マイクロ流体フォーマットにおけるアッセイ実装
感染症(例えば、AIDSおよびマラリア)を監視し、診断するためのポイントオブケア計測装置プラットフォームに関係するカートリッジ内のマイクロ流体フォーマットのアッセイ実装。プラットフォームは、完全血球算定も行うことができる。計測装置プラットフォームは、カートリッジおよび光学系の一部を保持し、カートリッジの流路内で血液試料の蛍光および散乱光関連分析を実行することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年12月29日に出願した米国仮特許出願第60/755,014号の利益を主張する。
本出願は、2005年12月22日に出願した米国仮特許出願第60/753,293号の利益を主張する、2006年12月22日に出願した米国特許出願第11/615,884号の一部継続出願である。
【0002】
本出願は、2004年5月14日に出願した仮特許出願第60/571,235号の利益を主張する、2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,460号の一部継続出願である。
【0003】
本出願は、2004年5月14日に出願した仮特許出願第60/571,235号の利益を主張する、2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,461号の一部継続出願である。
【0004】
本出願は、2004年9月27日に出願した米国特許出願第10/950,898号の一部継続出願である、2005年12月30日に出願した米国特許出願第11/306,508号の一部継続出願である。
【0005】
本出願は、2002年11月26日に出願した米国特許出願第10/304,773号の一部継続出願である、2004年9月9日に出願した米国特許出願第10/938,265号の一部継続出願である。
【0006】
本発明は、サイトメトリー、特に携帯型サイトメトリーに関するものである。より具体的には、本発明は、血液分析に関する。
【背景技術】
【0007】
HIVおよびマラリアは、死亡率と疾病率のいくつかの主要原因のうちの2つであり、それぞれ、即座の診断と効果的な治療で予防可能である。これらの疾病は両方とも全世界の途方もない負担となっているが、これが発生しているのがサハラ砂漠以南のアフリカである。マラリア原虫血症の有病率は、HIV感染とともに増大し、マラリアの発生率は、HIV感染とともに増大し、HIVは、マラリア患者が重度のマラリアを発症する危険性を増大し、マラリア予防または治療はHIV重感染に対しては有効性が低い場合があることを示唆する証拠が挙げられている。HIVを監視する場合、注目するマーカーは、CD4+リンパ球であり、CD4枯渇は、HIV疾病の発病に直接リンクしているように見える。
【0008】
全白血球数またはリンパ球数の変動は、ヒトのCD4数に影響を及ぼす可能性があることに留意されたい。これは、変化の少ないCD4パーセンテージについて話すのを好む人たちもいるからである。
【0009】
完全血球算定(CBC)を指令すると、ヘマトクリットおよびヘモグロビン(赤血球に関する情報が得られる)と白血球数を求めることができる。「分画」は、異なる種類の白血球を、また好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球のパーセンテージを示すことができる。HIVで注目するのは、リンパ球である。
【0010】
T細胞数(CD3数)は、CD4数およびCD8数を含むことができる。比CD4/CD8は、もはや頻繁には使用されないであろう。これらの測定に対し、高い数値が最良であるように見えるが、ウイルス量、絶対数のCD4数、およびCD4パーセンテージに注意を払うことによりある種の混同を避け、比CD4/CD8を無視することができる。
【0011】
CD+4(Tヘルパーともいう)リンパ球は、人体の免疫学的防御に関与している可能性がある。HIV感染によりそれが喪失すると、免疫系が徐々に低下し、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する症状に進行する可能性がある。治療ガイドラインでは、抗レトロウイルス薬物療法をいつ開始すべきかを決定すること、治療計画がどれだけよく働いているかを評価すること、および代替え投薬計画への切り換えが必要かどうかを決定するのを補助することのために定量的CD4+リンパ球およびHIVウイルス量検査を使用する必要がある場合がある。
【0012】
開発途上国のHIV感染者が増加の一途を辿り、ヘルスケアサービスに過度の負担をかけ、圧倒し続ける。大半の開発途上国では、既存の検査方法があまりにも高価で複雑であるため、HIV感染者のCD4+リンパ球数を監視する既存の施設は、限られているか、または存在していない。CD4+リンパ球を監視するための単純で、安価で、半定量的なアプローチが利用可能であれば、以下の疾病および公衆衛生への影響が生じうる。CD4+リンパ球レベルを検査し、監視するための簡素化された、低コストの、使いやすいデバイスを実現すると、CD4検査をふつうに、一貫して利用することが可能になり、これによりHIV治療の有効性が高まり、薬剤耐性が低減されるが、これは開発途上国世界においては非常に価値のあることと思われる。
【0013】
マラリアによる感染の早期の正確な診断は、効果的な疾病管理には重要であり、また脳マラリアなどの合併症の進行と発症を防ぐのにも重要である。マラリアの2つの最も伝染力の強い普通種は、熱帯熱マラリア原虫(P)および三日熱マラリア原虫であり、したがって、安価で、使いやすいデバイスを介してこれら2つの種を同定できれば、開発途上国世界にとって大いに有益であろう。
【0014】
2005年12月22日に出願された米国仮特許出願第60/753,293号は、参照により本明細書に組み込まれる。2005年12月29日に出願された米国仮特許出願第60/755,014号は、参照により本明細書に組み込まれる。2005年5月12日に出願された米国特許出願第10/908,460号は、参照により本明細書に組み込まれる。2005年5月12日に出願された米国特許出願第10/908,461号は、参照により本明細書に組み込まれる。2005年12月30日に出願された米国特許出願第11/306,508号は、参照により本明細書に組み込まれる。2004年9月27日に出願された米国特許出願第10/950,898号の一部継続出願は、参照により本明細書に組み込まれる。2004年9月9日に出願された米国特許出願第10/938,265号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、1つのポイントオブケア(POC)マイクロ流体計測装置プラットフォームで免疫アッセイおよび血液学検査を行うことができる装置である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
診断、監視、および生命科学の用途向けのポイントオブケア(POC)計測装置の需要が増大している。POCフローサイトメーターの重要な用途の1つは、投薬(ART)中のAIDS(HIV感染)患者および他の疾病を患っている患者を含む他の患者を監視することである。フローサイトメーターは、マイクロ流体フォーマットでこれらのアッセイを実施する。
【0017】
本発明は、ポイントオブケア計測装置用にCD4/CD8/CDXXアッセイ(HIV感染患者に使用される)を実施するアプローチを実現する。このアッセイは、使い捨て型プラスチック製分析カードのマイクロ流体フォーマットで実装されうる。カードは、CDXXアッセイを実行することができるだけでなく、さらに総白血球数/白血球分画の検査も実行できる。本発明は、単一のマイクロ流体カートリッジ上で組み合わせることができるそれぞれのモジュールとなっている2つの検査(CDXX検査または免疫アッセイ検査および血液学検査)を実施することができる。カートリッジは、積層構造であるか、または少なくとも部分的には、成形構造としてよい。カートリッジの材料としては、さまざまなタイプのプラスチックおよびガラス材料が考えられる。他の材料も、例えば、埋め込まれる電極などの特定の電気的コンポーネントに対する導電性材料などを適宜構造の中に使用できる。
【0018】
マイクロ流体フォーマットのいくつかの利点として、試薬消費量が最小である(したがって、検査コストが低い)、両方の検査が同じカード上で実行されるため使いやすい、試料調製手順が簡素化されている(30分間のインキュベーションがない)などが挙げられる。本発明は、マイクロ流体カートリッジ上にマイクロ流体フォーマットで異なるアッセイ機能を実装することを含むことができる。これらの機能は、混合、分離、濾過、洗浄、予備濃縮、溶解、選別などを含むことができる。
【0019】
本発明は、白血球試料入力から得られた白血球を計数し、分類することができるPOC統合散乱および蛍光フローサイトメーターとしてよい。本発明のPOC計測装置は、CD4監視(CD4絶対数およびパーセントCD4)に使用されうる。このサイトメーターは、ハンドヘルド型計測装置およびクレジットカードサイズの使い捨て型分析カートリッジで構成することができる。使い捨て型カートリッジは、オンボード試薬貯蔵容器(希釈液、溶解液、およびシース液)、全血試料捕捉毛細管、およびオンボード液流センサーを備えることができる。サイトメーターシステムは、カートリッジ上の自動化試料調製機能、赤色VCSEL配列ベース電子セルフアライメント機能、超小型3流路ポンプシステム、ならびにカスタム開発電子回路およびグラフィカルユーザーインターフェイスを備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、ポイントオブケア(POC)計測装置およびその動作のブロック図である。全血試料は、ブロック111で持ち込むことができる。全血の一部は、溶解ウェル112に通され、そこで主にブロック113で白血球を得るために赤血球を除去することができる。白血球の一部は、ブロック114で散乱ベースサイトメトリーに入り、その結果、ブロック115で白血球の個数と5分画が得られる。
【0021】
ブロック113から、一部の白血球は、さらに、蛍光標識抗体でインキュベートするためにブロック116に入ることができる。これは、ブロック117で、CD4、CD、マラリア寄生体、結核(TB)などの指標および/または量に関する情報を得るためである。
【0022】
さらにブロック111からは、全血一部が、散乱およびサイトメトリーブロック118に入り、RBC数とヘマトクリットデータを取得することができる。ここでもまた、ブロック111から、全血はブロック120に入り、血液中のヘモグロビンの量に関する溶解および吸収ベースの情報得ることができる。図1のブロック内の項目は、マイクロ流体カートリッジまたはカード上で実装することができ、血液学分析器とみなすことができる。カートリッジの主な目標の1つは、赤血球数、白血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリットデータ、血小板数、および白血球の5分画を含むことができる完全血球算定パラメータを得ることである。ブロック115、119、および121では、完全血球算定を行うことができる。ブロック117は、蛍光で分析を行うことができる。2つの主要な操作は、通常のクレジットカードほどの小ささで、使い捨てのマイクロ流体カートリッジ上に実装され、実施されうる。
【0023】
白血球を5群に分画した後、それらの群の1つまたは複数は、さらに、複数の小群に分画されうる。これらの群の1つであるリンパ球は、蛍光またはフルオロ標識またはマーカーで標識されうる。細胞は、カートリッジ上に用意されうる貯蔵容器からの抗原と抗体を有し、抗体は、特定の抗原に結合することができる。リンパ球の小群への分類は、臨床的な意義を持つことがある。小群への分類の結果、CD4、CD45、CDX、CDXX細胞の群が得られ、医者は病原体などに注目し、および/または推論し、患者のHIV、AIDS、マラリア、TBなどを監視することができる。単球であっても、蛍光マーカーで標識されうる。抗体に標識を付けて、偽陽性率を小さくすることができる。
【0024】
HIVおよびマラリアとの重感染は、死亡率の増大をもたらす可能性があるけれども、この重感染は、HIV/結核重感染に比べればそれほど問題ではないことに留意するとよいが、それは、これら2つの疾病は通常、異なる年齢層を攻撃し、マラリアは若年層で最も一般的であり、結核は高年齢層で最も一般的であるからである。しかし、不安定なマラリア伝染の地域では、HIVは、マラリアが発生したときに大人が重度のマラリアを発症する一因となりうる。
【0025】
また、HIVとマラリアとの間には高い相関もありうる。この相関から、マラリアそれ自体がHIVの蔓延の主要原因であるということが示唆される。ウイルス量が高いほど、HIV感染が増え、マラリアは、高HIVウイルス量をもたらす原因となりうる。この見かけの因果関係が、患者がHIV、マラリア、および/またはTBに罹っているかどうかをアッセイ検査で判定することができる理由になっているとしてよい。
【0026】
マラリアは、最も一般的な感染症の1つであり、非常に大きな公衆衛生問題である考えられる。この疾病は、マラリア原虫の寄生原虫類により引き起こされるとみなされている。最も重度の疾病形態は、熱帯熱マラリア原虫および三日熱マラリア原虫によって引き起こされうるが、他の関係する種(卵形マラリア原虫および四日熱マラリア原虫)もヒトに病気をうつす可能性がある。このヒト病原性マラリア原虫種群は、マラリア寄生体と呼ばれることが多い。
【0027】
図2は、それぞれ縦軸と横軸にプロットされた小角度散乱対大角度散乱のデータに基づく白血球の5分画のグラフであり、結果として、白血球の5つの群131、132、133、134、および135のプロットが得られる。図3は、抗体138が到達して鍵と錠のように合わさる抗原137を有する、リンパ球などの白血球136を示している。それぞれの細胞は、最終的に、抗原が付着した全血に由来しうる。
【0028】
図4aは、プロットされたデータに対する直交する測定結果を含むリンパ球の3次元プロットである。データは、フルオロ強度(抗体により細胞がどれだけ標識されているかを示す)対FALSが図4aのシートに平行な平面に置かれ、SALSに対する第3の座標がシートから外へ伸びる形で3Dプロットされている。図4aは、2つのピークを持つ(141および142)透視図を示している。図4bは、図4aのグラフの辺に向かう視線方向から見た例示的な細胞143を示している。図5aのグラフは、第1のピークが、第1のピークの振幅が小さく見え、身体反応がよくないことを示している可能性のあることを除き図4aのと同様である。図4aのピーク141は、身体反応がよいことを示している可能性がある。ピーク141とピーク142との比から、被検者の健康のある種の情報が得られる。図5bは、ピーク141と142を明らかにするSALS対フルオロのプロットを示している。
【0029】
さまざまなパラメータが、血液学分析に役立ちうる。4つの重要なパラメータ、赤血球(RBC)数(細胞数/μL)、血小板(PLT)数(細胞数/μL)、平均細胞体積(MCV)、および赤血球分布幅(RDW)は、血液試料に対する光学的アプローチで得られる。MCVは、事実上、RBCの平均サイズの測定結果であり、RDWは、RBC間のサイズの変動である。RBCのサイズの変動が大きいほど、RDWも大きい。
【0030】
RBC数は、分析対象の血液の単位体積当たりのRBCの実際の数である。Hctは、RBC×MCVであるヘマトクリットであり、結局、血液の酸素運搬能の尺度となりうる(つまり、分析対象の単位体積中の細胞のすべての全能力)。Hctは、さらに、血液中でRBCが占有する空間の量、または赤血球からなる全血の割合とみなすこともできる。MCHは、事実上それぞれのRBC中のヘモグロビンの量である「平均赤血球ヘモグロビン」である。MCHは、ピコグラムを単位とする、個々のRBC中のヘモグロビンの平均、またはおおよそ平均質量とみなすことができる。MCH=Hb÷RBC。Hbは、分析対象の試料の単位体積当たりのヘモグロビンの量である。MCHCは、RBCのそれぞれにおける単位体積当たりのヘモグロビンの濃度とみなせる「平均赤血球ヘモグロビン濃度」である。MCHC=Hb÷Hct。
【0031】
いくつかの測定パラメータ群は、細胞流量(FR)、測定時間(T)、希釈係数(DF)、計数されたRBC数(NRBC)、計数された血小板数(NPLT)、ヘモグロビン量(Hb)、および実質的にそれぞれのcclljの直径(ミクロン)(drbci)を含むことができる。<drbci>は、集合{drbci}により表される、細胞の測定されたccll直径の平均である。主要な計算パラメータのいくつかとして、RBC=NRBC÷(DF×FR×T)、PLT=NPLT÷(DF×FR×T)、MCV=(π/6)×<drbci3>、およびRDW=SD{[(π/6)drbci3]}÷MCVがあるが、ただし、SDは、測定された量の標準偏差を表す。計算パラメータとしては、Hct=RBC×MCV、MCHC=Hb÷Hct、およびMCH=MCHC×MCVがある。
【0032】
モジュール121は、血液試料中のヘモグロビン(Hb)の量またはヘモグロビン濃度を決定するために使用されうる。モジュールは、ヘモグロビン吸収を使用してHbを決定することができる。血液中のヘモグロビンの量は、グラム/リットル単位で表すことができる。
【0033】
白血球の繰り返し可能な3分画は、図6aおよび6bに示されているように正しく示すことができる。図6aは、それぞれ群145および146として示される、5μmおよび6μmのビーズの計数および分類のグラフを示している。このプロットは、ビーズのPALS対SALSの関係を示す。それぞれのビーズタイプに対する絶対数は、予測値の約5%の範囲内にあるように見える。図6bは、細胞の複数のグループ分けを示す散乱データから得られる白血球プロットの結果を示している。このプロットは、ポイントオブケアタイプの計測装置による細胞のFALS対SALSの関係を示すものである。白血球3つの群147、148、および149(それぞれリンパ球、L、単球、M、および顆粒球、G)は、図6bのプロットにおいて分画されうる。全WBC数は、市販の血液学分析器を使用して同じ試料について実行された類似の測定結果の6%の範囲にあるように見えた。
【0034】
赤色VCSEL配列は、集束レーザースポットと粒子流経路との位置合わせを含むことができるフローサイトメトリーにおける最も重要な態様の1つに対する解決策をもたらしうる。典型的には、使い捨て型流体カートリッジなどの成型プラスチック部品における位置合わせは、そのような部品を使用することにはある種の正確さが関連するため難しい。標準の単一レーザーを直線配列のレーザーで置き換えることは、特定の細胞の実質的に正確な経路を決定し、セルフアライメントを可能にする一手段となる。
【0035】
本発明のPOCサイトメーターは、全血試料捕捉、試薬貯蔵、赤血球の連続的溶解、フローサイトメトリーに対する血球サイズコア内への白血球の3次元流体力学的/幾何学的集束、ならびに試料および廃棄物貯蔵室ためのマイクロ流体回路を備えることができる。これは、準備段階なしで1滴(15μL)の血液から直接働き、試薬使用量を最小限にし、試料、試薬、廃棄物をカード上に保持することができる。
【0036】
分析カートリッジ上のマイクロスケール流路内の液流は、本質的に層流としてよく、これにより、混和流体(例えば、全血と水)を隣同士で流し、分子および対流拡散を通じてのみ混合することができる。これにより、生物学的粒子(血液細胞など)を制御された時間の間に露出させることが可能であり、残っている白血球を検出し特徴付けられるように化学および浸透圧を介して赤血球(RBC)の選択的溶解を能にすることができる。カートリッジ上のRBCの選択的溶解に対するこのようなアプローチは、「オンザフライ溶解」(LOF)と呼ばれ、ベンチトップサイトメーターで実行されるバッチ溶解とは異なり、同じ時間の間、溶解液に曝されるすべての細胞を利用することができる。
【0037】
本発明の光散乱ベースのPOCサイトメーターに加えて、POCサイトメーターに役立つ他の2つの進行中の態様がありうる。光散乱ベースの計測装置上の2色光蛍光能力は、CD4/CD45アッセイを実行するために使用されうる。POCは、さらに、CD4、CD45、CD34、CDX、CDXX、および/または同様のアッセイを実効できる統合散乱/蛍光サイトメーターであってよい。使い捨て型カードまたはカートリッジでは、オンカードmAbsによる白血球のオンカード染色および赤血球溶解を使用することができる。本発明のPOC血液学分析器は、完全血球算定(CBC)検査を実行するCLIA放棄計測装置として設計することができる。
【0038】
図7は、例示的な小型化された携帯型サイトメーターの斜視図である。このサイトメーターのあるバージョンは、本発明と連携して使用することができる。サイトメーターは、一般に10で示されており、筐体12および取り外し可能もしくは交換可能カートリッジ14を備えることができる。例示的な筐体12は、底部16、カバー18、および底部16をカバー18に取り付ける蝶番20を備えることができる。底部16は、光源22aおよび22b、関連する光学系、およびサイトメーターの動作に必要な電子回路を備えることができる。カバー12は、手動式加圧要素、制御用マイクロ弁を備える圧力室、および関連する光学系を備える光検出器24aおよび24bを備えることができる。
【0039】
取り外し可能カートリッジ14は、試料捕集装置口32を介して試料流体を受け入れることができる。キャップ38は、取り外し可能カートリッジ14が使用されていない場合に試料捕集装置口32を保護するために使用することができる。取り外し可能カートリッジ14は、コア形成のため血液希釈、赤血球融解、および流体力学的絞り込みを実行することができる。取り外し可能カートリッジ14は、一部がエッチングされた流路を持つ積層構造を使用することで製造されうる、流体回路により構成することができる。
【0040】
取り外し可能構造またはカートリッジ14は、カバー18が開位置にあるときに筐体内に挿入できる。取り外し可能カートリッジ14は、計測装置の異なる部分の間の位置合わせおよび結合を行いやすくする、位置決めピン28aおよび28bを底部16内に受け入れるための穴26aおよび26bを備えることができる。取り外し可能カートリッジ14は、さらに、透明なフロー流窓30aおよび30bを備えることができ、これらは、光源22aおよび22bと光検出器24aと24bの配列に位置を揃えられている。カバーが閉位置に移動され、システムが加圧されると、カバー18は、それぞれ圧力供給口36a、36b、および36cを介して取り外し可能カートリッジ14内の受圧口34a、34b、34cに制御圧力を加えることができる。
【0041】
検査を開始するために、カバー18が持ち上げられ、新しいカートリッジ14が入れられ、底部16上で位置を合わせするようにできる。血液試料が試料捕集装置32内に導入されうる。カバー18は閉じられ、システムが手動加圧されうる。加圧は、手動以外であってもよい。加圧された後、計測装置は、白血球サイトメトリー測定および他の測定を実行することができる。取り外し可能カートリッジ14は、コア形成のため血液希釈、赤血球溶解、および流体力学的絞り込みを実行することができる。光源22aおよび22b、光検出器24aおよび24b、ならびに関連する制御および処理電子回路は、光散乱蛍光信号に基づき白血球の分画および計数を実行することができる。筐体12に蝶番付きの構造を使用する代わりに、スライド式カートリッジスロットまたは他の好適な構造を使用することが考えられる。
【0042】
図8は、図7の例示的なサイトメーターの略図である。上述のように、底部16は、光源22aおよび22b、関連する光学系、ならびにサイトメーターの動作に必要な制御および処理電子回路40を備えることができる。底部16は、さらに、サイトメーターに給電するための電池42を備えることもできる。手動式加圧要素44、制御用マイクロ弁を備える圧力室46a、46b、および46c、ならびに関連する光学系を備える光検出器24aおよび24bを備えるカバー18が図に示されている。
【0043】
取り外し可能カートリッジ14は、試料捕集装置口32を介して試料流体を受け入れることができる。カバー18により加圧されると、取り外し可能カートリッジ14は、本発明のデバイスにおいて血液希釈、赤血球溶解、およびコア形成のための流体力学的絞り込みを実行することができる。形成された後、図7のフロー流窓30aおよび30bを通る、フロー流経路50の下側にコアが送られうる。底部にある光源22aおよび22bならびに関連する光学系は、フロー流窓30aおよび30bを介してコア流に光を通し、光をコア流に到達させることができる。検出器24aおよび24b、ならびに関連する光学系は、それぞれ、さらにフロー流窓30aおよび30bを介して、コアから散乱光および非散乱光を受け入れることができる。コントローラまたはプロセッサ40は、検出器24aおよび24bから出力信号を受け取り、コア流内に存在する選択された白血球を分画し、識別し、計数することができる。
【0044】
取り外し可能カートリッジ14は、流体のそれぞれの速度の制御を補助するための流体制御ブロック48を備えることができる。例示的な実施例では、流体制御ブロック48は、さまざまな流体の速度を感知するフローセンサーを備え、それらの速度をコントローラまたはプロセッサ40に報告することができる。次いで、コントローラまたはプロセッサ40は、圧力室46a、46b、および46cに関連付けられているマイクロ弁を調節して、サイトメーターを適切に動作させられる所望の圧力およびしたがって、所望の流体速度を得ることができる。
【0045】
血液および他の生物学的廃棄物は、病気を拡大する可能性があるため、取り外し可能カートリッジ14は、廃棄物貯蔵容器52をフロー流窓30aおよび30bの下流に備えるとよい。廃棄物貯蔵容器52は、取り外し可能カートリッジ14内のフロー流の流体を受け入れ、貯蔵することができる。試験が完了したら、取り外し可能カートリッジを取り外して、生物学的廃棄物と親和性のある容器内に処分することができる。
【0046】
図9は、カバー18がまだ押し下げられていない図8のサイトメーターを示すより詳細な略図である。図10は、カバーが押し下げられている図8のサイトメーターを示すより詳細な略図である。手動式加圧要素44、圧力室46a、46b、および46c、および全体として60で示されている制御用マイクロ弁を備えるカバー18が示されている。光源および検出器は、これらの図に示されていない。
【0047】
加圧される流体毎に1つずつ、3つの圧力室46a、46b、および46cがありうる。例示的な実施例において、圧力室46aは、血液試料貯蔵容器62に圧力を加えることができる。圧力室46bは、溶解液貯蔵容器64に圧力を加え、圧力室46cは、シース貯蔵容器66に圧力を加えることができる。それぞれの圧力室46a、46b、および46cのサイズおよび形状は、所望の圧力特性を対応する流体に与えるように手直しすることができる。
【0048】
圧力室46aは、第1の圧力室70および第2の圧力室72を含むことができる。第1の弁74が、第1の圧力室70と第2の圧力室72との間に備えられ、これにより、第1の圧力室70内の圧力を第2の圧力室72へ制御しつつ逃すことができる。第2の圧力室72と流体で連絡している、第2の弁76は、第2の圧力室72内の圧力を制御しつつ抜くことができる。それぞれの弁は、アドレッシングおよび制御を個別に行うことが可能な静電駆動式マイクロ弁の配列とすることができる。圧力室46bおよび46cは、溶解液貯蔵容器64およびシース貯蔵容器66にそれぞれ加えられる圧力を制御する類似の弁を備えることができる。それとは別に、それぞれの弁は、「実効」流量または漏出量が制御しつつ得られる制御可能なデューティサイクルでパルス変調される静電駆動式マイクロ弁の配列とすることができる。
【0049】
取り外し可能カートリッジ14は、カバー18から制御を圧力を受けるための受圧口34a、34b、および34cを備えることができる。制御圧力は、図に示されているように、血液貯蔵容器62、溶解液貯蔵容器64、およびシース貯蔵容器66に供給されうる。溶解液貯蔵容器64およびシース貯蔵容器66は、取り外し可能カートリッジ14が使用のため出荷される前に充填されうるが、血液貯蔵容器62は、試料捕集装置口32から充填される。血液試料は、試料捕集装置口32に供給され、血液試料は、毛管現象により、血液貯蔵容器62内に吸い込まれうる。血液試料が血液貯蔵容器62内に入った後、カバー18を閉じて、システムを加圧することができる。
【0050】
フローセンサーは、流体力学的絞り込みの前にそれぞれの流体と一致するように備えることができる。それぞれのフローセンサー80、100、および102は、対応する流体の速度を測定することができる。フローセンサーは、熱式流速計型フローセンサー、またはマイクロブリッジ型フローセンサーとしてよい。それぞれのフローセンサー80、100、および102からの出力信号は、コントローラまたはプロセッサ40に供給されうる。コントローラまたはプロセッサ40は、血液試料の速度が第1の所定の値よりも低くなった場合に第1の弁74を開き、血液試料の速度が第2の所定の値よりも高くなった場合に第2の弁76を開くことができる。弁84、86、94、および96は、同様の方法で溶解液およびシース液の速度を制御するように動作しうる。
【0051】
動作中、システムを加圧するために、手動式加圧要素44が押し下げられうる。圧力要素は、非手動機構と置き換えられうる。示されている実施例では、手動式加圧要素44は、3つのプランジャを備え、それぞれのプランジャは第1の複数の圧力室のうちの対応する1つの圧力室内に受け入れられうる。プランジャは、第1の圧力室内に比較的高い非精密圧力を発生することができる。第1の弁74、84、および94を開くことにより、二次室内に、低い制御圧力が発生し、二次室内に制御可能な漏れを生じうる。二次圧力室内に生じる圧力が大きすぎる場合、対応するベント弁76、86、および96が開いて、圧力を逃すようにできる。
【0052】
カバー18を閉じたときに、ベント弁76、86、および96を開いているままにして、ノーマルオープンの第1の弁74、84、および94は、閉じることができる。所定の圧力Pが第1の圧力室内に生じたときに、ベント弁76、86、および96を閉じ、第1の弁74、84、および94を開き、二次圧力室に低い圧力P’を生じさせることができる。二次圧力室の制御圧力は、取り外し可能カートリッジ14の流体回路に必要な圧力を供給し、血液、溶解液、およびシースに対する流体流を生じさせることができる。次いで、下流のフローセンサー80、100、および102により、流体流の速度が測定されうる。それぞれのフローセンサーは、対応する第1の弁および弁と弁の動作を制御し、それぞれの流体について所望の流量を一定にするためにコントローラまたはプロセッサ40により使用される出力信号を供給することができる。
【0053】
全体として110で示されている下流の弁も備えることができる。コントローラまたはプロセッサ40は、システムが加圧されるまで下流弁110を閉じておくことができる。これにより、回路が加圧される前に血液、溶解液、およびシースが流体回路内に流れ込むのを防ぐことができる。本発明の他の例示低名実施例では、下流弁110は、カバーが閉じられたときに機械の作用により開くことができる。
【0054】
図11は、図9の流体力学的絞り込みブロック88によるフロー流およびコアの形成を示す略図である。流体力学的絞り込みブロック88は、流体駆動装置から制御された速度で血液、溶解液、およびシースを受け取ることができる。血液を溶解液と混合することで、赤血球を取り除くことができる。溶解溶液のpHは、赤血球に比べて低い場合がある。これは、赤血球溶解またはオンザフライ溶解と呼ばれることも多い。残っている白血球は、フロー流50を発生するためにシース液により囲まれている、中心内腔150の下に供給されうる。フロー流50は、シース液152により囲まれているコア流160を含むことができる。流路の寸法は、白血球154および156が一列縦隊で並ぶように、図に示されているとおりに縮小されうる。シース液の速度は、コア流160の約9倍としてよい。しかし、シース液およびコア流160の速度は、流路内に層流を維持できるよう十分遅いものとしてよい。
