説明

マイクロカプセル組成物および酵素またはタンパク質の表出方法。

【課題】マイクロカプセルおよび多糖類による酵素またはタンパク質の安定化方法の開発。
【解決手段】ウイルスのキャプシドタンパク質などに酵素またはタンパク質を結合させ得られるマイクロカプセルにアラビアガム、カラギーナン、ゼラチン、トレハロース、キトサンなどの多糖類を混合することにより包埋させた酵素やタンパク質の安定化に寄与し、包埋された酵素を表出させることにより、酵素触媒反応を行うことが可能になり、洗剤などへの応用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルスキャプシドなどを利用し、その内部に酵素またはタンパク質を包埋させたマイクロカプセルを作製し、多糖類と混合した組成物を調製することにより内部の酵素またはタンパク質を安定に保持する技術を提供する。
【背景技術】
【0002】
酵素は、洗剤、繊維製品の精錬、油脂や澱粉などの分解、食品加工、医薬品、臨床検査、化粧品、さらに有用物質の転換・製造など各種の産業分野に広く用いられている。こうした利用を計る上での問題点は、酵素の安定性が一般的に低く、その要求に対し、満足できない場合が多いことである。これらに対処する方法として酵素の化学修飾が試みられている。例えば、タンパク質分解酵素をポリエチレングリコールで修飾し、熱安定性向上を図る方法(特許文献1)、あるいは、酵素をポリマーシェルに内包し、安定化を計る方法(特許文献2)、などが提案されている。
【特許文献1】特開2000-017299号公報
【特許文献2】特表2000-503051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、遺伝子組換え技術を用いてウイルス、中でもヒトB型肝炎ウイルスのキャプシドタンパク質もしくはキャプシドタンパク質と目的のタンパク質の融合タンパク質を合成し、適切な条件下得られるマイクロカプセルに酵素またはタンパク質を包埋させ、さらに多糖類と混合した組成物を作製することにより安定に内部の酵素やタンパク質を保持することを可能にする技術を提供することを目的とする。中でも酵素は、安定性が一般的に低く、その要求に対し、満足できない場合が多いことである。即ち、熱を加えられたり、極端に高いpH条件下、界面活性剤や有機溶媒などの混合物の共存下、更に長期保存によって殆どの酵素は、容易に変性して失活する。特に酵素がプロテアーゼの場合、水分率の高い媒体や、水溶液などの剤形中では変性の他に自己消化分解が起こり、室温で保存する間に速やかに失活するため安定な商品を供給することが難しいという問題がある。有用物質の転換、製造などへの応用には、さらに高活性で安定化した酵素の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はウイルスのキャプシドタンパク質などが形成するマイクロカプセルが、その内部に酵素やタンパク質を包埋することにより、安定に内部のタンパク質の活性を保持する。酵素がプロテアーゼの場合、マイクロカプセルにより溶液中でも自己消化分解を防ぎ、室温下での保存においても酵素活性が失活しない。また、多糖類を共存させることにより溶液状態でも安定に保持することができる。
【0005】
本発明は以下を提供する。
【0006】
1.粒子形成能を有するタンパク質からなるマイクロカプセルおよび多糖類を含有するマイクロカプセル組成物。
【0007】
2.マイクロカプセルの内部に酵素またはタンパク質が包埋されている上記1記載のマイクロカプセル組成物。
【0008】
3.粒子形成能を有するタンパク質と酵素またはタンパク質とが融合している上記2記載のマイクロカプセル組成物。
【0009】
4.多糖類がアラビアガム、カラギーナン、トレハロースおよびキトサンから選ばれる少なくとも一種である上記1から3のいずれか一項記載のマイクロカプセル組成物。
【0010】
5.粒子形成能を有するタンパク質がウイルスのキャプシドタンパク質若しくはその変異体タンパク質であることを特徴とする上記1から4のいずれか一項記載のマイクロカプセル組成物。
【0011】
6.キャプシドタンパク質がヘパドナウイルス科ウイルスのキャプシドタンパク質であることを特徴とする上記5記載のマイクロカプセル組成物。
【0012】
7.ヘパドナ科ウイルスがB型肝炎ウイルスであることを特徴とする上記6記載のマイクロカプセル組成物。
【0013】
