説明

マイクロ波発生装置およびこれを用いた機器

【課題】小型化および軽量化がなされるとともに、不要輻射が生じないマイクロ波発生装置およびこれを用いた機器を提供する。
【解決手段】マイクロ波発生装置10は、高周波信号を出力するダイヤモンドSAW発振器20と、このダイヤモンドSAW発振器20から入力した前記高周波信号を増幅して出力する第1増幅器16と、前記ダイヤモンドSAW発振器20および前記第1増幅器16に電力を供給する電源18とを備えた高周波電源部12と、前記高周波電源部12から入力した前記高周波信号をマイクロ波として放射する導波手段14とを備えた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波発生装置およびこれを用いた機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波を利用するISM帯(Industry Science Medical band)は、物の加熱やプラズマの発生、通信、レーダ等の様々な装置に利用されている。このマイクロ波を放射するために、マイクロ波発生装置の発振源にマグネトロンを使用したものがある。
【0003】
そして特許文献1には、高電圧ノイズフィルタを備えたマグネトロン装置について開示されている。この特許文献1には、コイル状の導電体の表面に絶縁層と導電層を設け、この導電層の端部近傍の絶縁層の外周面と導電層との間に高耐電圧層を設けたことにより電界集中を緩和し、絶縁層の耐電圧特性を改善し、さらに絶縁層の厚さを減らすことにより、小型かつ低コストの高電圧ノイズフィルタを得ることが開示されている。
また特許文献2には、プラズマ処理装置が開示されている。この特許文献2には、プラズマ処理装置に用いられる高周波発生源がマグネトロン等で構成されることが開示されている。
【特許文献1】特開平9−265914号公報
【特許文献2】特開2004−265611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8はマグネトロンから出力される信号の周波数と強度の関係を示す図である。ここで図8の横軸は周波数を示し、縦軸は強度を示している。マイクロ波を発生するためのマグネトロンは、マイクロ波を発生するために必要とする特定の周波数f以外にも、この特定周波数fの前後の周波数も出力する。すなわちマグネトロンは、帯域幅を持った周波数信号を出力しているので、例えば特定周波数fとして2.45GHzが必要な場合に、2.45GHzに前後するこれ以外の周波数も出力してしまう。このため、マグネトロンから発生する不要輻射のために、ISM帯を使用する無線通信ができなくなってしまう等の悪影響を他の機器に与える問題があった。
【0005】
またマグネトロンはサイズが大きいので、これを用いるマイクロ波発生装置を小型化および軽量化することができなかった。ところで近年は、マイクロ波発生装置を用いている一部の機器に対して小型化および軽量化が要求されているので、マイクロ波発生装置に対しても小型化および軽量化が求められているが、発振源にマグネトロンを用いている場合にはこの要求を満たすことができなかった。さらにマグネトロンは、消費電力が大きい、周波数温度特性が悪い、出力される周波数が安定しない、という問題もあった。
【0006】
またマイクロ波発生装置には、発振源にマグネトロンを用いるばかりでなくLC発振器や誘電体発振器を用いることもでき、また発振源から出力された周波数信号を位相同期(PLL)回路や逓倍回路で高周波数信号に変換して使用することもできる。しかしながらLC回路や誘電体発振器は、周波数温度特性が悪い、出力される周波数が安定しない、ジッタが大きい、発振器毎に周波数がばらつく、という問題があった。またPLL回路や逓倍回路は、回路の規模が大きいので小型化できない、消費電力が大きい、必要とする周波数を出力するまでに時間が掛かる、という問題があった。そしてPLL回路では、ロック外れが発生すると、必要とする周波数を出力できないという問題がある。
