説明

マイクロバブル生成方法及びマイクロバブル生成装置

【課題】大気に開放されていない液体保持容器内の液体中にマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成部より下流側の構成形態に拘らず、マイクロバブルの生成効率の低下を防止することができるマイクロバブル生成方法及びマイクロバブル生成装置を提供する。
【解決手段】マイクロバブル生成装置1は、減圧手段14を備え、減圧手段14は、導管4と戻し管6との間に配置されたバイパス管15と、バイパス管15に設けられたバイパス管15を流れる液体の流量を調整するための流量制御弁16とを備える。バイパス管15は、一端が流量制御弁8の下流側において導管4に、他端が流量制御弁9の上流側において戻し管6に連通しており、バイパス管15を流れる液体が導管を流れる液体保持容器2からの液体に合流し、導管4を流れる液体の流速が速くなり、液体保持容器2内の圧力が下がり、生成領域Rの圧力が下がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブル生成方法及びマイクロバブル生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロバブルは、産業洗浄、水質浄化、魚介類の養殖、水耕栽培、船底の流体抵抗の低減等、広い分野で利用されている。マイクロバブルは、マイクロバブル生成装置により生成される。マイクロバブル生成装置は一般に、供給される液体と気体から噴出する液体中にマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成部と、マイクロバブル生成部が取り付けられた液体を収容する容器とを備え、マイクロバブル生成部により、容器内の液体中にマイクロバブルが形成される(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
従来のマイクロバブル生成装置として、マイクロバブル生成部と、マイクロバブル生成部が取り付けられた大気に開放されていない液体保持容器と、液体保持容器に連通する導管とを有するマイクロバブル生成装置がある。液体保持容器にはバッファタンクや配管チューブがある。このマイクロバブル生成装置においては、マイクロバブル生成部によって液体保持容器の液体中にマイクロバブルが生成され、生成されたマイクロバブルが導管を介して外部に導かれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】柘植秀樹監修「マイクロバブル・ナノバブルの最新技術」シーエムシー出版、2007年9月5日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようなマイクロバブル生成装置においては、導管が長い場合や導管が細い場合、または、導管等のマイクロバブル生成部より下流の配管にフィルター等が設けられている場合、マイクロバブルの生成効率が低下するという問題があった。
【0006】
このように、マイクロバブル生成部が取り付けられた大気に開放されていない液体保持容器を備えるマイクロバブル生成装置においては、マイクロバブル生成部より下流側、特に液体保持容器より下流側の構成形態により、マイクロバブルの生成効率が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、マイクロバブル生成部が大気に開放されていない液体保持容器内の液体中にマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成方法及びマイクロバブル生成装置において、マイクロバブル生成部より下流側の構成形態に拘らず、マイクロバブルの生成効率の低下を防止することができるマイクロバブル生成方法及びマイクロバブル生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るマイクロバブル生成方法は、導管に連通する大気に開放されていない液体保持容器内の液体中にマイクロバブル生成部によってマイクロバブルを生成して前記導管を介して前記生成したマイクロバブルを導出するマイクロバブル生成方法であって、前記液体中において、前記マイクロバブル生成部によってマイクロバブルが生成される生成領域の圧力が不適切に高くなった場合に前記生成領域の圧力を下げて適切な圧力に調整することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記導管における前記液体保持容器からの液体の流れに他の液体の流れを合流させることにより、前記生成領域の圧力を下げる。
【0010】
より好ましくは、マイクロバブルの生成状況に応じて前記他の液体の流れの流量を制御する。
