マイクロチップにおける流体流れ制御装置及び方法
【課題】 マイクロチップに接続するバルブを最低限必要な数とするとともに、マイクロチップそのものへの加工を不要にして、簡素な構成でマイクロチップ内の微小流路での流体の流れ状態を制御できるようにする。
【解決手段】 マイクロチップ1は、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等の弾性材料からなるベースプレート3に微小な溝(チャネル)4を形成し、そのベースプレート3にガラスからなるカバープレート5を貼り合わせて微小流路6を構成したものである。そして、弾性材料からなるベースプレート3の微小流路6上の部位をピン2の先端で押圧し、その部位を微小流路6側に弾性変形させて、微小流路6の断面積を変化させることにより、微小流路6での流体の流れ状態を制御する。
【解決手段】 マイクロチップ1は、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等の弾性材料からなるベースプレート3に微小な溝(チャネル)4を形成し、そのベースプレート3にガラスからなるカバープレート5を貼り合わせて微小流路6を構成したものである。そして、弾性材料からなるベースプレート3の微小流路6上の部位をピン2の先端で押圧し、その部位を微小流路6側に弾性変形させて、微小流路6の断面積を変化させることにより、微小流路6での流体の流れ状態を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチップ内の微小流路での流体の流れ状態を制御するマイクロチップにおける流体流れ制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、μ−TAS(Micro Total Analysis Systems)やLOC(Lab-on-a-chip)と称される、マイクロチップを用いた分析が注目されている。マイクロチップとは、図8に示すように、ガラスや樹脂からなるベースプレート801に微細加工技術を利用して微小な溝(チャネル)802を形成し、そのベースプレート801にカバープレート803を貼り合わせて微小流路804を構成したものである。この種のマイクロチップを用いた分析では、試薬・サンプル等の試料や廃液の微量化、反応の高速化や高精度化等が期待され、例えばDNAやRNAといった遺伝子断片の鎖長解析等への適用が可能である。
【0003】
ところで、マイクロチップを用いて分析を行うに際しては、微小流路804での流体の流れ状態を制御することが重要な課題の一つとされる。
【0004】
例えば、マイクロチップの外部に電磁弁等のバルブを設置し、そのバルブをマイクロチップ内の微小流路804に接続して、微小流路804での流体の流れ状態を制御することが行われている。
【0005】
また、特許文献1等には、マイクロチップ上にモータを設置するとともに、マイクロチップに穴を形成し、その穴から微小流路に弁体を内挿するバルブ機構を構成して、微小流路の断面積を可変とすることが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、マイクロチップ内への試料の導入や廃液の排出のためのバルブ以外に、微小流路804での流体の流れ状態を制御する目的でマイクロチップの外部にバルブを設置する場合、マイクロチップにバルブを接続するための配管が増えて、全体として大型化するだけでなく、試料や廃液の微量化、反応の高速化や高精度化等の妨げになってしまう。また、微小流路804には、バッファ液とともに固形試料(例えばマイクロビーズや細胞等の生体試料)を流通させることもあり、その場合、バルブの内部に固形試料が混入して、バルブの耐久性が損なわれやすくなってしまう。
【0008】
一方、特許文献1等にあるようにマイクロチップ自体にバルブを設ける場合、マイクロチップそのものへの加工等が必要となり、コストが高くなって、量産に適さなくなってしまう。
【0009】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、マイクロチップに接続するバルブを最低限必要な数とするとともに、マイクロチップそのものへの加工を不要にして、簡素な構成でマイクロチップ内の微小流路での流体の流れ状態を制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるマイクロチップにおける流体流れ制御装置は、微小な溝が形成されたベースプレートにカバープレートを貼り合わせて微小流路を構成するとともに、前記ベースプレート及び前記カバープレートのうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたマイクロチップにおける流体流れ制御装置であって、前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御する押圧部材を備えた点に特徴を有する。