本発明は、小型化および軽量化がなされるとともに、不要輻射が生じないマイクロ波発生装置およびこれを用いた機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマイクロ波発生装置は、ダイヤモンドSAW発振器を備え、このダイヤモンドSAW発振器から出力される高周波信号を後段に出力する高周波電源部と、前記高周波電源部から入力した前記高周波信号をマイクロ波として放射する導波手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
このダイヤモンドSAW発振器は、基板に励起されるSAWの共振周波数に応じた高周波信号のみを出力することができ、共振周波数以外の周波数に応じた信号を出力することがなく、また異常周波数による発振をすることがない。したがってダイヤモンドSAW発振器を備えることで、信号純度を向上させることができる。また高周波信号を高周波電源部から導波手段に導けば、この高周波信号の周波数に応じた電波、すなわちマイクロ波のみを放射することができ、不用輻射が生じるのを防ぐことができる。したがってマイクロ波発生装置は、低雑音にすることができ、ISM帯を使用する機器等に悪影響を与えることがない。
【0009】
また本発明に係るマイクロ波発生装置の前記高周波電源部は、前記高周波信号を出力する前記ダイヤモンドSAW発振器と、前記ダイヤモンドSAW発振器から入力した前記高周波信号を増幅して出力する第1増幅器と、前記ダイヤモンドSAW発振器および前記第1増幅器に電力を供給する電源と、を備えたことを特徴としている。
ダイヤモンドSAW発振器の後段に第1増幅器を設けることにより、ダイヤモンドSAW発振器から出力された高周波信号を増幅することができ、信号強度を大きくすることができる。
【0010】
また本発明に係るマイクロ波発生装置の前記高周波電源部は、前記高周波信号を出力する前記ダイヤモンドSAW発振器と、前記ダイヤモンドSAW発振器に並列接続して、前記ダイヤモンドSAW発振器から前記高周波信号をそれぞれ入力する複数の第1増幅器と、前記第1増幅器の後段に接続し、この各第1増幅器から出力された前記高周波信号を入力して加算し、この加算された前記高周波信号を出力する加算器と、前記ダイヤモンドSAW発振器および前記第1増幅器に電力を供給する電源と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
ダイヤモンドSAW発振器の後段に複数の第1増幅器を設けることにより、ダイヤモンドSAW発振器から出力された高周波信号を増幅することができる。そして各第1増幅器から出力される高周波信号を加算しているので、信号強度をより大きくすることができる。すなわちこの高周波電源部によって、高周波信号をより高出力にすることができる。
【0012】
また本発明に係るマイクロ波発生装置の前記ダイヤモンドSAW発振器は、電力を入力する移相回路と、ダイヤモンドを用いた基板に少なくともすだれ状電極を配設したダイヤモンドSAW共振子と、前記ダイヤモンドSAW共振子から出力された前記高周波信号を増幅する第2増幅器と、前記第2増幅器から出力された前記高周波信号を前記移相回路と出力側とに分配する電力分配器と、でループ回路を形成した、ことを特徴としている。この場合、前記電力分配器の前記出力側にバッファ回路を接続した構成にできる。
【0013】
ダイヤモンドSAW共振子は、ダイヤモンドを用いた基板を使用しているので周波数温度特性がよい。これにより、ダイヤモンドSAW共振子を用いているマイクロ波発生装置は周波数温度特性が向上し、周波数安定度も向上する。またダイヤモンドSAW共振子は、微細加工技術を用いて製造されるので小型化されることができ、軽量化されることもできる。これにより、ダイヤモンドSAW共振子を用いているマイクロ波発生装置は、小型化および軽量化されることができる。またダイヤモンドSAW共振子は、微細加工技術を用いて製造されるので共振子毎の共振周波数のばらつきが無い。またダイヤモンドSAW共振子は、位相回路から信号を入力すると直ぐに基板にSAWを励起して、このSAWの周波数に応じた高周波信号を出力する。したがってダイヤモンドSAW発振器を備えた高周波電源部から、電源投入すると直ぐに高周波信号を出力することができるので、マイクロ発生装置は電源投入からマイクロ波を放射するまでの起動時間を短くすることができる。
【0014】
