マイクロレンズシートの製造方法およびマイクロレンズシート原版の製造方法
【課題】
マイクロレンズシートの製造方法を容易に且つ安定的に提供する。
【解決手段】
微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、導電層を形成し、前記導電層に電鋳処理により金属膜を形成し、前記金属膜を導電層の形成されたマイクロレンズシートから剥離してマイクロレンズパターンが形成されている面が表面となるように新たな円筒ロールに巻いてシリンダー金型とし、硬化性樹脂により連続的に作製できることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法などを提供する。
マイクロレンズシートの製造方法を容易に且つ安定的に提供する。
【解決手段】
微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、導電層を形成し、前記導電層に電鋳処理により金属膜を形成し、前記金属膜を導電層の形成されたマイクロレンズシートから剥離してマイクロレンズパターンが形成されている面が表面となるように新たな円筒ロールに巻いてシリンダー金型とし、硬化性樹脂により連続的に作製できることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法などを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、フレネルレンズシートと組み合わせて、液晶プロジェクションテレビ等に使用される透過型スクリーンを構成する高視野角なマイクロレンズシートの製造方法およびその製造に用いられる原版の製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、液晶プロジェクションテレビが普及し、またデジタル放送に対応した映像画質の高精細、高画質化が求められている。液晶プロジェクションテレビ等に使用される背面投射型スクリーンは主に、集光、収束を目的としたフレネルレンズシートと、拡散、発散を目的とした他の拡散レンズシートとの組み合わせにより構成されているが、上記に伴い、液晶プロジェクターの画素数も増大しており、背面投射型スクリーンもファインピッチ化、高コントラスト化、さらには高視野角化が進んでおり、その一例とされるマイクロレンズシートも高精度さを求められている。
【０００３】
特許文献１に記載されているように、液晶パネルなどの基材上に形成されるマイクロレンズ、プロジェクションスクリーン用レンズ等の光学部品用金型作製時に、第１の微細凹凸パターンから第２の微細凹凸パターンを硬化性樹脂を用いて複製する際に、レジストと樹脂間の密着が強すぎるため部分的または全面で剥離を行えず第１の微細凹凸パターンが破壊されてしまい、特に大版での複製には不向きであるという問題があった。
【０００４】
以上のような技術的背景から、感光性樹脂層を使用した原版から容易に且つ安定的に、高視野角、高コントラストを期待されるマイクロレンズシートの製造方法が要求されている。
【０００５】
特許文献等は以下の通りである。
【特許文献１】特開２００５−１５３２７１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記の技術的背景を考慮されたものであり、フレネルレンズシートと組み合わせて、液晶プロジェクションテレビ等に使用される背面投射型スクリーンを構成するマイクロレンズシートの製造方法を容易に且つ安定的に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題は、以下の発明により解決できる。すなわち、請求項１記載の発明は、微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し原版とし、前記原版から硬化性樹脂により成型されることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法である。
【０００８】
請求項２記載の発明は、微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、導電層を形成し、前記導電層に電鋳処理により金属膜を形成し、前記金属膜を導電層の形成されたマイクロレンズシートから剥離してマイクロレンズパターンが形成されている面が表面となるように新たな円筒ロールに巻いてシリンダー金型とし、硬化性樹
脂により連続的に作製できることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法である。
【０００９】
請求項３記載の発明は、前記マイクロレンズのレンズアレイ部は、非球面形状の曲率を持つ単位レンズを含み、単位レンズの配列ピッチが１２０μｍ以下であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法である。
【００１０】
請求項４記載の発明は、前記マイクロレンズアレイ部の単位レンズが、マトリクス配列、ランダム配列、ハニカム配列の何れかであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法である。