本発明によるマイクロチップにおける流体流れ制御方法は、微小な溝が形成されたベースプレートにカバープレートを貼り合わせて微小流路を構成するとともに、前記ベースプレート及び前記カバープレートのうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたマイクロチップにおける流体流れ制御方法であって、前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧部材により押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧部材により押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御するようにしたので、マイクロチップに接続するバルブを最低限必要な数とするとともに、マイクロチップそのものへの加工を不要にして、簡素な構成でマイクロチップ内の微小流路での流体の流れ状態を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の特徴を最もよく表わす図であり、マイクロチップ1とピン2との関係を示す。本実施形態のマイクロチップ1は、図1(a)に示すように、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等の弾性材料からなるベースプレート3に微小な溝(チャネル)4を形成し(深さ200μm程度、幅400μm程度までの大きさ)、そのベースプレート3にガラスからなるカバープレート5を貼り合わせて微小流路6を構成したものである。
【0013】
そして、図1(b)に示すように、弾性材料からなるベースプレート3の一部、具体的には微小流路6上の部位をピン2の先端で押圧し、その部位を微小流路6側に弾性変形させて、微小流路6の断面積を変化させることにより、微小流路6での流体の流れ状態を制御する。このことから明らかなように、本発明でいう弾性材料とは、一部を押圧したときに、その部位を微小流路側に弾性変形させて微小流路の断面積を変化させることができる程度の弾性を有する材料を意味する。
【0014】
以下、本実施形態のマイクロチップにおける流体流れ制御装置及び方法について詳細に説明する。図2に示すように、マイクロチップ1の適所には、ベースプレート3を貫通するポート7、8、9、10が形成されている。そして、マイクロチップ1内には、ポート7、8間をつなぐとともに中間位置で反応場6dを構成する微小流路6と、反応場6dよりポート7側にて微小流路6をポート9につなぐ微小流路11と、反応場6dよりポート8側にて微小流路6をポート10につなぐ微小流路12とが構成されている。
【0015】
図2に示す例では、ポート7をサンプル供給口、ポート8をサンプル取出口とする。
【0016】
また、ポート9を外部配管13を介して三方弁14に接続する。三方弁14は、ポート9、バッファ15、三方弁19をつなぐ形で配設されたものであり、接続口14aがポート9に、接続口14bがバッファ15に、接続口14cが三方弁19に接続する。
【0017】
また、ポート10を外部配管16を介して三方弁17に接続する。三方弁17は、ポート10、バッファ18、三方弁19をつなぐ形で配設されたものであり、接続口17aがポート10に、接続口17bがバッファ18に、接続口17cが三方弁19に接続する。
【0018】
三方弁19は、三方弁14、三方弁17、シリンジポンプ20をつなぐ形で配設されたものであり、接続口19aがシリンジポンプ20に、接続口19bが三方弁17に、接続口19cが三方弁14に接続する。
【0019】
このようにしたマイクロチップ1では、微小流路6のうち反応場6dまで延びる流路部分(往路及び復路)6aと、微小流路6のうち微小流路11との接続位置より上流側(サンプル供給口であるポート7側)の流路部分6bと、微小流路6のうち微小流路12との接続位置より下流側(サンプル取出口であるポート8側)の流路部分6cとが平行に並ぶ箇所ができる。そして、その箇所において、流路部分(往路及び復路)6aでの流体の流れ状態と、流路部分6bでの流体の流れ状態と、流路部分6cでの流体の流れ状態とを、それぞれ図1で説明した原理により制御することにしている。
【0020】
図3〜5に、マイクロチップにおける流体流れ制御装置の構成例を示す。図3〜5に示すように、ケーシング102に取り付けられたモータ101の出力軸101aと、ケーシング102により回転可能に支持されたカムシャフト103とがカップリング104を介して同軸上に連結する。
【0021】
カムシャフト103には、3つのカム105a〜105cが所定の間隔をあけて連設される。詳しくは後述するが、カム105aの形状は、流路部分(往路及び復路)6aでの流体の流れを所定のタイミングで止めたり(閉状態)、許容したり(開状態)するように設計されている。また、カム105bの形状は、流路部分6bでの流体の流れを所定のタイミングで止めたり(閉状態)、許容したり(開状態)するように設計されている。また、カム105cの形状は、流路部分6cでの流体の流れを所定のタイミングで止めたり(閉状態)、許容したり(開状態)するように設計されている。
【0022】
カム105a〜105bの下方には、図5に示すように上下一対の板バネ106u、106lがそれぞれ配置される。上下一対の板バネ106u、106lは、それらの一端が支持されるとともに、それらの他端がちょうど各カム105a〜105cの下方に位置し、その位置で板バネ106u、106l間にスペーサ107が設けられている。
【0023】
また、ケーシング102内には3本のシャフト108が収容される。これらシャフト108の上端は下側の板バネ106lを貫通してスペーサ107にそれぞれ連結し、下端にはピン2a〜2cがそれぞれ連結する。各ピン2a〜2cは、ケーシング102の下部に形成されたガイド穴を介して進退可能となっている。
【0024】
