マイクロ流体分析用デバイス
本発明は、平面状の基礎面およびカバー面を有する基板を備えるマイクロ流体分析用デバイスであって、少なくとも2つの入口を有する液体収容室(2)が前記基板に統合されており、半透膜または浸透膜(3)が前記室に配置されており、前記室は、前記膜によって、それぞれが少なくとも1つの入口(6、7)を有する2つの区画室(2a、2b)にさらに分割されている、マイクロ流体分析用デバイスに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の基礎面およびカバー面を有する基板を備えているマイクロ流体分析用デバイスに関し、特に、細胞の顕微鏡観察用および分子分析用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞(バクテリア)あるいは分子の微視的な分析は、従来、顕微鏡のスライドガラス、カバーガラス、ペトリ皿、マルチタイタプレート、または細胞培養容器において行われている。さらに、貯蔵器(reservoirs)あるいは導流路(channels)などの液体収容器を備えるキャリアシステムは、先行技術によって知られている。そのようなキャリアシステムは、例えば、特許文献1または特許文献2に開示されている。これらは、光学顕微鏡によって観察可能な導流路の形態にある限定されたガラスシステムまたはプラスチック室である。
【0003】
しかしながら、これらのキャリアシステムは、顕微鏡で観察する粒子が含まれている溶液を充填した後には、溶液の追加以外は、特定の粒子の選択あるいは遊走性の研究などのさらなる実験を行うことができないという欠点がある。そのような実験は、キャリアシステムが充填される前に実行しなければならず、それによって、全体的な試験時間が長くなる一方で、デカンテーションに起因する汚染の危険性を伴う。
【特許文献1】独国特許出願公開第43 34 677号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第201 16 019号明細書
【発明の開示】
【0004】
したがって、本発明の主たる目的は、特定粒子の選択あるいは遊走性試験などの粒子の試験と、その後の顕微鏡観察とを単純かつ正確に行うことのできる、マイクロ流体分析用デバイスを提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。すなわち、本発明によると、平面状の基礎面およびカバー面を有する基板を備えるマイクロ流体分析用デバイスであって、少なくとも2つの入口を有する液体収容室が前記基板に統合され、前記室には、半透膜または浸透膜が配置され、前記室は、前記膜によって、それぞれが少なくとも1つの入口を有する2つの区画室(sectional chambers)にさらに分割される、マイクロ流体分析用デバイスが提供される。
【0006】
半透膜は、片側のみから浸透性を有し、および/または粒子に対して選択的に浸透性を有する膜である。
【0007】
本発明によると、最初に、溶液中の粒子をデバイスに充填することができ、次いで、膜を利用しての分析(例えば、フィルタ分析、濾膜分析、および/または遊走分析)を実行することができ、その後、そのまま顕微鏡分析を実行することができる。
【0008】
フィルタ分析の場合、濾過すべき粒子(例えばバクテリア)よりも1つ以上の孔が小さく、それらの粒子が通過できない浸透膜または多孔性膜を設けることができる。濾膜分析の場合、好ましくは、タンパク質や塩のような、例えば細胞に対しては浸透性がなく、生物分子に対しては浸透性のある半透膜を設けることができる。その場合、区画室を使用して、細胞またはバクテリアの培養および顕微鏡観察を行うことができる。さらに、本発明によるデバイスは、遊走性の研究、特に走化性分析(chemotaxis analyses)に使用することができ、この場合、水平走化性(すなわち浸透膜に対して平行)と垂直走化性(すなわち膜に対して垂直)とが区別される。
【0009】
さらなる有利な発展によると、区画室は、少なくとも部分的に、互いに平行に配置することができる。これは、適切に組み込まれた室、および/または適切に配置された膜によって達成することができる。区画室が平行に延びていることにより、区画室の間の大きな界面が得られ、それによって粒子の交換を促進することができる。
【0010】
好ましくは、区画室は、基板の基礎面に対して平行または垂直な平面内に配置することができる。
【0011】
さらなる有利な発展によると、膜は、少なくとも部分的に基板の基礎面に対して平行または垂直な平面内に配置することができる。したがって、区画室は、結果として、少なくとも部分的に、基板の基礎面に垂直または平行な平面内に配置されている。この配置は、特に、所望の用途に応じて選択することができる。例えば、粒子に対する膜方向への重力効果が望ましい場合には、区画室が上下に重なっている配置(膜が基礎面に対して平行)が有利であり得る。区画室が横に並んだ配置(膜が基礎面に対して垂直)においては、特に、双方の区画室は、顕微鏡から等しく単純に観察することができる。
【0012】
有利な方策として、膜は、可撓性、好ましくは弾性とすることができる。可撓性の(柔軟な)膜では、区画室の形状を変化させることができる。弾性膜では、膜に圧力を印加することによって、区画室の容積を可逆的に変化させることができる。
【0013】
さらなる有利な発展においては、2つの区画室のうちの第1の区画室は、格子を備えることができる。この場合、機械的基準(mechanical reference)としての格子は、検出対象粒子を焦点面に維持する役割を果たすことができる。
【0014】
さらに、流体が第2の区画室から第1の区画室に流れ込む場合、膜を部分的または完全に格子に押し付けることができる。流体の流れにおいて、粒子は液体状または気体状で運ばれる。さらに、格子は、膜の面を流体の流れの中に維持する役割、または膜のずれもしくは破れを防止する役割を果たす。ここで、たとえ流体の流れの後ろで空気が押されても、薄い流体膜(fluid film)は、格子と膜との間に残ることができるので、この流体膜は、膜と格子とを一緒に保持する。格子の網目サイズは、フィルタ処理時に、膜が読出装置の焦点深度よりも深く網目内に押し込まれないように選択されることが好ましい。また、ホールの径は、フィルタ処理時に、膜が読出装置の焦点深度よりも深くホール内に押し込まれないように選択されることが好ましい。
【0015】
フィルタとして機能する膜の表面は、連続的に滑らか、少なくとも部分的に多孔性、および/または少なくとも部分的に浸透性である。
【0016】
さらに、膜は、第1の区画室と第2の区画室との間に固定して設けることができる。
【0017】
これは、張力がかかった状態で膜を接着剤で接着することによって可能にすることができる。しかしながら、この処理においては、強く硬化する接着剤を使用したときにフィルタ膜が破れるという問題が生じうる。これは、特に、自身または周囲の構造を膨張させ、または収縮させる溶剤に膜が接触すると起こる。この問題は、シリコンなどの、例えば60以下の低いショア硬度を有する弾性ポリマを使用して、動かないように、すなわち合着状態で取付けることによって解決することができる。それを目的として、好ましくは膜の端部が押しつけられる溝の中に、一列のシリコンを配置することができる。これに代えて、固定処理の間に膜が少なくとも部分的に締め付けられるように膜を固定するために、柔軟なポリマ構造体を使用することもできる。
【0018】
さらに、膜が破れる危険性は、流体が膜を通じて格子の方に第2の区画室から第1の区画室に流れ込むフィルタ処理の間において、膜が格子に支持されることによっても低減することができる。この場合、流体圧力が加えられないときの格子と膜との間の距離として、一定の小さな距離が定義される。
【0019】
これに代えて、膜を第1の区画室と第2の区画室との間に固定せずに配置することができる。
【0020】
この場合、膜を部分的にまたは完全に流体の流れの中に位置させる手段を設けることが有効となりうる。このプロセスにおいて、膜が格子に押しつけられる前に、流体の流れは、膜に対して略垂直に当たる。
【0021】
膜を位置させる手段は、第2の区画室の入口から第1の区画室に流れ込む流体が膜の下に(すなわち第2の区画室の基礎面から)入り、それによって膜を格子に押し付けるようにする。
【0022】
これは、例えば、第2の区画室の入口と格子との間に位置し、その中に膜の端部が少なくとも部分的に嵌め込まれる溝によって達成することができる。代替的には、これは、切欠や突出などによって達成することもできる。
【0023】
さらなる有利な実施形態においては、膜は、例えば流体が第1の区画室から第2の区画室に流れ込む場合における力によって、基板の基礎面/第2の区画室に対して部分的にまたは完全に押し付けられるように、配置されることができる。ここでは、基礎面は、薄片、好ましくはプラスチック薄片によって構成することができる。
【0024】
このことは、例えば、検出する粒子が含まれた流体が第2の室から流れることによって膜が格子に押し付けられ、次いで、第1の区画室の入口から第2の区画室の方向への格子を通じた短い逆流(液体の流れ、短い気体の押圧力(thrust)など)によって、濾過膜が第2の区画室の基礎面に押し付けられた場合に達成されうる。最初に、膜は、逆流圧によって基礎面の方に膨張し、場合によっては(膜の中心において)部分的に基礎面に接触する。なぜなら、膜は、その端部を、例えば溝の中に依然として嵌め込んでいるからである。逆流によってさらなる圧力が印加されると、この端部も溝から離れ、膜は、(その端部も含めた)平面状の基礎面に対して完全に密着する。一般的には、この場合にも、薄い流体膜は、膜と基礎面との間に残りうる。
【0025】
代替的には、流れる流体の代わりに、磁気力あるいは磁気スタンプが、膜を基礎面に押し付けることもできる。
【0026】
このデバイスは、膜によって濾過された粒子が、基礎面(好ましくはプラスチック薄片)と膜との間に略静止状態で囲まれるという利点を有する。これは、これらの粒子が、通常の機械的な負荷によっては、もはや除去され得ないことを意味する。さらに、読出装置は、基礎面を基準面として、すなわち膜に対するスペーサとして使用することができる。この場合、予め設定される焦点は、基礎面の厚さのみによって設定される。
【0027】
通常、強い発光性の粒子(例えば蛍光ビーズ)の場合、開口数が0.5未満である対物レンズ、またはこれと類似した特性を有する光学装置を使用することができる。したがって、被写界深度は、約10〜200μmの範囲内である。弱い発光性の粒子の場合には、一般には開口数が最大1.4までの対物レンズが使用される。したがって、最大0.5〜10μmの被写界深度の層厚を観察することができる。したがって、膜には特定の滑らかさが要求され、検出する対象物すべてがこの焦点範囲内にある必要がある。
【0028】
さらなる有利な発展形態においては、膜は、室の底部と少なくとも部分的に結合することができる。例えば、膜は、超音波結合によって接着または結合することができる。
【0029】
さらに、膜が取付けられるときに膜を固定する位置決め手段を、基板上に設けることができる。
【0030】
好ましくは、膜の少なくとも一部は、室の内壁、特に室の底部に平面的に密着するように、分離可能に配置することができる。膜が室の内壁に密着するならば、顕微鏡からその内壁を通じて単純かつ直接的に膜を観察することができる。例えば、試験の開始時には膜が壁に密着していることができ、分析対象粒子が含まれている液体が内壁と膜との間に送られると、膜は内壁から分離される。液体および/または粒子の一部は膜を通過し、その他の部分は膜、例えば孔の上に積層される。液体によって膜にかかる圧力が下がると、膜は、その配置および/または弾性に起因して、再び室の内壁に密着する。これにより、粒子が分布した膜の表面を、顕微鏡によって分析することができる。
【0031】
上述したデバイスのさらなる発展形態によると、膜は、少なくとも1つの孔を有することができ、各孔は、所定の部分的な領域においては、1nm〜20μm、好ましくは0.5μm〜20μmの範囲の孔径を有することができる。この部分的な領域は、具体的には、上述した領域全体、またはこの領域からの特定の値のみを含みうる。
【0032】
膜の粒子選択性、および/または膜を通じた流れは、孔径または孔径の分布に基づいて制御することができる。
【0033】
具体的な実施形態においては、これらの孔は、互いに規定の距離に配置することができる。孔間距離は、5μm〜2cmの間とすることができる。好ましい実施形態においては、孔のパターンは、あらゆる公知の2次元結晶構造をとることができる。分析容器における孔の数は、最大で50,000個とすることができる。分析容器は、一般には、5μm2〜5cm2の間のサイズを有することができる。好ましい実施形態においては、1つのキャリアには1個〜8192個の容器が収容される。
【0034】
これらの孔は、規定のパターンを形成しうる。代表的な実験においては、走化的に活性化可能な細胞(chemotactically activatable cell)が、孔が規則正しく配置されている膜の上に配置され、ケモタキシンが孔を通じて拡散してこれらの細胞と接触しない限りは、これらの細胞は膜の表面上に均一に分布する。
