説明

マイクロリアクターの製造方法

【課題】 本発明は、微細流路や液体クロマトグラフ用カラムに接着剤等が詰まることなく、複数の熱可塑性樹脂基板が強固に接着されたマイクロリアクターを容易且つ安価に製造する方法を提供する。
【解決手段】 微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板又はそれに積層される熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、積層した際に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように、底面幅0.01〜0.5mm、高さ0.01〜0.5mmの凸条の超音波融着部が形成されており、両方の熱可塑性樹脂基板を積層し、積算発振エネルギー200ws以下、発振時間5秒以下、熱可塑性樹脂基板の押さえ圧力0.1〜10kg/cm2 の条件で超音波融着することを特徴とするマイクロリアクターの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱可塑性樹脂基板の間に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が形成されているマイクロリアクターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコンなどの基板上にフォトリソグラフィーなどの半導体加工技術を用いて微細な流路や液体クロマトグラフ用カラムを形成し、流路内で様々な化学反応を行わせることにより既存の分析装置の小型化や、化学プラントの小型・高機能化を行うマイクロリアクターの研究が活発に行われている。
【0003】
上記マイクロリアクターを構成する材料は、ガラス、シリコンウエハー等の無機材料から、量産が容易であり、コストの安い合成樹脂、特に、成形性のよい熱可塑性樹脂に置き換わってきている。
【0004】
上記マイクロリアクターに微細流路や液体クロマトグラフを形成するには、微細流路用凹部や液体クロマトグラフ用凹部を形成した2枚の基板を積層して微細流路や液体クロマトグラフを形成することが一般的であり、積層は接着剤や粘着テープ等で接着することにより行われている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−70784号公報
【特許文献2】特開2003−522944号公報
【0005】
しかしながら、基板の表面に接着剤を塗布し、積層して接着剤で接着しようとすると、接着剤が流動して、微細流路用凹部や液体クロマトグラフ用凹部に流れ込み微細流路や液体クロマトグラフが詰まってしまうという欠点があり、接着剤の成分によっては、被検出物への汚染という問題もあった。
【0006】
又、粘着テープで接着する方法は簡便ではあるが、粘着テープを構成する粘着剤は耐薬品性が低いのでマイクロリアクター内で使用可能な試薬が制限される、粘着剤の接着力が低いので圧力がかかると液漏れをおこすので、マイクロリアクター化されるプロセスが制限される等の欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、微細流路や液体クロマトグラフ用カラムに接着剤等が詰まることなく、複数の熱可塑性樹脂基板が強固に接着され、その間に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が形成されているマイクロリアクターを容易且つ安価に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のマイクロリアクターの製造方法は、複数の熱可塑性樹脂基板が積層され、その間に、幅及び深さが0.1〜10000μmの微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が形成されているマイクロリアクターの製造方法であって、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板又はそれに積層される熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、積層した際に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように、底面幅0.01〜0.5mm、高さ0.01〜0.5mmの凸条の超音波融着部が形成されており、両方の熱可塑性樹脂基板を積層し、積算発振エネルギー200ws以下、発振時間5秒以下、熱可塑性樹脂基板の押
さえ圧力0.1〜10kg/cm2 の条件で超音波融着することを特徴とする。
【0009】
本発明で使用される基板の素材は、超音波融着することにより積層するのであるから熱可塑性樹脂である。
上記熱可塑性樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、超音波融着がし易く、加熱により簡単に表面加工出来る樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリジメチルシロキサンなどのシリコン系樹脂等が挙げられる。
【0010】
マイクロリアクターとして、様々な流体を用いる場合は、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性等の優れたポリオレフィン系樹脂が好ましく、マイクロリアクターの内部状態を光学的測定方法で測定する場合は、光線透過性の優れたポリアクリル系樹脂が好ましい。
【0011】
又、耐候性、機械的強度、耐薬品性等を向上させるために各種試薬、添加剤等が添加されてもよい。
【0012】