【0011】
また、好ましくは、吸引ポンプによって前記導管を介して前記液体保持容器内の液体を吸引することにより、前記生成領域の圧力を下げる。
【0012】
より好ましくは、マイクロバブルの生成状況に応じて前記吸引する液体の流量を制御する。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係るマイクロバブル生成装置は、大気に開放されていない液体を保持する液体保持容器と、前記液体保持容器内の液体中にマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成部と、前記液体保持容器に連通し前記生成されたマイクロバブルを前記液体保持容器から導出する導管とを備えるマイクロバブル生成装置において、前記液体中において、前記マイクロバブル生成部によってマイクロバブルが生成される生成領域の圧力が不適切に高くなった場合に前記生成領域の圧力を下げて適切な圧力に調整する減圧手段を備えることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記減圧手段は、前記導管における前記液体保持容器からの液体の流れに他の液体の流れを合流させる、前記導管に連通するバイパス管である。
【0015】
より好ましくは、マイクロバブルの生成状況に応じて前記他の液体の流れの流量を制御するための流量制御弁を前記バイパス管に備える。
【0016】
また、好ましくは、前記減圧手段は、前記導管に接続された吸引ポンプである。
【0017】
より好ましくは、マイクロバブルの生成状況に応じて前記ポンプの前記吸引する液体の流量を制御するための吸込み流量制御装置を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るマイクロバブル生成方法によれば、液体保持容器内の液体中において、マイクロバブル生成部によってマイクロバブルが生成される生成領域の圧力が不適切に高くなった場合に、生成領域の圧力を下げて適切な圧力に調整することができるので、マイクロバブル生成部より下流側の装置の構成形態に拘らず、マイクロバブルの生成領域の圧力を適切な圧力に調整することができ、マイクロバブルの生成効率が低下することを防止することができる。
【0019】
また、本発明に係るマイクロバブル生成方法によれば、導管における液体保持容器からの液体の流れに他の液体の流れを合流させることにより、導管における液体の流速を速め、アスピレータと同様の効果により下流側のマイクロバブルの生成領域の圧力を下げるので、マイクロバブルの生成領域の圧力をより適確に適切な圧力に調整することができ、マイクロバブルの生成効率が低下することをより効果的に防止することができる。
【0020】
また、本発明に係るマイクロバブル生成方法によれば、導管に合流する他の液体の流れの流量をマイクロバブルの生成状況に応じて制御するので、マイクロバブルの生成状況に応じて、より適切にマイクロバブルの生成効率の低下を防止することができる。
【0021】
また、本発明に係るマイクロバブル生成方法によれば、吸引ポンプによって導管を介して液体保持容器内の液体を吸引することにより、マイクロバブルの生成領域の圧力を下げるので、マイクロバブルの生成領域の圧力をより適切に適切な圧力に調整することができ、マイクロバブルの生成効率が低下することをより効果的に防止することができる。
【0022】
また、本発明に係るマイクロバブル生成方法によれば、マイクロバブルの生成状況に応じて吸引する液体の流量を制御するので、マイクロバブルの生成状況に応じて、より適切にマイクロバブルの生成効率の低下を防止することができる。
【0023】
本発明に係るマイクロバブル生成装置によれば、減圧手段により、液体保持容器内の液体中において、マイクロバブル生成部によってマイクロバブルが生成される生成領域の圧力が不適切に高くなった場合に、生成領域の圧力を下げて適切な圧力に調整することができるので、マイクロバブル生成部より下流側の構成形態に拘らず、マイクロバブルの生成領域の圧力を適切な圧力に調整することができ、マイクロバブルの生成効率が低下することを防止することができる。
【0024】
また、本発明に係るマイクロバブル生成装置によれば、上記減圧手段が導管に連通するバイパス管であるので、導管における液体保持容器からの液体の流れに他の液体の流れを合流させることができ、導管における液体の流速を速め、アスピレータと同様の効果により下流側のマイクロバブルの生成領域の圧力を下げるので、マイクロバブルの生成領域の圧力をより適確に適切な圧力に調整することができ、マイクロバブルの生成効率が低下することをより効果的に防止することができる。