ピン2a〜2cの先端部分には一対の傾斜面が形成されており、先端面が細長い矩形状となっている。すなわち、細長い矩形状をなす先端面がマイクロチップ1のベースプレート3に押圧されることになるが、その場合に、矩形状をなす先端面の長手方向が流路部分6a〜6cの幅方向に一致するようになっている。本実施形態では、流路部分6a用のピン2aが2本分の微小流路(往路及び復路)での流体流れを制御するので、その両側のピン2b、2cに比べて先端が幅広に加工されている。
【0025】
なお、本実施形態では、ピン2a〜2cの先端面が細長い矩形状となる例を説明したが、例えば図1に示すようにピン2の先端をテーパ状に加工し、先端面が小径の円状となるようにしてもよい。
【0026】
このようにしたマイクロチップにおける流体流れ制御装置では、モータ101が駆動してカムシャフト103が回転すると、カムシャフト103とともにカム105a〜105cが回転する。カム105a〜105cの回転に伴って各カム105a〜105cの円弧面R(図3(b)を参照)が上側の板バネ106uに接触すると、板バネ106u、106lが弾性変形して、シャフト108さらにはピン2a〜2cが下方に移動する。これによりピン2a〜2cの先端がマイクロチップ1のベースプレート3を押圧し、その部位を弾性変形させて、流路部分6a〜6cの断面積を略ゼロにすることにより、微小流路6の流路部分6a〜6cでの流体の流れが止められる(閉状態)。
【0027】
そして、カム105a〜105cの回転に伴って各カム105a〜105cの円弧面R以外の面が上側の板バネ106uから離れたときには、板バネ106u、106lが弾性復帰して、シャフト108さらにはピン2a〜2cが上方に移動する。これによりピン2a〜2cの先端がマイクロチップ1のベースプレート3から離れ、その部位が弾性復帰して、流路部分6a〜6cの断面積を元の断面積に戻すことにより、微小流路6の流路部分6a〜6cでの流体の流れが許容される(開状態)。
【0028】
次に、図6、7A〜7Eを参照して、本実施形態における流体の流れ状態の制御について説明する。
【0029】
まず、カム105a〜105cを図3に示す原点位置とし、流路部分6a〜6cをいずれも開状態とする(ステップS101)。
【0030】
その状態で、シリンジポンプ20内へバッファ15からバッファ液を導入する(ステップS102)。すなわち、図7Aに示すように、三方弁14において接続口14aを閉じるとともに接続口14b、14cを開き、また、三方弁17において接続口17a〜17cすべてを閉じ、また、三方弁19において接続口19bを閉じるとともに接続口19a、19cを開き、シリンジポンプ20で吸引を行う。これにより、図中矢印で示すように、シリンジポンプ20内へバッファ15からバッファ液を導入することができる。なお、バッファ液は、サンプルがシリンジポンプ20等に直接触れることがないようにするためのキャリア用の液体として使用されるものである。
【0031】
次に、カム105a〜105cを図4に示す60度回転位置とし、流路部分6aを開状態、流路部分6b、6cを閉状態とする(ステップS103)。
【0032】
その状態で、マイクロチップ1内へバッファ液を充填する(ステップS104)。すなわち、図7Bに示すように、三方弁14において接続口14bを閉じるとともに接続口14a、14cを開き、また、三方弁17において接続口17cを閉じるとともに接続口17a、17bを開き、また、三方弁19において接続口19bを閉じるとともに接続口19a、19cを開き、シリンダポンプ20内のバッファ液を吐出する。これにより、図中矢印で示すように、マイクロチップ1内へバッファ液を充填することができる。
【0033】
次に、図示は省略するが、カム105a〜105cを120度回転位置とし、流路部分6a、6bを開状態、流路部分6cを閉状態とする(ステップS105)。
【0034】
その状態で、マイクロチップ1内へサンプルを吸引する(ステップS106)。すなわち、図7Cに示すように、三方弁14において接続口14a〜14cすべてを閉じ、また、三方弁17において接続口17bを閉じるとともに接続口17a、17cを開き、また、三方弁19において接続口19cを閉じるとともに接続口19a、19bを開き、シリンジポンプ20で吸引を行う。これにより、図中矢印で示すように、サンプル供給口であるポート7からマイクロチップ1内へサンプルを吸引することができる。
【0035】
次に、図示は省略するが、カム105a〜105cを180度回転位置とし、流路部分6aを開状態とする(ステップS107)。この場合は、流路部分6b、6cが開状態であっても、閉状態であってもよい。
【0036】
その状態で、反応場6dでの反応が開始される(ステップS108)。この場合、図7Dに示すように、三方弁14において接続口14a〜14cすべてを閉じ、また、三方弁17において接続口17a〜17cすべてを閉じ、また、三方弁19において接続口19a〜19cすべてを閉じておく。
【0037】
次に、所定の時間が経過して反応が終了した後(ステップS109)、図示は省略するが、カム105a〜105cを240度回転位置とし、流路部分6a、6cを開状態、流路部分6bを閉状態とする(ステップS110)。
【0038】
その状態で、マイクロチップ1内から反応後のサンプルを取り出す(ステップS111)。すなわち、図7Eに示すように、三方弁14において接続口14bを閉じるとともに接続口14a、14cを開き、また、三方弁17において接続口17a〜17cすべてを閉じ、また、三方弁19において接続口19bを閉じるとともに接続口19a、19cを開き、シリンジポンプ20で吐出を行う。これにより、図中矢印で示すように、マイクロチップ1内からサンプル排出口であるポート8を介して反応後のサンプルを取り出すことができる。