8.上記2から7のいずれか一項記載のマイクロカプセル組成物に界面活性剤またはアルカリ溶液を添加することによりマイクロカプセル内に包埋されている酵素またはタンパク質を表出化することを特徴とする酵素またはタンパク質の表出化方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ウイルスのキャプシドタンパク質などが形成するマイクロカプセルを多糖類と混合した組成物とすることにより安定に保持することが可能である。特に、マイクロカプセル内に酵素またはタンパク質を包埋させる場合、酵素またはタンパク質の活性を安定に保持することが可能になる。さらに、マイクロカプセルを含む組成物に界面活性剤やアルカリ溶液を添加することにより、マイクロカプセル内に包埋された酵素またはタンパク質を表出化することができる。本技術の用途としては、酵素がプロテアーゼの場合、マイクロカプセルにより水溶液などの剤形中でも自己消化分解を防ぎ、室温下での保存においても酵素活性が失活せず安定な商品を供給することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(1.粒子形成能タンパク質)
粒子形成能を有するタンパク質としては、昆虫ウイルスがコードするポリヘドリンと呼ばれるタンパク質やさらには種々のウイルスから得られるサブウイルス粒子を適応することができる。たとえば、微生物に感染するバクテリオファージ、動物ウイルス、植物ウイルス、無脊椎動物ウイルス、藻類ウイルスなど、広い範囲のウイルスを用いることができる。より好ましくは、球状ウイルス由来のキャプシドで、B型肝炎ウイルスのコアタンパク質、アデノウイルス、ポリオウイルスなどの動物ウイルス、φX174、MS2などのファージ、カリフラワーモザイクウイルス、トマトブッシースタントウイルス、イネわい化ウイルスなどの植物ウイルス、ガガンボイリデッセントウイルス、ブラックビートルウイルスなどの無脊椎動物ウイルス、ゾウリムシ共生藻ウイルスなどの藻類ウイルスのキャプシドタンパク質を用いることができる。
【0016】
(2.マイクロカプセルについて)
マイクロカプセルは、球体直径がおよそ数ミクロン(1ミクロン=1/1600ミリメートル)から1ミリメートル程度の球体の極めて微小な容器で、様々な手法によって作製される。マイクロカプセルにより、その内部に包埋させる物質を次のように取り扱うことが可能になる。
・ 見かけ上、固体として取り扱うことができる。(形態の改変)。
・ 他の物質との反応や混合を避けることができる(隔離効果)。
・ 保存期間を延ばすことができる(安定化効果)。
・ 不安定要素を安定化できる(保護効果)。
・ 放出を制御できる(放出制御)。
【0017】
すなわち、中身をマイクロカプセル化することにより、内部に包埋させた物質を保護し、必要なときまで他の物質と反応しないように、あるいは混合しないように隔離させたり、あるいは、外部に放出する速度をコントロールすることが可能になる。
【0018】
(3.マイクロカプセルの選択)
本発明で用いられるマイクロカプセルはキャプシドタンパク質で構成されているものが好ましく、その由来は任意のウイルス由来であってよい。「キャプシド」とは、ウイルスの核酸を包み、その外部形態を形作っている殻構造物をあらわす。また、ウイルスの核酸もしくはその変異体が殻構造物形成に必要な場合には、その核酸も含めて「キャプシド」と呼ぶ。B型肝炎ウイルスなどのように多重に殻構造物で覆われている場合、いずれの殻構造物もキャプシドである。また「キャプシドタンパク質」とは、キャプシドを構成要素であるタンパク質をあらわす。しかし、マイクロカプセルはキャプシドタンパク質に限定されるものではない。フィコシアニン等の円筒状の会合体であってもよいし、人工的に設計された内部に目的分子を導入出来る空間を有したマイクロカプセルであってもよい。
【0019】
キャプシドやフィコシアニンは、内部に何も含まれない状態でも安定で強固な構造を取っていることが知られており、本発明のマイクロカプセル作製には好都合である。
【0020】
多くのキャプシドタンパク質は、そのアミノ酸およびそれをコードする核酸配列が既知で、かつ遺伝子工学的手法で作成可能である上、内部に分子を内包しうるため、本発明には好都合である。特に、B型肝炎ウイルスが属するヘパドナウイルス科ウイルスのキャプシドタンパク質は、大腸菌等を用いた遺伝子工学的手法で容易に作成、精製可能であり、内部に何も含まれない状態でも安定で強固な構造を取っているため、本発明のマイクロカプセルの作成には好都合である。
【0021】
包埋させる酵素やタンパク質の大きさ、形状に応じて適切なウイルスキャプシドを選択することができる。マイクロカプセルの大きさはマイクロカプセルの結晶のX線結晶構造解析結果の原子座標により測定することができる。内包させた酵素・タンパク質分子全体の大きさ、形状は、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、X線小角散乱等を用いて測定することができる。たとえば、マイクロカプセルであるB型肝炎ウイルスのコアタンパク質(HBcAg)の内径、すなわち内側の半径はX線結晶構造解析の結果、約11.2nm、内側の表面積は約1576nm2であることが知られている(サマンサ・エー・ワイニー(Samantha A. Wynne et al.:)モレキュラー・セル(Molecular Cell)、ザ・クリスタル・ストラクチャー・オブ・ザ・ヒューマン・ヘパタイテス・ビー・ビロス・キャプシド(The crystal structure of the human hepatitis B virus capsid.)