説明

マイクロ波加熱装置

【課題】食品の加熱中の変化に応じて反射波が最小になる周波数が変化すること。
【解決手段】加熱室5へ供給される入射波電力、または加熱室5から戻ってくる反射波電力を制御部レベルの小信号に減衰させるための入射波または反射波の検波回路12a〜12dにおいて、低電力で動作するプリサーチ期間は検波回路12a〜12dへの減衰効果を少なめにしつつ電圧印加を低くし、実際に被加熱物9を加熱する大電力で動作する本サーチ期間は、減衰効果を大きくして同じく電圧印加を低くして加熱中常に制御部4で入射波及び反射波を制御監視することを可能にし、半導体素子を破壊から阻止することを可能にすると伴に、反射波が大きくなった時だけ低出力でのプリサーチを実施する構成であるためプリサーチ期間の頻度を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を照射して加熱対象物である被加熱物加熱処理するマイクロ波加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波により対象物を加熱処理するマイクロ波加熱装置の代表的な装置としては電子レンジがある。電子レンジにおいては、マイクロ波発生装置においてマイクロ波が金属性の加熱室の内部に放射され、加熱室内部の被加熱物を放射されたマイクロ波により加熱処理される。
【0003】
従来、このマイクロ波加熱装置としては、半導体発振部とこの半導体発振部の発振出力を複数に分割する分割部と分割された発振出力を各々増幅する分割器と分割された発振出力を各々増幅する合成部とを備えるとともに、この合成器と加熱室とのあいだの反射波を検出する検出手段を設け、この検出手段が検出する反射波の量に応じて発振器の発振状態を変化させるものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭56−134491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では各々の半導体発振部を合成部で合成しているため一箇所の給電口からの発振出力に関しての反射波を常に監視して、反射波がある程度以上大きくなったならば、発振器の発振を停止するか、または発振周波数を変化させるか、または発振出力を変化させ小さくすることによってアイソレータなどの半導体素子保護手段を用いずとも半導体部を破壊させないものであった。
【0005】
だが発振時に反射波の少ない周波数を選択してそこで電波を放射しなければ反射波の電力で出力部の半導体素子が破壊してしまう。前記従来の構成では発振初期について反射波の少ない周波数をいかにして選択するかは述べられていない。また加熱中についても被加熱物の加熱過程の物性変化等によって反射波の最小となる周波数が少なからず変化することが予測されるが、その時いかにして周波数を監視し最適周波数に変更するかの実現手段は一切記載されていない。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、複数の半導体発振部をもつ構成においても各々の反射波負担を発振開始時や加熱時にかかわらず常に反射もしくは入反射率を監視し、いずれか一つの出力部の半導体素子に過大な反射波がかかった際には反射が最小になるように周波数を変更し半導体素子を破壊から保護する信頼性の高いマイクロ波加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
マイクロ波を作成する出力部と、出力部に繋がる複数の半導体発振部を有するマイクロ波発生部と、被加熱物を収納する加熱室と、出力部の後段に位置し入反射波レベルを監視する入反射波モニター部と、入反射波モニター部の信号を受け前記出力部の出力をコントロールする制御部と、前記入反射波モニター部の検知信号を検知する検波回路とを備え、加熱開始直後の前記制御部が反射波の最小となる発振周波数を検出(プリサーチ)している際は前記出力部の電力を低下して前記検波回路の検波信号レベルが検知可能な電位になるよう前記アッテネータの機能を停止させ反射最小周波数を選択し、その後はその反射最小周波数で前記出力部の電力を本加熱出力に上昇させてかつ前記アッテネータを機能させ
信号レベルを減衰させ前記検波回路の検波信号レベルが検知可能な電位になるようにして前記制御部が反射波の最小となる発振周波数を検出(本サーチ)する構成としている。プリサーチではマイクロ波出力を低下しているので反射波モニター部を経由して制御部に印加される電圧は制御可能な適切な制御レベルにあるが、プリサーチで選定した周波数で、本加熱に入り出力部から発せられるマイクロ波出力が大きく増加すると制御部内のフィードバック信号は完全に制御部の制御不可能な領域の電圧レベルに超過してしまう。そこで制御部から検波回路に信号を送出しファイードバック機能に制限をかけて制御部の信号レベルを制御可能な信号レベルに変換するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマイクロ波加熱装置は、反射状態が全く未知の加熱開始時には出力部から発せられるマイクロ波出力を低く抑制した状態で反射出力が最小となる周波数を検出する。その時は検波回路に印加される電圧も小さいがその入反射レベルに応じて制御回路内で信号処理できるレベルまで信号を減衰させる必要がある。
