説明

マイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ

【課題】比較的簡単な構造を有し、外部からマイクロ流体デバイスに薬液などの液体を容易にかつ高精度に注入でき、液体の周囲への漏洩が生じ難い、マイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジを得る。
【解決手段】マイクロ流体デバイス2に液体を供給するために用いられる液体供給カートリッジ1であって、カートリッジ本体6内において、仕切壁4を介して、ガス発生室3と液体収納室5とが形成されており、ガス発生室3に、光照射によりガスを発生する光応答性ガス発生材料10が収納されており、液体収納室5に液体9が収納されており、仕切壁4に、ガスを通過させる液体を通過させないガス流路4aが形成されており、液体収納室5から外部に液体を供給するために、液体供給口7cがカートリッジ本体6に設けられている、マイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体デバイスに用いられる液体供給カートリッジであって、より詳細には、マイクロ流体デバイスに組み合わされて用いられ、該マイクロ流体デバイスに必要な薬液などをマイクロ流体デバイスの外部からマイクロ流体デバイスのマイクロ流路等に供給することを可能とする液体供給カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロスケール・トータル・アナリシス・システム(μTAS)またはマイクロチップなどと名付けられている、微細流路構造を有するデバイスが種々提案されている。ここでは、基板内に、5μm〜2mm程度の幅の流路が形成されており、該流路をマイクロ流体が搬送され、マイクロ流体の混合またはマイクロ流体中の成分の反応、もしくは分析等が行われる。
【0003】
上記μTASやマイクロチップでは、取り扱う液体の量が非常に少ないため、デバイスの小型化を進めることができる。従って、この種のマイクロ流体デバイスは、携帯型のデバイスとすることができ、臨床現場や測定現場等に容易に持ち運ぶことができる。
【0004】
上記マイクロ流体デバイスは、遺伝子解析、臨床診断、薬効物質スクリーニング、タンパク質結晶化、または化学物質分析などの様々な用途に用いられ得る。このようなマイクロ流体分析デバイスは、通常、大きさ10mm×10mm〜200mm×200mm、厚み0.5mm〜5mm程度の矩形板状の形状を有する。
【0005】
ところで、マイクロ流体分析デバイスに分析等に必要な薬液等の液体を最初に注入しておけば、外部から新たに薬液を注入する必要はない。しかしながら、液体によっては、保存している間に乾燥したり、輸送中にマイクロ流体デバイス内に設けられているセンサ部等の他の要素を汚染したりするおそれがある。そのため、使用直前に薬液などの液体を注入することが望ましい場合がある。
【0006】
下記の特許文献1には、使用に先立ち、外部から薬液を注入し得るマイクロチップが開示されている。このマイクロチップでは、薬液注入部分がエラストマーなどの弾性材料で封止されている。薬液の注入に際しては、中空針により弾性材料からなる部分を貫通し、外部から中空針を介して薬液が注入される。
【0007】
他方、下記の特許文献2には、電気浸透流を利用した薬液溜まり付き電気浸透流ポンプが開示されている。ここでは、水のようなプロトン性溶媒あるいはイオン溶媒を搬送媒体として用いた電気浸透流ポンプが利用されている。上記搬送媒体を移動させ、それによって搬送媒体とガスを介して連結された薬液がマイクロ流体デバイス内に注入される。
【特許文献1】特開2005−118736号公報
【特許文献2】特開2006−22807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の中空針を利用した薬液注入方法では、中空針が刺通された部分の周囲に薬液が漏れるおそれがあった。また、操作を停止したとしても、注入がすぐに停止しないため、薬液注入量を高精度に制御することが困難であった。さらに、中空針が刺通される薬液注入部分の容積をある程度大きくしなければ、中空針による薬液注入を円滑に行うことができない。そのため、デッドボリュームが大きくなりがちであった。
【0009】
他方、特許文献2に記載の電気浸透流ポンプを用いた薬液注入構造では、薬液と搬送媒体とをガスを介して連結して、搬送媒体を移動させる必要があるため、構造が複雑になりがちであった。また、薬液に水などの搬送媒体が混じると、濃度が変化したり、pHが変化したりした。pHが変化した搬送媒体が薬液に混じると、特にpHがアルカリ側にシフトすると、薬液や被分析液に含まれる蛋白質が変性したり、劣化したりするおそれもあった。
【0010】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、比較的簡単な構造を有するにもかかわらず、注入に際しての液漏れが生じ難く、外部からマイクロ流体デバイスに薬液などの液体を容易にかつ高精度に注入することを可能とするマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、マイクロ流体デバイスに液体を供給するために用いられるマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジであって、ガス発生室と、ガス発生室と仕切壁を介して設けられた液体収納室とを有するカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体の前記ガス発生室に収納されており、光照射によりガスを発生する光応答性光応答性ガス発生材料と、前記液体収納室に収納された液体とを備え、前記カートリッジ本体の前記仕切壁には、前記ガス発生室と前記液体収納室とを連通しており、ガスは通過させるが、液体を通過させないガス流路が形成されており、かつ前記カートリッジ本体には、前記液体収納室から液体を外部に供給するための液体供給口が設けられていることを特徴とする、マイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジが提供される。