、米国、1999年、第3巻、p.771-780、図1)。このマイクロカプセルは240個のキャプシドタンパク質で形成されているので、1分子あたりのマイクロカプセル内側の表面積は約6.6nm2である。従って、断面積が6.6nm2より小さい分子は、ウイルスキャプシドタンパク質に結合させて、包埋可能であると判断できる。また、分子の長さはマイクロカプセルの内径11.2nm以下である必要がある。すなわち、マイクロカプセルに対しては断面積6.6nm2以下、長さ11.2nm以下の分子を結合させることが好ましい。マイクロカプセル内部に分子が内包可能かどうかは、適切なコンピュータプログラムを用いてマイクロカプセルの原子座標を観察することにより判断することができる。より大きなタンパク質などを内包させる場合には、バクテリオファージφX174やライノウイルス等の表面積が大きなマイクロカプセルを用いることができる。非常に小さなタンパク質を解析する場合には、フィコシアニン等の円柱状のマイクロカプセルも用いることができる。
【0022】
ヘパドナウイルス科のウイルスの外殻は、脂質膜を含む外側のエンベロープと内側のコアの2重のキャプシドで構成されている。特に、内側のコアキャプシドは、安定なマイクロカプセルを形成することが知られているため、本発明で用いるマイクロカプセルとして好都合である。中でも、B型肝炎ウイルスのコアタンパク質(HBcAg)およびその変異体タンパク質は、強制的にマイクロカプセルを形成させる条件が既知であり、その原子座標がPDBに登録され公開されているため、本発明で用いるマイクロカプセルとして用いるのに特に好都合である。例えば配列番号1に記載したDNAによりコードされるものが好ましい。なお、変異体タンパク質とは、タンパク質を構成しているアミノ酸の一部の配列を他のアミノ酸に置換したり、一部の配列を挿入、もしくは欠損させたものであって、B型肝炎ウイルスのコアタンパク質としての機能を保持したタンパク質をあらわす。同様に、核酸を構成している核酸塩基の一部の配列を他の核酸塩基に置換したり、一部の配列を挿入、もしくは欠損させた、核酸を「変異体(核酸)」と呼ぶ。
【0023】
(4.マイクロカプセルへの酵素またはタンパク質の包埋化)
本発明で用いられる「マイクロカプセルの内部」とは、マイクロカプセル内においてマイクロカプセルを構成するタンパク質間の相互作用に影響を与えない空間を意味する。また、マイクロカプセル内部にタンパク質が配置されている状態を「マイクロカプセルに包埋」されているという。たとえば、会合体としてフィコシアニン等の円筒状のマイクロカプセルを用いる場合には、結合させる分子は完全にマイクロカプセルに覆われている必要はなく、マイクロカプセル内においてウイルスキャプシドタンパク質間の相互作用に影響を与えない円筒の内側に存在すれば、結合させた分子は「マイクロカプセルの内部」にあり、「マイクロカプセルに包埋」されている状態である。また、本発明で用いられる「酵素またはタンパク質」とは、ウイルスキャプシドタンパク質内部に包埋されるものを表す。マイクロカプセル内部に酵素またはタンパク質を包埋させる方法としては、キャプシドタンパク質のみから形成されるマイクロカプセルを低塩もしくはアルカリ条件下分解し、高濃度の酵素やタンパク質の溶液内に入れ、再び高塩条件下、低酸性条件下キャプシドタンパク質を再構成することにより、酵素やタンパク質を包埋化させたマイクロカプセルを得ることができる。ザ・エンボ・ジャーナル(the EMBO Journal vol21 No5 pp876-884 2002)のザ・モルフォジェニック・リンカーペプチド オブ エッチビーブイキャプシド プロテイン フォーム ア モビリティー アレイ オン ザ インテリアー サーフェイス(The morphogenic linker peptide of HBV capsid protein forms a mobile array on the interior surface)では、大腸菌で発現させたキャプシドタンパク質をアルカリ条件下精製し、60mMMgCl2存在下、酸性条件下(pH5)21℃1時間処理することにより再度マイクロカプセルに再構成している。しかし、本報では実際にマイクロカプセル内部に酵素又はタンパク質を包理化させるには至っていない。
【0024】
(5.融合タンパク質を利用したマイクロカプセルへの酵素やタンパク質の包埋化)