【0009】
このようにして検出した入反射出力が最小となる周波数で、本加熱を実施するため出力部から発せられるマイクロ波出力を高める(定常加熱出力)と当然検波回路の信号レベルは上昇する。その時制御回路は検波回路に信号を送り信号の制御回路へのフィードバック量を少なくし定常加熱出力でも制御回路内で信号処理可能な出力に低減させる。そうする切替えによって定常加熱出力時においても制御回路内で信号処理できるレベルまで信号をさらに減衰させることが可能になる。
【0010】
加熱初期はどういう反射状態か不明なため出力部の電力を低く抑えて反射出力が最小となる周波数を検出する。また一方では定常加熱出力に入っても検波回路の減衰量切換えによって制御回路内で処理可能な電圧レベルまで減衰させ定常加熱出力でも制御回路内で信号処理可能な出力にレベルシフトする。
【0011】
そうすることによって、加熱初期時に応じた低マイクロ波出力での制御部内での最適制御可能電圧にフィードバック電圧を設定することができるため反射最小周波数を検出するという目的を達することができる。また定常加熱出力状態ではフィードバック電圧をさらに低く抑え高出力状態でも常時、反射信号や入射信号を検出することができ、反射波が過大になった際には即座のプリサーチを実施して反射最小周波数を矯正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明はマイクロ波を作成する出力部と、出力部に繋がる複数の半導体発振部を有するマイクロ波発生部と、被加熱物を収納する加熱室と、出力部の後段に位置し反射波レベルを監視する入反射波モニター部と、入反射波モニター部の信号を受け出力部の出力をコントロールする制御部と、入反射波モニター部の検知信号を検知する検波回路とを備え、加熱開始直後制御部は出力部の半導体素子が破壊しないレベルまで出力部の電力を低下して反射波の最小となる発振周波数を検出する。その際は検波回路の検波信号レベルが検知可能な電位になるようアッテネータの機能を停止させ反射最小周波数を選択する(プリサーチ)。その後はその反射最小周波数で出力部の信号を本加熱出力に上昇させてかつアッテネータを機能させ信号レベルを減衰させ検波回路の検波信号レベルが検知可能な電位になるようにして前記制御部が反射波の最小となる発振周波数を検出(本サーチ)する構成とした。こうすることによりプリサーチ時も本サーチ時も検波回路の検波信号レベルが検知可能な電位になるようにすることができ常時反射波の最小周波数を選択することが可能となるため常時、反射波のモニターを実施し適宜出力部の半導体素子が破壊しない方向にフェールセーフの制御を実施することができる。
【0013】
第2の発明は反射波モニター部が方向性結合器からなり出力部の信号を受けるポートと
、前記出力部の出力を極めて少ない減衰でアンテナに電力送出するポートと、それを減衰させた信号Pfをえるポートと、反射波を検出し減衰させ信号PrをえるポートからなりPr/Pfの信号をもとに最小となる発振周波数を検出する構成としたものでPr/Pfという演算を行うことによって反射率を代表するパラメータを高周波出力のレベルいかんに係わらず反射率を表す指標を正規化することができ絶対的な評価ができ反射波の最小周波数周波数を検出する精度をより均一化し精度アップをすることができる。
【0014】
第3の発明は、本加熱中は常にアッテネータを機能させ本加熱中の反射波の挙動を監視し過大な反射を検出した際には即座に出力部を停止する構成としたもので、プリサーチを再度行って反射波の最小周波数を検出する時間的余裕がないとき即座にセイフティーオフを実施することができるため出力部の半導体素子の破壊を未然に防ぐことができる。
【0015】
第4の発明は、本加熱中は常にアッテネータを機能させ本加熱中の反射波の挙動を監視することによって最小周波数の挙動を監視しもし反射率(Pr/Pf)が過大になるようであれば、加熱開始時のシーケンスに戻り出力部の電力を低下させ前記検波回路の検波信号レベルが検知可能な電位になるよう前記アッテネータの機能を停止させ反射率最小周波数を再設定するもので加熱途中の被加熱物の転倒、加熱による温度上昇による誘電率の変化、また電子レンジでは往々に使用される食品ラップの膨張等、給電部から加熱室を見たインピーダンスが変化して反射波の最小周波数が変化しても再度設定周波数を変更することができるため最悪出力部の半導体素子を破壊させてしまうというような最悪の事態は回避できる。