【0012】
本発明に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジのある特定の局面では、前記カートリッジ本体の表面に凸部が設けられており、該凸部に前記液体供給口が開口しており、前記凸部がマイクロ流体デバイスの液体供給開口部に嵌合されるように構成されている。この場合には、カートリッジ本体に設けられた凸部をマイクロ流体デバイスの液体供給開口部に嵌合することにより、マイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジをマイクロ流体デバイスに容易に連結することができる。
【0013】
本発明の他の特定の局面では、前記カートリッジ本体の表面に凹部が形成されており、該凹部に前記液体供給口が開口しており、該凹部がマイクロ流体デバイスの液体供給用開口部を有する凸部に嵌合するように構成されている。このように、カートリッジ本体の外表面に凹部が形成され、マイクロ流体デバイスの液体供給部に該凹部と嵌合する凸部が設けられていてもよく、その場合においても、同様にマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジのカートリッジ本体の凹部を、マイクロ流体デバイスの上記凸部に嵌合するだけで、液体供給カートリッジをマイクロ流体デバイスに容易に連結することができる。
【0014】
該凹部の前記液体供給口には、液体供給口を塞ぐ液体シール材が付加されていてもよい。マイクロ流体デバイスの上記凸部が勘合することによって液体シール材が破られ、液体供給が可能となる。液体シール材は、保管、輸送の際に液体が漏洩することを防ぐ。液体シール材は、液体をシールし、凸部の嵌合によりシールが破られるものであれば何でもよいが、例えば、金属箔、プラスチックフィルム、またはこれらの積層体が好適に用いられる。なかでも、アルミ箔、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等にホットメルト接着剤を塗付したものが好適に用いられる。
【0015】
本発明においては、好ましくは、前記カートリッジ本体が、前記液体収納室及び前記仕切壁を有する第1のカートリッジ本体部材と、前記第1のカートリッジ本体部材に着脱自在に取り付けられるように構成されており、前記第1のカートリッジ本体部材に取り付けられた際に、第1のカートリッジ本体部材との間で前記ガス発生室を形成する第2のカートリッジ本体部材とを備える。この場合には、第2のカートリッジ本体部材を第1のカートリッジ本体部材から取り外して、光応答性ガス発生材料を取り出し、新たな光応答性ガス発生材料に交換することができる。そして、交換後に、第1のカートリッジ本体部材を第2のカートリッジ本体部材に取り付ければよい。従って、光応答性ガス発生材料の交換が可能となる。
【0016】
本発明に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジのさらに他の特定の局面では、前記ガス流路の横断面における最大寸法が2mm以下である。すなわち、ガス流路がマイクロチャネル化されていてもよい。この場合には、ガス流路のマイクロチャネル化によって、ガスと液体の接触界面の曲率半径が小さいときにも、液体収納室内に液体が取り残されたままガスだけが液体供給口から排出されることを防止することができる。ガス流路一本の流体経路であってもよいし、途中で分岐し再び合流する流体経路であってもよい。ガス流路は、粗な多孔体を用いて実現されるような、何度も多重に分岐合流を繰り返す流体経路であってもよい。
【0017】
本発明に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジの他のさらに別の特定の局面では、前記液体を前記液体供給口に向かってスパイラル状に送液するためのガイドが、前記液体収納室に収納されている。この場合には、上記ガイドによって、液体がスパイラル状に液体収納室内を進行するため、液体供給口からガスと共に液体を効率的にマイクロ流体デバイスに供給することができる。
【0018】
本発明に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジのさらに他の特定の局面では、前記カートリッジ本体に、前記ガス発生材料にエネルギーを付与するためのエネルギー源が一体に固定されている。この場合には、エネルギー源がカートリッジ本体に一体化されているため、外部のエネルギー源を必要としない。
【0019】
好ましくは、エネルギー源は、カートリッジ本体に着脱自在に取り付けられ、その場合には、エネルギー源を交換可能とすることができる。また、エネルギー源の取り外しを可能とし、マイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジの全体の寸法を小さくし、持ち運びを容易とすることができる。
【0020】
また、本発明に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジでは、カートリッジ本体内に、上記液体収納室及び該液体収納室に対応した液体供給口とが複数組設けられていてもよく、その場合には、1つのカートリッジ本体から、複数の液体供給口を利用してマイクロ流体デバイスに液体を並列的に供給することができる。