本発明に係るマイクロ波発生装置を用いた機器は、前記導波手段を、前記マイクロ波を閉じ込める容器内に配設し、前記導波手段から放射された前記マイクロ波を前記容器内に導入してなることを特徴としている。この場合、前記容器は、プラズマ発生容器や加熱容器、導波管等であればよい。これにより上述した特徴を有するマイクロ波発生装置から放射されるマイクロ波を利用する機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明に係るマイクロ波発生装置およびこれを用いた機器の最良の実施形態について説明する。まず第1の実施形態について説明する。この第1の実施形態では、マイクロ波発生装置について説明する。
図1はマイクロ波発生装置のブロック図である。マイクロ波発生装置10は、ダイヤモンド弾性表面波(SAW)発振器20を備えた高周波電源部12を有している。この高周波電源部12は、ダイヤモンドSAW発振器20で得られる高周波信号を後段に出力している。この高周波信号はマイクロ波を生成するのに用いられる。またマイクロ波発生装置10は、高周波電源部12の後段に導波手段14を接続している。そして導波手段14は、高周波電源部12から高周波信号を入力して、この高周波信号をマイクロ波として放射している。この導波手段14はアンテナであればよく、またアンテナとアイソレータを備えた構成であってもよい。高周波電源部12とアンテナの間にアイソレータを備えることにより、アンテナで生じた反射波が高周波電源部12に戻るのを防ぐことができる。
【0016】
高周波電源部12について、より詳しくは次のようになっている。図2は高周波電源部のブロック図である。高周波電源部12は、ダイヤモンドSAW発振器20、第1増幅器16および電源18を備えている。電源18は、ダイヤモンドSAW発振器20と、第1増幅器16に電力を供給している。またダイヤモンドSAW発振器20の後段は、第1増幅器16の前段に接続している。そしてダイヤモンドSAW発振器20から出力された高周波信号は、第1増幅器16で増幅された後に出力される。この第1増幅器16から出力される高周波信号が、高周波電源部12から出力される高周波信号となる。
【0017】
そしてダイヤモンドSAW発振器20について、より詳しくは次のようになっている。図3はダイヤモンドSAW発振器のブロック図である。ダイヤモンドSAW発振器20は、移相回路21、ダイヤモンドSAW共振子30、第2増幅器22および電力分配器23でループ回路24を構成し、電力分配器23の一方の後段(出力側)にバッファ回路25を接続した構成である。移相回路21は、電源18から電力、すなわち外部から制御電圧を入力してループ回路24の位相を可変させるものである。この移相回路21の後段にダイヤモンドSAW共振子30が接続されている。SAW共振子30は、所定の周波数のSAWを後述する基板34上に励起させて、このSAWの周波数に応じた高周波信号を出力するものである。
【0018】
このダイヤモンドSAW発振器20の後段に第2増幅器22が接続されている。第2増幅器22は、ダイヤモンドSAW発振器20から出力された高周波信号を増幅するものである。この第2増幅器22の後段に電力分配器23が接続されている。電力分配器23は、この後段に接続されている移相回路21とバッファ回路25に入力した高周波信号を分配するものである。そして電力分配器23は、電力を分配できるものであればよく、例えばウィルキンソン型分配器等であればよい。
【0019】
ダイヤモンドSAW共振子30について、より詳しく説明すると次のようになる。図4はダイヤモンドSAW共振片の概略平面図である。ダイヤモンドSAW共振子30は、図4に示されるダイヤモンドSAW共振片32を備えている。ダイヤモンドSAW共振片32は、圧電基板(基板)34としてダイヤモンドを用いている。このダイヤモンドを用いた基板34は、ダイヤモンドウエハを切り出したもの、ダイヤモンドやダイヤモンド状炭素上に圧電体層を設けたもの、ダイヤモンドやダイヤモンド状炭素上に半導電性ダイヤモンド層と圧電体層を設けたもの等であればよい。なお圧電体層に用いられる圧電材料は、酸化亜鉛や窒化アルミニウム等であればよく、気相成長法等の成膜法により形成されればよい。ダイヤモンドを用いた基板34は、周波数温度特性がよく、またSAWの伝搬速度が速いので高周波信号(例えば、2.4GHz帯)を出力することができる。
【0020】