【0025】
また、本発明に係るマイクロバブル生成装置によれば、流量制御弁により導管に合流する他の液体の流れの流量をマイクロバブルの生成状況に応じて制御することができるので、マイクロバブルの生成状況に応じて、より適切にマイクロバブルの生成効率の低下を防止することができる。
【0026】
また、本発明に係るマイクロバブル生成装置によれば、上記減圧手段が、導管に接続された吸引ポンプであるので、マイクロバブルの生成領域の圧力をより適確に適切な圧力に調整することができ、マイクロバブルの生成効率が低下することをより効果的に防止することができる。
【0027】
また、本発明に係るマイクロバブル生成装置によれば、吸込み流量制御装置により、マイクロバブルの生成状況に応じて吸引する液体の流量を制御することができるので、マイクロバブルの生成状況に応じて、より適切にマイクロバブルの生成効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のマイクロバブル生成装置の変形例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。
【図4】図3のマイクロバブル生成装置の変形例を示す図である。
【図5】比較例2のマイクロバブル生成装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、特に、マイクロバブル生成部が取り付けられた大気に開放されていない液体を保持する液体保持容器を有するマイクロバブル生成装置において、マイクロバブル生成部より下流側の構成態様に拘らず、液体保持容器内の液体中において、マイクロバブル生成部によってマイクロバブルが生成される生成領域の圧力を下げることにより、具体的には、不適切に高くなった生成領域の圧力を下げて適切な圧力に調整することにより、マイクロバブルの生成効率が低下することを防止することができ、マイクロバブルの生成効率を向上させることができることを見出した。本発明は、上記研究の結果に基づいてなされたものである。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1の概略構成を示す図である。
【0032】
図1に示すように、マイクロバブル生成装置1は、大気に開放されていない中空円柱状の液体保持容器2と、液体保持容器2内にマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成部3と、生成したマイクロバブルを任意の目的に使用するための槽5と、液体保持容器2と槽5との間に設けられており、液体保持容器2及び槽5に連通する導管4と、マイクロバブル生成部3と槽5との間に設けられており、マイクロバブル生成部3及び槽5に連通する戻し管6と、戻し管6の途中に設けられた図示しない駆動装置に接続されたポンプ7とを備える。
【0033】
槽5には液体L、例えば水が収容されており、マイクロバブル生成装置1の作動状態において、ポンプ7により、槽5内の液体Lは、槽5、戻し管6、マイクロバブル生成部3、液体保持容器2、導管4、及び槽5へと順次搬送されて循環される。また、液体保持容器2内は、循環される液体Lによって満たされ、マイクロバブル生成部3は、液体保持容器2内の液体L中にマイクロバブルを生成する。液体保持容器2内において液体Lに生成されたマイクロバブルが含有され、マイクロバブルを含有する液体Lが上述のように循環して槽5に搬送される。
【0034】
マイクロバブル生成装置1において、生成されたマイクロバブルは、例えばシリコンウエハの洗浄に使用される。この場合、槽5は洗浄槽を構成し、槽5内に供給されたマイクロバブルを含有する液体L内にシリコンウエハを浸漬させることにより、シリコンウエハの洗浄が行われる。
【0035】
また、マイクロバブル生成装置1は、導管4の途中及び戻し管6の途中に流量を制御するための流量制御弁8,9を夫々備える。
【0036】
マイクロバブル生成部3には、液体及び気体を夫々供給するための液体供給管10及び気体供給管11が接続されており、液体供給管10及び気体供給管11には任意の液体及び気体を供給するための液体供給装置12及び気体供給装置13が夫々接続されている。マイクロバブル生成部3は、供給される液体と共に、直径がμmオーダーの微小な気泡を噴出する。マイクロバブル生成部3は、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴うものが好ましく、例えば、旋回液流式、スタティックミキサ式、エジェクタ式、キャビテーション式、ベンチュリ式、遠心ポンプと旋回流式マイクロバブル発生器の組み合わせ、加圧溶解式のマイクロバブル発生法を利用するものが好ましい。