マイクロカプセルのキャプシドタンパク質と目的タンパク質との結合は、キャプシドタンパク質、目的タンパク質、それぞれを構成するタンパク質を融合させた融合タンパク質を慣用の遺伝子操作によって作成することで達成できる。本発明で用いられる「融合」とは、両タンパク質間をペプチド結合で結合させることを意味する。通常、タンパク質をコードしたDNAの前後または途中にタンパク質もしくはペプチドをコードするDNAを挿入し、そのDNAを用いて融合タンパク質を作製するが、他の方法、たとえば、化学合成によっても融合タンパク質は得られる。目的タンパク質をキャプシドタンパク質に融合させる部位は、マイクロカプセルの内側に露出しているアミノ酸の直前または直後であることが好ましい。
【0025】
融合による結合においては、遺伝子さえあれば容易に慣用の遺伝子操作によって解析目的分子を結合でき、遺伝子を組み込んだ発現ベクターは容易に増幅可能であり、何度でも再現性よく目的タンパク質が同一部位に融合したタンパク質を作成できる。そのため、結合部位を制御する必要が無く、後述の共有結合を形成させた結合に比べて、融合による結合は互いに同一の分子種及び同一の分子数かつ同じ立体構造を有したマイクロカプセルを作成するための有効な手段の一つである。
【0026】
(6.融合タンパク質の配列設計)
キャプシドタンパク質と酵素やタンパク質を融合させた融合タンパク質を生産させるためのDNAの設計は慣用の遺伝子操作により以下の様に行うことができる。たとえば、公知の遺伝子操作技術を用いて、HBcAg遺伝子と部分的に相補的なDNAを合成することにより、HBcAgの遺伝子の任意の部分に特定の制限酵素で切断される部分(制限酵素部位)を導入または消失させることおよび導入した制限酵素部位前後に任意のタンパク質をコードするDNAを導入することができる。
【0027】
(7.キャプシドタンパク質の配列情報および遺伝子の入手)
キャプシドタンパク質の遺伝子、すなわちアミノ酸配列をコードするDNAは、ウイルスに感染した患者、動物、細胞、微生物からPCR法により単離することができる。例えば、B型肝炎ウイルスのコアタンパク質(HBcAg)の場合、慢性活動性B型肝炎感染患者の血清から抽出したcDNAライブラリーから、例えば文献(アントニー・トウズ他(Antoine Touze, et al.)、ジャーナル・オブ・クリニカル・マイクロバイオロジー(Journal of Clinical Microbiology)、バキュロビロス・エクスプレッション・オブ・キメリック・ヘパタイテス・ビー・ビロス・コア・パーティクルズ・ウイズ・ヘパタイテス・イー・ビロス・エピトープス・アンド・ゼア・ユース・イン・ア・ヘパタイテス・イー・イミュノアッセイ(Baculovirus Expression of Chimeric Hepatitis B Virus Core Particles with Hepatitis E Virus Epitopes and Their Use in a Hepatitis E Immunoassay)、米国、1999年、第37巻、p.438-441)記載のプライマーを用いて、PCR法により単離することができる。B型肝炎ウイルス以外のウイルスのキャプシドタンパク質遺伝子も同様の方法で単離することができる。単離に必要なプライマーは各ウイルスの遺伝子の配列情報を使って設計することができる。ウイルスのDNAおよびアミノ酸配列情報は例えばNCBIのゲノムデータベースに登録されており、インターネット上で公開されている。ウイルスキャプシド以外の遺伝子も同様の方法で入手可能である。例えば、実施例Xのフィコシアニン遺伝子はシアノバクテリアから抽出したcDNAライブラリーを用いてPCR法により単離できる。
【0028】
また、PCR法で単離できない場合、および人工的に設計した場合は、マイクロカプセルを形成するタンパク質のDNAもしくはアミノ酸配列情報に従って部分的に化学合成したDNAをDNAポリメラーゼ等を用いてつなぎ合わせることでその遺伝子を作成することができる。また、バクテリオファージの遺伝子はたとえば独立行政法人製品評価技術基盤機構・生物遺伝資源センター(NBRC)から有償で入手することができる。
【0029】
(8.目的タンパク質の入手)
目的タンパク質は、どのような手段で入手してもかまわない。通常次のいずれの方法を用いることで入手できる。化学合成、動植物や微生物などの目的タンパク質を含む物質からの単離・抽出、目的タンパク質であるタンパク質をコードする遺伝子を用いたタンパク発現である。目的タンパク質をキャプシドタンパク質と融合させて生産する場合も同様である。目的タンパク質の遺伝子もまたキャプシド遺伝子と同様の方法で入手可能である。
【0030】
(9.発現用ベクターの作成)
遺伝子、すなわちPCR産物もしくは化学合成DNAは精製後、適切な制限酵素を用いて、切り出し、発現用ベクターに組み込むことができる。PCR法の場合は、用いたプライマーに、化学合成の場合は合成するDNA配列に予め特定の制限酵素で切断される配列(制限酵素サイト)を組み込んでおけば、発現用ベクターの作成はより容易になる。発現用ベクターは発現用ベクターを組み込ませる予定の宿主の種類に応じて、宿主に適した発現用ベクターを用いることが好ましい。