そしてダイヤモンドSAW共振片32は、このようなダイヤモンドを用いた基板34上に少なくともすだれ状電極(IDT)36を配設している。なお図4は、IDT36と反射器38を基板34上に配設した形態を示している。IDT36は、複数の電極指40の基端を接続して形成された櫛歯42を有しており、2つの櫛歯42の電極指40を互いに噛み合せることにより形成されている。そして一方の櫛歯42が入力IDT36aとなり、他方の櫛歯42が出力IDT36bとなる。また反射器38は、IDT36を挟み込む位置に配設されている。各反射器38は、IDT36の電極指40が配設された方向に沿う複数の導体ストリップ44を有しており、この導体ストリップ44の両端部を接続して形成されている。
【0021】
このようなダイヤモンドSAW共振片32を備えたダイヤモンドSAW共振子30は電気信号を入力すると、これを入力IDT36aに入力させて基板34上にSAWを直に励起し、このSAWを反射器38間に閉じ込める。このSAWは反射器38で多重反射されるので、反射器38間に定在波を生じる。そしてSAW共振子30は、SAWが出力IDT36bに到達すると、このSAWの周波数に応じた周波数の電気信号(高周波信号)に変換して出力する。
【0022】
このようにしてダイヤモンドSAW共振子30は、特定の周波数fの信号(高周波信号)を出力することができ、この特定周波数f以外の周波数信号を出力することがない。またダイヤモンドSAW共振子30は電子信号を入力すると、基板34に励起されたSAWに応じた高周波信号を直に出力する。図5はダイヤモンドSAW発振器から出力される信号の周波数と強度との関係を示す図である。ここで図5の横軸は周波数を示し、縦軸は強度を示している。ダイヤモンドSAW発振器20から出力される出力される信号は、図5に示されるように特定周波数fの高周波信号のみを出力する。
【0023】
なおダイヤモンドSAW共振片32は、1枚のダイヤモンドを用いたウエハから複数得ることができる。ダイヤモンドSAW共振片32を製造する概略工程は、次のようになっている。まずウエハ上に金属膜を形成しておく。この金属膜上にレジストを塗布した後、IDT36や反射器38等の電極パターンに応じたフォトマスクを配置する。フォトマスクを介してレジストに紫外光を照射した後に現像を行い、電極パターンに応じたレジスト膜を形成する。そして金属膜をエッチングして、ウエハ上に複数の電極パターンを形成する。この後、ウエハを切断して、各ダイヤモンドSAW共振片32にチップ化する。なお電極パターンの表面には、陽極酸化等を行って絶縁膜を形成してもよい。このようにダイヤモンドSAW共振片32の製造に微細加工技術が利用されているので、電極パターンを高精度に形成することができる。したがってダイヤモンドSAW共振片32は、微細加工技術を利用してウエハ内における共振周波数のばらつきを小さくして製造されることができる。またウエハ毎の共振周波数のばらつきも小さくして製造されることもできる。
【0024】
このようなマイクロ波発生装置10は、高周波電源部12にダイヤモンドSAW発振器20を備えているので、ある特定の周波数の信号(高周波信号)のみを確実に出力することができる。そしてマイクロ波発生装置10は、ダイヤモンドSAW発振器20から出力される高周波信号に応じた周波数のマイクロ波を導波手段14から放射しているので、不要輻射を無くすことができる。したがってISM帯を使用する機器に悪影響を与えることが無くなる。また不要な電波が無くなるので信号純度を向上でき、雑音も小さくすることができる。さらに低ジッタにすることができる。さらにまたダイヤモンドSAW発振器20は、高周波信号のみを出力するので、異常周波数で発振することがない。したがってマイクロ波発生装置10は、異常周波数に基づいてマイクロ波を放射することが無く、信頼性を向上させることができる。
【0025】
またマイクロ波発生装置10は、基板34の周波数温度特性がよいので、発生装置10の周波数温度特性も良くなり、周波数安定度を向上することができる。またマイクロ波発生装置10は、ダイヤモンドSAW共振片32毎、すなわちダイヤモンドSAW共振子30毎に共振周波数のばらつきが無いので、マイクロ波発生装置10毎に高周波発振部から出力される高周波信号にばらつきが生じることが無く、また導波手段14から出力されるマイクロ波の周波数にもばらつきが生じることが無い。
【0026】