マイクロバブル生成装置1において、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴う場合、ポンプ7の圧送力に加えてマイクロバブル生成部3の噴射力により、効率良く槽5にマイクロバブルを搬送することができ、また、槽5にマイクロバブルを搬送するための追加の搬送装置等を省略することができるからである。但し、マイクロバブル生成部3は、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴わない、液体が静止しているものであってもよい。この場合、マイクロバブル生成装置1において、マイクロバブルを含有する液体Lを槽5に搬送するための搬送装置が必要になる。このような、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴わない、液体が静止しているマイクロバブル生成部3としては、細孔式、回転式、超音波式、蒸気凝縮式、電気分解式のマイクロバブル生成法を利用するものがある。
【0037】
また、マイクロバブル生成装置1は、減圧手段14を備える。減圧手段14は、導管4と戻し管6との間に配置されたバイパス管15と、バイパス管15に設けられたバイパス管15を流れる液体の流量を調整するための流量制御弁16とを備える。バイパス管15は、一端が流量制御弁8の下流側において導管4に、他端が流量制御弁9の上流側において戻し管6に連通しており、ポンプ7によって槽5からマイクロバブル生成部6に戻される液体Lを導管4にバイパスする。
【0038】
次いで上記構成を有するマイクロバブル生成装置1の作用を説明する。
【0039】
マイクロバブル生成装置1が作動を開始すると、気体供給装置13並びにポンプ7が駆動され、液体供給管10及び気体供給管11を介して所定の流量の液体及び気体が夫々マイクロバブル生成部3に供給され、液体保持容器2内の液体中にマイクロバブルが生成され、マイクロバブルを含有する液体Lが槽5内に搬送される。通常始動時はバイパス管15に設けられた流量制御弁16は閉じられており、導管4及び戻し管6に夫々設けられた流量制御弁8,9が開放され、液体Lは、マイクロバブル生成部3、導管4、槽5、戻し管6、及びマイクロバブル生成部3からなる循環路を循環する。
【0040】
本実施の形態のように、大気に開放されていない液体保持容器を有するマイクロバブル生成装置においては、マイクロバブル生成部3の下流側の構成形態、特に、液体保持容器2の下流側の構成形態に応じて、液体保持容器2内の液体中においてマイクロバブルが生成される生成領域Rにおける圧力が上昇し、生成されたマイクロバブルが他のマイクロバブルと合体して、マイクロバブルではない大きなバブルが形成されてしまい、マイクロバブルの生成効率が低下する場合がある。具体的には、導管4の管径が細い場合や導管4にフィルタが設けられている場合、これらの背圧がかかり、生成領域Rの圧力が高くなる。また、マイクロバブル生成部3から噴出されるマイクロバブルを含む液体の流量又は液圧と、導管4又は戻し管6内の液体の流量又は液圧との関係から、生成領域R内の圧力が高くなり、マイクロバブルの生成効率が低下する場合がある。
【0041】
上述のように、マイクロバブル生成部3のマイクロバブル生成効率が低下した場合、減圧装置14が使用され、バイパス管15に設けられた流量制御弁16が開放され、上記循環路を循環する液体Lの一部がバイパス管15を流れ、戻し管6から導管4に液体がバイパスされる。上記循環路を循環する液体Lの一部がバイパス管15を流れることにより、バイパス管15を流れる液体が導管を流れる液体保持容器2からの液体に合流し、導管4を流れる液体の流速が速くなり、アスピレータにおける効果と同様の効果により、導管4内の圧力が下がり、液体保持容器2内の圧力が下がり、生成領域Rの圧力が下がる。これにより、マイクロバブルの生成領域Rにおいて生成されたマイクロバブルの合体が抑制又は防止され、マイクロバブルがより大きなバブルとなることが抑制又は防止され、マイクロバブルの生成効率の低下が抑制又は防止される。
【0042】
マイクロバブル生成装置1において、マイクロバブルの生成効率の低下をより効果的に抑制又は防止するために、バイパス管15、導管4、及び戻し管6における液体の流量が相関を持って制御される。つまり、流量制御弁8,9,16が夫々相関を持って制御される。また、流量制御弁8,9,16の制御の際、液体供給装置12や気体供給装置13からマイクロバブル生成部3への液体や気体の供給量も考慮される。つまり、マイクロバブルの生成効率の低下をより効果的に抑制又は防止するために、導管4、戻し管6、及びバイパス管15における液体Lの流量、並びにマイクロバブル生成部3への液体や気体の供給量が互いに制御される。