【0035】
ケモタキシンが孔を通じて拡散すると、細胞は最も近い孔の方に動き始める。一定時間の後、すべての細胞がそれぞれの孔に集まっている。
【0036】
ケモタキシンが作用する前における細胞が均一に分布した状態と、ケモタキシンを追加した後における細胞が孔の周囲に集まった状態との間の差異は、フーリエ解析によって定量化することができる。細胞の均一分布は、フーリエ空間における直線として現れる。孔の周囲における細胞の周期的な配置は、孔の距離に対応するフーリエ空間における値で、「デルタ関数に似た」関数として現れる。この方法は、特に、すべての孔を通じて濃度の等しい同じケモタキシンが拡散する場合に適している。特に、直線からデルタ関数への遷移が時間の関数として解析されるならば、細胞の動きに関する定量的データおよび時間分解データを得ることができる。また、この方法では、多数の細胞の挙動を、単純かつ迅速に平均化することができる(統計能力の向上)。さらなる発展形態においては、光学的に見える孔を、フーリエ空間における尺度基準として使用することができる。
【0037】
別のさらなる発展形態においては、さまざまなケモタキシンを、孔を通じて拡散させることができるので、有効性を直接的に比較することができる。同様に、遊走速度のより正確な分析データを得る目的で、同一のケモタキシンをさまざまな濃度において使用することができる。
【0038】
別のさらなる発展形態においては、さまざまな貯蔵器にさまざまな孔の配列を収容することができる。
【0039】
貯蔵器が導流路として設計されている場合、その導流路に液体を閉じ込めることができる。液体は、その表面張力により、たとえ導流路が曲がっている場合であっても、導流路から外へは出ない。このため、導流路は、それぞれの排出口まで液体によって完全に充填される。一般には、導流路の高さは10μm〜1cmであり、幅は10μm〜5cmである。長さは、100μm〜30cmとすることができる。
【0040】
さらなる発展形態においては、孔のパターンは、あらゆる公知の2次元結晶構造をとることができる。分析容器における孔の数は、少なくとも2個から、最大50,000個までの間とすることができる。分析容器のサイズは、一般には、5μm2〜5cm2とすることができる。好ましい実施形態においては、1つのキャリアには1個〜8192個の容器が収容される。
【0041】
これらの孔は、不規則なパターンを形成することもできる。時間の関数としての細胞の分布、すなわち細胞の動きを分析する目的で、ホールのイメージと「走化性を有する」細胞のイメージとの間の相関関数を使用することができる。これらのホールは、例えば、中性子衝撃とその後のエッチングとによって形成することができる。
【0042】
好ましくは、上述したデバイスの膜は、光学的に高品質の材料を含むことができる。光学的に高品質の材料(すなわち、複屈折もしくは自己蛍光性がない、または複屈折もしくは自己蛍光性がCOCもしくはCOPのそれ以下である)を使用すると、特に膜の両側において、向上した環境下で光学分析を行うことができる。
【0043】
さらなる有利な発展形態によると、室は、少なくとも4つの入口を有し、膜によって、それぞれが少なくとも2つの入口を有する2つの区画室にさらに分割することができる。したがって、各区画室は、他の区画室から独立して流体処理を行うことができる。すなわち、室のそれぞれが独自の注入口および排出口を有する。
【0044】
さらに、室を均一に充填するために、入口のうちの少なくとも1つは、室を環状に囲むことができる。
【0045】
有利な方策として、膜および/または1つの室壁は、表面機能化(surface functionalization)を有することができる。これにより、個々の領域において、細胞の成長または粒子の接着などの特定のプロセスを促進することができる。膜または室壁の複数の異なる領域は、複数の異なる表面機能化を有することができる。
【0046】
好ましくは、表面機能化は、コーティング、特に、1つの高分子電解質膜、1つの接着因子、1つの官能基、1つの脂質膜、1つの細胞層、および/または1つの阻止分子のうちの少なくとも1つによるコーティングを含みうる。
【0047】
高分子電解質膜は、PAA(ポリアクリル酸)、PEI(ポリエチレンイミド(polyethylene diimide))、および/またはPSS(ポリスチレンスルホン酸)を含みうる。生体分子は、タンパク質またはDNAを含みうり、接着因子は、RGDペプチドを含みうる。官能基は、COOHまたはNH2を含みうり、阻止分子は、BSA、ゼラチン、またはDNAを含みうる。
【0048】
好ましくは、上述したデバイスの基板は、プラスチック、特に、光学的に高品質なおよび/または光学的に非透過的なプラスチックを含みうる。光学的に高品質な(すなわち複屈折あるいは自己蛍光性がない)プラスチックは、例えば蛍光分析における基板の干渉の影響を減少する。光学的に非透過的な材料を使用することにより、外側からの望ましくない入射光に起因する干渉を回避することができる。
【0049】
好ましくは、基板は、その基礎面に室のための凹部が設けられるカバー要素を備えることができる。特に、この凹部は、穴(dig)の形態に設計することができる。これにより、基板を単純に製造することができる。
【0050】
カバー要素は、カバープレートとすることができる。この場合、カバー要素は、1つの部品であり、容易に製造することができる。
【0051】
代替的には、カバー要素は、室のための開口が設けられている中間プレート、およびこの中間プレートの片側において開口を覆うために設けられているカバープレートとすることができる。この場合、カバー要素は、2枚のプレート、すなわち中間プレートとカバープレートとを備えている。カバープレートは、中間プレートに面している側にレシーバを備えていることができる。したがって、室の形状は、カバープレートにおける凹部と開口の形状とによって決定される。これに代えて、カバープレートに凹部を持たせずに、カバー要素の凹部全体が開口によって決定されるようにすることができる。
【0052】
中間プレートは、プラスチック薄片、特に、1μm〜1mmの厚さを有するプラスチック薄片とすることができる。
【0053】
好ましくは、膜は、カバープレートと中間プレートとの間に配置することができる。この方式においては、例えば、膜をカバープレートと中間プレートとの間に固定することによって、および/または、膜をこれら2枚のプレートの少なくとも1枚に接着あるいは超音波ボンディングなどにより結合することによって、極めて容易に膜を基板に結合することができる。カバープレート自体もレシーバを有する場合には、ある1つの区画室は、カバープレートにおけるレシーバによって形成され、中間プレートにおける開口によって形成されている他方の区画室から、膜(仕切り)によって隔てられる。
【0054】
さらなる有利な発展形態によると、基板は、凹部を覆うためのカバー要素を備えていることができる。このカバー要素は、中間プレートとともに、または中間プレートなしで、凹部によって形成される室の残りの壁を形成する。
【0055】
有利な方策として、カバー要素は、プラスチック薄片、特に、光学的に高品質な、および/または50μm〜1mmの厚さを有するプラスチック薄片とすることができる。プラスチック薄片は、カバー要素に容易に結合することができる一方、薄片を使用することによって、カバー要素を極めて小さい厚さにすることができる。したがって、顕微鏡分析の品質を向上することができる。
【0056】
好ましくは、入口は、基板のカバー要素のカバー面に端部を有することができる。これにより、室または区画室のそれぞれに、上方から液体を追加することができる。
【0057】
さらなる有利な発展形態によると、基板のカバー要素に配置され、かつ入口の端部を有する、少なくとも1つの液体貯蔵器をさらに設けることができる。そのような液体貯蔵器は、比較的多量の液体を室の中に送り込む役割を果たすことができる。あるいは、液体貯蔵器は、排出口に配置されている場合、オーバーフロー域としての役割を果たすことができる。
【0058】
好ましくは、少なくとも1つの液体貯蔵器は、プラスチック、好ましくは入口孔の領域におけるカバー要素と同じプラスチックから作製することができる。さらなる好ましい発展形態によると、液体貯蔵器およびカバー要素は、入口孔の領域に1つの部品として形成することができる。このことは、貯蔵器が、カバー要素に例えば接着されたり、ねじによって固定されたりしないことを意味する。この方式においては、貯蔵器とカバー要素との間の固定を省くことができ、汚染の危険性が減少する。
【0059】
好ましくは、その1つの部品は、成形部品とすることができる。これによって、基板を単純に製造することができる。
【0060】
好ましくは、基板は、顕微鏡のスライドまたはマルチタイタとして設計することができる。
【0061】
上述したデバイスのすべては、基礎面および/またはカバー面、および/または膜が、、自己蛍光性がCOC(環状オレフィン・コポリマ)またはCOP(環状オレフィン・ポリマ)以下の自己蛍光性を有する光学的に高品質な材料から構成される効果が達成されるように、さらに改良することができる。
【0062】
好ましくは、カバー面および/または基礎面は、プラスチック薄片によって構成することができる。
【0063】
この場合、基礎面またはカバー面も、光学的に高品質な材料によって構成することができる。「光学的に高品質」とは、基礎面が光学的に透過的である、COCもしくはCOP以下の自己蛍光性を有する、複屈折がない、または紫外線光下において透過的であることを意味する。
【0064】
自己蛍光性を調べる目的で、Zeiss社のAxivert S 100と、Zeiss社のHBO 50ランプおよび40倍対物レンズPlan Neofluar(NA=0.75)と、Zeiss社のFiltersatz 09(励起450〜490nm、放射515〜565nm)とを使用して、薄暗い部屋において室温にて測定を行った。関連する調整のすべて、特にHBOランプの調整と、ランプの視野絞りの位置の調整は、測定中変更しなかった。
【0065】
測定範囲は219×173μmであった。IPLab(Scanalytics社)というソフトウェアを使用し、2×2ビンニング/500msにおいて照射を行い、Princeton Instruments社(テキサス州オースチン)の5MHzのカメラMicroMax(5MHz)において、200のオフセットを調整した。
【0066】
150μm〜200μmの厚さの材料を使用して、プレパラートの中心に焦点を合わせた。
【0067】
この調整により、厚さ170μm±5μmのガラス(Menzelガラス25×75mm)を用いて、中間ピクセル値64±3が求められた。
【0068】
COCを使用する場合の薄片の厚さは190μm±5μmであり、中間ピクセル値97±5が求められた。COPを使用する場合にも薄片の厚さは190μm±5μmであり、中間ピクセル値107±6が求められた。これらの条件下において、特に、使用されたフィルタの場合に、自己蛍光性が120未満である値のすべては「低い自己蛍光性」と評価する。
【0069】
励起波長が529nmであるフィルタセットを使用したとき、この構造においては、ガラス、COC、およびCOPの間で重大な差異は見られなかった。
【0070】
以下では、本発明のさらなる特徴および利点について、例および図を参照しながら説明する。
【0071】
図1には、マイクロ流体分析用デバイスの分解図が示されている。このデバイスは基板を備えており、基板は、カバープレート1と中間プレート4とを有するカバー要素を備えている。カバープレートの基礎面には凹部2aが設けられており、凹部の入口(図示せず)のそれぞれは、液体貯蔵器7に端部を有している。中間プレート4は、開口2bを有している。この開口は、カバープレートの凹部2aの下部に位置する一方で、カバー要素1のカバー面における開口6に端部を有する入口を持つように設計されている。
【0072】
さらに、この基板は、特に薄片として設計することのできるカバー要素5を備えている。中間プレート4も、プラスチック薄片として設計することができる。図1においては、カバープレート1と中間プレート4との間に膜3が配置されている。これにより、カバープレート1と、中間プレート4と、カバー要素5とを結合し、あるいは接続すると、膜3によって隔てられている2つの区画室が形成される。このプロセスにおいて、これら2つの区画室は、それぞれ、凹部2aおよび開口2bと、この間に配置されている膜3とによって形成される。したがって、区画室より下の部分も、それぞれ2a,2bとして表される。
【0073】
この場合、膜は、カバープレート1と中間プレート4との間に容易に固定し、またはこれらのプレートの一方もしくは両方に、例えば接着もしくは超音波ボンディングによって結合することができる。
【0074】
例えば、Whatman社製のCyclopor Track Etched Membranes、あるいはMillipore社製のフィルタ膜を使用することができる。
【0075】
すなわち、結果としてのマイクロ流体分析用デバイスは、凹部2aと開口2bとによって形成されている室を備えており、この室は、膜3によって導流路の形態における2つの区画室にさらに分割されている。2つの区画室のそれぞれは、独自の注入口および排出口を有する。