【0031】
(10.マイクロカプセルの作成)
マイクロカプセルは、慣用のタンパク質生産のための遺伝子組換え体を用い、作成することができる。例えば、キャプシドタンパク質の遺伝子を組み込んだ発現ベクターを大腸菌などの微生物、酵母、植物体あるいは植物細胞、動物細胞あるいはトランスジェニック動物、昆虫細胞あるいは昆虫などの宿主に感染またはリポソームなどとともに取り込ませて、形質転換して、タンパク質発現することが可能である。また、宿主を用いることなく、無細胞タンパク質発現系を用いて作成することもできる。無細胞タンパク質発現キットは、例えばロッシュリサーチ社から販売されており、タンパク質を簡便かつ短時間で作成することができ、有用な手段の一つである。
【0032】
マイクロカプセルの構成には、ウイルスのキャプシドである場合には、ウイルスのキャプシドの種類によって形成する特定の条件を用いて、マイクロカプセルを形成させることができる。例えば、キャプシドタンパク質(HBcAg)を大腸菌菌体内に大量かつ高濃度に発現させることによって、マイクロカプセルを形成させる。また、マイクロカプセルがバクテリオファージMS2のキャプシドである場合には、19塩基からなる特定の配列を含んだRNAと結合し、そのRNAとの結合により、強制的に形成させることができる。
【0033】
一方で、キャプシドタンパク質がマイクロカプセルを構成していない場合でも、適当な条件下酵素やタンパク質を包埋するマイクロカプセルを作成しうる。例えば、高濃度の酵素やタンパク質溶液にキャプシドタンパク質を入れ、透析操作などにより、低酸性条件下、または高塩濃度の溶液に置換することによってキャプシドタンパク質の再構成がおき、酵素やタンパク質を包埋したマイクロカプセルを作製しうる。
【0034】
(11.精製)
マイクロカプセルはキャプシドタンパク質に比べ、大きくかつ高分子量である。この大きさおよび分子量の違いを利用して、例えば公知の精製法であるゲルクロマトグラフィー等の分子ふるいや遠心操作でマイクロカプセルを形成しないものや不純物を取り除けば、マイクロカプセルは容易に精製することができる。例えば、B型肝炎ウイルスのキャプシドタンパク質の場合、蔗糖密度勾配法を用いた遠心操作で容易に精製することができる。
【0035】
(12.多糖類)
2つの単糖類がグリコシド結合することによって二糖類が生じ、このグリコシド結合が連続することで生じる高分子化合物を多糖類である。分子式は(C6H10O5)nで表される。代表的な多糖類として、でんぷんやセルロースがあげられる。本発明で使用する多糖類は、好ましくはアラビアガム、カラギーナン、キトサン、トレハロースである。多糖類は、食品や医薬品と混合することにより安定化効果をもたらし、また化合物やタンパク質の保護効果がある。
【0036】
中でもトレハロースは、2分子のグルコースが結合した非還元性の二糖である。トレハロースは自然界では動植物、微生物にわたって広く遊離の状態で存在している。パン酵母やビール酵母などの酵母類にも多く含まれ、古くから人々に食されてきた糖質として知られている。近年、保湿効果の高い糖として注目されており、乾燥している環境下から細胞を保護する働きがあることがわかった。また、アラビアガムは医薬品と混合し、その安定化・保護効果を目的に配合されている。
【0037】
(13.マイクロカプセルと多糖類との混合溶液)
マイクロカプセルは、内包する酵素やタンパク質の性質にもよるが、酸性溶液(pH5)または塩を含む溶液(Mg)で調製することにより安定性が向上する。さらに、多糖類を混合した溶液ではさらに内部の酵素やタンパク質の活性を安定に保持することが可能になる。例えば、アラビアガム、カラギーナン、トレハロースまたはキトサンなどの多糖類とマイクロカプセルを含む溶液(1〜10%溶液)、マイクロカプセル(0.01〜10mg/mL)を混合することで内部の酵素やタンパク質を安定に保持することが可能になる。また、マイクロカプセルと多糖類の溶液を、室温(17〜37℃)条件下で自然乾燥させた時、包埋させたタンパク質も安定に保持される。
【0038】
(14.マイクロカプセルのバイオチップへの応用)
本発明のマイクロカプセルを含む溶液と多糖類を共存させることにより乾燥状態下でも適応可能チップを作製することが可能になる。中でもチップを用いることにより、分子間相互作用を検出する、プロテインチップやバイオセンサーに応用できる。
【0039】
すなわちウイルスのキャプシドタンパク質が形成するマイクロカプセルの相互作用に影響を与えない空間に酵素やタンパク質を人工的に配置し、ガラス基板などの固相に安定に酵素やタンパク質を固定化することが可能になる。
【0040】