【００１１】
請求項５記載の発明は、前記硬化型樹脂が光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法である。
【００１２】
請求項６記載の発明は、微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、これから硬化性樹脂により成型されることを特徴とするマイクロレンズシート原版の製造方法である。
【００１３】
請求項７記載の発明は、前記マイクロレンズのレンズアレイ部は、非球面形状の曲率を持つ単位レンズを含み、単位レンズの配列ピッチが１２０μｍ以下であることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法である。
【００１４】
請求項８記載の発明は、前記マイクロレンズアレイ部の単位レンズが、マトリクス配列、ランダム配列、ハニカム配列の何れかであることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法である。
【００１５】
請求項９記載の発明は、前記硬化型樹脂が光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法である。
【発明の効果】
【００１６】
本発明により、フレネルレンズシートと組み合わせて、液晶プロジェクションテレビ等に使用される背面投射型スクリーンを構成するマイクロレンズシートの製造方法を容易に且つ安定的に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【００１８】
図１は本発明によるマイクロレンズレンズシートの斜視図の一例であり、図２は断面図の一例である。透明性基材（１２）の片面に２次元的にマトリクス形状に多数配列されたマイクロレンズ（１１）が形成されている。
【００１９】
図３は本発明によるマイクロレンズシートを作製する原版の作製方法の一例であり、図４は前記原版を用いたマイクロレンズシートの製造方法の一例である。図３において、円筒ロール（３１）に感光性樹脂層（３２）を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り（３３）、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層（３４）を形成し原版とする（３５）。ここで、図４のような製造装置（４１）、並びに前記原版を用いて透明性基材上に硬化性樹脂を塗布、硬化させ、マイクロレンズを形成
し、マイクロレンズシート（１０）とする。
【００２０】
本発明で使用する円筒ロールは、ガラス、樹脂、金属などにより形成されている。寸法は特に限定されないが１０００ｍｍ〜２０００ｍｍ、断面直径が１０〜２００ｍｍである。
【００２１】
本発明で使用する感光性樹脂層の塗布材料としては、特定の波長に感度を有する感光性のポジ型レジストが好ましい。円筒ロールの周縁にディップコート法で塗布して樹脂層を形成する。ここで前記感光性樹脂層はレジストの粘度やディップコートの速度によりマイクロレンズ形成に必要な膜厚３０〜１５０μｍを形成する。
【００２２】
本発明で使用するレーザーは前記感光性樹脂層に感度に合わせた波長域を持ち、発振出力が１００ｍＷを超えるものが好ましい。図示しないが、レーザー光の積算パワーが量を制御しながらレーザー光の焦点位置及び滞在時間を設定し、レーザー光が前記感光性樹脂層内の化学結合を切断しながら描画することでマイクロレンズパターンを形成する走査装置を併せ持つことが好ましい。
【００２３】
本発明で形成する剥離層の方法としては、スパッタリング法、金属蒸着法、ＥＢ蒸着法、銀鏡反応法または無電解メッキ法が挙げられるが、前記感光性樹脂層との密着力を考慮するとドライ工程であるスパッタリング法が好ましい。また、剥離層の材質としては特に限定されるものではないが、例えばシリコンを１０００Å程度スパッタリング法にて形成するなど硬化性樹脂との剥離に適した材質であることが好ましい。
【００２４】
また、スパッタリング法などで形成された薄膜を保護膜とし、シランカップリング剤とディップコート法にて塗布、乾燥させ併せて剥離層とすることもできる。
【００２５】
本発明でマイクロレンズを形成する透明性基材としてはレンズ部が形成される面に易接着処理のされた紫外線透過性を有する樹脂フィルムが好ましい。この樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレートや、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどが使用される。
【００２６】
図５は別な本発明によるマイクロレンズシートの製造方法の元となるシリンダー金型作製の一例であり、図６は作製されたマイクロレンズのシリンダー金型である。また、図７は前記シリンダー金型を用いたマイクロレンズシートの製造方法の一例である。図３の原版、図４の製造装置から作製されたマイクロレンズシート（１０）に導電層（５１）を形成し、前記導電層に電鋳処理により金属膜（５２）を形成し、前記金属膜を導電層の形成されたマイクロレンズシートから剥離してマイクロレンズパターンが形成されている面が表面となるように新たな円筒ロール（５３）に巻いてシリンダー金型とし（６１）、再度図７に示す製造装置にて硬化性樹脂を塗布、硬化させ、マイクロレンズを形成し、マイクロレンズシートとする、連続的かつ大型化の可能な製造方法の一例である。
