説明

マイクロリソグラフィ投影露光機の製造方法、対応する投影露光機及びそのための投影対物レンズ

【課題】マイクロリソグラフィ投影露光機の投影対物レンズの製造方法、及びそれにより対応して製造された投影対物レンズであって、高精度結像を得ることができ、特に材料の影響による結像収差又は設計固有の結像精度を最小化することができるものを提供する。
【解決手段】光学レンズ5を、シリコン含有材料の酸化により回転円板1上に堆積されるガラス、特に石英ガラス、好適には合成石英ガラスから製造し、回転円板をガラス堆積中に回転させることで、ガラスから成る円板4又はリングができるようにし、そこから光学レンズ5を切り離し、光学レンズ毎に円板又はリングの中心方向における二等分線が方位角0°を定義し、少なくとも1つの光学レンズを、光軸方向にz軸をとった投影露光機のデカルトxyz座標系において、x軸と平行な方位角を0°として組み込み、少なくとも1つの光学レンズを、y軸と平行な方位角を0°として組み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズをガラス、特に石英ガラス、好適には合成石英ガラスから製造するマイクロリソグラフィ投影露光機の製造方法、並びに対応する投影露光機及びそのための投影対物レンズに係る。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィ投影露光機は、マイクロエレクトロニクス又はナノテクノロジーにおけるナノ又はマイクロ構造の部品を製造するために使用される。投影露光機は、レチクルを、例えば、レーザのような光源からの光で照射する照射装置から成り、レチクルは製造されるべきマイクロ又はナノ構造に対応する構造を有する。照射されたレチクルは、投影対物レンズにより縮小された態様で、感光層で被覆された基板上に結像され、対応する構造を基板上に生成する。全体に光を照射したレチクルを段階的に何度も基板上に結像させる、いわゆるステッパと並んで、いわゆる走査型投影露光機もあり、この装置では、例えば、スロット状の、光スポットをマスク上で動かし、あるいはその逆を行い、光スポットをレチクル上で動かし走査させることによって、構造を基板に結像させる。この場合においても、構造は多数回重ねて基板上に結像され、指定ステップ走査も使用される。
【0003】
投影対物レンズ用に、光学レンズは、基板上に照射されたレチクルの縮小された結像をもたらすために使用される。この場合、光学レンズは,火炎加水分解法によって合成製造された石英ガラスから形成され、この方法は、サブppm範囲の非常に低濃度のみの金属不純物と所定のSiOH及びHの含有量とを含み、さもなくば純粋な二酸化ケイ素のみで構成されるという事実において優れた方法である。このような合成石英ガラスは、例えば,回転円板上に堆積される二酸化ケイ素によって製造することができ、前記回転円板は多数の材料提供装置及び酸化装置の下で回転され、前記二酸化ケイ素は、二酸化ケイ素を生成するために材料提供装置によって提供されたシリコン含有材料から酸化装置を用いて酸化される。例として、バーナに付随したノズルを設けることができ、シリコン及び/又は酸素を含む必須の材料がノズルを介して提供される一方、酸化反応のための熱エネルギーがバーナによって利用可能になる。これについては、米国特許出願公開第2005/0056806号公報の記載及び図面を参照されたい。
【0004】
二酸化ケイ素はゆえに回転する回転円板上に堆積して製造され、対応するガラス材料から成る対応する円板又はリングを形成する。
【0005】
光学レンズは、分離及び対応する成形材料プロセスによって、この合成製造された石英ガラスから得ることができ、これにより、その後投影露光機、又は特に投影対物レンズにおいて使用される。
【0006】
非常に低い不純物レベル及び高い均一性を有する高品質ガラスを上記の方法によって製造することができるが、マイクロリソグラフィ投影露光機において必要な結像精度があることにより、材料によって引き起こされる波面変形が原因で生じ得る結像収差を最小化するよう改善を求める必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0056806号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、本発明によって扱われる課題は、マイクロリソグラフィ投影露光機又は特に投影対物レンズの製造方法、及びそれにより対応して製造されたマイクロリソグラフィ投影露光機又は投影対物レンズであって、高精度結像を得ることができ、特に材料の影響による結像収差又は設計固有の結像精度を最小化することができるものを提供することである。同時に、この場合、製造方法は単純に実行可能になるよう意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、請求項1の特徴を備える方法、請求項12の特徴を備えるマイクロリソグラフィ投影露光機及び請求項8の特徴を備える投影対物レンズによって解決される。
