けられている。例えば、駆動シャフト104をハイブリッド永久磁石軸受及び油潤滑式軸受システムで支持するのがよい。
【0034】
複合ポンプ100は、少なくとも3つのポンプセクション106,108,110を有している。第1のポンプセクション106は、1組のターボ分子段を有している。図2に示す実施形態では、1組のターボ分子段106は、よく知られている傾斜構造を有する4枚のロータ羽根(動翼)及び3枚のステータ羽根(静翼)を有している。ロータ羽根は、符号107aで示され、ステータ羽根は、符号107bで示されている。この例では、ロータ羽根107aは、駆動シャフト104に取付けられている。
【0035】
第2のポンプセクション108は、第1のポンプセクション106とほぼ同じであり、1組のターボ分子段を有している。図2に示す実施形態では、1組のターボ分子段108も、よく知られている傾斜構造を有する4枚のロータ羽根(動翼)及び3枚のステータ羽根(静翼)を有している。ロータ羽根は、符号109aで示され、ステータ羽根は、符号109bで示されている。この例では、ロータ羽根109aも、駆動シャフト104に取付けられている。
【0036】
第1及び第2のポンプセクション106、108の下流側には、第3のポンプセクション110が設けられている。図2に示す実施形態では、第3のポンプセクション110は、ホルベック(Holweck)ドラッグ機構の形態をした分子ドラッグポンプ機構を有している。この実施形態では、ホルベック機構は、2つの同軸の回転シリンダ116a,116bと、それに対応する環状ステータ118a,118bとを有し、環状ステータ118a,118bは、それ自体周知の仕方で螺旋形チャネルが形成されている。この実施形態では、ホルベック機構は、3つのポンプ段を有する。ただし、圧力、流量及び容量に関する要件に応じて任意の数のポンプ段を設けてもよい。
【0037】
回転シリンダ116a,116bは、好ましくは、炭素繊維材料で作られ、且つ、好ましくはディスク120の形態を有するロータ要素120に取付けられ、ロータ要素120は、駆動シャフト104に取付けられている。この例では、ディスク120も、駆動シャフト104に取付けられている。
【0038】
第3のポンプセクション110の下流側には、排気導管122が設けられ、この排気導管122は、複合ポンプ100の本体102を貫通して延び、複合ポンプ100からの流体の排気のための出口を備えている。
【0039】
図2に示すように、複合ポンプ100は、2つの入口130,132を有しており、この実施形態では、2つの入口しか用いられていないが、符号134のところに指示されたオプションとしての追加の入口を有してもよく、この入口134は、選択的に開閉でき、例えば、互いに異なる流れを機構の特定の部分に案内する内部バッフル又は板を利用しているのがよい。入口130は、全てのポンプセクション106、108、110の上流側に配置されている。入口132は、第1のポンプセクション106と第2のポンプセクション108との間に配置されている。オプションとしての入口134は、第2のポンプセクション108と第3のポンプセクション110との間に配置され、従って、分子ドラッグポンプ機構112のポンプ段は全て、オプションとしての入口134と流体連通関係を有するように構成されている。
【0040】
使用にあたり、各入口130、132、134は、差圧ポンプ排気式真空システム、この場合、図1に示したのと同じ質量分析計システムのそれぞれのチャンバ10、14、12の出口に連結されている。かくして、入口130は、低圧チャンバ10の出口に連結され、入口132は、中間圧チャンバ14の出口に連結される。別のチャンバ12が点線136で指示されているように高圧チャンバ11と中間圧チャンバ14との間に存在している場合、オプションとしての入口134は、開かれてこのチャンバ12の出口に連結される。追加のより低圧のチャンバを質量分析計システムに追加してもよく、別個の手段により排気されるのがよい。
【0041】
高圧チャンバ11は、フォアライン138を介して直列連結状態にあるブースタポンプ140及びバッキングポンプ142に連結されている。複合ポンプ100の排気導管122も又、ブースタポンプ140及びバッキングポンプ142のうちの一方に連結されている。例えば、図2に示す実施形態では、排気導管122は、フォアライン138に連結され、複合ポンプ100からの排出流体がブースタポンプ140とバッキングポンプ142の両方を通るようになっている。変形例として、図2に破線144で指示されているように、排気導管122を1本又は2本以上の導管を有する適当な構造体によってバッキングポンプ142に連結し、ブースタポンプ140から切り離してもよい。ユーザが複合ポンプ100からの排出流体をブースタポンプ140に移動させるかバッキングポンプ142に移動させるかを選択できるように、弁を排気導管122及びこの導管構造体中の適当な場所に設けるのがよい。