【0039】
以上述べたように、弾性部材からなるベースプレート3の微小流路6上の部位をピン2a〜2cにより押圧し、各流路部分6a〜6cの断面積を変化させて、各流路部分6a〜6cでの流体の流れ状態を制御することができる。これにより、マイクロチップに接続するバルブを最低限必要な数とするとともに、マイクロチップそのものへの加工を不要にして、簡素な構成でマイクロチップ内の微小流路での流体の流れ状態を制御することができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、微小流路6での流体の流れ状態の制御として、微小流路6の断面積を略ゼロとして閉状態とするか、全開放として開状態とする開閉バルブの機能を持たせるようにした例を説明したが、単に開閉を行うだけでなく、ピン2の押圧の程度を変えることにより微小流路6の断面積をより細かく変化させるようにして、流量や流速を調整するバルブの機能を持たせることも可能である。
【0041】
以上、本発明を実施形態とともに説明したが、本発明は実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば上記実施形態で説明したマイクロチップ1は一例に過ぎず、ベースプレート3及びカバープレート5のうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたものであれば、その材質や微小流路の配置等はどのようなものであってもかまわない。この場合に、上記実施形態ではベースプレート3を押圧するようにしたが、カバープレート5が弾性材料からなるものであれば、カバープレート5を押圧するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】マイクロチップとピンとの関係を示す図である。
【図2】本実施形態でのマイクロチップを示す平面図である。
【図3】マイクロチップにおける流体流れ制御装置の構成例を示す図である。
【図4】マイクロチップにおける流体流れ制御装置の構成例を示す図である。
【図5】マイクロチップにおける流体流れ制御装置の構成例を示す図である。
【図6】本実施形態における流体の流れ状態の制御について説明するためのフローチャートである。
【図7A】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図7B】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図7C】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図7D】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図7E】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図8】マイクロチップの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 マイクロチップ
2、2a〜c ピン
3 ベースプレート
4 溝(チャネル)
5 カバープレート
6 微小流路
101 モータ
102 ケーシング
103 カムシャフト
104 カップリング
105a〜105c カム
106u、106l 板バネ
107 スペーサ
108 シャフト
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチップ内の微小流路での流体の流れ状態を制御するマイクロチップにおける流体流れ制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、μ−TAS(Micro Total Analysis Systems)やLOC(Lab-on-a-chip)と称される、マイクロチップを用いた分析が注目されている。マイクロチップとは、図8に示すように、ガラスや樹脂からなるベースプレート801に微細加工技術を利用して微小な溝(チャネル)802を形成し、そのベースプレート801にカバープレート803を貼り合わせて微小流路804を構成したものである。この種のマイクロチップを用いた分析では、試薬・サンプル等の試料や廃液の微量化、反応の高速化や高精度化等が期待され、例えばDNAやRNAといった遺伝子断片の鎖長解析等への適用が可能である。
【0003】
ところで、マイクロチップを用いて分析を行うに際しては、微小流路804での流体の流れ状態を制御することが重要な課題の一つとされる。
【0004】
例えば、マイクロチップの外部に電磁弁等のバルブを設置し、そのバルブをマイクロチップ内の微小流路804に接続して、微小流路804での流体の流れ状態を制御することが行われている。
【0005】
また、特許文献1等には、マイクロチップ上にモータを設置するとともに、マイクロチップに穴を形成し、その穴から微小流路に弁体を内挿するバルブ機構を構成して、微小流路の断面積を可変とすることが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、マイクロチップ内への試料の導入や廃液の排出のためのバルブ以外に、微小流路804での流体の流れ状態を制御する目的でマイクロチップの外部にバルブを設置する場合、マイクロチップにバルブを接続するための配管が増えて、全体として大型化するだけでなく、試料や廃液の微量化、反応の高速化や高精度化等の妨げになってしまう。また、微小流路804には、バッファ液とともに固形試料(例えばマイクロビーズや細胞等の生体試料)を流通させることもあり、その場合、バルブの内部に固形試料が混入して、バルブの耐久性が損なわれやすくなってしまう。