【0055】
発光体22aおよび22bならびに関連する光学系は、フロー流50の片側に隣接して備えることができる。フロー流50を介して発光体22aから光を、また蛍光発光粒子から光を受け取るために、フロー流50の他方の側に光検出器24aおよび24bならびに関連する光学系を備えることができる。光検出器24aおよび24bからの出力信号は、コントローラまたはプロセッサ40に供給され、そこで、コア流160内の選択された白血球を同定し、および/または計数するために分析される。
【0056】
図12は、図11の散乱を介してコア流160の分析用の光源の配列22aおよび光検出器の配列24bを示す略図である。光源は「+」記号として表され、検出器はボックスで表される。示されている実施例では、光源の配列は、フロー流50の片側に隣接して備えられ、光検出器の配列は、フロー流の対向側に隣接して備えられうる。光検出器はそれぞれ、複数の光源のうちの対応する1つの光源に位置を揃えることができる。光源の配列および光検出器の配列は、フロー流50の軸202に関して少し回転された光源軸200にそって整列されるように示されている。
【0057】
光源の配列22aは、共通基板上に加工された垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などのレーザーの配列であるとしてよい。VCSELは、垂直発光であるため、小型化された携帯型サイトメーターなどのコンパクトな計測装置のパッケージングに適している場合がある。このようなサイトメーターは、ヒトが身につけることができるものとしてよい。VCSELは、従来の850nmよりも短い波長で動作する、または特に、670nmから780nmまでの範囲の波長で動作する「赤色」VCSELとしてよい。赤色VCSELは、散乱測定に適している波長、電力、および偏波特性を有することができる。
【0058】
いくつかのサイトメーターベンチモデルでは、波長650nmの単一9mW端面放射型レーザーを使用することができる。ビームを10×100ミクロンの細長い形状に集束させ、コア流の位置ずれと幅のせいで生じる粒子位置の不確定性に対応することができる。対照的に、本発明の670nmで動作する赤色VCSELの出力は、典型的には、10×10ミクロンの放射体と100ミクロンの間隔に対し約1mWとしてよい。したがって、10個の赤色VCSELの直線配列からの光の全強度は、いくつかの従来技術のベンチモデルと本質的には同じであってよい。
【0059】
流れの軸202に関してある角度で向き付けられているレーザーの直線配列することには、単一光源構成に勝る重要な利点が多数ありえる。例えば、レーザーの直線配列は、コア流内の粒子の経路の横方向アライメントを決定するために使用することができる。粒子流のアライメントの不確定性の発生源の1つは、コア流の幅であるとしてよく、これにより、粒子経路位置に統計変動が生じうる。これらの変動は検出器データの分析から判別され、コントローラまたはプロセッサ40はこの変動を利用して、流体駆動装置の弁を調節し、試料流体および支持流体に加えられる相対圧力を変更し、フロー流内の選択された粒子のアライメントを変更することができる。
【0060】
流体流50内の細胞の横方向アライメントを決定するために、VCSELの直線配列により生成される複数の焦点スポットに細胞を通すことができる。細胞は、対応するインライン基準検出器内の信号の低下を引き起こしうる。これらの信号の相対的強弱度は、粒子経路の中心および粒子幅の大きさを決定するためにコントローラまたはプロセッサ40により使用されうる。
【0061】
粒子経路および粒子サイズを決定するために、コア流の平面内で一連のガウススポット214(約1000W/cm2の強度)にレーザー22aが集束されうる。スポット214は、白血球とほぼ同じサイズとしてよい(10〜12μm)。例示的なガウススポット214が、図13に例示されている。検出器の配列24aとのその集束光学系の配列は、流体流50の対向側に備えることができる。かなり大きなFナンバーを有するレンズを使用することで、取り外し可能カートリッジのサイトメーターセクション用の数百ミクロンの作業空間を確保できる。
【0062】
単一レーザー構成ではなくレーザーの直線配列22aを使用する場合の他の利点は、それぞれの細胞の速度を決定できるという点である。粒子速度は、光散乱信号から粒子サイズを推定する際の重要パラメータとすることができる。ある種のサイトメトリーでは、粒子速度は、ポンプ流量から外挿されうる。このアプローチの限界は、ポンプは非常に高精度なものであるべきである、サイトメーターフロー室の公差は厳格に制御されるべきである、漏れなどの流体障害は発生すべきでない、フローまたはコア形成を阻害する微泡などの障害物が入り込むべきではないという条件である。
【0063】
それぞれの細胞の速度を決定するために、システムは、2つの隣接する、または連続的なスポットの間をそれぞれの細胞が通過するのに要する時間を測定することができる。例えば、図12を参照すると、細胞は、検出器208を通過し、次いで、検出器210を通過することができる。細胞が検出器208から検出器210へ移動するのに要する時間を測定することにより、また検出器208から検出器210までの距離を知ることにより、コントローラまたはプロセッサ40は、細胞の速度を計算することができる。これは、近似的な速度測定結果となるであろう。これは、飛行時間型測定と呼ばれることが多い。速度が判明した後、粒子が中心位置に来るスポットを通って移動する時間(数マイクロ秒)は、粒子の長さおよびサイズの尺度となりうる。
【0064】
粒子速度は、さらに、流体駆動装置の制御を補助するために使用できるとも考えられる。本発明のサイズ、コスト、および複雑度を低減するために、図7の交換式カートリッジは、プラスチック積層または成形部品から製造することができる。このような製造技術により安価な部品が得られるが、典型的には、寸法が非対称で、断面の公差が大きく、寸法的正確さおよび反復性があまりよくない。このように公差が大きいほど、特にカートリッジからカートリッジまでの間の粒子速度に、変動を生じる可能性がある。このように大きな公差を補償しやすくするために、コントローラまたはプロセッサ40では本明細書で説明されている飛行時間型測定を使用し、血液、溶解液、およびシース液に加えられる制御圧力を調節し、コア流内の粒子の速度が比較的一定するようにできる。
【0065】
さらに、細胞サイズを評価するために、細胞経路にそって、さらに細胞経路を横切る形で、レーザー・ビームを集束させることができると考えられる。さらに、細胞を横切る複数のサンプルをテクスチャ特徴に関して分析し、形態学的特徴と他の細胞種類との相関を求めることができる。これにより細胞サイズに関する複数のパラメータが得られ、細胞種類を互いに分離させるのに役立ちうる。
【0066】
単一レーザー源構成ではなくレーザーの直線配列22aを使用する場合の他の利点は、流路を横切る形で比較的一定した光照射を与えることができるという点である。これは、図13に示されているように、隣接するVCSEL 22aからのガウスビーム214を重ね合わせることにより達成されうる。単一レーザーシステムでは、流路を横切る光照射は、その流路を横切るときに変化しうる。そのため、粒子が、流路の中心にない場合、その後の測定の精度は落ちる可能性がある。
【0067】
上述の測定を実行するために、図12のそれぞれの検出器24aは、単一のインライン検出器とすることができる。しかし、FALSおよびSALSの散乱を測定するために、それぞれの検出器24aは、さらに、図14に示されているように、インライン検出器の周りに配置された2つの環状検出器を備えることができる。この図を参照すると、VCSEL 218は、光を上向き方向に送るように示されている。光はレンズに通され、レンズはコア流の平面内のガウススポットに光を集束させることができる。レンズ220は、マイクロレンズなどであってよく、VCSEL 218と別であるか、または一体化されている。光はコア流を通過し、回折光学素子などの他のレンズ222により受け取られる。レンズ222は、光をインライン検出器226および環状検出器228および230に送ることができる。インライン検出器226は、コア流内で粒子により著しく散乱されない光を検出することができる。環状検出器228は、前方散乱(FALS)光を検出することができ、環状検出器230は、小角度散乱(SALS)光を検出することができる。
【0068】
図15は、光源および光検出器の3つの別々の配列を備えることができる例示的な他の実施例を示している。光源および光検出器のそれぞれの配列は、フロー流の中心流軸に関して少し回転された異なる光源軸にそって位置決めされうる。3つの配列を使用することにより、それぞれの配列に関連付けられている光学系は、特定の用途または機能に合わせて最適化されうる。小画散乱(SALS)を検出するためには、コア流の平面上に十分に集束されているレーザー光が望ましい。前方散乱(FALS)を検出するためには、コリメート光が望ましい。
【0069】
図15を参照すると、光源および光検出器の第1の配列が、300で示されている。光源および光検出器は、第1の光源軸にそって直線配列として配置されうる。第1の光源軸は、フロー流の流れ軸に関して回転されうる。光源および光検出器は、図12に関して上で説明されているものと類似のものであってよいが、例えば、フロー流内の細胞の横方向アライメント、粒子サイズ、粒子の速度を測定するために使用されうる。
【0070】
上で示されているように、ユーザーは、取り外し可能カートリッジを取得し、血液試料を取り外し可能カートリッジの試料捕集装置口32(図7を参照)に送ることができる。血液試料は、例えば、指に針を刺すことで集めることができる。ユーザーは、次いで、取り外し可能カートリッジを筐体内に挿入し、手動でシステムを加圧することができる。次いで、小型化された携帯型サイトメーターは、ユーザーが医療を求めるべきかどうかを示す読み取り値を与えることができる。この読み取り値は、視覚的読み取り値、可聴音、または他の好適なインジケータとすることができる。
【0071】
指を針で刺すなどの方法で血液試料を取得する代わりに、カテーテル804(図27)などをユーザーの静脈に挿入し、試料捕集装置口32に取り付けることができる。これにより、システムは、読み取り値が必要な場合に血液試料をユーザーから自動的に捕集することができる。それとは別に、小型化された携帯型サイトメーターは、試料捕集装置口32が好適な血液供給源に接続された状態でユーザー体内に埋め込むことができると考えられる。
【0072】
図16は、例示的な取り外し可能カートリッジのいくつかの特徴の略図である。例示的な取り外し可能カートリッジは、一般的に400で示されており、本明細書で説明されている取り外し可能カートリッジ14に類似のものとしてよい。取り外し可能カートリッジ400は、例示されているにすぎず、本発明の実施例は、形態、機能、または構成に関係なく、多くのマイクロ流体カートリッジに適用されうることは理解されるであろう。例えば、本発明の実施例は、フローサイトメトリー、血液検査、免疫アッセイ、臨床化学、血液化学分析、尿検査、血液ガス分析、ウイルス分析、バクテリア分析、電解質測定などに適合された取り外し可能カートリッジに応用可能である。また、取り外し可能カートリッジ400などの本発明の取り外し可能カートリッジは、例えば、ガラス、シリコン、1つまたは複数のポリマーを含む好適な材料もしくは材料系、または他の好適な材料もしくは材料系、または材料もしくは材料系の組み合わせから作ることができることも考えられる。
【0073】
例示的な取り外し可能カートリッジ400は、第1の測定流路402および第2の測定流路404を備えるが、必要に応じて使用する測定流路を加減することも可能である。例示的な実施例における第1の測定流路402は、赤血球測定流路であり、第2の測定流路404は、白血球測定流路である。全血試料は、血液受口406を介して取り外し可能カートリッジ402より受け取られ、毛管作用により、知られている量の血液が抗凝血剤コーティング血液試料貯蔵毛細管408内に引き込まれる。試料押し(P)圧力が、試料押し流体貯蔵容器に加えられる。圧力が加えられると、試料押し流体が強制的に、試料押し流体貯蔵容器から血液試料押し流路410内に送り込まれる。
【0074】
例示的ないくつかの実施例では、弁412およびフローセンサー414を血液試料押し流路410と一列になるように備えることができる。弁412は、血液試料を流体回路に押し通すことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー414は、血液試料押し流体の流量を測定することができ、したがって、抗凝血剤コーティング毛細管408を通る血液試料流量を測定することができる。フローセンサー414から得られる流量は、取り外し可能カートリッジ400に供給される試料押し(P)圧力を制御しやすくするために使用されうる。
【0075】
例示的な実施例では、全血試料は分割され、ブランチ416を介して赤血球測定流路402および白血球測定流路404に送られる。例示的な実施例では、弁418は、赤血球測定流路402内に入る血液試料流を制御するためにブランチと一列になるように備えられ、弁420は、白血球測定流路404内に入る血液試料流を制御するように備えられる。
【0076】
赤血球測定流路402を特に参照すると、赤血球球状化試薬圧力(SP)が球状化試薬貯蔵容器に加えられることがわかる。圧力が加えられると、球状化試薬貯蔵容器内の球状化試薬が強制的に、球状化試薬流路424内に送られる。
【0077】
例示的ないくつかの実施例では、弁426およびフローセンサー428は、さらに、球状化試薬流路424と一列になるように備えることができる。弁426は、球状化試薬を流体回路に押し込むことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー428は、球状化試薬の流量を測定することができ、球状化試薬流路424を通る球状化試薬の流量を測定することができる。フローセンサー428から得られる流量は、圧力源/コントローラにより取り外し可能カートリッジ400に供給される球状化圧力(SP)を制御しやすくするために使用されうる。
【0078】
例示的な取り外し可能カートリッジ400の通常の機能動作中に、形状化試薬が球状化試薬流量の交差領域430内に押し込まれ、血液試料が血液試料流量の交差領域430に押し込まれる。血液試料流量および球状化試薬流量は、圧力源/コントローラにより制御されうる。
【0079】
交差領域430は、球状化試薬が血液試料の周囲を流れる動作が、両方の流体が交差領域430内を流れるときに生じるように構成されうる。場合によっては、球状化試薬流量は、血液試料流量より高くてもよく、これにより下流のオンザフライ球状化流路432内の流量特性を改善し、場合によっては、球状化試薬により完全に、また一様に囲まれている薄いリボン状の血液を形成しやすくすることができる。このようなリボン状の流れは、オンザフライ球状化流路432内を移動するときに球状化試薬が赤血球を一様に球状化するのを助けることができる。さらに、オンザフライ球状化流路432の長さは、球状化試薬および血液試料の流量と併せて、血液試料が適切な時間の間に球状化試薬に曝されるように設定できる。
【0080】
シース液(SH)圧力をシース液貯蔵容器に加えることができる。圧力が加えられると、シース液が強制的に、シース液貯蔵容器からシース流路434内に送り込まれる。例示的ないくつかの実施例では、弁436およびフローセンサー438をシース流路434と一列になるように備えることができる。弁436は、シース液を流体回路に押し込むことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー438は、シース液の流量を測定することができ、シース流路434を通るシース流量を測定することができる。フローセンサー438から得られる流量は、取り外し可能カートリッジ400に供給されるシース圧力(SH)を制御しやすくするために使用されうる。
【0081】
例示されている実施例では、シース液は、シース液流量の交差領域440に供給され、球状化された血液試料は、球状化された血液試料の流量の交差領域440に供給される。球状化された血液試料の流量およびシース流量は、圧力源/コントローラにより制御されうる。
【0082】
交差領域440は、シース液が球状化された血液試料の周囲を流れる動作が、両方の流体が交差領域440内を流れるときに生じるように構成されうる。いくつかの場合において、シース流量は、球状化された血液試料の流量に比べて著しく高く、下流のフローサイトメトリー流路442内のコア形成を改善するのに役立ちうる。例えば、いくつかのフローサイトメトリー用途では、この交差領域440は、それぞれの赤血球を取り外し可能カートリッジ400内の光学的窓領域444を通過するときに分析器により個別に光学的に問い合わせできるように一列縦隊のコア内に球状化された血液細胞を流体力学的に集束させ、配列するように構成されうる。いくつかの場合において、サイトメトリー流路442を通過する流体は、オンボード廃棄物貯蔵容器に向けられる。
【0083】
次に、白血球測定流路404を参照すると、白血球溶血剤圧力(L)が溶血剤貯蔵容器に加えられうることがわかる。圧力が加えられると、溶解液貯蔵容器内の溶血剤が強制的に、溶血剤流路454内に送られる。
【0084】
例示的ないくつかの実施例では、弁456およびフローセンサー458は、さらに、溶血剤流路454と一列になるように備えることができる。弁456は、溶血剤を流体回路に押し込むことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー458は、溶血剤の流量を測定することができ、溶血剤流路454を通る溶血剤の流量を測定することができる。フローセンサー458から得られる流量は、圧力源/コントローラにより取り外し可能カートリッジ400に供給される溶解圧力(L)を制御しやすくするために使用されうる。
【0085】
例示的な取り外し可能カートリッジ400の通常の機能動作中に、溶血剤が溶血剤流量の交差領域460内に供給され、血液試料が血液試料流量の交差領域460に供給される。血液試料流量および溶血剤流量は、圧力源/コントローラにより制御されうる。
【0086】
交差領域460は、溶血剤が血液試料の周囲を流れる動作が、両方の流体が交差領域460内を流れるときに生じるように構成されうる。場合によっては、溶血剤流量は、血液試料流量より高くてもよく、これによりオンザフライ溶解流路462内の流量特性を改善し、場合によっては、溶血剤により完全に、また一様に囲まれている薄いリボン状の血液を形成しやすくすることができる。このようなリボン状の流れは、オンザフライ溶解流路462内を移動するときに溶血剤が赤血球を一様に溶解するのを助けることができる。さらに、オンザフライ溶解流路462の長さは、溶血剤および血液試料の流量と併せて、血液試料が適切な時間の間に溶血剤に曝されるように設定できる。
【0087】
シース液(SH)圧力をシース液貯蔵容器に加えることができる。圧力が加えられると、シース液が強制的に、シース液貯蔵容器からシース流路464内に送り込まれる。例示的ないくつかの実施例では、弁466およびフローセンサー468をシース流路464と一列になるように備えることができる。弁466は、シース液を流体回路に押し込むことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー468は、シース液の流量を測定することができ、シース流路464を通るシース流量を測定することができる。フローセンサー468から得られる流量は、取り外し可能カートリッジ400に供給されるシース圧力(SH)を制御しやすくするために使用されうる。いくつかの場合において、シース流路464を通るシース流量は、シース流路434を通るシース流量と同じである。しかし、他の場合には、シース流路464を通るシース流量は、シース流路434を通るシース流量と異なる場合もある。
【0088】
例示されている実施例では、シース液は、シース液流量の交差領域470に供給され、溶解された血液試料は、溶解された血液試料の流量の交差領域470に供給される。溶解された血液試料の流量およびシース流量は、圧力源/コントローラにより制御されうる。
【0089】
交差領域470は、シース液が溶解された血液試料の周囲を流れる動作が、両方の流体が交差領域470内を流れるときに生じるように構成されうる。いくつかの場合において、シース流量は、溶解された血液試料の流量に比べて著しく高く、下流のフローサイトメトリー流路472内のコア形成を改善するのに役立ちうる。例えば、いくつかのフローサイトメトリー用途では、この交差領域470は、それぞれの白血球を取り外し可能カートリッジ400内の光学的窓領域474を通過するときに分析器により個別に光学的に問い合わせできるように一列縦隊のコア内に溶解された血液試料を流体力学的に集束させ、配列するように構成されうる。いくつかの場合において、サイトメトリー流路472を通過する流体は、オンボード廃棄物貯蔵容器に供給される。
【0090】
いくつかの場合において、吸収測定流路も備えることができる。例示的な実施例では、溶解された血液試料の一部が吸収流路480に送られる。弁482は、溶解された血液試料の一部を選択的に、吸収流路または領域484に移動できるように備えることができる。分析器は、吸収流路または領域484を照らすための光源だけでなく、吸収流路または領域484内の溶解された血液試料により吸収されない光を検出するための検出器をも備えることができる。次いで、分析器は、バルク吸収ベースのヘモグロビン測定を行える吸収レベルを決定することができる。いくつかの場合において、吸収流路484は、必要ならば、サイトメトリー流路472の下流に配置されうる。他の場合には、全血試料は、ブランチ416などから吸収流路へ、直接供給されうる。そのような場合、吸収流路は、吸収測定を実行するのに先立って赤血球を溶解するための機構を備えることができる。例示的な取り外し可能カートリッジ400は、全血試料に対し完全血球算定(CBC)分析を実行するように適合されているが、他の取り外し可能カートリッジ構成および分析タイプも、必要に応じて使用できることが考えられる。
図17は、取り外し可能カートリッジを使用して血液試料を分析するための例示的なアプローチを示す概略流れ図である。例示的なアプローチでは、ステップ600で血液試料が最初に取得される。次に、血液試料が、取り外し可能カートリッジ内の抗凝血剤コーティング毛細管に送られる。次いで、血液試料は、分割され、赤血球および血小板(RBC/P)測定流路604ならびに白血球(WBC)測定流路606に送られる。
【0091】
RBC/P測定流路604内で、赤血球は、612に示されているように最初に球状化され、次いで、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のRBC/Pサイトメトリー流路614の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの光源616は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路614の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に光を当てる。いくつかの場合において、VCSELデバイスの配列が備えられ、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路614の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞と揃えられる(複数の)VCSELのみが活性化される。VCSELにより送られる入射光の一部が散乱され、検出器618は、その散乱された光を検出する。いくつかの場合において、検出器618は、前方角度散乱光(FALS)、小角度散乱光(SALS)、および大角度散乱光(LALS)を検出することができる。
【0092】
いくつかの場合において、レーザー(または他の)光源は、細長い線光源として、または2つの別々のスポット光源として、RBC/Pサイトメーター流路614内に集束される。RBCおよびRBC/Pサイトメーター流路614内の血小板は、集束光に通される。高品質集光光学系を使用することで、細胞の鮮明な像および集光を、縦軸がRBC/Pサイトメーター流路614内の流れの方向に直交するように配置された1つ、2つ、またはそれ以上の平行なスリットを含む不透明スクリーン上に形成することができる。これらのスリット間の距離は、例えば、RBC/Pサイトメーター流路614内で予想される平均細胞分離距離の程度としてよい。これらのスリットを含む不透明スクリーンは、1つまたは複数の検出器618の前に置くことができる。細胞の像が1つのスリットを通り越すときに、これはスリット上に入射する光を遮り、検出器618上の信号を弱め、幅が細胞直径に比例するパルス波形を発生する。2つの相隔てて並ぶスリットが備えられた場合、2つの波形は、細胞流速の計算を許すものとなりうる。この技術を使用することで、高信号対雑音比が得られ、これにより、イベントの計数と、複数の細胞イベントの同定が容易に行える。さらに、パルスの幅と振幅で、いくつかの細胞タイプの弁別が可能になる場合がある。
【0093】
いくつかの場合において、細胞と光源の両方の像が、検出器618の前に置かれた二重スリット開口上に結像される。この二重スリット開口は、明確に定められた幾何学的開口をなし、細胞を計数するための高い信号対雑音比をもたらす。上述のように、これらのスリットからの信号は、細胞流速の正確な測定を可能にし、次いで、細胞直径の計算も可能にしうる。
【0094】
いくつかの場合において、620に示されているように、この分析の際に、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)の長さ、および試料希釈係数(DF)を含む、多数のパラメータを測定することができる。(複数の)検出器の出力、および/または対応する散乱シグネチャを監視することにより、赤血球数(NRB)、血小板数(NPlt)、それぞれの細胞の直径(drbc)を測定することができる。
【0095】
これらのパラメータから、また682に示されているように、例えば、赤血球数(RBC=NRB/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbc3>)、平均細胞ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)×<drbc3×CHC>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbc3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の赤血球分析パラメータが計算されうる。
【0096】
例示的なWBC測定流路606内で、赤血球は、632に示されているように最初に溶解され、次いで、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のWBCサイトメトリー流路634の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの光源636は、個々の細胞がWBCサイトメトリー流路634の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に光を当てる。いくつかの場合において、VCSELデバイスの配列が備えられ、個々の細胞がWBCサイトメトリー流路634の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞と揃えられる(複数の)VCSELのみが活性化される。VCSELにより送られる入射光の一部が散乱され、検出器638は、その散乱された光を検出する。いくつかの場合において、検出器638は、前方角度散乱光(FALS)、小角度散乱光(SALS)、および大角度散乱光(LALS)を検出する。いくつかの場合において、640に示されているように、この分析の際に、例えば、軸上細胞体積、全WBC数、およびWBC 5分画を含む、多数のパラメータを測定することができる。
【0097】
図18は、多数の赤血球パラメータを取得するための例示的なアプローチを示す流れ図である。例示的なアプローチでは、ステップ660で血液試料が取得される。次に、血液試料が所望の希釈係数(DF)となるように希釈され、664に示されているように球状化される。次いで、希釈され、球状化された血球は、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のRBC/Pサイトメトリー流路の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの光源616は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に光を当てる。(複数の)VCSELにより送られる入射光の一部が散乱され、検出器は、その散乱された光を検出するために使用される。いくつかの場合において、検出器は、それぞれの細胞について前方角度散乱光(FALS)と小角度散乱光(SALS)の両方を検出する。次いで、プロセッサなどが、それぞれの細胞に対する2つの独立の散乱パラメータ、つまり、SALSおよびFALSを、
{SSALSi,SFALSi}→{drbci,CHCi}
のように細胞直径パラメータおよび細胞ヘモグロビン濃度パラメータにマッピングすることができる。
【0098】
670に示されているように、散乱SSALSiプラスSFALSiの強度が所定の検出閾値以下の場合、制御はステップ668に戻される。しかし、散乱SSALSiプラスSFALSiの強度が所定の検出閾値よりも大きい場合、制御はステップ672に渡される。ステップ672で、SSALSiとSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きいかどうかを判定する。SSALSiとSFALSiの合計が所定の血小板閾値以下である場合、粒子「i」は血小板であると判定され、制御は、ステップ674に渡される。ステップ674で、計数された血小板の数(NPlt)を1だけ増やし、制御をステップ668に戻す。
【0099】
SSALSiとSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きい場合、その細胞は赤血球であり、制御は、ステップ676に渡される。ステップ676で、計数された赤血球数(NRBC)を1だけ増やし、制御をステップ678に戻す。ステップ678で、所定の測定時間に達したかどうかを判定する。所定の時間に達していない場合、制御はステップ668に戻される。
【0100】
ステップ678で、測定時間に達した後、制御はステップ680に渡される。ステップ680で、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)の長さ、試料希釈係数(DF)、計数された赤血球数(NRBC)、計数された血小板数(NPlt)、それぞれの細胞の直径(drbci)、およびそれぞれの細胞のヘモグロビン濃度(CHCi)を含む多数の測定パラメータを示す。これらのパラメータから、またステップ682に示されているように、例えば、赤血球数(RBC=NRBC/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbci3>)、平均細胞ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)×<drbci3×CHCi>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbci3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の赤血球分析パラメータが計算されうるが、ただし、表記<Xi>は、すべての細胞Xiにわたる平均細胞パラメータを意味する。