【0042】
使用にあたり、低圧チャンバ10の入口130を通った流体は、第1のポンプセクション106、第2のポンプセクション108及び第3のポンプセクション110を通り、排気導管122を介して複合ポンプ100から出る。中間圧チャンバ14の入口132を通った流体は、複合ポンプ100に入り、第2のポンプセクション108及び第3のポンプセクション110を通り、排気導管122を介して複合ポンプ100から出る。チャンバ12のオプションとしての入口134が開かれている場合、これを通った流体は、複合ポンプ100に入り、第3のポンプセクション110だけを通り、排気導管122を介して複合ポンプ100から出る。図2に示す実施形態では、複合ポンプ100からの排出流体は全て、高圧チャンバ11からの流体と合流し、直列連結状態にあるブースタポンプ140及びバッキングポンプ142を通り、その後、大気圧又はほぼ大気圧状態でポンプ装置から排気される。
【0043】
この例では、使用にあたり、図1を参照して説明したシステムと同様、高圧チャンバ11は、約1〜10ミリバール(102〜103Pa)の圧力状態にあり、オプションとしてのチャンバ12(用いられる場合)は、約10-1〜1ミリバール(10〜102Pa)の圧力状態にあり、中間圧チャンバ14は、約10-2〜10-3ミリバール(1〜10-1Pa)の圧力状態にあり、低圧チャンバ10は、約10-5〜10-6ミリバール(10-3〜10-4Pa)の圧力状態にある。しかしながら、複合ポンプ100から排気されたガスと高圧チャンバ11から引き出されたガスの両方をブースタポンプ140によって追加的に圧縮することにより、ブースタポンプ140は、高圧チャンバ11内への増大した質量流量を許容しながら、先行技術の場合よりも低いバッキング圧力を複合ポンプ100に提供するように作用する。これにより、ポンプ装置の電力消費量を著しく減少させ、総合的なポンプ性能を向上させることができる。
【0044】
ブースタポンプ140は、ポンプ装置の性能及び電力レベルに関する要件を満足させる任意適当なポンプ機構を有するのがよい。例えば、周波数独立性ポンプ又はインバータ駆動式ポンプ、例えばスクロールポンプがブースタポンプ140を構成するのがよい。しかしながら、以下の実施形態では、ブースタポンプ140は、複合ポンプ100のポンプ段とほぼ同じポンプ段を1つ又は2つ以上有する高速単軸ポンプ機械として図示されている。
【0045】
まず最初に、図3に示すポンプ装置の第2の実施形態を参照すると、ブースタポンプ140は、ホルベックドラッグ機構の形態をした分子ドラッグポンプ機構を有するポンプセクション150を有している。この実施形態では、複合ポンプ100と同様、ホルベック機構は、2つの同軸の回転シリンダ152a,152bと、それに対応する環状ステータ154a,154bとを有し、環状ステータ154a,154bは、それ自体よく知られている仕方で螺旋形チャネルが形成されている。この実施形態では、ホルベック機構は、3つのポンプ段を有する。ただし、この場合も又、圧力、流量及び容量に関する要件に応じて任意の数のポンプ段を設けてもよい。回転シリンダ152a,152bは、好ましくは、炭素繊維材料で作られ、これら回転シリンダは、駆動シャフト158に取付けられ且つ好ましくはディスク156の形態を有するロータ要素156に取付けられる。この例では、ディスク156も又、駆動シャフト158に取付けられている。駆動シャフト158の回転は、その周りに設けられたモータ(図示せず)、例えばブラシレス直流電動機によって行なわれる。駆動シャフト158は、互いに反対側に位置する軸受(図示せず)に取付けられる。例えば、駆動シャフト158をハイブリッド永久磁石軸受及び油潤滑式軸受システムで支持するのがよい。ポンプ100,140を互いに密接させることができることを考慮して、ポンプ100,140の駆動シャフト104,158を回転させるモータを共通の電源で駆動するのがよい。
【0046】
この実施形態では、ブースタポンプ140は、高圧チャンバ11に取付けられ、複合ポンプ100は、低圧チャンバ10と中間圧チャンバ14のうちの一方又はこれら両方に取付けられ、従って、複合ポンプ100及びブースタポンプ140の駆動シャフト104,158は、実質的に同軸状になっている。変形例として、ブースタポンプ140を複合ポンプ100に取付けてもよく、又この逆の関係であってもよい。同様に、ブースタポンプをスペースに関する要件に応じてバッキングポンプの近くに取付けてもよいし、バッキングポンプに取付けてもよい。ブースタポンプをチャンバの近くに保つことにより、ブースタポンプをチャンバ11に連結するための管中のコンダクタンス又は流れやすさの低下を最小に抑えることが有利である。