【0008】
一方、特許文献1等にあるようにマイクロチップ自体にバルブを設ける場合、マイクロチップそのものへの加工等が必要となり、コストが高くなって、量産に適さなくなってしまう。
【0009】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、マイクロチップに接続するバルブを最低限必要な数とするとともに、マイクロチップそのものへの加工を不要にして、簡素な構成でマイクロチップ内の微小流路での流体の流れ状態を制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるマイクロチップにおける流体流れ制御装置は、微小な溝が形成されたベースプレートにカバープレートを貼り合わせて微小流路を構成するとともに、前記ベースプレート及び前記カバープレートのうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたマイクロチップにおける流体流れ制御装置であって、前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御する押圧部材を備えた点に特徴を有する。
本発明によるマイクロチップにおける流体流れ制御方法は、微小な溝が形成されたベースプレートにカバープレートを貼り合わせて微小流路を構成するとともに、前記ベースプレート及び前記カバープレートのうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたマイクロチップにおける流体流れ制御方法であって、前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧部材により押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧部材により押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御するようにしたので、マイクロチップに接続するバルブを最低限必要な数とするとともに、マイクロチップそのものへの加工を不要にして、簡素な構成でマイクロチップ内の微小流路での流体の流れ状態を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の特徴を最もよく表わす図であり、マイクロチップ1とピン2との関係を示す。本実施形態のマイクロチップ1は、図1(a)に示すように、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等の弾性材料からなるベースプレート3に微小な溝(チャネル)4を形成し(深さ200μm程度、幅400μm程度までの大きさ)、そのベースプレート3にガラスからなるカバープレート5を貼り合わせて微小流路6を構成したものである。
【0013】
そして、図1(b)に示すように、弾性材料からなるベースプレート3の一部、具体的には微小流路6上の部位をピン2の先端で押圧し、その部位を微小流路6側に弾性変形させて、微小流路6の断面積を変化させることにより、微小流路6での流体の流れ状態を制御する。このことから明らかなように、本発明でいう弾性材料とは、一部を押圧したときに、その部位を微小流路側に弾性変形させて微小流路の断面積を変化させることができる程度の弾性を有する材料を意味する。
【0014】
以下、本実施形態のマイクロチップにおける流体流れ制御装置及び方法について詳細に説明する。図2に示すように、マイクロチップ1の適所には、ベースプレート3を貫通するポート7、8、9、10が形成されている。そして、マイクロチップ1内には、ポート7、8間をつなぐとともに中間位置で反応場6dを構成する微小流路6と、反応場6dよりポート7側にて微小流路6をポート9につなぐ微小流路11と、反応場6dよりポート8側にて微小流路6をポート10につなぐ微小流路12とが構成されている。
【0015】
図2に示す例では、ポート7をサンプル供給口、ポート8をサンプル取出口とする。
【0016】
また、ポート9を外部配管13を介して三方弁14に接続する。三方弁14は、ポート9、バッファ15、三方弁19をつなぐ形で配設されたものであり、接続口14aがポート9に、接続口14bがバッファ15に、接続口14cが三方弁19に接続する。
【0017】
また、ポート10を外部配管16を介して三方弁17に接続する。三方弁17は、ポート10、バッファ18、三方弁19をつなぐ形で配設されたものであり、接続口17aがポート10に、接続口17bがバッファ18に、接続口17cが三方弁19に接続する。
【0018】
三方弁19は、三方弁14、三方弁17、シリンジポンプ20をつなぐ形で配設されたものであり、接続口19aがシリンジポンプ20に、接続口19bが三方弁17に、接続口19cが三方弁14に接続する。
【0019】
このようにしたマイクロチップ1では、微小流路6のうち反応場6dまで延びる流路部分(往路及び復路)6aと、微小流路6のうち微小流路11との接続位置より上流側(サンプル供給口であるポート7側)の流路部分6bと、微小流路6のうち微小流路12との接続位置より下流側(サンプル取出口であるポート8側)の流路部分6cとが平行に並ぶ箇所ができる。そして、その箇所において、流路部分(往路及び復路)6aでの流体の流れ状態と、流路部分6bでの流体の流れ状態と、流路部分6cでの流体の流れ状態とを、それぞれ図1で説明した原理により制御することにしている。