【0016】
第5の発明は、機器全体を制御しているマイクロコンピューター上の本発明の装置のマイクロコンピューターの機能を移植し冗長度を大幅に削減し経済的効果を発揮するとともに、2部品を1部品化するという観点から部品点数の削減にも繋がりシステム全体を簡素化することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるマイクロ波加熱装置の構成図である。
【0019】
図1において、マイクロ波発生部3a〜3dは、半導体素子を用いて構成した出力部2a〜2dと、出力部2a〜2dからの出力を受けて入射電力を給電部7a〜7dに供給するとともに、加熱室5内から反射してくる反射電力を検知する方向性結合器からなる入反射波モニター部6a〜6dから構成されている。マイクロ波を発生する基本微弱信号は、半導体発振部1a、1bによって作成されるが、半導体発振部1a、1bをできるだけ少ない構成で実現するため、半導体発振部1a、1bを電力分配部8a、8dで各々2つ、合わせて4つに分配させてマイクロ波発生部3a〜3dに入力させている。
【0020】
また、本発明のマイクロ波処理装置は、被加熱物9を収納する略直方体構造からなる加熱室5を有し、この加熱室5は、金属材料からなる左壁面、右壁面、底壁面、上壁面、奥壁面および被加熱物9を収納するために開閉する開閉扉(図示していない)と、被加熱物9を載置する載置台から構成し、供給されるマイクロ波を内部に閉じ込めるように構成している。そして、マイクロ波発生部3a〜3dの出力が伝送され、そのマイクロ波を加熱室5内に放射供給する給電部7a〜7dが、加熱室5を構成する壁面に配置されている。
【0021】
本実施の形態では、給電部7a〜7dを対向構成の左壁面と右壁面の略中央にそれぞれ給電部7a、7bを配置し、加熱室5の上壁面と底面の略中央にそれぞれ給電部7c、7
dを配置した構成を示している。この給電部7a〜7dの配置は、本実施の形態に拘束されるものではなく、いずれかの壁面に複数の給電部を設けてもよいし、対向面ではない例えば右壁面と底壁面のような隣接する組合せで対となる給電部を構成しても構わない。
【0022】
出力部2a〜2d内の電力増幅部は、プリント基板上のカスケードアンプで数十dB以上増幅されるが、低誘電損失材料から構成した誘電体基板の片面に形成した導電体パターンにて回路を構成し、各増幅部の増幅素子である半導体素子を良好に動作させるべく、各半導体素子の入力側と出力側に、それぞれ整合回路を配している。
【0023】
各々の機能ブロックを接続するマイクロ波伝送路は、誘電体基板の片面に設けた導電体パターンによって、特性インピーダンスが略50Ωの伝送回路を形成している。
【0024】
電力分配部8aおよび8bは、例えばウィルキンソン型分配器のような出力間に位相差を生じない同相分配器であってもよいし、ブランチライン型やラットレース型のような出力間に位相差を生じる分配器であっても構わない。この電力分配部8a、8bによって、各々の出力には発振部1a、1bから入力されたマイクロ波電力の略1/2の電力が伝送される。
【0025】
制御部4は、できるだけ反射波が少ない周波数を選択する方が、被加熱物9の受ける授熱電力を最大化でき、スピード調理にも貢献できるし、反射波電力による半導体素子の熱損失も軽減でき半導体の耐熱信頼性も向上する。
【0026】
しかし、調理途上で種々、被加熱物9がマイクロ波加熱の温度の影響を受けることは避けられない。例えば、加熱途中で加熱膨張して被加熱物9が転倒する、転がるということも希に発生する。また、食品の温度上昇につれて、誘電率が徐々に変化することも考えられる。また、ラップをする習慣がマイクロ波加熱装置ではよく見かけるが、これも加熱途中膨らんで、被加熱物9の嵩が膨大化することも見かけられる。
【0027】
このような時、給電部7a〜7dから見た加熱室5内部のインピーダンスは変化し、図2に示すように、最小反射周波数が刻々と変化することが予測される。a点は初期の周波数特性である。被加熱物9の物性変化が現れると、点線のb点の曲線に推移する。そして、加熱途中で加熱膨張して被加熱物9が転倒したり、転がったり、食品の温度上昇につれて誘電率が変化したり、ラップをした被加熱物9が膨大化したりすると、例えば一点鎖線のc点のようなところまで周波数特性が変化することが予測される。その時、反射率はd分だけ上昇することになる。即ち、反射が多い状態で使用していることになる。これは半導体の反射責務を増やすことになり、例えばもっと大きく変化すれば、反射が増大して破壊することも想定される。
【0028】
従って、それを回避する手段として、周波数最小の周波数になるように常に反射量及び反射率を監視しその変化に追従する必要がある。
【0029】