【0076】
本発明によるデバイス、特に図1に示したデバイスは、特に、濾膜実験に使用することができる。図1に示したデバイスの場合、区画室2aが濾膜導流路、区画室2bが観察導流路であり、これらの区画室は半透膜3によって隔てられている。下側の観察導流路2bには、例えば、開口6のうちの1つを通じて懸濁培地を充填することができ、上側の導流路2aには、貯蔵器7を通じて充填することができる。その場合、細胞に対しては不浸透性であり、タンパク質や塩などの生体分子に対しては浸透性である膜が選択される。
【0077】
図示した配置によって、半透膜を通じた交換を、拡散または環流によって支配することができる。2つの区画室の間の接触面が大きいほど、交換が迅速に行われる。
【0078】
図示した実施形態においては、2つの区画室が互いに平行に延びており、かつ基礎面に垂直な平面内に存在しているが、これに代えて、基礎面に平行な平面において互いに隣り合うように区画室を配置することもできる。
【0079】
1つの可能な用途においては、接着性の細胞を、一定の結合部位における特定の相互作用によって細胞が接着される表面(壁)に接着する。所定濃度の抗体を含む溶液を、濾膜3を通じて流し込む。抗体としては、細胞の結合部位に特質的に結合する抗体が選択される。抗体は、壁に固定化されている結合部位について細胞の細胞外結合分子と競い、抗体の濃度が十分である場合、結果的に細胞が分離される。従来の細胞培養容器あるいは顕微鏡キャリアとは対照的に、細胞が再び表面に接着できるようになるまで、濾膜を介して抗体を希釈することができる。これによって、例えば、細胞基質の相互作用による細胞間の接着の可逆性について調べることができる。
【0080】
さらなる用途においては、懸濁培地中の細胞を分析することができる。懸濁培地中の細胞は、一般的には、遠心分離の後、上澄みを除去し、緩衝液または栄養液の成分を純粋な形で再懸濁させることによって得られる。有効な純化を行うには、しばしばこれらの操作を何度か繰り返す必要がある。
【0081】
図示したデバイスを使用することによって、懸濁培地中の細胞を特定の物質に接触させ、あるいは特定の物質から細胞用培地(cell medium)を解放することが可能である。例えば、懸濁培地中の細胞には、濾膜導流路2aにおいて成長する細胞用培地によって生成される観察導流路2b内の物質を供給することができ、これら2つの細胞培地は混ざらない。この技術は、例えば、体外培養を良好に行う目的で、成長の悪い細胞にいわゆる栄養細胞(feed cell)が必要とされる場合に使用することができる。この栄養細胞は、例えば実際の実験との交差反応を低減する目的で、双方の区画室における独立した流体操作による任意のタイミングにおいて、再び除去および追加することができる。
【0082】
さらなる用途においては、図1に示したデバイスは、敗血症のモデルシステムを形成する目的で使用することができる。このプロセスにおいては、ヒトの細胞培地を観察導流路において培養し、バクテリア培地を濾膜導流路2aにおいて培養する。ヒトの細胞の働きは、バクテリアによって抑制される(poisoned)。図示したデバイスを使用すると、特定のバクテリア密度においてヒトの細胞を生存させておくことのできる薬剤を分析することができる。
【0083】
上述した用途に加えて、遊走研究用デバイス、特に走化性分析用デバイスにおいて、この膜を使用することができる。走化性においては、細胞は化学物質の濃度勾配に沿って移動する。ここで、水平走化性(膜に対して平行)と垂直走化性(膜に対して垂直)とを区別することができる。
【0084】
水平走化性においては、細胞は、区画室に入り、膜の表面に接着する。他方の区画室には、特定の化学物質(例えば、C−AMP)を含む溶液が充填される。この溶液は、膜の孔を通じて、第2の区画室から第1の区画室に拡散し、孔の周囲には、放射状の濃度勾配が形成される。また、その濃度勾配の下に位置している細胞の反応を分析することができる。この実験の場合、膜は、所定の孔径および所定のホール間距離を有する1つ以上の孔を有することが好ましい。
【0085】
そのような走化性分析の場合、膜は、1nm〜30μmのサイズを有する1つの孔またはホールのみを有することができる。この場合、膜の片側(例えば、膜の下側)には、保持培地(holding medium)において細胞を供給することができる。例えば、細胞を寒天またはアガロースに埋め込むことができる。寒天またはアガロースの代わりに、他の保持培地を使用することもできる。保持培地は、特に、細胞力学の光学分析性を向上させる役割を果たす。膜の反対側(例えば、膜の上側)には、同じく保持培地に埋め込まれている分子(ケモタキシン)を供給することができる。このため、分析において圧力制御機能を備えたマイクロピペットを使用する必要がない。なぜなら、ケモタキシンがホールを通じて拡散するならば、ケモタキシンの濃度は、保持培地の容積に依存して一定であるためである。ケモタキシンがホールを通じて膜の第1の側から膜の第2の側に拡散することによって、膜の第2の側に、空間的および時間的に定義される濃度勾配が形成される。したがって、第2の側に埋め込まれている細胞が濃度勾配に反応するか否か、およびどのように反応するかを分析することができる。膜は、空気を透過させることが好ましい。
【0086】
図2aおよび図2bには、対応するデバイスの可能な例を示してある。この試験においては、基本的に流室(flow chamber)を使用する必要はない。図2aには、対応する構造を分解図として示してある。基部プレート15の上には、細胞の保持培地(例えば、アガロース)によって濡れている領域が形成されている。この領域には、分析対象である細胞が存在している。1つのホール18のみを有する膜17は、この領域を、ケモタキシンが含まれている保持培地19から隔てている。図2bは、組み立て後の分析キャリアを示している。
【0087】
しかしながら、そのような保持培地は、本発明によるデバイスに供給することもできる。この目的のために、膜によって隔てられている区画室のそれぞれに保持培地を供給することができる。例えば、膜は、図1に示した例と同じように、基板に配置されている2つの導流路の上側および下側を表すことができる。これに代えて、ホールを有する膜によって隔てられているいくつかの、一般には2〜96個の貯蔵器を、キャリア上の小さなポット(pot)として、またはキャリア内の導流路によって提供することができる。
【0088】
垂直走化性に関しては、膜を通じた化学物質の濃度勾配における細胞の遊走性が分析される。代表的な用途においては、例えば、均質な細胞層(細胞タイプA)を、多孔性膜の上で培養することができる。濃度勾配を生成する(他方の区画室に溶媒を充填する)ことによって、細胞層を通じた別の細胞タイプ(細胞タイプB)の遊走性を分析することができる。
【0089】
第2の区画室における細胞タイプBの濃度は、例えば蛍光技術によって検出することができる。さらには、特定の時間後に、第2の導流路の中の溶液を採取することができ、細胞タイプBの濃度を求めることができる。したがって、さまざまな物質および細胞層の濃度に応答する、さまざまな細胞層を通じた白血球の遊走性を分析することができる。この場合、孔径は、0.5〜20μmであることが好ましい。
【0090】
図3には、マイクロ流体分析用デバイスの別の例を分解図として示してある。この場合、基板は、カバー要素としての役割を果たすカバープレート8および底部薄片9を備えている。カバープレート8には、室を形成する凹部2aが設けられている。
【0091】
図示した例においては、室は、2つの入口のみを有している。そのうちの一方は、カバープレートに配置されている液体貯蔵器7に端部を有し、他方は排出開口13に端部を有する。
【0092】
さらに、領域10aにおいて薄片9に接着され、かつ領域10bにおいてカバープレート8に接着されるように、膜3が設けられている。図から明らかであるように、膜3は、カバープレート8にはその端部全体に沿って接着されている一方、薄片9には、貯蔵器7の側面においては接着されていない。このことは、貯蔵器7を通じて入る液体は、排出開口13に達する前に膜3を通過しなければならないことを意味している。
【0093】
貯蔵器7を介して室に液体が充填されていない限りは、膜は、接着されている領域の間で薄片に平面的に密着している。
【0094】
膜3は、室をさらに2つの区画室に分割しており、第1の区画室は入口の側に位置しており、第2の区画室は排出口の側に位置している。膜は、カバープレート8に結合されている。これにより、液体貯蔵器7を介して充填される液体の全体は、区画室2aを経て排出口13に達するために、膜を通じて流れなければならない。貯蔵器7を介した充填によって、膜には底部からの圧力がかかり、底部薄片9から分離されて上方に押される。したがって、膜は弾性であることが好ましい。このことは、図3bには側面図として、図3cには3次元図として示してある。
【0095】
示した図においては、分析対象溶液は、膜を通じて濾過される前は12aとして、濾過された後は12bとして表してある。
【0096】
例えば、溶液中のバクテリアが膜3を通過できない場合、これらのバクテリアは膜の領域14に集まる。濾過された溶液は、排出口13から出ることができる。液体が流れた後、膜3は、再び底部薄片9を覆い、下方から顕微鏡によって分析することができる。バクテリアは、例えばFISH(fluorescence in situ hybridisation)法によって着色することができる。
【0097】
図4a〜図4dには、マイクロ流体分析用デバイスを分解図として示しており、デバイスにおいて膜を組み立てる方法を示している。このデバイスは、いずれもプラスチック薄片の形態であるカバープレート21および基礎面25と、溝を形成するためのリング22とを備えており、溝には、位置決め手段24によって膜23の側端部が組み込まれる。膜とカバープレートとの間には、格子26が配置される。さらに、室が均一に充填されるようにする環状入口27と、第2の区画室の注入口28と、第1の区画室の排出口29とを示してある。
【0098】
図5a〜図5dには、図4のデバイスの側面図を示してある。
【0099】
図5aは、格子の下部に配置されたリング22によって形成されている溝における、膜23の側端部を示している。第1の区画室の排出口29は上部に位置しており、第2の区画室の注入口28は、環状導流路27の形態において底部に位置している。
【0100】
図5bにおいて、流体は、注入口28から矢印の方向に膜23の底面に流れ、膜を格子26に押し付ける。この瞬間、分析対象粒子は、膜の底面に位置しているが、残りの流体は、膜および格子を通じて排出口29の方に流れる。
【0101】
図5cは逆流を示しており、流体は、排出口29から格子26を通じて膜23に当たる。この圧力によって、膜は基礎面25の方に下向きに膨張するが、溝の中におけるその端部によって依然として固定されている。
【0102】
図5dにおいては、短い逆流によって、図5cの膜23は、基礎面25にすでに完全に密着している。したがって、この時点で、逆流する流体は、膜の端部を通って注入口28を流れることができる。
【0103】
図5dにおいて説明したように、膜23が基礎面25に平面的に完全に密着すると、濾過された粒子が付着している膜の底面を、高解像度、好ましくは0.5〜200μmの範囲の被写界深度にて顕微鏡観察することができる。
【0104】
分析対象の液体が血液、懸濁液(slurry)およびその他の試料であり、バクテリアを他の固体成分から分離しなくてはならない場合、バクテリアが膜の表面に接着するように、膜の表面に変化を起こさせ、または表面機能化することができる。しかしながら、底部の区画室に、閉じることができる追加の排出開口を設けることが好ましい。他の固体成分を除去する目的で、この排出開口を通じて下側の導流路に液体を通すことができる。
【0105】
本発明によるデバイスの膜は、液体を高速に流すことのできる大きな表面を有することが好ましい。しかしながら、その場合、顕微鏡で観察する膜の領域(分析表面)も比較的大きくなる。このため、本発明によるデバイス、特に図中に例示したデバイスは、さらなる室を備えることができる。その場合、上述したような分析対象粒子は、第1の膜において濾過され、その後、反対方向の流れが生じる逆流プロセスによって、さらなるフィルタ(分析フィルタ)に集められる。このフィルタは、より小さい表面を有することが好ましく、したがって、より容易に顕微鏡によって観察することができる。
【0106】
好ましくは、さらなる室は、閉じることのできる開口によって(例えば、弁によって)、対応する区画室に結合されている。したがって、この閉じることのできる開口が(例えば逆流プロセスによって所定の圧力を弁に印加することによって)開いた後にのみ、実際の分析対象粒子のみを含む液体が、そのさらなる室に流れ込む。次いで、これらのバクテリアは、追加の分析膜において濾過され、そこで顕微鏡によって分析することができる。代替的には、分析膜は、注入開口を閉じることのできる蓋に一体化することができる。
【0107】
