説明

マイクロパターンの成形方法、ダイ構造、マイクロパターンを有する物品

【課題】 有価証券又は銀行券に導入できるようなセキュリティ要素を提供する。
【解決手段】 本発明の有色又は無色のマイクロパターンを支持部材に形成する方法は、(a)ダイ構造40を準備するステップと、前記ダイ構造の表面は、所望のマイクロパターンの形態で山部42と谷部44の配列を示し、(b)前記谷部44を、有色又は無色の硬化可能なラッカー層26で充填するステップと、(c)前記支持フォイル20,30を、前記ラッカー層26を良好に留めるために、前処理するステップと、(d)前記ダイ構造の表面を、前記支持フォイル20,30と接触させるステップと、(e)前記支持部材と接触したラッカー層26を硬化し、前記支持フォイル20,30に結合させるステップと、(f)前記ダイ構造の表面を前記支持フォイル20,30から離すステップと、その結果、前記支持部材と結合した硬化したラッカー層26をダイ構造の谷部40から切り離す、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロパターンを支持部材(支持フォイル)に形成する方法に関し、特にマイクロ光学パターンを有するセキュリティ要素の製造、特にマイクロモアレ拡大配列を製造するのに用いられる方法に関する。本発明は、更に、この様なマイクロパターンを形成するダイ構造、特にこれらの方法で製造したマイクロパターンを有するデータ・キャリア又はセキュリティ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
データ・キャリア(例、有価証券、認証証券、他の有価商品、ブランド商品)を保護するために、データ・キャリアは、セキュリティ要素を具備する。このセキュリティ要素により、データ・キャリアの認証が確認され、同時に模造品対策が提供できる。このセキュリティ要素は、銀行券とホールを有する銀行券のカバー・フォイル、形成されたセキュリティ・ストラップ、又は自己支持型の転写要素に形成され、その製造後に有価証券に形成される。
【0003】
光学的に見ることのできる要素を有するセキュリティ要素は、見る角度で見る者に様々なイメージの印象を与え、これは重要な役目をする。その理由は、これらは高品質のカラーコピーでさえ複製することが困難だからである。これらのセキュリティ要素は、偏光した有効なマイクロ構造体又はナノ構造体の形態のセキュリティ特徴を具備する。この様な構造体は、従来のエンボス・ホログラム又は他のホログラム状の偏光パターンである。これは特許文献1、2に開示されている。
【特許文献1】ヨーロッパ特許第0330733号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許第0064067号明細書
【特許文献3】ヨーロッパ特許第0238043A2号明細書
【特許文献4】ドイツ特許第102005062132.5号明細書
【特許文献5】国際公開パンフレット第99/13157A1
【0004】
レンズシステムをセキュリティ特徴として使用することは公知である。例えば、特許文献3は、透明な材料からなるセキュリティ・スレッドを開示する。この透明な材料の表面に、複数の平行な円筒状のレンズからなる回折格子("grating")がエンボスさる。セキュリティ・スレッドの厚さは、それが円筒状レンズの焦点長さにほぼ合うように選択される。反対表面上には、プリントイメージが完全に位置合わせされて形成される。このプリントイメージは、円筒状レンズの光学特性を考慮に入れて設計される。円筒状レンズの焦点効果と見る角度と焦点面内でのプリントイメージの位置に依存して、プリントイメージの様々なサブ領域を見ることができる。かくして、プリントイメージの適宜の設計を介して情報の一部が、ある見る角度からのみ見えるよう導入される。プリントイメージの適宜の配置を介して、また「可動("moving")」イメージが生成される。文書が円筒レンズに平行な軸の周囲で回転すると、モティーフはセキュリティ・スレッドのある位置から別の位置に連続して動く。
【0005】
マイクロ光学パターン(例、光る回折格子パターン、偏光パターン、ホログラム、マイクロレンズ・パターン、フレネルレンズ状のパターン、又は所謂モアレ拡大配列)は、ある期間は、セキュリティ特徴として使用される。モアレ拡大とは、繰り返される同一イメージ物品からなるイメージ・グリッドを同一のグリッドの寸法を有するレンズグリッドを通して見る時に起きる現象である。かくして形成されたモアレ・パターンは、そのイメージグリッドのイメージ物品の拡大と回転を構成する。
【0006】
グリッドが、従来のプリント技術の手段で、イメージ物品から生成されると、7μmまでのライン幅を有する物品を製造できる。プリントされたイメージ物品のサイズは、例えば、文字又は記号であるが、約70μmまで測定できる。イメージ物品のサイズと見るのに必要なレンズグリッドのレンズの直径と焦点の長さの相関関係により、かくして形成されたモアレ拡大配列の全厚さは、110μm以上となり、通常セキュリティを保証する有価証券又は銀行券の厚さ以上となってしまう。
【0007】
他の方法(例、エンボス技術の手段)により、マイクロパターンをイメージ物品として有するより薄いモアレ拡大配列の製造が可能となる。しかしこの技術では、エンボスされたマイクロパターンのライン幅が小さくなると、パターンの深さも浅くなる。ラッカー層の厚さのかくして得られた差は、強力なコントラストを有するマイクロパターンを製造するのに十分ではない。このようなモアレ拡大配列の光学的な外観は、印象的で容易に知覚できるセキュリティ要素の要件を満たさない。更に多色のモアレ拡大配列と特に視覚的に訴えるマイクロパターンは、従来公知の製造方法では生成することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かくして本発明の目的は、従来技術の欠点を解決し、特にマイクロパターンを支持部材に形成するために、マイクロ光学パターン特にマイクロ光学モアレ拡大配列で使用される改良された方法を提供することである。マイクロパターンが適宜形成されると、このモアレ拡大配列の全厚さは薄くなり、セキュリティ要素を有価証券又は銀行券内に導入できるようになる。別な構成として、モアレ拡大配列の光学的な外観が改善され、高いコントラストと視覚的に印象の強い物を生成できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の有色又は無色のマイクロパターンを支持部材に形成する方法は、