又、基板の大きさは特に限定されるものではないが、大きくなるとマイクロリアクターとしてのハンドリング性が低下するので400cm2 以下が好ましく、厚さは0.01〜100mmが好ましい。厚さが薄くなると、基板がフィルム又はシート状になる。
【0013】
本発明においては、複数の熱可塑性樹脂基板が積層され、その間に、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラムが形成されている。微細流路液体及びクロマトグラフ用カラムの幅及び深さは、小さくなると液体を輸送する際に圧力損失により送液が困難になり、大きくなると、微細流路内を流れる液体の流れが不均一になったり、測定するための試料が多量に必要になり測定が困難になるので、0.1〜10000μmであり、好ましくは10〜3000μmであり、より好ましくは50〜1000μmである。
【0014】
上記液体クロマトグラフ用カラム部は、微細流路に挟まれて形成されており、カラム部に液体クロマトグラフ用充填材を充填し、測定物質を含有する液体試料を通過させ、測定物質を吸着させた後、溶離液を通過させ測定物質を離脱させることにより、測定物質の濃縮、分離等の機能を有する領域である。
【0015】
上記液体クロマトグラフ用カラム部の形状は、特に限定されないが、液体試料や溶離液が均一に流入あるいは流出するように、微細流路側から液体クロマトグラフ用カラム部の入口方向あるいは出口方向を見た場合左右対称であるのが好ましい。
【0016】
又、液体クロマトグラフ用カラム部の体積は、特に限定されないが、使用する際に想定される目的の測定物質及びマトリックスの最大量より、カラム部での分離、吸着必要量を想定し、大きさを決定すればよい。
【0017】
上記液体クロマトグラフ用カラム部には液体クロマトグラフ用充填材が充填される。液体クロマトグラフ用カラム部に液体クロマトグラフ用充填材を充填する方法は、例えば、一方の熱可塑性樹脂基板に液体クロマトグラフ用カラム部に連通した充填材注入口を穿設し、液体クロマトグラフ用充填材の懸濁液を充填したディスペンサーを充填材注入口に接続し加圧して液体クロマトグラフ用充填材の懸濁液を液体クロマトグラフ用カラム部に注入し、注入後、シール材で充填材注入口を封止する方法が挙げられる。
【0018】
液体クロマトグラフ用充填材は、一般に液体クロマトグラフで使用されている微粒子の充填剤であれば特に限定されず、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメ
タクリレート樹脂、ポリヒドロキシメタクリレート樹脂、ポリビニルアルコール、シリカ、アルミナ等の微粒子が挙げられる。
【0019】
又、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリレート樹脂、ポリヒドロキシメタクリレート樹脂、ポリビニルアルコール、シリカ、アルミナなどの液体クロマトグラフィーで用いられる担体材料、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレンープロピレン共重合体等に代表されるポリオレフィン;エチレンーテトラフルオロエチレン共重合体、エチレンークロロトリフルオロエチレン共重合体に代表されるオレフィン−ハロゲン化オレフィン共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等に代表されるハロゲン化ポリオレフィン及びポリスルホン等;セルロース系の多孔膜等の多孔質膜材料、綿や麻などの植物性繊維;絹や羊毛などの動物性繊維に代表される各種の天然繊維あるいは再生繊維;ポリエステル繊維やポリアミド繊維等の各種合成繊維等の繊維状材料、多孔質セラミック、多孔質ガラス等のモノリス型多孔質無機材料あるいは;ポリアクリルアミドゲル、スチレンジビニルベンゼン共重合体等を多孔質化したモノリス型多孔質有機材料等の担体に、液体試料内の目的とする測定物質と、例えば、物理的吸着や、イオン結合、配位結合、キレート結合、疎水性相互作用、分子内極性による相互作用等の相互作用する官能基や原子団を固定化した充填材であってもよい。
【0020】
液体クロマトグラフ用カラム部の上流側入口付近及び下流側出口付近に、液体クロマトグラフ用カラム部に充填された液体クロマトグラフ用充填材が、液体クロマトグラフ用カラム部から流出することを防止するためにフィルターが設置されてもよく、フィルターは上記液体クロマトグラフ用充填材の微粒子の平均粒径以下の孔径を有するのが好ましい。
【0021】
上記フィルターの材料としては、カラム部に充填されている液体クロマトグラフ用充填材の微粒子の平均粒径以下の孔径を有し、液体クロマトグラフで使用される溶媒に対して溶解しない材料であれば、特に限定されず、例えば、ステンレス、ガラス、シリカ、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニリデンジフロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース混合エステル、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0022】
上記材料を主材料とするメンブレンフィルター、ガラス繊維濾紙、モノリス状ガラス、モノリス状ポリマーを適当なフィルター形状、例えば短冊状に切断、あるいは同形状に成形することにより、簡便にフィルターを作製できる。
【0023】
上記材料を前述の孔径を有する状態で、例えば、短冊状に成形することにより、フィルターとして使用することができる。
【0024】
液体試料や溶離液を液体クロマトグラフに供給する際には液体試料や溶離液は層流の状態で供給されるのが好ましいが、フィルターの厚みが厚くなると、液体試料や溶離液の流れが乱され、乱流になり易いので、流入出口に接するフィルターの断面積は10mm2 以下が好ましく、より好ましくは1mm2 以下である。