【００２７】
本発明で形成する導電層の方法としては、スパッタリング法、金属蒸着法、ＥＢ蒸着法、銀鏡反応法または無電解メッキ法が挙げられるが、硬化性樹脂との密着力を考慮するとドライ工程であるスパッタリング法が好ましい。また、導電層の材質としては特に限定されるものではないが、次の工程である電鋳に適した材質であることが好ましい。
【００２８】
本発明で電鋳処理により形成される金属膜の材料としては、ニッケル、その合金またはその化合物のうちいずれかの他、銅、銀、金、クロム、チタン、鉄、亜鉛のいずれか一種からなる金属、これら二種以上からなる合金、またはこれらのうち少なくとも一種を含む化合物などが挙げられるが、特に電鋳適性や硬化性樹脂との剥離性を考慮するとニッケル
やニッケル・コバルト合金が好ましい。また、金属膜の厚さとしては曲げる為の剛性を考慮して５０μｍ〜１ｍｍの範囲とするのが好ましい。
【００２９】
以上詳細に示したように、フレネルレンズシートと組み合わせて、液晶プロジェクションテレビ等に使用される背面投射型スクリーンを構成するマイクロレンズシート、及びその製造方法を容易に且つ安定的に提供することが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明のマイクロレンズシートの一例を示す斜視図である。
【図２】本発明のマイクロレンズシートの一例を示す断面図である。
【図３】本発明によるマイクロレンズシートを作製する原版の作製方法の一例を示す工程図である。
【図４】本発明による前記原版を用いたマイクロレンズシートの製造方法の一例を示す断面図である。
【図５】本発明によるマイクロレンズシートの製造方法の元となるシリンダー金型作製の一例を示す工程図である。
【図６】本発明により作製されたマイクロレンズのシリンダー金型の一例を示す断面図である。
【図７】本発明による前記マイクロレンズのシリンダー金型を用いたマイクロレンズシートの製造方法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【００３１】
１０‥マイクロレンズシート
１１‥マイクロレンズ
１２‥透明性基材
３１‥円筒ロール
３２‥感光性樹脂層
３３‥マイクロレンズ形状の象られた感光性樹脂層
３４‥剥離層
３５‥マイクロレンズシート作製用原版
４１‥製造装置
５１‥導電層
５２‥金属膜
５３‥新たな円筒ロール
６１‥マイクロレンズのシリンダー金型
【技術分野】
【０００１】
本発明は、フレネルレンズシートと組み合わせて、液晶プロジェクションテレビ等に使用される透過型スクリーンを構成する高視野角なマイクロレンズシートの製造方法およびその製造に用いられる原版の製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、液晶プロジェクションテレビが普及し、またデジタル放送に対応した映像画質の高精細、高画質化が求められている。液晶プロジェクションテレビ等に使用される背面投射型スクリーンは主に、集光、収束を目的としたフレネルレンズシートと、拡散、発散を目的とした他の拡散レンズシートとの組み合わせにより構成されているが、上記に伴い、液晶プロジェクターの画素数も増大しており、背面投射型スクリーンもファインピッチ化、高コントラスト化、さらには高視野角化が進んでおり、その一例とされるマイクロレンズシートも高精度さを求められている。
【０００３】
特許文献１に記載されているように、液晶パネルなどの基材上に形成されるマイクロレンズ、プロジェクションスクリーン用レンズ等の光学部品用金型作製時に、第１の微細凹凸パターンから第２の微細凹凸パターンを硬化性樹脂を用いて複製する際に、レジストと樹脂間の密着が強すぎるため部分的または全面で剥離を行えず第１の微細凹凸パターンが破壊されてしまい、特に大版での複製には不向きであるという問題があった。
【０００４】
以上のような技術的背景から、感光性樹脂層を使用した原版から容易に且つ安定的に、高視野角、高コントラストを期待されるマイクロレンズシートの製造方法が要求されている。
【０００５】
特許文献等は以下の通りである。
【特許文献１】特開２００５−１５３２７１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記の技術的背景を考慮されたものであり、フレネルレンズシートと組み合わせて、液晶プロジェクションテレビ等に使用される背面投射型スクリーンを構成するマイクロレンズシートの製造方法を容易に且つ安定的に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題は、以下の発明により解決できる。すなわち、請求項１記載の発明は、微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し原版とし、前記原版から硬化性樹脂により成型されることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法である。