(a)ダイ構造を準備するステップと、
前記ダイ構造の表面は、所望のマイクロパターンの形態の山部と谷部の配列を示し、
(b)前記谷部を有色又は無色の硬化可能なラッカー層で充填するステップと、
(c)前記支持部材を、前記有色又は無色のラッカー層を良好に係留するために、前処理するステップと、
(d)前記ダイ構造の表面を、前記支持部材と接触させるステップと、
(e)前記支持部材と接触したラッカー層を硬化し、前記支持部材に結合させるステップと、
(f)前記ダイ構造の表面を前記支持部材から離すステップと、
その結果、前記支持部材と結合した硬化したラッカー層をダイ構造の谷部から切り離す
を有する。
【0010】
ダイ構造の表面は、所望のマイクロパターンをポジティブに又はネガティブに表す。即ち、所望のマイクロパターン例えば文字又は記号の列は、隆起した表面内で凹んで表されるか、凹んだ表面内で隆起された形態で表される。支持部材に形成されると、有色又は無色のラッカーが、凹んだ部分のみから転写される。この両方の実施例は、同一の情報コンテンツをポジティブに又はネガティブに表示することになる。
【0011】
前記ステップ(b)で、谷部を放射硬化ラッカーで充填し、前記(e)ステップのラッカー層の硬化は、UV放射で行う。この放射は、支持部材を通して行われ、UV透過性のダイ構造においては、そのダイ構造を介して行われる。
【0012】
前記ダイ構造の谷部内のラッカーは、ステップ(d)で接触する前に、予め硬化させることもできる。これにより、他のラッカー・コーティング層例えば支持部材に形成される裏当て層との混合を回避する。
【0013】
好ましい変形例においては、前記ステップ(c)において、前記支持部材は、硬化可能なラッカー層を前記支持部材に裏当て層として形成するよう、前処理する。その後、前記ステップ(e)において、前記裏当て層は、前記ダイ構造の谷部内のラッカー層と共に、硬化させる。
放射硬化可能なラッカー層を裏当て層として形成するのが好ましい。前記ステップ(e)において、前記裏当て層は、前記ダイ構造内の谷部内のラッカーと共に、放射特にUV放射で硬化させることができる。
【0014】
谷部のラッカー層に代えて又はそれに加えて、前記裏当て層は、ステップ(d)で接触する前に、予め硬化させることもできる。
【0015】
他の実施例では、前記ステップ(c)の支持部材は、接着層を支持部材に裏当て層として形成するよう、前処理する。
【0016】
前記ステップ(c)の支持部材の前処理は圧力による前処理である。この圧力による前処理は、裏当て層を支持部材に形成する為に行われる。その理由は、その後裏当て層の良好な固定が達成されるからである。特に高い圧力で前処理した支持フォイルを用いた場合には、谷部内のラッカーの支持フォイルへの接着は十分高くなり、別の裏当て層を省くことができる。
【0017】
前記ステップ(b)における有色又は無色のラッカーの余剰分は、ドクター・ブレード、ダンピング・シリンダの手段で、除去する。
【0018】
前記ダイ構造内のマイクロパターンは、ライン幅が1μm−10μm、又はパターン深さが1μm−20μmより好ましくは1μm−10μmのマイクロパターン要素で、形成される。本発明の方法により、細いライン幅に対しては、厚いラッカー層の転写が容易となる。その結果、特に有色ラッカーが用いられた場合には、非常に高いコントラストのマイクロパターンが生成が可能になる。
【0019】
前記マイクロパターンは、透明なプラスティック・フォイル又はペーパ層を含む支持部材に形成される。特にその支持部材の厚さは、約5μm−約50μmの間で、好ましくは約5μm−約25μmの間である。
【0020】
本発明の方法は、マイクロ光学パターン特にマイクロ光学モアレ拡大配列の製造で用いられると、利点がある。本発明は、この応用に限定されず、本発明の方法とダイ構造は、他のセキュリティ要素の製造、例えば紙又はフォイルに、マイクロテキストのプリントを形成するのにも用いることができる。
【0021】
本発明の方法がマイクロ光学モアレ拡大配列の製造で用いられる場合には、複数のマイクロモティーフ要素からなる周期的又は少なくとも局部的に周期的な平面状の配列からなるモティーフイメージが、マイクロパターンとして形成される。前記マイクロモティーフ要素の横方向の寸法は、5μm−50μmである、より好ましくは10μm−35μmである。更に、前記支持部材の対向する側は、複数のマイクロフォーカシング要素からなる周期的又は少なくとも局部的に周期的な平面状の配列を具備し、モティーフイメージのマイクロモティーフ要素をモアレ拡大で見ることができるようにする。
【0022】
本発明の一実施例によれば、前記マイクロパターンは、複数の色を有するマイクロモティーフ要素を有する。前記マイクロパターン要素は、見た時に混合色の印象を与えるサブグループで形成される。この様なサブグループは、例えば均一の構成からなる3個のマイクロパターン要素により形成される。これらのマイクロパターン要素は、例えば三原色(赤、緑、青)で形成される。マイクロパターン要素が小さいために、個々の色は、見る人にとって分離して見えない。人には、混合色に見え、その色調と彩度が、サブグループの3個の関連するマイクロパターン要素の相対的なライン幅とパターン深さに依存する。
【0023】
マイクロパターン要素の着色は、可溶性のある様々な色素含有染料で行われる。この染料は、細いライン幅と薄い層厚に対しては、高い彩度とコントラストを生成する。色素粒子のサイズは、転写されるラッカー層のライン幅と層厚に合わせて決定する。