【0025】
微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラムを形成するには、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板と、他の熱可塑性樹脂基板を積層すればよく、他の熱可塑性樹脂基板は微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。
【0026】
しかし、両方の熱可塑性樹脂基板に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部を形成することは面倒であり、コストがかかるので、微細流路及び/又は液体ク
ロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板と、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されていない他の熱可塑性樹脂基板を積層し、他の熱可塑性樹脂基板で微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部を覆うことにより、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラムを形成するのが好ましく、この場合、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部の幅及び深さは、0.1〜10000μmであり、好ましくは10〜3000μmであり、より好ましくは50〜1000μmである。
【0027】
本発明においては、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板又はそれに積層される熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、積層した際に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように、底面幅0.01〜0.5mm、高さ0.01〜0.5mmの凸条の超音波融着部が形成されている。
【0028】
凸条の超音波融着部の断面形状は、超音波で先端部が溶融して他の熱可塑性樹脂基板と接着するのであるから、先端部が尖った形状が好ましく、例えば、略二等辺三角形、略正三角形、略直角三角形、円形、楕円形等が挙げられ、略二等辺三角形、略正三角形又は略直角三角形が好ましい。
【0029】
凸条の超音波融着部の幅及び高さは、幅が狭くなったり、高さが低くなると溶融樹脂量が少なくなり、接着が不充分になり、逆に幅が広くなったり、高さが高くなると、溶融樹脂が多くなって、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部に流入して微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の閉塞や体積の減少を引き起こし、マイクロリアクターとしての所望の性能を発揮できなくなったり、未溶融部が発生し、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の深さが深くなり、その流量を制御しにくくなるので、底面幅は0.01〜0.5mmであり、高さは0.01〜0.5mmである。
【0030】
又、凸条の超音波融着部が微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部に近すぎると超音波融着する際に、溶融樹脂が微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部に流入して微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の閉塞や体積の減少を引き起こし、マイクロリアクターとしての所望の性能を発揮できなくなり、逆に、遠すぎると所望の微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の体積より大幅なズレがでるので流れの管理が困難になるので、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部と、凸条の超音波融着部の底面端部との間隔は0.05〜2mmが好ましい。
【0031】
凸条の超音波融着部は微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように形成されているので、最低4箇所の屈曲部を有することになるが、屈曲部の角度が90度に設計するのは困難であり、屈曲部の熱可塑性樹脂を超音波エネルギーで溶融するのは他の部分に比較し困難であり、接着不良を起こす可能性があるので、屈曲部は緩やかな曲面であるのが好ましく、曲率半径が0.01〜1.0mmであるのが好ましい。
【0032】
上記熱可塑性樹脂基板には、両方の熱可塑性樹脂基板を積層する際に位置決めが容易になされ、超音波融着する際に熱可塑性樹脂基板がずれないように、熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、底面幅0.01〜5mm、高さ0.001〜5mmの凸状の固定部が形成され、他方の熱可塑性樹脂基板に該固定部が嵌合されうる凹部が形成されているのが好ましい。
【0033】
上記凸状の固定部の平面形状は、特に限定されるものではなく、例えば、正方形、長方形、三角形、六角形、星形、円形、長円形等が挙げられ、熱可塑性樹脂基板の任意の位置に形成されればよい。又、長尺の凸条であってもよいし、微細流路及び/又は液体クロマ