従属請求項は、有利な構成に係る。
【0010】
本発明は、回転円板上の堆積を用いたガラス、特に合成石英ガラスの上記製造方法において、第一に、いわゆる長波長不均一性が円板中心点から中央領域と中央領域からエッジ領域との差として生じ、第二に、短波長不均一性がピッチ円に沿って又は円経路に対して接線方向に生じるという見識を基礎にする。それゆえ、一般的に、特性プロファイルは、ガラス円板又はガラスリングの形態で回転円板上に堆積した出発材料において、回転中心点からエッジへ半径方向に沿って生じる。つまりこれは、ガラスの特性が回転円板のエッジ及び中央における堆積状態の違いの結果として半径方向において変わり得ること(長波長収差)、及び特に材料供給装置及び酸化装置の違いの結果としてストリップ状の不均一性が円経路に対して接線方向に又はピッチ円に沿って生じ得ること(短波長収差)を意味する。
【0011】
これに対応して、より小さい特性差を、つまりより均一性のある実施態様を、半径方向に対して横方向において観察することができる。実質的な円筒体の形態の光学レンズを製造するためのブランクを、本来堆積されたガラス円板又は以下で円板という用語に付随的に包含されることも意図される対応するリングから切り離した場合、光学レンズのためのこれらのブランクでは、未加工のガラス円板における本来の半径方向に沿って確認され得る特性変化の方が、それに対して横方向の特性変化よりも大きい。一般的に、光学レンズ又は対応するブランクにおいて、本来堆積された円板本体の円板中心の方向における半径方向は、その中心点を中心とした光学レンズの極座標系において方位角0°として定義される。これに対応して、製造時に発生したストリップ状の不均一性は、円弧に沿って又はそれに対して接線方向に、本来のガラス円板の半径方向に対応する方位角0°方向に対して横方向に存在する。そのため、この方向に沿って例えば屈折率等の特性の変化、従って特性プロファイルが観察可能である。
【0012】
本来の円板の長波長収差は、レンズの光学的に使用される直径(一般的にブランク径の約90%)において波面収差をもたらし、これは傾斜収差(tilting aberrations)及び非点収差によって実質的に代表される。傾斜は対物レンズ製造中に容易に調整可能であるが、非点収差は撹乱効果を有する。出発材料の高周波(短波長)収差は、光学的に使用される直径における波面収差の局所勾配に対応付けることができる。更に、光学的効果は、副開口の波面収差として説明可能である。
【0013】
マイクロリソグラフィ投影露光機の、及び特に投影対物レンズの製造において、これは、1つのレンズが、光軸方向にz軸をとった投影露光機又は投影対物レンズにおけるデカルトxyz座標系のx軸と平行な方位角を0°として組み込まれ、少なくとも1つの光学レンズが、y軸と平行な方位角を0°として組み込まれるような方法で使用可能である。相互に90°回転させた光学レンズの方位は、光学レンズにわたる不均一性又は特性変化の補償をもたらすことができ、結像収差を最小化できるようになる。特に、光学レンズに分布する長波屈折率の違いによって引き起こされる収差をそれによって補償又は修正することができる。
【0014】
複数の光学レンズが投影露光機又は投影対物レンズにおいて使用されるので、光学レンズの対又は群を形成し、これらの対又は群内で結像収差の、特に非点収差の低減が得られるように、デカルトxyz座標系のz 軸及びy軸と平行な方位角を0°とする光学レンズの方位を選択することができる。これは、特に対物レンズがモジュール式に構成され、かつ群の回転又は交換によって調整される場合、又は群が後に交換される場合に有利である。
【0015】
更に、一方又は他方の方位で組み込まれる光学レンズの数及び/又は投影対物レンズもしくは投影露光機において相応の方位にある光学レンズの位置を、結像収差を最小化するために適合させ最適化することができる。
【0016】