【0024】
一般的に実施例で採用される裏当て層は、透明で、マイクロパターン要素の色印象に影響を及ぼすことがない。しかし裏当て層は、特定の有色法又は色効果を達成するために体系的に有色にすることもできる。
【0025】
前記の要素に加えて、前記マイクロパターンを有する支持部材は、証券用又は有価文書用のセキュリティ要素として使用される、少なくとも目視可能な又は機械で読み取り可能なセキュリティ・フィーチャを有する機能層、保護層、コーティング層、接着層、熱シール特徴層を具備する。
【0026】
模造対策として又は処理を容易にする為に、前記支持部材に形成されたマイクロパターンは、透明なオーバーコーティング層を具備する。
【0027】
本発明は、上記の方法により、有色又は無色のマイクロパターンを支持部材に形成するダイ構造も有する。本発明のダイ構造の表面は、所望のマイクロパターンの形態の山部と谷部の配列を示す。前記ダイ構造内のマイクロパターンは、ライン幅が1μm−10μmで、パターン深さが1μm−20μmより好ましくは1μm−10μmのマイクロパターン要素で、形成される。
【0028】
ダイ構造の表面は、非接着性のコーティングを具備する。例えば、CrNコーティングを具備し、容易に外すことができるようにする。ダイを捻ったり絞ったりすると、強い機械的な応力が発生するために、ダイ構造の表面を堅くするのが好ましい、例えば金属クロム、TiN又はいわゆるDLC(ダイヤモンド状カーボン)でコーティングするのが好ましい。
【0029】
前記ダイ構造は、シリンダ形状となるよう、形成される。前記ダイ構造は、クランピング・シリンダと共に使用可能なチューブ又は圧胴の一部を形成する。
【0030】
本発明は、上記した方法で生成される有色又は無色のマイクロパターンを有する物品、特にデータ・キャリア又は有価証券に適用できる。前記マイクロパターンは、ライン幅が1μm−10μm、パターン深さが1μm−20μm好ましくは1μm−10μmのマイクロパターン要素で、形成される。前記マイクロパターンそのものは、放射硬化性の有色又は無色のラッカー層から形成される。
【0031】
前記マイクロパターンは、前処理した支持部材に形成される。この前処理は、硬化可能なラッカー層又は接着層からなる裏当て層の形成と又は支持部材そのものの圧力による前処理からなる。
【0032】
前記支持部材は、透明なプラスティック・フォイル又はペーパ層を有する。前記支持部材は、厚さが5μm−50μmである、好ましくは5μm−25μmである。
【0033】
特に好ましい本発明の他の実施例によれば、物品は、前述したマイクロ光学モアレ拡大配列を有する。前記マイクロパターは、複数のマイクロモティーフ要素からなる周期的又は少なくとも局部的に周期的な平面状の配列からなるモティーフイメージを形成する。前記マイクロモティーフ要素の横方向の寸法は、5μm−50μmである、より好ましくは10μm−35μmである。更に、複数のマイクロフォーカシング要素からなる周期的又は少なくとも局部的に周期的な平面状の配列は、モティーフイメージのマイクロモティーフ要素をモアレ拡大で見ることができるよう、具備される。前記マイクロモティーフ要素の横方向の寸法は、5μm−50μmである、より好ましくは10μm−35μmである。
【0034】
本発明の一実施例によれば、前記マイクロモティーフ要素の配列とマイクロフォーカシング要素の配列とは、それぞれ、少なくとも局部的に二次元のブラベ格子(Bravais lattice)を形成し、前記マイクロモティーフ要素の配列と/又はマイクロフォーカシング要素の配列とは、対称の平行四辺形格子を有するブラベ格子を形成する。
【0035】
これらの実施例によれば、前記支持部材は、モティーフイメージとマイクロフォーカシング要素の配列の光学的スペース層を形成する。前記マイクロフォーカシング要素は、非円筒状のマイクロレンズ、特に円形又は多角形で規定されたベースを有するマイクロレンズで形成される。前記マイクロフォーカシング要素の配列は、保護層を具備する。前記保護層の屈折率と前記マイクロフォーカシング要素の屈折率とは、0.3以上異なる。
【0036】
マイクロモティーフ要素を有するモティーフ要素イメージとマイクロフォーカシング要素を有する配列とは、同一の支持部材の両面に形成することもできる。しかしこれらは、それぞれ後者の方法ステップでのみ一体にされるそれ自身の支持フォイル上に生成することもできる。
【0037】
モアレ拡大配列を有する物品と本発明の物品においては、前記マイクロパターンが、マイクロパターン要素特に複数の色のマイクロモティーフ要素から形成される実施例が特に好ましい。特に、前記マイクロパターン要素は、視たときに混合色の印象を与える複数のサブグループから形成される。
【0038】
支持部材に形成される裏当て層は、透明であり、マイクロパターン要素に色の印象を与えない。しかし、裏当て層を組織的に着色して特定の色効果を達成することもできる。マイクロパターンは、透明なオーバーコーティング層を具備してもよい。これにより、偽造防止対策を行うか、形成された金属層又はカラーシフト層に反転文字を生成するよう処理する。
【0039】
物品は、セキュリティ要素、セキュリティ・スレッド、ホールを有する銀行券用のカバー・フォリル、セキュリティ・ストリップ、ラベル、データキャリア用の自己支持型の伝達要素を構成する。この為に、セキュリティ要素は、加熱シールが可能である。前記セキュリティ要素の全厚は、20μm−60μmである、より好ましくは30μm−50μmである。
【0040】
物品は、データ・キャリア、銀行券、有価証券、パスポート、IDカード、証明書である。
【0041】
マイクロパターンが形成された物品は、1つ或いは複数の機能層特に目視可能な又は機械で読み取り可能なセキュリティ・フィーチャを有する層を具備する。例えば、全面(連続)的又は部分的な表面反射層、高屈折率層、カラーシフト層、偏光層、位相シフト層又は不透明又は透明な導電層、軟磁性層、硬磁性層、蛍光層、燐光層等を用いることができる。