【0101】
図19は、血液試料を分析するための他の例示的なアプローチを示す概略流れ図である。この例示的なアプローチでは、ステップ700で示されているように、血液試料が取得され、血液試料貯蔵容器に送られる。次に、血液試料が、取り外し可能カートリッジ内の抗凝血剤コーティング毛細管に送られ、希釈される。次いで、血液試料は、分割され、赤血球および血小板(RBC/P)測定流路704ならびに白血球(WBC)測定流路740に送られる。
【0102】
RBC/P測定流路704内で、赤血球は、706に示されているように最初に球状化され、次いで、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のRBC/Pサイトメトリー流路708の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの第1の光源710および関連する光学系は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路708の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に集光ビームを送る。いくつかの場合において、VCSELデバイスの配列が備えられ、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路708の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞と揃えられる(複数の)VCSELのみが活性化される。
【0103】
個々の細胞/粒子が集束入射光ビームを通過するときに、光の一部がブロックされ、散乱されるか、または他の何らかの方法で遮られるが、検出器により検出されうる(図に示されていない)。2つまたはそれ以上の光源がRBC/Pサイトメトリー流路708にそって相隔てて並ぶ異なるスポット上に集束されると、それぞれの細胞の前縁および/または後縁が検出されうる。細胞が1つの集束スポットから次の集束スポットまでの距離を横断するのに要する時間を測定することにより、流量、したがって細胞速度が決定されうる。細胞速度が決定されると、細胞が光ビームをブロックするか、散乱するか、または他の何らかの方法で遮る時間の長さが、細胞サイズおよび/または細胞体積に相関されうる。
【0104】
いくつかの実施例では、分析器に他の光源714および関連する光学系が備えられうる。光源714の関連する光学系は、光を平行にし、SALSおよびFALS散乱などの軸外し散乱を測定することができる。上記のように、SALSおよびFALS散乱は、計数された赤血球数(NRBC)716、計数された血小板数(NPlt)722、それぞれの細胞の直径(drbci)、細胞体積718、およびそれぞれの細胞のヘモグロビン濃度720(CHCi)を測定するために使用されうる。これらのパラメータから、また上述のように、例えば、赤血球数(RBC=NRBC/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbci3>)、平均細胞ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)×<drbci3×CHCi>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbci3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の赤血球分析パラメータが計算されうるが、ただし、表記<Xi>は、すべての細胞Xiにわたる平均細胞パラメータを意味する。
【0105】
例示的なWBC測定流路740では、赤血球が溶解され、742に示されているように、染料が適宜注入される。次いで、細胞は、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のWBCサイトメトリー流路744の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの光源746は、個々の細胞がWBCサイトメトリー流路744の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に光を当てる。いくつかの場合において、VCSELデバイスの配列が備えられ、個々の細胞がWBCサイトメトリー流路744の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞と揃えられる(複数の)VCSELのみが活性化される。
【0106】
個々の細胞/粒子が集束入射光ビームを通過するときに、光の一部がブロックされ、散乱されるか、または他の何らかの方法で遮られるが、検出器により見つけることができる(図に示されていない)。2つまたはそれ以上の光源がWBCサイトメトリー流路744にそって相隔てて並ぶ異なるスポット上に集束されると、それぞれの細胞の前縁および/または後縁が検出されうる。細胞が1つの集束スポットから次の集束スポットまでの距離を横断するのに要する時間を測定することにより、流量、したがって細胞速度が決定されうる。細胞速度が決定されると、細胞が光ビームをブロックするか、散乱するか、または他の何らかの方法で遮る時間の長さが、細胞サイズおよび/または細胞体積に相関されうる。
【0107】
いくつかの実施例では、分析器に他の光源750および関連する光学系および/または偏光器が備えられうる。光源750の関連する光学系は、光を平行にし、754に示されているように、SALS、FALS、およびLALS散乱などの軸外し散乱を測定することができる。上記と同様に、SALS、FALS、およびLALS散乱は、例えば、計数された白血球数(NWBC)752を測定するとともに、756に示されているように、白血球の分画を行いやすくするためにも使用することができる。いくつかの場合において、1つまたは複数の偏光器を備え、これにより、光源から発せられる光を偏光することができ、また検出器で検出された偏光消光/回転のレベルを使用して、白血球の分画を実行しやすくすることができるが、これはすべての実施例において必要というわけではない。
【0108】
血液試料中のヘモグロビン(Hb)の量またはヘモグロビン濃度を決定するために、別のモジュールが使用可能である。モジュールは、ヘモグロビン吸収を使用してHbを決定することができる。血液中のヘモグロビンの量は、グラム/リットルまたは他の単位の組み合わせで表すことができる。例示的な一実施例では、WBCサイトメトリー流路744を出た細胞を、バルク吸収流路760に送ることができる。光源762は、吸収流路760内に存在する細胞上に光を当て、検出器764は、常在細胞により吸収されない光を検出することができる。そこで、吸収流路760を、常在細胞のバルク吸収レベルを測定するために使用できる。例えば、吸収レベルは、血液試料中のバルクまたは平均細胞ヘモグロビン濃度の尺度となりうる。ヘモグロビン流路は、出力値再ゼロ調整光学系およびオートフォーカスおよび/またはアライメントを備えることができる。光源762は、吸収ピークの中心に近い出力を有するLEDであってよく、したがって場合によってはフィルタが不要になる。ヘモグロビンに関して評価される試料を受け入れ、保持するためのキュベットがあってもよい。
【0109】
図20は、HGBカード770またはモジュールの一実施例を示している。乾燥溶解粉末の堆積/プリントがある場所を示す溶血剤堆積領域771があってもよい。HGB測定精度を改善するために乾燥溶解粉末により血液溶解時に発生する気泡をなくす気泡トラップ配置を示す領域773内の一番最後のターンにちょっと動かされたコーナー772がありうる。
【0110】
図21は、散乱光学サブシステム501および蛍光光学サブシステム502を示すサイトメーターカートリッジ500を示している。光学サブシステム501は、それぞれの側面流路530上に窓または開口部30aを備え、光学サブシステム502は、窓または開口部30bを備えることができる。それぞれのサブシステムにおいて、流路530のそれぞれの側面に窓または開口部があってよい。これらの開口部は、光学的挿入物またはレンズを備えることができる。このサイトメーターは、人体に身につける、人体に取り付ける、または人体に挿入するように実装されうる。
【0111】
図22は、それぞれ光学サブシステム501および502を組み込むことができるシステム503および504を示している。システム503は、さらに、コア流160内の白血球などの粒子の散乱測定のためVCSEL配列22aおよび検出器配列24aを備えることもできる。このシステムは、リンパ球および好中球の計数および分類に使用されうる。セルフアライメントも、赤色VCSEL配列ベースの光学サブシステムにより使用可能にできる。ここでは散乱システム503の例示的ないくつかの実施について説明する。
【0112】
システム504は、白血球および血中タンパク質の特定のサブクラスを同定し、計数するために使用される蛍光励起および検出機構であってよい。白血球のサブクラスの検出は、好適な抗体が利用可能であれば使用可能にすることができ、これらの抗体の多くは蛍光性共役形態で市販されている。図23は、血液組成と、蛍光システム504による計数および同定を適用されうる細胞の略図を示している。赤血球は、本明細書で説明されているように溶解によりサイトメーターを使って見られる試料から取り除くことができる。血小板は、白血球をチェックするときにサイズの小ささがサイトメーターの結果に影響を及ぼさないときに保持されうる。例示的な一実施例では、図23の構造に示されている、CD4陽性T細胞505は、HIV感染の臨床経過を辿る際に非常に重要と思われる血液中の割合および計数を有する。図24aに示されているように、CD4に関連付けられるマーカーを有する抗体を血液試料中で混合し、その結果として抗体(AB)506の「Y」に見える構造とCD4細胞505に付着しているそのマーカー(M)507を得る。光源22bは、マーカー507により吸収されうる光を放射することができる。応答として、マーカー507は、蛍光を発し、CD4細胞505を同定するために検出されうる特定の波長の光を放射することができる。
【0113】
炭疽病について血液をチェックすることは、本発明のサイトメーターを使用できる他の応用である。炭疽をもたらすバクテリア509に対する抗体を血液試料と混合することができる。抗体は、バクテリア509と結びつきうる。これらの抗体は、光が衝突したときに蛍光を発するマーカー510を備えることができる。抗体508の「Y」構造は、図24bに示されている。マーカー510は、CD4細胞505に対する抗体506のマーカー507の帯域幅と異なっていてもよい特定の帯域幅の光を放射する。したがって、炭疽病問題は、異なる波長、色、またはシグネチャを有する蛍光発光による同じ血液試料検査におけるHIV問題と別に識別されうる。同じ血液試料中で同じときに検出される異なる問題の個数は、2つよりもはるかに多いことがある。
【0114】
他の例示的な実施例では、Neupogen(登録商標)(タンパク質の一種)は、骨髄抑制化学療法を受けている癌患者体内の好中球を計数することについて考慮することができる。この両方を行っている間、白血球数を正確に監視している必要があると思われる(特に、Neupogen(登録商標)療法期間の好中球、単球、および血小板の個数)。本発明のサイトメーターは、自宅にいる化学療法患者のそのようなパラメータを監視するために未熟練者によって使用されうる。
【0115】
小型化された携帯型サイトメーターは、さらに、生物戦争でも使用できる。これは、生物兵器の定量的検出および同定に使用されうる。この検出および同定は、蛍光測定により実装されうる抗体−抗原タイプの免疫アッセイに基づくことができる。生物学的作用物質が存在する可能性がないか、環境、水、および食品が監視されうる。これは、サイトメーターに適した試料捕集および準備を伴うことがある。サイトメーターの他の用途としては、ハイスループット分析(蛍光検出機能を使用する)およびDNAとRNAの配列決定、潜在的薬物に対する細胞の反応の研究、白血病とリンパ腫の免疫表現型検査および癌患者の余病の監視、および起こりにくい事象の母集団の高速分離を含む、細胞選別および細胞単離がある。いくつかの用途および使用は、分析段階において操作者介入または調節を必要とせず、熟練者が計測装置を操作する必要がなく、とりわけ、一体型光学系および内部血液試料処理機能を有する衛生的な使い捨てのプラスチックまたは他の材料ベースのマイクロ流体カートリッジ14を使用する、コンパクトな高精度流体駆動システムを有する低電力低コストの単一の小型化された携帯型一体型散乱および多色蛍光サイトメトリー計測装置により達成することが可能である。
【0116】
図22のシステム504は、流路530内を一列縦隊で流れる粒子512に光511を当てるように位置決めされたレーザー光源22bを備えることができる。例示されている目的に関して、粒子512は、それぞれ図24aおよび24bの構造513および514を含むことができる。光511は、例えば、それぞれ650から700ナノメートルまたは380から420ナノメートルの帯域幅を取りうる、発光ダイオード(LED)などの赤色または青色レーザー光源から放射できる。適切な波長を有する他のタイプの光源も、光511に使用できる。光511が蛍光マーカー507および510に当たると、これらのマーカーは、蛍光を発し、光515および516をそれぞれ放射することができる。これらのマーカーは互いに異なるため、光515および光516は、異なる波長を取りうる。したがって、構造513および514は、放射光の波長により識別可能であるが、同じ試料、血液、または他のものにおいて互いに区別できる。光515および516は、異なる方向にそれぞれを向けることにより2つのビームを分離する2色性ビームスプリッタ517に進むことができる。ビーム516は、光516を検出して電気信号520に変換しプロセッサ40に送る蛍光検出器518に進むことができる。ビーム515は、光515を検出して電気信号522に変換しプロセッサ40に送る蛍光検出器521に進むことができる。ビーム516の経路内にある、帯域通過フィルタ519は、ビーム516内に存在するように管理されている光源22bからの光511を除去することができる。帯域通過フィルタ523は、ビーム515に対するフィルタ510と同じ目的でビーム515に対し使用されうる。鏡524は、検出システム504のパッケージングを小型化できるように、または他の理由から、検出器521の配置の目的に関してビーム515の向きを変えるために使用されうる。鏡524は、その一方で、ビーム515および516とは異なる波長の光525を分割する他の2色性ビームスプリッタであってよい。さらに他の周波数の光を分割するためにカスケード状の構造、または他の構造でさらに多くのスプリッタを使用することも可能であろう。さらに、プロセッサ40に進むのは、散乱検出システム503の検出器配列24aからの信号である。光源22aおよび22bは、1つの光源で置き換えることができることに留意されたい。
【0117】
スプリッタ517は、さまざまな波長の光を分離するか、または特定の波長を選択するため他の機構で置き換えることもできる。これらは、さまざまな種類のノッチおよびステップ関数フィルタ、同調可能回折格子、薄膜誘電体スタック、ミラービームスプリッタ、光バンドギャップフィルタ、フォトニック結晶、同調可能帯域通過フィルタ、エタロンくし形および他の構造、構造的または他のフィルタリング機能を持つ導光器を有するウェハ、または吸収/フィルタリングについて特定のサイズおよびピッチの導波路およびミシン目を有するシリコンまたはガラスウェハなどを備えることができる。
【0118】
図25は、蛍光光学サブシステム502の例示的な一実施例を示している。ビーム511は、光源22bにより放射され、窓30bを通してマイクロレンズ526により粒子512に集束されうる。光ビーム511は、平行である場合もない場合もある。粒子512は、蛍光を発し、窓30b、薄膜コーティングフィルタ527、およびマイクロレンズ528を通して光ビーム515、516を放射するマーカーを有することができる。フィルタ527は、光源22bからの光511を除去することができる。フィルタ527は、レンズ528の下に配置された誘電体スタックであり、光源22bnの光511をブロックするノッチまたはステップ関数フィルタとすることができる。レンズ528は、マーカーから放射された蛍光をビーム515/516に集束し、ビームはスプリッタ517などのビームスプリッタへ進むことができる。ビーム515/516は、平行である場合もない場合もある。不透明層または吸収層529は、流路530のガラス、石英、またはプラスチック(積層されているか、または積層されていない)基板531上の窓30bまたはレンズ528の周り、または前後に形成されうる。層529は、光源22bから放射される光511が蛍光515/516とともに出るのをブロックすることができる。層またはブロッキングフィルタ529は、ブロックされることが望ましい波長帯に対し黒色であるか、または不透明である薄膜とすることができる。フィルタ529は、ノッチまたはステップ関数フィルタとすることも可能であろう。他のガラス、石英、またはプラスチック(積層されているか、または積層されていない)基板532は、粒子512に対するコア流用の流路530を形成することができる。基板531および532、窓30b、ならびにレンズ526および528は、蛍光発する可能性のある成分を含んでいてはならない。例示的な一実施例では、光源22bからの光511の方向は、粒子512から放射された蛍光515/516の方向に関して約90度としてよい。光源511と放射された蛍光515/516との間の角度により、事実上、蛍光515/516とともに出てくる光源からの光が低減されるか、または除去されうる。実施例における光源22bからの光511の方向の角度は、縦寸法流路530の方向または粒子512のコア流の方向に関して約45度とすることができる。しかし、いくつかの用途では、光511と光515/516の方向の間の角度は、0から120度までの範囲とすることができる。
【0119】
図26は、図22のサイトメーター構成の図を示しているが、ただし、レンズ541および542が配置されている。本明細書で述べられているように、窓および開口部30bは、レンズ541および542に加えてマイクロレンズを備えている場合も備えていない場合もある。単一の光源バージョン(光源22aと22bの代わりに)も、類似のレンズおよび/またはマイクロレンズ光学配置を取ることができる。
【0120】
図27は、手首または手のひらの周りに着けられるように適合された散乱および蛍光検出および監視の両方を行う小型化された携帯型サイトメーターの例示的な実施例を示す斜視図である。このサイトメーター800は、図7、21、31、33、および/または37に示されているものと類似しているものとしてよい。バンド802は、小型化された携帯型サイトメーター800をユーザーの手首に固定することができる。
【0121】
本明細書で示されているように、ユーザーは、取り外し可能カートリッジを取得し、血液試料を取り外し可能カートリッジの試料捕集装置口32(図7、21、22、および26を参照)に送ることができる。血液試料は、例えば、指に針を刺すことで集めることができる。ユーザーは、次いで、取り外し可能カートリッジを筐体内に挿入し、手動でシステムを加圧することができる。次いで、小型化された携帯型サイトメーターは、ユーザーが医療を求めるべきかどうかを示す読み取り値を与えることができる。この読み取り値は、視覚的読み取り値、可聴音、または他の好適なインジケータとすることができる。
【0122】
指を針で刺すなどの方法で血液試料を取得する代わりに、カテーテル804などをユーザーの静脈に挿入し、試料捕集装置口32に取り付けることができる。これにより、システムは、読み取り値が必要な場合に血液試料をユーザーから自動的に捕集することができる。それとは別に、小型化された携帯型サイトメーターは、試料捕集装置口32が好適な血液供給源に接続された状態でユーザー体内に埋め込むことができると考えられる。
【0123】
図28に示されている流路865は、約100×200ミクロンの断面積を持つことができる。粒子868のコア流867は、約15〜20ミクロンの幅としてよい。光866のスポットは、670nmの赤色光に対し約20×180ミクロンとすることができる。図28に例示されているように、コアは、粒子位置871および872により示されているように並んで移動することができる。一列縦隊の白血球868のコア流867に当たる光866からの散乱光869は、検出要素874で1から3度の帯域(FALS)を測定し、散乱光869の検出要素881により3〜11度の帯域(SALS)を測定する光検出器873によりプロットすることができる。検出器873は、さらに、大角度散乱(LALS)も測定することができる。
【0124】
純粋な散乱では、これらのタイプの白血球を同定することができる。FALS対SALSデータについては図29a、FALS対LALSデータについては図29bに散乱のプロットが示されている。図6aおよび6bは、本明細書では、いくつかの実験試行結果からのFALS対SALSのプロットを示している。図2は、細胞の5分画を示している。図29aと29bのプロットにより、5種類の白血球を同定することができ、曲線886はリンパ球を表し、曲線887は好中球を表し、曲線888は好酸球を表し、曲線889は好塩基球を表し、曲線880は単球を表す。図28の検出器873は、環状検出器とすることができる。しかし、代わりに、直線状検出器であってもよい。環状検出器は、高品質の検出を行うことができるが、直線状検出器は、比較的安価である。
【0125】
白血球の種類のほかに、それぞれの種類にさまざまな種がありうる。例えば、リンパ球には、CD4、CD8、CD19、または他の種がありうる。種を同定するのに散乱とは別のアプローチが必要である。例えば、CD4にはY字型抗体があり、その抗体上に青色蛍光標識またはマーカーを付けることができる。他の色の蛍光標識で印を付けられるCD5に対する他の抗体もありうる。さまざまな色に対する標識の計数は、他の波長の光ビームでマーカーまたは標識を励起することにより行うことができる。蛍光を検出するために、光増倍管を使用できる。CD4、CD5、CDXXなどの数が計数されうる。後のイベントは、散乱では実行されない。しかし、散乱は、それでも必要であり、余分な付着していない抗体による誤計数をなくすために使用されうる。
【0126】
全血を採って、溶解し(つまり、赤血球を除去し)、白血球と抗体で終わらせることができる。白血球は、抗体複合体を有することがある。リンパ球が100個あった場合、種同定および計数を目的として100個の抗体が必要であろう。CD4およびCD5のほかの他の種についても抗体がありうる。種を見逃さないために、いくつかの余分な標識抗体がありうる。余剰分の抗体がありうるが、光散乱が細胞の計数に使用できるので、細胞に付着している抗体のみが計数される。光散乱は、標識されている付着してない抗体を探し出すために使用されうる。
【0127】
細胞の寸法は、12ミクロン程度であるが、抗体の寸法は、数百ナノメートルの範囲である。磁気標識の使用など、標識付けには他のアプローチもありうる。重要な点は、ある種の白血球のそれぞれの種、例えば、CD4、CD5、...について、それぞれの種に対し別の、異なる色を必要とする場合があるという点である。例えば、単一流路内の20個のさまざまな種を同定するために20の異なる色が必要になる。
【0128】
励起された蛍光標識のさまざまな色が、1つのビームとして放射されうる。これらの色は、それぞれ異なる色に調節された一連のスプリッタで大きな力、または強引な力で分離させることができる。単一光ビームにおけるさまざまな色の分離および検出のよりコンパクトなアプローチは、プリズムまたは回折格子で分離するというものである。例えば、波長は、400、430、450、...、670nmなどとしてよい。
【0129】
生物学的種は、白血球のようなものに対する適切な基準としてよい。観察される試料は、環境からとったものでよく、炭疽菌とすることが可能であろう。CD4は、炭疽菌で置き換えることができる。言い換えると、抗体を使用することができ、またCD4に使用される抗体を置き換えることができるということである。1つのシステム内で複数の薬剤などのさまざまなもののそれぞれに対し抗体が必要になるであろう。
【0130】
ポリクローナル抗体の代わりに、モノクローナル抗体を使用することができる。図24aには、図24bのCD4に対する抗体とCD8に対する抗体を持つリンパ球の図がある。CD4に対する抗体があるが、CD8に進み、その結果誤計数が生じうる。これは、ポリクローナル抗体で生じうる問題といえる。この問題は、それぞれがCD4、CD8、または他の指定された種にのみ付着するように特徴付けられるため、モノクローナル抗体で解決できる。モノクローナル抗体が、比較的高品質であり、ポリクローナル抗体よりもよい精度をもたらすとしても、後者は著しく安価である。モノクローナル抗体は、典型的には、CD4、CD5、および類似のドメインに使用されうる。
【0131】
指摘されているように、細胞にはサブクラスがありうる。種は、化学兵器作用物質とすることができる。作用物質は、マラリア、TBなどを含むことができ。マラリアは、血液中にあり、したがって、マラリアに対する抗体がありうる。生物学的種は血液中にあり、化学兵器作用物質に水中にあり、疾病は血液中にありうる。3種類の生物学的種は、標識を有する抗体で同定することができる。
【0132】
抗原は、例えば、CD4に付着されたアンテナ(図24a)のように見える。ハンドヘルド型サイトメーターで生物学的種の同定および計数を行うことで、世界中のへんぴな土地でも予防的ケアを実施することができる。ハンドヘルド型サイトメーターは、試料準備および分析のため完全自動化されうる。すべてのサイトメーターではないとしてもほとんどのサイトメーターが、単に指に針を刺して得られただけの試料では機能しない。後者は、サイトメーターの非熟練ユーザー向けに達成可能である。試料は、1月に1回だけ必要になると考えられる。レーザー穿刺は、本発明のサイトメーターで使用することができるが、このようなアプローチは、通常の指に針を刺す方法に比べて高価である。さまざまな他のサイトメーターシステムでは、かなりの量の血液を実際に採血する必要がある可能性がある。
【0133】
図30は、平行アプローチに対するシステム950の光学的レイアウトを示している。このアプローチは、2色性ビームスプリッタ963、帯域通過フィルタ964経路、および検出器972が蛍光検出脚内で使用されるものとして定義されうる。検出器972は、PMTまたは他の好適なタイプの検出器とすることができる。光源脚は、流路967を照射する2つの光源(965、966)波長(青色488nmおよび赤色630nm)を含むことができる。しかし、代わりに、光源が1つだけであってもよい。前方角度光散乱(FALS)検出脚は、両方の光源波長において散乱光969の測定を可能にする帯域通過フィルタを備える2素子光ダイオード検出器968を備えるように示されている。蛍光信号に対しプロットされたときのFALS検出器からの散乱信号により、システムは関連付けられている抗原を持たない標識抗体を同定するので、検出感度が改善される。この平行アプローチでは、単純な検出読み取りを行える。このアプローチの特性は、このアプローチの平行という性質からシステムサイズを増やす結果となりうる4つよりも多い色への拡大、および/またはシステムが拡大されたときの、多数のビームスプリッタ963/帯域通過フィルタ964を含みうる。
【0134】
検出蛍光流路の数を増やせるようにしながらシステムの複雑度を低減するには、直線状検出器配列958からなるマイクロスペクトロメーターを使用してすべての蛍光スペクトルを記録する。図31は、蛍光信号の測定用のスペクトロメーターベースのアプローチに対するシステム960の光学的レイアウトを示している。システム960は、2つの光源965、966、またはただ1つの光源を備えることができる。わかりやすくするため、ポンプシステム、電子回路、およびソフトウェアインターフェイスは、この図には示されていない。このアプローチでは、波長、または異なる蛍光染色により放射されるさまざまな色に応じて光を分離するために分散素子として使用されるプリズム971(または回折格子)を備えることができる。次いで、分離された色は、光増倍管(PMT)配列958の個々の検出素子に向けて集束されうる。要約すると、このアプローチにおける蛍光検出脚は、マイクロスペクトロメーターとみなすことができる。FALS検出脚は、図30に示されている平行アプローチのFALS検出器968に類似のものでよい。検出脚内のマイクロスペクトロメーターを使用することにより、図30に示されているアプローチと同様の複数の平行蛍光流路を不要にできる。マイクロスペクトロメーターは、CCD検出器配列を備えることができる。これらの検出器配列は、標識抗体により発生する蛍光信号を適切に感知するために十分な感度を必要とし、毎秒100〜1000個の速度で流れる細胞からの離散信号については特に十分な感度が必要である。マイクロサイトメーター950は、小さなシステムフットプリントにおいて4つを超える色に拡大することができる。最大色数は、現在利用可能なのが1×32PMT配列であるため32としてよい。しかし、マイクロサイトメーター950の色数を増やすために、さらに大きなPMT配列も利用可能である。図31のシステム960では、プリズム971、格子などを光分散素子として使用できる。
【0135】
図31では、PMT検出器配列958は、システム960全体の信号対雑音比に関係する特定の充填率を持つことができる。しかし、光源の出力は、適宜変更することができ、カスタム光学系は、さまざまなPMT配列のピッチに合わせて手直しすることができる。検査のため、選択されたBW薬剤および模擬薬に対しモノクローナル抗体を利用できるかどうかをチェックすることができる。モノクローナル抗体が利用可能なものに対する検査のため、適切な不活性化された薬剤/模擬薬を選択できる。
【0136】
図32の表は、サイトメーター950または960のAIDS/マラリアバージョンに組み込むことができる有意なパラメータを明らかにしている。この図は、AIDS/マラリア用途に使用できる光学ベースのサイトメーター950、960を示す。3流路(1つは散乱用、2つは蛍光用)アプローチが使用可能である。システムは、全体的サイズを大きく変えることなく6つ以上の流路に容易に拡大できる。例えば、検出空間内で全部で散乱流路1つ、蛍光流路4つを、計測装置用とすることができる(AIDSおよびマラリアは、異なる蛍光流路を必要とすると仮定する)。ただし、白血球数を分画する(少なくとも3分画)機能は、特定の感染症(ウイルスおよびバクテリア)を診断し、監視するための計測装置の重要な拡張機能であると理解できる。技術的には、このような拡張機能は、3つの散乱流路(図32においてオプションの散乱流路として説明されている)と場合によっては2つのサイトメーター測定流路をカード上に必要とする場合がある。しかし、1つの測定流量で十分と思われる。そのため、技術的なオプションとして、ADIS/マラリアPOCサイトメーターの実験室内評価にこれを加えることを検討してもよい。照明側では、少なくとも1つの赤色抗原が、適切な蛍光プローブとともにAIDSアッセイに必要になる場合があり、また赤色と青色の両方の光源が、マラリアアッセイに必要になる場合がある。同じ赤色光源を、散乱測定と蛍光測定の両方に使用することができる。カートリッジの複雑さに関して、AIDSアッセイとマラリアアッセイは両方とも、同じ数のフローセンサーおよび試薬貯蔵容器を必要とすることがある。AIDSアッセイでは、同じサイトメーター測定流路および同じレーザー光源が、散乱測定と蛍光測定の両方に使用されうる。
【0137】
光学的サブシステムの基準アプローチでは、AIDSとマラリアの両方に対する必要な性能を実現するには、細胞散乱(例えば、WBC数および分画の種類)および多色蛍光(例えば、CD4/CD45/CDXX同定、計数、およびマラリア種病原体決定)の両用の測定を必要とすると仮定できる。光学的サブシステムは、赤色励起蛍光プローブ、および複数の光学的散乱および蛍光流路と1つの光源との一体化を組み込むことができる。