また、マイクロカプセルを含む溶液に界面活性剤やアルカリ溶液を添加することにより、包埋させたタンパク質を表出化することが可能になる。すなわち、界面活性剤としては、イオン性界面活性剤に代表されるSDSなどであり、アルカリ溶液としては、好ましくは包埋しているタンパク質の高次構造を壊さないTris緩衝液(pH9-11)が挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、何らこれに限定されるものではない。本発明の範囲は、実施例に示す特定の実施形態よりも、発明の詳細な説明の項目中で記述した内容により、請求の範囲が定義されるべきものである。
【0042】
参考例1 キャプシドタンパク質(HBcAg)とGFPの融合タンパク質の作製
1. 遺伝子の調製
HBcAgの遺伝子及びクラゲ由来緑色蛍光タンパク質GFP遺伝子及び発現ベクターを材料として、制限酵素及びDNAポリメラーゼを用いて、発現ベクターのマルチクローニングサイトの5‘側にHBcAgの1〜149番アミノ酸をコードする遺伝子(配列番号1)を、さらにその下流にGFPを導入した。GFP遺伝子(配列番号2)はClontech社製の遺伝子を用いた。HBcAg遺伝子は、慢性活動性B型肝炎患者の血清より作成したcDNAライブラリーを用いて、クローニングした遺伝子を用いた。発現ベクターはNovagen社製pET20b+を使用した。
【0043】
2. マイクロカプセルの調製
1.で得られた遺伝子を用いて、次のように発現誘導、溶菌、遠心、硫安沈殿、透析、蔗糖密度勾配法およびゲル濾過クロマトグラフィーによる精製を行い高純度に精製したマイクロカプセルを得た。
【0044】
すなわち、HBcAgのみの発現用ベクターおよびGFP融合タンパク質を発現する発現ベクターを大腸菌BL21に組み込み、16時間培養後、IPTG(ispporpyl-β-D-thiogalactopyranoside)を使って発現誘導した。さらに3時間培養後、15分間8,000rpmで遠心操作し集菌した。このように菌体内に高濃度の融合タンパク質を発現させることによって、融合タンパク質はマイクロカプセルを形成した。形成されたマイクロカプセルを単離精製するため、さらに以下の操作を行った。PBSバッファーにて菌を懸濁し、超音波にて10秒間3回破砕した。さらに、20分間10,000rpmで遠心操作をして、細胞片を取り除いた。遠心操作後の上澄みに硫安((NH4)2SO4)を濃度20%になるように加え、マイクロカプセルを沈殿させた。ペレット(沈殿物)をPBSバッファーに再溶解させ、蔗糖密度勾配法(60%〜5%)により、分取した。このとき、分取すべきマイクロカプセルを含んだ画分は、SDS-PAGEを使って確認した。その結果、蔗糖濃度が30〜50%濃度中に回収されることが判明した。さらに、ゲル濾過クロマトグラフィー(ハイロードスーパーデックス300 HR26/60 、ファルマシア社)により精製し、5mM Tris-HCl, 150mM NaCl溶液を用いて透析した結果、高純度に精製されたマイクロカプセル溶液を得た。
【0045】
実施例1〜4、比較例1〜6(タンパク質安定化評価)
GFPを包埋したマイクロカプセル溶液(1mg/ml)10μLに水、天然多糖類である5%アラビアガム(和光純薬社製)、10%ゼラチン(シグマ社製)、キトサン(和光純薬社製)または1%カラギーナン(和光純薬社製)10μLと混合し、マイクロカプセル溶液を得た。ガラス基板上に塗布し、自然乾燥させた。同様にフリーのGFP(マイクロカプセルなし)(ロシュ社製)(1mg/ml)10μLに水、天然多糖類である5%アラビアガム(和光純薬社製)、10%ゼラチン(シグマ社製)、キトサン(和光純薬社製)または1%カラギーナン(和光純薬社製)10μLと混合し、ガラス基板上に塗布し、自然乾燥させた。室温状態下で20日間保存し、そのガラス基板を254nmの紫外線照射を行うことによりGFPの活性である緑色蛍光を比較した。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
有意にマイクカプセルに包埋されたGFPにおいて、天然多糖類であるアラビアガムまたはカラギーナンと混合した場合で活性を保持していた。すなわち、GFP単独よりもマイクロカプセルに包埋し、さらに保存剤を添加することにより有意にタンパク質を安定にガラス基板に固定することが可能ではないかと考えられる。
【0048】
実施例5〜8、比較例7〜11(タンパク質の表出化)
参考例1の2で得られたマイクロカプセルを含む溶液について以下のような処理を実施した。
【0049】
比較例7:未処理(ア)。
【0050】
比較例8:抗GFP抗体(ロシュ社製)を固定化したビーズ(アマシャム社製)に添加し(免疫沈降)、その上清を回収(イ)。
【0051】
実施例5:アルカリ溶液(0.2M Tris-HCl Buffer(pH10))で透析し、得られたマイクロカプセル溶液を抗GFP抗体(ロシュ社製)を固定化したビーズ(アマシャム社製)に添加し(免疫沈降)、その上清を回収(ウ)。
【0052】