【0020】
図3〜5に、マイクロチップにおける流体流れ制御装置の構成例を示す。図3〜5に示すように、ケーシング102に取り付けられたモータ101の出力軸101aと、ケーシング102により回転可能に支持されたカムシャフト103とがカップリング104を介して同軸上に連結する。
【0021】
カムシャフト103には、3つのカム105a〜105cが所定の間隔をあけて連設される。詳しくは後述するが、カム105aの形状は、流路部分(往路及び復路)6aでの流体の流れを所定のタイミングで止めたり(閉状態)、許容したり(開状態)するように設計されている。また、カム105bの形状は、流路部分6bでの流体の流れを所定のタイミングで止めたり(閉状態)、許容したり(開状態)するように設計されている。また、カム105cの形状は、流路部分6cでの流体の流れを所定のタイミングで止めたり(閉状態)、許容したり(開状態)するように設計されている。
【0022】
カム105a〜105bの下方には、図5に示すように上下一対の板バネ106u、106lがそれぞれ配置される。上下一対の板バネ106u、106lは、それらの一端が支持されるとともに、それらの他端がちょうど各カム105a〜105cの下方に位置し、その位置で板バネ106u、106l間にスペーサ107が設けられている。
【0023】
また、ケーシング102内には3本のシャフト108が収容される。これらシャフト108の上端は下側の板バネ106lを貫通してスペーサ107にそれぞれ連結し、下端にはピン2a〜2cがそれぞれ連結する。各ピン2a〜2cは、ケーシング102の下部に形成されたガイド穴を介して進退可能となっている。
【0024】
ピン2a〜2cの先端部分には一対の傾斜面が形成されており、先端面が細長い矩形状となっている。すなわち、細長い矩形状をなす先端面がマイクロチップ1のベースプレート3に押圧されることになるが、その場合に、矩形状をなす先端面の長手方向が流路部分6a〜6cの幅方向に一致するようになっている。本実施形態では、流路部分6a用のピン2aが2本分の微小流路(往路及び復路)での流体流れを制御するので、その両側のピン2b、2cに比べて先端が幅広に加工されている。
【0025】
なお、本実施形態では、ピン2a〜2cの先端面が細長い矩形状となる例を説明したが、例えば図1に示すようにピン2の先端をテーパ状に加工し、先端面が小径の円状となるようにしてもよい。
【0026】
このようにしたマイクロチップにおける流体流れ制御装置では、モータ101が駆動してカムシャフト103が回転すると、カムシャフト103とともにカム105a〜105cが回転する。カム105a〜105cの回転に伴って各カム105a〜105cの円弧面R(図3(b)を参照)が上側の板バネ106uに接触すると、板バネ106u、106lが弾性変形して、シャフト108さらにはピン2a〜2cが下方に移動する。これによりピン2a〜2cの先端がマイクロチップ1のベースプレート3を押圧し、その部位を弾性変形させて、流路部分6a〜6cの断面積を略ゼロにすることにより、微小流路6の流路部分6a〜6cでの流体の流れが止められる(閉状態)。
【0027】
そして、カム105a〜105cの回転に伴って各カム105a〜105cの円弧面R以外の面が上側の板バネ106uから離れたときには、板バネ106u、106lが弾性復帰して、シャフト108さらにはピン2a〜2cが上方に移動する。これによりピン2a〜2cの先端がマイクロチップ1のベースプレート3から離れ、その部位が弾性復帰して、流路部分6a〜6cの断面積を元の断面積に戻すことにより、微小流路6の流路部分6a〜6cでの流体の流れが許容される(開状態)。
【0028】
次に、図6、7A〜7Eを参照して、本実施形態における流体の流れ状態の制御について説明する。
【0029】
まず、カム105a〜105cを図3に示す原点位置とし、流路部分6a〜6cをいずれも開状態とする(ステップS101)。
【0030】
その状態で、シリンジポンプ20内へバッファ15からバッファ液を導入する(ステップS102)。すなわち、図7Aに示すように、三方弁14において接続口14aを閉じるとともに接続口14b、14cを開き、また、三方弁17において接続口17a〜17cすべてを閉じ、また、三方弁19において接続口19bを閉じるとともに接続口19a、19cを開き、シリンジポンプ20で吸引を行う。これにより、図中矢印で示すように、シリンジポンプ20内へバッファ15からバッファ液を導入することができる。なお、バッファ液は、サンプルがシリンジポンプ20等に直接触れることがないようにするためのキャリア用の液体として使用されるものである。
【0031】
次に、カム105a〜105cを図4に示す60度回転位置とし、流路部分6aを開状態、流路部分6b、6cを閉状態とする(ステップS103)。
【0032】
その状態で、マイクロチップ1内へバッファ液を充填する(ステップS104)。すなわち、図7Bに示すように、三方弁14において接続口14bを閉じるとともに接続口14a、14cを開き、また、三方弁17において接続口17cを閉じるとともに接続口17a、17bを開き、また、三方弁19において接続口19bを閉じるとともに接続口19a、19cを開き、シリンダポンプ20内のバッファ液を吐出する。これにより、図中矢印で示すように、マイクロチップ1内へバッファ液を充填することができる。
【0033】
次に、図示は省略するが、カム105a〜105cを120度回転位置とし、流路部分6a、6bを開状態、流路部分6cを閉状態とする(ステップS105)。