トグラフ用カラム部の周囲を囲むように形成されててもよい。固定部の底面と上面は同一面積であってもよいし、底面から上面に行くに従って次第に面積が小さくなっていてもよい。
【0034】
上記凹部の形状は、上記凸状の固定部が嵌合されうる形状であればよいが、凸状の固定部と凹部が接していると、超音波融着する際に、超音波により接触部分が溶融され、超音波エネルギーが無駄に消費されることになるので、凹部の深さは凸状の固定部の高さより深く、凹部の幅は凸状の固定部の幅より広くなされ、両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、固定部と凹部の間に実質的に空隙が形成されているのが好ましい。
【0035】
この空隙の間隔は少しあればよく、大きくなると両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、熱可塑性樹脂基板がずれ位置決めが正確になされなくなるので、0.01〜0.1mmが好ましい。
【0036】
本発明においては、上記両方の熱可塑性樹脂基板を積層し、積算発振エネルギー200ws以下、発振時間5秒以下、熱可塑性樹脂基板の押さえ圧力0.1〜10kg/cm2 の条件で超音波融着する。
【0037】
超音波融着の際の積算発振エネルギーは、大きくなると超音波融着部以外の部分が溶融したり、熱可塑性樹脂基板が変形するようになるので、200ws以下であり、好ましくは50ws以下である。
【0038】
超音波融着の際の発振時間も、長くなると超音波融着部以外の部分が溶融したり、熱可塑性樹脂基板が変形するようになるので、5秒以下であり、好ましくは1秒以下である。
【0039】
更に、超音波融着の際には接着すべき熱可塑性樹脂基板同士を加圧して押さえつける必要があるが、圧力が低くなると接着強度が低下し、圧力が高くなると熱可塑性樹脂基板が割れたり変形するので、熱可塑性樹脂基板の押さえ圧力は0.1〜10kg/cm2 である。
【0040】
次に図面を参照して説明する。図1は微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板の一例を示す平面図であり、図2は図1におけるA−A断面図である。
【0041】
熱可塑性樹脂基板1は縦30mm、横50mm、厚さ1mmであり、略中央に幅2mm、深さ0.2mm、長さ30mmの液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部2が形成されている。液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部2の両端部には、幅1mm、深さ0.3mm、長さ20mmの濾紙設置部用の凹部3、3を介して、幅1mm、深さ0.2mm、長さ約7mmの微細流路用の凹部4、4が形成されている。
【0042】
微細流路用凹部4、4の一方の端部には試料及び溶離液注入口5が穿設され、他方の端部には液体排出口6が穿設されている。又、液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部2の端部には液体クロマトグラフ用充填材注入口7が穿設されている。更に、熱可塑性樹脂基板1の周辺付近には、縦2.1mm、横2.1mm、高さ0.2mmの角柱状の固定部8、8・・が形成されている。
【0043】
図3は微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されていない熱可塑性樹脂基板の一例を示す平面図であり、図4は図2におけるB−B断面図である。
【0044】
熱可塑性樹脂基板9は縦30mm、横50mm、厚さ1mmであり、略中央に底面1m
m、高さ0.5mmの断面形状が二等辺三角形の凸条である超音波融着部10が形成されている。、超音波融着部10は、熱可塑性樹脂基板1と熱可塑性樹脂基板9を積層した際に、液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部2、濾紙設置部用の凹部3及び微細流路用の凹部4の周囲を0.5mmの間隔で囲むように形成されている。
【0045】
又、熱可塑性樹脂基板9の周辺付近には、縦2.2mm、横2.2mm、深さ0.21mmの角柱状の凹部11、11・・が、熱可塑性樹脂基板1と熱可塑性樹脂基板9を積層した際に、熱可塑性樹脂基板1の固定部8、8・・が嵌合可能に形成されている。
【0046】
マイクロリアクターを形成するには、凹部3にフィルターを設置した後、上記熱可塑性樹脂基板1と熱可塑性樹脂基板9の上面を対向させ、固定部8、8・・を凹部11、11・・に嵌合し、上記超音波融着条件で接着し、注入口7からクロマトグラフ用充填剤を充填すればよく、その結果、熱可塑性樹脂基板1と熱可塑性樹脂基板9の間に微細流路、液体クロマトグラフ用カラム部及び濾紙設置部が形成されているマイクロリアクターが得られる。
【0047】
尚、マイクロリアクターが3枚以上の熱可塑性樹脂基板で形成されている場合には、隣り合う熱可塑性樹脂基板のいずれかを微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板と微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されていない熱可塑性樹脂基板として理解して積層することによりマイクロリアクターを形成すればよい。
【0048】