またマイクロ波発生装置10を動作させるとダイヤモンドSAW共振子30から高周波信号を直に出力し、これがダイヤモンドSAW発振器20から出力されて、導波手段14からマイクロ波が放射されるので、マイクロ波を出力するまでの起動時間を短縮することができる。またダイヤモンドSAW発振器20は、数十mA程度で高周波信号を出力することができるので、高周波電源部12を低電力化することができる。またダイヤモンドSAW発振器20は、ダイヤモンドSAW共振子30、移相回路21、第2増幅器22、電力分配器23およびバッファ回路25を1つのパッケージに搭載した構成にできる。したがってダイヤモンドSAW発振器20を備える高周波電源部12を小型化および軽量化することができる。
【0027】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したダイヤモンドSAW発振器の変形例について説明する。なお第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の構成部分の説明を省略し、この部分に同番号を付す。
【0028】
図6は第2の実施形態に係る高周波電源部のブロック図である。高周波電源部12は、ダイヤモンドSAW発振器20、複数の第1増幅器16、加算器50および電源18を備えた構成である。電源18は、ダイヤモンドSAW発振器20と、各第1増幅器16に電力を供給している。またダイヤモンドSAW発振器20と加算器50の間に複数の第1増幅器16が並列接続されている。そしてダイヤモンドSAW発振器20から出力された高周波信号は、各第1増幅器16に入力される。第1増幅器16は、ダイヤモンドSAW発振器20から入力した高周波信号を増幅して、加算器50に出力する。加算器50は、各第1増幅器16から入力した高周波信号を加算して、この加算された高周波信号を出力する。この加算器50から出力される高周波信号は、高周波電源部12から出力される高周波信号となる。
このような高周波電源部12は、ダイヤモンドSAW発振器20から入力した高周波信号を各第1増幅器16で増幅して、加算器50で合成しているので、高周波信号をより高出力化することができる。
【0029】
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態に係るマイクロ波発生装置や、第2の実施形態に係るダイヤモンドSAW発振器を搭載したマイクロ波発生装置を用いた機器の一例について説明する。このため第3の実施形態では、第1の実施形態や第2の実施形態と同様の構成部分の説明を省略し、この部分に同番号を付す。
【0030】
図7はプラズマ発生装置のブロック図である。プラズマ発生装置60は、マイクロ波を閉じ込めるプラズマ発生容器62を有している。プラズマ発生容器62には、プラズマを発生させるためのガスが供給されるとともに、このプラズマ発生容器62内を減圧する真空ポンプ(不図示)が接続されている。またプラズマ発生装置60は、ダイヤモンドSAW発振器20を備え、このダイヤモンドSAW発振器20から出力される高周波信号を後段に出力する高周波電源部12と、高周波電源部12から入力した高周波信号をマイクロ波として放射する導波手段14を備えたマイクロ波発生装置10を有している。
【0031】
そして導波手段14を構成している前記アンテナは、プラズマ発生容器62の外部または内部に配設されている。なお図7では、前記アンテナがプラズマ発生容器62の外部に設けられた形態を示している。前記アンテナがプラズマ発生容器62の外部に配設されている場合は、このアンテナから放射されたマイクロ波を導波管(不図示)でプラズマ発生容器62まで導いて、プラズマ発生容器62に供給されているガスのプラズマを発生させればよい。また前記アンテナがプラズマ発生容器62の内部に配設されている場合は、プラズマ発生容器62内でマイクロ波を放射して、プラズマ発生容器62に供給されているガスのプラズマを発生させればよい。このようなプラズマ発生装置60は、例えば成膜装置やエッチング装置等に利用されることができる。
【0032】
そしてプラズマ発生装置60は、不用輻射のない特定の周波数のみのマイクロ波に基づいてプラズマを発生させることができる。またプラズマ発生装置60は、マイクロ波発生装置10が小型化および軽量化されているのに伴って、小型化および軽量化されることができる。