【0047】
ブースタポンプ140は、高圧チャンバ11の出口に連結された第1の入口160及びブースタポンプ140の第2の入口を構成する入口導管162を有している。この実施形態では、2つのポートを組み合わせて単一のポートにするのがよく、ガス流は、ブースタポンプに流入する前に互いに結合される。この実施形態では、ブースタポンプ140が複合ポンプ100に対して取付けられている場合、入口導管162は、複合ポンプ100の排気導管122と実質的に同軸である。これにより、排気導管122をブースタポンプ140の入口導管162に直接連結することができ、この場合、複合ポンプ100から排出された流体をブースタポンプ140に移動させるための1本又は2本以上の導管の中間配置は不要である。しかしながら、複合ポンプ100とブースタポンプ140の相対位置に応じて、実際には、ポンプ100,140相互間で流体を移動させるのに1本又は2本以上の導管が必要な場合があることは想定される。
【0048】
使用にあたり、複合ポンプ100から入口導管162を通って流れた流体は、ポンプセクション150を通り、排気導管164を介してブースタポンプ140から出る。高圧チャンバ11から第1の入口160を通って流れた流体も又、ポンプセクション150を通り、排気導管164を介してブースタポンプ140から出る。流体は、排気導管164から導管構造体166を通してバッキングポンプ142の入口168に運ばれる。
【0049】
図4は、ポンプ装置の第3の実施形態を示している。このポンプ装置は、複合ポンプ100の第3のポンプセクション110及びブースタポンプ140のポンプセクション150が各々、分子ドラッグポンプ機構に加えて、再生ポンプ機構を有している点を除き、第2の実施形態のポンプ装置と同じである。
【0050】
各再生ポンプ機構は、それぞれ対応関係にある分子ドラッグ機構のディスク120,156の一方の側に取付けられ又はこれと一体の羽根170,172から成る少なくとも1つの環状アレイの形態をした複数個のロータを有する。この実施形態では、各再生ポンプ機構は、ロータ170,172を有する2つの同心環状アレイを有する。なお、圧力、流量及び容量に関する要件に応じて任意の数の環状アレイを設けることができる。
【0051】
各分子ドラッグポンプ機構の最も内側のステータ要素118b,154bは又、それぞれ対応関係にある再生ポンプ機構のステータを形成することができ、かかるステータ要素には、環状チャネル174,176が形成され、ロータ170,172は、環状チャネル174,176内で回転する。よく知られているように、環状チャネル174,176は、ロータ170,172のための厳密な隙間をもたらす減少断面を備えた「ストリッパ」と呼ばれているチャネルの狭い部分を除き、個々の羽根170,172の断面よりも大きな断面を有している。使用にあたり、排出された流体は、ストリッパの一端部に隣接して位置決めされた入口を経て最も外側の環状チャネルに入り、この流体は、ロータによってチャネル沿いに押圧され、ついには、この流体がストリッパの他端部に当たるようになる。次に、流体は、ポートを通って最も内側の環状チャネル内に押し込められ、ここで、ポンプからチャネル沿いに排気導管122,164に向かって押圧され、この排気導管122,164は、第2の実施形態と比較して、再生ポンプ機構の最も内側のチャネルまで延長されている。
【0052】
この例では、使用にあたり、図1を参照して説明したシステムと同様、高圧チャンバ11は、約1〜10ミリバールの圧力状態にあり、オプションとしてのチャンバ12(用いられた場合)は、約10-1〜1ミリバール(102〜103Pa)の圧力状態にあり、中間圧チャンバ14は、約10-2〜10-3ミリバール(1〜10-1Pa)の圧力状態にあり、低圧チャンバ10は、約10-5〜10-6ミリバール(10-3〜10-4Pa)の圧力状態にある。しかしながら、再生ポンプ機構によるポンプを通過したガスの圧縮に起因して、再生ポンプ機構は、減少したバッキング圧力を分子ドラッグポンプ段機構に送出するのに役立ちうる。これは、複合ポンプ100とブースタポンプ140の両方の電力消費量を著しく減少させることができると共に、ポンプ装置の性能を向上させることができる。
【0053】
さらに、図4に示すように、再生ポンプ機構のロータ170,172は、分子ドラッグポンプ機構の回転シリンダ116a,152aによって包囲されている。かくして、再生ポンプ機構は、有利には、真空ポンプの全長又はサイズを殆ど増大させず又は全く増大させない状態でポンプ100,140内に設けることができる。