【0138】
図33(図30に類似している)は、基準アプローチとしてみなせる光学的レイアウトを備え、蛍光検出脚において2色性ビームスプリッタ963、帯域通過フィルタ964、および検出器972の平行流路を有するシステム950を示している。光源脚は、使い捨て型試料カートリッジ952内に埋め込まれている流路967を照射する赤色(966)および青色(965)の波長(例えば、630nmおよび488nm)の2つのレーザーを有することができる。しかし、代わりに、レーザーが1つだけであってもよい。図に示されているように、1つまたは複数の光源966、965は、光源をサイトメーター流路967のコア流974内の細胞973の流れに自動的に揃えることを可能にする一軸微小平行移動ステージの形態の自動アライメント機能を組み込むことができる。VCSEL配列が光源として使用される場合、光源をコア流974の細胞973に揃える自動電子セルフアライメントを実行することができる(細胞の流れに揃う適切なVCSELを選択することにより)。この電子セルフアライメント機能により、POCサイトメーターがメンテナンスフリーになり、開発途上国の現場で使用できる堅牢さを有することができる。
【0139】
図33は、さらに、AIDS/マラリア用途に使用できる光学ベースのPOCサイトメーターに対するアプローチを示す。3流路(1つは散乱用、2つは蛍光用)アプローチがここに示されている。このアプローチは、全体的サイズを大きく変えることなく6つ以上の流路に拡大できる。図を簡単にするため、散乱検出脚は、この図に示されていない(しかし、図30には示されている)。散乱光は、全WBC数を測定するために、FALSチャネルと従来から呼ばれている小角度の少なくとも1つの範囲(約1から3度)において必要になるが、SALS(約5から10度)およびLALS(大角度散乱)などのより高い角度における追加の角度ビンは、さまざまな種類の5つの異なる白血球を分画するために、必要になる場合がある(図29aおよび29bに示されているように)。システム950のシリコン光ダイオード検出器968(図30)は、小さな角度で散乱された光には適している場合があるが、小型光増倍管(PMT)は、90度散乱およびすべての蛍光流路に対してより効果的であると思われる。さらに、FALS(約1から3度)検出器からの散乱信号が蛍光信号に対しプロットされた場合、システムは抗原を持たない標識抗体を同定することができ、その結果、検出感度が改善される。このアプローチの結果として、大半の市販の大きなベンチトップサイトメーターで使用される実証済みのアプローチに基づく単純な検出結果読み出しが行える。AIDSとマラリアの両方のアッセイに、4つの蛍光検出流路があれば十分であると思われる。
【0140】
HIVアッセイについては、実験室用使い捨て型カートリッジまたはカード952上でCD4/CD45抗体−抗原捕捉により白血球を標識することができる。フローサイトメトリー検査では、カード952は、全血の試料約10μLを処理し、CD4およびCD45(および/またはCDX、CDXX)により白血球を染色し、赤血球を溶解し、残りの細胞をオンカードサイトメーター流路内に集めてPOCサイトメーター950によりプレゼンテーションおよびサイトメトリー分析を実行することができる。これは、AIDS(CD4)アッセイに使用されるクレジットカードサイズの使い捨て型カートリッジ952とすることができる。カード952は、図33に示されているように、フローセンサー975、オンザフライ溶解ループ976、オンザフライ染色ループ977、流路967、血液貯蔵容器978、および試薬貯蔵容器979を備えることができる。
【0141】
使い捨て型カートリッジ952内には検査用の処理があってよい。全血試料は、指に針を刺すことで得られる。血液は、オンカード試料ループ内で貯蔵できる。抗体および再水和緩衝液を用意することができる。また、血液細胞の標識付け(つまり、抗体抗原結合)も行える。次いで、赤血球が、オンカード溶血剤による溶解に出会う。溶解された血液は、細胞973がオンカードシース試薬とともに流路967内のコア流974として一列縦隊で集束される場所に進むことができる。細胞973に関する情報が得られた後、血液はオンカード廃棄物室に進むことができる。
【0142】
同様に、2色マラリアアッセイでは、さらに、カートリッジ上に試料、抗体−抗原捕捉、試薬混合、および他のアッセイプロトコルを一体化すすることができる。このアプローチは、マラリアアッセイを含むことができる。マイクロ流体力学ベースのアッセイでは、図36の表の特徴の比較により示されるように、高価な試薬の消費量を減らし、アッセイ手順を簡素化し、今日のベンチトップサイトメーターで使用される従来のアッセイと比べて全体的アッセイコストを低減することができる。
フローサイトメーター950または960は、AIDS監視/マラリア診断のため遠隔地で使用できる。サイトメーター950または960のような迅速で、配備可能であり、低コストである(計測装置およびアッセイのコスト)計測装置は、市販の大型のフローサイトメトリーシステムに匹敵するか、またはそれ超えるよい結果をもたらしうる。それに加えて、マラリアの場合、これは、感染種を同定することができる低コストで、使いやすいPOCフローサイトメトリースクリーニングの必要性を満たすことができる。携帯型サイトメーター950または960は、開発途上国世界のへんぴな地域でそのようなスクリーニングを行う場合にいくつかの利点を有すると思われる。これらの利点としては、特定の治療を必要とする可能性のある患者の迅速で簡単な識別、関連死亡率および疾病率を有する重度のマラリアへの進行の低減、寄生体抵抗の予防、および多くの人々の良好な患者予後が挙げられる。
【0143】
CD4および類似の監視について市販の、いくぶん小型化されているサイトメーターと本発明のサイトメーターとを比較すると、後者が最も有利であることがわかる。サイトメータープラットフォーム950または960は、開発途上国世界のポイントオブケア環境におけるマラリア診断洋の第1の実用的なサイトメーターベースのプラットフォームとみなすことができる。サイトメーター950または960は、安価で、携帯性に優れ、非熟練者にも扱いやすく、必要なメンテナンスの少ない、感染症のPOC診断および監視の最新技術を推進することができる。
【0144】
サイトメーター950または960は、AIDSおよびマラリアのアッセイに対するフル機能を備えることができる。しかし、最初に、プログラム実行時に組み立てられるすべての計測装置の機械的筐体および固定具に、一部のスロットが埋まっていないとしても、全AIDS/マラリア測定機能用に空間とスロットを割り当てておくことができる。
【0145】
蛍光ビーズ、全血、およびマラリア模擬薬は、目標試料として使用することができる。機械的筐体に加えて、POC計測装置950または960は、複数のサブシステムを備えることができる。サブシステムのいくつかは、流体駆動装置(ポンプ)サブシステム、光学的サブシステム、駆動および感知電子回路、ならびにソフトウェアおよびグラフィカルユーザーインターフェイスを備えることができる。CD4アッセイでは、より複雑なゲーティング法ともよく合うように見える、Pan−leucogatingなどの確立されているゲーティングアルゴリズムを使用する計画を立てることもできる。
【0146】
駆動感知電子回路、アルゴリズム、およびソフトウェアは、所定の入力試料の模擬薬およびBW薬剤などの臨床または環境試料を検査するように構成されうる。分析カートリッジにより、試料調製を行い(市販の試薬の化学的性質をカスタマイズする)、生物学的試料中のBW薬剤を検出することができる。カードまたはカートリッジは、試料入口および試薬オンカード貯蔵容器を備えることができる。さらに、カードまたはカートリッジ上に、廃棄物保管貯蔵容器、抗体が抗原と混合される場所、および生物学的薬剤のサイトメトリー分析が少なくとも一部は実行される場所を用意することもできる。
【0147】
ポンプ機能は、POC分析器計測装置に関して注意すべき因子である場合がある。いくつかの血液学分析器およびフローサイトメーター内のポンプシステムは、ステッパーモーターにより駆動される注射器ポンプにより発生する体積制御流量に基づくことができる。このようなシステムは、正確であるが、かさばり/電力を食い、POC計測装置で使用するのには適さないと思われる。POC血液学分析器の開発の一環として、図34に示されているように、閉ループで動作する小型化された圧力駆動(体積駆動とは反対の)ポンプシステムが使用可能である。ポンプシステムは、それぞれ試料903およびシース液904を供給するためマイクロ弁908とともに高圧および低圧室901および902を備えることができる。試料903およびシース液904の流れの量は、フローセンサー905および906により決定されうる。流量指示は、制御ループ制御電子回路907に進むことができる。電子回路907は、フローセンサー905および906からの指示に基づき、信号をポンプシステムに送信し、流体903および904の流れをいくつかの所望のレベルに制御することができる。試料流体903およびシース液904は、ポンプで多岐管909内に送り込むことができる。多岐管909から、試料903およびシース904がサイトメーター910および流体チップ911上のその流路967内に入ることができる。
【0148】
本発明のサイトメーターでは、閉ループで動作する小型化された圧力駆動(体積駆動とは反対の)ポンプシステムが使用できる。このような多くの動作原理は、マイクロポンプを使用して生成される高圧空気源を伴うことができる。低い、正確に制御される圧力は、小型化された弁の配列を使用することによりこの高圧空気源から生み出すことができる。これらの弁は、それぞれの流路に対し所望の流量を確保するためにそれぞれの流路内に取り付けられたマイクロフローセンサーを備える閉ループ構成で使用されうる。いくつかのこのようなポンプが組み立てられ、特徴付けられ、うまく行くことが証明されている。図35aおよび35bのグラフは、高精度の低および高流量がこの技術により得られることを示している。これらのグラフは、図35aのプロット961により示されている2〜3μL/分および図35bのプロット962により示されている150〜200μL/分の流量範囲においてこのポンプシステムの2つの流路の流量を高い精度(1%の精度)で制御することを示すデータを明らかにしている。さまざまな試薬および血液試料の流量の制御が高精度であるということは、血液細胞の数の測定も高精度であるということである。本発明のPOCサイトメーターでは、AIDSおよびマラリアのアッセイに必要ないくつかの小さな修正を追加の流路に加えただけで、この閉ループポンプ技術を使用することができる。
【0149】
さまざまなアッセイにおいて、カートリッジ952(カートリッジ)上のマイクロ流体力学ベースのアッセイには、図36に示されているようにベンチトップサイトメーター(ベンチトップ)に勝る多数の利点を有すると考えられる。カートリッジは、全血試料を約12μLだけ必要とするが、ベンチトップでは、約100μLを必要とする。ベンチトップでは、4つの希釈ステップが使用され、カートリッジでは何も使用されない。モノクローナル抗体を無理なく取得する難しさを考えると、カートリッジでは0.6μLだけ(最適化されていない)あればよいが、ベンチトップでは5μLが必要である。カートリッジについては、インキュベーションステップの数と持続時間は、2つあり、1つは室温で20秒間であり、もう1つも室温で20秒間である。ベンチトップについては、インキュベーションステップは、40℃で30分間のものと、室温で5分間のものを含む。使用される溶解溶液の量は、カートリッジとベンチトップとでそれぞれ500μLと1.4mLである。サイトメトリー測定時間は、カートリッジもベンチトップも約2〜3分である。
【0150】
サイトメーターでは、カートリッジ上に試薬貯蔵容器979があり、マイクロフローセンサー975が埋め込まれうる(図30、31、33)。カード952では、CD4およびCD45抗体の貯蔵溶液(0℃〜4℃で貯蔵される)を使用することができる。乾燥されたCD4およびCD45抗体をカード上のマイクロ流体流路内に直接プリントするプロセスがありうる。生物学的試薬のナノリットル体積分をプラスチック表面に堆積することができる。試薬が乾燥されマイクロ流路内に入れられた後、低温積層プロセスを使用してこれらの流路を封止することができる。次いで、試薬は、正しい細胞に標識する生物学的活性を保持するように緩衝液(これもカード上に貯蔵される)により再水和され、使用時にカード上で血液と混合されうる。制御カードは、基準として類似のカード内の非乾燥試薬を伴うことができる。マイクロ流路内の試薬を乾燥させ、乾燥した試薬を、正しい細胞を標識する生物学的活性を保持するように再水和するプロトコルがありうる。
【0151】
ポイントオブケア診断用途向けの一体化プラスチック製使い捨て型カード952を生産する系統だったアプローチがありうる。所定の用途に対する複数のマイクロ流体機能は、最も単純な形態(サブサーキットと呼ばれる)に還元することができる。例えば、カード内への1滴の試薬の適切なアライメントと捕捉は、カード内の初期サブサーキットであってよい。このカードにより、ユーザーは1滴の血液(指に針を刺して得られる)を採り、次いで(吸引を介して)少量(約10から30μL)の試料を指の圧力でカード内に引き込むことができる。マイクロ流体流路内で一定方向に空気および液体を通すことを許すマイクロ逆止弁がありうる。これらの弁を、カード内に組み込むことができる柔軟な空気袋と併用すると、エンドユーザーは測定された体積の試薬を容易に取得できる。サブサーキットは、動作可能なカード内に組み込むことができる。
【0152】
使い捨て型分析カートリッジ952に超低自己蛍光材料を使用することができる。環状オレフィン共重合体(COC)ベースのプラスチックは、488nmでガラスと同程度の、またはそれよりもよい自己蛍光特性を持つことができ、また非常によい防湿層となりうる。この材料のガラス転移温度は、等級に応じて、約70から180℃としてよい。COCポリマーは、488nmで非常に高い光透過率(>95パーセント)を持つことができる。
【0153】
488nmにおけるガラス状自己蛍光特性を有する低コストプラスチックが識別され、使い捨て型分析カード952上に光学的窓および/またはレンズ(例えば、図33のレンズ992)を形成するために使用されうる。特定のプラスチック群は、COC(Topas(商標))および他のそのようなポリマーを含むことができる。それに加えて、これらの光学的窓は、さらに、石英、Pyrex(商標)、および他のガラスまたはガラス状材料で作ることができる。各種COCは、非常に低いレベルの自己蛍光を持つことができるため、蛍光フローサイトメトリー用の使い捨て型マイクロ流体カードで使用するのに非常に適していると思われる。COCプラスチックは、他のガラス材料と異なり、カード製造プロセスに容易に組み込める。これらのプラスチックの複屈折性は、ポリカーボネート、ポリスチレン、およびアクリルに比べて低くてもよい。COCプラスチックは、非常によい耐薬品性を有するように思われ、また軽量であり、粉砕に強く、生体適合性もある。これらは、可視光線波長で約92パーセントの透過率、約1.533の屈折率、および56のアッベ数を持つことができる。これらのプラスチックは、さらに、良好な寸法安定性および高ガラス転移温度も持つことができる。
【0154】
フローサイトメトリー検査では、カード952は、全血の試料約10μLを処理し、CD4およびCD45抗体抗原捕捉により白血球を染色し、赤血球を溶解し、残りの細胞をオンカードサイトメーター流路内に集めてPOCサイトメーター950によりプレゼンテーションおよびサイトメトリー分析を実行することができる。AIDS(CD4)アッセイおよびその操作手順に対するクレジットカードサイズの使い捨て型カートリッジ952が、それぞれ図37および38に示されている。カード952は、フローセンサー975、オンザフライ溶解ループ976、オンザフライ染色ループ977、流路967、血液貯蔵容器978、および試薬貯蔵容器979を備えることができる。
【0155】
図38は、システム950、960の使い捨て型および/またはマイクロ流体カートリッジ952内における操作手順のプロセス図を示している。全血試料は、ブロック981で指に針を刺すことで得られる。血液は、ブロック982でオンカード試料ループ内に貯蔵できる。セクション984では、セクション985へのオンカード抗体(モノクローナルおよびポリクローナル)を供給することができる。また、ブロック982からの血液は、血液細胞の標識付け(つまり、抗体抗原結合)が行われるセクション985に進むことができる。セクション985から、血液は、赤血球がブロック987からのオンカード溶血剤による溶解に遭遇するセクション986に進むことができる。溶解された血液は、細胞973がブロック989からのオンカードシース試薬とともに流路967(図33)内のコア流974として一列縦隊で集束されるセクション988に進むことができる。細胞は、計数され、分類されうる。細胞973に関するさまざまな情報項目が得られた後、血液はブロック991でオンカード廃棄物室に進むことができる。
【0156】
材料選択は、正しく機能するカードを得るためにカード952の加工プロセスでは重要なものと思われる。さまざまな可能な用途、化学的性質、および最適な性能となるように一体化できる他のコンポーネントを考えると、すべてのカード設計のニーズを満たす普遍的なプラスチックは存在しないように見える。むしろ、所望のカードの機能の仕様とバランスのとれるさまざまなプラスチックおよび接着剤がある。488nm(青色)および630nm(赤色)で好適な材料不透明性について、さまざまな候補プラスチックフィルムを評価することができる。それに加えて、Honeywell社のAclar(商標)フィルムなどの非常によい防湿層特性を持つプラスチックに注目するとよい。フィルムのバリア性は、液体が乾燥(H2O移動)してしまうのを防ぎ、さらにはpHドリフトを防ぐ(O2およびCO2の移動を最小にする)うえで重要な役割を果たしうる。材料選択は、市販の使い捨て型カードが最大1年間周囲温度で安定し、開発途上国世界の辺境地で使用するのに好適であるという目標が与えられた場合に特に重要であると思われる。
【0157】
本明細書では、問題のいくつかは、他の方法または時制で述べられていけれども仮説的または予言的性質を有するものとすることができる。
本発明は、少なくとも1つの例示的な実施例に関して説明されているけれども、本明細書を読んだ後、多くの変更形態および修正形態が当業者に明らかなものとなるであろう。したがって、付属の請求項が従来技術に関して可能な限り広く、そのようなすべての変更形態および修正形態を含むものと解釈されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】ポイントオブケア計測装置のブロック図である。
【図2】白血球の5分画のグラフである。
【図3】抗原を有する白血球の図である。
【図4a】3次元透視図法で細胞のプロットを示した図である。
【図4b】観察者が右側のプラットフォームのエッジをのぞき込んでいるときに見えるものを表した図である。
【図5a】左のピークが右のピークに相対的に弱いことを除き、図4aのと似た細胞のプロットの図である。
【図5b】この図での向きを変更したことを除き、図5aのプロットと同様の図である。
【図6a】複数のサイズを有するビーズの計数および分類のグラフである。
【図6b】3種類の白血球の分画のグラフである。
【図7】小型化された携帯型サイトメーターの斜視図である。
【図8】小型化されたサイトメーターの略図である。
【図9】カバーが押し下げられていない状態の小型化されたサイトメーターのより詳細な略図である。
【図10】カバーが押し下げられている状態の小型化されたサイトメーターのより詳細な略図である。
【図11】流体力学的絞り込みコンポーネントによるフロー流およびコアの形成を示す図である。
【図12】コア流の分析用の光源と検出器の配列の図である。
【図13】ガウス光点の図である。
【図14】光散乱体に対する光源および検出器の配置の図である。
【図15】流路に近接する光源および対応する検出器の3つのセットの図である。
【図16】例示的なカートリッジのいくつかの特徴の略図である。
【図17】血液試料を分析するための例示的なアプローチを示す概略流れ図である。
【図18】多数の赤血球パラメータを取得するための例示的なアプローチを示す流れ図である。
【図19】血液試料を分析するための他の例示的なアプローチを示す概略流れ図である。
【図20】ヘモグロビン測定精度を改善するために溶血剤堆積領域および気泡トラップを有するカードを示す図である。
【図21】散乱サブシステムおよび蛍光光学サブシステムを備えるサイトメーターカートリッジの図である。
【図22】散乱および蛍光サブシステムの光学配置の略図である。
【図23】血液の成分の図である。
【図24a】細胞の蛍光同定のため細胞にマーカーを付着させた抗体を示す図である。
【図24b】細胞の蛍光同定のため細胞にマーカーを付着させた抗体を示す図である。
【図25】流路の蛍光光学サブシステムの図である。
【図26】レンズ装着蛍光光学サブシステムの略図である。
【図27】手首に付けるために小型化されたサイトメーターを示す図である。
【図28】光散乱検出器を備える流路の端面図である。
【図29a】白血球の3分画を明らかにするFALSデータとSALSデータとの関係を示すプロットである。
【図29b】図29aの白血球に加えて、さらに2種類の白血球の分画を明らかにするFALSデータとLALSデータとの関係を示すプロットである。
【図30】小型サイトメーターカートリッジに関連する2色性ビームスプリッタタイプの光学系の略図である。
【図31】小型サイトメーターカートリッジに関連するプリズムビームディスクリミネータタイプの光学系の略図である。
【図32】AIDSおよびマラリアアッセイのさまざまなパラメータに対する構成要素を示す表である。
【図33】図25の関連する光学系を備えるより詳細な小型サイトメーターカートリッジの略図である。
【図34】血液学分析器およびフローサイトメーターなどのポイントオブケア計測装置の閉ループポンプシステムを示す図である。
【図35a】閉ループポンプシステムの流速精度を示すグラフである。
【図35b】閉ループポンプシステムの流速精度を示すグラフである。
【図36】小型サイトメーターおよびベンチトップサイトメーターの比較結果を示す表である。
【図37】AIDS(CD4)アッセイを行うための小型カートリッジレイアウトの図である。
【図38】免疫アッセイおよび血液学検査の用途を有する小型カートリッジの操作手順を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年12月29日に出願した米国仮特許出願第60/755,014号の利益を主張する。
本出願は、2005年12月22日に出願した米国仮特許出願第60/753,293号の利益を主張する、2006年12月22日に出願した米国特許出願第11/615,884号の一部継続出願である。
【0002】
本出願は、2004年5月14日に出願した仮特許出願第60/571,235号の利益を主張する、2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,460号の一部継続出願である。
【0003】
本出願は、2004年5月14日に出願した仮特許出願第60/571,235号の利益を主張する、2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,461号の一部継続出願である。
【0004】
本出願は、2004年9月27日に出願した米国特許出願第10/950,898号の一部継続出願である、2005年12月30日に出願した米国特許出願第11/306,508号の一部継続出願である。
【0005】
本出願は、2002年11月26日に出願した米国特許出願第10/304,773号の一部継続出願である、2004年9月9日に出願した米国特許出願第10/938,265号の一部継続出願である。
【0006】
本発明は、サイトメトリー、特に携帯型サイトメトリーに関するものである。より具体的には、本発明は、血液分析に関する。
【背景技術】
【0007】
HIVおよびマラリアは、死亡率と疾病率のいくつかの主要原因のうちの2つであり、それぞれ、即座の診断と効果的な治療で予防可能である。これらの疾病は両方とも全世界の途方もない負担となっているが、これが発生しているのがサハラ砂漠以南のアフリカである。マラリア原虫血症の有病率は、HIV感染とともに増大し、マラリアの発生率は、HIV感染とともに増大し、HIVは、マラリア患者が重度のマラリアを発症する危険性を増大し、マラリア予防または治療はHIV重感染に対しては有効性が低い場合があることを示唆する証拠が挙げられている。HIVを監視する場合、注目するマーカーは、CD4+リンパ球であり、CD4枯渇は、HIV疾病の発病に直接リンクしているように見える。
【0008】
全白血球数またはリンパ球数の変動は、ヒトのCD4数に影響を及ぼす可能性があることに留意されたい。これは、変化の少ないCD4パーセンテージについて話すのを好む人たちもいるからである。
【0009】
完全血球算定(CBC)を指令すると、ヘマトクリットおよびヘモグロビン(赤血球に関する情報が得られる)と白血球数を求めることができる。「分画」は、異なる種類の白血球を、また好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球のパーセンテージを示すことができる。HIVで注目するのは、リンパ球である。
【0010】
T細胞数(CD3数)は、CD4数およびCD8数を含むことができる。比CD4/CD8は、もはや頻繁には使用されないであろう。これらの測定に対し、高い数値が最良であるように見えるが、ウイルス量、絶対数のCD4数、およびCD4パーセンテージに注意を払うことによりある種の混同を避け、比CD4/CD8を無視することができる。
【0011】
CD+4(Tヘルパーともいう)リンパ球は、人体の免疫学的防御に関与している可能性がある。HIV感染によりそれが喪失すると、免疫系が徐々に低下し、後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する症状に進行する可能性がある。治療ガイドラインでは、抗レトロウイルス薬物療法をいつ開始すべきかを決定すること、治療計画がどれだけよく働いているかを評価すること、および代替え投薬計画への切り換えが必要かどうかを決定するのを補助することのために定量的CD4+リンパ球およびHIVウイルス量検査を使用する必要がある場合がある。
【0012】
開発途上国のHIV感染者が増加の一途を辿り、ヘルスケアサービスに過度の負担をかけ、圧倒し続ける。大半の開発途上国では、既存の検査方法があまりにも高価で複雑であるため、HIV感染者のCD4+リンパ球数を監視する既存の施設は、限られているか、または存在していない。CD4+リンパ球を監視するための単純で、安価で、半定量的なアプローチが利用可能であれば、以下の疾病および公衆衛生への影響が生じうる。CD4+リンパ球レベルを検査し、監視するための簡素化された、低コストの、使いやすいデバイスを実現すると、CD4検査をふつうに、一貫して利用することが可能になり、これによりHIV治療の有効性が高まり、薬剤耐性が低減されるが、これは開発途上国世界においては非常に価値のあることと思われる。
【0013】
マラリアによる感染の早期の正確な診断は、効果的な疾病管理には重要であり、また脳マラリアなどの合併症の進行と発症を防ぐのにも重要である。マラリアの2つの最も伝染力の強い普通種は、熱帯熱マラリア原虫(P)および三日熱マラリア原虫であり、したがって、安価で、使いやすいデバイスを介してこれら2つの種を同定できれば、開発途上国世界にとって大いに有益であろう。
【0014】
2005年12月22日に出願された米国仮特許出願第60/753,293号は、参照により本明細書に組み込まれる。2005年12月29日に出願された米国仮特許出願第60/755,014号は、参照により本明細書に組み込まれる。2005年5月12日に出願された米国特許出願第10/908,460号は、参照により本明細書に組み込まれる。2005年5月12日に出願された米国特許出願第10/908,461号は、参照により本明細書に組み込まれる。2005年12月30日に出願された米国特許出願第11/306,508号は、参照により本明細書に組み込まれる。2004年9月27日に出願された米国特許出願第10/950,898号の一部継続出願は、参照により本明細書に組み込まれる。2004年9月9日に出願された米国特許出願第10/938,265号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、1つのポイントオブケア(POC)マイクロ流体計測装置プラットフォームで免疫アッセイおよび血液学検査を行うことができる装置である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
診断、監視、および生命科学の用途向けのポイントオブケア(POC)計測装置の需要が増大している。POCフローサイトメーターの重要な用途の1つは、投薬(ART)中のAIDS(HIV感染)患者および他の疾病を患っている患者を含む他の患者を監視することである。フローサイトメーターは、マイクロ流体フォーマットでこれらのアッセイを実施する。
【0017】
本発明は、ポイントオブケア計測装置用にCD4/CD8/CDXXアッセイ(HIV感染患者に使用される)を実施するアプローチを実現する。このアッセイは、使い捨て型プラスチック製分析カードのマイクロ流体フォーマットで実装されうる。カードは、CDXXアッセイを実行することができるだけでなく、さらに総白血球数/白血球分画の検査も実行できる。本発明は、単一のマイクロ流体カートリッジ上で組み合わせることができるそれぞれのモジュールとなっている2つの検査(CDXX検査または免疫アッセイ検査および血液学検査)を実施することができる。カートリッジは、積層構造であるか、または少なくとも部分的には、成形構造としてよい。カートリッジの材料としては、さまざまなタイプのプラスチックおよびガラス材料が考えられる。他の材料も、例えば、埋め込まれる電極などの特定の電気的コンポーネントに対する導電性材料などを適宜構造の中に使用できる。
【0018】
マイクロ流体フォーマットのいくつかの利点として、試薬消費量が最小である(したがって、検査コストが低い)、両方の検査が同じカード上で実行されるため使いやすい、試料調製手順が簡素化されている(30分間のインキュベーションがない)などが挙げられる。本発明は、マイクロ流体カートリッジ上にマイクロ流体フォーマットで異なるアッセイ機能を実装することを含むことができる。これらの機能は、混合、分離、濾過、洗浄、予備濃縮、溶解、選別などを含むことができる。
【0019】
本発明は、白血球試料入力から得られた白血球を計数し、分類することができるPOC統合散乱および蛍光フローサイトメーターとしてよい。本発明のPOC計測装置は、CD4監視(CD4絶対数およびパーセントCD4)に使用されうる。このサイトメーターは、ハンドヘルド型計測装置およびクレジットカードサイズの使い捨て型分析カートリッジで構成することができる。使い捨て型カートリッジは、オンボード試薬貯蔵容器(希釈液、溶解液、およびシース液)、全血試料捕捉毛細管、およびオンボード液流センサーを備えることができる。サイトメーターシステムは、カートリッジ上の自動化試料調製機能、赤色VCSEL配列ベース電子セルフアライメント機能、超小型3流路ポンプシステム、ならびにカスタム開発電子回路およびグラフィカルユーザーインターフェイスを備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、ポイントオブケア(POC)計測装置およびその動作のブロック図である。全血試料は、ブロック111で持ち込むことができる。全血の一部は、溶解ウェル112に通され、そこで主にブロック113で白血球を得るために赤血球を除去することができる。白血球の一部は、ブロック114で散乱ベースサイトメトリーに入り、その結果、ブロック115で白血球の個数と5分画が得られる。