図3はそのシーケンスを示すタイミングチャートである。
【0030】
図3を用いて説明する。まず、初期(t=0)からスタートする。この時は、どのような反射スペクトラム特性(ISMバンド2400〜2500MHz内)になっているのか全く不明のため、いきなり高出力(定常出力)を出力すると大きな反射波が帰ってきて、出力部2a〜2dの半導体素子を破壊してしまう可能性がある。従って、プリサーチ期間として、低出力でISMバンド2400〜2500MHz内をサーチする。たとえ大きな反射があっても、半導体素子を破壊させないように、数十Wの低出力で発振する。そこで、反射波が最小となる周波数を選択する。選択した周波数で、次は定常の加熱出力に出力
を上昇させて発振する(本加熱時間)。
【0031】
当然のことであるが、出力を上昇させると入射波も反射波も上昇する。従って、プリサーチの時のフィードバック量では、制御部4が検出・制御可能な範囲を逸脱した過大な入射波/反射波がフィードバックされ、制御不可能となる可能性がある。何らかの手立てを講じる必要がある。
【0032】
もし、本加熱時間中大きな反射波が帰ってくるような状態に陥れば、再度プリサーチをして、反射波が最小となる周波数を再設定する必要がある。それが、同図で表す2度目のプリサーチ期間である。これは実施する必要があるのか否かは反射波が大きくなるかどうかなので、加熱を実施して、反射波が大きくなったことを図では仮定している。仮に、運よく加熱途中で反射の状態が、変化しないことも想定される。その時、この行程は当然スキップすることになる。しかし、加熱途中でマイクロ波給電部7a〜7dから加熱室5を見たインピーダンスが変化して、反射波の最小周波数が変化した時は、当然実施しなければならない行程である。
【0033】
再度プリサーチを行って、最小周波数を再設定すれば、後の本加熱時間はこの再設定した周波数で動作させることができる。その期間も本サーチとして常に入射波と反射波とを監視することになる。
【0034】
反射波が突出的に大きな場合は、再度プリサーチをしている時間的余裕がないため、即座に停止し、加熱を終了することも考慮にいれなくてはならない。当然、今までの経験では想定のつかない異常な反射を見ることも考えられる。この場合はプリサーチを再度行わずに、即加熱の進行を停止することが望ましい。
【0035】
本発明では、常時入射波Pfと反射波Prとを監視できるため、必要に応じてプリサーチを実行すればよい。当然のことながら、インピーダンス変化が少ない加熱の場合、再度プリサーチをする必要がないので、最短時間で加熱を終了することができる。
【0036】
図4を用いて、ISMバンド2400〜2500MHz内の反射率(Pr/Pf)を示す。A点では4つの給電部7a〜7dの反射波の総和ΣPrと、入射波の総和ΣPfとの比で反射率を計算している。A点では最も反射率が少ないことがわかる。ここでは、被加熱物に入射する電力が最も大きく、半導体素子に反射する電力が、最も少ないことを表している。プリサーチの結果では、当然、本加熱の周波数A点の2430MHzを選択すべきである。
【0037】
図5の回路図を用いて、プリサーチ、本サーチの両方で、入射波Pfと反射波Prを検出する原理を示す。入反射モニター部6aからの反射波Prは、抵抗13a、抵抗14a、抵抗19aでドロップされて制御部4に入力されるが、検波ダイオード18a、コンデンサ16aで検波・ピークディテクトされる。また、その電位は、抵抗19aで一定期間保持される。また、抵抗14aに並列に接続され制御部4からの指令でON/OFFするスイッチ15aも、抵抗14aに併設されている。これは、アナログスイッチ等を利用して制御部4の指令に従って、抵抗14aをクローズしたり、オープンしたりする。ダイオード20aは、制御部4への過電圧印加保護用のクランプダイオードである。入反射モニター部6b〜6dについても、構成は同様であるので記述を割愛する。
【0038】
出力の低いプリサーチ時は、制御部4からスイッチ15aへのクローズ信号が発信され、抵抗13aでドロップされた低い電圧が、制御部4に印加され信号は検出される。この時、クランプダイオード20aはアクティブでなく、制御部4の回路電源電圧Vcc21以下の低電圧が制御部4で処理される。半導体発振部1aを2400MHzから2500
MHzまでスイープして、反射波最小周波数を検出する。入反射モニター部6b〜6dからの信号についても、同様に処理される。
【0039】
入反射モニター部6a〜6dは入射波についても検出し、入射波Pfと反射波Prのアイソレーションは、20dB〜30dBでほほ完全に混触は防止されている。主電力は、入力ポートから出力ポートまで、ほぼ損失なく透過し、アンテナ給電部7a〜7dに伝わる。
【0040】