【0021】
本発明に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジにおけるガス発生材料は、光、熱または電気エネルギーなどの様々なエネルギーを与えられることにより、ガスを発生する適宜の材料から形成され得る。本発明では、好ましくは、上記ガス発生材料は、光を照射されることによりガスを発生するガス発生材料である。この場合には、光の照射により、ガスを発生させることができるので、加熱などによる蛋白質などの変性や劣化が生じ難い。
【0022】
また、光の照射のオン・オフによりガスを速やかに発生させ、かつガスの発生を速やかに停止させることも可能になる。
【0023】
ガス発生材料は、光を照射されることによりガスを発生する光応答性ガス発生材料であってもよい。光応答性ガス発生材料としては、光分解反応により直接ガスを発生する材料のほか、光反応する第1の材料と、第1の材料が光反応することにより得られる生成物と反応してガスを発生する第2の材料とを含むものなどが挙げられる。光応答性ガス発生材料を用いる場合、加熱の必要がなく、熱による薬液中の蛋白質などの変性や劣化が生じ難い。
【0024】
また、光の照射のオン・オフによりガスを速やかに発生させ、かつガスの発生を速やかに停止させることも可能になる。
【0025】
本発明に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジでは、より好ましくは、前記カートリッジ本体の前記ガス発生室が臨む部分の少なくとも一部にガス発生材料に光を照射するための透光性の光学窓が設けられている。この場合には、光学窓を介して光を照射することにより、ガス発生材料から速やかにガスを発生させることができる。
【0026】
また、本発明に係る液体供給カートリッジでは、好ましくは、前記光学窓から前記ガス発生室内に光を照射するための光源が前記カートリッジ本体に着脱自在に固定されている。この場合には、上記光源をカートリッジ本体の着脱自在とすることができるので、光源の交換が容易である。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジによれば、光、熱または電気エネルギーの付与により、ガス発生室に収納されているガス発生材料からガスが発生し、ガスが仕切壁のガス流路を通り、液体収納室に至る。そして、液体収納室内の液体が、移動してきたガスの圧力により移動し、液体供給口から排出される。そのため、液体供給口をマイクロ流体デバイスの液体供給部分に連結しておくだけで、液体を速やかにマイクロ流体デバイスに供給することが可能とする。
【0028】
従来の中空針を用いた液体注入方法では、周囲への液漏れが生じたり、デッドボリュームが大きくならざるを得なかったが、本発明によれば、周囲への液漏れは生じ難い。また、中空針を刺通させる操作等を必要としないため、デッドボリュームも小さくすることができる。さらに、電気浸透流ポンプを用いた複雑な構造を必要としないため、本発明の液体供給カートリッジでは構造の簡略化を図ることも可能となる。例えば、電気浸透流ポンプでは、pHの影響を避けるために、薬液と搬送媒体とを気泡を介して直接接触しないように連結する必要があったが、本発明によれば、このような工夫は必要なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0030】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジがマイクロ流体デバイスに連結された状態を示す部分切欠正面断面図であり、(b)は、該液体供給カートリッジをマイクロ流体デバイスに連結する工程を説明するための略図的斜視図であり、図2は、本実施形態の液体供給カートリッジを示す正面断面図である。
【0031】
図1(b)に示すように、本実施形態の液体供給カートリッジ1は、マイクロ流体デバイス2の液体供給開口部2aから液体をマイクロ流体デバイス2に供給するのに用いられるものである。
【0032】
上記マイクロ流体デバイス2については、特に限定されず、従来より周知のμTASまたはマイクロチップなどを用いることができる。前述したようにと、この種のマイクロ流体デバイスは、通常、大きさ10mm×10mm〜200mm×200mm、厚み0.5mm〜5mm程度の矩形板状の形状であり、人が携帯し得る寸法を有する。そして、マイクロ流体デバイス2内では、5μm〜2mm程度の幅の流路が形成されており、該流路をマイクロ流体が搬送される。そして、マイクロ流体の混合、反応、分析等が内部で行われる。
【0033】
上記分析等に必要な薬液は、マイクロ流体デバイス2に当初から収納されていてもよい。しかしながら、薬液によっては、保存時に乾燥してしまったり、輸送時にマイクロ流体デバイス内の電極やセンサ部などを汚染するおそれがある。そのため、本実施形態の液体供給カートリッジ1を用いて、使用時に薬液などの液体を注入することが好ましい。
【0034】
液体供給カートリッジ1は、上記のように、外部からマイクロ流体デバイス2に液体を供給するために用いられるものである。
【0035】
図2に示すように、液体供給カートリッジ1は、ガス発生室3と、仕切壁4を介してガス発生室3と隔てられた液体収納室5とを有するカートリッジ本体6を備える。本実施形態では、カートリッジ本体6は、第1のカートリッジ本体部材7と、第2のカートリッジ本体部材8とを有する。第1,第2のカートリッジ本体部材7,8は、いずれも、略円筒状の形状を有する。第1のカートリッジ本体部材7内には、上記液体収納室5が形成されており、液体収納室5内に、液体9が収納されている。この液体9としては、後述するように、マイクロ流体デバイス2に供給する目的に応じて、薬液等の様々な液体が用いられる。