【０００８】
請求項２記載の発明は、微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、導電層を形成し、前記導電層に電鋳処理により金属膜を形成し、前記金属膜を導電層の形成されたマイクロレンズシートから剥離してマイクロレンズパターンが形成されている面が表面となるように新たな円筒ロールに巻いてシリンダー金型とし、硬化性樹
脂により連続的に作製できることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法である。
【０００９】
請求項３記載の発明は、前記マイクロレンズのレンズアレイ部は、非球面形状の曲率を持つ単位レンズを含み、単位レンズの配列ピッチが１２０μｍ以下であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法である。
【００１０】
請求項４記載の発明は、前記マイクロレンズアレイ部の単位レンズが、マトリクス配列、ランダム配列、ハニカム配列の何れかであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法である。
【００１１】
請求項５記載の発明は、前記硬化型樹脂が光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法である。
【００１２】
請求項６記載の発明は、微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、これから硬化性樹脂により成型されることを特徴とするマイクロレンズシート原版の製造方法である。
【００１３】
請求項７記載の発明は、前記マイクロレンズのレンズアレイ部は、非球面形状の曲率を持つ単位レンズを含み、単位レンズの配列ピッチが１２０μｍ以下であることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法である。
【００１４】
請求項８記載の発明は、前記マイクロレンズアレイ部の単位レンズが、マトリクス配列、ランダム配列、ハニカム配列の何れかであることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法である。
【００１５】
請求項９記載の発明は、前記硬化型樹脂が光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法である。
【発明の効果】
【００１６】
本発明により、フレネルレンズシートと組み合わせて、液晶プロジェクションテレビ等に使用される背面投射型スクリーンを構成するマイクロレンズシートの製造方法を容易に且つ安定的に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【００１８】
図１は本発明によるマイクロレンズレンズシートの斜視図の一例であり、図２は断面図の一例である。透明性基材（１２）の片面に２次元的にマトリクス形状に多数配列されたマイクロレンズ（１１）が形成されている。
【００１９】
図３は本発明によるマイクロレンズシートを作製する原版の作製方法の一例であり、図４は前記原版を用いたマイクロレンズシートの製造方法の一例である。図３において、円筒ロール（３１）に感光性樹脂層（３２）を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り（３３）、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層（３４）を形成し原版とする（３５）。ここで、図４のような製造装置（４１）、並びに前記原版を用いて透明性基材上に硬化性樹脂を塗布、硬化させ、マイクロレンズを形成
し、マイクロレンズシート（１０）とする。
【００２０】
本発明で使用する円筒ロールは、ガラス、樹脂、金属などにより形成されている。寸法は特に限定されないが１０００ｍｍ〜２０００ｍｍ、断面直径が１０〜２００ｍｍである。
【００２１】
本発明で使用する感光性樹脂層の塗布材料としては、特定の波長に感度を有する感光性のポジ型レジストが好ましい。円筒ロールの周縁にディップコート法で塗布して樹脂層を形成する。ここで前記感光性樹脂層はレジストの粘度やディップコートの速度によりマイクロレンズ形成に必要な膜厚３０〜１５０μｍを形成する。
【００２２】
本発明で使用するレーザーは前記感光性樹脂層に感度に合わせた波長域を持ち、発振出力が１００ｍＷを超えるものが好ましい。図示しないが、レーザー光の積算パワーが量を制御しながらレーザー光の焦点位置及び滞在時間を設定し、レーザー光が前記感光性樹脂層内の化学結合を切断しながら描画することでマイクロレンズパターンを形成する走査装置を併せ持つことが好ましい。
【００２３】