【0043】
導管4及び戻し管6における液体の流量、液体供給装置12や気体供給装置13からの液体又は気体の供給量、及びバイパス管15における液体の流量バランスは、液体の種類、気体の種類、マイクロバブル生成部3の種類、液体保持容器2の形状・サイズ、配管4,6,15の太さ・長さ・形状、その他の条件で最適値が異なる。
【0044】
上述のように、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1によれば、マイクロバブル生成部3の下流側の構成形態やマイクロバブル生成装置1の運転状況に応じて、マイクロバブルの生成効率が低下した場合、バイパス管15を開放して導管4を流れる液体保持容器2からの液体にバイパス管15からの液体の流れを合流させ、導管4における液体の流速を増加させ、導管4における液体Lの液圧を低減し、液体保持容器2の生成領域Rにおける液体の圧力を低下させることができ、生成されたマイクロバブルの合体によるマイクロバブルの生成効率の低下を抑制又は防止することができる。
【0045】
また、この際、流量制御弁8,9,16、液体供給装置12、及び気体供給装置13の制御により、導管4、戻し管6、バイパス管15、及び液体供給装置12の液体の流量や、気体供給装置13の気体の流量が所定の値に互いに制御され、マイクロバブルの生成効率の低下をより効果的に抑制又は防止することができる。
【0046】
尚、本実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1は、上記構成に限るものではなく、他の構成であってもよい。例えば、液体保持装置2の形状は中空円柱状に限らず、他の形状であってもよい。また、配管構造は上記構造に限るものではない。
【0047】
また、液体や気体の流量を所定の値に制御するために、マイクロバブル生成装置1は、流量制御弁8,9,16の開放量や、液体供給装置12のマイクロバブル生成部3への液体の供給流量や気体供給装置13のマイクロバブル生成部3への気体の供給流量を調整制御する制御装置を有していてもよい。
【0048】
また、上述のように、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1は、戻し管6を有しており、循環型のマイクロバブル生成装置であるが、図2に示すように、循環型ではない、液体を送り続けて液体を循環させない所謂ワンパスのマイクロバブル生成装置1´であってもよい。図2のマイクロバブル生成装置1´においては、図1のマイクロバブル生成装置1とは異なり、戻し管6及びポンプ7が設けられておらず、バイパス管15には液体供給管10を介して液体供給装置12が接続されている。また、マイクロバブル生成部3には液体供給装置12からのみ液体が供給される。尚、図2において、槽5、流量制御弁8,9,16、気体供給管11、及び気体供給装置13の図示は省略されている。
【0049】
次いで、本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置について説明する。
【0050】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置20における減圧装置21の概略構成を示す図である。
【0051】
本実施の形態に係るマイクロバブル生成装置20は、図3に示すように、第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1に対して、減圧装置の構成のみが異なり、他の構成は同一である。以下に、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる構成のみを説明する。
【0052】
マイクロバブル生成装置20は、図1のマイクロバブル生成装置1の減圧装置10に代えて減圧装置21を備える。減圧装置21は、導管4に設けられた減圧ポンプ22を備える。また、マイクロバブル生成装置20は、減圧ポンプ22の吸引する液体の流量を制御するための吸込み流量制御装置23を有している。
【0053】
本実施の形態に係るマイクロバブル生成装置20においては、減圧ポンプ22が導管4を介して液体保持容器2内の液圧を低下させ、生成領域Rの圧力を低下させる。これにより、上記本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1と同様に、マイクロバブルの生成効率の低下を抑制又は防止することができる。
【0054】