【0036】
上記液体9を収納し、かつ後述するガスの圧力により液体9を排出し得る容積を有する限り、液体収納室5の寸法及び形状は特に限定されるものではない。
【0037】
図2では、上記第1のカートリッジ本体部材7の下面7aから下方に突出した凸部7bが形成されている。この凸部7bを上下方向に貫通するように、液体供給口7cが形成されている。なお、液体供給口7cの径は、図2に示すように、液体供給口7cの下端が下方を向いている状態においても、液体9が重力によっては下方に流下しない程度の径にされている。すなわち、図1(b)に示すように、マイクロ流体デバイス2の上方から液体供給カートリッジ1を近接させるに際し、凸部7bが下方を向いている場合であっても、液体9がその状態では漏れないように、上記液体供給口7cの径が選択されている。このような液体供給口7cの径は、液体9の粘度等によっても異なるが、例えば、20μm〜500μm以下とすればよい。液体供給口7cの断面は、必ずしも丸である必要はなく、扁平形状であってもよい。液体供給口7cの断面が扁平形状である場合には、短径が20μm〜500μm以下であればよい。
【0038】
上記液体収納室5の容積は、上記のように特に限定されないが、通常、マイクロ流体デバイス2に液体を供給するのに用いられる用途では、1μL〜1mL程度の容積とされる。
【0039】
第1のカートリッジ本体部材7の上方には、前述した仕切壁4が配置されている。仕切壁4には、上下方向に延びる複数の貫通孔からなるガス流路4aが形成されている。このガス流路4aを形成している貫通孔の径は、液体9を通過させないが、後述するガスを通過させる大きさとされる。このような貫通孔の径については、特に限定されないが、200nm〜5μm程度とすればよい。
【0040】
なお、本実施形態では、ガス流路4aは、仕切壁4の上面から下面に直線的に延びる貫通孔により形成されていたが、このような上面から下面に直線状に延びる貫通孔に限定されず、斜め方向に延びる貫通孔であってもよく、またガス流路は曲線状であってもよい。さらに、ガス流路は、仕切壁4を多孔質材料で形成し、該多孔質材料の多数の孔を連通させることにより形成されてもよい。この様な多孔質材料としては、粒子合着体や不織布、織布、繊維が並んだ合着体、発泡体を破泡させた材料が好適に用いられる。多孔質材料による仕切壁は、嵌め込み、押さえ込み、接着材による固定等の方法で、第1のカートリッジ本体部材7の一部とすることができる。
【0041】
もっとも、本実施形態では、第1のカートリッジ本体部材7が、同一材料より一体に形成されているため、上記貫通孔の形成によりガス流路4aが形成されている。
【0042】
仕切壁4の表面には、上方に突出するように、管状突出部7dが形成されている。管状突出部7dは、略円筒上の形状を有し、外周側面に、雄ねじが形成されている。そして、この管状突出部7dの内側の空間が、上記ガス発生室3の少なくとも一部を構成している。
【0043】
他方、第2のカートリッジ本体部材8は、下方に開いた略円筒状の形状を有し、内周側面に、雌ねじ8aが形成されている。また、第2のカートリッジ本体部材8では、雌ねじ8aが形成されている部分よりも上方に、下方に開いた凹部8bが形成されている。この凹部8bは必ずしも設けられずともよく、第2のカートリッジ本体部材8の天板の下面は、雌ねじ8aが形成されている部分の上端に位置していてもよい。
【0044】
第2のカートリッジ本体部材8は、第1のカートリッジ本体部材7に対し、図2に示すように取り付けられ、一体化される。すなわち、雌ねじ8aと、管状突出部7dの外周側面に設けられた雄ねじとがかみ合うようにして、第2のカートリッジ本体部材8を第1のカートリッジ本体部材7に固定し、一体化することができる。そして、必要に応じて、上記第1のカートリッジ本体部材7に対し、第2のカートリッジ本体部材8を上記雌ねじ8aと雄ねじによる固定を開放するように回転させ、第1のカートリッジ本体部材7から第2のカートリッジ本体部材8を取り外すことができる。すなわち、本実施形態では、第2のカートリッジ本体部材8は、第1のカートリッジ本体部材7に対して着脱自在とされている。
【0045】
本実施形態では、第1のカートリッジ本体部材7に対し雌ネジが設けられ、第2のカートリッジ本体部材8に雄ネジが設けられているが、第1のカートリッジ本体部材7に対し雄ネジが設けられ、第2のカートリッジ本体部材8に雌ネジが設けられていてもよい。
【0046】
更に、雄ネジには、ネジ山を横断するように切欠が形成されていてもよい。雄ネジに切欠が形成されていると、切欠がネジ込み操作中の空気ベントとして働くので好都合である。
【0047】
また、本実施形態では、液体供給カートリッジ1が第1のカートリッジ本体部材7と第2のカートリッジ本体部材8との2部材により構成されているが、液体供給カートリッジ1は、3つ以上の部材により構成されていてもよい。前述のように、本実施形態では、第2のカートリッジ本体部材8は、第1のカートリッジ本体部材7に対して着脱自在とされているが、第2のカートリッジ本体部材8は、第1のカートリッジ本体部材7に対して着脱自在でなくてもよい。すなわち、第1,第2のカートリッジ本体部材7,8は、接着等により接合され、固定されていてもよい。また、カートリッジ本体6は、第1,第2のカートリッジ本体部材7,8を有する構造に限定されるものではない。例えば、合成樹脂一体成形品からなるカートリッジ本体内に、上記仕切壁4で隔てられており、かつそれぞれ蓋で閉じられたガス発生室及び液体供給室を設けておき、蓋を取り外して外部から液体供給室及びガス発生室に光応答性ガス発生材料液体を注入し得る構造としてもよい。