請求項6記載のマイクロリアクターの製造方法は、複数の熱可塑性樹脂基板が積層され、その間に、幅及び深さが0.1〜10000μmの微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が形成されているマイクロリアクターの製造方法であって、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板又はそれに積層される熱可塑性樹脂基板の少なくとも一方に、積層した際に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように、底面幅0.01〜5mm、高さ0.001〜5mmの凸条の固定部が形成され、その上に底面幅0.01〜0.5mm、高さ0.01〜0.5mmの凸条の超音波融着部が形成されており、他方の熱可塑性樹脂基板に該固定部及び超音波融着部が嵌合されうる凹条が形成されており、両方の熱可塑性樹脂基板を積層し、積算発振エネルギー200ws以下、発振時間5秒以下、熱可塑性樹脂基板の押さえ圧力0.1〜10kg/cm2 の条件で超音波融着することを特徴とする。
【0049】
以下、請求項1〜5記載のマイクロリアクターの製造方法と異なる点のみ説明する。
本発明においては、熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、凸条の固定部が形成され、その上に凸条の超音波融着部が形成されており、他方の熱可塑性樹脂基板に該固定部及び超音波融着部が嵌合されうる凹条が形成されている。
【0050】
上記固定部は、両方の熱可塑性樹脂基板を積層する際に位置決めが容易になされ、超音波融着する際に熱可塑性樹脂基板がずれないようにするためのものであり、熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、底面幅0.01〜5mm、高さ0.001〜5mmの凸条が積層した際に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように形成されている。
【0051】
上記凸条の固定部の断面形状は、特に限定されるものではないが、その上に底面幅0.01〜0.5mm、高さ0.01〜0.5mmの凸条の超音波融着部が形成されるので、矩形又は台形が好ましい。
【0052】
上記凸条の固定部の幅は小さくなると、その上に超音波融着部を形成しにくくなり、広
くなると微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように形成しにくくなるので、底面幅は0.01〜0.5mmである。
【0053】
又、凸条の固定部の高さは、低くなると、両方の熱可塑性樹脂基板を積層する際に位置決めが困難になり、高くなると凹条を深くする必要がありマイクロリアクターの厚みを厚くしなければならず使い勝手が悪く不経済的なので0.01〜0.5mmである。
【0054】
凸条の固定部の上には底面幅0.01〜0.5mm、高さ0.01〜0.5mmの凸条の超音波融着部が形成されているが、超音波融着部の断面形状は、超音波で先端部が溶融して他の熱可塑性樹脂基板と接着するのであるから、先端部が尖った形状が好ましく、例えば、略二等辺三角形、略正三角形、略直角三角形、円形、楕円形等が挙げられ、略二等辺三角形、略正三角形又は略直角三角形が好ましい。
【0055】
凸条の超音波融着部の幅及び高さは、幅が狭くなったり、高さが低くなると溶融樹脂量が少なくなり、接着が不充分になり、逆に幅が広くなったり、高さが高くなると、溶融樹脂が多くなって、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部に流入して微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の閉塞や体積の減少を引き起こし、マイクロリアクターとしての所望の性能を発揮できなくなったり、未溶融部が発生し、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の深さが深くなり、その流量を制御しにくくなるので、底面幅は0.01〜0.5mmであり、高さは0.01〜0.5mmである。
【0056】
又、凸条の固定部と凸条の超音波融着部の断面形状が一体として、略二等辺三角形、略正三角形又は略直角三角形になされてもよく、この場合の底面幅は0.01〜mm、高さは0.011〜5.5mmになされるのが好ましい。
【0057】
凸条の固定部が微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部に近すぎると超音波融着する際に、溶融樹脂が微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部に流入して微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の閉塞や体積の減少を引き起こし、マイクロリアクターとしての所望の性能を発揮できなくなり、逆に、遠すぎると、所望の微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の体積により大幅なズレが出るので流れの管理が困難になるので、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部と、凸条の固定部の底面端部との間隔は0.05〜2mmが好ましい。
【0058】
上記凹部の形状は、上記凸条の固定部が嵌合されうる形状であればよいが、凸状の固定部と凹部が接していると、超音波融着する際に、超音波により接触部分が溶融され、超音波エネルギーが無駄に消費されることになるので、凹部の幅は凸状の固定部の幅より広くなされ、両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、固定部と凹部の間に実質的に空隙が形成されているのが好ましい。
【0059】