【0034】
その状態で、マイクロチップ1内へサンプルを吸引する(ステップS106)。すなわち、図7Cに示すように、三方弁14において接続口14a〜14cすべてを閉じ、また、三方弁17において接続口17bを閉じるとともに接続口17a、17cを開き、また、三方弁19において接続口19cを閉じるとともに接続口19a、19bを開き、シリンジポンプ20で吸引を行う。これにより、図中矢印で示すように、サンプル供給口であるポート7からマイクロチップ1内へサンプルを吸引することができる。
【0035】
次に、図示は省略するが、カム105a〜105cを180度回転位置とし、流路部分6aを開状態とする(ステップS107)。この場合は、流路部分6b、6cが開状態であっても、閉状態であってもよい。
【0036】
その状態で、反応場6dでの反応が開始される(ステップS108)。この場合、図7Dに示すように、三方弁14において接続口14a〜14cすべてを閉じ、また、三方弁17において接続口17a〜17cすべてを閉じ、また、三方弁19において接続口19a〜19cすべてを閉じておく。
【0037】
次に、所定の時間が経過して反応が終了した後(ステップS109)、図示は省略するが、カム105a〜105cを240度回転位置とし、流路部分6a、6cを開状態、流路部分6bを閉状態とする(ステップS110)。
【0038】
その状態で、マイクロチップ1内から反応後のサンプルを取り出す(ステップS111)。すなわち、図7Eに示すように、三方弁14において接続口14bを閉じるとともに接続口14a、14cを開き、また、三方弁17において接続口17a〜17cすべてを閉じ、また、三方弁19において接続口19bを閉じるとともに接続口19a、19cを開き、シリンジポンプ20で吐出を行う。これにより、図中矢印で示すように、マイクロチップ1内からサンプル排出口であるポート8を介して反応後のサンプルを取り出すことができる。
【0039】
以上述べたように、弾性部材からなるベースプレート3の微小流路6上の部位をピン2a〜2cにより押圧し、各流路部分6a〜6cの断面積を変化させて、各流路部分6a〜6cでの流体の流れ状態を制御することができる。これにより、マイクロチップに接続するバルブを最低限必要な数とするとともに、マイクロチップそのものへの加工を不要にして、簡素な構成でマイクロチップ内の微小流路での流体の流れ状態を制御することができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、微小流路6での流体の流れ状態の制御として、微小流路6の断面積を略ゼロとして閉状態とするか、全開放として開状態とする開閉バルブの機能を持たせるようにした例を説明したが、単に開閉を行うだけでなく、ピン2の押圧の程度を変えることにより微小流路6の断面積をより細かく変化させるようにして、流量や流速を調整するバルブの機能を持たせることも可能である。
【0041】
以上、本発明を実施形態とともに説明したが、本発明は実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば上記実施形態で説明したマイクロチップ1は一例に過ぎず、ベースプレート3及びカバープレート5のうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたものであれば、その材質や微小流路の配置等はどのようなものであってもかまわない。この場合に、上記実施形態ではベースプレート3を押圧するようにしたが、カバープレート5が弾性材料からなるものであれば、カバープレート5を押圧するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】マイクロチップとピンとの関係を示す図である。
【図2】本実施形態でのマイクロチップを示す平面図である。
【図3】マイクロチップにおける流体流れ制御装置の構成例を示す図である。
【図4】マイクロチップにおける流体流れ制御装置の構成例を示す図である。
【図5】マイクロチップにおける流体流れ制御装置の構成例を示す図である。
【図6】本実施形態における流体の流れ状態の制御について説明するためのフローチャートである。
【図7A】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図7B】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図7C】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図7D】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図7E】本実施形態における流体の流れ状態の制御の一手順を説明するための図である。
【図8】マイクロチップの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 マイクロチップ
2、2a〜c ピン
3 ベースプレート
4 溝(チャネル)
5 カバープレート
6 微小流路
101 モータ
102 ケーシング
103 カムシャフト
104 カップリング
105a〜105c カム
106u、106l 板バネ
107 スペーサ
108 シャフト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小な溝が形成されたベースプレートにカバープレートを貼り合わせて微小流路を構成するとともに、前記ベースプレート及び前記カバープレートのうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたマイクロチップにおける流体流れ制御装置であって、