【0048】
図2に戻り、上記第1のカートリッジ本体部材7に対し、第2のカートリッジ本体部材8を取り付け一体化することにより、両者の間に、ガス発生室3が形成されている。すなわち、ガス発生室3は、上記第1のカートリッジ本体部材7の管状突出部7dで囲まれた空間と、上記第2のカートリッジ本体部材8の凹部8bで形成される空間とにより構成されている。
【0049】
上記ガス発生室3内には、光応答性ガス発生材料10が予め収納されている。この光応答性ガス発生材料10は、仕切壁4の上面と隙間Aを隔てて配置されている。すなわち、光応答性ガス発生材料10は、下方に落下せず、その上端が第2のカートリッジ本体部材8の全面に固定されている。この隙間Aを設けておくことにより、発生したガスを確実にガス流路4aに導くことができる。従って、光応答性ガス発生材料10と仕切壁4においてガス発生室3側にガス流路が開口している部分と、光応答性ガス発生材料10との間に上記隙間Aを設けることが望ましい。
【0050】
上記隙間Aを設けるために、光応答性ガス発生材料10は、第2のカートリッジ本体部材8の天板の内面に固着されている。固着方法は特に限定されず、光応答性ガス発生材料10自体の粘着性を利用してもよく、あるいは接着剤等を用いてもよい。
【0051】
本実施形態では、光応答性ガス発生材料10は、光の照射によりガスを発生する光応答性ガス発生材料である。そのため、第2のカートリッジ本体部材8の天板には、光応答性ガス発生材料に光を導くための光学窓8cが設けられている。光学窓8cは、第2のカートリッジ本体部材8の外表面の一部に形成されており、本実施形態では天板に形成されている。従って、外部からレーザーやLEDなどからの光を照射し、光学窓8cを介して、内部の光応答性ガス発生材料10に光を照射することが可能とされている。
【0052】
上記光学窓8cを形成するためには、光学窓8cが設けられている部分を、照射される光に対して透光性とすればよい。
【0053】
上記第1,第2のカートリッジ本体部材7,8を構成する材料については、合成樹脂、金属、ガラス、セラミックなどの適宜の成形性を有する材料を用いることができる。もっとも、本実施形態では、第2のカートリッジ本体部材8に光学窓8cを設ける必要がある。そのため、光学窓8cが設けられるべき部分がはじめから透光性となるように材料を選択することが望ましい。例えば、第2のカートリッジ本体部材8の全体を、透明なプラスチックや、透明なガラス等により形成してもよく、あるいは光学窓8cが設けられる部分のみを透明な合成樹脂またはガラスにより形成してもよい。その場合には、第2のカートリッジ本体部材8を複数の材料を組み合わせて形成すればよい。
【0054】
従って、第2のカートリッジ本体部材8は、複数種の材料を形成してもよい。
【0055】
光応答性ガス発生材料10としては、光の照射によりガスを発生させる適宜の材料を用いることができ、このような材料については特に限定されるものではない。上記光応答性ガス発生材料10としては、例えば、アゾ化合物またはアジド化合物の様に単体分子で光励起により分解してガスを発生する化合物、光酸発生剤と酸刺激応答性ガス発生剤の混合物、光塩基発生剤と塩基刺激応答性ガス発生剤の混合物、これらの混合物、光ラジカル発生剤とラジカル連鎖分解ガス発生剤の混合物、さらにこれらの組み合わせ混合物などを挙げることができる。光発生材料は、適宜の光増感剤、バインダー、反応抑制剤、吸湿材を含んでいてもよい。
【0056】
上記アゾ化合物としては、アゾアミド系化合物、アゾニトリル系化合物、アゾアミジン系化合物及びサイクリクリックアゾニトリル化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。これらのアゾ化合物を用いた場合には、光の照射によりアゾ化合物が効率的に分解し、ガスの発生効率がより一層高められる。
【0057】
上記光酸発生剤の具体例として、例えば、キノンジアジド化合物、オニウム塩、スルホン酸エステル類、有機ハロゲン化合物等を挙げることができる。
【0058】
上記酸刺激応答性ガス発生剤としては、酸の作用によりガスを発生するものであれば特に限定されないが、アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩が好適に用いられる。
【0059】
また、ガス発生室3に照射する光源についても、使用する光応答性ガス発生材料10に応じて適宜選択され、上述したように、LEDや半導体レーザー、マイクロハロゲンランプ、マイクロ低圧水銀灯などを適宜用いることができる。特に、近紫外域のLEDは、発熱が殆どなく、消費電力が20mW以下でも光応答性材料のガス発生に充分な照度が得られるため、好適に用いられる。
【0060】
また、上記液体9についても、マイクロ流体デバイス2に供給すべき用途に応じて、薬液、希釈液等の適宜の液体を用いることができる。
【0061】
次に、本実施形態の液体供給カートリッジ1の使用方法を説明する。
【0062】
使用に際しては、図1(b)に示すように、液体供給カートリッジ1の下方の凸部7bをマイクロ流体デバイス2の液体供給開口部2aに挿入し、液体供給カートリッジ1をマイクロ流体デバイス2に固定する。従って、上記凸部7bの外径は、マイクロ流体デバイス2の液体供給開口部2aの内径とほぼ同様とされている。このようにして、図1(a)に示すように、液体供給カートリッジ1は、マイクロ流体デバイス2に一体化される。この状態において、上記光学窓8cの外部から光を照射し、ガス発生室3内の光応答性ガス発生材料10の分解等によりガスを発生させる。発生したガスは、上記ガス流路4aを通過し、液体収納室5に至る。この液体収納室5内において、ガスの圧力の増加に伴って、収納されている液体9が液体供給口7cから排出され、マイクロ流体デバイス2内のマイクロ流路2bに供給される。