【0021】
ブロック113から、一部の白血球は、さらに、蛍光標識抗体でインキュベートするためにブロック116に入ることができる。これは、ブロック117で、CD4、CD、マラリア寄生体、結核(TB)などの指標および/または量に関する情報を得るためである。
【0022】
さらにブロック111からは、全血一部が、散乱およびサイトメトリーブロック118に入り、RBC数とヘマトクリットデータを取得することができる。ここでもまた、ブロック111から、全血はブロック120に入り、血液中のヘモグロビンの量に関する溶解および吸収ベースの情報得ることができる。図1のブロック内の項目は、マイクロ流体カートリッジまたはカード上で実装することができ、血液学分析器とみなすことができる。カートリッジの主な目標の1つは、赤血球数、白血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリットデータ、血小板数、および白血球の5分画を含むことができる完全血球算定パラメータを得ることである。ブロック115、119、および121では、完全血球算定を行うことができる。ブロック117は、蛍光で分析を行うことができる。2つの主要な操作は、通常のクレジットカードほどの小ささで、使い捨てのマイクロ流体カートリッジ上に実装され、実施されうる。
【0023】
白血球を5群に分画した後、それらの群の1つまたは複数は、さらに、複数の小群に分画されうる。これらの群の1つであるリンパ球は、蛍光またはフルオロ標識またはマーカーで標識されうる。細胞は、カートリッジ上に用意されうる貯蔵容器からの抗原と抗体を有し、抗体は、特定の抗原に結合することができる。リンパ球の小群への分類は、臨床的な意義を持つことがある。小群への分類の結果、CD4、CD45、CDX、CDXX細胞の群が得られ、医者は病原体などに注目し、および/または推論し、患者のHIV、AIDS、マラリア、TBなどを監視することができる。単球であっても、蛍光マーカーで標識されうる。抗体に標識を付けて、偽陽性率を小さくすることができる。
【0024】
HIVおよびマラリアとの重感染は、死亡率の増大をもたらす可能性があるけれども、この重感染は、HIV/結核重感染に比べればそれほど問題ではないことに留意するとよいが、それは、これら2つの疾病は通常、異なる年齢層を攻撃し、マラリアは若年層で最も一般的であり、結核は高年齢層で最も一般的であるからである。しかし、不安定なマラリア伝染の地域では、HIVは、マラリアが発生したときに大人が重度のマラリアを発症する一因となりうる。
【0025】
また、HIVとマラリアとの間には高い相関もありうる。この相関から、マラリアそれ自体がHIVの蔓延の主要原因であるということが示唆される。ウイルス量が高いほど、HIV感染が増え、マラリアは、高HIVウイルス量をもたらす原因となりうる。この見かけの因果関係が、患者がHIV、マラリア、および/またはTBに罹っているかどうかをアッセイ検査で判定することができる理由になっているとしてよい。
【0026】
マラリアは、最も一般的な感染症の1つであり、非常に大きな公衆衛生問題である考えられる。この疾病は、マラリア原虫の寄生原虫類により引き起こされるとみなされている。最も重度の疾病形態は、熱帯熱マラリア原虫および三日熱マラリア原虫によって引き起こされうるが、他の関係する種(卵形マラリア原虫および四日熱マラリア原虫)もヒトに病気をうつす可能性がある。このヒト病原性マラリア原虫種群は、マラリア寄生体と呼ばれることが多い。
【0027】
図2は、それぞれ縦軸と横軸にプロットされた小角度散乱対大角度散乱のデータに基づく白血球の5分画のグラフであり、結果として、白血球の5つの群131、132、133、134、および135のプロットが得られる。図3は、抗体138が到達して鍵と錠のように合わさる抗原137を有する、リンパ球などの白血球136を示している。それぞれの細胞は、最終的に、抗原が付着した全血に由来しうる。
【0028】
図4aは、プロットされたデータに対する直交する測定結果を含むリンパ球の3次元プロットである。データは、フルオロ強度(抗体により細胞がどれだけ標識されているかを示す)対FALSが図4aのシートに平行な平面に置かれ、SALSに対する第3の座標がシートから外へ伸びる形で3Dプロットされている。図4aは、2つのピークを持つ(141および142)透視図を示している。図4bは、図4aのグラフの辺に向かう視線方向から見た例示的な細胞143を示している。図5aのグラフは、第1のピークが、第1のピークの振幅が小さく見え、身体反応がよくないことを示している可能性のあることを除き図4aのと同様である。図4aのピーク141は、身体反応がよいことを示している可能性がある。ピーク141とピーク142との比から、被検者の健康のある種の情報が得られる。図5bは、ピーク141と142を明らかにするSALS対フルオロのプロットを示している。
【0029】
さまざまなパラメータが、血液学分析に役立ちうる。4つの重要なパラメータ、赤血球(RBC)数(細胞数/μL)、血小板(PLT)数(細胞数/μL)、平均細胞体積(MCV)、および赤血球分布幅(RDW)は、血液試料に対する光学的アプローチで得られる。MCVは、事実上、RBCの平均サイズの測定結果であり、RDWは、RBC間のサイズの変動である。RBCのサイズの変動が大きいほど、RDWも大きい。
【0030】
RBC数は、分析対象の血液の単位体積当たりのRBCの実際の数である。Hctは、RBC×MCVであるヘマトクリットであり、結局、血液の酸素運搬能の尺度となりうる(つまり、分析対象の単位体積中の細胞のすべての全能力)。Hctは、さらに、血液中でRBCが占有する空間の量、または赤血球からなる全血の割合とみなすこともできる。MCHは、事実上それぞれのRBC中のヘモグロビンの量である「平均赤血球ヘモグロビン」である。MCHは、ピコグラムを単位とする、個々のRBC中のヘモグロビンの平均、またはおおよそ平均質量とみなすことができる。MCH=Hb÷RBC。Hbは、分析対象の試料の単位体積当たりのヘモグロビンの量である。MCHCは、RBCのそれぞれにおける単位体積当たりのヘモグロビンの濃度とみなせる「平均赤血球ヘモグロビン濃度」である。MCHC=Hb÷Hct。
【0031】
いくつかの測定パラメータ群は、細胞流量(FR)、測定時間(T)、希釈係数(DF)、計数されたRBC数(NRBC)、計数された血小板数(NPLT)、ヘモグロビン量(Hb)、および実質的にそれぞれのcclljの直径(ミクロン)(drbci)を含むことができる。<drbci>は、集合{drbci}により表される、細胞の測定されたccll直径の平均である。主要な計算パラメータのいくつかとして、RBC=NRBC÷(DF×FR×T)、PLT=NPLT÷(DF×FR×T)、MCV=(π/6)×<drbci3>、およびRDW=SD{[(π/6)drbci3]}÷MCVがあるが、ただし、SDは、測定された量の標準偏差を表す。計算パラメータとしては、Hct=RBC×MCV、MCHC=Hb÷Hct、およびMCH=MCHC×MCVがある。
【0032】
モジュール121は、血液試料中のヘモグロビン(Hb)の量またはヘモグロビン濃度を決定するために使用されうる。モジュールは、ヘモグロビン吸収を使用してHbを決定することができる。血液中のヘモグロビンの量は、グラム/リットル単位で表すことができる。
【0033】
白血球の繰り返し可能な3分画は、図6aおよび6bに示されているように正しく示すことができる。図6aは、それぞれ群145および146として示される、5μmおよび6μmのビーズの計数および分類のグラフを示している。このプロットは、ビーズのPALS対SALSの関係を示す。それぞれのビーズタイプに対する絶対数は、予測値の約5%の範囲内にあるように見える。図6bは、細胞の複数のグループ分けを示す散乱データから得られる白血球プロットの結果を示している。このプロットは、ポイントオブケアタイプの計測装置による細胞のFALS対SALSの関係を示すものである。白血球3つの群147、148、および149(それぞれリンパ球、L、単球、M、および顆粒球、G)は、図6bのプロットにおいて分画されうる。全WBC数は、市販の血液学分析器を使用して同じ試料について実行された類似の測定結果の6%の範囲にあるように見えた。
【0034】
赤色VCSEL配列は、集束レーザースポットと粒子流経路との位置合わせを含むことができるフローサイトメトリーにおける最も重要な態様の1つに対する解決策をもたらしうる。典型的には、使い捨て型流体カートリッジなどの成型プラスチック部品における位置合わせは、そのような部品を使用することにはある種の正確さが関連するため難しい。標準の単一レーザーを直線配列のレーザーで置き換えることは、特定の細胞の実質的に正確な経路を決定し、セルフアライメントを可能にする一手段となる。
【0035】
本発明のPOCサイトメーターは、全血試料捕捉、試薬貯蔵、赤血球の連続的溶解、フローサイトメトリーに対する血球サイズコア内への白血球の3次元流体力学的/幾何学的集束、ならびに試料および廃棄物貯蔵室ためのマイクロ流体回路を備えることができる。これは、準備段階なしで1滴(15μL)の血液から直接働き、試薬使用量を最小限にし、試料、試薬、廃棄物をカード上に保持することができる。
【0036】
分析カートリッジ上のマイクロスケール流路内の液流は、本質的に層流としてよく、これにより、混和流体(例えば、全血と水)を隣同士で流し、分子および対流拡散を通じてのみ混合することができる。これにより、生物学的粒子(血液細胞など)を制御された時間の間に露出させることが可能であり、残っている白血球を検出し特徴付けられるように化学および浸透圧を介して赤血球(RBC)の選択的溶解を能にすることができる。カートリッジ上のRBCの選択的溶解に対するこのようなアプローチは、「オンザフライ溶解」(LOF)と呼ばれ、ベンチトップサイトメーターで実行されるバッチ溶解とは異なり、同じ時間の間、溶解液に曝されるすべての細胞を利用することができる。
【0037】
本発明の光散乱ベースのPOCサイトメーターに加えて、POCサイトメーターに役立つ他の2つの進行中の態様がありうる。光散乱ベースの計測装置上の2色光蛍光能力は、CD4/CD45アッセイを実行するために使用されうる。POCは、さらに、CD4、CD45、CD34、CDX、CDXX、および/または同様のアッセイを実効できる統合散乱/蛍光サイトメーターであってよい。使い捨て型カードまたはカートリッジでは、オンカードmAbsによる白血球のオンカード染色および赤血球溶解を使用することができる。本発明のPOC血液学分析器は、完全血球算定(CBC)検査を実行するCLIA放棄計測装置として設計することができる。
【0038】
図7は、例示的な小型化された携帯型サイトメーターの斜視図である。このサイトメーターのあるバージョンは、本発明と連携して使用することができる。サイトメーターは、一般に10で示されており、筐体12および取り外し可能もしくは交換可能カートリッジ14を備えることができる。例示的な筐体12は、底部16、カバー18、および底部16をカバー18に取り付ける蝶番20を備えることができる。底部16は、光源22aおよび22b、関連する光学系、およびサイトメーターの動作に必要な電子回路を備えることができる。カバー12は、手動式加圧要素、制御用マイクロ弁を備える圧力室、および関連する光学系を備える光検出器24aおよび24bを備えることができる。
【0039】
取り外し可能カートリッジ14は、試料捕集装置口32を介して試料流体を受け入れることができる。キャップ38は、取り外し可能カートリッジ14が使用されていない場合に試料捕集装置口32を保護するために使用することができる。取り外し可能カートリッジ14は、コア形成のため血液希釈、赤血球融解、および流体力学的絞り込みを実行することができる。取り外し可能カートリッジ14は、一部がエッチングされた流路を持つ積層構造を使用することで製造されうる、流体回路により構成することができる。
【0040】
取り外し可能構造またはカートリッジ14は、カバー18が開位置にあるときに筐体内に挿入できる。取り外し可能カートリッジ14は、計測装置の異なる部分の間の位置合わせおよび結合を行いやすくする、位置決めピン28aおよび28bを底部16内に受け入れるための穴26aおよび26bを備えることができる。取り外し可能カートリッジ14は、さらに、透明なフロー流窓30aおよび30bを備えることができ、これらは、光源22aおよび22bと光検出器24aと24bの配列に位置を揃えられている。カバーが閉位置に移動され、システムが加圧されると、カバー18は、それぞれ圧力供給口36a、36b、および36cを介して取り外し可能カートリッジ14内の受圧口34a、34b、34cに制御圧力を加えることができる。
【0041】
検査を開始するために、カバー18が持ち上げられ、新しいカートリッジ14が入れられ、底部16上で位置を合わせするようにできる。血液試料が試料捕集装置32内に導入されうる。カバー18は閉じられ、システムが手動加圧されうる。加圧は、手動以外であってもよい。加圧された後、計測装置は、白血球サイトメトリー測定および他の測定を実行することができる。取り外し可能カートリッジ14は、コア形成のため血液希釈、赤血球溶解、および流体力学的絞り込みを実行することができる。光源22aおよび22b、光検出器24aおよび24b、ならびに関連する制御および処理電子回路は、光散乱蛍光信号に基づき白血球の分画および計数を実行することができる。筐体12に蝶番付きの構造を使用する代わりに、スライド式カートリッジスロットまたは他の好適な構造を使用することが考えられる。
【0042】
図8は、図7の例示的なサイトメーターの略図である。上述のように、底部16は、光源22aおよび22b、関連する光学系、ならびにサイトメーターの動作に必要な制御および処理電子回路40を備えることができる。底部16は、さらに、サイトメーターに給電するための電池42を備えることもできる。手動式加圧要素44、制御用マイクロ弁を備える圧力室46a、46b、および46c、ならびに関連する光学系を備える光検出器24aおよび24bを備えるカバー18が図に示されている。
【0043】
取り外し可能カートリッジ14は、試料捕集装置口32を介して試料流体を受け入れることができる。カバー18により加圧されると、取り外し可能カートリッジ14は、本発明のデバイスにおいて血液希釈、赤血球溶解、およびコア形成のための流体力学的絞り込みを実行することができる。形成された後、図7のフロー流窓30aおよび30bを通る、フロー流経路50の下側にコアが送られうる。底部にある光源22aおよび22bならびに関連する光学系は、フロー流窓30aおよび30bを介してコア流に光を通し、光をコア流に到達させることができる。検出器24aおよび24b、ならびに関連する光学系は、それぞれ、さらにフロー流窓30aおよび30bを介して、コアから散乱光および非散乱光を受け入れることができる。コントローラまたはプロセッサ40は、検出器24aおよび24bから出力信号を受け取り、コア流内に存在する選択された白血球を分画し、識別し、計数することができる。
【0044】
取り外し可能カートリッジ14は、流体のそれぞれの速度の制御を補助するための流体制御ブロック48を備えることができる。例示的な実施例では、流体制御ブロック48は、さまざまな流体の速度を感知するフローセンサーを備え、それらの速度をコントローラまたはプロセッサ40に報告することができる。次いで、コントローラまたはプロセッサ40は、圧力室46a、46b、および46cに関連付けられているマイクロ弁を調節して、サイトメーターを適切に動作させられる所望の圧力およびしたがって、所望の流体速度を得ることができる。
【0045】
血液および他の生物学的廃棄物は、病気を拡大する可能性があるため、取り外し可能カートリッジ14は、廃棄物貯蔵容器52をフロー流窓30aおよび30bの下流に備えるとよい。廃棄物貯蔵容器52は、取り外し可能カートリッジ14内のフロー流の流体を受け入れ、貯蔵することができる。試験が完了したら、取り外し可能カートリッジを取り外して、生物学的廃棄物と親和性のある容器内に処分することができる。
【0046】
図9は、カバー18がまだ押し下げられていない図8のサイトメーターを示すより詳細な略図である。図10は、カバーが押し下げられている図8のサイトメーターを示すより詳細な略図である。手動式加圧要素44、圧力室46a、46b、および46c、および全体として60で示されている制御用マイクロ弁を備えるカバー18が示されている。光源および検出器は、これらの図に示されていない。
【0047】
加圧される流体毎に1つずつ、3つの圧力室46a、46b、および46cがありうる。例示的な実施例において、圧力室46aは、血液試料貯蔵容器62に圧力を加えることができる。圧力室46bは、溶解液貯蔵容器64に圧力を加え、圧力室46cは、シース貯蔵容器66に圧力を加えることができる。それぞれの圧力室46a、46b、および46cのサイズおよび形状は、所望の圧力特性を対応する流体に与えるように手直しすることができる。
【0048】
圧力室46aは、第1の圧力室70および第2の圧力室72を含むことができる。第1の弁74が、第1の圧力室70と第2の圧力室72との間に備えられ、これにより、第1の圧力室70内の圧力を第2の圧力室72へ制御しつつ逃すことができる。第2の圧力室72と流体で連絡している、第2の弁76は、第2の圧力室72内の圧力を制御しつつ抜くことができる。それぞれの弁は、アドレッシングおよび制御を個別に行うことが可能な静電駆動式マイクロ弁の配列とすることができる。圧力室46bおよび46cは、溶解液貯蔵容器64およびシース貯蔵容器66にそれぞれ加えられる圧力を制御する類似の弁を備えることができる。それとは別に、それぞれの弁は、「実効」流量または漏出量が制御しつつ得られる制御可能なデューティサイクルでパルス変調される静電駆動式マイクロ弁の配列とすることができる。
【0049】
取り外し可能カートリッジ14は、カバー18から制御を圧力を受けるための受圧口34a、34b、および34cを備えることができる。制御圧力は、図に示されているように、血液貯蔵容器62、溶解液貯蔵容器64、およびシース貯蔵容器66に供給されうる。溶解液貯蔵容器64およびシース貯蔵容器66は、取り外し可能カートリッジ14が使用のため出荷される前に充填されうるが、血液貯蔵容器62は、試料捕集装置口32から充填される。血液試料は、試料捕集装置口32に供給され、血液試料は、毛管現象により、血液貯蔵容器62内に吸い込まれうる。血液試料が血液貯蔵容器62内に入った後、カバー18を閉じて、システムを加圧することができる。
【0050】
フローセンサーは、流体力学的絞り込みの前にそれぞれの流体と一致するように備えることができる。それぞれのフローセンサー80、100、および102は、対応する流体の速度を測定することができる。フローセンサーは、熱式流速計型フローセンサー、またはマイクロブリッジ型フローセンサーとしてよい。それぞれのフローセンサー80、100、および102からの出力信号は、コントローラまたはプロセッサ40に供給されうる。コントローラまたはプロセッサ40は、血液試料の速度が第1の所定の値よりも低くなった場合に第1の弁74を開き、血液試料の速度が第2の所定の値よりも高くなった場合に第2の弁76を開くことができる。弁84、86、94、および96は、同様の方法で溶解液およびシース液の速度を制御するように動作しうる。
【0051】
動作中、システムを加圧するために、手動式加圧要素44が押し下げられうる。圧力要素は、非手動機構と置き換えられうる。示されている実施例では、手動式加圧要素44は、3つのプランジャを備え、それぞれのプランジャは第1の複数の圧力室のうちの対応する1つの圧力室内に受け入れられうる。プランジャは、第1の圧力室内に比較的高い非精密圧力を発生することができる。第1の弁74、84、および94を開くことにより、二次室内に、低い制御圧力が発生し、二次室内に制御可能な漏れを生じうる。二次圧力室内に生じる圧力が大きすぎる場合、対応するベント弁76、86、および96が開いて、圧力を逃すようにできる。
【0052】
カバー18を閉じたときに、ベント弁76、86、および96を開いているままにして、ノーマルオープンの第1の弁74、84、および94は、閉じることができる。所定の圧力Pが第1の圧力室内に生じたときに、ベント弁76、86、および96を閉じ、第1の弁74、84、および94を開き、二次圧力室に低い圧力P’を生じさせることができる。二次圧力室の制御圧力は、取り外し可能カートリッジ14の流体回路に必要な圧力を供給し、血液、溶解液、およびシースに対する流体流を生じさせることができる。次いで、下流のフローセンサー80、100、および102により、流体流の速度が測定されうる。それぞれのフローセンサーは、対応する第1の弁および弁と弁の動作を制御し、それぞれの流体について所望の流量を一定にするためにコントローラまたはプロセッサ40により使用される出力信号を供給することができる。
【0053】
全体として110で示されている下流の弁も備えることができる。コントローラまたはプロセッサ40は、システムが加圧されるまで下流弁110を閉じておくことができる。これにより、回路が加圧される前に血液、溶解液、およびシースが流体回路内に流れ込むのを防ぐことができる。本発明の他の例示低名実施例では、下流弁110は、カバーが閉じられたときに機械の作用により開くことができる。
【0054】
図11は、図9の流体力学的絞り込みブロック88によるフロー流およびコアの形成を示す略図である。流体力学的絞り込みブロック88は、流体駆動装置から制御された速度で血液、溶解液、およびシースを受け取ることができる。血液を溶解液と混合することで、赤血球を取り除くことができる。溶解溶液のpHは、赤血球に比べて低い場合がある。これは、赤血球溶解またはオンザフライ溶解と呼ばれることも多い。残っている白血球は、フロー流50を発生するためにシース液により囲まれている、中心内腔150の下に供給されうる。フロー流50は、シース液152により囲まれているコア流160を含むことができる。流路の寸法は、白血球154および156が一列縦隊で並ぶように、図に示されているとおりに縮小されうる。シース液の速度は、コア流160の約9倍としてよい。しかし、シース液およびコア流160の速度は、流路内に層流を維持できるよう十分遅いものとしてよい。
【0055】
発光体22aおよび22bならびに関連する光学系は、フロー流50の片側に隣接して備えることができる。フロー流50を介して発光体22aから光を、また蛍光発光粒子から光を受け取るために、フロー流50の他方の側に光検出器24aおよび24bならびに関連する光学系を備えることができる。光検出器24aおよび24bからの出力信号は、コントローラまたはプロセッサ40に供給され、そこで、コア流160内の選択された白血球を同定し、および/または計数するために分析される。
【0056】
図12は、図11の散乱を介してコア流160の分析用の光源の配列22aおよび光検出器の配列24bを示す略図である。光源は「+」記号として表され、検出器はボックスで表される。示されている実施例では、光源の配列は、フロー流50の片側に隣接して備えられ、光検出器の配列は、フロー流の対向側に隣接して備えられうる。光検出器はそれぞれ、複数の光源のうちの対応する1つの光源に位置を揃えることができる。光源の配列および光検出器の配列は、フロー流50の軸202に関して少し回転された光源軸200にそって整列されるように示されている。
【0057】
光源の配列22aは、共通基板上に加工された垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などのレーザーの配列であるとしてよい。VCSELは、垂直発光であるため、小型化された携帯型サイトメーターなどのコンパクトな計測装置のパッケージングに適している場合がある。このようなサイトメーターは、ヒトが身につけることができるものとしてよい。VCSELは、従来の850nmよりも短い波長で動作する、または特に、670nmから780nmまでの範囲の波長で動作する「赤色」VCSELとしてよい。赤色VCSELは、散乱測定に適している波長、電力、および偏波特性を有することができる。
【0058】
いくつかのサイトメーターベンチモデルでは、波長650nmの単一9mW端面放射型レーザーを使用することができる。ビームを10×100ミクロンの細長い形状に集束させ、コア流の位置ずれと幅のせいで生じる粒子位置の不確定性に対応することができる。対照的に、本発明の670nmで動作する赤色VCSELの出力は、典型的には、10×10ミクロンの放射体と100ミクロンの間隔に対し約1mWとしてよい。したがって、10個の赤色VCSELの直線配列からの光の全強度は、いくつかの従来技術のベンチモデルと本質的には同じであってよい。
【0059】
流れの軸202に関してある角度で向き付けられているレーザーの直線配列することには、単一光源構成に勝る重要な利点が多数ありえる。例えば、レーザーの直線配列は、コア流内の粒子の経路の横方向アライメントを決定するために使用することができる。粒子流のアライメントの不確定性の発生源の1つは、コア流の幅であるとしてよく、これにより、粒子経路位置に統計変動が生じうる。これらの変動は検出器データの分析から判別され、コントローラまたはプロセッサ40はこの変動を利用して、流体駆動装置の弁を調節し、試料流体および支持流体に加えられる相対圧力を変更し、フロー流内の選択された粒子のアライメントを変更することができる。
【0060】
流体流50内の細胞の横方向アライメントを決定するために、VCSELの直線配列により生成される複数の焦点スポットに細胞を通すことができる。細胞は、対応するインライン基準検出器内の信号の低下を引き起こしうる。これらの信号の相対的強弱度は、粒子経路の中心および粒子幅の大きさを決定するためにコントローラまたはプロセッサ40により使用されうる。
【0061】
粒子経路および粒子サイズを決定するために、コア流の平面内で一連のガウススポット214(約1000W/cm2の強度)にレーザー22aが集束されうる。スポット214は、白血球とほぼ同じサイズとしてよい(10〜12μm)。例示的なガウススポット214が、図13に例示されている。検出器の配列24aとのその集束光学系の配列は、流体流50の対向側に備えることができる。かなり大きなFナンバーを有するレンズを使用することで、取り外し可能カートリッジのサイトメーターセクション用の数百ミクロンの作業空間を確保できる。
【0062】
単一レーザー構成ではなくレーザーの直線配列22aを使用する場合の他の利点は、それぞれの細胞の速度を決定できるという点である。粒子速度は、光散乱信号から粒子サイズを推定する際の重要パラメータとすることができる。ある種のサイトメトリーでは、粒子速度は、ポンプ流量から外挿されうる。このアプローチの限界は、ポンプは非常に高精度なものであるべきである、サイトメーターフロー室の公差は厳格に制御されるべきである、漏れなどの流体障害は発生すべきでない、フローまたはコア形成を阻害する微泡などの障害物が入り込むべきではないという条件である。
【0063】
それぞれの細胞の速度を決定するために、システムは、2つの隣接する、または連続的なスポットの間をそれぞれの細胞が通過するのに要する時間を測定することができる。例えば、図12を参照すると、細胞は、検出器208を通過し、次いで、検出器210を通過することができる。細胞が検出器208から検出器210へ移動するのに要する時間を測定することにより、また検出器208から検出器210までの距離を知ることにより、コントローラまたはプロセッサ40は、細胞の速度を計算することができる。これは、近似的な速度測定結果となるであろう。これは、飛行時間型測定と呼ばれることが多い。速度が判明した後、粒子が中心位置に来るスポットを通って移動する時間(数マイクロ秒)は、粒子の長さおよびサイズの尺度となりうる。
【0064】
粒子速度は、さらに、流体駆動装置の制御を補助するために使用できるとも考えられる。本発明のサイズ、コスト、および複雑度を低減するために、図7の交換式カートリッジは、プラスチック積層または成形部品から製造することができる。このような製造技術により安価な部品が得られるが、典型的には、寸法が非対称で、断面の公差が大きく、寸法的正確さおよび反復性があまりよくない。このように公差が大きいほど、特にカートリッジからカートリッジまでの間の粒子速度に、変動を生じる可能性がある。このように大きな公差を補償しやすくするために、コントローラまたはプロセッサ40では本明細書で説明されている飛行時間型測定を使用し、血液、溶解液、およびシース液に加えられる制御圧力を調節し、コア流内の粒子の速度が比較的一定するようにできる。
【0065】
さらに、細胞サイズを評価するために、細胞経路にそって、さらに細胞経路を横切る形で、レーザー・ビームを集束させることができると考えられる。さらに、細胞を横切る複数のサンプルをテクスチャ特徴に関して分析し、形態学的特徴と他の細胞種類との相関を求めることができる。これにより細胞サイズに関する複数のパラメータが得られ、細胞種類を互いに分離させるのに役立ちうる。
【0066】
単一レーザー源構成ではなくレーザーの直線配列22aを使用する場合の他の利点は、流路を横切る形で比較的一定した光照射を与えることができるという点である。これは、図13に示されているように、隣接するVCSEL 22aからのガウスビーム214を重ね合わせることにより達成されうる。単一レーザーシステムでは、流路を横切る光照射は、その流路を横切るときに変化しうる。そのため、粒子が、流路の中心にない場合、その後の測定の精度は落ちる可能性がある。
【0067】
上述の測定を実行するために、図12のそれぞれの検出器24aは、単一のインライン検出器とすることができる。しかし、FALSおよびSALSの散乱を測定するために、それぞれの検出器24aは、さらに、図14に示されているように、インライン検出器の周りに配置された2つの環状検出器を備えることができる。この図を参照すると、VCSEL 218は、光を上向き方向に送るように示されている。光はレンズに通され、レンズはコア流の平面内のガウススポットに光を集束させることができる。レンズ220は、マイクロレンズなどであってよく、VCSEL 218と別であるか、または一体化されている。光はコア流を通過し、回折光学素子などの他のレンズ222により受け取られる。レンズ222は、光をインライン検出器226および環状検出器228および230に送ることができる。インライン検出器226は、コア流内で粒子により著しく散乱されない光を検出することができる。環状検出器228は、前方散乱(FALS)光を検出することができ、環状検出器230は、小角度散乱(SALS)光を検出することができる。
【0068】
図15は、光源および光検出器の3つの別々の配列を備えることができる例示的な他の実施例を示している。光源および光検出器のそれぞれの配列は、フロー流の中心流軸に関して少し回転された異なる光源軸にそって位置決めされうる。3つの配列を使用することにより、それぞれの配列に関連付けられている光学系は、特定の用途または機能に合わせて最適化されうる。小画散乱(SALS)を検出するためには、コア流の平面上に十分に集束されているレーザー光が望ましい。前方散乱(FALS)を検出するためには、コリメート光が望ましい。
【0069】
図15を参照すると、光源および光検出器の第1の配列が、300で示されている。光源および光検出器は、第1の光源軸にそって直線配列として配置されうる。第1の光源軸は、フロー流の流れ軸に関して回転されうる。光源および光検出器は、図12に関して上で説明されているものと類似のものであってよいが、例えば、フロー流内の細胞の横方向アライメント、粒子サイズ、粒子の速度を測定するために使用されうる。
【0070】
上で示されているように、ユーザーは、取り外し可能カートリッジを取得し、血液試料を取り外し可能カートリッジの試料捕集装置口32(図7を参照)に送ることができる。血液試料は、例えば、指に針を刺すことで集めることができる。ユーザーは、次いで、取り外し可能カートリッジを筐体内に挿入し、手動でシステムを加圧することができる。次いで、小型化された携帯型サイトメーターは、ユーザーが医療を求めるべきかどうかを示す読み取り値を与えることができる。この読み取り値は、視覚的読み取り値、可聴音、または他の好適なインジケータとすることができる。