更に、対応する結像収差を特性プロファイル又は特性差の大きさによって修正できるように、光学レンズを選択し、相応して投影露光機又は対物レンズに組み込むことが可能である。例として、投影対物レンズ又は投影露光機の光学レンズの対、群又は全体で、例えば非点収差のような結像収差を、1つ又は複数の特定光学レンズにおいて光学レンズ内で及び/又は他の光学レンズと比較してより大きい特性差を有する材料を使用することによって最小化することができる。従って、投影対物レンズ又は投影露光機における対、群内の残りの光学レンズの特性との組み合わせを用いて、結像収差の補償又は修正ができ、例えば非点収差を最小化できるようになる。これに関して材料の影響による結像収差を、特性変化を有する基本的に同材料から成る適切な光学レンズの組み合わせを用いて回避又は縮小することができるだけではなく、レンズ製造及び投影露光機又は投影対物レンズにおけるレンズの機械的固定によって引き起こされる結像収差を付随して修正することもできることに留意されたい。
【0017】
少なくとも2つの光学レンズが、投影対物レンズ又は投影露光機において相互に光軸に対して90°回転するように組み込まれるので、光学レンズが配置されるマウントは、回転可能に構成することができるか又は回転後の組み込みを可能にすることができる。あるいは、マウント内において異なる方位で光学レンズを配列することも可能である。
【0018】
本発明は、特に走査型投影露光機用に適しており、光学レンズの一領域にわたって光点を掃引する方向は、xyz座標系におけるx軸と平行として定義される。
【0019】
投影露光機のこのような実施態様場合において、過半数の光学レンズが投影露光機においてx軸と平行な方位角を0°として組み込まれれば有利である。なぜなら、この場合、走査方向が高周波ストリップ状の不均一性と直角であることによりこの不均一性が平均化されるからである。走査方向は、同時に長波長曲率とも直角を成し、その結果として実効非点収差が同様に低減される。しかしながら、結像収差低減は、ストリップの場合の方が顕著であり、それは、この場合は積分が通常は複数の全周期にわたって行われる一方で、非点収差の場合には積分長が概して1周期未満だからである。
【0020】
ストリップの走査積分により出来る限り多くのレンズがx軸と平行な方位角を0°として組み込まれることが意図されるが、それぞれ個々のレンズの非点収差は不完全にしか積算平均化されないので、全レンズを同方位で組み込んだ場合には全体で相当の非点収差が依然として生じる。したがって、この非点収差の補償のために、いくつかのレンズはy軸と平行な方位角を0°として組み込まれるよう意図されている。これらレンズの場合において、走査方向はストリップ及び長波長曲率と平行であり、つまりこれらの効果は平均化なしに積算され、ゆえに十分に有効になる。
しかしながら、これらのレンズにおける非点収差は、逆に90°回転させた方位の残りのレンズ又はレンズ群から完全に減じられる。
【0021】
このストリップの光学的効果が特に大きいのは、レンズ上における副開口の直径がストリップの幅以下又は複数のストリップの場合ストリップの周期以下であるときである。なぜなら、この場合に異なる副開口を通過するビームの偏向が著しく異なるからである。5cm〜10cmの典型的なストリップ周期及び2cm〜25cmの典型的な副開口直径の場合において副開口がストリップ周期よりも著しく大きく、ゆえにストリップの影響を受け難いレンズを発見することが常に可能である。
【0022】
したがって、y軸に平行な方位角を0°として組み込まれる光学レンズは、結像収差の補償を可能にするために、特に、投影露光機又は投影対物レンズにおける最大の副開口を有するレンズになり得る。最大の副開口の代替として、例えば副開口が最大の副開口を有する光学レンズの半分又は最大の副開口を有する光学レンズの2/3に属する、大きい副開口を有する光学レンズを選択することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
添付図面は、下記の図を単に概略的に示すものである。
【図1】不均一性及び切り出すべき光学レンズの位置を示した合成石英ガラス製造用装置の平面図である。
【図2】相対屈折率(ppm)を図1に従って製造されたガラス円板の半径に対して示すグラフである。
【図3】投影露光機の図解である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に関する更なる利点、特性及び特徴は、添付図面に関する例示的な実施態様の以下の説明において明らかになる。図1は,中心点6の周りで回転する回転円板1を備えている合成石英ガラス製造用装置の平面図を示す。回転円板は、例えば、珪砂から形成されるか又は対応するコーティングを備えることができ、回転円板1の上方にノズル及びバーナ3の配列が設けられ、これらに燃料及びシリコン含有化合物及び/又は酸素が供給ライン2を介して供給され、高純度の二酸化ケイ素が酸化により回転円板1上に堆積されるようになる。結果として、合成石英ガラス円板は、高い均一性を有して堆積され、回転運動に加えて、回転円板又はノズル及びバーナの配列の更なる運動を併用することにより堆積の均一性を更に向上させることができる。円板は、その直径が2m範囲内で、厚さが30cmの範囲内とすることができる。