図1に示したように、1つの区画室について2つの入口を備えている実施形態においては、1つの区画室への液体の注入を、2つの入口によって同時に行うことができる。この場合、濾過された粒子は、主として、膜のうち2つの入口の間の中央に位置する領域に集まる。この地点において、その粒子を分析することができる。
【0108】
さまざまな用途向けに、膜の表面、および/または室を表面機能化することができる。例えば、膜の上における、または内部室の側面もしくは壁の1つにおける細胞増殖を、それぞれの表面を相応に処理することによって高めることができる。特に、一般には5nm〜100nmの範囲の厚さを有する高分子電解質膜によるコーティングを施すことができる。このコーティングは、PAA、PEI、PSSなどのさまざまな高分子電解質膜で構成することができる。特に、基層のそれぞれをこれらの材料の1つによって構成することができる。タンパク質あるいはDNAなどの生体分子を、これらの層の上に直接的に適用することができる。そのような非共有結合は、導流路内を流体が流れるときであっても安定である。
【0109】
分子または細胞に固有な、または固有ではない接着因子(例えば、RGDペプチド)を、層構造、特に最後に形成される層に適用することもできる。最後に形成される層は、COOHあるいはNH2などの官能基を含みうる。これらを使用して、生体分子を共有結合的に結合させる(covalently coupling)ことができる。
【0110】
最も上の高分子電解質層に生体分子を結合させた後、非特異的結合(unspecific bond)を阻止するためのさらなる層を形成することができる。この層は、BSAやゼラチン、DNAなどのさらなる高分子電解質層、脂質膜あるいは阻止分子とすることができる。適用された生体分子は、その結合能力を維持するはずである。
【0111】
さらに、構造化された高分子電解質層を設けることもできる。これは、例えば、高分子電解質層にスポッティング(spotting)を行うことによって、室または膜の特定の領域において生体分子または細胞を結合可能にすることによって行うことができる。
【0112】
さらに、さまざまな領域あるいは異なる区画室を、異なる高分子電解質層と組み合わせて使用することができる。
【0113】
その場合、コーティングは、例えば、高分子電解質を中性pHにおいて水溶液に溶かす(約0.1mg/ml〜10mg/ml)ことによって実施することができる。次いで、この溶液を室に流し込み、室温にて所定時間(例えば、10分〜2時間)だけ放置する(incubated)。このようにして、1〜20の層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】カバープレートと中間プレートとを有する基板を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図2a】走化性のあるデバイスの一例を示す図
【図2b】走化性のあるデバイスの一例を示す図
【図3a】室の底部に平面的に密着するように分離可能に配置されているカバープレートおよび膜を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図3b】図3aのデバイスの横断面図
【図3c】図3aおよび図3bによるデバイスにおける方法を示す図
【図4a】格子および膜の集合体を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図4b】格子および膜の集合体を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図4c】格子および膜の集合体を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図4d】格子および膜の集合体を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図5a】図4のデバイスの側面図
【図5b】図4のデバイスの側面図における第2の区画室から第1の区画室の方への流体の流れを示す図
【図5c】図4のデバイスの側面図における第1の区画室から第2の区画室の方への流体の逆流を示す図
【図5d】図4のデバイスの側面図において第2の区画室の基礎面に平面的に密着した逆流後の膜を示す図
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の基礎面およびカバー面を有する基板を備えているマイクロ流体分析用デバイスに関し、特に、細胞の顕微鏡観察用および分子分析用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞(バクテリア)あるいは分子の微視的な分析は、従来、顕微鏡のスライドガラス、カバーガラス、ペトリ皿、マルチタイタプレート、または細胞培養容器において行われている。さらに、貯蔵器(reservoirs)あるいは導流路(channels)などの液体収容器を備えるキャリアシステムは、先行技術によって知られている。そのようなキャリアシステムは、例えば、特許文献1または特許文献2に開示されている。これらは、光学顕微鏡によって観察可能な導流路の形態にある限定されたガラスシステムまたはプラスチック室である。
【0003】
しかしながら、これらのキャリアシステムは、顕微鏡で観察する粒子が含まれている溶液を充填した後には、溶液の追加以外は、特定の粒子の選択あるいは遊走性の研究などのさらなる実験を行うことができないという欠点がある。そのような実験は、キャリアシステムが充填される前に実行しなければならず、それによって、全体的な試験時間が長くなる一方で、デカンテーションに起因する汚染の危険性を伴う。
【特許文献1】独国特許出願公開第43 34 677号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第201 16 019号明細書
【発明の開示】
【0004】
したがって、本発明の主たる目的は、特定粒子の選択あるいは遊走性試験などの粒子の試験と、その後の顕微鏡観察とを単純かつ正確に行うことのできる、マイクロ流体分析用デバイスを提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。すなわち、本発明によると、平面状の基礎面およびカバー面を有する基板を備えるマイクロ流体分析用デバイスであって、少なくとも2つの入口を有する液体収容室が前記基板に統合され、前記室には、半透膜または浸透膜が配置され、前記室は、前記膜によって、それぞれが少なくとも1つの入口を有する2つの区画室(sectional chambers)にさらに分割される、マイクロ流体分析用デバイスが提供される。
【0006】
半透膜は、片側のみから浸透性を有し、および/または粒子に対して選択的に浸透性を有する膜である。
【0007】
本発明によると、最初に、溶液中の粒子をデバイスに充填することができ、次いで、膜を利用しての分析(例えば、フィルタ分析、濾膜分析、および/または遊走分析)を実行することができ、その後、そのまま顕微鏡分析を実行することができる。
【0008】
フィルタ分析の場合、濾過すべき粒子(例えばバクテリア)よりも1つ以上の孔が小さく、それらの粒子が通過できない浸透膜または多孔性膜を設けることができる。濾膜分析の場合、好ましくは、タンパク質や塩のような、例えば細胞に対しては浸透性がなく、生物分子に対しては浸透性のある半透膜を設けることができる。その場合、区画室を使用して、細胞またはバクテリアの培養および顕微鏡観察を行うことができる。さらに、本発明によるデバイスは、遊走性の研究、特に走化性分析(chemotaxis analyses)に使用することができ、この場合、水平走化性(すなわち浸透膜に対して平行)と垂直走化性(すなわち膜に対して垂直)とが区別される。
【0009】
さらなる有利な発展によると、区画室は、少なくとも部分的に、互いに平行に配置することができる。これは、適切に組み込まれた室、および/または適切に配置された膜によって達成することができる。区画室が平行に延びていることにより、区画室の間の大きな界面が得られ、それによって粒子の交換を促進することができる。
【0010】
好ましくは、区画室は、基板の基礎面に対して平行または垂直な平面内に配置することができる。
【0011】
さらなる有利な発展によると、膜は、少なくとも部分的に基板の基礎面に対して平行または垂直な平面内に配置することができる。したがって、区画室は、結果として、少なくとも部分的に、基板の基礎面に垂直または平行な平面内に配置されている。この配置は、特に、所望の用途に応じて選択することができる。例えば、粒子に対する膜方向への重力効果が望ましい場合には、区画室が上下に重なっている配置(膜が基礎面に対して平行)が有利であり得る。区画室が横に並んだ配置(膜が基礎面に対して垂直)においては、特に、双方の区画室は、顕微鏡から等しく単純に観察することができる。
【0012】
有利な方策として、膜は、可撓性、好ましくは弾性とすることができる。可撓性の(柔軟な)膜では、区画室の形状を変化させることができる。弾性膜では、膜に圧力を印加することによって、区画室の容積を可逆的に変化させることができる。
【0013】
さらなる有利な発展においては、2つの区画室のうちの第1の区画室は、格子を備えることができる。この場合、機械的基準(mechanical reference)としての格子は、検出対象粒子を焦点面に維持する役割を果たすことができる。
【0014】
さらに、流体が第2の区画室から第1の区画室に流れ込む場合、膜を部分的または完全に格子に押し付けることができる。流体の流れにおいて、粒子は液体状または気体状で運ばれる。さらに、格子は、膜の面を流体の流れの中に維持する役割、または膜のずれもしくは破れを防止する役割を果たす。ここで、たとえ流体の流れの後ろで空気が押されても、薄い流体膜(fluid film)は、格子と膜との間に残ることができるので、この流体膜は、膜と格子とを一緒に保持する。格子の網目サイズは、フィルタ処理時に、膜が読出装置の焦点深度よりも深く網目内に押し込まれないように選択されることが好ましい。また、ホールの径は、フィルタ処理時に、膜が読出装置の焦点深度よりも深くホール内に押し込まれないように選択されることが好ましい。
【0015】
フィルタとして機能する膜の表面は、連続的に滑らか、少なくとも部分的に多孔性、および/または少なくとも部分的に浸透性である。
【0016】
さらに、膜は、第1の区画室と第2の区画室との間に固定して設けることができる。
【0017】
これは、張力がかかった状態で膜を接着剤で接着することによって可能にすることができる。しかしながら、この処理においては、強く硬化する接着剤を使用したときにフィルタ膜が破れるという問題が生じうる。これは、特に、自身または周囲の構造を膨張させ、または収縮させる溶剤に膜が接触すると起こる。この問題は、シリコンなどの、例えば60以下の低いショア硬度を有する弾性ポリマを使用して、動かないように、すなわち合着状態で取付けることによって解決することができる。それを目的として、好ましくは膜の端部が押しつけられる溝の中に、一列のシリコンを配置することができる。これに代えて、固定処理の間に膜が少なくとも部分的に締め付けられるように膜を固定するために、柔軟なポリマ構造体を使用することもできる。
【0018】
さらに、膜が破れる危険性は、流体が膜を通じて格子の方に第2の区画室から第1の区画室に流れ込むフィルタ処理の間において、膜が格子に支持されることによっても低減することができる。この場合、流体圧力が加えられないときの格子と膜との間の距離として、一定の小さな距離が定義される。
【0019】
これに代えて、膜を第1の区画室と第2の区画室との間に固定せずに配置することができる。
【0020】
この場合、膜を部分的にまたは完全に流体の流れの中に位置させる手段を設けることが有効となりうる。このプロセスにおいて、膜が格子に押しつけられる前に、流体の流れは、膜に対して略垂直に当たる。
【0021】
膜を位置させる手段は、第2の区画室の入口から第1の区画室に流れ込む流体が膜の下に(すなわち第2の区画室の基礎面から)入り、それによって膜を格子に押し付けるようにする。
【0022】
これは、例えば、第2の区画室の入口と格子との間に位置し、その中に膜の端部が少なくとも部分的に嵌め込まれる溝によって達成することができる。代替的には、これは、切欠や突出などによって達成することもできる。
【0023】
さらなる有利な実施形態においては、膜は、例えば流体が第1の区画室から第2の区画室に流れ込む場合における力によって、基板の基礎面/第2の区画室に対して部分的にまたは完全に押し付けられるように、配置されることができる。ここでは、基礎面は、薄片、好ましくはプラスチック薄片によって構成することができる。
【0024】
このことは、例えば、検出する粒子が含まれた流体が第2の室から流れることによって膜が格子に押し付けられ、次いで、第1の区画室の入口から第2の区画室の方向への格子を通じた短い逆流(液体の流れ、短い気体の押圧力(thrust)など)によって、濾過膜が第2の区画室の基礎面に押し付けられた場合に達成されうる。最初に、膜は、逆流圧によって基礎面の方に膨張し、場合によっては(膜の中心において)部分的に基礎面に接触する。なぜなら、膜は、その端部を、例えば溝の中に依然として嵌め込んでいるからである。逆流によってさらなる圧力が印加されると、この端部も溝から離れ、膜は、(その端部も含めた)平面状の基礎面に対して完全に密着する。一般的には、この場合にも、薄い流体膜は、膜と基礎面との間に残りうる。