【0054】
この実施形態では、複合ポンプ100の第3のポンプセクション110とブースタポンプ140のポンプセクション150は両方とも、再生ポンプ機構を有しているが、当然のことながら、これらポンプセクション110、150のうちの一方だけがかかる再生ポンプ機構を備えてもよいことに注意すべきである。さらに、再生ポンプ機構に代えて又はこれに加えて、別のポンプ機構を設けてもよい。例えば、再生ポンプ機構のポンプ段のうちの一方又は両方に代えて、ゲーデポンプ段を用いてもよく且つ/又はホルベック機構の上流側に追加のポンプ段を設けてもよい。かかる追加のポンプ段の例としては、雄ねじ付きロータ及びターボ分子段が挙げられる。
【0055】
ポンプ性能及び電力消費量に関する要件を満たすために、複合ポンプ100とブースタポンプ140のうちの一方又は両方に設けられたポンプ機構を変えることに加えて、ポンプ装置を用いて排気されるべきチャンバの数及び各チャンバの性能要件に従って、複合ポンプ100及びブースタポンプ140の入口の数及び相対位置を変えるのがよい。例えば、各ポンプに追加の入口を設けるのがよく、これら入口は、特定のチャンバの出口への連結のために必要に応じて選択的に開かれる。さらに、差圧ポンプ排気式システムのチャンバのガス量分布及び性能に関する要件に応じて、互いに同じ又は互いに異なる入口を介する追加又は別のチャンバを並列に排気することを行なってもよい。図5〜図7は、図3に示す第2の実施形態に基づくポンプ装置の幾つかの実施形態を示している(ただし、当然のことながら、類似の実施形態も又、図4に示す第3の実施形態に基づいて構成できる)。これら実施形態は、差圧ポンプ排気式システムの性能上の要件を満たすために、必要に応じてどのように排気できるかを、差圧ポンプ排気式システムのチャンバを次の構成のうちの1つにより示している。
【0056】
・複合ポンプ、ブースタポンプ及びバッキングポンプの直列構成
・ブースタポンプ及びバッキングポンプの直列構成
・複合ポンプ及びバッキングポンプの直列構成
・ブースタポンプ及びバッキングポンプの直列構成と並列関係にある複合ポンプ、ブースタポンプ及びバッキングポンプの直列構成
・ブースタポンプ及びバッキングポンプの直列構成と並列関係にある複合ポンプ及びバッキングポンプの直列構成
【0057】
最初に図5を参照すると、ポンプ装置のこの第3の実施形態では、複合ポンプ100は、低圧チャンバ10及び中間圧チャンバ14に加えて、最高圧チャンバを直接、ポンプ排気することができるように構成されている。複合ポンプ100は、入口130,132及びオプションとしての入口134だけでなく、分子ドラッグポンプ機構のポンプ段の上流側、即ち、図5に示すようにポンプ段とポンプ段との間に配置された追加の入口180を有しており、図5に示す構成では、分子ドラッグポンプ機構のポンプ段が全て入口130,132と流体連通状態にあり、分子ドラッグポンプ機構のポンプ段のうちの一部だけ(1つ又は2つ以上)が追加の入口180と流体連通状態をなす。さらに、この第3の実施形態では、複合ポンプ100の排気導管122は、ブースタポンプ140の排気導管164又は導管構造体166に連結され、複合ポンプ100から排出された流体がブースタポンプ140ではなくバッキングポンプ142に運ばれるようになっている。
【0058】
使用にあたり、入口130を低圧チャンバ10の出口に連結し、入口132を中間圧チャンバ14の出口に連結する。オプションとしてのチャンバ12が、点線136で指示されているように、高圧チャンバ11と中間圧チャンバ14との間に存在している場合、オプションとしての入口134を開き且つこの入口134をチャンバ12に連結する。追加の入口180を高圧チャンバ11の別の出口に連結する。
【0059】
その結果、高圧チャンバ11から追加の入口180を通過した流体は、複合ポンプ100の第3のポンプセクション110の3つ(ただし、実際には、この数は、性能要件に応じて異なっていてもよい)のポンプ段のうちの2つを通過し、排気導管122を経て複合ポンプ100から出てバッキングポンプ142に入る。これとは対照的に、高圧チャンバ11からブースタポンプ140の第1の入口160を通過した流体は、ブースタポンプ140のポンプ機構150のすべてのポンプ段を通り、その後、排気導管164を経てブースタポンプ140から出る。
【0060】