【0071】
指を針で刺すなどの方法で血液試料を取得する代わりに、カテーテル804(図27)などをユーザーの静脈に挿入し、試料捕集装置口32に取り付けることができる。これにより、システムは、読み取り値が必要な場合に血液試料をユーザーから自動的に捕集することができる。それとは別に、小型化された携帯型サイトメーターは、試料捕集装置口32が好適な血液供給源に接続された状態でユーザー体内に埋め込むことができると考えられる。
【0072】
図16は、例示的な取り外し可能カートリッジのいくつかの特徴の略図である。例示的な取り外し可能カートリッジは、一般的に400で示されており、本明細書で説明されている取り外し可能カートリッジ14に類似のものとしてよい。取り外し可能カートリッジ400は、例示されているにすぎず、本発明の実施例は、形態、機能、または構成に関係なく、多くのマイクロ流体カートリッジに適用されうることは理解されるであろう。例えば、本発明の実施例は、フローサイトメトリー、血液検査、免疫アッセイ、臨床化学、血液化学分析、尿検査、血液ガス分析、ウイルス分析、バクテリア分析、電解質測定などに適合された取り外し可能カートリッジに応用可能である。また、取り外し可能カートリッジ400などの本発明の取り外し可能カートリッジは、例えば、ガラス、シリコン、1つまたは複数のポリマーを含む好適な材料もしくは材料系、または他の好適な材料もしくは材料系、または材料もしくは材料系の組み合わせから作ることができることも考えられる。
【0073】
例示的な取り外し可能カートリッジ400は、第1の測定流路402および第2の測定流路404を備えるが、必要に応じて使用する測定流路を加減することも可能である。例示的な実施例における第1の測定流路402は、赤血球測定流路であり、第2の測定流路404は、白血球測定流路である。全血試料は、血液受口406を介して取り外し可能カートリッジ402より受け取られ、毛管作用により、知られている量の血液が抗凝血剤コーティング血液試料貯蔵毛細管408内に引き込まれる。試料押し(P)圧力が、試料押し流体貯蔵容器に加えられる。圧力が加えられると、試料押し流体が強制的に、試料押し流体貯蔵容器から血液試料押し流路410内に送り込まれる。
【0074】
例示的ないくつかの実施例では、弁412およびフローセンサー414を血液試料押し流路410と一列になるように備えることができる。弁412は、血液試料を流体回路に押し通すことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー414は、血液試料押し流体の流量を測定することができ、したがって、抗凝血剤コーティング毛細管408を通る血液試料流量を測定することができる。フローセンサー414から得られる流量は、取り外し可能カートリッジ400に供給される試料押し(P)圧力を制御しやすくするために使用されうる。
【0075】
例示的な実施例では、全血試料は分割され、ブランチ416を介して赤血球測定流路402および白血球測定流路404に送られる。例示的な実施例では、弁418は、赤血球測定流路402内に入る血液試料流を制御するためにブランチと一列になるように備えられ、弁420は、白血球測定流路404内に入る血液試料流を制御するように備えられる。
【0076】
赤血球測定流路402を特に参照すると、赤血球球状化試薬圧力(SP)が球状化試薬貯蔵容器に加えられることがわかる。圧力が加えられると、球状化試薬貯蔵容器内の球状化試薬が強制的に、球状化試薬流路424内に送られる。
【0077】
例示的ないくつかの実施例では、弁426およびフローセンサー428は、さらに、球状化試薬流路424と一列になるように備えることができる。弁426は、球状化試薬を流体回路に押し込むことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー428は、球状化試薬の流量を測定することができ、球状化試薬流路424を通る球状化試薬の流量を測定することができる。フローセンサー428から得られる流量は、圧力源/コントローラにより取り外し可能カートリッジ400に供給される球状化圧力(SP)を制御しやすくするために使用されうる。
【0078】
例示的な取り外し可能カートリッジ400の通常の機能動作中に、形状化試薬が球状化試薬流量の交差領域430内に押し込まれ、血液試料が血液試料流量の交差領域430に押し込まれる。血液試料流量および球状化試薬流量は、圧力源/コントローラにより制御されうる。
【0079】
交差領域430は、球状化試薬が血液試料の周囲を流れる動作が、両方の流体が交差領域430内を流れるときに生じるように構成されうる。場合によっては、球状化試薬流量は、血液試料流量より高くてもよく、これにより下流のオンザフライ球状化流路432内の流量特性を改善し、場合によっては、球状化試薬により完全に、また一様に囲まれている薄いリボン状の血液を形成しやすくすることができる。このようなリボン状の流れは、オンザフライ球状化流路432内を移動するときに球状化試薬が赤血球を一様に球状化するのを助けることができる。さらに、オンザフライ球状化流路432の長さは、球状化試薬および血液試料の流量と併せて、血液試料が適切な時間の間に球状化試薬に曝されるように設定できる。
【0080】
シース液(SH)圧力をシース液貯蔵容器に加えることができる。圧力が加えられると、シース液が強制的に、シース液貯蔵容器からシース流路434内に送り込まれる。例示的ないくつかの実施例では、弁436およびフローセンサー438をシース流路434と一列になるように備えることができる。弁436は、シース液を流体回路に押し込むことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー438は、シース液の流量を測定することができ、シース流路434を通るシース流量を測定することができる。フローセンサー438から得られる流量は、取り外し可能カートリッジ400に供給されるシース圧力(SH)を制御しやすくするために使用されうる。
【0081】
例示されている実施例では、シース液は、シース液流量の交差領域440に供給され、球状化された血液試料は、球状化された血液試料の流量の交差領域440に供給される。球状化された血液試料の流量およびシース流量は、圧力源/コントローラにより制御されうる。
【0082】
交差領域440は、シース液が球状化された血液試料の周囲を流れる動作が、両方の流体が交差領域440内を流れるときに生じるように構成されうる。いくつかの場合において、シース流量は、球状化された血液試料の流量に比べて著しく高く、下流のフローサイトメトリー流路442内のコア形成を改善するのに役立ちうる。例えば、いくつかのフローサイトメトリー用途では、この交差領域440は、それぞれの赤血球を取り外し可能カートリッジ400内の光学的窓領域444を通過するときに分析器により個別に光学的に問い合わせできるように一列縦隊のコア内に球状化された血液細胞を流体力学的に集束させ、配列するように構成されうる。いくつかの場合において、サイトメトリー流路442を通過する流体は、オンボード廃棄物貯蔵容器に向けられる。
【0083】
次に、白血球測定流路404を参照すると、白血球溶血剤圧力(L)が溶血剤貯蔵容器に加えられうることがわかる。圧力が加えられると、溶解液貯蔵容器内の溶血剤が強制的に、溶血剤流路454内に送られる。
【0084】
例示的ないくつかの実施例では、弁456およびフローセンサー458は、さらに、溶血剤流路454と一列になるように備えることができる。弁456は、溶血剤を流体回路に押し込むことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー458は、溶血剤の流量を測定することができ、溶血剤流路454を通る溶血剤の流量を測定することができる。フローセンサー458から得られる流量は、圧力源/コントローラにより取り外し可能カートリッジ400に供給される溶解圧力(L)を制御しやすくするために使用されうる。
【0085】
例示的な取り外し可能カートリッジ400の通常の機能動作中に、溶血剤が溶血剤流量の交差領域460内に供給され、血液試料が血液試料流量の交差領域460に供給される。血液試料流量および溶血剤流量は、圧力源/コントローラにより制御されうる。
【0086】
交差領域460は、溶血剤が血液試料の周囲を流れる動作が、両方の流体が交差領域460内を流れるときに生じるように構成されうる。場合によっては、溶血剤流量は、血液試料流量より高くてもよく、これによりオンザフライ溶解流路462内の流量特性を改善し、場合によっては、溶血剤により完全に、また一様に囲まれている薄いリボン状の血液を形成しやすくすることができる。このようなリボン状の流れは、オンザフライ溶解流路462内を移動するときに溶血剤が赤血球を一様に溶解するのを助けることができる。さらに、オンザフライ溶解流路462の長さは、溶血剤および血液試料の流量と併せて、血液試料が適切な時間の間に溶血剤に曝されるように設定できる。
【0087】
シース液(SH)圧力をシース液貯蔵容器に加えることができる。圧力が加えられると、シース液が強制的に、シース液貯蔵容器からシース流路464内に送り込まれる。例示的ないくつかの実施例では、弁466およびフローセンサー468をシース流路464と一列になるように備えることができる。弁466は、シース液を流体回路に押し込むことが望ましい場合に、開くように制御できる。フローセンサー468は、シース液の流量を測定することができ、シース流路464を通るシース流量を測定することができる。フローセンサー468から得られる流量は、取り外し可能カートリッジ400に供給されるシース圧力(SH)を制御しやすくするために使用されうる。いくつかの場合において、シース流路464を通るシース流量は、シース流路434を通るシース流量と同じである。しかし、他の場合には、シース流路464を通るシース流量は、シース流路434を通るシース流量と異なる場合もある。
【0088】
例示されている実施例では、シース液は、シース液流量の交差領域470に供給され、溶解された血液試料は、溶解された血液試料の流量の交差領域470に供給される。溶解された血液試料の流量およびシース流量は、圧力源/コントローラにより制御されうる。
【0089】
交差領域470は、シース液が溶解された血液試料の周囲を流れる動作が、両方の流体が交差領域470内を流れるときに生じるように構成されうる。いくつかの場合において、シース流量は、溶解された血液試料の流量に比べて著しく高く、下流のフローサイトメトリー流路472内のコア形成を改善するのに役立ちうる。例えば、いくつかのフローサイトメトリー用途では、この交差領域470は、それぞれの白血球を取り外し可能カートリッジ400内の光学的窓領域474を通過するときに分析器により個別に光学的に問い合わせできるように一列縦隊のコア内に溶解された血液試料を流体力学的に集束させ、配列するように構成されうる。いくつかの場合において、サイトメトリー流路472を通過する流体は、オンボード廃棄物貯蔵容器に供給される。
【0090】
いくつかの場合において、吸収測定流路も備えることができる。例示的な実施例では、溶解された血液試料の一部が吸収流路480に送られる。弁482は、溶解された血液試料の一部を選択的に、吸収流路または領域484に移動できるように備えることができる。分析器は、吸収流路または領域484を照らすための光源だけでなく、吸収流路または領域484内の溶解された血液試料により吸収されない光を検出するための検出器をも備えることができる。次いで、分析器は、バルク吸収ベースのヘモグロビン測定を行える吸収レベルを決定することができる。いくつかの場合において、吸収流路484は、必要ならば、サイトメトリー流路472の下流に配置されうる。他の場合には、全血試料は、ブランチ416などから吸収流路へ、直接供給されうる。そのような場合、吸収流路は、吸収測定を実行するのに先立って赤血球を溶解するための機構を備えることができる。例示的な取り外し可能カートリッジ400は、全血試料に対し完全血球算定(CBC)分析を実行するように適合されているが、他の取り外し可能カートリッジ構成および分析タイプも、必要に応じて使用できることが考えられる。
図17は、取り外し可能カートリッジを使用して血液試料を分析するための例示的なアプローチを示す概略流れ図である。例示的なアプローチでは、ステップ600で血液試料が最初に取得される。次に、血液試料が、取り外し可能カートリッジ内の抗凝血剤コーティング毛細管に送られる。次いで、血液試料は、分割され、赤血球および血小板(RBC/P)測定流路604ならびに白血球(WBC)測定流路606に送られる。
【0091】
RBC/P測定流路604内で、赤血球は、612に示されているように最初に球状化され、次いで、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のRBC/Pサイトメトリー流路614の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの光源616は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路614の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に光を当てる。いくつかの場合において、VCSELデバイスの配列が備えられ、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路614の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞と揃えられる(複数の)VCSELのみが活性化される。VCSELにより送られる入射光の一部が散乱され、検出器618は、その散乱された光を検出する。いくつかの場合において、検出器618は、前方角度散乱光(FALS)、小角度散乱光(SALS)、および大角度散乱光(LALS)を検出することができる。
【0092】
いくつかの場合において、レーザー(または他の)光源は、細長い線光源として、または2つの別々のスポット光源として、RBC/Pサイトメーター流路614内に集束される。RBCおよびRBC/Pサイトメーター流路614内の血小板は、集束光に通される。高品質集光光学系を使用することで、細胞の鮮明な像および集光を、縦軸がRBC/Pサイトメーター流路614内の流れの方向に直交するように配置された1つ、2つ、またはそれ以上の平行なスリットを含む不透明スクリーン上に形成することができる。これらのスリット間の距離は、例えば、RBC/Pサイトメーター流路614内で予想される平均細胞分離距離の程度としてよい。これらのスリットを含む不透明スクリーンは、1つまたは複数の検出器618の前に置くことができる。細胞の像が1つのスリットを通り越すときに、これはスリット上に入射する光を遮り、検出器618上の信号を弱め、幅が細胞直径に比例するパルス波形を発生する。2つの相隔てて並ぶスリットが備えられた場合、2つの波形は、細胞流速の計算を許すものとなりうる。この技術を使用することで、高信号対雑音比が得られ、これにより、イベントの計数と、複数の細胞イベントの同定が容易に行える。さらに、パルスの幅と振幅で、いくつかの細胞タイプの弁別が可能になる場合がある。
【0093】
いくつかの場合において、細胞と光源の両方の像が、検出器618の前に置かれた二重スリット開口上に結像される。この二重スリット開口は、明確に定められた幾何学的開口をなし、細胞を計数するための高い信号対雑音比をもたらす。上述のように、これらのスリットからの信号は、細胞流速の正確な測定を可能にし、次いで、細胞直径の計算も可能にしうる。
【0094】
いくつかの場合において、620に示されているように、この分析の際に、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)の長さ、および試料希釈係数(DF)を含む、多数のパラメータを測定することができる。(複数の)検出器の出力、および/または対応する散乱シグネチャを監視することにより、赤血球数(NRB)、血小板数(NPlt)、それぞれの細胞の直径(drbc)を測定することができる。
【0095】
これらのパラメータから、また682に示されているように、例えば、赤血球数(RBC=NRB/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbc3>)、平均細胞ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)×<drbc3×CHC>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbc3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の赤血球分析パラメータが計算されうる。
【0096】
例示的なWBC測定流路606内で、赤血球は、632に示されているように最初に溶解され、次いで、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のWBCサイトメトリー流路634の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの光源636は、個々の細胞がWBCサイトメトリー流路634の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に光を当てる。いくつかの場合において、VCSELデバイスの配列が備えられ、個々の細胞がWBCサイトメトリー流路634の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞と揃えられる(複数の)VCSELのみが活性化される。VCSELにより送られる入射光の一部が散乱され、検出器638は、その散乱された光を検出する。いくつかの場合において、検出器638は、前方角度散乱光(FALS)、小角度散乱光(SALS)、および大角度散乱光(LALS)を検出する。いくつかの場合において、640に示されているように、この分析の際に、例えば、軸上細胞体積、全WBC数、およびWBC 5分画を含む、多数のパラメータを測定することができる。
【0097】
図18は、多数の赤血球パラメータを取得するための例示的なアプローチを示す流れ図である。例示的なアプローチでは、ステップ660で血液試料が取得される。次に、血液試料が所望の希釈係数(DF)となるように希釈され、664に示されているように球状化される。次いで、希釈され、球状化された血球は、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のRBC/Pサイトメトリー流路の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの光源616は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に光を当てる。(複数の)VCSELにより送られる入射光の一部が散乱され、検出器は、その散乱された光を検出するために使用される。いくつかの場合において、検出器は、それぞれの細胞について前方角度散乱光(FALS)と小角度散乱光(SALS)の両方を検出する。次いで、プロセッサなどが、それぞれの細胞に対する2つの独立の散乱パラメータ、つまり、SALSおよびFALSを、
{SSALSi,SFALSi}→{drbci,CHCi}
のように細胞直径パラメータおよび細胞ヘモグロビン濃度パラメータにマッピングすることができる。
【0098】
670に示されているように、散乱SSALSiプラスSFALSiの強度が所定の検出閾値以下の場合、制御はステップ668に戻される。しかし、散乱SSALSiプラスSFALSiの強度が所定の検出閾値よりも大きい場合、制御はステップ672に渡される。ステップ672で、SSALSiとSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きいかどうかを判定する。SSALSiとSFALSiの合計が所定の血小板閾値以下である場合、粒子「i」は血小板であると判定され、制御は、ステップ674に渡される。ステップ674で、計数された血小板の数(NPlt)を1だけ増やし、制御をステップ668に戻す。
【0099】
SSALSiとSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きい場合、その細胞は赤血球であり、制御は、ステップ676に渡される。ステップ676で、計数された赤血球数(NRBC)を1だけ増やし、制御をステップ678に戻す。ステップ678で、所定の測定時間に達したかどうかを判定する。所定の時間に達していない場合、制御はステップ668に戻される。
【0100】
ステップ678で、測定時間に達した後、制御はステップ680に渡される。ステップ680で、例えば、試料流量(FR)、測定時間(T)の長さ、試料希釈係数(DF)、計数された赤血球数(NRBC)、計数された血小板数(NPlt)、それぞれの細胞の直径(drbci)、およびそれぞれの細胞のヘモグロビン濃度(CHCi)を含む多数の測定パラメータを示す。これらのパラメータから、またステップ682に示されているように、例えば、赤血球数(RBC=NRBC/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbci3>)、平均細胞ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)×<drbci3×CHCi>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbci3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の赤血球分析パラメータが計算されうるが、ただし、表記<Xi>は、すべての細胞Xiにわたる平均細胞パラメータを意味する。
【0101】
図19は、血液試料を分析するための他の例示的なアプローチを示す概略流れ図である。この例示的なアプローチでは、ステップ700で示されているように、血液試料が取得され、血液試料貯蔵容器に送られる。次に、血液試料が、取り外し可能カートリッジ内の抗凝血剤コーティング毛細管に送られ、希釈される。次いで、血液試料は、分割され、赤血球および血小板(RBC/P)測定流路704ならびに白血球(WBC)測定流路740に送られる。
【0102】
RBC/P測定流路704内で、赤血球は、706に示されているように最初に球状化され、次いで、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のRBC/Pサイトメトリー流路708の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの第1の光源710および関連する光学系は、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路708の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に集光ビームを送る。いくつかの場合において、VCSELデバイスの配列が備えられ、個々の細胞がRBC/Pサイトメトリー流路708の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞と揃えられる(複数の)VCSELのみが活性化される。
【0103】
個々の細胞/粒子が集束入射光ビームを通過するときに、光の一部がブロックされ、散乱されるか、または他の何らかの方法で遮られるが、検出器により検出されうる(図に示されていない)。2つまたはそれ以上の光源がRBC/Pサイトメトリー流路708にそって相隔てて並ぶ異なるスポット上に集束されると、それぞれの細胞の前縁および/または後縁が検出されうる。細胞が1つの集束スポットから次の集束スポットまでの距離を横断するのに要する時間を測定することにより、流量、したがって細胞速度が決定されうる。細胞速度が決定されると、細胞が光ビームをブロックするか、散乱するか、または他の何らかの方法で遮る時間の長さが、細胞サイズおよび/または細胞体積に相関されうる。
【0104】
いくつかの実施例では、分析器に他の光源714および関連する光学系が備えられうる。光源714の関連する光学系は、光を平行にし、SALSおよびFALS散乱などの軸外し散乱を測定することができる。上記のように、SALSおよびFALS散乱は、計数された赤血球数(NRBC)716、計数された血小板数(NPlt)722、それぞれの細胞の直径(drbci)、細胞体積718、およびそれぞれの細胞のヘモグロビン濃度720(CHCi)を測定するために使用されうる。これらのパラメータから、また上述のように、例えば、赤血球数(RBC=NRBC/(DF×FR×T))、血小板数(Plt=NPlt/(DF×FR×T))、平均細胞ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均細胞体積(MCV=(π/6)×<drbci3>)、平均細胞ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)×<drbci3×CHCi>)、相対分布幅(RDW=[(π/6)×drbci3]/MCVの標準偏差)、ヘマトクリットパラメータ(Hct=RBC×MCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHC×Hct)を含む、多数の赤血球分析パラメータが計算されうるが、ただし、表記<Xi>は、すべての細胞Xiにわたる平均細胞パラメータを意味する。
【0105】
例示的なWBC測定流路740では、赤血球が溶解され、742に示されているように、染料が適宜注入される。次いで、細胞は、流体力学的に集束され、取り外し可能カートリッジ内のWBCサイトメトリー流路744の下に一列縦隊で送られる。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)などの光源746は、個々の細胞がWBCサイトメトリー流路744の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞に光を当てる。いくつかの場合において、VCSELデバイスの配列が備えられ、個々の細胞がWBCサイトメトリー流路744の分析領域を通り過ぎるときにそれらの細胞と揃えられる(複数の)VCSELのみが活性化される。
【0106】
個々の細胞/粒子が集束入射光ビームを通過するときに、光の一部がブロックされ、散乱されるか、または他の何らかの方法で遮られるが、検出器により見つけることができる(図に示されていない)。2つまたはそれ以上の光源がWBCサイトメトリー流路744にそって相隔てて並ぶ異なるスポット上に集束されると、それぞれの細胞の前縁および/または後縁が検出されうる。細胞が1つの集束スポットから次の集束スポットまでの距離を横断するのに要する時間を測定することにより、流量、したがって細胞速度が決定されうる。細胞速度が決定されると、細胞が光ビームをブロックするか、散乱するか、または他の何らかの方法で遮る時間の長さが、細胞サイズおよび/または細胞体積に相関されうる。
【0107】
いくつかの実施例では、分析器に他の光源750および関連する光学系および/または偏光器が備えられうる。光源750の関連する光学系は、光を平行にし、754に示されているように、SALS、FALS、およびLALS散乱などの軸外し散乱を測定することができる。上記と同様に、SALS、FALS、およびLALS散乱は、例えば、計数された白血球数(NWBC)752を測定するとともに、756に示されているように、白血球の分画を行いやすくするためにも使用することができる。いくつかの場合において、1つまたは複数の偏光器を備え、これにより、光源から発せられる光を偏光することができ、また検出器で検出された偏光消光/回転のレベルを使用して、白血球の分画を実行しやすくすることができるが、これはすべての実施例において必要というわけではない。
【0108】
血液試料中のヘモグロビン(Hb)の量またはヘモグロビン濃度を決定するために、別のモジュールが使用可能である。モジュールは、ヘモグロビン吸収を使用してHbを決定することができる。血液中のヘモグロビンの量は、グラム/リットルまたは他の単位の組み合わせで表すことができる。例示的な一実施例では、WBCサイトメトリー流路744を出た細胞を、バルク吸収流路760に送ることができる。光源762は、吸収流路760内に存在する細胞上に光を当て、検出器764は、常在細胞により吸収されない光を検出することができる。そこで、吸収流路760を、常在細胞のバルク吸収レベルを測定するために使用できる。例えば、吸収レベルは、血液試料中のバルクまたは平均細胞ヘモグロビン濃度の尺度となりうる。ヘモグロビン流路は、出力値再ゼロ調整光学系およびオートフォーカスおよび/またはアライメントを備えることができる。光源762は、吸収ピークの中心に近い出力を有するLEDであってよく、したがって場合によってはフィルタが不要になる。ヘモグロビンに関して評価される試料を受け入れ、保持するためのキュベットがあってもよい。
【0109】
図20は、HGBカード770またはモジュールの一実施例を示している。乾燥溶解粉末の堆積/プリントがある場所を示す溶血剤堆積領域771があってもよい。HGB測定精度を改善するために乾燥溶解粉末により血液溶解時に発生する気泡をなくす気泡トラップ配置を示す領域773内の一番最後のターンにちょっと動かされたコーナー772がありうる。
【0110】
図21は、散乱光学サブシステム501および蛍光光学サブシステム502を示すサイトメーターカートリッジ500を示している。光学サブシステム501は、それぞれの側面流路530上に窓または開口部30aを備え、光学サブシステム502は、窓または開口部30bを備えることができる。それぞれのサブシステムにおいて、流路530のそれぞれの側面に窓または開口部があってよい。これらの開口部は、光学的挿入物またはレンズを備えることができる。このサイトメーターは、人体に身につける、人体に取り付ける、または人体に挿入するように実装されうる。
【0111】
図22は、それぞれ光学サブシステム501および502を組み込むことができるシステム503および504を示している。システム503は、さらに、コア流160内の白血球などの粒子の散乱測定のためVCSEL配列22aおよび検出器配列24aを備えることもできる。このシステムは、リンパ球および好中球の計数および分類に使用されうる。セルフアライメントも、赤色VCSEL配列ベースの光学サブシステムにより使用可能にできる。ここでは散乱システム503の例示的ないくつかの実施について説明する。
【0112】
システム504は、白血球および血中タンパク質の特定のサブクラスを同定し、計数するために使用される蛍光励起および検出機構であってよい。白血球のサブクラスの検出は、好適な抗体が利用可能であれば使用可能にすることができ、これらの抗体の多くは蛍光性共役形態で市販されている。図23は、血液組成と、蛍光システム504による計数および同定を適用されうる細胞の略図を示している。赤血球は、本明細書で説明されているように溶解によりサイトメーターを使って見られる試料から取り除くことができる。血小板は、白血球をチェックするときにサイズの小ささがサイトメーターの結果に影響を及ぼさないときに保持されうる。例示的な一実施例では、図23の構造に示されている、CD4陽性T細胞505は、HIV感染の臨床経過を辿る際に非常に重要と思われる血液中の割合および計数を有する。図24aに示されているように、CD4に関連付けられるマーカーを有する抗体を血液試料中で混合し、その結果として抗体(AB)506の「Y」に見える構造とCD4細胞505に付着しているそのマーカー(M)507を得る。光源22bは、マーカー507により吸収されうる光を放射することができる。応答として、マーカー507は、蛍光を発し、CD4細胞505を同定するために検出されうる特定の波長の光を放射することができる。
【0113】