また、本実施の形態に係るマイクロバブル生成装置20においては、流量制御バルブ8,9及び液体供給装置12からのマイクロバブル生成部3への液体の供給量や、気体供給装置13からのマイクロバブル生成部3への気体の供給量と共に、吸込み流量制御装置23によって減圧ポンプ22の吸込み流量が所定の値に制御され、導管4、戻し管6、及びマイクロバブル生成部3の液体の流量やマイクロバブル生成部3への気体の流量が所定の値に互いに制御され、マイクロバブルの生成効率の低下をより効果的に抑制又は防止することができる。
【0055】
導管4及び戻し管6における液体の流量、液体供給装置12や気体供給装置13からの液体又は気体の供給量、及び減圧ポンプ22の吸引バランスは、液体の種類、気体の種類、マイクロバブル生成部3の種類、液体保持容器2の形状・サイズ、配管4,6,15の太さ・長さ・形状、その他の条件で最適値が異なる。
【0056】
上述のように、本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置20は、戻し管6を有しており、循環型のマイクロバブル生成装置であるが、図4に示すように、循環型ではない、液体を送り続けて液体を循環させない所謂ワンパスのマイクロバブル生成装置20´であってもよい。図4のマイクロバブル生成装置20´においては、図3のマイクロバブル生成装置20とは異なり、戻し管6及びポンプ7が設けられておらず、マイクロバブル生成部3には液体供給装置12からのみ液体が供給される。尚、図3において、槽5、流量制御弁8,9、気体供給管11、及び気体供給装置13の図示は省略されている。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0058】
まず、図1のマイクロバブル生成装置1により、液体Lとして液量160Lの水道水を用いて、マイクロバブルの生成を行った(実施例1及び比較例1)。
【0059】
実施例1においては、バイパス管15に設けられた流量制御弁16を半開にし、導管4及び戻し管6に夫々設けられた流量制御弁8,9を全開にして、つまり、バイパス管11を開放してマイクロバブルの生成を行った。実施例1において、導管4においてバイパス管15の接合部の下流側及び戻し管6に夫々設けられた液流量計による測定値M1,M2は夫々、M1:19L/minであり、M2:8L/minであった。また、マイクロバブル生成部3へ供給される空気の流量は0.5L/minとした。
【0060】
また、比較例1においては、バイパス管15に設けられた流量制御弁16を全閉にし、導管4及び戻し管6に夫々設けられた流量制御弁8,9を全開にして、つまり、バイパス管15を閉鎖してマイクロバブルの生成を行った。比較例1において、導管4及び戻し管6に夫々設けられた液流量計による測定値M1,M2は夫々、M1:13L/minであり、M2:13L/minであった。また、マイクロバブル生成部3へ供給される空気の流量は実施例1と同様に0.5L/minとし、ポンプ7への供給電力、つまり無負荷時におけるポンプ7の出力も実施例1と同じにした。
【0061】
実施例1及び比較例1において、マイクロバブル生成装置1の始動から10分後に、槽5におけるマイクロバブルの生成状況を目視により確認した。
【0062】
実施例1においては、マイクロバブルの生成効率が良く、槽5内の液体Lはマイクロバブルを多く含み不透明であった。一方、比較例1においては、マイクロバブルが合体して大きな気泡が生成され、マイクロバブルの生成効率は低く、槽5内の液体Lは透明のままであった。
【0063】
このように、実施例1においては、比較例1よりもマイクロバブルの生成効率が高く、本発明の第1の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置1によれば、マイクロバブルの生成効率の低下を防止でき、マイクロバブルの生成効率が低い場合に、バイパス管11を開放することによりマイクロバブルの生成効率を向上させることができることが分かった。
【0064】
また、図3のマイクロバブル生成装置20を用いて、マイクロバブルの生成を行った(実施例2)。実施例2においては、実施例1と同様に、液体Lとして液量160Lの水道水を用い、導管4及び戻し管6に夫々設けられた流量制御弁8,9を全開にした。導管4及び戻し管6に夫々設けられた液流量計による測定値M1,M2は夫々、M1:8L/minであり、M2:8L/minであった。また、マイクロバブル生成部3へ供給される空気の流量は0.5L/minとした。
【0065】
一方、図5に示すように、マイクロバブル生成装置20から減圧装置21を取り外した構成のマイクロバブル生成装置30を用いてマイクロバブルの生成を行った。比較例2においては、実施例2と同様に、液体Lとして液量160Lの水道水を用い、導管4及び戻し管6に夫々設けられた流量制御弁8,9を全開にした。ポンプ7への供給電力は、つまり、無負荷時におけるポンプ7の出力は、実施例2と同じにした。また、マイクロバブル生成部3へ供給される空気の流量は0.5L/minとした。