【0063】
この場合、外部から光を照射するだけでよいため、すなわち中空針を用いた場合のような作業者の手動操作により液体供給を行う必要がないため、速やかに確実に液体を供給することができる。しかも、液体の供給は、上記光の照射を停止し、ガスの発生を停止させることにより終了することができる。終了後には、上記液体供給カートリッジ1を、マイクロ流体デバイス2から取り外せばよい。
【0064】
中空針を用いた液体供給作業では、中空針を弾性材料刺通し、その状態で液体を供給し、液体供給後に中空針を引き抜く必要があるため、刺通時、液体供給中及び中空針を引き抜くに際し、周囲に液体が漏洩しやすかった。これに対して、本実施形態の液体供給カートリッジ1を用いた場合、周囲への液体の漏洩が生じ難い。
【0065】
加えて、上記液体供給カートリッジ1は、液体を供給する駆動力が、光応答性ガス発生材料10から生じたガスであり、複雑な構造を必要としない。従って、液体供給カートリッジ1は、上記のように非常に単純な構造を有する。従って、液体供給カートリッジの構造の簡略化及びコストの低減を図ることができる。
【0066】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る液体供給カートリッジを示す正面断面図である。第1の実施形態では、第2の実施形態の液体供給カートリッジ21は、光源22が一体化されていることを除いては、第1の実施形態の液体供給カートリッジ1と同様である。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することにより、その説明を省略する。
【0067】
第2の実施形態の液体供給カートリッジ21では、カートリッジ本体6の第2のカートリッジ本体部材8Aの上方に、光源22が固定されている。すなわち、第2のカートリッジ本体部材8Aは、ガス発生室3よりも上方にすなわち、光学窓8cの上方に延ばされている。そして、この光学窓8cの上方に、上面に開いた凹部8dが設けられており、該凹部8dに、光源22としてLEDが収納され、固定されている。このように、本発明の液体供給カートリッジは、光応答性ガス発生材料10に光を照射するための光源22が予め固定され一体化された構造であってもよい。この場合には、液体供給カートリッジの他に別途光源を用意する必要はない。従って、部品点数の低減を図ることができる。
【0068】
なお、光源22としては、LEDに限らず、有機EL発光素子、プラズマ発光素子などの他の発光素子を用いてもよい。
【0069】
また、第1の実施形態の液体供給カートリッジ1では、カートリッジ本体6内に、1つのガス発生室3、1つの液体収納室5及び1つの液体供給口7cが形成されていたが、図4(a),(b)に示す第3の実施形態のように、1つのカートリッジ本体内に、液体収納室及び液体供給口が複数組設けられていてもよい。
【0070】
図4(a)は、第3の実施形態の液体供給カートリッジ31の外観を示す斜視図であり、(b)は、図4(a)中のB−B線に沿う部分に相当する断面構造と、光源との関係を示す図である。
【0071】
図4(b)に示すように、液体供給カートリッジ31は、カートリッジ本体32を有する。本実施形態では、カートリッジ本体32内に、ガス発生室33と、液体収納室35とが仕切壁34を介して隔てられている。そして、カートリッジ本体32の下面から下方に突出するように、凸部32aが形成されている。この凸部32aに、液体供給口7cが形成されている。そして、図4(a)に示すように、カートリッジ本体32において、下面から下方に向かって、複数の凸部32aが突出されている。この複数の凸部32aのそれぞれに、上記液体供給口7cが設けられており、かつ図4(a)では破線で位置のみを示すが、上記各液体供給口7cに対応して、それぞれ、図4(b)に示す液体収納室35が設けられている。もっとも、図4(a)に破線で示すように、ガス発生室33は、共通化されている。従って、本実施形態の液体供給カートリッジ1では、複数の液体収納室35に収納された液体9を、複数の凸部32aに設けられた各液体供給口7cから同時にかつ並列的に外部に供給することが可能とされている。このように、本発明の液体供給カートリッジでは、カートリッジ本体内に、複数の液体収納室を、複数の液体収納室のそれぞれに対応した複数の液体供給口が設けられていてもよい。すなわち、1つの液体収納室と、液体収納室に対応した液体供給口とからなるセットが複数セット設けられていてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、上記複数の液体収納室に対し、ガス発生室33は共通化されていた。すなわち、1つのガス発生室33のみが設けられているが、各液体収納室35に対応して、個別にガス発生室を設けてもよい。
【0073】
もっとも、本実施形態のように、複数の液体収納室35に対し、1つのガス発生室33を設けた場合、1つの光源22のみで光を照射し、ガスを発生させることができる。そのため、構造の簡略化を図ることができる。
【0074】
もっとも、複数のガス発生室を設け、各ガス発生室に個別に光を照射し、各液体収納室から個別に液体を供給してもよい。
【0075】
第3の実施形態の液体供給カートリッジ31では、第1の実施形態とは異なり、ガス発生室33と、液体収納室35とが水平方向において仕切壁34を隔てて配置されている。従って、仕切壁34は上下方向に延ばされている。そして、仕切壁34の下方部分に、ガス流路4aが形成されている。このガス流路4aは、液体9を通過させないが、光応答性ガス発生材料10に光を照射した際に発生するガスを通過させる。ここでは、光応答性ガス発生材料10に光を照射して発生したガスが、ガス流路4aを通り、液体収納室35内に至る。そして、このガス発生室のガス圧に押され、液体9が、上記液体供給口7c側に移動する。