炭疽病について血液をチェックすることは、本発明のサイトメーターを使用できる他の応用である。炭疽をもたらすバクテリア509に対する抗体を血液試料と混合することができる。抗体は、バクテリア509と結びつきうる。これらの抗体は、光が衝突したときに蛍光を発するマーカー510を備えることができる。抗体508の「Y」構造は、図24bに示されている。マーカー510は、CD4細胞505に対する抗体506のマーカー507の帯域幅と異なっていてもよい特定の帯域幅の光を放射する。したがって、炭疽病問題は、異なる波長、色、またはシグネチャを有する蛍光発光による同じ血液試料検査におけるHIV問題と別に識別されうる。同じ血液試料中で同じときに検出される異なる問題の個数は、2つよりもはるかに多いことがある。
【0114】
他の例示的な実施例では、Neupogen(登録商標)(タンパク質の一種)は、骨髄抑制化学療法を受けている癌患者体内の好中球を計数することについて考慮することができる。この両方を行っている間、白血球数を正確に監視している必要があると思われる(特に、Neupogen(登録商標)療法期間の好中球、単球、および血小板の個数)。本発明のサイトメーターは、自宅にいる化学療法患者のそのようなパラメータを監視するために未熟練者によって使用されうる。
【0115】
小型化された携帯型サイトメーターは、さらに、生物戦争でも使用できる。これは、生物兵器の定量的検出および同定に使用されうる。この検出および同定は、蛍光測定により実装されうる抗体−抗原タイプの免疫アッセイに基づくことができる。生物学的作用物質が存在する可能性がないか、環境、水、および食品が監視されうる。これは、サイトメーターに適した試料捕集および準備を伴うことがある。サイトメーターの他の用途としては、ハイスループット分析(蛍光検出機能を使用する)およびDNAとRNAの配列決定、潜在的薬物に対する細胞の反応の研究、白血病とリンパ腫の免疫表現型検査および癌患者の余病の監視、および起こりにくい事象の母集団の高速分離を含む、細胞選別および細胞単離がある。いくつかの用途および使用は、分析段階において操作者介入または調節を必要とせず、熟練者が計測装置を操作する必要がなく、とりわけ、一体型光学系および内部血液試料処理機能を有する衛生的な使い捨てのプラスチックまたは他の材料ベースのマイクロ流体カートリッジ14を使用する、コンパクトな高精度流体駆動システムを有する低電力低コストの単一の小型化された携帯型一体型散乱および多色蛍光サイトメトリー計測装置により達成することが可能である。
【0116】
図22のシステム504は、流路530内を一列縦隊で流れる粒子512に光511を当てるように位置決めされたレーザー光源22bを備えることができる。例示されている目的に関して、粒子512は、それぞれ図24aおよび24bの構造513および514を含むことができる。光511は、例えば、それぞれ650から700ナノメートルまたは380から420ナノメートルの帯域幅を取りうる、発光ダイオード(LED)などの赤色または青色レーザー光源から放射できる。適切な波長を有する他のタイプの光源も、光511に使用できる。光511が蛍光マーカー507および510に当たると、これらのマーカーは、蛍光を発し、光515および516をそれぞれ放射することができる。これらのマーカーは互いに異なるため、光515および光516は、異なる波長を取りうる。したがって、構造513および514は、放射光の波長により識別可能であるが、同じ試料、血液、または他のものにおいて互いに区別できる。光515および516は、異なる方向にそれぞれを向けることにより2つのビームを分離する2色性ビームスプリッタ517に進むことができる。ビーム516は、光516を検出して電気信号520に変換しプロセッサ40に送る蛍光検出器518に進むことができる。ビーム515は、光515を検出して電気信号522に変換しプロセッサ40に送る蛍光検出器521に進むことができる。ビーム516の経路内にある、帯域通過フィルタ519は、ビーム516内に存在するように管理されている光源22bからの光511を除去することができる。帯域通過フィルタ523は、ビーム515に対するフィルタ510と同じ目的でビーム515に対し使用されうる。鏡524は、検出システム504のパッケージングを小型化できるように、または他の理由から、検出器521の配置の目的に関してビーム515の向きを変えるために使用されうる。鏡524は、その一方で、ビーム515および516とは異なる波長の光525を分割する他の2色性ビームスプリッタであってよい。さらに他の周波数の光を分割するためにカスケード状の構造、または他の構造でさらに多くのスプリッタを使用することも可能であろう。さらに、プロセッサ40に進むのは、散乱検出システム503の検出器配列24aからの信号である。光源22aおよび22bは、1つの光源で置き換えることができることに留意されたい。
【0117】
スプリッタ517は、さまざまな波長の光を分離するか、または特定の波長を選択するため他の機構で置き換えることもできる。これらは、さまざまな種類のノッチおよびステップ関数フィルタ、同調可能回折格子、薄膜誘電体スタック、ミラービームスプリッタ、光バンドギャップフィルタ、フォトニック結晶、同調可能帯域通過フィルタ、エタロンくし形および他の構造、構造的または他のフィルタリング機能を持つ導光器を有するウェハ、または吸収/フィルタリングについて特定のサイズおよびピッチの導波路およびミシン目を有するシリコンまたはガラスウェハなどを備えることができる。
【0118】
図25は、蛍光光学サブシステム502の例示的な一実施例を示している。ビーム511は、光源22bにより放射され、窓30bを通してマイクロレンズ526により粒子512に集束されうる。光ビーム511は、平行である場合もない場合もある。粒子512は、蛍光を発し、窓30b、薄膜コーティングフィルタ527、およびマイクロレンズ528を通して光ビーム515、516を放射するマーカーを有することができる。フィルタ527は、光源22bからの光511を除去することができる。フィルタ527は、レンズ528の下に配置された誘電体スタックであり、光源22bnの光511をブロックするノッチまたはステップ関数フィルタとすることができる。レンズ528は、マーカーから放射された蛍光をビーム515/516に集束し、ビームはスプリッタ517などのビームスプリッタへ進むことができる。ビーム515/516は、平行である場合もない場合もある。不透明層または吸収層529は、流路530のガラス、石英、またはプラスチック(積層されているか、または積層されていない)基板531上の窓30bまたはレンズ528の周り、または前後に形成されうる。層529は、光源22bから放射される光511が蛍光515/516とともに出るのをブロックすることができる。層またはブロッキングフィルタ529は、ブロックされることが望ましい波長帯に対し黒色であるか、または不透明である薄膜とすることができる。フィルタ529は、ノッチまたはステップ関数フィルタとすることも可能であろう。他のガラス、石英、またはプラスチック(積層されているか、または積層されていない)基板532は、粒子512に対するコア流用の流路530を形成することができる。基板531および532、窓30b、ならびにレンズ526および528は、蛍光発する可能性のある成分を含んでいてはならない。例示的な一実施例では、光源22bからの光511の方向は、粒子512から放射された蛍光515/516の方向に関して約90度としてよい。光源511と放射された蛍光515/516との間の角度により、事実上、蛍光515/516とともに出てくる光源からの光が低減されるか、または除去されうる。実施例における光源22bからの光511の方向の角度は、縦寸法流路530の方向または粒子512のコア流の方向に関して約45度とすることができる。しかし、いくつかの用途では、光511と光515/516の方向の間の角度は、0から120度までの範囲とすることができる。
【0119】
図26は、図22のサイトメーター構成の図を示しているが、ただし、レンズ541および542が配置されている。本明細書で述べられているように、窓および開口部30bは、レンズ541および542に加えてマイクロレンズを備えている場合も備えていない場合もある。単一の光源バージョン(光源22aと22bの代わりに)も、類似のレンズおよび/またはマイクロレンズ光学配置を取ることができる。
【0120】
図27は、手首または手のひらの周りに着けられるように適合された散乱および蛍光検出および監視の両方を行う小型化された携帯型サイトメーターの例示的な実施例を示す斜視図である。このサイトメーター800は、図7、21、31、33、および/または37に示されているものと類似しているものとしてよい。バンド802は、小型化された携帯型サイトメーター800をユーザーの手首に固定することができる。
【0121】
本明細書で示されているように、ユーザーは、取り外し可能カートリッジを取得し、血液試料を取り外し可能カートリッジの試料捕集装置口32(図7、21、22、および26を参照)に送ることができる。血液試料は、例えば、指に針を刺すことで集めることができる。ユーザーは、次いで、取り外し可能カートリッジを筐体内に挿入し、手動でシステムを加圧することができる。次いで、小型化された携帯型サイトメーターは、ユーザーが医療を求めるべきかどうかを示す読み取り値を与えることができる。この読み取り値は、視覚的読み取り値、可聴音、または他の好適なインジケータとすることができる。
【0122】
指を針で刺すなどの方法で血液試料を取得する代わりに、カテーテル804などをユーザーの静脈に挿入し、試料捕集装置口32に取り付けることができる。これにより、システムは、読み取り値が必要な場合に血液試料をユーザーから自動的に捕集することができる。それとは別に、小型化された携帯型サイトメーターは、試料捕集装置口32が好適な血液供給源に接続された状態でユーザー体内に埋め込むことができると考えられる。
【0123】
図28に示されている流路865は、約100×200ミクロンの断面積を持つことができる。粒子868のコア流867は、約15〜20ミクロンの幅としてよい。光866のスポットは、670nmの赤色光に対し約20×180ミクロンとすることができる。図28に例示されているように、コアは、粒子位置871および872により示されているように並んで移動することができる。一列縦隊の白血球868のコア流867に当たる光866からの散乱光869は、検出要素874で1から3度の帯域(FALS)を測定し、散乱光869の検出要素881により3〜11度の帯域(SALS)を測定する光検出器873によりプロットすることができる。検出器873は、さらに、大角度散乱(LALS)も測定することができる。
【0124】
純粋な散乱では、これらのタイプの白血球を同定することができる。FALS対SALSデータについては図29a、FALS対LALSデータについては図29bに散乱のプロットが示されている。図6aおよび6bは、本明細書では、いくつかの実験試行結果からのFALS対SALSのプロットを示している。図2は、細胞の5分画を示している。図29aと29bのプロットにより、5種類の白血球を同定することができ、曲線886はリンパ球を表し、曲線887は好中球を表し、曲線888は好酸球を表し、曲線889は好塩基球を表し、曲線880は単球を表す。図28の検出器873は、環状検出器とすることができる。しかし、代わりに、直線状検出器であってもよい。環状検出器は、高品質の検出を行うことができるが、直線状検出器は、比較的安価である。
【0125】
白血球の種類のほかに、それぞれの種類にさまざまな種がありうる。例えば、リンパ球には、CD4、CD8、CD19、または他の種がありうる。種を同定するのに散乱とは別のアプローチが必要である。例えば、CD4にはY字型抗体があり、その抗体上に青色蛍光標識またはマーカーを付けることができる。他の色の蛍光標識で印を付けられるCD5に対する他の抗体もありうる。さまざまな色に対する標識の計数は、他の波長の光ビームでマーカーまたは標識を励起することにより行うことができる。蛍光を検出するために、光増倍管を使用できる。CD4、CD5、CDXXなどの数が計数されうる。後のイベントは、散乱では実行されない。しかし、散乱は、それでも必要であり、余分な付着していない抗体による誤計数をなくすために使用されうる。
【0126】
全血を採って、溶解し(つまり、赤血球を除去し)、白血球と抗体で終わらせることができる。白血球は、抗体複合体を有することがある。リンパ球が100個あった場合、種同定および計数を目的として100個の抗体が必要であろう。CD4およびCD5のほかの他の種についても抗体がありうる。種を見逃さないために、いくつかの余分な標識抗体がありうる。余剰分の抗体がありうるが、光散乱が細胞の計数に使用できるので、細胞に付着している抗体のみが計数される。光散乱は、標識されている付着してない抗体を探し出すために使用されうる。
【0127】
細胞の寸法は、12ミクロン程度であるが、抗体の寸法は、数百ナノメートルの範囲である。磁気標識の使用など、標識付けには他のアプローチもありうる。重要な点は、ある種の白血球のそれぞれの種、例えば、CD4、CD5、...について、それぞれの種に対し別の、異なる色を必要とする場合があるという点である。例えば、単一流路内の20個のさまざまな種を同定するために20の異なる色が必要になる。
【0128】
励起された蛍光標識のさまざまな色が、1つのビームとして放射されうる。これらの色は、それぞれ異なる色に調節された一連のスプリッタで大きな力、または強引な力で分離させることができる。単一光ビームにおけるさまざまな色の分離および検出のよりコンパクトなアプローチは、プリズムまたは回折格子で分離するというものである。例えば、波長は、400、430、450、...、670nmなどとしてよい。
【0129】
生物学的種は、白血球のようなものに対する適切な基準としてよい。観察される試料は、環境からとったものでよく、炭疽菌とすることが可能であろう。CD4は、炭疽菌で置き換えることができる。言い換えると、抗体を使用することができ、またCD4に使用される抗体を置き換えることができるということである。1つのシステム内で複数の薬剤などのさまざまなもののそれぞれに対し抗体が必要になるであろう。
【0130】
ポリクローナル抗体の代わりに、モノクローナル抗体を使用することができる。図24aには、図24bのCD4に対する抗体とCD8に対する抗体を持つリンパ球の図がある。CD4に対する抗体があるが、CD8に進み、その結果誤計数が生じうる。これは、ポリクローナル抗体で生じうる問題といえる。この問題は、それぞれがCD4、CD8、または他の指定された種にのみ付着するように特徴付けられるため、モノクローナル抗体で解決できる。モノクローナル抗体が、比較的高品質であり、ポリクローナル抗体よりもよい精度をもたらすとしても、後者は著しく安価である。モノクローナル抗体は、典型的には、CD4、CD5、および類似のドメインに使用されうる。
【0131】
指摘されているように、細胞にはサブクラスがありうる。種は、化学兵器作用物質とすることができる。作用物質は、マラリア、TBなどを含むことができ。マラリアは、血液中にあり、したがって、マラリアに対する抗体がありうる。生物学的種は血液中にあり、化学兵器作用物質に水中にあり、疾病は血液中にありうる。3種類の生物学的種は、標識を有する抗体で同定することができる。
【0132】
抗原は、例えば、CD4に付着されたアンテナ(図24a)のように見える。ハンドヘルド型サイトメーターで生物学的種の同定および計数を行うことで、世界中のへんぴな土地でも予防的ケアを実施することができる。ハンドヘルド型サイトメーターは、試料準備および分析のため完全自動化されうる。すべてのサイトメーターではないとしてもほとんどのサイトメーターが、単に指に針を刺して得られただけの試料では機能しない。後者は、サイトメーターの非熟練ユーザー向けに達成可能である。試料は、1月に1回だけ必要になると考えられる。レーザー穿刺は、本発明のサイトメーターで使用することができるが、このようなアプローチは、通常の指に針を刺す方法に比べて高価である。さまざまな他のサイトメーターシステムでは、かなりの量の血液を実際に採血する必要がある可能性がある。
【0133】
図30は、平行アプローチに対するシステム950の光学的レイアウトを示している。このアプローチは、2色性ビームスプリッタ963、帯域通過フィルタ964経路、および検出器972が蛍光検出脚内で使用されるものとして定義されうる。検出器972は、PMTまたは他の好適なタイプの検出器とすることができる。光源脚は、流路967を照射する2つの光源(965、966)波長(青色488nmおよび赤色630nm)を含むことができる。しかし、代わりに、光源が1つだけであってもよい。前方角度光散乱(FALS)検出脚は、両方の光源波長において散乱光969の測定を可能にする帯域通過フィルタを備える2素子光ダイオード検出器968を備えるように示されている。蛍光信号に対しプロットされたときのFALS検出器からの散乱信号により、システムは関連付けられている抗原を持たない標識抗体を同定するので、検出感度が改善される。この平行アプローチでは、単純な検出読み取りを行える。このアプローチの特性は、このアプローチの平行という性質からシステムサイズを増やす結果となりうる4つよりも多い色への拡大、および/またはシステムが拡大されたときの、多数のビームスプリッタ963/帯域通過フィルタ964を含みうる。
【0134】
検出蛍光流路の数を増やせるようにしながらシステムの複雑度を低減するには、直線状検出器配列958からなるマイクロスペクトロメーターを使用してすべての蛍光スペクトルを記録する。図31は、蛍光信号の測定用のスペクトロメーターベースのアプローチに対するシステム960の光学的レイアウトを示している。システム960は、2つの光源965、966、またはただ1つの光源を備えることができる。わかりやすくするため、ポンプシステム、電子回路、およびソフトウェアインターフェイスは、この図には示されていない。このアプローチでは、波長、または異なる蛍光染色により放射されるさまざまな色に応じて光を分離するために分散素子として使用されるプリズム971(または回折格子)を備えることができる。次いで、分離された色は、光増倍管(PMT)配列958の個々の検出素子に向けて集束されうる。要約すると、このアプローチにおける蛍光検出脚は、マイクロスペクトロメーターとみなすことができる。FALS検出脚は、図30に示されている平行アプローチのFALS検出器968に類似のものでよい。検出脚内のマイクロスペクトロメーターを使用することにより、図30に示されているアプローチと同様の複数の平行蛍光流路を不要にできる。マイクロスペクトロメーターは、CCD検出器配列を備えることができる。これらの検出器配列は、標識抗体により発生する蛍光信号を適切に感知するために十分な感度を必要とし、毎秒100〜1000個の速度で流れる細胞からの離散信号については特に十分な感度が必要である。マイクロサイトメーター950は、小さなシステムフットプリントにおいて4つを超える色に拡大することができる。最大色数は、現在利用可能なのが1×32PMT配列であるため32としてよい。しかし、マイクロサイトメーター950の色数を増やすために、さらに大きなPMT配列も利用可能である。図31のシステム960では、プリズム971、格子などを光分散素子として使用できる。
【0135】
図31では、PMT検出器配列958は、システム960全体の信号対雑音比に関係する特定の充填率を持つことができる。しかし、光源の出力は、適宜変更することができ、カスタム光学系は、さまざまなPMT配列のピッチに合わせて手直しすることができる。検査のため、選択されたBW薬剤および模擬薬に対しモノクローナル抗体を利用できるかどうかをチェックすることができる。モノクローナル抗体が利用可能なものに対する検査のため、適切な不活性化された薬剤/模擬薬を選択できる。
【0136】
図32の表は、サイトメーター950または960のAIDS/マラリアバージョンに組み込むことができる有意なパラメータを明らかにしている。この図は、AIDS/マラリア用途に使用できる光学ベースのサイトメーター950、960を示す。3流路(1つは散乱用、2つは蛍光用)アプローチが使用可能である。システムは、全体的サイズを大きく変えることなく6つ以上の流路に容易に拡大できる。例えば、検出空間内で全部で散乱流路1つ、蛍光流路4つを、計測装置用とすることができる(AIDSおよびマラリアは、異なる蛍光流路を必要とすると仮定する)。ただし、白血球数を分画する(少なくとも3分画)機能は、特定の感染症(ウイルスおよびバクテリア)を診断し、監視するための計測装置の重要な拡張機能であると理解できる。技術的には、このような拡張機能は、3つの散乱流路(図32においてオプションの散乱流路として説明されている)と場合によっては2つのサイトメーター測定流路をカード上に必要とする場合がある。しかし、1つの測定流量で十分と思われる。そのため、技術的なオプションとして、ADIS/マラリアPOCサイトメーターの実験室内評価にこれを加えることを検討してもよい。照明側では、少なくとも1つの赤色抗原が、適切な蛍光プローブとともにAIDSアッセイに必要になる場合があり、また赤色と青色の両方の光源が、マラリアアッセイに必要になる場合がある。同じ赤色光源を、散乱測定と蛍光測定の両方に使用することができる。カートリッジの複雑さに関して、AIDSアッセイとマラリアアッセイは両方とも、同じ数のフローセンサーおよび試薬貯蔵容器を必要とすることがある。AIDSアッセイでは、同じサイトメーター測定流路および同じレーザー光源が、散乱測定と蛍光測定の両方に使用されうる。
【0137】
光学的サブシステムの基準アプローチでは、AIDSとマラリアの両方に対する必要な性能を実現するには、細胞散乱(例えば、WBC数および分画の種類)および多色蛍光(例えば、CD4/CD45/CDXX同定、計数、およびマラリア種病原体決定)の両用の測定を必要とすると仮定できる。光学的サブシステムは、赤色励起蛍光プローブ、および複数の光学的散乱および蛍光流路と1つの光源との一体化を組み込むことができる。
【0138】
図33(図30に類似している)は、基準アプローチとしてみなせる光学的レイアウトを備え、蛍光検出脚において2色性ビームスプリッタ963、帯域通過フィルタ964、および検出器972の平行流路を有するシステム950を示している。光源脚は、使い捨て型試料カートリッジ952内に埋め込まれている流路967を照射する赤色(966)および青色(965)の波長(例えば、630nmおよび488nm)の2つのレーザーを有することができる。しかし、代わりに、レーザーが1つだけであってもよい。図に示されているように、1つまたは複数の光源966、965は、光源をサイトメーター流路967のコア流974内の細胞973の流れに自動的に揃えることを可能にする一軸微小平行移動ステージの形態の自動アライメント機能を組み込むことができる。VCSEL配列が光源として使用される場合、光源をコア流974の細胞973に揃える自動電子セルフアライメントを実行することができる(細胞の流れに揃う適切なVCSELを選択することにより)。この電子セルフアライメント機能により、POCサイトメーターがメンテナンスフリーになり、開発途上国の現場で使用できる堅牢さを有することができる。
【0139】
図33は、さらに、AIDS/マラリア用途に使用できる光学ベースのPOCサイトメーターに対するアプローチを示す。3流路(1つは散乱用、2つは蛍光用)アプローチがここに示されている。このアプローチは、全体的サイズを大きく変えることなく6つ以上の流路に拡大できる。図を簡単にするため、散乱検出脚は、この図に示されていない(しかし、図30には示されている)。散乱光は、全WBC数を測定するために、FALSチャネルと従来から呼ばれている小角度の少なくとも1つの範囲(約1から3度)において必要になるが、SALS(約5から10度)およびLALS(大角度散乱)などのより高い角度における追加の角度ビンは、さまざまな種類の5つの異なる白血球を分画するために、必要になる場合がある(図29aおよび29bに示されているように)。システム950のシリコン光ダイオード検出器968(図30)は、小さな角度で散乱された光には適している場合があるが、小型光増倍管(PMT)は、90度散乱およびすべての蛍光流路に対してより効果的であると思われる。さらに、FALS(約1から3度)検出器からの散乱信号が蛍光信号に対しプロットされた場合、システムは抗原を持たない標識抗体を同定することができ、その結果、検出感度が改善される。このアプローチの結果として、大半の市販の大きなベンチトップサイトメーターで使用される実証済みのアプローチに基づく単純な検出結果読み出しが行える。AIDSとマラリアの両方のアッセイに、4つの蛍光検出流路があれば十分であると思われる。
【0140】
HIVアッセイについては、実験室用使い捨て型カートリッジまたはカード952上でCD4/CD45抗体−抗原捕捉により白血球を標識することができる。フローサイトメトリー検査では、カード952は、全血の試料約10μLを処理し、CD4およびCD45(および/またはCDX、CDXX)により白血球を染色し、赤血球を溶解し、残りの細胞をオンカードサイトメーター流路内に集めてPOCサイトメーター950によりプレゼンテーションおよびサイトメトリー分析を実行することができる。これは、AIDS(CD4)アッセイに使用されるクレジットカードサイズの使い捨て型カートリッジ952とすることができる。カード952は、図33に示されているように、フローセンサー975、オンザフライ溶解ループ976、オンザフライ染色ループ977、流路967、血液貯蔵容器978、および試薬貯蔵容器979を備えることができる。
【0141】
使い捨て型カートリッジ952内には検査用の処理があってよい。全血試料は、指に針を刺すことで得られる。血液は、オンカード試料ループ内で貯蔵できる。抗体および再水和緩衝液を用意することができる。また、血液細胞の標識付け(つまり、抗体抗原結合)も行える。次いで、赤血球が、オンカード溶血剤による溶解に出会う。溶解された血液は、細胞973がオンカードシース試薬とともに流路967内のコア流974として一列縦隊で集束される場所に進むことができる。細胞973に関する情報が得られた後、血液はオンカード廃棄物室に進むことができる。
【0142】
同様に、2色マラリアアッセイでは、さらに、カートリッジ上に試料、抗体−抗原捕捉、試薬混合、および他のアッセイプロトコルを一体化すすることができる。このアプローチは、マラリアアッセイを含むことができる。マイクロ流体力学ベースのアッセイでは、図36の表の特徴の比較により示されるように、高価な試薬の消費量を減らし、アッセイ手順を簡素化し、今日のベンチトップサイトメーターで使用される従来のアッセイと比べて全体的アッセイコストを低減することができる。
フローサイトメーター950または960は、AIDS監視/マラリア診断のため遠隔地で使用できる。サイトメーター950または960のような迅速で、配備可能であり、低コストである(計測装置およびアッセイのコスト)計測装置は、市販の大型のフローサイトメトリーシステムに匹敵するか、またはそれ超えるよい結果をもたらしうる。それに加えて、マラリアの場合、これは、感染種を同定することができる低コストで、使いやすいPOCフローサイトメトリースクリーニングの必要性を満たすことができる。携帯型サイトメーター950または960は、開発途上国世界のへんぴな地域でそのようなスクリーニングを行う場合にいくつかの利点を有すると思われる。これらの利点としては、特定の治療を必要とする可能性のある患者の迅速で簡単な識別、関連死亡率および疾病率を有する重度のマラリアへの進行の低減、寄生体抵抗の予防、および多くの人々の良好な患者予後が挙げられる。
【0143】
CD4および類似の監視について市販の、いくぶん小型化されているサイトメーターと本発明のサイトメーターとを比較すると、後者が最も有利であることがわかる。サイトメータープラットフォーム950または960は、開発途上国世界のポイントオブケア環境におけるマラリア診断洋の第1の実用的なサイトメーターベースのプラットフォームとみなすことができる。サイトメーター950または960は、安価で、携帯性に優れ、非熟練者にも扱いやすく、必要なメンテナンスの少ない、感染症のPOC診断および監視の最新技術を推進することができる。
【0144】
サイトメーター950または960は、AIDSおよびマラリアのアッセイに対するフル機能を備えることができる。しかし、最初に、プログラム実行時に組み立てられるすべての計測装置の機械的筐体および固定具に、一部のスロットが埋まっていないとしても、全AIDS/マラリア測定機能用に空間とスロットを割り当てておくことができる。
【0145】
蛍光ビーズ、全血、およびマラリア模擬薬は、目標試料として使用することができる。機械的筐体に加えて、POC計測装置950または960は、複数のサブシステムを備えることができる。サブシステムのいくつかは、流体駆動装置(ポンプ)サブシステム、光学的サブシステム、駆動および感知電子回路、ならびにソフトウェアおよびグラフィカルユーザーインターフェイスを備えることができる。CD4アッセイでは、より複雑なゲーティング法ともよく合うように見える、Pan−leucogatingなどの確立されているゲーティングアルゴリズムを使用する計画を立てることもできる。
【0146】
駆動感知電子回路、アルゴリズム、およびソフトウェアは、所定の入力試料の模擬薬およびBW薬剤などの臨床または環境試料を検査するように構成されうる。分析カートリッジにより、試料調製を行い(市販の試薬の化学的性質をカスタマイズする)、生物学的試料中のBW薬剤を検出することができる。カードまたはカートリッジは、試料入口および試薬オンカード貯蔵容器を備えることができる。さらに、カードまたはカートリッジ上に、廃棄物保管貯蔵容器、抗体が抗原と混合される場所、および生物学的薬剤のサイトメトリー分析が少なくとも一部は実行される場所を用意することもできる。
【0147】
ポンプ機能は、POC分析器計測装置に関して注意すべき因子である場合がある。いくつかの血液学分析器およびフローサイトメーター内のポンプシステムは、ステッパーモーターにより駆動される注射器ポンプにより発生する体積制御流量に基づくことができる。このようなシステムは、正確であるが、かさばり/電力を食い、POC計測装置で使用するのには適さないと思われる。POC血液学分析器の開発の一環として、図34に示されているように、閉ループで動作する小型化された圧力駆動(体積駆動とは反対の)ポンプシステムが使用可能である。ポンプシステムは、それぞれ試料903およびシース液904を供給するためマイクロ弁908とともに高圧および低圧室901および902を備えることができる。試料903およびシース液904の流れの量は、フローセンサー905および906により決定されうる。流量指示は、制御ループ制御電子回路907に進むことができる。電子回路907は、フローセンサー905および906からの指示に基づき、信号をポンプシステムに送信し、流体903および904の流れをいくつかの所望のレベルに制御することができる。試料流体903およびシース液904は、ポンプで多岐管909内に送り込むことができる。多岐管909から、試料903およびシース904がサイトメーター910および流体チップ911上のその流路967内に入ることができる。
【0148】
本発明のサイトメーターでは、閉ループで動作する小型化された圧力駆動(体積駆動とは反対の)ポンプシステムが使用できる。このような多くの動作原理は、マイクロポンプを使用して生成される高圧空気源を伴うことができる。低い、正確に制御される圧力は、小型化された弁の配列を使用することによりこの高圧空気源から生み出すことができる。これらの弁は、それぞれの流路に対し所望の流量を確保するためにそれぞれの流路内に取り付けられたマイクロフローセンサーを備える閉ループ構成で使用されうる。いくつかのこのようなポンプが組み立てられ、特徴付けられ、うまく行くことが証明されている。図35aおよび35bのグラフは、高精度の低および高流量がこの技術により得られることを示している。これらのグラフは、図35aのプロット961により示されている2〜3μL/分および図35bのプロット962により示されている150〜200μL/分の流量範囲においてこのポンプシステムの2つの流路の流量を高い精度(1%の精度)で制御することを示すデータを明らかにしている。さまざまな試薬および血液試料の流量の制御が高精度であるということは、血液細胞の数の測定も高精度であるということである。本発明のPOCサイトメーターでは、AIDSおよびマラリアのアッセイに必要ないくつかの小さな修正を追加の流路に加えただけで、この閉ループポンプ技術を使用することができる。