【実施例】
【0042】
本発明を銀行券用のセキュリティ要素を例に説明する。図1は、本発明の一実施例によるセキュリティ要素12、16を有する銀行券10を示す。第1のセキュリティ要素は、セキュリティ・スレッド12を構成する。このセキュリティ・スレッド12は、銀行券10の表面上であるウインドウ領域14で浮き上がり、ウインドウ領域14の間の中央領域では銀行券10の中側に埋没する。第2のセキュリティ要素は転写要素16で形成される。転写要素16はいかなる形状でもよい。このセキュリティ要素16は、ウインドウ領域の上に又は銀行券の開口を通して配列されるカバー・フォイル、セキュリティ・ストリップ、転写要素又はラベルの形態で形成される。
【0043】
セキュリティ・スレッド12と転写要素16の両方とも、マイクロ光学パターンを有する、特に本発明の一実施例により有色のマイクロモティーフ要素からなるマイクロパターンを有するモアレ拡大配列(moire magification arrangement)を有する。この様な配列の製造方法と動作原理は、セキュリティ・スレッド12に基づいて以下詳述する。
【0044】
図2は、セキュリティ要素12の層構造の断面を示す。セキュリティ・スレッド12は、透明なプラスティックフォイルの形態の支持部材20を有する。この実施例では、20μmの厚さのPETフォイルである。支持部材20の上部は、マイクロレンズ22の格子状の配列を有する。このマイクロレンズ22は、その支持フォイルの表面上で、所定の対称の二次元のブラベ格子("Bravais lattice")を形成する。図面を簡単にするために、以下の説明においては、六角形の格子対称を想定する。ただし本発明のブラベ格子は、対称性が低くより一般的な形状である。
【0045】
隣接するマイクロレンズ22の間のスペースは、表面カバー率を確保するために、かくして高いコントラスト比を得るために、小さいのが好ましい。球面的又は非球面的に設計したマイクロレンズ22は、5μm−50μmの直径、好ましくは10μm−35μmの直径を有し、裸眼では見ることができない。支持フォイル20の底部上には、モティーフ層24が配列される。このモティーフ層24は、同一のマイクロモティーフ要素28の格子状の配列を有する。このマイクロモティーフ要素28の配列は、所定の対称系のブラベ格子を形成するが、ここでは六角形の格子対称を仮定する。
【0046】
図2に示すように、マイクロモティーフ要素28をマイクロレンズ22に対しずらすことにより、マイクロモティーフ要素28のブラベ格子は、マイクロレンズ22のブラベ格子とは、格子パラメータの対称性と/又はサイズが若干異なる。このため所望のモアレ拡大効果が得られる。ここでは、マイクロモティーフ要素28の格子周期と寸法は、マイクロレンズ22のそれと同じ桁数であり、5μm−50μmの範囲内、好ましくは10μm−35μmの範囲内である。その結果、マイクロモティーフ要素28も裸眼で見ることはできない。
【0047】
支持フォイル20の光学厚さとマイクロレンズ22の焦点距離は、マイクロモティーフ要素28がレンズの焦点距離分だけ離間するよう、調整される。格子パラメータが若干異なるために、マイクロレンズ22を通して上から見る時には、毎回マイクロモティーフ要素28の幾分異なるサブ領域が見え、その結果、複数のマイクロレンズ22が、全体的にマイクロモティーフ要素28の拡大したイメージを生成する。その結果得られたモアレ拡大は、使用されたブラベ格子の格子パラメータ間の差に依存する。例えば、2個の六角形の格子の回折グレーティング周期が1%違うと、100倍のモアレ拡大が得られる。マイクロモティーフ要素とマイクロレンズの好ましい配列と動作原理の詳細は、特許文献4に開示されている。
【0048】
この様なモアレ拡大配列においては、本発明の方法は、有色マイクロモティーフ要素を有するモティーフイメージを形成するのに好都合であり、モアレ拡大配列の全厚を薄くでき、セキュリティ要素として有価証券又は銀行券に導入できる。このために、セキュリティ・スレッド12は、例えば、加熱シール・フレーム32を有する。別の構成として、本発明の方法により、RGBシステムにおいて、混合色も可能とするような多色モティーフイメージも生成できる。
【0049】
支持フォイル20上にマイクロレンズ・グリッドを生成することは、熱可塑性でモールド可能なラッカーとUV硬化ラッカーの両方をエンボスする手段で、実行できる。ここでは、より良好なキャスティングによる、UV硬化ラッカーの放射硬化エンボシング処理が好ましい。いわゆるキャスティング・モードにおいて、UV硬化ラッカーをエンボスすることは、実際のエンボシング・プロセスの前にラッカーを予め硬化するのが良い。支持フォイル20の圧力前処理は、エンボスされたマイクロレンズ配列の最適な繋ぎとなる。
【0050】
本発明にとって特に重要なステップでは、マイクロモティーフ要素28の配列は、支持フォイル20のマイクロレンズ22の反対面全体に或いはその一部に形成される。
【0051】
このため支持フォイル20が、準備ステップで予め処理される。例えば、透明なUV硬化ラッカーからなる裏当て層30が支持フォイル20に形成される。特に圧力で前処理された支持フォイルの使用は、裏当て層30を支持フォイル20に取り付ける力を増強する。この準備ステップは、マイクロレンズ配列のエンボシング処理の前後で実行可能である。
【0052】
図3を参照すると、マイクロ光学パターン特に有色マイクロパターンを形成するために、ダイ40を用いる。ダイ40の表面は、所望のマイクロパターンの形態で、山部42と谷部44の配列を有する。以下の説明から明らかなように、マイクロ光学要素ここではマイクロパターン要素が、ダイ40内の山部42と谷部44の両方として形成される。モアレ拡大配列の有色マイクロパターン要素の製造行程を示すために、第1の場合は、支持部材上で透明な包囲体内に、有色のマイクロパターン要素が得られ、第2の場合は、有色の包囲体内に、透明なマイクロパターン要素が得られる。両方の場合とも、形成されたマイクロパターン情報コンテンツは同一である。