【0025】
光学レンズ5を製造するためのブランクは、例えば水ジェット切断により円板4から切り離される。円板4が厚いため、複数の光学レンズ5を得るために、円板4から切り離された円柱を長手軸に対して横方向に一度又は繰り返し切断することができる。
【0026】
合成石英ガラスの非常に均質的な堆積は、中心点6を中心とした回転円板の回転及び独立空間方向における可能な並進運動の併用により可能であるが、不均一性9は、ノズル及びバーナ3における不均一動作の結果として生じる可能性があり、前記不均一性は、円経路に沿って又は円板4における円経路に対して接線方向に延在する円板4におけるストリップとして具体化される。
【0027】
ガラス円板4から切り離された光学レンズ5において、不均一性9は、それぞれの光学レンズの二等分線7に対して横方向に延びるストリップとして存在し、二等分線7は、中心点6から半径方向に光学レンズ6に延在する。光学レンズ5毎に定められる二等分線7は、光学レンズ5から中心点6の方向への対応する表示によって定められる0°と等しい方位角8を特定する。
【0028】
ピッチ円ストリップ又は円経路に沿う接線方向ストリップの形態の不均一性9と並んで、円板4の中央10及び円板4のエッジ11の両方における合成石英ガラスの堆積状態は、原則的にリング状領域における堆積状態と更に異なり、異なる堆積状態の結果として、異なる特性も、これらの領域、特に出発ディスクに関する半怪方向における特性プロファイルの形態で生じる。図1において、中央領域10及びエッジ領域11は、相応する破線によって分離される。種々の領域を、例えば、特性差が特定の限界値を下回るか上回るかによって定義することができる。
【0029】
図2は、図1の合成石英ガラス円板4の半径rに対して示される波長λ=633nmにおいて決定される相対屈折率(ppm)を示す。
【0030】
図2のグラフから明らかなとおり、相対屈折率の増加をコア領域10及びエッジ領域11において確認することができる一方で、レンズブランクが取り出される中央領域では、ピッチ円ストリップ又は接線方向ストリップ及び屈折率曲線の弱残留曲率の形態における不均一性9を除いて、半径に対する相対屈折率の比較的均一なプロファイルを確認することができる。
【0031】
図1から更に明らかなとおり、光学レンズは、好適には屈折率が光学レンズ5の全面でほぼ均一な中央領域から製造される。しかしながら、図2から窺えるように、ストリップ不均一性9の領域において屈折曲率に関する不均一性が生じ、屈折率曲線の一定の残留曲率が生じる。光学レンズ5が投影露光機において使用される場合に、屈折率に関するこれらの不均一性は高周波面収差を誘因し、その一方で、残留曲率は非点収差を誘因する。
【0032】
図3は,例えばKrfレーザの形態の光源2を備えている対応する投影露光機の単なる概略図を示しており、光源2からの光が照射装置30を介してレチクル40へ導かれ、レチクル40の構造が投影対物レンズ50を用いて感光性レジストで被覆された基板60上に結像される。図3は、投影対物レンズ50における複数の光学レンズ51,52,53,及び54を例絵として示し、これらは合成石英ガラス円板4における光学レンズ5のブランクから例えば形成される。この図解は単に概略的であり一例にすぎないので、異なる配列で光学レンズの数を増減できることが明らかに理解できる。
【0033】
本発明に従うと、全ての光学レンズ51〜54あるいは光学レンズの対又は群は、投影対物レンズ50全体又は対応する対又は群について、合成石英ガラスの製造中に生じた不均一性によって発生するか又は相応して形成された屈折率分布によって発生する非点収差を最小化するように組み込まれる。本目的のために、光学レンズ51〜54の一部はx軸と平行な方位角を0°として、また光学レンズ51〜54の残りの部分はy軸と平行な方位角を0°として、投影対物レンズ50内に組み込まれる。結果として、方位角0°に平行な方向に沿う屈折率プロファイルは、非点収差を互いに補償し、ゆえに修正できるように、相互に直角をなして方向づけられる。
【0034】