【0025】
代替的には、流れる流体の代わりに、磁気力あるいは磁気スタンプが、膜を基礎面に押し付けることもできる。
【0026】
このデバイスは、膜によって濾過された粒子が、基礎面(好ましくはプラスチック薄片)と膜との間に略静止状態で囲まれるという利点を有する。これは、これらの粒子が、通常の機械的な負荷によっては、もはや除去され得ないことを意味する。さらに、読出装置は、基礎面を基準面として、すなわち膜に対するスペーサとして使用することができる。この場合、予め設定される焦点は、基礎面の厚さのみによって設定される。
【0027】
通常、強い発光性の粒子(例えば蛍光ビーズ)の場合、開口数が0.5未満である対物レンズ、またはこれと類似した特性を有する光学装置を使用することができる。したがって、被写界深度は、約10〜200μmの範囲内である。弱い発光性の粒子の場合には、一般には開口数が最大1.4までの対物レンズが使用される。したがって、最大0.5〜10μmの被写界深度の層厚を観察することができる。したがって、膜には特定の滑らかさが要求され、検出する対象物すべてがこの焦点範囲内にある必要がある。
【0028】
さらなる有利な発展形態においては、膜は、室の底部と少なくとも部分的に結合することができる。例えば、膜は、超音波結合によって接着または結合することができる。
【0029】
さらに、膜が取付けられるときに膜を固定する位置決め手段を、基板上に設けることができる。
【0030】
好ましくは、膜の少なくとも一部は、室の内壁、特に室の底部に平面的に密着するように、分離可能に配置することができる。膜が室の内壁に密着するならば、顕微鏡からその内壁を通じて単純かつ直接的に膜を観察することができる。例えば、試験の開始時には膜が壁に密着していることができ、分析対象粒子が含まれている液体が内壁と膜との間に送られると、膜は内壁から分離される。液体および/または粒子の一部は膜を通過し、その他の部分は膜、例えば孔の上に積層される。液体によって膜にかかる圧力が下がると、膜は、その配置および/または弾性に起因して、再び室の内壁に密着する。これにより、粒子が分布した膜の表面を、顕微鏡によって分析することができる。
【0031】
上述したデバイスのさらなる発展形態によると、膜は、少なくとも1つの孔を有することができ、各孔は、所定の部分的な領域においては、1nm〜20μm、好ましくは0.5μm〜20μmの範囲の孔径を有することができる。この部分的な領域は、具体的には、上述した領域全体、またはこの領域からの特定の値のみを含みうる。
【0032】
膜の粒子選択性、および/または膜を通じた流れは、孔径または孔径の分布に基づいて制御することができる。
【0033】
具体的な実施形態においては、これらの孔は、互いに規定の距離に配置することができる。孔間距離は、5μm〜2cmの間とすることができる。好ましい実施形態においては、孔のパターンは、あらゆる公知の2次元結晶構造をとることができる。分析容器における孔の数は、最大で50,000個とすることができる。分析容器は、一般には、5μm2〜5cm2の間のサイズを有することができる。好ましい実施形態においては、1つのキャリアには1個〜8192個の容器が収容される。
【0034】
これらの孔は、規定のパターンを形成しうる。代表的な実験においては、走化的に活性化可能な細胞(chemotactically activatable cell)が、孔が規則正しく配置されている膜の上に配置され、ケモタキシンが孔を通じて拡散してこれらの細胞と接触しない限りは、これらの細胞は膜の表面上に均一に分布する。
【0035】
ケモタキシンが孔を通じて拡散すると、細胞は最も近い孔の方に動き始める。一定時間の後、すべての細胞がそれぞれの孔に集まっている。
【0036】
ケモタキシンが作用する前における細胞が均一に分布した状態と、ケモタキシンを追加した後における細胞が孔の周囲に集まった状態との間の差異は、フーリエ解析によって定量化することができる。細胞の均一分布は、フーリエ空間における直線として現れる。孔の周囲における細胞の周期的な配置は、孔の距離に対応するフーリエ空間における値で、「デルタ関数に似た」関数として現れる。この方法は、特に、すべての孔を通じて濃度の等しい同じケモタキシンが拡散する場合に適している。特に、直線からデルタ関数への遷移が時間の関数として解析されるならば、細胞の動きに関する定量的データおよび時間分解データを得ることができる。また、この方法では、多数の細胞の挙動を、単純かつ迅速に平均化することができる(統計能力の向上)。さらなる発展形態においては、光学的に見える孔を、フーリエ空間における尺度基準として使用することができる。
【0037】
別のさらなる発展形態においては、さまざまなケモタキシンを、孔を通じて拡散させることができるので、有効性を直接的に比較することができる。同様に、遊走速度のより正確な分析データを得る目的で、同一のケモタキシンをさまざまな濃度において使用することができる。
【0038】
別のさらなる発展形態においては、さまざまな貯蔵器にさまざまな孔の配列を収容することができる。
【0039】
貯蔵器が導流路として設計されている場合、その導流路に液体を閉じ込めることができる。液体は、その表面張力により、たとえ導流路が曲がっている場合であっても、導流路から外へは出ない。このため、導流路は、それぞれの排出口まで液体によって完全に充填される。一般には、導流路の高さは10μm〜1cmであり、幅は10μm〜5cmである。長さは、100μm〜30cmとすることができる。
【0040】
さらなる発展形態においては、孔のパターンは、あらゆる公知の2次元結晶構造をとることができる。分析容器における孔の数は、少なくとも2個から、最大50,000個までの間とすることができる。分析容器のサイズは、一般には、5μm2〜5cm2とすることができる。好ましい実施形態においては、1つのキャリアには1個〜8192個の容器が収容される。
【0041】
これらの孔は、不規則なパターンを形成することもできる。時間の関数としての細胞の分布、すなわち細胞の動きを分析する目的で、ホールのイメージと「走化性を有する」細胞のイメージとの間の相関関数を使用することができる。これらのホールは、例えば、中性子衝撃とその後のエッチングとによって形成することができる。
【0042】
好ましくは、上述したデバイスの膜は、光学的に高品質の材料を含むことができる。光学的に高品質の材料(すなわち、複屈折もしくは自己蛍光性がない、または複屈折もしくは自己蛍光性がCOCもしくはCOPのそれ以下である)を使用すると、特に膜の両側において、向上した環境下で光学分析を行うことができる。
【0043】
さらなる有利な発展形態によると、室は、少なくとも4つの入口を有し、膜によって、それぞれが少なくとも2つの入口を有する2つの区画室にさらに分割することができる。したがって、各区画室は、他の区画室から独立して流体処理を行うことができる。すなわち、室のそれぞれが独自の注入口および排出口を有する。
【0044】
さらに、室を均一に充填するために、入口のうちの少なくとも1つは、室を環状に囲むことができる。
【0045】
有利な方策として、膜および/または1つの室壁は、表面機能化(surface functionalization)を有することができる。これにより、個々の領域において、細胞の成長または粒子の接着などの特定のプロセスを促進することができる。膜または室壁の複数の異なる領域は、複数の異なる表面機能化を有することができる。
【0046】
好ましくは、表面機能化は、コーティング、特に、1つの高分子電解質膜、1つの接着因子、1つの官能基、1つの脂質膜、1つの細胞層、および/または1つの阻止分子のうちの少なくとも1つによるコーティングを含みうる。
【0047】
高分子電解質膜は、PAA(ポリアクリル酸)、PEI(ポリエチレンイミド(polyethylene diimide))、および/またはPSS(ポリスチレンスルホン酸)を含みうる。生体分子は、タンパク質またはDNAを含みうり、接着因子は、RGDペプチドを含みうる。官能基は、COOHまたはNH2を含みうり、阻止分子は、BSA、ゼラチン、またはDNAを含みうる。
【0048】
好ましくは、上述したデバイスの基板は、プラスチック、特に、光学的に高品質なおよび/または光学的に非透過的なプラスチックを含みうる。光学的に高品質な(すなわち複屈折あるいは自己蛍光性がない)プラスチックは、例えば蛍光分析における基板の干渉の影響を減少する。光学的に非透過的な材料を使用することにより、外側からの望ましくない入射光に起因する干渉を回避することができる。
【0049】
好ましくは、基板は、その基礎面に室のための凹部が設けられるカバー要素を備えることができる。特に、この凹部は、穴(dig)の形態に設計することができる。これにより、基板を単純に製造することができる。
【0050】
カバー要素は、カバープレートとすることができる。この場合、カバー要素は、1つの部品であり、容易に製造することができる。
【0051】
代替的には、カバー要素は、室のための開口が設けられている中間プレート、およびこの中間プレートの片側において開口を覆うために設けられているカバープレートとすることができる。この場合、カバー要素は、2枚のプレート、すなわち中間プレートとカバープレートとを備えている。カバープレートは、中間プレートに面している側にレシーバを備えていることができる。したがって、室の形状は、カバープレートにおける凹部と開口の形状とによって決定される。これに代えて、カバープレートに凹部を持たせずに、カバー要素の凹部全体が開口によって決定されるようにすることができる。
【0052】
中間プレートは、プラスチック薄片、特に、1μm〜1mmの厚さを有するプラスチック薄片とすることができる。
【0053】
好ましくは、膜は、カバープレートと中間プレートとの間に配置することができる。この方式においては、例えば、膜をカバープレートと中間プレートとの間に固定することによって、および/または、膜をこれら2枚のプレートの少なくとも1枚に接着あるいは超音波ボンディングなどにより結合することによって、極めて容易に膜を基板に結合することができる。カバープレート自体もレシーバを有する場合には、ある1つの区画室は、カバープレートにおけるレシーバによって形成され、中間プレートにおける開口によって形成されている他方の区画室から、膜(仕切り)によって隔てられる。
【0054】
さらなる有利な発展形態によると、基板は、凹部を覆うためのカバー要素を備えていることができる。このカバー要素は、中間プレートとともに、または中間プレートなしで、凹部によって形成される室の残りの壁を形成する。
【0055】
有利な方策として、カバー要素は、プラスチック薄片、特に、光学的に高品質な、および/または50μm〜1mmの厚さを有するプラスチック薄片とすることができる。プラスチック薄片は、カバー要素に容易に結合することができる一方、薄片を使用することによって、カバー要素を極めて小さい厚さにすることができる。したがって、顕微鏡分析の品質を向上することができる。
【0056】
好ましくは、入口は、基板のカバー要素のカバー面に端部を有することができる。これにより、室または区画室のそれぞれに、上方から液体を追加することができる。
【0057】
さらなる有利な発展形態によると、基板のカバー要素に配置され、かつ入口の端部を有する、少なくとも1つの液体貯蔵器をさらに設けることができる。そのような液体貯蔵器は、比較的多量の液体を室の中に送り込む役割を果たすことができる。あるいは、液体貯蔵器は、排出口に配置されている場合、オーバーフロー域としての役割を果たすことができる。
【0058】
好ましくは、少なくとも1つの液体貯蔵器は、プラスチック、好ましくは入口孔の領域におけるカバー要素と同じプラスチックから作製することができる。さらなる好ましい発展形態によると、液体貯蔵器およびカバー要素は、入口孔の領域に1つの部品として形成することができる。このことは、貯蔵器が、カバー要素に例えば接着されたり、ねじによって固定されたりしないことを意味する。この方式においては、貯蔵器とカバー要素との間の固定を省くことができ、汚染の危険性が減少する。
【0059】
好ましくは、その1つの部品は、成形部品とすることができる。これによって、基板を単純に製造することができる。
【0060】
好ましくは、基板は、顕微鏡のスライドまたはマルチタイタとして設計することができる。
【0061】
上述したデバイスのすべては、基礎面および/またはカバー面、および/または膜が、、自己蛍光性がCOC(環状オレフィン・コポリマ)またはCOP(環状オレフィン・ポリマ)以下の自己蛍光性を有する光学的に高品質な材料から構成される効果が達成されるように、さらに改良することができる。
【0062】
好ましくは、カバー面および/または基礎面は、プラスチック薄片によって構成することができる。
【0063】