前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御する押圧部材を備えたことを特徴とするマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項2】
前記押圧部材はピンであり、前記ピンの先端で前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートを押圧することを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項3】
前記押圧部材を前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートに押圧したり、離したりする駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、カムと、前記カムを回転させるための駆動源とを含み、前記カムの回転により前記押圧部材を進退させて、前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートに押圧したり、離したりすることを特徴とする請求項3に記載のマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項5】
一つの駆動源により複数のカムを回転させる構成とし、各カムの回転により複数の押圧部材をそれぞれのタイミングで進退させることを特徴とする請求項4に記載のマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項6】
微小な溝が形成されたベースプレートにカバープレートを貼り合わせて微小流路を構成するとともに、前記ベースプレート及び前記カバープレートのうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたマイクロチップにおける流体流れ制御方法であって、
前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧部材により押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御することを特徴とするマイクロチップにおける流体流れ制御方法。
【請求項1】
微小な溝が形成されたベースプレートにカバープレートを貼り合わせて微小流路を構成するとともに、前記ベースプレート及び前記カバープレートのうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたマイクロチップにおける流体流れ制御装置であって、
前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御する押圧部材を備えたことを特徴とするマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項2】
前記押圧部材はピンであり、前記ピンの先端で前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートを押圧することを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項3】
前記押圧部材を前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートに押圧したり、離したりする駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、カムと、前記カムを回転させるための駆動源とを含み、前記カムの回転により前記押圧部材を進退させて、前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートに押圧したり、離したりすることを特徴とする請求項3に記載のマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項5】
一つの駆動源により複数のカムを回転させる構成とし、各カムの回転により複数の押圧部材をそれぞれのタイミングで進退させることを特徴とする請求項4に記載のマイクロチップにおける流体流れ制御装置。
【請求項6】
微小な溝が形成されたベースプレートにカバープレートを貼り合わせて微小流路を構成するとともに、前記ベースプレート及び前記カバープレートのうち少なくともいずれか一方を弾性材料としたマイクロチップにおける流体流れ制御方法であって、
前記弾性部材からなるベースプレート或いはカバープレートの一部を押圧部材により押圧し、前記微小流路の断面積を変化させて、当該微小流路での流体の流れ状態を制御することを特徴とするマイクロチップにおける流体流れ制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【公開番号】特開2006−326482(P2006−326482A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153163(P2005−153163)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】
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