かくして、上述の実施形態では、チャンバのうちの1つを並列式にポンプ排気することが行なわれ、2つのポンプの互いに異なる入口、即ち、複合ポンプ100の追加の入口180とブースタポンプ140の第1の入口160とが、同一チャンバ、図示の例では、高圧チャンバ11に連結されている。この構成は、高圧チャンバ11内への追加のガス量の導入により課される追加のポンプ排気要件と、差圧ポンプ排気式質量分析計システムの他のチャンバの各々の両方に関するポンプ装置のポンプ性能を最適化する。チャンバのかかる並列式のポンプ排気を行なうことにより、同一容量の単一のポンプ入口を用いるよりも高いレベルの性能が並列式にポンプ排気されるチャンバに与えられる。
【0061】
図6に示すポンプ装置の第4の実施形態では、複合ポンプ100は、第3の実施形態の複合ポンプと同一の構成の入口及びチャンバ10,11,12,14の出口への連結部を有している。この第4の実施形態のブースタポンプ140の入口の配置については、第1の入口160が、複合ポンプ100の追加の入口180と同等な位置、即ち、ブースタポンプ140の多段ホルベック機構のポンプ段とポンプ段との間に配置され、第2のオプションとしての入口190が、複合ポンプ100のオプションとしての入口134と同等の位置、即ち、ブースタポンプ140の多段ホルベック機構の全てのポンプ段の上流側に配置されている。図6に符号192で指示されているように、ブースタポンプ140のオプションとしての入口190を、オプションとしてのチャンバ12に連結するフローガイド又は導管が設けられている。
【0062】
使用にあたり、ブースタポンプ140の第1の入口160を高圧チャンバ11の1つの出口に連結し、複合ポンプ100の追加の入口180を最高圧チャンバ11の別の出口に連結する。その結果、最高圧チャンバ11から追加の入口180を通過した流体は、複合ポンプ100の第3のポンプセクション110の3つのポンプ段のうちの2つ(この例では)を通り、排気導管122を介して複合ポンプ100から出てバッキングポンプ142に運ばれる。これと同様に、ブースタポンプ140の入口160を通過した流体は、ブースタポンプ140のポンプ機構150の3つのポンプ段のうちの2つを通り、排気導管164を介してブースタポンプ140から出てバッキングポンプ142に運ばれる。
【0063】
加うるに、チャンバ12が高圧チャンバ11と中間圧チャンバ14との間に存在している場合、ブースタポンプ140のオプションとしての入口190は、フローガイド192を介して第4のチャンバ12に連結され、複合ポンプ100のオプションとしての入口134は、チャンバ12の別の出口に連結される。その結果、このチャンバ12からオプションとしての入口134を通過した流体は、複合ポンプ100の第3のポンプセクション110の全てのポンプ段を通り、排気導管122を介して複合ポンプ100から出てバッキングポンプ142に運ばれる。これと同様に、ブースタポンプ140のオプションとしての入口190を通過した流体は、ブースタポンプ140のポンプ機構150の全てのポンプ段を通り、排気導管164を介してブースタポンプ140から出てバッキングポンプ142に運ばれる。
【0064】
かくして、この構成は、ブースタポンプ140の入口160のところでのポンプ性能が複合ポンプの入口190のところのポンプ性能と同一であるので高圧チャンバ11及び設けられている場合にはオプションとしてのチャンバ12の「真の」並行排気を可能にする。
【0065】
図7に示すポンプ装置の第5の実施形態では、ブースタポンプ140は、図6に示す第4の実施形態とほぼ同じ入口の構成を有している。しかしながら、この第5の実施形態の複合ポンプ100は、第4の実施形態の複合ポンプと比較して、第1の入口130及び第2の入口132を有しているに過ぎない。その結果、高圧チャンバ11及び設けられている場合にはオプションとしてのチャンバ12は、直列に連結されたブースタポンプ140及びバッキングポンプ142により排気され、これに対し、低圧チャンバ10及び中間圧チャンバ14は、直列に連結された複合ポンプ100及びバッキングポンプ142によって排気される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】差圧ポンプ排気式質量分析計システムを排気するのに適した公知のポンプ装置の単純化された断面図である。
【図2】図1の差圧ポンプ排気式質量分析計システムを排気するのに適したポンプ装置の第1の実施形態の単純化された断面図である。
【図3】図1の差圧ポンプ排気式質量分析計システムを排気するのに適したポンプ装置の第2の実施形態の単純化された断面図である。
【図4】図1の差圧ポンプ排気式質量分析計システムを排気するのに適したポンプ装置の第3の実施形態の単純化された断面図である。
【図5】図1の差圧ポンプ排気式質量分析計システムを排気するのに適したポンプ装置の第4の実施形態の単純化された断面図である。