この空隙の間隔は少しあればよく、大きくなると両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、熱可塑性樹脂基板がずれ位置決めが正確になされなくなるので、0.01〜0.1mmが好ましい。
【0060】
又、凹条の深さは、凸条の固定部と凸条の超音波融着部の高さの合計より浅く、両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、凸条の超音波融着部の先端が凹条底部に当接されるのが好ましく、更に、超音波融着部を超音波溶融して融着した際に凸条の固定部の底面と凹条の表面が面一になるように形成されているのが好ましい。
【0061】
次に図面を参照して説明する。図5は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板の異なる例を示す要部断面図であり、図6は微細流路及び液体
クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されていない熱可塑性樹脂基板の異なる例を示す要部断面図である。
【0062】
熱可塑性樹脂基板1’は縦30mm、横50mm、厚さ1mmであり、略中央に幅2mm、深さ0.2mmの液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部2’が形成されている。液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部2’の両側には、液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部2’の端部に沿って0.5mmの間隔で、幅2.1mm、深さ0.22mmの凹条12、12が形成されている。
【0063】
熱可塑性樹脂基板9’は縦30mm、横50mm、厚さ1mmであり、底面幅2.0mm、高さ0.15mmの断面形状が略長方形の凸条である固定部8’、8’が形成され、固定部8’、8’の上に底面幅2.0mm、高さ0.09mmの断面形状が略二等辺三角形の凸条である超音波融着部10’、10’が形成されている。、固定部8’、8’は、熱可塑性樹脂基板1’と熱可塑性樹脂基板9’を積層した際に、凹条12、12に嵌合されるように形成されている。
【0064】
上記熱可塑性樹脂基板1’と熱可塑性樹脂基板9’を超音波融着するには、上記熱可塑性樹脂基板1’と熱可塑性樹脂基板9’の上面を対向させ、超音波融着部10’、10’及び固定部8’、8’を凹部12、12に嵌合し、上記超音波融着条件で接着すればよく、その結果、熱可塑性樹脂基板1’と熱可塑性樹脂基板9’の間に液体クロマトグラフ用カラム部等が形成されているマイクロリアクターが得られる。
【発明の効果】
【0065】
請求項1記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、微細流路や液体クロマトグラフ用カラムに接着剤等が詰まることなく、複数の熱可塑性樹脂基板が強固に接着され、その間に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が形成されているマイクロリアクターを容易且つ安価に製造することができる。
【0066】
請求項2記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、凸条の超音波融着部の断面形状が、略二等辺三角形、略正三角形又は略直角三角形であるので、超音波融着により熱可塑性樹脂基板がより強固に接着される。
【0067】
請求項3記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部と、凸条の超音波融着部の底面端部との間隔が0.05〜2mmであるので、超音波融着しても溶融した熱可塑性樹脂が微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部に流入して微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が閉塞されたり、体積が減少することがない。
【0068】
請求項4記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、更に、熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、底面幅0.01〜5mm、高さ0.001〜5mmの凸状の固定部が形成され、他方の熱可塑性樹脂基板に該固定部が嵌合されうる凹部が形成されているので、熱可塑性樹脂基板を積層する際に位置決めが容易であり、熱融着する際にずれることがなく容易にマイクロリアクターを製造することができる。
【0069】
請求項5記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、固定部と凹部の間に実質的に空隙が形成されているので、熱融着する際に固定部が溶融されることがなく、超音波融着部と他の熱可塑性樹脂基板が超音波融着されるので効率よく融着することができる。
【0070】
請求項6記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、熱可塑性樹
脂基板のいずれか一方に、積層した際に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように、熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、底面幅0.01〜5mm、高さ0.001〜5mmの凸条の固定部が形成され、その上に底面幅0.01〜0.5mm、高さ0.01〜0.5mmの凸条の超音波融着部が形成されているので、微細流路や液体クロマトグラフ用カラムに接着剤等が詰まることなく、複数の熱可塑性樹脂基板が強固に接着され、その間に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が形成されているマイクロリアクターをより容易且つ安価に製造することができる。