【0076】
もっとも、本実施形態では、液体収納室35内に、突起部36が設けられている。突起部36は、液体収納室35内において、上記ガス流路4aの仕切壁34の液体収納室35側の面に開口している部分と、上記液体供給口7cの液体収納室35に開口している部分とを結ぶ方向において、流体経路がマイクロチャネル化されるように設けられている。ここで、マイクロチャネル化とは、ガスが液体を流路内に残したまま吹き抜けることがないほどに細くされた流路にすることを指している。マイクロ流路は、流動方向に直交する断面の径が好ましくは20μmから2mmであり、流動抵抗のが大きすぎないように、更に好ましくは、500μmから2mmである。
【0077】
本実施形態では、上記光応答性ガス発生材料10に光を照射し、ガスを発生させると、ガスが液体収納室35内に流れ込み、該ガスの圧力により液体9が突起部36によりマイクロチャネル化されたに流体経路に沿って、液体供給口7c側に移動する。それによって、液体が液体供給口7cからマイクロ流体デバイス2に供給される。
【0078】
なお、ガス流路4aは、第1の実施形態の場合と同様に、複数本設けられてもよい。さらに、ガス流路4cの形態は第1の実施形態と同様に適宜変形することができる。
【0079】
図5は、第1の実施形態の液体供給カートリッジ1の変形例を説明するための正面断面図である。本変形例の液体供給カートリッジ41では、液体収納室5内にガイド42が設けられている。ガイド42が設けられていることを除いては、本変形例の液体供給カートリッジ41は、第1の実施形態の液体供給カートリッジ1と同様である。そのため、同一部分については、同一の参照番号を付することにより、その説明を省略する。
【0080】
ガイド42は、液体収納室5内において、流体経路をマイクロチャネル化し、液体が液体供給口7c側に向かって速やかに移動することを可能とするために設けられている。スパイラル流路を形成するガイド42は、スパイラル状の流路を形成するための羽部42bが中心軸42aの回りに取り付けられている。スパイラル流路を形成するガイドの羽部42bは、1条でも2条でも3条でもかまわない。
【0081】
ガイド42は、液体収納室5の内壁に接合されていてもよいが、必ずしも接合されている必要はない。ガイドの羽部42bと液体収納室5の内壁の間には、200μm以下の隙間が存在してもなんら問題ない。
【0082】
このように、ガイド42を設けることにより、液体9を、より速やかにかつ確実に液体供給口7cに向かって移動させることができる。
【0083】
図6は、第1の実施形態の液体供給カートリッジ1のさらに他の変形例を説明するための正面断面図である。
【0084】
本変形例の液体供給カートリッジ51では、第1のカートリッジ本体部材7は、2つの部材7f,7gからなる。また、第1のカートリッジ本体部材7の下面に凸部7bが設けられていない。すなわち、第1のカートリッジ本体部材7の下面に、開口7eが設けられている。開口7eに対し、本変形例では、マイクロ流体デバイス2に、開口7eに嵌合する凸部2cが設けられている。この凸部2cにおいて、液体供給用開口2dが開口している。このように、マイクロ流体デバイス2に、液体供給用開口2dが形成されている凸部2cが設けられている場合には、凸部2cに嵌合するように液体供給口7cが設けられていてもよい。
【0085】
また、開口7eには、アルミ箔からなる液体漏洩防止用のシール材7hがホットメルトシールされている。該シール材7hは、液体供給カートリッジをマイクロ流体デバイスにセットする際に、マイクロ流体デバイスの凸部2cが開口7eに物理的に挿入されることにより破られる。
【0086】
なお、上述してきた実施形態及び変形例では、光応答性ガス発生材料10として、光の照射によりガスを発生する材料を示したが、本発明においては、光以外に、電気や熱などの他の物理刺激を併用してガスを発生する光応答性ガス発生材料を用いてもよい。
【0087】
なお、本発明のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジが適用されるマイクロ流体デバイスについては、前述したように、臨床診断、生化学分析、結晶化、スクリーニングなどの様々な用途のマイクロ流体デバイスを広く含むものであり、特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロ流体デバイスより液体供給カートリッジをマイクロ流体デバイスに取り付けた状態を示す部分切欠正面断面図及び取り付ける工程を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジの正面断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジの正面断面図である。
【図4】(a)は、本発明の第4の実施形態に係るマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジの外観を示す斜視図であり、(b)は第4の実施形態のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジに光を照射する工程を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の液体供給カートリッジの変形例を説明するための正面断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る液体供給カートリッジのさらに他の変形例の液体供給カートリッジ用マイクロ流体デバイスに取り付ける構造を説明するための部分切欠正面断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1…マイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ
2…マイクロ流体デバイス
2a…液体供給用開口部
3…ガス発生室
4…仕切壁
4a…ガス流路
4c…ガス流路
5…液体収納室
6…カートリッジ本体
7…第1のカートリッジ本体部材
7a…下面
7b…凸部
7c…液体供給口
7d…管状突出部
7e…開口
7f,7g…部材
7h…シール材
8…第2のカートリッジ本体部材
8a…雌ねじ
8A…第2のカートリッジ本体部材
8b…凹部
8c…光学窓
8d…凹部
9…液体
10…光応答性ガス発生材料
21…液体供給カートリッジ
22…光源
31…液体供給カートリッジ
32…カートリッジ本体
32a…凸部
33…ガス発生室
34…仕切壁
35…液体収納室
36…突出部
41…液体供給カートリッジ
42…ガイド
42a…中心軸
42b…羽部
51…液体供給カートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体デバイスに液体を供給するために用いられるマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジであって、
ガス発生室と、ガス発生室と仕切壁を介して設けられた液体収納室とを有するカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の前記ガス発生室に収納されており、外部刺激を受けることによりガスを発生するガス発生材料と、
前記液体収納室に収納された液体とを備え、
前記カートリッジ本体の前記仕切壁には、前記ガス発生室と前記液体収納室とを連通しており、ガスは通過させるが、液体を通過させないガス流路が形成されており、かつ前記カートリッジ本体には、前記液体収納室から液体を外部に供給するための液体供給口が設けられていることを特徴とする、マイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項2】
前記カートリッジ本体の表面に凸部が設けられており、該凸部に前記液体供給口が開口しており、前記凸部がマイクロ流体デバイスの液体供給開口部に嵌合されるように構成されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項3】
前記カートリッジ本体の表面に凹部が形成されており、該凹部に前記液体供給口が開口しており、該凹部がマイクロ流体デバイスの液体供給用開口部を有する凸部に嵌合するように構成されている、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項4】
前記カートリッジ本体が、前記液体収納室及び前記仕切壁を有する第1のカートリッジ本体部材と、前記第1のカートリッジ本体部材に着脱自在に取り付けられるように構成されており、前記第1のカートリッジ本体部材に取り付けられた際に、第1のカートリッジ本体部材との間で前記ガス発生室を形成する第2のカートリッジ本体部材とを備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項5】
前記ガス流路の横断面における最大寸法が2mm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項6】
前記液体を前記液体供給口に向かってスパイラル状に送液するためのガイドが、前記液体収納室に収納されている、請求項5に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項7】
前記カートリッジ本体に、前記ガス発生材料にエネルギーを付与するためのエネルギー源が一体に固定されている、請求項1〜6のいずれかに1項に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項8】
前記エネルギー源が、前記カートリッジ本体に着脱自在に取り付けられている、請求項7に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項9】
前記カートリッジ本体内に、前記液体収納室と液体収納室に対応した液体供給口とが複数組設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項10】
前記ガス発生材料が、光を照射されることによりガスを発生するガス発生材料である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項11】
前記カートリッジ本体の前記ガス発生室が臨む部分の少なくとも一部にガス発生材料に光を照射するための透光性の光学窓が設けられている、請求項10に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。
【請求項12】
前記光学窓から前記ガス発生室内に光を照射するための光源が前記カートリッジ本体に着脱自在に固定されている、請求項11に記載のマイクロ流体デバイス用液体供給カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−233532(P2009−233532A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81049(P2008−81049)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】