【図6】図1の差圧ポンプ排気式質量分析計システムを排気するのに適したポンプ装置の第5の実施形態の単純化された断面図である。
【図7】図1の差圧ポンプ排気式質量分析計システムを排気するのに適したポンプ装置の第6の実施形態の単純化された断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンバを差圧的にポンプ排気するポンプ装置であって、
複合ポンプを有し、前記複合ポンプは、第1のチャンバからの流体を受入れるための第1の入口と、第2のチャンバからの流体を受入れるための第2の入口と、第1のポンプセクションと、前記第1のポンプセクションの下流側に位置した第2のポンプセクションとを有し、前記第1及び第2のポンプセクションは、前記第1の入口から前記複合ポンプに入った流体が前記第1及び前記第2のポンプセクションを通り、前記第2の入口から前記複合ポンプに入った流体が前記第1及び第2のセクションのうちの第2のセクションだけを通るように配置され、
更に、第3のチャンバからの流体を受入れるための入口を備えたブースタポンプと、
前記ブースタポンプから排出された流体を受入れるための入口を備えたバッキングポンプと、 前記複合ポンプの前記第1及び第2のポンプセクションからの流体を前記ブースタポンプ及び前記バッキングポンプのうちの一方に移動させるための手段と、有するポンプ装置。
【請求項2】
前記複合ポンプの各ポンプ段は乾燥ポンプ段を有する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記複合ポンプは、少なくとも3つのポンプセクションを有し、各ポンプセクションは、少なくとも1つのポンプ段を有する、請求項1又は2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記複合ポンプは、第1のポンプセクションと、前記第1のポンプセクションの下流側に位置した第2のポンプセクションと、前記第2のポンプセクションの下流側に位置した第3のポンプセクションとを有し、前記第1、第2及び第3のポンプセクションは、前記第1の入口を通って前記ポンプに入った流体が前記第1、第2及び第3のポンプセクションを通り且つ前記第2の入口を通って前記ポンプに入った流体が前記第1、第2及び第3のポンプセクションのうちの第2及び第3のポンプセクションだけを通るように、前記第1及び第2の入口に対して位置決めされる、請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のポンプセクションのうちの少なくとも一方は、少なくとも1つのターボ分子段を有する、請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記第1のポンプセクションと前記第2のポンプセクションは両方とも、少なくとも1つのターボ分子段を有する、請求項4又は5に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記第3のポンプセクションは、少なくとも1つの分子ドラッグ段を有する、請求項4〜6のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記第3のポンプセクションは、複数の螺旋形部として配列されている複数のチャネルを備えた多段ホルベック(Holweck)機構を有する、請求項7に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記第3のポンプセクションは、前記第1、第2及び第3のチャンバの各々から前記複合ポンプに入った流体を受入れる少なくとも1つのゲーデポンプ段及び/又は少なくとも1つの空気力学的ポンプ段を有する、請求項4〜8のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記ホルベック(Holweck)機構は、前記少なくとも1つのゲーデポンプ段及び/又は前記少なくとも1つの空気力学的ポンプ段の上流側に位置決めされる、請求項7の従属項である請求項9に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記複合ポンプは、第4のチャンバからの流体を受入れるための第3の入口を有する、請求項4〜10のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項12】
前記第3の入口は、それを通って前記複合ポンプに入った流体が前記第1、第2及び第3のポンプセクションのうちの第3のポンプセクションだけを通るように配置される、請求項11に記載のポンプ装置。
【請求項13】