【0149】
さまざまなアッセイにおいて、カートリッジ952(カートリッジ)上のマイクロ流体力学ベースのアッセイには、図36に示されているようにベンチトップサイトメーター(ベンチトップ)に勝る多数の利点を有すると考えられる。カートリッジは、全血試料を約12μLだけ必要とするが、ベンチトップでは、約100μLを必要とする。ベンチトップでは、4つの希釈ステップが使用され、カートリッジでは何も使用されない。モノクローナル抗体を無理なく取得する難しさを考えると、カートリッジでは0.6μLだけ(最適化されていない)あればよいが、ベンチトップでは5μLが必要である。カートリッジについては、インキュベーションステップの数と持続時間は、2つあり、1つは室温で20秒間であり、もう1つも室温で20秒間である。ベンチトップについては、インキュベーションステップは、40℃で30分間のものと、室温で5分間のものを含む。使用される溶解溶液の量は、カートリッジとベンチトップとでそれぞれ500μLと1.4mLである。サイトメトリー測定時間は、カートリッジもベンチトップも約2〜3分である。
【0150】
サイトメーターでは、カートリッジ上に試薬貯蔵容器979があり、マイクロフローセンサー975が埋め込まれうる(図30、31、33)。カード952では、CD4およびCD45抗体の貯蔵溶液(0℃〜4℃で貯蔵される)を使用することができる。乾燥されたCD4およびCD45抗体をカード上のマイクロ流体流路内に直接プリントするプロセスがありうる。生物学的試薬のナノリットル体積分をプラスチック表面に堆積することができる。試薬が乾燥されマイクロ流路内に入れられた後、低温積層プロセスを使用してこれらの流路を封止することができる。次いで、試薬は、正しい細胞に標識する生物学的活性を保持するように緩衝液(これもカード上に貯蔵される)により再水和され、使用時にカード上で血液と混合されうる。制御カードは、基準として類似のカード内の非乾燥試薬を伴うことができる。マイクロ流路内の試薬を乾燥させ、乾燥した試薬を、正しい細胞を標識する生物学的活性を保持するように再水和するプロトコルがありうる。
【0151】
ポイントオブケア診断用途向けの一体化プラスチック製使い捨て型カード952を生産する系統だったアプローチがありうる。所定の用途に対する複数のマイクロ流体機能は、最も単純な形態(サブサーキットと呼ばれる)に還元することができる。例えば、カード内への1滴の試薬の適切なアライメントと捕捉は、カード内の初期サブサーキットであってよい。このカードにより、ユーザーは1滴の血液(指に針を刺して得られる)を採り、次いで(吸引を介して)少量(約10から30μL)の試料を指の圧力でカード内に引き込むことができる。マイクロ流体流路内で一定方向に空気および液体を通すことを許すマイクロ逆止弁がありうる。これらの弁を、カード内に組み込むことができる柔軟な空気袋と併用すると、エンドユーザーは測定された体積の試薬を容易に取得できる。サブサーキットは、動作可能なカード内に組み込むことができる。
【0152】
使い捨て型分析カートリッジ952に超低自己蛍光材料を使用することができる。環状オレフィン共重合体(COC)ベースのプラスチックは、488nmでガラスと同程度の、またはそれよりもよい自己蛍光特性を持つことができ、また非常によい防湿層となりうる。この材料のガラス転移温度は、等級に応じて、約70から180℃としてよい。COCポリマーは、488nmで非常に高い光透過率(>95パーセント)を持つことができる。
【0153】
488nmにおけるガラス状自己蛍光特性を有する低コストプラスチックが識別され、使い捨て型分析カード952上に光学的窓および/またはレンズ(例えば、図33のレンズ992)を形成するために使用されうる。特定のプラスチック群は、COC(Topas(商標))および他のそのようなポリマーを含むことができる。それに加えて、これらの光学的窓は、さらに、石英、Pyrex(商標)、および他のガラスまたはガラス状材料で作ることができる。各種COCは、非常に低いレベルの自己蛍光を持つことができるため、蛍光フローサイトメトリー用の使い捨て型マイクロ流体カードで使用するのに非常に適していると思われる。COCプラスチックは、他のガラス材料と異なり、カード製造プロセスに容易に組み込める。これらのプラスチックの複屈折性は、ポリカーボネート、ポリスチレン、およびアクリルに比べて低くてもよい。COCプラスチックは、非常によい耐薬品性を有するように思われ、また軽量であり、粉砕に強く、生体適合性もある。これらは、可視光線波長で約92パーセントの透過率、約1.533の屈折率、および56のアッベ数を持つことができる。これらのプラスチックは、さらに、良好な寸法安定性および高ガラス転移温度も持つことができる。
【0154】
フローサイトメトリー検査では、カード952は、全血の試料約10μLを処理し、CD4およびCD45抗体抗原捕捉により白血球を染色し、赤血球を溶解し、残りの細胞をオンカードサイトメーター流路内に集めてPOCサイトメーター950によりプレゼンテーションおよびサイトメトリー分析を実行することができる。AIDS(CD4)アッセイおよびその操作手順に対するクレジットカードサイズの使い捨て型カートリッジ952が、それぞれ図37および38に示されている。カード952は、フローセンサー975、オンザフライ溶解ループ976、オンザフライ染色ループ977、流路967、血液貯蔵容器978、および試薬貯蔵容器979を備えることができる。
【0155】
図38は、システム950、960の使い捨て型および/またはマイクロ流体カートリッジ952内における操作手順のプロセス図を示している。全血試料は、ブロック981で指に針を刺すことで得られる。血液は、ブロック982でオンカード試料ループ内に貯蔵できる。セクション984では、セクション985へのオンカード抗体(モノクローナルおよびポリクローナル)を供給することができる。また、ブロック982からの血液は、血液細胞の標識付け(つまり、抗体抗原結合)が行われるセクション985に進むことができる。セクション985から、血液は、赤血球がブロック987からのオンカード溶血剤による溶解に遭遇するセクション986に進むことができる。溶解された血液は、細胞973がブロック989からのオンカードシース試薬とともに流路967(図33)内のコア流974として一列縦隊で集束されるセクション988に進むことができる。細胞は、計数され、分類されうる。細胞973に関するさまざまな情報項目が得られた後、血液はブロック991でオンカード廃棄物室に進むことができる。
【0156】
材料選択は、正しく機能するカードを得るためにカード952の加工プロセスでは重要なものと思われる。さまざまな可能な用途、化学的性質、および最適な性能となるように一体化できる他のコンポーネントを考えると、すべてのカード設計のニーズを満たす普遍的なプラスチックは存在しないように見える。むしろ、所望のカードの機能の仕様とバランスのとれるさまざまなプラスチックおよび接着剤がある。488nm(青色)および630nm(赤色)で好適な材料不透明性について、さまざまな候補プラスチックフィルムを評価することができる。それに加えて、Honeywell社のAclar(商標)フィルムなどの非常によい防湿層特性を持つプラスチックに注目するとよい。フィルムのバリア性は、液体が乾燥(H2O移動)してしまうのを防ぎ、さらにはpHドリフトを防ぐ(O2およびCO2の移動を最小にする)うえで重要な役割を果たしうる。材料選択は、市販の使い捨て型カードが最大1年間周囲温度で安定し、開発途上国世界の辺境地で使用するのに好適であるという目標が与えられた場合に特に重要であると思われる。
【0157】
本明細書では、問題のいくつかは、他の方法または時制で述べられていけれども仮説的または予言的性質を有するものとすることができる。
本発明は、少なくとも1つの例示的な実施例に関して説明されているけれども、本明細書を読んだ後、多くの変更形態および修正形態が当業者に明らかなものとなるであろう。したがって、付属の請求項が従来技術に関して可能な限り広く、そのようなすべての変更形態および修正形態を含むものと解釈されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】ポイントオブケア計測装置のブロック図である。
【図2】白血球の5分画のグラフである。
【図3】抗原を有する白血球の図である。
【図4a】3次元透視図法で細胞のプロットを示した図である。
【図4b】観察者が右側のプラットフォームのエッジをのぞき込んでいるときに見えるものを表した図である。
【図5a】左のピークが右のピークに相対的に弱いことを除き、図4aのと似た細胞のプロットの図である。
【図5b】この図での向きを変更したことを除き、図5aのプロットと同様の図である。
【図6a】複数のサイズを有するビーズの計数および分類のグラフである。
【図6b】3種類の白血球の分画のグラフである。
【図7】小型化された携帯型サイトメーターの斜視図である。
【図8】小型化されたサイトメーターの略図である。
【図9】カバーが押し下げられていない状態の小型化されたサイトメーターのより詳細な略図である。
【図10】カバーが押し下げられている状態の小型化されたサイトメーターのより詳細な略図である。
【図11】流体力学的絞り込みコンポーネントによるフロー流およびコアの形成を示す図である。
【図12】コア流の分析用の光源と検出器の配列の図である。
【図13】ガウス光点の図である。
【図14】光散乱体に対する光源および検出器の配置の図である。
【図15】流路に近接する光源および対応する検出器の3つのセットの図である。
【図16】例示的なカートリッジのいくつかの特徴の略図である。
【図17】血液試料を分析するための例示的なアプローチを示す概略流れ図である。
【図18】多数の赤血球パラメータを取得するための例示的なアプローチを示す流れ図である。
【図19】血液試料を分析するための他の例示的なアプローチを示す概略流れ図である。
【図20】ヘモグロビン測定精度を改善するために溶血剤堆積領域および気泡トラップを有するカードを示す図である。
【図21】散乱サブシステムおよび蛍光光学サブシステムを備えるサイトメーターカートリッジの図である。
【図22】散乱および蛍光サブシステムの光学配置の略図である。
【図23】血液の成分の図である。
【図24a】細胞の蛍光同定のため細胞にマーカーを付着させた抗体を示す図である。
【図24b】細胞の蛍光同定のため細胞にマーカーを付着させた抗体を示す図である。
【図25】流路の蛍光光学サブシステムの図である。
【図26】レンズ装着蛍光光学サブシステムの略図である。
【図27】手首に付けるために小型化されたサイトメーターを示す図である。
【図28】光散乱検出器を備える流路の端面図である。
【図29a】白血球の3分画を明らかにするFALSデータとSALSデータとの関係を示すプロットである。
【図29b】図29aの白血球に加えて、さらに2種類の白血球の分画を明らかにするFALSデータとLALSデータとの関係を示すプロットである。
【図30】小型サイトメーターカートリッジに関連する2色性ビームスプリッタタイプの光学系の略図である。
【図31】小型サイトメーターカートリッジに関連するプリズムビームディスクリミネータタイプの光学系の略図である。
【図32】AIDSおよびマラリアアッセイのさまざまなパラメータに対する構成要素を示す表である。
【図33】図25の関連する光学系を備えるより詳細な小型サイトメーターカートリッジの略図である。
【図34】血液学分析器およびフローサイトメーターなどのポイントオブケア計測装置の閉ループポンプシステムを示す図である。
【図35a】閉ループポンプシステムの流速精度を示すグラフである。
【図35b】閉ループポンプシステムの流速精度を示すグラフである。
【図36】小型サイトメーターおよびベンチトップサイトメーターの比較結果を示す表である。
【図37】AIDS(CD4)アッセイを行うための小型カートリッジレイアウトの図である。
【図38】免疫アッセイおよび血液学検査の用途を有する小型カートリッジの操作手順を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイントオブケア分析器であって、
携帯型計測装置と、
計測装置内に挿入可能なマイクロ流体カートリッジとを備え、
ただし、
前記計測装置およびカートリッジは、
血液試料を運ぶための流路と、
免疫アッセイのため前記血液試料の成分に付いているマーカーを検出し、同定するための少なくとも1つの蛍光光学的流路と、
前記血液試料の成分の個数および/または特性を判定するための少なくとも1つの散乱光学的流路とを備え、
免疫アッセイで検出されるべき前記血液試料の前記成分は、CD4、CD45、CDX、CDXX、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、さまざまな他の病原体などからなる群の少なくとも1つとすることができるポイントオブケア分析器。
【請求項2】
前記散乱光学的流路は、大角度で前記試料の成分により散乱された光を検出するためのものである請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
前記計測装置およびカートリッジは、さらに、
小角度で前記試料の成分により散乱される光を検出するための第2の散乱光学的流路と、
前方角度で前記試料の成分により散乱される光を検出するための第3の散乱光学的流路とを備える請求項2に記載の分析器。
【請求項4】
前記成分により散乱される光は、前記血液試料の成分の数および/または特性を判定するために使用される請求項3に記載の分析器。
【請求項5】
前記カートリッジは、さらに、
複数のフローセンサーと、
複数の試薬貯蔵容器とを備える請求項1に記載の分析器。
【請求項6】
カートリッジ上でマイクロ流体力学ベースのアッセイを行うための方法であって、
全血の試料をマイクロ流体カートリッジに供給するステップと、
分析器の携帯型計測装置内に配置されているカートリッジ上でマイクロ流体力学ベースのアッセイを実行するステップとを含む方法。
【請求項7】
前記マイクロ流体力学ベースのアッセイを実行するステップは、さらに、
全血試料を前記カートリッジの投入口に供給するステップと、
前記試料の少なくとも一部を溶解するステップと、
使用する前記カートリッジ内のモノクローナル抗体の供給を確定するステップと、
少なくとも1つのインキュベーションステップを実行するステップとを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記試料の量は、25マイクロリットル未満である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロ流体力学ベースのアッセイを実行するステップは、さらに、1つ未満の希釈ステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
モノクローナル抗体の前記供給は、2マイクロリットル未満である請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記アッセイは、1ミリリットル未満の溶解溶液を使用する請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記アッセイは、3つ未満のインキュベーションステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項13】
インキュベーションステップは、ほぼ室温において1分未満の時間の間、実行される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロ流体力学ベースのアッセイの持続時間は、5分未満である請求項6に記載の方法。
【請求項15】
ポイントオブケア分析器であって、
免疫アッセイモジュールと、
血液学モジュールを備え、
前記モジュールの少なくとも一部は、前記分析器の計測装置内に挿入可能なカートリッジに配置されるポイントオブケア分析器。
【請求項16】
前記免疫アッセイモジュールは、第1のマイクロ流体回路を備え、
前記血液学モジュールは、第2のマイクロ流体回路を備え、
前記第1および第2のマイクロ流体回路は、前記カートリッジ内に配置される請求項15に記載の分析器。
【請求項17】
前記免疫アッセイモジュールは、CD4、CD8、CD45、CDX、CDXX、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、TB、さまざまな他の病原体、および/または類似物の存在を判定し、および/または推論するための流路および前記流路に近接する少なくとも1つの蛍光光学的流路を備え、
前記血液学モジュールは、少なくとも完全血球算定を行うための流路および前記流路に近接する少なくとも1つの散乱光学的流路を備える請求項15に記載の分析器。
【請求項18】
前記免疫アッセイモジュールおよび血液学モジュールは、同じ流路を備える請求項17に記載の分析器。
【請求項19】
前記病原体は、AIDS、マラリア、HIV、TBなどに影響を与えうる請求項17に記載の分析器。
【請求項20】
前記免疫アッセイモジュールは、リンパ球および単球に蛍光マーカーまたは蛍光標識を付けることができる請求項15に記載の分析器。
【請求項21】
前記血液学モジュールは、白血球を少なくとも3つのカテゴリに分画することができる請求項17に記載の分析器。
【請求項22】
前記カテゴリは、リンパ球、単球、好中球、好酸球、および好塩基球を含む請求項21に記載の分析器。
【請求項23】
前記血液学モジュールおよび免疫アッセイモジュールは、単一の共通光源を利用する請求項17に記載の分析器。
【請求項24】
前記マイクロ流体回路は、
流体力学的集束流路と、
廃棄物貯蔵容器と、
試薬貯蔵容器(シース、溶解、希釈)と、
抗体貯蔵容器とを備える請求項16に記載の分析器。
【請求項25】
血液分析の方法であって、
血液学検査を実行するステップと、
免疫アッセイを実行するステップとを含み、
前記検査およびアッセイは、単一のマイクロ流体カートリッジにより実行される血液分析の方法。
【請求項26】
前記血液学検査は、
全血の試料を用意するステップと、
完全血球算定を実行するステップとを含み、
前記完全血球算定は、
前記試料の第1の部分を溶解し、その結果として白血球を得るステップと、
前記白血球の第1の部分を流体力学的に集束して流路内に押し通し、光を散乱させるステップと、
前記白血球により散乱された光に応じて前記白血球を複数の種類に分画するステップと、
前記試料の第2の部分を流体力学的に集束して流路内に通し、光を散乱させるステップと、
前記赤血球により散乱された光に応じて前記赤血球を計数するステップと、
前記赤血球により散乱された光からヘマトクリットデータを判定するステップと、
前記試料の第3の部分のヘモグロビン含有量を光吸収により判定するステップとを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記免疫アッセイは、
前記白血球の第2の部分をインキュベートし、蛍光抗体で標識するステップと、
前記白血球に光を当てるステップと、
前記標識された白血球から放射される蛍光を検出するステップと、
前記白血球により散乱された光を検出するステップと、
CDXXおよび/または病原体データを判定するステップとを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
細胞の前記溶解、分画、流体力学的集束、標識付け、および計数は、前記単一のマイクロ流体カートリッジ上で実行可能である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記インキュベートおよびCDXXおよび/または病原体データの判定は、前記単一のマイクロ流体カートリッジ上で実行可能である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
アッセイシステムであって、
カードと、
前記カード内に配置された免疫アッセイコンポーネントとを備えるアッセイ。
【請求項31】
さらに、前記カード内に配置されている血液学検査コンポーネントを備える請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記カードは、プラスチックタイプおよび/またはガラススタイプの材料を含むマイクロ流体カートリッジである請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記カードは、積層構造である請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記カードは、成形構造を有する請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記免疫アッセイコンポーネントは、AIDSおよび/またはマラリアをそれぞれ示すCDXXおよび/または病原体アッセイを実行することができ、
前記血液学検査コンポーネントは、血球数測定を実行することができる請求項31に記載のシステム。
【請求項36】
前記カードは、免疫アッセイおよび血液学検査を目的とする、混合、分離、流体力学的集束、濾過、洗浄、予備濃縮、溶解、選別、インキュベート、標識付けなど用のマイクロ流体回路を備える請求項31に記載のシステム。
【請求項1】
ポイントオブケア分析器であって、
携帯型計測装置と、
計測装置内に挿入可能なマイクロ流体カートリッジとを備え、
ただし、
前記計測装置およびカートリッジは、
血液試料を運ぶための流路と、
免疫アッセイのため前記血液試料の成分に付いているマーカーを検出し、同定するための少なくとも1つの蛍光光学的流路と、
前記血液試料の成分の個数および/または特性を判定するための少なくとも1つの散乱光学的流路とを備え、
免疫アッセイで検出されるべき前記血液試料の前記成分は、CD4、CD45、CDX、CDXX、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、さまざまな他の病原体などからなる群の少なくとも1つとすることができるポイントオブケア分析器。
【請求項2】
前記散乱光学的流路は、大角度で前記試料の成分により散乱された光を検出するためのものである請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
前記計測装置およびカートリッジは、さらに、
小角度で前記試料の成分により散乱される光を検出するための第2の散乱光学的流路と、
前方角度で前記試料の成分により散乱される光を検出するための第3の散乱光学的流路とを備える請求項2に記載の分析器。
【請求項4】
前記成分により散乱される光は、前記血液試料の成分の数および/または特性を判定するために使用される請求項3に記載の分析器。
【請求項5】
前記カートリッジは、さらに、
複数のフローセンサーと、
複数の試薬貯蔵容器とを備える請求項1に記載の分析器。
【請求項6】
カートリッジ上でマイクロ流体力学ベースのアッセイを行うための方法であって、
全血の試料をマイクロ流体カートリッジに供給するステップと、
分析器の携帯型計測装置内に配置されているカートリッジ上でマイクロ流体力学ベースのアッセイを実行するステップとを含む方法。
【請求項7】
前記マイクロ流体力学ベースのアッセイを実行するステップは、さらに、
全血試料を前記カートリッジの投入口に供給するステップと、
前記試料の少なくとも一部を溶解するステップと、
使用する前記カートリッジ内のモノクローナル抗体の供給を確定するステップと、
少なくとも1つのインキュベーションステップを実行するステップとを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記試料の量は、25マイクロリットル未満である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロ流体力学ベースのアッセイを実行するステップは、さらに、1つ未満の希釈ステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
モノクローナル抗体の前記供給は、2マイクロリットル未満である請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記アッセイは、1ミリリットル未満の溶解溶液を使用する請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記アッセイは、3つ未満のインキュベーションステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項13】
インキュベーションステップは、ほぼ室温において1分未満の時間の間、実行される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロ流体力学ベースのアッセイの持続時間は、5分未満である請求項6に記載の方法。
【請求項15】
ポイントオブケア分析器であって、
免疫アッセイモジュールと、
血液学モジュールを備え、
前記モジュールの少なくとも一部は、前記分析器の計測装置内に挿入可能なカートリッジに配置されるポイントオブケア分析器。
【請求項16】
前記免疫アッセイモジュールは、第1のマイクロ流体回路を備え、
前記血液学モジュールは、第2のマイクロ流体回路を備え、
前記第1および第2のマイクロ流体回路は、前記カートリッジ内に配置される請求項15に記載の分析器。
【請求項17】
前記免疫アッセイモジュールは、CD4、CD8、CD45、CDX、CDXX、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、TB、さまざまな他の病原体、および/または類似物の存在を判定し、および/または推論するための流路および前記流路に近接する少なくとも1つの蛍光光学的流路を備え、
前記血液学モジュールは、少なくとも完全血球算定を行うための流路および前記流路に近接する少なくとも1つの散乱光学的流路を備える請求項15に記載の分析器。
【請求項18】
前記免疫アッセイモジュールおよび血液学モジュールは、同じ流路を備える請求項17に記載の分析器。
【請求項19】
前記病原体は、AIDS、マラリア、HIV、TBなどに影響を与えうる請求項17に記載の分析器。
【請求項20】
前記免疫アッセイモジュールは、リンパ球および単球に蛍光マーカーまたは蛍光標識を付けることができる請求項15に記載の分析器。
【請求項21】
前記血液学モジュールは、白血球を少なくとも3つのカテゴリに分画することができる請求項17に記載の分析器。
【請求項22】
前記カテゴリは、リンパ球、単球、好中球、好酸球、および好塩基球を含む請求項21に記載の分析器。
【請求項23】
前記血液学モジュールおよび免疫アッセイモジュールは、単一の共通光源を利用する請求項17に記載の分析器。
【請求項24】
前記マイクロ流体回路は、
流体力学的集束流路と、
廃棄物貯蔵容器と、
試薬貯蔵容器(シース、溶解、希釈)と、
抗体貯蔵容器とを備える請求項16に記載の分析器。
【請求項25】
血液分析の方法であって、
血液学検査を実行するステップと、
免疫アッセイを実行するステップとを含み、
前記検査およびアッセイは、単一のマイクロ流体カートリッジにより実行される血液分析の方法。
【請求項26】
前記血液学検査は、
全血の試料を用意するステップと、
完全血球算定を実行するステップとを含み、
前記完全血球算定は、
前記試料の第1の部分を溶解し、その結果として白血球を得るステップと、
前記白血球の第1の部分を流体力学的に集束して流路内に押し通し、光を散乱させるステップと、
前記白血球により散乱された光に応じて前記白血球を複数の種類に分画するステップと、
前記試料の第2の部分を流体力学的に集束して流路内に通し、光を散乱させるステップと、
前記赤血球により散乱された光に応じて前記赤血球を計数するステップと、
前記赤血球により散乱された光からヘマトクリットデータを判定するステップと、
前記試料の第3の部分のヘモグロビン含有量を光吸収により判定するステップとを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記免疫アッセイは、
前記白血球の第2の部分をインキュベートし、蛍光抗体で標識するステップと、
前記白血球に光を当てるステップと、
前記標識された白血球から放射される蛍光を検出するステップと、
前記白血球により散乱された光を検出するステップと、
CDXXおよび/または病原体データを判定するステップとを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
細胞の前記溶解、分画、流体力学的集束、標識付け、および計数は、前記単一のマイクロ流体カートリッジ上で実行可能である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記インキュベートおよびCDXXおよび/または病原体データの判定は、前記単一のマイクロ流体カートリッジ上で実行可能である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
アッセイシステムであって、
カードと、
前記カード内に配置された免疫アッセイコンポーネントとを備えるアッセイ。
【請求項31】
さらに、前記カード内に配置されている血液学検査コンポーネントを備える請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記カードは、プラスチックタイプおよび/またはガラススタイプの材料を含むマイクロ流体カートリッジである請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記カードは、積層構造である請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記カードは、成形構造を有する請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記免疫アッセイコンポーネントは、AIDSおよび/またはマラリアをそれぞれ示すCDXXおよび/または病原体アッセイを実行することができ、
前記血液学検査コンポーネントは、血球数測定を実行することができる請求項31に記載のシステム。
【請求項36】
前記カードは、免疫アッセイおよび血液学検査を目的とする、混合、分離、流体力学的集束、濾過、洗浄、予備濃縮、溶解、選別、インキュベート、標識付けなど用のマイクロ流体回路を備える請求項31に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35a】
【図35b】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35a】
【図35b】
【図36】
【図37】
【図38】
【公表番号】特表2009−522556(P2009−522556A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548875(P2008−548875)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/062756
【国際公開番号】WO2007/076549
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/062756
【国際公開番号】WO2007/076549
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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