本発明で形成する剥離層の方法としては、スパッタリング法、金属蒸着法、ＥＢ蒸着法、銀鏡反応法または無電解メッキ法が挙げられるが、前記感光性樹脂層との密着力を考慮するとドライ工程であるスパッタリング法が好ましい。また、剥離層の材質としては特に限定されるものではないが、例えばシリコンを１０００Å程度スパッタリング法にて形成するなど硬化性樹脂との剥離に適した材質であることが好ましい。
【００２４】
また、スパッタリング法などで形成された薄膜を保護膜とし、シランカップリング剤とディップコート法にて塗布、乾燥させ併せて剥離層とすることもできる。
【００２５】
本発明でマイクロレンズを形成する透明性基材としてはレンズ部が形成される面に易接着処理のされた紫外線透過性を有する樹脂フィルムが好ましい。この樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレートや、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどが使用される。
【００２６】
図５は別な本発明によるマイクロレンズシートの製造方法の元となるシリンダー金型作製の一例であり、図６は作製されたマイクロレンズのシリンダー金型である。また、図７は前記シリンダー金型を用いたマイクロレンズシートの製造方法の一例である。図３の原版、図４の製造装置から作製されたマイクロレンズシート（１０）に導電層（５１）を形成し、前記導電層に電鋳処理により金属膜（５２）を形成し、前記金属膜を導電層の形成されたマイクロレンズシートから剥離してマイクロレンズパターンが形成されている面が表面となるように新たな円筒ロール（５３）に巻いてシリンダー金型とし（６１）、再度図７に示す製造装置にて硬化性樹脂を塗布、硬化させ、マイクロレンズを形成し、マイクロレンズシートとする、連続的かつ大型化の可能な製造方法の一例である。
【００２７】
本発明で形成する導電層の方法としては、スパッタリング法、金属蒸着法、ＥＢ蒸着法、銀鏡反応法または無電解メッキ法が挙げられるが、硬化性樹脂との密着力を考慮するとドライ工程であるスパッタリング法が好ましい。また、導電層の材質としては特に限定されるものではないが、次の工程である電鋳に適した材質であることが好ましい。
【００２８】
本発明で電鋳処理により形成される金属膜の材料としては、ニッケル、その合金またはその化合物のうちいずれかの他、銅、銀、金、クロム、チタン、鉄、亜鉛のいずれか一種からなる金属、これら二種以上からなる合金、またはこれらのうち少なくとも一種を含む化合物などが挙げられるが、特に電鋳適性や硬化性樹脂との剥離性を考慮するとニッケル
やニッケル・コバルト合金が好ましい。また、金属膜の厚さとしては曲げる為の剛性を考慮して５０μｍ〜１ｍｍの範囲とするのが好ましい。
【００２９】
以上詳細に示したように、フレネルレンズシートと組み合わせて、液晶プロジェクションテレビ等に使用される背面投射型スクリーンを構成するマイクロレンズシート、及びその製造方法を容易に且つ安定的に提供することが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明のマイクロレンズシートの一例を示す斜視図である。
【図２】本発明のマイクロレンズシートの一例を示す断面図である。
【図３】本発明によるマイクロレンズシートを作製する原版の作製方法の一例を示す工程図である。
【図４】本発明による前記原版を用いたマイクロレンズシートの製造方法の一例を示す断面図である。
【図５】本発明によるマイクロレンズシートの製造方法の元となるシリンダー金型作製の一例を示す工程図である。
【図６】本発明により作製されたマイクロレンズのシリンダー金型の一例を示す断面図である。
【図７】本発明による前記マイクロレンズのシリンダー金型を用いたマイクロレンズシートの製造方法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【００３１】
１０‥マイクロレンズシート
１１‥マイクロレンズ
１２‥透明性基材
３１‥円筒ロール
３２‥感光性樹脂層
３３‥マイクロレンズ形状の象られた感光性樹脂層
３４‥剥離層
３５‥マイクロレンズシート作製用原版
４１‥製造装置
５１‥導電層
５２‥金属膜
５３‥新たな円筒ロール
６１‥マイクロレンズのシリンダー金型
【特許請求の範囲】
【請求項１】
微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し原版とし、前記原版から硬化性樹脂により成型されることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項２】
微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、導電層を形成し、前記導電層に電鋳処理により金属膜を形成し、前記金属膜を導電層の形成されたマイクロレンズシートから剥離してマイクロレンズパターンが形成されている面が表面となるように新たな円筒ロールに巻いてシリンダー金型とし、硬化性樹脂により連続的に作製できることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項３】