前記複合ポンプは、流体を前記第3のチャンバから前記ブースタポンプと並列に受入れるための第3の入口を有する、請求項4〜10のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項14】
前記第3の入口は、それを通って前記複合ポンプに入った流体が前記第1、第2及び第3のポンプセクションのうちの第3のポンプセクションだけを通るように配置されている、請求項13記載のポンプ装置。
【請求項15】
前記第3のポンプセクションは、前記第3のポンプ入口から前記複合ポンプの中に流れる流体が前記第2のポンプ入口から前記複合ポンプの中に流れる流体と別の経路を辿るように、前記第2及び第3のポンプ入口に対して位置決めされる、請求項14記載のポンプ装置。
【請求項16】
前記複合ポンプは、第4のチャンバからの流体を受入れるための第4の入口を有する、請求項13〜15のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項17】
前記第4の入口は、それを通って前記複合ポンプに入った流体が前記第1、第2及び第3のポンプセクションのうちの第3のポンプセクションだけを通るように配置される、請求項16記載のポンプ装置。
【請求項18】
前記ブースタポンプは、流体を前記第4のチャンバから前記複合ポンプの第4の入口と並列に受入れるための第2の入口を有する、請求項16又は17に記載のポンプ装置。
【請求項19】
前記ブースタポンプは、複数のポンプ段を有し、前記複数のポンプ段は、前記ブースタポンプの入口のうちの一方を通って前記ブースタポンプに入った流体が前記ブースタポンプ入口のうちの他方を通って前記ブースタポンプに入った流体と異なる数のポンプ段を通るように、前記ブースタポンプの入口に対して配置される、請求項18記載のポンプ装置。
【請求項20】
前記ブースタポンプは、少なくとも1つの分子ドラッグ段を有する、請求項19に記載のポンプ装置。
【請求項21】
前記ブースタポンプは、複数の螺旋形部として配列される複数のチャネルを備えた多段ホルベック(Holweck)機構を有する、請求項20に記載のポンプ装置。
【請求項22】
前記ブースタポンプは、周波数独立性又はインバータ駆動式ポンプである、請求項1〜18のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項23】
前記ブースタポンプは、スクロールポンプである、請求項22に記載のポンプ装置。
【請求項24】
前記ブースタポンプは、複数のポンプ段を有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項25】
前記ブースタポンプの各ポンプ段は、乾燥ポンプ段を有する、請求項24に記載のポンプ装置。
【請求項26】
前記ブースタポンプは、分子ドラッグポンプ機構を有する、請求項24又は25に記載のポンプ装置。
【請求項27】
前記分子ドラッグポンプ機構は、複数の螺旋形部として配列される複数のチャネルを備えた多段ホルベック(Holweck)機構を有する、請求項26に記載のポンプ装置。
【請求項28】
前記ブースタポンプは、前記少なくとも1つの分子ドラッグ段の下流側に位置する少なくとも1つのゲーデポンプ段及び/又は少なくとも1つの空気力学的ポンプ段を有する、請求項26又は27に記載のポンプ装置。
【請求項29】
前記ブースタポンプは、前記第3のチャンバからの流体を受入れるための第1の入口と、前記複合ポンプからの排出流体を受入れるための第2の入口と、を有する請求項1〜28のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項30】
前記ブースタポンプのポンプ段は、前記ブースタポンプ入口のうちの一方を通って前記ブースタポンプに入った流体が前記ブースタポンプ入口のうちの他方を通って前記ブースタポンプに入った流体と同じ数のポンプ段を通るように、前記ブースタポンプの入口に対して配置される、請求項24の従属項である請求項29記載のポンプ装置。
【請求項31】
前記ブースタポンプは、前記第3のチャンバからの流体を受入れるための第1の入口と、第4のチャンバからの流体を受入れるための第2の入口と、を有する請求項1〜28のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項32】
前記ブースタポンプのポンプ段は、前記ブースタポンプ入口のうちの一方を通って前記ブースタポンプに入った流体が前記ブースタポンプ入口のうちの他方を通って前記ブースタポンプに入った流体と異なる数のポンプ段を通るように、前記ブースタポンプの入口に対して配置される、請求項24の従属項である請求項31記載のポンプ装置。
【請求項33】