【0053】
ダイ40の谷部44は、UV硬化の無色又は有色のラッカー層26で充填される。ラッカーの余剰部分は、ドクターブレード、ダンピング・シリンダ又は他の適宜の技術的補助手段で、除去される。
【0054】
その後、ダイ40の充填した部分が、支持フォイル20の予め処理した側(処理領域50)に導入され直接接触するようになる。(処理領域52で)接触すると、ダイ40内の谷部内のラッカー層26と裏当て層30の関連する部分は、UV放射により硬化し、谷部内の無色又は有色のラッカー層26と裏当て層30の透明なラッカー層との間の強固な接続が、重合化プロセスにより、形成される。
【0055】
ダイ40の谷部内のラッカー部分と硬化前に接触している裏当て層30との混合を抑える(これにより仕上げ時の配列の見掛けが改善される)ために、ダイ40内の有色のラッカー層26と/又は支持フォイル20上の裏当て層30を予め硬化することが、好ましい。
【0056】
最後に、ダイ40の表面(処理領域54で)を支持フォイル20から離し、支持フォイル20に裏当て層30を介して結合しているラッカー層26を、ダイ構造の谷部44から引き出す。ダイ40内の谷部から引き出された硬化したラッカーと裏当て層30の合成物が、連続するコーティング層のように機械的に機能するので、モールドから外れる時に、無色又は有色のラッカー層26をダイ40から引き出す。
【0057】
処理領域52でダイ内のラッカー層が硬化する利点は、無色又は有色のラッカー層の厚い層厚が転写(移行)し、その結果、非常に高いコントラストの描写が、有色のラッカー層を用いた時に、達成できる。更に本発明の方法により、非常に高い解像度を有する極めて細かいマイクロパターンの製造が容易となる。これにより、例えば、モアレ拡大配列が、モールドを外した後に、形成されたパターンを大幅に失うことはない。
【0058】
領域54でモールドから外すことを容易にするために、ダイ40の表面に非接着コーティング、例えばCrN層を形成することもできる。
【0059】
絞ったり拭ったりすることにより、ダイ40の表面上にかかる強い機械的応力により、このダイの表面の硬化は、長期の利用を保証する。この様な硬化は、例えば、金属クロム、TiN又は所謂DLC(ダイヤモンド状カーボン)で、ダイ表面をコーティングすることにより行われる。
【0060】
ダイ40は、様々な変形例で用いることができる。第1の変形例において、ダイ40の製造は、従来のエンボス・スリーブと同様に行われる。ここで、元となるダイの製造は、半導体技術(例、光リソグラフ、電子ビーム・リソグラフ、レーザー・ダイレクト・ライティング、レーザー・アブレーション等の技術)で実行できる。適宜ステップとリピートの組み合わせも、元となるダイで行うことができる。
【0061】
ガルバニック・キャスティングの後、トリミング層、溶接層、非接着層、硬化層又は他の機能層を、必要によっては、その後形成してもよい。この様にして形成されたダイを、その後クランピング・シリンダで用い、例えば従来のエンボス・スリーブで用いることもできる。
【0062】
第2の変形例において、ダイ40は、従来の圧胴("impression cylinder")同様に製造される。ここで周知の圧胴の生成は、特にレーザ露光、エッチング又はレーザ・アブレーションを用い、解像出力と位置決めの誤差の高い必要性を考慮に入れ行われる。非接着層、硬化層又はその他の機能層の全ての用途に従って、圧胴と同様に最終のダイが、使用される。
【0063】
ダイ40を、マイクロモティーフ要素配列の応用と組み合わせて使用する例を詳述したが、モアレ拡大配列のマイクロレンズ22又は他のマイクロ光学パターン、例えば、ブレーズド・グレーティグ・パターン、DOE、CGH、マイクロパターン、フレネルレンズ状パターン等も、この様なダイを用いて、支持フォイル20に適用可能である。マイクロレンズ配列とマイクロモティーフ要素のアプリケーションの作業ステップは、如何なるシーケンスでも実行可能である。同時に実行した場合には、2つの配列の支持部材の両側への同時の形成が可能となる。
【0064】
異なる色を有するマイクロモティーフ要素28は、複数のダイ40で、複数の作業ステップで生成される。この複数のダイ40は、異なる色のラッカー層26で、それぞれ充填される。マイクロモティーフ要素は、同一層に全て存在する必要はなく、複数の層の設計で実現できる。マイクロモティーフ要素の複数の配列が、様々な色に対し生成されると、異なる配列を互いに見当合わせする必要はない。その理由は、モアレ効果に対し、マイクロレンズ配列と各マイクロモティーフ要素の配列との相対的方向が決定的だからである。しかし用途によっては、互いのマイクロモティーフ要素配列の正確な見当合わせを用いるのが好ましい。
【0065】
図4は、本発明により製造された単色モティーフイメージを有するセキュリティ要素を示す。これは、前の実施例と同様に、セキュリティ・スレッドの形態であり、穴を有する銀行券用のカバー・フォイル60の形態である。図4Aaはセキュリティ要素の斜視図で、図4bはセキュリティ要素の断面図である。
【0066】
カバー・フォイル60は、支持部材として、厚さが10μm−30μmの透明なPETのフォイル62である。このPETのフォイル62の第1面には、マイクロレンズ64の周期的配列がUV硬化ラッカーをエンボシングする手段により形成される。フォイル62の反対面は、上記したように、最初に、UV硬化のラッカーからなる裏当て層66を、その後、マイクロモティーフ要素68からなるモティーフイメージを有する。このマイクロモティーフ要素68は、この前処理された表面に形成される。図4aには、マイクロモティーフ要素68が文字「A」としてのみ示す。
【0067】
マイクロモティーフ要素68の配列が透明なオーバーコーティング70に埋め込まれ、偽造防止効果を提供する。更なる不透明な機能層が省かれた場合には、カバー・フォイル60を銀行券と整合した形成すると、透けて見えるモアレ拡大効果が、最終品である銀行券に形成される。