【0066】
実施例2及び比較例2において、マイクロバブル生成装置20,30の始動から10分後に、槽5におけるマイクロバブルの生成状況を目視により確認した。
【0067】
実施例2において、マイクロバブルの生成効率が良く、槽5内の液体Lはマイクロバブルを多く含み不透明であった。一方、比較例2においては、マイクロバブルが合体して大きな気泡が生成され、マイクロバブルの生成効率は低く、槽5内の液体Lは透明のままであった。
【0068】
このように、実施例2においては、比較例2よりもマイクロバブルの生成効率が高く、本発明の第2の実施の形態に係るマイクロバブル生成装置20によれば、マイクロバブルの生成効率の低下を防止でき、マイクロバブルの生成効率が低い場合に、減圧ポンプ22を駆動することによりマイクロバブルの生成効率を向上させることができることが分かった。
【符号の説明】
【0069】
1 1´,20,20´,30 マイクロバブル生成装置
2 液体保持容器
3 マイクロバブル生成部
4 導管
5 槽
6 戻し管
7 ポンプ
8,9,16 流量制御弁
10 液体供給管
11 気体供給管
12 液体供給装置
13 気体供給装置
14,21 減圧装置
15 バイパス管
22 減圧ポンプ
23 吸込み流量制御装置
R マイクロバブル生成領域
L 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管に連通する大気に開放されていない液体保持容器内の液体中にマイクロバブル生成部によってマイクロバブルを生成して前記導管を介して前記生成したマイクロバブルを導出するマイクロバブル生成方法であって、
前記液体中において、前記マイクロバブル生成部によってマイクロバブルが生成される生成領域の圧力が不適切に高くなった場合に前記生成領域の圧力を下げて適切な圧力に調整することを特徴とするマイクロバブル生成方法。
【請求項2】
前記導管における前記液体保持容器からの液体の流れに他の液体の流を合流させることにより、前記生成領域の圧力を下げることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブル生成方法。
【請求項3】
マイクロバブルの生成状況に応じて前記他の液体の流れの流量を制御することを特徴とする請求項2記載のマイクロバブル生成方法。
【請求項4】
吸引ポンプによって前記導管を介して前記液体保持容器内の液体を吸引することにより、前記生成領域の圧力を下げることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブル生成方法。
【請求項5】
マイクロバブルの生成状況に応じて前記吸引する液体の流量を制御することを特徴とする請求項4記載のマイクロバブル生成方法。
【請求項6】
大気に開放されていない液体を保持する液体保持容器と、前記液体保持容器内の液体中にマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成部と、前記液体保持容器に連通し前記生成されたマイクロバブルを前記液体保持容器から導出する導管とを備えるマイクロバブル生成装置において、
前記液体中において、前記マイクロバブル生成部によってマイクロバブルが生成される生成領域の圧力が不適切に高くなった場合に前記生成領域の圧力を下げて適切な圧力に調整する減圧手段を備えることを特徴とするマイクロバブル生成装置。
【請求項7】
前記減圧手段は、前記導管における前記液体保持容器からの液体の流れに他の液体の流れを合流させる、前記導管に連通するバイパス管であることを特徴とする請求項6記載のマイクロバブル生成装置。
【請求項8】
マイクロバブルの生成状況に応じて前記他の液体の流れの流量を制御するための流量制御弁を前記バイパス管に備えることを特徴とする請求項7記載のマイクロバブル生成装置。
【請求項9】
前記減圧手段は、前記導管に接続された吸引ポンプであることを特徴とする請求項6記載のマイクロバブル生成装置。
【請求項10】
マイクロバブルの生成状況に応じて前記ポンプの前記吸引する液体の流量を制御するための吸込み流量制御装置を備えることを特徴とする請求項9記載のマイクロバブル生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−78858(P2011−78858A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230655(P2009−230655)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】