前記移動させるための手段は、前記複合ポンプからの排気部及び前記ブースタポンプからの排気部を前記バッキングポンプの前記入口に連結するよう配置された導管手段を有する、請求項31又は32に記載のポンプ装置。
【請求項34】
前記複合ポンプのポンプ段は、前記ブースタポンプのポンプ段と同軸である、請求項2又は24記載のポンプ装置。
【請求項35】
前記ブースタポンプは、前記複合ポンプに取付けられている、請求項1〜34のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項36】
前記ブースタポンプは、前記バッキングポンプに取付けられている、請求項1〜35のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項37】
前記第1のチャンバと、前記第2のチャンバと、前記第3のチャンバと、前記第1、第2及び第3のチャンバを排気する請求項1〜36のいずれか1項に記載のポンプ装置とを備えた差圧ポンプ排気式真空システム。
【請求項38】
第1のチャンバと、第2のチャンバと、第3のチャンバと、前記第1、第2及び第3のチャンバを排気するポンプ装置と、を有する差圧ポンプ排気式真空システムであって、
前記ポンプ装置は、複合ポンプを有し、前記複合ポンプは、前記第1のチャンバの出口に連結された第1の入口と、前記第2のチャンバの出口に連結された第2の入口と、第1のポンプセクションと、前記第1のポンプセクションの下流側に位置する第2のポンプセクションと、を有し、前記第1及び第2のポンプセクションは、前記第1の入口から前記複合ポンプに入った流体が前記第1及び前記第2のポンプセクションを通り且つ前記第2の入口から前記複合ポンプに入った流体が前記第1及び第2のポンプセクションのうちの第2のポンプセクションだけを通るように配置され、
更に、第3のチャンバからの流体を受入れるための入口を備えたブースタポンプと、
前記ブースタポンプからの排出流体を受入れるための入口を備えたバッキングポンプと、
前記複合ポンプの前記第1及び第2のポンプセクションからの流体を前記ブースタポンプ及び前記バッキングポンプのうちの一方に移動させるための手段と、を有する真空システム。
【請求項39】
前記複合ポンプは、前記第1及び第2のチャンバのうちの少なくとも一方に取付けられる、請求項37又は38に記載の真空システム。
【請求項40】
前記ブースタポンプは、前記第3のチャンバに取付けられる、請求項37〜39のいずれか1項に記載の真空システム。
【請求項41】
前記第1、第2及び第3のチャンバは、質量分析計システムの一部をなす、請求項37〜40のいずれか1項に記載の真空システム。
【請求項42】
複数個の圧力チャンバを差圧的にポンプ排気する方法であって、
ポンプ装置を用意するステップを有し、
前記ポンプ装置は、複合ポンプを有し、前記複合ポンプが、第1の入口と、第2の入口と、出口と、第1のポンプセクションと、前記第1のポンプセクションの下流側に位置する第2のポンプセクションと、を有し、前記第1及び第2のポンプセクションは、前記第1の入口から前記複合ポンプに入った流体が前記第1及び第2のポンプセクションを通り且つ前記第2の入口から前記複合ポンプに入った流体が前記第1及び第2のポンプセクションのうちの第2のポンプセクションだけを通るように配置され、
前記ポンプ装置は、更に、少なくとも1つのブースタポンプ入口及びブースタポンプ出口を備えたブースタポンプと、バッキングポンプ入口備えたバッキングポンプと、を有し、
更に、前記ポンプ装置を前記圧力チャンバに連結して、前記第1の複合ポンプ入口を前記第1のチャンバの出口に連結し、前記第2の複合ポンプ入口を前記第2のチャンバの出口に連結し、ブースタポンプ入口を、前記第3のチャンバの出口に連結するステップと、
前記バッキングポンプ入口を前記ブースタポンプ出口に連結するステップと、
前記複合ポンプの出口を前記バッキングポンプ及び前記ブースタポンプのうちの一方に連結するステップと、を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−518154(P2008−518154A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538491(P2007−538491)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004031
【国際公開番号】WO2006/048602
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507261364)エドワーズ リミテッド (85)
【Fターム(参考)】