この場合、基礎面またはカバー面も、光学的に高品質な材料によって構成することができる。「光学的に高品質」とは、基礎面が光学的に透過的である、COCもしくはCOP以下の自己蛍光性を有する、複屈折がない、または紫外線光下において透過的であることを意味する。
【0064】
自己蛍光性を調べる目的で、Zeiss社のAxivert S 100と、Zeiss社のHBO 50ランプおよび40倍対物レンズPlan Neofluar(NA=0.75)と、Zeiss社のFiltersatz 09(励起450〜490nm、放射515〜565nm)とを使用して、薄暗い部屋において室温にて測定を行った。関連する調整のすべて、特にHBOランプの調整と、ランプの視野絞りの位置の調整は、測定中変更しなかった。
【0065】
測定範囲は219×173μmであった。IPLab(Scanalytics社)というソフトウェアを使用し、2×2ビンニング/500msにおいて照射を行い、Princeton Instruments社(テキサス州オースチン)の5MHzのカメラMicroMax(5MHz)において、200のオフセットを調整した。
【0066】
150μm〜200μmの厚さの材料を使用して、プレパラートの中心に焦点を合わせた。
【0067】
この調整により、厚さ170μm±5μmのガラス(Menzelガラス25×75mm)を用いて、中間ピクセル値64±3が求められた。
【0068】
COCを使用する場合の薄片の厚さは190μm±5μmであり、中間ピクセル値97±5が求められた。COPを使用する場合にも薄片の厚さは190μm±5μmであり、中間ピクセル値107±6が求められた。これらの条件下において、特に、使用されたフィルタの場合に、自己蛍光性が120未満である値のすべては「低い自己蛍光性」と評価する。
【0069】
励起波長が529nmであるフィルタセットを使用したとき、この構造においては、ガラス、COC、およびCOPの間で重大な差異は見られなかった。
【0070】
以下では、本発明のさらなる特徴および利点について、例および図を参照しながら説明する。
【0071】
図1には、マイクロ流体分析用デバイスの分解図が示されている。このデバイスは基板を備えており、基板は、カバープレート1と中間プレート4とを有するカバー要素を備えている。カバープレートの基礎面には凹部2aが設けられており、凹部の入口(図示せず)のそれぞれは、液体貯蔵器7に端部を有している。中間プレート4は、開口2bを有している。この開口は、カバープレートの凹部2aの下部に位置する一方で、カバー要素1のカバー面における開口6に端部を有する入口を持つように設計されている。
【0072】
さらに、この基板は、特に薄片として設計することのできるカバー要素5を備えている。中間プレート4も、プラスチック薄片として設計することができる。図1においては、カバープレート1と中間プレート4との間に膜3が配置されている。これにより、カバープレート1と、中間プレート4と、カバー要素5とを結合し、あるいは接続すると、膜3によって隔てられている2つの区画室が形成される。このプロセスにおいて、これら2つの区画室は、それぞれ、凹部2aおよび開口2bと、この間に配置されている膜3とによって形成される。したがって、区画室より下の部分も、それぞれ2a,2bとして表される。
【0073】
この場合、膜は、カバープレート1と中間プレート4との間に容易に固定し、またはこれらのプレートの一方もしくは両方に、例えば接着もしくは超音波ボンディングによって結合することができる。
【0074】
例えば、Whatman社製のCyclopor Track Etched Membranes、あるいはMillipore社製のフィルタ膜を使用することができる。
【0075】
すなわち、結果としてのマイクロ流体分析用デバイスは、凹部2aと開口2bとによって形成されている室を備えており、この室は、膜3によって導流路の形態における2つの区画室にさらに分割されている。2つの区画室のそれぞれは、独自の注入口および排出口を有する。
【0076】
本発明によるデバイス、特に図1に示したデバイスは、特に、濾膜実験に使用することができる。図1に示したデバイスの場合、区画室2aが濾膜導流路、区画室2bが観察導流路であり、これらの区画室は半透膜3によって隔てられている。下側の観察導流路2bには、例えば、開口6のうちの1つを通じて懸濁培地を充填することができ、上側の導流路2aには、貯蔵器7を通じて充填することができる。その場合、細胞に対しては不浸透性であり、タンパク質や塩などの生体分子に対しては浸透性である膜が選択される。
【0077】
図示した配置によって、半透膜を通じた交換を、拡散または環流によって支配することができる。2つの区画室の間の接触面が大きいほど、交換が迅速に行われる。
【0078】
図示した実施形態においては、2つの区画室が互いに平行に延びており、かつ基礎面に垂直な平面内に存在しているが、これに代えて、基礎面に平行な平面において互いに隣り合うように区画室を配置することもできる。
【0079】
1つの可能な用途においては、接着性の細胞を、一定の結合部位における特定の相互作用によって細胞が接着される表面(壁)に接着する。所定濃度の抗体を含む溶液を、濾膜3を通じて流し込む。抗体としては、細胞の結合部位に特質的に結合する抗体が選択される。抗体は、壁に固定化されている結合部位について細胞の細胞外結合分子と競い、抗体の濃度が十分である場合、結果的に細胞が分離される。従来の細胞培養容器あるいは顕微鏡キャリアとは対照的に、細胞が再び表面に接着できるようになるまで、濾膜を介して抗体を希釈することができる。これによって、例えば、細胞基質の相互作用による細胞間の接着の可逆性について調べることができる。
【0080】
さらなる用途においては、懸濁培地中の細胞を分析することができる。懸濁培地中の細胞は、一般的には、遠心分離の後、上澄みを除去し、緩衝液または栄養液の成分を純粋な形で再懸濁させることによって得られる。有効な純化を行うには、しばしばこれらの操作を何度か繰り返す必要がある。
【0081】
図示したデバイスを使用することによって、懸濁培地中の細胞を特定の物質に接触させ、あるいは特定の物質から細胞用培地(cell medium)を解放することが可能である。例えば、懸濁培地中の細胞には、濾膜導流路2aにおいて成長する細胞用培地によって生成される観察導流路2b内の物質を供給することができ、これら2つの細胞培地は混ざらない。この技術は、例えば、体外培養を良好に行う目的で、成長の悪い細胞にいわゆる栄養細胞(feed cell)が必要とされる場合に使用することができる。この栄養細胞は、例えば実際の実験との交差反応を低減する目的で、双方の区画室における独立した流体操作による任意のタイミングにおいて、再び除去および追加することができる。
【0082】
さらなる用途においては、図1に示したデバイスは、敗血症のモデルシステムを形成する目的で使用することができる。このプロセスにおいては、ヒトの細胞培地を観察導流路において培養し、バクテリア培地を濾膜導流路2aにおいて培養する。ヒトの細胞の働きは、バクテリアによって抑制される(poisoned)。図示したデバイスを使用すると、特定のバクテリア密度においてヒトの細胞を生存させておくことのできる薬剤を分析することができる。
【0083】
上述した用途に加えて、遊走研究用デバイス、特に走化性分析用デバイスにおいて、この膜を使用することができる。走化性においては、細胞は化学物質の濃度勾配に沿って移動する。ここで、水平走化性(膜に対して平行)と垂直走化性(膜に対して垂直)とを区別することができる。
【0084】
水平走化性においては、細胞は、区画室に入り、膜の表面に接着する。他方の区画室には、特定の化学物質(例えば、C−AMP)を含む溶液が充填される。この溶液は、膜の孔を通じて、第2の区画室から第1の区画室に拡散し、孔の周囲には、放射状の濃度勾配が形成される。また、その濃度勾配の下に位置している細胞の反応を分析することができる。この実験の場合、膜は、所定の孔径および所定のホール間距離を有する1つ以上の孔を有することが好ましい。
【0085】
そのような走化性分析の場合、膜は、1nm〜30μmのサイズを有する1つの孔またはホールのみを有することができる。この場合、膜の片側(例えば、膜の下側)には、保持培地(holding medium)において細胞を供給することができる。例えば、細胞を寒天またはアガロースに埋め込むことができる。寒天またはアガロースの代わりに、他の保持培地を使用することもできる。保持培地は、特に、細胞力学の光学分析性を向上させる役割を果たす。膜の反対側(例えば、膜の上側)には、同じく保持培地に埋め込まれている分子(ケモタキシン)を供給することができる。このため、分析において圧力制御機能を備えたマイクロピペットを使用する必要がない。なぜなら、ケモタキシンがホールを通じて拡散するならば、ケモタキシンの濃度は、保持培地の容積に依存して一定であるためである。ケモタキシンがホールを通じて膜の第1の側から膜の第2の側に拡散することによって、膜の第2の側に、空間的および時間的に定義される濃度勾配が形成される。したがって、第2の側に埋め込まれている細胞が濃度勾配に反応するか否か、およびどのように反応するかを分析することができる。膜は、空気を透過させることが好ましい。
【0086】
図2aおよび図2bには、対応するデバイスの可能な例を示してある。この試験においては、基本的に流室(flow chamber)を使用する必要はない。図2aには、対応する構造を分解図として示してある。基部プレート15の上には、細胞の保持培地(例えば、アガロース)によって濡れている領域が形成されている。この領域には、分析対象である細胞が存在している。1つのホール18のみを有する膜17は、この領域を、ケモタキシンが含まれている保持培地19から隔てている。図2bは、組み立て後の分析キャリアを示している。
【0087】
しかしながら、そのような保持培地は、本発明によるデバイスに供給することもできる。この目的のために、膜によって隔てられている区画室のそれぞれに保持培地を供給することができる。例えば、膜は、図1に示した例と同じように、基板に配置されている2つの導流路の上側および下側を表すことができる。これに代えて、ホールを有する膜によって隔てられているいくつかの、一般には2〜96個の貯蔵器を、キャリア上の小さなポット(pot)として、またはキャリア内の導流路によって提供することができる。
【0088】
垂直走化性に関しては、膜を通じた化学物質の濃度勾配における細胞の遊走性が分析される。代表的な用途においては、例えば、均質な細胞層(細胞タイプA)を、多孔性膜の上で培養することができる。濃度勾配を生成する(他方の区画室に溶媒を充填する)ことによって、細胞層を通じた別の細胞タイプ(細胞タイプB)の遊走性を分析することができる。
【0089】
第2の区画室における細胞タイプBの濃度は、例えば蛍光技術によって検出することができる。さらには、特定の時間後に、第2の導流路の中の溶液を採取することができ、細胞タイプBの濃度を求めることができる。したがって、さまざまな物質および細胞層の濃度に応答する、さまざまな細胞層を通じた白血球の遊走性を分析することができる。この場合、孔径は、0.5〜20μmであることが好ましい。
【0090】
図3には、マイクロ流体分析用デバイスの別の例を分解図として示してある。この場合、基板は、カバー要素としての役割を果たすカバープレート8および底部薄片9を備えている。カバープレート8には、室を形成する凹部2aが設けられている。
【0091】
図示した例においては、室は、2つの入口のみを有している。そのうちの一方は、カバープレートに配置されている液体貯蔵器7に端部を有し、他方は排出開口13に端部を有する。
【0092】
さらに、領域10aにおいて薄片9に接着され、かつ領域10bにおいてカバープレート8に接着されるように、膜3が設けられている。図から明らかであるように、膜3は、カバープレート8にはその端部全体に沿って接着されている一方、薄片9には、貯蔵器7の側面においては接着されていない。このことは、貯蔵器7を通じて入る液体は、排出開口13に達する前に膜3を通過しなければならないことを意味している。
【0093】
貯蔵器7を介して室に液体が充填されていない限りは、膜は、接着されている領域の間で薄片に平面的に密着している。
【0094】
膜3は、室をさらに2つの区画室に分割しており、第1の区画室は入口の側に位置しており、第2の区画室は排出口の側に位置している。膜は、カバープレート8に結合されている。これにより、液体貯蔵器7を介して充填される液体の全体は、区画室2aを経て排出口13に達するために、膜を通じて流れなければならない。貯蔵器7を介した充填によって、膜には底部からの圧力がかかり、底部薄片9から分離されて上方に押される。したがって、膜は弾性であることが好ましい。このことは、図3bには側面図として、図3cには3次元図として示してある。
【0095】
示した図においては、分析対象溶液は、膜を通じて濾過される前は12aとして、濾過された後は12bとして表してある。
【0096】
例えば、溶液中のバクテリアが膜3を通過できない場合、これらのバクテリアは膜の領域14に集まる。濾過された溶液は、排出口13から出ることができる。液体が流れた後、膜3は、再び底部薄片9を覆い、下方から顕微鏡によって分析することができる。バクテリアは、例えばFISH(fluorescence in situ hybridisation)法によって着色することができる。