【0071】
請求項7記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、凸条の固定部の断面形状が矩形又は台形であり、凸条の超音波融着部の断面形状が、略二等辺三角形、略正三角形又は略直角三角形である、又は凸条の固定部と凸条の超音波融着部の断面形状が一体として、略二等辺三角形、略正三角形又は略直角三角形であるので超音波融着により熱可塑性樹脂基板をより強固に接着することができる。
【0072】
請求項8記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部と、凸条の固定部の底面端部との間隔が0.05〜2mmであるので、超音波融着しても溶融した熱可塑性樹脂が微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部に流入して微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が閉塞されたり、体積が減少することがない。
【0073】
請求項9記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、凹条の深さは、凸条の固定部と凸条の超音波融着部の高さの合計より浅く、両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、凸条の超音波融着部の先端が凹条底部に当接されるので、超音波融着部を凹条の底部に押圧しながら超音波融着することになり、より強固に接着することができる。
【0074】
請求項10記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、凹条の幅は凸状の固定部の幅より広く、両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、固定部と凹条の間に実質的に空隙が形成されているので、熱融着する際に固定部が溶融されることがなく、超音波融着部と他の熱可塑性樹脂基板が超音波融着されるので効率よく融着することができる。
【0075】
請求項11記載のマイクロリアクターの製造方法の構成は上述の通りであり、凸条の超音波融着部の屈曲部の曲率半径が0.01〜0.5mmであるので、超音波融着部の屈曲部と他の熱可塑性樹脂基板を効率よく融着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0076】
次に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0077】
(実施例1)
図1〜4で示したメチルメタクリレート樹脂製の熱可塑性樹脂基板1及び9を用いてマイクロリアクターを製造した。先ず、熱可塑性樹脂基板1の濾紙設置部用の凹部3に濾紙を設置し、接着剤で仮止めした。
【0078】
次に、熱可塑性樹脂基板1を超音波融着機のサンプルステージにセットし、その上に熱可塑性樹脂基板9を固定部8が凹部11に嵌合し、超音波融着部10が熱可塑性樹脂基板1に当接するように積層し、熱可塑性樹脂基板1と水平にホーン(超音波発振治具)を接触させた。これにより、基板全面に均一に超音波が照射される。
【0079】
次いで、照射時間0.1秒、積算発振エネルギー10ws、熱可塑性樹脂基板9へのプレス圧力6kg/cm2 、プレス速度5cm/secの条件で超音波融着を行い、更に、液体クロマトグラフ用充填材注入口7から液体クロマトグラフ用充填材(昭和電工社製、商品名PS−130)を注入し、液体クロマトグラフ用充填材注入口7を接着剤で塞いでマイクロリアクターを得た。尚、液体クロマトグラフ用充填材の平均粒径は20μmであり、予め10-3Nの硝酸で再生し、水で洗浄して使用した。
【0080】
得られたマイクロリアクターの試料及び溶離液注入口5とHPLCポンプ(昭和電工社製、商品名DS−4型)を接続し、水を50μl/minの速度で供給し、通液した。液体排出口6から水がでてくるのを確認した後、液体排出口6を閉鎖し、更に、HPLCポンプから水を供給し、マイクロリアクターから水漏れが始まったポンプ圧力を測定したところ50kgf/cmであった。
【0081】
(比較例1)
図1で示した熱可塑性樹脂基板1と熱可塑性樹脂基板を両面粘着テープで接着してマイクロリアクターを得た。得られたマイクロリアクターを用いて実施例1で行ったと同様にしてマイクロリアクターから水漏れが始まったポンプ圧力を測定したところ4kgf/cmであった。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板の一例を示す平面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部の凹部が形成されていない熱可塑性樹脂基板の一例を示す平面図である。
【図4】図3におけるB−B断面図である。
【図5】液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板の異なる例を示す要部断面図である。
【図6】微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されていない熱可塑性樹脂基板の異なる例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板
2 液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部
3 濾紙設置部用の凹部