実施例6:アルカリ溶液(0.02M Tris-HCl Buffer(pH10))で透析し、得られたマイクロカプセル溶液を抗GFP抗体(ロシュ社製)を固定化したビーズ(アマシャム社製)に添加し(免疫沈降)、その上清を回収(エ)。
【0053】
実施例7:界面活性剤溶液(10%SDS)を2倍量添加し室温で1時間処理後、得られたマイクロカプセル溶液を抗GFP抗体(ロシュ社製)を固定化したビーズ(アマシャム社製)に添加し(免疫沈降)、その上清を回収(オ)。
【0054】
実施例8:界面活性剤溶液(1%SDS)を2倍量添加し室温で1時間処理後、得られたマイクロカプセル溶液を抗GFP抗体(ロシュ社製)を固定化したビーズ(アマシャム社製)に添加し(免疫沈降)、その上清を回収(カ)。
【0055】
比較例9:フリーのGFP(ロシュ社製)(1mg/ml)を抗GFP抗体(ロシュ社製)を固定化したビーズ(アマシャム社製)に添加し(免疫沈降)、その上清を回収(キ)。
【0056】
比較例10:フリーのGFP(ロシュ社製)(1mg/ml)をアルカリ溶液(0.02M Tris-HCl Buffer(pH10))で透析し、得られたマイクロカプセル溶液を抗GFP抗体(ロシュ社製)を固定化したビーズ(アマシャム社製)に添加し(免疫沈降)、その上清を回収(ク)。
【0057】
比較例11:フリーのGFP(ロシュ社製)(1mg/ml)を界面活性剤溶液(1%SDS)を2倍量添加し室温で1時間処理後、得られたマイクロカプセル溶液を抗GFP抗体(ロシュ社製)を固定化したビーズ(アマシャム社製)に添加し(免疫沈降)、その上清を回収(ケ)。
【0058】
上記9種類のサンプルを電気泳動(SDS PAGE)した。SDS PAGEの条件は12.5%アクリルアミドゲルを使用し、SDS存在下サンプルを溶解し1000V、20mA下70分通電した。得られたゲルおよびPVDF膜(ATTO 社製)を用いてブロッティング装置(ATTO社製)に設置し、150mA下25分間通電させた。その後得られた膜を10%ブロックエース(大日本製薬社製)で一晩ブロッキングを行った後、抗GFP抗体(ロシュ社製)で3時間処理した後、0.01%Tween20を含む洗浄液で洗浄した後、抗マウス抗体−HRP conjugate(アマシャム社製)で2時間処理した。膜を充分に洗浄液で洗浄し、ウエスタンブロット ディテクション システム(アマシャム社製)による発色を行った。
【0059】
その結果、界面活性剤またはアルカリ溶液を添加したマイクロカプセル内のGFP(分子量約66000)のみ反応が確認された(図2−ウ〜カ)。すなわち、コントロールであるアはSDS PAGE内のSDSにより壊れて抗体と反応するが、イではマイクロカプセルの構造を有しているため、ビーズに固定化されたGFP抗体 と反応しないので、回収した上清中にはGFPが存在しない。よって、検出されなかった。ウ〜カはマイクロカプセルはアルカリ条件または界面活性剤存在下で高次構造が壊れ、包埋された酵素やタンパク質が表出したものと考えられる。また、キの実験からGFP(分子量26000)と抗GFP抗体は反応し、ク・ケからはGFP(分子量26000)とビーズに固定化された抗GFP抗体の反応はアルカリ溶液やSDSでは阻害されていないことが明らかである。
【0060】
参考例2 キャプシドタンパク質(HBcAg)とリゾチームの融合タンパク質の作製
1. 遺伝子の調製
HBcAgの遺伝子及びヒトリゾチームタンパク質Lys遺伝子及び発現ベクターを材料として、制限酵素及びDNAポリメラーゼを用いて、発現ベクターのマルチクローニングサイトの5‘側にHBcAgの1〜149番アミノ酸をコードする遺伝子1(配列番号1)を、さらにその下流にヒトリゾチームを導入した。Lys遺伝子(配列番号3)は宝酒造社製のヒトPlacenta cDNAライブラリーから遺伝子クローニングを行い取得した。HBcAg遺伝子は、慢性活動性B型肝炎患者の血清より作成したcDNAライブラリーを用いて、クローニングした遺伝子を用いた。発現ベクターはNovagen社製pET20b+を使用した。
【0061】
2. マイクロカプセルの調製
1.で得られた遺伝子を用いて、次のように発現誘導、溶菌、遠心、硫安沈殿、透析、蔗糖密度勾配法およびゲル濾過クロマトグラフィーによる精製を行い高純度に精製したマイクロカプセルを得た。
【0062】