反射波最小周波数を検出した後は、この周波数で本加熱に移行する。その時反射モニター部6a〜6dも上昇するので、制御部4内で信号処理できる電圧レベルに低下させるため、アッテネートが必要になってくる。そこで、制御部4から信号をスイッチ15aに送信し、スイッチ15aをオープンにして、抵抗13a、抵抗14aで電圧降下させるようにし、ドロップされた低い電圧が制御部4に印加され信号は検出される。この時、クランプダイオード20aはアクティブでなく、制御部4の回路電源電圧Vcc21以下の低電圧が制御部4で処理される。
【0041】
このような構成とすることによって、プリサーチ時も本サーチ時も、制御部4内で信号処理できる電圧レベルとなり、常に入射波Pf、反射波Prを信号処理できる構成となる。
【0042】
また、システムを簡略化するために、別に存在する機器全体をコントロールするマイクロコンピューターがあるが、その中にこのタスクを入れ込むことによって、1つのマイクロコンピューターによってタスクを並列実施し、システムの大幅な省部品化を実施し経済効果を発揮することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明にかかるマイクロ波加熱装置は、複数の給電部を有しマイクロ波を放射する給電部からの反射波から半導体の破壊を阻止する装置を提供できるので、電子レンジで代表されるような誘電加熱を利用した加熱装置や生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置であるプラズマ電源のマイクロ波電源などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置のシステム構成図
【図2】本発明の被加熱物の変化に伴う周波数スペクトラムの変化を示す特性図
【図3】本発明の実施の形態における各部の処理シーケンスを示すタイムチャート
【図4】本発明の実施の形態におけるISMバンド内の反射率を示す特性図
【図5】本発明の実施の形態における検波回路の回路図
【符号の説明】
【0045】
1 半導体発振部
2 出力部
3 マイクロ波発生部
4 制御部
5 加熱室
6 入反射モニター部
12 検波回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振基準信号を送出する半導体発振部と、マイクロ波を作成する出力部と、前記出力部に繋がる複数の前記半導体発振部を有するマイクロ波発生部と、被加熱物を収納する加熱室と、前記出力部の後段に位置し入反射波レベルを監視する入反射波モニター部と、前記反射波モニター部の信号を受け前記出力部の出力をコントロールする制御部と、前記入反射波モニター部の検知信号を検知する検波回路と、電圧を所望の低い電圧に減衰させるアッテネータとを備え、加熱開始直後の前記制御部が、反射波の最小となる発振周波数を検出している際は前記出力部の電力を低下させて前記検波回路の検波信号レベルが検知可能な電位になるよう前記アッテネータの機能を停止させ反射最小周波数を選択し、その後はその反射最小周波数で前記出力部の電力を本加熱出力に上昇させてかつ前記アッテネータを機能させ信号レベルを減衰させ前記検波回路の検波信号レベルが検知可能な電位になるようにして前記制御部が反射波の最小となる発振周波数を検出する構成としたマイクロ波加熱装置。
【請求項2】
入反射波モニター部は、方向性結合器からなり、出力部の信号を受けるポートと、前記出力部の出力を極めて少ない減衰で給電部に電力送出するポートと、前記給電部に送出された電力を減衰させた信号Pfを得るポートと、反射波を検出し減衰させ信号Prを得るポートからなり反射率Pr/Pfをもとに最小となる発振周波数を検出する構成とした請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項3】
本加熱中は常にアッテネータを機能させ本加熱中の入反射波の挙動を監視し、過大な反射を検出した際には即座に出力部を停止する構成とした請求項1または2に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項4】
本加熱中は常にアッテネータを機能させ本加熱中の入反射波の挙動を監視することによって最小周波数の挙動を監視し、もし反射率Pr/Pfが過大になるようであれば初期に戻り出力部の電力を低下させ前記検波回路の検波信号レベルが検知可能な電位になるよう前記アッテネータの機能を停止させ反射率最小周波数を再設定する請求項1または2に記載のマイクロ波加熱装置。
【請求項5】
制御回路はマイクロコンピューターを用い、このマイクロコンピューターはマイクロ波加熱装置を制御するマイクロコンピューターで併用して処理を実施する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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