【0068】
必要によっては、更なる機能層が形成することもできる。例えば、金属製又はカラーシフトのコーティング72は、図4bで点線で示すが、非コーティング形態のサブ領域74の形態のネガティブなイメージ要素を有する。オーバーコーティング層70により、このようなギャップを有するコーティングは、洗浄方法、例えば、特許文献5に記載した方法で生成できる。その理由は、オーバーコーティング層70は、形成されたマイクロモティーフ要素68により強力に増加した局部的な凹凸を補償するからである。
【0069】
本発明の更なる実施例によるセキュリティ要素80は、図5に示すが、多色モティーフイメージを示す。セキュリティ要素80は、また銀行券用のセキュリティ・スレッド又はカバー・フォイルでもよい。
【0070】
図5aに示すマイクロモティーフ要素82の配列は、様々な色のマイクロモティーフ要素82−1と82−2を有する。これらも文字「A」で示す。異なる色は、例えば異なる色のラッカーで充填された2個のダイ40を用いて生成することもできる。マイクロモティーフ要素82−1、82−2のパターンの深さとライン幅を変化させることにより、彩度とコントラストの様々な変化を可能に、その結果、デザイナーの更なる設計の自由度が得られる。
【0071】
図6は、混合色を有するモティーフイメージを示す本発明のセキュリティ要素90の更なる実施例を示す。この実施例においては、隣接するマイクロモティーフ要素92−R、92−G、92−Bが、赤、緑、青のラッカーで、あるパターン深さとライン幅でもって提供される。マイクロモティーフ要素92の寸法が小さい(例、35μm)ために、個々の色は、分離して見えず、混合色として見える。マイクロモティーフ要素92−R、92−G、92−Bのパターン深さとライン幅を選択することにより、使用される三原色間の全体的な色の三角関係(例えば赤、緑、青)にアクセスできる。
【0072】
混合色を有するモティーフイメージの実施例により、新たなモアレ拡大効果が得られる。例えば、異なる混合色をセキュリティ要素の別の領域に適宜のダイを介して製造すると、色の混じった効果、カラーシフトした効果、又はカラーコントラストの変化を有するモアレ拡大配列が製造できる。
【0073】
例えば、セキュリティ要素のサブ領域が赤いマイクロモティーフ要素92−Rのみを具備し、他のサブ領域が青いマイクロモティーフ要素92−Gのみを具備することもできる。この2つのサブ領域の間に赤いマイクロモティーフ要素92−Rのパターン深さを最大値からゼロまで落とし、青い92−Gのパターン深さを同時にゼロから最大にすると、この2つのサブ領域の間で赤から緑に連続した色の混合が形成できる。図5−図6のセキュリティ要素は、更なる機能層を具備することもできる。これは図4で説明したとおりである。
【0074】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】埋設されたセキュリティ・スレッドと固定された転写要素とを有する銀行券の上面図。
【図2】本発明のセキュリティ・スレッドの層構造を表す断面図。
【図3】本発明のダイを用いて、マイクロ光学パターン(この実施例では、モアレ拡大配列の有色マイクロパターン)を前処理された支持部材に形成する方法を示す断面図。
【図4a】単色モティーフイメージを有する本発明のカバー・フォイルの斜視図。
【図4b】単色モティーフイメージを有する本発明のカバー・フォイルのセキュリティ要素の断面を表す図。
【図5a】多色モティーフイメージを有する本発明のセキュリティ要素の上面図。
【図5b】多色モティーフイメージを有する本発明のセキュリティ要素の断面図。
【図6a】混合色のモティーフイメージを有する本発明のセキュリティ要素の上面図。
【図6b】混合色のモティーフイメージを有する本発明のセキュリティ要素の断面図。
【符号の説明】
【0076】
10 銀行券
12,16 セキュリティ要素
12 セキュリティ・スレッド
14 ウインドウ領域
16 転写要素
20 支持部材
22 マイクロレンズ
24 モティーフ層
26 ラッカー層
28 マイクロモティーフ要素
30 裏当て層
32 加熱シール・フレーム
40 ダイ
42 山部
44 谷部
50,52,54 領域
60 カバー・フォイル
62 フォイル
66 裏当て層
68 マイクロモティーフ要素
70 オーバーコーティング
72 コーティング層
74 サブ領域
80 セキュリティ要素
82 マイクロモティーフ要素
90 セキュリティ要素
92 マイクロモティーフ要素





【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色又は無色のマイクロパターンを支持部材に形成する方法において、
(a)ダイ構造を準備するステップと、
前記ダイ構造の表面は、所望のマイクロパターンの形態の山部と谷部の配列を示し、
(b)前記谷部を有色又は無色の硬化可能なラッカー層で充填するステップと、
(c)前記支持部材を、前記有色又は無色のラッカー層を良好に留めるために、前処理するステップと、
(d)前記ダイ構造の表面を、前記支持部材と接触させるステップと、
(e)前記支持部材と接触したラッカー層を硬化し、前記支持部材に結合させるステップと、
(f)前記ダイ構造の表面を前記支持部材から離すステップと、
その結果、前記支持部材と結合した硬化したラッカー層をダイ構造の谷部から切り離す
を有する
ことを特徴とする無色又は有色のマイクロパターンを支持部材に成形する方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)の谷部を、放射硬化ラッカーで充填し、
前記(e)ステップのラッカー層の硬化は、UV放射で行う
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ダイ構造の谷部内のラッカーは、ステップ(d)で接触する前に、予め硬化させる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)において、前記支持部材は、硬化可能なラッカー層を前記支持部材に裏当て層として形成するよう、前処理され、