4 微細流路用の凹部
5 試料及び溶離液注入口
6 液体排出口
7 液体クロマトグラフ用充填材注入口
8 固定部
9 微細流路及び液体クロマトグラフ用カラム部の凹部が形成されていない熱可塑性樹脂基板
10 超音波融着部
11 凹部
12 凹条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱可塑性樹脂基板が積層され、その間に、幅及び深さが0.1〜10000μmの微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が形成されているマイクロリアクターの製造方法であって、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板又はそれに積層される熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、積層した際に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように、底面幅0.01〜0.5mm、高さ0.01〜0.5mmの凸条の超音波融着部が形成されており、両方の熱可塑性樹脂基板を積層し、積算発振エネルギー200ws以下、発振時間5秒以下、熱可塑性樹脂基板の押さえ圧力0.1〜10kg/cm2 の条件で超音波融着することを特徴とするマイクロリアクターの製造方法。
【請求項2】
凸条の超音波融着部の断面形状が、略二等辺三角形、略正三角形又は略直角三角形であることを特徴とする請求項1記載のマイクロリアクターの製造方法。
【請求項3】
積層時に、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部と、凸条の超音波融着部の底面端部との間隔が0.05〜2mmであることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロリアクターの製造方法。
【請求項4】
熱可塑性樹脂基板のいずれか一方に、底面幅0.01〜5mm、高さ0.001〜5mmの凸状の固定部が形成され、他方の熱可塑性樹脂基板に該固定部が嵌合されうる凹部が形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のマイクロリアクターの製造方法。
【請求項5】
凹部の深さは凸状の固定部の高さより深く、凹部の幅は凸状の固定部の幅より広く、両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、固定部と凹部の間に実質的に空隙が形成されていることを特徴とする請求項4記載のマイクロリアクターの製造方法。
【請求項6】
複数の熱可塑性樹脂基板が積層され、その間に、幅及び深さが0.1〜10000μmの微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部が形成されているマイクロリアクターの製造方法であって、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部用の凹部が形成されている熱可塑性樹脂基板又はそれに積層される熱可塑性樹脂基板の少なくとも一方に、積層した際に微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部の周囲を囲むように、底面幅0.01〜5mm、高さ0.001〜5mmの凸条の固定部が形成され、その上に底面幅0.01〜0.5mm、高さ0.01〜0.5mmの凸条の超音波融着部が形成されており、他方の熱可塑性樹脂基板に該固定部及び超音波融着部が嵌合されうる凹条が形成されており、両方の熱可塑性樹脂基板を積層し、積算発振エネルギー200ws以下、発振時間5秒以下、熱可塑性樹脂基板の押さえ圧力0.1〜10kg/cm2 の条件で超音波融着することを特徴とするマイクロリアクターの製造方法。
【請求項7】
凸条の固定部の断面形状が矩形又は台形であり、凸条の超音波融着部の断面形状が、略二等辺三角形、略正三角形又は略直角三角形である、又は凸条の固定部と凸条の超音波融着部の断面形状が一体として、略二等辺三角形、略正三角形又は略直角三角形であることを特徴とする請求項6記載のマイクロリアクターの製造方法。
【請求項8】
積層時に、微細流路及び/又は液体クロマトグラフ用カラム部と、凸条の固定部の底面端部との間隔が0.05〜2mmであることを特徴とする請求項6又は7記載のマイクロリアクターの製造方法。
【請求項9】
凹条の深さは、凸条の固定部と凸条の超音波融着部の高さの合計より浅く、両方の熱可
塑性樹脂基板を積層した際に、凸条の超音波融着部の先端が凹条底部に当接されることを特徴とする請求項6、7又は8記載のマイクロリアクターの製造方法。
【請求項10】
凹条の幅は凸状の固定部の幅より広く、両方の熱可塑性樹脂基板を積層した際に、固定部と凹条の間に実質的に空隙が形成されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載のマイクロリアクターの製造方法。
【請求項11】
凸条の超音波融着部の屈曲部の曲率半径が0.01〜1.0mmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載のマイクロリアクターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−204983(P2006−204983A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17444(P2005−17444)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】