【0097】
図4a〜図4dには、マイクロ流体分析用デバイスを分解図として示しており、デバイスにおいて膜を組み立てる方法を示している。このデバイスは、いずれもプラスチック薄片の形態であるカバープレート21および基礎面25と、溝を形成するためのリング22とを備えており、溝には、位置決め手段24によって膜23の側端部が組み込まれる。膜とカバープレートとの間には、格子26が配置される。さらに、室が均一に充填されるようにする環状入口27と、第2の区画室の注入口28と、第1の区画室の排出口29とを示してある。
【0098】
図5a〜図5dには、図4のデバイスの側面図を示してある。
【0099】
図5aは、格子の下部に配置されたリング22によって形成されている溝における、膜23の側端部を示している。第1の区画室の排出口29は上部に位置しており、第2の区画室の注入口28は、環状導流路27の形態において底部に位置している。
【0100】
図5bにおいて、流体は、注入口28から矢印の方向に膜23の底面に流れ、膜を格子26に押し付ける。この瞬間、分析対象粒子は、膜の底面に位置しているが、残りの流体は、膜および格子を通じて排出口29の方に流れる。
【0101】
図5cは逆流を示しており、流体は、排出口29から格子26を通じて膜23に当たる。この圧力によって、膜は基礎面25の方に下向きに膨張するが、溝の中におけるその端部によって依然として固定されている。
【0102】
図5dにおいては、短い逆流によって、図5cの膜23は、基礎面25にすでに完全に密着している。したがって、この時点で、逆流する流体は、膜の端部を通って注入口28を流れることができる。
【0103】
図5dにおいて説明したように、膜23が基礎面25に平面的に完全に密着すると、濾過された粒子が付着している膜の底面を、高解像度、好ましくは0.5〜200μmの範囲の被写界深度にて顕微鏡観察することができる。
【0104】
分析対象の液体が血液、懸濁液(slurry)およびその他の試料であり、バクテリアを他の固体成分から分離しなくてはならない場合、バクテリアが膜の表面に接着するように、膜の表面に変化を起こさせ、または表面機能化することができる。しかしながら、底部の区画室に、閉じることができる追加の排出開口を設けることが好ましい。他の固体成分を除去する目的で、この排出開口を通じて下側の導流路に液体を通すことができる。
【0105】
本発明によるデバイスの膜は、液体を高速に流すことのできる大きな表面を有することが好ましい。しかしながら、その場合、顕微鏡で観察する膜の領域(分析表面)も比較的大きくなる。このため、本発明によるデバイス、特に図中に例示したデバイスは、さらなる室を備えることができる。その場合、上述したような分析対象粒子は、第1の膜において濾過され、その後、反対方向の流れが生じる逆流プロセスによって、さらなるフィルタ(分析フィルタ)に集められる。このフィルタは、より小さい表面を有することが好ましく、したがって、より容易に顕微鏡によって観察することができる。
【0106】
好ましくは、さらなる室は、閉じることのできる開口によって(例えば、弁によって)、対応する区画室に結合されている。したがって、この閉じることのできる開口が(例えば逆流プロセスによって所定の圧力を弁に印加することによって)開いた後にのみ、実際の分析対象粒子のみを含む液体が、そのさらなる室に流れ込む。次いで、これらのバクテリアは、追加の分析膜において濾過され、そこで顕微鏡によって分析することができる。代替的には、分析膜は、注入開口を閉じることのできる蓋に一体化することができる。
【0107】
図1に示したように、1つの区画室について2つの入口を備えている実施形態においては、1つの区画室への液体の注入を、2つの入口によって同時に行うことができる。この場合、濾過された粒子は、主として、膜のうち2つの入口の間の中央に位置する領域に集まる。この地点において、その粒子を分析することができる。
【0108】
さまざまな用途向けに、膜の表面、および/または室を表面機能化することができる。例えば、膜の上における、または内部室の側面もしくは壁の1つにおける細胞増殖を、それぞれの表面を相応に処理することによって高めることができる。特に、一般には5nm〜100nmの範囲の厚さを有する高分子電解質膜によるコーティングを施すことができる。このコーティングは、PAA、PEI、PSSなどのさまざまな高分子電解質膜で構成することができる。特に、基層のそれぞれをこれらの材料の1つによって構成することができる。タンパク質あるいはDNAなどの生体分子を、これらの層の上に直接的に適用することができる。そのような非共有結合は、導流路内を流体が流れるときであっても安定である。
【0109】
分子または細胞に固有な、または固有ではない接着因子(例えば、RGDペプチド)を、層構造、特に最後に形成される層に適用することもできる。最後に形成される層は、COOHあるいはNH2などの官能基を含みうる。これらを使用して、生体分子を共有結合的に結合させる(covalently coupling)ことができる。
【0110】
最も上の高分子電解質層に生体分子を結合させた後、非特異的結合(unspecific bond)を阻止するためのさらなる層を形成することができる。この層は、BSAやゼラチン、DNAなどのさらなる高分子電解質層、脂質膜あるいは阻止分子とすることができる。適用された生体分子は、その結合能力を維持するはずである。
【0111】
さらに、構造化された高分子電解質層を設けることもできる。これは、例えば、高分子電解質層にスポッティング(spotting)を行うことによって、室または膜の特定の領域において生体分子または細胞を結合可能にすることによって行うことができる。
【0112】
さらに、さまざまな領域あるいは異なる区画室を、異なる高分子電解質層と組み合わせて使用することができる。
【0113】
その場合、コーティングは、例えば、高分子電解質を中性pHにおいて水溶液に溶かす(約0.1mg/ml〜10mg/ml)ことによって実施することができる。次いで、この溶液を室に流し込み、室温にて所定時間(例えば、10分〜2時間)だけ放置する(incubated)。このようにして、1〜20の層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】カバープレートと中間プレートとを有する基板を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図2a】走化性のあるデバイスの一例を示す図
【図2b】走化性のあるデバイスの一例を示す図
【図3a】室の底部に平面的に密着するように分離可能に配置されているカバープレートおよび膜を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図3b】図3aのデバイスの横断面図
【図3c】図3aおよび図3bによるデバイスにおける方法を示す図
【図4a】格子および膜の集合体を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図4b】格子および膜の集合体を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図4c】格子および膜の集合体を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図4d】格子および膜の集合体を備えたマイクロ流体分析用デバイスの分解図
【図5a】図4のデバイスの側面図
【図5b】図4のデバイスの側面図における第2の区画室から第1の区画室の方への流体の流れを示す図
【図5c】図4のデバイスの側面図における第1の区画室から第2の区画室の方への流体の逆流を示す図
【図5d】図4のデバイスの側面図において第2の区画室の基礎面に平面的に密着した逆流後の膜を示す図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の基礎面およびカバー面を有する基板を備えるマイクロ流体分析用デバイスであって、
少なくとも2つの入口を有する液体収容室が、前記基板に統合され、
前記室には、半透膜または浸透膜(3,23)が配置され、前記室は、前記膜によって、それぞれが少なくとも1つの入口を有する2つの区画室(2a,2b)にさらに分割される、マイクロ流体分析用デバイス。
【請求項2】
前記区画室は、少なくとも部分的に、互いに平行に配置される、請求項1記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項3】
前記区画室は、前記基板の前記基礎面に対して平行または垂直な平面内に配置される、請求項1または請求項2記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項4】
前記膜は、少なくとも部分的に、前記基板の前記基礎面に対して平行または垂直な平面内に配置される、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項5】
前記膜は、可撓性、好ましくは弾性である、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項6】
前記第1の区画室は、格子(26)を備える、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項7】
前記膜は、流体が前記第2の区画室から前記第1の区画室に流れ込む場合に、前記格子に対して部分的にまたは完全に押し付けられるように配置される、請求項6記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項8】
前記膜は、前記第1の区画室と前記第2の区画室との間に固定されて設けられる、請求項7記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項9】
前記膜は、前記第1の区画室と前記第2の区画室との間に固定されずに配置される、請求項7記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項10】
前記膜を部分的にまたは完全に前記流体の流れの中に位置させる手段(22)を備える、請求項9記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項11】
前記膜は、流体が前記第1の区画室から前記第2の区画室に流れ込む場合に、前記基礎面に対して部分的にまたは完全に押し付けられるように配置される、請求項6、7、9、10のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項12】
前記膜は、前記室の底部に少なくとも部分的に結合される、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項13】
前記基板は、前記膜の位置決め手段(24)をさらに備える、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項14】
前記膜の少なくとも一部は、前記室の内壁、特に前記室の底部に平面的に密着するように、分離可能に配置される、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項15】
前記膜は、少なくとも1つの孔を有し、各孔は、所定の部分的な領域においては、1nm〜20μm、好ましくは0.5μm〜20μmの範囲の孔径を有する、請求項1乃至請求項14のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項16】
前記室は、少なくとも4つの入口を有し、前記膜は、前記室を、それぞれが少なくとも2つの入口を有する2つの区画室にさらに分割する、請求項1乃至請求項15のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項17】
入口(28,29)のうちの少なくとも1つは、前記室を環状に囲む、請求項1乃至請求項16のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項18】
前記膜および/または1つの室の内壁は、表面機能化を有する、請求項1乃至請求項17のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項19】
前記表面機能化は、コーティング、特に、高分子電解質膜、接着因子、官能基、生体分子、脂質膜、細胞層、および/または阻止分子のうちの少なくとも1つによるコーティングを含む、請求項18記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項20】
前記基板は、プラスチック、特に、光学的に高品質なおよび/または光学的に非透過的なプラスチックを含む、請求項1乃至請求項19のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項21】