前記ステップ(e)において、前記裏当て層は、前記ダイ構造の谷部内のラッカー層と共に、硬化させる
ことを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
放射硬化可能なラッカー層を裏当て層として形成し、
前記ステップ(e)において、前記裏当て層は、前記ダイ構造内の谷部内のラッカーと共に、UV放射で硬化させる
ことを特徴とする請求項2−4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記裏当て層は、ステップ(d)で接触する前に、予め硬化させる
ことを特徴とする請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)の支持部材は、接着層を支持部材に裏当て層として形成するよう、前処理する
ことを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)の支持部材は、裏当て層を支持部材に形成することに加えて、圧力処理による前処理する
ことを特徴とする請求項1−7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(b)における有色又は無色のラッカーの余剰分は、ドクター・ブレード、ダンピング・シリンダの手段により、除去する
ことを特徴とする請求項1−8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ダイ構造内のマイクロパターンは、ライン幅が1μm−10μmのマイクロパターン要素で、形成される
ことを特徴とする請求項1−9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ダイ構造内のマイクロパターンは、パターン深さが1μm−20μmのマイクロパターン要素で、形成される
ことを特徴とする請求項1−10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記マイクロパターンは、透明なプラスティック・フォイル層又はペーパ層を含む支持部材に形成される
ことを特徴とする請求項1−11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記マイクロパターンは、厚さが5μm−50μmである支持部材に形成される
ことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロパターンとして、複数のマイクロモティーフ要素からなる周期的又は少なくとも局部的に周期的な平面状の配列からなるモティーフイメージが形成される
ことを特徴とする請求項1−13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記マイクロモティーフ要素の横方向の寸法は、5μm−50μmである
ことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記支持部材の対向する側は、複数のマイクロフォーカシング要素からなる周期的又は少なくとも局部的に周期的な平面状の配列を具備し、モティーフイメージのマイクロモティーフ要素をモアレ拡大で見ることができるようにする
ことを特徴とする請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
前記マイクロパターンは、少なくとも複数の色を有するマイクロモティーフ要素を有する
ことを特徴とする請求項1−16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記マイクロパターン要素は、見た時に混合色の印象を与えるサブグループに形成される
ことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
有色裏当て層が、支持部材に形成される
ことを特徴とする請求項4−18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記マイクロパターンを有する支持部材は、証券用又は有価文書用のセキュリティ要素として使用される、少なくとも目視可能な又は機械で読み取り可能なセキュリティ・フィーチャを有する機能層を具備する
ことを特徴とする請求項1−19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記支持部材に形成されたマイクロパターンは、透明なオーバーコーティング層を具備する
ことを特徴とする請求項1−20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記形成されたマイクロパターンを有する支持部材は、加熱シールが可能であるよう提供される
ことを特徴とする請求項1−21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
有色又は無色のマイクロパターンを支持部材に形成するダイ構造において、
前記ダイ構造の表面は、所望のマイクロパターンの形態の山部と谷部の配列を示し、
前記ダイ構造内のマイクロパターンは、ライン幅が1μm−10μmで、パターン深さが1μm−20μmのマイクロパターン要素で、形成される
ことを特徴とするダイ構造。
【請求項24】
前記ダイ構造の表面に非接着性コーティングを具備する
ことを特徴とする請求項23記載のダイ構造。
【請求項25】
前記ダイ構造の表面は硬化されている
ことを特徴とする請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記ダイ構造は、シリンダ形状となるよう、形成される
ことを特徴とする請求項23−25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記ダイ構造は、クランピング・シリンダと共に使用可能なチューブを構成する