更に、光学レンズ51〜54のいくつかを、合成石英ガラス円板4の中央領域に関する屈折率の比較的大きい変化が認められ得る合成石英ガラス円板4のコア領域10又はエッジ領域11から得ることができ、その目的は、1つ又は複数の光学レンズ51〜54の変化した屈折率で非点収差の補償又は修正をもたらすことである。これは、石英ガラス円板4からより多くの光学レンズ5を得ることによって投影露光機又は投影対物レンズの製造効率を向上する可能性を与える。
【0035】
例として、投影対物レンズ50は、20個のx方位レンズを有することができ、これらは平均して0.015ppmの非点収差があり、最大0.5ppmの仕様である。0.5ppm〜1.5ppmの仕様で0.8ppmの典型的な平均値を有する3個のyレンズを、付加的に提供することができる。
【0036】
図3において概略的に示されているような対応する投影露光機におけるビーム経路(詳細に図示されず)は、個々の光学レンズ51〜54毎の異なる副開口となる。スロット形態の光点をレチクル40にわたって動かす走査モードにおける投影露光機の作動中、特に複数の光学レンズ51〜54を、光点が移動するx軸に平行な方位角を0°として整列させ、かつ、好適にはコア領域またはエッジ領域から切断される非点収差の大きい少数の光学レンズをy軸に平行に整列させた場合に、y軸に平行に整列させた光学レンズが大きな副開口を有していれば、これらのレンズはより高い高周波収差の影響を受けにくいので、高周波収差の僅かな増加と共に非点収差を有利に補償することができる。
【0037】
投影対物レンズ50において光学レンズ51〜54を相応して配列できるようにするために、z軸、すなわち光軸の周りを回転可能なマウントを設けることができるか、又は固定マウントの場合は対応する光学レンズ51〜54を所望の方位に従ってマウントに配列できる。
【0038】
本発明を例示的な実施態様に基づき詳細に記述したが、本発明は前記例示的な実施態様に制限されず、添付の請求の範囲における保護範囲から逸脱しない限り、個々の特徴の異なる組み合わせを実現するような又は個々の特徴を省くような逸脱は可能であることが、当業者には自明である。特に、本発明は、前述した全ての個々の特徴のあらゆる組み合わせを含んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィ投影露光機を製造する方法であって、光学レンズ(5,51,52,53,54)を、シリコン含有材料の酸化により回転円板(1)上に堆積されるガラス、特に石英ガラス、好適には合成石英ガラスから製造し、前記回転円板をガラス堆積中に回転させることで、ガラスから成る円板(4)又はリングができるようにし、そこから前記光学レンズ(5,51,52,53,54)を切り離し、該光学レンズ毎に前記円板又はリングの中心方向における二等分線が方位角0°を定義する方法において、
少なくとも1つの光学レンズを、光軸方向にz軸をとった前記投影露光機のデカルトxyz座標系において、x軸と平行な方位角を0°として組み込み、少なくとも1つの光学レンズを、y軸と平行な方位角を0°として組み込むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって,
方位角0°をx軸及びy軸と平行に整列させた前記光学レンズ(5,51,52,53,54)を、それぞれの光学レンズの数及び/又は前記投影露光機、特に投影対物レンズにおけるそれぞれの光学レンズの位置に関して、及び/又は特性プロファイルの均一性及び/又は特性差の大きさに関して選択することで、前記投影露光機、特に前記投影対物レンズにおける波面収差、特に非点収差を最小化するか、又は方位角0°をx軸及びy軸と平行の整列させた光学レンズ(5,51,52,53,54)の対又は群を形成し、該群におけるそれぞれの光学レンズの数及び/又は前記群におけるそれぞれの光学レンズの位置に関して、及び/又は特性プロファイルの均一性及び/又は特性差の大きさに関して選択することで、前記対又は群における波面収差、特に非点収差を最小化することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記光学レンズ(51,52,53,54)は、その位置に応じて方位角0°に沿う半径方向に平行な屈折率変化を持ち、屈折率の差が特定の値を超える光学レンズのみを、前記投影露光機及び特に前記投影対物レンズにおける特定の光学レンズとして使用することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の方法であって、
前記光学レンズ(5,51,52,53,54)を、固定マウントに相互に回転する態様で配置、特に粘着接合するか、又は各自のマウントと共に相互に回転させることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の方法であって、