前記基板は、その基礎面に前記室のための凹部が設けられるカバー要素を備える、請求項1乃至請求項20のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項22】
前記カバー要素は、カバープレート(8)である、請求項21記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項23】
前記カバー要素は、前記室のための開口(2b)が設けられる中間プレート(4)と、前記中間プレートの片側において前記開口を覆うために設けられるカバープレート(1)とを備える、請求項21記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項24】
前記膜は、前記カバープレートと前記中間プレートとの間に配置される、請求項22または請求項23記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項25】
前記基板は、前記凹部を覆うためのカバー要素(5,9)を備える、請求項21乃至請求項24のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項26】
前記カバー要素は、プラスチック薄片、特に、光学的に高品質な、および/または50μm〜1mmの厚さを有するプラスチック薄片である、請求項25記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項27】
前記入口は、前記基板の前記カバー要素のカバー面に端部を有する、請求項21乃至請求項26のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項28】
少なくとも1つの液体貯蔵器(7)をさらに備え、該液体貯蔵器は、前記基板の前記カバー要素に配置され、かつ入口の端部を有する、請求項27記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項29】
前記少なくとも1つの液体貯蔵器は、プラスチック製、好ましくは前記入口孔の領域における前記カバー要素と同じプラスチック製である、請求項28記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項30】
前記液体貯蔵器および前記カバー要素は、前記入口孔の領域に1つの部品として形成される、請求項28または請求項29記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項31】
前記1つの部品は、成形部品である、請求項30記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項32】
閉じることができる開口を介して前記区画室の1つに結合されるさらなる室と、さらなる入口とを備えるマイクロ流体分析用デバイスであって、前記さらなる室には、前記さらなる室を、前記閉じることができる開口と前記さらなる入口との間で2つの区画室にさらに分割するさらなる膜が配置される、請求項1乃至請求項31のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項33】
前記基礎面および/または前記カバー面、および/または前記膜は、COCまたはCOP以下の自己蛍光性を有する光学的に高品質な材料から構成される、請求項1乃至請求項32のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項1】
平面状の基礎面およびカバー面を有する基板を備えるマイクロ流体分析用デバイスであって、
少なくとも2つの入口を有する液体収容室が、前記基板に統合され、
前記室には、半透膜または浸透膜(3,23)が配置され、前記室は、前記膜によって、それぞれが少なくとも1つの入口を有する2つの区画室(2a,2b)にさらに分割される、マイクロ流体分析用デバイス。
【請求項2】
前記区画室は、少なくとも部分的に、互いに平行に配置される、請求項1記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項3】
前記区画室は、前記基板の前記基礎面に対して平行または垂直な平面内に配置される、請求項1または請求項2記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項4】
前記膜は、少なくとも部分的に、前記基板の前記基礎面に対して平行または垂直な平面内に配置される、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項5】
前記膜は、可撓性、好ましくは弾性である、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項6】
前記第1の区画室は、格子(26)を備える、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項7】
前記膜は、流体が前記第2の区画室から前記第1の区画室に流れ込む場合に、前記格子に対して部分的にまたは完全に押し付けられるように配置される、請求項6記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項8】
前記膜は、前記第1の区画室と前記第2の区画室との間に固定されて設けられる、請求項7記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項9】
前記膜は、前記第1の区画室と前記第2の区画室との間に固定されずに配置される、請求項7記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項10】
前記膜を部分的にまたは完全に前記流体の流れの中に位置させる手段(22)を備える、請求項9記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項11】
前記膜は、流体が前記第1の区画室から前記第2の区画室に流れ込む場合に、前記基礎面に対して部分的にまたは完全に押し付けられるように配置される、請求項6、7、9、10のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項12】
前記膜は、前記室の底部に少なくとも部分的に結合される、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項13】
前記基板は、前記膜の位置決め手段(24)をさらに備える、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項14】
前記膜の少なくとも一部は、前記室の内壁、特に前記室の底部に平面的に密着するように、分離可能に配置される、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項15】
前記膜は、少なくとも1つの孔を有し、各孔は、所定の部分的な領域においては、1nm〜20μm、好ましくは0.5μm〜20μmの範囲の孔径を有する、請求項1乃至請求項14のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項16】
前記室は、少なくとも4つの入口を有し、前記膜は、前記室を、それぞれが少なくとも2つの入口を有する2つの区画室にさらに分割する、請求項1乃至請求項15のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項17】
入口(28,29)のうちの少なくとも1つは、前記室を環状に囲む、請求項1乃至請求項16のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項18】
前記膜および/または1つの室の内壁は、表面機能化を有する、請求項1乃至請求項17のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項19】
前記表面機能化は、コーティング、特に、高分子電解質膜、接着因子、官能基、生体分子、脂質膜、細胞層、および/または阻止分子のうちの少なくとも1つによるコーティングを含む、請求項18記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項20】
前記基板は、プラスチック、特に、光学的に高品質なおよび/または光学的に非透過的なプラスチックを含む、請求項1乃至請求項19のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項21】
前記基板は、その基礎面に前記室のための凹部が設けられるカバー要素を備える、請求項1乃至請求項20のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項22】
前記カバー要素は、カバープレート(8)である、請求項21記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項23】
前記カバー要素は、前記室のための開口(2b)が設けられる中間プレート(4)と、前記中間プレートの片側において前記開口を覆うために設けられるカバープレート(1)とを備える、請求項21記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項24】
前記膜は、前記カバープレートと前記中間プレートとの間に配置される、請求項22または請求項23記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項25】
前記基板は、前記凹部を覆うためのカバー要素(5,9)を備える、請求項21乃至請求項24のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項26】
前記カバー要素は、プラスチック薄片、特に、光学的に高品質な、および/または50μm〜1mmの厚さを有するプラスチック薄片である、請求項25記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項27】
前記入口は、前記基板の前記カバー要素のカバー面に端部を有する、請求項21乃至請求項26のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項28】
少なくとも1つの液体貯蔵器(7)をさらに備え、該液体貯蔵器は、前記基板の前記カバー要素に配置され、かつ入口の端部を有する、請求項27記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項29】
前記少なくとも1つの液体貯蔵器は、プラスチック製、好ましくは前記入口孔の領域における前記カバー要素と同じプラスチック製である、請求項28記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項30】
前記液体貯蔵器および前記カバー要素は、前記入口孔の領域に1つの部品として形成される、請求項28または請求項29記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項31】
前記1つの部品は、成形部品である、請求項30記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項32】
閉じることができる開口を介して前記区画室の1つに結合されるさらなる室と、さらなる入口とを備えるマイクロ流体分析用デバイスであって、前記さらなる室には、前記さらなる室を、前記閉じることができる開口と前記さらなる入口との間で2つの区画室にさらに分割するさらなる膜が配置される、請求項1乃至請求項31のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【請求項33】
前記基礎面および/または前記カバー面、および/または前記膜は、COCまたはCOP以下の自己蛍光性を有する光学的に高品質な材料から構成される、請求項1乃至請求項32のいずれかに記載のマイクロ流体分析用デバイス。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【公表番号】特表2007−525667(P2007−525667A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553449(P2006−553449)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011052
【国際公開番号】WO2005/079985
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506280074)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011052
【国際公開番号】WO2005/079985
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506280074)
【Fターム(参考)】
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