【0033】
またマイクロ波発生装置10が用いられる機器としては、マイクロ波発生装置10とマイクロ波を閉じ込める加熱容器を備えた加熱装置や乾燥装置、殺菌装置が挙げられる。さらにマイクロ波発生装置10が用いられる機器としては、レーダ装置や医療機器、通信装置等のISM帯を使用する様々な装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】マイクロ波発生装置のブロック図である。
【図2】高周波電源部のブロック図である。
【図3】ダイヤモンドSAW発振器のブロック図である。
【図4】ダイヤモンドSAW共振片の概略平面図である。
【図5】ダイヤモンドSAW発振器から出力される信号の周波数と強度との関係を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る高周波電源部のブロック図である。
【図7】プラズマ発生装置のブロック図である。
【図8】マグネトロンから出力される信号の周波数と強度の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
10………マイクロ波発生装置、12………高周波電源部、14………導波手段、20………ダイヤモンドSAW発振器、30………ダイヤモンドSAW共振子、60………プラズマ発生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンドSAW発振器を備え、このダイヤモンドSAW発振器から出力される高周波信号を後段に出力する高周波電源部と、
前記高周波電源部から入力した前記高周波信号をマイクロ波として放射する導波手段と、
を備えたことを特徴とするマイクロ波発生装置。
【請求項2】
前記高周波電源部は、
前記高周波信号を出力する前記ダイヤモンドSAW発振器と、
前記ダイヤモンドSAW発振器から入力した前記高周波信号を増幅して出力する第1増幅器と、
前記ダイヤモンドSAW発振器および前記第1増幅器に電力を供給する電源と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波発生装置。
【請求項3】
前記高周波電源部は、
前記高周波信号を出力する前記ダイヤモンドSAW発振器と、
前記ダイヤモンドSAW発振器に並列接続して、前記ダイヤモンドSAW発振器から前記高周波信号をそれぞれ入力する複数の第1増幅器と、
前記第1増幅器の後段に接続し、この各第1増幅器から出力された前記高周波信号を入力して加算し、この加算された前記高周波信号を出力する加算器と、
前記ダイヤモンドSAW発振器および前記第1増幅器に電力を供給する電源と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波発生装置。
【請求項4】
前記ダイヤモンドSAW発振器は、
電力を入力する移相回路と、
ダイヤモンドを用いた基板に少なくともすだれ状電極を配設したダイヤモンドSAW共振子と、
前記ダイヤモンドSAW共振子から出力された前記高周波信号を増幅する第2増幅器と、
前記第2増幅器から出力された前記高周波信号を前記移相回路と出力側とに分配する電力分配器と、
でループ回路を形成した、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のマイクロ波発生装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロ波発生装置を用いたことを特徴とするマイクロ波発生装置を用いた機器。
【請求項6】
前記導波手段を、前記マイクロ波を閉じ込める容器内に配設し、前記導波手段から放射された前記マイクロ波を前記容器内に導入してなることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ波発生装置を用いた機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−96645(P2007−96645A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282116(P2005−282116)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】