前記マイクロレンズのレンズアレイ部は、非球面形状の曲率を持つ単位レンズを含み、単位レンズの配列ピッチが１２０μｍ以下であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項４】
前記マイクロレンズアレイ部の単位レンズが、マトリクス配列、ランダム配列、ハニカム配列の何れかであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項５】
前記硬化型樹脂が光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項６】
微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、これから硬化性樹脂により成型されることを特徴とするマイクロレンズシート原版の製造方法。
【請求項７】
前記マイクロレンズのレンズアレイ部は、非球面形状の曲率を持つ単位レンズを含み、単位レンズの配列ピッチが１２０μｍ以下であることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法。
【請求項８】
前記マイクロレンズアレイ部の単位レンズが、マトリクス配列、ランダム配列、ハニカム配列の何れかであることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法。
【請求項９】
前記硬化型樹脂が光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法。
【請求項１】
微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し原版とし、前記原版から硬化性樹脂により成型されることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項２】
微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、導電層を形成し、前記導電層に電鋳処理により金属膜を形成し、前記金属膜を導電層の形成されたマイクロレンズシートから剥離してマイクロレンズパターンが形成されている面が表面となるように新たな円筒ロールに巻いてシリンダー金型とし、硬化性樹脂により連続的に作製できることを特徴とするマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項３】
前記マイクロレンズのレンズアレイ部は、非球面形状の曲率を持つ単位レンズを含み、単位レンズの配列ピッチが１２０μｍ以下であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項４】
前記マイクロレンズアレイ部の単位レンズが、マトリクス配列、ランダム配列、ハニカム配列の何れかであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項５】
前記硬化型樹脂が光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のマイクロレンズシートの製造方法。
【請求項６】
微細なマイクロレンズパターンを有するマイクロレンズシートの製造方法において、円筒ロールに感光性樹脂層を塗布し、レーザー描画と現像工程によりマイクロレンズ形状を象り、前記マイクロレンズ形状が象られた感光性樹脂層に剥離層を形成し、これから硬化性樹脂により成型されることを特徴とするマイクロレンズシート原版の製造方法。
【請求項７】
前記マイクロレンズのレンズアレイ部は、非球面形状の曲率を持つ単位レンズを含み、単位レンズの配列ピッチが１２０μｍ以下であることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法。
【請求項８】
前記マイクロレンズアレイ部の単位レンズが、マトリクス配列、ランダム配列、ハニカム配列の何れかであることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法。
【請求項９】
前記硬化型樹脂が光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項６記載のマイクロレンズシート原版の製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００７−２２９９９６（Ｐ２００７−２２９９９６Ａ）
【公開日】平成１９年９月１３日（２００７．９．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−５２０１６（Ｐ２００６−５２０１６）
【出願日】平成１８年２月２８日（２００６．２．２８）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年９月１３日（２００７．９．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年２月２８日（２００６．２．２８）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]