該方法を、前記光学レンズの一領域にわたって光点を掃引する投影露光機に使用し、前記領域にわたって前記光点を掃引する方向がx軸と平行であることを特徴とする。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
過半数の前記光学レンズ(5,51,52,53,54)を、前記投影露光機又は前記投影対物レンズにおいてx軸と平行な方位を角0°として組み込むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の方法であって、
y軸と平行な方位角を0°として組み込んだ光学レンズ(5,51,52,53,54)は、前記投影露光機又は前記投影対物レンズにおいて最大の副開口を有し、好適には、前記レンズ又は対応するレンズの光路の20%のみに関係し、前記レンズの前記副開口は、それぞれ光学的に使用される直径の70%を超えるか又は10cmを超えることを特徴とする方法。
【請求項8】
マイクロリソグラフィ投影露光用の投影対物レンズであって、ガラス、特に石英ガラス、好適には合成石英ガラスから成る複数の光学レンズ(5,51,52,53,54)を備えており、少なくとも複数の光学レンズはその位置に応じて方位角0°に沿う半径方向に平行な屈折率変化を持ち、該変化は特に前記方向に直角の変化よりも大きい投影対物レンズにおいて、
少なくとも1つの光学レンズは、光軸方向にz軸をとった前記投影露光機のデカルトxyz座標系において、x軸と平行な方位角を0°として組み込まれ、少なくとも1つの光学レンズは、y軸と平行な方位角を0°として組み込まれることを特徴とする投影対物レンズ。
【請求項9】
請求項8に記載の投影対物レンズであって、
方位角0°をx軸及びy軸と平行に整列させた前記光学レンズ(5,51,52,53,54)を、それぞれの光学レンズの数及び/又は前記投影露光機、特に投影対物レンズにおけるそれぞれの光学レンズの位置に関して、及び/又は特性プロファイルの均一性及び/又は特性差の大きさに関して選択することで、前記投影露光機、特に前記投影対物レンズにおける波面収差、特に非点収差を最小化するか、又は方位角0°をx軸及びy軸と平行の整列させた光学レンズ(5,51,52,53,54)の対又は群を形成し、該群におけるそれぞれの光学レンズの数及び/又は前記群におけるそれぞれの光学レンズの位置に関して、及び/又は特性プロファイルの均一性及び/又は特性差の大きさに関して選択することで、前記対又は群における波面収差、特に非点収差を最小化することを特徴とする投影対物レンズ。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の投影対物レンズにおいて、
前記光学レンズ(5,51,52,53,54)を、相互に回転可能なマウント上に配置することを特徴とする投影対物レンズ。
【請求項11】
請求項8又は9に記載の投影対物レンズであって、
前記光学レンズ(5,51,52,53,54)の方位角表示は、走査型投影露光機における使用中に、前記光学レンズの一領域にわたって光点を掃引するように調整され、前記領域にわたって前記光点を掃引する方向はx軸と平行であり、過半数の前記光学レンズを、前記投影露光機又は前記投影対物レンズにおいてx軸と平行な方位角を0°として組み込み、かつ/又はy軸と平行な方位を角0°として組み込んだ光学レンズは、前記投影露光機又は前記投影対物レンズにおいて最大の副開口を有することを特徴とする投影対物レンズ。
【請求項12】
請求項8〜11の何れか一項に記載の投影対物レンズを備えている、特に走査型のマイクロリソグラフィ用投影露光機。
【請求項13】
KrFエキシマレーザで及び/又は約248nmの波長において作動する請求項12記載の特に走査型のマイクロリソグラフィ用投影露光機。
【請求項14】
水銀灯で及び/又は約365nmの波長において作動する請求項12記載の特に走査型のマイクロリソグラフィ用投影露光機。
【請求項15】
ArFレーザで及び/又は約193nmの波長において作動する請求項12記載の特に走査型のマイクロリソグラフィ用投影露光機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−186466(P2012−186466A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−29471(P2012−29471)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】