ことを特徴とする請求項23−26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記ダイ構造は、圧胴の一部を形成する
ことを特徴とする請求項23−26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
請求項1−22のいずれかの方法により形成された有色又は無色のマイクロパターンを有するデータ・キャリア又はセキュリティ要素である
ことを特徴とする物品。
【請求項30】
前記マイクロパターンは、ライン幅が1μm−10μmのマイクロパターン要素で、形成される
ことを特徴とする請求項29記載の物品。
【請求項31】
前記マイクロパターンは、パターン深さが1μm−20μmのマイクロパターン要素で、形成される
ことを特徴とする請求項29又は30に記載の物品。
【請求項32】
前記マイクロパターンは、放射硬化性ラッカー層から形成される
ことを特徴とする請求項29−31のいずれかに記載の物品。
【請求項33】
前記マイクロパターンは、予め処理した支持部材に形成される
ことを特徴とする請求項29−32のいずれかに記載の物品。
【請求項34】
前記マイクロパターンは、硬化したラッカー層又は接着層の形態での裏当て層を具備した支持部材に形成される
ことを特徴とする請求項33記載の物品。
【請求項35】
前記マイクロパターンは、圧力で前処理した支持部材に形成される
ことを特徴とする請求項33又は34に記載の物品。
【請求項36】
前記支持部材は、透明なプラスティック・フォイル又はペーパ層を有する
ことを特徴とする請求項29−35のいずれかに記載の物品。
【請求項37】
前記支持部材は、厚さが5μm−50μmである
ことを特徴とする請求項29−36のいずれかに記載の物品。
【請求項38】
前記マイクロパターは、複数のマイクロモティーフ要素からなる周期的又は少なくとも局部的に周期的な平面状の配列からなるモティーフイメージを形成する
ことを特徴とする請求項29−37のいずれかに記載の物品。
【請求項39】
前記マイクロモティーフ要素の横方向の寸法は、5μm−50μmである
ことを特徴とする請求項38記載の物品。
【請求項40】
複数のマイクロフォーカシング要素からなる周期的又は少なくとも局部的に周期的な平面状の配列は、モティーフイメージのマイクロモティーフ要素をモアレ拡大で見ることができるよう、具備される
ことを特徴とする請求項38又は39に記載の物品。
【請求項41】
前記マイクロモティーフ要素の横方向の寸法は、5μm−50μmである
ことを特徴とする請求項40記載の物品。
【請求項42】
前記マイクロモティーフ要素の配列とマイクロフォーカシング要素の配列とは、少なくとも局部的に二次元のブラベ格子を形成し、
前記マイクロモティーフ要素の配列と/又はマイクロフォーカシング要素の配列とは、対称のパラレルグラム格子を有するブラベ格子を形成する
ことを特徴とする請求項40又は41に記載の物品。
【請求項43】
前記支持部材は、モティーフイメージとマイクロフォーカシング要素の配列の光学的スペース層を形成する
ことを特徴とする請求項40−42のいずれかに記載の物品。
【請求項44】
前記マイクロフォーカシング要素は、非円筒状のマイクロレンズ又は円形又は多角形で規定されたベースを有するマイクロレンズにより形成される
ことを特徴とする請求項40−43のいずれかに記載の物品。
【請求項45】
前記マイクロフォーカシング要素の配列は、保護層を具備し、
前記保護層の屈折率と前記マイクロフォーカシング要素の屈折率とは、0.3以上異なる
ことを特徴とする請求項40−44のいずれかに記載の物品。
【請求項46】
前記マイクロパターンは、マイクロパターン要素又は複数の色のマイクロモティーフ要素から形成される
ことを特徴とする請求項29−45のいずれかに記載の物品。
【請求項47】
前記マイクロパターン要素は、複数のサブグループから形成され、
前記各サブグループは、混合色の印象を与える
ことを特徴とする請求項46記載の物品。
【請求項48】
有色の裏当て層が支持部材に形成される
ことを特徴とする請求項34−47のいずれかに記載の物品。
【請求項49】
マイクロパターンは、透明なオーバーコーティング層を具備する
ことを特徴とする請求項29−48のいずれかに記載の物品。
【請求項50】
物品は、セキュリティ要素、セキュリティ・スレッド、ラベル又は透明な要素である
ことを特徴とする請求項29−49のいずれかに記載の物品。
【請求項51】
前記セキュリティ要素は、加熱シールが可能である
ことを特徴とする請求項50記載の物品。
【請求項52】
前記セキュリティ要素の全厚は、20μm−60μmである
ことを特徴とする請求項50又は51に記載の物品。
【請求項53】
物品は、データ・キャリア、銀行券、有価証券、パスポート、IDカード、証明書である
ことを特徴とする請求項29−49のいずれかに記載の物品。
【請求項54】
マイクロパターンが形成された物品は、目視可能な又は機械で読み取り可能なセキュリティ・フィーチャを有する層を具備する
ことを特徴とする請求項29−53のいずれかに記載の物品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2009−541873(P2009−541873A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516933(P2009−516933)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005200
【国際公開番号】WO2008/000350
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(503404095)ギーゼッケ アンド デブリエント ゲーエムベーハー (5)
【Fターム(参考)】