すなわち、HBcAgのみの発現用ベクターおよびヒトリゾチームを含む融合タンパク質を発現する発現ベクターを大腸菌BL21に組み込み、16時間培養後、IPTG(ispporpyl-β-D-thiogalactopyranoside)を使って発現誘導した。さらに3時間培養後、15分間8,000rpmで遠心操作し集菌した。このように菌体内に高濃度の融合タンパク質を発現させることによって、融合タンパク質はマイクロカプセルを形成した。形成されたマイクロカプセルを単離精製するため、さらに以下の操作を行った。PBSバッファーにて菌を懸濁し、超音波にて10秒間3回破砕した。さらに、20分間10,000rpmで遠心操作をして、細胞片を取り除いた。遠心操作後の上澄みに硫安((NH4)2SO4)を濃度20%になるように加え、マイクロカプセルを沈殿させた。ペレット(沈殿物)をPBSバッファーに再溶解させ、蔗糖密度勾配法(60%〜5%)により、分取した。このとき、分取すべきマイクロカプセルを含んだ画分は、SDS-PAGEを使って確認した。その結果、蔗糖濃度が30〜50%濃度中に回収されることが判明した。さらに、ゲル濾過クロマトグラフィー(ハイロードスーパーデックス300 HR26/60 、ファルマシア社)により精製し、5mM Tris-HCl, 150mM NaCl溶液を用いて透析した結果、高純度に精製されたマイクロカプセル溶液を得た。
【0063】
実施例9、比較例12(タンパク質安定化および表出化評価)
ヒトリゾチームを包埋したマイクロカプセル溶液(1mg/ml)10μL、天然多糖類である5%アラビアガム(和光純薬社製)10μLと混合し、マイクロカプセル溶液を得た。同様にフリーのヒトリゾチーム(マイクロカプセルなし)(フナコシ社製)(1mg/ml)10μLに水、天然多糖類である5%アラビアガム(和光純薬社製)10μLと混合し、室温状態下で20日間保存した。次にマイクロカプセル溶液とフリーのヒトリゾチーム溶液(マイクロカプセルなし)をアルカリ溶液である0.2MTris-HCl(pH10)溶液を等量加え、室温で1時間処理した。次に、ミクロコッカス・リゾデイティカス(Micorococcus Lysodeikticus)培養液2.9mLを調製し、上記溶液0.1mLまたはリゾチーム標準溶液(和光純薬社製)0.1mLを添加し、室温条件下5分放置した。次に培養液のみ、または培養液にマイクロカプセル溶液を添加したものの吸光度OD450を測定しリゾチームの生物活性(RBA:Retained Biological activity)を測定したところ、マイクロカプセル溶液でRBA55%、フリーのヒトリゾチームで30%、リゾチーム標準溶液添加で59%であった。すなわち、マイクロカプセル内のリゾチームは安定に保持され、アルカリ溶液を添加することにより外部に表出し、プロテアーゼ活性を発現したものと推察される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、酵素の安定化方法に限らず、酵素洗剤、プロテインチップ、バイオセンサー用途などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】HBcAgT4会合体の断面図である。
【図2】実施例5〜8、比較例7〜11のイムノブロッティング結果を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
A:内側の半径(11.2 nm)
B:内側の表面積(1576 nm2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子形成能を有するタンパク質からなるマイクロカプセルおよび多糖類を含有するマイクロカプセル組成物。
【請求項2】
マイクロカプセルの内部に酵素またはタンパク質が包埋されている請求項1記載のマイクロカプセル組成物。
【請求項3】
粒子形成能を有するタンパク質と酵素またはタンパク質とが融合している請求項2記載のマイクロカプセル組成物。
【請求項4】
多糖類がアラビアガム、カラギーナン、トレハロースおよびキトサンから選ばれる少なくとも一種である請求項1から3のいずれか一項記載のマイクロカプセル組成物。
【請求項5】
粒子形成能を有するタンパク質がウイルスのキャプシドタンパク質若しくはその変異体タンパク質であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のマイクロカプセル組成物。
【請求項6】
キャプシドタンパク質がヘパドナウイルス科ウイルスのキャプシドタンパク質であることを特徴とする請求項5記載のマイクロカプセル組成物。
【請求項7】
ヘパドナ科ウイルスがB型肝炎ウイルスであることを特徴とする請求項6記載のマイクロカプセル組成物。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか一項記載のマイクロカプセル組成物に界面活性剤またはアルカリ溶液を添加することによりマイクロカプセル内に包埋されている酵素またはタンパク質を表出化することを特徴とする酵素またはタンパク質の表出化方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−213678(P2006−213678A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30292(P2005−30292)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】